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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】めっき鋼線及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/06 20060101AFI20230606BHJP
   C23C 2/38 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
C23C2/06
C23C2/38
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021577188
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 KR2019007726
(87)【国際公開番号】W WO2020262730
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(73)【特許権者】
【識別番号】515005242
【氏名又は名称】キスワイヤ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KISWIRE LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】515084708
【氏名又は名称】ホンドク インダストリアル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ‐チョル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン‐ソン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ソン‐フン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,グァン‐ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,イル‐リョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン‐サン
【審査官】今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-053779(JP,A)
【文献】特表2018-507321(JP,A)
【文献】特表2014-501334(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1778440(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/06
C23C 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素地鋼線及び亜鉛合金めっき層を含み、
前記亜鉛合金めっき層は、重量%で、Al:1.0~3.0%、Mg:1.0~2.0%、Fe:0.5~5.0%、残りはZn及び不可避な不純物からなり、Zn/MgZn/Alの3元系工程組織、Zn単相組織及びFe-Zn-Al系結晶組織を含み、
前記Fe-Zn-Al系結晶組織は、前記素地鋼線に隣接して形成され、前記亜鉛合金めっき層の平均厚さに対して1/5~1/2の平均厚さを有し、
前記亜鉛合金めっき層の断面において、Zn単相組織の柱状晶の平均間隔は1~5μmであることを特徴とするめっき鋼線。
【請求項2】
前記亜鉛合金めっき層の断面において、前記Zn/MgZn/Alの3元系工程組織及び前記Zn単相組織が占める面積のうち、前記Zn単相組織が占める面積分率は60%以上であることを特徴とする請求項1に記載のめっき鋼線。
【請求項3】
溶融亜鉛めっき浴に素地鋼線を1次浸漬して亜鉛めっき鋼線を製造する段階と
前記1次浸漬された亜鉛めっき鋼線を溶融亜鉛合金めっき浴に2次浸漬して亜鉛合金めっき鋼線を製造する段階と
前記2次浸漬された亜鉛合金めっき鋼線を15~50℃/sの冷却速度で冷却する段階と、を含み
前記溶融亜鉛合金めっき浴は、重量%で、Al:1.0~3.0%、Mg:1.0~2.0%、残りはZn及び不可避不純物からなり、
前記亜鉛合金めっき鋼線の亜鉛合金めっき層は、Zn/MgZn /Alの3元系工程組織、Zn単相組織及びFe-Zn-Al系結晶組織を含み、
前記Fe-Zn-Al系結晶組織は、前記素地鋼線に隣接して形成され、前記亜鉛合金めっき層の平均厚さに対して1/5~1/2の平均厚さを有し、
前記亜鉛合金めっき層の断面において、Zn単相組織の柱状晶の平均間隔は1~5μmであることを特徴とするめっき鋼線の製造方法。
【請求項4】
前記素地鋼線は、440~460℃の前記溶融亜鉛めっき浴に10~20秒間1次浸漬されることを特徴とする請求項3に記載のめっき鋼線の製造方法。
【請求項5】
前記1次浸漬された亜鉛めっき鋼線をZnの融点以下の温度範囲まで冷却して前記溶融亜鉛合金めっき浴に2次浸漬することを特徴とする請求項3に記載のめっき鋼線の製造方法。
【請求項6】
前記亜鉛めっき鋼線は、440~460℃の前記溶融亜鉛合金めっき浴に10~20秒間2次浸漬されることを特徴とする請求項3に記載のめっき鋼線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき鋼線及びその製造方法に係り、より詳しくは、加工性及び耐食性を効果的に確保しためっき鋼線及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛めっき法は、防食性能及び経済性に優れ、高耐食特性を有する鋼材を製造するのに広く使用されている。特に、溶融された亜鉛めっき浴に鋼材を浸漬してめっき層を形成した溶融亜鉛めっき鋼材は、電気亜鉛めっき鋼材に比べて製造工程が単純であり、製品の価格が安く、様々な分野にわたってその需要が増加する傾向にある。
亜鉛めっき層が形成された溶融亜鉛めっき鋼材は、腐食しやすい環境に暴露されたとき、Feより酸化還元電位の低いZnが先に腐食されて鋼材の腐食を抑制する犠牲方式(Sacrificial Corrosion Protection)の特性を有し、亜鉛めっき層のZnが酸化することで鋼材の表面に緻密な腐食生成物を形成させ、酸化雰囲気から鋼材を遮断するため、鋼材の耐腐食性を効果的に向上させることができる。
【0003】
しかし、産業の高度化に伴い大気汚染が増加し、腐食環境が悪化し、この現象が加速する傾向にあり、資源及び省エネに係る厳しい規制により、従来の亜鉛めっき鋼材よりも更に優れた耐食性を有する鋼材の開発の必要性が高まっている。
このような要求を満たすために、Zn-Al合金めっき鋼線が開発された。
Zn-Al合金めっき鋼線は一般に、酸洗-洗浄-脱脂などの清浄化作業後、亜鉛との界面での反応を活性化させるためにフラックス処理し、Alが含まれたZn系めっき浴に浸漬して製造する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0078670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的とするところは、加工性及び耐食性を効果的に確保しためっき鋼線及びその製造方法を提供することにある。
本発明の課題は、上述した内容に限定されない。通常の技術者であれば、本明細書の全体的な内容から本発明のさらなる課題を理解する上で何らの困難もない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のめっき鋼線は、素地鋼線及び亜鉛合金めっき層を含み、上記亜鉛合金めっき層は、重量%で、Al:1.0~3.0%、Mg:1.0~2.0%、Fe:0.5~5.0%、残りはZn及び不可避な不純物からなり、Zn/MgZn/Alの3元系工程組織、Zn単相組織及びFe-Zn-Al系結晶組織を含み、上記Fe-Zn-Al系結晶組織は上記素地鋼線に隣接して形成され、上記亜鉛合金めっき層の平均厚さに対して1/5~1/2の平均厚さを有することを特徴とする。
【0007】
上記亜鉛合金めっき層の断面において上記Zn/MgZn/Alの3元系工程組織及び上記Zn単相組織が占める面積のうち、上記Zn単相組織が占める面積分率は60%以上であることがよい。
上記亜鉛合金めっき層の断面においてZn単相組織の柱状晶の平均間隔は1~5μmであることが好ましい。
【0008】
本発明のめっき鋼線の製造方法は、溶融亜鉛めっき浴に素地鋼線を1次浸漬して亜鉛めっき鋼線を提供し、上記1次浸漬された亜鉛めっき鋼線を溶融亜鉛合金めっき浴に2次浸漬して亜鉛合金めっき鋼線を提供し、上記2次浸漬された亜鉛合金めっき鋼線を15~50℃/sの冷却速度で冷却し、且つ上記溶融亜鉛合金めっき浴は、重量%で、Al:1.0~3.0%、Mg:1.0~2.0%、残りはZn及び不可避不純物からなることが好ましい。
【0009】
上記素地鋼線は、440~460℃の上記溶融亜鉛めっき浴に10~20秒間1次浸漬されることがよい。
上記1次浸漬された亜鉛めっき鋼線をZnの融点以下の温度範囲まで冷却して上記溶融亜鉛合金めっき浴に2次浸漬することができる。
上記亜鉛めっき鋼線は、440~460℃の上記溶融亜鉛合金めっき浴に10~20秒間2次浸漬されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のめっき鋼線及びその製造方法は、加工性及び耐食性を効果的に向上させためっき鋼線及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】発明例1の断面を観察したFE-SEMイメージである。
図2】発明例1のめっき層の表面を観察したFE-SEMイメージである。
図3】比較例1の断面を観察したFE-SEMイメージである。
図4】比較例1のめっき層の表面を観察したFE-SEMイメージである。
図5】発明例1の伸線後、表面を観察したSEMイメージである。
図6】比較例1の伸線後、表面を観察したSEMイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、めっき鋼線及びその製造方法に関するものであって、以下では、本発明の好ましい実施例を説明する。本発明の実施例は様々な形態に変形することができ、本発明の範囲は、以下で説明する実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。本実施例は、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に、本発明をより詳細に説明するために提供されるものである。
本発明の一側面によるめっき鋼線は、素地鋼線及び亜鉛合金めっき層を含むことができる。本発明の素地鋼線は、特定の種類の鋼線に限定されるものではなく、溶融亜鉛めっき又は溶融亜鉛合金めっきに用いられるあらゆる種類の鋼線を含む意味として解釈することができる。
【0013】
また、本発明の一側面によるめっき鋼線の亜鉛合金めっき層は、重量%で、Al:1.0~3.0%、Mg:1.0~2.0%、Fe:0.5~5.0%、残りのZn及び不可避不純物を含むことができる。
以下では、本発明の亜鉛合金めっき層の組成についてより詳細に説明する。以下、特に断りのない限り、合金組成の含量に係る%は重量%を意味する。
【0014】
Mg:1.0~2.0%
Mgは亜鉛合金めっき層の耐食性向上に非常に重要な役割を果たす元素である。Mgは亜鉛合金めっき層内に含有され、過酷な腐食環境で耐食性向上効果の少ない亜鉛酸化物系腐食生成物の生成を抑制することができ、緻密で耐食性向上効果の大きい亜鉛水酸化物系腐食生成物をめっき層の表面で安定化させることができる。したがって、このような効果を達成するために、本発明のMg含量は1.0%以上であることがよい。ただし、Mnの含量が過剰に添加された場合、Mgの添加による耐食性向上効果が飽和に達し、Mgが酸化して形成される酸化性ドロス(dross)が溶融亜鉛合金めっき浴の液面で急激に増加するため、本発明のMg含量は2.0%以下に制限する。
【0015】
Al:1.0~3.0%
Alは、Mgが添加された溶融亜鉛合金めっき浴内でMgの酸化反応によって発生するドロスを減少させるために添加される元素である。また、AlはZn及びMgと組み合わせてめっき鋼線の耐食性を向上させることができる元素である。したがって、このような効果を達成するために、本発明のAl含量は1.0%以上であることがよい。好ましいAl含量は1.5%以上である。ただし、Al含量が過剰に添加された場合、溶融亜鉛合金めっき浴に浸漬された鋼線のFe溶出量が急激に増加するようになり、Fe合金系ドロスが形成される虞がある。また、溶融亜鉛合金めっき浴内にAl-Zn金属組織が形成されてめっき浴の温度が上昇し、亜鉛合金めっき層内に形成されたAl-Zn金属組織は、亜鉛合金めっき層の加工性を阻害する虞がある。したがって、本発明のAl含量は3.0%以下であることがよい。好ましいAl含量は2.8%以下である。
【0016】
Fe:0.5~5.0%
本発明の亜鉛合金めっき層に含まれるFeは、素地鋼板のFeと溶融亜鉛合金めっき浴のZnが反応してFe-Znを形成することにより亜鉛合金めっき層に流入される元素である。本発明は、亜鉛合金めっき層の界面部にFe-Zn-Al系結晶組織を形成してめっき層の密着性を確保するため、本発明の亜鉛合金めっき層に含まれるFe含量は0.5%以上であることがよく、好ましいFe含量は0.8%以上である。一方、亜鉛合金めっき層内に流入されるFe含量が過剰な場合、亜鉛合金めっき層の硬度が過度に上昇し、局部的な耐食性が低下する現象が発生する虞がある。したがって、本発明の亜鉛合金めっき層に含まれるFe含量は5.0%以下であることがよく、好ましいFe含量は4.3%以下である。
【0017】
本発明の亜鉛合金めっき層は、残りはZn及びその他の不可避な不純物からなる。通常の鉄鋼製造過程で原料または周囲環境から意図しない不純物が不可避に混入する可能性があるため、これを全面的に排除することはできない。これらの不純物は、通常の鉄鋼製造過程の技術者であれば、誰でも分かるものであるため、本発明では、特にその内容について言及しない。
【0018】
以下では、本発明の亜鉛合金めっき層の金属組織についてより詳細に説明する。
本発明の亜鉛合金めっき層は、Zn/MgZn/Alの3元系工程組織、Zn単相組織及びFe-Zn-Al系結晶組織を含むことができる。Fe-Zn-Al系結晶組織は素地鋼線と隣接して形成され、亜鉛合金めっき層の平均厚さに対して1/5~1/2の平均厚さを有するように形成されることがよい。すなわち、Fe-Zn-Al系結晶組織は、素地鋼線との界面から、亜鉛合金めっき層の平均厚さに対する1/5~1/2厚さの領域まで形成されるため、亜鉛合金めっき層と素地鋼線との密着性を効果的に確保することができる。したがって、本発明のめっき鋼線の加工時に亜鉛合金めっき層におけるクラック発生または亜鉛合金めっき層の剥離現象を効果的に防止することができるため、本発明のめっき鋼線は優れた加工性を確保することができる。
【0019】
亜鉛合金めっき層の断面においてZn/MgZn/Alの3元系工程組織及びZn単相組織が占める面積のうち、Zn単相組織が占める面積分率は60%以上であることがよく、好ましいZn単相組織の面積分率は60~90%である。また、Zn単相組織の柱状晶の平均間隔は1~5μmレベルで均一に分布することができ、それによりZn/MgZn/Alの3元系工程組織はZn単相組織の間に均一に分布することができる。したがって、本発明の亜鉛合金めっき層は、均一なZn単相組織及びZn/MgZn/Alの3元系工程組織を含み、均一な耐食性を有することができる。
【0020】
以下では、本発明の製造方法についてより詳細に説明する。
本発明の一側面によるめっき鋼線の製造方法は、溶融亜鉛めっき浴に素地鋼線を1次浸漬して亜鉛めっき鋼線を提供し、上記1次浸漬された亜鉛めっき鋼線を溶融亜鉛合金めっき浴に2次浸漬して亜鉛合金めっき鋼線を提供し、上記2次浸漬された亜鉛合金めっき鋼線を15~50℃/sの冷却速度で冷却する。
【0021】
本発明の溶融亜鉛めっき浴は、Znが主成分であるめっき浴を意味するが、めっき浴の製造工程で不可避に流入される不純物を含むことができる。また、本発明の溶融亜鉛めっき浴は、Al及びMgなどの合金成分を人為的に多量に添加しない、純粋なZnに近いめっき浴を意味する。したがって、本発明の溶融亜鉛めっき浴は95%以上のZn、好ましくは98%以上のZn、さらに好ましくは99%以上のZnを含有することが好ましい。
【0022】
本発明の溶融亜鉛合金めっき浴の組成含量は、上記の亜鉛合金めっき層の組成含量の制限理由に対応するため、本発明の溶融亜鉛合金めっき浴の組成含量の制限理由に対する説明は、上記の亜鉛合金めっき層の組成含量の制限理由についての説明に代える。ただし、亜鉛合金めっき層のFe成分は素地鋼線から流入される成分であるため、上記の亜鉛合金めっき層の組成含量についての説明のうち、Fe成分に関する説明は、本発明の溶融亜鉛合金めっき浴の組成含量についての説明から除外されてよい。
【0023】
前処理及び1次浸漬
酸洗、洗浄脱脂等の工程により素地鋼線を清浄化処理し、フラックス処理を実施する。このような前処理工程を経た素地鋼線を440~460℃の溶融亜鉛めっき浴に10~20秒間1次浸漬して亜鉛めっき鋼線を製造する。したがって、1次浸漬された亜鉛めっき鋼線には、主成分がZnである亜鉛めっき層が形成されることになる。
【0024】
溶融亜鉛合金めっき浴の準備
所定のZn-Al-Mg含有複合インゴットあるいは個別成分が含有されたZn-Mg、Zn-Alインゴットを使用して、重量%で、Al:1.0~3.0%、Mg:1.0~2.0%、残りはZn及び不可避な不純物からなる溶融亜鉛合金めっき浴を製造する。これらのインゴットを溶融するのに適切な温度範囲は440~520℃である。インゴットの溶融温度が高いほど、めっき浴内の流動性が確保され、また、均一な組成が可能であり、浮遊ドロスの発生量を減少させることができるため、440℃以上の温度範囲でインゴットを加熱して溶解することがよい。ただし、溶融亜鉛合金めっき浴の温度が520℃を超える場合、Znの蒸発によるアッシュ(ash)性表面欠陥が発生する虞があるため、インゴットの溶融温度も520℃以下に制限することが好ましい。好ましくは、インゴットの溶融の初期段階で溶融亜鉛合金めっき浴の温度を500~520℃レベルに保持して溶解を開始した後、溶融亜鉛合金めっき浴の温度を安定化させ、440~480℃の温度範囲で溶解を完了することが好ましい。
【0025】
2次浸漬
1次浸漬された亜鉛めっき鋼線をZnの融点以下の温度範囲まで冷却した後、上記の過程を経て準備された溶融亜鉛合金めっき浴に浸漬する。
一般に、めっき浴内の成分中、Alの含量が高くなると、融点が高くなるため、めっき浴の内部設備が侵食され、装置の寿命短縮を招くだけでなく、めっき浴内のFe合金ドロスが増加してめっき材の表面が不良になる虞がある。しかし、本発明の溶融亜鉛系めっき浴のAlの含量は1.0~2.0%と比較的に低いレベルであるため、溶融亜鉛合金めっき浴の温度を必要以上に高く設定する必要はない。したがって、2次浸漬に提供される溶融亜鉛合金めっき浴の温度は、通常のめっき浴の温度を適用することができ、好ましくは440~480℃の温度範囲を適用することができる。また、2次浸漬時間も、亜鉛合金めっき層の厚さなどを考慮して適切に適用することができ、好ましくは10~20秒間の2次浸漬が行われることがよい。
1次浸漬によって素地鋼板の表面に形成された亜鉛めっき層は、2次浸漬時に一部または全部が再溶解され、このとき、亜鉛合金めっき溶液に含まれたAl成分が素地鋼板との界面側に拡散移動する。
【0026】
冷却
2次浸漬が完了した亜鉛合金めっき鋼線は15~50℃/sの冷却速度で冷却されることがよく、好ましくは2次浸漬が終了した直後15~50℃/sの冷却速度で亜鉛合金めっき鋼線を冷却されることである。すなわち、溶融亜鉛合金めっき浴の湯面から冷却が開始されることがよい。Zn単相組織の柱状晶の粗大化を防止し、Zn/MgZnの2元系工程組織の形成を防止するために、本発明の冷却速度は15℃/s以上であることがよい。Zn単相組織の柱状晶の平均間隔が5μmを超える場合、Zn単相組織の柱状性が過度に粗大化するため、均一な耐食性が確保できない。また、めっき層内に形成されたZn/MgZnの2元系工程組織は、めっき鋼線の加工時にクラックを誘発するため、均一な耐食性及び加工性を損なう虞がある。一方、冷却速度が過度な場合、Zn単相組織の柱状晶が過度に微細化して局部的に均一でない耐食性が発現される虞があり、Fe-Zn-Al系組織の拡散が不十分となり界面層に密集して結晶組織が形成されるため、溶融亜鉛合金めっき層と素地鋼線との十分な結合力が期待できず、それによりめっき鋼線の加工性が劣る虞がある。
【0027】
本発明の冷却は、窒素、アルゴン、及びヘリウムなどの不活性ガスを供給して実施することができるが、製造コスト低減の観点から相対的に安価な窒素が好ましい。
【実施例
【0028】
以下では、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。
(実施例)
重量%で、C:0.82%、Si:0.2%、Mn:0.5%、P:0.003%、残りはFe及び不可避な不純物からなり、5mmの直径を有する鋼線を試験片として準備した後、脱脂及び酸洗を実施し、塩化亜鉛(ZnCl)及び塩化アンモニウム(NHCl)を主成分とするフラックスを用いてフラックス処理を実施した。その後、0.2wt%のAlを含み、460℃に加熱された溶融亜鉛めっき浴にフラックス処理された鋼線を15秒間1次浸漬し、溶融亜鉛めっき層の平均厚さを20μmに調節した後、Znの融点以下の温度まで冷却した。以後、以下の表1のめっき層組成と対応する組成(Fe成分を除く)を有する460℃のZn-Mg-Al系めっき浴に15秒間浸漬した後、冷却条件をそれぞれ別に適用してめっき鋼線を製造した。
【0029】
製造された各々のめっき鋼線を長さ方向に対して垂直な方向に切断した後、走査電子顕微鏡(FE-SEM、Field Emission Scanning Electron Microscope)で断面を撮影し、撮影結果に基づいてめっき層の断面におけるZn単相組織の面積比率、Zn単相組織の柱状晶の平均間隔及びZn/MgZn/Alの3元系工程組織及びZn/MgZnの2元系工程組織の存在有無と分布度を測定した。Zn単相組織の面積比率は、めっき層の断面においてZn単相組織及びZn/MgZn/Alの3元系工程組織が占める面積のうち、Zn単相組織が占める面積比率を意味する。
【0030】
その後、加工性を評価するために各々のめっき鋼線を80%の直径減面率で伸線して1mmのめっき鋼線に加工し、加工されためっき鋼線の表面外観及び耐食性の評価を実施した。表面外観の評価は、伸線されためっき鋼板の表面をSEMを用いて撮影し、当該イメージ内でクラックの存在有無に基づいて判断した。耐食性の評価は、伸線された各々のめっき鋼線に対して塩水噴霧試験を実施して評価した。すなわち、各々のめっき鋼線を塩水噴霧試験機に装入した後、国際規格(ASTM B117-11)により赤錆発生時間を測定した。具体的に、塩水噴霧試験機では5%濃度の塩水(温度:35℃、pH6.8)を1時間当たり2ml/80cmの噴射量で噴霧した。各々のめっき鋼線に対して、赤錆発生時間が300時間以上の場合は「◎」、200時間以上300時間未満の場合は「○」、100時間以上200時間未満の場合は「△」、100時間未満の場合は「X」と表した。これは一般に、塩水噴霧試験の際、赤錆発生時間が300時間以上の場合、過酷な酸化環境でも優れた耐食性を確保可能であることを意味する。
【0031】
【表1】
【0032】
発明例1~4は、本発明の条件を満たすことから、伸線後にクラックが発生せず、塩水噴霧の評価時に300時間が経過して赤錆が発生したことが確認できる。一方、比較例1~4は、本発明の条件を満たさないことから、伸線後にクラックが発生し、塩水噴霧の評価時に200時間以内に赤錆が発生したことが確認できる。
【0033】
図1は、発明例1の断面を観察したFE-SEMイメージであり、図2は、発明例1のめっき層の表面を観察したFE-SEMイメージである。
図1及び図2に示したとおり、発明例1の場合、Zn単相組織の面積分率は約85%レベルであり、Zn単相組織の柱状晶の平均間隔は3μmレベルであって、Zn単相組織の柱状晶が微細に形成されたことが確認できる。また、発明例1の場合、Fe-Zn-Al系結晶組織は、全体めっき層の厚さに対して界面から約1/5レベルで形成され、Zn/MgZn/Alの3元系工程組織がZn単相組織の間に均一に分布することが確認できる。
【0034】
図3は、比較例1の断面を観察したFE-SEMイメージであり、図4は、比較例1のめっき層の表面を観察したFE-SEMイメージである。
図3及び図4に示したとおり、比較例1の場合、Zn単相組織の面積分率は約50%レベルであり、Zn単相組織の柱状晶の平均間隔は15μmレベルであって、Zn単相組織の柱状晶が粗大に形成されたことが確認できる。また、比較例1の場合、Fe-Zn-Al系結晶組織は、全体めっき層の厚さに対して界面から約1/6レベルに薄く形成され、Zn/MgZnの2元系粗大工程組織が混入され、全体的に組織が不均一に分布することが確認できる。
【0035】
図5は、発明例1の伸線後、表面を観察したSEMイメージであり、図6は、比較例1の伸線後、表面を観察したSEMイメージである。
図5に示したとおり、発明例1の場合、伸線後、めっき層の表面にクラックが発生しないことが確認できる。一方、図6に示したとおり、比較例1の場合、伸線後、めっき層の表面にクラックが発生したことが確認できる。
したがって、本発明の一側面によるめっき鋼線及びその製造方法は、加工性及び耐食性を効果的に確保しためっき鋼線及びその製造方法を提供することができる。
【0036】
以上のとおり、実施例を通じて本発明を詳細に説明したが、これと異なる形態の実施例も可能である。したがって、以下に記載された特許請求の範囲の技術的思想及び範囲は実施例に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6