(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20230606BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/42
(21)【出願番号】P 2022074360
(22)【出願日】2022-04-28
(62)【分割の表示】P 2018079233の分割
【原出願日】2018-04-17
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】柴山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 幸星
(72)【発明者】
【氏名】秋元 正行
(72)【発明者】
【氏名】河本 康伸
(72)【発明者】
【氏名】原田 雄太
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英範
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-195013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
B60N 2/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトを着脱可能なバックルがシートクッションの左右方向の一方側に配置される乗物用シートであって、
前記シートクッションは、
クッションフレームと、
前記クッションフレームの前記一方側に設けられ、前記バックルよりも前方に配置される補強部材であって、一端と他端が前記クッションフレームに取り付けられる補強部材と、
前記クッションフレームと前記補強部材に被せられるパッドと、を備え、
前記補強部材は、
前記クッションフレームから前記一方側に延びる基部と、
前記基部から後方に突出する突出部と、を有し、
前記補強部材の前記一端は、前記補強部材の前記他端よりも前方に配置され、
前記突出部の後端は、前記補強部材の前記他端よりも後方に配置され、
前記突出部と前記クッションフレームとの間の空間が後方に開放され
、
前記パッドは、左右方向の前記一方側の側面として、最も左右方向外側に配置される第1面と、前記第1面よりも後方かつ左右方向内側に配置される第2面と、を有し、
前記第2面は、前記バックルよりも左右方向内側に配置され、左右方向から見て、前記バックルと重なっていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
前記補強部材の前記一端と前記他端は、左右方向で異なる位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の乗物用シート。
【請求項3】
前後方向において、前記補強部材の前記他端から前記突出部の前記後端までの距離は、前記補強部材の前記一端から前記他端までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記突出部は、前記補強部材の前記他端よりも上方に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記突出部は、
前後方向に延びる第1部位と、
前記第1部位の後端から左右方向内側に屈曲する屈曲部と、
前記屈曲部から前方に延びる第2部位と、を有し、
左右方向において、前記第1部位から前記第2部位までの距離は、前記補強部材の前記一端から前記他端までの距離よりも小さいことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記補強部材は、ワイヤからなることを特徴とする請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルトを着脱可能なバックルがクッションフレームの左右方向の一方側に配置される乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、円筒状のパイプを枠状に折り曲げてなるクッションフレームの左側にバックルが配置された乗物用シートが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、クッションフレームに被せられるクッションパッドを、バックルの前方まで延長させる場合、クッションフレームから左右方向外側に突出するようにワイヤなどの補強部材をクッションフレームに接合し、この補強部材にクッションパッドを被せることがある。
【0005】
しかしながら、このような構造では、車両の前面衝突時などにおいて、乗物用シートに対して乗員の上半身が前方に倒れると、乗員の上半身の傾動に伴ってシートベルトが前方に移動し、シートベルトの移動が補強部材に止められるおそれがある。そして、このようにシートベルトの移動が補強部材で止められると、シートベルトに大きな負荷が加わってしまうという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、シートベルトの前方への移動が補強部材で止められるのを抑えることで、シートベルトに大きな負荷が加わるのを抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決する本発明は、シートベルトを着脱可能なバックルがシートクッションの左右方向の一方側に配置される乗物用シートである。
前記シートクッションは、クッションフレームと、前記クッションフレームの前記一方側に設けられ、前記バックルよりも前方に配置される補強部材と、前記クッションフレームと前記補強部材に被せられるパッドと、を備える。
前記補強部材は、前記クッションフレームから前記一方側に延びる基部と、前記基部から後方に突出する突出部と、を有し、前記突出部と前記クッションフレームとの間の空間が後方に開放されている。
【0008】
この構成によれば、突出部とクッションフレームとの間の空間が後方に開放されることで、車両の前面衝突時に、バックルに装着されたシートベルトが乗員とともに前方に移動しても、シートベルトが、補強部材に引っ掛かることなく、空間を通って前方に移動するので、シートベルトに大きな負荷が加わるのを抑えることができる。
【0009】
また、前記補強部材は、ワイヤであってもよい。
【0010】
これによれば、補強部材をワイヤで構成することで、乗物用シートの軽量化を図ることができる。
【0011】
また、前記突出部は、前記基部から後方に延びる第1部位と、前記第1部位の後端から左右方向内側に屈曲する屈曲部と、前記屈曲部から前方に延びる第2部位と、を有していてもよい。
【0012】
これによれば、突出部がU形状となるので、突出部の剛性が上がり、パッドを良好に支持することができる。
【0013】
また、前記第2部位の長さは、前記第1部位よりも短くてもよい。
【0014】
これによれば、第2部位が第1部位よりも撓みにくいので、パッドが第1部位とクッションフレームとの間で凹むのを第2部位によって抑えることができる。
【0015】
また、前記補強部材は、前記第2部位から前記クッションフレームまで延びる第3部位を有し、前記基部と前記第3部位が、前記クッションフレームに固定されていてもよい。
【0016】
これによれば、ワイヤである補強部材の両端部を、クッションフレームに固定するので、補強部材によってパッドを良好に支持することができる。
【0017】
また、前記クッションフレームに対する前記基部および前記第3部位の各固定箇所が、左右方向で異なる位置に位置していてもよい。
【0018】
これによれば、例えば溶接などによって基部および第3部位をクッションフレームに固定する作業を、効率よく行うことができる。
【0019】
また、前記第3部位は、前記クッションフレームの下側の面に固定されていてもよい。
【0020】
これによれば、第3部位がクッションフレームの下側の面に固定されているので、第3部位の固定箇所がシートクッションの座面形状に影響するのを抑えることができる。
【0021】
また、前記第3部位は、前記クッションフレーム側から前記一方側および上側に向けて斜めに延びる部分を有していてもよい。
【0022】
これによれば、突出部に上方から荷重が加わった場合であっても、斜め上に延びる部分を有する第3部位によって上方からの荷重を良好に受けることができ、パッドが過剰に沈み込むのを抑えることができる。
【0023】
また、前記突出部の少なくとも一部は、左右方向において、前記バックルの範囲内に位置していてもよい。
【0024】
これによれば、バックルの前方までパッドを延ばすことができるとともに、延ばしたパッドを突出部で良好に支持することができる。
【0025】
また、前記第1部位と前記第2部位は、平行に配列されていてもよい。
【0026】
これによれば、シートクッションの上面に荷重がかかる場合に、平行に配列された第1部位と第2部位とによって、しっかりと荷重を支持することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、シートベルトの前方への移動が補強部材で止められるのを抑えることができるので、シートベルトに大きな負荷が加わるのを抑えることができる。
【0028】
また、補強部材をワイヤで構成することで、乗物用シートの軽量化を図ることができる。
【0029】
また、突出部を、第1部位、屈曲部および第2部位を有するU形状とすることで、突出部の剛性が上がり、パッドを良好に支持することができる。
【0030】
また、第2部位の長さを第1部位よりも短くすることで、第2部位が第1部位よりも撓みにくくなるので、パッドが第1部位とクッションフレームとの間で凹むのを第2部位によって抑えることができる。
【0031】
また、ワイヤである補強部材の両端部をクッションフレームに固定することで、補強部材によってパッドを良好に支持することができる。
【0032】
また、クッションフレームに対する基部および第3部位の各固定箇所を左右方向で異なる位置にすることで、例えば溶接などによって基部および第3部位をクッションフレームに固定する作業を、効率よく行うことができる。
【0033】
また、第3部位をクッションフレームの下側の面に固定することで、第3部位の固定箇所がシートクッションの座面形状に影響するのを抑えることができる。
【0034】
また、第3部位が、クッションフレーム側から一方側および上側に向けて斜めに延びる部分を有することで、突出部に上方から荷重が加わった場合であっても、斜め上に延びる部分を有する第3部位によって上方からの荷重を良好に受けることができ、パッドが過剰に沈み込むのを抑えることができる。
【0035】
また、突出部の少なくとも一部を左右方向においてバックルの範囲内に位置させることで、バックルの前方までパッドを延ばすことができるとともに、延ばしたパッドを突出部で良好に支持することができる。
【0036】
また、第1部位と第2部位を平行に配列することで、シートクッションの上面に荷重がかかる場合に、しっかりと荷重を支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明に係る乗物用シートの一実施形態を示す車両用シートの斜視図である。
【
図2】クッションフレームを上から見た平面図である。
【
図4】車両が前面衝突したときの補強部材の作用効果を示す図(a)~(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る乗物用シートの一実施形態について説明する。一実施形態の乗物用シートは、例えば
図1に示すように、自動車に搭載される車両用シートSとして構成されている。この車両用シートSは、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備えている。なお、本発明において、前後、左右、上下は、シートに座る乗員を基準とする。
【0039】
車両用シートSは、車両の2列目のシートの右側の座席を構成しており、シートクッションS1の左側には、シートベルトSB(
図4参照)を着脱可能なバックルBCが配置されている。バックルBCは、長尺状の支持部材SPによって支持されることで、車両のフロアから離れた位置に配置されている。詳しくは、バックルBCは、左右方向から見て、シートクッションS1と重なる位置に配置されている。支持部材SPは、フロアに固定されたブラケットBRにスプリングの負荷によって回動可能に支持されている。
【0040】
シートクッションS1は、前側部分が2本の前脚F1によって支持され、後端部が2本後脚F2(1つのみ図示)によって支持されることで、車両のフロアから離れた位置に配置されている。
【0041】
図2に示すように、シートクッションS1は、クッションフレーム1と、クッションフレーム1の左側に設けられる補強部材2と、クッションフレーム1と補強部材2に被せられるパッド3とを備えている。パッド3は、ウレタンフォームなどのクッション材からなっている。パッド3は、合成皮革や布地などの表皮材4(
図1参照)で覆われている。
【0042】
パッド3は、バックルBCが設けられる側(左側)の側面として、最も左側に配置される第1面31と、第1面31よりも右側に配置される第2面32と、第2面32よりも右側に配置される第3面33とを有している。第1面31、第2面32および第3面33は、前後方向に沿っている。
【0043】
第1面31は、バックルBCよりも左側に配置されている。また、第1面31は、左右方向から見て、補強部材2と重なっている。
【0044】
第2面32は、第1面31よりも後方に配置され、左右方向に沿った第1段差面3Aを介して第1面31の後端に接続されている。第2面32は、バックルBCよりも右側に配置され、左右方向から見て、バックルBCと重なっている。
【0045】
第3面33は、第2面32よりも後方に配置され、左右方向に沿った第2段差面3Bを介して第2面32の後端に接続されている。このように、パッド3の左側の側部の形状が形成されることで、バックルBCは、第1面31から右側に向けて凹んだ凹部内に配置されている。
【0046】
また、パッド3は、前側の側面として、最も前側に配置される第4面34と、第4面34よりも後側に配置される第5面35とを有している。第4面34および第5面35は、左右方向に沿っている。
【0047】
第4面34は、補強部材2よりも右側に配置されている。第5面35は、第4面34よりも左側に配置され、左右方向に対して傾斜した第3段差面3Cを介して第4面34の左端に接続されている。第4面34は、前後方向から見て、補強部材2およびバックルBCと重なっている。第3段差面3Cは、前後方向から見て、補強部材2と重なっている。
【0048】
クッションフレーム1は、金属製のパイプ材をU形状に折り曲げてなるベースフレーム11を有している。ベースフレーム11は、左右方向に延びる前部11Aと、前部11Aの左右方向の各端部から後方に屈曲する円弧状の屈曲部11Bと、各屈曲部11Bの後端から後方に向けて延びる側部11Cとを有している。なお、クッションフレーム1は、ベースフレーム11の他、ベースフレーム11の両端部を繋ぐフレームなどの他のフレームも備えているが、便宜上、説明は省略する。
【0049】
補強部材2は、金属製のワイヤからなり、バックルBCよりも前方に配置されている。補強部材2は、クッションフレーム1から左側に延びる基部21と、基部21から後方に突出する突出部22と、第3部位23とを有している。
【0050】
基部21は、左右方向に沿って延びる部位であり、右側の端部が、ベースフレーム11の前部11Aの左端部に溶接などによって固定されている。詳しくは、基部21の右側の端部は、パイプ状の前部11Aにおける前斜め上部に接合されている。なお、基部21は、パイプ状の前部11Aの上端よりも下に配置するのが好ましい。
【0051】
突出部22は、基部21の左端部から後方に延びる第1部位22Aと、第1部位22Aの後端から左右方向内側(車両用シートSの左右方向の中心側)、つまり右側に屈曲するU形状の屈曲部22Bと、屈曲部22Bから前方に延びる第2部位22Cとを有している。第1部位22Aと第2部位22Cは、互いに平行となるように、左右方向に間隔を空けて並んでいる。第2部位22Cとベースフレーム11との間には、空間Aが形成されている。この空間Aは、後方に開放されている。
【0052】
また、第2部位22Cの前後方向の長さは、第1部位22Aよりも短くなっている。以上のように構成される突出部22の一部は、左右方向において、バックルBCの範囲内に位置している。詳しくは、第1部位22Aと屈曲部22Bの一部が、左右方向において、バックルBCの範囲内に位置している。
【0053】
第3部位23は、第2部位22Cの前端部からベースフレーム11まで延びるように形成されている。第3部位23の右側の端部は、ベースフレーム11の屈曲部11Bの後端部に溶接などによって固定されている。そのため、ベースフレーム11に対する基部21および第3部位23の各固定箇所が、左右方向と前後方向で異なる位置に位置している。詳しくは、基部21の固定箇所は、第3部位23の固定箇所に対して、前方、かつ、車両用シートSの左右方向の中心側に位置している。
【0054】
図3に示すように、第3部位23の右側の端部は、ベースフレーム11の下側の面に固定されている。詳しくは、第3部位23の右側の端部は、パイプ状の屈曲部11Bの下端に固定されている。また、第3部位23は、ベースフレーム11に固定される固定部23Aと、固定部23Aの左端から左側および上側に向けて斜めに延びる傾斜部23Bとを有している。そして、傾斜部23Bの左端は、第2部位22Cに接続されている。また、前述した第1部位22A、屈曲部22Bおよび第2部位22Cは、上下方向において同じ位置に配置されている。
【0055】
次に、補強部材2による作用効果について
図4を参照して説明する。
図4(a)に示すように、シートベルトSBをした乗員Pが車両を走行させているときに、車両が前面衝突した場合には、
図4(b),(c)に示すように、慣性力により乗員Pの上半身が前方に引っ張られて傾く。これにより、バックルBCに装着されたシートベルトSBが、車両用シートSの左右方向の中心側および前側に向けて引っ張られる。そのため、シートベルトSBのうちパッド3の第2面32に隣接する隣接部APは、パッド3を変形させながら、前側および左右方向の中心側に移動して、補強部材2の突出部22とベースフレーム11の間の空間A内に入り込む。これにより、シートベルトSBが補強部材2に干渉するのを抑えることができる。
【0056】
以上、本実施形態の車両用シートSによれば、次の各効果を奏することができる。
車両の前面衝突時に、バックルBCに装着されたシートベルトSBが乗員Pとともに前方に移動しても、シートベルトSBが、補強部材2に引っ掛かることなく、空間Aを通って前方に移動するので、シートベルトSBに大きな負荷が加わるのを抑えることができる。
【0057】
補強部材2をワイヤで構成したので、例えば補強部材を鉄板などで構成する場合と比べ、車両用シートSの軽量化を図ることができる。
【0058】
突出部22をU形状にしたので、突出部22の剛性が上がり、パッド3を突出部22で良好に支持することができる。
【0059】
第2部位22Cの長さを第1部位22Aよりも短くすることで、第2部位22Cが第1部位22Aよりも撓みにくくなるので、パッド3が第1部位22Aとベースフレーム11との間で凹むのを第2部位22Cによって抑えることができる。
【0060】
ワイヤである補強部材2の両端部を、ベースフレーム11に固定するので、補強部材2の剛性が上がり、パッド3を補強部材2で良好に支持することができる。
【0061】
ベースフレーム11に対する基部21および第3部位23の各固定箇所を左右方向で異なる位置にしたので、例えば溶接などによって基部21および第3部位23をベースフレーム11に固定する作業を、効率よく行うことができる。
【0062】
第3部位23をベースフレーム11の下側の面に固定したので、第3部位23の固定箇所がシートクッションS1の座面形状に影響するのを抑えることができる。
【0063】
第3部位23が斜め上に延びる傾斜部23Bを有するので、突出部22に上方から荷重が加わった場合であっても、傾斜部23Bを有する第3部位23によって上方からの荷重を良好に受けることができ、パッド3が過剰に沈み込むのを抑えることができる。
【0064】
突出部22の一部が左右方向においてバックルBCの範囲内に位置するので、バックルBCの前方までパッド3を延ばすことができるとともに、延ばしたパッド3を突出部22で良好に支持することができる。
【0065】
また、第1部位22Aと第2部位22Cを平行に配列したので、シートクッションS1の上面に荷重がかかる場合に、しっかりと荷重を支持することができる。
【0066】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。
【0067】
前記実施形態では、突出部22の一部を左右方向においてバックルBCの範囲内に配置したが、本発明はこれに限定されず、突出部の少なくとも一部が、左右方向において、前記バックルの範囲内に位置していていればよい。例えば、突出部の全体が左右方向においてバックルの範囲内に位置していてもよい。
【0068】
前記実施形態では、車両の左右方向の中心に対して右側に配置されるシートに本発明を適用したが、本発明はこれに限定されず、左側に配置されるシート、つまり右側にバックルが配置されたシートに本発明を適用してもよい。また、本発明は、2列目のシートに限らず、1列目や3列目のシートに適用してもよい。
【0069】
前記実施形態では、パイプ状のベースフレーム11の下端に第3部位23を固定したが、本発明はこれに限定されず、例えばパイプ状のベースフレームの下側半分の半円筒状の曲面のうち下端以外の個所に第3部位を固定してもよい。
【0070】
前記実施形態では、乗物用シートとして、自動車で使用される車両用シートSを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。
【0071】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 クッションフレーム
2 補強部材
3 パッド
21 基部
22 突出部
A 空間
BC バックル
S 車両用シート
S1 シートクッション
SB シートベルト