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特許7290666有機性汚泥の脱水のための処理方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】有機性汚泥の脱水のための処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/147 20190101AFI20230606BHJP
   C02F 11/121 20190101ALI20230606BHJP
   B01D 19/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
C02F11/147
C02F11/121 ZAB
B01D19/00 Z
【請求項の数】 30
(21)【出願番号】P 2020567010
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2019064113
(87)【国際公開番号】W WO2019229196
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-03-09
(31)【優先権主張番号】1854796
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519136179
【氏名又は名称】オレージュ
【氏名又は名称原語表記】OREGE
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】カポー,パトリス
(72)【発明者】
【氏名】ジャンドロ,パスカル
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0029291(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0376182(US,A1)
【文献】特表2017-537785(JP,A)
【文献】特開2002-086146(JP,A)
【文献】特開2007-190530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/147
C02F 11/121
B01D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機性汚泥(1,41,69)の流れの連続又は半連続処理/脱水のための方法であって、
前記汚泥の流れに空気(6,47,68)を注入することによって、空気、固形物及び水の三相エマルジョン製造され
フロック(14,51)を生成するために前記三相エマルジョンに凝集剤(13,50,F)導入された後、凝集されたエマルジョンを形成する前記フロックが、大気圧で脱気される方法において、
前記フロックを、大気圧に開放されている容器(24,53)内に、又は前記フロックの減速のためのエネルギー吸収シャッタ(39,C)、垂直に又は実質的に垂直に、噴水(20)状に出させることによって前記フロック脱気され
のように熟成された前記フロックが、濾過及び/又はデカンテーション装置(56,74)に入れられて回収されことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記フロックを前記噴水(20)状に垂直に又は実質的に垂直に噴出させることは、前記噴水の上部ネックを通して提供され、前記上部ネックは、前記フロックの熟成に十分である最適化された所定の時間を可能にするように、前記上部ネックの下に位置する前記容器の下部に所定の量の汚泥提供されるように設計されていることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記フロックの減速のためのエネルギー吸収シャッタ(39,C)は、壁であことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記壁(39)は可撓性を持つことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記凝集剤(13,50,F)は、収縮による前記三相エマルジョン中負荷(10,49,71)の損失の発生後に、前記三相エマルジョンに導されことを特徴とする請求項1~のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
前記汚泥が、流量Q(m/h)で連続的に供給されて、前記汚泥に前記空気が流量q(Nm /h)で注入されて、前記三相エマルジョンは、前記空を、前記汚泥の流れの第1の領域(7,44)q≧3Qとなるように、前記汚泥に衝突させることによって、生されことを特徴とする請求項1~のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
前記第1の領域(44)は、2つの側壁間に閉じ込められた小さい容積であり、その容積は0.005m 未満であることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記収縮による負荷の損失の発生の前に、前記三相エマルジョンが、100 l未満の小さい容積を持つ包囲体(45,70)に渡される、ことを特徴とする請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記包囲体(45)は管状であり、その通路の平均断面積は、20cm~80cmの間に含まれることを特徴とする請求項記載の方法。
【請求項10】
前記包囲体(45)は平均直径d及び高さH>3dを持つカラムであり、前記汚泥の供給の高さに注入される空気によって形成されるガス床において、前記汚泥が前記カラムの下部に導されことを特徴とする請求項及びに記載の方法。
【請求項11】
前記凝集剤(13,50,F)は、大気に出す前に、前記包囲体の直近の流出物に注入されるポリマーであることを特徴とする請求項~1のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
前記フロックは、前記濾過及び/又はデカンテーション装置の中で、濃縮器として機能する空間(56,74)において、前記フロックの浮遊/沈降によって、前記濾過及び/又はデカンテーション装置によって前記フロック脱気された後に濃縮され、前記濃縮された汚泥連続的に放出されことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
前記空間は円柱形であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記空間は平行六面体の水平の槽によって形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記フロックの濾過及び/又は加圧によって、前記脱気の下流で前記フロックの補完的処理われる、ことを特徴とする請求項1~1のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
前記補完的処理は、回転ふるい分けドラム(81)上に、前記フロックを渡すことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記補完的処理は、10kg~40kgに含まれる圧力による補助的な加圧(P)をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記空気を、前記汚泥の流れの方向に注入する、ことを特徴とする請求項1~1のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
液状有機性汚泥(1,41,69)の処理及び/又は脱水のための装置(2,40,66)であって、
汚泥を第1の流量q(m/h)で連続的に供給する手段(42)と、
エマルジョン(8)を形成するために前記汚泥に空気を流量Q’(Nm /h)で供給する手段(46)と、
凝集されたエマルジョンを形成するフロック(14,51)を形成するために前記エマルジョンに凝集剤を供給する手段(13)と、
懸濁液中の物質(59,77)の液体部分(60,79)を分離してこれを連続的に回収するように設計されている、前記フロックの濾過及び/又はデカンテーションのための手段(56,74)とを含む装置において、
前記フロックを大気圧で脱気する脱気手段(17,26,37,37’,52)を含み、
前記脱気手段(17,26,37,37’)は、
大気圧に開放している容器(17,27,E,37,37’)と、大気圧に開放している前記容器内に噴水状に垂直又は実質的に垂直に前記フロックを出すことによる前記フロックの供給部(19,54)とを含むか、又は、
前記フロックを通過させるための包囲体(E)であり、前記フロックを減速させる減速壁(39,T)を含む中間の導入又は流出チャンバー(38,38’)が設けられている前記包囲体を含む、
ことを特徴とする装置。
【請求項20】
前記減速壁(39,T)は可撓性を持つことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記凝集剤を注入する前に収縮によって前記エマルジョン中で負荷の損失を発生させる手段(10,49,71)を含むことを特徴とする請求項19~2のいずれか一項記載の装置。
【請求項22】
前記汚泥が流量Q(m /h)で連続的に供給され、前記装置は、前記汚泥の流れの第1の領域(7,44)を含み、前記第1の領域において、前記汚泥に流量q(Nm /h)で注入される空気と前記汚泥とを衝突させることによって前記エマルジョンが形成されることを特徴とする請求項19~2のいずれか一項記載の装置。
【請求項23】
前記第1の領域(44)は、特にベンチュリ又は配管の制限部内のように2つの側壁間に閉じ込められた0.005m未満の狭い空間であることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項24】
前記濾過及び/又はデカンテーションのための手段は、前記エマルジョンが形成される前記第1の領域と収縮部との間に含まれるライン内の包囲体(45,70)を含むことを特徴とする請求項19~2のいずれか一項記載の装置。
【請求項25】
前記包囲体(45,70)は平均直径d及び高さH≧5dを持つカラムであり、汚泥の前記供給のレベルに注入される空気によって形成されるガス床において前記カラムの下部に前記汚泥が導入されることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項26】
前記包囲体(45,70)は管状であり、その通路の平均断面積は20cm~80cmに含まれることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項27】
濃縮器として機能する空間における前記フロックの浮遊/沈降による汚泥の濃縮器(56,74)と、オーバーフローを利用して、濃縮した汚泥を重力によって連続的に放出する手段とを含むことを特徴とする請求項19~2のいずれか一項記載の装置。
【請求項28】
濾過及び/又は加圧によって脱気するための脱気手段の下流における前記フロックの補完的処理手段(74)を含むことを特徴とする請求項1927のいずれか一項記載の装置。
【請求項29】
前記補完的処理手段(74)は、回転ふるい分けドラム(81)を含むことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記補完的処理手段は、前記ドラム(81)に前記フロックを押し付ける補助プレート(82)をさらに備えることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[背景技術]
本発明は、汚泥流動物への空気の注入と、エマルジョンへの凝集剤の注入による生成とによる液状有機性汚泥の連続又は半連続処理及び/又は脱水のための方法に関する。
【0002】
また、本発明は、この種の方法を実施する液状汚泥の処理/脱水のための装置にも関する。
【0003】
本発明は、家庭用又は産業用浄水場から得られる有機性汚泥の容積の削減の分野で、特に重要であるが排他的ではない用途がある。
【0004】
「有機性汚泥」は、実質的に有機物によって充填された汚泥、すなわち、生物、植物、動物、菌類、その他分解者(たとえば微生物)によって生成されるものを50%超、たとえば70%超含む汚泥を意味する。
【0005】
貯蔵タンクの透水底部で移動する機械的スクレーパによって、凝縮した無機性汚泥又は有機性汚泥の乾燥を改善することを可能にする汚泥脱水装置が既に知られている(FR 2 729 383)。
【0006】
この種の装置には目詰まりのリスクがあるので、目詰まり解消手段が必要であり、該手段の機械的機器には欠点がある。これに加えて、有機性汚泥はコロイド状物質であり、そのデカンテーションは遅く非効率である。
【0007】
排水テーブルシステム(draining table system)も公知であるが、これにはきわめて大きな運用上の制約があり、きわめて大規模の設備を要する。これはさらに非効率である。
【0008】
デカンテーション槽によって形成された静的システムも公知である。
【0009】
しかし、静的濃縮の場合、滞留時間がきわめて長く、また残念ながら、汚泥の発酵現象が起こることで、悪臭が生じ、該汚泥のコロイド性が増す。
【0010】
汚泥の懸濁液中の液体と有形物との分離方法も公知である(FR 2 966 818)。この方法では、汚泥と流量の多い空気とを、容積の小さい包囲体に注入する。
【0011】
この方法は並外れて効率的であるが、実質的には高度に無機化された汚泥(すなわち、固形物 100重量%のうち、所定パーセントの有機物(5~15%未満)を含む汚泥)に適用可能なものである。
【0012】
文献 国際公開公報第2015/079175号についていえば、空気及び汚泥の流動の速さを調節しつつ汚泥流動物に空気を注入することによって液状汚泥を処理する方法が記載されており、本文献では、濃縮装置排水路での脱水の向上よりも前に、凝集薬剤の注入を行なう凝集/デカンテーションによって汚泥を処理する。この場合でもいえることであるが、この方法はきわめて効率的であるが、特に凝集時間と必要な凝集剤の量とに関する限り、乾燥をさらに改善することができる。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、特に、適切な脱気によって、より少量の薬剤(凝集剤)で、特に小規模の設備でより迅速に凝集エマルジョンを得ることを可能にするという点で、既知であるものよりも実際の要求をよく満たす方法及び装置を提供することである。
【0014】
濃縮された汚泥のフロックを生成するために脱気エネルギーを巧みに用い、その後に抽出物をたとえば単純な掻き寄せシステムに入れるのに好適であり、該フロックが意図しない時に破壊されることがないことにより、浮力によって遊離される汚泥フロックと水との実質的に瞬時の分離が実現される。
【0015】
このために、本発明は、汚泥の連続処理又は半連続処理及び/又は脱水(代替のバッチを用いる)の原理を出発点にしている。脱気された空気でエマルジョンが生成され、該脱気のエネルギーを運動的な熟成エネルギーとして用いて凝集が行なわれる。
【0016】
したがって、脱気機能と放出されるエネルギーは、汚泥への凝集剤の浸透を改善するのに用いられる。
【0017】
有利には、汚泥は、濃縮器容器内のラインの下流で迅速に濃縮もされる。
【0018】
この目的のために、本発明では、有機性汚泥の連続又は半連続処理/脱水のための方法であって、汚泥に空気を注入することによって、空気、固形物及び水の三相エマルジョンを製造し、フロックを生成するために前記エマルジョンに凝集剤を導入した後、前記フロックを大気圧で脱気する方法において、フロックをそれ自体又はフロックが減速されるエネルギー吸収シャッタに柔らかに衝突させることによってフロックを脱気し、これにより熟成したフロックを回収して濾過及び/又はデカンテーション装置に入れることを特徴とする方法を特に提案する。
【0019】
「エネルギー吸収」は、少なくとも2に等しい係数でフロックの運動エネルギーを減少させるように設計されていることを意味する。
【0020】
衝突は液体/液体型の衝突である。
【0021】
この種の余分な空気の穏やかで部分的な脱気では、エマルジョンは損傷せず、脱気のエネルギーを用いて良好な凝集を行なうことができ、これにより、ポリマーを混合する時間を10~20%短縮したり最大50%も短縮したりすることができるだけでなく、用いられるポリマーの量を削減することができる。
【0022】
「柔らかな衝突」は、たとえばフロックそれ自体の上に、重力によって落下することを利用する、フロックそれ自体に対する、衝撃を与えない衝突又は徐々に進行する接触か、あるいは、エネルギーの吸収のためのシャッタや壁やディスク、例として、可撓性を持つか、又は、たとえば数cm2(たとえばx×y、x及びy<10cm)の小さい寸法を持ち、流れを減速させるように設計されているが、流れの中に突発的に過剰な圧力を発生させる不規則性を構成しないシャッタに対する、衝撃を与えない衝突又は徐々に進行する接触を意味する。
【0023】
「シャッタ」や「可撓性シャッタ」は、たとえばゴムや同等物で形成された弾性要素や半硬質要素を意味し、これは、汚泥のフロックを破壊することなく、減速による負荷の損失に耐え及び/又は発生させることができ、これによって圧力による脱気を可能にする。
【0024】
この種のシステムは、フロックの形成の連続性と、プロセス中の前記フロックの通過や移送の速度に対する適合性とを確保しつつ、余分な空気の脱気を可能にする。
【0025】
ポリマーに関する限り、従来、汚泥脱水ラインの運転者は、確実により重いが分裂しにくいフロックを得るために、過剰なポリマーを供給する傾向がある。
【0026】
本発明を用いれば、脱気エネルギーを用いて単純な方法で凝集プロセスを改善することによって、設備の運転者が過剰に投入する傾向はもはやなくなるので、前記リスクが大幅に最小化される。
【0027】
実際に、処理ラインについて、凝集剤を最大30%省くことを可能にする結果が得られている。
【0028】
「半連続」は、連続又は半連続処理を可能にして優れたペースを可能にするために、瞬時に互いに代替可能である、又は、実質的に停止させずに互いに代替可能である連続的バッチを用いることを意味する。
【0029】
連鎖の最後において、得られた熟成フロックは、掻き寄せや、開放された水が得られる別のタイプの分離による固形物の抽出に好適である。
【0030】
有利には、フロックのそれ自体への柔らかな衝突は、大気圧に開放された容器内に噴水(又はジェット)状に、垂直に又は実質的に垂直に、フロックを出すことによって形成される。
【0031】
フロックを空気に接触させることにより、この種の穏やかな脱気を用いる。フロックの破損がなく、このことにはポリマーの過剰な消費を抑え、したがって、濾液へのポリマーの継続的な放出を抑える効果がある。
【0032】
加えて、大気に開放されている容器の空いている上部空間に放出される汚泥のジェットのエネルギーにより、汚泥への凝集剤のより良好な取込みが可能になる(これにより、凝集を加速することができる)。
【0033】
また、有利には、汚泥を容器内に噴水状に吐出するための上部ネックが、汚泥と凝集剤とを混合するのに十分である最適化された既定の時間を可能にするように、前記ネックの下に位置する前記容器の下部に所定の量の汚泥を提供するように設計されている。
【0034】
このために、容器の底に対するネックの高さは、たとえば30cm以上である。
【0035】
別の有利な実施形態によれば、柔らかな衝突は、減速壁及び/又は流れを減速させる領域を含む中間チャンバーへの、又は、中間チャンバーからの、フロックの導入又は排出によって生じる。
【0036】
有利には、この目的のため、フロックを通過させるための、(脱気のために)大気に開放されている包囲体に、フロックが導入され、該包囲体には、流れの通路中に位置する、及び/又は、前記フロックが導入される方に向いている減速シャッタ、たとえば可撓性を持つ壁を形成する壁を含む中間チャンバーが設けられる。
【0037】
有利には、減速壁は、流れに垂直な軸を持つ凸状の半円筒形の壁であり、したがって、頂部(又は外側の母線)は流れに向けられる。
【0038】
この場合でも、フロックの成熟、すなわち、均質になって脱気されたフロックの構成(汚泥と凝集剤との混合物)に十分な最適時間を可能にするように、容器の下部に汚泥の空間を設けるように容器を設計する。
【0039】
また、有利には、包囲体が、下部が開放している包囲体の水平壁を含み、これにより、凝集したエマルジョンを均一な速度で分配することが可能であり、該壁は、減速壁としても機能することができるし、機能しなくてもよい。
【0040】
別の実施形態によれば、壁又は減速シャッタは、脱気された流れの流出用チャンバーの前に位置する。
【0041】
有利な実施形態によれば、以下に記載されているものの1つ及び/又はその他が、また及び/又はさらに、適用される。
収縮によるエマルジョン中での負荷の損失の発生後に、三相エマルジョンに凝集剤を導入する。
【0042】
収縮は、たとえばベンチュリやピンチバルブによって形成される、配管の不規則性によって行なわれる。
汚泥を流量Q(m3/h)で連続的に供給して、汚泥の流れの第1の領域においてq≧3Qとなるように、汚泥に流量q(Nm3/h)で空気を注入して、汚泥と空気とを衝突させることによってエマルジョンを生成する。
第1の領域は、空気の流れと汚泥との混合物の速さが少なくとも10m/Sとなるように、特に2つの側壁の間に閉じ込められた狭い空間(例えば、ベンチュリ又は配管の制限のような)であり、その容積は、たとえば0.005m3未満であり、たとえば10cm3~200cm3に含まれる。
【0043】
注入領域のサイズの特定の縮小(たとえば50cm3)により、汚泥/空気の優れた混合が可能になるだろう。
【0044】
実際、この箇所には、動力学的な衝突を引き起こす高速領域が存在し、この衝突によって、気泡を細菌のフロックに浸透させることが可能である。
その後、収縮による負荷の損失の前記発生の前に、小さい容積(容積 200l未満)を持つ包囲体にエマルジョンが渡される。
【0045】
第1の領域と包囲体とを、2つの別々のチャンバー内に2つの領域を形成する制限部(ベンチュリ及び/又はオリフィス)によって分離することもできる点に留意するべきである。
包囲体は管状であり、その通路の平均直径は10mm~50mmに含まれる。
包囲体は、平均直径d及び高さH≧50d(たとえば10d)を持つカラムであり、汚泥の前記供給の高さに注入される空気によって形成されるガス床(gaseous bed)において、カラムの下部に汚泥が(たとえば上又は下に)導入される。
凝集剤は、大気に出す前に、容器の直近の流出物に注入されるポリマーである。これはたとえば陽イオン型の有機凝集剤である。
濃縮器として機能する空間で、凝集したエマルジョンを浮遊/沈降させることによって、濾過及び/又はデカンテーション装置で脱気した後に、フロックを濃縮し、たとえばオーバーフローを利用して、濃縮した汚泥を連続的に放出する。
【0046】
有利には、空間の表面を多少すぼめることによって、浮遊層の厚さを(用いられる空気及び汚泥の流量に応じて)調整することができる。これにより、その後、自重によってさらに沈降を行なうことができるので、MS 100~120g/lの濃度を得ることができ、凝集汚泥の下で得られる水の品質と透明度が継続的にきわめて優れたものになる(DCOが200mg/l未満になるし、生物汚泥の場合には100mg/lにさえなる)ことが分かる。
空間は円柱形である。
空間は平行六面体の水平の槽によって形成される。
フロックの濾過及び/又は加圧によって、脱気の下流でフロックの補完的処理を行なう。
補完的処理は、回転ふるい分けドラム上にフロックを渡すことを含む。
処理は、たとえば加圧プレートを用いた補助的な加圧をさらに含み、圧力は10kg~40kgに含まれ、たとえば25kgであり、これにより、さらに改善された固形物の濃度を得ることができ、単位リットルあたり90g程度であることが可能である。
空気を汚泥の流れの方向に注入する。
【0047】
本発明では上述されている方法を実施する装置も提案する。
【0048】
本発明は、液状有機性汚泥の処理及び/又は脱水のための装置であって、汚泥を第1の流量Q(m3/h)で連続的に供給する手段と、エマルジョンを形成するために汚泥に空気を流量Q’(Nm3/h)で供給する手段と、フロックを形成するためにエマルジョンに凝集剤を供給する手段と、懸濁液中の物質の液体部分を分離してこれを連続的に回収するように設計されている、前記フロックの濾過及び/又はデカンテーションのための手段とを含む装置において、フロックをそれ自体又は可撓性を持つ壁に柔らかに衝突させることによって、前記フロックを大気圧で脱気する手段を含むことを特徴とする装置も提案する。
【0049】
有利には、脱気手段が、大気圧に開放している容器と、大気圧に開放している前記容器内に、噴水状に、垂直又は実質的に垂直に、フロックが出ることによるフロックの供給部とを含む。
【0050】
また、有利には、脱気手段は、フロックを通過させる包囲体を含み、包囲体には、流れを減速させる壁を含む中間導入チャンバーが設けられている。
【0051】
有利には、壁は、可撓性を有し、及び/又は、湾曲し(例として、たとえば5cm~100cmに含まれる、複数センチメートルの曲率半径を持つ)、その頂部が流れの方向に向く。
【0052】
有利な実施形態によれば、装置は、凝集剤を注入する前に収縮によってエマルジョン中で負荷の損失を発生させる手段を含む。
【0053】
収縮は、たとえば、ベンチュリやバルブによって形成される配管の不規則性によって行われ、たとえばピンチバルブやフラップバルブによって行なわれる。
【0054】
有利には、装置は、浮遊によって分離するために、装置内の熟成したフロックを回収する手段を含む。
【0055】
装置の有利な実施形態によれば、以下に記載されているものの1つ及び/又はその他が、また及び/又はさらに、適用される。
汚泥が流量Q(m3/h)で連続的に供給され、装置は、汚泥の流れの第1の領域を含み、第1の領域において、汚泥に流量q(Nm3/h)で注入される空気と、汚泥とを衝突させることによって、エマルジョンが形成される。
第1の領域は、特に2つの側壁の間に閉じ込められた狭い空間(例えば、ベンチュリ又は配管の制限のような)であり、その容積は、たとえば0.005m3未満であり、たとえば10cm3~200cm3に含まれる。
装置は、エマルジョンが形成される前記第1の領域と、収縮部との間に含まれるライン内の包囲体を含む。したがって、得られたエマルジョンは、収縮及び凝集の前に、容積の小さい包囲体に渡される。第1の領域と包囲体とを、2つの別々のチャンバー内に2つの領域を形成する制限部(ベンチュリ及び/又はオリフィス)によって分離することもできる点に留意するべきである。「小さい容積」は、数十リットル、すなわち100l未満を意味する。
包囲体は、平均直径d及び高さH≧3dを持つカラムであり、汚泥の前記供給の高さに注入される空気によって形成されるガス床(gaseous bed)において、カラムの下部に汚泥が(たとえば上又は下に)導入される。
包囲体は管状であり、その通路の平均断面積は20cm~80cmに含まれる。
濾過及び/又はデカンテーションのための手段は、濃縮器として機能する空間で、凝集したエマルジョンを浮遊/沈降させることによる汚泥の濃縮器と、たとえばオーバーフローを利用して、濃縮した汚泥を重力によって連続的に放出する手段とを含む。
空間は円柱形である。
空間は平行六面体の水平の槽によって形成される。
装置は、脱気のための手段の下流で、濾過及び/又は加圧によってフロックの補完的処理を行うための手段を含む。
補完的処理手段は、回転ふるい分けドラムを含む。
補完的処理手段は、ドラム上でフロックを加圧する補助プレートをさらに備える。
【0056】
本発明は、限定されない例によって以下に記載されている実施形態を読むことによってよりよく理解される。説明の際には該説明に付随する図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明に係る方法の第1の実施形態を示す図である。
図2】本明細書で特に説明されている本発明の実施形態に係る装置の脱気/熟成槽を断面図で概略的に示す。
図2図2を参照して説明されているタイプの装置の脱気器/熟成槽の実施形態の正面から見た図である。
図2A図2を参照して説明されているタイプの装置の脱気器/熟成槽の実施形態のIIA-IIAに沿った断面の図である。
図3】減速壁を有する脱気器/熟成槽の別の実施形態の上から見た図である。
図3A】減速壁を有する脱気器/熟成槽の別の実施形態のIIIA-IIIAに沿った断面の図である。
図3B】減速壁を有する脱気器/熟成槽の変形実施形態の概略図である。
図4】濃縮器を有する本発明に係る装置の別の実施形態を概略的に示す。
図5】回転ドラム濃縮器を有する本発明に係る装置の別の実施形態を概略的に示す。
図6図5のドラムを有する濃縮器の斜視図である。
図7図5のドラムを有する濃縮器の上から見た図である。
図8図5のドラムを有する濃縮器のVIII-VIIIに沿った断面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1は本発明の第1の実施形態に係る汚泥処理方法の機能を概略的に示す。
【0059】
たとえば10~50m3/hに含まれる流量Q(m3/h)で、汚泥1が連続的に装置2に導入される。ただし、たとえば100m3/hなどのより多い流量を提供することができる。
【0060】
より具体的には、汚泥はたとえばタンク(示されていない)から圧送され、例として、たとえば呼び径5~15cmの配管4によって形成される循環路(circuit)の第1の部分3を満たし、配管は直管か実質的に直管で、たとえば水平管であり、長さ数メートルで、たとえばゲージ圧1~3バールの配管である。
【0061】
空気6を、所定の圧力、たとえば、汚泥の供給圧力を0.2~2バール超える範囲に含まれる圧力で、流量q’(Nm3/h)、たとえば50Nm3/h(有利には、q’≧2Q)で注入する手段5(たとえばコンプレッサ)が、配管の第1の領域7に設けられている。
【0062】
「Nm3/h」(毎時ノルマルリューベ)は、標準状態、すなわち、大気圧でたとえば15℃を起点とすることを意味する。
【0063】
有利には、汚泥の流れの方向に注入が行われる。これにより、下流で得られる空気、固形物及び水からなる三相エマルジョン8の速さを高めることが可能になる。
【0064】
図1に示されている実施形態では、第1の領域7は、たとえば、配管4のその他の領域と同じ直径を持つ配管部分である。
【0065】
しかし、有利には、第1の領域7の断面が、配管のその他の領域よりも小さいことが可能である。第1の領域7は、たとえば、ベンチュリ(たとえば長さ1~10cm)の中央部によって形成される。あるいは、より一般的には、配管の制限部を形成する小径の部分、たとえば、該配管のその他の領域よりも2~10倍小さい直径の部分によって形成される。
【0066】
注入領域の容積のサイズをかなり減少させることにより(たとえば1リットル未満)、汚泥/空気の優れた混合が可能になる。
【0067】
実際、この箇所には、動力学的な衝突を引き起こす高速領域が存在し、この衝突によって、気体内に汚泥を噴出させることが可能である。
【0068】
このようにして得られた空気、(実質的に有機の)固形物、及び、水からなる三相エマルジョン8が、循環路(circuit)の第2の領域9に渡される。第2の領域9は、たとえば、制限部10よりも前で、所定の長さL(たとえば長さ数センチメートル~1又は2メートル)だけ延びる、直前の記載で説明した第1の領域と同じタイプの配管によって形成されている。
【0069】
以下、図4を参照して分かるように、第2の領域を包囲体によって少なくとも部分的に形成することもできる。したがって、第1の領域からは下流にあり、制限部10(可変開口を有するバルブによって形成することができる)よりも前にある前記第2の領域内のエマルジョン8が、気流中の多数の汚泥の液滴によって形成される。
【0070】
したがって、ここで説明されている態様では、制限部10により、第2の領域内で及び/又は第2の領域の流出部で、収縮によって、エマルジョン中で負荷の所定の損失が形成され、これによってエマルジョンの汚泥/空気の混合がさらに促進される。
【0071】
その後、空気16の流れの中で凝集し及び/又は多数の気泡と混ざり合った汚泥の粒子のフレーク状物15を含むフロック14を生成するために、凝集剤13、たとえば有機凝集剤(たとえば陽イオン型のポリマー)が、前記配管の連続部12によって形成された第3の領域の11に導入される(たとえばポンプによって、元来公知である仕方で導入される)。
【0072】
この段階では、上記の配管の連続部によって形成される制限された空間、あるいは、フロックを運搬する新しい配管15によって形成される制限された空間で、凝集したエマルジョンが形成されるので、空気の量が多く、上流での負荷の損失にもかかわらず流量が多いままである結果、凝集したエマルジョンは高活性である。
【0073】
実際に、観察される流量は、フロックの破壊のリスクがあり、Q+qに実質的に等しい。フロックの破壊のリスクは、前記第2の配管の長さとともに増加するので、その長さは短いことが有利であり、たとえば、1m未満であり、不規則性(曲げ部)がないことが有利である。
【0074】
ここで特に説明されている本発明の実施形態によれば、その後、フロックまたは凝集エマルジョンが、脱気槽又は容器17内に、底部18から、屈曲した配管部分19を介して導入される。屈曲した配管部分19は、容器内に噴水状にフロックを吐出するように、あるいは、この手段によって既に放出されたフレーク状物22の上に、降雨(矢印21)のように落下する垂直ジェット20の形態でフロックを吐出するように設計されており、凝集エマルジョン又はフロックのそれ自体の上への柔らかな衝突を生じさせる。
【0075】
この手段によって、汚泥の流動を動的に引き起こす役割とその曝気の役割との両方を担う空気の大部分が、自然脱気によって急激に放出されて、24で大気に開放されている容器17の上部23に向かうように強制される。
【0076】
その部分のための柔らかな衝突により、フロックの自然で穏やかなタイプの攪拌が可能となり、フレークにダメージを与えずに十分な脱気が可能となり、軽量を維持し、放出された水の流れを用いた良好な脱水に適している。
【0077】
容器の汚泥の高さHの寸法、幅の寸法及び/又は容器/脱気器17の寸法、及び、浮遊による分離装置(示されていない)へ(重力によって)向かう、容器の下部における放出流出部25の寸法それぞれは、汚泥が良好に熟成して凝集することを可能にするように設計されている。
【0078】
「良好な熟成」は、放出される水から分離することができる、コンパクトな有機マクロ構造(compact organic macrostructure)を確立するように、細菌のフロックにポリマー分子が安定的に強固に固着することを意味する。
【0079】
図2は、本発明の実施形態に係る脱気器26の断面を概略的に示す。
【0080】
脱気器は、たとえば円筒形の容器27を含み、その高さは1mに実質的に等しい。
【0081】
容器の直径は、たとえば200~300ミリメートルに含まれる。
【0082】
汚泥は、たとえば直径80mmの配管によって28から供給され、該配管は容器の下部29に貫入した後、90°の曲げ部30と、たとえば直径100の円筒形の垂直部分31とを有する。
【0083】
円筒形の垂直部分31の端は、噴水状に汚泥を流出させるためのネック32になっている。
【0084】
容器は、円筒形の配管31がそれに向けて開口する内容積Vを形成する。
【0085】
この容積は、ベース32を有し、このベース32には、凝集したエマルジョンの流入配管と同一の直径を有する流出配管33が設けられる。
【0086】
有利には、容器に渡された後にフロックから補完的に脱気するための分岐34が放出配管の上部に設けられ、該上部35’の高さが容器内の汚泥の液位よりも低い。
【0087】
上部35’の高さは、脱気器においてフロックの所定の滞留/熟成時間(たとえば20s)を可能にするために、容積Vの底部を基準にして、ネックと同じであるか僅かに低くなるように設計されている。
【0088】
容積Vの上部の端は、大気への流出のための開口35になっている。該開口は、有利には、汚泥のしぶきを止める覆い36によって保護される。説明されている実施形態では、DN80mmの様々な供給配管の入出力寸法を用いる場合、フロックの熟成を可能にするフロックの高さH、すなわち、容器の底部と円筒形の垂直部分31のネックの外周との間の高さは、たとえば400~600mmに含まれ、たとえば500mmである。
【0089】
以下、説明では、同一の参照番号が同一又は同様の要素を示すのに用いられる。
【0090】
図2及び図2Aは、フロックをそれ自体に柔らかに衝突させることによってフロックの脱気を可能にする本発明に係る脱気器の別の実施形態を示す。
【0091】
流量20m3で連続的に供給される汚泥の処理のために、配管及び/又は商業的に入手可能なプラスチック材料又はスチールのシートを用いて、脱気器を寸法1.50m×1m×600mmの平行六面体に入れることができ、これはきわめて有効である。
【0092】
実際に、大気に出すことによる単純な脱気や、さらにはフレークから空気を分離する機械的な攪拌を用いた脱気器と比較した場合、通常よりも安定なフロックを生成しつつ、フレークを破壊せずに20%程度、あるいは50%もの凝集時間の改善が図れる。
【0093】
したがって、たとえば、図2を参照して説明されているタイプの装置を用いる場合、最大有効容積641(400mm×400mmの正方形の底)、DN120mmの流入曲げ部及び5~12m3/hの運転(空気流量30Nm3/h)を用いれば、良好なフロックが得られ、このフロックは非常に一貫性がありかつ浮遊性があるだけでなく、先行技術を用いるよりも迅速に得られる。このことは特に以下の表Iから明らかである。この表は、噴水の落下の高さH(柔らかな衝突は高さHに依存する)の条件も示している。
【0094】
【表1】
【0095】
図3及び図3Aは、本発明の別の実施形態に係る熟成脱気器37の例を上からの視点と、IIIA‐IIIAに沿った断面の視点とで示し、熟成脱気器37は、たとえば切り欠かれた角Cを有する平行六面体の形状を持つ包囲体Eを含み、凝集剤Fの流れの流入に対して水平に配置され、たとえば寸法W×L×H:300×400×300であり、処理流量は10~13M3/h、MSは8~10g/l、Veffは30リットルである。
【0096】
Veff(有効容積)は、エマルジョンの増殖及び熟成に必要なエネルギーを吸収することを可能にする復調器(demodulator)の流入部での汚泥/水の容積である。
【0097】
前記容積は寸法によって異なる。
【0098】
容積は概算でたとえば30~40リットルである。
【0099】
包囲体Eは、通路38のチャンバに連通する流入部を含む。流入部はたとえば円柱形であり、円柱の一部38’は、該チャンバの全長にわたって、下部が開放している(たとえば上記の数値例では、200mm。流入部の水平方向の端に、フロックを減速させることができる壁39が設けられていたり、壁が可撓性を持つ場合に、壁がフロックFの穏やかな圧力が加わっている状態で内部39’に向かって動くことができたりする。)
【0100】
上部において、前記包囲体は、脱気器の空気の放出のための管Tと、他の端にある流出オリフィスSとを含む。包囲体Eは、たとえばその長さの2/3のところに、フロックを幅広のスロットZを介して下部に放出させることができる中間分配壁Pを有することができるし、有さなくてもよい。
【0101】
この種の壁は、直接フロックの減速を可能にしたり、エマルジョンの均一性を強めたりする。
【0102】
図3Bは本発明の別の実施形態に係る熟成脱気器37’の長手方向の変形例を示す。
【0103】
後述される浮遊装置と組み合わせて脱気器を用いる場合であっても、混合の衝突を緩和するように設計される内壁をゴムや別の柔軟な材料で形成することが有利である。帯状フィルタ(strip filter)とともに用いる場合には、補完的処理として、たとえば多少張り出した凸状の形状のより剛性の高い壁が一例として用いられ、この壁は生成されたフロックを僅かに減速させることができるが、完全には減速させず、単にフロックのサイズを縮小することで、より圧縮性にする。
【0104】
より具体的に、図3Bの変形例には、下部にある汚泥Xと上部にあるガスとで満たされた包囲体37’の領域Bに向かうエマルジョン及び余分なガスのための流入部Aが示されている。
【0105】
領域Bは流れのエネルギーを緩和する壁Tによって閉ざされており、壁は可撓性があるか、硬質である(かつ、有利には、凸状である)。
【0106】
余分なガスは、通気口/排気口Dによってガスを含む天井部から抽出される。
【0107】
壁Tによる注入中の液流の抽出が領域Gによって実行され、これにより、たとえば1m/s未満の穏やかな層流が生じることで、多孔性のフロックが懸濁液に入り込むことが可能になる。
【0108】
エマルジョンを形成するために、最大100Nm3/hで加えられる空気に対して、10~30g/l、20~23m3/hの汚泥が充填される。包囲体は、たとえば寸法W×L×H=500×200×250を有し、130mmの流出管が包囲体に貫入し、壁の吸収高さは160cmである。
【0109】
図4は本発明に係る装置40の別の実施形態を示す。
【0110】
供給ポンプ42と、制限部44に向かう配管43とを介して、液状有機性汚泥41が導入される。一例として、制限部44は、たとえば高さ1m、直径50cmの管状包囲体45にあるベンチュリによって形成される。
【0111】
コンプレッサ46は、エマルジョン48又は汚泥・空気・水の三相混合物を形成するために、たとえば液の方向に角度30°だけ傾けて、圧縮空気47をベンチュリ44の内部に供給する。
【0112】
管状包囲体は、たとえばゲージ圧約1.2~2バールに維持される。
【0113】
包囲体の内圧に応じて調整バルブ49を用いてこれを行なうことができる。該バルブ49は、制限部を構成し、その下流には、それ自体は公知である供給投入装置51を介して凝集剤50が供給される。
【0114】
凝集剤の供給部の下流では、これによって凝集されたエマルジョン51が、ここで特に説明されている本発明の実施形態に係る脱気器52に供給される。
【0115】
凝集エマルジョンやフロックのための脱気器は、53で大気圧に開放されており、かつ、噴水状にフロックを供給するための垂直管54を含む。これにより、フロックがそれ自体に柔らかに衝突することを可能にすることで、凝集エマルジョンの所定の非破壊的な脱気が可能になる。
【0116】
汚泥は、脱気器の内部に所定の時間、たとえば約1~5分留まった後、配管55を介して、濃縮装置56に向けて重力によって放出される。
【0117】
したがって、脱気されたエマルジョン57は、装置の下部の中間部分58に到達し、表面に上昇する固形物59と、重力によって61から連続的に放出される澄んだ水60とに即時に分離される。
【0118】
固形物59は、濃縮器/浮遊装置56の上部でたとえば傾斜路62を介して放出され、これにより、脱水された汚泥(固形物)は、穿孔ベルト63上に重力によって放出される。これにより、さらなる濾過によって得られた残留した水(矢印64)は、61で得られた遊離した水と混合するために回収される。
【0119】
有利には、装置の放出部から得られた汚泥をさらに脱水して濃縮化するために、それ自体は公知である方法によって汚泥に圧力Pが加えられる。
【0120】
その後、濃縮化及び脱水がなされた汚泥65は、ベルトの下流で回収される。これにより、乾燥ペレット状でそのまま販売することができる構成に特に好適な、濃縮汚泥の堆積物を構成することができる。
【0121】
本発明を用いれば、濃縮装置56で即時に浮遊現象が起こり、フレーク装置での上昇の速さは、以前に観察された速さよりも速く、言い換えれば、20m/hや50m/hや100m/hにもなる。
【0122】
図5は本発明に係る装置66の別の概略実施形態を示す。
【0123】
本装置は、三相エマルジョン67の製造システムを含み、三相エマルジョン67は汚泥供給物69に注入される給気68を含み、それがその状態のまま小型包囲体70に導入される。小型包囲体70の上部にある端は、72での供給のための制限部71になっており、凝集剤Yの注入の後、図2の脱気器26に向かう。
【0124】
説明した通り、この脱気器は、本装置で得られた凝集汚泥の熟成槽としても機能する。
【0125】
この凝集汚泥は、脱気器の内部に所定の時間、たとえば20s留まった後、水圧保護部(hydraulic guard)を形成する曲げ部73を介して、濃縮装置74に供給される。
【0126】
本装置は、脱気された凝集汚泥を受け入れる実質的に平行六面体のハウジング75を含み、その中央部分や下部の中間部分76で受け入れる(たとえば、高さの中間に位置する分岐を用いる)。
【0127】
澄んだ水79から即時又は実質的に瞬時に(1秒未満)固形部分77が分離され(矢印78)、澄んだ水79はたとえばじょうご状のハウジングの下部80から抽出される。
【0128】
一方、固形部分77は、たとえば、毎分数回転の速さで電気モータによって作動する円筒ドラム81によって上部に送り込まれる。
【0129】
ドラムの円筒外周面と合わさる形状のプレート82が設けられ、プレート82によって凝集されて回転する汚泥にたとえば25kgの圧力Pが加えられることで、83で得られる固形物の乾燥度がさらに上がる。
【0130】
したがって、本発明により、上記の表Iに示されているように、従来のサイクロン式脱気器を用いるよりも明らかに優れた結果を得ることができる。
【0131】
図6図8を参照して、以下、濃縮器74のより詳細な説明を行なう。
【0132】
たとえば流量20m3/hの汚泥を処理するために、濃縮器は、たとえば1m×1.5m×1.5mの平行六面体に含まれる実質的に平行六面体のハウジング75によって形成される。
【0133】
ハウジングは、その高さの中間位置に、凝集及び脱気がなされた汚泥85の供給のための分岐84を含む。分岐84は、固形物77と液体79との分離のために、ハウジング内で実質的に一定の高さに位置する面86よりも下で、濃縮器74に汚泥を供給する。該分離は、浮遊/分離装置74のハウジング75内で汚泥の上昇速度が速いので、実質的に瞬時に起こる。
【0134】
ハウジングの上部に位置する有機物77が、回転ドラム81の外面87によって送り込まれる。該外面は、多数の孔を有する格子88で形成され、回転モータMによって水平軸まわりに回転する。
【0135】
ドラム上に広げられた物質を送り込むことの前記効果により、一定の流量の汚泥を抽出することが可能になる一方で、多数の孔を有するドラムを通して水を補助的に抽出することが可能になり(矢印89)、抽出された余剰の水は、その後、たとえば、下方に傾斜した壁90を有する回収タンクのようなハウジングの下部80に戻る。
【0136】
遊離した水79についていえば、凝集及び脱気がなされた汚泥の導入用の分岐84と同じ側に位置する分岐91を介して抽出される。
【0137】
有利には、これに加えて、加圧プレート82が加圧手段92に設けられ、加圧手段は、たとえば、それ自体は公知である油圧式や電気式のジャッキ93による手段によって構成される。
【0138】
したがって、最初の汚泥の乾燥物の濃度がたとえば単位リットルあたり5~10グラムに含まれる場合、浮遊処理された汚泥77の濃度は30~50g/l(乾燥物の濃度)である。
【0139】
予想外に、濾材上へのプレート92の加圧が500~1,000マイクロメートルの遮断閾値(cut-off threshold)となった場合、濃度が80g/l、90g/l、又は100g/lまでさえ上昇し、脱気器を用いた上流の処理が、この種の結果を可能にする汚泥構成を明らかに発生させることを観測することができる。
【0140】
汚泥に加えられる圧力Pは、抽出をさらに支援するのに十分でなければならないが、一方で、得られた汚泥の特定の多孔構造をつぶさないものでなければならない。
【0141】
このために、当業者に公知である方法で、処理済の流量(したがって、ドラムの上面に広がった汚泥の層の高さ)に応じて、汚泥が投入及び調整される。
【0142】
図4を参照して、以下、ここで特に説明されている本発明に係る方法の実施例を説明する。
【0143】
汚泥41は、たとえば直径DN50、数メートルに等しい長さLのパイプで、たとえば20m3/hの流量Qで圧送することによって、連続的な流量で供給される。同時に、大きな流量の空気(たとえば60Nm3/h)がベンチュリ44に連続的に注入され、三相エマルジョンが形成され、その後、それは、過剰圧力によって包囲体45に入り込む。その後、該エマルジョンは、新たな加圧/減圧の衝撃を引き起こす制限部49、たとえばバルブを介して渡される。
【0144】
その後、高度に曝気されたフロックを生成するために、必要な処理の高さで凝集剤が導入される。
【0145】
前記フロックは脱気容器52内に向けて降雨状に広がる。
【0146】
フロックがそれ自体に柔らかに衝突することにより、フロックを損傷させずに良好な脱気が可能になる。これには、曲げられた管の寸法、容積V及び流量を考慮すると、放出される前に容器内で数秒(から数分)しか要さないので、優れた熟成物が生成される。
【0147】
その後、熟成したフロックは、分離浮遊装置56に重力によって移送され、そこでフロックは遊離した水の水面にほとんど瞬時に上昇し(数秒後)、ほとんど決められた浮遊線を離れる。遊離されたきわめて清浄な水が下方に放出される。
【0148】
一方、(固形)フロックの方については、補完的な方法で加圧するため、オーバーフロー及び重力を利用した駆動により、あるいは、図5を参照して説明されているようなドラムによって、上部を通じて放出された後、放出される(フロックの堆積物65)。
【0149】
理解されるであろうが、また、上記の説明からも明らかなように、本発明は特に説明されている実施形態に限定されない。それどころか、本発明は、すべての変形例を組み入れており、特に、その優れたコンパクトさを考慮して、たとえばトラックのトレーラに取り付けることによってすべての装置が移動可能である変形例を組み入れている。これにより、要求に応じて装置をある場所から別の場所に移すことができる。
図1
図2
図2A
図2B
図3
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8