(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】パウチ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
B65D65/40 D BRH
(21)【出願番号】P 2020572325
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(86)【国際出願番号】 JP2020005698
(87)【国際公開番号】W WO2020166685
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-08-12
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2019025654
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪本 亨
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 彰
(72)【発明者】
【氏名】登尾 英浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴史
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05700586(US,A)
【文献】国際公開第2003/091317(WO,A1)
【文献】特開2002-200697(JP,A)
【文献】特開平10-071662(JP,A)
【文献】特開平08-176316(JP,A)
【文献】特開2017-114930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装フィルムを備えるパウチ容器であって、
前記包装フィルムは、隣り合う少なくとも2つの基材層を備え、
前記隣り合う少なくとも2つの基材層は、第1基材層と、前記第1基材層とは異種材料からなる第2基材層と、を備え、
前記包装フィルムは、前記第1基材層と前記第2基材層との間に、水可溶性を有する介在層をさらに備え、
前記第2基材層はシーラント性を有し、
前記介在層は、溶媒浸漬により前記隣り合う少なくとも2つの基材層を分離可能とする層であり、
前記介在層は、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水可溶性であ
り、
前記隣り合う少なくとも2つの基材層は、前記第1基材層と前記第2基材層との間の第3基材層をさらに備え、
前記第1基材層は耐熱性を有し、
前記第2基材層と前記第3基材層とは互いに異種材料からなり、
前記介在層は、前記第1基材層と前記第3基材層との間の第1介在層と、前記第2基材層と前記第3基材層との間の第2介在層とを備える、パウチ容器。
【請求項2】
前記第3基材層はガスバリア性を有し、
前記第1基材層と前記第3基材層とは互いに異種材料から
なる、請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項3】
前記隣り合う少なくとも2つの基材層は、前記第1基材層と前記第2基材層との間の
前記第3基材層と第4基材層とをさらに備え、前記第1基材層、前記第3基材層、前記第4基材層および前記第2基材層の順に積層されており
、
前記第3基材層はガスバリア性を有し
、
前記第2基材層と前記第4基材層とは互いに異種材料からなり、
前記第3基材層と前記第4基材層とは互いに異種材料からなり、
前記介在層は
、前記第2基材層と前記第4基材層との間の第3介在層と、前記第3基材層と前記第4基材層との間の第4介在層とを備える、請求項1に記載のパウチ容器。
【請求項4】
前記隣り合う少なくとも2つの基材層の少なくとも1つの表面上に形成された印刷層をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパウチ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ容器などの包材の形成に用いられる包装フィルムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品、化粧品、薬など様々な物品が各種の包材に包装されて流通している。包材の中で、パウチ容器、ピロー包装袋などの軟包材は、柔軟な包装フィルムから形成されている。軟包材を形成する包装フィルムには、通常、異種材料からなる2つ以上の基材層が積層された積層体が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-062786号公報
【文献】特開2003-084670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記包装フィルムは、基材層が異種材料からなるので、基材層毎に分離しなければ原料として再生利用することが困難である。特許文献1(特開2007-062786号公報)には、紙層と、ワックスにより紙層と貼接された樹脂フィルム又は金属フィルムからなる非紙層と、を備える易剥離性食品包装用紙が開示されている。かかる包装用紙は、紙層及び非紙層のいずれか一方を摘んで他方から引き剥がすことにより、紙層と非紙層を分離できる。しかしながら、手で引き剥がして分離する方法にあっては、リサイクル処理に多大な時間及び作業手間が必要となる。なお特許文献2には、基材フィルムから表示印刷インキ層を剥離するために、基材フィルム上にアルカリ水溶液可溶性コート層を介して表示印刷インキ層が形成されているプラスチックラベルが開示されている。しかしかかる文献2には、異種材料からなる2つの基材層を分離することについて開示されていない。
【0005】
本開示の目的は、異種材料からなる少なくとも2つの基材層が積層されている包装フィルムにおいて、各基材層を容易に分離でき、リサイクル容易な包装フィルム及びこのフィルムを用いたパウチ容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の包装フィルムは、異種材料からなる少なくとも2つの基材層が積層された包装フィルムであって、隣り合う2つの基材層と、隣り合う2つの基材層の間に配置された、溶媒可溶性を有する介在層と、を備え、当該介在層は、溶媒浸漬により2つの基材層を分離可能とする層である。この包装フィルムによれば、適切な溶媒に浸漬することにより、2つの基材層を容易に分離でき、もって、リサイクル容易な包装フィルムを提供することができる。
【0007】
本開示の好ましい包装フィルムは、前記介在層が、水可溶性及びアルカリ可溶性の少なくとも一方を有する。
【0008】
本開示の好ましい包装フィルムにおいて、介在層は、アクリル酸共重合体系樹脂を含む。
【0009】
本開示の好ましい包装フィルムにおいて、介在層は、40mg-KOH/g以上150mg-KOH/g以下の酸価を有する。
【0010】
本開示の好ましい包装フィルムは、少なくとも1つの基材層に、印刷インキ層が形成されている。
【0011】
本開示の好ましい包装フィルムは、前記隣り合う2つの基材層のうち一方の基材層が、樹脂層であり、他方の基材層が、金属薄膜層又は樹脂層である。
【0012】
本開示のパウチ容器は、上記いずれかの包装フィルムを用いて形成されている。このパウチ容器によれば、2つの基材層を容易に分離できるため、リサイクル容易なパウチ容器を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示の包装フィルムは、適切な溶媒に浸漬することにより、異種材料からなる2つの基材層を容易に分離させることができる。異種材料毎に分離できる本開示の包装フィルム及びこれを用いたパウチ容器は、容易にリサイクルできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、包装フィルムの一部を省略した平面図である。
【
図2】
図2は、包装フィルムの第1積層構造の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、包装フィルムの第1積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は、包装フィルムの第1積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図5】
図4は、包装フィルムの第1積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、包装フィルムの第2積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図7】
図7は、包装フィルムの第2積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図8】
図8は、包装フィルムの第2積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図9】
図9は、包装フィルムの第2積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図10】
図10は、包装フィルムの第3積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図11】
図11は、包装フィルムの第3積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図12】
図12は、包装フィルムの第3積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、包装フィルムの第3積層構造の他の一例を示す断面図である。
【
図14】
図14は、2つの基材層を有する包装フィルムであって、予備接着剤層が介在層に接して設けられた包装フィルムの断面図である。
【
図15】
図15は、3つの基材層を有する包装フィルムであって、予備接着剤層が介在層に接して設けられた包装フィルムの断面図である。
【
図16】
図16は、4つの基材層を有する包装フィルムであって、予備接着剤層が介在層に接して設けられた包装フィルムの断面図である。
【
図17】
図17は、包装フィルムを用いて形成されたパウチ容器の一例を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、包装フィルムを用いて形成されたピロー包装袋の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。本明細書において、用語の頭に、「第1」、「第2」、「第3」などを付す場合があるが、この第1などは、用語を区別するためだけに付加されたものであり、その順序や優劣などの特別な意味を持たない。本明細書において、「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。各図に示される層及び部材の寸法、縮尺及び形状は、実際のものとは異なっている場合がある。また、包装フィルムの表面とは、各図に示される包装フィルムの図中上側の面であり、包装フィルムの裏面とは、各図に示される包装フィルムの図中下側の面である。また各層の表面とは、各図に示される各層の図中上側の面であり、各層の裏面とは、各図に示される各層の図中下側の面である。
【0016】
<包装フィルムの概要>
本開示の包装フィルムは、異種材料からなる少なくとも2つの基材層が積層された包装フィルムである。具体的には、本開示の包装フィルムは、隣り合う2つの基材層と、該2つの基材層の間に配置された介在層とを少なくとも備える積層体である。該2つの基材層は、互いに異なる異種材料からなる。介在層は、厚み方向で隣り合う2つの基材層の間に介在している。また介在層は、溶媒可溶性を有し、溶媒浸漬により2つの基材層を分離可能とする層である。なお、溶媒可溶性とは、溶媒に対して溶解する性質をいう。
【0017】
このように介在層は、包装フィルムを適切な溶媒に浸漬した際に隣り合う2つの基材層を分離できるようにする層である。もっとも、溶媒非浸漬状態(溶媒に浸漬しない状態)では、隣り合う2つの基材層が分離されることはない。すなわち包装フィルムは、溶媒非浸漬状態においては、人力で容易に剥離できないほどに、基材層や介在層などの各層の接着状態が保持された積層体である。なお、接着とは、物理的又は/及び化学的な力によって2つの層が結合し、各層を人力で容易に剥離できないように結合している状態をいう。
【0018】
包装フィルムは、隣り合う少なくとも2つの基材層を有していればよく、3つ以上の基材層を有していてもよい。3つ以上の基材層を有する場合において、3つ以上の基材層は、それぞれの隣り合う2つの基材層間に、上記介在層が設けられていることが好ましい。また包装フィルムにおいて、複数の基材層(少なくとも2つの基材層)から選ばれる少なくとも1つの基材層には、必要に応じて、印刷インキ層が形成されていてもよい。
【0019】
印刷インキ層は、公知のインキを公知の印刷法にて基材層などに直接印刷することによって形成されるインキ固化膜からなる。印刷インキ層は、それを形成する相手方の面に強固に接着されている。印刷インキ層は、着色されていてもよく、無着色(無色透明)であってもよい。着色された印刷インキ層は、不透明でもよく、有色透明であってもよい。印刷インキ層が形成される基材層においては、介在層は、印刷インキ層と基材層の間に配置されていてもよく、印刷インキ層が形成された基材層とそれに隣り合う基材層との間に配置されていてもよい。
【0020】
ここで、本明細書において、透明は、無色透明又は有色透明を意味する。「透明」は、測定対象となる層の裏面側に、その裏面から1cm離れた箇所に、白地の紙に黒色インキで任意の数字(大きさ12ポイント)を印刷したものを配置し、前記測定対象となる層を透かしてその数字を表面側から識別できる状態をいう。「不透明」は、前記と同じ条件で裏面側に配置した数字を表面側から視認できない状態(数字を認識できない状態)をいう。
【0021】
透明(無色透明又は有色透明)の指標としては、例えば、全光線透過率などを用いて表すことができる。透明(無色透明又は有色透明)は、例えば、全光線透過率が70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。ただし、全光線透過率は、透明である測定対象をJIS K 7361:1997(プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法)に準拠した測定法によって測定される値をいう。なお、基材層、介在層又は印刷インキ層そのものを測定対象とできない場合には、前記JIS規格で測定される全光線透過率が90%以上の支持フィルム上にそれらを設けたものを測定対象とする。
【0022】
基材層、介在層及び印刷インキ層は、いずれも層状であるが、基材層は、それ単独で層を成すことができる点で、介在層及び印刷インキ層とは異なる。つまり、基材層は、それ単独で層状を維持できるものであり、介在層及び印刷インキ層は、基材層に付着した状態で層を成しているが(基材層に支持されることによって層を成しているが)、それ単独では非常に脆く、僅かな力で破断して層状を維持できないものである。
【0023】
包装フィルムは、柔軟である。包装フィルムは、全体として、透明でもよく、或いは、不透明でもよい。また、包装フィルムは、熱収縮性を有していてもよいが、好ましくは、実質的に熱収縮性を有さないものが用いられる。なお、熱収縮性は、所望の温度(例えば、70℃~90℃)に加熱されると収縮する性質をいう。
【0024】
また、包装フィルムの平面視形状は、
図1に示すように、長尺帯状である。前記長尺帯状は、長手方向の長さが短手方向よりも十分に長い平面視略長方形状をいい、例えば、長手方向長さが短手方向の長さの3倍以上、好ましくは5倍以上である。長尺帯状の具体的な寸法としては、例えば、短手方向の長さが100mm~3000mmで、長手方向の長さが2m~500mなどの場合が挙げられる。長尺帯状の包装フィルムは、通常、ロール形状に巻かれて保管及び運搬に供され、包材を作製する際に、所望の形状に裁断して使用される。もっとも、本開示の包装フィルムは、長尺帯状に限られず、平面視枚葉状に形成されていてもよい(図示せず)。前記枚葉状としては、例えば、平面視略四角形状、略三角形状や略六角形状などの平面視略多角形状、平面視略円状などが挙げられる。
【0025】
<包装フィルムの積層構造例>
次に、本開示の包装フィルムの幾つかの積層構造を例示する。
図2~
図5は、それぞれ、包装フィルムの第1積層構造の一例を示す断面図である。
図2~5において、包装フィルム1は、2つの基材層(便宜上、第1基材層21及び第2基材層22という)が積層されている。第1基材層21及び第2基材層22は、互いに異種材料からなる基材層である。
【0026】
具体的には、
図2の包装フィルム1は、表面側(図中上側)から順に、第1基材層21と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
図3の包装フィルム1は、表面側から順に、第1基材層21と、着色された印刷インキ層41と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
図4の包装フィルム1は、表面側から順に、第1基材層21と、介在層3と、着色された印刷インキ層41と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
図5の包装フィルム1は、表面側から順に、無色透明な印刷インキ層42と、第1基材層21と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
【0027】
着色された印刷インキ層41が第1基材層21と第2基材層22の間に形成されている包装フィルム1は、たとえば次のような構成をとり得る:
(A)着色された印刷インキ層41の色彩を包装フィルム1の表面側から視認できるようにするために、着色された印刷インキ層41よりも表面側に配置された各層(例えば、
図3の第1基材層21、
図4の第1基材層21及び介在層3)は、透明であり、且つ、着色された印刷インキ層41よりも裏面側に配置された各層は、透明又は不透明である;
(B)着色された印刷インキ層41の色彩を包装フィルム1の裏面側から視認できるようにするために、着色された印刷インキ層41よりも裏面側に配置された各層(例えば、
図3の第2基材層22及び介在層3、
図4の第2基材層22)は、透明であり、且つ、着色された印刷インキ層41よりも表面側に配置された各層は、透明又は不透明である。
【0028】
なお、着色された印刷インキ層41は、第1基材層21と第2基材層22との間に形成される場合に限られず、第1基材層21の表面に形成されていてもよく(この場合、例えば、第1基材層21などが不透明であっても、色彩を表面側から視認できる)、或いは、第2基材層22の裏面に形成されていてもよい(この場合、第2基材層22などが不透明であっても、色彩を裏面側から視認できる)。また、着色された印刷インキ層41は、基材層の層間、ならびに、第1基材層21の表面又は/及び第2基材層22の裏面に形成されていてもよい。また、無色透明な印刷インキ層42は、第1基材層21の表面に形成される場合に限られず、第1基材層21と第2基材層22の間に、又は/及び、第2基材層22の裏面に形成されていてもよい。
【0029】
図6~
図9は、それぞれ、包装フィルムの第2積層構造の一例を示す断面図である。
図6~
図9において、包装フィルム1は、3つの基材層(便宜上、第1基材層21、第2基材層22及び第3基材層23という)が積層されている。これらの包装フィルム1においては、隣り合う2つの基材層が2組存在するが、少なくとも1組の隣り合う2つの基材層は、互いに異種材料からなる基材層であり、好ましくは、2組の隣り合う2つの基材層は、それぞれが互いに異種材料からなる基材層である。
【0030】
具体的には、
図6の包装フィルム1は、表面側から順に、第1基材層21と、介在層3と、第3基材層23と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。この例では、第1基材層21と第3基材層23とが、隣り合う2つの基材層の関係にあり、第3基材層23と第2基材層22とが、隣り合う2つの基材層の関係にある。例えば、第1基材層21、第2基材層22及び第3基材層23は、いずれに対しても異種材料であることが好ましい。
図7の包装フィルム1は、表面側から順に、第1基材層21と、着色された印刷インキ層41と、介在層3と、第3基材層23と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
図8の包装フィルム1は、表面側から順に、第1基材層21と、介在層3と、着色された印刷インキ層41と、第3基材層23と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
図9の包装フィルム1は、表面側から順に、無色透明な印刷インキ層42と、第1基材層21と、介在層3と、第3基材層23と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
【0031】
着色された印刷インキ層41が第1基材層21と第3基材層23との間に形成されている包装フィルム1は、たとえば以下(A)または(B)のような構成をとり得る:
(A)着色された印刷インキ層41の色彩を包装フィルム1の表面側から視認できるようにするために、着色された印刷インキ層41よりも表面側に配置された各層は、透明であり、且つ、着色された印刷インキ層41よりも裏面側に配置された各層は、透明又は不透明である;
(B)着色された印刷インキ層41の色彩を包装フィルム1の裏面側から視認できるようにするために、着色された印刷インキ層41よりも裏面側に配置された各層は、透明なものが用いられ、且つ、着色された印刷インキ層41よりも表面側に配置された各層は、透明又は不透明である。
【0032】
なお、着色された印刷インキ層41は、第1基材層21と第3基材層23の間に形成される場合に限られず、第3基材層23と第2基材層22の間に形成されていてもよい。また、3つの基材層を有する包装フィルム1においても、上記2つの基材層を有する包装フィルム1と同様に、着色された印刷インキ層41が、第1基材層21の表面に形成されていてもよく、或いは、第2基材層22の裏面に形成されていてもよく、或いは、基材層の層間、並びに、第1基材層21の表面又は/及び第2基材層22の裏面に形成されていてもよい。また、無色透明な印刷インキ層42は、第1基材層21の表面に形成される場合に限られず、基材層の層間に、又は/及び、第2基材層22の裏面に形成されていてもよい。
【0033】
図10~
図13は、それぞれ、包装フィルムの第3積層構造の一例を示す断面図である。
図10~13において、包装フィルム1は、4つの基材層(便宜上、第1基材層21、第2基材層22、第3基材層23及び第4基材層24という)が積層されている。積層された4つの基材層においては、隣り合う2つの基材層が3組存在するが、少なくとも1組の隣り合う基材層は、互いに異種材料からなる基材層であり、好ましくは、3組の隣り合う基材層は、それぞれが互いに異種材料からなる基材層である。
【0034】
具体的には、
図10の包装フィルム1は、表面側から順に、第1基材層21と、介在層3と、第3基材層23と、介在層3と、第4基材層24と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。この例では、第1基材層21と第3基材層23とが、隣り合う2つの基材層の関係にあり、第3基材層23と第4基材層24とが、隣り合う2つの基材層の関係にあり、第4基材層24と第2基材層22とが、隣り合う2つの基材層の関係にある。例えば、第1基材層21、第2基材層22、第3基材層23及び第4基材層24は、いずれに対しても異種材料であることが好ましい。
図11の包装フィルム1は、表面側から順に、第1基材層21と、着色された印刷インキ層41と、介在層3と、第3基材層23と、介在層3と、第4基材層24と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
図12の包装フィルム1は、表面側から順に、第1基材層21と、介在層3と、着色された印刷インキ層41と、第3基材層23と、介在層3と、第4基材層24と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
図13の包装フィルム1は、表面側から順に、無色透明な印刷インキ層42と、第1基材層21と、介在層3と、第3基材層23と、介在層3と、第4基材層24と、介在層3と、第2基材層22と、がこの順に積層されている。
【0035】
着色された印刷インキ層41が第1基材層21と第3基材層23との間に形成されている包装フィルム1は、たとえば以下(A)または(B)のような構成をとり得る:
(A)着色された印刷インキ層41の色彩を包装フィルム1の表面側から視認できるようにするために、着色された印刷インキ層41よりも表面側に配置された各層は、透明であり、且つ、着色された印刷インキ層41よりも裏面側に配置された各層は、透明又は不透明である;
(B)着色された印刷インキ層41の色彩を包装フィルム1の裏面側から視認できるようにするために、着色された印刷インキ層41よりも裏面側に配置された各層は、透明であり、且つ、その着色された印刷インキ層41よりも表面側に配置された各層は、透明又は不透明である。
【0036】
なお、着色された印刷インキ層41は、第1基材層21と第3基材層23との間に形成される場合に限られず、第3基材層23と第4基材層24との間、又は/及び、第4基材層24と第2基材層22との間に形成されていてもよい。また、4つの基材層を有する包装フィルム1においても、上記2つの基材層を有する包装フィルム1と同様に、着色された印刷インキ層41が、第1基材層21の表面に形成されていてもよく、或いは、第2基材層22の裏面に形成されていてもよく、或いは、基材層の層間、並びに、第1基材層21の表面又は/及び第2基材層22の裏面に形成されていてもよい。また、無色透明な印刷インキ層42は、第1基材層21の表面に形成される場合に限られず、基材層の層間に、又は/及び、第2基材層22の裏面に形成されていてもよい。
【0037】
図14~
図16は、包装フィルムの隣り合う基材層の間に、介在層を補完する予備接着剤層が設けられている構成の一例を示す断面図である。具体的には、
図14は、2つの基材層を有する包装フィルムであって、予備接着剤層が介在層に接して設けられた包装フィルムの断面図である。
図15は、3つの基材層を有する包装フィルムであって、予備接着剤層が介在層に接して設けられた包装フィルムの断面図である。
図16は、4つの基材層を有する包装フィルムであって、予備接着剤層が介在層に接して設けられた包装フィルムの断面図である。
【0038】
介在層が、基材層に対して又は基材層に形成された印刷インキ層に対して、接着しない又は接着し難い場合には、介在層と基材層との間、又は/及び、介在層と基材層に形成された印刷インキ層との間に、予備接着剤層5が必要に応じて設けられる。
図14~
図16は、いずれも、予備接着剤層5が、第1基材層21に形成された印刷インキ層41と介在層3の間に設けられているが、これに限定されず、適宜の層間に予備接着剤層5を設けてもよい。また、予備接着剤層5は、1層に限られず、幾つかの層間に設けてもよい。
【0039】
なお、特に図示しないが、予備接着剤層5の配置は、包装フィルム1は、5つ以上の基材層が積層されている包装フィルムに実施してもよい。5つ以上の基材層を有する包装フィルムについても、上記と同様に、隣り合う2つの基材層が異種材料から構成されているものであって層間に介在層が設けられている2つの基材層を少なくとも有していればよい。
【0040】
<介在層>
介在層は、溶媒可溶性を有し、隣り合う基材層の間に配置される。例えば、介在層は、隣り合う2つの基材層の間であって、一方の基材層の裏面と他方の基材層の表面に直接的に接着し、両基材層をバインドする。この態様は、たとえば
図2、
図5、
図6、および
図9に示される。また例えば、介在層は、隣り合う2つの基材層の間であって、印刷インキ層が形成された一方の基材層の当該印刷インキ層の裏面(又は表面)と他方の基材層の表面(又は裏面)に直接的に接着し、一方の印刷インキ層を介して両基材層をバインドする。この態様は、たとえば
図3、
図4、
図7、および
図8に示される。また例えば、介在層は、隣り合う2つの基材層の間であって、印刷インキ層が形成された一方の基材層の当該印刷インキ層の裏面(又は表面)と印刷インキ層が形成された他方の基材層の当該印刷インキ層の表面(又は裏面)に直接的に接着し、一方及び他方の印刷インキ層を介して両基材層をバインドする。
【0041】
また、基材層や印刷インキ層の材質などとの関係で、介在層が、基材層や印刷インキ層の表面又は裏面に直接的に接着し難い場合には、上述の予備接着剤層が適宜設けられる。上述のように、予備接着剤層は、介在層と基材層の間、又は/及び、介在層と印刷インキ層の間に設けられる。この場合、予備接着剤層及び介在層が協働して、隣り合う2つの基材層をバインドする。
【0042】
溶媒可溶性を有する介在層は、例えば、水可溶性、アルカリ可溶性、有機溶剤可溶性などから選ばれる少なくとも1つの性質を有し、好ましくは、水可溶性及びアルカリ可溶性の少なくとも一方を有する。溶媒可溶性を有する介在層は、溶媒可溶性ポリマーを主成分として含んでいる。介在層は、主成分である溶媒可溶性ポリマー以外の成分を含んでいてもよく、そのような成分としては、公知の添加剤、残留溶媒などが挙げられる。
【0043】
ここで、本明細書において、ある層の主成分は、その層の中に含まれる成分の中で最も多い成分(重量比)をいう。例えば、主成分は、その層全体を100重量%とした場合に、50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上含まれる。
【0044】
介在層が溶媒可溶性ポリマーを主成分として含んでいることにより、包装フィルムを溶媒に浸漬した場合に、介在層中の溶媒可溶性ポリマーが、基材層間から溶媒中に溶出することとなる。これにより、介在層は、層間をバインドする機能又は予備接着剤層と協働して基材層間をバインドする機能を、漸減又は消失する。したがって、介在層を介在して隣り合う2つの基材は、容易に分離される。
【0045】
溶媒可溶性ポリマーは、所定の溶媒に溶解性を示すポリマーである。溶媒可溶性ポリマーとしては、水可溶性ポリマー、アルカリ可溶性ポリマー、有機溶剤可溶性ポリマーなどが挙げられ、好ましくは、水可溶性ポリマー及びアルカリ可溶性ポリマーの少なくとも一方が用いられる。水可溶性ポリマーを主成分とする介在層は、水可溶性を有し、アルカリ可溶性ポリマーを主成分とする介在層は、アルカリ可溶性を有する。
【0046】
水可溶性ポリマーは、常温常圧下で水又は水系溶媒に溶解性を示すポリマーであり、例えば、23℃、1気圧での水に対する溶解度が1(g/100g)以上のポリマー、好ましくは、同溶解度が5(g/100g)以上のポリマーである。また、水可溶性ポリマーは、適切な温度に加熱された水に対して溶解性が向上するものが好ましい。加熱温度としては、50℃~100℃が挙げられる。
【0047】
水可溶性ポリマーは、特に限定されず、たとえば、合成樹脂、天然高分子などが挙げられる。合成樹脂としては、ポリビニルアルコールや変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アミノ系樹脂、などが挙げられる。天然高分子としては、デンプンやポリペプチドなどの多糖類、にかわ、カゼイン、天然ゴム、などが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を併用してもよい。
【0048】
水系溶媒は、水と親水性溶媒を含む混合溶媒である。親水性溶媒は、水と均一に溶解させることができる溶媒である。親水性溶媒としては、例えば、メタノールなどのアルコール類、エチレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブなどのセロソルブ類、酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。
【0049】
アルカリ可溶性ポリマーは、常温常圧下でアルカリ性水溶液に溶解性を示すポリマーであり、例えば、23℃、1気圧でのアルカリ水溶液(濃度1.5重量%の水酸化ナトリウム水溶液)に対する溶解度が1(g/100g)以上のポリマー、好ましくは、同溶解度が5(g/100g)以上のポリマーである。また、アルカリ可溶性ポリマーは、適切な温度に加熱された前記アルカリ水溶液に対して溶解性が向上するものが好ましい。加熱温度としては、50℃~100℃が挙げられる。
【0050】
アルカリ可溶性ポリマーは、特に限定されず、例えば、不飽和カルボン酸の1種又は2種以上と、重合性不飽和基を有する化合物の1種又は2種以上と、の共重合体などが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。重合性不飽和基を有する化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル;ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシル基含有重合性不飽和化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有重合性不飽和化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、N-アルコキシアクリルアミド、N-アルコキシメタクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミドなどのアミド基含有重合性不飽和化合物;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系化合物;エチレンなどのオレフィン;ジアリルフタレート、アリルグリシジルエーテル、トリアリルイソシアヌレートなどのアリル基含有化合物;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0051】
特に、50~300(mg-KOH/g)の酸価を有するスチレン-無水マレイン酸系樹脂、50~300(mg-KOH/g)の酸価を有するロジン-マレイン酸系樹脂、50~300(mg-KOH/g)の酸価を有するアクリル酸共重合体系樹脂を主成分とするアルカリ可溶性ポリマーが好ましい。
【0052】
スチレン-無水マレイン酸系樹脂としては、公知のスチレン-無水マレイン酸系樹脂を用いることができる。たとえば、好適なスチレン-無水マレイン酸系樹脂として、公知のスチレンと無水マレイン酸との共重合体であるスチレン-無水マレイン酸共重合体、該スチレン-無水マレイン酸共重合体の変性体(例えば、部分的にエステル化された部分的エステル化物など)などが挙げられる。前記スチレン-無水マレイン酸共重合体において、スチレンとしては、スチレンの他、α-メチルスチレン等のスチレン系化合物を用いることができる。
【0053】
ロジン-マレイン酸系樹脂としては、公知のロジン-マレイン酸系樹脂を用いることができる。たとえば、好適なロジン-マレイン酸系樹脂として、ロジンと、無水マレイン酸との付加反応物(例えば、三塩基酸の付加物)を、多価アルコール(グリセリンなど)と縮合させたエステル化物などが挙げられる。
【0054】
アクリル酸共重合体系樹脂とは、主たる繰り返し単位として、アクリル酸および/またはメタクリル酸を有し、さらに、該アクリル酸および/またはメタクリル酸と共重合可能な共重合モノマーを有する樹脂である。アクリル酸共重合体系樹脂は、樹脂におけるアクリル酸および/またはメタクリル酸、ならびに共重合モノマーの合計割合が、60モル%以上であることが好ましい。
【0055】
共重合モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸の低級アルキルエステル];ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート;N,N’-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’-ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等のスチレン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;イタコン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有ビニル類[(メタ)アクリル酸を除く];アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有ビニル類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類やジエン類などが挙げられる。共重合モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0056】
また介在層は、40~150(mg-KOH/g)の酸価を有することが好ましい。たとえば、介在層がアクリル酸共重合体系樹脂を主成分とし、アクリル酸共重合体系樹脂が、2種のアクリル酸共重合体系樹脂の混合樹脂である場合、介在層の酸価は、2種のアクリル酸共重合体系樹脂のそれぞれの酸価とは異なる値となる。また、介在層が、主成分となる樹脂以外に、酸価を有する樹脂を含む場合にも、介在層の酸価は、主成分となる樹脂の酸価とは異なる値となる。なお介在層の酸価は、含有する樹脂のそれぞれの酸価およびそれぞれの含有割合によって変化する。介在層の酸価は、たとえば、介在層を構成する樹脂組成物の酸価を測定することによって確認できる。
【0057】
また介在層は、上述の主成分である樹脂の他に、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体をさらに含むことが好ましい。この場合、介在層の他の層との密着性を上げることができ、包装フィルムの意匠性を高めることができる。
【0058】
介在層における塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体の含有量は、介在層全体を100重量%とした場合に、1~10重量%が好ましく、2~5重量%がより好ましい。上記重量%が1未満の場合、上記密着性のさらなる向上が不十分となる傾向があり、10を超える場合、介在層の粘度が高くなり過ぎ、ハンドリングが困難となる傾向がある。塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、10,000~40,000のMn(数平均分子量)を有することが好ましく、15,000~35,000のMnを有することがより好ましい。この場合に、上記密着性の向上が顕著となる。
【0059】
本開示の介在層は、特に、アクリル酸共重合体系樹脂を主成分とし、見掛けの酸価が40~150(mg-KOH/g)である樹脂組成物から形成される層であることが好ましい。さらに塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体を含むことが好ましい。このとき、アクリル酸共重合体系樹脂は、2種以上のアクリル酸共重合体系樹脂の混合樹脂であってもよい。
【0060】
また、アルカリ可溶性ポリマーとして、特許文献2(特開2003-084670号公報)・BR>ノ記載のものを使用してもよい。本開示で使用できるアルカリ可溶性ポリマーを含む介在層として、特許文献2に記載のアルカリ可溶性コート層を本明細書に記載したものとして、本明細書では、紙面の都合上、前記特許文献2の記載を省略する。ただし、本明細書には、特許文献2の少なくとも[0011]乃至[0032]の記載をそのまま取り込めるものとする。前記特許文献2に記載のアルカリ可溶性コート層は、本開示の印刷インキ層と基材層の間の介在層として用いることが好ましい。
【0061】
介在層の厚みは、特に限定されず、例えば、0.5μm~20μmであり、好ましくは、1μm~15μmである。
【0062】
<予備接着剤層>
予備接着剤層は、必要に応じて、介在層と基材層の間、又は/及び、介在層と印刷インキ層との間に設けられる。予備接着剤層は、それが介在される層間において2つの層を接着できるものであれば特に限定されず、公知の接着剤を用いることができる。例えば、予備接着剤層としては、溶剤揮発型接着剤などのいわゆるドライラミネート接着剤、無溶剤接着剤、アンカーコート剤などを用いることができる。
【0063】
<基材層>
基材層としては、樹脂層、金属薄膜層、不織布層、紙層などが挙げられる。樹脂層としては、公知の樹脂を主成分として含むものが挙げられる。前記樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレ-ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;6-ナイロン、66-ナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリアクリロニトリルなどのニトリル系樹脂;ポリイミドなどのイミド系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどの塩化ビニル系樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリレート系樹脂;などが挙げられる。樹脂層の厚みは、特に限定されず、例えば、10μm~200μmであり、好ましくは10μm~100μmである。樹脂層は、通常、非発泡層であるが、発泡されていてもよい。
【0064】
金属薄膜層としては、アルミニウム箔、銅箔などが挙げられる。金属薄膜層の厚みは、特に限定されず、例えば、5μm~30μmである。不織布層としては、繊維を、接着法、ニードルパンチ法、スパンボンド法、メルトブロー法などによってシート状に作製した不織布などが挙げられる。前記繊維としては、ポリエステル系繊維;ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系繊維;レーヨン繊維;ナイロンなどのポリアミド系繊維;天然繊維などが挙げられる。不織布の目付量は、特に限定されず、例えば、10~100g/m2である。紙層としては、普通紙、上質紙などが挙げられる。
【0065】
ポリ塩化ビニリデン樹脂層および金属薄膜層は、ガスバリア性を有する。このようなガスバリア性を有する基材層を用いることにより、包装フィルムにガスバリア性を付与できる。また、低密度ポリエチレン層、エチレン-プロピレン共重合体層、エチレン-オレフィン共重合体層などは、シーラント性(熱溶着性)を有する。このようなシーラント性を有する基材層(例えば、積層体のうちの最裏面を構成する基材層)を用いることにより、包装フィルムにシーラント性を付与できる。
【0066】
さらに、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂層やナイロンなどのポリアミド系樹脂層は、シーラント性との比較において耐熱性に優れている。このため、このような耐熱性を有する基材層(例えば、積層体のうちの最表面を構成する基材層)を用いることにより、包装フィルムに耐熱性を付与できる。また、発泡された樹脂層、不織布層などは、断熱性を有する。このような断熱性を有する基材層を用いることにより、包装フィルムに断熱性を付与できる。
【0067】
上述のように、介在層が設けられる、隣り合う2つの基材層は、異種材料から構成されている。ここで、異種材料からなる2つの基材層は、互いに異なる材料を主成分として構成されているものをいい、同種材料からなる2つの基材層は、同じ材料を主成分として構成されているものをいう。
【0068】
例えば、異種材料からなる基材層としては、樹脂層と金属薄膜層(樹脂と金属は異種材料)、樹脂層と紙層(樹脂とパルプは異種材料)、金属薄膜層と紙層(金属とパルプは異種材料)などの組み合わせが挙げられる。
【0069】
また、樹脂層において、異なる樹脂を主成分とする樹脂層は、異種材料からなる基材層の関係にある。同様に、金属薄膜層において、異なる金属を主成分とする金属薄膜層は、異種材料からなる基材層の関係にあり、不織布層において、異なる繊維を主成分とする不織布層は、異種材料からなる基材層の関係にある。
【0070】
例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂層と、ポリエチレンを主成分とする樹脂層は、互いに異なる樹脂を主成分とし、異種材料からなる2つの基材層の関係にある。また、アルミニウムを主成分とする金属薄膜層(アルミニウム箔)と銅を主成分とする金属薄膜層(銅箔)は、互いに異なる金属を主成分とし、異種材料からなる2つの基材層の関係にある。さらに、レーヨン繊維を主成分とする不織布層とナイロンを主成分とする不織布層は、互いに異なる繊維を主成分とし、異種材料からなる2つの基材層の関係にある。
【0071】
他方、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂層と、ポリエチレンテレフタレート繊維を主成分とする不織布は、互いに同じ樹脂を主成分とし、同種材料からなる2つの基材層の関係にある。
【0072】
図2~
図5に示す2つの基材層を有する包装フィルム1にあっては、例えば、表面側の基材層である第1基材層21として、任意の樹脂層が用いられ、裏面側の基材層である第2基材層22として、これと異なる樹脂材料からなる樹脂層が用いられ、それらの間に、溶媒可溶性を有する介在層3が設けられている。
【0073】
図6~
図9に示す3つの基材層を有する包装フィルム1にあっては、例えば、表面側の基材層である第1基材層21として、任意の樹脂層が用いられ、中間の基材層である第3基材層23として、これと異なる樹脂材料からなる樹脂層が用いられ、裏面側の基材層である第2基材層22として、これと異なる樹脂材料からなる樹脂層が用いられ、第1基材層21と第3基材層23の間、及び、第3基材層23と第2基材層22の間に、それぞれ溶媒可溶性を有する介在層3が設けられている。
【0074】
また、第3基材層23として、金属薄膜層、不織布層、或いは、紙層を用いてもよい。さらに、第1基材層21と第3基材層23として同種材料からなる基材層を用いてもよく、或いは、第3基材層23と第2基材層22として同種材料からなる基材層を用いてもよい。このように、同種材料からなる隣り合う2つの基材層を含む包装フィルム1にあっては、その同種材料からなる2つの基材層間に、溶媒可溶性を有する介在層3が設けられていてもよく、或いは、そのような介在層が設けられていなくてもよい。
【0075】
図6~
図9に示す3つの基材層を有する包装フィルム1を、パウチ容器を形成するパウチ用フィルムとして用いる場合、例えば、次のような構成にすることができる。
ポリエステル系樹脂層やナイロンなどのポリアミド系樹脂層などの耐熱性を有する第1基材層21;
ポリ塩化ビニリデン樹脂層や金属薄膜層などのガスバリア性を有する第3基材層23;
低密度ポリエチレン層やエチレン-プロピレン共重合体層などのシーラント性を有する第2基材層22。
【0076】
図10~13に示す4つの基材層を有する包装フィルム1にあっては、例えば、表面側の基材層である第1基材層21として、任意の樹脂層が用いられ、中間の基材層である第3基材層23として、金属薄膜層が用いられ、第4基材層24として、任意の樹脂層が用いられ、裏面側の基材層である第2基材層22として、これと異なる樹脂材料からなる樹脂層が用いられ、第1基材層21と第3基材層23の間、第3基材層23と第4基材層24の間、及び、第4基材層24と第2基材層22の間に、それぞれ溶媒可溶性を有する介在層3が設けられている。
【0077】
また、第3基材層23として、樹脂層、不織布層、或いは、紙層を用いてもよく、或いは、第4基材層24として、金属薄膜層、不織布層、或いは、紙層を用いてもよい。さらに、第1基材層21と第3基材層23として同種材料からなる基材層を用いてもよく、或いは、第3基材層23と第4基材層24として同種材料からなる基材層を用いてもよく、或いは、第4基材層24と第2基材層22として同種材料からなる基材層を用いてもよい。このように、同種材料からなる隣り合う2つの基材層を含む包装フィルム1にあっては、その同種材料からなる2つの基材層間に、溶媒可溶性を有する介在層3が設けられていてもよく、或いは、そのような介在層が設けられていなくてもよい。
【0078】
図10~13に示す4つの基材層を有する包装フィルム1を、パウチ容器を形成するパウチ用フィルムとして用いる場合、例えば、次のような構成にすることができる。
ポリエステル系樹脂層やナイロンなどのポリアミド系樹脂層などの耐熱性を有する第1基材層21;
ポリ塩化ビニリデン樹脂層や金属薄膜層などのガスバリア性を有する第3基材層23;
ポリエステル系樹脂層やナイロンなどのポリアミド系樹脂層などの耐熱性を有する第4基材層24;
低密度ポリエチレン層やエチレン-プロピレン共重合体層などのシーラント性を有する第2基材層22。
【0079】
<包装フィルムの製法>
上記包装フィルムは、介在層を介在させて各基材層を積層することによって得られる。例えば、溶媒可溶性ポリマーを適切な溶媒に溶解させた溶液を、隣り合う2つの基材層の一方又は双方の接合面に塗布して未硬化の介在層を形成した後、乾燥などによって溶媒を除去する。これにより、溶媒可溶性を有する介在層が隣り合う2つの基材層を接着させる。
【0080】
溶媒可溶性ポリマーを含む溶液の塗布方法は、特に限定されず、従来公知の印刷法、適切なコーターを用いたコーター法などが挙げられる。溶媒可溶性ポリマーを含む溶液の濃度は、特に限定されず、塗布方法に従った適切な粘度となるように濃度調整すればよい。
【0081】
<包装フィルムの用途>
本開示の包装フィルムは、通常、公知の包装材料(タックラベルなども含む)として利用でき、例えば、軟包材に加工して使用される。軟包材は、様々な物品を包む柔らかい包材である。本開示の包装フィルムを用いて形成される軟包材は、物品を密封状に包むものが好ましく、このような軟包材としては、代表的には、パウチ容器、ピロー包装袋などが挙げられる。
【0082】
図17は、包装フィルムを用いて形成されたパウチ容器の一例を示す斜視図である。
図18は、包装フィルムを用いて形成されたピロー包装袋の一例を示す斜視図である。パウチ容器A1やピロー包装袋A2などを形成する包装フィルムは、最裏面(容器および包装袋の内部空間側に位置する面)の基材層としてシーラント性を有する基材層が用いられているものが好ましい。
【0083】
本開示の包装フィルムは、異種材料からなる2つの基材層の間に、溶媒可溶性を有し、溶媒浸漬により2つの基材層を分離可能とする介在層が設けられている。かかる包装フィルムを適切な溶媒に浸漬することにより、介在層が溶解し、異種材料からなる基材層を容易に分離できるようになる。
【0084】
例えば、包装フィルムにおいて、水可溶性を有する介在層が用いられている場合には、包装フィルムが水又は水系溶媒に浸漬されることにより、介在層の端面から水が介在層内に侵入し、当該介在層の接着力が漸減又は消失する。これにより、異種材料からなる2つの基材層を容易に分離できる。例えば、包装フィルムにおいて、アルカリ可溶性を有する介在層が用いられている場合には、包装フィルムをアルカリ水溶に浸漬することにより、介在層の端面からアルカリが介在層内に侵入し、当該介在層の接着力が漸減又は消失する。これにより、異種材料からなる2つの基材層を容易に分離できる。このため、包装フィルムを材料毎に分離して、包装フィルムのリサイクル処理を容易に行えるようになる。
【0085】
本開示は、別の観点では、異種材料からなる隣り合う2つの基材層の間に溶媒可溶性を有する介在層を設けたこの包装フィルムを、適切な溶媒に浸漬することによって、各基材層に分離する方法を提供するものである。下記実施例から明らかなように、介在層は、溶剤浸漬から遅くとも24時間経過後には、2つの基材層を分離できる。
【0086】
上記パウチ容器などの軟包材に加工された包装フィルムは、軟包材の形態のままで適切な溶媒に浸漬することにより、介在層を介して隣り合う2つの基材層を分離できる。好ましくは、軟包材を任意に裁断して小片化すると、より早く分離できるようになる。小片化の程度は、より小さい面積であるほど分離に要する時間が短くなる。本開示の包装フィルムは、例えば、60平方cmの小片に裁断した場合には、溶媒に浸漬してから遅くとも24時間で特に負荷なく2つの基材層が分離可能となる介在層が設けられているものである。
【実施例】
【0087】
以下、実施例及び比較例を説明し、本開示を更に詳述する。但し、本開示は、下記実施例に限定されるものではない。
【0088】
[実施例1]
厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製の商品名「E5100」)の裏面に、水可溶性ポリマー(日本合成化学工業製の商品名「ニチゴーGポリマー」)の水溶液(ポリマー濃度10重量%)を、グラビア印刷法を用いて厚み約3μmでベタ状に塗工して第1の介在層を形成した。その後、その第1の介在層に、厚み7μmのアルミニウム箔(東洋アルミニウム株式会社製の商品名「一般箔」)を積層接着した。さらに、このアルミニウム箔の裏面に、前記水可溶性ポリマーの水溶液を、グラビア印刷法を用いて厚み約3μmでベタ状に塗工して第2の介在層を形成した。その後、その第2の介在層に、厚み80μmの低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡株式会社製の商品名「L4102」)を積層接着して、積層体を作製した。その後、この積層体全体を、約80℃の熱風で乾燥させた。これにより、表面側から順に、ポリエチレンテレフタレート樹脂層/厚み約3μmの水可溶性の第1の介在層/アルミニウム薄膜層/厚み約3μmの水可溶性の第2の介在層/ポリエチレン樹脂層の積層構造を有する包装フィルムが作製された。
【0089】
実施例1の包装フィルムを、横15mmの短冊状に裁断して試験片を得、この試験片の180°剥離強度を測定した。その結果、試験片の180°剥離強度は、4.0N/15mmであり、十分な強度で接着されていた。なお、剥離強度は、引張り試験機(株式会社島津製作所社製の商品名「オートグラフ」)用い、剥離速度200mm/minで測定した。なお、上記測定では、積層体からポリエチレンテレフタラート樹脂層を剥離するときの剥離強度と、積層体からポリエチレン樹脂層を剥離するときの剥離強度と、を測定したが、いずれも上記値を示したため、一つの値を記載した。以下においても同様である。
【0090】
次に、実施例1の包装フィルムを、縦×横=60mm×100mmに裁断して同じサンプル片を幾つか作製し、これらを常温の水道水に浸漬し、室温下(23℃)に放置した。浸漬後、20分間経過毎に、1つのサンプル片を取り出し、各層間の剥離性を確認した。
【0091】
その結果、6時間経過した時点で、アルミニウム薄膜層とポリエチレン樹脂層が、何ら抵抗なく剥離した。また、24時間経過した時点で、ポリエチレンテレフタレート樹脂層とアルミニウム薄膜層が、何ら抵抗なく剥離した。
【0092】
[実施例2]
15重量部のスチレン-無水マレイン酸系樹脂(酸価:270mg-KOH/g)(川原油化株式会社製の商品名「SMA17352P」)、4重量部のアクリル系樹脂(酸価:4mg-KOH/g、ガラス転移温度:47℃)(東亜合成株式会社製の商品名「UH2011」)、及び、1重量部のセルロース誘導体(イーストマンケミカルジャパン株式会社製の商品名「CAB-381-0.5」)を、50重量部の酢酸エチルと30重量部のイソプロピルアルコールの混合溶媒に溶解させ、均一な樹脂液(コート剤)を得た。当該コート剤のうち、スチレン-無水マレイン酸系樹脂がアルカリ可溶性ポリマーである。またこのコート剤の見掛けの酸価は、203mg-KOH/gである。
【0093】
このコート剤を、厚み15μmのナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製の商品名「エンブレムON」)の裏面に、グラビア印刷法を用いて厚み約1μmでベタ状に塗工した後、約80℃の熱風で乾燥することにより、介在層を形成した。次に、この介在層の裏面に、白色インキ(東洋インキ株式会社製の商品名「リオアルファS」)をグラビア印刷法を用いて厚み約1μmでベタ印刷した。その後、その印刷インキ層の裏面に、ドライラミネート接着剤(DICグラフィックス株式会社製の商品名「LX500」)をグラビア印刷法を用いて厚み約3μmでベタ状に塗工した後、溶剤成分を揮発させて接着剤を接着可能な乾燥状態にして、厚み70μmポリエチレンフィルム(タマポリ株式会社製の商品名「SE620」)を積層接着した。これにより、表面側から順に、ナイロン樹脂層/厚み約1μmのアルカリ可溶性の介在層/印刷インキ層/接着剤層/ポリエチレン樹脂層の包装フィルムが作製された。
【0094】
実施例2の包装フィルムを用いて、実施例1と同様の方法に従って剥離強度を測定したところ、180°剥離強度は4.0N/15mmであり、十分な強度で接着されていた。
【0095】
次に、実施例2の包装フィルムを、縦×横=60mm×100mmに裁断し、1つのサンプル片を作製した。このサンプル片を85℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、その温度を保ちつつ簡単な撹拌を行い続け、20分間経過毎に、ナイロン層とポリエチレン層の剥がれ状態を観察した。
【0096】
その結果、浸漬開始から24時間経過した時点で、ナイロン層とポリエチレン層が分離されていた。
【0097】
[実施例3]
アクリル酸共重合体系樹脂(酸価:50mg-KOH/g)(三菱レイヨン株式会社製の商品名「ダイヤナールLR-1941」)と、アクリル酸共重合体系樹脂(酸価:85mg-KOH/g)(BASF社製の商品名「JONCRYL JDX3000」)とを混合して、63(mg-KOH/g)の酸価を有するアクリル酸共重合体系樹脂を調製した。
【0098】
次に、33重量部の上記アクリル酸共重合体系樹脂(酸価:63mg-KOH/g)、及び、3重量部のセルロース誘導体(COREA CNC社製の商品名「RS-1sec」、固形分量70重量部)を、44重量部の酢酸エチルと20重量部のイソプロピルアルコールの混合溶媒に溶解させ、均一な樹脂液(コート剤)を得た。当該コート剤のうち、アクリル酸共重合体系樹脂がアルカリ可溶性ポリマーである。またこのコート剤の見掛けの酸価は、57mg-KOH/gである。
【0099】
実施例1の水可溶性ポリマーに代えて、上記のように調製されたコート剤を用い、かつアルミニウム箔に代えて厚み15μmのナイロンフィルム(ユニチカ株式会社製の商品名「エンブレムON」)を用いた以外は、実施例1と同様にして包装フィルムを作製した。作製された包装フィルムは、表面側から順に、ポリエチレンテレフタレート樹脂層/厚み約2μmのアルカリ可溶性の第1の介在層/厚み15μmのナイロン樹脂層/厚み約2μmのアルカリ可溶性の第2の介在層/ポリエチレン樹脂層の積層構造を有する。
【0100】
実施例3の包装フィルムを用いて、実施例1と同様の方法に従って剥離強度を測定したところ、180°剥離強度は4.0N/15mmであり、十分な強度で接着されていた。
【0101】
次に、実施例3の包装フィルムを、縦×横=60mm×100mmに裁断して同じサンプル片を幾つか作製し、これらのサンプル片を85℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、その温度を保ちつつ簡単な撹拌を行い続け、20分間経過毎に、1つのサンプル片を取り出し、各層間の剥離性を確認した。
【0102】
その結果、浸漬開始から20分間経過した時点で、ナイロン樹脂層とポリエチレン樹脂層が、何ら抵抗なく剥離した。同様に、20分間経過した時点で、ポリエチレンテレフタレート樹脂層とナイロン樹脂層が、何ら抵抗なく剥離した。
【0103】
[実施例4]
実施例3のコート剤において、1重量部の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体(日信化学工業株式会社製の商品名「ソルバインTA5R」)を1重量部加え、イソプロピルアルコールの配合量を19重量部とした以外は、実施例3と同様にして包装フィルムを作製した。このコート剤の見掛けの酸価は、56mg-KOH/gである。
【0104】
実施例4の包装フィルムを用いて、実施例1と同様の方法に従って剥離強度を測定したところ、180°剥離強度は4.5N/15mmであり、十分な強度で接着されていた。
【0105】
次に、実施例4の包装フィルムを、縦×横=60mm×100mmに裁断して同じサンプル片を幾つか作製し、これらのサンプル片を85℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、その温度を保ちつつ簡単な撹拌を行い続け、20分間経過毎に、1つのサンプル片を取り出し、各層間の剥離性を確認した。
【0106】
その結果、浸漬開始から20分間経過した時点で、ナイロン樹脂層とポリエチレン樹脂層が、何ら抵抗なく剥離した。同様に、20分間経過した時点で、ポリエチレンテレフタレート樹脂層とナイロン樹脂層が、何ら抵抗なく剥離した。また、浸漬する前の包装フィルムを目視で観察したところ、積層構造の均一性が高く、意匠性に優れていた。
【0107】
[実施例5]
実施例3で調製されたコート剤を用いて、実施例2と同様にして包装フィルムを作製した。作製された包装フィルムは、表面側から順に、ナイロン樹脂層/厚み約1μmのアルカリ可溶性の介在層/印刷インキ層/接着剤層/ポリエチレン樹脂層の積層構造を有する。
【0108】
実施例5の包装フィルムを用いて、実施例1と同様の方法に従って剥離強度を測定したところ、180°剥離強度は4.0N/15mmであり、十分な強度で接着されていた。
【0109】
次に、実施例5の包装フィルムを、縦×横=60mm×100mmに裁断し、1つのサンプル片を作製した。このサンプル片を85℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、その温度を保ちつつ簡単な撹拌を行い続け、20分間経過毎に、ナイロン層とポリエチレン層の剥がれ状態を観察した。
【0110】
その結果、浸漬開始から20分間経過した時点で、ナイロン層とポリエチレン層が分離されていた。
【0111】
[実施例6]
実施例4で調製されたコート剤を用いて、実施例2と同様にして包装フィルムを作製した。作製された包装フィルムは、表面側から順に、ナイロン樹脂層/厚み約1μmのアルカリ可溶性の介在層/印刷インキ層/接着剤層/ポリエチレン樹脂層の積層構造を有する。
【0112】
実施例6の包装フィルムを用いて、実施例1と同様の方法に従って剥離強度を測定したところ、180°剥離強度は4.5N/15mmであり、十分な強度で接着されていた。
【0113】
次に、実施例6の包装フィルムを、縦×横=60mm×100mmに裁断し、1つのサンプル片を作製した。このサンプル片を85℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、その温度を保ちつつ簡単な撹拌を行い続け、20分間経過毎に、ナイロン層とポリエチレン層の剥がれ状態を観察した。
【0114】
その結果、浸漬開始から20分間経過した時点で、ナイロン層とポリエチレン層が分離されていた。また、浸漬する前の包装フィルムを目視で観察したところ、積層構造の均一性が高く、意匠性に優れていた。
【0115】
[比較例]
コート剤を塗布しなかった(アルカリ可溶性の介在層を形成しなかった)こと以外は、実施例2と同様にして、表面側から順に、ナイロン樹脂層/印刷インキ層/接着剤層/ポリエチレン樹脂層の包装フィルムを作製した。
【0116】
比較例の包装フィルムについても、実施例1と同様の方法に従って剥離強度を測定したところ、180°剥離強度は4.0N/15mmであり、十分な強度で接着されていた。また比較例の包装フィルムについて、実施例2と同様にして、85℃の1.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、層間の剥がれ状態を観察した結果、24時間経過しても、ナイロン層とポリエチレン層の分離は確認できなかった。
【符号の説明】
【0117】
1 包装フィルム
21,22,23,24 基材層
3 介在層
41,42 印刷インキ層