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特許7290823ベルトクリップ取り付け構造及びそれを備えた携帯型無線機器
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  • 特許-ベルトクリップ取り付け構造及びそれを備えた携帯型無線機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】ベルトクリップ取り付け構造及びそれを備えた携帯型無線機器
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20230607BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20230607BHJP
   F16B 2/22 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
H05K5/02 E
F16B5/10 H
F16B2/22 D
F16B2/22 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019056301
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020161526
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】船橋 雅之
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特許第4452521(JP,B2)
【文献】特開2000-022341(JP,A)
【文献】実開平07-008317(JP,U)
【文献】特開2000-269658(JP,A)
【文献】特開平02-102905(JP,A)
【文献】米国特許第05081709(US,A)
【文献】特開平07-122860(JP,A)
【文献】実開平02-095282(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
F16B 5/10
F16B 2/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器を装身するためのベルトクリップを携帯機器のケース背面に脱着自在に設けて成るベルトクリップ取り付け構造において、
前記ケース背面に設けた一対のレール部と、
前記ベルトクリップに設けたスライド部と、を備え、
前記レール部により形成されるガイド空間に前記スライド部をスライド嵌合させることで前記ベルトクリップを前記ケースに取り付け、
前記スライド部は、前記スライド部の抜け止めのためのバネ片を備え、
前記ケース背面側にバッテリーパック収納用空間が設けられており、
前記ベルトクリップを前記ケースに取り付けたとき、前記スライド部の前記バネ片の先端部が、前記空間に収納したときのバッテリーパックに当たることなく前記空間に臨んで突出した状態となり、
前記空間に前記バッテリーパックを収納したとき、前記バッテリーパックの一端によって、前記スライド部の後端を押さえ、
前記空間に前記バッテリーパックを収納していないとき、前記空間に指を入れて前記スライド部の前記バネ片の先端部を摘まんで抜け止めを解除できるようにしたことを特徴としたベルトクリップ取り付け構造。
【請求項2】
前記スライド部の前記バネ片は、凸部を備え、
前記ケース背面は、前記ガイド空間に面して凹部を備え、
前記凸部と前記凹部との係合により前記スライド部の抜け止めが成されることを特徴とした請求項1記載のベルトクリップ取り付け構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のベルトクリップ取り付け構造を備えた携帯型無線機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトクリップ取り付け構造及びそれを備えた携帯型無線機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯型無線機器等の携帯機器に装身用のベルトクリップを取り付ける構造として、携帯機器のケース背面にレール部を設け、ベルトクリップにスライド部を設け、レール部にスライド部をスライド嵌合させることで、ベルトクリップを携帯機器のケース背面にワンタッチで脱着可能にしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この構造においては、バッテリーパック収納部にカバーを取り付けると、カバーの前端によって、ベルトクリップのスライド部の後端を押さえ、抜け止めを図っている。さらに、ケース背面のレール部に凸部を設け、ベルトクリップのスライド部に、前記凸部に係合し得る板バネを設け、板バネの係止突起をレール部の凸部に係合させ、これにより、ベルトクリップを取り付けた状態では、カバーを取り外しても、ベルトクリップが不用意に外れることを防止している。ベルトクリップを取り外すときは、カバーを取り外して、板バネの先端片を摘まんで係止突起と凸部との係合を解除してから、スライド部をスライドさせて取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4452521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に示されるような構造においては、ベルトクリップを取り外すとき、係止突起と凸部との係合(抜け止めヒンジ)を解除するために、板バネの先端片を掴んで持ち上げる必要がある。しかしながら、板バネの先端片を掴むための隙間が狭いため、その作業は難しい。この隙間が狭くなっているのは、板バネの先端片が、カバー装着側に臨むのではなく、カバー装着側とは反対側、すなわち、携帯機器の上方側(携帯機器が縦方向姿勢のとき)に臨んでいて、板バネの先端片近くにベルトクリップの上端が位置していることによる。
【0006】
本発明は、上記問題を解消するものであり、ワンタッチで脱着可能なベルトクリップが不用意には外れることがなく脱落防止が図れ、しかも、ベルトクリップの取り外し時には抜け止め解除を容易に行うことができ、容易に取り外し作業を行える、ベルトクリップ取り付け構造及びそれを備えた携帯型無線機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、携帯機器を装身するためのベルトクリップを携帯機器のケース背面に脱着自在に設けて成るベルトクリップ取り付け構造において、
前記ケース背面に設けた一対のレール部と、
前記ベルトクリップに設けたスライド部と、を備え、
前記レール部により形成されるガイド空間に前記スライド部をスライド嵌合させることで前記ベルトクリップを前記ケースに取り付け、
前記スライド部は、前記スライド部の抜け止めのためのバネ片を備え、
前記ケース背面側にバッテリーパック収納用空間が設けられており、
前記ベルトクリップを前記ケースに取り付けたとき、前記スライド部の前記バネ片の先端部が、前記空間に収納したときのバッテリーパックに当たることなく前記空間に臨んで突出した状態となり、
前記空間に前記バッテリーパックを収納したとき、前記バッテリーパックの一端によって、前記スライド部の後端を押さえ、
前記空間に前記バッテリーパックを収納していないとき、前記空間に指を入れて前記スライド部の前記バネ片の先端部を摘まんで抜け止めを解除できるようにしたことを特徴とする。
【0008】
上記において、前記スライド部の前記バネ片は、凸部を備え、前記ケース背面は、前記ガイド空間に面して凹部を備え、前記凸部と前記凹部との係合により前記スライド部の抜け止めが成されることが望ましい。
【0009】
また、本発明は、上記のベルトクリップ取り付け構造を備えた携帯型無線機器である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バッテリーパック収納用空間にバッテリーパックを収納した状態ではベルトクリップの外れが防止され、また、ベルトクリップを取り外すときは、バッテリーパックを外せば、スライド部のバネ片の先端部を掴みやすいので、抜け止め解除作業を容易に行え、容易にベルトクリップの取り外しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るベルトクリップの取り付け構造を備えた携帯機器の側面図である。
図2】前記取り付け構造を備えた携帯機器において、バッテリーパックを取り外し、かつベルトクリップを装着する前の同機器の背面側を斜め上方から見た斜視図である。
図3】上記図3の状態からベルトクリップを装着した後の同機器の背面側を斜め上方から見た斜視図である。
図4】(a)は前記取り付け構造における携帯機器のケース背面のレール部を示す斜視図、(b)はベルトクリップのスライド部を示す斜視図である。
図5】前記取り付け構造におけるレール部にベルトクリップのスライド部をスライド嵌合させる様子を示す部分側断面図である。
図6】前記取り付け構造におけるレール部にベルトクリップのスライド部をスライド嵌合させた状態の断面図である。
図7】前記取り付け構造におけるベルトクリップ装着状態でバッテリーパックを取り外した状態の要部斜視図である。
図8】前記取り付け構造を備えた携帯機器においてベルトクリップの抜け止め解除作業をする要領を、従来との対比で説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係るベルトクリップの取り付け構造を備えた携帯機器について図面を参照して説明する。図1は、ベルトクリップの取り付け構造を備えた携帯機器を示す。携帯機器1は、本例では携帯型無線機器であり、携帯機器1をユーザが装身するためのベルトクリップ2を携帯機器1のケース11の背面に脱着自在に備えている。ベルトクリップ2をケース11に取り付けるためのベルトクリップ取り付け構造5は、ケース11の背面に設けたレール部3と、ベルトクリップ2に設けられスライド部4とを備え、ベルトクリップ2のスライド部4がレール部3にスライド嵌合されることによりワンタッチで取り付けることができる。
【0013】
ケース11の背面には、バッテリーパック収納用空間15(以下、空間という)が設けられ、この空間15にバッテリーパック12が収納、装着される。ベルトクリップ取り付け構造5は、空間15の直上方に配置されている。なお、本明細書において、上下の概念は、携帯機器1のアンテナ側を上に立てた状態での方向を言う。ベルトクリップ2は、スライド部4を構成するブロックに軸部を介して保持され、軸部に設けたバネによりベルトクリップ2の下端が閉じ方向、つまりバッテリーパック12側に回動付勢されている。
【0014】
図2は、取り付け構造5を備えた携帯機器1の、ベルトクリップ2装着前の状態を示し、図3は、ベルトクリップ2を装着後の状態を示す。ベルトクリップ2を携帯機器1に装着するときは、バッテリーパック収納用空間15にバッテリーパック12を収納していない、すなわち取り外した状態において、矢印Aに示すように、ベルトクリップ2を携帯機器1の同空間15側からアクセス、移動させて、ベルトクリップ2のスライド部4を携帯機器1のケース11の背面にあるレール部3にスライド嵌合させる。このとき、後述する抜け止め解除に用いられるスライド部4のバネ片の先端部44が空間15に臨む状態になる。なお、ケース11の空間15を形成する上面壁には、バッテリーパック12上面の位置決め突部12aが嵌まり込む窪み14が設けられている。
【0015】
図4(a)は取り付け構造5における携帯機器1のケース11の背面のレール部3を示し、図4(b)はベルトクリップ2のスライド部4を示す。レール部3は、ケース11の背面に一体に断面L字状に形成された一対のレール部材31により構成され、レール部3の一端側は開口している。レール部材31はガイド空間31a,31bを形成し、このガイド空間31a,31bは、スライド部4を受け入れるものである。
【0016】
ベルトクリップ2のスライド部4は、断面L字状に形成された一対のスライド片41を備え、スライド片41により溝41a,41bが形成されている。この溝41a,41bは、一対のレール部材31を受け入れるものである。レール部材31の奥方の壁34は、ベルトクリップ2のスライド部4をレール部3にスライド嵌合させたときのストッパーとなるものである。
【0017】
ベルトクリップ2の抜け止めヒンジ構成として、ガイド空間31a,31bに面するケース11の背面の所定位置に凹部33を備え、スライド部4は、自身の抜け止めのための弾性を有するバネ片42を一体に備え、バネ片42は、その先端寄りに、前記凹部33に係合可能な凸部43を備えている。バネ片42は、一対のスライド片41の間に位置し、一端基部がスライド部4のブロックに一体に形成され、他端が自由な先端部44とされている。凸部43と凹部33との係合により、スライド部4の抜け止めが成される。
【0018】
バネ片42の先端部44は、ベルトクリップ2の取り外しに際し、凸部43と凹部33との係合による抜け止めを解除(ヒンジ解除)時の摘まみとなる。バネ片42は、スライド部4のブロックと一体に樹脂成型されれば、樹脂ヒンジとなる。なお、レール部3とスライド部4とは、互いにスライド嵌合されるものであればよく、任意の構成を採用することができ、上記実施形態の構成に限られるものではない。
【0019】
図5は、レール部3にベルトクリップ2のスライド部4をスライド嵌合させる様子を示す。ベルトクリップ2のスライド部4をレール部3に装着するに際して、一対のレール部材31のガイド空間31a,31bに沿ってその開口側からスライド部4を挿入させると、レール部材31がスライド片41の溝41a,41b内にスライド嵌合される。嵌合状態では、バネ片42の凸部43とケース11の凹部33とが係合して、ベルトクリップ2の確実な抜け止め効果が得られる。
【0020】
図6は、レール部3にベルトクリップ2のスライド部4をスライド嵌合させた状態を示す。空間15にバッテリーパック12を収納したとき、バッテリーパック12の一端(前端)によって、スライド部4の後端(図示のB部)を押さえるので、ベルトクリップ2が外れることが防止される。
【0021】
図7は、ベルトクリップ装着状態でバッテリーパック12を取り外した状態を示す。ベルトクリップ2を取り外すときには、先ず、バッテリー収納用空間15からバッテリーパック12を取り外す。このとき、解除に用いられるスライド部4のバネ片42の先端部44が空間15に臨む状態になる。この状態にて、作業者は指でバネ片42の先端部44を摘まんで、矢印Cに示すように上に持ち上げて、凸部43と凹部33との係合を解除する。その後に、ベルトクリップ2(スライド部4)を矢印D方向にスライド移動させて取り外す。バッテリー収納用空間15からバッテリーパック12を取り外した状態では、バネ片42の先端部44を持ち上げる空間が比較的広いので、この空間に指を入れバネ片42の先端部44を掴み易く、抜け止めヒンジ解除の作業は容易となり、ベルトクリップ2を容易に取り外すことができる。
【0022】
図8は、携帯機器
1においてベルトクリップ2の抜け止め解除作業をする要領を従来との対比で説明するものである。従来技術で説明したベルトクリップ取り付け構造では、抜け止めヒンジを解除するには、ベルトクリップの解除時に力を加える力点と携帯機器ケース本体との間の隙間(矢印E部分)に指を入れてヒンジを持ち上げる必要があるが、ヒンジの先端片を掴むための隙間が狭いため、その作業は難しかった。
【0023】
それに対し、本実施形態の構成によれば、バッテリー収納用空間15からバッテリーパック12を取り外した状態では、バネ片42の先端部44を持ち上げる空間(矢印F部分)が比較的広く、従って、この空間に指を入れバネ片42の先端部44を摘まんで持ち上げることが容易となり、抜け止めヒンジ解除の作業は容易となる。なお、力点を押し下げベルトクリップ2を開けば、指を入れる空間はさらに広くなり、取り外し作業はより容易となる。
【0024】
上述したように、携帯機器1をベルトクリップ2によって衣服等に装着して使用中に、バッテリー収納用空間15にバッテリーパック12が収納されているときは、バッテリーパック12によりベルトクリップ2が外れることは防止される。また、バッテリーパック12を取り外しても、抜け止め構造があるため、ベルトクリップ2が不用意に外れることは防止される。さらにまた、抜け止めヒンジ解除の作業は容易となり、ベルトクリップ2を容易に取り外すことができる。
【0025】
本発明は、上記実施形態の構成に限られず、種々の変形が可能である。例えば、ケース11の背面のレール部3及びベルトクリップ2のスライド部4のスライド嵌合構成は、任意の構成を採用し得る。また、抜け止めヒンジ構成は、上記の凸部43と凹部33との係合構成に替えて、バネ片42がケース11の背面に圧接して抜け止めを図るような構成であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明のベルトクリップの取り付け構造は、携帯型トランシーバ等の電子機器全般において利用することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 携帯機器 11 ケース 12 バッテリーパック 15 バッテリーパック収納用空間 2 ベルトクリップ 3 レール部 31 レール部材 31a,31b ガイド空間 33 凹部 4 スライド部 41 スライド片 41a,41b 溝 42 バネ片 43 凸部 44 先端部 5 ベルトクリップ取り付け構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8