(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】標的表示装置
(51)【国際特許分類】
F41G 3/26 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
F41G3/26 Z
(21)【出願番号】P 2021546019
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 AU2019050490
(87)【国際公開番号】W WO2020077387
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-04-04
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】521151603
【氏名又は名称】トゥワラ ホールディングス ピーティーワイ. エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】TOWARRA HOLDINGS PTY. LTD.
【住所又は居所原語表記】1/152 Hall St Bondi, New South Wales 2026 (AU)
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】ホイットフェルド サミュエル
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03376152(EP,A1)
【文献】特表2016-540949(JP,A)
【文献】特表2000-514173(JP,A)
【文献】特表2018-527549(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41G 3/26
F41G 3/14
F41G 3/00
F41G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視界を妨げる物体の向こう側の標的を狙うことを支援するための標的表示装置であって、
前記標的表示装置が、
前向きカメラと、
標的マーカープロジェクタと、
方位マーカープロジェクタとを備え、
前記前向きカメラが、前記視界を妨げる物体の向こう側の画像をキャプチャするように構成され、
前記標的マーカープロジェクタが、標的マーカーを投影するように構成され、
前記方位マーカープロジェクタが、方位マーカーを投影するように構成され、
前記前向きカメラが、前記標的表示装置を通る長手方向の軸平面に沿って、前記標的マーカーおよび前記方位マーカーと位置合わせして画像をキャプチャするように構成される、
標的表示装置。
【請求項2】
使用中、
前記前向きカメラが、前記標的が視線内にあるように配置されるように構成され、
前記標的マーカープロジェクタが、前記視界を妨げる物体上に前記標的マーカーを投影するように構成され、前記標的マーカーの位置が前記標的の位置を示し、
前記方位マーカープロジェクタが、前記前向きカメラおよび前記標的マーカーと位置合わせして前記方位マーカーを投影するように構成される、
請求項1に記載の標的表示装置。
【請求項3】
前記標的マーカーが、照準を合わせるための高さおよび照準を合わせるための高さ範囲の一方または両方を示す、
請求項2に記載の標的表示装置。
【請求項4】
前記標的マーカーがレチクルパターンである、
請求項2および請求項3のいずれか一項に記載の標的表示装置。
【請求項5】
前記レチクルパターンが、線、ドット、円、交差線、および長方形のうちの1つまたは複数を含む、
請求項4に記載の標的表示装置。
【請求項6】
前記標的マーカープロジェクタおよび/または前記方位マーカープロジェクタが、可視スペクトルのレーザーまたは赤外線レーザーで、前記標的マーカーおよび/または前記方位マーカーを投影する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の標的表示装置。
【請求項7】
前記標的表示装置が、前記標的表示装置の前後方向に延在する長手方向の軸平面を有し、前記前向きカメラ、前記標的マーカープロジェクタ、および前記方位マーカープロジェクタが、前記長手方向の軸平面に沿って実質的に位置合わせされ、前記標的マーカープロジェクタが、前記長手方向の軸平面が前記物体と交差する前記物体上に前記標的マーカーを上方および前方に投影するように構成され、前記方位マーカープロジェクタが、前記長手方向の軸平面が表面と交差する、
前記標的表示装置が配置された前記表面に前記方位マーカーを後方および下方に投影するように構成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の標的表示装置。
【請求項8】
前記前向きカメラによってキャプチャされた前記画像を伝送するように構成された通信ユニットをさらに備える、
請求項1から7のいずれか一項に記載の標的表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の標的表示装置と、前記標的表示装置の前記通信ユニットに通信可能に結合されたディスプレイデバイスとを備える標的表示システムであって、
前記ディスプレイデバイスが、前記画像の中心を示す基準マーカーとともに
前記前向きカメラによってキャプチャされた前記画像を表示するように構成される、
標的表示システム。
【請求項10】
前記ディスプレイデバイスが、前記標的表示装置を位置決めするシステムオペレータの体に装着されるように構成されたウェアラブルデバイスである、
請求項9に記載の標的表示システム。
【請求項11】
前記ディスプレイデバイスが、前記システムオペレータの腕に装着されるように構成されたウェアラブルデバイスである、
請求項10に記載の標的表示システム。
【請求項12】
前記ディスプレイデバイスがヘッドマウントデバイスである、
請求項10に記載の標的表示システム。
【請求項13】
視界を妨げる物体の向こう側の画像をキャプチャするように構成された前向きカメラを有するカメラモジュールに取り付けられる標的表示モジュールであって、
前記標的表示モジュールが
標的マーカープロジェクタと、
方位マーカープロジェクタとを備え、
前記標的マーカープロジェクタが標的マーカーを投影するように構成され、前記方位マーカープロジェクタが方位マーカーを投影するように構成され、その結果、前記標的表示モジュールが
前記カメラモジュールに取り付けられると、前記標的マーカーおよび前記方位マーカーが、前記前向きカメラの視野と位置合わせされて投影される、
標的表示モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容全体が本明細書において完全に記載されているかのように組み込まれる、「Target display device」と題し、2018年10月15日にTowarra Holdings Pty.Ltd.の名称で出願されたオーストラリア仮特許出願第2018903895号に関連する。
【0002】
本開示は、銃器の照準支援装置に関する。詳細には、本開示は、銃器をもつ射手と標的との間に位置するドアなどの不透明な中間物によって視覚的に遮られる標的を狙うことを支援するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
射撃動作では、射手は、理想的には、標的と効果的、直接的、視覚的に接触する。しかしながら、射手が立ち入ることができないか、または安全に立ち入ることができない部屋または建物の内部に標的があるときなどの、遮る物体のために射手が標的を視覚に捉えることができない状況が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、標的に対する射手の視線が介在する物体によって遮られるシナリオで、銃器の照準を支援する手段を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、視界を妨げる物体の向こう側に位置する標的に対する銃器の照準を支援するための標的表示装置に関する。
【0006】
本開示の一態様は、視界を妨げる物体の向こう側の標的を狙うことを支援するための標的表示装置を提供し、装置は、前向きカメラと、標的マーカープロジェクタと、方位マーカープロジェクタとを備え、前向きカメラは、視界を妨げる物体の向こう側の画像をキャプチャするように構成され、標的マーカープロジェクタは、標的マーカーを投影するように構成され、方位マーカープロジェクタは、方位マーカーを投影するように構成され、前向きカメラは、標的表示装置を通る長手方向の軸平面に沿って、標的マーカーおよび方位マーカーと位置合わせして画像をキャプチャするように構成される。
【0007】
好ましくは、使用中、前向きカメラは、標的が視線内にあるように配置されるように構成され、標的マーカープロジェクタは、視界を妨げる物体上に標的マーカーを投影するように構成され、標的マーカーの位置は標的の位置を示し、方位マーカープロジェクタは、前向きカメラおよび標的マーカーと位置合わせして方位マーカーを投影するように構成される。
【0008】
好ましくは、標的マーカーは、照準を合わせるための高さおよび照準を合わせるための高さ範囲の一方または両方を示す。
【0009】
好ましくは、標的マーカーはレチクルパターンである。
【0010】
好ましくは、レチクルパターンは、線、ドット、円、交差線、および長方形のうちの1つまたは複数を含む。
【0011】
好ましくは、標的マーカープロジェクタおよび/または方位マーカープロジェクタは、可視スペクトルのレーザーまたは赤外線レーザーで、標的マーカーおよび/または方位マーカーを投影する。
【0012】
好ましくは、標的表示装置は、標的表示装置の前後方向に延在する長手方向の軸平面を有し、前向きカメラ、標的マーカープロジェクタ、および方位マーカープロジェクタは、長手方向の軸平面に沿って実質的に位置合わせされ、標的マーカープロジェクタは、長手方向の軸平面が物体と交差する物体上に標的マーカーを上方および前方に投影するように構成され、方位マーカープロジェクタは、長手方向の軸平面が表面と交差する、表示装置が配置された表面に方位マーカーを後方および下方に投影するように構成される。
【0013】
好ましくは、標的表示装置は、カメラによってキャプチャされた画像を伝送するように構成された通信ユニットをさらに備える。
【0014】
本開示の別の態様は、上述された標的表示装置と、標的表示装置の通信ユニットに通信可能に結合されたディスプレイデバイスとを備える標的表示システムを提供し、ディスプレイデバイスは、画像の中心を示す基準マーカーとともにカメラによってキャプチャされた画像を表示するように構成される。
【0015】
好ましくは、ディスプレイデバイスは、標的表示装置を位置決めするシステムオペレータの体に装着されるように構成されたウェアラブルデバイスである。
【0016】
好ましくは、ディスプレイデバイスは、システムオペレータの腕に装着されるように構成されたウェアラブルデバイスである。
【0017】
好ましくは、ディスプレイデバイスは、ヘッドマウントデバイスである。
【0018】
本開示の別の態様は、視界を妨げる物体の向こう側の画像をキャプチャするように構成された前向きカメラを有するカメラモジュールに取り付けられる標的表示モジュールを提供し、モジュールは標的マーカープロジェクタおよび方位マーカープロジェクタを備え、標的マーカープロジェクタは標的マーカーを投影するように構成され、方位マーカープロジェクタは方位マーカーを投影するように構成され、その結果、標的表示モジュールがカメラモジュールに取り付けられると、標的マーカーおよび方位マーカーは、前向きカメラの視野と位置合わせして投影される。
【0019】
本開示の他の態様も提供される。
【0020】
次に、添付の図面を参照して、本開示の1つまたは複数の実施形態が具体例として記載される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態における、標的表示装置の概略図である。
【0022】
【
図2】使用中に起動された標的表示装置の概略図である。
【0023】
【
図3A】障害物の向こう側の標的と位置合わせして使用中の標的表示装置、および標的表示装置によって誘導される銃器の配置を示す概略図である。
【0024】
【
図3B】標的表示装置が
図3Aの定位置にあるときのディスプレイデバイスの概略図である。
【0025】
【
図4】障害物に対する代替構成で使用中の標的表示装置の概略図である。
【0026】
【
図5】標的表示装置の標的マーカープロジェクタおよび方位マーカープロジェクタの構成を示す概略図である。
【0027】
【
図6A-J】レチクルパターンの構成の例を示す図である。
【0028】
【
図7】動作中の標的表示装置の使用を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の標的表示装置は、標的が不透明な中間物の背後で射手から保護される、射撃動作を支援することに関与する不透明な中間物射撃システムの一部として使用することができる。動作中、標的表示装置は、不透明、半不透明、または半透明の中間物などの物体によって遮られた標的を射手が狙うのを支援するために使用することができ、射手は標的を見ることができないが、射手の銃器は障害物を通して標的を撃つのに十分強力である。不透明、半不透明、または半透明の中間物は、たとえば、ドア、薄い壁、または窓であってよいが、それらに限定されない。
【0030】
図1および
図2を参照すると、標的表示装置100は、標的マーカープロジェクタユニット106および方位マーカープロジェクタユニット108を含む本体110を有する。標的表示装置はさらに、標的表示装置100の前面に本体110から遠位に延在する支持部材104の遠位端に取り付けられた前向きカメラ102を有する。使用中、本体110は、射手を含む操作チームと視界妨害物体120の同じ側に留まり、カメラ102は、標的が位置する物体120の反対側の画像をキャプチャするために使用される。
【0031】
支持部材104は、たとえばドアの下をスライドすることにより、視界妨害物体120を通る狭い空間を通して挿入することができる、細いシャフトまたは遠位端を有するボードなどの薄い構造である。これにより、カメラ102が物体120の向こう側の空間の画像をキャプチャすることが可能になり、操作チームが物体120の反対側の射手に普通は見えない標的の画像を見ることが可能になる。カメラ102は前向きであり、本体110の前面の画像をキャプチャするために上向きに角度を付けられてよい。カメラ102は、熱画像、赤外線照明器、および魚眼レンズなどの広角レンズなどの、動作を改善するためのさらなる機能を有することができる。カメラ102はまた、複数のレンズおよび/または画像センサを介してキャプチャされた画像から、標的表示装置100の前面にあり、標的表示装置100の長手方向の軸と位置合わせしたゾーンの画像を選択的に出力または合成することが可能な画像プロセッサを備える複数のレンズおよび/または画像センサを有するカメラモジュールとして実装されてよい。支持部材104は、伸縮構造を有し、かつ/または本体110内に格納可能であり、本体110に対するカメラ102の位置の調整を可能にし、物体120の向こう側の空間内に延在することができる。
【0032】
標的マーカープロジェクタユニット106および方位マーカープロジェクタユニット108は、標的表示装置100の本体110の上または中に取り付けられる。標的マーカープロジェクタ106は、射手が銃器を向ける場所を示すために、視界妨害物体120に標的マーカー107を投影するための光源である。
図2および
図3Aは、標的表示装置100が定位置にある、すなわち、カメラ102が物体120の下にスライドされ、物体120の反対側に位置する標的122の画像をキャプチャする状態で、物体120の前面に配置されるシナリオを示す。この位置で、標的マーカープロジェクタ106は、標的マーカー107を物体120に投影する。方位マーカープロジェクタ108は、銃器140が標的マーカー107および方位マーカー109と位置合わせされると、射手が標的マーカー107を使用して狙いを支援することにより、たとえば、標的マーカー107を狙うことによって標的122を撃つことができるように、方位マーカー109を投影するための光源である。
【0033】
標的マーカープロジェクタ106および方位マーカープロジェクタ108は、
図2および3Aに示されたように標的表示装置100が定位置にあるとき、物体120上の標的マーカー107および床上の方位マーカー109が標的122に向けられたカメラ102と実質的に同じ垂直面上にあるように、マーカー107、109を投影する。射手は、物体120に投影された標的マーカー107および床に投影された方位マーカー109と銃器140を整列させることによって標的122に狙いをつけることができる。
【0034】
さらに、好ましくは、標的マーカープロジェクタ106は、標的122へのヒット確率を最適化する高さで、標的マーカー107を物体120に投影する。標的122が直立姿勢の成人である場合、これは、高さ1mから1.5mの間、より具体的には、1.25mまたは約1.25mであり得る。特定の標的および用途に応じて、異なる高さ範囲が使用されてよいことが諒解されよう。
【0035】
標的マーカー107が、標的122を狙う高さで物体120に表示されると、銃器140は、標的マーカー107と同じ高さに位置決めされ、仮想線124に沿ってマーカー107を指すことができるので、射手が標的マーカー107に発砲すると、銃器140から発泡された弾丸は物体120を貫通し、線124に沿って物体120の向こう側の標的122と係合する。
【0036】
図5は、標的表示装置100内の標的マーカープロジェクタユニット106および方位マーカープロジェクタユニット108の例示的な配置を示す。標的マーカープロジェクタ106は、標的マーカー107を上向きに、本体110の前面に向かって投影する。方位マーカープロジェクタ108は、たとえば、本体110の下方および後方の床に方位マーカー109を投影する。プロジェクタ106および108は、可視スペクトルのレーザーのエミッターであり得るので、射手は、特別な装置なしで、かつ/または、より内密の操作に有利である赤外線などの可視スペクトルの外側で、マーカー107、109を見ることができ、その状況で射手が赤外線ゴーグルを装着することができ、したがって赤外線マーカー107、109を見ることができる。
【0037】
あるいは、方位マーカープロジェクタ108は、射手がカメラ102および方位マーカープロジェクタ108を介して標的表示装置100の長手方向の軸平面と位置合わせされたときに強度が増加するように見える指向性光を発することができる。代替または追加として、マーカー107、109の投影の傾斜は、他の機械的または光学的な手段によって実施されてよい。
【0038】
標的マーカープロジェクタユニット106は、1つまたは複数のプロジェクタ装置を含むことができ、上向きの角度で前方にマーカー107を投影するために、点線で示されたように、固定されたまたは調整可能な角度で標的表示装置100の本体110に取り付けられてよい。1つのプロジェクタが可視レーザーを放出し、別のプロジェクタが赤外線レーザー、または射手および/もしくは他の操作チームのメンバーによって装着された専用のビューアを通して見ることができる可視スペクトル以外の他のタイプのレーザーを発するように、標的マーカープロジェクタユニット106において複数のプロジェクタを使用することができる。プロジェクタは、オペレータにより、たとえば、標的表示装置100上の制御パネル112のスイッチおよび/もしくはダイヤルを操作することにより、または射手もしくは他の操作メンバーによりリモートで、スイッチをオン/オフし、かつ/または強度/角度を調整することができる。
【0039】
同様に、方位マーカープロジェクタユニット108は、1つまたは複数のプロジェクタ装置を含むことができ、後方かつ下方にマーカー109を投影するために、点線で示されたように、固定されたまたは調整可能な角度で本体110に取り付けられてよい。可視レーザーを放出する1つまたは複数のプロジェクタ、ならびに、赤外線、または投影された方位マーカーが射手および/もしくは他の操作チームのメンバーによって装着された専用のビューアの助けを借りて見ることができるような可視スペクトル以外の他のタイプのレーザーを発する他のプロジェクタを含むように、複数のプロジェクタを使用することができる。方位マーカープロジェクタユニット108はまた、標的表示装置100上の制御パネル112から、またはリモートで操作することができる。
【0040】
標的表示装置100はまた、プロセッサ202、通信ユニット204、および記憶媒体206を含む。好ましくは、標的表示装置100は、操作の便宜のためのコードレス装置であり、カメラ、プロジェクタ106、108、通信ユニット、およびプロセッサを含む、装置100の様々な構成要素に電力を供給するバッテリー208も含む。
【0041】
記憶媒体206は、たとえば、制御パネル112からの入力を処理してカメラ102および/またはマーカープロジェクタ106、108を制御するためのオペレーティングシステム、ソフトウェアアプリケーションを含む1つまたは複数のコンピュータプログラム、ならびにカメラ102によってキャプチャされた画像データなどのデータを記憶するために利用されてよい。
【0042】
通信ユニット204は、好ましくは、セキュリティ機能を備えたブルートゥースまたはWi-Fiなどのワイヤレス通信プロトコルを介して、カメラ140によってキャプチャされた画像を表示するディスプレイデバイス114などのリモートデバイスと通信する。通信ユニットはまた、カメラ102(たとえば、ズーム、コントラスト)およびプロジェクタ106、108(たとえば、角度、レーザータイプ)の様々な設定を調整するための制御コマンドなどの制御データを伝送および/または受信することができる。プロセッサ202は、バスを介してカメラ102、マーカープロジェクタ106、108、通信ユニット204、および記憶媒体206と通信し、記憶媒体206に記憶されたコンピュータプログラムを実行して、カメラ102、プロジェクタ106、108、および通信ユニット204の動作を制御する。
【0043】
カメラ102は、レンズシステム、センサユニット、およびキャプチャされた画像を一時的に保存するための記録媒体を含んでよい。センサユニットは、基本的な白黒またはフルカラーのCCDまたはCMOSセンサなどの可視光スペクトル用のセンサであってよい。カメラ102はデジタルスチルカメラであり、定期的に、もしくは手動コマンドで静止画像を出力することができるか、またはデジタルビデオカメラであり、ライブビデオ画像シーケンスを出力して、システムオペレータ144がディスプレイデバイス114を介して提供される画像フィードに従って標的表示装置100を位置決めすることを可能にすることができる。
【0044】
ディスプレイデバイス114は、プロセッサ、および標的表示装置100の通信ユニット204と通信するための通信ユニットを含み、基準マーカー116と重ね合わされたカメラ102によってキャプチャされた画像を表示することができる。基準マーカー116は、カメラ102によってキャプチャされ、ディスプレイデバイス114に伝送され表示される画像の中心軸、点、または領域と一致するように、表示装置上に恒久的にマークされ、たとえば、塗装され得る。あるいは、マーカーは、標的表示装置100またはディスプレイデバイス114に設けることができる、標的表示装置100またはディスプレイデバイス114のプロセッサにより、カメラ102によってキャプチャされた画像上にデジタル的に追加することができる。永続的な物理マーカーは実装することがより簡単であるが、基準マーカー116をカメラ画像上にデジタル的に重ね合わせることは、より高い柔軟性を実現する。たとえば、全画面カメラフィードと別のデータ画面とを切り替えることによって他の情報を表示するためにディスプレイデバイス114が使用される場合、基準マーカー116は、データ画面を表示するモードで表示される必要はない。さらに、ディスプレイがカメラフィードを示すゾーンと他の情報を示すゾーンに分割される場合、基準マーカー116をカメラ画像にデジタル的に重ね合わせることにより、基準マーカー116は、カメラ102から入力された画像内の中心線を示すために表示ことができる。
【0045】
ディスプレイデバイス114は、装置100を標的122と位置合わせして配置することによって標的表示装置100を操作するシステムオペレータ144によって携行することができ、また、標的および周囲の視覚情報を取得するために射手142に提供されてよい。
【0046】
動作中、
図7に示されたように、システムオペレータ144は、腕にストラップで固定されたディスプレイデバイス114を携行することができる。ディスプレイデバイス114はまた、ナイトビジョンゴーグルおよびウェアラブルレンズと一体化された、ヘッドアップディスプレイ、拡張現実ディスプレイデバイスを含む、アームマウントデバイスまたはヘッドマウントデバイスなどの、システムオペレータ144の身体に装着されるように適合されたポータブルおよび/またはウェアラブルのデバイスなどの、様々な他のタイプのディスプレイとして実装することができる。基準マーカー116は、カメラ102、ならびに投影される標的マーカー107および方位マーカー109が標的122と位置合わせされるように、システムオペレータ144が標的表示装置100を位置決めするのを支援するマーカーである。表示される視野が装着者の動きとともにシフトするタイプのディスプレイデバイスでは、標的マーカー107は、入ってくるカメラフィードと重ね合わされて表示され、標的表示装置100と位置合わせして表示された画像の一部にロックされたままであるべきである。システムオペレータ144は、不透明な、銃器142で撃ち抜くことができる物体120の下/中のギャップを通してカメラ102を挿入することによって標的表示装置100を位置決めする。次いで、システムオペレータ144は、標的表示装置100を標的122と位置合わせして配置するために、カメラ102でキャプチャされ、ディスプレイデバイス114に表示された画像内の標的を探すことによって標的表示装置100の向きを調整する。システムオペレータ144は、たとえば、標的122の動きを追跡して、標的122が撃たれるか、または操作が終了するまで、基準マーカー116をディスプレイデバイス114上の標的122の画像と重ね合わせたままにするように、必要に応じて標的表示装置100の配置を調整し続けることができる。
【0047】
標的マーカープロジェクタ106および方位マーカープロジェクタ108は、システムオペレータ144が標的表示装置100を位置決めしている間にスイッチをオンにされてよいか、またはシステムオペレータ144が位置合わせが達成されたことを確認するとオンにすることができる。標的表示装置100が位置合わせされ、標的マーカーおよび方位マーカーがそれぞれ物体120および床に投影されると、射手142は、銃器142を標的マーカー107および方位マーカー109と位置合わせすることにより、所定の位置に移動して標的122を狙うことができる。
【0048】
射手142はまた、ポータブル/ウェアラブルのディスプレイデバイス114を携行することができる。これにより、標的122がカメラ102でキャプチャされると、射手142が標的122を視覚に捉えることが可能になる。標的122をリアルタイムで視覚に捉えることは、好ましくは、それと重ね合わされた基準マーカー116とともに、物体120に投影された標的メーカー107に加えて、標的122の周りの位置、姿勢、および環境に関する情報を射手142に与えることができ、より良い照準を支援することができる。
【0049】
標的表示装置100は、
図3Aおよび
図7に示されたように、標的122が、撃ち抜くことができる物体120の真正面にあり、カメラ102が標的122をキャプチャするように配置されることを可能にするシナリオで使用することができる。標的表示装置100はまた、
図4に示されたように、標的122が、撃ち抜くことができないバリア126の部分的/全体的に背後にあり、かつ/またはカメラ102が標的122をキャプチャするように位置決めされることを可能にしないが、標的表示装置100が標的122をキャプチャするために物体120に対してある角度で位置決めすることができる状況で使用することができる。
【0050】
例示的な実施形態では、カメラ102から本体110の後端までの標的表示装置100の長さは、約250mmであり得る。標的マーカープロジェクタ106は、物体120の基部から約1250mmの物体120上に標的マーク107を投影するように上向きに角度を付けられてよい。方位マーカープロジェクタ108は、本体110の後端から最大約450mmに方位マーカー109を投影することができる。射手142は、物体120を通るフラットショットを実行するために、銃器140を床から約1250mmに穴を水平に保持した状態で、物体120から1~3mに自分自身を位置決めすることができる。銃器140は、銃器に取り付けられたレーザーシステムからのレーザーマーカーを標的マーカー107と重ね合わせることにより、射手142が狙うことを可能にする照準を示すためのレーザーシステムを装備することができる。この場合、銃器140からのマーカーと標的マーカー107が、たとえば、色、形、点滅間隔などの違いによって区別できるように、銃器140のレーザーシステムが標的マーカープロジェクタ106のレーザーとは異なることがさらに好ましい。
【0051】
図6A~
図6Jは、標的マーカー107および方位マーカー109のための様々な例示的なレチクルパターンを示す。
図6A~
図6Jの例は例示的であり、限定的ではなく、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、他のレチクルパターンが実践されてよい。
【0052】
標的マーカー107は、高さ範囲に沿って延在する線/長方形、高さ範囲の上部および下部で垂直中心線と交差する水平線、ならびに/または高さ範囲の上部および/もしくは下部をマークするドットで、照準(
図6A、
図6C、
図6D、
図6E、
図6F、および
図6H)するのための高さ範囲(たとえば、1~1.5m)を示すことができる。標的マーカー107は、
図6B、
図6D、
図6E、
図6F、
図6I、および
図6Jに示されたように、1つもしくは複数のドット、水平線、および/または垂直中心線もしくは水平線の切れ目で、狙うべき高さ(たとえば、1.25m)を示すことができる。
【0053】
方位マーカー109は、射手142が標的122を狙うために銃器140をどこに位置決めするかを判断するのを支援し、したがって、射撃する方向を示すべきである。方位マーカー109は、たとえば、
図6A~
図6E、
図6I、および
図6Jに示されたような線、または
図6F~
図6Hに示されたような1つもしくは複数のドット、またはそれらの任意の組合せであってよい。
【0054】
結果として、銃器140を標的マーカー107と方位マーカー109の両方と整列させることにより、銃器140も標的と整列する。
【0055】
正確にするために、標的マーカープロジェクタ106および方位マーカープロジェクタ108は、カメラ102と同じ垂直面に沿って(たとえば、標的表示装置100の長手方向の軸平面を通して)整列され、実質的に同じ平面に沿って標的マーカー107および方位マーカー109を投影することが好ましい。
【0056】
代替の配置では、プロジェクタ106、108、本体110のケーシング、および制御パネル112は、ドア下カメラなどの既存のカメラモジュールに後付けするためのモジュールとして設けることができる。そのような配置では、プロジェクタは、摩擦および/または1つもしくは複数の留め具によってカメラモジュールに固着され得るブラケットなどによってカメラに結合される。そのような留め具は、たとえば、ねじ、ねじ付きボルト、クランプなどを含んでよい。後付けモジュールは、後付け時に、カメラビューの中心線とプロジェクタ106、108が位置合わせされるように、サイズ決めおよび成形することができる。代替または追加として、プロジェクタ106、108は、調整可能な接合手段を用いてブラケットに取り付けることができるので、カメラモジュールにモジュールを取り付けた後に投影角度を調整することができる。
【0057】
同じ参照番号を有する添付図面の特徴は、反対の意図が明示または暗示されていない限り、同じ機能または動作を有すると見なされるべきである。
【0058】
記載された配置は、防衛産業および銃器産業に適用可能である。
【0059】
上述された実施形態によれば、標的表示装置は、不透明な中間物、すなわち、射手が標的を直接視覚に捉えることを妨げるが、撃ち抜くことができる物体の向こう側に位置付けられた標的を射撃するための精度を高めるために、操作中に使用することができる。標的表示装置は、システムオペレータによる運搬および配置が容易なモバイルのコードレス装置であり得る。標的表示装置は、装置に取り付けられたカメラによってキャプチャされた画像を見ることにより装置の向きを調整することができるシステムオペレータによって標的と位置合わせすることができるので、装置は、位置合わせを制御もしくは微調整するためのメカニズム、または高度な画像処理能力を必要としない。さらに、操作中に標的表示装置を使用するために銃器を変更する必要がない。
【0060】
上記は、本発明のいくつかの実施形態のみを記載し、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、それに対して修正および/または変更を行うことができ、実施形態は例示的であり限定的ではない。
【0061】
本明細書の文脈において、「含む」という単語およびそれに関連する文法的構成は、「主に含むが、必ずしも単独ではない」または「有する」または「含む」を意味し、「のみからなる」を意味しない。「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの「含む(comprising)」という単語の変形は、それに応じて異なる意味を有する。
【0062】
本発明は具体例を参照して記載されてきたが、本発明が多くの他の形態で具現化されてよいことを当業者なら諒解されよう。