(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】チップ及びインクカートリッジ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20230606BHJP
【FI】
B41J2/175 161
B41J2/175 167
B41J2/175 119
B41J2/175 169
B41J2/175 175
(21)【出願番号】P 2021558017
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2021102748
(87)【国際公開番号】W WO2022001954
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】202021285743.5
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512246042
【氏名又は名称】珠海納思達企業管理有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ 浩▲銘▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 仕超
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲偉▼健
(72)【発明者】
【氏名】朱 一静
(72)【発明者】
【氏名】夏 敬章
(72)【発明者】
【氏名】▲賈▼ 志▲ジョン▼
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-537326(JP,A)
【文献】特開2019-073004(JP,A)
【文献】特開2019-142242(JP,A)
【文献】登録実用新案第3192098(JP,U)
【文献】登録実用新案第3188247(JP,U)
【文献】中国実用新案第203004522(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップであって、
第1基板と、第2基板とを含み、
前記第1基板には、第1端子が設けられ、前記第1端子は、少なくとも1つのウェハ端子及び少なくとも1つの短絡検出端子を含み、
前記第1基板は、対向して設置される第1面及び第2面を含み、
前記少なくとも1つの短絡検出端子は、前記第1面に設けられ、
前記第2基板は、対向して設置される第1表面及び第2表面を含み、
前記第2基板
の前記第1表面は、前記第1基板の
前記第2面に重ねて配置され、かつ前記第2基板には、第2端子が設けられ、前記第2端子は、
ウェハ端子を含まず、高圧端子を含み、
前記短絡検出端子は、前記高圧端子と前記短絡検出端子との間に短絡が発生するか否かを検出するために用いられ、
前記第2基板は、前記チップのプリント装置への取付方向に対向して設置される第3表面及び第4表面をさらに含み、
前記第3表面には、凹部が開設され、
前記凹部は、前記第1表面及び前記第2表面を貫通し、前記高圧端子は、前記第3表面に設けられ、且つ前記第1表面まで延在し、前記高圧端子は、前記凹部の両端に位置し、前記チップのプリント装置への取付方向に沿って、前記高圧端子は、前記第1端子よりも突出
し、前記第2基板は、前記凹部の両端に前記高圧端子のみが設けられ、
前記チップの前記プリント装置への取付方向に沿って、前記高圧端子は、前記第1端子の先端側に設けられ、前記凹部の少なくとも一部は、前記第1端子の先端側に位置することを特徴とするチップ。
【請求項2】
前記第1基板
は、第3面をさらに含み、
前記短絡検出端子を除く前記第1端子は、前記第1面及び前記第3面に設けられ
ることを特徴とする請求項1に記載のチップ。
【請求項3】
前記第3面に位置する前記第1端子は、前記第1面まで延在
することを特徴とする請求項2に記載のチップ。
【請求項4】
前記第3面には、第1凹溝が開設され、前記第1凹溝は、隣接する2つの前記第1端子の間及び前記第3面の両側に位置することを特徴とする請求項2に記載のチップ。
【請求項5】
前記第1凹溝は、前記第1面及び前記第2面を貫通
することを特徴とする請求項4に記載のチップ。
【請求項6】
前記チップは、フレキシブル連結部材をさらに含み、前記第1基板は、前記フレキシブル連結部材を介して前記第2基板に接続されることを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載のチップ。
【請求項7】
前記第1基板には、第1接続端子が設けられ、前記第2基板の前記第1接続端子に対応する位置には、第2接続端子が設けられ、前記第2基板が前記第1基板に重ねて配置される場合、前記第1接続端子は、前記第2接続端子と接触することを特徴とする請求項1~
5のいずれか一項に記載のチップ。
【請求項8】
インクカートリッジであって、
本体と、端子取付部とを含み、
前記端子取付部は、前記本体に設けられ、かつ前記端子取付部は、請求項1~
7のいずれか一項に記載のチップを含むことを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項9】
前記端子取付部には、収容キャビティが開設され、前記チップは、前記収容キャビティ内に取り付けられ、かつ前記チップは、XY平面に平行であり、
前記XY平面は、鉛直方向に垂直であることを特徴とする請求項
8に記載のインクカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年7月3日に中国特許局へ出願された、出願番号202021285743.5、出願名称「チップ及びインクカートリッジ」の中国特許出願の優先権を主張するものであり、該出願の内容は全て本願に取り込まれる。
【0002】
本願は、インクジェットプリント業界の技術分野に関し、具体的には、チップ及び該チップを有するインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0003】
インクジェットプリンタは、現在の生活においてますます広く応用されている。インクカートリッジは、インクジェットプリンタにおける消耗品であり、インクジェットプリンタにおけるインクカートリッジが使い切りとなった後、新たなインクカートリッジに交換するとともに、取付部に取り付ける必要がある。インクカートリッジには、一般的にチップが設けられ、プリンタの取付部におけるコンタクトピン部とインクカートリッジのチップ上の端子とが接触して電気的接続を形成し、インクカートリッジとプリンタとの間の電気信号伝送や記憶の動作を完成させる。
【0004】
図1は、従来技術のチップとコンタクトピン部のコンタクトピンセットの接触概略図である。チップは、第1基板1’と第2基板2’とを含む。第1基板1’と第2基板2’は、位置をずらして設けられ、2つの基板には、それぞれ端子が設けられている。第1基板1’は、4つの第1端子11’~14’を含む。第2基板2’は、5つの第2端子21’~25’を含む。チップ上の9つの端子とコンタクトピン部のコンタクトピン55’とが接触して電気的接続を形成し、インクカートリッジとプリンタとの間の電気信号伝送や記憶の動作を完成させる。コンタクトピン55’の数は、端子の数と合致し、コンタクトピンも9つあり、9つの端子と一対一に対応し、
図1において接触態様をよりよく示すために、3つのコンタクトピンのみが示される。
【0005】
従来技術において、9つの端子のうち端子12’、13’、22’、23’、24’は、チップのウェハに接続され、ウェハ端子であり、それはプリンタによって低い電圧(例えば3.6V)が与えられ、ウェハの正常な動作を維持する。第2端子のうち一部の端子21’、25’は、高圧端子であり、それはプリンタによって高い電圧(例えば42V)が与えられ、取付検出の動作を完成させる。第1端子のうち一部の端子11’、14’は、短絡検出端子であり、端子間の短絡状況を検出し、高い電圧のウェハ端子への印加によるウェハの損傷を防止する。しかしながら、第2基板2’に一部のウェハ端子22’~24’が設けられ、特に一部のプリンタにおいて、端子22’が電源端子として設けられ、高圧端子と第2基板2’に位置するウェハ端子22’~24’との距離が近すぎるため、短絡検出端子11’、14’が端子間の短絡を効果的に検出できず、第2基板2’に位置するウェハ端子22’~24’、特に電源端子22’と高圧端子21’、25’との間に短絡が発生しても短絡検出端子11’、14’が短絡が発生したことを検出できないことが起こりやすく、このようにチップ又はプリンタが破損されるリスクをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術に存在する問題を解決するために、本願は、チップまたはプリント装置が破損されるリスクを低減することができるチップを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願は、具体的に、以下の解決手段を採用する。
【0008】
本願は、チップであって、第1基板と、第2基板とを含み、
前記第1基板には、第1端子が設けられ、前記第1端子は、少なくとも1つのウェハ端子および少なくとも1つの短絡検出端子を含み、
前記第2基板は、前記第1基板の一方側に重ねて配置され、かつ前記第2基板には第2端子が設けられ、前記第2端子は、高圧端子を含み、
前記第2基板には、凹部が開設され、前記高圧端子は、前記凹部の両端に位置し、前記チップのプリント装置への取付方向に沿って、前記高圧端子は、前記第1端子よりも突出するチップを提供する。
【0009】
好ましくは、前記第1基板は、第1面及び第3面を含み、前記第1端子は、前記第1面及び前記第3面に設けられ、前記第2基板は、第1表面及び第3表面を含み、前記凹部は、前記第3表面に開設され、前記高圧端子は、前記第3表面に設けられる。
【0010】
好ましくは、前記第3面に位置する前記第1端子は、前記第1面まで延在し、及び/又は、前記第3表面に位置する前記高圧端子は、前記第1表面まで延在する。
【0011】
好ましくは、前記第3面には、第1凹溝が開設され、前記第1凹溝は、隣接する2つの前記第1端子の間及び前記第3面の両側に位置する。
【0012】
好ましくは、前記第1基板は、さらに前記第1面に対向する第2面を含み、前記第2基板は、さらに前記第1表面に対向する第2表面を含み、前記第1凹溝は、前記第1面及び前記第2面を貫通し、前記凹部は、前記第1表面及び前記第2表面を貫通する。
【0013】
好ましくは、前記チップの前記プリント装置への取付方向に沿って、前記高圧端子は、前記第1端子の先端側に設けられ、前記凹部の少なくとも一部は、前記第1端子の先端側に位置する。
【0014】
好ましくは、前記第1基板は、第1面を含み、前記第1端子は、前記第1面に設けられ、前記第2基板は、第1表面及び第3表面を含み、前記第2端子は、少なくとも1つのウェハ端子をさらに含み、前記凹部は、前記第3表面に開設され、前記第2端子は、前記第1表面に設けられる。
【0015】
好ましくは、前記第2端子が少なくとも2つのウェハ端子を含む場合、前記第2基板には、さらに第2凹溝が開設され、前記第2凹溝は、前記第2基板に設けられた隣接する2つの前記ウェハ端子の間に位置する。
【0016】
好ましくは、前記チップの前記プリント装置への取付方向に沿って、前記高圧端子は、前記ウェハ端子の先端側に設けられる。
【0017】
好ましくは、前記チップセットは、フレキシブル連結部材をさらに含み、前記第1基板は、前記フレキシブル連結部材を介して前記第2基板に接続される。
【0018】
好ましくは、前記第1基板には、第1接続端子が設けられ、前記第2基板の前記第1接続端子に対応する位置には、第2接続端子が設けられ、前記第2基板が前記第1基板に重ねて配置される場合、前記第1接続端子は、前記第2接続端子と接触する。
【0019】
それに応じて、本願は、インクカートリッジをさらに提供し、該インクカートリッジは、本体及び端子取付部を含み、前記端子取付部は、前記本体に設けられ、かつ前記端子取付部は、上記したチップを含む。
【0020】
好ましくは、前記端子取付部には、収容キャビティが開設され、前記チップが前記収容キャビティ内に取り付けられ、かつ前記チップがXY平面に平行であり、前記XY平面は、鉛直方向に垂直である。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に比べて、本願のチップは、第1基板及び第2基板を含み、第1基板には、第1端子が設けられ、第1端子は、少なくとも1つのウェハ端子及び少なくとも1つの短絡検出端子を含み、第2基板は、第1基板の一方側に重ねて配置され、かつ第2基板には、第2端子が設けられ、第2端子は、高圧端子を含み、ここで、第2基板には、凹部が開設され、高圧端子は、凹部の両端に位置し、チップのプリント装置への取付方向に沿って、高圧端子は、第1端子よりも突出する。本願では、このような構造の設計によって、高圧端子がウェハ端子から離れるようにされ、それによって短絡検出端子が端子間の短絡を効果的に検出することができ、ウェハ端子、特に電源端子と高圧端子との間の短絡を回避し、さらにチップ又はプリント装置が破損されるリスクを低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来技術のチップとコンタクトピンとの接触の概略図である。
【
図2】本願の実施形態によるチップの斜視図である。
【
図3】本願の実施形態によるチップにおける第1基板の斜視図である。
【
図4】本願の実施形態によるチップにおける第2基板の斜視図である。
【
図5】本願の実施形態による第1基板と第2基板の接続の概略図である。
【
図6】本願の他の実施形態によるチップの斜視図である。
【
図7】本願のさらに他の実施形態によるチップの斜視図である。
【
図8】本願の実施形態によるチップホルダの斜視図である。
【
図9】本願の実施形態によるチップをチップホルダに取り付けたときの斜視図である。
【
図10】従来技術によるコンタクトピン部の斜視図である。
【
図11】従来技術によるコンタクトピンの構造概略図である。
【
図12】本願の実施形態によるチップとコンタクトピンとの接触の概略図である。
【
図13】本願の実施形態によるインクカートリッジの斜視図である。
【
図14】本発明の実施形態によるインクカートリッジにおける端子取付部の斜視図である。
【
図15】本願の実施形態によるインクカートリッジにおける端子取付部の他の角度からの斜視図である。
【
図16】本発明の別の実施形態によるインクカートリッジの斜視図である。
【
図17】本発明の別の実施形態によるインクカートリッジにおける端子取付部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、図面及び実施形態を参照しながら、本願をより詳細に説明する。ここで説明された具体的な実施形態は、本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないと理解されるべきである。
【0024】
本願の説明において、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「第1」、「第2」は、説明の目的のみに用いられるものであり、相対的な重要性を指示するか又は暗示するものではないと理解されるべきである。特に断らない限り、用語「複数」は、2つ又は2つ以上を指す。用語「接続」、「固定」等は、いずれも広義的に理解されるべきであり、例えば、「接続」は、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、一体的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよく、直接的に接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、上記用語の本願における具体的な意味を理解することができるであろう。
【0025】
本明細書の説明において、本願の実施形態に記載された「上」、「下」等の方位用語は、図面に示された角度で記載されるものであり、本願の実施形態を限定するものではないと理解されるべきである。また、コンテキストにおいて、1つの素子が他の素子の「上」又は「下」に接続されると言及する場合、それが他の素子の「上」又は「下」に直接的に接続されるだけでなく、中間素子を介して他の素子の「上」又は「下」に間接的に接続されてもよい。
【0026】
なお、図面におけるX軸、Y軸及びZ軸は、互いに垂直であり、三次元直交座標系を形成し、
図3において、第2面102が第1面101に指向する方向は、+Z軸方向であり、第3面103が第4面104に指向する方向は、+Y軸方向であり、第5面105が第6面106に指向する方向は、+X軸方向であり、-Z軸方向は、鉛直方向である。
【0027】
インクカートリッジは、インクジェットプリンタにおける消耗品であり、インクジェットプリンタにおけるインクカートリッジが使い切りとなった後、新たなインクカートリッジに交換するとともに、プリント装置の取付部に取り付ける必要がある。インクカートリッジには、一般的にチップが設けられ、プリンタの取付部におけるコンタクトピン部とインクカートリッジのチップ上の端子とが接触して電気的接続を形成し、インクカートリッジとプリンタとの間の電気信号伝送や記憶の動作を完了させる。
【0028】
図2に示すように、本願の実施形態は、チップ100を開示し、チップ100は、第1基板1と、第2基板2とを含み、第1基板1には、第1端子11が設けられ、第2基板2には、第2端子21が設けられ、第1端子11及び第2端子21はいずれも、プリント装置におけるコンタクトピンと接触する接触領域を有する。第1端子11は、チップウエハに接続された少なくとも1つのウェハ端子を含み、第2端子21は、ウェハ端子よりも受けた電圧が高い少なくとも1つの高圧端子を含む。第1端子11には、チップの端子間に短絡が発生するか否かを検出するための少なくとも1つの短絡検出端子をさらに含む。
【0029】
具体的には、第2基板2には、凹部22が開設される。第2端子21は、第1高圧端子211と、第2高圧端子212とを含み、第1高圧端子211と第2高圧端子212は、凹部22の両端に位置する。組み合わせる場合、第1基板1は、第2基板2の上表面に重ねて配置され、チップ100のプリント装置への取付方向(
図2における-Y方向)に沿って、第1高圧端子211及び第2高圧端子212は、第1端子11よりも突出する。
【0030】
図3に示すように、第1基板1は、略直方体形状を呈し、それは、第1面101と、第2面102と、第3面103と、第4面104と、第5面105と、第6面106とを含み、第1面101と第2面102が平行に設けられ、第3面103と第4面104が平行に設けられ、第5面105と第6面106が平行に設けられる。第3面103と第4面104は、第1面101、第2面102において交差する。第5面105と第6面106は、第1面101、第2面102、第3面103、第4面104において交差する。好ましくは、第3面103と第4面104は、第1面101、第2面102に垂直であり、第5面105と第6面106は、第1面101、第2面102、第3面103、第4面104に垂直である。第1端子11は、リセット端子111と、クロック端子112と、電源端子113と、接地端子114と、データ端子115と、短絡検出端子116と、付加端子117と、第1延在端子118と、第2延在端子119とを含む。リセット端子111と、クロック端子112と、短絡検出端子116と、付加端子117と、第1延在端子118と、第2延在端子119とはいずれも、第1面101に設けられ、電源端子113と、接地端子114と、データ端子115とはいずれも、第3面103に設けられ、第1面101まで延在し、かつ、短絡検出端子116は2つ設けられ、2つの短絡検出端子116は、それぞれ第1面101の両側に位置する。
【0031】
具体的には、第1基板1には、第1凹溝12、第1孔13、第2孔14及び第3孔15が開設される。第1凹溝12は、第3面103に設けられ、かつ電源端子113、接地端子114、データ端子115の3つの端子のうち2つの隣接する端子の間及び第3面103の両側に位置し、第1凹溝12は、第1面101及び第2面102を貫通する。第1孔13、第2孔14及び第3孔15は、それぞれ第1面101及び第2面102を貫通し、基板をチップホルダまたはインクカートリッジに固定するために用いられる。
【0032】
さらに、第1基板1の第2面102には、さらにウェハ又は電気部品が設けられ、ウェハは、例えば、インクカートリッジのタイプ、インク量、インクタイプなどの電子情報を記憶するために用いられる。インクカートリッジがプリント装置の取付部に取り付けられる際に、チップは、プリント装置のコンタクトピン部と接触して電気的接続を形成し、ウェハ内の記憶情報は、プリント装置内の情報と情報交換、認証、メンテナンスを行う。例えば、インクカートリッジ内のインクの消費が進行していく場合、チップ内のインク量情報は、プリント量の変化に伴って変更する。
【0033】
図4に示すように、第2基板2は、略直方体形状を呈し、それは第1表面201と、第2表面202と、第3表面203と、第4表面204と、第5表面205と、第6表面206とを含み、第1表面201と第2表面202が平行に設けられ、第3表面203と第4表面204が平行に設けられ、第5表面205と第6表面206が平行に設けられる。第3表面203と第4表面204は、第1表面201、第2表面202において交差する。第5表面205と第6表面206は、第1表面201、第2表面202、第3表面203、第4表面204において交差する。好ましくは、第3表面203と第4表面204は、第1表面201、第2表面202に垂直であり、第5表面205と第6表面206は、第1表面201、第2表面202、第3表面203、第4表面204に垂直である。凹部22は、第3表面203に開設され、第1表面201と第2表面202を貫通し、第1高圧端子211と第2高圧端子212は、それぞれ第3表面203に設けられ、第1表面201まで延在し、第1高圧端子211と第2高圧端子212は、凹部22の両端に位置し、具体的には、第1高圧端子211は、凹部22の-X軸側に位置し、第2高圧端子212は、凹部22の+X軸側に位置する。チップ100のプリント装置への取付方向に沿って、第1高圧端子211と第2高圧端子212は、第1端子11の先端側に設けられ、凹部22の少なくとも一部は、第1端子11の先端側に位置する。
【0034】
具体的には、第2基板2には、さらに第4孔23、第5孔24、及び第6孔25が開設される。第4孔23と第5孔24は、第1表面201と第2表面202を貫通し、基板をチップホルダ又はインクカートリッジに固定するために用いられる。第6孔25は、退避孔であり、第1基板1に設けられるウェハ又は電気部品を避けるためのものである。当然のことながら、必要に応じて、ウェハ又は電気素子が第2基板2に設けられてもよい。
【0035】
さらに、リセット端子111、クロック端子112、電源端子113、接地端子114及びデータ端子115は、ウェハ端子と呼ばれてもよく、チップのウェハと接続するために用いられ、第1高圧端子211と第2高圧端子212は、ウェハ端子よりも受けた電圧が高く(例えば42V)、短絡検出端子116は、チップの端子の間に短絡が発生するか否かを検出するために用いられる。
【0036】
以下、各端子の機能及び作用を説明する。
【0037】
リセット端子111は、ウェハ内部データをリセットするために用いられる。
【0038】
クロック端子112は、クロック信号を受信するために用いられる。
【0039】
電源端子113は、接地電位と異なる電源電位(例えば3.6V)を受けるために用いられ、この端子によってウェハの動作のために電源を供給する。
【0040】
接地端子114は、接地電位を受けるために用いられる。
【0041】
データ端子115は、データ信号の送信又は受信を行うために用いられる。
【0042】
第1高圧端子211、第2高圧端子212は、取付検出電圧(例えば42V)を受信し、インクカートリッジを取付部に取り付ける取付検出機能を果たすために用いられる。
【0043】
例えば、第1高圧端子211と第2高圧端子212の間には、高抵抗が接続され、電流又は電圧の変化を検出することによって、インクカートリッジが既に取付部内に取り付けられたか否かを判断する。
【0044】
短絡検出端子116は、端子間に短絡が発生するか否かを検出するために用いられ、具体的には、第1高圧端子211及び第2高圧端子212と短絡検出端子116との間に短絡が発生するか否かを検出するために用いられる。
【0045】
第1高圧端子211及び第2高圧端子212と短絡検出端子116との間に短絡が発生すると、プリンタは、短絡検出端子116における電圧が上昇したことを検出することができ、その直後でプリンタが短絡情報を提示し、チップ又はプリンタが短絡によって破損されるリスクを回避できる。
【0046】
付加端子117は、コンタクトピン部と接触せず、電気的接続を形成せず、例えば、短絡検出機能の強化などの他の作用を有してもよい。基板にインクが付着しているか否かを検出する。
【0047】
第1延在端子118は、リセット端子111の延在部分であり、第2延在端子119は、クロック端子112の延在部分である。
【0048】
図5に示すように、チップ100は、さらにフレキシブル連結部材3を含むことができ、第1基板1は、フレキシブル連結部材3を介して第2基板2に接続され、チップ全体を形成する。
【0049】
上記実施形態に基づいて、本願は、別の具体的な実施形態をさらに開示し、
図6に示すように、本実施形態と上記実施形態との相違点は、以下の通りである。本実施形態において、第1端子11がリセット端子111、クロック端子112及び短絡検出端子116を含み、リセット端子111、クロック端子112及び短絡検出端子116がそれぞれ第1基板1の第1面101に設けられる。第2端子21は、電源端子113と、接地端子114と、データ端子115と、第1高圧端子211と、第2高圧端子212とを含み、電源端子113、接地端子114、データ端子115、第1高圧端子211、及び第2高圧端子212は、それぞれ第2基板2の第1表面201に設けられ、かつ、第1高圧端子211と第2高圧端子212は、凹部22の両端に位置する。ここで、電源端子113、接地端子114、データ端子115は、第2基板2に設けられたウェハ端子に属する。
【0050】
チップ100のプリント装置への取付方向(―Y軸方向)に沿って、第1高圧端子211と第2高圧端子212は、第2基板2におけるウェハ端子(特に電源端子113)の先端側(―Y軸側)に設けられる。
【0051】
さらに、第2基板2の第3表面203には、第2凹溝26が開設され、第2凹溝26は、電源端子113と接地端子114との間に位置し、かつ接地端子114とデータ端子115との間に位置する。チップの取付方向において、凹部22の少なくとも一部は、ウェハ端子の先端側に位置する。
【0052】
上記実施形態に基づいて、本願は、別の具体的な実施形態をさらに開示し、
図7に示すように、本実施形態と上記実施形態との相違点は、下記の通りである。本実施形態において、第3孔15及び第4孔23の形状が上記実施形態の第3孔15及び第4孔23の形状と異なり、本実施形態において、第4孔23が円孔である。理解されるように、他の実施形態において、第1孔13、第2孔14、第3孔15、第4孔23及び第5孔24の形状はいずれも、上記実施形態の対応する孔の形状と異なってもよく、これらの孔によってチップをチップホルダに固定できればよい。
【0053】
さらに、本実施形態は、第1基板1の第2面102にさらに第1接続端子(図示せず)が設けられ、第2基板2の第1表面201にさらに第2接続端子27が設けられ、第2接続端子27が第1接続端子の位置に対応して設けられる。第2基板2が第1基板1に重ねて配置される時、第1接続端子は、第2接続端子27と接触し、電気的接続を図る。第1接続端子と第2接続端子27の設置によって、第1基板1と第2基板2との間の電気的接続を確保することができ、さらに、第1基板1と第2基板2がウェハ及び電気部品を共用することができる。
【0054】
さらに、第1基板1と第2基板2は、互いに独立して、両者の間に電気的接続がないように設けられてもよい。
【0055】
図8に示すように、本願は、チップセットをさらに開示し、該チップセットは、上記実施形態のチップ100と、チップホルダ4とを含む。チップホルダ4は、第1基板1と第2基板2を固定するために用いられ、チップホルダ4は、ホルダ本体41と、第1柱42と、第2柱43と、第3柱44と、第4柱45と、第5柱46と、バックル47とを含む。ホルダ本体41は、切り欠き411と、第1取付平面412と、第2取付平面413と、貫通孔414とを有する。第1柱42と、第2柱43と、第3柱44と、第4柱45と、第5柱46と、バックル47とは、それぞれホルダ本体41に接続される。ここで、第1柱42、第2柱43及び第3柱44は、それぞれ第1孔13、第2孔14及び第3孔15に対応して設けられ、第4柱45及び第5柱46は、それぞれ第4孔23及び第5孔24に対応して設けられる。切り欠き411は、コンタクトピンの一部を収容するために用いられる。貫通孔414は、逃がしブラインドビアであり、チップのウェハ及び電気部品を収容するために用いられ、第1取付平面412は、第2基板2の第2表面202とマッチングし、第2取付平面413は、第1基板1の第2面102とマッチングする。バックル47は、基板とチップホルダ4の組立体をインクカートリッジに取り付けて固定し、基板とチップホルダの組立体がインクカートリッジから離脱することを防止するために用いられる。
【0056】
基板とチップホルダを組み立てる時に、2種類の実施態様がある。第1の態様では、第1基板1の第2面102と第2基板2の第1表面201とが貼り合わせる。具体的な取付過程は、第2基板2を第1取付平面412に配置し、この時に第2基板2の第2表面202が第1取付平面412と貼り合わせ、第4柱45、第5柱46がそれぞれ第4孔23、第5孔24とマッチングする。さらに第1基板1を第2取付平面413に配置し、この時、第1基板1の第2面102が第2取付平面413と貼り合わせ、第1基板1の第2面102が第2基板2の第1表面201と貼り合わせ、第1柱42、第2柱43、第3柱44がそれぞれ第1孔13、第2孔14、第3孔15とマッチングする。最後に熱溶融の方式で第1柱42、第2柱43及び第3柱44における第1基板1の第1面101を超える部分を第1面101に熱溶融し、熱溶融後の部分が第1孔13、第2孔14、第3孔15の幅よりも大きく、これによって第2基板2をチップホルダに安定してロックすることができ、第1基板1、第2基板2を所定の位置に固定するようになる。
【0057】
第2の態様では、第1基板1の第2面102と第2基板2の第1表面201とが貼り合わされない。具体的な取付過程は、第2基板2を第1取付平面412に配置し、この時に第2基板2の第2表面202が第1取付平面412と貼り合わせ、第4柱45、第5柱46がそれぞれ第4孔23、第5孔24とマッチングする。その後に熱溶融の方式で第4柱45及び第5柱46における第2基板2の第1表面201を超える部分を第1表面201に熱溶融する。熱溶融後の部分が第4孔23、第5孔24の幅よりも大きく、これによって第2基板2をチップホルダ4に安定してロックすることができる。さらに第1基板1を第2取付平面413に配置し、この時に第1基板1の第2面102が第2取付平面413と貼り合わせ、第1柱42、第2柱43及び第3柱44がそれぞれ第1孔13、第2孔14及び第3孔15とマッチングする。その後に熱溶融の方式で第1柱42、第2柱43及び第3柱44における第1基板1の第1面101を超える部分を第1面101に熱溶融する。熱溶融後の部分が第1孔13、第2孔14、第3孔15よりも大きく、これによって第2基板2をチップホルダ4に安定してロックすることができ、第1基板1、第2基板2を所定の位置に固定するようになる。
【0058】
上記第1の態様であっても第2の態様であっても、いずれも第1基板1、第2基板をチップホルダ4に固定することができ、第1基板1、第2基板2のY軸及びX軸方向における位置がいずれも同じである。相違点は、第1の態様において、第1基板1の第2面102が第2基板2の第1表面201の少なくとも一部と貼り合わせ、第2の態様において、第1基板1の第2面102と第2基板2の第1表面201との間には一定の距離があることである。第2の態様において、第1基板1と第2基板2とは、互いに独立して、互いに接続されないようにされてもよい。第1又は第2の態様において、第1基板1と第2基板2とは、第1接続端子又は第2接続端子27によって電気的接続が図られることが可能である。
【0059】
図7及び
図8を同時に参照すると、チップホルダ4の第4柱45又は/及び第5柱46が導電性部材であり、このように設けることによって、第1基板1と第2基板2が第3柱45又は/及び第4柱46を介して互いに接続され、例えば、第2接続端子27の銅張り部分が第4孔23の孔内壁に延在し、第1基板1の第4柱45に対向する位置には第1接続端子が設けられ、第2基板2が第2接続端子27と第4柱45の導電性によって第1基板1との電気的接続を図る。
【0060】
図9に示すように、基板をチップホルダ4に取り付けた後、Z軸方向において、第1基板1が第2基板2の+Z軸方向側に位置し、第1高圧端子211及び第2高圧端子212が凹部22の両側に位置する。Y軸方向において、第1基板1の第3面103が第2基板2の第3表面203の+Y軸方向側に位置する。凹部22の少なくとも一部が、第1端子11の―Y軸側に位置する。チップ100のプリント装置への取付方向(―Y軸方向)に沿って、第2端子21が第1端子11の先端側(―Y軸側)に設けられる。
【0061】
インクカートリッジが-Y軸方向に沿って取付部に取り付けられる場合、該取付方向において、凹部22の少なくとも一部が、第1端子11の先端側に位置し、第1高圧端子211及び第2高圧端子212が、ウェハ端子の-Y軸方向に位置する。電源端子113が、リセット端子111、クロック端子112の―Y軸側に位置する。この構造設計によって、高圧端子がウェハ端子から離れるようにされ、短絡検出端子が端子間の短絡を効果的に検出できないことを低減し、ウェハ端子、特に電源端子と高圧端子との間の短絡によるチップ又はプリント装置の破損のリスクを回避することができる。チップ100のプリント装置への取付方向(―Y軸方向)に沿って、高圧端子211、212が第1端子11(特に電源端子113)の先端側(-Y軸側)に設けられる。
【0062】
図10に示すように、コンタクトピン部5は、フック部51と、第1突起52と、第2突起53と、対向面54と、ベース56と、複数のコンタクトピン55とを含み、複数のコンタクトピン55が配列して二列を形成する。コンタクトピン部5は、フック部51によってプリント装置の取付部に取り付けることができる。第1突起52及び第2突起53は、一対の対向面54にそれぞれ設けられる。第1突起52には-X軸側の第1側部521を有し、第2突起53には+X軸側の第2側部(図示せず)を有する。ベース56は、一対の対向面54内に設けられ、かつ、ベース56には、コンタクトピン55と、各コンタクトピン55を取り付けるためのスリットが設けられる。コンタクトピンは、シート状の金属シートであり、導電作用を果たすことができ、かつ摩耗しにくい。ベース56は、複数のスリットを有する。複数のスリットは、複数のコンタクトピンと一対一に対応し、複数のスリットはいずれも、U字形を呈し、それがスリット口を有し、各コンタクトピンは、スリット口を介して各スリットに取り付けられ、かつ各コンタクトピン55の構造が一致する。
【0063】
具体的には、各コンタクトピン55は、一端が取付部内部の回路を介してインクジェットプリント装置の主回路に接続され、他端がインクカートリッジのチップの端子に接続するために用いられる。
【0064】
図11に示すように、コンタクトピン55は、第1端部551と、第2端部552と、接続部553とを含み、接続部553の両端は、それぞれ第1端部551、第2端部552に接続されている。第1端部551と接続部553は、インクカートリッジのチップと接触するために用いられ、第2端部552は、インクジェットプリンタの内部回路と接続するために用いられる。例えば、保持部によってチップとインクジェットプリント装置内の主回路とを接続することができる。
【0065】
さらに、第1端部551は、斜面部551aと、先尖部551bと、底部551cとを含み、Y軸方向に沿って、第1端部551の最も広い位置が先尖部551bであり、先尖部551bの上部が斜面部551aであり、先尖部551bの下部が底部551cである。
【0066】
取り付ける時、コンタクトピン55は、接続部553又は接続部553の一部(例えば、接続部553の水平部分)がスリットに固定されることによって、第1端部551及び第2端部552が、弾性変形可能であり、かつ変形した後に元に戻りやすくなる。コンタクトピン55の第1端部551は、+Y軸方向に設けられ、第2端部552は、-Y軸方向に設けられる。第1端部551及び第2端部552は、ベース54から突出し、接続部553は、ベース54から突出しない。
【0067】
さらに、第1端部551、第2端部552は、Y軸方向においてベース54から突出し、ベース54は、第1端部551と第2端部552との間に位置する。接続部553は、X軸方向に垂直な第1垂直部分553aと第2垂直部分553bと、X軸方向に平行な水平部分553cとに分けられ、水平部分553cは、第1垂直部分553aと第2垂直部分553bを接続する。第1垂直部分553aと第2垂直部分553bとは、Z軸方向に沿って延在する。第1垂直部分553aの末端は、第1端部551に接続され、第2垂直部分553bの末端は、第2端部552に接続される。水平部分553c、第1垂直部分553a又は第2垂直部分553bが第1スリットにある場合、コンタクトピン55におけるこのような構造によって、コンタクトピン55の第1端部551及び第2端部552が弾性を持つようにされ、インクジェットプリンタの内部回路やインクカートリッジのチップとハードな接触によるチップの摩耗を回避する。
【0068】
図12に示すように、チップがコンタクトピンと傾斜して接触する時、短絡検出端子116、リセット端子111、クロック端子112が、対応するコンタクトピンの先尖部に接触し、電源端子113、接地端子114、データ端子115が、対応するコンタクトピン部の斜面部に接触する。第1高圧端子211、第2高圧端子212は、対応するコンタクトピンの斜面部に接触する。凹部22は、コンタクトピン55の第1端部551を収容可能である。チップホルダ4における切り欠きは、コンタクトピンの第1端部551を収容することもでき、コンタクトピンの第1端部551がチップ又はチップホルダと干渉することを回避する。
【0069】
図13に示すように、それに応じて、本願の実施形態は、インクカートリッジをさらに開示し、該インクカートリッジ6は、本体60と、前リブ61と、後リブ62と、インク量検出部63と、端子取付部64とを含む。本体60は、上表面601と、下表面602と、前表面603と、後表面604と、インク吐出口605と、捨て孔606とを備え、上表面601と下表面602が平行に設けられ、前表面603と後表面604が平行に設けられる。インク量検出部63は、本体60の前表面603に設けられ、インク吐出口605と捨て孔606は、それぞれ本体60の前表面603に開設される。前リブ61と後リブ62は、それぞれ本体60の上表面601に設けられ、前リブ61と後リブ62との間には窪み620を有する。端子取付部64は、前表面603と上表面601との接続箇所に設けられる。捨て孔606は、端子取付部64の両側に位置し、インクカートリッジケースの射出成形過程において型抜きなどを容易にするために用いられる。
【0070】
インクカートリッジ6が取付部に取り付けられる過程において、前リブ61及び後リブ62は、ガイド作用を果たすことができ、プリント装置の取付部上の係合部は、窪み620内に係合し、インクカートリッジの取付部からの離脱が防止される。さらに、本体60の下表面にも、前リブ、後リブ及び窪みを有し、その作用は、上表面に設けられた前リブ、後リブ及び窪みと一致する。
【0071】
図14及び
図15に示すように、端子取付部64は、上記実施形態のチップ100を含み、かつ端子取付部64は、収容キャビティ641と、底面642と、第1側面643と、第2側面644と、第3側面645と、第1側壁646と、第2側壁647と、第3側壁648と、第1ガイド部649と、第2ガイド部650とを有する。ここで、底面642、第1側面643、第2側面644及び第3側面645は、収容キャビティ641を構成し、第1側壁646は第1側面643に接続され、第2側壁647は第2側面644に接続され、第3側壁648は第3側面645に接続される。チップ100は、収容キャビティ641内の底面642に取り付けられ、該収容キャビティ641は、コンタクトピン部5の一部を収容するために用いられることができる。
【0072】
本実施形態において、第1基板1と第2基板2は、チップホルダ4に取り付けられ、チップホルダ4と一体に組み合わせられ、該一体に組み合わせられた第1基板1、第2基板2及びチップホルダ4は、収容キャビティ641の底面に取り付けられる。他の実施形態において、チップホルダを備えなくてもよく、第1基板1及び第2基板2が収容キャビティ641の底面に直接的に取り付けられる。
【0073】
具体的には、第1ガイド部649は、+Y軸方向に沿って、徐々に+X軸方向へオフセットする面であり、最終的に第1ガイド部649は、第1側面643に接続される。第2ガイド部650は、+Y方向に沿って、徐々に-X軸方向へオフセットする面であり、最終的に第2ガイド部650は、第2側面644に接続される。端子取付部64の+Z軸方向からの平面視で、収容キャビティ641は、U字形を呈する。第1ガイド部649と第2ガイド部650は、ベルマウスを形成し、徐々に収容キャビティ641内へ収縮する。第1ガイド部649及び第2ガイド部650の設置によって、コンタクトピン部5の第1突起521及び第2突起522が収容キャビティ641内に入るようにより良くガイドすることができる。
【0074】
具体的にインクカートリッジを取り付ける時、端子取付部64は、徐々にコンタクトピン部5に近接し、第1ガイド部649、第2ガイド部650のうちの1つは、第1突起52における-X軸側の第1側部521、第2突起53における+X軸側の第2側部のうちの1つに接触し、インクカートリッジの取り付けにつれて徐々に収容キャビティ641内にガイドされる。第1側面643は、第1突起52の第1側部521に接触し、第2側面644は、第2突起53の第2側部に接触し、X軸方向の位置決めを完了し、チップは、複数のコンタクトピンと予備的に接触する。取り付けを継続して、取付部における係合部位がインクカートリッジの対応する位置に係合すると、チップとコンタクトピンが電気的接続を形成し、続いてチップ認証、取付検出等の作業が完成される。インク吐出口等の部分は、取付部における対応する部分に接触する。インクカートリッジの取付動作が完了する。
【0075】
従来技術において、チップは、XY平面に対して傾斜して設けられ、かつコンタクトピン部5のベース56と平行であり、かつ第1側壁と第2側壁には、それぞれ凹溝が開設され、インクカートリッジが取付部に取り付けられる時に、コンタクトピン部が凹溝内に挿入される。コンタクトピン部と第1側壁及び第2側壁における凹溝との僅かな位置ずれによって、コンタクトピン部5と第1側壁及び第2側壁における凹溝とのハードな接触が発生する事態を引き起こしてしまい、使用者の取り付け力が大きすぎると、インクカートリッジがハードな接触によって損傷される可能性があり、特にチップが前端面に位置してより損傷されやすくなる。
【0076】
この技術案において、チップは、XY平面に対して平行に設けられ、かつZ軸に対して垂直であり、鉛直方向に対して垂直であり、コンタクトピン部のコンタクトピンは、傾斜するものである。第1突起52の第1側部521、第2突起53の第2側部は、第1側面643、第2側面644とマッチングして位置決めを完了する。第1側面643、第2側面644は、1つの平面である。この構造によって、コンタクトピン部5が収容キャビティ641に位置する場合、コンタクトピン部5がZ軸方向において一定の浮動範囲を持つことを可能にする。従来技術のハードな接触の事態が回避され、インクカートリッジ又はチップの損傷が回避され、インクカートリッジをよりスムーズに、より安全に取り付けることができる。
【0077】
図16に示すように、本願の実施形態は、さらに別のインクカートリッジを開示し、該インクカートリッジ6は、本体60と、端子取付部64と、第1側リブ65と、第2側リブ66と、固定部67とを含む。本体60は、上表面601と、下表面602と、前表面603と、後表面604とを有し、上表面601は、下表面602に対向して設けられ、前表面603は、後表面604に対向して設けられる。前表面603にはインク吐出口605が開設され、第1側リブ65と第2側リブ66は、それぞれ上表面601に設けられ、固定部67は、下表面602に位置する。端子取付部64は、前表面603と上表面601との接続箇所に位置する。インクカートリッジが取付部に取り付けられる過程において、第1側リブ65及び第2側リブ66は、ガイド作用を果たすことができる。取付部における係合部は、固定部67内に係合して、インクカートリッジの取付部からの離脱を防止する。下表面にも第1側リブ、第2側リブが設けられ、その作用は、上表面における第1側リブ、第2側リブと一致する。
【0078】
図17に示すように、端子取付部は、上記実施形態のチップ100を含み、かつ端子取付部64は、収容キャビティ641と、底面642と、第1側面643と、第2側面644と、第3側面645と、第1側壁646と、第2側壁647と、第3側壁648と、第1貫通孔651と、第2貫通孔652とを有する。ここで、底面642、第1側面643、第2側面644及び第3側面645は、収容キャビティ641を構成する。第1側壁646は、第1側面643に接続され、第2側壁647は、第2側面644に接続され、第3側壁648は、第3側面645に接続される。チップ100は、収容キャビティ641内の底面642に取り付けられ、該収容キャビティ641は、コンタクトピン部5の一部を収容するために用いられることが可能である。
【0079】
本実施形態において、第1基板1及び第2基板2は、チップホルダ4に取り付けられ、チップホルダ4と一体に組み合わせられ、該一体に組み合わせられた第1基板1、第2基板2及びチップホルダ4は、収容キャビティ641の底面に取り付けられる。他の実施形態において、チップホルダを備えなくてもよく、第1基板及び第2基板が収容キャビティの底面に直接的に取り付けられる。
【0080】
具体的には、第1貫通孔651が第1側壁646に位置し、かつ第1貫通孔651がZ軸方向における第1上面、第1下面を有する。第2貫通孔652が第2側壁647に位置し、かつ第2貫通孔652がZ軸方向における第2上面、第2下面を有する。端子取付部の+Z軸方向からの平面視で、収容キャビティ641は、U字形を呈する。インクカートリッジが取付部に取り付けられる時、第1突起52が第1貫通孔651内に入り、第2突起53が第2貫通孔652内に入るようになる。
【0081】
上記実施形態との相違点は、第1側面643、第2側面644、第3側面645が、第1突起52の第1側部521、第2突起53の第2側部とマッチングしないことにある。
【0082】
具体的にインクカートリッジを取り付ける時、端子取付部64が徐々にコンタクトピン部5に近接する。第1突起52が第1貫通孔651内に入り、第2突起53が第2貫通孔652内に入るようになり、Z軸方向の位置決めを完了する。チップが、複数のコンタクトピンと予備的に接触する。取り付けを継続して、取付部における係合部位がインクカートリッジの対応する位置に係合すると、チップとコンタクトピンが電気的接続を形成し、続いてチップ認証、取付検出等の作業が完成される。インク吐出口等の部分が、取付部における対応する部分に接触する。インクカートリッジの取付動作が完了する。
【0083】
従来技術において、チップは、XY平面に対して傾斜して設けられ、かつベースに平行であり、かつ第1側壁と第2側壁には、凹溝が開設され、インクカートリッジが取付部に取り付けられる時に、コンタクトピン部が凹溝内に挿入される。コンタクトピン部と第1側壁及び第2側壁における凹溝との僅かな位置ずれによって、コンタクトピン部と第1側壁及び第2側壁における凹溝とのハードな接触が発生する事態を引き起こしてしまい、使用者の取り付け力が大きすぎると、インクカートリッジがハードな接触によって損傷される可能性があり、特にチップが前端面に位置してより損傷されやすくなる。
【0084】
この技術案において、チップは、XY平面に対して平行に設けられ、かつZ軸に対して垂直であり、コンタクトピン部のコンタクトピンは、傾斜するものである。第1突起52の第1側部521、第2突起53の第2側部は、インクカートリッジと接触せず、すなわち、X軸方向において、インクカートリッジは、第1突起52及び第2突起53のX軸方向を制限しないようにされる。第1貫通孔651、第2貫通孔652は、X軸方向の貫通孔である。この構造によって、コンタクトピン部5が収容キャビティ641に位置する場合、コンタクトピン部5がX軸方向に一定の浮動範囲を持つことを可能にする。従来技術のハードな接触の事態が回避され、インクカートリッジ又はチップの損傷が回避され、インクカートリッジをよりスムーズに、より安全に取り付けることができる。
【0085】
以上は、本願の好ましい実施形態に過ぎず、本願の保護範囲は、これに限定されるものではなく、当業者が本願に開示された技術的範囲内に容易に想到し得る変更または置換などは、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲によって示されるべきである。
【符号の説明】
【0086】
1、第1基板;101、第1面;102、第2面;103、第3面;104、第4面;105、第5面;106、第6面;11、第1端子;111、リセット端子;112、クロック端子;113、電源端子;114、接地端子;115、データ端子;116、短絡検出端子;117、付加端子;118、第1延在端子;119、第2延在端子;12、第1凹溝;13、第1孔;14、第2孔;15、第3孔;2、第2基板;201、第1表面;202、第2表面;203、第3表面;204、第4表面;205、第5表面;206、第6表面;21、第2端子;211、第1高圧端子;212、第2高圧端子;22、凹部;23、第4孔;24、第5孔;25、第6孔;26、第2凹溝;27、第2接続端子;3、フレキシブル連結部材;4、チップホルダ;41、ホルダ本体;411、切り欠き;412、第1取付平面;413、第2取付平面;414、貫通孔;42、第1柱;43、第2柱;44、第3柱;45、第4柱;46、第5柱;47、バックル;5、コンタクトピン部;51、フック部;52、第1突起;521、第1側部;53、第2突起;54、対向面;55、コンタクトピン;551、第1端部;551a、斜面部;551b、先尖部;551c、底部;552、第2端部;553、接続部;553a、第1垂直部分;553b、第2垂直部分;553c、第3水平部分;56、ベース;6、インクカートリッジ;60、本体;601、上表面;602、下表面;603、前表面;604、後表面;605、インク吐出口;606、捨て孔;61、前リブ;62、後リブ;620、窪み;63、インク量検出部;64、端子取付部;641、収容キャビティ;642、底面;643、第1側面;644、第2側面;645、第3側面;646、第1側壁;647、第2側壁;648、第3側壁;649、第1ガイド部;650、第2ガイド部;651、第1貫通孔;652、第2貫通孔;65、第1側リブ;66、第2側リブ;67、固定部;100、チップ。