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特許7290687静電チャック及びその製造方法と基板処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】静電チャック及びその製造方法と基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230606BHJP
   H02N 13/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021082315
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2021184461
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-07-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0061545
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520236767
【氏名又は名称】サムス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ、チェ ヒ
(72)【発明者】
【氏名】イ、サン キ
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084523(JP,A)
【文献】特表2012-508991(JP,A)
【文献】特開2019-179780(JP,A)
【文献】特開2009-152475(JP,A)
【文献】特開2016-192566(JP,A)
【文献】特開2020-035886(JP,A)
【文献】特開2014-072355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極を内蔵して基板を静電吸着するための誘電板と、
前記誘電板の下部に配置されるベースプレートと、
前記ベースプレートを冷却するために前記ベースプレートの下部に設けられた冷却部材と、
前記ベースプレートに備えられ、基板の複数領域を独立的に加熱する加熱ユニットと、
を含み、
前記加熱ユニットは、
互いに分離されて配置され、独立的に制御される複数のヒーターと、
前記ベースプレートを全深さ方向に分離するように前記複数のヒーターの間に備えられた遮熱部と、
前記複数のヒーターのそれぞれが内蔵され、前記複数のヒーターのそれぞれの全外面に接触する複数の絶縁層と、
を含む、静電チャック。
【請求項2】
前記遮熱部は内部空間を含むことを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
前記内部空間は遮熱物質で充填されることを特徴とする、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項4】
前記内部空間はガスで満たされることを特徴とする、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項5】
前記内部空間は真空であることを特徴とする、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項6】
前記遮熱部は遮熱物質から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項7】
前記複数のヒーターと前記遮熱部はリング状に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項8】
前記冷却部材は冷却流体が流れる冷却流路を含むことを特徴とする、請求項に記載の静電チャック。
【請求項9】
前記冷却部材と前記加熱ユニットの相互作用によって基板の温度を調節することを特徴とする、請求項に記載の静電チャック。
【請求項10】
前記ベースプレートはアルミニウム(Al)からなることを特徴とする、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項11】
基板処理空間を有する工程チャンバーと、
前記基板処理空間に配置された静電チャックと、
前記基板処理空間にプラズマを発生させるためのプラズマ発生器とを含み、
前記静電チャックは、
電極を内蔵して基板を静電吸着するための誘電板と、
前記誘電板の下部に配置されるベースプレートと、
前記基板を冷却するために前記ベースプレートの下部に設けられた冷却部材と、
前記ベースプレートに備えられ、基板の複数領域を独立的に加熱する加熱ユニットとを含み、
前記加熱ユニットは、
互いに分離されて配置された複数のヒーター、
前記ベースプレートを全深さ方向において分離するように前記複数のヒーターのうちの対応する2つのヒーターの間に備えられた複数の遮熱部、及び
前記複数のヒーターのうちの対応するヒーターに備えられ前記ヒーターを取り囲む複数の絶縁層を含み、
前記複数のヒーターのそれぞれが完全に前記絶縁層に覆われるように、前記絶縁層は前記複数のヒーターのそれぞれの上面および下面を含む全外面に接触する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒーターを内蔵した静電チャック及びその製造方法、並びにこの静電チャックを含む基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体素子又はディスプレイの製造のために基板を処理するにあたり、基板処理装置の内部には基板を支持する支持部材が備えられる。その中でも静電チャックは基板処理過程で基板の移動や誤整列を防止するために基板を固定する支持部材であり、静電気力を用いて基板を処理チャンバーの内部の支持台にチャッキング(chucking)又はチャッキング解除(dechucking)する装置である。
【0003】
静電チャックは基板を支持するだけでなく、各処理工程によって基板の温度を調節する機能を備えている。基板処理工程において、基板の温度によって膜質、加工形態及び表面状態が敏感に変化するからである。
【0004】
一般に、静電チャックは、図1に示すように、ベースプレート300と、その上面に断熱接着剤200などによって付着された誘電板100とから構成され、前記誘電板100はヒーター130及びDC電極120を含む。前記電極120に電圧を印加して前記誘電板100と誘電板100の上面に載せられた基板Wとの間に静電気力を発生させることによって基板Wを静電気力で固定し、前記ヒーター130によって基板Wの温度を調節することができるものである。
【0005】
最近、技術発展によるパターン微細化及びウエハー大型化の趨勢に応えて処理温度が高くなり、静電チャックの静電気力を増加させるために前記電極に印加される電圧が高くなっている。
【0006】
よって、誘電板とベースプレートの接合界面で熱膨張係数の差による歪みや撓みが発生して構造的信頼性の問題が発生することがある。また、基板表面の温度均一度の差による不均一な蒸着やエッチング不良が発生し、静電チャックの寿命が縮まる問題が発生することがある。
【0007】
それだけでなく、一般的に誘電層はセラミックから構成され、セラミック誘電体にヒーターが含まれる構造は製作がとても難しくて製作コストが高い限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第10-0804842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、基板の複数領域を独立的に制御することができるヒーターをベースプレートに提供して基板表面の温度均一度を向上させることができる静電チャック及びその製造方法とこれを含む基板処理装置を提供しようとする。
【0010】
本発明は、製作の容易なヒーターを含む静電チャック及びその製造方法とこれを含む基板処理装置を提供しようとする。
【0011】
本発明の目的は前述したものに制限されず、言及しなかった本発明の他の目的及び利点は下記の説明によって明らかに理解可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施例によれば、電極を内蔵して基板を静電吸着するための誘電板と、前記誘電板の下部に配置されるベースプレートと、前記ベースプレートに備えられ、基板の複数領域を独立的に加熱する加熱ユニットとを含む静電チャックを提供する。
【0013】
前記加熱ユニットは、互いに分離されて配置され、独立的に制御される複数のヒーターと、前記複数のヒーターの間に備えられる遮熱部とを含むことができる。
【0014】
前記遮熱部は内部空間を含むことができる。
【0015】
前記内部空間は高温に強く遮熱性の高い物質で満たされることができる。
【0016】
前記内部空間はガスで満たされることができる。
【0017】
前記内部空間は真空状態であってもよい。
【0018】
前記遮熱部は遮熱物質から形成されることができる。
【0019】
前記複数のヒーターと前記遮熱部はリング状に形成されることができる。
【0020】
前記加熱ユニットは絶縁層をさらに含むことができる。
【0021】
前記ベースの下部に冷却部材をさらに含むことができる。
【0022】
前記冷却部材は冷却流体が流れる冷却流路からなることができる。
【0023】
前記冷却部材と前記加熱ユニットの相互作用によって基板の温度を調節することができる。
【0024】
前記ベースプレートはアルミニウム(Al)からなることができる。
【0025】
本発明の実施例による静電チャックの製造方法は、電極を内蔵した誘電板とベースプレートを準備する準備段階と、前記ベースプレートに加熱ユニットを形成する加熱ユニット形成段階と、前記誘電板の下面と前記ベースプレートの上面を接合する接合段階とを含む。
【0026】
前記加熱ユニット形成段階は、前記ベースプレートにヒーターを埋め込む段階を含むことができる。
【0027】
ここで、前記ヒーターはシースヒーター(Sheath heater)であってもよい。
【0028】
もしくは、前記加熱ユニット形成段階は、前記ベースプレートに加熱ユニットを順に積層する段階を含むことができる。
【0029】
ここで、前記加熱ユニット形成段階は、ヒーターをパターニングする段階を含むことができる。
【0030】
もしくは、前記加熱ユニットはポリイミドフィルムヒーター(polyimide film heater)を含むことができる。
【0031】
本発明の実施例によれば、基板処理空間を有する工程チャンバーと、前記基板処理空間に配置された静電チャックと、前記基板処理空間にプラズマを発生させるためのプラズマ発生器とを含み、前記静電チャックは、電極を内蔵して基板を静電吸着するための誘電板と、前記誘電板の下部に配置されるベースプレートと、前記ベースプレートに備えられ、基板の複数領域を独立的に加熱する加熱ユニットとを含み、前記加熱ユニットは、互いに分離されて配置された複数のヒーター、前記複数のヒーターの間に備えられた遮熱部、及び前記ヒーターを取り囲む絶縁層を含み、前記ベースプレートの下部には前記基板を冷却するための冷却部材を含む基板処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明による静電チャックは、ベースプレートに加熱ユニットを含み、前記加熱ユニットは、互いに分離されて配置された複数のヒーターと、複数のヒーターの間に備えられる遮熱部とを備えるので、基板の複数領域を独立的に制御することができる。
【0033】
また、本発明による静電チャックは、基板の領域別熱分布を容易に調節することによって基板を均一に処理することができる。
【0034】
また、本発明による静電チャックは、誘電板ではないベースプレートに加熱ユニットを含むことにより、静電チャックの製造方法が容易であり、コスト面で非常に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】既存の静電チャックを含む基板処理装置を示す断面図である。
図2】本発明の実施例による静電チャックの構成を示す断面図である。
図3図2の平面図である。
図4】本発明の実施例による静電チャックの製作方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施例による加熱ユニットの製作過程を示す断面図である。
図6図5の過程によって完成された静電チャックの構成の一部を示す断面図である。
図7】本発明の実施例による静電チャックを含む基板処理装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。本発明は様々な相異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0037】
本発明を明確に説明するために、本発明の本質と関係ない部分はその詳細な説明を省略することができ、明細書全般にわたって同一又は類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付与することができる。
【0038】
また、ある部分がある構成要素を“含む”というとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。ここで使う用語はただ特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定するものではなく、本明細書で他に定義しない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって理解可能な概念に解釈されることができる。
【0039】
図2及び図3を参照して、本発明の実施例による静電チャック10の全体構成について説明する。
【0040】
本発明の実施例による静電チャック10は、複数の区域に分割され、独立的に制御可能なヒーターを有する。また、本発明の実施例による静電チャック10は、CVD、スパッター、蒸着、エッチングプラズマ、測定、検査などの基板処理工程のための基板処理装置に適用可能である。しかし、前記工程に限定されず、基板を支持及び加熱する必要がある装置にも適用可能である。
【0041】
図2は本発明の実施例による静電チャック10の構成を示す断面図、図3は前記静電チャック10に含まれた加熱ユニットの構成を示す図2の平面図である。図2及び図3に示すように、本発明の実施例による静電チャック10は、誘電板100、ベースプレート300、加熱ユニット400、及び胴体500を含む。
【0042】
誘電板100は静電チャック10の上端部に位置し、誘電板100の上面には処理対象物である基板が置かれる。誘電板100は円盤状の誘電体から構成され、誘電特性を有する素材からなる。例えば、誘電板はセラミックからなる。誘電板100の上面は基板より小さい半径を有する。誘電板100には、基板の底面に熱伝達ガスが供給される通路として用いられる供給流路(図示せず)が形成されることができる。誘電板100は静電電極120を含む。
【0043】
静電電極120は誘電板100の内部に位置する。静電電極120は別途の電源(図示せず)と電気的に連結される。静電電極120に印加された電流によって静電電極120と基板との間には静電気力が作用し、静電気力によって基板が誘電板100に吸着される。
【0044】
誘電板100の下部にはベースプレート300が配置される。ここで、誘電板100の底面とベースプレート300の上面は接着層200によって接着される。
【0045】
ベースプレート300は基板を加熱する加熱ユニット400を含む。具体的に、加熱ユニット400はベースプレート300に内蔵される。加熱ユニット400は、互いに分離されて配置された複数のヒーター410と、複数のヒーター410の間に備えられる遮熱部420とを含む。
【0046】
図3に示すように、ベースプレート300の内部には、第1ヒーター412、第2ヒーター414、第3ヒーター416、第4ヒーター418、第1ヒーター412と第2ヒーター414との間に備えられた第1遮断部422、第2ヒーター414と第3ヒーター416との間に備えられた第2遮断部424、第3ヒーター416と第4ヒーター418との間に備えられた第3遮断部426、及び第4ヒーター418を取り囲む第4遮断部428が形成されることができる。これにより、加熱ユニット400は、第1ヒーター412を内蔵した第1区域と、第2ヒーター414を内蔵した第2区域と、第3ヒーター416を内蔵した第3区域と、第4ヒーター418を内蔵した第4区域とに分離される。第1ヒーター412、第2ヒーター414、第3ヒーター416及び第4ヒーター418はそれぞれの外部接続端子(図示せず)に連結されてヒーター制御部(図示せず)に接続され、独立的に制御されることができる。
【0047】
ここで、それぞれの区域の間に熱干渉又は熱交換が発生すれば、区域別独立制御の効果が減少することがある。これを防止するために、各区域の間に遮熱部420を備えて各区域を断熱して各区域間の熱干渉を最小化することにより、加熱ユニット400の独立制御効果を高めることができる。
【0048】
遮熱部420は内部空間を含むことができる。この内部空間は、高温に強く遮熱性が高い断熱物質で充填されることができる。一例として、遮熱部420はガスで一杯満たされることができる。ここで、ガスは空気(air)であることができる。もしくは、遮熱部420は真空状態であることができる。第1ヒーター412と第2ヒーター414との間に備えられた第1遮断部422がガスで一杯満たされるか真空状態になれば、第1ヒーター412と第2ヒーター414との間に熱交換が難しくなるから、各区域は効率的に断熱される。同様に、第2遮断部424は第2ヒーター414と第3ヒーター416との間の熱交換を防止し、第3遮断部426は第3ヒーター416と第4ヒーター418との間の熱交換を防止する。また、同様な原理で第4遮断部428は第4ヒーター418と外部との間の熱交換を防止することができる。
【0049】
ここで、遮熱物質は前述したような気体であることができ、オイルなどの液体であることができ、高温用遮熱樹脂類のような固体であることができる。例えば、遮熱物質は、ジルコニア(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、雲母、YAG(Yttrium Aluminium Garnet)などを含むことができる。
【0050】
遮熱部420の内部空間を閉空間に構成することにより、遮熱部420内に意図せぬパーティクルが含まれることを防止することができる。意図せぬパーティクルが遮熱部420の内部に形成されれば、区域間の断熱効率が減少する。したがって、遮熱部420をパーティクルが含まれない閉空間で構成することにより区域間の断熱効率の減少を防止するものである。また、これにより、第1遮断部422、第2遮断部424、第3遮断部426及び第4遮断部428に満たされたガス、物質又は真空の状態が均一に維持されることにより区域間の断熱性能の面内格差を低減することができる。
【0051】
一方、遮熱部420は遮熱物質から形成されることができる。例えば、遮熱部420は内部空間を含まず、酸化膜などから構成されて各ヒーター410間の熱交換を防止することができる。
【0052】
すなわち、遮熱部420は遮熱物質で満たされた(充填された)内部空間を含む形態に構成されるか遮熱物質自体から形成されることができる。
【0053】
このような遮熱部420によりそれぞれのヒーター410は周辺からの熱干渉及び熱影響を遮断することができるから、安定した断熱効果を得ることができる。また、安定した断熱によって各ヒーター410の独立制御能力が向上する。
【0054】
加熱ユニット400を構成する複数のヒーター410は、電流によってジュール(Joule)熱を発生させる導電体を用いることができる。例えば、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)などの高融点金属を用いることができる。もしくは、鉄(Fe)、クロム(Cr)又はアルミニウム(Al)を含む合金、又はニッケル(Ni)又はクロム(Cr)を含む合金、又はSiC、モリブデンシリサイド又はカーボン(C)などの非金属体を用いることもできる。
【0055】
加熱ユニット400は絶縁層430をさらに含むことができる。具体的に、加熱ユニット400のそれぞれのヒーター410は絶縁層430に内蔵されることができる。絶縁層430は、ヒーター410が他の部材と電気的に接続することを防止するために配置される。すなわち、第1ヒーター412、第2ヒーター414、第3ヒーター416及び第4ヒーター418を他の部材と充分に絶縁させる材料を用いて構成されることができる。絶縁層430としては、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)などを用いることができる。
【0056】
以上のように、第1遮断部422によって第1区域と第2区域との間で高い断熱効果を得ることができ、第2遮断部424によって第2区域と第3区域との間で高い断熱効果を得ることができ、第3遮断部426によって第3区域と第4区域との間で高い断熱効果を得ることができ、第4遮断部428によって第4区域と外部環境との間で高い断熱効果を得ることができる。したがって、遮熱部420による断熱効果は使用環境によらないことができる。また、安定した断熱によって各ヒーター410の独立制御能力が向上することによって各区域の温度制御性を高めることができるので、温度の面内均一性が高い、あるいは区域ごとに意図的に温度差を提供することができる加熱ユニット400を提供することができる。これにより、使用環境によって各区域の温度を正確に制御することができる。
【0057】
また、以上では第1ヒーター412、第2ヒーター414、第3ヒーター416、第4ヒーター418、第1遮断部422、第2遮断部424、第3遮断部426、及び第4遮断部428によって4区域に分割された加熱ユニット400を例として挙げたが、加熱ユニットが分割される方式はこれに限定されない。分離される区域の数は適宜設定可能である。
【0058】
また、図3によれば、複数のヒーター410と各ヒーターとの間に存在する遮熱部420はベースプレート300を中心に互いに異なる半径を有するリング状に配置された。このようなヒーターと遮熱部の形態はリング状に限定されない。すなわち、分割される区域の形状はより多様になることができる。例えば、加熱ユニットはベースプレートの中心を基準に上下左右に4分割された形態であってもよい。
【0059】
胴体500はベースプレート300の下部に備えられ、静電チャック10を冷却させる冷却部材510を内部に備えることができる。
【0060】
静電チャック10は冷却部材510をさらに含むことにより温度制御の容易性を高めることができる。冷却部材510は冷却流体が流れる冷却流路から構成されることができる。冷却流路は冷却流体が循環する通路として提供される。冷却流路は別途の冷却流体供給ライン(図示せず)と連結されることができる。冷却流体供給ライン(図示せず)を介して所定温度に冷却された冷却流体を受けて循環させることによりベースプレート300を冷却させることができる。ベースプレート300が冷却されながら誘電板100と基板を一緒に冷却させて基板を所定温度に維持させるものである。
【0061】
ここで、静電チャック10を冷却させる冷却部材510と静電チャック10を加熱するヒーター410の相互作用によって静電チャック10の温度を制御することができる。例えば、冷却流路に流れる冷却水の温度を制御し、冷却温度によるヒーター410の出力変化によって静電チャック10の温度をより容易に制御することができる。
【0062】
ベースプレート300としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)などを使うことができ、本発明のベースプレート300はアルミニウムから構成されるものを例として挙げる。
【0063】
図4を参照すると、前記のような静電チャック10を製造する方法は、電極を内蔵した誘電板とベースプレートを準備する準備段階(S10)と、ベースプレートに加熱ユニットを形成する加熱ユニット形成段階(S20)と、誘電板の下面とベースプレートの上面を接合する接合段階(S30)とを含む。
【0064】
準備段階(S10)では、電極を内蔵した誘電板100とベースプレート300として半径が同じ円盤状のものをそれぞれ準備する。ここで、誘電板100はセラミックからなることが好ましく、ベースプレート300はアルミニウムであることが好ましい。
【0065】
アルミニウムからなるベースプレート300に加熱ユニット400を内蔵する加熱ユニット400を形成する加熱ユニット形成段階(S20)は、準備したベースプレート300を複数の領域に分け、各領域ごとに絶縁体で取り囲まれたヒーターを配置し、各ヒーターの間を遮熱部で構成することによって加熱ユニット400を形成することができる。
【0066】
例えば、準備した円盤状のベースプレート300に、図3のように、互いに異なる半径を有する複数のリング状の溝を形成し、それぞれの溝に絶縁体で取り囲まれたヒーターと絶縁物質を交互に挿入した後、その上部を円盤状の金属プレート又は絶縁プレートで仕上げることで、ヒーターをベースプレート300に内蔵することができる。ここで、金属プレートはベースプレートと同じ物質からなることが好ましく、絶縁体及び絶縁プレートは酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、シリカ(SiO)、窒化シリコン(SiN)などが使われることができる。ベースプレート300に内蔵されるヒーターとしては効率性及び加工性に優れたシースヒーター(sheath heater)を使うことができる。
【0067】
また、加熱ユニット形成段階(S20)は、準備したベースプレート300の上面に加熱ユニット400の構成要素を順にコーティングして積層し、加熱ユニットが形成された上面をベースプレート300で覆う方法で遂行することができる。
【0068】
図5は積層による加熱ユニット400の製作過程を示す図である。説明の便宜のために、図面の構成要素を誇張するか縮小して表現した。
【0069】
まず、円盤状に形成されたベースプレート300の上面に絶縁層430をコーティングする。絶縁層430としては、酸化アルミニウム(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、シリカ(SiO)、窒化シリコン(SiN)などを用いることができる。ここで、絶縁層430をコーティングする方法としては、物理的蒸着方式又は化学的蒸着方式などの多様な方式を使うことができる。そして、コーティングされた絶縁層430の上面を複数のリング状に分割し、各領域にヒーター410をスパッタリング(Sputtering)方式でパターニングする。
【0070】
ヒーター410は、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、白金(Pt)などのような高融点金属を用いてパターニングすることができる。もしくは、鉄(Fe)、クロム(Cr)及びアルミニウム(Al)を含む合金、又はニッケル(Ni)又はクロム(Cr)などを含む合金を用いることもできる。
【0071】
一方、ヒーター410をパターニングする方法はスパッタリング(Sputtering)だけでなく、印刷、蒸着などの多様な方式を使うことができる。ヒーター410をパターニングした後、さらに絶縁層430をコーティングしてヒーター間の空間とヒーターの上部を覆う。これにより、ベースプレート300の上面に絶縁層430で取り囲まれた複数のヒーター410が形成される。
【0072】
絶縁層430で取り囲まれた各ヒーター410の間に遮熱部420を形成するためには、エッチング(Etchiing)方式を使うことができる。遮熱部420によって各ヒーター410間の区域を確かに分離することができる。ここで、ベースプレート300はエッチングされないようにする。ついで、エッチングされた領域に遮熱物質を挿入するかコーティングして遮熱部420を形成する。ここで、遮熱物質は、ジルコニア(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化アルミニウム(Al)、雲母、YAG(Yttrium Aluminium Garnet)などを含むことができる。もしくは、別途のカバー(図示せず)を用いてエッチングされた領域を閉空間に形成し、閉空間をガスで満たすか真空状態に形成することによって遮熱部420を構成することもできる。
【0073】
最後に、加熱ユニットが全部形成された上面をベースプレート300と同じ物質でコーティングする。もしくは、加熱ユニットが全部形成された上面にベースプレート300と同じ物質からなる円盤状のプレートを接合して仕上げることもできる。このように、加熱ユニット400の構成要素を順にコーティングして積層する方式で加熱ユニット400をベースプレート300の内部に形成することができる。
【0074】
図6図5までの過程の後に接合段階を経て完成された静電チャック10の一部を示す断面図である。
【0075】
接合段階(S30)では、準備した誘電板100の下面又はベースプレート300の上面に接着層200を形成し、誘電板100の下面とベースプレート300の上面が向き合うようにして接合する。ここで、接着層は高温接合用ガラス又は低温接合用ガラスを含むことができ、あるは両者を含むこともできる。
【0076】
また、上述したベースプレートに加熱ユニットを形成する段階(S20)で、ヒーターはポリイミドフィルムヒーター(polyimide film heater)であることができる。
【0077】
図7は本発明の実施例による静電チャック10が含まれた基板処理装置の一例を示す図である。本発明による静電チャック10は、CVD、スパッター、蒸着、エッチングプラズマ、測定、検査などの基板処理工程に適用することができるが、本発明ではプラズマ装置を例として挙げる。静電チャック10は基板処理空間を備える工程チャンバー20の内部に配置され、静電チャック10の上部には基板処理空間にプラズマを発生させるためのプラズマ発生器30が備えられる。その内容は本発明が属する技術分野の当業者によって充分に理解可能であるので省略する。
【0078】
このようにベースプレートにヒーターを挿入する方式がヒーターをセラミックからなる誘電板に挿入する方式よりずっと容易であり、価格面でも有利である。また、独立制御の可能な複数のヒーターと遮熱部を配置して基板加熱領域を分離することにより基板の温度を領域別に制御することができ、基板の温度均一度を向上させることができる。
【0079】
本発明が属する技術分野の当業者は本発明の技術的思想や必須特徴を変更しなくても他の具体的な形態に実施することができるので、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないことを理解しなければならない。
【0080】
本発明の範囲は前述した詳細な説明よりは後述する特許請求範囲によって決められ、特許請求範囲の意味及び範囲とその等価概念から導出される全ての変更又は変形の形態は本発明の範囲に含まれるものに解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0081】
100 誘電板
200 接着層
300 ベースプレート
400 加熱ユニット
410 ヒーター
412 第1ヒーター
414 第2ヒーター
416 第3ヒーター
418 第4ヒーター
420 遮熱部
422 第1遮断部
424 第2遮断部
426 第3遮断部
428 第4遮断部
430 絶縁層
500 胴体
510 冷却部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7