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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】ヘッドライトユニット及び傾斜車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/026 20200101AFI20230606BHJP
   B60Q 1/04 20060101ALI20230606BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20230606BHJP
   F21S 45/30 20180101ALI20230606BHJP
   F21S 45/50 20180101ALI20230606BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20230606BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230606BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B62J6/026
B60Q1/04 A
F21S41/143
F21S45/30
F21S45/50
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V23/00 150
F21V23/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021090874
(22)【出願日】2021-05-31
(65)【公開番号】P2022183515
(43)【公開日】2022-12-13
【審査請求日】2022-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】相根 一成
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-511919(JP,A)
【文献】特開2018-152306(JP,A)
【文献】中国実用新案第212243131(CN,U)
【文献】国際公開第2009/117834(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/026
F21V 31/00
F21V 31/03
F21V 23/00
F21V 23/06
B60Q 1/04
F21S 45/30
F21S 45/50
F21S 41/143
F21V 19/00
F21W 103/10
F21W 103/55
F21W 102/13
F21W 102/19
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜車両の車体に取り付けられるヘッドライトユニットであって、
ヘッドライト用のLEDを含むヘッドライトモジュールと、
前記ヘッドライト用のLEDとは異なるサブライト用のLEDを含むサブライトモジュールと、
前記ヘッドライトモジュール及び/又は前記サブライトモジュールに電力を供給する電力供給モジュールと、
前記ヘッドライトモジュール及び/又は前記サブライトモジュールと前記電力供給モジュールとを電気的に接続するためのコネクタモジュールと、
非防水構造を有する非防水カバーモジュールと、を備え、
前記ヘッドライトユニットは、
少なくとも前記ヘッドライトモジュール、前記サブライトモジュール、前記電力供給モジュール及び前記非防水カバーモジュールにより構成される一体的構造を有し、
前記一体的構造において、前記ヘッドライトモジュール、前記サブライトモジュール、前記電力供給モジュール及び前記コネクタモジュールが、それぞれ、防水構造を有するとともに、前記非防水カバーモジュールが、前記ヘッドライトモジュールの少なくとも一部及び前記サブライトモジュールの少なくとも一部を覆うように構成される、ヘッドライトユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドライトユニットであって、
前記非防水カバーモジュールは、
フロントカバーと、
前記フロントカバーの後方に配置され、前記フロントカバーとともに前記ヘッドライトモジュールの少なくとも一部及び前記サブライトモジュールの少なくとも一部を覆うバックカバーと、を含み、
前記バックカバーは、内面から外面へ突き抜ける貫通孔を含む、ヘッドライトユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のヘッドライトユニットであって、さらに、
少なくとも部分的に前記非防水カバーモジュールに覆われるサポート部材を備え、
前記ヘッドライトモジュール、前記サブライトモジュール、前記電力供給モジュール及び前記非防水カバーモジュールはそれぞれ、前記サポート部材に取り付けられ、
前記サポート部材は、前記車体に取り付けられるように構成された取付部を有する、ヘッドライトユニット。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のヘッドライトユニットであって、
前記サブライトモジュールは、前記ヘッドライトユニットの正面視で、前記ヘッドライトモジュールを、隙間を空けて取り囲み、
前記ヘッドライトモジュール及び前記サブライトモジュールが、前記正面視で、以下の(a)及び/又は(b)を満たすように配置された、ヘッドライトユニット。
(a)前記ヘッドライトユニットの左右方向において、前記ヘッドライトモジュールは、全体的に、前記サブライトモジュールの最左端と最右端との間に位置する。
(b)前記ヘッドライトユニットの上下方向において、前記ヘッドライトモジュールは、全体的に、前記サブライトモジュールの最上端と最下端との間に位置する。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のヘッドライトユニットを備える、傾斜車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドライトユニット及び当該ヘッドライトユニットを備えた傾斜車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車に代表される傾斜車両には、前方を照らすヘッドライトユニットが設けられている。ある種の傾斜車両では、ヘッドライトユニットは、傾斜車両の外部に露出する。このようなヘッドライトユニットでは、雨水等がユニット内に浸入することが抑制されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、防水構造を有するヘッドライトユニットを開示する。このヘッドライトユニットは、ベース部材と、アウターレンズと、インナーレンズと、電装品とを備える。ベース部材及びアウターレンズは、筐体を形成し、インナーレンズ及び電装品を覆う。電装品は、光源、回路基板及びコネクタを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2009/117834号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のヘッドライトユニットによれば、電装品が防水構造を有する筐体の内部に収容される。そのため、電装品が雨水等に曝されにくい。しかしながら、筐体が電装品及びインナーレンズを全体的に覆うため、ヘッドライトユニットが大型化しやすい。
【0006】
また、ヘッドライトユニットは、夜間走行用のヘッドライトだけでなく、デイタイムランニングライト及び/又はポジションライトを備えることがある。この場合、特許文献1のヘッドライトユニットのような防水構造によれば、筐体に複数種類のライトが収容されることとなる。このようなヘッドライトユニットは、さらに大型化しやすい。
【0007】
ヘッドライトユニットが大型化すれば、ヘッドライトユニットを所望の場所に配置することが難しくなる。すなわち、ヘッドライトユニットの車体への取付自由度が制限される。ここで、ヘッドライトユニットを小型化するには、筐体を小さくすることが考えられる。しかしながら、この場合、筐体の内部に収容されるライト等の電装品も小さくする必要がある。この場合、電装品を所望の形状に設計しにくく、ヘッドライトユニットの設計自由度が制限される。
【0008】
本発明は、大型化を抑制しつつ、車体への取付自由度及びライトの設計自由度を向上させることができるヘッドライトユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上述の課題を解決するための検討を行い、次の知見を得た。特許文献1のヘッドライトユニットでは、筐体のみが防水機能を有する。そのため、電装品等の他の部品は、筐体の内部に収容される必要がある。一方、当該他の部品が、独自に防水機能を有すれば筐体の内部に収容される必要がない。本発明は、このような知見に基づいて完成された。
【0010】
(1)本発明のヘッドライトユニットは、傾斜車両の車体に取り付けられる。ヘッドライトユニットは、ヘッドライトモジュールと、サブライトモジュールと、電力供給モジュールと、コネクタモジュールと、非防水カバーモジュールと、を備える。ヘッドライトモジュールは、ヘッドライト用のLEDを含む。サブライトモジュールは、ヘッドライト用のLEDとは異なるサブライト用のLEDを含む。電力供給モジュールは、ヘッドライトモジュール及び/又はサブライトモジュールに電力を供給する。コネクタモジュールは、ヘッドライトモジュール及び/又はサブライトモジュールと電力供給モジュールとを電気的に接続する。非防水カバーモジュールは、非防水構造を有する。ヘッドライトユニットは、少なくともヘッドライトモジュール、サブライトモジュール、電力供給モジュール及び非防水カバーモジュールにより構成される一体的構造を有し、一体的構造において、ヘッドライトモジュール、サブライトモジュール、電力供給モジュール及びコネクタモジュールが、それぞれ、防水構造を有するとともに、非防水カバーモジュールが、ヘッドライトモジュールの少なくとも一部及びサブライトモジュールの少なくとも一部を覆うように構成される。
【0011】
上記(1)のヘッドライトユニットでは、電装品を含むヘッドライトモジュール、サブヘッドライトモジュール、電力供給モジュール及びコネクタモジュールが、個別に防水構造を有する。そのため、防水構造を有する筐体で各モジュールを全体的に覆う必要がない。したがって、ヘッドライトユニットの大型化が抑制される。その結果、ヘッドライトユニットの取付自由度及び設計自由度が向上する。
【0012】
また、ヘッドライトユニットの形状は、傾斜車両の外観に大きく影響を与える。傾斜車両のモデルチェンジの際、各モジュールを収容する1つの筐体のみが防水構造を有するヘッドライトユニットでは、ヘッドライトユニット全体を設計変更する必要がある。これに対し、上記(1)のヘッドライトユニットでは、各モジュールが、個別に防水構造を有するため、個別に設計されることができる。そのため、任意のモジュールのみが設計変更されることで、傾斜車両の外観を変更することができる。したがって、傾斜車両のモデルチェンジの際、設計変更の簡便性が向上する。
【0013】
(2)上記(1)のヘッドライトユニットにおいて、非防水カバーモジュールは、フロントカバーと、フロントカバーの後方に配置され、フロントカバーとともにヘッドライトモジュールの少なくとも一部及びサブライトモジュールの少なくとも一部を覆うバックカバーと、を含んでいてもよい。バックカバーは、内面から外面へ突き抜ける貫通孔を含む。
【0014】
傾斜車両においてヘッドライトユニットは、車両の前部に配置され、露出していることが多い。傾斜車両の走行中、ヘッドライトユニットは雨風を受ける。そのため、各モジュールを覆うカバーモジュールの内部には、水や埃が入りやすい。カバーモジュールに入り込んだ水や埃は、風に押されて、後方へ移動する。上記(2)のヘッドライトユニットによれば、非防水カバーモジュールのバックカバーに貫通孔が設けられている。そのため、非防水カバーモジュールに入り込んだ水や埃が、貫通孔を通り外部に排出されやすい。したがって、ヘッドライトユニットの防水機能及び防塵機能をより向上させることができる。
【0015】
(3)上記(1)又は(2)のヘッドライトユニットは、さらに、サポート部材を備えていてもよい。サポート部材は、少なくとも部分的に非防水カバーモジュールに覆われる。ヘッドライトモジュール、サブライトモジュール、電力供給モジュール及び非防水カバーモジュールはそれぞれ、サポート部材に取り付けられる。サポート部材は、車体に取り付けられるように構成された取付部を有する。
【0016】
ヘッドライトユニットには、風圧、自重、慣性力等の様々な力が加わる。そのため、ヘッドライトユニットには、ある程度の強度が要求される。複数のモジュールがそれぞれ別個の部材に取り付けられる場合、取り付けられるモジュールを支持するため、当該部材それぞれに強度が要求される。この場合、当該部材それぞれが、肉厚の増加、補強部材の取り付け等により大型化しやすい。
【0017】
これに対し、上記(3)のヘッドライトユニットでは、各モジュールがサポート部材に集中的に取り付けられる。これにより、主にサポート部材が、ヘッドライトユニットの強度を担うことになる。サポート部材が所定の強度を有していれば、各モジュールが補強されなくても、ヘッドライトユニットの強度を維持又は向上させることができる。したがって、各モジュールの大型化が抑制された結果、ヘッドライトユニットの大型化がより抑制される。
【0018】
(4)上記(1)~(3)のいずれかのヘッドライトユニットにおいて、サブライトモジュールは、ヘッドライトユニットの正面視で、ヘッドライトモジュールを、隙間を空けて取り囲んでもよい。ヘッドライトモジュール及びサブライトモジュールは、正面視で、以下の(a)及び/又は(b)を満たすように配置される。
(a)ヘッドライトユニットの左右方向において、ヘッドライトモジュールは、全体的に、サブライトモジュールの最左端と最右端との間に位置する。
(b)ヘッドライトユニットの上下方向において、ヘッドライトモジュールは、全体的に、サブライトモジュールの最上端と最下端との間に位置する。
【0019】
上記(4)のヘッドライトユニットによれば、ヘッドライトモジュールとサブライトモジュールとの間に隙間が設けられる。傾斜車両の走行中、当該隙間には空気が流れる。したがって、ヘッドライトモジュール及びサブライトモジュールを効率的に冷却できる。
【0020】
(5)本発明の傾斜車両は、上記(1)~(4)のいずれかのヘッドライトユニットを備える。
【0021】
「傾斜車両」は、輸送機器である。傾斜車両は、有人の乗物、又は無人の輸送機関である。傾斜車両は、例えば鞍乗型車両である。鞍乗型車両とは、運転者がサドルに跨って着座する形式の車両をいう。傾斜車両は、例えば自動二輪車、自動三輪車である。自動二輪車としては、特に限定されず、例えば、スクータ型、モペット型、オフロード型、オンロード型の自動二輪車が挙げられる。また、鞍乗型車両としては、自動二輪車に限定されず、例えば、ATV(All-Terrain Vehicle)等であってもよい。また、傾斜車両は、鞍乗型車両に限定されず、車室を有する3輪車、4輪車両等であってもよい。車室を有する傾斜車両は、例えば、運転者が跨らずに座るためのシートを備えていてもよい。
【0022】
傾斜車両は、車体が傾斜した状態で旋回可能に構成される。傾斜車両は、旋回時に傾斜車両に加わる遠心力に対向するために、カーブの内方に傾いた姿勢で旋回するように構成される。傾斜車両は、例えば2つの前輪を操舵輪として備えていてもよい。傾斜車両は、例えば1つ又は2つの後輪を駆動輪として備えていてもよい。傾斜車両は、例えば、バーハンドルを有する。傾斜車両は、例えば、ライダーの体重移動を伴う姿勢制御により旋回されるように構成される。傾斜車両では、小型化に対する強い要請がある。そのため、傾斜車両に搭載されるヘッドライトユニットについても、大型化が抑制されることが好ましい。
【0023】
「ヘッドライトユニット」は、傾斜車両の前部に取り付けられる。ヘッドライトユニットの少なくとも一部は、傾斜車両の外部に露出する。ヘッドライトユニットは、複数のモジュールで構成される組立品である。1台の傾斜車両に設けられるヘッドライトユニットの個数は、特に限定されず、1つであってもよく、複数であってもよい。二灯式のヘッドライトが傾斜車両に設けられる場合、傾斜車両は2つのヘッドライトユニットを備えていてもよい。2つのヘッドライトユニットは、それぞれ、1つのヘッドライトモジュールを備える。傾斜車両は、2つのヘッドライトモジュールを備える1つのヘッドライトユニットを備えていてもよい。
【0024】
「ヘッドライトモジュール」は、傾斜車両の前方を照らし、ライダーに対して前方の視認性を向上させる機能を有する。ヘッドライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部は、非防水カバーモジュールにより覆われず、傾斜車両の前から見て視認可能であるようにヘッドライトユニットの外部に露出する露出部分である。正面視において互いに隣り合う露出部分と非防水カバーモジュールとの間に、防水構造は存在しない。1つのヘッドライトユニットに設けられるヘッドライトモジュールの個数は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0025】
「ヘッドライト用のLED」は、ヘッドライトの光源である。ヘッドライト用のLEDは、例えば白色光を照射する。ヘッドライト用のLEDの色温度は、例えば5,000~6,000K(ケルビン)である。ヘッドライト用のLEDの光度は、例えば15,000cd(カンデラ)以上である。
【0026】
「サブライトモジュール」は、例えば車両視認ライトとして機能してもよい。車両視認ライトは、傾斜車両の前方、左方及び右方の少なくともいずれかを照らし、第三者に対して傾斜車両の視認性を向上させる機能を有する。車両視認ライトとしては、例えばデイタイムランニングライト、ポジションライトが挙げられる。車両視認ライトは、デイタイムランニングライト及びポジションライトのいずれかとして機能してもよい。車両視認ライトは、デイタイムランニングライト及びポジションライトの双方として機能してもよい。この場合、デイタイムランニングライトとポジションライトとを切り替えるスイッチが傾斜車両に設けられる。デイタイムランニングライト及びポジションライトは、車両視認ライトの一例である。
【0027】
ただし、サブライトモジュールは、例えば補助ヘッドライトとして機能してもよい。補助ヘッドライトは、傾斜車両の前方を照らし、ヘッドライトを補助する機能を有する。補助ヘッドライトとしては、例えばフォグライト、コーナリングライトが挙げられる。フォグライトは、視界不良時においてヘッドライトの補助的な役割を担う。コーナリングライトは、傾斜車両の旋回時に点灯し、旋回方向を照らす。サブライトモジュールの光照射部分の少なくとも一部は、非防水カバーモジュールにより覆われず、傾斜車両の前から見て視認可能であるようにヘッドライトユニットの外部に露出する露出部分である。正面視において互いに隣り合う露出部分と非防水カバーモジュールとの間に、防水構造は存在しない。1つのヘッドライトユニットに設けられるサブライトモジュールの個数は、1つであってもよく、複数であってもよい。複数のサブライトモジュールは、同一種であってもよく、互いに異なる種類であってもよい。
【0028】
「サブライト用のLED」は、サブライトの光源である。サブライト用のLEDは、例えば白色光を照射する。サブライト用のLEDは、用途に応じて、黄色光等の白色光以外の光を照射してもよい。サブライト用のLEDの色温度は、例えば、白色光の場合では5,000~6,000Kであり、黄色光の場合では2,700~3,000Kである。サブライト用のLEDの光度は、例えば、デイタイムランニングライト、フォグライト及びコーナリングライトの場合では1,200cd以下であり、ポジションライトの場合では40cd以下である。サブライト用のLEDの光度は、ヘッドライト用のLEDの光度よりも小さい。
【0029】
「非防水カバーモジュール」は、ヘッドライトモジュール及びサブライトモジュールの概ね全体を覆う部材である。非防水カバーモジュールは、例えば、少なくとも透過又は反射によって、ヘッドライト及びサブライトの照射に全く又は実質的に関与しない。非防水カバーモジュールは、レンズ又はリフレクタのいずれの機能も有さない。非防水カバーモジュールは、例えば、ヘッドライト又はサブライトの照射光を部分的に遮蔽可能であってもよい。ヘッドライトユニットは、非防水カバーモジュールが無くても、所望の照射領域を形成可能である。非防水カバーモジュールは、例えば樹脂製である。非防水カバーモジュールは、例えば有色であり、透明ではない。
【0030】
「一体的構造」は、各モジュールが組み合わせられることで一まとめにされていることを指す。一体的構造においては、例えば、各モジュールの相対的な位置関係は変化しない又は実質的に変化しない。なお、実質的に変化しないことは、振動や風圧等に起因する若干の変化は許容されることを意味する。例えば、一体的構造を有するヘッドライトユニットは、各モジュールを取り外すことなく、一まとめのユニットの状態で持ち運びできる。一体的構造を有するヘッドライトユニットは、各モジュールを取り外すことなく、一まとめのユニットの状態で傾斜車両に着脱できる。ただし、一体的構造を有するヘッドライトユニットにおいて、各モジュールは工具を用いて取り外されることは可能である。
【0031】
「防水構造」は、対象物をその機能を失わないように水等の液体から保護する仕組みを指す。防水構造は、保護対象物の機能が失われない範囲であれば、必ずしも密閉空間を有する必要はない。例えば、ヘッドライト用のLEDが収容される筐体は、通気孔を有していてもよい。通気口は、単なる貫通孔であってもよいし、防水性及び通気性を有する埋込材で塞がれていてもよい。防水構造は、例えば、IEC(International Electrotechnical Commission)におけるIPX4以上を満たしていてもよい。防水構造は、例えば、IPX5以上を満たしていてもよい。他方、「非防水構造」は、上述の防水構造以外の仕組みを指す。
【0032】
この発明の上述の目的及びその他の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面に関連して行われる以下のこの発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0033】
本明細書にて使用される場合、用語「及び/又は(and/or)」は1つの、又は複数の関連した列挙されたアイテム(items)のあらゆる又は全ての組み合わせを含む。本明細書中で使用される場合、用語「含む、備える(including)」、「含む、備える(comprising)」又は「有する(having)」及びその変形の使用は、記載された特徴、工程、操作、要素、成分及び/又はそれらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はそれらのグループのうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0034】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書に定義された用語のような用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0035】
本発明の説明においては、多数の技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は個別の利益を有し、それぞれは、他の開示された技術の1つ以上、又は、場合によっては全てと共に使用することもできる。従って、明確にするために、この説明は、不要に個々のステップの可能な組み合わせの全てを繰り返すことを控える。それにもかかわらず、明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせが全て本発明及び特許請求の範囲内にあることを理解して読まれるべきである。
【0036】
以下の説明では、説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細を述べる。しかしながら、当業者には、これらの特定の詳細なしに本発明を実施できることが明らかである。本開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面又は説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ヘッドライトユニットの大型化を抑制しつつ、車体への取付自由度及びライトの設計自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1(a)は本実施形態の傾斜車両の側面図であり、図1(b)は本実施形態のヘッドライトユニットの斜視図であり、図1(c)は本実施形態のヘッドライトユニットの分解斜視図である。
図2図2は、本実施形態のヘッドライトユニットを上下方向及び前後方向に沿った面で切断した断面図である。
図3図3は、本実施形態のヘッドライトユニットの正面図である。
図4図4は、サブライトモジュールの分解図である。
図5図5は、図1(c)とは異なる方向から見た本実施形態のヘッドライトユニットの分解斜視図である。
図6図6は、ヘッドライトモジュール及びサブライトモジュールの背面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1(a)~(c)を参照して、本実施形態の傾斜車両及びヘッドライトユニットについて概略的に説明する。
【0040】
図1(a)は、本実施形態の傾斜車両の側面図である。傾斜車両100は、例えば自動二輪車である。傾斜車両100は、ヘッドライトユニット1と、車体2とを備える。ヘッドライトユニット1は、傾斜車両100の前部に取り付けられる。ヘッドライトユニットは、例えば車体2にブラケットを介して取り付けられる。ヘッドライトユニット1の少なくとも一部は、傾斜車両100の外部に露出する。
【0041】
図1(b)は、本実施形態のヘッドライトユニットの斜視図である。ヘッドライトユニット1は、例えば概略砲弾形状を有する。ヘッドライトユニット1は、複数のモジュールを組み合わせて構成された一まとめのユニットである。ヘッドライトユニット1は、各モジュールを取り外すことなく、一まとめのユニットの状態で傾斜車両100に着脱可能である。
【0042】
図1(c)は、本実施形態のヘッドライトユニットの分解斜視図である。ヘッドライトユニット1は、ヘッドライトモジュール11と、サブライトモジュール12と、電力供給モジュール13と、コネクタモジュール14と、非防水カバーモジュール15と、サポート部材16とを備える。
【0043】
ヘッドライトモジュール11は、概略箱形状を有する。ヘッドライトモジュール11は、ヘッドライト用のLEDを含む。ヘッドライト用のLEDは、内部が概ね密閉された筐体に収容される。すなわち、ヘッドライトモジュール11は、防水構造を有する。防水構造の詳細については後述する。
【0044】
サブライトモジュール12は、正面視で概略環形状を有する。サブライトモジュール12は、ヘッドライト用のLEDとは異なるサブライト用のLEDを含む。サブライト用のLEDは、内部が概ね密閉された筐体に収容される。すなわち、サブライトモジュール12は、防水構造を有する。
【0045】
電力供給モジュール13は、概略箱形状を有する。電力供給モジュール13は、ヘッドライトモジュール11に電力を供給する。ただし、電力供給モジュール13は、ヘッドライトモジュール11及びサブライトモジュール12の双方に電力を供給してもよいし、いずれか一方にのみ電力を供給してもよい。電力供給モジュール13は、バッテリ等の電源装置に接続され、ヘッドライトモジュール11に供給する電圧、電流等を調整する。電力供給モジュール13の電装品は、内部が概ね密閉された筐体に収容される。すなわち、電力供給モジュール13は、防水構造を有する。
【0046】
コネクタモジュール14は、ヘッドライトモジュール11と電力供給モジュール13とを電気的に接続する。ただし、コネクタモジュール14は、電力供給モジュール13がサブライトモジュール12に電力を供給する場合、サブライトモジュール12と電力供給モジュール13とを電気的に接続する。コネクタモジュール14は、防水構造を有する。
【0047】
非防水カバーモジュール15は、概略円筒箱形状を有する。非防水カバーモジュール15は、ヘッドライトモジュール11の少なくとも一部及びサブライトモジュール12の少なくとも一部を覆う。非防水カバーモジュール15は、非防水構造を有する。
【0048】
以下、本実施形態のヘッドライトユニット1について、より詳細に説明する。図2は、ヘッドライトユニットを上下方向UD及び前後方向FBに沿った面で切断した断面図である。なお、上下方向UD、前後方向FB、左右方向LRは、ヘッドライトユニット1が搭載された直立状態の傾斜車両100を基準として定義される。
【0049】
ヘッドライトモジュール11は、ハウジング111と、アウターレンズ112と、ヘッドライト用のLED113と、インナーレンズ114とを含む。
【0050】
ハウジング111は、前面に開口部1111が設けられた概略箱形状を有する。より詳細には、ハウジング111は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。ハウジング111は、ハット形状のつば部分に取付部1112を有する。取付部1112は、開口部1111の縁の全体にわたって設けられる。取付部1112には、パッキン、シリコーン材等のシール材が設けられてもよい。
【0051】
アウターレンズ112は、ハウジング111の前方Fに配置される。アウターレンズ112は、概略ドーム形状を有する。アウターレンズ112は、例えば平凸レンズである。アウターレンズ112は、凸面を前方Fに向けて配置される。アウターレンズ112は、例えばねじ、接着剤等によってハウジング111の取付部1112に取り付けられる。アウターレンズ112は、ハウジング111とともに筐体を形成する。この筐体は、内部が概ね密閉されるように構成され、防水構造を有する。筐体の内部には、ヘッドライト用のLED113及びインナーレンズ114が収容される。
【0052】
ヘッドライト用のLED113は、図示しない基板に取り付けられる。ヘッドライト用のLED113は、照射面を前方Fに向けて配置される。ヘッドライト用のLED113は、例えば白色光を前方Fに向けて照射する。ヘッドライト用のLED113の色温度は、例えば5,000Kである。ヘッドライト用のLED113の光度は、例えば20,000cdである。
【0053】
インナーレンズ114は、ヘッドライト用のLED113とアウターレンズ112との間に配置される。インナーレンズ114は、例えば平凸レンズである。インナーレンズ114は、凸面を前方Fに向けて配置される。インナーレンズ114は、アウターレンズ112とともにヘッドライト用のLED113から照射された光を集光し、所望の照射領域を形成する。
【0054】
図3は、本実施形態のヘッドライトユニットの正面図である。ヘッドライトユニット1の左右方向LRにおいて、ヘッドライトモジュール11は、全体的に、サブライトモジュール12の最左端12Lと最右端12Rとの間に位置する。ヘッドライトユニット1の上下方向UDにおいて、ヘッドライトモジュール11は、全体的に、サブライトモジュール12の最上端12Uと最下端12Dとの間に位置する。
【0055】
サブライトモジュール12は、ヘッドライトモジュール11を取り囲むように配置される。サブライトモジュール12は、中央に空洞部120を有する。空洞部120には、ヘッドライトモジュール11が配置される。より詳細には、サブライトモジュール12は、例えばヘッドライトモジュール11のアウターレンズ112を取り囲む。サブライトモジュール12とヘッドライトモジュール11との間には、隙間SPが設けられる。隙間SPは、正面視で、ヘッドライトモジュール11の周囲全体にわたって設けられる。
【0056】
本実施形態では、サブライトモジュール12は、デイタイムランニングライト及びポジションライトとして機能する。サブライトモジュール12がデイタイムランニングライト及びポジションライトのいずれとして機能するかは、図示しない切替スイッチによって制御される。切替スイッチは、例えば傾斜車両100のステアリングに設けられる。
【0057】
図4は、サブライトモジュールの分解図である。サブライトモジュール12は、ハウジング121と、アウターレンズ122と、複数のサブライト用のLED123と、インナーレンズ124と、制御基板125と、LED基板126とを含む。
【0058】
ハウジング121は、前面に開口部1211が設けられた概略環形状を有する。ハウジング121の環部分は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。ハウジング121は、ハット形状のつば部分に取付部1212,1213を有する。取付部1212は、ハウジング121の内方の縁である。取付部1213は、ハウジング121の外方の縁である。取付部1212,1213は、開口部1211の縁の全体にわたって設けられる。取付部1212,1213には、パッキン、シリコーン材等のシール材が設けられてもよい。
【0059】
アウターレンズ122は、ハウジング121の前方Fに配置される。アウターレンズ122は、後面に開口部(図示せず)が設けられた概略円筒形状を有する。アウターレンズ122は、全体として、透明色を有する。アウターレンズ122は、前面に複数のレンズ部1221を含む。複数のレンズ部1221は、等間隔に配置され、前方Fに突出する。複数のレンズ部1221は、例えば平凸レンズである。複数のレンズ部1221は、凸面を前方Fに向けて配置される。アウターレンズ122は、例えばねじ、接着剤等によってハウジング121の取付部1212,1213に取り付けられる。アウターレンズ122は、ハウジング121とともに筐体を形成する。この筐体は、内部が概ね密閉されるように構成され、防水構造を有する。筐体の内部には、制御基板125、サブライト用のLED123、インナーレンズ124及びLED基板126が収容される。
【0060】
制御基板125は、ハウジング121に取り付けられる。制御基板125は、図示しないバッテリ等の電源装置及びLED基板126と電気的に接続される。制御基板125は、LED基板126を介してサブライト用のLED123に電力を供給する。制御基板125は、図示しない切替スイッチからの信号に対応して、サブライト用のLED123の光度を調整する。制御基板125の前方Fには、LED基板126及びサブライト用のLED123が配置される。
【0061】
サブライト用のLED123は、LED基板126に取り付けられる。サブライト用のLED123は、照射面を前方Fに向けて配置される。サブライト用のLED123は、例えば白色光を前方Fに向けて照射する。サブライト用のLED123の色温度は、例えば5,000Kである。サブライト用のLED123の光度は、例えば、デイタイムランニングライトの場合では1,000cdであり、ポジションライトの場合では30cdである。
【0062】
インナーレンズ124は、サブライト用のLED123とアウターレンズ122との間に配置される。インナーレンズ124は、概略円筒形状を有する。インナーレンズ124は、例えば概略平凸レンズと同様の形状を有する。
【0063】
図2を参照して、インナーレンズ124は、凸面を後方Bに向けて配置される。すなわち、凸面がサブライト用のLED123からの光を受ける受光面である。他方、インナーレンズ124の前面は、照射面である。インナーレンズ124の前面は、サブライトモジュール12の中心軸に向かって高さが低くなる階段形状を有する。インナーレンズ124において、受光面の面積は、照射面の面積よりも大きい。すなわち、インナーレンズ124は、前方Fに向かって厚みが減少するテーパ形状を有する。インナーレンズ124は、アウターレンズ122とともにサブライト用のLED123から照射された光を集光し、所望の照射領域を形成する。
【0064】
電力供給モジュール13は、ヘッドライトモジュール11の後方Bに配置される。電力供給モジュール13は、フロントケース131と、バックケース132と、制御基板133とを含む。
【0065】
フロントケース131は、後面に開口部1311が設けられた概略箱形状を有する。より詳細には、フロントケース131は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。フロントケース131は、ハット形状のつば部分に取付部1312を有する。取付部1312は、開口部1311の周りに一周にわたって設けられる。取付部1312には、パッキン等のシール部材が設けられてもよいし、シリコーン材が塗布されてもよい。
【0066】
バックケース132は、フロントケース131の後方Bに配置される。バックケース132は、前面に開口部1321が設けられた概略箱形状を有する。より詳細には、バックケース132は、上下方向UD及び前後方向FBに沿った断面視で、概略ハット形状を有する。バックケース132は、ハット形状のつば部分に取付部1322を有する。取付部1322は、開口部1321の周りに一周にわたって設けられる。取付部1322は、例えばねじ、接着剤等によってフロントケース131の取付部1312に取り付けられる。
【0067】
バックケース132は、フロントケース131とともに筐体を形成する。この筐体は、内部が概ね密閉されるように構成され、防水構造を有する。筐体の内部には、制御基板133が収容される。
【0068】
図5は、図1(c)とは異なる方向から見た本実施形態のヘッドライトユニットの分解斜視図である。制御基板133は、図示しないバッテリ等の電源装置に接続され、ヘッドライトモジュール11に電力を供給する。制御基板133の下部には、差込口1331が設けられる。差込口1331は、フロントケース131及びバックケース132で構成される筐体の外部へ飛び出している。差込口1331には、コネクタモジュール14が接続される。
【0069】
コネクタモジュール14は、2つのコネクタ本体141,142と、電線143とを含む。
【0070】
コネクタ本体141は、制御基板133の差込口1331に差し込まれる。コネクタ本体142は、図示しない傾斜車両100の電源装置又は電源装置に繋がる中継装置に接続される。電線143は、コネクタ本体141とコネクタ本体142とを繋ぐ。電線143は、塩化ビニル等の被覆材で覆われる。
【0071】
コネクタ本体141と差込口1331との接続部分は、例えばシリコーン材で覆われる。接続部分は、塩化ビニル等の防水性を有する被覆材で覆われてもよい。すなわち、コネクタモジュール14は、防水構造を有する。
【0072】
図2を参照して、非防水カバーモジュール15は、フロントカバー151と、バックカバー152とを含む。
【0073】
フロントカバー151は、後面に開口部1511が設けられた概略円筒箱形状を有する。フロントカバー151は、前面に複数の開口部1512を含む。ヘッドライトユニット1を前から見て、複数の開口部1512にはヘッドライトモジュール11のアウターレンズ112及びサブライトモジュール12のアウターレンズ122が配置される。
【0074】
バックカバー152は、フロントカバー151の後方Bに配置される。バックカバー152は、前面に開口部1521が設けられた概略円筒箱形状を有する。バックカバー152は、フロントカバー151とともにヘッドライトモジュール11の一部及びサブライトモジュール12の一部を覆う。より詳細には、バックカバー152及びフロントカバー151は、ヘッドライトモジュール11の前面以外の部分及びサブライトモジュール12の前面以外の部分を覆う。
【0075】
バックカバー152は、内面から外面へ突き抜ける貫通孔1522を含む。貫通孔1522は、例えばバックカバー152の下部に配置される。
【0076】
上述したヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、電力供給モジュール13及び非防水カバーモジュール15はそれぞれ、サポート部材16に取り付けられる。
【0077】
サポート部材16は、サブライトモジュール12の後方B、かつ、バックカバー152の前方Fに配置される。サポート部材16は、ヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、電力供給モジュール13及び非防水カバーモジュール15を直接的に支持する。サポート部材16は、円筒部161と、円盤部162とを含む。
【0078】
円筒部161は、概略円筒形状を有する。円筒部161の内部には、ヘッドライトモジュール11の少なくとも一部が配置される。
【0079】
円盤部162は、中央部に孔が設けられた概略円盤形状を有する。円盤部162の内周面は、円筒部161の外周面に繋がる。すなわち、サポート部材16は、円盤部162の孔に円筒部161がはめ込まれた形状を有する。ただし、円盤部162は、円筒部161と一体である。
【0080】
円盤部162の外周面には、取付部163が設けられる。取付部163は、例えば円柱形状のボスである。取付部163は、例えばブラケットを介して車体に取り付けられる。
【0081】
本実施形態のヘッドライトユニット1では、ヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、電力供給モジュール13及びコネクタモジュール14が、個別に防水構造を有する。そのため、防水構造を有する大きな筐体で各モジュールを全体的に覆う必要がない。また、各モジュールを収容すし、防水構造を有する大きな筐体では、筐体を構成する部材同士の取付けしろが大きい。これに対し、本実施形態のヘッドライトユニット1では、各モジュールが、個別に筐体を有する。各モジュールの筐体のサイズは、上述の防水構造を有する大きな筐体と比べて、小さい。そのため、各モジュールの筐体の取付けしろは小さくて済む。したがって、ヘッドライトユニットの大型化が抑制される。その結果、ヘッドライトユニットの取付自由度及び設計自由度が向上する。
【0082】
また、各モジュールが筐体に収容されるヘッドライトユニットでは、筐体の形状に合わせて各モジュールが設計される必要がある。これに対し、本実施形態のヘッドライトユニット1では、各モジュールが、個別に防水構造を有する。そのため、各モジュールは、筐体の形状に依存せずに設計されることができる。例えば、傾斜車両のモデルチェンジの際、任意のモジュールのみが設計変更されることで、傾斜車両の外観を変更することができる。したがって、傾斜車両のモデルチェンジの際、設計変更の簡便性が向上する。
【0083】
上述の実施形態では、ヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12及び電力供給モジュール13が、防水構造を有する旨を説明した。本実施形態における防水構造は、内部が完全に密閉された筐体を形成する場合だけでなく、内部が概ね密閉された筐体を形成する場合も含む。例えば、図6を参照して、ヘッドライトモジュール11において、ハウジング111は、上面に通気孔1113を含んでいてもよい。また、サブライトモジュール12において、ハウジング121は、後面に通気孔1214,1215を含んでいてもよい。通気孔1113,1214,1215は、例えば防水性及び通気性を有する埋込材で塞がれる。これにより、筐体の内部に収容される電装品を冷却することができる。
【0084】
上述の実施形態では、バックカバー152が、貫通孔を含む場合について説明した。しかしながら、バックカバー152は、貫通孔を含まなくてもよい。
【0085】
上述の実施形態では、ヘッドライトユニット1が、サポート部材16を備える場合について説明した。しかしながら、ヘッドライトユニット1は、サポート部材を備えていなくてもよい。この場合、各モジュールは、例えば近接する他のモジュールに取り付けられる。また、この場合、ヘッドライトユニット1は、ヘッドライトモジュール11、サブライトモジュール12、電力供給モジュール13及び非防水カバーモジュール15により構成される一体的構造を有する。
【0086】
上述の実施形態では、ヘッドライトモジュール11とサブライトモジュール12との間に隙間が設けられる場合について説明した。しかしながら、ヘッドライトモジュール11とサブライトモジュール12との間に隙間は設けられなくてもよい。
【0087】
上述の実施形態では、ヘッドライトユニット1が、1つのサブライトモジュール12を備える場合について説明した。しかしながら、ヘッドライトユニット1は、複数のサブライトモジュール12を備えていてもよい。この場合、例えば、複数のサブライトモジュール12は、正面視で、ヘッドライトモジュール11を取り囲むように等間隔に配置される。
【0088】
上述の実施形態では、サブライトモジュール12が、複数のサブライト用のLED123を含む場合について説明した。しかしながら、サブライトモジュール12は、1つのサブライト用のLED123を含んでいてもよい。
【0089】
本明細書において記載と図示の少なくとも一方がなされた実施形態及び変形例は、本開示の理解を容易にするためのものであって、本開示の思想を限定するものではない。上記の実施形態及び変形例は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得る。当該趣旨は、本明細書に開示された実施形態に基づいて当業者によって認識されうる、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、実施形態及び変形例に跨る特徴の組み合わせ)、改良、変更を包含する。特許請求の範囲における限定事項は当該特許請求の範囲で用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態及び変形例に限定されるべきではない。そのような実施形態及び変形例は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、本明細書において、「好ましくは」、「よい」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」、「よいがこれに限定されるものではない」ということを意味する。
【符号の説明】
【0090】
100 :傾斜車両
1 :ヘッドライトユニット
2 :車体
11 :ヘッドライトモジュール
111 :ハウジング
1111 :開口部
1112 :取付部
1113 :通気孔
112 :アウターレンズ
113 :ヘッドライト用のLED
114 :インナーレンズ
12 :サブライトモジュール
121 :ハウジング
1211 :開口部
1212,1213 :取付部
1214,1215 :通気孔
122 :アウターレンズ
1221 :レンズ部
123 :サブライト用のLED
124 :インナーレンズ
125 :制御基板
126 :LED基板
12D :最下端
12L :最左端
12R :最右端
12U :最上端
13 :電力供給モジュール
131 :フロントケース
1311 :開口部
1312 :取付部
132 :バックケース
1321 :開口部
1322 :取付部
133 :制御基板
1331 :差込口
14 :コネクタモジュール
141,142 :コネクタ本体
143 :電線
15 :非防水カバーモジュール
151 :フロントカバー
1511,1512 :開口部
152 :バックカバー
1521 :開口部
1522 :貫通孔
16 :サポート部材
161 :円筒部
162 :円盤部
163 :取付部
SP :隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6