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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】金属回収システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20230606BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20230606BHJP
   G01N 31/00 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G01N21/05
G01N31/00 S
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022182138
(22)【出願日】2022-11-14
【審査請求日】2022-11-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596133201
【氏名又は名称】松田産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉井 大介
【審査官】古川 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-002566(JP,A)
【文献】特開2003-253453(JP,A)
【文献】特許第2691366(JP,B2)
【文献】特公平07-014336(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第109761383(CN,A)
【文献】特開2008-272742(JP,A)
【文献】特開2007-064913(JP,A)
【文献】特開2011-122987(JP,A)
【文献】特開2010-151605(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102954942(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112485208(CN,A)
【文献】中国実用新案第207525308(CN,U)
【文献】特開2013-205074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/74
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01N 31/00
G01J 3/00 - G01J 4/04
G01J 7/00 - G01J 9/04
B01J 20/00 - B01J 20/281
B01J 20/30 - B01J 20/34
C02F 1/28
C02F 9/00 - C02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液に含まれる金属を回収する金属回収システムであって、
溶液に含まれる金属を吸着する第1吸着部と、前記第1吸着部から出た溶液に残留する金属を検出する金属検出装置と、前記金属検出装置から出た溶液に含まれる金属を吸着する第2吸着部とを含み、
前記金属検出装置が、
前記第1吸着部から出た金属を含む溶液が流れる筒状の管と、
前記管の内部に、前記金属を含む前記溶液の白色光下での液色の補色の光を照射する光源と、
前記管の内部から光を検出する検出部と、
前記検出部から検出結果を取得する制御部とを備え、
前記制御部は、前記検出結果に基づいて、前記溶液に含まれる前記金属の金属濃度が所定値以上であるか否かを判定する、
金属回収システム。
【請求項2】
前記金属を含む前記溶液は、テトラアンミンパラジウム、ジニトロジアンミンパラジウムを含む溶液であり、
前記補色は、青色である、
請求項1に記載の金属回収システム。
【請求項3】
前記管は、直線状であり、
前記管の一端には、前記光源が設けられ、
前記管の他端には、前記検出部が設けられる、
請求項1又は2に記載の金属回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品分野で使用されるプリント基板は、回路となる銅と基板素材である樹脂とで構成されている。このプリント基板上に無電解銅めっきなどの無電解めっき皮膜を形成する場合、プリント基板の被めっき面に非導電性材料部が存在しているため、触媒金属を付与することが求められる。触媒金属を付与する触媒工程は、アルカリ性触媒金属イオン溶液で処理した後に還元剤液で処理する、もしくは、酸性触媒金属コロイド溶液を用いて処理した後に酸溶液で処理する。触媒金属としてパラジウムが用いられることが多い。触媒液は定期的に交換される。使用済みの触媒液に含まれる貴重なパラジウムなどの金属は吸着材を用いて回収されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-205074号公報
【文献】特開2011-122987号公報
【文献】特開2000-107507号公報
【文献】特開2005-351784号公報
【文献】特許第3019938号公報
【文献】特許第3693124号公報
【文献】特許第4410586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
触媒液からのパラジウムの回収は、吸着材を充填した容器に触媒液を通液することで行われる。パラジウムの回収は、液移送のコストや流出リスクを考慮し、触媒工程の側で行われることが多い。吸着材に一定量のパラジウムが通液されると、吸着限界と呼ばれる飽和点を迎え、パラジウムの漏洩が発生する。漏洩したパラジウムがロスとなる場合がある。吸着剤に通液した後の触媒液を定期的にサンプリングし、パラジウム濃度を測定することで、漏洩を確認することが可能である。しかし、パラジウムの漏洩のタイミングは通液するパラジウム濃度や処理量によっても異なり、サンプリング周期によっては吸着材の交換が間に合わずロスとなってしまうことがある。
【0005】
本件開示の技術は、溶液に含まれる物質を常時検出できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
【0007】
即ち、第1の態様は、
金属を含む溶液が流れる筒状の管と、
前記管の内部に、前記金属を含む前記溶液の白色光下での液色の補色の光を含む光を照射する光源と、
前記管の内部から光を検出する検出部と、
前記検出部から検出結果を取得する制御部とを備え、
前記制御部は、前記検出結果に基づいて、前記溶液に含まれる前記金属の金属濃度が所
定値以上であるか否かを判定する、
金属検出装置とする。
【0008】
開示の態様は、プログラムが情報処理装置によって実行されることによって実現されてもよい。即ち、開示の構成は、上記した態様における各手段が実行する処理を、情報処理装置に対して実行させるためのプログラム、或いは当該プログラムを記録した情報処理装置が読み取り可能な記録媒体として特定することができる。また、開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を情報処理装置が実行する方法をもって特定されてもよい。開示の構成は、上記した各手段が実行する処理を行う情報処理装置を含むシステムとして特定されてもよい。なお、情報処理装置は、例えば、コンピュータである。コンピュータは、パソコンやサーバと呼ばれることもある。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、溶液に含まれる物質を常時検出できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の金属回収システムの構成例を示す図である
図2図2は、金属検出装置300の構成例を示す図である。
図3図3は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図4図4は、金属検出装置300による金属の検出の動作フローの例を示す図である。
図5図5は、照度センサの出力と溶液の金属濃度との関係(1)の例を示す図である。
図6図6は、照度センサの出力と溶液の金属濃度との関係(2)の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0012】
〔実施形態〕
本実施形態の金属回収システムは、処理対象のパラジウム等の金属が溶解している溶液を吸着材に通液することにより金属の吸着回収を行い、金属検出装置により通液後の溶液に残留するパラジウム等の金属を検出するものである。溶液は、例えば、メッキ加工の際に使用されるパラジウム触媒液である。ここでは、金属が溶解している溶液としているが、金属以外の物質が溶解している溶液であってもよい。
【0013】
例えば、パラジウム触媒液を吸着材に通液すると、白色光の下で茶色から黒色である液色が、無色透明となる。パラジウムが吸着材に吸着されることで、液色が無色となる。茶色から黒色の液色は、パラジウム化合物(テトラアンミンパラジウム、ジニトロジアンミンパラジウム等)によるものである。白色光の下で、液色が茶色(橙色)であることは、茶色(橙色)の補色である緑青色、青緑色が吸収されていることを意味する。吸着材が吸着限界に達し、吸着材がパラジウムを吸着しなくなると、通液後の溶液のパラジウムの濃度(漏洩濃度)が上昇する。このとき、吸着材に通液した後の溶液の色が無色透明から茶色、黒色になる。金属検出装置は、吸収される光の量を検知することで溶液中のパラジウムの濃度を判断する。
【0014】
(構成例)
図1は、本実施形態の金属回収システムの構成例を示す図である。図1の金属回収システム10は、第1吸着部100、第2吸着部200、金属検出装置300、第1配管410、第2配管420、第3配管430、第4配管440を含む。第1吸着部100は、第1配管410及び第2配管420に接続される。第2吸着部200は、第3配管430、第4配管440に接続される。金属検出装置300は、第2配管420、第3配管430に接続される。処理対象の溶液は、第1配管410から第1吸着部100に導入され、第1吸着部100により金属の吸着が行われる。第1吸着部100から出た溶液は、第2配管420を介して、金属検出装置300に導入される。金属検出装置300は、導入された溶液の残留金属を検出する。金属検出装置300から出た溶液は、第3配管430を介して第2吸着部200に導入され、第2吸着部200により金属の吸着が行われる。第2吸着部200から出た溶液は、第4配管440を介して排出される。これにより、処理対象の溶液から金属が取り除かれる。
【0015】
第1吸着部100は、吸着材、及び、当該吸着材を充填した容器を含む。吸着材は、例えば、溶液に含まれる金属を吸着する樹脂である。吸着材は、溶液に含まれる金属を吸着させることで、金属を回収する。吸着剤として、イオン交換樹脂などが使用され得る。イオン交換樹脂は、吸着する金属の種類に応じて、適宜選択され得る。吸着材が吸着限界に達すると、吸着材は溶液に含まれる金属を吸着しにくくなり、排出口から金属を含んだ溶液が排出されやすくなる。吸着限界に達する吸着材は、速やかに交換されることが望ましい。吸着材を充填した容器は、形状、サイズ、材質等について、制限はない。当該容器として、ガラス容器、樹脂容器、金属容器などが使用され得る。当該容器は、第1配管410に接続され、溶液を導入する導入口と、第2配管420に接続され、吸着材を通液した溶液を排出する排出口とを備える。
【0016】
第2吸着部200は、第1吸着部100と同様の構成を有する。第2吸着部200の吸着材を充填した容器は、第3配管430に接続され、溶液を導入する導入口と、第4配管440に接続され、吸着材を通液した溶液を排出する排出口とを備える。第2吸着部200は、第1吸着部100で吸着されなかった金属を、吸着材により吸着する。
【0017】
金属検出装置300は、第1吸着部100から出た溶液に、光を照射し、光の吸収量を検出することにより、溶液に残留する金属を検出する。
【0018】
第1配管410、第2配管420、第3配管430、第4配管440は、それぞれ、筒状の管であり、溶液を通される。各配管の形状、サイズ、材質等について、制限はない。各配管として、ガラス管、樹脂管、金属管などが使用され得る。
【0019】
図2は、金属検出装置300の構成例を示す図である。図2の金属検出装置300は、測定管310、導入管320、排出管330、第1光透過窓340、光源350、第2光透過窓360、照度センサ370を備える。ここでは、図2の左から右への方向を+x方向、表から裏への方向を+y方向、下から上への方向を+z方向とする。また、ここでは、xy平面を水平面、-z方向(図2の上から下への方向)を鉛直方向とする。
【0020】
測定管310は、筒状の直線(直線状)の管である。ここでは、測定管310の管の方向は、x軸に平行である。測定管310の断面は、例えば、円形である。測定管310の一端には、第1光透過窓340が設けられる測定管310の他端には第2光透過窓360が設けられる。測定管310の第1光透過窓340の近傍には、導入管320が接続される。測定管310の第2光透過窓360の近傍には、排出管330が接続される。測定管310には、溶液が導入管320から導入され、排出管330から排出される。測定管310には、溶液が流れる。測定管310には、光源350から第1光透過窓340を介して光が照射される。照射された光は、測定管310内の溶液の中を通り、第2光透過窓3
60を介して照度センサ370によって検出される。測定管310のサイズ、材質等について、制限はない。測定管310として、ガラス管、樹脂管、金属管などが使用され得る。測定管310は、測定の支障となる光が入らないように不透明であることが好ましい。
【0021】
導入管320は、第2配管420及び測定管310に接続される。導入管320は、第1吸着部100からの溶液を第2配管420を介して測定管310に導入する。導入管320は、測定管310の+z方向側に接続され、+z方向に伸びる。導入管320の形状、サイズ、材質等について、制限はない。導入管320として、ガラス管、樹脂管、金属管などが使用され得る。導入管320は、測定の支障となる光が測定管310に入らないように不透明であることが好ましい。
【0022】
排出管330は、測定管310及び第3配管430に接続される。排出管330は、測定管310からの溶液を第3配管430を介して第2吸着部200に導入する。排出管330は、測定管310の+z方向側に接続され、+z方向に伸びる。排出管330の形状、サイズ、材質等について、制限はない。排出管330として、ガラス管、樹脂管、金属管などが使用され得る。排出管330は、測定の支障となる光が測定管310に入らないように不透明であることが好ましい。導入管320の位置と排出管330の位置とは、入れ替わってもよい。導入管320、排出管330の断面は、例えば、円形である。
【0023】
測定管310には、測定の妨げとなる気泡(気体)が入らないことが好ましい。測定管310の+z方向に導入管320及び排出管330が接続されることで、測定管310内の気泡は、導入管320及び排出管330を介して、測定管310の外に排出される。測定管310の内部に気泡(気体)が入らない状態であれば、測定管310、導入管320、排出管330の向きはどのようなものであってもよい。この場合、例えば、測定管310が、z軸に平行であってもよい。測定管310には、直接、第2配管420、第3配管430が接続されてもよい。
【0024】
第1光透過窓340は、光源350からの光を測定管310の内部に透過する窓である。第1光透過窓340は、測定管310の一端に設けられる。第1光透過窓340は、例えば、サファイアガラスなどの透明の材料である。第1光透過窓340として、溶液によって溶解しにくい材料、溶液内の金属が沈着しにくい材料が選択されることが好ましい。
【0025】
光源350は、第1光透過窓340を介して、測定管310の内部に光を照射する。光源350は、例えば、LED(Light Emitting Diode)、レーザなどである。光源350として、溶液に金属が含まれる際に溶液に吸収される光の波長を有する光源が使用される。溶液に金属が含まれる際に溶液に吸収される光は、当該溶液の白色光下での色の補色に相当する。光源350として、溶液の色に応じて、例えば、波長450nm-470nm程度の青色LED、波長600nm-620nm程度の橙色LEDが使用され得る。
【0026】
第2光透過窓360は、測定管310の内部からの光を透過する窓である。第2光透過窓360は、測定管310の他端に設けられる。第2光透過窓360は、例えば、サファイアガラスなどの透明の材料である。第2光透過窓360として、溶液によって溶解しにくい材料、溶液内の金属が沈着しにくい材料が選択されることが好ましい。
【0027】
照度センサ370は、第2光透過窓360を介して、測定管310の内部からの光を検出する。照度センサ370は、検出した光に応じた出力(例えば、電圧)を行う。照度センサ370として、溶液に金属が含まれる際に溶液に吸収される光の波長を検出できるセンサが使用される。検出される光の量は、溶液内の金属の量に依存する。照度センサ370は、検出部の一例である。
【0028】
ここでは、測定管310の一端に、第1光透過窓340、光源350、他端に、第2光透過窓360、照度センサ370を設けるとしているが、第1光透過窓340、光源350、第2光透過窓360、照度センサ370の位置はこれに限定されるものではない。第1光透過窓340、光源350、第2光透過窓360、照度センサ370は、光源350の光が、測定管310内の溶液を介して、照度センサ370によって検出されるように配置されればよい。例えば、測定管310の側面の対向する位置に、第1光透過窓340及び光源350と、第2光透過窓360及び照度センサ370とを設けてもよい。
【0029】
制御装置380は、金属検出装置300を制御する制御手段である。制御装置380は、光源350により光を照射させる。制御装置380は、照度センサ370による光の検出結果を取得する。制御装置380は、光の検出結果に基づいて、ディスプレイ、スピーカなどの出力手段により、警告を出力する。制御装置380は、溶液に所定量以上の金属が含まれていると判断した場合に、警告を出力する。制御装置380は、通信制御手段を介して、他の情報処理装置等に警告を通知してもよい。制御装置380は、制御部の一例である。
【0030】
制御装置380は、PC(Personal Computer)、ワークステーション(WS、Work Station)のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電
子機器、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)のような専用または汎用のコンピュータ等を使用して実現可能である。
【0031】
図3は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。図3に示す情報処理装置は、一般的なコンピュータの構成を有している。制御装置380は、図3に示すような情報処理装置90によって実現される。図3の情報処理装置90は、プロセッサ91、メモリ92、記憶部93、入力部94、出力部95、通信制御部96を有する。これらは、互いにバスによって接続される。メモリ92及び記憶部93は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。情報処理装置のハードウェア構成は、図3に示される例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0032】
情報処理装置90は、プロセッサ91が記録媒体に記憶されたプログラムをメモリ92の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
【0033】
プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。
【0034】
メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。メモリ92は、主記憶装置とも呼ばれる。
【0035】
記憶部93は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク
ドライブ(HDD、Hard Disk Drive)である。また、記憶部93は、リムーバブルメデ
ィア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)のようなディスク記録媒体である。記憶部93は、二次記憶装置とも呼ばれる。
【0036】
記憶部93は、各種のプログラム、各種のデータ及び各種のテーブルを読み書き自在に記録媒体に格納する。記憶部93には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。記憶部93に格納される情報は、メモリ92に格納されてもよい。また、メモリ92に格納される情報は、記憶部93に
格納されてもよい。
【0037】
オペレーティングシステムは、ソフトウェアとハードウェアとの仲介、メモリ空間の管理、ファイル管理、プロセスやタスクの管理等を行うソフトウェアである。オペレーティングシステムは、通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、通信制御部96を介して接続される他の外部装置等とデータのやり取りを行うプログラムである。外部装置等には、例えば、他のコンピュータ、外部記憶装置等が含まれる。
【0038】
入力部94は、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、タッチパネル等を含む。また、入力部94は、カメラのような映像や画像の入力装置や、マイクロフォンのような音声の入力装置を含むことができる。
【0039】
出力部95は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electroluminescence)パ
ネル、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、PDP(Plasma Display Panel)等の表示装置、プリンタ等の出力装置を含む。また、出力部95は、スピーカのような音声の出力装置を含むことができる。
【0040】
通信制御部96は、他の装置と接続し、情報処理装置90と他の装置との間の通信を制御する。通信制御部96は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースボード、無線通信のための無線通信回路、有線通信のための通信回路である。LANインタフェースボードや無線通信回路は、インターネット等のネットワークに接続される。
【0041】
(動作例)
ここでは、金属検出装置300による金属の検出について説明する。
【0042】
図4は、金属検出装置300による金属の検出の動作フローの例を示す図である。ここでは、金属検出装置300には、第1吸着部100から排出された溶液が導入されているとする。
【0043】
S101では、金属検出装置300の制御装置380は、光源350に光を照射させる。光源350は、制御装置380からの指示に基づいて、測定管310に向けて光を照射する。光源350から光は、照度センサ370に向けられている。光源350からの光は、測定管310内の溶液によって吸収される。光源350からの光は、測定管310内の溶液に含まれる金属の量が多いほど、吸収される。
【0044】
S102では、制御装置380は、照度センサ370に光を検出させる。照度センサ370は、検出した光の量に基づいた出力をする。照度センサ370は、例えば、検出した光の量に基づいた電圧を出力する。制御装置380は、照度センサ370の出力を取得する。照度センサ370で検出される光の量は、測定管310内の溶液に含まれる金属の量が多いほど、少なくなる。
【0045】
S103では、制御装置380は、測定管310内の溶液の金属の量(濃度)が所定値以上であるか否かを判定する。制御装置380は、あらかじめ、測定管310内の溶液の金属の濃度と照度センサ370の出力の関係とを測定しておく。制御装置380は、照度センサ370出力が測定管310内の金属の濃度が所定値以上を示す場合、測定管310内の金属の濃度が所定値以上であると判定する。制御装置380は、測定管310内の金属の濃度が所定値未満を示す場合、測定管310内の金属の濃度が所定値未満であると判定する。測定管310内の金属の濃度が所定値以上であると判定した場合(S103;YES)、処理がS104に進む。測定管310内の金属の濃度が所定値未満であると判定した場合(S103;NO)、処理がS102に戻る。
【0046】
S104では、制御装置380は、ディスプレイ、スピーカなどの出力手段により、所定値以上の濃度の金属を検出したことを示す警告を出力する。例えば、制御装置380は、ディスプレイに、「溶液中の金属の濃度が所定値以上になりました」の表示をする。また、例えば、スピーカに、「溶液中の金属の濃度が所定値以上になりました」の音声の出力、警告音の出力を行う。警告は、金属回収システム10の管理者等に向けて行われるものである。警告を受けた管理者等は、第1吸着部100の吸着材が吸収限界に達したことを認識し、第1吸着部100の吸着材を交換する。制御装置380は、通信制御手段を介して、金属回収システム10の管理者等が有する他の情報処理装置等に警告を通知してもよい。その後、処理がS102に戻る。
【0047】
金属検出装置300は、常時、光を検出することにより、溶液中の金属の濃度を検出することで、溶液中の金属の濃度が所定値以上になったことを、即時、検出することができる。
【0048】
(溶液と照射、検出する色との関係)
溶液に残留する金属によって、吸収される色が異なる。よって、溶液に残留する金属に適した光を照射しないと、適切な検出をすることは、難しい。白色光の下での溶液の液色の補色が、吸収されている色である。よって、溶液の白色光の下での液色に応じて、光源350の光の色が決められる。光源350の光の色は、溶液の白色光の下での液色の補色とすることが好ましい。
【0049】
溶液がパラジウム触媒液である場合、白色光下での液色は、茶色(橙色)である。茶色(橙色)の補色は、緑青色、青緑色(青色)である。よって、パラジウム触媒液では、光源350として、緑青色、青緑色を含む光を使用することが好ましい。パラジウム触媒液の主成分は、テトラアンミンパラジウム、ジニトロジアンミンパラジウムである。
【0050】
溶液がパラジウムスズ触媒液である場合、白色光下での液色は黒茶色である。黒茶色の補色は、緑青色である。よって、パラジウムスズ触媒液では、光源350として、緑青色を含む光を使用することが好ましい。パラジウムスズ触媒液の主成分は、パラジウムナノ粒子である。
【0051】
溶液がパラジウムメッキで使用されるジクロロジアンミンパラジウムを含む溶液である場合、白色光下での液色は黄色、橙色である。黄色、橙色の補色は、青色、青緑色である。よって、ジクロロジアンミンパラジウムを含む溶液では、光源350として、青色、青緑色を含む光を使用することが好ましい。
【0052】
溶液がノンシアン金メッキで使用される亜硫酸金ナトリウムを含む溶液である場合、白色光下での液色は淡黄色である。淡黄色の補色は、青色である。よって、亜硫酸金ナトリウムを含む溶液では、光源350として、青色を含む光を使用することが好ましい。
【0053】
溶液が白金メッキで使用されるジニトロジアンミン白金を含む溶液である場合、白色光下での液色は淡黄色である。淡黄色の補色は、青色である。よって、ジニトロジアンミン白金を含む溶液では、光源350として、青色を含む光を使用することが好ましい。
【0054】
溶液がロジウムメッキで使用される硫酸ロジウムを含む溶液である場合、白色光下での液色は橙色、赤色である。橙色、赤色の補色は、緑青色、青緑色である。よって、ジニトロジアンミン白金を含む溶液では、光源350として、緑青色、青緑色を含む光を使用することが好ましい。
【0055】
〈実施例1〉
図5は、照度センサの出力と溶液の金属濃度との関係(1)の例を示す図である。ここでは、溶液として、パラジウム触媒液を用いて、金属検出装置300により、光の照射、検出を行い、パラジウム触媒液の金属濃度(パラジウム濃度)と、照度センサ370の出力電圧との関係を調べた。パラジウム触媒液の主成分は、テトラアンミンパラジウム、ジニトロジアンミンパラジウムである。ここでは、光源350として、青色LED(波長460nm)を使用した。光源350から光を測定管310に照射し、照度センサ370で光を検出する。照度センサ370で検出する光は、光源350から照射される光である。パラジウム触媒液の白色光下での液色は、茶色であるため、青色は、補色に該当する。パラジウム触媒液の金属濃度(溶液のパラジウム濃度)は、あらかじめ測定されたものである。ここで使用する照度センサ370は、検出する光の量が多いほど、低い電圧を出力する。
【0056】
図5に示すように、溶液のパラジウム濃度(Pd濃度)が高くなるほど、照度センサ370の出力電圧が高くなっていることが分かる。即ち、パラジウム濃度が高くなるほど、光の量が減っている(光が吸収されている)ことが分かる。よって、例えば、パラジウム濃度1mg/Lを警告の閾値とする場合、照度センサ370の出力電圧が0.20V以上になった際に、制御装置380は、警告を出力すればよい。警告の閾値の濃度は、ここに記載したものに限定されるものではなく、任意に設定され得る。
【0057】
〈実施例2〉
図6は、照度センサの出力と溶液の金属濃度との関係(2)の例を示す図である。ここでは、溶液として、パラジウム触媒液を用いて、金属検出装置300により、光の照射、検出を行い、パラジウム触媒液の金属濃度(パラジウム濃度)と、照度センサ370の出力電圧との関係を調べた。パラジウム触媒液の主成分は、テトラアンミンパラジウム、ジニトロジアンミンパラジウムである。ここでは、光源350として、橙色LED(波長600nm)を使用した。光源350から光を測定管310に照射し、照度センサ370で光を検出する。照度センサ370で検出する光は、光源350から照射される光である。パラジウム触媒液の白色光下での液色は、茶色であるため、橙色は、補色に該当しない。パラジウム触媒液の金属濃度(溶液のパラジウム濃度)は、あらかじめ測定されたものである。ここで使用する照度センサ370は、検出する光の量が多いほど、低い電圧を出力する。
【0058】
図6に示すように、溶液のパラジウム濃度(Pd濃度)が変化しても、照度センサ370の出力電圧は変化しないことが分かる。即ち、パラジウム濃度が変化しても、光の量が変わらないことが分かる。よって、光源350として、溶液の液色の補色以外の色を使用することは不適であることが分かる。
【0059】
(実施形態の作用、効果)
本実施形態の金属回収システム10は、第1吸着部100の吸着材により、溶液に含まれる金属を吸着する。金属回収システム10は、第1吸着部100から出た溶液に対して、金属検出装置300により、溶液に残留する金属の濃度を検出し、当該濃度が所定値以上である場合に警告を発する。金属検出装置300は、照度センサ370により、光を常時検出する。金属回収システム10の管理者等は、当該警告に基づいて、第1吸着部100の吸着材の交換を行うことができる。金属検出装置300により、常時、金属濃度を検出することで、第1吸着部100から金属が漏洩した際に、迅速に、吸着材の交換を行うことができる。
【0060】
金属検出装置300は、第1吸着部100から出た溶液に対して、光源350により、溶液の液色の補色を含む光を照射し、照度センサ370により吸収された光の量を検出す
ることで、溶液の金属濃度を検出する。金属検出装置300は、光を使用することで、溶液を取り出して金属濃度を測定することなく、溶液の金属濃度を把握することができる。
【0061】
以上の各実施形態は、可能な限りこれらを組み合わせて実施され得る。
【符号の説明】
【0062】
10 :金属回収システム
100 :第1吸着部
200 :第2吸着部
300 :金属検出装置
310 :測定管
320 :導入管
330 :排出管
340 :第1光透過窓
350 :光源
360 :第2光透過窓
370 :照度センサ
380 :制御装置
410 :第1配管
420 :第2配管
430 :第3配管
440 :第4配管
90 :情報処理装置
91 :プロセッサ
92 :メモリ
93 :記憶部
94 :入力部
95 :出力部
96 :通信制御部
【要約】
【課題】溶液に含まれる物質を常時検出できる技術を提供する。
【解決手段】金属を含む溶液が流れる筒状の管と、前記管の内部に、前記金属を含む前記溶液の白色光下での液色の補色の光を含む光を照射する光源と、前記管の内部から光を検出する検出部と、前記検出部から検出結果を取得する制御部とを備え、前記制御部は、前記検出結果に基づいて、前記溶液に含まれる前記金属の金属濃度が所定値以上であるか否かを判定する、金属検出装置とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6