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  • 特許-風管式環境試験装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】風管式環境試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
G01N17/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021081893
(22)【出願日】2021-05-13
(65)【公開番号】P2022175491
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】391007242
【氏名又は名称】三菱重工冷熱株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】若原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】高信 純一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊東 裕史
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-178634(JP,A)
【文献】特開2002-267099(JP,A)
【文献】特開2008-286467(JP,A)
【文献】特開昭56-148038(JP,A)
【文献】特開2015-132587(JP,A)
【文献】特開平04-097066(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00 - 17/04
G01M 9/00 - 9/08
G01M 17/00 - 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷気を管路内で循環させるとともに、前記冷気の循環流路中に置かれた被検体に前記冷気を吹きかけ、前記被検体の低温環境下における試験を行う風管式環境試験装置であって、
前記管路は、
PC構造物で形成した送風ダクトと、
前記送風ダクトの外周面を覆った断熱材と、
前記断熱材の外周面を覆った外装体と、
で多重管構造に形成してな
前記PC構造物の天井面は、押さえコンクリートで形成するとともに、前記管路内に配設を必要とする器具を取り付けるための取付部を、前記押さえコンクリート内に仕込んで一体的に形成してなる、ことを特徴とする風管式環境試験装置。
【請求項2】
前記送風ダクトの天井部の外側を覆う前記断熱材は、発泡ポリウレタンを吹き付けて形成してなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の風管式環境試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風管式環境試験装置に関し、特に高温からマイナス温度域(例えば、+60℃~-50℃)まで、広い温度範囲で各種の試験を行うのを可能にするための風管式環境試験装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、完成モデルの車両を室内等に置き、さまざまな自然環境・気象条件を設定し、車両への負荷をデータとして収集し、分析するための環境試験装置が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、一般に、管式環境試験装置では、マイナス温度域、特に-50℃程度まで下げた厳寒での環境試験は行わないため、風管は建屋の躯体、壁、床、天井にて施工をしている。そのため、マイナス温度域での試験をした場合の結露、凍結対策が取られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-223683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の管式環境試験装置では、マイナス温度域、特に-50℃程度の温度域まで下げた厳寒での環境試験は行わないため、結露、凍結対策が取られていなかった。
【0006】
一般に、管式環境試験装置で使用される管路内には、コーナーベーンや金網等が設置される。これらコーナーベーンや金網等の固定は、厳寒での環境試験を行う前には、管路の建屋躯体等に直接固定することにより設置していた。しかし、厳寒での環境試験を行う場合では、管路の建屋躯体に直接固定すると、固定した部分にヒートブリッジが発生し、管路の建屋躯体の外面に結露・凍結等が発生する恐れがある。そのため、結露・凍結等の対策が求められていた。
【0007】
また、送風機や冷却器等が内部に設置される管路を形成している送風ダクトは、送風ダクトの内部と外部との熱断熱が必要とされる。したがって、送風ダクト内に断熱材を敷設する必要がある。しかし、例えば送風機の吸い込み側(負圧側)に、負圧に弱い断熱パネル等の断熱材を敷設した場合、敷設した部分に、負圧で剥がれが発生する可能性があり、対策が求められていた。
【0008】
そこで、低温環境下での各種の試験を行っても、結露、凍結等を防ぐことができるとともに、管路内に配設を必要とする器具等の取り付け作業を簡単にすることができる構造にした風管式環境試験装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、冷気を管路内で循環させるとともに、前記冷気の循環流路中に置かれた被検体に前記冷気を吹きかけ、前記被検体の低温環境下における試験を行う風管式環境試験装置であって、前記管路は、PC構造物で形成した送風ダクトと、前記送風ダクトの外周面を覆った断熱材と、前記断熱材の外周面を覆った外装体と、で多重管構造に形成してな前記PC構造物の天井面は、押さえコンクリートで形成するとともに、前記管路内に配設を必要とする器具を取り付けるための取付部を、前記押さえコンクリート内に仕込んで一体的に形成してなる、風管式環境試験装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、管路は、PC構造物で形成した送風ダクトと、送風ダクトの外周面を覆った断熱材と、断熱材の外周面を覆った外装体と、で多重管構造に形成しているので、管路内を流れる冷気と管路外の外気との熱断が図れ、管路外周面における凍結、結露を防ぐことができる。また、例えば各部材の天井面を除いて、建屋等の床面上に、外装体、断熱材、PC構造物を順に施工し、その後、PC構造物の天井面、断熱材の天井面、外装体の天井面を順に施工して行くと、多重管構造をした管路を容易に形成することができる。
【0012】
また、例えば各部材の天井面を除いて、建屋等の床面上に、外装体、断熱材、PC構造物を順に施工し、その後、PC構造物の天井部を押さえコンクリートで形成する際、管路内に配設を必要とする器具を取り付けるための取付部を仕込んで一体的に形成することができる。これにより、取付部の設置が簡単になる。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記送風ダクトの天井部の外側を覆う前記断熱材は、発泡ポリウレタンを吹き付けて形成してなる、風管式環境試験装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、多重構造をした管路の一部を形成している送風ダクトの天井部の外側を覆う断熱材を、発泡ポリウレタンを吹き付けて形成することができるので、作業の簡易化が図れる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、管路を、PC構造物で形成した送風ダクトと、送風ダクトの外周面を覆った断熱材と、断熱材の外周面を覆った外装体と、で多重管構造に形成しているので、管路内を流れる冷気と管路外の外気との熱断が図れ、管路外周面における凍結、結露を防ぐことができる。また、例えば各部材の天井面を除いて、建屋等の床面上に、外装体、断熱材、PC構造物を順に施工し、その後、PC構造物の天井面、断熱材の天井面、外装体の天井面を順に施工して行くと、多重管構造をした管路を容易に形成することができる。したがって、低温環境下での各種の試験を行っても、結露、凍結等を防ぐことができるとともに、管路内に配設する器具等の取り付け作業の簡略化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態に係る風管式環境試験装置の機器配置構成を示す水平断面図である。
図2】同上風管式環境試験装置の外装体を取り除くと共に、一部を破断して内部機器の配置構成を示す斜視図である。
図3図1のA-A線に相当する箇所の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、低温環境下での各種の試験を行っても、結露、凍結等を防ぐことができるとともに、管路内に配設を必要とする器具等の取り付け作業を簡単にすることができる構造にした風管式環境試験装置を提供するという目的を達成するために、冷気を管路で循環させるとともに、前記冷気の循環流路中に置かれた被検体に前記冷気を吹きかけ、前記被検体の低温環境下における試験を行う風管式環境試験装置であって、前記管路は、PC構造物で形成した送風ダクトと、前記送風ダクトの外周面を覆った断熱材と、前記断熱材の外周面を覆った外装体と、で多重管構造に形成してなる、構成にしたことにより実現した。
【実施例
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0019】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0020】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0021】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明の風管式環境試験装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0022】
図1及び図2は本発明に係る風管式環境試験装置10の機器配置構成の一例を示すものであり、図1はその水平断面図、図2はその風管式環境試験装置10の外装体16を取り除き、かつ、一部を破断して内部機器の配置構成を示す斜視図である。
【0023】
図1及び図2において、風管式環境試験装置10(以下、単に「環境試験装置10」という)は、高温からマイナス温度域(例えば、+60℃~-50℃)まで、広い温度範囲の環境下で、被検体としての自動車Mの風切り音の測定、自動車Mのエンジンに供給されるガソリンの気化状態や空調装置の性能等を建屋内において試験をするための環境試験装置である。その環境試験装置10は、被試験車両である自動車Mの性能試験等を行う環境試験室11と、環境試験室11内の空気を循環させるための風管である風胴12とを備えている。
【0024】
環境試験室11には、低温での環境試験を行う場合に、被試験車両の全体を予め低温に冷やしておくソーク室(図示せず)等から環境試験室11の試験位置13(図1中の自動車Mが配置されている位置)に、自動車Mを出し入れするための出入口11Aと、冷風(空気)を取り入れるための、前面壁11aに形成した風送入口11Bと、風送入口11Bから環境試験室11内に流入された冷風を順次排出するための後面壁11bに形成した風排出口11Cが設けられている。また、環境試験室11の出入口11Aには、開閉ドア14が設けられている。
【0025】
風胴12は、断面略矩形状をした筒状の送風ダクト15と、送風ダクト15の外側を覆った、同じく断面略矩形状をした筒状の外装体16と、を有して、断面多重筒構造を成している。
【0026】
送風ダクト15の一端側の開口15aは、環境試験室11の前面壁11aに設けられている風送入口11Bから環境試験室11内に差し込まれて、環境試験室11内の試験位置13に向けて開放されている。一方、送風ダクト15の他端側の開口15bは、環境試験室11の後面壁11bに設けられている風排出口11Cから環境試験室11内に差し込まれて、試験位置13に向けて開放されている。すなわち、送風ダクト15は、環境試験室11を前後端に挟んで、平面視概略矩形のループ状に形成されており、送風ダクト15の開口15aから環境試験室11内に吹き込まれた低温(又は高温)の大気を、送風ダクト15の開口15bから再び送風ダクト15内に取り込み、更に送風ダクト15内を開口15a側に流し、再び送風ダクト15の開口15aから環境試験室11内に送り込む、冷気の循環流路を形成する。
【0027】
送風ダクト15の第1コーナー箇所15Aには、開口15bから送風ダクト15内に吸い込まれて来た低温の大気の流れを、第2コーナー箇所15B側に導く第1コーナーベーン17が設けられ、送風ダクト15の第2コーナー箇所15Bには、第1コーナーベーン17を通って来た低温の大気の流れを、第3コーナー箇所15C側に導く第2コーナーベーン18が設けられ、送風ダクト15の第3コーナー箇所15Cには、第2コーナーベーン18を通って来た低温の大気の流れを、第4コーナー箇所15D側に導く第3コーナーベーン19が設けられ、送風ダクト15の第4コーナー箇所15Dには、第3コーナーベーン19を通って来た低温の大気の流れを、環境試験室11側に導く第4コーナーベーン20が設けられている。
【0028】
また、送風ダクト15の風排出口11Cから第1コーナー箇所15Aまでの間のダクト部151は、風排出口11Cから第1コーナー箇所15Aに向かうに従い、開口断面積が徐々に大きくなる拡散胴21(以下、これを「第1拡散胴21」と言う)で形成されている。第2コーナー箇所15Bと第3コーナー箇所15Cとの間のダクト部153には、ダクト部154側に向けて冷気を送る強制循環用の送風機22が設けられ、第3コーナー箇所15Cと第4コーナー箇所15Dとの間のダクト部154には、送風ダクト15内を流れる-50度の厳寒大気流を形成可能な図示しない冷却器が設けられている。
【0029】
第2コーナー箇所15Bと第3コーナー箇所15Cとの間のダクト部153は、送風機22を設けた第1ダクト部153aが第2コーナー箇所15Bから第3コーナー箇所15Cへ向かうに従い、開口断面積が徐々に小さくなる縮流胴23(以下、これを「第1縮流胴23」という)と、第1縮流胴23の下流端から第3コーナー箇所15Cに向かうに従い、開口断面積が徐々に大きくなる拡散胴24(以下、これを「第2拡散胴24」という)とで形成されている。そして、送風機22は、第1縮流胴23内に配設されている。
【0030】
第4コーナー箇所15Dとから風送入口11Bまでの間のダクト部155は、整流胴25と、整流胴25の下流端から風送入口11Bへ向かうに従い、開口断面積が徐々に小さくなる縮流胴26(以下、これを「第2縮流胴26」という)とで形成されている。そして、縮流胴26の先端は、送風ダクト15の開口15aとして、環境試験室11内に開口している。
【0031】
送風ダクト15の外側面を覆った筒状の外装体16は、ダクト部151、ダクト部152、ダクト部153、ダクト部154、ダクト部155の外周面を連続的に覆い、断面二重構造をした風胴12を形成し、送風ダクト15内の冷気が風胴12の外側における環境温度の影響を受けないように、熱を遮断する役目をなしている。
【0032】
次に、このように構成された環境試験装置10の動作を説明する。この環境試験装置10では、環境試験室11内に、例えば、+60℃~-50℃の環境を再現して試験を行うことができる。そして、例えば-50℃程度の極寒の環境を再現して低温環境試験を行う場合は、試験に先立ち、ソーク室内で予め低温に冷やされた被検体としての自動車Mを、環境試験室11内の試験位置13まで運び込む。
【0033】
そして、試験が開始されると、ダクト部153内の送風機22とダクト部154内の冷却器とが駆動される。送風機22が駆動されると、送風機22の後側(第2コーナーベーン18側)が負圧で、送風機22の前側(第2拡散胴24側)が正圧となる。これにより、送風機22は、環境試験室11内の空気を風排出口11C側の開口15bから送風ダクト15内に取り込み、ダクト部154内の図示しない冷却器側へ強制的に送る。なお、図1中において、送風ダクト15内に示す矢印は、空気が流れる方向を示している。また、ダクト部154内の図示しない冷却器では、送風ダクト15内を流れる気流を厳寒(例えば、-50℃)の大気流まで冷し、冷やされた厳寒大気流を風送入口11B側の開口15aから環境試験室11内に吹き出し供給する。吹き出された厳寒大気流の一部は、自動車Mに当たり、また自動車Mの後側に廻った風が、風排出口11C側の開口15bから送風ダクト15内に吸い込まれて、再び送風ダクト15内に戻される。さらに、送風ダクト15内に戻された厳寒大気流は、ダクト部151、ダクト部152、ダクト部153,ダクト部154、ダクト部155を順に通り、途中でダクト部154内の冷却器により再び厳寒大気流の温度まで冷やされ、風送入口11B側の開口15aから自動車Mに向けて吹き出される。このようにして、厳寒大気流を循環させることにより、環境試験室11内には厳寒の環境が再現され、厳寒環境下での試験を行うことができる。
【0034】
ところで、このように厳寒大気流を流す送風ダクト15では、送風ダクト15内を流す大気流に、送風ダクト15の外側における環境温度の影響を受けないようにするのに、例えば図3に示すように、送風ダクト15と、送風ダクト15の外周面を覆った断熱材31と、断熱材の外周面を覆った外装体16と、を順に設けて、断面略三重の管構造をした管路100で形成している。その管路100の構造を、図3を加えて更に説明する。
【0035】
図3は、図1のA-A線に相当する箇所の概略断面図である。図3において、管路100は、建屋等の床面201上に敷設された土台202及び桟203により支えられて、床面201上に設置されている。その管路100の組立順序としては、まず土台202上に、底面16aと左右の側面16bと天井面16cとを有する、断面矩形状をした筒状の外装体16が組み立てられる。外装体16は、図示しない前後の開口の他に、天井面16cに作業用扉161で開閉される作業用開口16dが設けられている。作業用開口16dは、後述するPC構造物33の天井面33cを形成する押さえコンクリート作業、及び、断熱材31の天井面31cを形成する発泡ポリウレタンの吹き付け作業等に使用される。
【0036】
外装体16における組立作業の次には、外装体16の内側に、外装体16の底面16aと左右の側面16bに沿わせて断熱材31の底面31aと左右の側面31bがそれぞれ配設され、天井面が開口された断面コ字形の断熱材31が形成される。この断熱材31は、例えば発泡ポリウレタンを板状に成形したもの、すなわち板状のビーズ法発泡ポリスチレン等であり、予め板状に成形された断熱材31を、外装体16の底面16aと左右の側面16bの内面にそれぞれ貼り付けて固定される。
【0037】
続いて、断熱材31の底面31aと左右の側面31bの内側に図示しない鉄骨を組み、その底面31aと左右の側面31bの内側にプレキャストコンクリート(通称、「PC」という)33aとプレキャストコンクリート33bを嵌め込んだ、天井面が開口された断面コ字形のPC構造物33が形成される。
【0038】
次いで、PC構造物33の天井面33cを形成する。ここでの天井面33c、すなわちPC構造物33の天井部は、現場打設による押さえコンクリートで形成される。また、押さえコンクリートで天井面33cを形成する際、管路100内に配設を必要とする図示しない金網の取付部やコーナーベーン等の器具を取り付けるための取付部(アンカー等)を仕込んで、コンクリートと一体化を図る。この天井面33cを設けることにより、断面矩形状をした送風ダクト15が形成される。
【0039】
次に、押さえコンクリートで形成されたPC構造物33の天井面33cの上に発泡ポリウレタンを吹き付け、その発泡ポリウレタンにより、PC構造物33の上に、左右の側面31bに繋がる断熱材31の天井面31cを形成する。これにより、送風ダクト15の外周面、すなわちPC構造物33の外周面(底面31a、左右の側面31b、及び天井面31c)は断熱材31で包まれて外部と断熱された状態になる。
【0040】
このようにして形成された管路100には、PC構造物33における天井面33cを形成するときに、押さえコンクリートの中に仕込んだアンカー等の取付部を使用して、金網やコーナーベーン、あるいは送風機、冷却器等の空調機器が取り付けられる。
【0041】
したがって、本実施例の構造による風管式環境試験装置10によれば、管路は100、PC構造物33で形成した送風ダクト15と、送風ダクト15の外周面を覆った断熱材31と、断熱材31の外周面を覆った外装体16と、で三重の管構造に形成されているので、送風ダクト15(管路100)内を流れる冷気と管路100外の外気との熱断が図れ、管路外周面における凍結、結露を防ぐことができる。また、例えば各部材(PC構造物33、断熱材31、外装体16)の天井面を除いて、建屋等の床面201上に、外装体16、断熱材31、PC構造物33を順に施工し、その後、PC構造物33の押さえコンクリート施工の天井面33c、断熱材31の発泡ポリウレタン吹き付けの天井面31cを順に施工して行くと、多重管構造(本実施例では三重の管構造)をした管路100を容易に形成することができる。
【0042】
また、送風ダクト15となるPC構造物33の天井面31cを押さえコンクリートで形成するとき、管路100内に配設を必要とする器具を取り付ける取付部を予め仕込んで一体的に形成しているので、送風ダクト15をPC構造物33で形成した後から送風ダクト15内に配置する器具等を取り付ける作業が簡単になる。
【0043】
また、PC構造物33で作られた送風ダクト15の天井面31cを覆う断熱材31は、発泡ポリウレタンを吹き付けて形成しているので、作業の簡易化が図れる。
【0044】
また、断熱材31は、送風ダクト15、すなわちPC構造物33の外周面側に配設する外防熱であるので、送風ダクト15内を流れる気流に影響されて、断熱材31の剥がれが生じたりすることもない。
【0045】
なお、本実施例では、図1のA-A断面箇所、すなわち第1コーナー箇所15Aと第2コーナー箇所15Bとの間の管路100の部分に付いて説明をしたが、この構造は、第1コーナー箇所15Aと第2コーナー箇所15Bとの間に限定されるものではなく、他の箇所における管路100にも適用され可能である。
【0046】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0047】
10 :風管式環境試験装置
11 :環境試験室
11A :出入口
11B :風送入口
11C :風排出口
11a :前面壁
11b :後面壁
12 :風胴
13 :試験位置
14 :開閉ドア
15 :送風ダクト
15A :第1コーナー箇所
15B :第2コーナー箇所
15C :第3コーナー箇所
15D :第4コーナー箇所
15a :開口
15b :開口
16 :外装体
16a :底面
16b :側面
16c :天井面
16d :作業用開口
17 :第1コーナーベーン
18 :第2コーナーベーン
19 :第3コーナーベーン
20 :第4コーナーベーン
21 :第1拡散胴
22 :送風機
23 :第1縮流胴
24 :第2拡散胴
25 :整流胴
26 :第2縮流胴
31 :断熱材
31a :底面
31b :側面
31c :天井面
33 :PC構造物
33c :天井面
100 :管路
151 :ダクト部
152 :ダクト部
153 :ダクト部
153a :第1ダクト部
154 :ダクト部
155 :ダクト部
161 :作業用扉
201 :床面
202 :土台
203 :桟
M :自動車(被検体)
図1
図2
図3