(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】配管測定装置
(51)【国際特許分類】
F16L 55/32 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
F16L55/32
(21)【出願番号】P 2021197987
(22)【出願日】2021-12-06
(62)【分割の表示】P 2018195432の分割
【原出願日】2018-10-16
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】521195043
【氏名又は名称】株式会社弘栄ドリームワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】船橋 吾一
(72)【発明者】
【氏名】菅原 康弘
【審査官】杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-014447(JP,A)
【文献】特開2010-101897(JP,A)
【文献】特開2015-025753(JP,A)
【文献】特開2017-007520(JP,A)
【文献】特開平02-120168(JP,A)
【文献】特開昭63-201513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0375276(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の内部を移動する配管測定装置であり、
回転軸を介して接続された複数の節部を備え、本体を構成する本体部と、
前記本体部により支持され、前記配管の内部に接触して回転し当該本体部を当該配管に対して移動させる複数の回転駆動部と、
前記本体部により支持され、前記配管の内部に接触し、当該本体部が当該配管の当該内部を移動する際に当該配管から力を受けて回転する従動回転部と、
前記節部に設けられ、前記回転駆動部を回転させるための複数の駆動部と、
を備え、
複数の前記節部に、前記駆動部が設けられ、
複数の前記節部のうちの一の節部には、セン
サが設けられ、
前記セン
サが設けられている前記一の節部には、前記駆動部が設けられていない、
配管測定装置。
【請求項2】
前記回転駆動部よりも前記従動回転部の方が前記配管に対する滑りが生じにくくなるように、当該回転駆動部および当該従動回転部が構成されている請求項1に記載の配管測定装置。
【請求項3】
前記節部の各々は、当該節部の長手方向における位置が互いに異なる一端部および他端部を有し、
前記節部の前記一端部および前記他端部が位置する箇所の各々に、前記回転駆動部および前記従動回転部の何れかが設けられ、
前記一の節部は、前記駆動部が設けられていない節部であって、一端部に前記回転駆動部が設けられ他端部に前記従動回転部が設けられた節部である請求項1に記載の配管測定装置。
【請求項4】
前記回転軸の設置箇所の各々に、前記回転駆動部および前記従動回転部の何れかが設けられ、
前記一の節部は、前記駆動部が設けられていない節部であって、前記従動回転部が設けられた前記回転軸から延びる節部である請求項1に記載の配管測定装置。
【請求項5】
前記センサとして、温度を測定する温度測定部をさらに備えるともに、前記配管測定装置の移動距離に関する情報である移動距離情報を取得する距離取得部、および、当該配管測定装置の姿勢に関する情報である姿勢情報を取得する姿勢取得部の少なくとも一方をさらに備え、
前記温度測定部が検知した前記温度に応じて、前記移動距離情報又は前記姿勢情報の補正を行う補正部、
を更に備える請求項1に記載の配管測定装置。
【請求項6】
前記センサとして、前記配管測定装置の移動距離に関する情報である移動距離情報を取得する距離取得部をさらに備え、
複数設けられた前記回転軸のうち一の回転軸に前記回転駆動部が接続し、当該一の回転軸とは異なる他の回転軸に前記従動回転部が接続し、
前記従動回転部が接続する前記他の回転軸に前記距離取得部が接続する請求項1に記載の配管測定装置。
【請求項7】
前記一の節部は、前記駆動部が設けられていない節部であって、前記距離取得部が接続する前記他の回転軸に接続する節部である請求項6に記載の配管測定装置。
【請求項8】
配管の内部を移動する配管測定装置であり、
回転軸を介して接続された複数の節部を備え、本体を構成する本体部と、
前記本体部により支持され、前記配管の内部に接触して回転し当該本体部を当該配管に対して移動させる回転駆動部と、
前記本体部により支持され、前記配管の内部に接触し、当該本体部が当該配管の当該内部を移動する際に当該配管から力を受けて回転する従動回転部と、
を備え、
前記節部には、前記回転駆動部を回転させるための駆動部が設けられ、
複数の前記節部のうちの一の節部には、セン
サが設けられ、
前記節部の各々は、当該節部の長手方向における位置が互いに異なる一端部および他端部を有し、
複数設けられた前記節部のうちの、前記一端部および前記他端部の両方が前記配管の内面に向けて付勢された節部であって前記駆動部が設けられていない節部に、前記セン
サが設けられている、
配管測定装置。
【請求項9】
前記節部の各々が有する前記一端部および前記他端部が位置する箇所の各々に、前記回転駆動部および前記従動回転部の何れかが設けられ、
複数設けられた前記節部のうちの、前記一端部および前記他端部の両方が前記配管の内面に向けて付勢され前記駆動部が設けられていない前記節部であって、当該一端部および当該他端部のうちの一方に前記回転駆動部が設けられ他方に前記従動回転部が設けられた節部に、前記セン
サが設けられている、
請求項8に記載の配管測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、ジグザグ状に配列される4つのリンク部とリンク部間及び開放側端部に設けられる複数の移動ユニットとを備え、配管の径方向の一方側に張り出す2つの移動ユニットは、配管の軸方向へ能動的且つ周方向へ受動的に移動可能な第1全方向移動部材であり、配管の径方向の他方側に張り出す車輪ユニットは、ロール姿勢角を変えるために、配管の周方向へ能動的且つ配管の軸方向に受動的に移動可能なロール回転用部材であり、移動ユニットの移動部材は、配管の軸方向へ移動可能、且つ、周方向へ移動可能な第2全方向移動部材であり、第1全方向移動部材を配管の内壁面に押し付けるための付勢手段を備える管内走行装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建築物内には、例えば水道管などの配管が敷設される。このような建築物においては、建築物の設計図面や配管図面などの図面情報に基づいて、配管の配置を把握することができる。しかしながら、建築物の完成後に例えば図面情報がないような場合には、建築物内における配管の位置を特定することができない。
【0005】
本発明は、建築物が建築された後に、建築物内に設けられた配管の位置を特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、配管の内部を移動する配管測定装置であり、回転軸を介して接続された複数の節部を備え、本体を構成する本体部と、前記本体部により支持され、前記配管の内部に接触して回転し当該本体部を当該配管に対して移動させる回転駆動部と、前記本体部により支持され、前記配管の内部に接触し、当該本体部が当該配管の当該内部を移動する際に当該配管から力を受けて回転する従動回転部と、を備える配管測定装置である。
ここで、前記回転駆動部よりも前記従動回転部の方が前記配管に対する滑りが生じにくくなるように、当該回転駆動部および当該従動回転部が構成されていることを特徴とする。
また、前記節部に、前記回転駆動部を回転させるための駆動部が設けられ、複数設けられた前記節部のうちの一部の節部には、前記駆動部が設けられていないことを特徴とする。
また、センサを更に備え、前記駆動部が設けられていない前記一部の節部に、前記センサが設けられていることを特徴とする。
また、センサを更に備え、前記節部の各々は、当該節部の長手方向における位置が互いに異なる一端部および他端部を有し、前記節部の前記一端部および前記他端部が位置する箇所の各々に、前記回転駆動部および前記従動回転部の何れかが設けられ、複数設けられた前記節部のうち、一端部に前記回転駆動部が設けられ他端部に前記従動回転部が設けられた節部に、前記センサが設けられていることを特徴とする。
また、前記節部に、前記回転駆動部を回転させるための駆動部が設けられ、前記回転軸の設置箇所の各々に、前記回転駆動部および前記従動回転部の何れかが設けられ、前記従動回転部が設けられた前記回転軸から延びる前記節部には、前記駆動部が設けられていないことを特徴とする。
また、センサを更に備え、前記回転軸の設置箇所の各々に、前記回転駆動部および前記従動回転部の何れかが設けられ、前記従動回転部が設けられた前記回転軸から延びる前記節部に、前記センサが設けられていることを特徴とする。
また、温度を測定する温度測定部と、前記温度測定部が検知した前記温度に応じて、前記配管測定装置が得る情報の補正を行う補正部と、を更に備えることを特徴とする。
また、前記配管測定装置の移動距離に関する情報である移動距離情報を取得する距離取得部を更に備え、複数設けられた前記回転軸のうち一の回転軸に前記回転駆動部が接続し、当該一の回転軸とは異なる他の回転軸に前記距離取得部が接続することを特徴とする。
また、前記配管測定装置の姿勢に関する情報である姿勢情報を取得する姿勢取得部を更に備え、前記姿勢取得部は、前記距離取得部が接続される前記他の回転軸に接続する節部に設けられていることを特徴とする。
また、前記他の回転軸の設置箇所には、前記従動回転部が設けられ、前記従動回転部が設けられた前記他の回転軸に前記距離取得部が接続することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建築物が建築された後に、建築物内に設けられた配管の位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の配管測定システムの全体図である。
【
図3】本実施形態の測定ロボットの上面図および正面図である。
【
図4】本実施形態の端末装置の特定処理部の機能ブロック図である。
【
図5】本実施形態の配管測定システムの動作の説明図である。
【
図6】本実施形態の配管の直線部および屈曲部の特定の説明図である。
【
図7】端末装置の表示画面に表示される表示画像の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
<配管測定システム1>
図1は、本実施形態の配管測定システム1の全体図である。
図1に示すように、本実施形態の配管測定システム1は、配管内を自走する測定ロボット10と、ケーブル41を介して測定ロボット10に接続する供給装置40と、測定ロボット10を管理する端末装置50と、を備える。
【0011】
そして、本実施形態の配管測定システム1において、測定ロボット10、供給装置40および端末装置50は、ネットワークを介して相互に情報通信が可能になっている。なお、ネットワークは、各装置の間のデータ通信に用いられる通信ネットワークであれば特に限定されず、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等として良い。データ通信に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用しても良い。
【0012】
そして、本実施形態の配管測定システム1は、上水管や下水管などの内部を流体が流れる配管100の測定を行うシステムである。なお、配管測定システム1は、上水管や下水管などに限定されず、例えばガスが流れるガス管や、電気配線等が通される電線管等に対しても適用することができる。
【0013】
[測定ロボット10]
図2は、本実施形態の測定ロボット10の側面図である。
図3は、本実施形態の測定ロボット10の上面図および正面図である。なお、
図3(a)は、
図2に示す矢印IIIaから見た測定ロボット10の上面図であり、
図3(b)は、
図2に示す矢印IIIbから見た測定ロボット10の正面図である。
【0014】
測定ロボット10は、測定ロボット10の本体を構成する本体部11と、本体部11に設けられる車輪部12(回転駆動部の一例)と、車輪部12を駆動する駆動部13と、配管の内部を撮影する撮影部14と、を備えている。さらに、測定ロボット10は、本体部11の移動距離を測定する距離測定部15(距離取得部の一例)と、本体部11の姿勢を測定する姿勢測定部16(姿勢取得部の一例)と、温度を測定する温度測定部17(温度測定部の一例)と、を備えている。そして、測定ロボット10は、外部との通信を行う通信部18と、測定ロボット10の各構成部を制御する制御部19と、を備えている。
【0015】
(本体部11)
本体部11は、複数の節部21と、節部21の間に設けられる複数のヒンジ部22と、ヒンジ部22に設けられるコイルばね23と、を有している。
本実施形態における複数の節部21は、一端部に設けられる第1節部21Aと、第1節部21Aに接続する第2節部21Bと、第2節部21Bに接続する第3節部21Cと、第3節部21Cに接続する第4節部21Dと、第4節部21Dに接続する第5節部21Eと、第5節部21Eに接続し他端部に設けられる第6節部21Fと、を備えて構成される。なお、これら第1節部21A~第6節部21Fをそれぞれ特に区別しない場合には、節部21と総称する。
【0016】
節部21は、一方向に長く延びて形成される。また、節部21は、内部に後述するモータ等を内蔵可能になっている。さらに、本実施形態の本体部11は、防水加工が施されており、本体部11内部に水等が浸入しないように構成されている。
【0017】
本実施形態における複数のヒンジ部22は、第1節部21Aと第2節部21Bとを接続する第1ヒンジ部22aと、第2節部21Bと第3節部21Cとを接続する第2ヒンジ部22bと、第3節部21Cと第4節部21Dとを接続する第3ヒンジ部22cと、第4節部21Dと第5節部21Eとを接続する第4ヒンジ部22dと、第5節部21Eと第6節部21Fとを接続する第5ヒンジ部22eと、を備えて構成される。なお、これら第1ヒンジ部22a~第5ヒンジ部22eをそれぞれ特に区別しない場合には、ヒンジ部22と総称する。
そして、
図3(a)に示すように、各々のヒンジ部22は、2本の節部21を回転可能に接続する。さらに、本実施形態では、ヒンジ部22は、車輪部12の車軸としても機能する。
【0018】
図2に示すように、コイルばね23は、第2ヒンジ部22bおよび第4ヒンジ部22dにそれぞれ設けられる。
そして、第2ヒンジ部22bのコイルばね23は、第2節部21Bおよび第3節部21Cが第2ヒンジ部22bを回転中心として互いに近づく方向のばね力を、第2節部21Bおよび第3節部21Cに常に与える。
また、第4ヒンジ部22dのコイルばね23は、第4節部21Dおよび第5節部21Eが第4ヒンジ部22dを回転中心として互いに近づく方向のばね力を、第4節部21Dおよび第5節部21Eに常に与える。
【0019】
(車輪部12)
車輪部12は、第1ヒンジ部22aに回転可能に支持される第1車輪部31と、第2ヒンジ部22bに回転可能に支持される第2車輪部32と、第3ヒンジ部22cに回転可能に支持される第3車輪部33と、第4ヒンジ部22dに回転可能に支持される第4車輪部34と、第5ヒンジ部22eに回転可能に支持される第5車輪部35と、を有する。また、
図3(a)および
図3(b)に示すように、各々の車輪部12は、一対となる2つの車輪によって構成されている。
【0020】
そして、上述したように、本実施形態の第2ヒンジ部22bおよび第4ヒンジ部22dには、それぞれコイルばね23が設けられている。このコイルばね23によって、第1車輪部31、第2車輪部32、第3車輪部33、第4車輪部34および第5車輪部35には、それぞれ本体部11の外側(配管の半径方向外側)に向けた力が付与される。そして、第1車輪部31、第2車輪部32、第3車輪部33、第4車輪部34および第5車輪部35は、それぞれ配管100の内周面110に押し付けられる。
【0021】
また、第1車輪部31、第2車輪部32、第4車輪部34および第5車輪部35は、それぞれ駆動部13に接続する駆動輪である。そして、第1車輪部31、第2車輪部32、第4車輪部34および第5車輪部35は、本体部11を配管100内において移動させる。例えば、車輪部12は、所定方向に回転することで本体部11を前進させ、一方で、所定方向とは逆方向に回転することで本体部11を後退させる。
なお、本実施形態の測定ロボット10は、第1車輪部31、第2車輪部32、第3車輪部33、第4車輪部34および第5車輪部35のうち少なくとも2つの車輪部12が配管100の内周面110に接触していることで、配管100内を移動できるようになっている。
【0022】
一方で、第3車輪部33は、駆動部13によって駆動されず、本体部11の移動に伴って従動する。また、第3車輪部33の外周部は、第1車輪部31などの他の車輪の外周部とは異なる構造になっている。本実施形態の第3車輪部33の外周部は、他の車輪の外周部よりも配管100の内周面110に対して引っ掛かり易くなっている。具体的には、第3車輪部33の外周部は、他の車輪の外周部よりも凹凸が大きくなっている。これによって、第3車輪部33は、内周面110に対して滑り難くしている。
【0023】
(駆動部13)
駆動部13には、電動モータを用いることができる。駆動部13は、制御部19による制御に基づいて動作する。また、駆動部13は、供給装置40のケーブル41から電力供給を受ける。なお、駆動部13は、例えば本体部11にバッテリを搭載することで、ケーブル41から電力供給を受けなくても動作可能に構成しても良い。
【0024】
そして、本実施形態において、駆動部13は、第1節部21A、第2節部21B、第5節部21Eおよび第6節部21Fに設けられる。そして、第1節部21Aの駆動部13は、第1車輪部31を回転駆動する。第2節部21Bの駆動部13は、第2車輪部32を回転駆動する。第5節部21Eの駆動部13は、第4車輪部34を回転駆動する。第6節部21Fの駆動部13は、第5車輪部35を回転駆動する。なお、本実施形態の測定ロボット10において、第3節部21Cおよび第4節部21Dには、駆動部13を設けないようにしている。
【0025】
(撮影部14)
図3(b)に示すように、撮影部14は、本体部11の端部に設けられる。また、
図2に示すように、撮影部14は、本体部11における進行方向の前側と後側とにそれぞれ設けられる。本実施形態では、撮影部14は、第1節部21Aおよび第6節部21Fに設けられる。そして、撮影部14は、例えばユーザの操作に応じて、撮影方向など撮影条件を変更可能になっている。また、撮影部14には、配管100の内部を照らすLED光源を有している。そして、撮影部14は、撮影した配管100内部の撮影画像を、通信部18を介して端末装置50に送る。
【0026】
(距離測定部15)
距離測定部15は、第4節部21Dに設けられる。本実施形態において、第4節部21Dには、駆動部13が設けられていない。さらには、第4節部21Dは、一端側に従動する第3車輪部33が設けられている。このように、第4節部21Dは、例えば、両端部にそれぞれ駆動輪である第4車輪部34および第5車輪部35が設けられる第5節部21Eと比べて、比較的振動が少ない。そこで、本実施形態の測定ロボット10では、比較的振動が少ない第4節部21Dに距離測定部15を設けるようにしている。
【0027】
距離測定部15には、ロータリエンコーダを用いることができる。本実施形態の距離測定部15は、第3車輪部33に回転の基準となる格子円盤を設け、格子円盤を読取部によって読み取る。ここで、距離測定部15は、第3車輪部33の外周の長さを予め特定している。そして、距離測定部15は、読取部から得られた第3車輪部33の回転量と、第3車輪部33の外周の長さに基づいて、本体部11の移動距離を測定する。
【0028】
そして、距離測定部15は、測定した本体部11の移動距離に関する移動距離情報を、通信部18を介して端末装置50に送信する。なお、距離測定部15が送信する移動距離情報は、エンコーダの読取値であり、編集などを施していない所謂ローデータと呼ばれる情報である。
【0029】
(姿勢測定部16)
本実施形態の姿勢測定部16は、第3節部21Cに設けられる。本実施形態において、第3節部21Cには、駆動部13が設けられていない。さらには、第3節部21Cは、一端側に従動する第3車輪部33が設けられている。このように、第3節部21Cは、例えば、両端部にそれぞれ駆動輪である第1車輪部31および第2車輪部32が設けられる第2節部21Bと比べて、比較的振動が少ない。そこで、本実施形態の測定ロボット10では、比較的振動が少ない第3節部21Cに姿勢測定部16を設けるようにしている。
【0030】
姿勢測定部16には、モーションセンサを用いることができる。具体的には、姿勢測定部16は、本体部11の角速度(回転速度)を検出する3軸ジャイロセンサ、本体部11の加速度を検出する3軸加速度センサ、および地磁気を検出して本体部11の絶対方向を検出する3軸地磁気センサを有している。そして、姿勢測定部16は、3軸ジャイロセンサ、3軸加速度センサおよび3軸地磁気センサから得られた数値に基づいて、本体部11の姿勢を測定する。
【0031】
そして、姿勢測定部16は、測定した本体部11の姿勢に関する姿勢情報を、通信部18を介して端末装置50に送信する。なお、姿勢測定部16が送信する姿勢情報は、3軸ジャイロセンサ、3軸加速度センサおよび3軸地磁気センサが測定値であり、編集などを施していない所謂ローデータと呼ばれる情報である。
【0032】
(温度測定部17)
温度測定部17は、第3節部21Cに設けられる。すなわち、温度測定部17は、姿勢測定部16と同じ節部21に設けられている。そして、温度測定部17は、本体部11の温度を測定する。温度測定部17は、測定した温度の温度情報を端末装置50に送信する。
【0033】
(通信部18)
通信部18は、供給装置40および端末装置50と間における情報通信を行う。例えば、通信部18は、端末装置50から駆動部13の移動に関する情報を受信する。また、通信部18は、距離測定部15が測定した移動距離情報を端末装置50に送信する。さらに、通信部18は、姿勢測定部16が測定した姿勢情報を端末装置50に送信する。
【0034】
(制御部19)
制御部19は、駆動部13の動作制御、撮影部14の撮影に関する撮影制御、距離測定部15や姿勢測定部16の測定に関する測定制御、および通信部18の通信に関する通信制御を統括的に実行する。
【0035】
以上のように構成される測定ロボット10は、車輪部12が配管100の内周面110に接触しながら駆動部13の駆動により回転することで、配管100内において移動する。そして、測定ロボット10は、例えば建築物において、配管100において略水平方向に沿って設けられる水平部分、略鉛直方向に沿って設けられる鉛直部分、さらには、例えば略直角に屈曲する屈曲部分などを走行することができる。特に、測定ロボット10は、鉛直部分や屈曲部分において、下降および上昇のいずれの移動も可能になっている。
【0036】
[供給装置40]
図1に示すように、供給装置40は、各種の配線が束ねられたケーブル41と、ケーブル41を供給するケーブル供給部42と、ケーブル供給部42に設けられる距離測定部43(距離取得部の一例)とを備える。
【0037】
ケーブル41は、測定ロボット10に対して電力を供給する電力線、および測定ロボット10に対してコマンドや測定情報等を送受信するための信号線が設けられている。また、ケーブル41は、端末装置50および図示しない電源に接続している。そして、ケーブル41は、測定ロボット10と端末装置50との間における情報等の送受信や、電力の供給を行う。
【0038】
また、ケーブル41は、測定ロボット10の走行能力に何らかの不具合が生じた場合に、ケーブル41によって、測定ロボット10を配管100の内部から引き出せるように構成されている。本実施形態では、ケーブル41は、第1節部21Aの略中央部に強固に接続されている。また、ケーブル41の引張強度は、配管100から測定ロボット10を引き出す際の張力に耐え得るように設定されている。
【0039】
ケーブル供給部42は、回転可能に支持され、ケーブル41の巻き取りや繰り出しを行うドラム42dを有している。そして、ケーブル供給部42は、測定ロボット10が配管100内を移動する際に、測定ロボット10が配管100の奥側へと移動する際には、ケーブル41を繰り出す。一方、ケーブル供給部42は、測定ロボット10が配管100の手前側へと移動する際には、ケーブル41を巻き取る。
また、本実施形態では、供給装置40は、配管100に対して固定されている。そして、ケーブル供給部42は、測定ロボット10の移動に際して、ケーブル41に弛みが生じないように、ケーブル41に対して一定のテンション(張力)が常にかかるようにドラム42dを制御する。
【0040】
距離測定部43は、ロータリエンコーダを用いることができる。本実施形態の距離測定部43は、ドラム42dに回転の基準となる格子円盤を設け、格子円盤を読取部によって読み取る。ここで、距離測定部43は、ドラム42dから繰り出されるケーブル41の長さと、ドラム42dの回転量の関係を予め特定している。そして、本実施形態の距離測定部43は、読取部から得られたドラム42dの回転量に基づいて、ドラム42dから繰り出されたケーブル41の長さを特定する。さらに、距離測定部43は、特定したケーブル41の長さに基づいて、測定ロボット10の移動距離を測定する。
【0041】
[端末装置50]
図1に示すように、端末装置50は、測定ロボット10の移動を操作する操作部51と、画像を表示する画像表示部52と、測定ロボット10から取得した情報に基づいて配管100の構造の特定に関する処理を行う特定処理部53と、を備えている。
【0042】
(操作部51)
操作部51は、測定ロボット10を前進させたり後退させたりする操作スティック等を有している。そして、操作部51は、測定ロボット10の移動の操作をユーザから受け付ける。また、本実施形態の操作部51は、撮影部14の撮影方向やLED光源などに対する操作も受け付ける。
【0043】
(画像表示部52)
画像表示部52は、端末装置50の表示画面50Dに、測定ロボット10に関する各種の情報を表示する。本実施形態の画像表示部52は、表示画面50Dに、操作部51の操作に関する操作画面、測定ロボット10の撮影部14の撮影画像、特定処理部53により特定された配管100の構造に関する構造情報などを表示する。なお、表示画面に表示される情報については、後に詳しく説明する。
【0044】
(特定処理部53)
図4は、本実施形態の端末装置50の特定処理部53の機能ブロック図である。
【0045】
特定処理部53は、移動距離情報を取得する距離情報取得部531と、姿勢情報を取得する姿勢情報取得部532と、配管100の規格に関する情報を記憶する配管規格データベース(DB)部533と、を有する。さらに、特定処理部53は、配管100の全体構造を特定する構造特定部534と、特定された配管100の全体構造の図面を作成するマップ作成部535(作成部の一例)と、配管100の全体構造の情報を記憶する構造情報記憶部536と、を有する。
【0046】
距離情報取得部531は、測定ロボット10の距離測定部15が測定した移動距離情報と、供給装置40の距離測定部43が測定した移動距離情報とを、測定ロボット10と供給装置40とからそれぞれ取得する。そして、距離情報取得部531は、取得した移動距離情報を構造特定部534に送る。なお、本実施形態の移動距離情報は、測定ロボット10が移動した距離を時系列に沿って特定したものである。すなわち、移動距離情報は、測定ロボット10がいつの時点でどのくらいの距離を移動したかという情報を含む。
【0047】
姿勢情報取得部532は、測定ロボット10の姿勢測定部16が測定した姿勢情報を、測定ロボット10から取得する。そして、姿勢情報取得部532は、取得した姿勢情報を構造特定部534に送る。なお、本実施形態の姿勢情報は、測定ロボット10が向く方向を時系列に沿って特定したものである。すなわち、移動距離情報は、測定ロボット10がいつの時点でどの方向を向いているかという情報を含む。
【0048】
配管規格DB533は、複数種類の配管100について、配管100の内径(または外径)、屈曲部(所謂、エルボー部)のサイズ、および屈曲部の曲がり角度と関係情報を有する。そして、例えば、90°の屈曲部である場合、配管100の内径がφD1mm(外径φD2mm)に対しては、弧の長さ(配管の中心軸であって、屈曲部の一端部から他端部までの円弧の距離)はCmmが対応づけられている。これは、他の内径についても、同様である。
なお、本実施形態においては、例えば測定ロボット10を操作するユーザから測定対象の配管100の内径(または、外径)の情報を取得する。ただし、測定ロボット10(または、端末装置50)は、例えば節部21の開き角度に基づいて配管100の内径を自動的に特定しても良い。
【0049】
構造特定部534は、距離情報取得部531から取得した移動距離情報と、姿勢情報取得部532から取得した姿勢情報とに基づいて、配管100における直線部と屈曲部とを特定する。そして、本実施形態の構造特定部534は、距離測定部15が測定した距離情報を、距離測定部43よりも優先して用いる。
ただし、構造特定部534は、距離測定部43の移動距離情報を用いても良い。また、構造特定部534は、距離測定部43の移動距離情報と距離測定部15の移動距離情報とを併用しても良い。この場合、構造特定部534は、距離測定部43の移動距離情報としての数値と距離測定部15の移動距離情報としての数値との平均値を用いても良い。また、距離測定部15および距離測定部43のうち一方の移動距離情報が論理的に明らかに誤りであると判断される場合には、他方の移動距離情報を用いるようにしても良い。
【0050】
また、構造特定部534は、姿勢測定部16から姿勢情報を取得する。そして、構造特定部534は、姿勢情報として得られる数値に基づいて、測定ロボット10の変化角度が予め定められた範囲内であるか否かを判断する。また、本実施形態の構造特定部534は、取得された測定ロボット10の角度変化が80°以上100°未満の範囲である場合には、測定ロボット10が90°の屈曲部を走行していると判断する。なお、この変化角度は、X軸方向、Y軸方向およびZ軸(鉛直方向)のそれぞれについて特定する。
一方で、構造特定部534は、測定ロボット10の姿勢が予め定められた角度の範囲から外れる場合には、測定ロボット10が直線部を走行していると判断する。
【0051】
そして、構造特定部534は、測定ロボット10が直線部を走行している状態から屈曲部に到達した場合には、屈曲部に到達するまでに進んだ距離を特定する。具体的には、構造特定部534は、開始地点または前回の屈曲部を基点とし、起点となる時間から屈曲部に到達したときの時間までに対応する移動距離情報を特定する。そして、構造特定部534は、この区間における距離を直線部の距離として特定する。
また、構造特定部534は、特定した配管100の直線部および直線部のサイズ(距離)の情報をマップ作成部535および構造情報記憶部536に送る。
【0052】
また、構造特定部534は、屈曲部に到達した場合に、配管規格DB533を参照して、屈曲部のサイズを特定する。具体的には、構造特定部534は、ユーザから取得した配管100の半径に関する情報と、姿勢情報から得られる測定ロボット10の角度とに基づいて、配管規格DB533に予め記憶されている配管100の情報より屈曲部のサイズを特定する。
そして、構造特定部534は、特定した配管100の屈曲部および屈曲部のサイズ(距離)の情報をマップ作成部535および構造情報記憶部536に送る。
【0053】
ここで、配管100において、例えば屈曲部を測定ロボット10が走行する際には、直線部と比較して距離測定部15が測定した移動距離情報に誤差が生じやすい。従って、本実施形態の配管測定システム1では、距離測定部15が測定した移動距離情報を、配管100の直線部のサイズの特定には用いるが、配管100の屈曲部のサイズの特定には用いていない。一方で、本実施形態の配管測定システム1では、測定ロボット10の角度変化が顕著になる屈曲部については、姿勢測定部16の姿勢情報に基づいて特定する。そして、本実施形態の配管測定システム1では、特定した屈曲部の角度に基づいて、屈曲部のサイズを特定するようにしている。
【0054】
なお、上述した例では、構造特定部534は、姿勢測定部16から取得した姿勢情報に基づいて配管100の屈曲部の特定を行うようにしているが、この態様に限定されない。例えば、構造特定部534は、撮影部14にて撮影した配管100の内部の画像に基づいて、配管100の屈曲部を特定しても良い。ここで、測定ロボット10が直線部を移動する際、撮影部14の画像では、配管100の内周面の移動速度に差が略生じない。これに対して、測定ロボット10が屈曲部を移動する際、撮影部14の画像では、屈曲部の半径方向外側と半径方向内側とで配管100の内周面の移動速度に差が生じる。そのため、構造特定部534は、画像における配管100の内周面の移動速度の差に基づいて、屈曲部であるか直線部であるかを判断することができる。
【0055】
そして、構造特定部534は、姿勢測定部16の姿勢情報に基づく屈曲部の特定と、撮影部14に基づく屈曲部の特定との両方を用いても良い。また、姿勢測定部16および撮影部14のうち一方の姿勢情報が論理的に明らかに誤りであると判断される場合には、他方の姿勢情報を用いるようにしても良い。
【0056】
さらに、構造特定部534は、温度測定部17から取得した温度に基づいて、姿勢測定部16から取得した姿勢情報、または距離測定部15から取得した移動距離情報の補正を行う場合がある。姿勢測定部16として設けられるセンサは、検出結果としての姿勢情報が温度の影響を受ける可能性が高い。特に、本実施形態の測定ロボット10は、例えば熱水や蒸気等の温度が高い流体等を流すための配管100の測定に用いられる場合もあり、温度の影響を無視することができない。そこで、構造特定部534は、温度測定部17が測定した温度に応じて、姿勢情報や移動距離情報(移動情報)の補正を行う。
【0057】
マップ作成部535は、構造特定部534から受け取った直線部および屈曲部のサイズの情報に基づいて、配管100の全体構造を特定する。そして、マップ作成部535は、配管100の直線部、配管100の屈曲部、直線部および屈曲部の各々の距離、配管100の内径の情報を用いて、配管100の2次元画像および3次元画像を作成する。そして、マップ作成部535は、作成した配管100の2次元画像または3次元画像を画像表示部52によって表示画面50Dに表示させる。また、マップ作成部535は、作成した配管100の2次元画像および3次元画像を構造情報記憶部536に送る。
【0058】
構造情報記憶部536は、配管100の直線部および屈曲部の距離の情報を記憶する。また、構造情報記憶部536は、構造特定部534から受け取った配管100の2次元画像および3次元画像を記憶する。そして、構造情報記憶部536は、要求に応じて、記憶している配管100の構造に関する構造情報を要求先に送る。
【0059】
続いて、本実施形態の配管測定システム1の動作について具体的に説明する。
図5は、本実施形態の配管測定システム1の動作の説明図である。
【0060】
図5に示すように、端末装置50は、ユーザから測定対象の配管100の内径に関する内径情報を取得する(ステップ101)。また、測定ロボット10が測定の開始地点である基点に設置され、端末装置50は、測定ロボット10による配管100の測定開始の指示を、ユーザから受け付ける(ステップ102)。さらに、測定ロボット10は、端末装置50の操作部51を介してユーザにより操作され、配管100の内部を移動する。
【0061】
そして、構造特定部534は、測定ロボット10の姿勢情報を取得する(ステップ103)。さらに、構造特定部534は、姿勢情報から得られる測定ロボット10の変化角度が予め定められた範囲内にあるか否かを判断する(ステップ104)。本実施形態の構造特定部534は、予め定められた範囲内として、測定ロボット10の変化角度が80°以上100°以下であるか否かを判断する。
【0062】
測定ロボット10の変化角度が予め定められた範囲内にない場合、すなわち測定ロボット10の変化角度が予め定められた範囲外である場合(ステップ104にてNO)、構造特定部534は、測定ロボット10の現時点の走行位置が直線部であると判断する(ステップ105)。また、構造特定部534は、測定ロボット10の移動距離情報を取得する(ステップ106)。そして、構造特定部534は、基点または前回の屈曲部から現地点である走行位置までの距離(長さ)を特定する(ステップ107)。
【0063】
一方で、測定ロボット10の変化角度が予め定められた範囲内である場合(ステップ104にてYES)、構造特定部534は、測定ロボット10の現時点での走行位置が屈曲部であると判断する(ステップ108)。ここで、測定ロボット10が屈曲部に到達したことで、それまで走行していた直線部は終了する。そして、構造特定部534は、ステップ106にて取得していた移動距離情報に基づいて、直線部のサイズを特定する(ステップ109)。さらに、構造特定部534は、配管100の内径の情報に基づいて、配管100の屈曲部のサイズを特定する(ステップ110)。
【0064】
そして、ステップ107にて直線部の現時点での距離を特定した後、または、ステップ110で屈曲部のサイズを特定した後、測定ロボット10の走行が停止したか否かを判断する(ステップ111)。測定ロボット10が停止していない場合(ステップ111にてNO)には、再び、ステップ103に戻って、測定ロボット10から姿勢情報の取得を継続する。そして、測定ロボット10の姿勢情報に基づいて、新たな屈曲部の特定、または直線部の特定が行われる。
一方で、測定ロボット10が停止している場合(ステップ111にてYES)、一連の処理が終了する。
【0065】
以上のようにして、端末装置50は、測定ロボット10の移動に関する移動情報である姿勢情報および移動距離情報に基づいて、配管100の直線部および直線部のサイズの特定、および配管100の屈曲部および屈曲部のサイズを特定する。特に、本実施形態の端末装置50では、配管100の直線部のサイズは移動距離情報に基づいて特定し、配管100の屈曲部のサイズは姿勢情報に基づいて特定するようにしている。
【0066】
なお、本実施形態において測定ロボット10は、端末装置50の操作部51を介してユーザによって操作されることで配管100内を移動する例を用いて説明しているがこの例に限定されない。測定ロボット10は、ユーザによって操作されることなく自動的に配管100内を移動するように構成されていても良い。
【0067】
続いて、端末装置50の構造特定部534による配管100の直線部および屈曲部の特定について具体例を用いて説明する。
図6は、本実施形態の配管100の直線部および屈曲部の特定の説明図である。
図6(a)に示すように、配管100は、複数の直線部100Sと、複数の屈曲部100Jとを有している。なお、
図6に示す例では、区間AにおいてX軸方向に延びる直線部100Sが設けられ、区間BにおいてX軸方向からZ軸方向に屈曲する屈曲部100Jが設けられ、区間CにおいてZ軸方向に延びる直線部100Sが設けられ、区間DにおいてZ軸方向からX軸方向に屈曲する屈曲部100Jが設けられ、区間EにおいてX軸方向に延びる直線部100Sが設けられる。
なお、
図6の例では、説明の便宜上、紙面の手前側および奥側の方向であるY軸方向については省略する。
【0068】
測定ロボット10が区間Aを走行しているときには、
図6(b)に示すように、姿勢測定部16から取得した姿勢情報に基づいて、測定ロボット10がX軸方向に沿って進んでいることが検出される。そして、測定ロボット10が区間Aを走行しているとき、測定ロボット10の角度変化は、略無いため、予め定められた範囲外となる。従って、構造特定部534は、配管100における区間Aが直線部100Sであると特定する。
【0069】
なお、測定ロボット10自体の走行に基づく振動や、姿勢測定部16によるセンサの精度などにより、測定ロボット10が配管100の直線部100Sを走行しているにもかかわらず、姿勢情報としては、ある程度の角度変化が検出される。これに対して、構造特定部534は、姿勢測定部16から取得される姿勢情報としての角度が予め定められた範囲内でない場合には、屈曲部100Jでは無く直線部100Sであると判断する。これによって、本実施形態の配管測定システム1では、測定ロボット10自体の走行に基づく振動や、姿勢測定部16によるセンサの精度の影響を除外している。
【0070】
また、測定ロボット10が区間Bを走行しているときには、
図6(b)に示すように、姿勢測定部16から取得した姿勢情報に基づいて、測定ロボット10がX軸方向からZ軸方向へと進行方向が変化することが検出される。この場合、測定ロボット10の角度変化は、例えば鉛直下向きに90°であることが特定され、予め定められた範囲内となる。従って、構造特定部534は、配管100における区間Bが屈曲部100Jであると特定する。
【0071】
さらに、測定ロボット10が区間Cを走行しているときには、
図6(b)に示すように、姿勢測定部16から取得した姿勢情報に基づいて、測定ロボット10がZ軸方向に沿って進んでいることが検出される。そして、測定ロボット10が区間Cを走行しているとき、測定ロボット10の角度変化は、略無いため、予め定められた範囲外となる。従って、構造特定部534は、配管100における区間Cが直線部100Sであると特定する。
【0072】
そして、区間Dについては、区間Bと同様に、屈曲部100Jであることが特定される。また、区間Eについては、区間Aと同様に、直線部100Sであることが特定される。
【0073】
続いて、端末装置50の画像表示部52に表示される表示画像について説明する。
図7は、端末装置50の表示画面50Dに表示される表示画像の一例である。
図7に示すように、表示画面50Dには、撮影画像501と、走行情報502と、座標情報503と、3次元画像504と、2次元画像505と、カメラ制御情報506と、がそれぞれ表示される。なお、表示画面50Dには、これらの情報がリアルタイムに更新されて表示される。
【0074】
撮影画像501は、撮影部14が撮影した配管100の内部の画像である。撮影画像501は、ユーザによる撮影部14の操作に応じた画像が映し出される。
【0075】
走行情報502は、測定ロボット10の走行に関する情報を表示する。走行情報502は、測定ロボット10のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向における各々の速度を表示する。また、走行情報502は、測定ロボット10の向きに基づく情報を表示する。さらに、走行情報502は、供給装置40のケーブル41に基づく移動距離情報を表示する。
【0076】
座標情報503は、測定ロボット10の位置の座標に関する情報を表示する。座標情報503は、測定開始地点である基点座標と、現地点での測定ロボット10の現地点座標とをそれぞれ表示する。
【0077】
3次元画像504は、マップ作成部535が作成した、配管100の直線部および曲線部の情報に基づいて作成された配管100の立体構造を表示する。3次元画像504は、測定ロボット10の現時点での情報に基づいて、リアルタイムに更新表示される。
【0078】
2次元画像505は、マップ作成部535が作成した、配管100の直線部および曲線部の情報に基づいて作成された配管100の平面構造を表示する。2次元画像505は、測定ロボット10の現時点での情報に基づいて、リアルタイムに更新表示される。
【0079】
カメラ制御情報506は、撮影部14の画角(例えば、ズーム)、焦点、色調、明度およびカラー/白黒などの撮影部14の画像表示制御に関する各種の情報を表示する。
【0080】
ここで、本実施形態の測定ロボット10、供給装置40および端末装置50のハードウェア構成について説明する。
測定ロボット10、供給装置40および端末装置50は、それぞれ、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)、主記憶手段であるメモリ、磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)、ネットワークインターフェイス、ディスプレイ装置を含む表示機構、音声機構、および、キーボードやマウス等の入力デバイス等を備える。
そして、磁気ディスク装置には、OSのプログラムやアプリケーション・プログラムが格納されている。そして、これらのプログラムがメモリに読み込まれてCPUに実行されることにより、測定ロボット10、供給装置40および端末装置50における各構成部の機能が実現される。
さらに、本実施形態の配管測定システム1における一連の機能を測定ロボット10、供給装置40および端末装置50にてそれぞれ実現させるプログラムは、例えば通信手段により提供することはもちろん、各種の記録媒体に格納して提供しても良い。
【0081】
なお、上述した実施形態では、90°の屈曲部を特定する例を用いて説明しているが、特定する屈曲部の角度は90°に限定されない。例えば、屈曲部の角度は、45°であっても良い。例えば45°の屈曲部の判断は、姿勢情報としての角度変化が35°以上55°未満である範囲であるか否かに基づいて行えば良い。
【0082】
そして、構造特定部534は、ある屈曲部を測定ロボット10が走行しているような一定時間内の、測定ロボット10の最大の変化角度を用いて屈曲部の特定を行う。例えば、測定ロボット10が45°の屈曲部を走行する際には、その屈曲部を走行することによる最大の変化角度として例えば45°が測定される。この場合には、45°の屈曲部が特定される。また、測定ロボット10が90°の屈曲部を走行する際には、その屈曲部を走行することによって、角度変化の途中で45°も測定されるものの最終的には90°の角度変化が測定される。この場合には、90°の屈曲部が特定される。
【0083】
さらに、本実施形態の本体部11は、6本の節部21を有して構成されているが、節部21の本数は6本に限定されない。さらに、本実施形態において、測定ロボット10の移動のための構成は、他の構成であっても良い。
【0084】
なお、本実施形態の配管測定システム1において行われる一連の機能を実現するための構成は、上述した例に限定されない。例えば、上述した実施形態において端末装置50が実現する機能は、全て端末装置50によって実現される必要はなく、測定ロボット10が一部または全部の機能を実現しても良い。
また、端末装置50は、測定ロボット10を操作するための装置ではなく、測定ロボット10が蓄積した姿勢情報および移動距離情報を別途取得し、直線部および屈曲部を特定するとともに2次元画像や3次元画像を作成するための装置であっても良い。
【符号の説明】
【0085】
1…配管測定システム、11…本体部、12…車輪部、13…駆動部、14…撮影部、15…距離測定部、16…姿勢測定部、17…通信部、18…制御部、50…端末装置、51…操作部、52…画像表示部、53…特定処理部