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<図1>
  • 特許-アルツハイマー病の予防又は治療方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】アルツハイマー病の予防又は治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/275 20060101AFI20230607BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A61K31/275
A61P25/28
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020541528
(86)(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 US2019016012
(87)【国際公開番号】W WO2019152627
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】62/624,637
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508285271
【氏名又は名称】オラテック セラピューティクス リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ エー.ディナレッロ
【審査官】内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】PNAS,2018年,Vol. 115, Issue 7,p. E1530-E1539
【文献】NATURE COMMUNICATIONS,2016年,Vol. 7, Article number 12504,p. 1-10
【文献】Alzheimer's and Dementia,2016年,Vol. 12, Issue 7S, Part 5, O2-13-06,p. P262
【文献】Alzheimer's and Dementia,Vol. 13, Issue 7S, part 12, P2-064,p. P629
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/275
A61P 25/28
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病を予防及び/又は治療するための方法における使用のための、ダパンストリル、又はその医薬的に許容される溶媒和物を含む医薬組成物であって、該方法が、上記予防及び/又は治療を必要とする対象に有効量のダパンストリル、又はその医薬的に許容される溶媒和物を投与する工程を含む、医薬組成物。
【請求項2】
前記方法が、前記対象における神経炎症を減少させる、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記方法が、前記対象の認知機能を改善する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記方法が、前記対象の学習及び記憶プロセスを改善する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
ダパンストリルが、3か月~5年間、1~3日ごとに前記対象に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
ダパンストリルが、100~2000mg/日で前記対象に投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記対象が、家族歴、スクリーング、記憶喪失の臨床的徴候、及び/又は脳スキャンによって、特定される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
ダパンストリルが、全身投与によって投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ダパンストリルが、経口投与によって投与される、請求項8に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルツハイマー病を予防及び/又は治療するためのダパンストリル(3-メタンスルホニルプロピオニトリル)(3-methanesulfonylpropionitrile)、又はその医薬的に許容される溶媒和物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(AD)は、記憶、認知、推理、判断、及び感情的安定性の漸進的な喪失を臨床的な特徴とする変性性脳障害であり、これは次第に深刻な精神的悪化を引き起こし、最終的には死に至る。ADは、高齢者の進行性精神障害(認知症)の非常に一般的な原因である。
【0003】
アルツハイマー病の発症は、個人によって異なるが、多くの一般的な症状を有する。初期の症状は、多くの場合、加齢に伴う問題、又はストレスの症状であると誤って考えられている。初期の段階において、最も一般的な症状は、運動能力の低下及び短期記憶喪失として知られる最近の出来事を思い出すことが困難なことである(Buchman et al, Exp Rev Neurother, 11:665-76, 2011)。ADが疑われる場合、診断は通常、行動及び思考能力を評価するテストで確認され、可能な場合は、脳スキャンが行われる。病気が進行するにつれて、症状には、混乱、イライラ、攻撃性、気分のムラ、言語の問題、長期記憶の喪失等が含まれ得る。ヒトの健康状態が低下するにつれて、彼/彼女は多くの場合、家族及び社会から退く。徐々に、身体機能が喪失し、最終的に死に至る。
【0004】
AD患者の脳は、アミロイド斑、アミロイド血管症(血管内のアミロイド沈着)、及び神経原線維変化、並びに神経炎症と呼ばれる特徴的な病変を示す。これらの多くの病変、特にアミロイド斑及び神経原線維変化は、一般的に、AD患者の記憶及び認知機能に重要ないくつかのヒトの脳の領域で見られる。現在、ADの確定診断は通常、疾患で死亡した患者の脳組織、又はまれに、侵襲的な脳神経外科手術中に採取された脳組織の小さな生検サンプルにおいて前述の病変を観察する必要がある。
【0005】
神経炎症は、神経組織の炎症である。これは、感染症、外傷性脳損傷、毒性代謝物、又は自己免疫を含む様々な合図に応答して起こり得る。脳及び脊髄を含む中枢神経系(CNS)において、ミクログリアは、これらの合図に応答して活性化される自然免疫細胞である。末梢免疫細胞は一般に、アステロサイト及び内皮細胞で構成される特殊な構造である血液脳関門(BBB)によってブロックされるため、CNSは通常、免疫学的に特権部位である。しかしながら、循環する末梢免疫細胞は、欠陥があるBBBを越え、主要な組織適合性複合分子を発現するニューロン及びグリア細胞に遭遇し、免疫応答を永続化する可能性がある。反応は、感染性物質から中枢神経系を保護するために開始されるが、その影響は、毒性があり、広範囲に及ぶ炎症並びに血液脳関門を通過する白血球のさらなる移入である可能性がある。
【0006】
ADの特徴的なアミロイド斑及びアミロイド血管症の主要な化学成分は、βアミロイドペプチドと呼ばれる約39~43アミノ酸の約4.2キロダルトンのタンパク質である。βアミロイドペプチドは、より大きなアミロイド前駆体タンパク質(APP)の小さなフラグメントであり、まとめてセクレターゼと呼ばれるプロテアーゼシステムによるAPPの切断に由来する。APPは、多くの組織で発現し、ニューロンのシナプスに集中する内在性膜タンパク質である。その主要な機能は未解明であるが、シナプス形成、神経可塑性及び鉄の排出の調節因子として関与している。APPは、37~49アミノ酸のペプチドであり、アミロイド繊維の形態は、アルツハイマー病の患者の脳に見られるアミロイド斑の主成分である、タンパク質分解によってベータアミロイド(Aβ)を生成する前駆体分子として知られている。APPは最初に、βセクレターゼによって切断されβスタブが生成され、次にγセクレターゼによって切断されて分泌されるβアミロイドフラグメントが生成される。
【0007】
急性及び慢性炎症における先端炎症誘発性メディエーターであり、自然免疫応答の強力な誘導因子であるインターロイキン-1ベータ(IL-1β)レベルの上昇は、1989年以来AD患者の脳における研究で報告されている(Proc Natl Acad Sci USA 86:7611-5)。kitzawa達は、インターロイキン-1シグナル伝達の遮断が認知機能を助け、tau病状を弱め、ADモデルにおけるニューロンのβ-カテニン経路機能を回復させることを報告している(J Immunol. 2011, 187: 6539-6549)。Heneka達は、NLRP3が、ADにおいて活性化され、APP/PS1マウスの病状に関係することを報告している。(Nature 2013, 493: 7434)
【0008】
ADの病因の一部が、「漏れやすい血液脳関門」であることを示唆する最近の研究がある(Iadecola, Neuron, 85: 231-233, 2015)。ADの病因について最も議論されている概念の1つは、バリアの破壊であり、炎症性細胞が海馬(記憶中心)に移入できるようになるか否かである。Iadecolaが、彼のコメンタリーで記載しているように、現在、認知機能障害に関連するバリアの破壊を支持するデータが存在する。
【0009】
ADの予防及び治療のための方法及び組成物を開発する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1A及び1Bは、IL-1β腹腔内誘発後のビヒクル及びダパンストリル処置マウスのエクスビボサンプルにおけるIL-6及びMPOの脳レベルを示す。
図2図2Aは、前炎症性サイトカインIL-6のレベルが、1000mg/kg/日のダパンストリルで処置されたトランスジェニックADトランスジェニックマウス(APP/PS1系統)の脳ライセートにおいて減少したことを示す。図2Bは、500mg/kg/日及び1000mg/kg/日の用量の両方のダパンストリルで処置されたADトランスジェニックマウスの脳ライセートにおいて、炎症誘導性サイトカインIL-1βのレベルが減少したことを示す。
図3図3Aは、野生型マウス、APP/PS1マウス、500mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウス、及び1000mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウスの1日目~8日目までのモリス水迷路テストにおける逃避の時間遅延(秒)を示す。図3Bは、野生型マウス、APP/PS1マウス、500mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウス、及び1000mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウスの9日目のプローブ試験における、3つの非標的四分円(NT)のマウスの平均時間(%)及び標的四分円(TQ)のマウスの時間(%)を示す。
図4図4は、野生型マウス、APP/PS1マウス、500mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウス、及び1000mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウスの75~80分(TBS誘導後55~60分で最後の5分間の記録)での平均LTPを示す。N=動物の数、及びn=海馬のスライスの数。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
発明者達は、局所及び全身炎症性のいくつかの全動物モデルにおいて、IL-1β及びIL-6を含む炎症誘発性サイトカインのレベルを一貫して低下させるダパンストリルが、アルツハイマー病の治療、及びADの運動/行動障害の改善に効果的であることを発見した。本発明者は、ダパンストリルが、IL-1βの自発的産生の減少、IL-6の誘導の減少、全身性神経炎症の減少に有効であることを発見した。インビトロ、エクスビボ及びインビボでの研究において、ダパンストリルは、IL-1βのプロセシング及び放出を阻害するが、IL-1β前駆体の合成を阻害しないことを実証した。本発明者は、末梢細胞をダパンストリルで処理することにより、自発的IL-1βが減少し、その結果、血液由来のミクログリアにおける炎症のレベルが低下すると考える。ダパンストリルは、恒常的なサイトカインを抑制しないことによって体の免疫監視を維持し、細胞死から保護する。ダパンストリルは、TNF-α、IL-1α、又は包括的なサイトカインを直接阻害しないため、そのオフターゲット活性は、最小限である。
【0012】
本発明者は、アルツハイマー病の原因についての1つの見解に関して、ADにおける血液脳関門を形成する内皮細胞の密着結合が、本質的に効果が低くなり、海馬に入らないはずの分子が入り込むことを可能にすることを発見した。本発明者は、IL-1βが「漏出」に寄与するだけでなく、「漏出血液脳関門」が、IL-1β(及びいくつかのサイトカイン)が海馬領域に入ることを可能にする分子の1つであると考える。脳にIL-1βが存在すると炎症が起こり、アミロイドが合成される。アミロイド合成の増加は、アルツハイマー病の病原特性の1つである。IL-1βの全身及び脳レベルを低下させることにより、ダパンストリルは、IL-1βを介した全身性炎症及び神経炎症を減少させ、ADの予防及び治療することに有効である。
【0013】
本発明は、アルツハイマー病を予防及び治療するための方法に関する。当該方法は、その治療を必要とする対象に有効量のダパンストリル又はその医薬的に許容される溶媒和物を投与する工程を含む。
【0014】
化合物
3-メタンスルホニルプロピオニトリルは、ダパンストリルとも呼ばれる。その構造を以下に示す。
【化1】
3-メタンスルホニルプロピオニトリル
【0015】
本発明は、ダパンストリル又はその医薬的に許容される溶媒和物を使用する。本明細書で使用される「溶媒和物」は、化合物が許容できる共溶媒と一定の割合で組み合わせられている付加錯体である。共溶媒は、限定されないが、水、酢酸、エタノール、及び他の適切な有機溶媒が含まれる。
【0016】
ダパンストリルの水素、酸素、硫黄、及び窒素原子のうちの1つは、限定されないが、H(重水素)、H(トリチウム)、13C、14C、15N、17O、18O、及び35Sで任意に置換される。H(重水素)、13C、15N、17O、18O等の非放射性又は安定同姓が好ましく、H(重水素)がより好ましい。
【0017】
医薬組成物
本発明は、1つ以上の医薬的に許容される担体及びダパンストリルの活性化合物、又はその医薬的に許容される塩、又はその溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物中の活性化合物又はその医薬的に許容される溶媒和物は一般に、局所製剤に関して約0.01~20%、又は0.05~20%、又は0.1~20%、又は0.2~15%、又は0.5~10%、又は1~5%(w/w);注射可能な製剤に関して約0.1~5%; パッチ製剤に関して、0.1~5%; 錠剤製剤に関して約1~90%;カプセル製剤に関して1~100%の量である。一般に、医薬組成物に用いられる活性化合物は、少なくとも90%、好ましくは95%、又は98%、又は99%(w/w)純粋である。
【0018】
一実施形態において、医薬組成物は、錠剤、カプセル、顆粒、細粒、粉末、シロップ、坐剤、注射液、パッチ、吸入器用等の剤形である。他の実施形態において、活性化合物は、クリーム、ゲル、ローション、又は活性化合物を安定させることができる他のタイプの懸濁液を含む、何れかの許容される担体に組み込まれる。上記医薬組成物は、常法により調製可能である。
【0019】
不活性成分である医薬的に許容される担体は、従来の基準を使用して当業者が選択することが可能である。医薬的に許容される担体は、限定されないが、非水性ベースの溶液、懸濁液、エマルション、ミセル溶液、ゲル、及び軟膏を含む。医薬的に許容される担体は、限定されないが、生理食塩水及び電解質水溶液;塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール、デキストロース等のイオン性及び非イオン性浸透圧剤; 水酸化物、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩等のpH調整剤及び緩衝液;及びトロラミン;亜硫酸水素塩の塩、酸及び/又は塩基、亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ亜硫酸塩、アスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、グルタチオン、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール、及びアスコルビルパルミチン酸塩等の抗酸化剤; レシチン、限定されないがホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシトールを含むリン脂質等の界面活性剤; ポロキサマー及びポロキサミン、ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート20等のポリソルベート、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリエーテル; ポリビニルアルコール及びポビドン等のポリビニル; メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体及びその塩;ミネラルオイル及び白色ワセリン等の石油派生物;ラノリン、ピーナッツオイル、ダイズオイル等の脂肪; モノ-、ジ-、及びトリグリセリド; カルボキシポリメチレンゲル、及び疎水的に修飾された架橋アクリレートポリマー等のアクリル酸ポリマー、デキストラン等の多糖類及びヒアルロン酸ナトリウム等のグリコサミノグリカンを含む成分も含み得る。そのような医薬的に許容される担体は、周知の防腐剤を使用して細菌汚染から保護することができ、これらは、限定されないが、塩化ベンザルコニウム、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、チメロサール、及びフェニルエチルアルコールを含み、又は単回使用又は複数回使用の何れかのために非保存性製剤としても製剤化され得る。
【0020】
例えば、活性化合物の錠剤製剤又はカプセル製剤は、生物活性が無くかつ、活性化合物との反応を示さない他の賦形剤を含み得る。錠剤の賦形剤は、充填剤、結合剤、潤滑剤及び滑剤、崩壊剤、湿潤剤、及び放出速度調整剤が含まれ得る。結合剤は、製剤の粒子の付着を促進し、錠剤製剤にとって重要である。結合剤の例は、限定されないが、カルボキシメチルセルロース、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カラヤガム、デンプン、デンプン、及びトラガカントガム、ポリ(アクリル酸)、及びポリビニルピロリドンを含む。
【0021】
活性化合物のパッチ製剤は、1,3-ブチレングリコール、ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート、エデト酸二ナトリウム、D-ソルビトール、ゼラチン、カオリン、メチルパラベン、ポリソルベート80、ポビドン(ポリビニルピロリドン)、プロピレングリコール、プロピルパラベン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、酒石酸、二酸化チタン、及び精製水等のいくつかの不活性成分を含み得る。パッチ製剤はまた、乳酸エステル(例えば、乳酸ラウリル)又はジエチレングリコールモノエチルエーテル等の皮膚透過性増強剤を含み得る。
【0022】
活性化合物を含む局所製剤は、ゲル、クリーム、ローション、液体、乳濁液、軟膏、スプレー、溶液、及び懸濁液の形態であり得る。局所製剤中の不活性成分は、限定されないが、例えば、乳酸ラウリル(皮膚軟化剤/浸透促進剤)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(軟化剤/浸透促進剤)、DMSO(溶解度促進剤)、シリコーンエラストマー(レオロジー/テクスチャー改変剤)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(軟化剤)、オクチサレート(軟化剤/UVフィルター)、シリコーン油(軟化剤/希釈剤)、スクアレン(軟化剤)、ヒマワリ油(軟化剤)、及び二酸化ケイ素(増粘剤)を含む。
【0023】
本発明の医薬組成物は、対象が吸入する、活性化合物を含む呼吸用粒子のエアロゾル懸濁液の形態であり得る。呼吸可能粒子は、液体又は個体であり得、呼吸時に口及び咽頭を通過するために十分に小さい粒子サイズを有する。一般的に、約1~10ミクロン、好ましくは1~5ミクロンのサイズを有する粒子が、呼吸に適すると考えられる。
【0024】
使用方法
本発明は、アルツハイマー病(AD)を予防及び/又は治療する方法に関する。当該方法は、最初にADに罹患している、又はADを発症する可能性が高い対象を特定し、有効量の活性化合物ダパンストリルを対象に投与する工程を含む。本明細書で使用される「有効量」は、病的状態を緩和するか又はADの症状を減少させることによりADを予防又は治療するために有効な量である。
【0025】
一実施形態において、当該方法は、疾患の症状を減少又は緩和し、ADに罹患している対象の認知機能及び運動機能を改善する。対象は、記憶喪失の臨床的徴候、又はADを診断する脳スキャンによって特定される場合がある。当該方法は、患者の混乱、イライラ、攻撃性、気分のムラ、言語の問題、長期記憶の喪失の症状を改善する。当該方法は、対象の学習及び記憶プロセスも改善する。
【0026】
他の実施形態において、当該方法は、疾患の進行を呈し又は減速させるダパンストリルの予防的使用を提供する。予防的使用のために、対象は、家族歴、遺伝子スクリーニング、及び/又は記憶喪失の初期の兆候によって選択される。当該方法は、対象の認知機能又は運動機能を改善し、学習及び記憶プロセスを改善する。
【0027】
神経科学において、長期増強(LTP)は、細菌の活動パターンに基づくシナプスの持続的な強化である。これらは、2つのニューロン間の信号伝達に長期的な増加をもたらすシナプス活動のパターンである。ADにおけるシナプスの障害は、長期増強(LTP)の観点から見た長期シナプス可塑性の障害が主な原因である。LTPは、学習及び記憶の基礎となる主要な細胞メカニズムの1つと広く考えられている。本発明は、LTPの改善を提供する。
【0028】
本発明者は、ダパンストリルが、脳におけるADの病因に関連する2つの主要なサイトカイン:IL-1β及びIL-6の産生を減少させることを実証した。つまり、ADトランスジェニックマウスのダパンストリルによる3か月の治療後、脳内のIL-1β及びIL-6の炎症性サイトカインのレベルが大幅に低下する。
【0029】
モリス水迷路テストのパフォーマンスにおいて、ADトランスジェニック動物は、野生型のマウスと比較して認知学習機能の障害を示した。対照的に、適切な用量のダパンストリルで処置されたADトランスジェニック動物は、野生型動物と同じくらい良好に機能した。LTP測定は同様の効果を示した。ADトランスジェニック動物は、障害を有するLTPを示したが、適切な用量のダパンストリルで処置されたADトランスジェニック動物は、野生型に匹敵するLTPを示した。
【0030】
本発明の医薬組成物は、全身投与又は局所投与により適用され得る。全身投与は、経口、非経口(静脈内、筋肉内、皮下又は直腸等)、吸入、及び他の全身投与経路を含む。全身投与において、活性化合物は、最初に、血漿に到達し、次に標的組織に分散する。
【0031】
組成物の投与は、損傷の程度と各患者の個々の反応に基づいて異なる。全身投与の場合、送達される活性化合物の血漿濃度は、変動する可能性がある。しかし、一般的に1×10-10~1×10-4モル/リットル、好ましくは、1×10-8~1×10-5モル/リットルである。
【0032】
一実施形態において、医薬組成物は、対象に経口投与される。経口投与の投与量は、一般に少なくとも0.1mg/kg/日であり、100mg/kg/日未満である。例えば、経口投与の投与量は、ヒト対象に対して0.1~100又は0.5~50mg/kg/日、好ましくは1~10又は1~20mg/kg/日である。例えば、経口投与の投与量は、20~1000mg/日又は100~2000mg/日、好ましくは、20~500、25~200、50~500、50~200、100~600、100~400、100~800、200~800、400~800、400~1200、500~2000、又は800~2000mg/日である。
【0033】
一実施形態において、医薬組成物は、対象に静脈内投与される。静脈内ボーラス注射又は静脈内注入の投与量は、一般に、0.03~20、好ましくは0.03~10mg/kg/日である。
【0034】
一実施形態において、医薬組成物は、対象に皮下投与される。皮下投与の投与量は、通常、0.3~20、好ましくは、0.3~3mg/kg/日である。
【0035】
一実施形態において、医薬組成物は、吸入により投与される。吸入の方法は、液体点滴注入、定量吸入器又は同等のものによる加圧流体調製物としての点滴注入、又はネブライザーによるエアロゾル化溶液の吸入、乾燥粉末の吸入、及び機械的換気中に可溶性又は乾燥した物質を空気流に向けることが含まれる。吸入により送達される活性化合物の表面濃度は、変動する可能性があるが、一般的に、1×10-10~1×10-4モル/リットル、好ましくは1×10-8~1×10-5モル/リットルである。
【0036】
当業者は、多種多様な送達機構が本発明に適切であり得ることを認識するだろう。
【0037】
ダパンストリルは、動物及びヒトで十分に許容される。従って、本発明の方法は、ADの対象の慢性的な治療に適している。対象は、毎日又は1~3日ごとに治療され得る。治療期間は、1か月~3か月、1か月~6か月、1か月~1年、1か月~2年、1か月~5年、3か月~6か月、3か月~1年、3か月~2年、3か月~5年、6か月~1年、6か月~2年、6か月~5年、6か月~10年、又は対象の寿命までであり得る。
【0038】
ダパンストリルは、断続的な投薬に使用することができる。例えば、対象は、ダパンストリルで1~5年間治療され、その後、1~5年間ダパンストリルで治療されず、その後、投与のオン/オフ療法が繰り返され得る。
【0039】
本発明は、ヒト、ウマ、及びイヌ等の哺乳動物対象の治療に有用である。本発明は、ヒトの治療に特に有用である。
【0040】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものである。これらの実施例は、単に本発明を例示することを意図しており、限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0041】
実施例1.オフターゲット活性
ダパンストリルの潜在的なオフターゲット活性を調査するために、二次的な薬理学的効果を、インビトロスクリーニングアッセイを通して評価した。ダパンストリルは、AIM2又はNLRC4インフラマソーム経路を介したサイトカイン産生に対し抑制効果を有さず、ダパンストリルは、プロIL-1又はプロIL-18の阻害を示さない。ダパンストリルのオフターゲット効果について、68個の臨界膜貫通型受容体及び可溶性受容体、イオンチャネル並びにモノアミントランスポーターの評価が行われた。追加の69個の受容体及び酵素が、炎症のカスケードに関与する酵素に焦点を当てた後続の研究において、潜在的な活動に関し、ダパンストリルを用いて評価された。同定された単一のターゲットであるPDE4酵素は、≧100μM(13μg/mL)の濃度範囲で阻害され、効果は用量応答性であったが、その後の研究では確定的ではなかった。スクリーニングアッセイでは、COX-1又はCOX-2への直接的な影響及びオピオイド受容体との相互作用等の他の影響は認められなかった。
【0042】
実施例2.処置後のIL-6及びMPOレベル
マウスを200mg/kgのダパンストリル(OLT1177(商標))で4日間、8回注射で処置した。マウスは、3日目にロータロッドでトレーニングされた。最後の注射から12時間後、マウスをロータロッドで遠くまで走らせた。ロータロッドの1時間後、マウスに60ngのIL-1βを腹腔内投与した。次にマウスを4時間後に屠殺した。マウスの全血、血漿、脳、及び胚を採取した。全血を培養し、血漿を凍結した。脳をサイトカイン分析のために処理した。サイトカインのELISA測定は、全てのサンプルについて行われ、結果は図1及び図2に示されている。各群は、N=5である。
【0043】
エクスビボのサンプルを、ビヒクル又はダパンストリルで処理され、徹底的な運動に供されたマウスの脳から得た。IL-1β刺激後、サンプルは、脳内のIL-6及びミエロペルオキシダーゼ(MPO)のレベルの低下を示した(図1A及び1B)。加えて、IL-1β、IL-6、及びMPOのレベルも、処置されたマウスでは減少していた(ここでデータは示していない)。
【0044】
実施例3.ダパンストリルで処置されたトランスジェニックマウスの処置プロトコル
APP/PS1マウスは、ヒトアミロイド前駆体タンパク質及びヒトプレセニリン-1を発現し、それぞれ家族性ADに関連する突然変異を伴い、加齢に伴うAβの沈着を引き起こし、神経炎症及び認知障害を伴う。
【0045】
研究デザインにおいて、生後6か月の野生型(WT)、及びADトランスジェニックAPP/PS1[デルタE9]マウスを、3か月の治療期間の間、自由に飼料ペレット(0.375又は7.5kgの飼料濃度及び4g/日の摂取量に基づき、約0、50又は100mg/kg/日)を介して経口ダパンストリルで処置された。9か月齢で、マウスの行動試験が行われた。加えて、マウスの脳を摘出し、血液サンプルを採取した。各群のマウスの脳は、電気生理学的及びニューロン形態学的分析、サイトカインレベル及び他のアッセイのために用いられた。
【0046】
実施例4.脳ホモジネートのサイトカインレベル
各マウスの脳半球をSTKM緩衝液でホモジナイズし、4℃で13,000rpm、10分間遠心分離した。脳のライセートの上清を採取し、サンプルを1:2に希釈することにより、ELISAによって炎症誘発性メディエーターIL-6及びIL-1βを測定した。図2A及び2Bに示す結果は、神経炎症の減少を示す。ダパンストリルを含まないコントロース飼料を与えられたAPP/PS1マウスと比較して、中程度の用量(1000mg/kg/日、p値=0.0035)のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウスでは、脳のライセートにおけるIL-6レベルが低下した(図2A)。IL-1βレベルは、コントロール飼料を与えられたAPP/PS1マウスと比較して、低用量(500mg/kg/日、p値=0.0287)及び中程度の用量(1000mg/kg/日、p値=0.0368)のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウスで減少した(図2B)。
【0047】
実施例5.モリス水迷路テスト
目的:モリス水迷路テスト(MWM)テストは、野生型動物及び処置無しのAPP/PS1コントロール動物の両方と比較して、ダパンストリルで処置したAPP/PS1動物の認知障害表現型を減少できるか否かをテストするために実行された。
【0048】
マウスが、不透明な水から隠されたプラットフォームへ脱出することを学習するオープンフィールド水迷路手順は、マウスの認知機能をテストするために確立されたモデルである(Morris, J Neurosci Methods. 11:47-60, 1984)。
【0049】
空間記憶の形成及び保持は、モリス水迷路(MWM)アッセイを用いて評価された。10cmの脱出プラットフォームが、水面から1cm下の不透明な水で満たされた円形のプラスチックプールに沈められた。プールの周りの壁に3つの視覚的な合図が配置された。迷路の中心の上にデジタルカメラが設置された。画像が取得され、追跡ソフトウェアANY-mazeを実行しているPCに送信される(ANY-maze)。最初の3日間(トレーニング前)に、目に見えるプラットフォームを使用してマウスをトレーニングした(プラットフォームは、水面上に配置された)。
【0050】
空間記憶の形成を評価するために、マウスは、8日間連続して隠れたプラットフォームを見つけるようにトレーニングされた。各試行の脱出潜時(3~5分の間隔で1日4回)を記録し、追跡ソフトウェアで分析した。トレーニング3日目及び9日目に、プラットフォームを取り外し、各マウスが用いる検索パターンを45秒の固定時間で分析することによって実施されたプローブ試験で、記憶保持を評価した。
【0051】
マウスが隠れたプラットフォームを見つけるために必要な時間を表す脱出潜時を測定し、毎日4回の試行の平均値として分析し、図3Aに示した。全ての遺伝子型において、脱出潜時が、1日目~8日目で減少した。例えば、5日目に、野生型マウス(N=8)は、プラットフォームに到達するために23.59±4.08秒必要であった。APP/PS1(コントロール飼料)マウス(N=6)が42.04±6.89秒必要であったことと比較して、APP/PS1(ダパンストリル処置、500mg/kg/日)マウス(N=5)は、37.31±4.96秒必要であり、APP/PS1(ダパンストリル処置、1000mg/kg/日)マウス(N=6)は、21.30±3.19秒必要であった(p値=0.021)。
【0052】
最後のトレーニングセッションから24時間後に認知学習の評価を得るために、トレーニング9日目にリバレンステストが行われた(プローブ試験)。ここでは、マウスは、脱出するプラットフォーム無しで、水迷路でテストされ、マウスが時間を費やす四分円が測定された。3つの非標的四分円(NT)のパーセンテージでの平均時間を標的四分円(TQ、プラットフォームは、トレーニング期間中に配置された)のパーセンテージでの時間と比較した。結果(図3B)は、野生型マウス(p値=0.001)及びAPP/PS1 1000mg/kg/日(中程度の用量)(p値=0.0001)において、非標的四分円(NT)よりも標的四分円(TQ)が有意に優先されることを示す。一方、APP/PS1(コントロール飼料)及びAPP/PS1 500mg/kg/日(低用量)では、NTよりもTQが優先されなかった。
【0053】
まとめると、図3A及び3Bは、APP/PS1コントロールマウスが、野生型マウスと比較して、モリス水迷路テストのパフォーマンスにおいて認知学習障害を有することを示す。対照的に、1000mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウスは、野生型と同じように行動した。
【0054】
実施例6.電気生理学的実験
長期増強(LTP)は、化学シナプスの高周波刺激後のシナプス強度の持続的な増加である。LTPの研究は、多くの場合、学習及び記憶に重要な期間である海馬のスライスで行われる。そのような研究において、電気的記録は細胞から生成され、LTPを受けたシナプスとLTPを受けていないシナプス刺激に対する応答を比較するグラフにプロットされる。LTPを受けたシナプスは、他のシナプスよりも刺激に対する電気的応答が強い傾向がある。
【0055】
1000mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウスの学習及び記憶障害の観察された回復(実施例5)を考慮して、中程度の用量のダパンストリル投与後に海馬ネットワーク機能が回復するか否かを調べることを目的とした。この目的のために、中枢神経系で最も広く研究されているシナプスの1つである、CA1サブフィールドとCA3を接続するシェファー側枝(Schaffer collateral)経路のシナプス可塑性を分析した。シェファー側枝CA3からCA1への経路における学習プロセスの細胞相関としての長期増強(LTP)は、ベールラインの記録の20分後にシータバースト刺激(TBS)によって誘発された。
【0056】
鋭角の海馬のスライスは、野生型、APP/PS1、500mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1及び1000mg/kg/日のダパンストリルで処置されたAPP/PS1の4つの群のマウスから調製された。簡単に説明すると、マウスを100%COで深く麻酔し、屠殺し、次いで脳を素早く取り出し、氷冷したカルボゲン化(95%O及び5%CO)人工CSF(ACSF)溶液に移した。その後、海馬を解剖し、手動の組織チョッパーを用いて、海馬横断スライス(400μm)を取得した。海馬スライスを界面記録チャンバーに移し、32℃で一定流量(0.5ml/分)のカルボゲン化ACSFで2時間培養した後、記録を開始した。フィールド興奮性シナプス後電位(fEPSP)は、海馬スライスのCA1領域の放射状層に記録された。応答は、2つの電極を使用してシェファー側枝経路の刺激によって誘発された。これらの刺激電極(S1及びS2)は、記録電極の両側に等距離で配置され、これにより、2つの独立した刺激経路を同じCA1記録領域に使用できる。fEPSPを記録するために(最初の勾配関数として測定)、記録電極を、CA1先端樹状突起層に配置し、信号を差動増幅器で増幅してデジタル化した。プレインキュベーション期間の後に、基礎シナプス伝達を評価するための入出力曲線(求心性刺激対fEPSP勾配)が作成された。テスト刺激強度は、シナプス入力S1及びS2の両方の最大fEPSP応答の40%としてfEPSP勾配を抽出するように調整されるように変更された。ベースライン記録の20分後にLTPを調査するために、200ms間隔で10回繰り返される100Hzでの4つのバーストを含むシータバースト刺激(TBS)によってLTPを誘導した。この刺激は、10秒間隔で3回繰り返された。ベースラインが安定している健全なセクションのみを、電気生理学的データ分析に含めた。fEPSP勾配を60分間測定し、ベースラインに対し正規化した。データ収集及びオフライン分析は、IntraCellソフトウェアを使用して実行された。
【0057】
異なる群のマウスの記録の最後の5分間であったTBSの55~60分後の平均LTPを図4に示す。N=マウスの数、n=海馬スライスの数。野生型マウス(N=5、n=27)の最後の5分間の記録の正規化平均LTPは、1.553であり、APP/PS1マウス(N=2、n=12)は、1.303であり、低用量ダパンストリルで処置されたAPP/PS1マウスは、1.198(N=2、n=8)であり、中程度の用量(N=1、n=7)では、1.469であった。APP/PS1マウスのLTP障害は、1000mg/kg/日の用量のダパンストリルの処置後に回復された。しかしながら、低用量のダパンストリル(500mg/kg/日)投与では、APP/PS1マウスのLTP欠損を改善することができなかった。
【0058】
本発明、並びに本発明を作成及び使用する様式及びプロセスは、関係する何れかの当業者がそれを作成及び使用できるように、完全で、明確で、簡潔かつ、正確な用語で説明される。前述の内容は、本発明の好ましい実施形態を説明しており、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく、変更を加えることができることを理解されたい。発明と見なされる主題を明確に示し、明確に主張するために、以下の特許請求の範囲をもって本明細書を終了することとする。
図1
図2
図3
図4