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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】連鎖式閃光灯システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/165 20200101AFI20230607BHJP
   H05B 45/50 20220101ALI20230607BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20230607BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B45/50
H05B45/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022130515
(22)【出願日】2022-08-18
(62)【分割の表示】P 2021095578の分割
【原出願日】2017-11-17
(65)【公開番号】P2022169659
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2017012998
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】519147348
【氏名又は名称】株式会社ホタルクス
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】溝邊 憲政
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-156286(JP,A)
【文献】特開2002-362498(JP,A)
【文献】特開2010-247576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/165
H05B 45/50
H05B 45/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の閃光灯と、
前記閃光灯ごとに対応する、前記各閃光灯の点灯を制御する複数の点灯制御部と、
通信配線と、
管制部とを有し、
前記複数の点灯制御部は、
受信ユニットと、制御ユニットと、起動ユニットと、電源ユニットとを有し、
前記通信配線により、前記管制部と連結され、
前記管制部は、前記複数の点灯制御部に、前記通信配線を介して、同時にまたは異なる時間に起動信号を送信し、
前記点灯制御部の受信ユニットは、前記起動信号を受信し、
前記点灯制御部の制御ユニットは、前記対応する閃光灯に対して設定された、前記起動信号の受信から前記起動ユニットの起動までの時間条件に基づいて、前記起動ユニットを起動し、
前記点灯制御部の電源ユニットは、前記起動ユニットの起動状態において、点灯信号により、電源ONで、前記対応する閃光灯を点灯または消灯させる連鎖式閃光灯システムにおいて、
前記複数の点灯制御部は、さらに、異常検知ユニットを有し、
前記点灯制御部の異常検知ユニットは、
前記閃光灯、前記受信ユニット、前記制御ユニット、前記起動ユニット、および前記電源ユニットからなる群から選択された少なくとも1つのユニットの異常を検出し、
前記管制部に、前記通信配線を介して、異常信号を送信する、
ことを特徴とする連鎖式閃光灯システム。
【請求項2】
前記管制部は、前記複数の点灯制御部に、前記通信配線を介して、同時にまたは異なる時間に前記点灯信号を送信し、
前記起動ユニットの起動状態において、前記対応する前記閃光灯に対して設定された、前記点灯信号の受信から前記電源ユニットの電源ONまでの時間条件に基づいて、前記電源ユニットの電源をONとし、
前記点灯信号は、前記閃光灯の点灯時間に関する信号および前記閃光灯の点灯を点灯時間後にOFFにする消灯信号の少なくとも一方を含む、請求項1に記載の連鎖式閃光灯システム。
【請求項3】
前記通信配線は、前記管制部から前記点灯制御部に対して前記点灯信号を送信可能であり、且つ前記点灯制御部から前記管制部に対して、情報をフィードバック可能である双方向に通信可能な通信配線であり、
前記複数の点灯制御部は、前記通信配線により、前記管制部と連結している、請求項1に記載の連鎖式閃光灯システム。
【請求項4】
前記管制部は、さらに、前記複数の点灯制御部に、前記通信配線を介して、同時に光度指定信号を送信し、
前記点灯制御部の受信ユニットは、前記光度指定信号を受信し、
前記点灯制御部の制御ユニットは、前記電源ユニットの電源ON時の前記閃光灯の光度が、前記光度指定信号で指定された光度となるように、前記電源ユニットの電源をONとし、
前記点灯制御部の電源ユニットは、電源ONで、前記対応する閃光灯を、前記光度指定信号で指定された光度となるように点灯させる、請求項1に記載の連鎖式閃光灯システム。
【請求項5】
前記閃光灯は、さらに、ヒータを有し、
前記閃光灯ごとに対応する、前記各閃光灯のヒータを制御するヒータ制御部を有し、
前記ヒータ制御部は、
ヒータ受信ユニットと、ヒータ制御ユニットと、ヒータ電源ユニットとを有し、
同じ前記通信配線により、前記管制部と連結され、
前記管制部は、前記複数のヒータ制御部に、前記通信配線を介して、同時に加温信号を送信し、
前記ヒータ制御部のヒータ受信ユニットは、前記加温信号を受信し、
前記ヒータ制御部のヒータ制御ユニットは、前記ヒータ電源ユニットの電源をONとし、
前記ヒータ制御部のヒータ電源ユニットは、電源ONで、前記対応する閃光灯のヒータを加温させる、請求項1に記載の連鎖式閃光灯システム。
【請求項6】
前記管制部は、前記起動信号における1ビットの情報を所定パルス信号幅で送信する、請求項1に記載の連鎖式閃光灯システム。
【請求項7】
前記閃光灯は、LED閃光灯である、請求項1に記載の連鎖式閃光灯システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連鎖式閃光灯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日本の空港で使用されている既設の連鎖式閃光灯システムでは、例えば、滑走路の一端から他端に向かって、29灯の閃光灯(以下、「灯器」ともいう)を、約17ミリ秒/1灯で順次点灯するサイクル(1サイクル0.5秒)を繰り返すのに、管制器(管制部)から各灯器にそれぞれ点灯信号を直接送っている。このため、管制器と各灯器との間に、多くの通信配線が用いられている(特許文献1および2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平05-085493号公報
【文献】特開平03-116681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記連鎖式閃光灯システムでは、高輝度な複数の閃光灯を同時に起動するのに、例えば、大容量のコンデンサにチャージ(蓄電)を行っている。
【0005】
しかしながら、前記コンデンサに並行してチャージを行なうため、チャージ開始時の前記コンデンサへの突入電流が大きく、電源配線および電源供給部に負荷が係るという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、電源配線および電源への負荷を軽減可能な連鎖式閃光灯システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の連鎖式閃光灯システムは、
複数の閃光灯と、
前記閃光灯ごとに対応する、前記各閃光灯の点灯を制御する複数の点灯制御部と、
通信配線と、
管制部とを有し、
前記複数の点灯制御部は、
受信ユニットと、制御ユニットと、起動ユニットと、電源ユニットとを有し、
前記通信配線により、前記管制部と連結され、
前記管制部は、前記複数の点灯制御部に、前記通信配線を介して、同時にまたは異なる時間に起動信号を送信し、
前記点灯制御部の受信ユニットは、前記起動信号を受信し、
前記点灯制御部の制御ユニットは、前記対応する閃光灯に対して設定された、前記起動信号の受信から前記起動ユニットの起動までの時間条件に基づいて、前記起動ユニットを起動し、
前記点灯制御部の電源ユニットは、前記起動ユニットの起動状態において、点灯信号により、電源ONで、前記対応する閃光灯を点灯または消灯させる連鎖式閃光灯システムにおいて、
前記複数の点灯制御部は、さらに、異常検知ユニットを有し、
前記点灯制御部の異常検知ユニットは、
前記閃光灯、前記受信ユニット、前記制御ユニット、前記起動ユニット、および前記電源ユニットからなる群から選択された少なくとも1つのユニットの異常を検出し、
前記管制部に、前記通信配線を介して、異常信号を送信する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電源配線および電源への負荷を軽減可能な連鎖式閃光灯システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1の連鎖式閃光灯システムの構成の一例を示す模式ブロック図である。
図2図2は、実施形態2の連鎖式閃光灯システムの構成の一例を示す模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の連鎖式閃光灯システムにおいて、例えば、前記点灯制御部の制御ユニットは、前記起動ユニットの起動状態において、前記管制部からの前記点灯信号に基づいて、前記電源ユニットの電源をONにする。
【0011】
本発明の連鎖式閃光灯システムにおいて、例えば、前記管制部は、前記複数の点灯制御部に、前記通信配線を介して、同時に前記点灯信号を送信する。
【0012】
本発明の連鎖式閃光灯システムにおいて、例えば、前記点灯制御部の制御ユニットは、前記起動ユニットの起動状態において、前記対応する閃光灯に対して設定された、前記点灯信号の受信から前記電源ユニットの電源ONまでの時間条件に基づいて、前記電源ユニットの電源をONとする。
【0013】
本発明の連鎖式閃光灯システムにおいて、例えば、前記通信配線は、前記管制部から前記点灯制御部に対して点灯信号を送信可能であり、且つ
前記点灯制御部から前記管制部に対して、情報をフィードバック可能である双方向に通信可能な通信配線であり、
前記複数の点灯制御部は、前記通信配線により、前記管制部と連結している。
【0014】
本発明の連鎖式閃光灯システムは、例えば、さらに、電源供給部と電源配線とを有し、
前記複数の点灯制御部は、同じ前記電源配線により、前記電源供給部と連結されている。前記電源配線は、例えば、単相2線式である。
【0015】
本発明の連鎖式閃光灯システムにおいて、例えば、前記閃光灯は、LED閃光灯である。
【0016】
本発明の連鎖式閃光灯システムにおいて、例えば、前記管制部は、さらに、前記複数の点灯制御部に、前記通信配線を介して、同時に光度指定信号を送信し、
前記点灯制御部の受信ユニットは、前記光度指定信号を受信し、
前記点灯制御部の制御ユニットは、前記電源ユニットの電源ON時の前記閃光灯の光度が、前記光度指定信号で指定された光度となるように、前記電源ユニットの電源をONとし、
前記点灯制御部の電源ユニットは、電源ONで、前記対応する閃光灯を、前記光度指定信号で指定された光度となるように点灯させる。
【0017】
本発明の連鎖式閃光灯システムにおいて、例えば、前記複数の点灯制御部は、さらに、異常検知ユニットを有し、
前記点灯制御部の異常検知ユニットは、
前記閃光灯、前記受信ユニット、前記制御ユニット、前記起動ユニット、および前記電源ユニットからなる群から選択された少なくとも1つユニットの異常を検出し、
前記管制部に、前記通信配線を介して、異常信号を送信する。
【0018】
本発明の連鎖式閃光灯システムにおいて、例えば、前記閃光灯は、さらに、ヒータを有し、
前記閃光灯ごとに対応する、前記各閃光灯のヒータを制御するヒータ制御部を有し、
前記ヒータ制御部は、
ヒータ受信ユニットと、ヒータ制御ユニットと、ヒータ電源ユニットとを有し、
同じ前記通信配線により、前記管制部と連結され、
前記管制部は、前記複数のヒータ制御部に、前記通信配線を介して、同時に加温信号を送信し、
前記ヒータ制御部のヒータ受信ユニットは、前記加温信号を受信し、
前記ヒータ制御部のヒータ制御ユニットは、前記ヒータ電源ユニットの電源をONとし、
前記ヒータ制御部のヒータ電源ユニットは、電源ONで、前記対応する閃光灯のヒータを加温させる。
【0019】
本発明の連鎖式閃光灯システムにおいて、例えば、前記管制部は、前記起動信号における1ビットの情報を所定パルス信号幅で送信する。前記所定パルス信号幅は、好ましくは、0.1~499.9ミリ秒である。
【0020】
以下、本発明の連鎖式閃光灯システムについて、図面を参照して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定されない。なお、以下の図1および図2において、同一部分には、同一符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、図面においては、説明の便宜上、各部の構造は適宜簡略化して示す場合があり、各部の寸法比等は、実際とは異なり、模式的に示す場合がある。
【0021】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の連鎖式閃光灯システム(以下、「システム」ともいう)の構成の一例を示す模式ブロック図である。図1に示すように本実施形態のシステム10は、閃光灯A~A、点灯制御部B~B、通信配線C、および管制部Dを有し、点灯制御部B~Bは、それぞれ、受信ユニットb1~b1、制御ユニットb2~b2、起動ユニットb3~b3、および電源ユニットb4~b4を有す。本実施形態のシステム10において、閃光灯A~Aは、それぞれ、対応する点灯制御部B~Bと連結(以下、「接続」ともいう)している。また、点灯制御部B~Bは、同じ通信配線Cにより、管制部Dと接続している。なお、図示していないが、本実施形態のシステム10において、閃光灯A~Aは、航空機を滑走路に誘導するために、前記滑走路の進入口端を基準として、前記航空機の進入方向と逆方向側端に閃光灯Aが配置され、前記滑走路の進入口側端にAが配置されるように、直線状に配置されている。図1において、矢印ADは、前記航空機の進入方向を示す。
【0022】
閃光灯A~Aは、閃光を発することが可能な灯器であればよく、公知の閃光灯を使用でき、具体例として、キセノン灯(キセノン閃光灯)、LED灯(LED閃光灯)等があげられ、消費電力を低減できることから、LED灯が好ましい。本実施形態のシステム10において、前記閃光灯および前記閃光灯に対応する点灯制御部を1セットとしたときのセット数nは、3以上の整数であるが、セット数nは、2以上の整数で有ればよく、例えば、国毎に規定されている連鎖式閃光灯における閃光灯のセット数に応じて、適宜決定できる。具体的に、前記セット数nは、例えば、2~30であり、日本国における場合、前記セット数nは、例えば、29である。また、各セットにおいて、点灯制御部Bに接続される閃光灯Aの数は、特に制限されず、例えば、1個である。閃光灯A~Aは、例えば、それぞれ、閃光灯A~Aを特定可能なアドレス情報Iaを有してもよい。
【0023】
点灯制御部B~Bは、対応する各閃光灯A~Aの点灯を制御する。本実施形態のシステム10において、点灯制御部B~Bは、それぞれ、受信ユニットb1~b1、制御ユニットb2~b2、起動ユニットb3~b3、および電源ユニットb4~b4を有すが、他のユニットを有してもよく、具体例として、後述する異常検知ユニット等を有してもよい。点灯制御部B~Bは、例えば、それぞれ、点灯制御部B~Bを特定可能なアドレス情報Ibを有してもよい。
【0024】
受信ユニットb1~b1は、点灯信号を受信する。受信ユニットb1~b1は、管制部Dの送信する信号の種類に応じて、アナログ信号またはデジタル信号を受信可能な受信機が使用でき、具体例として、アナログ信号の受信機、デジタル信号の受信機等があげられる。受信ユニットb1~b1が前記アナログ信号の受信機の場合、受信ユニットb1~b1は、さらに、アナログ-デジタル変換器を有することが好ましい。また、受信ユニットb1~b1は、さらに、点灯制御部B~Bの情報等を送信できる送信機能を備えてもよい。この場合、受信ユニットb1~b1は、例えば、送受信ユニットということもできる。前記情報は、例えば、後述する異常信号等があげられる。さらに、受信ユニットb1~b1が送信機能を備え、且つアナログ信号により管制部Dに前記情報を送信する場合、受信ユニットb1~b1は、デジタル-アナログ変換器を有することが好ましい。前記点灯信号は、例えば、閃光灯A~Aに閃光を発するよう指示する信号である。閃光灯A~Aが一度点灯すると、点灯を維持し続けるLED灯等の灯器である場合、前記点灯信号は、閃光灯A~Aの点灯時間に関する信号および閃光灯A~Aの点灯を点灯時間後にOFFにする消灯信号の少なくとも一方を含むことが好ましい。前記点灯時間は、例えば、0.01~50ミリ秒である。
【0025】
制御ユニットb2~b2は、前記対応する閃光灯A~Aに対して設定された、前記起動信号の受信から起動ユニットb3~b3の起動までの時間条件(以下、「起動条件」ともいう)に基づいて、それぞれ、起動ユニットb3~b3を起動する。制御ユニットb2~b2は、起動ユニットb3~b3を起動できる装置であればよく、例えば、CPU(Central Processing Unit)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ(マイコン)等があげられる。前記起動条件は、実施形態10のシステムに接続される電源配線および電源供給部の負荷を軽減可能な条件であればよい。具体的に、前記起動条件は、前記起動信号の受信後、起動ユニットb3~b3の全てが同時に起動しない時間条件であることが好ましく、前記起動信号の受信後、各起動ユニットb3~b3が異なる時間で起動する時間条件であることが好ましい。後者の場合、前記起動条件は、起動ユニットb3~b3が、起動ユニットb3から起動ユニットb3に向かって、所定間隔Tで順次起動していく時間条件があげられる。この場合、前記起動条件は、制御ユニットb2が、例えば、前記起動信号の受信からT×n秒後に起動ユニットb3を起動する時間条件である。前記所定間隔Tは、例えば、10~200ミリ秒、100ミリ秒である。また、前記所定間隔Tは、例えば、点灯制御部B~Bが同時に送信された起動信号を受信するまでに生じるタイムラグを考慮して設定されてもよい。
【0026】
電源ユニットb4~b4は、起動ユニットb3~b3の起動状態において、管制部Dからの点灯信号により、電源ONで、対応する閃光灯A~Aを点灯させる。電源ユニットb4~b4は、閃光灯A~Aを点灯可能な手段で有ればよく、例えば、公知の電圧印加手段が使用できる。閃光灯A~Aがキセノン灯である場合、電源ユニットb4~b4は、さらに、閃光灯A~Aを発光させるトリガー信号を送信することが好ましい。電源ユニットb4~b4は、例えば、閃光灯A~Aの光度を安定させられることから、さらに、コンデンサ(キャパシタ)等の公知の蓄電手段を含んでもよい。電源ユニットb4~b4が蓄電手段を含む場合、電源ユニットb4~b4は、例えば、電源ONで、前記蓄電手段の電力を対応する閃光灯A~Aに供給することで、対応する閃光灯A~Aを点灯させる。また、この場合、電源ユニットb4~b4は、チャージ開始時の前記蓄電手段への突入電流を小さくでき、本実施形態のシステム10に接続される電源配線および電源供給部への負荷をより低減できることから、起動ユニットb3~b3の起動と共にチャージを開始することが好ましい。
【0027】
通信配線Cは、データの通信が可能な通信配線であればよく、公知の通信配線を使用でき、具体例として、メタル通信ケーブル、光ファイバ通信ケーブル等があげられるが、脱着が容易であることから、メタル通信ケーブルが好ましい。本実施形態のシステム10において、通信配線Cは、例えば、既設の通信配線Cを利用しやすいことから、点灯制御部B~Bとバス型で接続しているが、スター型、リング型、メッシュ型、ツリー型、直列型等のその他の配線形式で点灯制御部B~Bと接続してもよい。通信配線Cは、例えば、既設の通信配線Cを利用しやすいことから、バス型、直列型等のように、共通の(同じ)通信配線C(バス線)で接続することが好ましい。また、点灯制御部B~Bは、同じ通信配線Cに代えて、異なる通信配線Cにより接続されてもよい。また、通信配線Cは、本実施形態のシステム10において、通信配線Cは、管制部Dから点灯制御部B~Bに起動信号を送信するための通信配線として機能する。このため、通信配線Cは、例えば、入力用の通信配線ということもできる。通信配線Cの数は、特に制限されず、例えば、1本でもよいし、2本以上でもよい。後者の場合、2本以上の通信配線のうち、1本を前記入力用通信配線に、他の1本を、点灯制御部B~Bから管制部Dに情報をフィードバックするための出力用の通信配線としてもよい。
【0028】
管制部Dは、複数の点灯制御部B~Bに、通信配線Cを介して、同時に起動信号を送信する。管制部Dは、前記起動信号を生成可能な装置であればよく、例えば、CPU、マイクロプロセッサ、マイコン等があげられる。管制部Dは、前記起動信号に加え、さらに前記点灯信号を送信する。管制部Dは、例えば、前記点灯信号を、複数の点灯制御部B~Bに、通信配線Cを介して、同時に送信してもよいし、点灯制御部B~Bの一部または全部に、異なる時間に起動信号を送信してもよい。
【0029】
つぎに、本実施形態のシステム10を用いた閃光灯A~Aの点灯方法について説明する。
【0030】
まず、管制部Dは、複数の点灯制御部B~Bに、通信配線Cを介して、同時に前記起動信号を送信する。管制部Dの前記起動信号の送信回数は、1回でもよいし、複数回でもよいが、前者が好ましい。前者の場合、管制部Dは、例えば、後述する1回または1セットの点灯信号の送信に先立ち、前記起動信号を1回送信する。
【0031】
つぎに、点灯制御部B~Bの受信ユニットb1~b1が、管制部Dが送信した前記起動信号を受信する。すると、制御ユニットb2~b2が、対応する閃光灯A~Aに対して設定された、前記起動信号の受信から起動ユニットb3~b3の起動までの時間条件に基づいて、起動ユニットb3~b3を起動する。具体例として、制御ユニットb2の起動条件が前記起動信号の受信からT×n秒後に起動ユニットb3を起動する時間条件であり、前記所定時間Tが0.1秒である場合、起動ユニットb3、b3、・・・、b3は、前記起動信号の受信後、それぞれ、約0.1秒、約0.2秒、・・・、約0.1×n秒後に起動する。
【0032】
さらに、管制部Dは、複数の点灯制御部B~Bに、通信配線Cを介して、前記点灯信号を送信する。管制部Dは、例えば、同時に前記点灯信号を送信してもよいし、異なる時間に前記点灯信号を送信してもよい。前記点灯信号が同時に送信される場合、点灯制御部B~Bは、例えば、閃光灯A~Aが順次点灯していくように、閃光灯A~Aを点灯させる。また、前記点灯信号が異なる時間に送信される場合、管制部Dは、例えば、閃光灯A~Aが順次点灯していくように、前記点灯信号を送信する。そして、閃光灯A~Aは、前記滑走路の進入口端を基準として、前記航空機の進入方向と逆方向側端に閃光灯Aが配置され、前記滑走路の進入口側端にAが配置されるように、直線状に配置されている。このため、前記航空機のパイロットから閃光灯A~Aを見た場合、前記航空機の進入方向(矢印AD方向)に沿って、閃光灯A~Aが順次点灯していく。
【0033】
以上のように、本実施形態のシステム10は、前記起動条件により、全ての点灯制御部B~Bが同時に起動することがない。このため、点灯制御部B~Bの起動時により生じる突入電流が、全ての点灯制御部B~Bが同時に起動する場合と比較して、低減する。このため、本実施形態のシステム10に接続される前記電源供給部および前記電源配線への負荷を低減することが可能である。また、本実施形態のシステム10は、前記電源供給部および前記電源配線への負荷を低減することができるため、例えば、全ての点灯制御部B~Bが同時に起動するシステムと比較して、前記電源供給部および前記電源配線を簡素化できるため、安価に設置できる。
【0034】
本実施形態のシステム10は、例えば、点灯制御部B~Bの制御ユニットb2~b2は、起動ユニットb3~b3の起動状態において、管制部Dからの前記点灯信号に基づいて、電源ユニットb4~b4の電源をONにしてもよい。このように、制御ユニットb2~b2が電源ユニットb4~b4の電源ONを制御することで、閃光灯A~Aの順次点灯をより実施しやすくできる。さらに、この場合、制御ユニットb2~b2は、例えば、閃光灯A~Aの順次点灯をさらに実施しやすくできることから、後述する電源ONまでの時間条件を有する制御ユニットb2~b2と組合せることが好ましい。
【0035】
本実施形態のシステム10において、管制部Dは、複数の点灯制御部B~Bに、通信配線Cを介して、同時に前記点灯信号を送信してもよい。この場合、管制部Dは、例えば、閃光灯A~Aの順次点灯をより実施しやすくできることから、後述する電源ONまでの時間条件を有する制御ユニットb2~b2と組合せることが好ましい。
【0036】
本実施形態のシステム10は、例えば、点灯制御部B~Bの制御ユニットb2~b2は、起動ユニットb3~b3の起動状態において、対応する閃光灯A~Aに対して設定された、前記点灯信号の受信から電源ユニットb4~b4の電源ONまでの時間条件(以下、「電源ON条件」ともいう)に基づいて、それぞれ、電源ユニットb4~b4の電源をONとする。制御ユニットb2~b2は、電源ユニットb4~b4の電源をONできる装置であればよく、例えば、CPU、マイクロプロセッサ、マイコン等があげられる。前記電源ON条件は、閃光灯A~Aが、閃光灯Aから閃光灯A方向に向かって、所定間隔Tで順次点灯するような時間条件が好ましい。具体例として、制御ユニットb2の電源ON条件は、前記点灯信号の受信からT×n秒後に電源ユニットb4の電源をONにする時間条件である。前記所定間隔Tは、例えば、国際規格で規定された間隔であり、具体例として、約17ミリ秒である。前記所定間隔Tは、例えば、点灯制御部B~Bが同時に送信された点灯信号を受信するまでに生じるタイムラグを考慮して設定されてもよい。閃光灯A~AがLED灯であり、且つ前記点灯信号が閃光灯A~Aの点灯時間に関する信号および閃光灯A~Aの点灯を点灯時間後にOFFにする消灯信号の少なくとも一方の信号を含む場合、制御ユニットb2~b2は、前記点灯時間に関する信号または前記消灯信号に基づき、電源ユニットb4~b4の電源をOFFにすることが好ましい。本実施形態のシステム10は、電源ON条件を有することで、管制部Dから送信された前記点灯信号を受信後、点灯制御部B~Bの制御ユニットb2~b2の時間条件に基づき、閃光灯A~Aが点灯する。このため、管制部Dが各点灯制御部に対して別個に点灯信号を送信する必要が無いため、前記点灯制御部毎の通信配線の配線が不要となる。したがって、電源ON条件を有する本実施形態のシステム10によれば、前記点灯制御部毎に通信配線を配線する必要がなく、安価に設置できる。また、電源ON条件を有する本実施形態のシステム10は、例えば、既設の複数の通信配線のうち、1つの通信配線を全ての点灯制御部B~Bと接続することにより、既設の通信配線を利用しながら、その数を減らすことができ、例えば、1本の通信配線とすることも可能である。
【0037】
本実施形態のシステム10は、例えば、通信配線を有してもよい。この場合、本実施形態のシステム10は、前記通信配線は、前記管制部から前記点灯制御部に対して点灯信号を送信可能であり、且つ前記点灯制御部から前記管制部に対して、情報をフィードバック可能である双方向に通信可能な通信配線であり、前記複数の点灯制御部は、前記通信配線により、前記管制部と連結していることが好ましい。前記複数の点灯制御部は、例えば、同じ前記通信回線により、前記管制部と連結していることが好ましい。前記通信配線は、例えば、一対の通信配線でもよい。この場合、一方の通信配線は、前記管制部から前記点灯制御部に対して点灯信号を送信する入力用の前記通信配線であり、他方の通信配線は、前記点灯制御部から前記管制部に対して、情報をフィードバックする出力用の通信配線であり、前記複数の点灯制御部は、同じ前記出力用の通信配線により、前記管制部と連結していることが好ましい。前記一対の通信配線は、例えば、一方を、(+)線、他方を、(-)線ということもできる。前記入力用通信配線および前記出力用通信配線は、例えば、前述の通信配線の説明を援用できる。前記双方向に通信可能な通信配線または前記出力用配線を有することにより、例えば、後述する異常信号等の情報を管制部にフィードバックすることが可能となる。これにより、例えば、閃光灯A~Aおよび点灯制御部B~Bの状態等を監視することができ、適切な時期にメンテナンス等が可能となる。
【0038】
本実施形態のシステム10は、例えば、さらに、電源供給部と電源配線とを有し、前記複数の点灯制御部は、同じ前記電源配線により、前記電源供給部と連結されている。前記電源供給部は、例えば、前記電源配線を介して、前記閃光灯および前記点灯制御部に電力を供給できればよく、公知の電源が使用できる。前記電源配線は、特に制限されず、公知の電線を使用できる。前記電源配線の種類は、特に制限されず、配電方式により適宜決定でき、例えば、単相2線式、単相3線式、三相3線式等があげられ、配線が容易であり、また安価に設置できることから単相2線式が好ましい。また、既設の連鎖式閃光灯システムでは、主に、三相3線式の配電方式が使用されている。しかしながら、本実施形態のシステム10によれば、前述のように、本実施形態のシステム10に接続される前記電源供給部および前記電源配線への負荷を低減することができるため、本実施形態のシステム10は、例えば、単相2線式の配電方式でも使用可能である。
【0039】
本実施形態のシステム10は、例えば、管制部Dは、さらに、複数の点灯制御部B~Bに、通信配線Cを介して、同時に光度指定信号を送信し、点灯制御部B~Bの受信ユニットb1~b1は、前記光度指定信号を受信し、点灯制御部B~Bの制御ユニットb2~b2は、電源ユニットb4~b4の電源ON時の閃光灯A~Aの光度が、前記光度指定信号で指定された光度となるように、電源ユニットb4~b4の電源をONとし、点灯制御部B~Bの電源ユニットb4~b4は、電源ONで、対応する閃光灯A~Aを、前記光度指定信号で指定された光度となるように点灯させることが好ましい。前記光度指定信号により指定される電源ON時の閃光灯A~Aの光度は、例えば、電源ON後の閃光灯A~Aのピーク光度である。前記光度指定信号は、例えば、特定の光度の数値を指定する信号でもよいし、予め設定された光度を指定する信号でもよい。前記予め設定された光度は、特に制限されず、例えば、high点灯(例えば、6000~20000cd)、medium点灯(例えば、600~2000cd)、low点灯(例えば、100~450cd)等があげられる。このように、前記光度指定信号が予め設定された光度を指定する信号である場合、例えば、管制部Dから前記点灯信号が送信された場合には、閃光灯A~Aは、high点灯の光度で閃光を発し、管制部Dから前記光度指定信号が送信された場合には、閃光灯A~Aは、medium点灯またはlow点灯の光度で閃光を発するように設定してもよい。本実施形態のシステム10は、管制部Dが前記光度指定信号を送信できることにより、例えば、朝、昼、夕方、夜等の周囲の明るさが異なる状況に応じて、閃光灯A~Aの光度を適切な光度に調整でき、前記航空機のパイロットが閃光灯A~Aの閃光をより明確に認識できるようになる。
【0040】
本実施形態のシステム10において、例えば、複数の点灯制御部B~Bは、さらに、異常検知ユニットを有することが好ましい。この場合、点灯制御部B~Bの異常検知ユニットは、閃光灯A~A、受信ユニットb1~b1、制御ユニットb2~b2、起動ユニットb3~b3、および電源ユニットb4~b4からなる群から選択された少なくとも1つのユニットの異常を検出し、管制部Dに、前記通信配線を介して、異常信号を送信することが好ましい。前記通信配線が一対の通信配線の場合、異常検知ユニットは、例えば、管制部Dに前記出力用の通信配線を介して、異常信号を送信することが好ましい。前記異常検出ユニットは、例えば、閃光灯A~A、受信ユニットb1~b1、制御ユニットb2~b2、起動ユニットb3~b3、および電源ユニットb4~b4の種類に応じて、適宜決定でき、各ユニットの電圧値、電流値等の検知手段があげられる。前記異常検知ユニットは、例えば、異常が生じている閃光灯およびユニットをより容易に特定できることから、さらに、閃光灯A~Aのアドレス情報Iaまたは点灯制御部B~Bのアドレス情報Ibを送信してもよい。閃光灯A~Aおよび各ユニットの異常は、例えば、閃光灯A~Aおよび各ユニット自体の異常でもよいし、閃光灯A~Aおよび各ユニットと他のユニットとの接続の断線等の異常でもよい。通信配線Cが1本の場合、前記異常検知ユニットは、例えば、前記出力用通信配線に代えて、1本の通信配線Cを介して、異常信号を送信してもよい。前記異常検知ユニットを有することで、前記異常信号を管制部にフィードバックすることが可能となる。これにより、例えば、閃光灯A~Aおよび点灯制御部B~Bの異常を監視することができ、適切な時期にメンテナンス等が可能となる。
【0041】
本実施形態のシステム10は、例えば、閃光灯A~Aは、さらに、ヒータを有することが好ましい。前記ヒータは、特に制限されず、公知のヒータが使用できる。本実施形態のシステム10の閃光灯A~Aがヒータを有する場合、本実施形態のシステム10は、閃光灯A~Aごとに対応する、各閃光灯A~Aのヒータを制御するヒータ制御部を有し、前記ヒータ制御部は、ヒータ受信ユニットと、ヒータ制御ユニットと、ヒータ電源ユニットとを有し、同じ前記通信配線により、管制部Dと連結され、管制部Dは、前記複数のヒータ制御部に、前記通信配線を介して、同時に加温信号を送信し、前記ヒータ制御部のヒータ受信ユニットは、前記加温信号を受信し、前記ヒータ制御部のヒータ制御ユニットは、前記ヒータ電源ユニットの電源をONとし、前記ヒータ制御部のヒータ電源ユニットは、電源ONで、対応する閃光灯A~Aのヒータを加温させることが好ましい。前記ヒータ受信ユニット、前記ヒータ制御ユニット、および前記ヒータ電源ユニットの具体例は、例えば、それぞれ、受信ユニットb1~b1、制御ユニットb2~b2、および電源ユニットb4~b4の具体例の説明を援用できる。受信ユニットb1~b1、制御ユニットb2~b2、および電源ユニットb4~b4におけるいずれか1つまたは2つ以上のユニットが、例えば、それぞれ、前記ヒータ受信ユニット、前記ヒータ制御ユニット、および前記ヒータ電源ユニットの機能を兼ねてもよい。また、通信配線Cが、前記加温信号を送信する通信配線を兼ねてもよい。閃光灯A~Aがヒータを有することで、例えば、降雪または凍結がある寒冷地等においても、閃光灯A~A上の雪および氷を溶かすことができる。このため、例えば、閃光灯A~Aの光度の低下を抑制でき、前記航空機のパイロットが閃光灯A~Aの閃光をより明確に認識できるようになる。
【0042】
本実施形態のシステム10において、例えば、管制部Dは、前記起動信号における1ビットの情報を所定パルス信号幅で送信する。前記所定パルス信号幅は、例えば、0.1~499.9ミリ秒である。具体例として、前記起動信号が256ビットの情報であり、前記1つまたは複数の信号として送信される場合、管制部Dは、1回目の1ビットの情報を送信後、例えば、残部の255ビットの情報を1ビット単位で、所定間隔で送信する。前記所定間隔は、例えば、0.2~1.95ミリ秒である。前記所定間隔は、例えば、前記起動信号のn番目の1ビットの情報の送信時を基準として、前記起動信号のn+1番目の1ビットの情報を送信するまでの時間である。前記所定間隔は、一定であることが好ましい。各間隔において、1ビットの情報を送信している信号幅(パルス幅)の占める割合は、特に制限されない。前記割合は、例えば、50~90%である。また、管制部Dは、前記起動信号に加えて、または代えて、前記点灯信号における1ビットの情報を所定パルス信号幅で送信してもよい。本実施形態のシステム10が光度を指定できる場合、管制部Dは、前記起動信号に加えて、または代えて、前記光度指定信号における1ビットの情報を所定パルス信号幅で送信してもよい。本実施形態のシステム10が前記ヒータを含む場合、管制部Dは、前記起動信号に加えて、または代えて、前記加温信号における1ビットの情報を所定パルス信号幅で送信してもよい。さらに、本実施形態のシステム10が前記異常検知ユニットを含む場合、管制部Dは、さらに、前記異常検知ユニットから送信される異常信号における1ビットの情報を所定パルス信号幅で受信してもよい。この場合、前記異常検知ユニットが、前記異常信号における1ビットの情報を所定パルス信号幅で送信するということもできる。前記点灯信号、前記光度指定信号、前記加温信号および前記異常信号における所定パルス信号幅は、例えば、「起動信号」を、「点灯信号」、「光度指定信号」、「加温信号」または「異常信号」に読み替えて、前述の起動信号の所定パルス信号幅の説明を援用できる。このように、管制部Dが各信号の1ビットの情報を所定パルス信号幅で送信または受信することにより、例えば、サージ等で各信号にノイズが混入したとしても、前記ノイズの影響を低減できる。このため、各信号における1ビットの情報を所定パルス信号幅で送信または受信する管制部Dを含むシステム10は、例えば、耐ノイズ性および信号の劣化防止に優れるため、通信回線Cとして、光ファイバ通信ケーブルでない通信回線およびシールド線を含まない通信回線、すなわち既設の通信回線も使用可能である。また、各間隔において、前記信号幅の占める割合を前述の割合とすることにより、例えば、耐ノイズ性をさらに向上でき、且つ各信号の劣化をさらに防止できる。
【0043】
[実施形態2]
実施形態2は、さらに、前記一対の通信配線、前記電源供給部、前記電源配線および前記異常検知ユニットを含む連鎖式閃光灯システムの別の例である。図2に、本実施形態の連鎖式閃光灯システム20の構成の一例を示す。図2に示すように、本実施形態のシステム20は、前記実施形態1のシステム10において、通信配線Cに代えて、一対の通信配線Cを有し、一対の通信配線Cは、入力用通信配線C1および出力用通信配線C2を有し、点灯制御部B~Bが異常検知ユニットb5~b5を有する。また、点灯制御部B~Bは、同じ入力用通信配線C1および同じ出力用通信配線C2により、管制部Dと接続している。さらに、本実施形態のシステム20は、さらに、電源配線Eおよび電源供給部Fを有し、複数の点灯制御部は、同じ電源配線Eにより、電気供給部Fと連結されている。そして、本実施形態のシステム20は、点灯制御部B~Bの制御ユニットb2~b2が、起動ユニットb3~b3の起動状態において、対応する閃光灯A~Aに対して設定された、前記点灯信号の受信から電源ユニットb4~b4の電源ONまでの時間条件に基づいて、電源ユニットb4~b4の電源をONとし、且つ管制部Dが複数の点灯制御部B~Bに、入力用通信配線C1を介して、同時に前記点灯信号を送信する。この点を除き、本実施形態のシステム20は、前記実施形態1のシステム10の構成と同様であり、その説明を援用できる。
【0044】
本実施形態のシステム20において、通信配線Cは、入力用通信配線C1および出力用通信配線C2を含むが、本実施形態のシステム20において、通信配線Cは、1本でもよい。この場合、通信配線Cは、例えば、双方向に通信可能な通信配線である。
【0045】
つぎに、本実施形態のシステム20を用いた閃光灯A~Aの点灯方法について説明する。
【0046】
まず、実施形態1のシステム10と同様にして、管制部Dが、前記起動信号を送信し、点灯制御部B~Bにおいて、制御ユニットb2が、起動信号の受信からT×n秒後に起動ユニットb3を起動することにより、起動ユニットb3~b3を順次起動する。
【0047】
つぎに、管制部Dは、複数の点灯制御部B~Bに、通信配線Cを介して、同時に前記点灯信号を送信する。管制部Dの前記点灯信号の送信回数は、1回でもよいし、複数回でもよいが、後者が好ましい。後者の場合、管制部Dは、例えば、管制官等のユーザから指定された時間の間、所定間隔Tで前記点灯信号を繰り返し送信することが好ましい。前記所定間隔Tは、例えば、約500ミリ秒である。
【0048】
そして、点灯制御部B~Bの受信ユニットb1~b1が、管制部Dが送信した前記点灯信号を受信する。すると、制御ユニットb2~b2が、対応する閃光灯A~Aに対して設定された、前記点灯信号の受信から電源ユニットb4~b4の電源ONまでの時間条件に基づいて、電源ユニットb4~b4の電源をONとする。そして、電源ユニットb4~b4は、電源ONで、対応する閃光灯A~Aを点灯させる。具体例として、制御ユニットb2の時間条件が前記点灯信号の受信からT×n秒後に電源ユニットb4の電源をONにする時間条件であり、前記所定時間Tが約17ミリ秒である場合、閃光灯A、A、・・・、Aは、前記点灯信号の受信後、それぞれ、約17ミリ秒後、約34ミリ秒後、・・・、約17×nミリ秒後に点灯する。そして、閃光灯A~Aは、前記滑走路の進入口端を基準として、前記航空機の進入方向と逆方向側端に閃光灯Aが配置され、前記滑走路の進入口側端にAが配置されるように、直線状に配置されている。このため、前記航空機のパイロットから閃光灯A~Aを見た場合、前記航空機の進入方向(矢印AD方向)に沿って、約17ミリ秒間隔で、閃光灯A~Aが順次点灯していく。
【0049】
以上のように、本実施形態のシステム20によれば、起動ユニットb3~b3の起動状態において、管制部Dから送信された前記点灯信号を受信後、点灯制御部B~Bの制御ユニットb2~b2の時間条件に基づき、閃光灯A~Aが点灯する。このため、既設の連鎖式閃光灯システムでは、前記管制部が各点灯制御部に対して別個に点灯信号を送信するため、前記点灯制御部毎に通信配線を配線していたが、本実施形態のシステム20によれば、前記点灯制御部毎に通信配線を配線する必要がなく、さらに安価に設置できる。また、本実施形態のシステム20は、例えば、既設の複数の通信配線のうち、1つの通信配線を全ての点灯制御部B~Bと接続することにより、既設の通信配線を利用しながら、その数を減らすことができ、例えば、1本の通信配線とすることも可能である。
【0050】
また、本実施形態のシステム20において、異常検知ユニットb5~b5は、例えば、前記点灯信号を未送信の状態における閃光灯A~A、受信ユニットb1~b1、制御ユニットb2~b2、起動ユニットb3~b3、および電源ユニットb4~b4からなる群から選択された少なくとも1つのユニットの異常を検出してもよい。このように、前記点灯信号を未送信の状態における異常を検知することで、例えば、閃光灯A~Aの使用前に、閃光灯A~A、点灯制御部B~B等の交換が可能になる。このため、本実施形態のシステム20によれば、メンテナンス性が向上する。
【0051】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、電源配線および電源への負荷を軽減可能な連鎖式閃光灯システムを提供できる。このため、本発明は、例えば、航空分野等において極めて有用である。
【符号の説明】
【0053】
10、20 連鎖式閃光灯システム
、A、A 閃光灯
AD 進入方向
、B、B 点灯制御部
b1、b1、b1 受信ユニット
b2、b2、b2 制御ユニット
b3、b3、b3 起動ユニット
b4、b4、b4 電源ユニット
b5、b5、b5 異常検知ユニット
C 通信配線
C1 入力用通信配線
C2 出力用通信配線
D 管制部
E 電源配線
F 電源供給部
図1
図2