(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】棒材を供給する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B21D 43/00 20060101AFI20230606BHJP
B23Q 7/14 20060101ALI20230606BHJP
B23Q 41/02 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B21D43/00 M
B23Q7/14
B23Q41/02 A
(21)【出願番号】P 2020534875
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(86)【国際出願番号】 IT2018050258
(87)【国際公開番号】W WO2019123506
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】102017000149383
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】592060639
【氏名又は名称】エム・イー・ピー・マシーネ・エレトロニーチェ・ピエガトリーチ・エス・ピー・エイ
【氏名又は名称原語表記】M.E.P. MACCHINE ELETTRONICHE PIEGATRICI SOCIETA PER AZIONI
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】デル ファブロ、ジョルジョ
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-097423(JP,U)
【文献】特開2001-087903(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045242(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00
B23Q 7/14
B23Q 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材(B)の束(F1~F6)が置かれる作業面(11)と、
宛先ステーション(16)に運ぶために、前記作業面(11)から少なくとも1つの棒材(B)を撤収するように構成された撤収装置(15)と、
を備える、棒材(B)を供給する装置であって、当該装置が、
複数の収容ユニット(22a~22f;122)であって、少なくともそれらが使用状態にある間に前記作業面(11)より上方に配置され、各収容ユニット(22a~22f;122)が対応する所定のタイプの棒材(B)の束(F1~F6)を収容するように構成された、複数の収容ユニット(22a~22f;122)と、
複数の移動手段(26)であって、前記収容ユニット(22a~22f;122)を第1位置及び少なくとも第2位置に運ぶために、各移動手段(26)は対応する前記収容ユニット(22a~22f;122)に関連づけられ、前記第1位置は、前記棒材(B)の1つの束(F1~F6)が前記作業面(11)に配送されるか、または前記作業面(11)から撤収される位置であり、前記第2位置は、前記収容ユニット(22a~22f;122)が完全に前記作業面(11)より上方に配置される位置である、複数の移動手段(26)と、
を備え
、
前記各収容ユニット(22a~22f;122)は、前記作業面(11)の長手方向(L)において互いに位置合わせされた複数の収容要素(24)を備え、
前記各収容要素(24)は、前記棒材(B)の前記束(F1~F6)の一部を支持するように構成された支持台座(25)を画定しており、
前記各支持台座(25)は、前記第1位置において、前記複数の棒材(B)の導入及び排出を可能にする上向きの開口を備え、
前記収容ユニット(22a~22f;122)の前記第1位置において、対応する前記支持台座(25)は前記作業面(11)より下方に配置される、ことを特徴とする、棒材(B)を供給する装置。
【請求項2】
前記作業面(11)は、前記棒材(B1~B6)の支持装置(12)を複数備え、前記複数の支持装置(12)の間には、前記収容ユニット(22a~22f;122)がその第1位置にあるときに、当該収容ユニット(22a~22f;122)を少なくとも部分的に収容するのに適した隙間(13)があることを特徴とする、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の収容ユニット(22a~22f;122)が、前記作業面(11)の長さの延長に対する横断方向(T)において互いに隣接することを特徴とする、
請求項1または2に記載の装置。
請求項1~3のうち何れか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記収容ユニット(22a~22f)が支持構造体(27)によって支持されていることを特徴とする、
請求項1~
3のうち何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記移動手段(26)は、前記収容ユニット(22a~22f)を前記作業面(11)に入射する方向に直線的に移動させるように構成されることを特徴とする、
請求項1~
4のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
複数の線形ガイド部材(31)は、前記各収容ユニット(22a~22f)に関連付けられており、前記作業面(11)に入射するように方向付けられたガイド軸線を有して、前記収容ユニット(22a~22f)の前記第1位置から前記第2位置への移動、及び、前記第2位置から前記第1位置への移動を案内するように設けられ、各収容要素(24)には、前記ガイド部材(31)内でスライドするように設置された支持棒32が設けられていることを特徴とする、
請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の収容ユニット(122)は、複数の枢動要素(140)の周りで回転することによって各々の第1位置及び第2位置に移動することができることを特徴とする、
請求項1~
4のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
棒材(B)の束(F1~F6)を作業面(11)の上に置くことと、
宛先ステーション(16)に運ぶために、撤収装置(21)により前記作業面(11)から少なくとも1つの棒材(B)を撤収することと、
を含む、棒材を供給する方法であって、前記方法は、
複数の収容ユニット(22a~22f;122)内に、棒材(B)のタイプが異なる対応する束(F1~F6)を配置し、少なくとも使用状態にある間に、
前記各収容ユニット(22a~22f;122)が前記作業面(11)の長手方向(L)において前記棒材(B)の前記束(F1~F6)の複数箇所を支持した状態で、前記複数の収容ユニット(22a~22f;122)を前記作業面(11)より上方に維持することと、
前記各収容ユニット(22a~22f;122)を第1位置及び少なくとも第2位置に運ぶために、前記収容ユニット(22a~22f;122)を対応する移動手段(26)に関連付けることであって、前記第1位置は、前記棒材(B)の1つの束(F1~F6)が前記作業面(11)に配送されるか、または前記作業面(11)から撤収される
ように、前記収容ユニット(22a~22f;122)の開口が開いて上を向いた状態で、前記束(F1~F6)を支持する前記収容ユニット(22a~22f;122)の部分が前記作業面(11)より下方に配置される位置であり、前記第2位置は、前記収容ユニット(22a~22f;122)が完全に作業面(11)より上方に配置される位置であることと、を含む、
棒材を供給する方法。
【請求項9】
前記各収容ユニット(22a~22f;122)は、直線運動または枢動要素(140)の周りの回転によって、その第1位置からその第2位置へと運ばれることを特徴とする、
請求項
8に記載の棒材を供給する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、棒材を少なくとも一時的に保管し、その後に下流工程の機械へ配送する可能性のために、棒材を供給する装置及び方法に関する。ここで、棒材という用語は、例えば、ロッド、補強ロッド、棒状のもの、湾曲した部品(round pieces)、角ばった部品(square pieces)などの、一般的な縦長の(oblong shaped)製品を意味する。
【背景技術】
【0002】
曲げ、あぶみ作り、溶接、切断設備、計数機またはその他の機械のような、使用者の機械に複数の棒材を送出することが知られている。
特に、適切な保管場所から橋形クレーンなどを用いて複数の棒材を撤収し、それらを送出ステーションに送出し、この送出ステーションがそれらを最終的な使用者の機械に供給することが知られている。
【0003】
得るべき最終製品に応じて、最終的な使用者の機械に供給される複数の棒材は、例えば、直径、材料、形状、表面加工またはその他の特徴が異なるなど、タイプが異なっていてもよい。
【0004】
通常、各タイプの棒材は束ねられて供給されるため、1つ目の束を第1タイプの棒材で形成し、2つ目の束を第2タイプの棒材で形成する、といったことができる。
棒材の各束は、都度、それが配置されていた、対応する保管場所から橋形クレーンで撤収され、送出ステーションに配送される。送出ステーションには、束が配置される支持面を設けることができる。支持面は、複数の棒材をそれらの間で散らばらせ、その後に撤収して最終的な使用者の機械に送出することを可能にする。
【0005】
所定の製品一式が完成すると、例えば支持面上に残って散在している複数の棒材は、再び組み直されて結束され、残りの棒材の新しい束が形成される。この新しい束は、橋形クレーンによって再び撤収され、保管場所に戻される。
【0006】
橋形クレーンが、例えば異なるタイプの別の棒材の束を撤収し、送出ステーションに運ぶと、以前と同様にそのサイクルが繰り返される。
したがって、複数の棒材を保管場所から作業面に運んだり、逆に作業面から保管場所に運んだりする方法は非常に複雑であり、そのために、都度、保管場所から作業面まで、専用の構造を使用したり、複数の棒材の動きを適切にガイド及び確認するオペレーターを配置したりする必要がある。
【0007】
さらに、こうした操作は、棒材のタイプを変更するのに非常に時間がかかる可能性もあり、検討される供給装置の下流工程に配置された使用者の機械の中断時間に影響を与えることにもなり得る。
【0008】
さらに、送出ステーションの下流工程に、最終的な使用者の機械の要件に応じて、棒材をある大きさに切断するステーションを設けることができる。
棒材を切断することは、棒材の残り部分が生じることを意味し、この棒材の残り部分は、その後の再利用の可能性のために、最適かつ効率的で自動化された方法で排出及び保管されることはあまりない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、一般的に、棒材を供給する既知の装置では、ある大きさに切断された棒材の一部でさえ、その後の再利用の可能性のために、最適かつ効率的な方法で収集または保管されることはない。
【0010】
従来の解決策及び技術の他の制限及び不利な点は、当業者が図面を参照して本明細書の残りの部分及び以下の実施形態の記載を読めば明らかであるが、本明細書に関連する現状技術の説明は、ここに記載されていることが従来の技術状況から周知であることを承認していると見なされるべきではない。
【0011】
したがって、従来技術の欠点の少なくとも1つを克服することができる、棒材、特に金属製の棒材を供給する装置及び方法を提供する必要がある。
したがって、本発明の目的の一つは、最終的な使用者の機械に供給する棒材のタイプの変更を簡素化し、変更に要する時間を低減するための、棒材を供給する装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、送出ステーションに対応して異なるタイプの棒材を適切に格納することができるとともに、その後に送出ステーションに直接配置することができ、したがって、橋形クレーン、撤収装置、またはその他の撤収手段であって、要件に応じて棒材を保管する1以上の保管場所から異なるタイプの棒材を撤収することができる撤収手段を、都度使用する必要がない、供給装置を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、異なるタイプの複数の棒材を収容する保管場所を少なくとも装置の送出ステーションに直接関連付けることができる、棒材を供給する装置を提供することである。
【0014】
したがって、本発明の目的は、複数の棒材を下流工程にある使用者の機械に提供することを可能にし、例えば、下流工程にある使用者の機械において、例えば機械の中断時間が生じることを回避しつつ、棒材の形式を変更する操作ができる、棒材を供給する装置を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、ある大きさに切断された異なるタイプの棒材の一部を、最適化された排出ステーションと直接に関連付けられた、対応する保管場所に配置することができる、棒材を供給する装置を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、棒材、特に異なるタイプの金属製の棒材を供給する効果的で自動化された方法を完成させることである。
出願人は、現状技術の欠点を克服し、これら及び他の目的並びに利点を得るために、本発明を考案し、試験し、具体化した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、独立請求項に記載されるとともに特徴付けられており、従属請求項は、本発明の他の特徴または主要な発明思想の複数の変形について説明している。
上記の目的に従って、本発明に係る棒材を供給する装置は、棒材の束を置く作業面と、行先ステーションに運ぶために、少なくとも1つの棒材を作業面から撤収するように構成された撤収装置と、を備える。
【0018】
本発明の一態様によれば、装置は複数の収容ユニットを備え、これら収容ユニットは、少なくともそれらが使用状態にある間に、作業面より上方に配置され、各収容ユニットは対応する所定のタイプの棒材の束を収容するように構成される。
【0019】
また、供給装置は複数の移動手段を備え、各移動手段は、収容ユニットを第1位置及び少なくとも第2位置に運ぶために、対応する収容ユニットに関連づけられ、第1位置は、棒材の1つの束が作業面に配送されるか、または作業面から撤収される位置であり、第2位置は、収容ユニットが完全に作業面より上方に配置される位置である。第2位置において、複数の作業ユニットは作業面自体の動きと干渉しない。
【0020】
可能な実施形態によれば、複数の収容ユニットは、支持フレームに関連付けられた複数のガイドに沿って、第1位置から第2位置に、及び第2位置から第1位置に、垂直に移動することができる。
【0021】
これに代えて、少なくとも第1位置及び第2位置に移動するために、複数の収容ユニットは回転可能であってもよい。
また、本発明は棒材を供給する方法に関し、棒材の束を作業面の上に置くことと、宛先ステーションに運ぶために、撤収装置で少なくとも1つの棒材を作業面から撤収することとを含む。
【0022】
この方法の設定によれば、複数の収容ユニット内に棒材のタイプが異なる束をそれぞれ置き、少なくとも使用状態の間、収容ユニットを作業面より上方に維持することが提供される。各収容ユニットは、その収容ユニットを第1位置及び少なくとも第2位置に運ぶために、対応する移動手段に関連付けられており、第1位置は、棒材の1つの束が作業面に配送されるか、または作業面から撤収される位置であり、第2位置は、収容ユニットが完全に作業面より上方に配置される位置である。
【0023】
本発明のこれらの特徴及び他の特徴は、添付の図面を参照して、非限定的な例として与えられる、以下のいくつかの実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】棒材を供給する本装置の送出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図3】棒材を供給する本装置の送出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図4】棒材を供給する本装置の送出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図5】棒材を供給する本装置の送出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図6】棒材を供給する本装置の送出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図7】棒材を供給する本装置の送出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図8】棒材を供給する本装置の送出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図9】棒材を供給する本装置の送出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図10】棒材を供給する本装置の送出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図11】棒材を供給する本装置の排出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図12】棒材を供給する本装置の排出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図13】棒材を供給する本装置の排出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図14】棒材を供給する本装置の排出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図15】棒材を供給する本装置の排出ステーションの操作ステップの側面図。
【
図16】棒材を供給する本装置の排出ステーションの操作ステップの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
理解を容易にするべく、図面における同一の共通要素を識別するために、できる限り同じ参照番号が使用されている。1つの実施形態の複数の要素及び複数の特性は、特に明示していなくても、他の実施形態に適宜組み込むことができるものとする。
【0026】
まず、本発明の様々な実施形態を詳細に説明するが、そのうちの1つまたは複数の例は添付の図面に示されている。各例は、本発明の例示として提供されるものであって、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。例えば、1つの実施形態の一部として示されるまたは記載される特徴は、別の実施形態を作成するために、他の実施形態に適用するか、または、他の実施形態と組み合わせることができる。本発明は、そのような全ての修正及び変形を含むものとする。
【0027】
添付の図面を参照して、例えば
図1を見ると、本発明に係る複数の棒材Bを供給する装置は、全体として参照番号10で示されている。
特に、
図1は、以下に説明するように、互いに協働する2つの供給装置10を示している。
【0028】
供給装置10は、複数の棒材Bの少なくとも1つの束Fを支持するように構成された少なくとも1つの作業面11を備える。
作業面11は長手方向Lに伸びており、複数の棒材Bは、長手方向Lに平行に延長するように、作業面11の上に置かれる。
【0029】
作業面11は、長手方向Lと交差する横断方向Tにおいて測定される幅を有し、この幅は、棒材Bの載荷容量を規定する。
複数の棒材Bは、それらの長手方向が横断方向Tに対して交差するように、作業面11の上に置かれる。
【0030】
本発明のいくつかの解決策によれば、作業面11は、複数の棒材Bを支持する複数の支持装置12を備える。複数の支持装置12は、互いの間に隙間13を有するように離間している。これら隙間13は、20cm~1.5mか、またはそれ以上のサイズにすることができる。
【0031】
各支持装置12は、横断方向Tに細長い構造を有することができるとともに、作業面11の幅を規定することができる。
複数の支持装置12は、互いに向き合い、互いの間に隙間13を画定するように離間していてもよい。
【0032】
支持装置12の相互配置は、複数の棒材Bを支持する働きを確実にするためのものである。
本発明のいくつかの解決策(
図2)によれば、各支持装置12は、作業面11の上の複数の棒材Bを横断方向Tに平行な方向に移動させるように構成された移動装置14を備えることができる。
【0033】
特に、移動装置14は、対応する駆動手段に関連付けられた、チェーン、ベルト、ケーブルなどのような、複数の環状の伝達部材を備えることができる。
複数の移動装置14を適切に駆動することにより、複数の棒材Bを作業面11の上に均一に分散させ、その相互の重なり合いまたはねじれを抑制することができる。
【0034】
本発明の別の態様によれば、供給装置10は、作業面11から一度に少なくとも1つの棒材Bを撤収し、それを下流工程に位置する宛先ステーション16に運ぶように構成された、撤収装置15を備える。
【0035】
宛先ステーション16は、例えば、下流工程に配置された1以上の使用者の機械に向けて複数の棒材Bを輸送/排出するローラ搬送機を含むことができる。
単なる一例として、作業面11には排出ゾーン17を設けることができ、排出ゾーン17には、宛先ステーション16に向けて複数の棒材Bを排出するために、撤収装置15が配置される。
【0036】
可能な解決策によれば、排出ゾーン17は、作業面11の第1側縁に対応する位置に配置される。
可能な解決策によれば、作業面11には載荷ゾーン18を設けることもでき、載荷ゾーン18では、以下(
図2)に記載する操作を実行するように、棒材の束Fが載荷される。
【0037】
載荷ゾーン18は、排出ゾーン17の反対側にあってもよく、例えば、第1側縁の反対側となる、作業面11の第2側縁に対応して配置されてもよい。
いくつかの実施形態では、複数の移動装置14は、載荷ゾーン18から排出ゾーン17まで、送出ステーション11の全幅にわたって横断方向Tに延びる。
【0038】
撤収装置15は、例えば磁気タイプの、少なくとも1つの保持要素、または把持具などを備えて、少なくとも1つの棒材Bを宛先ステーション16への輸送中に取り上げて保持することができる。
【0039】
可能な解決策によれば、撤収装置15は、複数の保持要素が設置される複数のアーム19を備えることができる。これらアーム19は、排出ゾーン17内で動くことができ、複数の保持要素で複数の棒材Bを作業面11から撤収し、それらを宛先ステーション16に配送する。
【0040】
作業面11には、複数の保持要素により配送された複数の棒材Bを宛先ステーション16に排出するために、傾斜面20を設けることができる。
いくつかの実施形態では、複数の傾斜面20を設けることができ、各傾斜面20は対応する移動装置14に設置される。
【0041】
複数のアーム16は、適切な駆動手段によって、回転軸21の周りを回転することができる。回転軸21は、作業面11の第1側縁に対応するように配置することができる。
本発明の別の態様によれば、供給装置10は複数の収容ユニット22a,22b,22c,22d,22e,22fを備えることができ、収容ユニット22a,22b,22c,22d,22e,22fは、棒材Bの束F1,F2,F3,F4,F5,F6をそれぞれ受容するように構成される。
【0042】
収容ユニット22a~22fは、全体として、複数の棒材Bの保管場所23を画定することができる。
各束F1~F6は、異なるタイプの棒材Bによりすることができる。異なるタイプとは、棒材Bの断面形状、サイズ、材料、出所、熱処理などのうち、少なくとも1つが異なることを意味する。
【0043】
本発明の別の態様によれば、収容ユニット22a~22fは、少なくともそれらの使用状態において、作業面11より上方に配置される。この位置は、設備の全体を収容することを可能にし、同時に、複数の棒材の束F1~F6を作業面11で扱うことができるようにする。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、収容ユニット22a~22fは、横断方向Tに平行な方向に互いに隣接するように配置することができる。これにより、供給装置10の幅方向におけるサイズをコンパクトにすることができる。
【0045】
可能な解決策(
図2~
図10)によれば、保管場所23は、作業面11の幅L2よりも小さい幅L1を有する。これにより、作業面11より上方に配置されたすべての収容ユニット22a~22fが、作業面11の上に置かれた複数の棒材Bを作業面11に平行な方向に動かすことなく、複数の棒材Bの配送また撤収のために、作業面11と協働することが可能になる。
【0046】
本発明の複数の実施形態において、収容ユニット22a~22fは、支持構造体27によって支持するようにしてもよいし、支持構造体27上に設置するようにしてもよい。
支持構造体27には、作業面11より上方に配置された複数の支持梁28が設けられ、収容ユニット22a~22fは支持構造体27上に設置されている。
【0047】
複数の支持梁28は、長手方向Lにおいて相互に離間していてもよい。
複数の支持梁28の少なくとも一端、本実施形態では両端は、複数の支持支柱29によって支持されていてもよい。
【0048】
各収容ユニット22a~22fは複数の収容要素24を備え、複数の収容要素24は長手方向Lにおいて互いに位置合わせされており、各収容要素24は支持台座25を画定しており、支持台座25は棒材Bの束F1~F6の一部を支持するように構成されている。各収容ユニット22a~22fに収容された棒材Bの束F1~F6は、通常は結束されていないので、複数の棒材Bは互いに自由になっている。
【0049】
各支持台座25は、使用中に複数の棒材Bの導入及び排出を可能にする上向きの開口を備えた実質的にU字形の形状を有することができる。
本発明の別の態様によれば、供給装置10は複数の移動手段26を備え、各移動手段26は、収容ユニット22a~22fを第1位置及び少なくとも第2位置に運び込むために、対応する収容ユニット22a~22fに関連付けられており、第1位置は、棒材Bの束F1~F6が作業面11に配送されるか、または作業面11から撤収される位置であり、第2位置は、束F1~F6が一時的に保管されるとともに作業面11に干渉しない状態で、収容ユニット22a~22fが完全に作業面11より上方に配置される位置である。
【0050】
図2~
図10に示す実施形態によれば、複数の移動手段26は、収容ユニット22a~22fを直線的に、作業面11に入射する方向に移動させ、収容ユニット22a~22fを第1位値及び第2位置に運ぶように構成される。
【0051】
本発明のいくつかの解決策によれば、複数の移動手段26は、複数の収容要素24を第1位置及び第2位置に運ぶために、複数の収容要素24に接続された複数の線形アクチュエータ30を備える。
【0052】
可能な解決策によれば、複数の線形ガイド部材31は対応する収容ユニット22a~22fに関連付けられており、各収容ユニット22a~22fは作業面11に入射するように方向付けられたガイド軸線を有し、複数の線形ガイド部材31は収容ユニット22a~22fの第1位置から第2位置への移動、及び、第2位置から第1位置への移動を案内するために設けられる。
【0053】
複数のガイド部材31は、支持構造体27上に設置されている。
図2~
図10に示す実施形態によれば、各収容要素24には、ガイド部材31内でスライド可能に設置された支持棒32が設けられている。対応する収容ユニット22a~22fが第1位置に配置されると、支持棒32は、作業面11に入射した状態で空間18の間に配置され、このときに支持棒32は少なくとも一部が空間18内に収容される。
【0054】
さらに、支持棒32は、収容ユニット22a~22fの第1位置において、作業面11の厚みの中に配置され、収容要素24の対応する支持台座25を作業面11の下に配置させる。
【0055】
本発明の可能な実施形態によれば、スラスタ33を作業面11に関連付けることができる。スラスタ33は、横断方向Tに平行な方向に移動可能であり、少なくともその使用状態の1つでは、作業面11から突出して、複数の棒材Bを作業面11に押し付ける。
【0056】
スラスタ33は、スラスタ33を横断方向Tに移動させることを可能にする移動装置34と関連付けられるか、または接続されてもよい。
移動装置34は、環状に巻かれた、チェーン、ベルト、ケーブルなどのような、1以上の伝達部材35を備えることができる。
【0057】
移動装置34によって、スラスタ33は、作業面11上で横断方向Tにおいて二方向に平行移動することができる。
図2~
図10を参照して、本発明に係る装置10で可能な機能モードを示す。
【0058】
図2は、束、本実施形態では棒材Bの1つ目の束F1が、例えば結束された状態のまま、載荷ゾーン18において作業面11上に載荷された状態を示している。
束F1の載荷は、橋形クレーン、クレーン、または他の移動装置を用いて行うことができる。
【0059】
本発明の可能な解決策によれば、載荷ゾーン18の上方の領域が空いていること、すなわち、例えば保管場所23または支持構造体27による影響を受けないことは、有利であり得る。これにより、棒材Bの束を上方から載荷することができるためである。
【0060】
作業面11上に置かれた棒材Bの束F1は結束が解かれる。
収容ユニット22aは、結束が解かれた束F1を受容するために、矢印V1で示される方向に第1位置まで移動される。
【0061】
したがって、この状態では、収容ユニット22aの複数の支持台座25は、それらの開口が開いて上を向いた状態で、
図2に示すように、作業面11の下に配置される。
この位置では、複数の収容要素24は、複数の支持装置12の間の隙間13に配置される。
【0062】
図3に示すように、束F1の複数の棒材は、作業面の複数の移動装置14及び/またはスラスタ33の移動の動作によって、矢印T1で示す方向に、収容ユニット22aに向かって移動することができる。
【0063】
複数の棒材Bが収容ユニット22aに到達すると、複数の支持棒32は、進もうとする複数の棒材Bに抗する当接壁を画定し、これにより、複数の棒材Bは支持台座25の上方で上へ上へと積み上げられていく。
【0064】
続いて(
図4)、収容ユニット22aは、方向V2に持ち上げられ、作業面11の動きに干渉しない第2位置に配置される。
スラスタ33は、
図4に示すように、方向T2への平行移動により、初期位置に戻ることができる。
【0065】
例えば、他の束F2~F6は、1つ目の束F1についての説明と同様に、対応する収容ユニット22b~22fに載荷されると仮定することができる。
特定のタイプの棒材、例えば束F3の棒材が必要な場合、
図5に示すように、収容ユニット22cが矢印V3で示す方向に隙間13の間まで下降し、支持台座25を作業面11の下に配置する。この状態で、複数の棒材Bは支持装置12の上に置かれている。
【0066】
そして、複数の支持装置12の複数の移動装置14は、複数の棒材を方向T3に平行移動させて、収容ユニット22cの動きに干渉しない位置にそれらを配置する。次に、収容ユニット22cは方向V4に持ち上げられ、棒材Bなしでその第2位置に運ばれる。
【0067】
複数の棒材B(
図7)は、作業面11の上に適切に散らばっており、複数の移動装置14によって排出ゾーン17に向かって矢印T4で示す方向に運ばれる。
この位置では、撤収装置15は、少なくとも1つの棒材を都度撤収して、それを宛先ステーション16に配送する。
【0068】
したがって、特定の数の棒材B’が撤収装置15によって撤収され、残る複数の棒材B”は収容ユニット22cに戻される。
図8を参照すると、スラスタ33は、対応する移動装置34によって方向T5に平行移動され、それにより、収容ユニット22cの上流の適切な位置に移動し、収容ユニット22cの降下に干渉することなく、棒材B”の積み上げを可能にする。
【0069】
作業面11の複数の移動装置14によって、複数の棒材B”は、方向T6に平行移動されてスラスタ33に当接することによって位置決めされ、それによってスラスタ33にぶつかって積み上げられる。
【0070】
この積み上げ工程が完了すると、
図9に示すように、収容ユニット22cが方向V5に降下し、支持台座25が作業面11の下に配置される。
スラスタ33及び/または複数の支持装置12に関連づけられた複数の移動装置14により、複数の棒材B”は、矢印T6で示す方向において、収容ユニット22cの真上に配置される。この場合も、支持棒32は、複数の棒材B”が保持されるように、棒材B”の当接相手を画定する。
【0071】
図10に示すように、スラスタ33は、この時点で、載荷ゾーン18に対応する非活動位置に戻るまで、方向T7に平行移動する。
代わりに、収容ユニット22cは、自身がその第2位置に配置されるように、矢印V6で示す方向に持ち上げられる。
【0072】
図11~
図16には、本発明の可能な変形した実施形態が示されており、供給装置10は、複数の収容ユニット122、この実施形態では8つの収容ユニット122を備え、これら収容ユニット122は、枢動要素140の周りを回転することにより、それらの第1位置及び第2位置に移動することができる。
【0073】
本発明のこれら実施形態によれば、収容ユニット122を枢動要素140により支持構造体27に対して枢動させることができる。
複数の移動手段26は、そのうちの1つだけが
図11~
図16に示されており、少なくとも第1位置及び第2位置を規定するために、対応する収容ユニット122を枢動要素140の周りで回転させるように構成されている。
【0074】
複数の移動手段26は、例えば、回転機関を備えることができる。
また、この実施形態では、収容ユニット122は、棒材Bの束Fを収容する支持台座25を画定する収容要素24を備える。
【0075】
複数の収容要素24は、少なくとも1つの枢動セグメント141を備え、枢動セグメント141は枢動要素140と共に支持構造体27に対して枢動される。
枢動セグメント141は、棒材Bの支持台座25の一部を画定することができる。
【0076】
さらに、以下に説明するように、使用中に、枢動セグメント141は、複数の棒材Bの位置決めをする当接壁を画定することができる。
対応する収容ユニット122がその第1位置にあるとき、枢動セグメント141は作業面11に入射するように配置されるとともに部分的に作業面11の嵩(bulk)の中に収容され、対応する支持台座25は作業面11より下に配置される。
【0077】
図11~16に示す実施形態によれば、供給装置10は載荷ゾーン18に対応して配置される載荷装置142を備え、載荷装置142は、複数の棒材Bを作業面11上に載荷するように構成される。
【0078】
載荷装置142は、一端で枢動される複数の成形アーム143を備えることができ、成形アーム143には、例えばローラ搬送機145から複数の棒材Bを受け取り、それらを作業面11上に載荷するのに適したアーチ状の凹部が設けられる。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、複数の成形アーム143は支持軸144の周りを回転するように設置され、支持軸144は作業面11の第2側縁に対応して設置される。
図11~
図16を参照して、複数の供給装置の可能な機能モードについて説明する。
【0080】
載荷装置142は、一定量の棒材が受容されるまで、ローラ搬送機145に対応して複数の成形アーム143を位置決めする。
続いて、載荷装置142の作動が命令され、これにより、複数の成形アーム143が作業面11(
図11)上に複数の棒材Bを排出するように支持軸144を回転させることができる。
【0081】
この状態では、複数の収容ユニット122のうちの1つがその第1位置に運ばれ、その支持台座25を作業面11の下に配置する。この状態では、複数の枢動セグメント141は作業面11から突き出るように配置され、複数の棒材Bを位置決めする当接面を画定する。
【0082】
そして、複数の棒材B(
図12)は、第1位置に配置された収容ユニット122に挿入される。この挿入は、上記と実質的に同様の方法でスラスタ33を作動させることによって、または作業面11の複数の支持装置12に関連づけられた複数の移動装置14を作動させることによって行うことができる。
【0083】
続いて(
図13)、収容ユニット122は、枢動要素140の周りを回転してその第2位置に移動し、第2位置においては、複数の棒材B、ひいては対応する支持台座25は完全に作業面11より上方であって、作業面11の動きに干渉しない位置にある。
【0084】
図14~
図16は、束Fの棒材Bを使用者のステーション16に供給可能なモードを示している。
供給される棒材Bのタイプが選択されると、対応する収容ユニット122の作動は、その第2位置からその第1位置へと向かうように命令される。
【0085】
特に、それぞれの作動手段126の作動が命令される。
この状態において、選択された収容ユニット122の収容要素24は、枢動軸線の周りを回転して、支持台座25を平面より下、または少なくとも部分的に平面より下に配置される。
【0086】
この状態では、棒材Bの束は作業面11の上に静置され、もはや対応する支持台座25によって支持されてはいない。
そして、複数の移動装置14(
図15)が移動して、作業面11の上に置かれたばかりの複数の棒材Bを、複数の棒材Bの送達を完了した収容ユニット122の動きに干渉しない位置まで移動させる。
【0087】
この状態で、保持ユニット122は、再び第2位置に配置されることができ、これにより複数の収容要素24は作業面11より上方に配置される。
作業面11(
図16)の上に存在する複数の棒材Bは、複数の移動装置14を用いて、例えば撤収装置21(図示せず)のある排出ゾーン17に向かって移動することができ、複数の棒材Bを下流工程にある使用者のステーション16に供給するために、複数の棒材Bが1本ずつ撤収される。
【0088】
例えば
図1を参照して説明される本発明の実施形態では、例えば以下に説明されるように、2以上の供給装置10を互いに直列に並べて協働させることができる。
特に、
図2~
図10を参照して説明されるものに実質的に類似する、
図1の左側に示される第1の装置が、複数の棒材Bを第1の使用者のステーション16に配送するために設けられてもよい。
【0089】
使用者のステーション16は作業機械36を備えることができ、作業機械36は供給装置10によって配送された複数の棒材Bの操作を行うために設けられている。
単なる一例として、作業機械36は、複数の棒材Bをある大きさに剪断する剪断機を備えることができる。
【0090】
作業機械36の下流工程には、ローラ搬送機145、または複数の棒材Bを排出するための他の類似の手段を設けることができる。
ローラ搬送機145は、あるサイズに剪断された複数の棒材Bを下流工程の使用者の機械に向けて運ぶように構成することができる。使用者の機械には、単なる一例として、あぶみ製造機、曲げ装置、溶接機、または、同様の機械及び類似の機械が含まれ得る。
【0091】
また、ローラ搬送機145は、
図1の右側に示す第2の供給装置10に隣接して配置される。
図1に示される場合において、第2の供給装置10は、
図11~
図16を参照して説明されるものと実質的に同様であってもよい。
【0092】
単なる一例として、切断作業による棒材Bの残り部分が、次回の使用可能性のために、第2の供給装置10に少なくとも一時的に回収及び保管されるようにしてもよい。
単なる一例として、載荷装置142は、棒材Bの残りをローラ搬送機145から取り除き、それらを第2の供給装置10の作業面11に載荷するように構成される。
【0093】
棒材Bの残りは、必要に応じて、それらが後に取り除かれる場所から、対応する収容ユニット122に保管することができる。
続いて、第2の供給装置10は、個々の収容ユニット122から複数の棒材を取り除いて、上述のように、使用者のステーション16に配送する。
【0094】
本発明の分野及び範囲から逸脱することなく、これまでに説明したように、複数の部分を修正及び/または追加して、複数の棒材を供給する装置及び方法を実施できることは明らかである。
【0095】
また、本発明はいくつかの特定の例を参照して説明されてきたが、当業者であれば、請求項に記載された特徴及びそれにより定義される保護の分野内に含まれる特徴を有する棒材、特に金属製の棒材を供給する装置及び方法の他の多くの同等の形態を確実に実施することができることは明らかである。
【0096】
以下の請求項では、括弧書きで記載された参照番号は、単に読みやすくすることを目的としており、特定の請求項で請求される保護の分野に関する制限要因であると見なされてはならない。