(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】EGFRvIII抗体ならびにその複合体、製造方法および使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/30 20060101AFI20230606BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230606BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230606BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230606BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230606BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230606BHJP
A61K 38/05 20060101ALI20230606BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230606BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230606BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230606BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230606BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230606BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20230606BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C07K16/46
A61K39/395 N
A61K47/68
A61P35/00
A61P43/00 111
A61K38/05
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C12N15/13
(21)【出願番号】P 2020532972
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2018120959
(87)【国際公開番号】W WO2019114804
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】201711329680.1
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517434334
【氏名又は名称】エックスディーシーエクスプローラー (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャン イン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ツイチン
(72)【発明者】
【氏名】リウ スーチー
(72)【発明者】
【氏名】チャン ユー
(72)【発明者】
【氏名】ワン リナ
(72)【発明者】
【氏名】リウ ラー
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/084993(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0210812(US,A1)
【文献】特表2017-510559(JP,A)
【文献】特表2013-545452(JP,A)
【文献】特表2015-500205(JP,A)
【文献】Heather Donaghy,MABS,2016年,Vol. 8, No. 4,p. 659-671
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
EGFRvIII抗体であって、重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR
3、ならび
に、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR
3である相補性決定領域(CDR)を含み、
前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号2で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号3で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号4で示され、あるいは前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号2で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号184で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号4で示され、
前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号6で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号7で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号8で示されることを特徴とする抗体。
【請求項2】
さらに、抗体のフレームワーク領域を含み、前記フレームワーク領域は重鎖フレームワーク領域およ
び軽鎖フレームワーク領域を含み、
前記重鎖フレームワーク領域はヒトまたはマウス抗体の重鎖フレームワーク領域で
あり、か
つ、前記軽鎖フレームワーク領域はヒトまたはマウス抗体の軽鎖フレームワーク領域で
あり、
または、前記軽鎖フレームワーク領域はヒト抗体の軽鎖フレームワーク領域で
、ヒト抗体の軽鎖
のIGKV3-11*01のFR1、FR2、FR3領域、およ
びJ
K-4のFR4領域のヒト抗体の軽鎖フレームワーク領域の組み合わせで
あり、かつ前記重鎖
フレームワーク領域はヒト抗体の重鎖フレームワーク領域で
、ヒト抗体の重鎖のIGHV1-46*01のFR1、FR2、FR3領域、およ
びJ
H-6bのFR4領域のヒト抗体の重鎖フレームワーク領域の組み合わせであることを特徴とする請求項1
に記載のEGFRvIII抗体。
【請求項3】
前記EGFRvIII抗体は、前記CDRを含有する重鎖可変領域およ
び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号1
、配列番号179
、配列番号133、配列番号134、配列番号135、
または配列番号13
6で示され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号5
、配列番号137、配列番号138、配列番号139、
または配列番号14
0で示され
ることを特徴とする請求項
2に記載のEGFRvIII抗体。
【請求項4】
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号1で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号5で示されるか
、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号179で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号5で示されるか
、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号137で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号138で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号139で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号140で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号134で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号137で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号134で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号138で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号134で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号139で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号134で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号140で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号135で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号137で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号135で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号138で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号135で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号139で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号135で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号140で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号136で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号137で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号136で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号138で示される配列であるか、
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号136で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号139で示される配列であるか、
または
前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号136で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号140で示される配列であ
ることを特徴とする請求項
3に記載のEGFRvIII抗体。
【請求項5】
前
記EGFRvIII抗体はさらに抗体の重鎖定常領域および/または抗体の軽鎖定常領域を含み、または、前
記抗体の重鎖定常領域はヒト由来抗体またはマウス由来抗体の重鎖定常領域であるか、または、前記抗体の軽鎖定常領域はヒト由来抗体またはマウス由来抗体の軽鎖定常領域であり、または
前
記EGFRvIII抗体はEGFRvIIIのモノクローナル抗体、抗体の全長タンパク質、抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片、二重特異性抗体、多重特異性抗体、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体または単一領域抗体であることを特徴とする請求項1~
4のいずれかに記載のEGFRvIII抗体。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体をコードする核
酸。
【請求項7】
前記核酸は、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列
が配列表における配列番号105
、配列番号185、配列番号154、配列番号155、配列番号156、
または配列番号15
7で示され、ならび
に、前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列が配列表における配列番号106
、配列番号158、配列番号159、配列番号160、
または配列番号16
1で示されることを特徴とする
請求項6に記載の核酸。
【請求項8】
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号105で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号106で示されるか
、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号185で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号106で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号154で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号158で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号154で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号159で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号154で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号160で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号154で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号161で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号155で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号158で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号155で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号159で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号155で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号160で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号155で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号161で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号156で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号158で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号156で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号159で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号156で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号160で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号156で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号161で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号157で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号158で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号157で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号159で示されるか、
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号157で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号160で示されるか、
または
前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号157で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号161で示され
ることを特徴とする請求項
7に記載の核酸。
【請求項9】
請求項
6~8のいずれかに記載の核酸を含む組み換え発現ベクター。
【請求項10】
請求項
9に記載の組み換え発現ベクターを含む組み換え発現形質転換体。
【請求項11】
EGFRvIII抗体の製造方法であって、請求項
10に記載の組み換え発現形質転換体を培養し、培養物からEGFRvIII抗体を得る工程を含む方法。
【請求項12】
共役的に細胞毒剤に連結した請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体を含むことを特徴とする免疫複合体。
【請求項13】
1当量の請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体はx当量のリンカーを介してy当量の細胞毒剤に連結し、式1で表される構造を有することを特徴とする請求項
12に記載の免疫複合体。
【化1】
(ただし、Abは請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体で
あり、
Lはリンカーで
あり、
Dは細胞毒剤で
あり、
xは自然数又は1~20の整数で、yは0よりも大きい自然数又は1~20の整数で
あり、
あるいは、xおよびyはそれぞれ独立に2wで、wは1~5の整数又は3~4の整数で
あり、
あるいは、xとyの比率は1:1である。)
【請求項14】
前記Lは式2の構造を含み、
当該構造は、Lから脱離基が脱離した後
の残りの部分である請求項
13に記載の免疫複合体。
【化2】
(
ただし、Alk
1
およびAlk
2
は独立に結合または分岐または無分岐の(C
1
-C
10
)アルキレン鎖であり、
Sp
1
は-S-、-O-、-CONH-、-NHCO-、-NR’-、-N(CH
2
CH
2
)
2
N-、または-X-Ar’-Y-(CH
2
)
n
-Zであり、ここで、X、YおよびZは独立に結合、-NR’-、-S-または-O-であり、条件はn=0の場合、YおよびZのうちの少なくとも1つが必ず結合であり、かつAr’は(C
1
-C
5
)アルキル基、(C
1
-C
4
)アルコキシ基、(C
1
-C
4
)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-(CH
2
)
n
COOR’、S(CH
2
)
n
COOR’、-O(CH
2
)
n
CONHR’または-S(CH
2
)
n
CONHR’のうちの1、2または3個の基で任意に置換された1,2-、1,3-または1,4-フェニレン基であり、nは0~5の整数であり、条件はAlk
1
が結合の場合、Sp
1
は結合であり、
Arは(C
1
-C
6
)アルキル基、(C
1
-C
5
)アルコキシ基、(C
1
-C
4
)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-O(CH
2
)
n
COOR’、-S(CH
2
)
n
COOR’、-O(CH
2
)
n
CONHR’’または-S(CH
2
)
n
CONHR’のうちの1、2または3個の基で任意に置換された1,2-、1,3-または1,4-フェニレン基であり、ここで、nおよびR’は上記の定義の通りであるか、
あるいはArは1,2-、1,3-、1,4-、1,5-、1,6-、1,7-、1,8-、2,3-、2,6-または2,7-ナフチレン基であり、ここで、ナフチレン基またはフェノチアジンはそれぞれ任意に(C
1
-C
6
)アルキル基、(C
1
-C
5
)アルコキシ基、(C
1
-C
4
)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-O(CH
2
)
n
COOR’、-S(CH
2
)
n
COOR’、または-S(CH
2
)
n
CONHR’のうちの1、2、3または4個の基で置換され、ここで、nおよびR’は上記の定義の通りであり、条件はArがフェノチアジンの場合、Sp
1
は窒素のみと連結する結合であり、
Sp
2
は結合、-S-または-O-であり、条件はAlk
2
が結合の場合、Sp
2
は結合であり、
Z
1
はH、(C
1
-C
5
)アルキル基、あるいは(C
1
-C
5
)アルキル基、(C
1
-C
5
)アルコキシ基、(C
1
-C
4
)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-O(CH
2
)
n
COOR’、-S(CH
2
)
n
COOR’、-O(CH
2
)
n
CONHR’または-S(CH
2
)
n
CONHR’のうちの1、2、または3個の基で任意に置換されたフェニル基であり、ここで、nおよびR’は上記の定義の通りであり、
Qは=NHNCO-、=NHNCS-、=NHNCONH-、=NHNCSNH-または=NHO-であり、
前記のリンカーLは、マレイミドカプロイル(MC)またはマレイミドカプロイル-L-バリン-L-シトルリン-p-アミノベンジルアルコール(MC-VC-PAB)で、かつ/または、前記DはモノメチルアウリスタチンF(MMAF)またはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。)
【請求項15】
前記式1において、x=y=nで、前記免疫複合体の構造が式3-1または式3-2で表されることを特徴とする請求項
13または14に記載の免疫複合体。
【化3】
(式3-1において、mは1~10、又はmは5で
あり、
式1におけるL
に相当する部分はマレイミドカプロイルで、
式1におけるD
に相当する部分はモノメチルアウリスタチンF(MMAF)であり、ただし、nは自然数又は1~20の整数で、又は2wで、wは1~5の整数又は3~4の整数である。)
【化4】
(式3-2において、mは1~10、又はmは5で
あり、
式1におけるL
に相当する部分はマレイミドカプロイル-L-バリン-L-シトルリン-p-アミノベンジルアルコールで、
式1におけるD
に相当する部分はモノメチルアウリスタチンE(MMAE)であり、ただし、nは自然数で、又は1~20の整数で、又は2wで、wは1~5の整数又は3~4の整数である。)
【請求項16】
請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体または請求項
12~
15のいずれかに記載の免疫複合体と、薬学的に許容される担体とを含
む薬物組成物、
または、
0.01~99.99%の請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体または請求項
12~
15のいずれかに記載の免疫複合体、および0.01~99.99%の
薬学的に許容される担体を含
む薬物組成物であって、前記百分率は前記薬物組成物で占める質量百分率であることを特徴とする薬物組成物。
【請求項17】
抗腫瘍薬物の製造における請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体、または請求項
12~
15のいずれかに記載の免疫複合体、または請求項
16に記載の薬物組成物の使用。
【請求項18】
EGFRvIIIタンパク質を過剰発現する細胞を検出する方法であって、請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体を被験サンプルと体外で接触させ、請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体と前記被験サンプルの結合を検出する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
EGFRvIIIタンパク質を過剰発現する細胞を検出する組成物であって、請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体を活性成分として含むことを特徴とする組成物。
【請求項20】
EGFRvIII発現または機能異常に関連する疾患の予防または治療に用いるための、請求項1~
5のいずれかに記載のEGFRvIII抗体、または請求項
12~
15のいずれかに記載の免疫複合体、または請求項
16に記載の薬物組成
物であって
、前記のEGFRvIII発現または機能異常に関連する疾患は腫瘍で
あり、前記腫瘍
は膀胱癌、脳癌、頭頸部癌、膵臓腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌または腎臓癌である
EGFRvIII抗体、免疫複合体、または薬物組成物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は出願日が2017年12月13日の中国特許出願CN201711329680.1の優先権を要求する。本願は上記中国特許出願の全文を引用する。
[技術分野]
本発明は、生物医薬の分野に関し、具体的に、EGFRvIII抗体ならびにその複合体、製造方法および使用に関する。
[背景技術]
ヒト上皮成長因子受容体(EGFR、human epidermal growth factor receptor、her-1またはErb-B1とも呼ばれる)は、170kDaの膜貫通型タンパク質受容体で、原癌遺伝子c-erbBによってコードされ、膜内領域がチロシンキナーゼ活性を有する(Modjtahediら, Br. J. Cancer 73:228-235,1996; HerbstとShin, Cancer 94:1593-1611,2002)。EGFR全長配列は、SwissProtデータベースの番号がP00533である。EGFRはチロシンキナーゼを介するシグナル伝達経路によって多くの細胞の生理過程を調節し、主に細胞の増殖および分化、細胞の生存およびアポトーシス、血管新生、ならびに細胞の有糸分裂および細胞の遷移が含まれる(Atalayら, Ann. Oncology 14:1346-1363,2003; TsaoとHerbst,Signal 4:4-9,2003; HerbstとShin, Cancer 94:1593-1611,2002; Modjtahediら, Br. J. Cancer 73:228-235,1996)。
【0002】
EGFRのリガンドは、EGF、TGFA/TGF-α、アンフィレグリン、エピジェン/EPGN、BTC/ベータセルリン、エピレグリン/EREGおよびHBEGF/ヘパリン結合EGFを含む。受容体とリガンドが結合すると、EGFRのホモまたはヘテロ二量体への形成を誘発することで、細胞内領域を自己リン酸化させ、さらに複雑な下流シグナルのカスケード反応を活性化し、主に、RAS-RAF-MEK-ERKシグナル経路、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)シグナル経路,PLCγ-PKCシグナル経路およびSTATモジュールシグナル経路といったシグナル経路が含まれる。
【0003】
膀胱癌、脳癌、頭頚部癌、膵臓腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、および腎臓癌などを含む多くの腫瘍でEGFRの過剰発現が見られた(Atalayら, Ann. Oncology 14:1346-1363,2003; HerbstとShin, Cancer 94:1593-1611,2002; およびModjtahediら, Br. J. Cancer 73:228-235,1996)。多くの場合、EGFRの過剰発現は患者の予後不良に関連する(HerbstとShin,Cancer 94:1593-1611,2002;Modjtahediら,Br. J. Cancer 73:228-235,1996)。EGFRは、正常組織でも発現され、皮膚、肝臓および胃腸管の上皮組織で発現量が高いが、発現レベルが腫瘍組織よりも遥かに低い(HerbstとShin, Cancer 94:1593-1611,2002)。
【0004】
大半の腫瘍サンプルでは、同時にEGFR遺伝子の増幅と突然変異が検出された。EGFRvIIIは、そのうちの一つの突然変異型で、de2-7EGFR、ΔEGFR、またはΔ2-7とも呼ばれる(Olapade-Olaopaら,Br. J. Cancer. 82, 186-94,2000)。成熟したEGFRvIIIのmRNAにエクソン2-7の801個のヌクレオチドが欠失し、相応するEGFRvIIIタンパク質に267個のアミノ酸が欠失し(6-273)、同時に一つのグリシン残基が挿入し、独特な連結ペプチドを形成している(Wongら ,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89, 2965-9,1992; Yamazakiら ,Jpn. J. Cancer Res. 81, 773-9,1990; Yamazakiら,Mol. Cell. Biol. 8, 1816-20,1988; およびSugawaら,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87, 8602-6,1990)。
【0005】
膠細胞腫、乳癌、肺癌、卵巣癌および前立腺癌を含む多くの腫瘍の種類で、EGFRvIIIの発現が報告された(Wikstrandら, Cancer Res. 57, 4130-40,1997; Olapade-Olaopaら ,Br. J. Cancer. 82, 186-94,2000; Wikstrand,ら,Cancer Res. 55, 3140-8,1995; Garcia de Palazzoら ,Cancer Res. 53, 3217-20,1993)。EGFRvIIIは、リガンドと結合することができないが、持続的な低活性化状態にある。ヌードマウスの腫瘍異種移植モデルにおいて、EGFRvIIIの発現は顕著に膠細胞腫細胞の生長を促進することができる(Nishikawaら,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 91, 7727-31,1994)。さらに、EGFRvIIIの発現は、NIH3T3細胞およびMCF-7細胞を転換させ、発癌性を生じさせることができる(Batraら,Cell Growth Differ. 6, 1251-9,1995)。EGFRvIIIの膠細胞腫における作用機序はまだ完全に明らかになっていないが、既有の報告から、EGFRvIIIは膠細胞腫細胞のアポトーシスを低減させ、そして膠細胞腫細胞の増殖を少し向上させることができることがわかる(Naganeら, Cancer Res. 56, 5079-86,1996)。EGFRvIIIは、腫瘍組織では特異的に発現され、正常組織では発現されないため、抗体治療において高度に特異的な標的である。
【0006】
モノクローナル抗体は、標的性、特異性、特定性、高親和力などの優勢があるため、新規な治療薬になってきている。しかしながら、早期の臨床試験では、人体において非ヒト由来モノクローナル抗体を使用すると、よくヒト抗マウス抗体(HAMA)やヒト抗ラット抗体(HARA)の応答によって、重度な免疫反応が生じ、抗体がすぐに除去されることが明らかになった。その後、キメラ抗体、ヒト化抗体および全ヒト由来抗体を含む、免疫原性が低い抗体が開発された。ヒト化の程度によって、治療性モノクローナル抗体の薬物は、ネズミ由来抗体(ヒト由来アミノ酸配列がない)、キメラ抗体(60%~70%ヒト化アミノ酸配列)、CDR移植抗体(90%~95%ヒト化アミノ酸配列)および全ヒト由来抗体(100%ヒト由来アミノ酸配列)の4種類に分かれる。ヒト化の程度の増加につれ、非ネズミ由来モノクローナル抗体は、人体の治療過程におけるヒト抗ネズミ抗体の応答(HAMAおよびHARAの応答)を軽減し、次第に異種性抗体の免疫原性の問題を解消し、抗原に対する高親和力を維持しながら、抗体の薬物動態学を改善し、臨床でこれらの抗体薬物が大量に標的治療に使用されている。
【0007】
抗体薬物複合体(antibody-drug conjugate、ADC)は、新規な生物治療方法で、化学的リンカーを介して生物活性を有する小分子薬物をモノクローナル抗体に連結し、モノクローナル抗体を担体として目的の腫瘍細胞の表面をターゲッティングして小分子薬物を輸送し、ADCが腫瘍細胞に呑み込まれると、小分子薬物を放出することで、腫瘍細胞に対して特異的な殺傷を果たす。
【0008】
ここ約百年間では、抗体による免疫療法と化学薬物による化学療法は、ずっと臨床における癌治療の二大治療策になっている。抗体は、腫瘍細胞によって過剰発現される抗原を標的とし、多くの治療性モノクローナル抗体はすでに臨床で大きな成功を収めた。臨床の実践において、治療性抗体は、優れた標的性があるが、殺傷作用に限界がある。小分子化学薬物は、癌細胞に対して効率的な殺傷作用があるが、癌細胞以外の細胞にも同様のダメージを与える。そのため、臨床において、抗体薬物および小分子薬物はそれぞれ限界があり、薬物の研究・開発に新しい需要が現れてきた。新世代の抗体薬物複合体は、抗体の標的細胞に対する特異的な結合能力を利用し、高細胞毒性の化学薬物を伝達し、癌細胞を標的とする効率的な殺傷を実現する。新たな化学的連結技術の出現につれ、抗体薬物複合薬物は80年代末から臨床の研究が開始し、現在はすでに4つのADC薬物がFDAによって市販を許可された。
【0009】
ADC薬物の開発は、薬物標的の選択、組換え抗体の製造、リンカー技術の開発や高細胞毒性化合物のスクリーニング・最適化などのいくつかの方面に関わる。EGFRvIIIは、腫瘍組織のみで発現され、正常組織で発現されないため、抗体治療において高度に特異的な標的である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の解決しようとする技術課題は、現在EGFRvIII抗体が欠けているという不足を克服するため、親和力が高く、特異性が強いEGFRvIII抗体およびその製造方法と使用を提供することである。前記のEGFRvIII抗体は、EGFRvIIIタンパク質と高度な親和力を有し、小分子毒素、たとえばMMAFと複合すると、細胞に入り、EGFRvIII陽性細胞に対して細胞毒性の殺傷作用を果たすことができる。そのため、腫瘍などを治療する薬物の製造に使用することができる。
【0011】
本発明者らは、EGFRvIIIタンパク質またはEGFRvIIIタンパク質を過剰発現する組換え細胞株を免疫原とし、従来のハイブリドーマ製造技術を使用した。当該技術は、KohlerおよびMilsteinによって40年前に確立され(KohlerおよびMilstein,1975,Nature,256: 495)、一連の調整および改良により、EGFRvIII抗体のリード抗体を得た。次に、リード抗体に対する初歩的な生産、精製および同定により、抗体親和力が高い、小分子毒素MMAFと複合すると、細胞に入ってEGFRvIII陽性細胞に対して細胞毒性の殺傷作用を果たすことができるなど、優れた生物的特徴を備えるEGFRvIII抗体を得た。その後、分子生物学的方法による配列決定により、EGFRvIII抗体の重鎖可変領域およびEGFRvIII抗体の軽鎖可変領域のアミノ酸配列を知った。
【0012】
本分野において、抗体または抗原の結合領域には、いずれも1本の軽鎖可変領域および1本の重鎖可変領域が含まれ、各可変領域にはいずれもCDR1、CDR2およびCDR3という3つのドメインが含まれる。
【0013】
本発明は、EGFRvIII抗体であって、重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3のうちの一つまたは複数、ならびに/あるいは、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3のうちの一つまたは複数である相補性決定領域(CDR)を含み、ここで、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号2、配列番号10、配列番号18、配列番号26、配列番号34、配列番号42、配列番号50、配列番号58、配列番号66、配列番号74、配列番号82、配列番号90または配列番号98で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号3、配列番号11、配列番号19、配列番号27、配列番号35、配列番号43、配列番号51、配列番号59、配列番号67、配列番号75、配列番号83、配列番号91、配列番号99、配列番号184または配列番号186で示され、前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号4、配列番号12、配列番号20、配列番号28、配列番号36、配列番号44、配列番号52、配列番号60、配列番号68、配列番号76、配列番号84、配列番号92または配列番号100で示され、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号6、配列番号14、配列番号22、配列番号30、配列番号38、配列番号46、配列番号54、配列番号62、配列番号70、配列番号78、配列番号86、配列番号94または配列番号102で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号7、配列番号15、配列番号23、配列番号31、配列番号39、配列番号47、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95または配列番号103で示され、前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号8、配列番号16、配列番号24、配列番号32、配列番号40、配列番号48、配列番号56、配列番号64、配列番号72または配列番号80、配列番号88、配列番号96または配列番号104で示されるか、
あるいは、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号2、配列番号10、配列番号18、配列番号26、配列番号34、配列番号42、配列番号50、配列番号58、配列番号66、配列番号74、配列番号82、配列番号90、配列番号98で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号3、配列番号11、配列番号19、配列番号27、配列番号35、配列番号43、配列番号51、配列番号59、配列番号67、配列番号75、配列番号83、配列番号91、配列番号99、配列番号184または配列番号186で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号4、配列番号12、配列番号20、配列番号28、配列番号36、配列番号44、配列番号52、配列番号60、配列番号68、配列番号76、配列番号84、配列番号92、配列番号100で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号6、配列番号14、配列番号22、配列番号30、配列番号38、配列番号46、配列番号54、配列番号62、配列番号70、 配列番号78、配列番号86、配列番号94、配列番号102で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号7、配列番号15、配列番号23、配列番号31、配列番号39、配列番号47、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95、配列番号103で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号8、配列番号16、配列番号24、配列番号32、配列番号40、配列番号48、配列番号56、配列番号64、配列番号72、配列番号80、配列番号88、配列番号 96、配列番号104で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、好ましくは前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号2、配列番号10、配列番号18、配列番号26、配列番号34、配列番号42、配列番号50、配列番号58、配列番号66、配列番号74、配列番号82、配列番号90、配列番号98で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号3、配列番号11、配列番号19、配列番号27、配列番号35、配列番号43、配列番号51、配列番号59、配列番号67、 配列番号75、配列番号83、配列番号91、配列番号99、配列番号184または配列番号186で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号4、配列番号12、配列番号20、配列番号28、配列番号36、配列番号44、配列番号52、配列番号60、配列番号68、配列番号76、配列番号84、配列番号92、配列番号100で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号6、配列番号14、配列番号22、配列番号30、配列番号38、配列番号46、配列番号54、配列番号62、配列番号70、 配列番号78、配列番号86、配列番号94、配列番号102で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号7、配列番号15、配列番号23、配列番号31、配列番号39、配列番号47、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95、配列番号103で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号8、配列番号16、配列番号24、配列番号32、配列番号40、配列番号48、配列番号56、配列番号64、配列番号72、配列番号80、配列番号88、配列番号 96、配列番号104で示されるアミノ酸配列と少なくとも90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、より好ましくは、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号2、配列番号10、配列番号18、配列番号26、配列番号34、配列番号42、配列番号50、配列番号58、配列番号66、配列番号74、配列番号82、配列番号90、配列番号98で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号3、配列番号11、配列番号19、配列番号27、配列番号35、配列番号43、配列番号51、配列番号59、配列番号67、 配列番号75、配列番号83、配列番号91、配列番号99、配列番号184または配列番号186で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号4、配列番号12、配列番号20、配列番号28、配列番号36、配列番号44、配列番号52、配列番号60、配列番号68、配列番号76、配列番号84、配列番号92、配列番号100で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号6、配列番号14、配列番号22、配列番号30、配列番号38、配列番号46、配列番号54、配列番号62、配列番号70、 配列番号78、配列番号86、配列番号94、配列番号102で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号7、配列番号15、配列番号23、配列番号31、配列番号39、配列番号47、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95、配列番号103で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号8、配列番号16、配列番号24、配列番号32、配列番号40、配列番号48、配列番号56、配列番号64、配列番号72、配列番号80、配列番号88、配列番号 96、配列番号104で示されるアミノ酸配列と少なくとも95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、さらに好ましくは、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号2、配列番号10、配列番号18、配列番号26、配列番号34、配列番号42、配列番号50、配列番号58、配列番号66、配列番号74、配列番号82、配列番号90、配列番号98で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号3、配列番号11、配列番号19、配列番号27、配列番号35、配列番号43、配列番号51、配列番号59、配列番号67、 配列番号75、配列番号83、配列番号91、配列番号99、配列番号184または配列番号186で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号4、配列番号12、配列番号20、配列番号28、配列番号36、配列番号44、配列番号52、配列番号60、配列番号68、配列番号76、配列番号84、配列番号92、配列番号100で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号6、配列番号14、配列番号22、配列番号30、配列番号38、配列番号46、配列番号54、配列番号62、配列番号70、 配列番号78、配列番号86、配列番号94、配列番号102で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号7、配列番号15、配列番号23、配列番号31、配列番号39、配列番号47、配列番号55、配列番号63、配列番号71、配列番号79、配列番号87、配列番号95、配列番号103で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号8、配列番号16、配列番号24、配列番号32、配列番号40、配列番号48、配列番号56、配列番号64、配列番号72、配列番号80、配列番号88、配列番号 96、配列番号104で示されるアミノ酸配列と少なくとも99%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示される
抗体を提供する。
【0014】
なお、抗体薬物に使用される抗体は単一の抗体産生細胞のクローンから得られたモクローなる抗体であるが、抗体は生物大分子で、構造が非常に複雑であるため、生産、運送、保存および体内における使用の過程において様々な翻訳後修飾および分解反応、たとえばN末端環化、グリコシル化、脱アミド、異性化、酸化、断片化、ジスルフィド結合ミスマッチなどが生じることがある。これらの品質の属性は最終製品の抗体安定性、生物学活性および生物利用能に影響することがあるため、製品の品質の安定性および一致性のコントロールが非常に重要である。本発明に記載の「少なくとも80%(または90%、95%、99%)の配列相同性を有する」アミノ酸配列は、上記可能な不安定性の問題を克服するために、前記配列で示されるアミノ酸配列に対して挿入、欠失または置換を行ったものである。たとえば、配列に対してコンピューターによる構造のシミュレーション解析を行い、可能な、特にCDR領域の翻訳後修飾(Potential post-translational modification、PTM)の部位を解析し、抗体の集合、アスパラギン脱アミド(asparagine deamidation)の感受性部位(NG、NS、NHなど)、アスパラギン酸異性化(DG、DP)の感受性部位、Nグリコシル化(N-{P}S/T)の感受性部位および酸化のN-グリコシル化などの解析と置換が含まれる。
【0015】
ここで、脱アミドとはアスパラギンとアスパラギン酸の側鎖のアミドからカルボン酸へ変換する反応で、グルタミン酸の場合、脱アミド化の速度が一般的にアスパラギンの場合の十分の一であるが、機序は同様である。異性化とは、アスパラギンとアスパラギン酸の側鎖にあるカルボキシ基がC末端側の残基の窒素原子の電子によって攻撃されることで、アスパラギンが脱アミド化するか、アスパラギン酸が脱水して不安定な環状イミド中間体になり、当該中間体が断裂し、大半はイソアスパラギン酸に、残りはアスパラギン酸になることである。また、脱アミド化反応は特にアスパラギンとグリシンが隣接する部位(Asn-Gly)で生じやすいことが報告された(Geigerら(J.Biol.Chem.1987,262:785-794))。また、アスパラギン酸は加水分解反応によってペプチド鎖が断裂し、特にC末端にプロリンが存在する配列(Asp-Pro)は酸性条件における分解が生じやすいことが報告された(Segalasら,FEBS Letters, 1995,371:171-175)。これらの抗体またはタンパク質などの保存中に生じる脱アミド化、異性化反応は製品の異質性の原因になるため、なるべく抑えたい。脱アミド化、異性化および加水分解を抑えるため、適切に脱アミド化を受ける部位のグルタミル残基およびアスパルトイル残基を除去するアミノ酸修飾を施すことができる。除去が特に有効な脱アミド化部位の非限定的な方案の一つとして、好適に、脱アミド化反応が促進される部位、すなわち、NGおよびQG配列の形で示されるモチーフにおけるグリシン残基、アスパラギン残基またはグルタミン残基が挙げられ、そのうちの任意の一つのアミノ酸残基(N、QまたはG)の置換はいずれも顕著に脱アミド化反応を抑えることができる(WO2003/057881やWO2005/067620など)。さらに、抗体産生細胞の培養方法を調整するか、または脱アミド化反応が抑制された抗体を製造する方法を適当に使用することもできる。
【0016】
好ましくは、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号2で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号3で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号4で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号10で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号11で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号12で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号18で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号19で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号20で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号26で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号27で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号28で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号34で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号35で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号36で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号42で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号43で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号44で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号50で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号51で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号52で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号58で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号59で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号60で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号66で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号67で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号68で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号74で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号75で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号76で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号82で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号83で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号84で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号90で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号91で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号92で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号98で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号99で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号100で示されるか、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における中配列番号2で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における中配列番号184で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における中配列番号4で示されるか、あるいは、前記重鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における中配列番号2で示され、前記重鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における中配列番号186で示され、かつ前記重鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における中配列番号4で示され、
前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号6で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号7で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号8で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号14で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号15で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号16で示されるか、あるいは、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号22で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号23で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号24で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号30で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号31で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号32で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号38で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号39で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号40で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号46で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号47で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号48で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号54で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号55で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号56で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号62で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号63で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号64で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号70で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号71で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号72で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号78で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号79で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号80で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号86で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号87で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号88で示されるか、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号94で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号95で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号96で示されるか、あるいは、前記軽鎖CDR1のアミノ酸配列は配列表における配列番号102で示され、前記軽鎖CDR2のアミノ酸配列は配列表における配列番号103で示され、かつ前記軽鎖CDR3のアミノ酸配列は配列表における配列番号104で示される。
【0017】
より好ましくは、前記EGFRvIII抗体は前記CDRを含有するEGFRvIII抗体の重鎖可変領域および/またはEGFRvIII抗体の軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号1、配列番号9、配列番号17、配列番号25、配列番号33、配列番号41、配列番号49、配列番号57、配列番号65、配列番号73、 配列番号81、配列番号89、配列番号97、配列番号179または配列番号180で示され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号5、配列番号13、配列番号21、配列番号29、配列番号37、配列番号45、配列番号53、配列番号61、配列番号69、配列番号77、配列番号85、配列番号93または配列番号101で示される。
【0018】
好ましくは、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号1で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号5で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号9で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号13で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号17で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号21で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号25で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号29で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号33で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号37で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号41で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号45で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号49で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号53で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号57で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号61で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号65で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号69で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号73で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号77で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号81で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号85で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号89で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号93で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号97で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号101で示されるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における中配列番号179で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における中配列番号5で示されるか、あるいは、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における中配列番号180で示され、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における中配列番号5で示される。
【0019】
上記のように、上記アミノ酸配列の番号は表1に示される通りである。
【0020】
【0021】
ここで、表1における数字は配列表おける配列番号で、たとえば75G7C6の重鎖タンパク質の可変領域のアミノ酸配列は配列番号1で、75G7C6の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1のアミノ酸配列は配列番号2である。
【0022】
好適に、前記のEGFRvIII抗体はさらにフレームワーク領域(フレーム枠領域または骨格領域とも呼ばれる)を含み、前記フレームワーク領域は重鎖フレームワーク領域および/または軽鎖フレームワーク領域を含み、好ましくは、前記重鎖フレームワーク領域はヒトまたはマウス抗体の重鎖フレームワーク領域で、かつ/または、前記軽鎖フレームワーク領域はヒトまたはマウス抗体の軽鎖フレームワーク領域で、より好ましくは、前記重鎖フレームワーク領域はヒト抗体の重鎖フレームワーク領域で、かつ前記軽鎖フレームワーク領域はヒト抗体の軽鎖フレームワーク領域である。フレームワークの残基は軽鎖可変領域または重鎖可変領域の一部で、高度可変残基(高度可変残基は相補性決定領域またはCDRを指すことが多い)またはCDRの残基以外の抗体の可変領域の残基で、当該可変ドメインの抗原結合ループ(CDR)の支持体として作用する。フレームワークの残基は自然に存在するヒトの抗体からのものでもよいが、たとえばマウス由来抗EGFRvIII抗体75G7C6または63A10A7のフレームワーク領域とほぼ類似するヒト抗体のフレームワーク領域が挙げられる。また、代表的な個体の配列の間の共通配列のフレームワーク領域の人工配列を使用することもできる。ヒト化するためのフレームワークを選択する時、ヒトで幅広く見られる配列はよく見られない配列よりも好適かもしれない。ヒトフレームワークのレシピエントの配列のほかの突然変異を発生させることによって、抗原の接触に関わるとされているマウス残基および/または抗原結合部位の構造完全性に関わる残基を回復させるか、あるいは抗体の発現を改善することができる。ペプチドの構造の予測はヒト化の重鎖可変領域および軽鎖可変領域の分析に用いることによって、ヒト化の設計によって導入される翻訳後タンパク質修飾部位を同定・回避することができる。
【0023】
より好ましくは、本発明に係るEGFRvIII抗体がヒト化抗体または全ヒト由来である場合、前記重鎖フレームワーク領域はヒト抗体の重鎖フレームワーク領域で、ヒト抗体の軽鎖フレームワーク領域はIGKV1-12、IGKV1-13、IGKV1-16、IGKV1-17、IGKV1-22、IGKV1-27、IGKV1-32、IGKV1-37、IGKV1-39、IGKV1-5、IGKV1-8、IGKV1-9、IGKV3-34、IGKV2-36、IGKV3-11、IGKV2-40、IGKV3-25、IGKV6-21、IGKV7-3、IGKV5-2、IGKV4-1、IGKV2-4、IGKV2-19、IGKV2-18、IGKV3-20、IGKV2-26およびIGKV2-24系列、特にこれらの系列のFR1、FR2、FR3、ならびにJk断片Jk1、Jk2、Jk3、Jk4およびJk5、特にこれらの系列のFR4によってコードされる配列を含んでもよい。ヒト抗体の重鎖フレームワーク領域はIGHV7-81、IGHV4-80、IGHV3-79、IGHV(II)-78-1、IGHV5-78、IGHV3-76、IGHV3-73、IGHV3-72、IGHV2-70、IGHV1-69-2、IGHV2-70D、IGHV3-49、IGHV3-43、IGHV1-2、IGHV1-3、IGHV1-8、IGHV1-18、IGHV1-24、IGHV1-45、IGHV1-46、IGHV2-5、IGHV2-21、IGHV2-26、IGHV2-70、IGHD3-7、IGHV3-9、IGHV3-11、IGHV3-7、IGHV3-7およびIGHD3-9系列、特にこれらの系列のFR1、FR2、FR3、ならびにJH断片JH1、JH2、JH3、JH4、JH4b、JH5およびJH6、特にこれらの系列のFR4によってコードされる配列、あるいは重鎖フレームワーク領域の共通配列を含んでもよい。これらのフレームワーク領域の配列は、系列の抗体の遺伝子配列を含む公共DNAデータベースまたは公開された参照文献から得ることができる。たとえば、ヒトの重鎖および軽鎖の可変領域の遺伝子の系列のDNA配列は、「VBase」ヒト系列の配列データベース(www.mrcco8.com.ac.uk/vbase )、およびKabat,E.Aら,1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版から得られる。本発明のヒト化抗体の一つの好適な実施例において、前記ヒト化EGFRvIII抗体のヒトアクセプター配列はヒトエクソンVH、JH、VkおよびJk配列から選ばれ、ここで、抗体の重鎖可変領域の鋳型は好ましくはヒト抗体の重鎖VHエクソンのIGHV1-46*01、JHエクソンのJH-4、あるいはヒト抗体の重鎖VHエクソンのIGHV1-46*01、JHエクソンのJH-6bである。抗体の軽鎖可変領域の鋳型は好ましくはヒト抗体の軽鎖VKエクソンのIGKV1-39*01、JKエクソンの/JK-2、あるいはヒト抗体の軽鎖VK エクソンのIGKV3-11*01、JKエクソンのJK-4である。
【0024】
好ましくは、前記のタンパク質はさらに抗体の重鎖定常領域および/または抗体の軽鎖定常領域を含み、前記抗体の重鎖定常領域は本分野の通常のもの、好ましくはマウス由来抗体の重鎖定常領域またはヒト由来抗体の重鎖定常領域、より好ましくはヒト由来抗体の重鎖定常領域である。前記抗体の軽鎖定常領域は本分野の通常のもの、好ましくはマウス由来抗体の軽鎖定常領域またはヒト由来抗体の軽鎖定常領域、より好ましくはヒト由来抗体の軽鎖定常領域である。
【0025】
なお、アミノ酸配列が配列番号1、9、17、25または179で示される重鎖可変領域および配列が配列番号5、13、21または29で示される軽鎖可変領域は、マウス由来重鎖定常領域とマウス化EGFRvIII抗体を、またヒト由来重鎖定常領域およびヒト由来軽鎖定常領域とEGFRvIIIキメラ抗体を構成してもよい(ここで、配列番号179で示されるアミノ酸配列は配列番号1で示されるアミノ酸配列を突然変異させることによって得たもので、後者のCDR2領域のNGをNAに突然変異させた)。
【0026】
さらに、上記キメラ抗体におけるアミノ酸配列が配列番号179または9で示される重鎖可変領域のうちKabat定義で確定された配列が配列番号2、184および4(それぞれCDR1、2および3に相応する)、または配列番号10~12で示される重鎖CDRならびに上記配列が配列番号5または13で示される軽鎖可変領域のうちKabat定義で確定された配列が配列番号6~8または配列番号14~16で示される軽鎖CDRを、それぞれヒト鋳型のCDR領域の代わりに選ばれたヒト鋳型に移植し、ヒト化抗体を得る。前記ヒト鋳型における軽鎖フレームワーク領域および重鎖フレームワーク領域は、上記のように、ヒト抗体の可変領域のフレームワークが選択され、ここで、前記抗体の軽鎖可変領域における軽鎖FR配列は、ヒト軽鎖由来で、1)IGKV1-39*01またはIGKV3-11*01のFR1、FR2、FR3領域、および2)JK-2またはJK-4のFR4領域を含むヒト抗体の軽鎖フレームワーク領域の組み合わせで、前記抗体の重鎖可変領域における重鎖FR配列は、ヒト重鎖配列由来で、1)IGHV1-46*01のFR1、FR2、FR3領域、および2)JH-4またはJH-6bのFR4領域を含むヒト抗体の重鎖フレームワーク領域の組み合わせである。一般的に、ヒトレシピエントのフレームワーク領域の選択は、ドナーの抗体のフレームワーク領域と類似するか、あるいは可変領域サブファミリーの共通配列と最も類似するように行われる。移植後、ドナーおよび/またはレシピエントの配列において配列の突然変異をさせることによって、抗原の結合、機能性、コドンの使用、発現レベルなど、ヒト以外の残基のフレームワーク領域への導入を含む、最適化を行うことができる。
【0027】
好ましくは、上記CDR領域は選ばれたヒト鋳型に移植され、かつフレームワーク領域の残基が復帰突然変異した後の重鎖可変領域のアミノ酸配列は好ましくは配列番号133、134、135、136、143、144、145、146、147、141、142または147で示され、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は好ましくは配列番号137、138、139、140、148、149、150、151、152または153で示される。
【0028】
本発明に係るヒト化EGFRvIII抗体は、好ましくは少なくとも一つの重鎖可変領域および/または少なくとも一つの軽鎖可変領域を含み、ここで、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146または配列番号147で示され、前記の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152または配列番号153で示される。
【0029】
あるいは、前記の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133、配列番号134、配列番号135、配列番号136、配列番号141、配列番号142、配列番号143、配列番号144、配列番号145、配列番号146または配列番号147で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、前記の軽鎖可変領域の配列は配列表における配列番号137、配列番号138、配列番号139、配列番号140、配列番号148、配列番号149、配列番号150、配列番号151、配列番号152または配列番号153で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で示され、より好ましくは、前記の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167または配列番号168で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、前記の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173または配列番号174で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、さらに好ましくは、前記の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167または配列番号168で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、前記の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173または配列番号174で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、最も好ましくは、前記の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167または配列番号168で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と99%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、前記の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173または配列番号174で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と99%の配列相同性を有するアミノ酸配列である。
【0030】
好ましくは、前記の重鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列表における配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167または配列番号168で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、前記の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列表における配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173または配列番号174で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と80%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、より好ましくは、配列表における配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167または配列番号168で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、前記の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173または配列番号174で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と90%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、さらに好ましくは、配列表における配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167または配列番号168で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、前記の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列表における配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173または配列番号174で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と95%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、最も好ましくは、配列表における配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167または配列番号168で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と99%の配列相同性を有するアミノ酸配列で、前記の軽鎖可変領域のアミノ酸配列は、配列表における配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173または配列番号174で示されるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸配列と99%の配列相同性を有するアミノ酸配列である。
【0031】
好ましくは、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号137で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号138で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号139で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号133で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号140で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号134で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号137で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号134で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号138で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号134で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号139で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号134で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号140で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号135で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号137で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号135で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号138で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号135で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号139で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号135で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号140で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号136で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号137で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号136で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号138で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号136で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号139で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号136で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号140で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号143で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号149で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号144で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号149で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号145で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号149で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号146で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号149で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号147で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号149で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号143で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号148で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号143で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号150で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号143で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号151で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号143で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号152で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号143で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号153で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号141で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号149で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号141で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号150で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号141で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号151で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号141で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号152で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号141で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号153で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号142で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号149で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号142で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号150で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号142で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号151で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号142で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号152で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号142で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号153で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号145で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号148で示される配列であるか、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号146で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号148で示される配列であるか、あるいは、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号147で示される配列で、かつ前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列表における配列番号148で示される配列である。
【0032】
上記のように、上記アミノ酸配列の番号は表1-1に示される通りである。
【0033】
【0034】
【0035】
ここで、表1-1における数字は配列表おける配列番号で、たとえばh75G7C6-1の重鎖タンパク質の可変領域のアミノ酸配列は配列番号133で、h75G7C6-1の軽鎖タンパク質の可変領域のアミノ酸配列は配列番号137である。
【0036】
ここで、c75G7C6-1の重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3はそれぞれ配列表における配列番号2、配列番号184および配列番号4で示される。
【0037】
c75G7C6-2の重鎖可変領域のCDR1、CDR2およびCDR3はそれぞれ配列表における配列番号2、配列番号186および配列番号4で示される。
【0038】
好ましくは、前記のヒト化抗EGFRvIII抗体は、ヒト由来抗体の重鎖定常領域および/またはヒト由来抗体の軽鎖定常領域も含む。前記の重鎖可変領域および軽鎖可変領域はヒト由来の重鎖定常領域およびヒト由来の軽鎖定常領域と全ヒト化抗体の全長タンパク質を構成する。ここで、前記のヒト化抗体の重鎖定常領域は本分野の常識で、ヒト定常領域由来の定常領域を含んでもよく、さらにヒト由来のIgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはそのバリアントの重鎖定常領域を含む。前記のヒト化抗体の軽鎖定常領域は本分野の常識で、ヒト定常領域由来の定常領域を含んでもよく、さらにヒト由来のκ鎖、λ鎖またはそのバリアントの軽鎖定常領域を含む。
【0039】
本発明のヒト化抗EGFRvIII抗体は、相補性決定領域(CDR)のベニヤリング(veneering)、グラフティング、短縮されたCDRのグラフティング、特異性決定残基(SDR)のグラフティングやFrankensteinアセンブリを含む、様々な方法のうちのいずれかによって製造することができる。ここで、特異性決定残基(SDR)は抗原と直接相互作用するCDRにおける残基である。SDRは高度可変残基に該当する。Padlanら( 1995) FASEB J. 9: 133-139)を参照する。
【0040】
本発明の代表的なヒト化抗EGFRvIII抗体の製造は実施例1に記載されている。
【0041】
本発明に係るヒト化抗体は広義的にキメラ抗体でもあり、中では、抗原結合の役割を担う可変領域の残基は、ヒト以外の種からの相補性決定領域、短縮された相補性決定領域、または抗原結合に関与する任意のほかの残基を含み、またほかの可変領域の残基、たとえばフレームワーク領域の残基および定常領域の少なくとも一部はヒト抗体の配列由来のものである。ヒト化抗体のフレームワーク領域の残基および定常領域の残基の一つの部分集合はヒト以外の由来でもよい。ヒト化抗体の可変領域は、ヒト化の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域とも記述される。ヒト以外の種は、一般的に、抗原によって免疫接種するための種で、たとえばマウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類、またはほかのヒト以外の哺乳動物種が挙げられる。ヒト化抗体は、一般的に、従来のキメラ抗体よりも免疫原性が低く、かつヒトに施用されると、改善された安定性を示す。
【0042】
前記のヒト化抗体はスーパーヒト化抗体も含み、それはヒト化抗体の製造方法で、当該方法はヒトフレームワーク配列を分析点としてではなく、ヒト以外の抗体の標準CDR構造の形態とヒト抗体、特にヒト胚胎系配列がコードするヒト抗体のCDR構造の形態の比較によるもので、その中から適切なヒトフレームワーク配列の候補のヒト抗体配列を割り出すことができる。たとえば、ヒト残基はCDRにおける非ヒト残基を置き換えることでき、その一つまたは複数の変化はすでにCDRに導入されている。ベニヤリング(veneering)の前提の一つは、マウス由来抗体の可変領域の免疫原性がその表面残基によるものであることで、かつ残基の可動性および溶媒露出度がその抗原決定基になる基本条件である。既存の抗体結晶の構造データの分析結果の統計によると、配列のマッチング部位において、ヒトとマウスの抗体の可変領域の残基の溶媒露出度分布に対する忠実度が98%に達するということで、異種間で免疫反応を誘導する残基は残りの種特異性溶媒および表面残基によるものであることが示されている。そのため、マウス特異性の表面残基をヒト由来のものに置き換えると、ヒト由来抗体の表面プロフィールをシミュレートし、ヒト免疫系の認識を回避することによって、ヒト化の目的を実現させることができる。簡単に言うと、ベニヤリングはヒトアミノ酸配列で再構築される抗体の溶媒に露出する表面によってげっ歯類動物やほかのヒト以外の抗体における潜在的な免疫原性のアミノ酸配列を減少するという概念である。Padlan ( 1991 ) Mol.Immunol.28: 489-980を参照する。ヒト以外の抗体における表面に露出する溶媒露出性の残基の外来フレームワーク残基(前記残基はヒト抗体のフレームワーク領域における同位置にあるものとは異なる)を同定し、そしてヒト抗体における同位置にあるアミノ酸で同定された残基を置き換えることによって、ベニヤリングを行い、すなわち、ベニヤリングされた抗体は、その表面の残基は主にヒト由来配列で、内部に包まれる残基は主に最初のマウス由来配列である。CDRのグラフティングはドナー抗体(たとえばヒト以外の抗体)のCDRでレシピエント抗体(たとえば必要なフレームワーク残基を含むヒト抗体またはほかの抗体)の一つまたは複数のCDRを置き換えることによって行われる。レシピエント抗体は候補のドナー抗体とレシピエント抗体の間のフレームワーク残基の類似性に基づいて選択することができる。たとえば、Frankenstein法によれば、関連するヒト以外の抗体の各フレームワーク領域と実質的に配列相同性を持つヒトフレームワーク領域を同定し、そしてヒト以外の抗体のCDRをこれらの異なるヒトフレームワーク領域の複合体にグラフティングする。上記方法を合わせることによって、任意の必要な配列の抗EGFRvIII抗体を生成することができる。
【0043】
本発明に係るEGFRvIII抗体は好ましくは抗体の全長タンパク質、抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片、二重特異性抗体、多重特異性抗体、一本鎖抗体(single chain antibody fragment、scFv)、単一ドメイン抗体(single-domain antibody、sdAb)および単一領域抗体(Signle-domain antibody)のうちの一つまたは複数、ならびに上記抗体で製造されたモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。前記モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、ファージディスプレイ技術、単一リンパ球遺伝子クローニング技術などを含む、多くのアプローチおよび技術によって研究・製造することができるが、ハイブリドーマ技術によって野生型または遺伝子組み換えマウスからモノクローナル抗体を調製するのは主流である。
【0044】
前記の抗体全長タンパク質は本分野の通常の抗体全長タンパク質で、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域および軽鎖定常領域を含む。前記のタンパク質の重鎖可変領域および軽鎖可変領域はヒト由来の重鎖定常領域およびヒト由来の軽鎖定常領域と全ヒト由来抗体の全長タンパク質を構成する。好ましくは、前記の抗体の全長タンパク質はIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。
【0045】
前記の一本鎖抗体は本分野の通常の一本鎖抗体で、重鎖可変領域、軽鎖可変領域および15~20アミノ酸の短鎖ペプチドを含む。
【0046】
前記の抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片は本分野の通常の抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片で、軽鎖可変領域、軽鎖定常領域および重鎖定常領域のFd断片を含む。好ましくは、前記の抗原抗体結合ドメインのタンパク質断片はFabおよびF(ab’)である。
【0047】
前記の単一ドメイン抗体は本分野の通常の単一ドメイン抗体で、重鎖可変領域および重鎖定常領域を含む。
【0048】
前記の単一領域抗体は本分野の通常の単一領域抗体で、重鎖可変領域のみを含む。
【0049】
さらに、本発明の前記EGFRvIII抗体は、スーパーヒト化抗体、ダイアボディ(diabody)なども含む。
【0050】
ここで、前記EGFRvIII抗体の製造方法は本分野の通常の製造方法である。前記製造方法は、好ましくは、当該タンパク質を組み換え発現する発現形質転換体から分離すること、またはタンパク質配列を人工合成することによって得るものである。前記の当該タンパク質を組み換え発現する発現形質転換体から分離することによって得る方法は、好ましくは、前記EGFRvIII抗体をコードし、かつ点突然変異を持つ核酸分子を組み換えベクターにクローニングし、得られた組み換え発現形質転換体を培養し、分離・精製して前記EGFRvIII抗体を得るものである。
【0051】
また、本発明は、上記のEGFRvIII抗体をコードする核酸を提供する。
【0052】
好ましくは、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号105、配列番号107、配列番号109、配列番号111、配列番号113、配列番号115、配列番号 117、配列番号119、配列番号121、配列番号123、配列番号125、配列番号127、配列番号129、配列番号185、配列番号154、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号162、配列番号163、配列番号164、配列番号165、配列番号166、配列番号167または配列番号168で示され、ならびに/あるいは、前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号106、配列番号108、配列番号110、配列番号112、配列番号114、配列番号116、配列番号118、配列番号120、配列番号122、配列番号124、配列番号126、配列番号128、配列番号130、配列番号158、配列番号159、配列番号160、配列番号161、配列番号169、配列番号170、配列番号171、配列番号172、配列番号173または配列番号174で示される。
【0053】
より好ましくは、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号105で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号106で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号107で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号108で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号109で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号110で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号111で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号112で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号113で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号114で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号115で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号116で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号117で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号118で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号119で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号120で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号121で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号122で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号123で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号124で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号125で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号126.で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号127で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号128で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号129で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号130で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号185で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号106で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号154で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号158で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号154で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号159で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号154で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号160で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号154で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号161で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号155で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号158で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号155で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号159で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号155で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号160で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号155で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号161で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号156で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号158で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号156で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号159で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号156で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号160で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号156で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号161で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号157で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号158で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号157で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号159で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号157で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号160で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号157で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号161で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号164で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号170で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号165で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号170で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号166で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号170で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号167で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号170で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号168で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号170で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号164で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号169で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号164で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号171で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号164で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号172で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号164で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号173で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号164で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号174で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号162で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号170で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号162で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号171で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号162で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号172で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号162で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号173で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号162で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号174で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号163で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号170で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号163で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号171で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号163で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号172で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号163で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号173で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号163で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号174で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号166で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号169で示されるか、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号167で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号169で示されるか、あるいは、前記重鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号168で示され、かつ前記軽鎖可変領域をコードする核酸のヌクレオチド配列は配列表における配列番号169で示される。
【0054】
上記のように、上記ヌクレオチド配列の番号は表1-2および表2に示される通りである。
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
ここで、表1-2における数字は配列表おける配列番号で、たとえばh75G7C6-1の重鎖タンパク質の可変領域のヌクレオチド配列は配列番号154で、h75G7C6-1の軽鎖タンパク質の可変領域のヌクレオチド配列は配列番号158である。
【0059】
前記核酸の製造方法は本分野の通常の製造方法で、好ましくは、遺伝子クローニング技術によって上記ヒト化抗EGFRvIII抗体をコードする核酸分子を得るか、または全配列を人工的に合成する方法によって上記ヒト化抗EGFRvIII抗体をコードする核酸分子を得る工程を含む。
【0060】
当業者には、上記ヒト化抗EGFRvIII抗体をコードする核酸に適当に置換、欠失、変更、挿入または添加を導入することによって、一つのポリヌクレオチドのホモログを提供することができることがわかる。本発明において、ポリヌクレオチドのホモログは、当該ヒト化抗EGFRvIII抗体をコードする核酸の一つまたは複数のヌクレオチドに対して抗体の活性を保つ範囲で置換、欠失または添加を行うことによって調製することができる。
【0061】
【0062】
ここで、表12における数字は配列表おける配列番号で、たとえば75G7C6の重鎖タンパク質の可変領域をコードするヌクレオチド配列は配列番号105である。
【0063】
本発明に記載の相補性決定領域(CDR)は抗原結合に関与する抗体の可変領域の残基である。通常のCDRを標識するための番号付けシステムはいくつかあり、たとえばKabat定義、Chothia定義やAbM定義が含まれる。要約すると、Kabat定義は配列の変異性に基づいたもので、Chothia定義はループ構造の位置に基づいたもので、AbM定義はKabatとChothiaの方法の間の折衷のものである。Kabat、ChothiaまたはAbMアルゴリズムによると、軽鎖可変領域は3つのCDR領域を有し、そのCDR1は24~34番目のアミノ酸(CDR1-L)、CDR2は50~56番目のアミノ酸(CDR2-L)、CDR3は89~97番目のアミノ酸(CDR3-L)に位置する。可変領域の長さによって、異なる中枢または異なるサブグループにおいて、27番目は1~6個のアミノ酸が、95番目も1~6個のアミノ酸があることができ、これらは元の番号にアルファベットを加えて番号を付け、たとえば27A、27B、95A、95Bなどになる。Kabat定義によると、重鎖可変領域のCDRは31と35B番目(CDR1-H)、50と65番目(CDR2-H)、および95と102番目(CDR3-H)の残基で定義される(Kabat番号による)。Chothia定義によると、重鎖可変領域のCDRは26と32番目(CDR1-H)、52と56番目(CDR2-H)、および95と102番目(CDR3-H)の残基で定義される(Chothia番号による)。AbM定義によると、重鎖可変領域のCDRは26と35B番目(CDR1-H)、50と58番目(CDR2-H)、および95と102番目(CDR3-H)の残基で定義される(Kabat番号による)。軽鎖可変領域と同じように、35番目、52番目、82番目および100番目も複数のアミノ酸があり、A、B、C…などで番号を付けられる。Martinら(1989) Proc. Nat l. Acad. Sci. USA 86: 9268-9272; Martin ら(1991) Methods Enzymol. 203: 121-153; Pedersenら( 1992 ) lmmunomethods 1: 126; Protein Structure Prediction , Oxford University Press, Oxford, 第141-172頁を参照する。本発明において、以下のマウス由来抗体のCDRの番号付けシステムはChothiaで、後記のヒト化抗体はKabat番号付けシステムを使用した。
【0064】
ここで、75G7C6の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号105のうちの76番目~96番目で、
75G7C6の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号105のうちの154番目~171番目で、
75G7C6の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号105のうちの295番目~339番目で、
75G7C6の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号106のうちの70番目~105番目で、
75G7C6の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号106のうちの151番目~171番目で、
75G7C6の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号106のうちの268番目~294番目で、
63A10A7の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号107のうちの76番目~96番目で、
63A10A7の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号107のうちの154番目~171番目で、
c75G7C6-1の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号185のうちの154番目~171番目で示され、
c75G7C6-2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号187のうちの154番目~171番目で示される。
【0065】
63A10A7の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号107のうちの295番目~318番目で、
63A10A7の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号108のうちの70番目~102番目で、
63A10A7の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号108のうちの148番目~168番目で、
63A10A7の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号108のうちの265番目~291番目である。
【0066】
64F1F8の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号109のうちの76番目~96番目で、
64F1F8の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号109のうちの154番目~171番目で、
64F1F8の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号109のうちの295番目~318番目で、
64F1F8の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号110のうちの70番目~99番目で、
64F1F8の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号110のうちの145番目~165番目で、
64F1F8の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号110のうちの262番目~288番目である。
【0067】
7E5-2A9の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号111のうちの76番目~96番目で、
7E5-2A9の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号111のうちの154番目~171番目で、
7E5-2A9の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号111のうちの295番目~309番目で、
7E5-2A9の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号112のうちの70番目~120番目で、
7E5-2A9の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号112のうちの166番目~186番目で、
7E5-2A9の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号112のうちの283番目~309番目である。
【0068】
43H6A1の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号113のうちの127番目~150番目で、
43H6A1の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号113のうちの208番目~222番目で、
43H6A1の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号113のうちの346番目~366番目で、
43H6A1の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号114のうちの70番目~102番目で、
43H6A1の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号114のうちの148番目~168番目で、
43H6A1の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号114のうちの265番目~291番目で、
46C4A6の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号115のうちの76番目~96番目で、
46C4A6の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号115のうちの154番目~171番目で、
46C4A6の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号115のうちの295番目~306番目で、
46C4A6の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号116のうちの70番目~117番目で、
46C4A6の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号116のうちの163番目~183番目で、
46C4A6の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号116のうちの280番目~306番目で、
49G12G5の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号117のうちの76番目~96番目で、
49G12G5の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号117のうちの154番目~171番目で、
49G12G5の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号117のうちの295番目~318番目で、
49G12G5の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号118のうちの70番目~105番目で、
49G12G5の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号118のうちの151番目~171番目で、
49G12G5の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号118のうちの268番目~294番目である。
【0069】
51G7C2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号119のうちの76番目~96番目で、
51G7C2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号119のうちの154番目~171番目で、
51G7C2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号119のうちの295番目~318番目で、
51G7C2の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号120のうちの70番目~105番目で、
51G7C2の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号120のうちの151番目~171番目で、
51G7C2の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号120のうちの268番目~294番目である。
【0070】
53D8H4の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号121のうちの76番目~96番目で、
53D8H4の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号121のうちの154番目~171番目で、
53D8H4の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号121のうちの295番目~318番目で、
53D8H4の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号122のうちの70番目~102番目で、
53D8H4の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号122のうちの148番目~168番目で、
53D8H4の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号122のうちの265番目~291番目である。
【0071】
54D2G10の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号123のうちの76番目~96番目で、
54D2G10の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号123のうちの154番目~171番目で、
54D2G10の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号123のうちの295番目~315番目で、
54D2G10の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号124のうちの70番目~99番目で、
54D2G10の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号124のうちの145番目~165番目で、
54D2G10の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号124のうちの262番目~288番目である。
【0072】
56F10G2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号125のうちの76番目~96番目で、
56F10G2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号125のうちの154番目~171番目で、
56F10G2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号125のうちの295番目~315番目で、
56F10G2の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号126のうちの70番目~99番目で、
56F10G2の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号126のうちの145番目~165番目で、
56F10G2の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号126のうちの262番目~288番目である。
【0073】
59G3F12の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号127のうちの76番目~99番目で、
59G3F12の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号127のうちの157番目~171番目で、
59G3F12の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号127のうちの295番目~318番目で、
59G3F12の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号128のうちの70番目~99番目で、
59G3F12の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号128のうちの145番目~165番目で、
59G3F12の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号128のうちの262番目~288番目である。
【0074】
64B11F2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号129のうちの76番目~96番目で、
64B11F2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号129のうちの154番目~171番目で、
64B11F2の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号129のうちの295番目~315番目で、
64B11F2の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号130のうちの70番目~102番目で、
64B11F2の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR2をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号130のうちの148番目~168番目で、
64B11F2の軽鎖タンパク質の可変領域におけるCDR3をコードするヌクレオチド配列は配列表における配列番号130のうちの265番目~291番目である。
【0075】
前記核酸の製造方法は本分野の通常の製造方法で、好ましくは、遺伝子クローニング技術によって上記タンパク質をコードする核酸分子を得るか、または全配列を人工的に合成する方法によって上記タンパク質をコードする核酸分子を得る工程を含む。
【0076】
当業者には、上記タンパク質のアミノ酸配列をコードする塩基配列に適当に置換、欠失、変更、挿入または添加を導入することによって一つのポリヌクレオチドのホモログを提供することができることがわかる。本発明において、ポリヌクレオチドのホモログは当該タンパク質をコードする遺伝子の一つまたは複数の塩基に対して抗体の活性を保つ範囲で置換、欠失または添加を行うことによって調製することができる。
【0077】
また、本発明は前記核酸を含む組み換え発現ベクターを提供する。
【0078】
ここで、前記組み換え発現ベクターは本分野の通常の方法、すなわち、本発明に記載の核酸分子を様々な発現ベクターに連結して構築することによって得ることができる。前記の発現ベクターは本分野の通常の様々なベクターで、前記核酸分子を担持することができればよい。前記ベクターは好ましくは様々なプラスミド、コスミド、ファージやウイルスベクターを含む。
【0079】
また、本発明は上記組み換え発現ベクターを含む組み換え発現形質転換体を提供する。
【0080】
ここで、前記組み換え発現形質転換体の製造方法は本分野の通常の製造方法で、好ましくは、上記組み換え発現ベクターを宿主細胞に形質転換させて得る方法である。前記の宿主細胞は本発明の通常の様々な宿主細胞で、上記組み換え発現形質転換体が安定して自己複製し、かつ担持される前記の核酸が有効に発現されるようにさせることができればよい。好ましくは、前記宿主細胞はE.coli TG1またはBL21細胞(一本鎖抗体またはFab抗体を発現する)、またはCHO-K1細胞(全長IgG抗体を発現する)である。前記組み換え発現プラスミドを宿主細胞に形質転換させれば、本発明の好適な組み換え発現形質転換体を得ることができる。ここで、前記形質転換方法は本発明の通常の形質転換方法、好ましくは化学的形質転換法、ヒートショック法または電気的形質転換法である。
【0081】
また、本発明は、前記EGFRvIII抗体の製造方法であって、上記の組み換え発現形質転換体を培養し、培養物から前記EGFRvIII抗体を得る工程を含む方法を提供する。
【0082】
また、本発明は、共役的に細胞毒剤に連結した上記EGFRvIII抗体を含む免疫複合体を提供する。
【0083】
好ましくは、前記の免疫複合体において、上記の1当量のタンパク質はx当量のリンカーを介してy当量の細胞毒剤に連結し、式1の構造を有する。
【0084】
【0085】
ただし、Abは上記のEGFRvIII抗体で、Lはリンカーで、Dは細胞毒剤で、前記xは本分野の通常の架橋度で、xは自然数で、好ましくは1~20であり、yはよりも大きい自然数で、好ましくは1~20の整数であり、xおよびyはそれぞれ独立に2wが好ましく、wは1~5の整数で、より好ましくは3~4であり、xとyの比率は1:1が好ましい。
【0086】
前記Lは本分野の通常のリンカー(架橋剤またはカップリング剤とも呼ばれる)である。前記Lは2つの官能基、すなわち、抗体と反応する基と、薬物と反応する基(たとえば、アルデヒドまたはケトン)を含む。
【0087】
薬物はリンカー分子を介して上記のEGFRvIII抗体と複合する。前記Lは、細胞に入ると放出され、活性エステル、炭酸塩類、カルバメート類、イミンリン酸エステル、オキシム類、ヒドラゾン類、アセタール類、オルトエステル類、アミノ類、短鎖ペプチド断片またはヌクレオチド断片のような官能基、たとえばマレイミドカプロイル(maleimidocaproyl、MC)、マレイミドカプロイル-L-バリン-L-シトルリン-p-アミノベンジルアルコール(MC-VC-PAB)または4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸スクシンイミドエステル(SMCC)を含むが、これらに限定されない。
【0088】
好ましくは、前記Lは主に式2の構造を含み、Lから脱離基が脱離した後、相応する残りの部分である。
【0089】
【0090】
(ただし、Alk1およびAlk2は独立に結合または分岐または無分岐の(C1-C10)アルキレン鎖で、Sp1は-S-、-O-、-CONH-、-NHCO-、-NR’-、-N(CH2CH2)2N-、または-X-Ar’-Y-(CH2)n-Zで、ここで、X、YおよびZは独立に結合、-NR’-、-S-または-O-で、条件はn=0の場合、YおよびZのうちの少なくとも1つが必ず結合であることで、かつAr’は(C1-C5)アルキル基、(C1-C4)アルコキシ基、(C1-C4)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-(CH2)nCOOR’、S(CH2)nCOOR’、-O(CH2)nCONHR’または-S(CH2)nCONHR’のうちの1、2または3個の基で任意に置換された1,2-、1,3-または1,4-フェニレン基で、nは0~5の整数で、条件はAlk1が結合の場合、Sp1は結合であることで、R’は-OH、(C1-C4)アルコキシ基、(C1-C4)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、(C1-C3)ジアルキルアミノ基、または(C1-C3)トリアルキルアンモニウム-Aのうちの1個または2個の基で任意に置換された分岐または無分岐の(C1-C5)鎖で、ここで、Aは塩を形成する薬学的に許容されるアニオンで、Arは(C1-C6)アルキル基、(C1-C5)アルコキシ基、(C1-C4)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-O(CH2)nCOOR’、-S(CH2)nCOOR’、-O(CH2)nCONHR’’または-S(CH2)nCONHR’のうちの1、2または3個の基で任意に置換された1,2-、1,3-または1,4-フェニレン基で、ここで、nおよびR’は上記の定義の通りであるか、あるいはArは1,2-、1,3-、1,4-、1,5-、1,6-、1,7-、1,8-、2,3-、2,6-または2,7-ナフチレン基で、ここで、ナフチレン基またはフェノチアジンはそれぞれ任意に(C1-C6)アルキル基、(C1-C5)アルコキシ基、(C1-C4)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-O(CH2)nCOOR’、-S(CH2)nCOOR’、または-S(CH2)nCONHR’のうちの1、2、3または4個の基で置換され、ここで、nおよびR’は上記の定義の通りで、条件はArがフェノチアジンの場合、Sp1は窒素のみと連結する結合であることである。
【0091】
Sp2は結合、-S-または-O-で、条件はAlk2が結合の場合、Sp2は結合であることである。
【0092】
Z1はH、(C1-C5)アルキル基、あるいは(C1-C5)アルキル基、(C1-C5)アルコキシ基、(C1-C4)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-O(CH2)nCOOR’、-S(CH2)nCOOR’、-O(CH2)nCONHR’または-S(CH2)nCONHR’のうちの1、2、または3個の基で任意に置換されたフェニル基で、ここで、nおよびR’は上記の定義の通りである。
【0093】
Spは直鎖または分岐鎖の2価または3価の(C1-C18)基、2価または3価のアリール基またはヘテロアリール基、2価または3価の(C3-C18)シクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基、2価または3価のアリールまたはヘテロアリール-アリール(C1-C18)基、2価または3価のシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル-アルキル(C1-C18)基、あるいは2価または3価の(C2-C18)不飽和のアルキル基で、ここで、ヘテロアリール基はフリル基、チエニル基、N-メチルピロリル基、ピリジル基、N-メチルイミダゾリル基、オキサゾリル基、ピリミジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、N-メチルカルバゾリル基、アミノクマリン基、またはフェナジリル基が好ましく、かつ、ここで、Spが3価の基である場合、Spはさらに低級(C1-C5)ジアルキルアミノ基、低級(C1-C5)アルコキシ基、ヒドロキシ基、または低級(C1-C5)アルキルチオ基で任意に置換されてもよく、かつQは=NHNCO-、=NHNCS-、=NHNCONH-、=NHNCSNH-または=NHO-である。)
好ましくは、Alk1は分岐または無分岐の(C1-C5)アルキレン鎖で、Sp1は結合、-S-、-O-、-CONH-、-NHCO-または-NR’で、ここで、R’は上記の定義の通りで、条件はAlk1が結合の場合、Sp1は結合であることである。
【0094】
Arは(C1-C6)アルキル基、(C1-C5)アルコキシ基、(C1-C4)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-O(CH2)nCOOR’、-S(CH2)nCOOR’、-O(CH2)nCONHR’または-S(CH2)nCONHR’のうちの1、2または3個の基で任意に置換された1,2-、1,3-または1,4-フェニレン基で、ここで、nおよびR’は上記の定義の通りであるか、あるいはArはそれぞれC1-C6)アルキル基、(C1-C5)アルコキシ基、(C1-C4)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-O(CH2)nCOOR’、-S(CH2)nCOOR’、-O(CH2)nCONHR’または-S(CH2)nCONHR’のうちの1、2、3または4個の基で任意に置換された1,2-、1,3-、1,4-、1,5-、1,6-、1,7-、1,8-、2,3-、2,6-または2,7-ナフチレン基である。
【0095】
Z1は(C1-C5)アルキル基、あるいは(C1-C5)アルキル基、(C1-C4)アルコキシ基、(C1-C4)チオアルコキシ基、ハロゲン、ニトロ基、-COOR’、-CONHR’、-O(CH2)nCOOR’、-S(CH2)nCOOR’、-O(CH2)nCONHR’または-S(CH2)nCONHR’のうちの1、2、または3個の基で任意に置換されたフェニル基で、Alk2およびSp2はいずれも結合で、かつSpおよびQは上記のみで定義された通りである。上記の結合の意味は共役結合である。
【0096】
前記Lはマレイミドカプロイル(maleimidocaproyl、MC)である。
【0097】
前記Dは本分野の通常の細胞毒剤で、好ましくは細胞毒素、化学治療剤、放射性同位元素、治療性核酸、免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤・アポトーシス促進剤または細胞溶解酵素から選ばれる。
【0098】
ここで、前記細胞毒素は本分野の通常の細胞毒素で、一般的に細胞の機能を抑制または阻害し、かつ/または細胞の破壊につながる活性剤である。好ましくは抗生物質、チューブリン重合の阻害剤、アルキル化剤、タンパク質合成阻害剤、タンパク質キナーゼ阻害剤、ホスファターゼ阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、タンパク質キナーゼ、ホスファターゼ、トポイソメラーゼまたはサイクリンから選ばれる。より好ましくはドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、アクラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、カルビシン、ノガラマイシン、メノガリル、ピラルブシン、バルルビシン、アザシチジン、ゲムシタビン、トリフルリジン、アンシタビン、エノシタビン、アザシチジン、ドキシフルリジン、ペントスタチン、ブロモウリジン、カペシタビン、クラドリビン、デシタビン、フロクスウリジン、フルダラビン、グーゲロチン、ピューロマイシン、テガフール、チアゾフリン、アドリアマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ブレオマイシン、ナイトロジェンマスタード、プレドニゾン、プロカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、エトポシド、タキソール、タキソール類似体、プラチン類(たとえばシスプラチンやカルボプラチン)、マイトマイシン、チオテパ、タキサン、ダウノルビシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、タモキシフェン、ドラスタチン、オーリスタチンおよびその誘導体、ヘミアステルリン、エスペラミシンまたはマイタンシン系化合物から選ばれ、さらに好ましくはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF)またはN2’-デアセチル-N2’-3-チオ-1-オキソプロピルマイタンシン(DM1)。最も好ましくはモノメチルアウリスタチンF(MMAF)またはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。
【0099】
中では、前記化学治療剤は本分野の通常の化学治療剤で、好ましくはアルキル化剤、アルキルスルホネート系化学治療剤、アジリジン系化学治療剤、ビニルアミド系およびメチルメラミン系化学治療剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロ尿素系化学治療剤、抗生物質、抗代謝物、葉酸系化学治療剤、プリン類似体、ピリミジン類似体、アンドロゲン、抗アドレナリン薬、葉酸補充剤、マイタンシノール、多糖複合体、タキサン、プラチン類似体またはレチノイド、あるいは、その薬学的に許容される塩、酸および誘導体から選ばれる。
【0100】
前記のアルキル化剤は本分野の通常のアルキル化剤で、好ましくはチオテパまたはシクロホスファミドから選ばれる。前記のアルキルスルホネート系化学治療剤は本分野の通常のアルキルスルホネート系化学治療剤で、好ましくはブスルファン、インプロスルファンまたはピポスルファンから選ばれる。前記のアジリジン系化学治療剤は本分野の通常のアジリジン系化学治療剤で、好ましくはベンゾドーパ、カルボコン、メツレデパまたはウレデパから選ばれる。前記ビニルアミド系およびメチルメラミン系化学治療剤は本分野の通常のビニルアミド系およびメチルメラミン系化学治療剤で、好ましくはアルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスファミド、トリエチレンチオホスファミドまたはトリメチロールメラミンから選ばれる。前記のナイトロジェンマスタードは本分野の通常のナイトロジェンマスタードで、好ましくはクロラムブシル、クロルナファジン、エストラムスチン(estramustine)、イホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メチロールエタノオキシド、フェニルアラニンマスタード、ノブエンビキン、フェネステリン、プレドニマスチン、トロホスファミドまたはウラシルマスタードから選ばれる。前記ニトロ尿素系化学治療剤は本分野の通常のニトロ尿素系化学治療剤で、好ましくはカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチンまたはラニムスチンから選ばれる。前記抗生物質は本分野の通常の抗生物質で、好ましくはアクラシノマイシン、アクチノマイシン、アントラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、アクチノマイシンc、カリケアミシン、カルビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトロルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシ、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、 ジノスタチンまたはゾルビシンから選ばれる。前記の抗代謝物は本分野の通常の抗代謝物で、好ましくはメトトレキセートまたは5-フルオロウラシル(5-FU)から選ばれる。前記の葉酸系化学治療剤は本分野の通常の葉酸系化学治療剤で、好ましくはデノプテリン、プテロプテリンまたはトリメトレキセートから選ばれる。前記のプリン類似体は本分野の通常のプリン類似体で、好ましくはフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリンまたはチオグアニンから選ばれる。前記のピリミジン類似体は本分野の通常のピリミジン類似体で、好ましくはアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンまたは5-EUから選ばれる。前記のアンドロゲンは本分野の通常のアンドロゲンで、好ましくはカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタンまたはテストラクトンから選ばれる。前記の抗アドレナリン薬は本分野の通常の抗アドレナリン薬で、好ましくはアミノグルテチミド、ミトタンまたはトリロスタンから選ばれる。前記の葉酸補充剤は本分野の通常の葉酸補充剤で、好ましくはフロリン酸、アセグラトン、アルドホスファミドグリコシド、アミノレブリン酸、アムサクリン、アトリムスチン、ビサントレン、エダトラキサート、デフォファミン、デメコルシン、ジダジコン、エルフォルニシン、酢酸エリプチニウム、エポチロン、エトグルシド、硝酸ガリウム、ヒドロキシウレア、レンチナンまたはロニダミンから選ばれる。前記のマイタンシノールは本分野の通常のマイタンシノールで、好ましくはマイタンシン、アンサマイトシン、ミトグアゾン、ミトキサントロン、モピダモール、ニトラクリン、ペントスタチン、フェナメット、ピラルビシン、ロソキサントロン、ポドフィリン酸、2-エチルヒドラジドまたはプロカルバジンから選ばれる。前記の多糖複合体は本分野の通常の多糖複合体で、好ましくはラゾキサン、リゾマイシン(rhizomycin)、シゾフィラン、スピロゲルマニウム、テヌアゾン酸、トリアジクオン、2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン、トリコテセン系マイコトキシン、ウレタン、ビンデシン、ダカルバジン、マンノムスチン、ミトブロニトール、ミトラクトール、ピポブロマン、ガシトシン、アラビノシド、シクロホスファミドまたはチオテパから選ばれる。より好ましくはT-2トキシン、ムコノマイシンA、シクロスポリンAまたはアングイジンから選ばれる。前記タキサンは本分野の通常のタキサンで、好ましくはタキソール、非水添ヒマシ油、タキソールのアルブミン改変ナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Illinois)、ドセタキセル、クロラムブシル、ゲムシタビン、6-チオグアニン、メルカプトプリンまたはメトトレキセートから選ばれる。前記のプラチン類似体は本分野の通常のプラチン類似体で、好ましくはシスプラチン、カルボプラチン、ビンブラスチン、エトポシド、イホスファミド、ミトキサントロン、ビンクリスチン、ノバントロン(Novantron)、テニポシド、エダトラキサート、ダウノマイシン、アミノプテリン、カペシタビン、イバンドロネート、CPT-11、トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000またはジフルオロメチルオルニチンから選ばれる。前記のレチノイドは本分野のレチノイドで、好ましくはレチノイン酸である。
【0101】
ここで、前記放射性同位元素は本分野の通常の放射性同位元素で、好ましくは上記EGFRvIII抗体と直接結合したもの、またはキレート剤を介して上記EGFRvIII抗体と結合したものである。より好ましくは、前記EGFRvIII抗体のシステイン残基と直接結合したものである。好ましくは、前記放射性同位元素は放射線治療に適するα放出体、β放出体やオージェ電子および診断に適する陽電子放出体やγ放出体から選ばれる。より好ましくは前記放射性同位元素は、18フッ素、64銅、65銅、ガリウム67(67Ga)、ガリウム68(68Ga)、臭素77(77Br)、臭素80m(80mBr)、ルテニウム95(95Ru)、ルテニウム97(97Ru)、ルテニウム103(103Ru)、ルテニウム105(105Ru)、テクネチウム99m(99mTc)、水銀107(107Hg)、水銀203(203Hg)、ヨウ素123(123I)、ヨウ素124(124I)、ヨウ素125(125I)、ヨウ素126(126I)、ヨウ素131(131I)、ヨウ素133(133I)、インジウム111(111In)、インジウム113(113In)、レニウム99m(99mRe)、レニウム105(105Re)、レニウム101(101Re)、レニウム186(186Re)、レニウム188(188Re)、テルル121m(121mTe)、テクネチウム99(99Tc)、テルル122m(122mTe)、テルル125m(125mTe)、ツリウム165(165Tm)、ツリウム167(167Te)、ツリウム168(168Te)、イットリウム90(90Y)、ビスマス213(213Bi)、鉛213(213Pb)またはアクチニウム225(225Ac)、あるいはこれらから誘導される窒化物または酸化物から選ばれる。
【0102】
ここで、前記治療性核酸は本分野の通常の核酸で、好ましくは免疫調節剤、抗血管新生剤、抗増殖剤・アポトーシス促進剤をコードする遺伝子である。前記治療剤は、前記治療剤、その誘導体ならびに前記治療剤の薬学的に許容される塩、酸および誘導体を含む。
【0103】
ここで、前記の免疫調節剤は本分野の通常の免疫調節剤で、すなわち、液性免疫応答(たとえば抗原特異性抗体の生成)および細胞を介する免疫応答(たとえばリンパ球の増殖)を含む免疫応答を引き起こす試薬である。好ましくはサイトカイン、成長因子、ホルモン、抗ホルモン薬、免疫抑制剤またはコルチコステロイドから選ばれる。前記サイトカインは本分野の通常のサイトカインで、好ましくはキサンチン、インターロイキンまたはインターフェロンから選ばれる。前記成長因子は本分野の通常の成長因子で、好ましくはTNF、CSF、GM-CSFまたはG-CSFから選ばれる。前記のホルモンは本分野の通常のホルモンで、好ましくはエストロゲン、アンドロゲンまたはプロゲスチンから選ばれる。より好ましくは前記のエストロゲンはスチルベストロールまたはエストラジオールである。より好ましくは前記のアンドロゲンはテストステロンまたはフルオキシメステロンである。より好ましくは前記のプロゲスチンは酢酸メゲストロールまたは酢酸メドロキシプロゲステロンである。前記のコルチコステロイドは本分野の通常のコルチコステロイドで、好ましくはプレドニゾン、デキサメタゾンまたはヒドロコルチゾンから選ばれる。前記抗ホルモン薬は本分野の通常の抗ホルモン薬で、ホルモンの腫瘍に対する作用を遮断し、サイトカインの生成を抑制し、自身の抗原発現を下方調節するか、MHC抗原を遮断することができる免疫抑制剤である。好ましくは抗エストロゲン薬、抗アンドロゲン薬または抗アドレナリン薬から選ばれる。より好ましくは前記抗エストロゲン薬はタモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール類、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェンまたはトレミフェンから選ばれる。前記抗アンドロゲン薬はフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリドまたはゴセレリンから選ばれる。前記免疫抑制剤は本分野の通常の免疫抑制剤で、好ましくは2-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジン類、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプソン、グルタルアルデヒド、MHC抗原およびMHC断片に対する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、糖質コルチコステロイドのようなステロイド、ストレプトキナーゼ、TGFβ、ラパマイシン、T細胞受容体、T細胞受容体断片、サイトカイン受容体拮抗剤またはT細胞受容体抗体から選ばれる。より好ましくは前記サイトカイン受容体拮抗剤は抗インターフェロン抗体、抗IL10抗体、抗TNFα抗体または抗IL2抗体から選ばれる。
【0104】
中では、前記の抗血管新生剤は本分野の通常の抗血管新生剤で、好ましくはファルネシル基転移酵素阻害剤、COX-2阻害剤、VEGF阻害剤、bFGF阻害剤、ステロイドスルファターゼ阻害剤、インターロイキン-24、トロンボスポンジン、メタロスポンジン(metallospondin)タンパク質、I型インターフェロン、インターロイキン-12、プロタミン、アンギオスタチン、ラミニン、エンドスタチンまたはプロラクチン断片から選ばれる。より好ましくは2-メトキシエストラジオールビススルファメート(2-MeOE2bisMATE)である。
【0105】
ここで、前記抗増殖剤・アポトーシス促進剤は本分野の通常の抗増殖剤・アポトーシス促進剤で、好ましくはPPAR-γ作動剤、レチノイド、トリテルペン系化合物、EGF受容体阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、テロメアターミナルトランスフェラーゼ阻害剤、鉄キレート剤、アポプチン、Bcl-2およびBcl-X(L)の阻害剤、TNF-α/FASリガンド/TNF関連アポトーシス誘導リガンドおよびそのシグナル伝達の活性化物またはPI3K-Akt生存経路シグナル阻害剤から選ばれる。前記PPAR-γ作動剤は本分野の通常のPPAR-γ作動剤で、好ましくはシクロペンテノンプロスタグランジン(cyPG)である。前記トリテルペン系化合物は本分野の通常のトリテルペン系化合物で、好ましくはシクロアルタン、ルピナン、ウルサン、オレアナン、フリーデラン、ダンマラン、ククルビタシン、リモニン類似体またはトリテルペン系化合物から選ばれる。前記EGF受容体阻害剤は本分野の通常の受容体阻害剤で、好ましくはHER4、ラパマイシンまたは1,25-ヒドロキシコレカルシフェロール(ビタミンD)から選ばれる。前記の鉄キレート剤は本分野の通常の鉄キレート剤で、好ましくは3-アミノピリジン-2-カルボアルデヒドチオセミカルバゾンである。前記のアポプチンは本分野の通常のアポプチンで、好ましくは鶏貧血ウイルスのウイルスタンパク質3-VP3である。前記PI3K-Akt生存経路シグナル阻害剤は本分野の通常のPI3K-Akt生存経路シグナル阻害剤で、好ましくはUCN-01またはゲルダナマイシンである。
【0106】
ここで、前記細胞溶解酵素は本分野の通常の細胞溶解酵素で、好ましくはリボヌクレアーゼである。
【0107】
本発明において、好ましくは、式1では、x=y=nで、前記Dはチューブリン重合阻害剤であるモノメチルアウリスタチンF(MMAF)で、かつ前記リンカーLはマレイミドカプロイル(maleimidocaproyl、MC)で、前記免疫複合体の構造は式3-1または3-2で表される。
【0108】
【0109】
ただし、mAbは上記のEGFRvIII抗体である。ただし、nは自然数で、好ましくは1~20の整数で、より好ましくは2wで、wは1~5の整数で、さらに好ましくは3~4の整数である。
【0110】
【0111】
式3-2において、mは1~10、好ましくは5で、Lはマレイミドカプロイル-L-バリン-L-シトルリン-p-アミノベンジルアルコールで、DはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。ただし、nは自然数で、好ましくは1~20の整数で、より好ましくは2wで、wは1~5の整数で、さらに好ましくは3~4の整数である。
【0112】
前記の免疫複合体の製造方法は本分野の通常のもので、好ましくはDoronina,2006, Bioconjugate Chem.17,114-124に記載の製造方法を使用する。好ましくは前記の製造方法によって10%未満と最低限の低複合画分(LCF、low conjugate fraction)を有する免疫複合体が生成される。
【0113】
本発明の一つの好適な実施例において、前記の製造方法は、以下の工程を含む。上記EGFRvIII抗体をpHが6.5~8.5のホウ酸ナトリウム緩衝液で透析した後、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)をTCEPと上記EGFRvIII抗体のモル比が2~10になるように入れ、室温で2~4時間還元させ、G25脱塩フィラーを通らせて余分のTCEPを除去し、一定の比率のMC-MMAF(薬物/抗体比は5~20である)を入れて4時間反応させる。さらに余分の薬物を中和するためにシステインを入れ、そしてG25を通らせて余分の小分子を除去する。精製された抗体薬物複合体を得る(複合方法はDoronina,2006, Bioconjugate Chem.17,114-124を参照する)。
【0114】
前記の免疫複合体は本分野で既知の任意の物理的形態で存在してもよいが、清澄な溶液が好ましい。
【0115】
また、本発明は、上記のEGFRvIII抗体または免疫複合体と、薬学的に許容される担体とを含む薬物組成物を提供する。
【0116】
前記の薬学的に許容される担体は本分野の通常の担体で、前記の担体は任意の適切な生理学的にまたは薬学的に許容される薬物助剤でもよい。前記の薬物助剤は本分野の通常の薬物助剤で、好ましくは薬学的に許容される賦形剤、充填剤または希釈剤などを含む。より好ましくは、前記の薬物組成物は0.01~99.99%の上記EGFRvIII抗体または上記免疫複合体と、0.01~99.99%の薬用担体とを含み、前記百分率は前記薬物組成物で占める質量百分率である。
【0117】
本発明に記載の薬物組成物の投与経路は胃腸外投与、注射投与または経口投与が好ましい。前記注射投与は、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮内注射または皮下注射などの経路を含むことが好ましい。前記の薬物組成物は本分野の通常の様々な剤形で、好ましくは固体、半固体または液体の様態で、水溶液、非水溶液または懸濁液でもよく、より好ましくは錠剤、カプセル、顆粒剤、注射剤または輸液剤などである。より好ましくは血管内、皮下、腹膜内または筋肉内で施用される。好ましくは前記薬物組成物はエアゾール剤または噴霧剤として、すなわち、経鼻で施用されてもよい。あるいは、鞘内、髄内または心室内で施用されてもよい。より好ましくは前記の薬物組成物は皮膚透過、経皮、局部、腸内、膣内、舌下または経直腸で施用されてもよい。
【0118】
本発明に係る化合物の投与量のレベルは必要な診断または治療の結果に達するような組成物の量によって調整することができる。施用プランは単回の注射または多回の注射でもよく、あるいは調整してもよい。選択される投与量のレベルおよびプランは前記薬物組成物の活性および安定性(すなわち、半減期)、製剤、施用経路、ほかの薬物または治療との組み合わせ、検出および/または治療される疾患または病症、ならびに治療される被験者の健康状況および以前の医療歴などを含む様々な要素によって合理的に調整される。
【0119】
本発明の前記薬物組成物の治療有効投与量は、最初に細胞培養実験または動物モデル、たとえばげっ歯類動物、ウサギ、イヌ、ブタおよび/または霊長類動物において見積もることができる。動物モデルは適切な施用の濃度範囲および経路の測定にも使用することができる。その後、ヒトにおいて施用される有用な投与量および経路を決めるのに使用してもよい。一般的に、施用有効量または投与量の決定と調整およびいつ、そしてどのようにこのような調整をするかという評価は当業者に既知のものである。
【0120】
組み合わせ治療法について、上記EGFRvIII抗体、上記免疫複合体および/またはほかの治療剤または診断剤はそれぞれ単一の薬剤として、予期の治療または診断に適する任意の時間範囲内で使用してもよい。そのため、これらの単一の薬剤は基本的に同時に(すなわち、単一の製剤としてまたは数分間や数時間内で)または順番に連続的に施用してもよい。たとえば、これらの単一の薬剤は一年内、あるいは10、8、6、4または2か月内、あるいは4、3、2、または1週間内、あるいは5、4、3、2または1日内で施用してもよい。
【0121】
製剤、投与量、施用プランおよび測量可能な治療結果の別途の指導は、Berkowら、(2000)The Merck Manual of Medical Information(メルクマニュアル医学百科)およびMerck&Co.Inc., Whitehouse Station, New Jersey; Ebadi (1998) CRC Desk Reference of Clinical Pharmacology(臨床薬理学マニュアル)などの著作を参照する。
【0122】
また、本発明は抗腫瘍薬物の製造における上記抗体、上記複合体または上記薬物組成物の使用を提供する。
【0123】
また、本発明は、EGFRvIIIタンパク質を過剰発現する細胞を検出する方法であって、上記のEGFRvIII抗体を被験サンプルと体外で接触させ、前記のEGFRvIII抗体と前記被験サンプルの結合を検出する工程を含む方法を提供する。
【0124】
また、本発明は、EGFRvIIIタンパク質を過剰発現する細胞を検出する組成物であって、上記のEGFRvIII抗体を活性成分として含む組成物を提供する。
【0125】
また、本発明は、EGFRvIII発現または機能異常に関連する疾患を予防または治療する薬物の製造における上記抗体、免疫複合体または薬物組成物の使用を提供する。好ましくは、前記のEGFRvIII発現または機能異常に関連する疾患は腫瘍で、前記腫瘍は好適に膀胱癌、脳癌、頭頸部癌、膵臓腺癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌または腎臓癌である。
【0126】
本分野の常識に合うことを前提に、上記各好適な条件を任意に組み合わせれば、本発明の各好適な実例が得られる。
【0127】
本発明で用いられる試薬および原料はいずれも市販品として得られる。
【0128】
本発明の積極的な進歩効果は、本発明に係るタンパク質はEGFRvIII抗体で、EGFRvIIIタンパク質と高度な親和力を有し、タンパク質レベルおよび細胞レベルでEGFRvIIIタンパク質受容体の細胞外領域に結合することができる。前記のEGFRvIII抗体がMC-MMAFなどの小分子化合物と複合して抗体薬物複合体を得ると、有効にEGFRvIII陽性細胞に対して細胞毒性の殺傷作用を果たすことができる。EGFRvIII抗体を介して小分子毒素、たとえばMMAFを飲食作用によって細胞に持ち込み、そして細胞内で分解して小分子化合物を放出することで、細胞毒性の作用を果たすことができる。そのため、前記のEGFRvIII抗体は抗体薬物複合体の製造、腫瘍細胞の有効な殺傷または腫瘍を治療する薬物の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【
図1】
図1は、ヒトEGFRvIIIタンパク質で形質移入されたCHO-K1細胞のFACSスクリーニングの検出結果である。
【
図2】
図2は、ヒトEGFRタンパク質で形質移入されたCHO-K1細胞のFACSスクリーニングの検出結果である。
【
図3】
図3は、ヒトEGFRvIIIタンパク質で形質移入されたU87MG細胞のFACSスクリーニングの検出結果である。
【
図4】
図4は、ヒトEGFRvIIIタンパク質で形質移入された293F細胞のFACSスクリーニングの検出結果である。
【
図5A】
図5AはELISAによってEGFRvIIIタンパク質による免疫後のマウス血清の抗体価を検出した結果である。
【
図5B】
図5BはELISAによってEGFRvIIIタンパク質による免疫後のマウス血清の抗体価を検出した結果である。
【
図6】
図6はELISAによるEGFRvIII抗体とヒトEGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応の検出である。
【
図7A】
図7AはFACSによるEGFRvIII抗体とU87MG-hEGFRvIIIの結合反応の検出である。
【
図7B】
図7BはFACSによるEGFRvIII抗体とA431の結合反応の検出である。
【
図7C】
図7CはFACSによるEGFRvIII抗体とU87MGの結合反応の検出である。
【
図7D】
図7DはFACSによるEGFRvIII抗体とHEBの結合反応の検出である。
【
図8A】
図8AはU87MG-EGFRvIIIに対するEGFRvIII抗体-MMAF抗体複合体の細胞殺傷作用である。
【
図8B】
図8BはA431に対するEGFRvIII抗体-MMAF抗体複合体の細胞殺傷作用である。
【
図8C】
図8CはU87MGに対するEGFRvIII抗体-MMAF抗体複合体の細胞殺傷作用である。
【
図8D】
図8DはHEBに対するEGFRvIII抗体-MMAF抗体複合体の細胞殺傷作用である。
【
図9A】
図9AはFACSによるEGFRvIII抗体とヒト正常組織HFF-1細胞系の結合反応の検出である。
【
図9B】
図9BはFACSによるEGFRvIII抗体とヒト正常組織HFL-I細胞系の結合反応の検出である。
【
図9C】
図9CはFACSによるEGFRvIII抗体とヒト正常組織QSG-7701細胞系の結合反応の検出である。
【
図9D】
図9DはFACSによるEGFRvIII抗体とヒト正常組織HEEC細胞系の結合反応の検出である。
【
図9E】
図9EはFACSによるEGFRvIII抗体とヒト正常組織HEB細胞系の結合反応の検出である。
【
図9F】
図9FはFACSによるEGFRvIII抗体とヒト正常組織WPMY-1細胞系の結合反応の検出である。
【
図9G】
図9GはFACSによるEGFRvIII抗体とヒト正常組織MCF-10A細胞系の結合反応の検出である。
【
図10A】
図10Aはヒト脳膠細胞腫組織チップに対するEGFR抗体(マウス抗80E11)の免疫組織化学染色の結果である。
【
図10B】
図10Bはヒト正常組織チップに対するEGFR抗体(マウス抗80E11)の免疫組織化学染色の結果である。
【
図10C】
図10Cはヒト脳膠細胞腫組織チップに対するEGFRvIII抗体(鼠抗63A10)の免疫組織化学染色の結果である。
【
図10D】
図10DはEGFRvIII抗体(鼠抗63A10)のヒト正常組織チップに対する免疫組織化学染色の結果である。
【
図10E】
図10Eはヒト脳膠細胞腫組織チップに対するEGFRvIII抗体(鼠抗75G7)の免疫組織化学染色の結果である。
【
図10F】
図10Fはヒト正常組織チップに対するEGFRvIII抗体(鼠抗75G7)の免疫組織化学染色の結果である。
【
図11】
図11は酵素結合免疫吸着実験(ELISA)によるキメラ抗体とEGFRvIIIタンパク質の結合の検出である。
【
図12A】
図12AはFACSによるEGFRvIIIキメラ抗体とU87MG-hEGFRvIIIの結合反応の検出である。
【
図12B】
図12BはFACSによるEGFRvIIIキメラ抗体とA431の結合反応の検出である。
【
図12C】
図12CはFACSによるEGFRvIIIキメラ抗体とU87MGの結合反応の検出である。
【
図12D】
図12DはFACSによるEGFRvIIIキメラ抗体とHEBの結合反応の検出である。
【
図13A】
図13AはU87MG-EGFRvIIIに対するEGFRvIII抗体-MMAF抗体複合体の細胞殺傷作用である。
【
図13B】
図13BはA431に対するEGFRvIII抗体-MMAF抗体複合体の細胞殺傷作用である。
【
図13C】
図13CはU87MGに対するEGFRvIII抗体-MMAF抗体複合体の細胞殺傷作用である。
【
図13D】
図13DはHEBに対するEGFRvIII抗体-MMAF抗体複合体の細胞殺傷作用である。
【
図14A】
図14AはU87MG-EGFRvIII異種移植腫瘍担持マウスの腫瘍体積の変化である。
【
図14B】
図14BはU87MG-EGFRvIII異種移植腫瘍担持マウスの体重の変化である。
【
図15】
図15は75G7C6抗体の重鎖可変領域CDR2のNG突然変異後の抗体のELISA結合活性の同定である。
【
図16】
図16は75G7C6抗体の重鎖可変領域CDR3のNG突然変異後の抗体のELISA結合活性の同定である。
【
図17A】
図17AはFACSによる75G7C6抗体の重鎖可変領域CDR2のNG突然変異後の抗体とCHOK-EGFRvIII細胞の結合活性の検出である。
【
図17B】
図17BはFACSによる75G7C6抗体の重鎖可変領域CDR2のNG突然変異後の抗体とCHOK-EGFR細胞の結合活性の検出である。
【
図18A】
図18AはFACSによる75G7C6抗体の重鎖可変領域CDR3のDGがSG、EGまたはDAに突然変異した後の突然変異抗体とCHOK-EGFRvIII細胞の結合活性の検出である。
【
図18B】
図18BはFACSによる75G7C6抗体の重鎖可変領域CDR3のDGがSG、EGまたはDAに突然変異した後の突然変異抗体とCHOK-EGFR細胞の結合活性の検出である。
【
図19】
図19はヒト化抗EGFRvIII抗体h75G7C6の重鎖可変領域h75G7C6.VHおよびそのバリアントとキメラ抗体c75G7C6.VHおよびヒトVHエクソンIGHV1-46*01/JH6bの配列アライメントで、枠の箇所はCDRである。
【
図20】
図20はヒト化抗EGFRvIII抗体h75G7C6の軽鎖可変領域h75G7C6.VLおよびそのバリアントとキメラ抗体c75G7C6.VLおよびヒトVLエクソンIGKV3-11*01/JK4の配列アライメントで、枠の箇所はCDRである。
【
図21】
図21はヒト化抗EGFRvIII抗体h63A10A7の重鎖可変領域h63A10A7.VHおよびそのバリアントとキメラ抗体c63A10A7.VHおよびヒトVHエクソンIGHV1-46*01/JH4の配列アライメントで、枠の箇所はCDRである。
【
図22】
図22はヒト化抗EGFRvIII抗体h63A10A7の軽鎖可変領域h63A10A7.VLおよびそのバリアントとキメラ抗体c63A10A7.VLおよびヒトVLエクソンIGKV1-39*01/JK2の配列アライメントで、枠の箇所はCDRである。
【
図23A】
図23AはELISAによるヒト化抗体h75G7C6バリアントとヒトEGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応の検出である。
【
図23B】
図23BはELISAによるヒト化抗体h75G7C6バリアントとヒトEGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応の検出である。
【
図23C】
図23CはELISAによるヒト化抗体h75G7C6バリアントとヒトEGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応の検出である。
【
図24A】
図24AはELISAによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとヒトEGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応の検出である。
【
図24B】
図24BはELISAによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとヒトEGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応の検出である。
【
図24C】
図24CはELISAによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとヒトEGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応の検出である。
【
図24D】
図24DはELISAによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとヒトEGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応の検出である。
【
図24E】
図24EはELISAによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとヒトEGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応の検出である。
【
図25A】
図25AはFACSによるヒト化抗体h75G7C6バリアントとU87MG-EGFRvIII細胞の結合反応の検出である。
【
図25B】
図25BはFACSによるヒト化抗体h75G7C6バリアントとU87MG-EGFRvIII細胞の結合反応の検出である。
【
図25C】
図25CはFACSによるヒト化抗体h75G7C6バリアントとU87MG-EGFRvIII細胞の結合反応の検出である。
【
図26A】
図26AはFACSによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとU87MG-EGFRvIII細胞の結合反応の検出である。
【
図26B】
図26BはFACSによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとU87MG-EGFRvIII細胞の結合反応の検出である。
【
図26C】
図26CはFACSによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとU87MG-EGFRvIII細胞の結合反応の検出である。
【
図26D】
図26DはFACSによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとU87MG-EGFRvIII細胞の結合反応の検出である。
【
図26E】
図26EはFACSによるヒト化抗体h63A10A7バリアントとU87MG-EGFRvIII細胞の結合反応の検出である。
【
図27】
図27はFACSによるヒト化h75G7C6バリアントと表面にEGFRが発現される腫瘍細胞A431および正常のヒト初代肝細胞の結合の検出である。
【
図28A】
図28AはFACSによるヒト化63A10A7バリアントと表面にEGFRが発現される腫瘍細胞A431および正常のヒト初代肝細胞の結合の検出である。
【
図28B】
図28BはFACSによるヒト化63A10A7バリアントと表面にEGFRが発現される腫瘍細胞A431および正常のヒト初代肝細胞の結合の検出である。
【発明を実施するための形態】
【0130】
具体的な実施形態
以下、実施例の形によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を記載された実施例の範囲内に限定するわけではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の方法および条件、あるいは商品の説明書に従って選ばれた。
【0131】
以下、実施例の形によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を記載された実施例の範囲内に限定するわけではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の方法および条件、あるいは商品の説明書に従って選ばれた。
【0132】
実施例に記載の室温は本分野の通常の室温で、一般的に10~30℃である。
【0133】
実施例1 EGFRvIII抗体の製造
(一).免疫原Aの製造
ヒト由来EGFRvIIIタンパク質の細胞外領域のアミノ酸配列(NCBI:NP_005219.2、30~297番目のアミノ酸欠失)をコードするヌクレオチド配列をヒトIgG Fc断片(hFc)を持つpCpCベクター(Invitrogenから購入、V044-50)にクローニングして、既に確立された標準の分子生物学的方法によってプラスミドを調製し、具体的な方法はSambrook, J., Fritsch, E. F.およびManiatis T.(1989). Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition(Plainview, New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照する。HEK293細胞(Invitrogenから購入)に対して一過性形質移入(PEI、Polysciences)を行って、FreeStyleTM 293(Invitrogen)によって37℃で増幅培養を行った。4日後細胞培養液を収集し、遠心で細胞成分を除去し、EGFRvIIIタンパク質の細胞外領域を含有する培養上清液を得た。培養上清液をプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラム(Mabselect Sure、GE Healthcareから購入)に仕込み、同時に紫外(UV)検出装置によって紫外吸収値(A280nm)の変化をモニタリングした。仕込み後、PBSリン酸塩緩衝液(pH7.2)で紫外吸収値がベースラインに戻るまでプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムを洗浄し、さらに0.1 Mグリシン塩酸(pH2.5)で溶離させ、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムから溶離したhFcタグ付きのEGFRvIIIタンパク質(EGFRvIII-hFc)を収集し、PBSリン酸塩緩衝液(pH 7.2)で4℃の冷蔵庫において一晩透析した。透析後のタンパク質を0.22μmで無菌ろ過した後、分注して-80℃で保存し、すなわち、精製された免疫原Aを得た。
【0134】
(二).免疫原Bの製造
ヒト由来EGFRvIII全長アミノ酸配列(NCBI:NP_005219.2、30~297番目のアミノ酸欠失)をコードするヌクレオチド配列および人由来EGFR全長アミノ酸配列(NCBI:NP_005219.2)をコードするヌクレオチド配列は、pIRESベクター(Clontechから購入)にクローニングしてプラスミドを製造した。HEK293細胞、U87MG細胞系およびCHO-K1細胞系(いずれもInvitrogenから購入)に対してプラスミドの形質移入(PEI、Polysciences)を行った後、0.5μg/mlの10%(w/w)牛胎児血清を含有するDMEM培地で2週間選択培養し、有限希釈法によって96ウェルプレートでサブクローニングを行い、そして37℃、5%(v/v)CO
2で培養し、約2週間後、一部の単一のクローンウェルを選んで6ウェルプレートで増幅した。増幅されたクローンに対して既知のEGFRvIII抗体(Absoluteantibodyから購入,#Ab00184-1.1)でフローサイトメトリー分析法によってスクリーニングした。生長が良く、蛍光強度が高く、単一クローンの細胞系を選んで続いて増幅培養して液体窒素で冷凍保存し、すなわち、免疫原Bを得た。具体的な選択の結果は表3および
図1に示す通りで、IgGサブタイプの対照はマウスIgG対照である。表3では、既に一連のEGFRvIII陽性発現のCHO-K1、U87MGおよび293F細胞系、ならびにEGFR陽性発現のCHO-K1細胞系を製造できたことが示された。
図1~4において、横座標は細胞の蛍光強度で、縦座標は細胞数である。
図1、2、3、4の結果から、CHO-K1-hEGFRvIII 1G10、CHO-K1-hEGFR 3G2、U87MG-hEGFRvIII 2G2および293F-hEGFRvIII 1C10は、EGFRvIII高レベル発現細胞株で、CHO-K1-hEGFR 3G2はEGFR高レベル発現細胞株であることが示された。EGFR抗体も同様の免疫手段によって得られ、主に対照として、EGFRvIII抗体がEGFR抗体よりも優れた組織特異性を有することを証明するためである。
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
(三).ハイブリドーマ細胞の製造と抗体のスクリーニング
A.免疫原Aによる免疫は、6~8週齢のBALB/cAnNCrlマウスまたはSJL/JorllcoCrlマウス(上海SLAC社から購入)を使用し、マウスはSPF条件において飼育した。初回の免疫時、免疫原Aタンパク質をフロイント完全アジュバントで乳化した後、腹腔に0.25mL、すなわち、各マウスに50μg/匹ずつ、免疫原Aタンパク質を注射した。強化免疫の場合、免疫原Aタンパク質をフロイント不完全アジュバントで乳化した後、腹腔に0.25mL、すなわち、各マウスに50μg/匹ずつ、免疫原Aタンパク質を注射した。初回免疫と1回目の強化免疫の間は2週間の間隔で、その後の毎回の強化免疫は3週間おきに行われた。毎回の強化免疫の1週間後、採血し、ELISAおよびFACSによって血清における免疫原Aの抗体力価および特異性を検出し、結果を
図5および表7~8に示す。表7~8では、ヒト由来EGFRvIII-hFcで免疫されたマウスの免疫後の血清がいずれも免疫原Aに対して異なる程度の結合があり、抗原抗体反応を示し、中でも、最高の希釈度が100万程度であったことが示された。ここで、ブランク対照は1%(w/w)BSAで、中では、バッチとは2回目の強化免疫から7日目のマウス血清を表し、表におけるデータはOD
450nm値である。
【0140】
【0141】
【0142】
B.免疫原Bによる免疫は、6~8週齢のBALB/cAnNCrlマウスまたはSJL/JorllcoCrlマウス(上海SLAC社から購入)を使用し、マウスはSPF条件において飼育した。ヒト由来EGFRvIII全長アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含有するpIRESプラスミド[実施例1の工程(二)を参照する]でHEK293細胞を形質移入し、ヒト由来EGFRvIIIを含有するHEK293安定細胞系293F-hEGFRvIII 1C10を得た(形質移入はX-treme GENE HP DNA Transfection Reagentが使用され、Roche社から購入され、カタログ番号はCat #06 366 236 001で、そして説明書に従って操作された)。T-75細胞培養瓶において90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、DMEM基礎培地(Invitrogenから購入)で2回洗浄した後、無酵素細胞分解液(Invitrogenから購入)によって37℃で細胞が培養シャーレの壁から脱落可能になるまで処理し、細胞を収集した。DMEM基礎培地で2回洗浄し、細胞の計数を行った後、細胞をリン酸塩緩衝液(pH7.2)で2×107細胞/mLに希釈した。各マウスに毎回の免疫の時0.5mLの細胞懸濁液を腹腔注射した。1回目と2回目の強化免疫の間は2週間の間隔で、その後の毎回の免疫は3週間おきに行われた。1回目の免疫以外、毎回の免疫の1週間後、採血し、FACSによって血清における抗体力価および特異性を検出した。2回目の強化免疫後、FACSによる血清における抗体力価が1:1000以上に達した。
【0143】
A~B工程が完成する前に、選ばれた各マウスに最後の免疫として100μgの精製された免疫原A(免疫原Aに免疫反応が生じるマウス)または免疫原B(免疫原Bに免疫反応が生じるマウス)を腹腔注射し、5日後マウスを殺処分し、脾臓細胞を収集した。最終濃度が1%(w/w)になるようにNH4OHを入れ、脾臓細胞に混ざった赤血球を分解させ、脾臓細胞懸濁液を得た。DMEM基礎培地で1000回/分で遠心して細胞を3回洗浄した後、生細胞数5:1の比率でマウス骨髓腫細胞SP2/0(ATCCから購入)と混合し、高効率電気融合方法によって(METHODS IN ENZYMOLOGY, VOL. 220を参照する)細胞融合を行った。融合した細胞を20%牛胎児血清、1×HATを含有するDMEM培地に希釈したが、前記百分率は質量百分率である。その後、1×105/200μL/ウェルで96ウェル細胞培養プレートに入れ、5%CO2、37℃のインキュベーターに置いたが、前記百分率は体積百分率である。14日後、ELISAおよびAcumen(マイクロプレート細胞検出法)によって細胞融合プレートの上清を選別し、ELISAにおけるOD450nm>1.0かつAcumenにおけるMFI値>100の陽性クローンを24ウェルプレートに続服し10%(w/w)HT牛胎児血清を含有するDMEM(invitrogen)において37℃、5%(v/v)CO2の条件で増幅培養した。3日培養した後、24ウェルプレートにおいて増幅培養された培養液を遠心し、上清液を収集し、上清液に対して抗体のサブタイプの分析を行い、ELISA、FACSによってEGFRvIIIタンパク質およびEGFRvIII陽性細胞に対する結合活性を確認し(結合活性の検出方法はそれぞれ実施例3Aおよび実施例3Bを参照する)、そして抗マウス抗体-MMAF間接細胞毒性殺傷実験を行った(間接細胞毒性殺傷活性の検出方法はそれぞれ実施例4を参照する)。
【0144】
24ウェルプレートの選別結果に基づき、ELISA実験におけるOD450nm>1.0、FACS実験におけるMFI値>50かつ間接細胞毒性殺傷実験におけるハイブリドーマ細胞培養上清液のEGFRvIII陽性細胞に対する殺傷率が50%に達したハイブリドーマ細胞を条件に合致する陽性クローンとし、条件に合致したハイブリドーマ細胞を有限希釈法によって96ウェルプレートでサブクローニングを行い、10%(w/w)FBS含有DMEM培地(invitrogenから購入)で37℃、5%(v/v)CO2の条件において培養した。サブクローニングから10日後ELISAおよびAcumenによって初期選別を行い、単一陽性クローンを選んで24ウェルプレートで培養を続けた。3日後、FACSによって抗原結合陽性を確認して、抗マウス抗体-MMAF間接細胞毒性殺傷実験によって生物活性を評価した(評価基準はFACS実験におけるMFI値>50かつ間接細胞毒性殺傷実験におけるハイブリドーマ細胞培養上清液のEGFRvIII陽性細胞に対する殺傷率が50%に達したことである)。
【0145】
24ウェルプレートのサンプルの検出結果から、最適なクローンを選択し、そして10%(w/w)FBSを含有するDMEM培地(invitrogenから購入)において37℃、5%(v/v)CO2の条件で当該最適なクローンを増幅培養し、液体窒素で凍結保存し、本発明のハイブリドーマ細胞を得たが、そして後の抗体の生産と精製に使用することができる。
【0146】
実施例2 リード抗体の生産と精製
ハイブリドーマ細胞が生成した抗体濃度は約1~10μg/mLと低く、濃度の変化が大きい。そして、培地における細胞培養で生じた多くのタンパク質および培地に含まれる牛胎児血清の成分は、多くの生物活性分析方法にいずれも異なる程度の干渉があるため、小規模(1~5mg)で抗体の生産と精製を行う必要がある。
【0147】
実施例1で得られたハイブリドーマ細胞をT-75細胞培養瓶に接種して生産培地(Hybridoma serum free medium、Invitrogen社から購入)で3代馴化継代した。その生長状態が良くなったら、細胞を培養回転瓶に接種した。各2Lの培養回転瓶に200mLの生産培地を入れ、接種細胞密度は1.0×105個/mLであった。蓋をしっかりし、回転瓶を37℃インキュベーターにおける回転装置に置き、回転数を3回/分とした。連続して14日回転培養した後、細胞培養液を収集し、ろ過で細胞を除去し、そして培養上清液が清澄になるまで0.45μmのろ膜でろ過した。清澄になった培養上清液をすぐに精製したか、あるいは-30℃で冷凍保存した。
【0148】
清澄なハイブリドーマ細胞の培養上清液(200 mL)におけるモノクローナル抗体を2mLプロテインAカラム(GE Healthcareから購入)によって精製した。プロテインGカラムはまず平衡緩衝液(PBSリン酸緩衝液、pH7.4)で平衡化した後、清澄な培養上清液をプロテインAカラムに仕込み、流速を3mL/分に制御した。仕込みが終了した後、平衡緩衝液でプロテインGカラムを洗浄し、平衡緩衝液の体積はプロテインAカラムのベッド体積の4倍であった。溶離液(0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝液、pH3.5)でプロテインAカラムに結合したEGFRvIII抗体を溶離させ、紫外検出器によって溶離状況をモニタリングした(A280紫外吸収ピーク)。溶離した抗体を収集し、10%の1.0M Tris-HCl緩衝液を入れてpHを中和し、前記百分率は体積百分率で、またすぐPBSリン酸緩衝液で一晩透析し、2日目に液置換を1回行い、続いて3時間透析した。透析されたEGFRvIII抗体を収集し、0.22μmのフィルターによって無菌ろ過を行い、無菌で保存し、すなわち、精製されたEGFRvIII抗体を得た。
【0149】
精製されたEGFRvIII抗体に対してタンパク質の濃度(A280/1.4)、純度、内毒素(Lonzaキット)などの検出・分析を行ったが、結果は表9に示すように、結果から、抗体の最終製品の内毒素濃度が1.0EU/mg以内であったことがわかる。
【0150】
【0151】
【0152】
実施例3 リード抗体の同定
A.酵素結合免疫吸着実験(ELISA)による抗体とEGFRvIIIタンパク質の結合の検出
実施例2で得られた精製されたEGFRvIII抗体に対して、ヒトEGFRvIII-hFcタンパク質との反応を行った。
【0153】
実施例1で得られた精製された免疫原A(EGFRvIII-hFc)(その製造方法は実施例1の工程(一)を参照する)をPBSで最終濃度が1.0μg/mLになるように希釈した後、100μL/ウェルで96ウェルELISAプレートに入れた。プラスチック膜で密封して4℃で一晩インキュベートし、2日目にプレートを洗浄液[PBS+0.01%(v/v)Tween20]で2回洗浄し、ブロッキング液[PBS+0.01%(v/v)Tween20+1%(w/w)BSA]を入れて室温で2時間ブロッキングした。ブロッキング液を捨て、実施例2で得られた精製されたEGFRvIII抗体を100μL/ウェルで入れた。37℃で2時間インキュベートした後、プレートを洗浄液[PBS+0.01%(v/v)Tween20]で3回洗浄した。HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)で標識された二次抗体(Sigmaから購入)を入れ、37℃で2時間インキュベートした後、洗浄液[PBS+0.01%(v/v)Tween20]でプレートを3回洗浄した。TMB基質を100μL/ウェル入れ、室温で30分間インキュベートした後、停止液(1.0N HCl)を100μL/ウェル入れた。ELISAプレートリーダー(SpectraMax 384plus、Molecular Deviceから購入)によってA450nm値を読み取ったが、結果は
図6および表10に示すように、表10では、精製された抗体とEGFRvIII組み換えタンパク質がELISAレベルで結合したことがわかる。ここで、IgG対照はマウスIgGで、表中のデータはOD
450nm値である。
【0154】
【0155】
B.フローサイトメトリー実験(FACS)による抗体とEGFRvIII発現細胞の結合の検出
所要の細胞をT-75細胞培養瓶において90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、HBSS緩衝液(Hanks Balanced Salt Solution)(Invitrogenから購入)で2回洗浄した後、無酵素細胞分解液(Versene solution:Life technology社から購入)によって処理し、そして細胞を収集した。HBSS緩衝液で細胞を2回洗浄し、細胞の計数を行った後、細胞をHBSS緩衝液で2×10
6個細胞/mLに希釈し、1%ヤギ血清ブロッキング液を入れ、前記百分率は質量百分率で、氷の上で30分間インキュベートした後、HBSS緩衝液で3回遠心洗浄した。収集された細胞をFACS緩衝液(HBSS+1%BSA、前記百分率は質量百分率である)で2×10
6個細胞/mLに懸濁させ、100μL/ウェルで96ウェルFACS反応プレートに入れ、実施例2で得られた精製されたEGFRvIII抗体の被験サンプルを100μL/ウェルで入れ、氷の上で2時間インキュベートした。FACS緩衝液で2回遠心洗浄し、100μL/ウェルの蛍光(Alexa 488)で標識された二次抗体(invitrogenから購入)を入れ、氷の上で1時間インキュベートした。FACS緩衝液で3回遠心洗浄し、100μL/ウェルの固定液[4%(v/v)パラホルムアルデヒド]を入れて細胞を懸濁させ、10分間後FACS緩衝液で2回遠心洗浄した。100μLのFACS緩衝液で細胞を懸濁させ、FACS(FACS Calibur、BD社から購入)によって検出して結果を分析した。ソフト(CellQuest)によってデータ分析を行い、細胞の平均蛍光強度(MFI)を得た。さらにソフト(GraphPad Prism5)によって分析し、データのフィッティングを行い、EC50を計算した。分析結果は表11および
図7に示すように、被験抗体はいずれもU87MG-hEGFRvIII細胞表面のEGFRvIIIタンパク質に結合できたことが示された(
図7A)。A431細胞(ヒト上皮細胞癌細胞系)の表面に大量の野生型EGFRタンパク質の発現があり、
図7Bから、マウス抗75G7、63A10および64F1はA431細胞表面の野生型EGFRタンパク質と弱く結合するが、マウス抗7E5(抗体クローン番号7E5-2A9)は野生型EGFRタンパク質を認識せず、突然変異型EGFRvIIIタンパク質のみを特異的に認識することがわかる。U87MG細胞(ヒト脳膠細胞腫細胞系)の表面に少量の野生型EGFRタンパク質の発現があるが、HEB細胞(ヒト脳膠細胞系)の表面に高レベルの野生型EGFRタンパク質の発現がある。被験抗体はU87MGとHEB細胞のいずれとも結合反応がなかったことから、マウス抗75G7、63A10および64F1は良い特異性を有し、腫瘍組織における突然変異型EGFRvIIIタンパク質および過剰発現の野生型EGFRタンパク質のみを認識し、正常組織における野生型EGFRタンパク質を認識しないことが示された(
図7C、D)。
【0156】
【0157】
実施例4 EGFRvIII抗体薬物複合体の細胞殺傷活性実験
抗体をpHが6.5~8.5のホウ酸ナトリウム緩衝液で透析した後、一定の比率のTCEPを入れて還元させ(TCEP/抗体の比率は2~10である)、室温または37度で2~4時間還元させ、G25脱塩フィラーを通らせて余分のTCEPを除去し、一定の比率のMC-MMAF(薬物/抗体比は5~20である)を入れて4時間反応させた。さらに余分の薬物を中和するためにシステインを入れ、そしてG25を通らせて余分の小分子を除去した。精製された抗体薬物複合体を得た(複合方法はDoronina,2006, Bioconjugate Chem.17,114-124を参照する)。HICによって薬物の薬物抗体比、純度などのパラメーターを分析した後、細胞毒性分析を行った。比較しやすいように、すべての抗体複合体の薬物抗体比は8であった。
【0158】
得られた抗体複合体はそれぞれ完全培地で勾配希釈し、96ウェル細胞培養プレートに1000細胞/ウェルで90μLのU87MG-EGFRvIII細胞懸濁液を入れ、各ウェルにそれぞれ10μLの異なる濃度の精製された抗体薬物複合体の希釈液を入れ、続いて5日培養した後、CellTiter-Gloキット(Promegaから購入され、使用方法は製品説明書を参照した)によって細胞の活力を検出した。
【0159】
結果は表12および
図8に示される通りで、ここで、表13-1のIC50とは薬物で作用させた後、細胞の活性が抑制される半数効果量で、細胞の活性を検出することによって細胞の殺傷活性を反映させることができる。中では、
図8はEGFRvIII陽性の組み換え腫瘍細胞系U87MG-EGFRvIIIに対する抗体薬物複合体の細胞殺傷活性の検出で、結果から、体外実験において、被験抗体はいずれも表面に突然変異型EGFRvIIIタンパク質が発現されるU87MG-hEGFRvIII細胞に対して良い殺傷作用が生じたことが示された(
図8A)。A431細胞(ヒト上皮細胞癌細胞系)の表面に大量の野生型EGFRタンパク質の発現があり、
図8Bから、マウス抗75G7、63A10および64F1はA431に対して比較的に弱い殺傷作用を有することがわかる。U87MG細胞(ヒト脳膠細胞腫細胞系)の表面に少量の野生型EGFRタンパク質の発現があるが、HEB細胞(ヒト脳膠細胞系)の表面に高レベルの野生型EGFRタンパク質の発現がある。U87MGおよびHEB細胞に対するマウス抗75G7、63A10および64F1の殺傷作用は弱かったか、あるいは殺傷作用はなかったが、
図8C、
図8Dを参照する。マウス抗75G7、63A10および64F1は良い特異性を有し、突然変異型EGFRvIIIタンパク質の発現および野生型EGFRタンパク質の過剰発現をする腫瘍組織を特異的に殺傷することができ、野生型EGFRタンパク質を発現する正常組織には殺傷作用はないことが示された。
【0160】
【0161】
実施例5 EGFRvIII抗体のエピトープ分析
A.競争ELISA法によるエピトープ分析(エピトープビニング、Epitope Binning)
抗体の抗原に対する結合部位を同定するため、競争ELISA法によってEGFRvIII抗体に対して群分けを行った。
【0162】
精製された被験抗体をPBSで1μg/mLに希釈し、50μL/ウェルで96ウェル高吸着マイクロプレートを被覆し、4℃で一晩被覆した後、250μLのブロッキング液[0.01%(v/v)Tween20および1%(w/w)BSAを含有するPBS]で室温で1時間ブロッキングし、各ウェルに0.05μg/mLのビオチンで標識された組み換えEGFRvIIIタンパク質を入れた。同時に5μg/mLの競争抗体、すなわち、実施例2で得られた精製されたEGFRvIII抗体を入れ、そして25~37℃で1~2時間インキュベートした。洗浄液[0.01%(v/v)Tween20を含有するPBS]でプレートを3回洗浄し、HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)で標識されたストレプトアビジン(Sigmaから購入)を入れた。37℃で0.5時間インキュベートした後、プレートを洗浄液[0.01%(v/v)Tween20を含有するPBS]で3回洗浄した。TMB基質を100μL/ウェルで入れ、室温で30分間インキュベートした後、停止液(1.0N HCl)を100μL/ウェルで入れた。ELISAプレートリーダー(SpectraMax 384plus、Molecular Deviceから購入)によってA450nm値を読み取ったが、結果は
図6に示す。A450nm値から、抗体同士の間の競争率を算出したが、結果は表13-1に示す。競争率の数値が高いほど、2つの抗体の抗原表面が近いことを示す。
【0163】
【0164】
競争ELISAの結果から、対照抗体02とマウス抗7E5、63A10および64F1のエピトープは競争性を有することが示され、同じまたは類似のエピトープであることが推測される。一方、マウス抗75G7と対照抗体02は競争性がないため、マウス抗75G7のエピトープは対照抗体02と異なることが推測される。ここで、対照抗体01はAMG-595(Amgenから購入)で、対照抗体02はABT-414(Abbvieから購入)である。
【0165】
B.ポリペプチドアレイELISA法によるエピトープ分析(エピトープマッピング、Epitope Mapping)
本発明の4つの抗体特異的結合エピトープの候補を確認するため、ポリペプチドアレイ競争ELISA法によって抗体のエピトープを分析した。EGFRvIIIタンパク質の1~50番目のアミノ酸を鋳型とし、N末端から、15個のアミノ酸が重なるように移動し、長さ16個アミノ酸のポリペプチドを合成した。ポリペプチドのC末端にビオチン標識を付加した。ポリペプチドの合成はGLバイオケム社によって完成され、計35本のビオチン標識ポリペプチドが合成され、配列の詳細は表13-2を参照する。
【0166】
【0167】
【0168】
ポリペプチドアレイELISAの結果から、対照抗体01とマウス抗7E5、マウス抗64F1、マウス抗63A10は同様または類似のエピトープ、すなわち、CGADSYEMEEDGVRKCを有することが示された。一方、マウス抗75G7はこの35本のポリペプチドのいずれとも結合しなかったため、マウス抗75G7のエピトープは、対照抗体01および対照抗体01のいずれとも異なることが示された。ここで、対照抗体01はAMG-595(Amgenから購入)で、対照抗体02はABT-414(Abbvieから購入)である。そのため、マウス抗75G7のエピトープはさらなる実験検証が必要である。
【0169】
実施例6 EGFRvIII抗体の結合特異性の分析
前記EGFRvIII抗体は、特異的に活性化状態のEGFR、すなわち、腫瘍組織における突然変異体EGFRvIIIおよび過剰発現の野生型EGFRを認識することができるが、正常組織における野生型EGFRを認識しない。そのため、当該抗体は優れた標的特異性を有し、有効に抗体およびその複合体の人体の正常組織に対する危害を避け、抗体およびその複合体が有効に腫瘍の部位に集中するようにすることで、精確に腫瘍組織に対する有効な殺傷を実現し、ほかの正常器官に対する薬物の毒性・副作用を大幅に低下させる。
【0170】
A.FACSによるEGFRvIII抗体のヒト正常組織細胞系との結合の特異性の検出
7つのヒト正常組織の細胞系を選び、それぞれ異なる組織からのもので、詳細は表14を参照する。FACSによってEGFRvIII抗体のこの7つのヒト正常組織の細胞系との結合状況を検出して分析し、結果は
図9A~Gに示すように、4つのEGFRvIIIキメラ抗体はヒト正常組織の細胞系のいずれとも結合せず、キメラ抗体75G7のみがHEBおよびWPMY-1と弱い結合があった。この4つのEGFRvIIIキメラ抗体はいずれも良い組織特異性を有し、正常組織における野生型EGFRを認識しないことが示された。
【0171】
【0172】
B.免疫組織化学(IHC)によるEGFRvIII抗体の結合特異性の検出
ヒト脳膠細胞腫組織チップ(カタログ番号:GL805d)およびヒト多器官正常組織チップ(カタログ番号:FDA999n)はいずれも西安Alenabio社から購入された。
免疫組織化学染色の実験プロセスは以下の通りである。
1)切片を60℃で2時間加熱した。切片を加熱する目的は、染色の過程において切片が剥離しないように、ワックスがついた組織切片がスライドガラスに張り付くようにするためである。この目的を果たすためには、切片を56~60℃の恒温オーブンに少なくとも1時間置く必要があるが、通常の切片の加熱温度は8~60℃で、時間は2~6時間である。高温で乾燥すると、組織における抗原の酸化を加速させるため、高温における切片の加熱は抗原に対して破壊作用がある。
2)脱ワックスして水和した。それぞれキシレンI、IIにおいて15~30分間浸漬することにより、組織におけるワックスを除去した。しかし、ヒト組織に入ったキシレンは水溶性染色液に相溶しないため、さらに下降勾配のエタノールで組織におけるキシレンを次第に入れ替えていく必要がある。切片を100%エタノールI、IIにおいてそれぞれ5分間浸漬し、95%、90%、80%および70%エタノールにおいてそれぞれ2分間浸漬し、PBSで毎回3分間で3回洗浄し、蒸留水に置いて使用に備えた。
3)抗原の修復は、組織チップをpH9.0のEDTA溶液に置き、高温で5分間修復した。
4)内因性ペルオキシダーゼのブロッキングは、組織チップを3% H2O2に室温で5分間置いた。
5)非免疫血清によるブロッキングは、組織チップを5% FBSに室温で15分間置いた。抗体は組織切片における電荷を多く含むコラーゲンおよび結合組織の成分によって吸着される。よって、背景の着色が起こるため、この現象の発生を防ぐため、特異性抗体で切片を処理する前に、二次抗体と同一種の非免疫血清で電荷をブロッキングし、一次抗体との結合を阻止し、非特異的な背景の着色を抑制すればよい。通常の方法は、2%~10%ヤギ血清または2%~5%ウシ血清アルブミンで室温において10~30分間作用させる。
6)一次抗体のインキュベートは、室温で1時間置いた。
7)二次抗体のインキュベートは、室温で0.5時間置いた。
8)DAB呈色は、室温で5分間置いた。
9)ヘマトキシリンによる細胞核の二重染色は、室温で10秒置いた。
10)切片を封止して検出した。
【0173】
免疫組織化学染色の結果は
図10A~Fを参照する。マウス抗80E11は野生型EGFRに対する抗体で、
図10A~Fから、野生型EGFRはヒト脳膠細胞腫組織およびヒト多器官正常組織のいずれでも発現され、かつ腫瘍組織における発現量が正常組織よりも高いことがわかる。表15に示すように、マウス抗7E5、マウス抗64F1およびマウス抗63A10は、ヒト脳膠細胞腫組織チップにおける陽性率が34%、ヒト多器官の正常組織チップとの反応は基本的に陰性で、少数のサンプルのみで弱陽性であった。マウス抗75G7はヒト脳膠細胞腫組織チップおよびヒト多器官正常組織チップとの反応はいずれも陰性であった。マウス抗75G7のエピトープがほかの抗体と異なるため、チップの処理過程においてマウス抗75G7のエピトープを破壊した可能性がある。本実験において使用された組織チップはいずれもパラフィンによって包埋されたもので、このような方法はマウス抗75G7抗体の検出に適しない可能性がある。今後は凍結切片のIHCを試みる。
【0174】
【0175】
FACSおよびIHCの実験により、前記EGFRvIII抗体は腫瘍組織におけるEGFRを特異的に認識することができるが、正常組織におけるEGFRを認識しないことが証明された。そのため、当該抗体は優れた標的特異性を有し、有効に抗体およびその複合体の人体の正常組織に対する危害を避け、抗体およびその複合体が有効に腫瘍の部位に集中するようにすることで、精確に腫瘍組織に対する有効な殺傷を実現し、そして大幅に薬物のほかの正常器官に対する毒性・副作用を低下させる。
【0176】
実施例7 軽・重鎖可変領域のアミノ酸配列の測定
全RNA分離:遠心で実施例1で得られたハイブリドーマ細胞を5×107個の細胞を収集し、1mLのTrizolを入れて均一に混合して1.5mL遠心管に移し、室温で5分間静置した。0.2mLのクロロホルムを入れ、15秒振とうし、10分間静置した後、4℃で12000gで5分間遠心し、上清を取って新しい1.5mL遠心管に移した。0.5mLのイソプロパノールを入れ、管における液体を軽く均一に混合し、室温で10分間静置した後、4℃で12000gで15分間遠心し、上清を捨てた。1mLの75%(v/v)エタノールを入れ、軽く沈殿を洗浄し、4℃で12000gで5分間遠心した後、上清を捨て、沈殿物を自然乾燥し、DEPCで処理されたH2Oを入れて溶解させ(55℃水浴で溶解を10分間促進した)、全RNAを得た。
【0177】
逆転写とPCR:1μgの全RNAを取り、20μL系を調製し、逆転写酵素を入れた後42℃で60分間反応させ、7℃で10分間反応させて反応を停止させた。1μLのcDNA、各プライマー25pmol、1μLのDNAポリメラーゼおよび相応する緩衝系、250μmolのdNTPsを含む50μLのPCR系を調製した。95℃で予備変性3分、95℃で変性30秒、55℃でアニーリング30秒、72℃で伸長35秒で35サイクル後、余分に72℃で5分伸長するように、PCRプログラムを設定して、PCR産物を得た。ここで、逆転写に使用されたキットはPrimeScript RT Master Mixで、Takaraから購入され、カタログ番号はRR036で、PCRに使用されたキットはQ5ハイフィデリティーポリメラーゼを含み、NEBから購入され、カタログ番号はM0492であった。
【0178】
クローニングと配列決定:5μLのPCR産物を取ってアガロースゲル電気泳動によって検出し、陽性と検出されたサンプルをカラム回収キットによって精製し、ここで、回収キットはNucleoSpin<登録商標> Gel & PCR Clean-upで、MACHEREY-NAGELから購入され、カタログ番号は740609であった。連結反応:サンプル50ng、Tベクター50ng、リガーゼ0.5μL、緩衝液1μL、反応系10μLを16℃で半時間反応させて連結産物を得た。ここで、連結のキットはT4 DNAリガーゼで、NEBから購入され、カタログ番号はM0402であった。5μLの連結産物を100μLの感受性細胞(Ecos 101competent cells、Yeasternから購入、カタログ番号FYE607)に入れ、氷浴で5分間置き、その後、42℃で水浴で1分間ヒートショックさせ、氷の上に1分間置いた後650μLの抗生物質のないSOC培地を入れ、37℃でチェーカーで200rpmの速度で30分間蘇生させた。200μLを取って抗生物質を含有するLB固体培地に塗布して37℃のインキュベーターで一晩培養した。次の日に、Tベクターを使用してプライマーM13FとM13Rで30μLのPCR系を調製し、集落のPCRを行い、ピペットチップの先端で集落を取ってPCR反応系に吹き込み、かつ0.5μLを取ってもう一つの100nMアンピシリンを含有するLB固体培養シャーレに接種して菌株を保存した。PCR反応終了後、5μLを取ってアガロースゲル電気泳動によって検出し、陽性のサンプルに対して配列決定および分析を行った(ここで、CDRの区別はChothia定義システムによる)。配列決定の結果は表16~17に示す。
【0179】
【0180】
ここで、表17における数字は配列表おける配列番号で、たとえば43H6A1の重鎖タンパク質の可変領域のアミノ酸配列は配列番号1で、43H6A1の重鎖タンパク質の可変領域におけるCDR1のアミノ酸配列は配列番号2である。
【0181】
【0182】
ここで、表18における数字は配列表における配列番号で、たとえば75G7C6の重鎖タンパク質の可変領域をコードするヌクレオチド配列は配列番号105である。
【0183】
実施例8 EGFRvIIIヒト/マウスキメラ抗体の生産と精製
1)プラスミドの構築と用意:上記マウス由来リード抗体の重鎖可変領域をシグナルペプチドおよびヒト由来重鎖抗体IgG1定常領域を含む発現ベクター(ここで、発現ベクターはInvitrogenから購入され、組み換え工程も上海睿智化学によって完成された)に組み込み、EGFRvIII抗体の軽鎖可変領域をシグナルペプチドおよびヒト由来抗体軽鎖κ定常領域を含む発現ベクター(ここで、発現ベクターはInvitrogenから購入され、組み換え工程も上海睿智化学によって完成された)に組み込み、組み換えプラスミド(上記プラスミド組み換えの実験原理および工程は「モレキュラー・クローニング:研究室マニュアル(第三版)」、(米)J.Sambrookら著)を得て配列決定によって検証した。アルカリ溶解法キット(MACHEREY-NAGELから購入)によって高純度の組み換えプラスミドを中スケールで抽出し、質量が500μg以上で、0.22μmろ膜(Milloporeから購入)でろ過し、形質移入に備えた。
【0184】
2)細胞の形質移入:培地Freestyle 293 expression medium(Invitrogenから購入)で、293E細胞(Invitrogenから購入)を培養した。シェーカーは37℃、130RPMおよび8% CO2(v/v)とした。Freestyle 293 expression mediumは形質移入時10%(v/v)F68(Invitrogen)を、最終濃度が0.1%(v/v)になるように入れ、0.1%(v/v)F68含有Freestyle 293発現培地、すなわち、培地Aを得た。5mLの培地Aを取って200μg/mLのPEI(Sigmaから購入)と均一に混合し、培地Bを得た。5mLの培地Aを取って100μgの工程(1)で得られた組換えプラスミド(ここで、上記重鎖組み換えプラスミドと軽鎖組み換えプラスミドが通常のように等比率で混合した混合組み換えプラスミド)と均一に混合し、培地Cを得た。5分間後、培地Bと培地Cを合併して混合し、15分間静置し、混合液Dを得た。10mLの混合液Dをゆっくり100mLの293E細胞を含有する培地Freestyle 293 expression mediumに293Eの細胞密度が1.5×106個/mLになるように入れ、PEIが集中しすぎないように添加しながら振とうし、シェーカーに入れて培養した。翌日に、最終濃度が0.5%(w/v)になるようにペプトンを入れた。5~7日目に、培養液の抗体価を検出した。6~7日目に、遠心(3500RPM、30分)で上清を収集し、0.22μmろ膜でろ過し、ろ過された細胞上清液を得て精製に提供した。
【0185】
3)抗体の精製:連続的に生産される内毒素のないクロマトグラフィーカラムおよびプロテインAフィラーについて、0.1M NaOHで30min処理するか、あるいは5倍カラム体積の0.5M NaOHで洗浄した。長期間で未使用のカラムフィラーおよびクロマトグラフィーカラムは少なくとも1M NaOHで1h浸漬させ、内毒素のない水で中性になるまで洗浄し、10倍カラム体積の1%Triton X100でカラムフィラーを洗浄した。5倍カラム体積のPBSで平衡化した後、ろ過された細胞上清液をカラムにかけ、必要によって通過液を収集した。カラムにかけた後、5倍カラム体積のPBSで洗浄した。5倍カラム体積の0.1M pH 3.0のグリシン-HClで溶離させ、溶離液を収集し、そしてすぐに1/10体積のpH 8.5の1M Tris-HCl(1.5M NaCl)で中和した。抗体を得た後、内毒素の汚染を防ぐために、1×PBSで一晩透析した。透析終了後、分光光度計またはキットによって濃度を測定し、HPLC-SECによって抗体の純度を測定し、内毒素検出キット(Lonzaから購入)によって抗体の内毒素含有量を検出した。
【0186】
それぞれ精製されたEGFRvIIIキメラ抗体75G7、63A10、64F1および7E5を得た。
【0187】
精製されたEGFRvIIIキメラ抗体に対して、タンパク質の濃度(A280/1.4)、純度、内毒素(Lonzaキット)などの検出・分析を行ったが、結果は表18に示すように、結果から、抗体の最終製品の内毒素濃度が1.0EU/mg以内であったことがわかる。
【0188】
【0189】
実施例9 EGFRvIIIキメラ抗体の同定
A.酵素結合免疫吸着実験(ELISA)による抗体とEGFRvIIIタンパク質の結合の検出
実施例2で得られた精製されたEGFRvIIIキメラ抗体に対して、ヒトEGFRvIII-hFcタンパク質との反応を行った。
【0190】
実施例1で得られた精製された免疫原A(EGFRvIII-hFc)(その製造方法は実施例1の工程(一)を参照する)をPBSで最終濃度が1.0μg/mLになるように希釈した後、100μL/ウェルで96ウェルELISAプレートに入れた。プラスチック膜で密封して4℃で一晩インキュベートし、2日目にプレートを洗浄液[PBS+0.01%(v/v)Tween20]で2回洗浄し、ブロッキング液[PBS+0.01%(v/v)Tween20+1%(w/w)BSA]を入れて室温で2時間ブロッキングした。ブロッキング液を捨て、実施例2で得られた精製されたEGFRvIIIキメラ抗体を100μL/ウェルで入れた。37℃で2時間インキュベートした後、プレートを洗浄液[PBS+0.01%(v/v)Tween20]で3回洗浄した。HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)で標識された二次抗体(Sigmaから購入)を入れ、37℃で2時間インキュベートした後、洗浄液[PBS+0.01%(v/v)Tween20]でプレートを3回洗浄した。TMB基質を100μL/ウェル入れ、室温で30分間インキュベートした後、停止液(1.0N HCl)を100μL/ウェルで入れた。ELISAプレートリーダー(SpectraMax 384plus、Molecular Deviceから購入)によってA450nm値を読み取ったが、結果は
図11および表19に示すように、表19では、精製された抗体とEGFRvIII組み換えタンパク質がELISAレベルで結合したことがわかる。ここで、IgG対照はマウスIgGで、表中のデータはOD
450nm値である。
【0191】
【0192】
B.フローサイトメトリー実験(FACS)による抗体とEGFRvIII発現細胞の結合の検出
所要の細胞をT-75細胞培養瓶において、90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、HBSS緩衝液(Hanks Balanced Salt Solution)(Invitrogenから購入)で2回洗浄した後、無酵素細胞分解液(Versene solution:Life technology社から購入)によって処理し、そして細胞を収集した。HBSS緩衝液で細胞を2回洗浄し、細胞の計数を行った後、細胞をHBSS緩衝液で2×10
6個細胞/mLに希釈し、1%ヤギ血清ブロッキング液を入れ、前記百分率は質量百分率で、氷の上で30分間インキュベートした後、HBSS緩衝液で3回遠心洗浄した。収集された細胞をFACS緩衝液(HBSS+1%BSA、前記百分率は質量百分率である)で2×10
6個細胞/mLに懸濁させ、100μL/ウェルで96ウェルFACS反応プレートに入れ、実施例2で得られた精製されたEGFRvIII抗体の被験サンプルを100μL/ウェル入れ、氷の上で2時間インキュベートした。FACS緩衝液で2回遠心洗浄し、100μL/ウェルの蛍光(Alexa 488)で標識された二次抗体(invitrogenから購入)を入れ、氷の上で1時間インキュベートした。FACS緩衝液で3回遠心洗浄し、100μL/ウェルの固定液[4%(v/v)パラホルムアルデヒド]を入れて細胞を懸濁させ、10分間後FACS緩衝液で2回遠心洗浄した。100μL/ウェルのFACS緩衝液で細胞を懸濁させ、FACS(FACS Calibur、BD社から購入)によって検出して結果を分析した。ソフト(CellQuest)によってデータ分析を行い、細胞の平均蛍光強度(MFI)を得た。さらにソフト(GraphPad Prism5)によって分析し、データのフィッティングを行い、EC50を計算した。分析結果は表20および
図12A~Dに示すように、被験キメラ抗体はいずれもU87MG-hEGFRvIII細胞表面のEGFRvIIIタンパク質に結合できたことが示された(
図12A)。A431細胞(ヒト上皮細胞癌細胞系)の表面に大量の野生型EGFRタンパク質の発現があり、
図12Bから、キメラ抗体75G7、キメラ抗体63A10およびキメラ抗体64F1はA431細胞表面の野生型EGFRタンパク質と弱く結合するが、キメラ抗体7E5は野生型EGFRタンパク質を認識せず、突然変異型EGFRvIIIタンパク質のみを特異的に認識することがわかる。U87MG細胞(ヒト脳膠細胞腫細胞系)の表面に少量の野生型EGFRタンパク質の発現があるが、HEB細胞(ヒト脳膠細胞系)の表面に高レベルの野生型EGFRタンパク質の発現がある。被験抗体はU87MGとHEB細胞のいずれとも結合反応がなかったことから、キメラ抗体75G7、キメラ抗体63A10およびキメラ抗体64F1は良い特異性を有し、腫瘍組織における突然変異型EGFRvIIIタンパク質および過剰発現の野生型EGFRタンパク質のみを認識し、正常組織における野生型EGFRタンパク質を認識しないことが示された(
図12C、D)。
【0193】
【0194】
実施例10 EGFRvIIIキメラ抗体薬物複合体の細胞殺傷活性実験
抗体をpHが6.5~8.5のホウ酸ナトリウム緩衝液で透析した後、一定の比率のTCEPを入れて還元させ(TCEP/抗体の比率は2~10である)、室温または37度で2~4時間還元させ、G25脱塩フィラーを通らせて余分のTCEPを除去し、一定の比率のMC-MMAF(薬物/抗体モル比は4.5である)を入れて4時間反応させた。さらに余分の薬物を中和するためにシステインを入れ、そしてG25を通らせて余分の小分子を除去した。精製された抗体薬物複合体を得た(複合方法はDoronina,2006, Bioconjugate Chem.17,114-124を参照する)。HICによって薬物の薬物抗体比、純度などのパラメーターを分析した後、細胞毒性分析を行った。比較しやすいように、すべての抗体複合体の薬物抗体比は8であった[実験によってDAR(毒物抗体複合比率)が所定の数値になるように調整し、その後正確なDARを検出して確認した]。
【0195】
得られた抗体複合体はそれぞれ完全培地で勾配希釈し、96ウェル細胞培養プレートに1000細胞/ウェルで90μLのU87MG-EGFRvIII細胞懸濁液を入れ、各ウェルにそれぞれ10μLの異なる濃度の精製された抗体薬物複合体の希釈液を入れ、続いて5日培養した後、CellTiter-Gloキット(Promegaから購入され、使用方法は製品説明書を参照した)によって細胞の活力を検出した。
【0196】
結果は表21および
図13A~Dに示される通りで、ここで、表23のIC50とは、薬物で作用させた後、細胞の活性が抑制される半数効果量で、細胞の活性を検出することによって細胞の殺傷活性を反映させることができる。中では、
図13は抗体薬物複合体のEGFRvIII陽性の組み換え腫瘍細胞系U87MG-EGFRvIIIに対する細胞殺傷活性の検出で、結果から、体外実験において、被験抗体はいずれも表面に突然変異型EGFRvIIIタンパク質が発現されるU87MG-hEGFRvIII細胞に対して、良い殺傷作用が生じたことが示された(
図13A)。A431細胞(ヒト上皮細胞癌細胞系)の表面に大量の野生型EGFRタンパク質の発現があり、
図13Bから、キメラ抗体75G7、63A10および64F1はA431に対して比較的に弱い殺傷作用を有することがわかる。U87MG細胞(ヒト脳膠細胞腫細胞系)の表面に少量の野生型EGFRタンパク質の発現があるが、HEB細胞(ヒト脳膠細胞系)の表面に高レベルの野生型EGFRタンパク質の発現がある。キメラ抗体75G7、63A10および64F1のU87MGおよびHEB細胞に対する殺傷作用は弱かったか、あるいは殺傷作用はなかったが、
図13C、
図13Dを参照する。キメラ抗体75G7、63A10および64F1は良い特異性を有し、突然変異型EGFRvIIIタンパク質の発現および野生型EGFRタンパク質の過剰発現をする腫瘍組織を特異的に殺傷することができ、野生型EGFRタンパク質を発現する正常組織には殺傷作用はないことが示された。
【0197】
【0198】
実施例11 EGFRvIIIキメラ抗体薬物複合体の体内おける薬効学の研究
EGFRvIII遺伝子は腫瘍細胞の体外培養の過程において次第に発現がなくなるため、安定してEGFRvIII遺伝子を発現する内因性腫瘍細胞系がなかった。そのため、U87MG-EGFRvIII組み換え細胞系を構築し、U87MG-EGFRvIII皮下異種移植腫瘍モデルを確立し、キメラ抗体薬物複合体の体内における薬効を測定した。
【0199】
U87MG-EGFRvIII組み換え細胞系の構築方法は実施例1を参照する。U87MG-EGFRvIII細胞懸濁液200μl(1×106個)をBalb/cヌードマウスの右側背中に接種し、7日後腫瘍が150~250mm3に生長したら、適切な腫瘍体積の腫瘍担持マウスを選び、腫瘍体積によってマウスをランダムに分けた後、所定のプランに従って投与した。具体的な研究プランおよび投与量は表22を参照する。
【0200】
実験指標は腫瘍生長を抑制、遅延または治癒することができるかどうかという考察である。1日おきに腫瘍直径をノギスで測定した。腫瘍体積の計算公式は、V = 0.5 × a×b2で、aおよびbはそれぞれ腫瘍の長径および短径を表す。
【0201】
化合物の腫瘍抑制治療効果(TGI)はTGI(%)で評価した。TGI%=1-(TRTVn-TRTV1)/(CRTVn-CRTV1 )×100% (TRTVn:治療群の最終日のRTV;CRTV:陰性対照群のRTV)。相対腫瘍体積RTVの計算公式はRTV=Vt/V0である。ここで、V0は分けて投与する時点(即ちDay0)で測定された腫瘍体積で、Vtは毎回の測定の時の腫瘍体積である。T/C(%)の百分率値は腫瘍生長阻害率を反映し、医薬品審査評価センターの抗腫瘍薬物のガイダンスでは、TGI%≦58%の場合、当該薬が有効であると見なされる。
【0202】
【0203】
結果は
図14Aおよび
図14Bに示すように、すべての被験マウスは体重に顕著な変化が見られなかったことから、すべての測定された抗体薬物複合体がU87MG-EGFRvIII異種移植腫瘍担持マウスにおいて優れた耐性を有することが示された。未治療の溶媒対照群と比べ、すべての抗体薬物複合体投与群のマウスは腫瘍体積が顕著に抑制され、かつ高投与量群(3mg/kg)と低投与量群(1mg/kg)を比較すると、顕著な投与量依存性があることがわかる。中でも、高投与量群(3mg/kg)では、18日投与した(4天おきに1回、計4回投与した)後、腫瘍の生長が完全に抑制された(TGI%>100%)。一方、低投与量群(1mg/kg)でも、良い抗腫瘍活性を示した(TGI%>58%)。測定された4つのキメラ抗体薬物複合体63A10-MMAE、75G7-MMAE、64F1-MMAE、7E5-MMAEはいずれも対照抗体薬物複合体である対照抗体02-MMAEよりも優れた抗腫瘍活性を示し、そして63A10-MMAEは最も良かった。
【0204】
実施例12 脱アミド化、異性化、加水分解反応を抑制する突然変異の導入
75G7C6および63A10A7の抗体配列を分析したところ、75G7C6抗体の重鎖可変領域(配列番号1)のCDR2(配列番号3)の54および55番目のNGに脱アミド化反応の可能性が、CDR3(配列番号4)の98および99番目のDGに異性化の可能性があることが見出され、脱アミド化、異性化および加水分解を抑制するため、計算および分析により、75G7C6抗体のCDR2に位置するNGをNAに突然変異させ、突然変異後の75G7C6抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号179で示され、あるいはNGをQGに突然変異させ、突然変異後の75G7C6抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号180で示される。当時に、CDR3に位置するDGをSGに突然変異させ、突然変異後の75G7C6抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号181で示され(相応する核酸配列は配列番号188で示される)、あるいはDGをEGに突然変異させ、突然変異後の75G7C6抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号182で示され(相応する核酸配列は配列番号131で示される)、あるいはDGをDAに突然変異させ、突然変異後の75G7C6抗体の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号183で示される(相応する核酸配列は配列番号132で示される)。上記部位特異的突然変異によって脱アミド化を受ける部位であるアスパラギン残基およびアスパルトイル残基を除去するアミノ酸修飾を実行した。
【0205】
キメラ75G7C6抗体の重鎖可変領域の部位特異的突然変異配列は、遺伝子合成後、実施例8に記載のようにプラスミドの構築、細胞への形質移入および抗体の精製を行い、精製抗体は実施例9に記載のELISAおよびFACSによって突然変異後のキメラ抗体の結合活性を同定し、ELISAによる同定の結果は
図15と
図16および表23に示される通りで、ここで、
図15は75G7C6抗体の重鎖可変領域のCDR2のNG突然変異後の抗体のELISAによる結合活性の同定で、
図16は75G7C6抗体の重鎖可変領域のCDR3のNG突然変異後の抗体のELISAによる結合活性の同定で、表23は、c75G7C6野生型抗体および突然変異体抗体とEGFRvIII-hFcタンパク質の結合のEC50値をまとめたもので、表23から、重鎖CDR2のNGがNAまたはQGに突然変異した後の抗体突然変異体c75G7C6-1およびc75G7C6-2とEGFRvIII-hFcの結合活性が、野生型抗体c75G7C6に近かったことから、NGのNAまたはQGへの突然変異が抗体とEGFRvIII-hFcの結合に影響しないことがわかる。しかし、CDR3に位置するDGはEG、SGまたはDAのいずれに突然変異してもEGFRvIII-hFcに対する結合活性に影響し、中でも、DGがEGに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-3とEGFRvIII-hFcの結合能力は野生型キメラ抗体c75G7C6よりも22倍低下し、一方、DGがSGまたはDAに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-4およびc75G7C6-5はEGFRvIII-hFcと結合しなかったことから、DGのEG、SGまたはDAへの突然変異は、いずれも抗体とEGFRvIII-hFcの結合に大いに影響することが示された。
【0206】
【0207】
FACSによる同定の結果は
図17A~Bおよび
図28A~Bと表24および表25に示される通りで、ここで、
図17Aは75G7C6抗体重鎖可変領域のCDR2のNGがNAまたはQGに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-1およびc75G7C6-2ならびに野生型抗体c75G7C6とCHOK-EGFRvIII細胞の結合活性の検出で、
図17Bは75G7C6抗体重鎖可変領域のCDR2のNGがNAまたはQGに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-1およびc75G7C6-2ならびに野生型抗体c75G7C6とCHOK-EGFR細胞の結合活性の検出で、
図18Aは75G7C6抗体重鎖可変領域のCDR3のDGがSG、EGまたはDAに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-3、c75G7C6-4およびc75G7C6-5ならびに野生型抗体c75G7C6とCHOK-EGFRvIII細胞の結合活性の検出で、
図18Bは75G7C6抗体重鎖可変領域のCDR3のDGがSG、EGまたはDAに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-3、c75G7C6-4およびc75G7C6-5ならびに野生型抗体c75G7C6とCHOK-EGFR細胞の結合活性の検出である。表24はc75G7C6野生型抗体および突然変異抗体のCHOK-EGFRvIII細胞における結合活性をまとめたもので、表25はc75G7C6野生型抗体および突然変異抗体のCHOK-EGFR細胞における結合活性をまとめたものである。
【0208】
【0209】
【0210】
表24および
図17A、
図18Aから、c75G7C6重鎖可変領域のCDR2に位置するNGがNAまたはQGに突然変異した突然変異抗体c75G7C6-1およびc75G7C6-2とCHOk1-EGFRvIII細胞の結合活性は、野生型抗体c75G7C6に近かったことから、NGのNAまたはQGへの突然変異は抗体とCHOK-EGFRvIII細胞の結合に影響しないことが示された。一方、CDR3に位置するDGはEG、SGまたはDAのいずれに突然変異しても抗体とCHOK-EGFRvIIIの結合活性に影響し、中でも、DGがEGまたはSGに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-3およびc75G7C6-4とCHOK-EGFRvIIIの結合能力は、野生型キメラ抗体c75G7C6よりも約2.5倍低下し、そして最大平均蛍光強度はそれぞれ16%および53%低下し、一方、DGがDAに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-5はCHOK-EGFRvIIIと結合しなかったことから、DGのEG、SGまたはDAへの突然変異はいずれも抗体とCHOK-EGFRvIII細胞の結合に大いに影響することが示された。
【0211】
表25および
図17B、
図18Bから、c75G7C6重鎖可変領域のCDR2に位置するNGがNAまたはQGに突然変異した突然変異抗体c75G7C6-1およびc75G7C6-2とCHOk1-EGFR細胞の結合活性は野生型抗体c75G7C6に近かったことから、NGのNAまたはQGへの突然変異は抗体とCHOK-EGFR細胞の結合に影響しないことが示された。一方、CDR3に位置するDGはEG、SGまたはDAのいずれに突然変異しても抗体とCHOK-EGFRの結合活性に影響し、中でも、DGがEGに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-3とCHOK-EGFRの結合能力は野生型キメラ抗体c75G7C6よりも約3倍低下し、そして最大平均蛍光強度は38%低下し、一方、DGがSGまたはDAに突然変異した後の突然変異抗体c75G7C6-4およびc75G7C6-5はCHOK-EGFRと弱く結合したか、結合しなかったことから、DGのEG、SGまたはDAへの突然変異はいずれも抗体とCHOK-EGFR細胞の結合に大いに影響することが示された。
【0212】
上記ELISAおよびFACSの結果から、c75G7C6重鎖可変領域のCDR2に位置するNGはNAまたはQGに突然変異してもよく、突然変異後、抗体と抗原的結合活性が影響されないが、CDR3に位置するDGはEG、SGまたはDAのいずれに突然変異しても抗体と抗原の結合が影響され、突然変異が好ましくないことがわかる。そのため、今後はCDR2のNGがNAに突然変異した後の抗体c75G7C6-1を選んで後続の研究を行う。
【0213】
実施例13 ヒト化EGFRvIII抗体の製造
Germlineデータベースから上記キメラ抗体63A10A7および75G7C6の非CDR領域に最適にマッチするヒト抗体の重鎖および軽鎖の可変領域の鋳型を選出した。ヒト化EGFRvIII抗体のヒトアクセプター配列は、ヒトエクソンVH、JH、VkおよびJk配列から選ばれる。ここで、63A10A7抗体の重鎖可変領域の鋳型は、ヒト抗体の重鎖VHエクソンのIGHV1-46*01、JHエクソンのJH-4で、軽鎖可変領域の鋳型はヒト抗体の軽鎖VKエクソンのIGKV1-39*01、JKエクソンの/JK-2である。ここで、75G7C6抗体重鎖可変領域の鋳型はヒト抗体の重鎖VHエクソンのIGHV1-46*01、JHエクソンのJH-6bで、軽鎖可変領域の鋳型はヒト抗体の軽鎖VKエクソンのIGKV3-11*01、JKエクソンのJK-4である。
【0214】
Kabat定義で確定されたキメラ抗体63A10A7および75G7C6の重鎖と軽鎖のCDRはそれぞれ選ばれたヒト鋳型に移植し、ヒト鋳型のCDR領域に代え、ヒト化された抗体を得た。その後、マウス由来抗体の3次元構造を元に、残基を包埋し、CDR領域と直接相互作用がある残基、およびVLとVHの配座に大きく影響するフレームワークの残基に対して復帰突然変異を行い、ヒト化された抗体を得た。要するに、ヒト化VHまたはVLドメインを跨ぐ合オーバーラップオリゴヌクレオチドを形成し、そしてPCRオーバーラップエクステンションによって各ドメインを組み立てた。PCR産物に挿入された制限部位を利用してVHドメインをシグナルペプチドおよびヒト由来抗体の重鎖IgG1定常領域を含む発現ベクターに、VLドメインをシグナルペプチドおよびヒト由来抗体の軽鎖κ定常領域を含む発現ベクターに位置指定クローニングし、得られた組み換えプラスミドを配列決定によって検証し、アルカリ溶解法キット(MACHEREY-NAGELから購入)によって高純度の組み換えプラスミドを中スケールで抽出し、質量が500μg以上で、0.22μmろ膜(Milloporeから購入)でろ過し、形質移入に備えた。
【0215】
ヒト化抗EGFRVIII抗体バリアントの重鎖および軽鎖可変領域とヒト重鎖および軽鎖可変領域およびキメラ抗体の重鎖および軽鎖可変領域の配列アライメントは
図19~22に示される通りで、ここで、
図19はヒト化抗EGFRvIII抗体h75G7C6の重鎖可変領域h75G7C6.VHおよびそのバリアントとキメラ抗体c75G7C6.VHおよびヒトVHエクソンIGHV1-46*01/JH6bの配列アライメントで、
図20はヒト化抗EGFRvIII抗体h75G7C6の軽鎖可変領域h75G7C6.VLおよびそのバリアントとキメラ抗体c75G7C6.VLおよびヒトVLエクソンIGHV3-11*01/JK4の配列アライメントで、
図21はヒト化抗EGFRvIII抗体h63A10A7の重鎖可変領域h63A10A7.VHおよびそのバリアントとキメラ抗体c63A10A7.VHおよびヒトVHエクソンIGHV1-46*01/JH4の配列アライメントで、
図22はヒト化抗EGFRvIII抗体h63A10A7の軽鎖可変領域h63A10A7.VLおよびそのバリアントとキメラ抗体c63A10A7.VLおよびヒトVLエクソンIGKV1-39*01/JK2の配列アライメントで、枠の箇所はCDRである。
【0216】
ヒト重鎖可変領域の鋳型IGHV1-46*01/JH4
IGHV1-46*01:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号175)、
JH4:YFDYWGQGTLVTVSS(配列番号189)。
【0217】
ヒト重鎖可変領域の鋳型IGHV1-46*01/JH6b
IGHV1-46*01:QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTSYYMHWVRQAPGQGLEWMGIINPSGGSTSYAQKFQGRVTMTRDTSTSTVYMELSSLRSEDTAVYYCAR(配列番号176)
JH6b:YYYYYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号190)
ヒト軽鎖可変領域の鋳型IGKV3-11*01/JK4
IGKV3-11*01:EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDFAVYYCQQRSNWP(配列番号177)、
JK4:LTFGGGTKVEIK(配列番号191)。
【0218】
ヒト軽鎖可変領域の鋳型IGKV1-39*01/JK2
IGKV1-39*01:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQSISSYLNWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQSYSTP(配列番号178);
JK2:YTFGQGTKLEIK(配列番号192)。
【0219】
数箇所のフレームワークの位置を選んで、改めてマウスドナー残基を導入した。VHドメインへのマウスフレームワークのドナー残基の導入またはVLドメインへのヒトCDR残基の導入の異なる組み合わせによって、数種類のヒト化75G7C6および63A10A7のバリアントを生成した。下記表26と表27にこれらのバリアントを簡単にまとめた。ここで、表26と表27で示されたのはこれらの可変領域で、定常領域が含まれていない。表26、24において、cから始まるのはキメラ抗体で、hから始まるのはヒト化抗体である。ここで、ドナーのフレームワークの残基および復帰突然変異の欄で示された、たとえば各ヒト化抗EGFRvIII 抗体75G7C6の重鎖可変領域h75G7C6.VHおよびそのバリアントにおける「Q1E」とは、
図19で示された1番目のアミノ酸が「Q」グルタミンから「E」グルタミン酸に突然変異したことを表し、復帰突然変異の部位はフレームワーク領域に位置し、これを例として挙げ、逐一の説明を省略する。
【0220】
【0221】
【0222】
【0223】
【0224】
【0225】
【0226】
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
各ヒト化抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域のアミノ酸配列(すなわち、それぞれ配列表における配列番号154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、,164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174で示される配列)に基づいてcDNAを合成し、重鎖cDNAはFspAIおよびAfeIで、軽鎖cDNAはFspAIおよびBsiwIで消化した後、cDNA断片をFspAI/AfeIまたはFspAI/BsiwI酵素切断部位でそれぞれシグナルペプチドおよびヒト由来重鎖抗体IgG1定常領域を含む発現ベクターおよびシグナルペプチドおよびヒト由来抗体の軽鎖κ定常領域を含む発現ベクター(ここで、発現ベクターはInvitrogenから購入され、組み換え工程も上海睿智化学によって完成された)に挿入し、プラスミドを組み換えて配列決定によって検証し、アルカリ溶解法キット(MACHEREY-NAGELから購入)によって高純度の組み換えプラスミドを中スケールで抽出し、質量が500μg以上で、0.22μmろ膜(Milloporeから購入)でろ過し、形質移入に備えた。
【0231】
形質移入前に、培地Freestyle 293 expression medium(Invitrogenから購入)で293E細胞(Invitrogenから購入)を培養した。形質移入の時、Freestyle 293 expression mediumに10%(v/v)F68(Invitrogenから購入)をF68の最終濃度が0.1%(v/v)になるように入れ、0.1%(v/v)F68含有Freestyle 293発現培地、すなわち、培地Aを得た。5mLの培地Aを取って、200μg/mLのPEI(Sigmaから購入)と均一に混合し、培地Bを得た。5mLの培地Aを取って100μg/mLの重鎖および軽鎖の組み換えプラスミド(重鎖組み換えプラスミドと軽鎖組み換えプラスミドの質量比は1:1~1:3の範囲内である)と均一に混合し、培地Cを得た。5分間後、培地Bと培地Cを合併して混合し、15分間静置し、混合液Dを得た。10mLの混合液Dをゆっくり100mLの293E細胞を含有する培地Freestyle 293 expression mediumに293Eの細胞密度が1.5×106個/mLになるように入れ、PEIが集中しすぎないように添加しながら振とうし、37℃、130RPMおよび8% CO2(v/v)にセットしたシェーカーに入れて培養した。翌日に、最終濃度が0.5%(w/v)になるようにペプトンを入れた。5~7日目に、培養液の抗体価を検出した。6~7日目に、遠心(3500RPM、30分)で上清を収集し、0.22μmろ膜でろ過し、ろ過された細胞上清液を得て精製に提供した。
【0232】
抗体を精製する時、連続して生産された内毒素のないクロマトグラフィーカラムおよびProtein Aフィラー(GEから購入)に対し、5倍カラム体積の0.5M NaOHで洗浄した。その後、5倍カラム体積のPBS(PBS緩衝液、pH7.4)で中性まで平衡化した後、ろ過された細胞上清液をカラムにかけ、必要によって通過液を収集した。カラムにかけた後、5倍カラム体積のPBSで洗浄した。5倍カラム体積の0.1M pH 3.0のグリシン-HClで溶離させ、溶離液を収集し、そしてすぐに溶離液に0.1倍体積のpH 8.5の1M Tris-HCl(1.5M NaCl)を入れてEGFRvIII抗体を中和した。上記で使用された溶液はいずれも新しく調製されたものである。EGFRvIII抗体を得た後、内毒素の汚染を防ぐように、1×PBSで4時間透析した。透析終了後、分光光度計またはキットによって濃度を測定し、HPLC-SECによって抗体の純度を測定し、内毒素検出キット(Lonzaから購入)によって抗体の内毒素含有量を検出した。そして、得られたEGFRvIII抗体に対して特性の同定を行った(操作手順は下記実施例13に記載の通りである)。
【0233】
実施例14 ヒト化抗EGFRvIII抗体の同定
A.酵素結合免疫吸着実験(ELISA)による抗体とEGFRvIIIタンパク質の結合の検出
実施例12で得られた精製されたヒト化EGFRvIII抗体に対してヒトEGFRvIII-hFcタンパク質との反応を行った。
【0234】
実施例1で得られた精製された免疫原A(EGFRvIII-hFc)(その製造方法は実施例1の工程(一)を参照する)をPBSで最終濃度が1.0μg/mLになるように希釈した後、100μL/ウェルで96ウェルELISAプレートに入れた。プラスチック膜で密封して4℃で一晩インキュベートし、2日目にプレートを洗浄液[PBS+0.01%(v/v)Tween20]で2回洗浄し、ブロッキング液[PBS+0.01%(v/v)Tween20+1%(w/w)BSA]を入れて室温で2時間ブロッキングした。ブロッキング液を捨て、実施例2で得られた精製されたEGFRvIIIキメラ抗体を100μL/ウェルで入れた。37℃で2時間インキュベートした後、プレートを洗浄液[PBS+0.01%(v/v)Tween20]で3回洗浄した。HRP(西洋ワサビペルオキシダーゼ)で標識された二次抗体(Sigmaから購入)を入れ、37℃で2時間インキュベートした後、洗浄液[PBS+0.01%(v/v)Tween20]でプレートを3回洗浄した。TMB基質を100μL/ウェル入れ、室温で30分間インキュベートした後、停止液(1.0N HCl)を100μL/ウェル入れた。ELISAプレートリーダー(SpectraMax 384plus、Molecular Deviceから購入)によってA450nm値を読み取ったが、結果は
図23A~Cと
図24A~Eおよび表28と表29に示される通りで、ここで、
図23A~Cは精製されたヒト化h75G7C6バリアントとヒト化EGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応で、
図24A~Eは精製されたヒト化h63A10A7バリアントとヒト化EGFRvIII-hFcタンパク質の結合反応である。表28および表29はそれぞれh75G7C6バリアントおよびh63A10A7バリアントのOD450nm値から算出されたEC50値で、精製されたヒト化EGFRvIII抗体のバリアントがEGFRvIII組み換えタンパク質とELISAレベルで良い結合があったことが示された。
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
B.フローサイトメトリー実験(FACS)による抗体とEGFRvIII発現細胞の結合の検出
FACS検出に必要なU87MG-EGFRvIIIの製造は、実施例1の免疫原Bの製造で記載された通りで、正常ヒト初代肝細胞はBioreclamationIVTから、腫瘍細胞A431はATCCから購入された。肝細胞は再生した後そのままFACS検出に使用され、U87MG-EGFRvIIIおよびA431細胞はT-75細胞培養瓶において90%コンフルエンスまで増幅培養したら、培地を吸い捨て、HBSS緩衝液(Hanks Balanced Salt Solution)(Invitrogenから購入)で2回洗浄した後、無酵素細胞分解液(Versene solution:Life technology社から購入)によって処理し、そして細胞を収集した。HBSS緩衝液で細胞を2回洗浄し、細胞の計数を行った後、細胞をHBSS緩衝液で2×106個細胞/mLに希釈し、1%ヤギ血清ブロッキング液を入れ、前記百分率は質量百分率で、氷の上で30分間インキュベートした後、HBSS緩衝液で2回遠心洗浄した。収集された細胞をFACS緩衝液(HBSS+2%FBS、前記百分率は体積百分率である)で2×106個細胞/mLに懸濁させ、100μL/ウェルで96ウェルFACS反応プレートに入れ、実施例12で得られた精製されたEGFRvIII抗体の被験サンプルを100μL/ウェル入れ、氷の上で2時間インキュベートした。FACS緩衝液で2回遠心洗浄し、100μL/ウェルの1:1000で希釈された蛍光(Alexa 488)で標識された二次抗体(invitrogenから購入)を入れ、氷の上で1時間インキュベートした。FACS緩衝液で3回遠心洗浄し、100μL/ウェルの固定液[4%(v/v)パラホルムアルデヒド]を入れて細胞を懸濁させ、10分間後FACS緩衝液で2回遠心洗浄した。100μL/ウェルのFACS緩衝液で細胞を再懸濁させ、FACS(FACS Calibur、BD社から購入)によって検出して結果を分析した。ソフト(CellQuest)によってデータ分析を行い、細胞の平均蛍光強度(MFI)を得た。さらにソフト(GraphPad Prism5)によって分析し、データのフィッティングを行い、EC50を計算した。
【0239】
分析結果は表30と31および
図25A~Cと
図26A~Eに示すように、被験ヒト化抗体はいずれもU87MG-hEGFRvIII細胞表面のEGFRvIIIタンパク質と特異的に結合できたが、
図25A~Cはヒト化h75G7C6抗体バリアントとU87MG-hEGFRvIII細胞表面のEGFRvIIIの結合で、
図26A~Eはヒト化h63A10A7抗体バリアントとU87MG-hEGFRvIII細胞表面のEGFRvIIIの結合である。
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
また、ヒト化75G7C6および63A10A7抗体バリアントは、野生型EGFRとも弱く結合することができる。A431細胞(ヒト上皮細胞癌細胞系)の表面に大量の野生型EGFRタンパク質が過剰発現され、正常のヒト初代肝細胞の表面にも一定の量の野生型EGFRタンパク質が発現され、
図27および
図28A~Bに示すように、抗EGFR対照抗体セツキシマブ(Cetuximab)に対し、ヒト化75G7C6抗体バリアントおよびヒト化63A10A7抗体バリアントはいずれも腫瘍細胞A431によって過剰発現されたEGFRと結合できたが、正常のヒト初代肝細胞の表面の野生型EGFRタンパク質との結合が弱く、これはヒト化75G7C6および63A10A7抗体の抗原決定基が存在する空間位置に関連するかもしれない。しかし、ヒト化75G7C6抗体の各バリアントはA431および正常のヒト初代肝細胞表面のEGFRタンパク質との結合能力が異なり、表32に示すように、被験抗体は正常のヒト初代肝細胞と弱く結合したか、結合せず、平均蛍光強度のMFI値は250程度で、陰性対照hIgGの結合能力(MFI値219)に近かったが、腫瘍細胞A431表面のEGFRと高レベルで結合し、平均蛍光強度MFIは10000~13000で、ヒト化75G7C6抗体は、選択的に腫瘍細胞表面に過剰発現されるEGFRタンパク質と結合するが、正常細胞によって発現されるEGFRタンパク質と結合しないか、弱く結合し、選択性ウィンドウは35~47倍であることが示された。
【0245】
同様に、ヒト化63A10A7抗体の各バリアントは、A431および正常のヒト初代肝細胞表面のEGFRタンパク質との結合能力が異なり、
図28A~Bおよび表33に示すように、一部の被験抗体、たとえばヒト化抗体h63A10A7-17~26は正常のヒト初代肝細胞との結合能力は抗EGFR抗体(MFI値433)に近く、平均蛍光強度のMFI範囲は433~677であるため、この一部の被験抗体はEGFRを発現する正常細胞に選択性がないとされた。一方、もう一部の被験抗体はEGFRを発現する腫瘍細胞および正常細胞に対する優れた選択性を示し、たとえばヒト化抗体h63A10A7-37~39は正常のヒト初代肝細胞と弱く結合したか、結合せず、平均蛍光強度のMFI値は260程度で、陰性対照hIgGの結合能力(MFI値219)に近かったが、腫瘍細胞A431表面のEGFRとある程度結合し、平均蛍光強度MFIは1000~2000で、一部のヒト化63A10A7抗体バリアントは選択的に腫瘍細胞表面に過剰発現されるEGFRタンパク質と結合するが、正常細胞によって発現されるEGFRタンパク質と結合しないか、弱く結合し、選択性ウィンドウは5~7.5倍であることが示された。
【0246】
【0247】
【0248】
【0249】
C.ヒト化抗EGFRvIII抗体の結合親和力の検出
ヒト抗EGFRvIII抗体とEGFRvIIIおよびEGFRタンパク質の結合特異性および親和力を評価するために、OctetRED(Pallから購入)装置において、抗ヒトFcのバイオセンサーAHC(ForteBioから購入)で被験ヒト化h75G7C6抗体バリアントを結合させた後、さらにEGFRvIII-his(Sino Biologicalから購入)またはEGFR-his(Sino Biologicalから購入)タンパク質と結合させ、バイオレイヤー干渉(BLI)技術によって検出した。BLI技術は、センサーに固定された分子が溶液における分子と相互作用が生じた時、バイオレイヤーの厚さが増加し、干渉スペクトルの曲線が長波長の方向へ移動し、ワークステーションによって光波の位相シフトをリアルタイムで検出し、光波の位相シフトを分析することによって定量的にセンサー表面の分子数の変化および関連濃度と動態学のデータを得ることができる。ヒト化h75G7C6抗体バリアントとEGFRvIIIおよびEGFRタンパク質の結合速度(Ka)、解離速度(Kdis)および結合親和力(KD)は、表34および表35に示される通りで、ここで、キメラ抗体c75G7C6を対照とした。
【0250】
【0251】
【0252】
OctetREDの結果から、ヒト化h75G7C6抗体バリアントのEGFRvIIIおよびEGFRタンパク質との結合親和力はキメラ抗体c75G7C6に非常に近かったことから、ヒト化h75G7C6抗体はキメラ抗体と比べ、抗原結合活性を顕著に低下させないことが証明された。そして、ヒト化h75G7C6抗体バリアントのEGFRvIIIタンパク質との結合親和力は約1.5nMで、EGFRタンパク質との結合親和力は約0.2μMであった。
【0253】
以上、本発明の具体的な実施形態を記述したが、当業者にとって、これらは例示の説明だけで、本発明の原理と実質に反しないという前提下において、これらの実施形態に対して様々な変更や修正をすることができる。そのため、本発明の保護範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
【配列表】