(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】表面から輻射線又は熱を放射する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/84 20060101AFI20230606BHJP
H05B 3/74 20060101ALI20230606BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H05B3/84
H05B3/74
H05B3/10 Z
(21)【出願番号】P 2020544955
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(86)【国際出願番号】 US2019019955
(87)【国際公開番号】W WO2019169077
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-12-08
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508171804
【氏名又は名称】サビック グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】ガスワース,スティーヴン マーク
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-536674(JP,A)
【文献】特表2018-505524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00~3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射層の端面に結合された、原始輻射線を放射する輻射線源を含む、放射装置であって、
前記放射層は、ホスト材料及び放射作用物質を含む放射領域と、前記ホスト材料を含み且つ前記放射作用物質のない非放射領域とを含み;
前記放射作用物質は、ルミネセンス作用物質又は吸収体の少なくとも一方を含み;前記ホスト材料はポリマーを含み;
前記放射層は第1の面及び第2の面を有し;前記端面は高さdを有し、及び前記第1の面は長さLを有し、長さLは高さdを上回り、及び前記長さL対前記高さdの比は10以上であり;前記放射作用物質は、前記放射層の前記高さdにわたっていない表面局在化放射領域内に存在し;
使用中、前記原始輻射線は、前記輻射線源から前記端面を通って伝えられ、且つ前記放射作用物質を励起させて、前記ルミネセンス作用物質が存在する場合、前記ルミネセンス作用物質が、被放射輻射線を放射するようにし、前記被放射輻射線の少なくとも一部分が、エスケープコーンを通ってから前記第1の面を通って射出し;及び、前記吸収体が存在する場合、前記吸収体が熱を放射するようにする、
放射装置。
【請求項2】
前記放射層は前記ルミネセンス作用物質を含み;及び前記ルミネセンス作用物質は
、40nm以下の最長平均寸法を有する;
かつ
前記ホスト材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリイソプレン、又はポリイミドのうちの少なくとも1種を含
む
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射層は、前記ルミネセンス作用物質及び前記吸収体を含み;前記吸収体の吸収スペクトルは、前記ルミネセンス作用物質の発光スペクトルと重なり合う、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記放射領域は、前記長さLに沿った、前記放射作用物質の濃度勾配を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記放射層は、一方向性の目視検査で、CIE標準光源Cを用いるASTM D1003-11、Procedure Bを使用して、3.2mm厚さのサンプルを使用して決定された、70%以上の可視光透過率を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置には、ガラスがないか、又は前記第1の面若しくは前記第2の面に置かれたガラス層がない、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記表面局在化放射領域の厚さは、10~1,000マイクロメートル、又は50~500マイクロメートル、又は100~200マイクロメートルであるか;又は前記表面局在化放射領域の前記厚さは、前記放射層の前記高さの90%以下、又は0.1~50%、又は0.1~10%にわたっているかの少なくとも一方である、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ルミネセンス作用物質が存在し、及び前記被放射輻射線の少なくとも一部分が、前記エスケープコーンを通ってから前記第1の面及び前記第2の面を通って出る、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の装置の、放射層の形成方法であって、前記第1の面に局在化された前記放射領域を形成するために、前記放射作用物質及び
接着促進物質を、前記ホスト材料を含む基材の表面に
注入することを含む、方法。
【請求項10】
前記放射作用物質を前記
注入することは、
前記第1の面をマスクでマスキングすること;
前記第1の面のマスキングされていない領域を、前記放射作用物質を含む放射組成物と接触させて、接触面を形成すること;及び
前記接触前の前記基材、前記接触前の前記放射組成物、又は前記接触面の少なくとも1つを加熱して、前記放射作用物質を、前記マスキングされていない領域において前記基材に注入させて、前記放射領域を形成するようにすること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記マスクは、前記基材の前記表面と直接接触するコンタクトマスクを含み;前記マスキングは、前記コンタクトマスクを用いてマスキングすることを含み、及び前記マスキングされていない領域との前記接触は、浸漬被覆、流し塗り、又は吹き付け塗装のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マスクは、前記基材の前記表面と直接接触していない非コンタクトマスクを含み;前記マスキングは、前記非コンタクトマスクを用いてマスキングすることを含み;及び前記マスキングされていない領域との前記接触は、吹き付け塗装を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の面に前記放射作用物質を前記
注入することは、マスクのない、前記第1の面の所望の領域を、放射組成物と
接触させて、接触面を形成すること;及び
前記接触前の前記基材、前記接触前の前記放射組成物、又は前記接触面のうちの少なくとも1つを加熱して、前記放射作用物質を前記所望の領域において前記基材に注入させて、前記放射領域を形成するようにすること
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の面に前記放射作用物質を前記
注入することは、
放射組成物を前記第1の面と接触させること、及び所望の放射領域を
加熱して、前記放射作用物質を前記所望の放射領域において前記基材に注入させて、前記放射領域を形成するようにすることを含み;
前記
加熱は、前記接触前、前記接触している間、又は前記接触後に発生する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の面に前記放射作用物質を前記
注入することは、前記放射領域に前記放射作用物質の濃度勾配を形成することを含む、請求項9~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記濃度勾配を前記形成することは:
前記基材に温度勾配を形成し、且つ前記基材を
放射組成物と接触させること;
前記基材の異なる箇所において、
放射組成物との接触時間を変えること;又は
接触箇所によって
放射組成物中の前記放射作用物質の濃度を変えること
のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1~8のいずれか1項に記載の装置の、放射層の形成方法であって、放射領域及び非放射領域を含むフィルム上に基材をフィルムインサート成形すること;又は基材上に前記フィルムを積層することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月28日出願の欧州特許出願第18159329.4号の利益を主張する。関連出願の全体が、参照することにより本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
表面の除霜、防曇、及び/又は解氷などの用途に、加熱装置が開発されている。これらの装置は、装置を通した視界が遮られること(obstructed view)、不透明性、光学的ひずみ、加熱の均一性が不十分であること、装置のエッジすなわち端面から遠い箇所の加熱が不十分であること、加熱区域を局在化できないこと、及び低効率のうちの1つ以上の影響を被る。これらの欠点の1つ以上を克服できる装置が望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書では、表面から輻射線又は熱の一方又は双方を放射するための装置及び方法が開示されている。
【0004】
一態様では、放射装置は、放射層の端面に結合された、原始輻射線(source radiation)を放射する輻射線源を含み得;放射層は、ホスト材料及び放射作用物質を含む放射領域と、ホスト材料を含み且つ放射作用物質のない非放射領域とを含み;放射作用物質は、ルミネセンス作用物質又は吸収体の少なくとも一方を含み;放射層は第1の面及び第2の面を有し;端面は高さdを有し、且つ第1の面は長さLを有し、長さLは高さdを上回り、及び長さL対高さdの比は10以上であり;使用中、原始輻射線は、輻射線源から端面を通って伝えられ、且つ放射作用物質を励起させて、ルミネセンス作用物質が存在する場合、ルミネセンス作用物質が、被放射輻射線を放射するようにし、被放射輻射線の少なくとも一部分が、エスケープコーンを通ってから第1の面を通って射出し;及び、吸収体が存在する場合、吸収体が熱を放射するようにする。
【0005】
一態様では、放射層の形成方法は、非放射領域を形成するために、ホスト材料を含むホスト材料組成物を型に入れて射出成形すること;第1の時間期間経過後、放射領域を形成するために、第2の時間期間だけ、ホスト材料組成物を型に入れて射出成形している間に、同時に放射作用物質組成物を射出成形すること;及び第2の時間期間経過後、ホスト材料組成物の射出成形を停止することを含む。
【0006】
別の態様では、放射層の形成方法は、第1の面に局在化される放射領域を形成するために、ホスト材料を含む基材の表面に放射作用物質を選択的に注入する(infuse)ことを含む。
【0007】
一態様では、表面から水の量を減少させる方法は、装置の表面から輻射線及び熱の一方又は双方を放射することを含む。
【0008】
一態様では、放射装置は、板ガラス、レンズ、鏡、外部パネル、バンパー、又はヘッドランプである。
【0009】
上述の特徴及び他の特徴は、以下の図面、詳細な説明、及び特許請求の範囲に例示されている。
【0010】
図面は例示的な態様であり、同様の要素には、同様の符号を付している。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】放射層を含む、装置の側面側を見た断面の態様の図である。
【
図2】第1の面の近位に表面局在化放射領域を有する、放射層の側面側を見た断面の態様の図である。
【
図3】第1の面及び第2の面の近位に表面局在化放射領域を有する、放射層の側面側を見た断面の態様の図である。
【
図4】センサーを含む、装置の側面側を見た断面の態様の図である。
【
図6】ルミネセンス作用物質の励起スペクトル及び発光スペクトル、線源スペクトル、並びに吸収体スペクトルの実施形態のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
加熱装置、例えば、自動車のウィンドウ・デフロスタは、並列の導電性トレース、又は導電性塗料が、除霜されるべきウィンドウの長さにわたるように、開発されている。これらのトレース又は塗料は、むらのある除霜を生じることがあり、ウィンドウを通した可視性を低下させることがあり、且つ複雑な形状への適用が困難である可能性がある。
【0013】
これらの欠点の少なくともいくつかを克服するために、放射層の端面に結合された輻射線源を含む装置が開発されてきている。放射層は、ホスト材料及び放射作用物質を含み、且つ放射層は、放射作用物質を含む放射領域と、放射作用物質のない非放射領域とを含む。放射作用物質は、ルミネセンス作用物質又は吸収体の一方又は双方を含み得、且つルミネセンス作用物質の励起スペクトル又は吸収体の吸収スペクトルのいずれか又は双方が、輻射線源の線源スペクトルと重なり合い得る。ルミネセンス作用物質及び吸収体の双方が存在する場合、吸収体は、ルミネセンス作用物質の発光スペクトルと重なり合う吸収スペクトルを有し得る。装置は、装置の表面上の指定区域に局在化される放射作用物質の利点を有し得る。
【0014】
装置では、輻射線源からの光(赤外光を含む)が、非放射領域における全内部反射(TIR)によって放射領域へ伝搬する。放射作用物質がルミネセンス作用物質を含むとき、ルミネセンス作用物質に当たる光子が吸収されて、ルミネセンス作用物質から、いわゆるエスケープコーン内へ再放射されて、装置の幅広の表面から放射され得る。すなわち、ルミネセンス作用物質は、一部には、装置内での閉じ込め状態にあるTIRから、幅広の表面へと、光の方向を変化させる(deflect)働きをし得、その幅広の表面から光は逃げて、装置の表面上にある水(例えば、液体水又は氷)によって吸収され得、それにより、水を加熱する。この光の方向の変化は、ルミネセンス作用物質との光相互作用に起因するため、これは、主に、ルミネセンス作用物質が集中している放射領域において発生する。放射作用物質が吸収体を含むとき、吸収体に当たる光子は吸収され得、及び吸収体は、熱を放射し得る。放射装置が、放射層を加熱して表面へ熱を伝え、それにより表面を加熱することによって、表面を加熱し得るか、又は輻射線によって表面を加熱し得る。ルミネセンス作用物質又は吸収体のいずれの場合でも、それにより、端面結合の線源からのパワーが、放射領域へ投射され、その領域において、除霜、解氷、又は防曇のうちの少なくとも1つを可能にする。本明細書では、用語「熱」は、吸収体からの放射を説明するために使用されており、及び用語「輻射線」は、ルミネセンス作用物質からの放射を説明するために使用されている。熱は輻射線の一形態であると理解されるが、これらの用語は、2つの異なる放射を区別し、且つそれぞれの放射作用物質の理解を容易にするために使用されている。また、本明細書では、用語「幅広の表面」は、長さL、及び
図1の断面図には図示しない幅を有する放射層の表面を指すために使用され、ここで、幅広の表面は、図示の高さdの長さによっては規定されない。
【0015】
装置は、以下のうちの1つ以上を達成できる:1)放射領域での均一な放射;2)放射領域における曇り、霜、及び/又は氷の形成を未然に防ぐための予熱面;3)輻射線又は熱の一方又は双方が、放射領域の両幅広の表面から放射され得る;又は4)放射領域における均一な加熱。装置は、放射領域において、放射層の幅広の表面の少なくとも1つの表面上の水(例えば、液体水又は氷)の量を減少させ得る。装置は、放射領域において、少なくとも1つの幅広の表面上にある1ミリメートル厚さの氷の層を、15分以下、又は5分以下、又は0.5~4分で溶かし得る。本明細書では、均一な放射は、放射領域における全ての箇所で測定される放射が、放射領域から放射されている平均放射の40%、又は30%、又は20%以内にあることを指す。本明細書では、均一な加熱は、放射領域における全ての箇所で測定された表面温度が、放射領域において平均表面温度の40%、30%、又は20%以内にあることを指す。
【0016】
ルミネセンス作用物質は、ルミネセンス型太陽光集光器(LSC:luminescent solar concentrators)において、例えば、太陽光を吸収する働きをするソーラーパネルにおいて使用されてきたが、米国特許出願公開第2017/0357042号明細書及び同第2017/0311385号明細書において説明されているように、ルミネセンス作用物質は、本放射装置においてのそれらの使用と比較すると、完全に異なる方法で機能することに留意されたい。
【0017】
装置は、ホスト材料と少なくとも1種の放射作用物質とを含む放射層を含み得る。放射層は、例えば、装置が鏡として使用される場合には平らとしても、又は例えば、装置がレンズ若しくはウィンドウとして使用される場合には湾曲していてもよい。放射層は、2つの幅広の、同一の広がりを持つ、長さLの表面、すなわち第1の面及び第2の面を有し得、これら表面は、
図1に示すようには、高さdの短辺によって境界が設けられている。L対dの比は、10以上、又は30以上、又は30~10,000、又は30~500とし得る。放射層の第1の面と第2の面との間の距離は、一定にも、又は装置の異なる箇所で可変にもできる。
【0018】
ここで図面を参照すると、
図1は、放射層2及び輻射線源4を含む放射装置1の断面図を示す。放射層2は、高さdの短辺によって境界が設けられた、2つの幅広の、同一の広がりを持つ、長さLの外面を有する。輻射線源4は、放射層2の端面へ輻射線を放射する端面結合輻射線源である。装置が、1つの端面結合輻射線源を含むと示されているが、装置は、放射層の1つ以上の端面に位置する1つ以上の端面結合輻射線源を含み得ることが理解される。放射層2は、少なくとも1種の放射作用物質を含む放射領域110にわたっている高さを含む。輻射線又は熱の一方又は双方が、放射作用物質から、放射区域100にある第1の面6及び第2の面8を通して、放射される。放射層2はまた、放射作用物質のない非放射領域114を含む。区域104では、輻射線も熱も、放射作用物質から第1の面6及び第2の面8を通して放射されない。輻射線又は熱は、非放射領域において、放射作用物質以外の作用物質(着色物質など)から、又はホスト材料が輻射線源からの輻射線を吸収できる場合にはホスト材料自体から、放射され得ることに留意されたい。この場合、非放射領域は、放射領域において放射されるよりも、輻射線又は熱の一方又は双方を少なく放射する領域であると定義される。
【0019】
任意選択的な層22が第1の面6上に位置し得る。任意選択的な層22は、保護層、例えば、紫外線防止層又は耐摩耗層のうちの少なくとも一方を含み得る。任意選択的な選択的反射鏡10が、輻射線源4と放射層2との間の輻射線源の端面12上に位置し得、及び任意選択的な端面ミラー14が、端面16上に位置し得る。端面ミラー14及び選択的反射鏡10は、端面を通して失われる輻射線量を減少させ得る。
【0020】
図2及び
図3は、放射層2が、表面局在化放射領域120を含み得ることを示す。
図2は、表面局在化放射領域120が、第1の面6に局在化されていることを示す。輻射線又は熱の一方又は双方が、放射作用物質から、少なくとも放射区域100にある第1の面6を通して放射される。
図2は、さらに、非放射領域114が、第1の面6から離れており且つ第2の面8の近位にある領域にある放射区域100の長さにわたっていることを示す。表面局在化放射領域120の厚さは、10~1,000マイクロメートル、又は50~500マイクロメートル、又は100~200マイクロメートルとし得る。表面局在化放射領域の厚さは、放射層の高さの90%以下、50%以下、又は0.01~25%、0.1~50%、又は0.1~10%にわたっているとし得る。
【0021】
図3は、表面局在化放射領域120が第1の面6に局在化され得、及び表面局在化放射領域122が第2の面8に局在化され得ることを示す。輻射線又は熱の一方又は双方は、放射作用物質から、放射区域100にある第1の面6及び第2の面8を通って放射される。
図3は、さらに、非放射領域114が、第1の面6と第2の面8との間に位置する、中心領域にある放射区域100の長さにわたっていることを示す。表面局在化放射領域120及び表面局在化放射領域122が双方とも放射区域100に位置していると示すが、これらの領域は、それらそれぞれの表面に様々な放射区域を規定でき、それらは、重なり合っても又は重なり合わなくてもよいことに留意されたい。
【0022】
表面局在化放射領域を使用することは、例えば、
図2及び
図3に示すように、放射作用物質が放射層の高さdにわたる実施形態と比較して、いくつかの利点を有し得る。例えば、放射作用物質量の減少は、所望の効果を実現するために必要とされ得、それにより、全体的なコストを削減できるか、又は放射領域でのヘーズ(haze)の発生を減少させ得る。さらに、放射領域の形成方法は、放射作用物質が簡単且つ正確に特定領域に局在化され得るため、より簡単及びより制御可能とし得る。さらに、下記で説明するように、放射作用物質が局在化された表面の形成方法は、基材の形成後に発生し得、それにより、放射作用物質が、基材の高い製造温度に確実に曝されないようにし得る。例えば、ホストポリマーがポリカーボネートを含む場合、基材を形成するときに300℃超のコンパウンド化温度(compounding temperatures)が使用され得、これは、放射作用物質を損傷させる可能性がある。対照的に、典型的な注入温度(infusion temperatures)は100℃以下とし得、放射作用物質を損傷させるリスクを実質的に低減させる。
【0023】
図4は、装置が、装置の表面上に位置するセンサー40を含み得ることを示す。センサー40は、表面局在化放射領域120の反対側に位置し得る。このようにして、表面局在化放射領域120は、放射領域の表面上に水が存在することを防止し得るか又は減少させ得、センサー40が、装置をはっきりと見通せるようにし得る。センサーは、光検知測距(LIDAR)センサーとし得る。LIDAR用途では、放射作用物質は、900~910ナノメートル(nm)の範囲のスペクトルを吸収又は放射しないルミネセンス作用物質を含み得る。センサーが次世代のLIDARであるとき、ルミネセンス作用物質は、1,500~1,600nmの範囲を吸収又は放射するものとすることができ、及び放射作用物質には吸収体がないとし得る。
【0024】
図5は、非放射区域104、及び3つの明確な表面局在化放射領域:放射区域126内に位置する2つの加熱区域124を含む、放射層の実施形態を、上から見た図である。加熱区域124は、吸収体及びルミネセンス作用物質の双方を含み得、並びに放射区域126は、加熱領域におけるものと同じ又は異なるルミネセンス作用物質を含み得る。放射層は、より多い又はより少ない表面局在化放射領域を含み得ること、及びこれらの領域は、所望通りの形状にされ得ることに留意されたい。加熱区域124は、放射区域126内に位置する必要はなく、別個の区域に位置し得ることにも留意されたい。
【0025】
放射層の表面は、滑らかな表面とし得、それら表面が全内部反射による導光を支援するようにする。同様に、一方又は双方の表面は、例えば、照明用途でのビーム拡散のためにテクスチャー加工され得、ここで、テクスチャー加工は、可視波長で選択的に作用し得るが、装置を通るより長い波長に対する全内部反射を維持する。放射領域にある放射層の表面は、滑らかとし得、及び非放射領域にある放射層の表面はテクスチャー加工され得る。放射領域にある放射層の表面はテクスチャー加工され得、及び非放射領域にある放射層の表面は、滑らかとし得る。
【0026】
放射領域は、5%以下又は2%以下の低ヘーズを有し得る。放射層(放射領域及び/又は非放射領域を含む)は、材料が70%以上、又は70~80%の可視光透過率を有するように、透明とし得る。放射層の透過率は、1~75%、又は5~30%(例えば、放射層がプライバシーティント(privacy tint)を有する場合)、又は60~75%(例えば、放射層がソーラーティント(solar tint)を有する場合)とし得る。可視光及びヘーズの透過性は、一方向性の目視検査で、CIE標準光源Cを用いるASTM D1003-11、Procedure Bを使用して、3.2mm厚さのサンプルを使用することによって、決定され得る。放射層は、材料が、900~910nm、又は1,500~1,600nmの範囲で80%以上の透過率を有するように、透明とし得、ここで、これらの範囲の透過性は、分光計を使用して、3.2mm厚さのサンプルを使用して、決定され得る。
【0027】
ホスト材料は、ポリカーボネート(ビスフェノールAポリカーボネートなど)、ポリエステル(ポリ(エチレンテレフタレート)又はポリ(ブチルテレフタレート)など)、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリアミド、ポリシロキサン(ポリ(ジメチルシロキサン)など)、ポリアクリル酸(ポリアルキルメタクリレート(polyalkylmethacylate)(例えば、ポリ(メチルメタクリレート))又はポリメタクリレートなど)、ポリイミド、ビニルポリマー、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、又はポリウレタンのうちの少なくとも1種などの材料を含み得る。ホスト材料は、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアクリレート)、ポリ(ビニルメタクリレート)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリ(ビニルブチラール)、又はポリ(ビニルホルマール)のうちの少なくとも1種を含み得る。ホスト材料は、ポリ(ビニルブチラール)、ポリイミド、ポリプロピレン、又はポリカーボネートのうちの少なくとも1種を含み得る。放射層がポリカーボネートを含むとき、ポリカーボネートは、IR吸収ポリカーボネートを含み得る。ホスト材料は、上述のポリマーのうちの1種以上を含み得る。ホスト材料は、上述のポリマーの1種以上を含む共重合体を含み得る。
【0028】
放射作用物質はルミネセンス作用物質を含み得、ここで、ルミネセンス作用物質は、1種以上のルミネセンス作用物質を含み得る。ルミネセンス作用物質は、2種以上のルミネセンス作用物質を含み得る。ルミネセンス作用物質は、2~6種のルミネセンス作用物質を含み得る。ルミネセンス作用物質は、2~4種のルミネセンス作用物質を含み得る。ルミネセンス作用物質は、単一のルミネセンス作用物質を含み得る。
【0029】
図6は、ルミネセンス作用物質LA及び吸収体Aを含む放射層の励起及び発光スペクトルを示す。LAは、発光スペクトルEmがより長い波長へシフトされるダウンシフティングルミネセンス作用物質であり、ここでは、吸収された光子は、より低いエネルギーの光子として再放射される。
図6は、ダウンシフティングルミネセンス作用物質を示すが、放射層は、発光スペクトルがより短い波長へシフトされるアップシフティングルミネセンス作用物質を含み得ることが理解される。さらに、アップシフティングは、アップコンバージョンを含み、それにより、より低いエネルギーの2つの光子の吸収が、より高いエネルギーの1つの光子の放射を生じることが理解される。線源スペクトルSは、ルミネセンス作用物質LAの励起スペクトルExと重なり合う。この重なり合いは第1世代の光子を生じ、その波長は、放射区域の長さにわたって発生するルミネセンス作用物質LAの発光スペクトルEmによって表される。それらの光子の一部分、例えば20~30%が、エスケープコーンに放射され得、且つ放射層から、第1の面又は第2の面の少なくとも1つを通って出ることができる。エスケープコーン内の、放射されなかった残りの光子は、放射層内の全内部反射によって導かれ得、ここで、端面に到達する光子が、例えば、端面ミラーによって、放射層へ戻るように反射され得る。その後、これらの残りの光子は、同じ若しくは異なるルミネセンス作用物質、又は存在する場合には吸収体に当たる。発光スペクトルEmは励起スペクトルExと重なり合うため、ルミネセンス作用物質が励起されて、波長が発光スペクトルEmによって表されるような第2世代の光子を生じ得る。この第2世代の放射された光子は、さらに、放射層の表面からエスケープコーンを通る光子の放射に寄与し、光子の残りは、第1世代の様にリサイクルされる。それゆえ、さらなる世代の光子が同様に生じる。
【0030】
図6では、ピークが互いにわずかにオフセットされているように示すが、それらピークは、互いにさらに遠くにオフセットされるか又は互いに同時に発生することができることが理解される。図示しないが、線源スペクトル、励起スペクトル及び発光スペクトルは、図示の基線の下方に、x軸に沿ってさらに延びるテイルを有し得ることが同様に理解される。
【0031】
発光スペクトルEmの、被放射輻射線は、放射層を出ることができるか、又は存在する場合には、吸収体によって吸収され得るが、吸収されるのは、発光スペクトルEmが吸収体の吸収スペクトルAと重なり合うからである。放射層にルミネセンス作用物質がない場合、線源スペクトルは、吸収体の吸収スペクトルAと重なり合い得ることに留意されたい。いずれの場合も、吸収体は、ルミネセンス作用物質から及び/又は線源から放射された輻射線を吸収し得、及び熱を生じて、装置を加熱し得る。
【0032】
当業者は、所望の用途に基づく線源スペクトルを容易に想定できる。例えば、線源は、長波長のホスト吸収帯又は可視帯の一方又は双方を回避したいという要望に基づいて選択され得る。
【0033】
ルミネセンス作用物質は、光子波長をシフトさせるだけでなく、光子の方向を変えるようにも、働き得る。例えば、第1世代の光子の一部分は、放射層内での全内部反射からエスケープコーン内へと方向を変えられ得るため、それら光子は、放射層から出ることができ、及び第1世代の光子の一部分は、放射層内で、さらなるルミネセンス作用物質(第1のルミネセンス作用物質、及び/又は存在する場合には、第1のルミネセンス作用物質とは異なるさらなるルミネセンス作用物質の一方又は双方など)又は吸収体を励起させ得る。
【0034】
ルミネセンス作用物質のサイズは、放射層の透過性を低下させないように選択され得、例えば、ルミネセンス作用物質は、可視光、例えば、380~780nm、又は390~700nmの波長の光を散乱させないものである。ルミネセンス作用物質の最長平均寸法は、300nm以下、又は100nm以下、又は40nm以下、又は35nm以下とし得る。ルミネセンス作用物質は、近赤外光、例えば、700~2,500nm、又は700~1,600nmの波長の光を散乱させないものとし得る。
【0035】
ルミネセンス作用物質は、ダウンシフティング作用物質((py)24Nd28F68(SePh)16など、ここで、pyはピリジンである)又はアップシフティング作用物質(NaCl:Ti2+;MgCl2:Ti2+;Cs2ZrBr6:Os4+;又はCs2ZrCl6:Re4+など)の少なくとも一方を含み得る。アップシフティング作用物質は、作用物質の総重量に基づいて、5重量パーセント(wt%)以下、又は0超~5wt%のTi、Os、又はReを含み得る。ルミネセンス作用物質は、有機染料(ローダミン6Gなど)、インダセン染料(ポリアザインダセン染料など)、量子ドット、希土類錯体、又は遷移金属イオンのうちの少なくとも1種を含み得る。ルミネセンス作用物質は、ピロロピロールシアニン(PPCy)染料を含み得る。有機染料分子は、高分子骨格に取り付けられ得るか、又は放射層に分散され得る。ルミネセンス作用物質は、置換アミノ及び/又はシアノ基を有するピラジン型化合物、ベンゾプテリジン誘導体などのプテリジン化合物、ペリレン型化合物(LUMOGEN(商標)083(BASF、NCから市販されている)など)、アントラキノン型化合物、チオインジゴ型化合物、ナフタレン型化合物、又はキサンテン型化合物のうちの少なくとも1種を含み得る。ルミネセンス作用物質は、ピロロピロールシアニン(PPCy)、ビス(PPCy)染料、又はアクセプター置換スクアラインのうちの少なくとも1種を含み得る。ピロロピロールシアニンは、BF2-PPCy、BPh2-PPCy、ビス(BF2-PPCy)、又はビス(BPh2-PPCy)のうちの少なくとも1種を含み得る。ルミネセンス作用物質は、ランタニドベースの化合物、例えばランタニドキレートを含み得る。ルミネセンス作用物質は、カルコゲニド結合ランタニド(chalcogenide-bound lanthanide)を含み得る。ルミネセンス作用物質は、NaCl:Ti2+又はMgCl2:Ti2+のうちの少なくとも1種などの遷移金属イオンを含み得る。ルミネセンス作用物質は、YAlO3:Cr3+、Yb3+又はY3Ga5O12:Cr3+、Yb3+のうちの少なくとも1種を含み得る。ルミネセンス作用物質は、Cs2ZrBr6:Os4+又はCs2ZrCl6:Re4+のうちの少なくとも1種を含み得る。ルミネセンス作用物質は、上述のルミネセンス作用物質のうちの少なくとも1種を含む組み合わせを含み得る。
【0036】
ルミネセンス作用物質は、100,000逆モル濃度×逆センチメートル(M-1 cm-1)以上のモル吸光を有し得る。ルミネセンス作用物質は、500,000M-1 cm-1以上のモル吸光を有し得る。
【0037】
ルミネセンス作用物質は、例えばシリカ又はポリスチレン球などの周囲球に入れられ得る。ルミネセンス作用物質には、鉛、カドミウム、又は水銀のうちの1種以上がない。ルミネセンス作用物質は、0.1~0.95の量子収量(量子効率とも呼ぶ)を有し得る。ルミネセンス作用物質は、0.2~0.75の量子収量を有し得る。
【0038】
ルミネセンス作用物質は、第1の波長範囲にわたって輻射線を吸収でき、且つ第1の範囲と部分的に重なり合い得る第2の波長範囲にわたって輻射線を放射できる。ルミネセンス作用物質によって吸収され得る輻射線は、輻射線源及び/又は同一種のルミネセンス作用物質及び/又は異なる種のルミネセンス作用物質が起源とし得る。
【0039】
ルミネセンス作用物質からの放射は、方向に関して等方性とし得、ここで、放射された光子は、エスケープコーンを通ってから装置を出るか、又は全内部反射によって放射層に閉じ込められるかのいずれかである。エスケープコーンを通って出る輻射線の方向は、装置の幅広の表面に対して垂直な方向を中心にした広い角度範囲にわたって均等に分布され得る。
【0040】
放射作用物質は、吸収体、例えば、UV、可視、又は赤外スペクトルの輻射線を放射しない無放射性吸収体を含み得る。吸収体は、ルミネセンス作用物質の発光スペクトル又は線源スペクトルと重なり合う吸収スペクトルをもったいずれの吸収体も含み得る。吸収体は、可視光を散乱させない吸収体とし得る。吸収体は、700~2,500nm、又は700~1,500nmの波長範囲を吸収する化合物とし得る。吸収体は、有機吸収体(フタロシアニン(phthalocynanine)化合物又はナフタロシアニン化合物など)又は無機吸収体(インジウムスズ酸化物(ITO)又はアンチモンスズ酸化物(ATO:antimony tin oxide)など)のうちの少なくとも1種を含み得る。吸収体は、希土類元素(Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、又はLuなど)、ITO、ATO、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、アゾ染料、アントラキノン、スクアリン酸誘導体、インモニウム染料、ペリレン(LUMOGEN(商標)083(BASF、NCから市販されている)など)、クォテリレン(quaterylene)、又はポリメチンのうちの少なくとも1種を含み得る。吸収体は、フタロシアニン又はナフタロシアニンのうちの少なくとも1種を含み得、上記の一方又は双方は、バリア側基(barrier side group)、例えば、フェニル、フェノキシ、アルキルフェニル、アルキルフェノキシ、tert.-ブチル、-S-フェニル-アリール、-NH-アリール、NH-アルキルなどを有し得る。吸収体は、リン酸メタクリロイルオキシエチル(MOEP)又は炭酸銅(II)(CCB)の一方又は双方を含み得る、Cu(II)ホスフェート化合物を含み得る。吸収体は、クォテリレンテトラカルボンイミド(quaterrylenetetracarbonimide)化合物を含み得る。吸収体は、XB6で表される六ホウ化物を含み得、ここで、Xは、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Y、Sm、Eu、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、又はCaのうちの少なくとも1種である。吸収体は、六ホウ化物と、ITO又はATOのうちの少なくとも1種を含む粒子とを含み得、ここで、六ホウ化物対粒子の比は0.1:99~15:85とし得、及び粒子は、200nm以下の平均直径を有し得る。吸収体は、上述の吸収体の1種以上を含む組み合わせを含み得る。放射領域では、吸収体は、放射層100部当たり0.1~20重量部の量で存在し得る。
【0041】
ルミネセンス作用物質対吸収体のモル比は、1:100~100:1、又は100:1~1:1、又は10:1~1:1とし得る。
【0042】
2つ以上の放射領域が存在するとき、それぞれの放射領域は、同じ又は異なる放射作用物質を含み得ることに留意されたい。
【0043】
ルミネセンス作用物質から放射された輻射線又は吸収体から放射された熱の一方又は双方は、放射層の表面上にある水によって吸収され得る。ルミネセンス作用物質はまた、その量子収量が1未満になる程度の熱を生成し得ることに留意されたい。放射された輻射線(Em)は、UV輻射線~近IR輻射線に及ぶ波長を有し得る。放射された輻射線は、10nm~2.5マイクロメートルの波長を有し得る。UV及び/又は近IR波長範囲での放射は、防曇、除霜、及び解氷などの用途において有用とし得る。これは、水が、UV~近IRに及ぶ波長にわたって事実上同時に発生し、可視波長範囲においてそれぞれ最小を示し、且つこれらの最小値から急速に増加する吸収係数を有するためである。
【0044】
放射層は、さらに、下記で定義するようなUV吸収性分子を含み得る。UV吸収性分子は、放射領域又は非放射領域の一方又は双方に存在し得る。
【0045】
輻射線源は、
図1に示すような端面実装光源とし得る。或いは、輻射線源は、装置から離れており、且つ例えば、1本以上の光ファイバーによって装置の少なくとも1つの端面に結合され得る。リモートの輻射線源が使用されるとき、輻射線源は、1つ以上の装置と併用され得る。装置は、放射層の1つ以上の端面に位置する、もう1つの端面結合輻射線源を含み得る。例えば、装置は、放射層の対向する端面に位置する2つの端面結合輻射線源を有しても、又は装置は、放射層の2組の対向する端面に位置する4つの端面結合輻射線源を有してもよい。
【0046】
装置に輻射線源を結合することは、光学的に連続的とし得、且つ装置の端面においてエスケープコーン内に輻射線を放射して、輻射線が、全内部反射によって装置を通って導かれ得るようにするように構成され得る。本明細書では、用語「光学的に連続的」は、輻射線源からの光の90~100%が放射装置内へ透過されることを意味し得る。輻射線源は、高さ、例えば高さdと、
図1には示していない幅とによって規定されるような表面を有する装置の端面に結合され得る。
【0047】
輻射線源は、線源が結合される端面に沿って測定されるときに、1メートル当たり40~400ワット(W/m)を放射する輻射線源とし得る。輻射線源は、70~300W/mを放射する輻射線源とし得る。輻射線源は、85~200W/mを放射する輻射線源とし得る。
【0048】
輻射線源は、100~2,500nmの波長の輻射線を放射し得る。輻射線源は、300~1,500nmの波長の輻射線を放射し得る。輻射線源は、380~780nm、又は390~700nmの波長の可視範囲にある輻射線を放射し得る。輻射線源は、700~1,500nmの波長の近赤外輻射線を放射し得る。輻射線源は、800~1,200nmの波長の近赤外輻射線を放射し得る。輻射線源は、250~400nmの波長のUV輻射線を放射し得る。輻射線源は、350~400nmの波長のUV輻射線を放射し得る。輻射線源から放射された輻射線は、放射層へ導入される前に、所望の波長へとフィルタリングされ得る。
【0049】
輻射線源は、例えば、発光ダイオード(LED)、電球(タングステンフィラメント電球など);紫外線光;蛍光灯(白色、ピンク、黒色、青色、又はブラックライトブルー(BLB)光を放射するものなど);白熱灯;高輝度放電ランプ(メタルハライドランプなど);冷陰極管、光ファイバー導波路;有機発光ダイオード(OLED);又はエレクトロルミネセンス(EL)を発生する装置とし得る。
【0050】
装置は、任意選択的に、装置の1つ以上の側面上に位置する鏡を有して、光子を反射させることによって、装置の効率を高め得、光子は、そうでなければ、装置から出たかもしれなかった。鏡は、近IR範囲におけるように高反射性とし得、及び放射装置の端面の金属被覆とし得る。具体的には、装置は、端面ミラーの1つ以上、例えば、選択的に反射する端面ミラーを含み得る。端面ミラーは、端面に位置して、方向を変えなければ、輻射線は、装置から放射層へ戻るように逃げてしまう輻射線の方向を変える。選択的に反射する端面ミラーは、輻射線源と放射層との間の端面に位置して、線源スペクトルの大部分が輻射線源と装置との間に透過される一方で、ルミネセンス作用物質の発光スペクトルの大部分が放射層へ戻るように反射され得るようにする。放射層の第2の面からのみ放射が望まれるとき、表面鏡は、放射層の第1の面に置かれ得るか、又は前記面の近位に置かれて、それらの間に間隙があるようにし得る。間隙は、液体(例えば、水、油、シリコン流体などのうちの少なくとも1種)、放射層よりも小さい屈折率を有する固体、又は気体(例えば、空気、酸素、窒素などのうちの少なくとも1種)を含み得る。間隙は、放射層よりも小さいRIを有する液体又は気体を含み得る。間隙は、装置内での全内部反射を支援するために、空隙とし得る。
【0051】
放射層にはガラスがないとし得る及び/又は第1若しくは第2の面の一方若しくは双方に位置する任意の追加的な層にはガラスがないとし得る。例えば、放射層及び任意の追加的な層のそれぞれは、それぞれの層の総重量に基づいて、1wt%未満、又は0wt%のガラスを含み得る。
【0052】
装置は、放射層の第1の面又は第2の面の一方又は双方上に保護層を含み得る。保護層は、UV保護層、耐摩耗層、又は曇り止め層のうちの少なくとも1種を含み得る。保護層は、シリコーンハードコートを含み得る。
【0053】
装置の外面上にUV保護層が適用され得る。UV保護層は、プラスチック基材を室温及び大気圧で塗料溶液に浸漬すること(すなわち、浸漬被覆)を含む、様々な手段によって、適用され得る。UV保護層はまた、限定されるものではないが、流し塗り、カーテンコーティング、又は吹き付け塗装を含む他の方法によって、適用され得る。例えば、UV保護層は、100マイクロメートル(μm)以下の厚さを有するコーティングとし得る。UV保護層は、4~65マイクロメートルの厚さを有するコーティングとし得る。UV保護層は、シリコーンポリマー(例えば、シリコーンハードコート)、ポリウレタン(例えば、ポリ(ウレタンアクリレート))、アクリルポリマー、ポリアクリレート(例えば、ポリメタクリレート、又はポリメチルメタクリレート)、ポリフッ化ビニリデン、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1種を含み得る。UV保護層は、UVカットポリマー(UV blocking polymer)、例えばポリ(メチルメタクリレート)又はポリウレタンのうちの少なくとも一方を含み得る。UV保護層は、UV吸収性分子を含み得る。UV保護層は、シリコーンハードコート層(例えば、AS4000、AS4700、又はPHC587、Momentive Performance Materialsから市販されている)を含み得る。
【0054】
UV吸収性分子は、ヒドロキシベンゾフェノン(例えば、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシ(octoxy)ベンゾフェノン)、ヒドロキシベンゾトリアジン(hydroxybenzotriazine)、シアノアクリレート、オキサニリド(oxanilide)、ベンゾオキサジノン(例えば、2,2’-(1,4-フェニレン)ビス(4H-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン、Cytecから商品名CYASORB UV-3638で市販されている)、サリチル酸アリール(aryl salicylate)、又はヒドロキシベンゾトリアゾール(例えば、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、又は2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェノール、Cytecから商品名CYASORB 5411で市販されている)のうちの少なくとも1種を含み得る。UV吸収性分子は、ヒドロキシフェニルチアジン(hydroxyphenylthazine)、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシルフェニルベンゾチアゾール(hydroxylphenylbenzothazole)、ヒドロキシフェニルトリアジン、ポリアロイルレゾルシノール、又はシアノアクリレートのうちの少なくとも1種を含み得る。UV吸収性分子は、それぞれの領域のポリマーの総重量に基づいて、0.01~1wt%、具体的には、0.1~0.5wt%、より具体的には、0.15~0.4wt%の量で存在し得る。
【0055】
UV保護層は、プライマー層及びコーティング(例えば、トップコート)を含み得る。プライマー層が、装置へのUV保護層の接着を支援し得る。プライマー層は、限定されるものではないが、アクリルポリマー、ポリエステル、又はエポキシのうちの少なくとも1種を含み得る。プライマー層はまた、UV保護層のトップコートのものに加えて又はその代わりに、紫外線吸収体を含み得る。例えば、プライマー層は、アクリルプライマー(例えば、SHP401又はSHP470、Momentive Performance Materialsから市販されている)を含み得る。
【0056】
耐摩耗層(例えば、コーティング又はプラズマコーティング)が、装置の1つ以上の表面に適用され得る。例えば、耐摩耗層が、装置の第1の面若しくは第2の面の一方若しくは双方上に(例えば、直接)置かれ得るか、又はUV保護層などの第2の保護層が、それらの間に置かれ得る。耐摩耗層は、単一層又は多数の層を含み得、且つ装置の耐摩耗性を改善することによって、強化機能を加え得る。一般的に、耐摩耗層は、例えば、酸化アルミニウム、フッ化バリウム、窒化ホウ素、酸化ハフニウム、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化スカンジウム、一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素(silicon oxy-nitride)、炭化ケイ素、酸化炭化ケイ素(silicon oxy carbide)、水素化オキシ炭化ケイ素、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化イットリウム、酸化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコニウム、又はガラスのうちの少なくとも1種を含む、有機コーティング及び/又は無機コーティングを含み得る。
【0057】
耐摩耗層は、真空アシスト堆積法(vacuum assisted deposition processes)及び大気コーティング法(atmospheric coating processes)などの様々な堆積技術によって、適用され得る。例えば、真真空アシスト堆積法は、限定されるものではないが、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)、アーク-PECVD、膨張熱プラズマ式(expanding thermal plasma)PECVD、イオン支援プラズマ堆積(ion assisted plasma deposition)、マグネトロンスパッタリング(magnetron sputtering)、電子ビーム蒸着、又はイオンビームスパッタリングを含み得る。
【0058】
任意選択的に、1つ以上の層(例えば、UV保護層及び/又は耐摩耗層及び/又は曇り止め層)は、ラミネーション又はフィルムインサート成形などの方法によって、装置の外面に適用されるフィルムとし得る。この場合、機能層又はコーティングは、フィルムに、及び/又はフィルムのある側面に対向する装置の側面に、適用され得る。例えば、2つ以上の層を含む、共押出フィルム、押出コーティングされた、ローラ塗りされた、又は押出積層されたフィルムが、前述のようなハードコート(例えば、シリコーンハードコート)の代わりに使用され得る。フィルムは、添加物又は共重合体を含有して、耐摩耗層へのUV保護層(すなわち、フィルム)の接着を促し得る、及び/又はそれ自体が、耐候性の材料、例えばアクリル(例えば、ポリメチルメタクリレート)、フルオロポリマー(例えば、ポリフッ化ビニリデン、又はポリフッ化ビニル)などを含み得る、及び/又は紫外線輻射線の透過を、下部の基材を保護するように十分に阻止できる;及び/又は三次元成形パネルのフィルムインサート成形(FIM)(絵付成形(IMD:in-mold decoration))、押出、又はラミネーション加工に好適とし得る。
【0059】
1つ以上の層は、それぞれ無関係に、添加物を含み得る。添加物は、着色物質(色味作用物質(tinting agent)など)、抗酸化物質、界面活性物質、可塑物質、赤外輻射線吸収体、静電防止作用物質、抗菌物質、流動添加物、分散物質、相溶化物質、硬化触媒、少なくとも上述のもののうちの1種などのUV吸収性分子、又は接着促進物質(例えば、米国特許出願公開第2016/0222179号明細書に開示されているもの)のうちの少なくとも1種を含み得る。様々な層に加えられるいずれかの添加物のタイプ及び量は、装置の所望の性能及び最終用途に依存する。
【0060】
保護層は、近IR範囲において吸収しないように、選択され得る。
【0061】
保護層は、放射層よりも小さい屈折率を有し得る。保護層は、放射層のホスト材料よりも小さい屈折率を有し得る。
【0062】
放射層は射出成形によって形成され得る。例えば、射出成形は、ホスト材料組成物を、例えば、第1のノズルから型内へ射出することを含み得る。第1の時間期間経過後、例えば、5~300秒後、放射作用物質組成物が、例えば、第2のノズルから型内へ同時に射出され得、成形中に放射作用物質組成物がホスト材料組成物と混合するようにして、放射領域を形成する。ひとたび所望の放射領域が形成されたら、第2の時間期間経過後、放射作用物質組成物の射出は停止され得る。その後、第1のノズルからの射出が停止され得る。ホスト材料組成物には、放射作用物質がないとし得る。例えば、ホスト材料組成物は、ホスト材料組成物の総重量に基づいて、0.05wt%以下、又は1~0.01wt%の放射作用物質を含み得る。放射作用物質組成物は、ルミネセンス作用物質又は吸収体の一方又は双方を含み得る。放射作用物質組成物は接着促進物質を含み得る。放射作用物質組成物は、ホスト材料組成物内のホスト材料と同じ又は異なるとし得るホスト材料を含み得る。この射出成形方法は、
図1に示すような放射層を生じ、ここで、放射領域は、第1の面から第2の面までの距離にわたっている。この方法は、放射領域と非放射領域との間に、より広範囲な濃度勾配(すなわち
図1に示すようなステップ関数ではない)を生じ得る。
【0063】
放射層は、放射層を形成するために基材の表面上に放射作用物質及び任意選択的な接着促進物質を選択的に表面注入することによって、形成され得る。流体注入温度への加熱によって、接触時のホスト材料への放射作用物質の注入を容易にし得るため、放射組成物が、表面と接触する前に、流体注入温度まで加熱され得る。流体注入温度は、放射作用物質の溶融温度以上とし得る。表面注入温度への加熱によって、接触時のホスト材料への放射作用物質の注入を容易にし得るため、表面は、放射組成物が表面と接触する前に、表面注入温度へと加熱され得る。接触面は注入温度へと加熱されて、ホスト材料への放射作用物質の注入を可能にし得る。流体注入温度、表面注入温度、及び注入温度はそれぞれ、独立して、30~100℃、又は90~100℃とし得る。
【0064】
放射組成物は、本質的に、放射作用物質及び任意選択的な接着促進物質で構成され得る。例えば、放射組成物には、ホスト材料を溶解する溶媒がないとし得る。放射組成物は、放射作用物質及び液体を含み得る。放射組成物は、放射組成物の総重量に基づいて、5~100wt%の放射作用物質を含み得る。液体は、ホスト材料の少なくとも表面部分を少なくとも部分的に溶解できるようにする溶媒を含み得、それにより、ホスト材料への放射作用物質の注入を容易にする。溶媒は有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、トリプロピレングリコールプロピルエーテル、又はジエチレングリコールのうちの少なくとも1種を含み得る。液体は水を含み得る。
【0065】
選択的な表面注入(selective surface infusing)は、放射作用物質が望まれない箇所の基材の表面区域をまずマスキングすることを含み得る。マスキングは、例えば、接着層を介して、基材表面上にコンタクトマスクを置くことを含み得る。コンタクトマスクは、放射組成物が、基材への作用物質の注入が望まれない領域に接触する能力を低下させるという利点を有する。そのため、放射組成物は、例えば、浸漬被覆、流し塗り、又は吹き付け塗装のうちの少なくとも1つによって、少なくともマスキングされていない区域の表面と接触する。
【0066】
マスキングは、基材の表面にわたって非コンタクトマスクを置いて、非コンタクトマスクが表面と接触しないようにし、それにより、表面をひっかくリスクを低減させるか又は接着剤残りを残すことを含み得る。非コンタクトマスクが使用される場合、放射組成物は、吹き付け塗装によって、例えば、放射組成物を、地面に対して水平の向きにされている放射層の表面に上向きに吹き付けることによって、少なくともマスキングされていない区域の表面と接触し、それにより、放射組成物が、マスキングされている領域に流出するのを減少させ得る。噴霧ノズルを使用して、放射組成物を表面に吹き付け得る。
【0067】
選択的な表面注入は、放射組成物を、表面に、放射区域にのみ、選択的に吹き付けることを含み得る。放射組成物を選択的に吹き付けることによって、マスクの使用を回避できる。
【0068】
選択的な表面注入は、放射組成物を、選択的に加熱された表面と接触させて、注入が望まれる区域のみが加熱されるようにすることを含み得る。例えば、表面は、放射組成物と接触する前又は接触している間、選択的に加熱され得る。反対に、又はそれに加えて、表面は、接触した後、選択的に加熱されて、加熱領域においてのみ、注入を促し得る。表面は、例えば、第2の面の近位に位置する局部加熱素子(赤外線ヒータなど)を使用することによって、選択的に加熱されて、熱が、放射層を通って、接触している第1の面へ伝わるようにし得る。
【0069】
選択的な接触方法が使用されて、1つ以上の接触ステップにおいて第1及び第2の面の双方と接触し得る。第1及び第2の面の双方に接触するとき、それぞれの放射領域の箇所は、例えば、
図3に示すように、互いに対応し得るか、又は互いに無関係に位置し得る。
【0070】
接触が吹き付け塗装を含む場合、吹き付け塗装は、30~100℃、又は90~100℃の温度、及び5~50ポンド/平方インチ(psi)(34~345キロパスカル)、又は15~25psi(103~172キロパスカル)の圧力での放射組成物の吹き付け塗装を含み得る。吹き付け塗装ノズルは、接触している間、表面から4~8インチ(10~20cm)に位置し得る。
【0071】
放射作用物質を選択的に注入することによって、放射層の少なくとも1つの方向、例えば長さLに沿った、放射作用物質の濃度勾配を有する表面局在化放射領域を生じ得る。例えば、表面局在化放射領域120は、境界線l2と比べて境界線l1の近くでより高い濃度の放射作用物質を有し得る。濃度勾配のない吸収体は、輻射線源からの距離に応じて発熱の指数関数的減衰を示し得るため、濃度勾配の存在は、吸収体を含む表面局在化放射領域では特に役立ち得る。濃度勾配に関するこれらのシナリオでは、例えば輻射線源が、l1よりもl2に近い放射層の端面に置かれているとき、表面局在化放射領域120における吸収体の濃度は、境界線l2の近くではより低く、且つ境界線l1の近くではより高いとし得る。或いは、追加的な輻射線源が、放射層の対向する端面に置かれた場合、境界線l2の近くの吸収体の濃度は、境界線l1の近くの濃度と同じとし得、及び両境界線の中心の位置の濃度が、より高いとし得る。
【0072】
放射作用物質の濃度勾配の形成方法は、放射組成物を基材と接触させることを含み得、ここで、基材表面には温度勾配がある。このシナリオでは、基材に注入する放射作用物質の量は、温度が低い領域と比べて温度が高い領域において、より多くする。
【0073】
放射作用物質の濃度勾配の形成方法は、基材との放射組成物の接触時間を変えることを含み得る。例えば、方法は、放射組成物を第2の領域と接触させる前に、第1の領域を放射組成物と、ある時間量、接触させることを含み得る。このシナリオでは、第1の領域の放射作用物質の濃度は、第2の領域の放射作用物質の濃度よりも高くする。
【0074】
放射作用物質の濃度勾配の形成方法は、放射組成物を基材と接触させることを含み得、ここで、接触した放射組成物は、少なくとも表面、例えば長さLに沿った方向に、様々な濃度の放射作用物質を有する。このシナリオでは、表面局在化放射領域の放射作用物質の濃度は、放射組成物の放射作用物質の濃度が劣っている領域に対して放射組成物の放射作用物質の濃度が高くなっていた領域において、より高くする。
【0075】
放射作用物質が表面に注入された後、表面からいずれの残留放射組成物も除去するために、放射層は洗い流され得る及び/又は加熱され得る及び/又は例えば、圧縮空気によって、風乾され得る。
【0076】
放射層は、フィルムインサート成形によって形成され得る。例えば、ホスト材料を含む基材が、放射領域及び非放射領域を含むフィルム上に成形されて、放射層を形成し得る。フィルム内の放射領域は、上述の方法の1つ以上によって、形成され得る。
【0077】
放射層は、積層によって形成され得る。例えば、ホスト材料を含む基材層が、放射領域及び非放射領域を含むフィルム上に積層されて、放射層を形成し得る。フィルム内の放射領域は、上述の方法の1つ以上によって形成され得る。
【0078】
装置は、平面パネル、板ガラス、又は照明モジュール用のレンズとし得る。装置は、例えば、外部照明(例えば、自動車外部照明(ヘッドライト及びテールライト)、飛行場照明(air field light)、街路灯、交通信号灯、又は信号灯);板ガラス(例えば、輸送(自動車)又は建築(天窓)用);電化製品(例えば、冷蔵庫の扉、冷凍庫の扉、冷凍庫の内部壁又は冷蔵室の除霜のため);又は看板用などに適用される際に、防曇、除霜、又は解氷のうちの少なくとも1つに、使用され得る。そのような装置は、抵抗加熱導体を使用することなく、防曇、除霜、又は解氷のうちの少なくとも1つを達成することが可能になる。
【0079】
装置は、被加熱面、例えば鏡(浴室、運動施設、プール施設、又はロッカールームに置かれた鏡など)、床、扉(冷蔵庫の扉又は冷凍庫の扉など)、棚、カウンターなどに使用され得る。被加熱面が鏡であるとき、鏡は、放射層以外の層の表面が「銀メッキ」され得る。
【0080】
装置は、車両のパネル(例えば、外部パネル)、例えば、センサーが内面(車側)に配置されている、前面パネル又は後面パネルとし得る。装置は、センサーを有するバンパーとし得る。センサーはLIDARセンサーとし得る。センサーは車両の全自動運転を支援し得る。センサーは、車両の近くにある物体を検出できる。センサーは周囲光のレベルを検出し得る。
【0081】
下記で、本開示の非限定的な態様を説明する。
【0082】
態様1:放射層の端面に結合された、原始輻射線を放射する輻射線源を含む、放射装置であって;ここで、放射層は、ホスト材料及び放射作用物質を含む放射領域と、ホスト材料を含み且つ放射作用物質のない非放射領域とを含み;放射作用物質は、ルミネセンス作用物質又は吸収体の少なくとも一方を含み;放射層は第1の面及び第2の面を有し;端面は高さdを有し、且つ第1の面は長さLを有し、長さLは高さdを上回り、及び長さL対高さdの比は10以上であり;使用中、原始輻射線は、輻射線源から端面を通って伝えられ、且つ放射作用物質を励起させて、ルミネセンス作用物質が存在する場合、ルミネセンス作用物質が、被放射輻射線を放射するようにし、被放射輻射線の少なくとも一部分が、エスケープコーンを通ってから第1の面を通って射出し;及び、吸収体が存在する場合、吸収体が熱を放射するようにする、放射装置。
【0083】
態様2:放射層の一方又は双方はルミネセンス作用物質を含み;ルミネセンス作用物質は、任意選択的に、40nm以下の最長平均寸法を有し;又はホスト材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリイソプレン、又はポリイミドのうちの少なくとも1種を含む、態様1の装置。
【0084】
態様3:放射層は、ルミネセンス作用物質及び吸収体を含み;吸収体の吸収スペクトルは、ルミネセンス作用物質の発光スペクトルと重なり合う、前述の態様のいずれかの装置。
【0085】
態様4:放射領域は、長さLに沿った、放射作用物質の濃度勾配を有する、前述の態様のいずれかの装置。
【0086】
態様5:非放射領域を形成するために、ホスト材料を含むホスト材料組成物を、型に入れて射出成形すること;第1の時間期間経過後、放射領域を形成するために、第2の時間期間だけ、ホスト材料組成物を型に入れて射出成形している間に、同時に放射作用物質組成物を射出成形すること;及び第2の時間期間経過後、ホスト材料組成物の射出成形を停止することを含む、放射層、例えば、前述の態様のいずれか1つの装置の放射層の形成方法。
【0087】
態様6:第1の面に局在化される放射領域を形成するために、ホスト材料を含む基材の表面に放射作用物質を選択的に注入することを含む、放射層、例えば、態様1~4のいずれか1つ以上装置の放射層の形成方法。
【0088】
態様7:放射作用物質を選択的に注入することが、第1の面をマスクでマスキングすること;第1の面のマスキングされていない領域を、放射作用物質を含む放射組成物と接触させて、接触面を形成すること;及び接触前の基材、接触前の放射組成物、又は接触面のうちの少なくとも1つを加熱して、放射作用物質を、マスキングされていない領域において基材に注入させて、放射領域を形成するようにすることを含む、態様6の方法。
【0089】
態様8:マスクは、基材の表面と直接接触するコンタクトマスクを含み;マスキングは、コンタクトマスクを用いてマスキングすることを含み、及びマスキングされていない領域との接触は、浸漬被覆、流し塗り、又は吹き付け塗装のうちの少なくとも1つを含む、態様7の方法。
【0090】
態様9:マスクは、基材の表面と直接接触していない非コンタクトマスクを含み;マスキングは、非コンタクトマスクを用いてマスキングすることを含み;及びマスキングされていない領域との接触は、吹き付け塗装を含む、態様7の方法。
【0091】
態様10:第1の面に放射作用物質を選択的に注入することは、マスクのない、第1の面の所望の領域を、放射組成物と選択的に接触させて、接触面を形成すること;及び接触前の基材、接触前の放射組成物、又は接触面のうちの少なくとも1つを加熱して、放射作用物質を所望の領域において基材に注入させて、放射領域を形成するようにすることを含む、態様6の方法。
【0092】
態様11:第1の面に放射作用物質を選択的に注入することは、放射組成物を第1の面と接触させること、及び所望の放射領域を選択的に加熱して、放射作用物質を所望の放射領域において基材に注入させて、放射領域を形成するようにすることを含み;選択的な加熱は、接触前、接触している間、又は接触後に発生する、態様6の方法。
【0093】
態様12:第1の面に放射作用物質を選択的に注入することは、放射領域に放射作用物質の濃度勾配を形成することを含む、態様6~11のいずれか1つ以上の方法。
【0094】
態様13:濃度勾配を形成することは:基材に温度勾配を形成し、且つ基材を放射組成物と接触させること;基材の異なる箇所において放射組成物との接触時間を変えること;又は接触箇所によって放射組成物中の放射作用物質の濃度を変えることのうちの少なくとも1つを含む、態様12の方法。
【0095】
態様14:さらに、同じ又は異なる放射組成物を第2の面上に選択的に接触させること含む、態様6~13のいずれか1つ以上の方法。
【0096】
態様15:放射領域及び非放射領域を含むフィルム上に基材をフィルムインサート成形すること;又は基材上にフィルムを積層することを含む、放射層、例えば、態様1~4のいずれか1つ以上の装置の放射層の形成方法。
【0097】
態様16:放射組成物は接着促進物質を含む、態様6~15のいずれか1つ以上の方法。
【0098】
態様17:第1の面上の水の量を減少させるための、上述の態様のいずれか1つ以上の放射層の使用。
【0099】
態様18:放射層の端面に結合された輻射線源から輻射線を放射することを含む、例えば、上述の態様のいずれか1つ以上の装置内の放射層の表面の放射領域から水の量を減少させる方法であって;放射層は、ホスト材料及び放射作用物質を含む放射領域と、ホスト材料を含み且つ放射作用物質のない非放射領域とを含み;放射作用物質は、ルミネセンス作用物質又は吸収体の少なくとも一方を含み;放射層は第1の面及び第2の面を有し;端面は高さdを有し、及び第1の面は長さLを有し、長さLは高さdを上回り、及び長さL対高さdの比は10以上であり;放射している間、原始輻射線は、輻射線源から端面を通って伝えられ、且つ放射作用物質を励起させて、ルミネセンス作用物質が存在する場合、ルミネセンス作用物質が、被放射輻射線を放射するようにし、被放射輻射線の少なくとも一部分が、エスケープコーンを通ってから第1の面を通って射出し;及び、吸収体が存在する場合、吸収体が熱を放射するようにする、方法。
【0100】
態様19:装置は、板ガラス、レンズ、鏡、外部パネル、バンパー、又はヘッドランプである、上述の態様のいずれか1つ以上の放射装置。
【0101】
態様20:放射作用物質は、放射層の高さdにわたらない表面局在化放射領域に、存在する、上述の態様のいずれか1つ以上の放射装置。
【0102】
態様21:放射層は、一方向性の目視検査で、CIE標準光源Cを用いるASTM D1003-11、Procedure Bを使用して、3.2mm厚さのサンプルを使用して決定された、70%以上、又は1~75%、又は5~30%、又は60~75%の可視光透過率を有する、上述の態様のいずれか1つ以上の放射装置。
【0103】
態様22:装置には、ガラスがないか、又は第1の面若しくは第2の面上に置かれたガラス層がない、上述の態様のいずれか1つ以上の放射装置。
【0104】
態様23:表面局在化放射領域の厚さが、10~1,000マイクロメートル、又は50~500マイクロメートル、又は100~200マイクロメートルであるか;又は表面局在化放射領域の厚さが、放射層の高さの90%以下、又は0.1~50%、又は0.1~10%にわたっているかの少なくとも一方である、上述の態様のいずれか1つ以上の放射装置。
【0105】
態様24:ルミネセンス作用物質が存在し、且つ被放射輻射線の少なくとも一部分が、エスケープコーンを通ってから第1の面及び第2の面を通って出る、上述の態様のいずれか1つ以上の放射装置。ルミネセンス作用物質は、第1の面のみの近位とし得るか、又は第1の面及び第2の面の双方の近位とし得る。
【0106】
組成物、方法、及び物品は、その代わりに、本明細書で開示する任意の適切な材料、ステップ、又は構成要素を含み得る、それらで構成され得る、又は本質的にそれらで構成され得る。組成物、方法、及び物品は、それに加えて又はその代わりに、組成物、方法、及び物品の機能又は目的を達成するために必ずしも必要とされない材料(又は種)、ステップ、又は構成要素のいずれもが全くない、又は実質的にないようにするために、明確にし得る。
【0107】
用語「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、量の限定を示すものではなく、言及したアイテムの少なくとも1つが存在することを示す。用語「又は」は、文脈によって別段の明白な指示がない限り、「及び/又は」を意味する。本明細書を通して、「実施形態」、「別の実施形態」、「いくつかの実施形態」、「態様」などへの言及は、実施形態に関連して説明される特定の要素(例えば、特徴、構造、ステップ、又は特性)が、本明細書で説明される少なくとも1つの実施形態に含まれ、且つ他の実施形態に存在しても又は存在しなくてもよいことを意味する。さらに、説明の要素は、様々な実施形態において、任意の好適な方法で組み合わせられ得ることが理解される。
【0108】
層、フィルム、領域、又は基材などの要素が、別の要素「上(on)」にあると言及されるとき、他の要素上に直接あることができても、又は介在する要素が存在してもよい。対照的に、要素が別の要素「上に直接」あると言及されるとき、介在する要素は存在しない。
【0109】
「任意選択的な」又は「任意選択的に」は、それに続いて説明される事象又は環境が発生しても又は発生しなくてもよいこと、並びに説明が、事象が発生する例、及び事象が発生しない例を含むことを意味する。
【0110】
本明細書で反対のことを明示されない限り、全ての試験基準は、事実上、本出願の出願日、又は、優先権を主張する場合には、試験基準が公にされている、最も早い優先出願の出願日における最新の基準である。
【0111】
同じ構成要素又は特性に関する全範囲の端点は、端点を含み、独立して組み合わせ可能であり、並びに全ての中間点及び範囲を含む。例えば、「25wt%まで、又は5~20wt%」の範囲は、端点、及び「5~25wt%」の範囲内の全ての中間値、例えば10~23wt%などを含む。
【0112】
本明細書では、接尾辞「(s)(1つ又は複数の)」は、それが修飾する用語の単数及び複数の双方を含むものとし、それにより、その用語の1つ以上を含む(例えば、1種又は複数種の着色物質(colorant(s))は、1種以上の着色物質を含む)。本明細書では、用語「第1」、「第2」などは、順番、量、又は重要性を全く意味せず、1つの要素を別の要素から区別するために使用される。用語「のうちの少なくとも1」は、リストの各要素を個別に、並びにリストの2つ以上の要素の組み合わせ、及びリストのうちの少なくとも1つの要素と、述べていない同様の要素との組み合わせを含むことを意味する。用語「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。
【0113】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。化合物は、標準的な術語体系を使用すると説明される。例えば、いずれかの指示する基で置換されないいずれの位置も、その原子価が、示すような結合、又は水素原子によって満たされていることが理解される。2つの文字又はシンボルの間にあるわけではないダッシュ(「-」)は、置換基の取り付け点を示すために使用される。例えば、-CHOは、カルボニル基の炭素を用いて取り付けられる。
【0114】
全ての引用した特許、特許出願、及び他の参照文献は、それら全体を本明細書に援用する。しかしながら、本出願の条件が、援用した参照文献の条件と相反又は矛盾する場合、本出願からの用語が、援用した参照文献からの矛盾する条件に優先する。
【0115】
特定の実施形態を説明したが、現在のところ予見できない又は予見できないかもしれない、代替例、修正例、変形例、改良例、及び実質的な等価物が、出願人ら又は当業者に生じ得る。それゆえ、出願されたような及び補正され得るような、添付の特許請求の範囲は、そのような全ての代替例、修正例、変形例、改良例、及び実質的な等価物を含むものとする。
他の実施形態
1. 放射層の端面に結合された、原始輻射線を放射する輻射線源を含む、放射装置であって、
前記放射層は、ホスト材料及び放射作用物質を含む放射領域と、前記ホスト材料を含み且つ前記放射作用物質のない非放射領域とを含み;
前記放射作用物質は、ルミネセンス作用物質又は吸収体の少なくとも一方を含み;前記ホスト材料はポリマーを含み;
前記放射層は第1の面及び第2の面を有し;前記端面は高さdを有し、及び前記第1の面は長さLを有し、長さLは高さdを上回り、及び前記長さL対前記高さdの比は10以上であり;前記放射作用物質は、前記放射層の前記高さdにわたっていない表面局在化放射領域内に存在し;
使用中、前記原始輻射線は、前記輻射線源から前記端面を通って伝えられ、且つ前記放射作用物質を励起させて、前記ルミネセンス作用物質が存在する場合、前記ルミネセンス作用物質が、被放射輻射線を放射するようにし、前記被放射輻射線の少なくとも一部分が、エスケープコーンを通ってから前記第1の面を通って射出し;及び、前記吸収体が存在する場合、前記吸収体が熱を放射するようにする、
放射装置。
2. 前記放射層は前記ルミネセンス作用物質を含み;及び前記ルミネセンス作用物質は、任意選択的に、40nm以下の最長平均寸法を有する;又は
前記ホスト材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリイソプレン、又はポリイミドのうちの少なくとも1種を含む
の一方又は双方である、実施形態1に記載の装置。
3. 前記放射層は、前記ルミネセンス作用物質及び前記吸収体を含み;前記吸収体の吸収スペクトルは、前記ルミネセンス作用物質の発光スペクトルと重なり合う、実施形態1又は2に記載の装置。
4. 前記放射領域は、前記長さLに沿った、前記放射作用物質の濃度勾配を有する、実施形態1~3のいずれかに記載の装置。
5. 前記放射層は、一方向性の目視検査で、CIE標準光源Cを用いるASTM D1003-11、Procedure Bを使用して、3.2mm厚さのサンプルを使用して決定された、70%以上の可視光透過率を有する、実施形態1~4のいずれかに記載の装置。
6. 前記装置には、ガラスがないか、又は前記第1の面若しくは前記第2の面に置かれたガラス層がない、実施形態1~5のいずれかに記載の装置。
7. 前記表面局在化放射領域の厚さは、10~1,000マイクロメートル、又は50~500マイクロメートル、又は100~200マイクロメートルであるか;又は前記表面局在化放射領域の前記厚さは、前記放射層の前記高さの90%以下、又は0.1~50%、又は0.1~10%にわたっているかの少なくとも一方である、実施形態1~6のいずれかに記載の装置。
8. 前記ルミネセンス作用物質が存在し、及び前記被放射輻射線の少なくとも一部分が、前記エスケープコーンを通ってから前記第1の面及び前記第2の面を通って出る、実施形態1~7のいずれかに記載の装置。
9. 例えば、実施形態1~8のいずれかに記載の装置の、放射層の形成方法であって、前記第1の面に局在化された前記放射領域を形成するために、前記放射作用物質及び任意選択的な接着促進物質を、前記ホスト材料を含む基材の表面に選択的に注入することを含む、方法。
10. 前記放射作用物質を前記選択的に注入することは、
前記第1の面をマスクでマスキングすること;
前記第1の面のマスキングされていない領域を、前記放射作用物質を含む放射組成物と接触させて、接触面を形成すること;及び
前記接触前の前記基材、前記接触前の前記放射組成物、又は前記接触面の少なくとも1つを加熱して、前記放射作用物質を、前記マスキングされていない領域において前記基材に注入させて、前記放射領域を形成するようにすること
を含む、実施形態9に記載の方法。
11. 前記マスクは、前記基材の前記表面と直接接触するコンタクトマスクを含み;前記マスキングは、前記コンタクトマスクを用いてマスキングすることを含み、及び前記マスキングされていない領域との前記接触は、浸漬被覆、流し塗り、又は吹き付け塗装のうちの少なくとも1つを含む、実施形態10に記載の方法。
12. 前記マスクは、前記基材の前記表面と直接接触していない非コンタクトマスクを含み;前記マスキングは、前記非コンタクトマスクを用いてマスキングすることを含み;及び前記マスキングされていない領域との前記接触は、吹き付け塗装を含む、実施形態10に記載の方法。
13. 前記第1の面に前記放射作用物質を前記選択的に注入することは、マスクのない、前記第1の面の所望の領域を、放射組成物と選択的に接触させて、接触面を形成すること;及び
前記接触前の前記基材、前記接触前の前記放射組成物、又は前記接触面のうちの少なくとも1つを加熱して、前記放射作用物質を前記所望の領域において前記基材に注入させて、前記放射領域を形成するようにすること
を含む、実施形態9に記載の方法。
14. 前記第1の面に前記放射作用物質を前記選択的に注入することは、前記放射組成物を前記第1の面と接触させること、及び所望の放射領域を選択的に加熱して、前記放射作用物質を前記所望の放射領域において前記基材に注入させて、前記放射領域を形成するようにすることを含み;
前記選択的な加熱は、前記接触前、前記接触している間、又は前記接触後に発生する、実施形態9に記載の方法。
15. 前記第1の面に前記放射作用物質を前記選択的に注入することは、前記放射領域に前記放射作用物質の濃度勾配を形成することを含む、実施形態9~14のいずれかに記載の方法。
16. 前記濃度勾配を前記形成することは:
前記基材に温度勾配を形成し、且つ前記基材を前記放射組成物と接触させること;
前記基材の異なる箇所において、前記放射組成物との接触時間を変えること;又は
接触箇所によって前記放射組成物中の前記放射作用物質の濃度を変えること
のうちの少なくとも1つを含む、実施形態15に記載の方法。
17. 実施形態1~8のいずれかに記載の装置の、放射層の形成方法であって、放射領域及び非放射領域を含むフィルム上に基材をフィルムインサート成形すること;又は基材上に前記フィルムを積層することを含む、方法。
18. 実施形態1~17のいずれかに記載の放射層の使用であって、前記第1の面上の水の量を減少させるための、使用。