(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】デンプンブレンド及びその使用
(51)【国際特許分類】
C08L 3/00 20060101AFI20230606BHJP
A23L 29/212 20160101ALI20230606BHJP
A23L 29/00 20160101ALI20230606BHJP
A23L 23/00 20160101ALN20230606BHJP
A23C 9/154 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
C08L3/00
A23L29/212
A23L29/00
A23L23/00
A23C9/154
(21)【出願番号】P 2020524376
(86)(22)【出願日】2018-10-30
(86)【国際出願番号】 US2018058296
(87)【国際公開番号】W WO2019089656
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-21
(32)【優先日】2017-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512035620
【氏名又は名称】コーンプロダクツ ディベロップメント インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(72)【発明者】
【氏名】ロア、ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】イルディズ、エルハン
(72)【発明者】
【氏名】マルティン、アリシア
(72)【発明者】
【氏名】ウー、キョンス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シン
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0337118(US,A1)
【文献】特開2009-017880(JP,A)
【文献】特開平11-018681(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02679101(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,A23L,A23C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプンブレンドであって、
40~85%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、
15%~60%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含
み、
前記未変性アミロース含有デンプンが、デンプンの重量(重量/重量)で、少なくとも10%のアミロースを含み、
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、デンプンの重量(重量/重量)で、10%未満のアミロースを含む、
デンプンブレンド。
【請求項2】
50%~70%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、30%~50%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、請求項1に記載のデンプンブレンド。
【請求項3】
55%~65%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、35%~45%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、請求項1に記載のデンプンブレンド。
【請求項4】
50%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、50%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、請求項1に記載のデンプンブレンド。
【請求項5】
80%~85%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、15%~20%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、請求項1に記載のデンプンブレンド。
【請求項6】
前記デンプンブレンドを
4重量%含む試験溶
液が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、65℃にて1rad/秒の剪断速度で少なくとも2Pa-s、4Pa-S、又は6Pa-sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが
、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、請求項1に記載のデンプンブレンド。
【請求項7】
前記デンプンブレンドを
4重量%含む試験溶
液が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、65℃にて0.1rad/秒の剪断速度で少なくとも20Pa-s、35Pa-S、又は50Pa-Sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが
、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
【請求項8】
前記デンプンブレンドを
4重量%含む試験溶
液が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、
65℃にて10rad/秒の剪断速度で少なくとも
0.75Pa-
s、又は1.0Pa-Sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが
、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、請求項1~7のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項9】
前記デンプンブレンドを
4重量%含む試験溶
液が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、90℃で10rad/秒の剪断速度で少なくとも0.6Pa-s、0.8Pa-s、又は1.0Pa-sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが
、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、請求項1~8のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項10】
前記デンプンブレンドを
4重量%含む試験溶
液が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、60℃にて10rad/秒の剪断速度で少なくとも0.7Pa-s、0.8Pa-s、又は1.0Pa-sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが
、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、請求項1~9のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項11】
前記溶液の喫食時温度における粘度が、4回又は5回の凍結解凍サイクル後に、0回、1回、2回、又は3回の凍結解凍サイクル後の粘度と同
じレベルにある、請求項
6~10のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
【請求項12】
前記溶液の粘度が、1回、2回、3回、4回、又は5回の凍結解凍サイクル後に、喫食時温度で
5%以下の変化である、請求項
6~11のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
【請求項13】
3回、4回、又は5回の凍結解凍サイクル後の冷却温度における前記溶液の粘度レベルが、1回又は2回の凍結解凍サイクル後の前記溶液と同
じ粘度レベルである、請求項
6~12のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
【請求項14】
1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供される前に、前記溶液が、前記デンプンブレンド自体を4%の固形分で水に添加し、
90℃で
25分間調理することによって調製される、請求項
6~13のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
【請求項15】
前記溶液が、2回以上、3回以上、又は3回の凍結解凍サイクルに供される、請求項
6~14のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
【請求項16】
前記未変性アミロース含有デンプンが顆粒形態であり、前記非化学抑制デンプンが顆粒形態である、請求項1~15のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項17】
前記未変性アミロース含有デンプンが天然デンプンであり;
前記未変性アミロース含有デンプンが
、デンプンの重量(重量/重量)で、少なくとも10%~50%未満のアミロー
スを含有し、
前記未変性アミロース含有デンプンが
、デンプンの重量(重量/重量)で
、10%~50%未満のアミロー
スを含有する天然アミロース含有デンプンであるか;又は
前記未変性アミロース含有デンプンが
、デンプンの重量(重量/重量)で
、10%~50%未満のアミロー
スを含有する天然アミロース含有ジャガイモデンプンである、請求項1~16のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項18】
前記未変性アミロース含有デンプンが、ジャガイモ、コメ、タピオカ、及びトウモロコシから選択される、請求項1~17のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項19】
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、ワックス状トウモロコシ、ワックス状タピオカ、ワックス状コメ、及びワックス状ジャガイモから選択される、請求項1~1
8のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項20】
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、熱抑制デンプンである、請求項1~
19のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項21】
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、
抑制されていない同じデンプンと比較して、より低いピーク粘度及びより低い粘度のパーセント低下を呈する程度に抑制されたデンプンである、請求項1~
20のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項22】
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、
抑制されていない同じデンプンと比較して、より低いピーク粘度及びより低い粘度のパーセント低下を呈する程度に抑制された、熱抑制ワックス状トウモロコシデンプンである、請求項1~
21のいずれかに記載のデンプンブレンド。
【請求項23】
組成物を調製する方法であって、前記組成物が、1つ又は複数の増粘剤を含み、前記増粘剤が、請求項1~
22のいずれかに記載のデンプンブレンドと、1つ又は複数の他の増粘剤とを含み、前記他の増粘剤が、90%以下の請求項1~
22のいずれかに記載のデンプンブレンドで少なくとも部分的に置き換えられているか、又はそれで置き換えられている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年11月3日付で出願された米国特許仮出願番号第62/581,235号に対する優先権の利益を主張するものであり、その全内容は、任意のあらゆる目的のため、全体として引用することで本明細書の一部をなす。
【0002】
(発明の分野)
本技術は、概してデンプン及びデンプンブレンドに関する。より具体的には、デンプンブレンドを組み込む食料品の質感及び安定性を改善するデンプンブレンドに関する。
【背景技術】
【0003】
デンプンは、食品製品に質感を加えるために食品業界で使用される。食品製品の質感を改善することが知られているのは、デンプンの粘度特性である。しかしながら、現在入手可能なデンプン、特にアミロース含有デンプンは、調理及び冷却の際にゲル化する傾向がある。更に、ソース及びグレービー、スープ、クリーマー、サラダドレッシング、並びにアミロース含有デンプンで調製された他の液体組成物は、凍結及び解凍の際に不安定になる。その結果、食品業界では、調理及び冷却の際にゲル化しないデンプン、及び/又は凍結及び解凍の際に安定であるデンプンに対するニーズが依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、未変性アミロース含有デンプンと、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、デンプンブレンドが提供される。本明細書では、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドを含む食用組成物も開示される。かかるデンプンブレンドは、現在入手可能なデンプンの使用に関連するゲル化及び/又は安定性の問題に対処する。
【0005】
これらの範囲には、40%~85%(重量/重量)、40%~80%(重量/重量)、50%~70%(重量/重量)、55%~65%(重量/重量)、又は50%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプン、及び15%~20%(重量/重量)、20%~60%(重量/重量)、30%~50%(重量/重量)、35%~45%(重量/重量)、又は50%(重量/重量)の非化学抑制又は非化工デンプンを含み得る。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のデンプンブレンドは、クリーンラベル(clean label)デンプンブレンドである。
【0006】
本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドは、水中で調理する際に、1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクル後に高い粘度を有する。本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドは、水中で調理する際に、3回以上の凍結解凍サイクル後に高い粘度を有する。本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドは、様々な食品及び飲料組成物、特に冷凍されたソース及びグレービーにおいて有用である。また更なる実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドを含む1つ又は複数の増粘剤と、1つ又は複数の他の増粘剤とを含む組成物を調製する方法に関し、ここで、他の増粘剤は、90%以下の本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドで少なくとも部分的に置き換えられているか又はそれで置き換えられている。
【0007】
別の態様では、組成物は、90%~97%(重量/重量)の流体と、3%~8%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、0.5%~2%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む。幾つかの実施形態では、流体は乳製品又は水である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】実施例7によるプディング配合に関する剪断速度の関数としての粘度変化のグラフである。
【0009】
【
図1B】実施例7による、デンプンブレンドの挙動を説明する、様々な配合物の一連の写真である。
【0010】
【
図2】実施例8及び実施例9によるプディング配合の流動曲線からの降伏応力の決定を説明する。
【0011】
【
図3】実施例8によるプディング配合に関する剪断速度の関数としての粘度変化のグラフである。
【0012】
【
図4A】実施例9によるプディング配合に関する剪断速度の関数としての粘度変化のグラフである。
【
図4B】実施例9によるプディング配合に関する剪断速度の関数としての粘度変化のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、様々な実施形態について説明する。具体的な実施形態は、網羅的な説明、又は本明細書で論じられるより広範な態様の限定を意図していないことに留意されたい。特定の実施形態と関連して説明される一態様は、必ずしもその実施形態に限定されるものではなく、任意の他の実施形態(複数の場合もある)により実施され得る。
【0014】
明確にするため、以下の用語が定義される。定義されない用語は、当該技術分野で使用される通常の意味と一致するべきであり、当業者によって一般的に理解されるべきである。
【0015】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という単数形の用語は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の参照を含む。
【0016】
「アミロース含有」という用語は、デンプンに基づいて少なくとも10%~50%未満のアミロース(重量/重量)を含むデンプンを指す。
【0017】
「糊化」という用語は、デンプンが調理され、その顆粒構造を失うプロセスを指す。糊化の間、デンプンは、その複屈折特性と並んで、その天然状態に存在する任意の偏光十字(Maltese cross)を失う。
【0018】
「顆粒」という用語は、デンプンが冷水に可溶性ではなく(依然として少なくとも部分的に結晶性である)、偏光下で複屈折及び典型的には偏光十字を呈するデンプンの構造を指す。
【0019】
「非化学抑制」、「非化学抑制(の)」又は「非化工(の)」という用語は、化工されていない化学抑制デンプンとして機能するデンプンを指す。
【0020】
「高度に抑制された」という用語は、限られた範囲まで膨張し、ピークを達成することなく粘度の継続的な上昇を示す程度まで抑制されているデンプンを指す。
【0021】
「中程度に抑制された」という用語は、抑制されていない同じデンプンと比較して、より低いピーク粘度及びより低い粘度のパーセント低下を呈する程度まで抑制されているデンプンを指す。
【0022】
「天然」という用語は、穀物、塊茎、根、豆果及び果実等の植物源から抽出される未変性デンプンを指す。
【0023】
「デンプン」という用語は、デンプン及び粉を指す。
【0024】
「未変性」という用語は、天然デンプン又は物理的に変性された天然デンプンを指す。「未変性」という用語は、化学的又は酵素的に変性されたデンプン又は粉を除外する。
【0025】
一態様では、本明細書に開示されるのは、40%~80%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、20%~60%(重量/重量)の非化学抑制又は非化工デンプンとを含むデンプンブレンドである。幾つかの実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドに関するが、但し、未変性アミロース含有デンプンは、化学的又は酵素的に変性されたデンプンではない。驚くべきことに、高レベルのアミロース含有デンプンにもかかわらず、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドは、水中で調理する際に、1回以上、2回以上、又は3回以上の凍結解凍サイクル後に高い粘度を保持する。一実施形態では、本明細書に記載のデンプンブレンドは、様々な食品及び飲料組成物に使用される。別の実施形態では、本明細書に記載されるデンプンブレンドは、冷凍したソース及びグレービーで使用される。更に別の実施形態では、本明細書に記載のデンプンブレンドは、クリーンラベルデンプンブレンドである。
【0026】
一実施形態では、未変性アミロース含有デンプンは、任意のアミロース含有デンプン源から得られる。別の実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、任意のデンプン源から得られる。更に別の実施形態では、アミロース含有デンプン及び/又は非化学抑制デンプン若しくは非化工デンプンは、天然に見られるデンプン源から得られる。また別の実施形態では、アミロース含有デンプン及び/又は非化学抑制デンプン若しくは非化工デンプンは、標準的な育種技術、例えば、交雑育種、転座、反転、形質転換、挿入、照射、化学的又は他の誘導突然変異、その変種を含めるための遺伝子工学又は染色体工学の任意の他の方法、及びこれらの組み合わせ等によって得られる植物から得られる。なお更に別の実施形態では、アミロース含有デンプン及び/又は非化学抑制デンプン若しくは非化工デンプンは、誘導突然変異から成長させた植物から得られ、これは、突然変異育種法の既知の標準的な方法により産生され得る。
【0027】
別の実施形態では、アミロース含有及び/又は非化学抑制デンプン若しくは非化工デンプンは、穀物、塊茎、根、豆果、及び果実から選択される。デンプンは、任意の変種であってもよく、例えば、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモ、オオムギ、コムギ、コメ、サゴ、アマランス、タピオカ(キャッサバ)、クズウコン、カンナ、エンドウマメ、レンズマメ、ソラマメ(fava)(ソラマメ(faba))、バナナ、カラスムギ、ライムギ、ライコムギ、又はソルガムが挙げられるが、これらに限定されない。別の実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、例えば、低アミロース(ワックス状の)変種を含む任意の変種である。アミロース含有変種は、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、少なくとも10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満のアミロース、又は少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有するデンプンである。高アミロース変種は、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、少なくとも50%のアミロース、少なくとも約70%のアミロース、少なくとも約80%のアミロース、又は少なくとも約90%のアミロースを含有するデンプンである。低アミロース又はワックス状の変種は、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、10%未満のアミロース、約5%未満、約2%未満、又は約1%未満のアミロースを含有するデンプンである。
【0028】
一実施形態では、本明細書に記載される各デンプン成分は、例えば、完全に糊化されていない、無傷の顆粒形態(粒状)である。
【0029】
一実施形態では、未変性アミロース含有デンプンは天然デンプンである。別の実施形態では、未変性アミロース含有デンプンは、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、少なくとも10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満のアミロース、又は少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有する。また更なる実施形態では、未変性アミロース含有デンプンは、ジャガイモ、コメ、タピオカ及びトウモロコシから選択される天然アミロース含有デンプンである。一層の更なる実施形態では、未変性アミロース含有デンプンは、いずれもデンプンの重量で(重量/重量)、約10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満のアミロース、又は少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有する天然アミロース含有デンプンである。また更なる実施形態では、未変性アミロース含有デンプンは、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、約10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満アミロース、又は少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有し、ジャガイモ、コメ、タピオカ及びトウモロコシから選択される天然アミロース含有デンプンである。別の実施形態では、未変性アミロース含有デンプンは、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、約10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満のアミロース、又は少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有する天然アミロース含有ジャガイモデンプンである。
【0030】
更なる実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、当該技術分野において知られている。例示的な非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、限定されるものではないが、熱抑制又はアルコール抑制を含む、当該技術分野において既知の様々な方法によって作製され得る。
【0031】
熱抑制は、例えば、米国特許第5,725,676号;同第5,932,017号;同第6,231,675号;同第6,451,121号;同第8,759,511号;及び同第8,268,989号により例示されるように、当該技術分野において知られている。一実施形態では、熱抑制デンプンは、多糖類を無水又は実質的に無水(1%未満の水分)に脱水する工程、及び無水デンプン又は実質的に無水デンプンを化工デンプン又は化学抑制デンプンと同様に機能するまで加熱する工程を含むプロセスに従って調製される。
【0032】
アルコール抑制もまた、例えば、米国特許出願第2013/309386号により例示されるように、当該技術分野において知られている。一実施形態では、アルコール抑制デンプンは、少なくとも35℃の温度にて塩基又は塩の存在下でアルコール媒質中でデンプンを加熱することを含むプロセスに従って調製される。
【0033】
別の実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、未変性である。更なる実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、更に処理されない。
【0034】
また更なる実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、低アミロースデンプンである。別の実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、ワックス状トウモロコシ、ワックス状タピオカ、ワックス状コメ、及びワックス状ジャガイモから選択される低アミロースデンプンである。更なる実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、熱抑制デンプンである。また更なる実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが抑制される程度は変化する。例えば、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンの抑制の程度は、例えば、95℃に加熱されその温度で保持されることから、pH3で5%乾燥固形分デンプンスラリーの粘度等の様々な要因によって特徴づけられる。なおまた更なる実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、高度に抑制される。一層の更なる実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、中程度に抑制される。
【0035】
幾つかの実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、中程度に抑制さている熱抑制ワックス状トウモロコシデンプンである。なお更に他の実施形態では、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンは、高度抑制されている熱抑制ワックス状トウモロコシデンプンである。
【0036】
更なる実施形態では、未変性アミロース含有デンプン;非化学抑制デンプン若しくは非化工デンプン;及び/又は本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドを更に加工し、ここで、当該追加の加工は当該デンプンの粒状構造を破壊せず、当該デンプンは未変性のままであり、例えば、当該デンプンは酵素的又は化学的に変性されていない。幾つかの実施形態では、未変性アミロース含有デンプン;非化学抑制デンプン若しくは非化工デンプン、及び/又は本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドの粒径は、粉砕、凝集、篩い分け、又はこれらの組み合わせによって調整される。
【0037】
幾つかの実施形態では、未変性アミロース含有デンプン;非化学抑制デンプン若しくは非化工デンプン;及び/又は本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドは、そのまま使用されるか、又は最初に過剰な水で洗浄される。他の実施形態では、未変性アミロース含有デンプン;非化学抑制デンプン若しくは非化工デンプン;及び/又は本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドは、当該技術分野において既知の任意の方法によって精製されて、デンプン(複数の場合もある)に天然の又は加工中に生じる異臭、臭気、及び/又は色を除去する。デンプンを処理するための例示的な精製プロセスは、例えば、欧州特許第554818号に開示されている。例示的なアルカリ洗浄手法は、例えば、米国特許第4,477,480号及び同第5,187,272号に記載されている。一実施形態では、未変性アミロース含有デンプン;非化学抑制デンプン若しくは非化工デンプン;及び/又は本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドは、後熱処理によって精製される。pHはまた、当該技術分野において既知の方法を使用して調整され得る。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドのpHは、5.5~8.0に調整される。
【0038】
一実施形態では、デンプンブレンドは、40%~85%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、15%~60%(重量/重量)の非化学抑制又は非化工デンプンとを含む。デンプンブレンドは、40%~80%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、20%~60%(重量/重量)の非化学抑制又は非化工デンプンとを含んでもよい。別の実施形態では、デンプンブレンドは、50%~70%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、30%~50%(重量/重量)の非化学抑制又は非化工デンプンとを含む。更なる実施形態では、デンプンブレンドは、55%~65%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、35%~45%(重量/重量)の非化学抑制又は化学的に非化工デンプンとを含む。一層の更なる実施形態では、デンプンブレンドは、約50%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、約50%(重量/重量)の非化学抑制又は非化工デンプンとを含む。
【0039】
別の実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドに関するが、但し、当該未変性アミロース含有デンプン、及び当該非化学抑制又は非化工デンプンは、当該ブレンド中の唯一の2つのデンプンである。また更に別の実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドに関するが、但し、当該未変性アミロース含有デンプン、及び当該非化学抑制又は非化工デンプンは、ブレンド中の唯一の粘度付与剤である。
【0040】
一実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドを含む試験溶液1に関し、ここで、当該試験溶液1の粘度は、1回、2回、3回、4回、又は5回の凍結解凍サイクル後に、喫食時温度で安定である。別の実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドを含む試験溶液2に関し、ここで、3回、4回、又は5回の凍結解凍サイクル後の冷却温度における当該溶液の粘度レベルは、1回又は2回の凍結解凍サイクル後の当該溶液と同じ又は同等の粘度レベルである。本明細書で使用される場合、「安定な」という用語は、凍結サイクル後の粘度と比較した新たに調製された試料の粘度を指し、安定配合/溶液の粘度は5%以下で変化する。様々な実施形態によれば、凍結解凍サイクル後の安定溶液の粘度は、5%以下、3%以下、2%以下、又は1%以下で変化する。幾つかの実施形態では、凍結サイクル後の安定な製剤/溶液の粘度は、1%以下で変化する。
【0041】
一実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数の試験溶液1又は試験溶液2は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンド自体を4%固形分で水に添加し、95℃で20分間にわたって混合物を調理することにより調製される。更なる実施形態では、本明細書に記載される1つ又は複数の試験溶液1又は試験溶液2は、1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供される。なお更なる実施形態では、凍結解凍サイクルは、-18℃で16時間凍結すること、及び25℃で8時間解凍することを含む。
【0042】
別の実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数の試験溶液1は、実施例に記載される試験1の方法論に従って評価される場合、65℃及び0.1rad/秒で少なくとも20Pa-s、35Pa-s、又は50Pa-sの粘度を有する。また別の実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数の試験溶液1は、実施例に記載される試験1の方法論に従って評価される場合、65℃及び1rad/秒で少なくとも2Pa-s、4Pa-s、又は6Pa-sの粘度を有する。なお更なる実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数の試験溶液1は、実施例に記載される試験1の方法論に従って評価される場合、65℃及び10rad/秒で少なくとも0.75Pa-s又は1.0Pa-sの粘度を有する。一実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドは、顕著に加水分解されず、したがって、天然デンプンのブレンドと実質的に同じ分子量を有する。別の実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドの平均分子量は、天然ブレンドの少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%となろう。
【0043】
また更なる実施形態は、1つ又は複数の増粘剤を含む組成物を調製する方法に関し、組成物は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドと、1つ又は複数の他の増粘剤とを含み、1つ又は複数の他の増粘剤は、90%(重量/重量)以下の本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドで少なくとも部分的に置き換えられるか、又はそれにより置き換えられている。またなお更なる実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドと、1つ又は複数の他の増粘剤とを含む1つ又は複数の増粘剤を含む組成物を調製する方法に関し、1つ又は複数の他の増粘剤は、90%以下の本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドで少なくとも部分的に置き換えられるか又はそれにより置き換えられており、当該増粘剤の10%未満は他の増粘剤である。より一層の更なる実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドと、1つ又は複数の他の増粘剤とを含む1つ又は複数の増粘剤を含む組成物を調製する方法に関し、1つ又は複数の他の増粘剤は、当該組成物から除去される他の増粘剤の量に等しい量の本明細書に記載のデンプンブレンドによって置き換えられている。
【0044】
別の実施形態は、本明細書に記載されるように、1つ又は複数のデンプンブレンドを含む食品組成物に関する。更に別の実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドを含む液体食品組成物に関する。一実施形態では、食品組成物は、食品、飲料、及び栄養補助食品を含むがこれらに限定されない任意の摂取可能な製品である。別の実施形態では、食品組成物は、飲料、スムージー、サラダドレッシング、マヨネーズ、ソース、グレービー、スープ、乳製品(例えば、プディング、カスタード、ヨーグルト、及びサワークリーム等)、フラン、パイフィリング、フルーツプレップ、ゼリー、ジャム、レトルト製品、及び前述のいずれかの凍結又は乾燥のミックスから選択される。更に別の実施形態では、本明細書に記載される1つ又は複数の食品組成物は、1回以上、2回以上、若しくは3回以上の凍結解凍サイクル、及び/又は1回以上、2回以上、若しくは3回以上の冷蔵再加熱サイクルに供される。
【0045】
別の実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数の食品組成物は、当該食品組成物の所望の特性を達成するのに必要な量で本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドを含む。なお更なる実施形態では、本明細書に記載される1つ又は複数の食品組成物は、食品組成物の少なくとも約1重量%、少なくとも約2.5重量%、又は少なくとも約5重量%の本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドを含む。またなお更なる実施形態では、本明細書に記載される1つ又は複数の食品組成物は、製品の約95重量%以下、約90重量%以下、又は約80重量%以下の本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドを含む。
【0046】
別の実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数の食品組成物に関し、当該組成物は、少なくとも1つの増粘剤を含み、当該増粘剤は、本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドで少なくとも部分的に置き換えられる。また別の実施形態は、本明細書に記載される1つ又は複数の食品組成物に関し、当該組成物は、少なくとも1つ増粘剤を含み、当該増粘剤は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドと、少なくとも1つの他の増粘剤とを含む。また別の実施形態では、他の増粘剤は、化工デンプン、粉、ガム、及びこれらの組み合わせから選択される。なお更なる実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数の食品組成物に関し、当該組成物は少なくとも1つの増粘剤を含み、当該増粘剤は、当該組成物から除去される他の増粘剤の量に等しい量の本明細書に記載の1つ又は複数の本明細書に記載のデンプンブレンドで置き換えられる少なくとも1つの増粘剤を含む。なおまた更なる実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数の食品組成物に関し、増粘剤の90%(重量/重量)以下は本明細書に記載される1つ又は複数のデンプンブレンドであり、当該増粘剤の10%未満が他の増粘剤である。なお別の実施形態は、1つ又は複数の食品組成物に関し、当該組成物に含有される唯一の増粘剤は、本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドである。なお別の実施形態は、本明細書に記載の1つ又は複数の食品組成物に関し、当該組成物は、少なくとも1つの追加の食用原料を含有する。別の実施形態では、少なくとも1つの追加の食用原料は水である。
【0047】
別の態様では、本発明は、食品系の質感安定性を改善するため、より詳しくはゲル化を妨げるために、少なくともインスタントデンプン又は粉と調理(cook-up)デンプン又は粉とのデンプンブレンドに関する。インスタントデンプン又は粉、より詳しくはドラム乾燥アミロース含有タピオカデンプン又は粉と、調理デンプン又は粉、より詳しくは熱抑制アミロース含有タピオカデンプンとのブレンドは、ゲル化を阻害することにより、調理デンプン又は粉、より詳しくは熱抑制アミロース含有タピオカデンプン又は粉を使用して、食料品の安定性を高め得る。デンプンブレンドは、食料品のレオロジーを変更するため、より具体的には、ずり減粘を低減するに使用することができる。デンプンブレンド、より詳しくはドラム乾燥熱抑制ワックス状トウモロコシ、ドラム乾燥ワックス状トウモロコシ、又は噴霧乾燥ワックス状トウモロコシを、調理デンプン又は粉、より具体的には熱抑制ワックス状トウモロコシと共に、流動挙動指数nを増加させることによって、食料品の流動特性を変更することができる(すなわち、ずり減粘が少なくなるか、又は高剪断速度で高粘度を維持する)。
【0048】
食品製品、すなわち、冷凍食品、冷蔵乳製品、及びレトルトスープ等の食料品を製造する際、デンプン又は粉を添加して、最終的な冷凍又は冷蔵の食品製品の製品レオロジー性、質感特性、及び安定性を改善する。意外なことに、ドラム乾燥アミロース含有タピオカデンプンと熱抑制アミロース含有タピオカデンプンの組み合わせは、熱抑制された又は天然のアミロース含有タピオカデンプン単独よりも、改善された冷蔵安定性(ゲル化の低減)を提供する。
【0049】
幾つかの実施形態では、組成物が提供され、組成物は、90%~97%(重量/重量)の流体、3%~8%(重量/重量)の抑制アミロース含有デンプン又は粉;及び0.5%~2%(重量/重量)の非抑制デンプン又は粉を含む。流体は、乳製品又は水を含んでもよい。抑制アミロース含有デンプン又は粉は、熱抑制タピオカデンプン又は熱抑制ワックス状トウモロコシデンプンが挙げられるが、これらに限定されない、上記の内のいずれかであってもよい。非抑制アミロース含有デンプンは、ドラム乾燥タピオカデンプン若しくは粉、ドラム乾燥プレゲル化タピオカデンプン若しくは粉、噴霧乾燥プレゲル化トウモロコシデンプン若しくは粉、ドラム乾燥プレゲル化ワックス状トウモロコシデンプン若しくは粉、又は噴霧乾燥プレゲル化ワックス状トウモロコシデンプン若しくは粉が挙げられるが、これらに限定されない、上記の内のいずれかであってもよい。
【0050】
様々な実施形態によれば、組成物は、非抑制変性デンプンを含まない組成物と比較して、およそ2℃~7℃に1週間冷却した後により滑らかな質感となり得る。
【0051】
したがって、普遍的に記載される本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、これらの実施例は例示として提供され、本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例】
【0052】
以下の実施例は、本発明を更に例示及び説明するために提示され、いかなる点においても限定するものとして解釈されるべきではない。使用される全ての百分率は、重量/重量基準である。
実施例1:
アッセイ
【0053】
以下のアッセイは、以下に記載される実施例で使用される標準アッセイである。
【0054】
1A.デンプン試験溶液(1gバッチ)。デンプン原料を乾燥ブレンドし、次いでVorwerk Thermomix(登録商標)(英国バークシャーのVorwerk UK Limited)において蒸留水と混和する。混合物を90℃に加熱し、速度2でThermomix(登録商標)中で混合しながら90℃で25分間保持する。25分の終了時に、混合物を118.3mLのプラスチックジャーに素早く分散させ、40℃未満の氷浴中で冷却する。その後、混合物を1回又は3回の凍結解凍サイクルに供する。凍結解凍サイクルごとに、1つ又は複数のジャーを、-10~-20℃の非循環式冷凍庫内に16時間置き、16時間の終了時に、ジャー(複数の場合もある)を冷凍庫から取り出して、およそ20℃~25℃で8時間解凍する。
【0055】
1B.粘度測定、デンプンブレンド、並びに機器及びパラメータ。
【0056】
機器及びパラメータ:Anton Paar MCR101レオメーター及びアタッチメントCC24カップ/bob(直径24mm;オーストラリア国グラーツのAnton Paar GmbHから入手可能)。
【0057】
試料調製(デンプン溶液配合):凍結したデンプン溶液試料を取り出し、大型カップ入れ、次いで細かく刻む。試料が80℃の温度に達するまで、凍結試料を98℃の水浴中で約20分間加熱する。レオメーターにデンプン溶液の第1の試料を充填し、以下に記載されるように試験1を行う。試験1が完了する間、残りの試料を水浴の上部に約20分間放置する。レオメーター上にデンプン溶液の第2の試料(約75℃)を充填し、以下に記載されるように試験2を行う。
【0058】
試験1:喫食時温度における質感の評価。レオメーターを65℃に予め設定する。デンプン溶液の第1の試料をレオメーターに充填し、シリコン油で封止する。第1の試料を65℃で平衡化する。65℃にて0.1rad/秒、1rad/秒又は10rad/秒で粘度を測定する。
【0059】
試験2:冷却中の質感の評価。レオメーターを90℃に予め設定する。デンプン溶液の第2の試料をレオメーターに充填し、シリコン油で封止する。第2の試料を90℃で平衡化する。3℃/分の冷却速度で90℃から22℃まで、及び22℃で5分間の冷却中に10/秒での粘度を測定する。
【0060】
食品製品の粘度を測定するために使用される装置及び試験:試料が90℃に達するまで穏やかに手で撹拌しながらソース試料を沸騰水浴で加熱し、次いで、20RPMで30秒間、スピンドル#3を備えたブルックフィールド粘度計(DV2T Digital Viscometer、マサチューセッツ州ミドルボローのAMETEK Brookfield)により85℃にて粘度を測定した。
【0061】
実施例をとおして、以下のデンプン原料を使用した:
【0062】
S1は、NOVATION(登録商標)2600デンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている中程度に熱抑制されたワックス状トウモロコシデンプンである、熱抑制デンプンである。
【0063】
S2は、PENPURE(登録商標)10ジャガイモデンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている天然ジャガイモデンプンである。
【0064】
S3は、PENPURE(登録商標)80ジャガイモデンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている天然ワックス状ジャガイモデンプンである。
【0065】
S4は、MELOJEL(登録商標)トウモロコシデンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている天然トウモロコシデンプンである。
【0066】
S5は、AMIOCA(商標)トウモロコシデンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている天然ワックス状トウモロコシデンプンである。
【0067】
S6は、ニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている天然の通常コメデンプンである。
【0068】
S7は、ニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている天然ワックス状コメデンプンである。
【0069】
S8は、ニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されているタピオカデンプンである。
【0070】
S9は、NOVATION(登録商標)3600デンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されているデンプンからの熱抑制タピオカデンプンである。
【0071】
S10は、HOMECRAFT(商標)Express 390デンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されているドラム乾燥プレゲル化タピオカ粉である。
【0072】
S11は、ULTRATEX(商標)IMFデンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている噴霧乾燥プレゲル化トウモロコシデンプンである。
【0073】
S12は、NOVATION(商標)Prima 600デンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている熱抑制ワックス状トウモロコシデンプンである。
【0074】
S13は、NATIONAL(商標)298FGデンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されているドラム乾燥プレゲル化ワックス状トウモロコシデンプンである。
【0075】
S14は、NOVATION(商標)Indulge 2930デンプンとしてニュージャージー州ブリジウォーターのIngredion Incorporatedから市販されている噴霧乾燥プレゲル化ワックス状トウモロコシデンプンである。
実施例2:
デンプンブレンド及び粘度
【0076】
試験1又は試験2を使用して、多くのデンプン溶液の粘度を試験し、試験の結果を以下の表2に示す。デンプン溶液の配合は下記表1に記載され、TIは、「熱抑制された(thermally inhibited)」の頭字語である。本明細書で使用される場合、「試験溶液1」は、本明細書で上述した試験1に従って試験される、下記表1に記載のデンプン溶液の配合を意味する。本明細書で使用される場合、「試験溶液2」は、上記の試験2に従って試験される下記表1に記載のデンプン溶液の配合を意味する。
【表1】
【表2】
【0077】
表2の試験1のデータは、熱抑制デンプン及び天然アミロース含有デンプンを用いて配合された試料が、或る範囲の剪断速度で、天然ワックス状デンプンを含有するそれらの対応する配合物よりも高い粘度を有することを実証する。
【0078】
表2の試験2のデータは、熱抑制デンプン及び天然アミロース含有デンプンを用いて配合された試料が、加熱食品の用途で通常使用される或る範囲の温度で、天然ワックス状デンプンを含有するそれらの対応する配合物よりも高い粘度を有することを実証する。
実施例3:
ビーフグレービーにおけるデンプンブレンドの使用
【0079】
幾つかのビーフグレービー配合物の粘度を測定し、これらの測定結果を表3に示す。
【表3】
【0080】
ブロス及び植物性ショートニングを混和することにより、グレービーを調製した。Vorwerk Thermomix(登録商標)(英国バークシャーのVorwerk UK Limited)を使用して乾燥原料を混合した後、添加した。混合物を90℃に加熱し、かかる温度で20分間保持した。Vorwerk Thermomix(登録商標)(英国バークシャーのVorwerk UK Limited)をオフにし、グレービーをジャーに充填して、氷浴中で25℃に冷却した。
【0081】
各試料について、1回及び3回の凍結解凍(「F/T」)サイクル後にブルックフィールド粘度を測定した。結果を下記表4に示す。
【表4】
【0082】
表4のデータは、熱抑制デンプン及び天然アミロース含有デンプンを用いて配合された試料が、3回の凍結解凍サイクル後に天然ワックス状デンプンを含有するそれらの対応する配合物よりも粘度が高いことを実証する。
実施例4(仮想例)
トマトソースにおけるデンプンブレンドの使用
【0083】
本明細書に記載の1つ又は複数のデンプンブレンドを含有する幾つかのトマトソース配合物を、以下の表5に記載する。
【表5】
【0084】
トマトソースは、水、油、及びトマトペーストを混和した後、滑らかになるまで混合することによって調製される。デンプン、ハーブ調味料ブレンド、塩、及び糖を乾燥ブレンドし、水/油/トマトペースト混合物に加えて泡立てる。混合物をVorwerk Thermomix(登録商標)(英国バークシャーのVorwerk UK Limited)に加え、90℃に加熱した後、かかる温度で20分間保持する。その後、Vorwerk Thermomix(登録商標)(英国バークシャーのVorwerk UK Limited)をオフにし、トマトソースをジャーに充填して、氷浴中で25℃に冷却する。
実施例5:
乳製品モデルシステム配合物
【0085】
S9及びS10を含むデンプンブレンドは、下記表6に記載の乳製品配合物の安定性をおよそ2℃~7℃の冷蔵保存条件下で改善した。
【表6】
【0086】
表6に記載される乳製品を、まずデンプン(複数の場合もある)を秤量し、次いで、デンプンを乳にスラリー化することによって調製した。次いで、この混合物を、Thermomix(TM5-4)中で、室温にて5分間速度2でプレミックスする。次いで、温度を90.6℃に調整し、25分間保持した。続いて混合物をジャーに分配し、およそ2℃~7℃にて冷蔵保管した。
【0087】
試料を経時的に視覚評価したところ、S9及びS10を含むデンプンブレンドを含有する配合物は、24時間及び6週間の両方のエイジングで改善された安定性を呈した。S9単独の使用により、非常に堅固なゲルが得られ、これは撹拌するとだまが多かった。しかしながら、S9及びS10を含むデンプンブレンドは、撹拌時に滑らかな質感を有するソフトセット(soft-set)製品を提供した。
実施例6:
水モデル系配合物
【0088】
実施例5と同じデンプンの組み合わせについても単純なデンプン/粉及び水系で試験した。デンプン及び水では、S9及びS10を含むデンプンブレンドの添加により、安定性の改善が観察された。
【表7】
【0089】
S9及びS10を含むデンプンブレンドは、著しく改善された質感を有する、ゲル化又は離水のない、また粒状性でない食品組成物を提供した。このデンプンブレンドは、冷蔵(例えば、約2℃~7℃)で保管した後に消費者が望む外観及び食味を有するソース、グレービー、又はスープを生産するために使用され得る。
実施例7:
プディング用途
【0090】
この実施例は、S9及びS10を含むデンプンブレンドを使用した、プディング安定性の改善を示す。
図1Bに示されるように、5%又は6%のS9で製造されたプディングは、冷蔵条件下で2週間保管した後にゲルを形成した。
図1Bに更に示されるように、5%のS9及び1%のS10を含むデンプンブレンドで製造されたプディングは、冷蔵条件下で2週間保管した後、滑らかな質感を有した。脱脂乳及び1%の脂肪乳で製造されたプディングにおいて、この滑らかな質感が観察された。
図1Aで実証されるように、下記表8に記載されるプディング配合1~6の粘度を測定し、ずり減粘特性を示すと、プディング配合物の粘度は剪断速度が増加するにつれて減少した。
【表8】
実施例8:
プディングの質感
【0091】
この実施例は、デンプンブレンド、具体的にはドラム乾燥ワックス状トウモロコシが、調理デンプン、具体的には熱抑制ワックス状トウモロコシと共に食品系のレオロジー特性をどのように変化させることができるかを実証する。S13を追加すると、降伏応力を減少することができ(
図2)、粘度対剪断速度の曲線勾配をlog-logスケールで減少させることによって5%のS12で製造されたプディングの流動曲線の形状を変更することができる(
図3)。
【0092】
べき乗則モデル(等式1:σ=Kγ
n又はη=Kγ
n-1)を用いて材料の流動特性を説明し、式中、σ[Pa]は剪断応力であり、η[Pa.s]は見かけ粘度であり、γ[1/s]は剪断速度であり、K[Pa.s]は流動ちょう度指数であり、nは流動挙動指数である。ずり減粘物質については、流動挙動指数は、典型的には、0~1の値であり、より高い値はずり減粘が少ないことを示す。表10に示すように、S13の添加は、より高い流動挙動指数をもたらし、ずり減粘が少ないことを示唆している。
【表9】
【表10】
実施例9:
食品システム
【0093】
この実施例は、本明細書に記載されるデンプンブレンド、具体的には、ドラム乾燥ワックス状トウモロコシデンプン又は噴霧乾燥ワックス状トウモロコシデンプンを、調理デンプン、具体的には熱抑制ワックス状トウモロコシと共に使用して、食品系のレオロジー特性を変化させることができることを実証する。S14又はS11の添加は、S13と同じ効果を有し、降伏応力を低減することができ(
図2)、5%のS12で製造されたプディングの流動挙動指数nを増加させることにより(表12)、流動曲線形状を変化させる(
図4A及び
図4B)。
【表11】
【表12】
【0094】
以下の実施形態は、本発明を更に例示及び説明するために提示され、いかなる点においても限定することを意図するものではない。
【0095】
節A.デンプンブレンドであって、40%~80%(重量/重量)、50%~70%(重量/重量)、55%~65%(重量/重量)、又は50%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、20%~60%(重量/重量)、30%~50%(重量/重量)、35%~45%(重量/重量)、又は50%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、デンプンブレンド。
【0096】
節B.節Aに記載のデンプンブレンドであって、当該デンプンブレンドを含む試験溶液1が、当該溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供される場合、65℃にて1rad/秒の剪断速度で少なくとも2Pa-s、4Pa-S、又は6Pa-sの粘度を有し、ここで、当該凍結解凍サイクルは、任意に、-18℃で16時間凍結すること、及び25℃で8時間解凍することを含む、デンプンブレンド。
【0097】
節C.節A又は節Bに記載のデンプンブレンドであって、当該デンプンブレンドを含む試験溶液1が、当該溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、65℃にて0.1rad/秒の剪断速度で少なくとも20Pa-s、35Pa-S、又は50Pa-Sの粘度を有し、ここで、当該凍結解凍サイクルは、任意に、-18℃で16時間凍結すること、及び25℃で8時間解凍することを含む、デンプンブレンド。
【0098】
節D.節A~節Cのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、当該デンプンブレンドを含む試験溶液1が、当該溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、90℃にて10rad/秒の剪断速度で少なくとも0.6Pa-s、0.8Pa-s、又は1.0Pa-Sの粘度を有し、ここで、当該凍結解凍サイクルは、任意に、-18℃で16時間凍結すること、及び25℃で8時間解凍することを含む、デンプンブレンド。
【0099】
節E.節A~節Dのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、当該デンプンブレンドを含む試験溶液2が、当該溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、90℃にて10rad/秒の剪断速度で少なくとも0.6Pa-s、0.8Pa-s、又は1.0Pa-sの粘度を有し、ここで、当該凍結解凍サイクルは、任意に、-18℃で16時間凍結すること、及び25℃で8時間解凍することを含む、デンプンブレンド。
【0100】
節F.節A~節Eのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、当該デンプンブレンドを含む試験溶液2が、当該溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、60℃にて10rad/秒の剪断速度で少なくとも0.7Pa-s、0.8Pa-s、又は1.0Pa-sの粘度を有し、ここで、当該凍結解凍サイクルは、任意に、-18℃で16時間凍結すること、及び25℃で8時間解凍することを含む、デンプンブレンド。
【0101】
節G.節B~節Fのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、当該溶液の喫食時温度における粘度が、4回又は5回の凍結解凍サイクル後に、0回、1回、2回、又は3回の凍結解凍サイクル後の粘度と同じ又は同等のレベルにある、デンプンブレンド。
【0102】
節H.節B~節Gのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、当該溶液の粘度が、1回、2回、3回、4回、又は5回の凍結解凍サイクル後に、喫食時温度で安定である、デンプンブレンド。
【0103】
節I.節B~節Hのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、3回、4回、又は5回の凍結解凍サイクル後の冷却温度における当該溶液の粘度レベルが、1回又は2回の凍結解凍サイクル後の当該溶液と同じ又は同等の粘度レベルである、デンプンブレンド。
【0104】
節J.節B~節Iのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供される前に、当該溶液が、当該デンプンブレンド自体を4%の固形分で水に添加し、95℃で20分間調理することによって調製される、デンプンブレンド。
【0105】
節K.節B~節Jのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、当該溶液が、2回以上、3回以上、又は3回の凍結解凍サイクルに供される、デンプンブレンド。
【0106】
節L.節A~節Kのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、未変性アミロース含有デンプンが顆粒形態であり、非化学抑制デンプンが顆粒形態である、デンプンブレンド。
【0107】
節M.節A~節Lのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって(i)未変性アミロース含有デンプンが天然デンプンであり、(ii)未変性アミロース含有デンプンが、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、少なくとも約10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満アミロース、又は少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有し、(iii)未変性アミロース含有デンプンが、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で約10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満のアミロース、又は少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有する天然アミロース含有デンプンであり;又は(iv)未変性アミロース含有デンプンが、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、約10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満のアミロース、又は少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有する天然アミロース含有ジャガイモデンプンである、デンプンブレンド。
【0108】
節N.節A~節Mのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、未変性アミロース含有デンプンが、ジャガイモ、コメ、タピオカ、及びトウモロコシから選択される、デンプンブレンド。
【0109】
節O.節A~節Nのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、低アミロースデンプン、又はいずれもデンプンの重量(重量/重量)で10%未満のアミロース、約5%未満、約2%未満、若しくは約1%未満のアミロースを含有するデンプンである、デンプンブレンド。
【0110】
節P.節A~節Oのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、ワックス状トウモロコシ、ワックス状タピオカ、ワックス状コメ、及びワックス状ジャガイモから選択される、デンプンブレンド。
【0111】
節Q.節A~節Pのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、熱抑制デンプンである、デンプンブレンド。
【0112】
節R.節A~節Qいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、中程度に抑制されたデンプンである、デンプンブレンド。
【0113】
節S.節A~節Rのいずれか1つに記載のデンプンブレンドであって、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、中程度に抑制された、熱抑制ワックス状トウモロコシデンプンである、デンプンブレンド。
【0114】
節T.節A~節Sのいずれか1つに記載のデンプンブレンドを含む食品組成物であって、当該食品組成物が任意に液体である、食品組成物。
【0115】
節U.当該食品組成物が、少なくとも1つの追加の食用原料を含む、実施形態20に記載の食品組成物。
【0116】
節V.節T又は節Uに記載の食品組成物であって、当該組成物が少なくとも1つの増粘剤を含み、(i)当該増粘剤が、先行する請求項のいずれかに記載のデンプンブレンドと、少なくとも1つの他の増粘剤とを含み;(ii)当該増粘剤が、先行する請求項のいずれかに記載のデンプンブレンドと、少なくとも1つの他の増粘剤とを含み、(ii)当該増粘剤の90%(重量/重量)以下が先行する請求項のいずれかに記載のデンプンブレンドであり、当該増粘剤の10%未満が他の増粘剤である、(iii)増粘剤が先行する請求項のいずれかに記載のデンプンブレンドである、又は(iv)増粘剤が先行する請求項のいずれかに記載のデンプンブレンドであるが、但し、当該組成物に含有される唯一の増粘剤が先行する請求項のいずれかに記載のデンプンブレンドである、食品組成物。
【0117】
節W.節T~節Vのいずれか1つに記載の食品組成物であって、当該食品組成物が、食品組成物の重量で、少なくとも約1%、少なくとも約2.5%、又は少なくとも約5%の先行する請求項のいずれかに記載のデンプンブレンドを含む、食品組成物。
【0118】
節X.節T~節Wのいずれか1つに記載の食品組成物であって、当該食品組成物が、飲料、スムージー、サラダドレッシング、マヨネーズ、ソース、グレービー、スープ、乳製品(例えば、プディング、カスタード、ヨーグルト、及びサワークリーム等)、フラン、パイフィリング、フルーツプレップ、ゼリー、ジャム、レトルト製品、及び前述のいずれかの凍結又は乾燥のミックスから選択される、食品組成物。
【0119】
節Y.食品組成物を調製する方法であって、当該組成物が、少なくとも1つの増粘剤を含み、当該増粘剤が、節A~節Sのいずれか1つに記載のデンプンブレンドと、少なくとも1つの他の増粘剤とを含み、当該他の増粘剤が、90%以下の節A~節Sのいずれか1つに記載のデンプンブレンドで少なくとも部分的に置き換えられている、又はそれで置き換えられている、方法。
【0120】
節AA.組成物であって、90%~97%(重量/重量)の流体と、3%~8%(重量/重量)の抑制アミロース含有デンプンと、0.5%~2%(重量/重量)の非抑制アミロース含有デンプンと、を含む、組成物。
【0121】
節AB.節AAに記載の組成物であって、流体が乳製品又は水を含む、組成物。
【0122】
節AC.節AA又は節ABに記載の組成物であって、非抑制アミロース含有デンプン又は非化工デンプンが、ワックス状トウモロコシ、ワックス状タピオカ、ワックス状コメ、及びワックス状ジャガイモから選択される、組成物。
【0123】
節AD.節AA~節ACのいずれか1つに記載の組成物非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、熱抑制デンプンである、組成物。
【0124】
節AE.節AA~節ADのいずれか1つに記載の組成物であって、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、中程度に抑制されたデンプンである、組成物。
【0125】
節AF.節AA~節AEいずれか1つに記載の組成物であって、非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、中程度に抑制された、熱抑制ワックス状トウモロコシデンプンである、組成物。
【0126】
節AG.節AA~節AFのいずれか1つの組成物であって、非抑制変性デンプンを含まない組成物と比較して、およそ2℃~7℃に1週間冷却した後、より滑らかな質感を呈する、組成物。
【0127】
組成物を調製する方法であって、当該組成物が、1つ又は複数の増粘剤を含み、当該増粘剤が、実施形態1~実施形態19のいずれか1つに記載のデンプンブレンドと、1つ又は複数の他の増粘剤とを含み、当該他の増粘剤が、90%以下の実施形態1~実施形態19のいずれか1つに記載のデンプンブレンドで少なくとも部分的に置き換えられている、又はそれで置き換えられている、方法。
【0128】
特定の実施形態を例示及び説明してきたが、以下の特許請求の範囲に定義されるより広い態様で技術から逸脱することなく、当業者により、変更及び修正が行われ得ることを理解されたい。
【0129】
本明細書に例示的に記載される実施形態は、本明細書で具体的に開示されていない任意の要素(複数の場合もある)、限定(複数の場合もある)のない状況で好適に実施され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む、挙げられる(including)」、「含有する(containing)」等の用語は、拡大的に読み取られ、限定するものではない。加えて、本明細書で用いられる用語及び表現は、説明の用語として使用されており、限定するものではなく、かかる用語及び表現の使用において示され及び記載される特徴又はその部分の任意の等価物を排除する意図はないが、特許請求の範囲の技術の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。加えて、「から本質的になる」という語句は、具体的に列挙されたそれらの要素、並びに特許請求の範囲の技術の基本的及び新規の特性に実質的に影響を及ぼさない追加の要素を含むと理解されよう。「からなる」という語句は、指定されていない任意の要素を除外する。
【0130】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかであるように、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変更を行うことができる。本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び組成物は、本明細書で列挙されるものに加えて、前述の記載から当業者に明らかとなろう。かかる修正及び変更は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、かかる特許請求の範囲が権利付与される均等物の全範囲に限定されるものである。この開示は、当然のことながら変化し得る特定の方法、試薬、化合物組成物又は生物学的システムに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態の説明のみを目的とするものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0131】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、当業者は、本開示がまた、マーカッシュ群のメンバーの任意の個々のメンバー又はサブグループに関して記載されることを認識するであろう。
【0132】
当業者に理解されるように、任意の及び全ての目的のため、特に記載された説明を提供するという観点から、本明細書に開示される全ての範囲はまた、任意の及び全ての可能な部分範囲及びそれらの部分範囲の組み合わせも包含する。任意の列挙される範囲は、同じ範囲が、少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1等に分解されることを十分に記載し、それを可能にすると容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で論じられる各範囲は、下3分の1、中3分の1、及び上3分の1等に容易に分解することができる。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」等の言語はいずれも、列挙された数を含み、後に上で論じられる部分範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は、各個々の要素を含む。
【0133】
本明細書において参照される全ての刊行物、特許出願、交付済み特許、及び他の文書は、それぞれの個々の刊行物、特許出願、発行特許、又は他の文書が、その全体が引用することで本明細書の一部をなすことが具体的、且つ個別に示されているかのように、引用することで本明細書の一部をなす。引用することで組み込まれた本文に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する範囲内で除外される。
【0134】
他の実施形態を以下の特許請求の範囲に記載する。
本開示は、以下も包含する。
[項目1]
デンプンブレンドであって、
40~85%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、
15%~60%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、デンプンブレンド。
[項目2]
50%~70%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、30%~50%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、項目1に記載のデンプンブレンド。
[項目3]
55%~65%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、35%~45%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、項目1に記載のデンプンブレンド。
[項目4]
50%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、50%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、項目1に記載のデンプンブレンド。
[項目5]
80%~85%(重量/重量)の未変性アミロース含有デンプンと、15%~20%(重量/重量)の非化学抑制デンプン又は非化工デンプンとを含む、項目1に記載のデンプンブレンド。
[項目6]
前記デンプンブレンドを含む試験溶液1が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、65℃にて1rad/秒の剪断速度で少なくとも2Pa-s、4Pa-S、又は6Pa-sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが、任意に、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、項目1に記載のデンプンブレンド。
[項目7]
前記デンプンブレンドを含む試験溶液1が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、65℃にて0.1rad/秒の剪断速度で少なくとも20Pa-s、35Pa-S、又は50Pa-Sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが、任意に、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、項目1~6のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
[項目8]
前記デンプンブレンドを含む試験溶液1が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、90℃にて10rad/秒の剪断速度で少なくとも0.6Pa-s、0.8Pa-s、又は1.0Pa-Sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが、任意に、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、項目1~7のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目9]
前記デンプンブレンドを含む試験溶液2が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、90℃で10rad/秒の剪断速度で少なくとも0.6Pa-s、0.8Pa-s、又は1.0Pa-sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが、任意に、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、項目1~8のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目10]
前記デンプンブレンドを含む試験溶液2が、前記溶液を1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供する場合、60℃にて10rad/秒の剪断速度で少なくとも0.7Pa-s、0.8Pa-s、又は1.0Pa-sの粘度を有し、ここで、前記凍結解凍サイクルが、任意に、-18℃で16時間凍結すること及び25℃で8時間解凍することを含む、項目1~9のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目11]
前記溶液の喫食時温度における粘度が、4回又は5回の凍結解凍サイクル後に、0回、1回、2回、又は3回の凍結解凍サイクル後の粘度と同じ又は同等であるレベルにある、項目5~10のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
[項目12]
前記溶液の粘度が、1回、2回、3回、4回、又は5回の凍結解凍サイクル後に、喫食時温度で安定である、項目5~11のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
[項目13]
3回、4回、又は5回の凍結解凍サイクル後の冷却温度における前記溶液の粘度レベルが、1回又は2回の凍結解凍サイクル後の前記溶液と同じ又は同等の粘度レベルである、項目5~12のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
[項目14]
1回以上、2回以上、3回以上、4回以上、又は5回以上の凍結解凍サイクルに供される前に、前記溶液が、前記デンプンブレンド自体を4%の固形分で水に添加し、95℃で20分間調理することによって調製される、項目5~13のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
[項目15]
前記溶液が、2回以上、3回以上、又は3回の凍結解凍サイクルに供される、項目5~14のいずれか一項に記載のデンプンブレンド。
[項目16]
前記未変性アミロース含有デンプンが顆粒形態であり、前記非化学抑制デンプンが顆粒形態である、項目1~15のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目17]
前記未変性アミロース含有デンプンが天然デンプンであり;
前記未変性アミロース含有デンプンが、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、少なくとも10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満のアミロース、又は少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有し、
前記未変性アミロース含有デンプンが、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、約10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満のアミロース、若しくは少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有する天然アミロース含有デンプンであるか;又は
前記未変性アミロース含有デンプンが、いずれもデンプンの重量(重量/重量)で、約10%~50%未満のアミロース、少なくとも約15%~50%未満のアミロース、若しくは少なくとも約20%~50%未満のアミロースを含有する天然アミロース含有ジャガイモデンプンである、項目1~16のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目18]
前記未変性アミロース含有デンプンが、ジャガイモ、コメ、タピオカ、及びトウモロコシから選択される、項目1~17のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目19]
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、低アミロースデンプン、又はいずれもデンプンの重量(重量/重量)で10%未満のアミロース、約5%未満、約2%未満、若しくは約1%未満のアミロースを含有するデンプンである、項目1~18のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目20]
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、ワックス状トウモロコシ、ワックス状タピオカ、ワックス状コメ、及びワックス状ジャガイモから選択される、項目1~19のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目21]
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、熱抑制デンプンである、項目1~20のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目22]
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、中程度に抑制されたデンプンである、項目1~21のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目23]
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、中程度に抑制された、熱抑制ワックス状トウモロコシデンプンである、項目1~22のいずれかに記載のデンプンブレンド。
[項目24]
組成物を調製する方法であって、前記組成物が、1つ又は複数の増粘剤を含み、前記増粘剤が、項目1~23のいずれかに記載のデンプンブレンドと、1つ又は複数の他の増粘剤とを含み、前記他の増粘剤が、90%以下の項目1~23のいずれかに記載のデンプンブレンドで少なくとも部分的に置き換えられているか、又はそれで置き換えられている、方法。
[項目25]
組成物であって、
90%~97%(重量/重量)の流体と、
3%~8%(重量/重量)の抑制アミロース含有デンプンと、
0.5%~2%(重量/重量)の非抑制アミロース含有デンプンとを含む、組成物。
[項目26]
前記流体が、乳製品又は水を含む、項目25に記載の組成物。
[項目27]
前記非抑制アミロース含有デンプン又は非化工デンプンが、ワックス状トウモロコシ、ワックス状タピオカ、ワックス状コメ、及びワックス状ジャガイモから選択される、項目25又は26に記載の組成物。
[項目28]
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、熱抑制デンプンである、項目25~27のいずれか一項に記載の組成物。
[項目29]
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、中程度に抑制されたデンプンである、項目25~28のいずれか一項に記載の組成物。
[項目30]
前記非化学抑制デンプン又は非化工デンプンが、中程度に抑制された、熱抑制ワックス状トウモロコシデンプンである、項目25~29のいずれか一項に記載の組成物。
[項目31]
前記組成物が、前記非抑制変性デンプンを含まない組成物と比較して、およそ2℃~7℃に1週間冷却した後に、より滑らかな質感を呈する、項目25~30のいずれか一項に記載の組成物。