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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】制振バンド及びマフラ
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/00 20100101AFI20230606BHJP
   F16F 15/06 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
F01N13/00 Z
F16F15/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021011256
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114815
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松井 俊介
(72)【発明者】
【氏名】東野 恒志
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-081739(JP,U)
【文献】特開2018-053794(JP,A)
【文献】実開昭55-112015(JP,U)
【文献】中国実用新案第207245827(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/00
F16F 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マフラ本体の外周面に取り付ける制振バンドであって、
前記マフラ本体の外周面に配置される、伸縮性を有する制振材と、
前記制振材の外側面に配置される外板と、
を備え
前記制振材は、前記外板の少なくとも第1の固定位置と第2の固定位置とで固定されており、前記第1の固定位置に固定される第1部分と前記第2の固定位置に固定される第2部分との間で伸縮するように構成されている、制振バンド。
【請求項2】
請求項に記載の制振バンドであって、
前記制振材における前記第1部分から前記第2部分までの長さは、前記外板における前記第1の固定位置から前記第2の固定位置までの長さよりも短い、制振バンド。
【請求項3】
マフラ本体と、
前記マフラ本体の外周面に取り付け可能な制振バンドと、
を備え、
前記制振バンドは、
前記マフラ本体の外周面に配置される、伸縮性を有する制振材と、
前記制振材の外側面に配置される外板と、
を備え
前記制振材は、前記外板の少なくとも第1の固定位置と第2の固定位置とで固定されており、前記第1の固定位置に固定される第1部分と前記第2の固定位置に固定される第2部分との間で伸縮するように構成されている、マフラ。
【請求項4】
請求項に記載のマフラであって、
前記マフラ本体は、少なくとも1つのセパレータを備え、
前記制振バンドは、前記マフラ本体の外周側面における前記セパレータの外縁が当接する位置から間隔をあけた位置に設けられる、マフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制振バンド及びマフラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、繊維状の断熱材で覆われたマフラが開示されている。当該マフラでは、内管及び外管における振動し易い箇所に、他の箇所よりも密度が相対的に大きくなるように断熱材が配置されている。これにより、密度が相対的に大きい箇所は剛性が相対的に高くなり、振動を抑制する防振部として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-53794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のマフラでは、振動が十分に減衰せず放射音の低減が不十分であるという問題があった。
本開示の一局面は、放射音を好適に抑制する制振バンド及びマフラを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、マフラ本体の外周面に取り付ける制振バンドであって、制振材と、外板と、を備える。制振材は、マフラ本体の外周面に配置され、伸縮性を有する。外板は、制振材の外側面に配置される。
【0006】
このような構成では、マフラ本体が振動して発生する放射音を好適に抑制することができる。その理由は次のように考えられる。すなわち、制振材が伸縮性を有するため、制振バンドがマフラ本体に組み付けられている状態において、マフラ本体が振動するときに、マフラ本体の表面が制振材をせん断方向に引っ張る力が発生する。制振材が引っ張られ、伸びる際に制振材内部での摩擦により、振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、振動は減衰し、マフラ本体の放射音は低減できる。
【0007】
上述した制振バンドにおいて、制振材は、外板の少なくとも第1の固定位置と第2の固定位置とで固定されており、第1の固定位置に固定される第1部分と第2の固定位置に固定される第2部分との間で伸縮するように構成されていてもよい。
【0008】
このような構成によれば、制振材が外板における間隔を空けた2箇所で固定されていることから、その2箇所の間において制振材が伸びた状態、すなわち制振材にテンションがかかった状態を構成しやすくなる。そのため、制振バンドをマフラ本体に組み付けられた状態において、マフラ本体と制振材とが密着しやすく、マフラ本体が振動するときに、マフラ本体と制振材との間にせん断応力が発生しやすくなる。よって、放射音を好適に抑制することができる。
【0009】
上述した制振バンドにおいて、制振材における第1部分から第2部分までの長さは、外板における第1の固定位置から第2の固定位置までの長さよりも短くてもよい。
このような構成によれば、外板をマフラ本体の外周面に沿って固定したとき、制振材はマフラ本体の外周面と当接する。そして、制振材における第1部分から第2部分までの部分は、外板における第1の固定位置から第2の固定位置までの長さに近づくように延びる。制振材は、テンションがかかった、制振効果の高い状態でマフラ本体に接する。よって、放射音を好適に抑制することができる。
【0010】
本開示の一態様は、マフラであって、マフラ本体と、制振バンドと、を備える。制振バンドは、マフラ本体の外周面に取り付け可能である。また、制振バンドは、制振材と、外板と、を備える。制振材は、マフラ本体の外周面に配置され、伸縮性を有する。外板は、制振材の外側面に配置される。
【0011】
このような構成によれば、制振材がマフラ本体の外周面と外板とに挟み込むように組み付けられることで、伸縮性を有する制振材にテンションがかかる。よって、放射音を好適に抑制することができる。
【0012】
上述したマフラにおいて、マフラ本体は、少なくとも1つのセパレータを備えてもよい。制振バンドは、マフラ本体の外周側面におけるセパレータの外縁が当接する位置から間隔をあけた位置に設けられてもよい。
【0013】
このような構成によれば、マフラ本体における振動しやすい箇所に制振バンドが配置されることになる。よって、放射音をより好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】マフラの概略図である。
図2】制振バンドの概略側面図である。
図3】制振バンドをマフラ本体に組み付けた状態における概略斜視図である。
図4図4Aは、制振バンドをマフラ本体に組み付けた状態における概略断面図、図4Bは、制振バンドをマフラ本体に組み付けた状態において上面視した概略図である。
図5図5Aは、かしめ部品を用いて外板と制振材とをかしめることを説明するための図、図5Bは、かしめ部品を用いて制振バンドをかしめた状態において制振バンドを上面視した概略図、図5Cは、図5AのVC-VC断面図である。
図6】ボルト及びナットを用いて外板と制振材とを固定することを説明するための図である。
図7】上側部と下側部とを備える制振バンドの概略側面図である。
図8】上側部のみを備える制振バンドの概略側面図である。
図9】第2固定位置で固定されない構成の制振バンドの概略側面図である。
図10】2つの制振バンドが交差するようにマフラ本体に組み付けられたときの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
[1-1.構成]
図1に示すマフラ1は、車両に搭載され、車両の内燃機関から排出される排ガスの排気流路の一部を構成する。マフラ1は、マフラ本体10と、制振バンド20と、を備える。なお、図1は、マフラ本体10の断面図に、制振バンド20の側面図を重ね合わせたものである。
【0016】
マフラ本体10は、ケーシング11と、セパレータ12,13と、インレットパイプ14と、アウトレットパイプ15,16と、を備える。
<ケーシング>
ケーシング11は、排気音を低減するための排気流路を内部に有する。ケーシング11は、シェル部材101と、前蓋部材102及び後蓋部材103と、を備える。シェル部材101は、あらかじめ定められた伸張方向に伸びる筒状の部材である。前蓋部材102及び後蓋部材103は、シェル部材101の伸張方向の両端開口部を閉塞する。シェル部材101の伸張方向が、ケーシング11の伸張方向である。ただし、伸張方向は方向を示すために便宜的に用いているため、ケーシング11の伸張方向の長さが、伸張方向に直交する断面において中心軸を通る壁面間の長さよりも短くてもよい。
【0017】
<セパレータ>
セパレータ12,13(第1セパレータ12及び第2セパレータ13)は、ケーシング11の内壁面に囲まれた内部空間を複数の空間に仕切る部材である。セパレータ12,13により、上記内部空間は、複数の室に区画される。本実施形態では、上記内部空間は、後蓋部材103側から第1室31、第2室32及び第3室33の3つの室に区画される。なお、第1セパレータ12及び第2セパレータ13は、各室を連通する複数の孔部を有しており、排ガスは、これらの孔部を通過して他の室に流入可能となっている。
【0018】
<インレットパイプ>
インレットパイプ14は、内燃機関からの排ガスをケーシング11内に導入するためのパイプである。インレットパイプ14は、シェル部材101における第2室32を形成する部分を貫通して設けられている。インレットパイプ14の下流端は、第2室32に開口している。
【0019】
<アウトレットパイプ>
アウトレットパイプ15,16(第1アウトレットパイプ15及び第2アウトレットパイプ16)は、図示しないマフラ本体10の下流にあるパイプに接続されて排ガスをケーシング11から排出するためのパイプである。第1アウトレットパイプ15は、後蓋部材103、第2セパレータ13及び第1セパレータ12を貫通して設けられている。第1アウトレットパイプ15の上流端は、第3室33に開口している。第2アウトレットパイプ16は、前蓋部材102、第1セパレータ12及び第2セパレータ13を貫通して設けられている。第2アウトレットパイプ16の上流端は、第1室31に開口している。
【0020】
<制振バンド>
図2~4に示すように、制振バンド20は、外板21と、制振材22と、を備える。
外板21は、金属で形成される帯状の部材である。外板21は、湾曲したマフラ本体10の外周側面を囲むように、マフラ本体10の外周側面の形状に沿った形状である。外板1は、制振材22の外側に配置される。外板21の断面は、略C字状である。外板21の一方の端部である第1端部211と、もう一方の端部である第2端部212とは、近接した状態及び離隔した状態に遷移可能である。
【0021】
外板21は、外板21の第1端部211及び第2端部212からそれぞれ外側に延び出す板状の接続片23,24を備える。接続片23,24は、対向した状態でボルト及びナットにて固定される。
【0022】
制振材22は、マフラ本体10の外周面に配置され、伸縮性を有する部材である。すなわち、制振材22は、引っ張る方向に荷重が加えられると伸びる部材であり、伸縮方向に弾性変形する。伸縮方向とは、制振材22の長さ方向のことである。なお、制振材22は、少なくとも図3のようにマフラ本体10に取付けられて伸びた状態で弾性限界に達しないように構成されている。制振材22は、例えば長繊維を編みこむことで形成されたものであってもよい。長繊維とはグラスファイバー、セラミックファイバー、シリカファイバー、ステンレス材などが例示される。
【0023】
制振材22は、外板21の内周面における、第1の固定位置25、第2の固定位置26及び第3の固定位置27にて固定されている。第1の固定位置25及び第3の固定位置27は、接続片23,24の近傍に設けられる。第2の固定位置26は、第1の固定位置25及び第3の固定位置27が設けられる箇所と対向する箇所に設けられる。第1の固定位置25、第2の固定位置26及び第3の固定位置27において固定された制振材22の部分を、それぞれ第1部分251、第2部分261及び第3部分271とする。具体的には、制振材22は、圧着等によりかしめられて固定される。例えば、図5に示すように、かしめ部品28で外板21と制振材22とを折り込み、かしめることにより制振材22が固定される。なお、図5以外の図においては、かしめ部品28等の固定のための構成についての図示は省略している。
【0024】
図2に戻り、制振材22は、伸縮方向にテンションをかけられた状態で、外板21における弦の位置に固定される。制振材22が伸縮方向にテンションをかけられた状態の制振材22は、自然長よりも伸びている。このとき、制振材22における第1部分251から第2部分261までの長さは、外板21における第1の固定位置25から第2の固定位置26までの長さよりも短い。また、制振材22における第2部分261から第3部分271までの長さは、外板21における第2の固定位置26から第3の固定位置27までの長さよりも短い。制振材22と外板21との間には、隙間が形成される。
【0025】
[1-2.制振バンドのマフラ本体への組み付け]
制振バンド20は、マフラ本体10に組み付けられ、マフラ本体10の外周面に沿って配置される。言い換えると、制振バンド20は、制振材22を介してマフラ本体10の外周面に隣接した状態となる。
【0026】
まず、外板21の接続片23,24同士が離れる向きに、外板21を開く。
続いて、マフラ本体10が制振材22に密着するように、制振バンド20にマフラ本体10を挿入する。このとき、マフラ本体10の外周側面におけるセパレータの外縁が当接する位置から間隔をあけた位置に、制振バンド20を組み付ける。
【0027】
続いて、接続片を対向した状態でボルトにて固定する。本実施形態では、制振材22には、組み付け前からテンションがかかっているが、マフラ本体10に組み付けることにより更に制振材22が伸びるため、組み付け前よりも強くテンションがかかった状態となる。このとき、制振材22は、マフラ本体10の外周に当接するように配置され、マフラ本体10と外板21とに挟み込まれた状態となっている。すなわち、制振材22は、マフラ本体10に密着した状態になりやすい。
【0028】
本実施形態では、図1に示すように、3つの制振バンド20が組み付けられる。1つの制振バンド20は、前蓋部材102とセパレータ12との間に組み付けられる。また他の1つの制振バンド20は、セパレータ12とセパレータ13との間に組み付けられる。さらに他の1つの制振バンド20は、セパレータ13と後蓋部材103との間に組み付けられる。制振バンド20が組み付けられるそれぞれの位置は、マフラ本体10の振動している場合において、マフラ本体10の振動による振り幅が最も大きくなる、腹の部分に対応する。
【0029】
[1-3.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)本実施形態のマフラ1では、第1部分251及び第2部分261の間、並びに、第2部分261及び第3部分271の間においてテンションがかかった状態の制振材22が、マフラ本体10の外周面と外板21の間に挟まれて配置される。このような構成であれば、マフラ本体10が振動して発生する放射音を好適に抑制できる。その理由を以下に説明する。すなわち、制振材22にテンションがかかっているため、マフラ本体10が振動するときに、マフラ本体10の表面が制振材22をせん断方向に引っ張る力が発生する。制振材22が引っ張られ、伸びる際に制振材22内部での摩擦により、振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、振動は減衰し、マフラ本体10の放射音は低減できる。
制振材22の伸縮方向は、マフラ本体10の周方向に一致する。よって、本実施形態では、制振材22がマフラ本体10の周方向への振動を減衰させやすい。
【0030】
(1b)制振材22における第1部分251から第2部分261までの長さは、外板21における第1の固定位置25から第2の固定位置26までの長さよりも短い。このような構成によれば、外板21をマフラ本体10の外周面に沿って固定したとき、制振材22はマフラ本体10の外周面と当接する。そして、制振材22における第1部分251から第2部分261までの部分は、外板21における第1の固定位置25から第2の固定位置26までの長さに近づくように延びる。そのため、制振材22は、テンションがかかった、制振効果の高い状態でマフラ本体10に接する。よって、放射音を好適に抑制することができる。また、制振材22における第2部分261と第3部分271との間の部分も、上述した第1部分と第2部分との間の部分と同様の効果を奏する。
【0031】
(1c)制振材22は、第1部分251と第2部分261との間でテンションをかけられた状態で外板21に固定される。また、制振材22は、第2部分261と第3部分271との間でテンションをかけられた状態で外板21に固定される。このような構成によれば、制振バンド20がマフラ本体10に組み付けられる前から制振材22にはテンションがかかっている。つまり、制振バンド20をマフラ本体10に組み付けた際には、制振材22により大きなテンションがかかる。よって、放射音を好適に抑制することができる。
【0032】
(1d)外板21は、湾曲であるマフラ本体10の外周面に沿った形状であり、制振材22は、外板21の弦の位置になるように固定される。このような構成によれば、外板21は広範囲にわたり適切な力で制振材22を挟み込める。また、制振材22にテンションがかかりやすいため、放射音を好適に抑制することができる。なお、ここでいう外板21の弦の位置とは、外板21を円弧と仮定した場合における弦の位置である。
【0033】
(1e)制振バンド20は、マフラ本体10の外周側面におけるセパレータ12,13の外縁が当接する位置から間隔をあけた位置に設けられる。このような構成によれば、マフラ本体10における振動しやすい箇所に制振バンド20が配置されることになる。よって、放射音をより好適に抑制することができる。
【0034】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0035】
(2a)上記実施形態では、制振材22は、制振バンド20をマフラ本体10に組み付ける前からテンションがかけられた状態で外板21に配置されていた。しかし例えば、制振材22は、テンションがかけられていない状態で外板21に配置されていてもよい。この場合でも、例えば、制振材22における第1部分251から第2部分261までの長さを、外板21における第1の固定位置25から第2の固定位置26までの長さよりも短くしておけば、制振バンド20がマフラ本体10に組みつけられた際には制振材22が伸びてテンションがかかり、高い制振効果が得られる。つまり、外板21が制振材22を介してマフラ本体10に配置されている状態において、制振材22は、第1部分251と第2部分261との間でテンションがかかり、高い制振効果が得られる。
【0036】
(2b)上記実施形態では、制振材22は、かしめ部品28でかしめることにより外板21に固定されていたが、制振材22を外板21に固定する方法はこれに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、ボルト29及びナット291で外板21と制振材22とマフラ本体10とを締め付けて固定してもよい。
【0037】
(2c)上記実施形態では、制振バンド20は、マフラ本体10の外周面を一周囲むような形状であったが、制振バンド20の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、制振バンド20は、上側部41と下側部42とを備えていてもよい。上側部41及び下側部42の断面は、楕円の円周を長軸で分割した形状である。上側部41及び下側部42は、端部からそれぞれ外側に延び出す板状の接続片43,44を備える。この場合、上側部41の接続片43と下側部42の接続片44とをそれぞれボルト及びナットで固定することで、制振バンド20をマフラ本体10に組み付ける。
【0038】
また、図8に示すように、制振バンド20は、下側部42を備えず、上側部41のみを備えていてもよい。この場合、マフラ本体10は、マフラ本体10から外側に延び出す板状の接続片45を備える。上側部41の接続片43とマフラ本体10の接続片45とがボルト及びナットで固定されることで、制振バンド20がマフラ本体10に組み付けられる。
また、図示しないが、マフラ本体10の伸張方向に沿うように、制振バンド20が組み付けられてもよい。
【0039】
(2d)上記実施形態では、制振材22は、外板21の弦の位置になるように固定されていたが、制振材22が外板21に固定される位置はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、制振バンド20は、第1の固定位置25と第3の固定位置27とで固定される一方、第2の固定位置26で固定されなくてもよい。この場合、制振材22の帯の内部にマフラ本体10をはめ込むことで、制振バンド20がマフラ本体10に組み付けられた状態において、制振材22にテンションがかかる。
【0040】
(2e)上記実施形態では、3つの制振バンド20がマフラ本体10に組みつけられていたが、組みつけられる制振バンド20の個数はこれに限定されるものではない。例えば、制振バンド20の個数は、2つ以下でもあってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0041】
(2f)上記実施形態では、各室31~33に対して、それぞれ1つの制振バンド20が組み付けられていたが、制振バンド20をマフラ本体10に組み付ける構成はこれに限定されるものではない。例えば、複数の制振バンド20を交差させ、マフラ本体10に組み付けてもよい。例えば、図10に示すように、2つの制振バンド20を交差させ、マフラ本体10に組み付けてもよい。1つの制振バンド20は、第1室31の上端部、第2室32の中腹部及び第3室33の下端部を通るように組み付けられる。他方の制振バンド20は、第3室33の上端部、第2室32の中腹部及び第1室31の下端部を通るように組み付けられる。これにより、少ない数の制振バンド20で、より広い範囲について制振の効果をもたらすことができる。
【0042】
(2g)上記実施形態では、外板21は、マフラ本体10の外周面に沿って配置されていた。しかし、外板21は、その全体がマフラ本体10の外周面に沿っていなくてもよい。少なくとも、外板21がマフラ本体10の外周面に取付けられた状態で、少なくとも制振材22の一部をマフラ本体10の外周面との間で挟むように構成されていればよい。
【0043】
(2h)上記実施形態では、外板21は、ボルト及びナットにより固定されていたが、外板21が固定される構成はこれに限定されるものではない。例えば、外板21は、溶接により固定されてもよい。
【0044】
(2i)上記実施形態では、制振材22は、マフラ本体10の外周面と外板21の間に挟まれて配置され、テンションがかけられていた。しかし、制振材22は、マフラ本体10の外周面と外板21の間に挟まれて配置されたときに、伸縮方向に伸びることによるテンションがかけられていなくてもよい。この場合でも、制振材22が伸縮性を有していれば、制振効果が得られる。その理由は次のように考えられる。すなわち、マフラ本体10の外周面と外板21の間に挟まれることで、制振材22が伸び、テンションがかかった状態となる。そのため、マフラ本体10の表面が制振材22をせん断方向に引っ張る力が発生する。その結果、振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、振動は減衰し、マフラ本体10の放射音は低減できる。
【0045】
(2j)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…マフラ、10…マフラ本体、11…ケーシング、12…第1セパレータ、13…第2セパレータ、14…インレットパイプ、15…第1アウトレットパイプ、16…第2アウトレットパイプ、20…制振バンド、21…外板、22…制振材、23,24,43,44,45…接続片、28…かしめ部品、29…ボルト、31…第1室、32…第2室、33…第3室、41…上側部、42…下側部、101…シェル部材、102…前蓋部材、103…後蓋部材、211…第1端部、212…第2端部、291…ナット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10