IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホーヤホームテック カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-暖房パネル、及びその製造方法 図1
  • 特許-暖房パネル、及びその製造方法 図2
  • 特許-暖房パネル、及びその製造方法 図3
  • 特許-暖房パネル、及びその製造方法 図4
  • 特許-暖房パネル、及びその製造方法 図5
  • 特許-暖房パネル、及びその製造方法 図6
  • 特許-暖房パネル、及びその製造方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-05
(45)【発行日】2023-06-13
(54)【発明の名称】暖房パネル、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F24D 3/16 20060101AFI20230606BHJP
   F24D 19/02 20060101ALI20230606BHJP
   F24D 3/12 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
F24D3/16 A
F24D3/16 D
F24D3/16 J
F24D19/02 C
F24D3/12 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022530698
(86)(22)【出願日】2022-02-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2022002625
(87)【国際公開番号】W WO2022234935
(87)【国際公開日】2022-11-10
【審査請求日】2022-05-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0057663
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522205460
【氏名又は名称】ホーヤホームテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カク、ソ-ファン
(72)【発明者】
【氏名】パク、チン-チョル
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ヘ-ソン
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2035669(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-0917236(KR,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0017465(KR,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2008-0004185(KR,U)
【文献】米国特許第5536345(US,A)
【文献】特開2006-183985(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2010-0077133(KR,A)
【文献】韓国登録特許第2306399(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 3/16
F24D 19/02
F24D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面から上向き突出し、暖房ホースの通路を形成する複数個の第1ガイド(110)と、前記底面と前記第1ガイド(110)の表面に溝で形成される第1空気通路(120)と、前記第1ガイド(110)の一定位置に、柱状で、下面まで延長される第1締結部材(112)と、で構成される下部パネル(100)と、
前記下部パネル(100)に結合され、下面に溝で形成される第2空気通路(220)と、前記第1締結部材(112)と結合される第2締結部材(210)と、で構成される上部パネル(200)と、
前記下部パネル(100)と前記上部パネル(200)は、熱可塑性樹脂50~55重量%、炭素素材15~20重量%、無機質20~25重量%、MAPP(Maleic Anhydride Polypropylene)3~5重量%で構成された炭素複合素材からなる、ことを特徴とする暖房パネル。
【請求項2】
底面から上向き突出し、表面に前記第1空気通路(120)を備え、複数個の第1ガイド(110)間に備えられ、暖房ホースの通路を形成する第2ガイド(130)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の暖房パネル。
【請求項3】
前記下部パネル(100)は、四角形からなり、四角形の2つの側面には、突起で形成される第1連結部材(140)を含み、残りの2つの側面には、前記第1連結部材と雌雄結合する第2連結部材(150)を含んで、多数個の暖房パネルを結合可能にすることを特徴とする請求項1に記載の暖房パネル。
【請求項4】
前記第1ガイド(110)は、中央は、円形または楕円形で形成され、四面は、半円または半楕円形で形成されることを特徴とする請求項1に記載の暖房パネル。
【請求項5】
前記第1ガイド(110)は、暖房ホースと接する位置に突出して、暖房ホースを固定するホース固定部材(111)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の暖房パネル。
【請求項6】
前記第1締結部材(112)の底には、ねじ締結孔(113)をさらに含むことを特徴とする請求項に記載の暖房パネル。
【請求項7】
前記下部パネル(100)の下面は、上向き突出した第1ガイド(110)の部分が凹んで構成され、前記第1締結部材(112)を中心として、十字状の荷重支持部材(114)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の暖房パネル。
【請求項8】
前記下部パネル(100)は、パネルを2等分するか、4等分する第1切断溝(160)をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の暖房パネル。
【請求項9】
前記上部パネル(200)を2等分するか、4等分する第2切断溝をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の暖房パネル。
【請求項10】
前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン樹脂のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項に記載の暖房パネル。
【請求項11】
前記炭素素材は、黒鉛、膨張黒鉛、炭素繊維、活性炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラックのうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項に記載の暖房パネル。
【請求項12】
前記無機質は、麦飯石、ゼオライト、イライトのうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項に記載の暖房パネル。
【請求項13】
熱可塑性樹脂、炭素素材、無機質、MAPP(Maleic Anhydride Polypropylene)を配合して混合物とするステップと、
前記混合物を130℃~230℃で溶融させるステップと、
前記混合物に炭素素材粉末を投入するステップと、
前記混合物を押出、冷却、及び切断してペレットを製造するステップと、
前記ペレットを加熱及び射出成形して、暖房パネルを成形するステップと、からなることを特徴とする暖房パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房パネルに係り、構造が簡単で、施工が容易であり、特に、炭素複合素材を用いて、熱伝導性、蓄熱性、及び難燃性に優れた暖房パネル、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大韓民国は、オンドル(温突)構造による輻射暖房方式の床暖房構造の形式を取ってきた。しかしながら、現代は、このような既存の湿式床暖房システムの問題点を改善した新たな乾式床暖房の乾式工法システムに変わっている。湿式暖房工法は、鉄筋コンクリートスラブの上に軽量気泡コンクリート、温水配管、モルタル等で構成された湿式工法で施工する方式であり、この工法は、複雑で、品質確保と現場管理が難しく、コンクリート及びモルタルの養生に多くの時間がかかるという短所がある。乾式暖房工法は、温水管と断熱材が温水オンドルパネルに入っており、湿式の短所であるコンクリートの養生にかかる時間が必要なく、施工後、直ちに使用可能であり、工事期間の短縮による施工費の節減の効果がある。また、湿式暖房は、コンクリート床に熱を奪われ、熱効率性が低下するので、暖房費が増加する。乾式の温水オンドル方式は、パネルそのものの熱伝導性を用いて、床断熱材の施工とともに熱効率を増加させ、暖房費の節減に効果がある。既存の乾式暖房用パネルは、ポリ系樹脂を用いるので、強度が弱く、底が揺れ、熱伝導性が低く、暖房効果が低下し、火災に脆弱であるという短所がある。これを補うために、上板に金属鉄板を用いて熱伝導性を確保しているが、蓄熱性が低く、熱調節機能が低下し、室内空気が乾燥するという短所がある。
【0003】
このような一般のポリ系樹脂の弱点を補うために、暖房資材だけでなく、一般の建築資材用でも、熱伝導性、蓄熱性、難燃性等の様々な機能を与える研究が活発に行われている。例えば、高分子樹脂、炭素素材(黒鉛、膨張黒鉛、炭素繊維、活性炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等)、無機物等を複合化して、優れた強度、熱伝導性、蓄熱性、難燃性等の物性を有する多機能性の炭素-高分子複合素材の製造が可能であるので、このような素材を暖房パネルに適用して、施工が簡便であり、高い熱伝導性、蓄熱性、及び難燃性を有するとともに、親環境的な暖房パネルの開発が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、プラスチック及び金属放熱板からなる暖房パネルの短所を解消するための別途の金属放熱板を使用しなくてもよい暖房パネルを提供するために、高分子樹脂に炭素素材と様々な有・無機質素材を混合して、熱伝導性、蓄熱性、難燃性に優れた親環境的な暖房パネル、及びその製造方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
底面から上向き突出し、暖房ホースの設置をガイドする複数個の第1ガイドと、前記底面と前記第1ガイドの表面に溝で形成される第1空気通路と、で構成される下部パネルを含むことを特徴とする暖房パネルを特徴とする。前記暖房パネルは、底面から上向き突出し、表面に前記第1空気通路を備え、複数個の第1ガイド間においてホースの設置をガイドする第2ガイドをさらに含むことを特徴としてもよい。
【0006】
前記下部パネルは、四角形からなり、四角形の2つの側面には、突起で形成される第1連結部材を含み、残りの2つの側面には、前記第1連結部材と雌雄結合する第2連結部材を含んで、多数個の暖房パネルを結合可能にすることを特徴とする。また、前記第1ガイドは、暖房ホースと接する位置に突出して、暖房ホースを固定するホース固定部材を含むことを特徴とし、前記第1ガイドは、中央は、円形または楕円形で形成され、四面は、半円または半楕円形で形成されることを特徴としてもよい。
【0007】
前記下部パネルは、パネルを2等分するか、4等分する第1切断溝をさらに備えてもよく、前記第1ガイドの一定の位置には、上部パネルと締結されるホース固定部材をさらに含んでもよい。また、前記第1締結部材の底には、ねじ締結孔をさらに含み、第1締結部材は、柱状であり、下部パネルの下面まで延長して荷重を支持することを特徴とする。前記下部パネルの下面は、上向き突出した第1ガイドの部分が凹んで構成され、前記第1締結部材の下面を中心として、十字状の荷重支持部材をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
暖房パネルは、下部パネルに結合され、下面に溝で形成される第2空気通路と、前記ホース固定部材と結合される第2締結部材と、で構成される上部パネルをさらに備えることを特徴とする。上部パネルは、前記上部パネルを2等分するか、4等分する第2切断溝をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の暖房パネルは、熱可塑性樹脂50~52重量%、炭素素材25~30重量%、無機質22~26重量%、MAPP(Maleic Anhydride Polypropylene)5~8重量%、アルミニウム粉末5~7重量%で構成された炭素複合素材からなることを特徴とする。
【0010】
前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン樹脂のうち少なくとも一つであることを特徴とし、前記炭素素材は、黒鉛、膨張黒鉛、炭素繊維、活性炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラックのうち少なくとも一つであることを特徴とし、前記無機質は、麦飯石、ゼオライト、イライトのうち少なくとも一つであることを特徴とする。
【0011】
本発明の暖房パネルは、熱可塑性樹脂、炭素素材、無機質、MAPPを混合するステップと、前記混合物を溶融させるステップと、前記混合物に炭素素材を添加するステップと、前記混合物を押出、冷却、及び切断してペレットを製造するステップと、前記ペレットを加熱及び射出成形して、暖房パネルを成形するステップと、を経て製造することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、炭素複合素材を用いて作られる暖房パネルであって、熱伝導性及び蓄熱性に優れており、別途の熱伝導媒体がなくても、優れた暖房効率を期待することができ、難燃性素材として、火災から安全性を向上させることができ、強度に優れており、重い荷重に耐えることができる。また、構成が簡単であるので、施工が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の下部パネル100及び上部パネル200を示す図である。
図2】本発明の下部パネル100の第1実施形態を示す図である。
図3】本発明の下部パネル100の第2実施形態を示す図である。
図4】下部パネル100の下面を示す図である。
図5】上部パネル200を示す図である。
図6】本発明が施工された実施形態を示す図である。
図7】暖房パネルの製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳述する。本発明の実施形態を説明するにあたって、関連した公知機能または構成についての具体的に説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の下部パネル100及び上部パネル200を示す図である。図2は、本発明の下部パネル100の第1実施形態を示す図である。図3は、本発明の下部パネル100の第2実施形態を示す図である。図4は、下部パネル100の下面を示す図である。図5は、上部パネル200を示す図である。図6は、本発明が施工された実施形態を示す図である。図7は、暖房パネルの製造方法を示す図である。
【0016】
本発明の暖房パネルは、建築物の床面または壁面等に設置され、温水ホースまたは冷水ホースを定着させる下部パネル100と、下部パネル100に締結され、蓋の役割をする上部パネル200と、で構成される。
【0017】
下部パネル100は、上面は、第1ガイド110、第1空気通路120、第2ガイド130、及びホース固定部材112で構成され、側面は、他の下部パネル100と連結可能なように、第1連結部材140と第2連結部材150で構成され、下面は、第1ガイド110部と同じ部分が凹んで形成されることにより、荷重を支持することができる部材で構成される。以下では、下部パネル100のそれぞれの構成について説明する。
【0018】
下部パネル100は、暖房するための面に設置されるものであって、殆ど床に設置されることが一般的であるが、現場に応じて、壁面や天井に設置されてもよい。説明の便宜上、床面に設置されるものを基準として説明する。乾式暖房における暖房パネルは、下部パネル100を床に設置した後、その上に温水が通るホースを設置して暖房を行うようになる。主に暖房に用いられるが、状況に応じて、冷水を流して床の冷房に用いてもよい。
【0019】
下部パネル100は、四角形で構成される。下部パネル100は、温水ホースを定着させる役割をするので、温水ホースを希望の位置に一定の間隔で配置することが重要である。下部パネル100に備えられる第1ガイド110は、暖房のための温水ホースを希望の位置に定着させるようにする構成である。前記第1ガイド110は、下部パネル100の底面から上向き突出し、円形または楕円形で構成され、複数個の第1ガイド間に形成される通路に温水ホースを定着させる空間が形成される。温水ホースは、直線区間では、第1ガイド間に定着され、曲線区間では、第1ガイドを取り囲んで定着される。図2及び図5に示すように、温水ホースを下部パネル100に定着させ、床を全体的に暖房するためには、温水ホースを、第1ガイド110を取り囲んで多くの部位で折らなければならない状況が発生する。したがって、第1ガイド110は、円形または楕円形にして、温水ホースが折れないように構成することが好ましい。第1ガイド110は、下部パネル100の中央部位には、円形や楕円形で構成され、4側面には、半円または半楕円形で構成されてもよい。側面に半円または半楕円形で構成することにより、複数個の下部パネル100を結合しても、図5に示すように、円形と楕円形になることにより、温水ホースの間隔を一定に維持することができ、温水ホースを最大限壁面に近い位置まで設置することができるので、さらに均一であり、広い面積まで暖房が行うことができる。
【0020】
第1ガイド110において、温水ホースが接する部分には、ホース固定部材111が備えられてもよい。ホース固定部材は、第1ガイド110の温水ホースが接する部分の側面から上面と水平面まで突出して、温水ホースが、第1ガイド110の表面よりも上方に上がらないように固定する役割をする。
【0021】
また、前記第1ガイド110の一定の位置には、後述する上部パネル200と結合するための第1締結部材112が構成される。第1締結部材112は、後述する上部パネル200の第2締結部材と結合する部材であって、下部パネル100への蓋の役割をする上部パネル200を安定的に結合可能にする締結部材である。第1締結部材112は、円形または多角形で構成されてもよく、第1締結部材112は、第2締結部材に対応する雄締結部材や雌締結部材で構成されてもよい。第1締結部材112の高さは、上部パネル200と締結したとき、下部パネル100と上部パネル200との間に空間が生じないように、第1ガイド110の上面と水平に構成されることが好ましい。また、第1締結部材112の下面は、図4に示すように、下部パネル100の底面まで延長され、本発明の暖房パネルに加えられる荷重を支持する役割をする。
【0022】
第1締結部材112の中央部位には、ねじ締結孔113が備えられてもよい。前記ねじ締結孔113は、床面に下部パネルをねじ結合して、さらに確かに固定させる必要があるとき、ねじを用いて床面と締結する締結孔である。前記ねじ締結孔113は、床面よりも壁面や天井に結合するとき、さらに重要な役割をすることができる。
【0023】
次に、第1空気通路120について説明する。本発明の暖房パネルは、下部パネル100及び上部パネル200からなり、床面に設置される下部パネル100に上部パネル200を覆って暖房を完成する。このような場合、暖房パネルを堅固に施工するために、下部パネル100及び上部パネル200は、密着されることが好ましく、この場合、下部パネル100と上部パネル200との間に空間が形成されないので、温水ホースで発生する熱がパネルの全体に十分に伝達されないことがあり得る。第1空気通路120は、このような問題点を解決するための構成であって、下部パネル100の底面と、第1ガイド110、第2ガイド130、すなわち、下部パネル100の全体の表面に浅い溝を形成して完成される。第1空気通路120は、さらに効率的な熱伝達のために格子状の溝で構成することが好ましい。第1空気通路120は、後述する上部パネル200の第2空気通路220の位置と同様に構成して、暖かい空気がさらに円滑に循環されるようにすることが好ましい。
【0024】
引き続き、第2ガイド130について説明する。
【0025】
第2ガイド130は、複数個の第1ガイド11間に第1ガイド110と同じ高さで底面から突出して構成される。第2ガイド130は、温水ホースが第1ガイド110と第1ガイド110との間を直線で通るときは、両方から温水ホースを固定させる役割をし、温水ホースが第1ガイド110を取り囲んで通るときは、第1ガイド110の外側から温水ホースを支持する役割をする。第2ガイド130は、温水ホースがどの方向から来ても固定させることができるように、通路部分が十字状で構成される。
【0026】
本発明は、数個のパネルをつないで暖房工事を行うものであるので、床に設置する複数個の下部パネル100を結合する構成が必要である。このため、下部パネル100の側面には、第1連結部材140と第2連結部材150が構成される。四角形で構成される下部パネル100の2側面には、突起で形成される第1連結部材140が備えられ、残りの2側面には、前記他のパネルの第1連結部材と雌雄締結される第2連結部材150が構成される。第1連結部材140は、下部パネル100に接する面よりも突起の端部の幅を大きくし、第2連結部材150は、第1連結部材の形状に合わせて構成することにより、下部パネル間の締結時、横方向には抜けないように構成する。第1連結部材140と第2連結部材150は、互いに向かい合って構成されてもよく、隣接して構成されてもよい。
【0027】
下部パネル100の底面には、第1切断溝160が備えられる。切断溝は、下部パネル100を2等分する位置に備えられてもよく、十字状となり、4等分するように構成されてもよい。切断溝は、下部パネル100の底面に溝で構成され、必要なときに、別途の道具なしにも、容易に下部パネル100を切断して使えるようにする。暖房パネルを暖房しようとする空間に設置していると、サイズが合わず、壁面側において、パネルを切って使わなければならない場合が発生する。第1切断溝160は、このような場合に、下部パネル100を半分または4分の1に切断して使えるようにする構成である。
【0028】
次は、下部パネル100の下面について説明する。下部パネル100の下面は、上面に突出する第1ガイド110の部分が凹んで構成される。これは、下部パネル100の重さを最小化し、原価を節減するための構成である。下部パネル100の下面が凹んで構成されると、下部パネル100が受ける荷重により、第1ガイド110が下方へ押されて変形する現象が発生し得る。これを防ぐために、上述のように、第1締結部材112が下部パネル100の上面から底面まで延長して構成される。また、前記第1締結部材112の下面を中心として、十字状に荷重支持部材114がさらに構成されることにより、第1ガイド110の下面が凹んで構成されても、上部から受ける荷重を支持してパネルが変形する問題を防ぐことができる。
【0029】
引き続き、上部パネル200について説明する。上部パネル200は、前記下部パネル100の蓋の役割をするパネルである。上部パネル200は、下部パネル100の第1空気通路120に対応する第2空気通路220と、下部パネル100の第1締結部材112と結合する第2締結部材210、及び第1切断溝160に対応する第2切断溝構成される。
【0030】
第2空気通路220、第2締結部材210、及び第2切断溝、上部パネル200の下面に構成され、下部パネル100と上部パネル200が結合すると、暖房パネルの内部に位置するようになる。
【0031】
第2空気通路220は、上部パネル200の下面に格子状の溝で構成される。第2空気通路220は、上述のように、第1空気通路120と同じ線上に配置され、温水ホースから排出される空気をパネルの内部に全体的にうまく循環されるようにすることが好ましい。
【0032】
第2締結部材210は、上部パネル200の下面に突出して構成され、第1締結部材112と結合して、下部パネル100と上部パネル200が結合される。
【0033】
また、上部パネル200は、第2切断溝を備える。第2切断溝は、第1切断溝160と同じ垂直線上に位置し、上部パネル200を2等分する位置に備えられてもよく、十字状で備えられてもよい。したがって、下部パネル100と上部パネル200を切断すると、同じサイズの下部パネル100と上部パネル200を結合して使うことができる。
【0034】
本発明を用いて暖房を施工する過程は、まず、下部パネル100を床に敷き、床面積に合う数量だけ、下部パネル100の第1連結部材と第2連結部材150を用いて、下部パネル100同士を結合する。引き続き、暖房ホースを第1ガイド110及び第2ガイド130を用いて、希望の位置に正しく固定させた後、第1締結部材112と第2締結部材を用いて、上部パネル200を下部パネル100の上に結合させることにより、暖房工事を終える。
【0035】
以上のように、下部パネル100と上部パネル200を用いて設置する暖房パネルは、図6に示すように、円形からなる下部パネル100は、温水ホースの幅を狭い範囲まで調節することができるので、暖房区域の両側面に設置し、楕円形の下部パネル100は、中央に設置することにより、暖房パネルの設置作業をさらに効率よく行うことができる。
【0036】
本発明の暖房パネルは、既存の乾式暖房がパネルの上に金属材の伝熱板を敷くこととは異なり、蓋を用いるので、一般のポリ系樹脂を用いる場合、熱伝導性がよくなく、暖房の効率に問題が生じることがあり得る。したがって、本発明の暖房パネルは、蓄熱性と熱伝導性の良い素材を用いることが最も重要であるとともに、火災に備えて、難燃性素材を使う必要がある。このため、本発明の暖房パネルは、炭素複合素材を用いて製造する。
【0037】
本発明の暖房パネルは、前記下部パネル100及び上部パネル200のいずれもが同じ素材を用いており、その素材は、熱可塑性樹脂50~52重量%、炭素素材25~30重量%、無機質22~26重量%、MAPP(Maleic Anhydride Polypropylene)5~8重量%で構成された炭素複合素材からなる。
【0038】
前記素材のうち、熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)等の樹脂のうちから少なくとも1種を選択し、熱可塑性樹脂は、多くの材料がよく混ぜ合わせられるようにし、成形を容易にする。
【0039】
炭素素材は、黒鉛、膨張黒鉛、炭素繊維、活性炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラックのうちから選択される少なくとも一つの材料を用い、炭素素材は、強度が高くて軽く、電気及び熱をよく伝達し、火に燃え難い性質を有する素材であって、暖房パネルの熱伝導性及び難燃性を向上させる。
【0040】
無機質は、麦飯石、ゼオライト、イライトのうちから少なくとも一つの材料を選択する。岩石類の鉱物質である前記素材は、蓄熱性がよいので、暖房パネルの蓄熱性を向上させる役割をする。
【0041】
MAPP(Maleic Anhydride Polypropylene)は、結合材であって、前記多くの素材をよく結合させる架橋剤としての役割をする。
【0042】
引き続き、本発明の暖房パネルを製造するために、炭素複合素材を製造する過程を、まず説明する。本発明の炭素複合素材は、材料混合ステップ、溶融ステップ、炭素素材添加ステップ、押出、冷却、及び切断によるペレット成形ステップ、パネル成形ステップの過程を経て完成される。
【0043】
まず、材料混合ステップについて説明する。
【0044】
材料混合ステップでは、熱可塑性樹脂45~55重量%、炭素素材15~20重量%、無機質粉末20~25重量%、MAPP(Maleic Anhydride Polypropylene)3~5重量%を、撹拌機を用いて、20~30分間撹拌混合する。
【0045】
引き続き、前記熱可塑性樹脂が溶けるように、熱可塑性樹脂の溶融温度よりも高い温度である130℃~230℃の温度で溶融させる。溶融過程は、130℃~230℃の温度区間で、10℃間隔で、11ステップで構成された区間別のヒータ区間を、60~70秒間経る。
【0046】
前記溶融過程において、150~200メッシュで粉砕された炭素素材10~15重量%をさらに噴射し、熱可塑性樹脂内に均一に分散させる。炭素素材は、黒鉛、膨張黒鉛、炭素繊維、活性炭、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラックのうちから選択される少なくとも一つの材料を用いる。炭素素材は、材料混合ステップにおいて、一度に混合すると、十分に混ざらない可能性があるので、2回に分けて投入する。
【0047】
引き続き、前記炭素複合素材を押出、冷却、及び切断してペレット状の素材を作る。前記ペレットを加熱及び射出成形して、本発明の暖房パネルを完成する。
【0048】
以上の過程により作られた暖房パネルは、施工が容易であり、炭素複合素材の使用により、蓄熱性、熱伝導性、難燃性が向上した暖房パネルを提供する。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、炭素複合素材を用いて作られる暖房パネルであって、熱伝導性及び蓄熱性に優れており、別途の熱伝導媒体がなくても、優れた暖房効率を期待することができ、難燃性素材として、火災から安全性を向上させることができ、強度に優れており、重い荷重に耐えることができる。また、構成が簡単であるので、施工が容易である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7