(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】高低調節まくら
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
A47G9/10 M
(21)【出願番号】P 2021529220
(86)(22)【出願日】2019-08-01
(86)【国際出願番号】 KR2019009616
(87)【国際公開番号】W WO2020027603
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-02-01
(31)【優先権主張番号】10-2018-0090609
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521047557
【氏名又は名称】キム、ジョン グク
【氏名又は名称原語表記】KIM,Joung Gug
【住所又は居所原語表記】617-502,27,Hwajeong-ro,Deogyang-gu,Goyang-si,Gyeonggi-do 10496,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジョン グク
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開実用新案第20-2017-0002198(KR,U)
【文献】特開2008-289794(JP,A)
【文献】中国実用新案第203182529(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0271964(US,A1)
【文献】登録実用新案第3155837(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0006822(US,A1)
【文献】特開平11-253287(JP,A)
【文献】米国特許第06981288(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外皮と、前記外皮の内部に詰め込まれて弾性を与える中身と、から構成され、前記外皮及び中身は、頸椎と後頭骨とが載置されるように凹む載置部と、前記載置部の両側に突設された壁部と、からなる頸椎まくらと、
前記頸椎まくらの両側に取り付けら
れる側面まくらと、
前記頸椎まくらと
前記側面まくらの下部とをつなぐ羽根部と、
前記全体の構成要素を内部に収めて嵌め込まれる外カバーと、
を備え、
前記側面まくらには、顔側面接触部と高さ微調節部とが備わり、
前記顔側面接触部は、積層方向である平面視で同じ形状に形成された複数枚の弾性パッドが積層されて、使用者の顔側面を弾性をもって支持し、
前記高さ微調節部は、前記顔側面接触部の下に位置する複数枚のスリムパッドの積層を有し、前記スリムパッドの設置枚数によって前記顔側面接触部の高さを微調整し、
また、前記スリムパッドのそれぞれには、前記スリムパッドの外面の全体を包み込み、かつ、周縁部位が熱融着され外面に摩擦増大部が配備されたカバー体が覆われて、隣接する前記摩擦増大部同士の接触によって、隣接する前記スリムパッド同士の位置を安定させ、
前記高さ微調節部のスリムパッドは、4.5~5.5mmの厚さ
であり、
周縁部位が一定の広さで熱融着され、
前記摩擦増大部は、スエード、ベルベット、ラテックスの繊維織物のうちのいずれか一つから構成され、
前記弾性パッドと
前記スリムパッドは、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォームまたはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームの材質から形成された
ことを特徴とする高低調節まくら。
【請求項2】
前記頸椎まくらは、下部に床面受け部が連結された
請求項1に記載の高低調節まくら。
【請求項3】
前記顔側面接触部には、耳載置部と通気孔とが穿孔された
請求項1に記載の高低調節まくら。
【請求項4】
前記顔側面接触部は、フィルターフォーム材質の第1のスポンジと、高弾性ポリウレタンフォーム材質、メモリーフォーム材質の第2、第3及び第4のスポンジとが交互に設けられた
請求項1に記載の高低調節まくら。
【請求項5】
前記頸椎まくら及び
前記顔側面接触部には、ウレタンゲル断片の冷却パッドが複数付着されて設けられた
請求項1に記載の高低調節まくら。
【請求項6】
前記頸椎まくらには、多数の指圧突起が突設された
請求項1に記載の高低調節まくら。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高低調節まくらに係り、さらに詳しくは、通気性に優れており、しかも、使用者の体重の変化につれて肩の高さに合わせてまくらの高低を調節して使えるようにした高低調節まくらに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、まくらは、頭の後ろの部分、すなわち、後頭部が支えられるが、このように後頭部が支えられると、頭が前に傾きうつむいてしまうため、「C」字状を呈する頸椎が逆に撓んでしまう圧迫を受け、これと同時に、後頸部(頸背部)の筋肉が硬直するという現象が生じる。
【0003】
このため、睡眠をとってからもスッキリとした気持ちになれず、むしろ首が凝り、このような状態が続く場合に頚椎椎間板ヘルニアなどの疾病が誘発されたりする。
【0004】
上記のような不具合により、従来には、特許文献1でのような頸椎まくら、特許文献2でのような頸椎及び胸椎支持用まくら、並びに特許文献3でのような頸椎校正用まくらなどが開示されて用いられることが分かり、これらは、いずれも、基本的に、頭を低く維持して首の部位を支えるような構造となっているため、就寝時に頸椎を単に維持する役割を果たしている。
【0005】
しかしながら、上記の頸椎まくらは、使用者が仰向けになった状態で単に使用者の頸椎部分を微弱に支持するように構成されるが故に、使用者が睡眠をとる最中に頭がまくらの中であちこち移動する場合には、睡眠後に首が凝り、使い勝手が非常に悪いという欠点を有する。
【0006】
また、これらの頸椎まくらは、使用者が横向き寝の姿勢で眠るときに耳、顎関節及び視神経が頭の重さにより押されてしまって使用者に大きな不便さを与えてしまい、特に、相対的に強度の低い耳は圧迫を受けてしまって側頭部に向かってくっついてしまうため、これは、耳痛の原因となり、使用者がもやもやさを感じてしまい、これとともに、耳の後方に位置している乳樣突起は、強度の高い頭蓋骨の一部の突起であって、まくらにより圧迫を受けてしまって頭痛の原因となっている。
【0007】
このような現象の始発点は、まくらが使用者の体形及び体重の変化に対応することができないことであるといっても過言ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】大韓民国公開特許公報第10-2014-0130885号
【文献】大韓民国登録実用新案公報第20-0471522号
【文献】大韓民国登録実用新案公報第20-0458054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みて案出されたものであり、頸椎と後頭骨の連接部を指圧して筋膜を弛緩させ、血行が促されるようにし、横向き寝の姿勢で眠るときに耳、顎関節及び視神経が頭の重さにより押されないようにし、就寝時に肩の部位がまくらに引っ掛からないようにし、頭から離脱しないので楽に載置できるようにするとともに、通気及び冷却の作用を通じて涼しい状態でまくらをして就寝できるようにし、しかも、通孔によるクッション作用を備えて反発弾性が抜群である高低調節まくらを提供するところにその目的がある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、横向き寝の姿勢で眠るときに顔と肩との間の高さを調節できるように高さ微調節部が配備された高低調節まくらを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するために、本発明は、外皮と、前記外皮の内部に詰め込まれて弾性を与える中身と、から構成され、前記外皮及び中身は、頸椎と後頭骨とが載置されるように凹む載置部と、前記載置部の両側に突設された壁部と、からなる頸椎まくらと、前記頸椎まくらの両側に取り付けられ、同じ形状に形成された複数枚の弾性パッドが積層された顔側面接触部と、前記顔側面接触部の下部に積層された複数枚のスリムパッドと、前記複数枚のスリムパッドの外面をそれぞれ包み込み、かつ、周縁部位に熱融着されて仕上げられるカバー体から構成された高さ微調節部と、を有する側面まくらと、前記頸椎まくらと側面まくらの下部とをつなぐ羽根部と、前記全体の構成要素を内部に収めて嵌め込まれる外カバーと、を備える。
【0012】
前記高さ微調節部のスリムパッドは、4.5~5.5mmの厚さに製造される。
【0013】
前記摩擦増大部は、ライレックス、スエード、ベルベットなどの繊維織物のうちのいずれか一つから構成される。
【0014】
前記弾性パッドとスリムパッドは、平面視で、同じ形状と模様に形成されてもよい。
【0015】
このとき、前記弾性パッドとスリムパッドは、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォームまたはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームの材質から形成される。前記顔側面接触部には、耳載置部と通気孔とが穿孔される。
【0016】
前記顔側面接触部は、フィルターフォーム材質の第1のスポンジと、高弾性ポリウレタンフォーム材質、メモリーフォーム材質の第2、第3及び第4のスポンジとが交互に設けられる。
【0017】
前記頸椎まくら及び顔側面接触部には、ウレタンゲル断片の冷却パッドが積層されて設けられ、前記頸椎まくらには、多数の指圧突起が突設されてもよい。
【発明の効果】
【0018】
前述したように、色々な材質のポリウレタンフォーム(PU FOAM)の特別なクッション作用を備えて反発弾性をよくした3Dタイプの本発明に係る高低調節まくらを用いると、次のような効果が得られる。
【0019】
まず、第一に、睡眠中にも、就寝時に通常のまくらとは異なり、首固定型を備えた頸椎まくらを介してカメ首またはストレートネックをC字状にし、M字状は首と頭を固定して頸椎が撓むことや離脱することを防ぎ、頸椎と後頭骨との連接部を指圧することにより、筋膜を弛緩させ、血行が促されるようにする。
【0020】
第二に、就寝時に横向き寝の姿勢で眠るときに「┐」字状の溝は、耳、顎関節及び視神経が耳載置部に空間をあけて載置されることにより、頭の重さにより押されないようにする。
【0021】
第三に、側面まくらに形成された溝部を介して就寝時に肩の部位がまくらに引っ掛からず、かつ、羽根部を介してまくらが頭から離脱しないので、楽に載置できるようにして睡眠をとることを可能にする。
【0022】
第四に、左右側面のまくらは、色々な特性のスポンジを層々と積み重ね、通孔をあけて弾性の優秀さを活かし、フィルター(filter)フォームを用いて円滑に通気を行う役割を果たし、かつ、色々な断片からなるウレタンゲルや凝縮させた炭を付着して冷媒の役割を果たすことにより、涼しい状態でまくらをして就寝することを可能にする。
【0023】
第五に、頸椎まくらと左右側の側面まくらを折り畳み式に折り畳んで積み重ねて用いると、しばらくの間テレビの視聴や読書などを楽に行うことを可能にする。
【0024】
第六に、横向き寝の姿勢で眠る使用者の肩と顔の高さが高さ微調節部を介して直角をなすようにすることで、頸椎と脊椎がまっすぐな状態(一字状)に保たれて使用者が横向き寝の姿勢でも楽に眠ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る高低調節まくらを示す斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係る高低調節まくらの頸椎まくらの分解斜視図。
【
図3】本発明の実施形態に係る高低調節まくらの頸椎まくらの下部に床面受け部が配備された状態を示す側断面図。
【
図4a】本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらに対する形状のみを分離して示す斜視図。
【
図4b】本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらに対する形状のみを分離して示す斜視図。
【
図4c】本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらに対する形状のみを分離して示す斜視図。
【
図5】本発明の実施形態に係る高低調節まくらに冷却パッドが設けられた状態を示す例示図。
【
図6】本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらの分解斜視図。
【
図7】本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらを切り開いた断面図。
【
図8】本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらの積層された部位を部分的に拡大して示す例示図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図示のごとく、本発明の実施形態に係る高低調節まくら100は、頸椎まくら10と、頸椎まくら10の両側に形成された側面まくら20と、頸椎まくら10と側面まくら20とをつなぐ羽根部30、及び全体の構成要素を内部に収める外カバー60を備える。
【0027】
外皮11は、指圧効果を発揮するために、ポリエチレンフォーム(PE FOAM:Polyethylene Foam)またはエチレン酢酸ビニルフォーム(EVA FOAM:Ethylene Vinyl Acetate Foam)からなり、前記外皮11の中の中身12は、使用者がまくらをするときにクッション感を与えるようにポリウレタンフォーム(Polyurethane Foam)からなり、これは、外皮11による表のコワゴワ感と中身12による裏の高弾性スポンジの機能により、通常のまくらとは異なり、適当な弾性感を与えることにより、硬くなく、然りとてどっかり凹むような感じを与えない、通常のまくらとは差別化された機能を有する。
【0028】
頸椎まくら10は、頸椎と後頭骨とが載置されるように凹む載置部13と、前記載置部13の両側に上部に突き出て頭部の両側を支持するM字状の壁部14と、から構成されるが、前記載置部13は、C字状を呈する。
【0029】
そして、頸椎まくら10は、頭の上の部分は広くし、首の下側は狭くして、肩羽には触れず、頸骨の開始点から支えて就寝時に横たわったときに安楽さを与える。
【0030】
また、前記頸椎まくら10の上部には、
図2に示すように、指圧突起15が配備されるようにして、まくらをして横たわったときに指圧効果を得ることができる。
【0031】
ここで、上記のような頸椎まくら10は、C字状の載置部13とともに、頭と首を固定するM字状の壁部14をポリエチレンフォームまたはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームから構成された材質をモールドで成形して頸椎と後頭骨との連接部を指圧する外皮11を作り、高弾性ポリウレタンフォームやメモリーフォームを外皮11の内部に詰め込んで柔らかな弾性を与える中身12になるようにし、外皮11の下部には、ポリエチレンフォームまたはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームで熱融着方法を用いて完全に密封接着をして中身12が離脱されないように仕上げて製造される。
【0032】
そして、上記のようにして成形化された頸椎まくらを安定化させ、高低を調節できるようにするために、最も下部には高弾性ポリウレタンフォームやメモリーフォームを一定の厚さに二・三重に積み重ねて高さも調節し、成形物を安定化させながら固定することも可能である。
【0033】
頸椎まくら10のC字状の下部には、
図3に示すように、重い側が部屋の床面に自然に載置される梃子状を呈するように床面受け部40が配備される。
【0034】
すなわち、前記頸椎まくら10の床面受け部40を頸椎のC字状を呈する部分の下に短いパッドを押し当ててシーソーを連想させる形状にすれば、首の下と頭を支える上側の部分は床面とのスペースがあって重さがある側に楽にかつ自然に載置される。
【0035】
側面まくら20は、就寝時に横向きにねるとき、耳が押されないようにする耳載置部23と、通気が行われるようにする通気孔24と、を備えて、頸椎まくら10の両側に取り付けられる。
【0036】
側面まくら20は、顔側面接触部26と、顔側面接触部26の下部に積層された高さ微調節部29と、を備える。
【0037】
顔側面接触部は、他の通常のまくらとは異なり、単一化された製品からなるものではなく、弾性パッドであって、通気と弾性を考慮して、フィルターフォーム(Fillter Foam)材質の第1のスポンジ21と、ポリウレタン材質の第2、第3または第4のスポンジ22とが交互に積層される(ここで用いられる材質は、高弾性(密度:kg/m3-25、35、40など)、メモリーフォーム、フィルターフォームである)。
【0038】
顔側面接触部26は、第1のスポンジ21と第2、第3または第4のスポンジ22とを交互に積層するが、通気孔24を形成して用いることにより、通気性と高速の反発弾性を与えることが可能になる。
【0039】
顔側面接触部26の内側には、横向き寝の姿勢で眠るときに肩の部位が側面まくら20に引っ掛からず、羽根部30の上部に載置されるようにする溝部25が配備される。
【0040】
したがって、使用者が就寝するときにまくらに肩が引っ掛かっていない状態で頭を楽にまくらに載置することが可能になる。
【0041】
耳載置部23は、通常の機能性まくらのように、横向き寝の姿勢で眠るときに耳が押されないように穴をあけたり、顔が睡眠中に転がらないように窪ませたりした形状を呈し、本発明のまくらでは、幅が20~30mmであって、傾くようにして、または棒状にして、スポンジをまくらの中間層や下端部の周縁に取り付けて凹状を呈するようにする機能をし、「┐」字状は、耳の部分は野球選手のヘルメットが顎まで保護する形状に着目して、顎と耳、目の視神経の部位まで楽になるように形成し、これに用いられるスポンジとしては、他の部分のスポンジよりもさらに柔らかなスポンジを挿入して耳、顎関節または視神経が頭の重さに押されないようにすることが好ましい。
【0042】
また、顔側面接触部26には、ウレタンゲル断片の冷却パッド50や圧縮された炭の多数の断片が配備され、冷却パッド50は、就寝時に使用者の体温を吸収する冷却ゲルまたは相変化物質からなる。
【0043】
冷却パッド50がウレタンゲルからなる場合には、ウレタンフィルムからなる側面まくら20を下部が丸みを帯びるようにして凹状に成形した後、その凹状の部分に液体からなるウレタンゲルを入れて固体化させて形成することも可能である。
【0044】
すなわち、頸椎まくら10の載置部13にウレタンフィルムを形状化させてなる凹状の部分に液体からなるウレタンゲルを入れて固体化させて冷却指圧効果を持たせることも可能である。
【0045】
ウレタンゲルからなる冷却パッド50であって、顔の大きさを有するパッドの全体をまくらに載せて用いると、冷却の性質を有する材質であるためこわくて、長期にわたって用いる上で不便さを感じてしまうことがある。逆に、複数の小さい断片に分けて取り付けて用いると、顔の形状に応じて冷却パッドとしての機能を果たす筈である。
【0046】
顔側面接触部26の下部には、顔の側面と肩とが直角をなした状態を保持できるように、使用者の肩の広さ及び顔の大きさに応じて高さを微調節できるように高さ微調節部29が配設される。
【0047】
高さ微調節部29は、スリムパッド27とカバー体28とを備える。複数枚のスリムパッド27は、平面視で、前述した弾性パッドであるフォームと同じ形状と模様に形成される。
【0048】
また、スリムパッド27は、顔側面接触部26と同じ素材であって、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォームまたはエチレン酢酸ビニル(EVA)フォームの材質から形成される。
【0049】
このとき、スリムパッド27は、使用者の体重の変化につれて肩の筋肉が減ったり増えたりする場合、顔側面接触部26に顔の側面を密着させた状態で肩と顔の側面との角度が変動することがある。
【0050】
すなわち、使用者が筋力運動を活発に行うと、肩の筋肉の発達に伴って肩が広くなり、この状態で使用者が横向きにねて顔を顔側面接触部26に密着させると、顔の側面が顔側面接触部26よりも高い位置において下向きに傾いた状態で顔側面接触部と密着されざるを得ない。
【0051】
逆に、使用者がいきなり顔の部位や肩の部位のどちらか一方がやせてくると、横向きにねた使用者の顔と肩との角度が直角よりも大きく広がることにより、肩と首の位置が垂直状態を保つことができなくなる。
【0052】
このように、使用者の身体の状態に応じて、顔と肩の変動された角度は、使用者が横向き寝の姿勢をとって顔側面接触部26に顔の側面を接触させた状態で睡眠をとると、頚椎椎間板ヘルニアの誘発可能性が増大され、かつ、熟眠の効果が低下するという不具合が生じてしまう。
【0053】
これを防ぐためには、顔の側面の角度と肩の角度とが常に直角を保つようにまくらの高さを調節することが好ましいが、このために、本発明においては、肩と顔の側面との角度を微調節できるように、4.5~5.5mmの厚さにスリムパッド27を製造している。
【0054】
このようなスリムパッド27は、少なくとも約3~4枚ほど積層することができるが、素材それ自体がフォーム材質から構成されるものであるため、別途のカバーを覆い被せないままで用いると、使用者が就寝中に無意識的にスリムパッド27を押し出したり引っ張ったりして各スリムパッド27の中心軸がずれてしまう虞がある。
【0055】
したがって、スリムパッド27の位置が変動されずに固定された状態を保持できるように、スリムパッド27の外部には、摩擦増大部28a付きカバー体28が結合される。
【0056】
カバー体28は、スリムパッド27の外面を包み込み、かつ、周縁部位に熱融着されて仕上げられる。このとき、カバー体は、複数のカバー体28が積層された状態で各カバー体28の間及び顔側面接触部26の表面の間に遊動が生じないようにスエード、ベルベット、ライレックスなど起毛から形成された繊維織物のうちのいずれか一つの素材が摩擦増大部28aとして採用される。
【0057】
ここで、高さ微調節部29の場合、図示はしないが、頸椎まくら10の下部にも適用可能である。本発明の図面には、頸椎まくら10の下部には高さ微調節部が適用されたことが示されていないが、顔側面接触部26の下部の高さを調節するときに頸椎まくら10もまた高さが調節されない場合、まくらの全体の高さが調節されなくなるので、頸椎まくら10の下部にも側面まくら20に配設された高さ微調節部29と同じ構造として適用可能であるということはいうまでもない。
【0058】
このとき、高さ微調節部29は、頸椎まくら10の下部に配設された床面受け部40の側面に配設されてもよく、床面受け部40を省略した個所に配設されてもよい。
【0059】
したがって、高さ微調節部29は、側面まくら20の高さと頸椎まくら10の高さを使用者が最も楽な状態でまくらをして横たわるように調節して用いることを可能にする。
【0060】
一方、頸椎まくら10と側面まくら20の下部には、頸椎まくら10と側面まくら20とが互いに遊動しないように羽根部30が連結される。
【0061】
羽根部30は、下部が第2、第3または第4のスポンジ22からなり、上部は布地からなって、側面まくら20の下部面から肩の部位側の内側に向かって突き出るように配備される。
【0062】
一般に、人間が睡眠をとるときには、何回も寝返りを打つ場合があるが、このとき、まくらが突拍子もないところに押されていることもある。
【0063】
したがって、本発明においては、側面まくら20の裏側、好ましくは、肩が入る溝部25に羽根部30が配備されると、就寝時に肩が羽根部30に載せられ、肩の押さえ作用を通じてまくらが離脱されないようにしている。
【0064】
このような構成を有する頸椎まくら10及び側面まくら20、並びにこれらをつなぐように構成された羽根部30は、外カバー60の内部に収められる。
【0065】
外カバー60は、柔らかな肌触りの材質からなり、かつ、伸縮性に優れており、しかも、通気性を有する織物を素材として採用して製造され、全体の構成要素が内部において遊動しないような大きさと形状に裁断されて結合される。
【0066】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。まず、各図面の構成要素に参照符号を付するにあたって、同じ構成要素に対しては、たとえ異なる図面の上に示されているとしても、できる限り同じ番号を持たせていることに留意すべきである。また、本発明について説明するにあたって、関連する公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を余計に曖昧にする虞があると認められる場合にはその詳細な説明を省略する。なお、以下、本発明の好適な実施形態について説明するが、本発明の技術的な思想はこれに限定されたり制限されたりせず、当業者により変形されて種々に実施可能であるということはいうまでもない。
【0067】
図1は、本発明の実施形態に係る高低調節まくらを示す斜視図であり、
図2は、本発明の実施形態に係る高低調節まくらの頸椎まくらの分解斜視図であり、
図3は、本発明の実施形態に係る高低調節まくらの頸椎まくらの下部に床面受け部が配備された状態を示す側断面図であり、
図4aから
図4cは、本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらに対する形状のみを分離して示す斜視図であり、
図5は、本発明の実施形態に係る高低調節まくらに冷却パッドが設けられた状態を示す例示図であり、
図6は、本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらの分解斜視図であり、
図7は、本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらを切り開いた断面図であり、
図8は、
本発明の実施形態に係る高低調節まくらの側面まくらの積層された部位を部分的に拡大して示す例示図である。
【0068】
以下では、本発明の実施形態に係る高低調節まくらの作用について説明する。
【0069】
使用者が顔側面接触部26に顔の側面を密着させて横向き寝の姿勢をとった状態で首の部分と肩の部分とが直角をなした状態を保持することができず、頭が持ち上げられた状態または頭が下部に折れて不便な状態であると認識すれば、顔側面接触部26から弾性パッドであるフォームを取り外したり、高さ微調節部29からスリムパッド27を取り外したりする。
【0070】
高低の調節が大きくない場合には、高さ微調節部29に積層されているスリムパッド27を下から一枚ずつ取り外して使用者が最も楽な状態を保持できるまでスリムパッド27を取り外す。
【0071】
このとき、スリムパッド27の外面を覆っているカバー体28の場合、表面に摩擦増大部28aが形成されているため、積層されているスリムパッド27のうち上側にのみ摩擦増大部28aが作用するように配置された床面スリムパッド27とカバー体28を先に取り外す。
【0072】
次いで、使用者が用いる過程において運動や肩の校正により肩の広さが大きくなった場合には、取り外されていたスリムパッド27を積層されていたスリムパッド27の間に入れて再び積層する。
【0073】
ここで、重要な部分は、高さ微調節部29として設けられたカバー体28は、縫製方式ではなく、熱圧縮による仕上げ処理を通じてスリムパッド27が使用者の無意識的な且つ過度な頭の押されによっても強固な状態を保持することが可能になり、特に、カバー体28の表面に配設された摩擦増大部28aは、積層されている状態がそのまま保たれるように側面まくら20の全体をしっかり固定する役割を果たすことにより、使用者の首の健康の保持に非常に役立ち、しかも、十分な耐久性をも保持することができるというメリットを提供する。
【0074】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎないものであり、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲内において種々の修正、変更及び置換が可能である。よって、本発明に開示された実施形態及び添付された図面は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、単に説明するためのもののであり、このような実施形態及び添付された図面により本発明の技術思想の範囲が限定されることはない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって解釈され、これと同等の範囲内にあるあらゆる技術思想は、本発明の権利範囲に含まれる。