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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】時計軸受
(51)【国際特許分類】
   G04B 31/00 20060101AFI20230607BHJP
   G04B 5/18 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 33/66 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 33/62 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 33/41 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 19/16 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 33/44 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 33/32 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 33/34 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 33/36 20060101ALI20230607BHJP
   F16C 33/46 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
G04B31/00 Z
G04B5/18
F16C33/66 Z
F16C33/62
F16C33/41
F16C19/16
F16C19/36
F16C33/44
F16C33/32
F16C33/34
F16C33/36
F16C33/46
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018178313
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2019070642
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】17192975.5
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル フェーブル, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ミレー, フローレン
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-342865(JP,A)
【文献】特開2006-316933(JP,A)
【文献】特開2017-150593(JP,A)
【文献】特開2015-086940(JP,A)
【文献】EN_28v,Horotech,2016年,1-22,URL:http://horotec.ch/file/EN_28v.pdf
【文献】Huiles d'horlogerie synthetiques LRCB,Laboratoires de Recherche et de Chimie Bienne,2015年,URL:http://www.lrcb.ch/produits/lubrifiants/presentation_lubrifiants.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 31/00
G04B 5/18
G01D 11/02
F16C 19/00-19/56
F16C 33/30-33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受(1)用の回転体(2)を分離するためのケージ(5)であって、前記ケージは、回転体を受けるための第1開口(50)と、軸受リングと接触することが意図され、少なくとも1つの空洞構成(52)を有する少なくとも1つの第1接触区域(56)とを有し、
前記ケージは、実質的に平坦な環状形状を有し、
前記ケージは、前記軸受リングと接触可能な前記ケージの表面(A)の面積が、前記ケージの前記軸受リングと接触可能な表面(A)を備える面の全体の表面(B)の面積の0.4倍より少なくなるよう配置され、
前記軸受リングと前記ケージとの接触面付近に潤滑油が収納される、
ケージ。
【請求項2】
軸受(1)用の回転体(2)を分離するためのケージ(5)であって、前記ケージは、回転体を受けるための第1開口(50)と、軸受リングと接触することが意図され、少なくとも1つの空洞構成(52)を有する少なくとも1つの第1接触区域(56)とを有し、
前記ケージは、実質的に円筒形状を有し、
前記ケージは、前記軸受リングと接触可能な前記ケージの表面(A)の面積が、前記ケージの前記軸受リングと接触可能な表面(A)を備える面の全体の表面(B)の面積の0.4倍より少なくなるよう配置され、
前記ケージは、前記円筒の一方の軸方向端部に前記第1開口(50)を形成する切欠が設けられ、前記円筒の他方の軸方向端部に空洞構造が設けられる、
ケージ。
【請求項3】
前記ケージは、第1縁部(58)と第2縁部(59)とを含み、前記第1開口は、前記第1縁部または前記第2縁部上に出現する開口であり、及びまたは前記少なくとも1つの空洞構成は、前記ケージの厚み(57)を通過する少なくとも1つの第2開口を含む、
請求項1に記載のケージ。
【請求項4】
記第1縁部は外縁であり、前記第2縁部は内縁である
求項3に記載のケージ。
【請求項5】
前記ケージは、それぞれ2つの隣接する前記1開口の間に配置される、複数の空洞構成を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載のケージ。
【請求項6】
前記接触区域(56)は、少なくとも1つの第1突起構成(55)を含み、前記第1突起構成の上端(551)は、ケージ-軸受リングインターフェースの一部を構成る、
請求項1から5のいずれか一項に記載のケージ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1突起構成は、円形または実質的に円形のリブを含む、及びまたは前記少なくとも1つの第1突起構成は、一組のボスを含む、
請求項6に記載のケージ。
【請求項8】
第1リング(4)と、第2リング(3)と、回転体(2)と、前記回転体を分離するためのケージとを含む軸受(1)であって、
前記ケージは、実質的に平坦な環状形状を有し
前記ケージと前記第1及び第2リングは、前記第1リング又は前記第2リングと接触可能な前記ケージの表面(A)の面積が、前記ケージの前記第1リング又は前記第2リングと接触可能な表面(A)を備える面の全体の表面(B)の面積の0.4倍より少なくなるよう配置され、
前記第1リング又は前記第2リングと前記ケージとの接触面付近に潤滑油が収納される、
軸受
【請求項9】
第1リング(4)と、第2リング(3)と、回転体(2)と、前記回転体を分離するためのケージとを含む軸受(1)であって、
前記ケージは、実質的に円筒形状を有し
前記ケージと前記第1及び第2リングは、前記第1リング又は前記第2リングと接触可能な前記ケージの表面(A)の面積が、前記ケージの前記第1リング又は前記第2リングと接触可能な表面(A)を備える面の全体の表面(B)の面積の0.4倍より少なくなるよう配置され、
前記ケージは、前記円筒の一方の軸方向端部に切欠が設けられ、前記円筒の他方の軸方向端部に空洞構造が設けられる、
軸受。
【請求項10】
前記第1及び第2リングの一方の表面は、ケージ-リングインターフェースの一部を構成する、少なくとも1つの第2空洞構成(42a;42b)及びまたは少なくとも1つの第2突起構成(41a;41b)を有する、少なくとも1つの第2接触区域(49)を含む
請求項8または9に記載の軸受。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第2突起構成は、円形または実質的に円形のリブを含み、及びまたは前記少なくとも1つの第2突起構成は、一組のボスを含む、
請求項10に記載の軸受。
【請求項12】
前記軸受は、前記第1リング及びまたは前記第2リング及びまたは回転体の少なくとも1つの表面が潤滑油により被覆され、及びまたは前記第1リングは、第1環状要素(4a)及び第2環状要素(4b)を含み、前記第1及び第2環状要素は、両者が組み立てられた際に、前記ケージを収容するための溝(48)を提供するよう成形される、及びまたは前記回転体は、ボールまたは針またはローラーであり、及びまたは前記回転体は、セラミック製である、
請求項から11のいずれか一項に記載の軸受。
【請求項13】
請求項から12のいずれか一項に記載の軸受または請求項1からのいずれか一項に記載のケージを含む、時計機構(200)。
【請求項14】
請求項1からのいずれか一項に記載のケージまたは請求項から12のいずれか一項に記載の軸受または請求項13に記載の機構を含む、時計ムーブメント(300)。
【請求項15】
請求項14に記載のムーブメントまたは請求項1からのいずれか一項に記載のケージまたは請求項から12のいずれか一項に記載の軸受または請求項13に記載の機構を含む、時計(400)。
【請求項16】
時計軸受または時計機構または時計ムーブメントまたは時計の製造方法であって、
請求項から12のいずれか一項に記載の軸受を提供するステップと、
前記第1リング及びまたは前記第2リング及びまたは回転体の少なくとも1つの表面上に、潤滑油を塗布するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記潤滑油は、噴射または非接触吹付により塗布される、
請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受の回転体を分離するためのケージ、または軸受用の回転体を分離するためのケージに関する。本発明はまた、軸受、特に当該ケージを含む軸受に関する。本発明は更に、当該軸受または当該ケージを含む時計機構に関する。本発明はまた、当該ムーブメントまたは当該軸受または当該ケージを含む時計ムーブメントに関する。本発明は更に、当該ムーブメントまたは当該機構または当該軸受または当該ケージを含む、時計に関する。本発明はまた、当該軸受または当該機構または当該ムーブメントまたは当該時計の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軸受、具体的には玉軸受は、時計製造業界で、特に自動巻上げムーブメントの回転錘といった可動要素の旋回を実行するために、現在使用されている。実際、軸受の利点は、著しい軸方向及びまたは半径方向負荷を支持しつつ、当該可動要素の正確な位置決めを提供しつつ、最低限の摩擦で可動要素の高速回転を可能にすることである。
【0003】
特許文献1は、従来技術からその構造が周知の、4つの接点を有する玉軸受を開示する。当該軸受は、ケージ内に配置された所定数のボールを含み、ボールは互いに固定された2つのワッシャで形成される外輪と内輪の間に配置される。当該文献の教示内容によれば、時計軸受に潤滑油を注すことは、一方では潤滑油の適切量を制御することの困難さと、他方では、当該軸受の性能の低下に関して、各種問題を引き起こす。当該文献は、潤滑を必要としない軸受を提案するために、酸化ジルコニウムセラミック製のボールの採用を提案する。
【0004】
特許文献2は、特許文献1の軸受の構造に類似の玉軸受構造を開示する。当該文献は、外周の近傍に切欠きが設けられた、円形王冠形状を有するケージを開示し、当該切欠きはボールを受けるために設けられる。特許文献1の明細書の単独の図面のように、特許文献2は、軸受のケージと内輪との間の接触面または潜在的な接触面を開示する。
【0005】
特許文献3は、特許文献1及び特許文献2の軸受と若干異なる、2つのワッシャで形成される一体の内輪及び外輪を有する構造の玉軸受を開示する。この場合、ケージは、内周近傍に切欠きが設けられた、円形王冠形状であり、当該切欠きは、ボールを受けるために設けられる。当該文献はまた、軸受のケージと外輪との間の接触面または潜在的な接触面を開示する。
【0006】
特許文献4は、玉軸受の代替的構造に関する。当該文献は、その間に空洞の円筒形状のケージが配置される一体の内輪と外輪を採用する。当該ケージは、その軸方向端部の一つの近傍に切欠きが設けられ、当該切欠きは、ボールを受けるために設けられる。このようなころ軸受の従来の動作において、ケージと輪との、特に内輪との間に遊びが依然として存在する。しかしながら、衝撃があった場合、ケージと2つの輪の一方と、特に内輪との間に接触を引き起こしかねない。前述の構造同様、軸受のケージと内または外輪との間に、潜在的な接触面が存在する。
【0007】
更に、ケージが存在しない玉軸受も存在する。例として、製造業者MPSは、商業上「Myrox14」として知られる「総玉軸受」を提案する。当該軸受は、酸化ジルコニウム型のセラミック製の内及び外輪から形成され、同じ素材製のボールを含む。
【0008】
時計用軸受は、上述の欠点が存在するため、潤滑油を注してはならないと、各種文献において記載される。
【0009】
しかしながら、出願人による研究によって、潤滑油無しの軸受の動作音は、出願人の性能基準を充足しないことが明らかになった。実際、軸受の動作は、特に新品のまたは動作を数年継続した後に、当該軸受を組み込んだ腕時計の時計工または装着者であっても聞くことができる騒音を発する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】欧州特許出願公開第1520111号明細書
【文献】スイス国特許出願公開第709348号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2787234号明細書
【文献】スイス国特許出願公開第711020号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、上述の欠点の克服と、引例から既知の装置の向上を可能とする、軸受の回転体を分離するためのケージ、または軸受に関する。特に、本発明は、分離ケージが設けられても設けられなくても良い軸受であって、静かで経時的性能が一定に維持される軸受を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第一の態様によれば、軸受用ケージは、以下の定義で決定される。
【0013】
1. 軸受用の、特に時計軸受用の回転体を分離するためのケージであって、前記ケージは、前記回転体を受けるための第1開口と、軸受リングと接触することが意図され、少なくとも1つの空洞構成を有する少なくとも1つの第1接触区域とを有する、ケージ。
【0014】
2. 前記ケージは、実質的に平坦な環状形状を有する、または前記ケージは実質的に円筒形状を有する、定義1に記載のケージ。
【0015】
3. 前記ケージは、第1縁部と第2縁部とを含み、前記第1開口は、前記第1縁部または前記第2縁部に出現する開口であり、及びまたは前記少なくとも1つの空洞構成は、前記ケージの厚みを通過する少なくとも1つの第2開口を含む、定義1または2に記載のケージ。
【0016】
4. 前記ケージは、実質的に平坦な環状形状を有し、前記第1縁部は外縁であり、前記第2縁部は内縁である、または前記ケージは、実質的に円筒形状を有し、前記第1縁部は、第1端部の縁であり、前記第2縁部は、第2端部の縁である、定義3に記載のケージ。
【0017】
5. 前記ケージは、それぞれ2つの第1隣接開口の間に配置される、複数の空洞構成を、特に複数の第2開口を含む、定義1から4のいずれか1つに記載のケージ。
【0018】
6. 前記接触区域は、少なくとも1つの第1突起構成を含み、その上端は、ケージ-軸受リングインターフェースに参加することが意図される、定義1から5のいずれか1つに記載のケージ。
【0019】
7. 前記少なくとも1つの第1突起構成は、円形または実質的に円形のリブを含む、及びまたは前記少なくとも1つの第1突起構成は、一組のボス、特に少なくとも3つのボス、具体的には前記ケージの軸に対して、円形または実質的に円形に配置された少なくとも3つのボス、及びまたは一定または実質的に一定の角度間隔で配置された少なくとも3つのボスを含む、定義6に記載のケージ。
【0020】
8. 前記ケージは、軸受リングと接触可能な前記ケージの表面の面積が、
前記ケージが平坦な環状ケージの場合、前記ケージの軸に、特に前記ケージの回転対称の軸に沿った前記ケージの直交突起、または
前記ケージが円筒ケージの場合、前記ケージの表面を定義し、前記ケージの2つの端部縁間に含まれる前記円筒の前記直径に等しい直径を有する円筒の円筒表面、
の面積の0.6倍または0.5倍または0.45倍または0.4倍または0.3倍より少なくなるよう配置された、定義1から7のいずれか1つに記載のケージ。
【0021】
本発明の第一の態様によれば、軸受は、以下の定義で判断される。
【0022】
9. 第1リング、特に内輪と、第2リング、特に外輪と、回転体と、回転体を分離するためのケージ、特に定義1から8のいずれか1つに記載の分離ケージとを含む軸受、特に時計軸受であって、前記ケージと前記第1及び第2リングは、前記リングと接触可能な前記ケージの表面の面積が、
前記ケージが平坦な環状ケージの場合、前記軸受の軸に沿ったケージの直交突起、または
前記ケージが円筒ケージの場合、前記ケージの表面を定義し、前記ケージの2つの端部縁間に含まれる前記円筒の前記直径に等しい直径を有する円筒の円筒表面
の面積の0.6倍または0.5倍または0.45倍または0.4倍または0.3倍より少なくなるよう配置される、軸受。
【0023】
10. 前記第1及び第2リングの一方の表面は、その上端がケージ-リングインターフェースに参加する、少なくとも1つの第2空洞構成及びまたは少なくとも1つの第2突起構成を有する、少なくとも1つの第2接触区域を含む、定義9に記載の軸受。
【0024】
11. 前記少なくとも1つの第2突起構成は、円形または実質的に円形のリブを含み、及びまたは前記少なくとも1つの第2突起構成は、一組のボス、特に少なくとも3つのボス、具体的には前記軸受の軸に対して、円形または実質的に円形に配置された少なくとも3つのボス、及びまたは一定または実質的に一定の角度間隔で配置された少なくとも3つのボスを含む、定義10に記載の軸受。
【0025】
12. 前記軸受は、前記第1リング及びまたは前記第2リング及びまたは回転体の少なくとも1つの表面が潤滑油に、特に20℃の温度での動粘度が8から15Stの間、具体的には10Stに等しいまたは10Stにほぼ等しい潤滑油より被覆され、及びまたは前記第1リングは、第1環状要素及び第2環状要素を含み、前記第1及び第2環状要素は、両者が組み立てられた際に、前記ケージを収容するための溝を提供するよう成形される、及びまたは前記回転体は、ボールまたは針またはローラー、特に円筒状またはテーパーローラーであり、及びまたは前記回転体は、セラミック製、特に酸化ジルコニウム製または窒化ケイ素製である、定義9から11のいずれか1つに記載の軸受。
【0026】
本発明の第一の態様によれば、機構は以下の定義で決定される。
【0027】
13. 定義9から12のいずれか1つに記載の軸受または定義1から8のいずれか1つに記載のケージを含む、時計機構、特に回転錘装置または自動巻上げ装置。
【0028】
本発明の第1の態様によれば、ムーブメントは以下の定義で決定される。
【0029】
14. 定義1から8のいずれか1つに記載のケージまたは定義9から12のいずれか1つに記載の軸受または定義13に記載の機構を含む、時計ムーブメント。
【0030】
本発明の第1の態様によれば、時計は以下の定義で決定される。
【0031】
15. 定義14に記載のムーブメントまたは定義1から8のいずれか1つに記載のケージまたは定義9から12のいずれか1つに記載の軸受または定義13に記載の機構を含む、時計、特に腕時計。
【0032】
本発明の第1の態様によれば、方法は以下の定義で決定される。
【0033】
16. 時計軸受または時計機構または時計ムーブメントまたは時計の製造方法であって、
定義9から12のいずれか1つに記載の軸受を提供するステップと、
前記第1リング及びまたは前記第2リング及びまたは回転体の少なくとも1つの表面上に、潤滑油を、特に20℃の温度での動粘度が8から15Stの間、具体的には10Stに等しいまたは10Stに実質的に等しい潤滑油を塗布するステップと、
を含む、方法。
【0034】
17. 前記潤滑油は、噴射または非接触吹付により塗布される、
定義16に記載の方法。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、軸受は以下の定義で決定される。
【0036】
18. 第1リング、特に内輪と、第2リング、特に外輪と、回転体とを含む、時計軸受であって、前記軸受は、潤滑油で被覆される、前記内輪の及びまたは前記外輪の及びまたは回転体の少なくとも1つの表面を含む、時計軸受。
【0037】
19. 20℃の温度での潤滑油の動粘度は、8から15Stの間、具体的には10Stに等しいまたは10Stにほぼ等しい、定義18にかかる軸受。
【0038】
20. 前記軸受は、回転体を分離するためのケージを含まない、または前記軸受は一体型回転体の型、特に総玉軸受型である、または前記回転体は互いに接触可能である、定義18または19に記載の軸受。
【0039】
21. 前記第1リングは第1環状要素と第2環状要素とを含み、前記第1及び第2環状要素は、両者が組み立てられた際に、前記ケージを収容するための溝を提供するよう成形される、定義18から20のいずれか一つに記載の軸受。
【0040】
22. 前記回転体は、ボールまたは針またはローラー、特に円筒状またはテーパーローラーである、定義18から21のいずれか一つに記載の軸受。
【0041】
23. 前記回転体は、
セラミック、特に酸化ジルコニウムまたは窒化ケイ素、または
鋼、とりわけCrを含む低合金鉄、例えば100Cr6(DIN1.3505)または100CrMo7-3(DIN1.3536)といった軸受鋼、または
ニチノールといった超弾性合金
製である、定義18から22のいずれか一つに記載の軸受。
【0042】
24. 前記第1リングは鋼またはステンレス鋼、例えば4C27A(DIN1.4197)製、またはニチノールといった超弾性合金製である、及びまたは前記第2リングは鋼またはステンレス鋼、例えば4C27A製、またはニチノールといった超弾性合金製である、定義18から23のいずれか一つに記載の軸受。
【0043】
25. 前記軸受は、25から35個の回転体またはボール、特に27または28または29または30個の回転体またはボールを含む、定義18から24のいずれか一つに記載の軸受。
【0044】
26. 前記ボールは、リングに接線の遊びまたは間隙を有して搭載され、前記遊びは例えば前記ボールの前記半径よりも高いまたは前記ボールの前記半径と等しい、及びまたは前記遊びは例えば前記ボールの前記直径よりも低いまたは前記ボールの前記直径と等しい、定義18から25のいずれか一つに記載の軸受。
【0045】
本発明の第2の態様によれば、機構は以下の定義で決定される。
【0046】
27. 定義18から26のいずれか一つに記載の軸受を含む、時計機構、特に回転錘装置または自動巻上げ装置。
【0047】
28. 前記静的トルクが120μNmまたは180μNmまたは220μNmまたは250μNm以上の回転錘、及びまたは重さが2gまたは3gまたは4gより大きい回転錘を含む、定義27に記載の時計機構。
【0048】
本発明の第2の態様によれば、ムーブメントは以下の定義で決定される。
【0049】
29. 定義18から26のいずれか一つに記載の軸受または定義27または28に記載の機構を含む、時計ムーブメント。
【0050】
本発明の第2の態様によれば、時計は以下の定義で決定される。
【0051】
30. 定義29に記載のムーブメントまたは定義18から26のいずれか一つに記載の軸受または定義27または28に記載の機構を含む、時計、特に腕時計。
【0052】
本発明の第2の態様によれば、方法は以下の定義で決定される。
【0053】
31. 時計軸受または時計機構または時計ムーブメントまたは時計の製造方法であって、
第1リング、特に内輪と、第2リング、特に外輪と、回転体を含む軸受を提供するステップと、
前記第1リング及びまたは前記第2リング及びまたは回転体の少なくとも1つの表面上に潤滑油を塗布するステップと、
を含む、方法。
【0054】
32. 20℃の温度での前記潤滑油の動粘度は、8から15Stの間、具体的には10Stに等しいまたは10Stに実質的に等しい、定義31に記載の方法。
【0055】
33. 前記潤滑油は、噴射または非接触吹付により塗布される、定義31または32に記載の方法。
【0056】
論理的不適合または技術的不適合を除き、第1及び第2態様の全ての特徴を互いに組み合わせることが可能である。
【0057】
添付の図面は、例として、本発明にかかる時計の2つの実施形態を示す。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、時計の第1実施形態の第1変形例を示す図である。
図2図2は、時計の第1実施形態の第1変形例を示す図である。
図3図3は、時計の第1実施形態の第1変形例を示す図である。
図4図4は、時計の第1実施形態の第2変形例のケージを示す図である。
図5図5は、時計の第1実施形態の第4変形例を示す図である。
図6図6は、時計の第1実施形態の第4変形例を示す図である。
図7図7は、時計の第1実施形態の第5変形例を示す図である。
図8図8は、時計の第2実施形態を示す図である。
図9図9は、時計の第2実施形態を示す図である。
図10図10は、図1に記載のX-X面での、ケージの変形例の断面図である。
図11図11は、図1に記載のX-X面での、ケージの変形例の断面図である。
図12図12は、図1に記載のX-X面での、ケージの変形例の断面図である。
図13図13は、第1実施形態の第1変形例のケージの表面Bの図である。
図14図14は、第1実施形態の第1変形例のケージの表面Aの図である。
図15図15は、図11の変形例のケージの表面Bの図である。
図16図16は、図11の変形例のケージの表面Aの図である。
図17図17は、図12の変形例のケージの表面Bの図である。
図18図18は、図12の変形例のケージの表面Aの図である。
図19図19は、第1実施形態の第2変形例のケージの表面Bの図である。
図20図20は、第1実施形態の第2変形例のケージの表面Aの図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
時計400の第1実施形態の第1変形例を、図1から3を参照して以下に説明する。時計は、例えば小型時計であり、特に腕時計、具体的には自動式腕時計である。
【0060】
時計は時計ムーブメント300を、特に機械式ムーブメントを、具体的には自動式ムーブメントを含む。
【0061】
ムーブメントは、時計機構200を含む。当該機構は、例えば、自動巻上げ装置の回転錘装置、または自動巻上げ装置であってもよい。機構は、軸受を含む。軸受は、フレーム91上で、軸A1周りに回転錘を案内するために用いられてもよい。
【0062】
軸受1は、例えば、時計軸受、具体的には時計玉軸受である。軸受は、第1リング4、具体的には内輪、第2リング3、具体的は外輪、回転体2、具体的にはボール、及び回転体を分離するためのケージ5を含む。
【0063】
リング4の一方は、時計ムーブメントのフレームに固定されるために設けられてもよい。リング4は、リングのフレームへの組付けを可能にする構成40を含んでもよい。好ましくは、他のリング3は、ムーブメントの機構へ接続するための、少なくとも1つの手段30を有する。当該手段は、例えば歯30であってもよい。ムーブメントの機構は、例えば自動式巻上げ機構であってもよい。このため、リング3は更に、回転錘92を受けるための表面90を含んでもよい。
【0064】
軸受は、軸A1を有し、軸A1周りを第1または第2リングが回転体を用いて回転案内される。第1及び第2リングは、それぞれ、回転体を保持するために設けられる、軸受軌道を有する。
【0065】
軸受は、分離ケージ5内に配置される所定の数の回転体2を含む。分離ケージは、外輪3と内輪4との間に配置される。
【0066】
第1及び第2リングの一方、例えば内輪は、例えば互いに固定されたまたは単に弾性的に互いに引き寄せられた、2つの環状要素またはワッシャ4a、4bで形成される。第1及び第2環状要素は、両者が回転体の形状または第1及び第2環状要素間に設けられたスペーサの形状で定義される位置へ組み立てられるまたは互いに引き寄せられるときに、ケージを収容するための溝48が設けられるように成形される。
【0067】
回転体2を分離するためのケージ5は、回転体を受けるための第1開口50と、軸受リングと接触することが意図され、少なくとも1つの空洞構成52を有する、少なくとも1つの第1接触区域56とを含む。リングは、ケージの一部を形成しない。
【0068】
第1接触区域は、好ましくは、軸受の第1及び第2リングの一方と、特に軸受の第1及び第2リングの一方の第2接触区域49と接触することが意図される、環状区域である。
【0069】
ケージは好ましくは、軸受のリングの一方及びまたは他方上の2つの第2接触区域と接触することが意図される、少なくとも2つの第1接触区域56を含む。少なくとも1つの第1空洞構成52は、第1及び第2接触区域間のあらゆる接触を制限することを可能にする。
【0070】
ケージの目的は、2つの連続する回転体間の直接の接触を防止するために、回転体を分離することである。換言すれば、ケージ5は、具体的には第1及び第2リングが互いに対して相対移動するときに2つの連続する回転体間で分離が維持される方向に保持するための、または具体的には第1及び第2リングが互いに対して相対移動するときに回転体が互いに対してその位置に保たれるように回転体を保持するための、ケージである。
【0071】
第1実施形態の第1変形例において、ケージは、平坦または一般的に平坦な円形の王冠である。
【0072】
ケージは、第1縁部58と第2縁部59とを含む。第1縁部58は有利には円形である。第1縁部58は、好ましくは軸A1に中心を取るまたは実質的に中心を取る。第2縁部59は有利には円形である。第2縁部59は好ましくは軸A1に中心を取るまたは実質的に中心を取る、及びまたは好ましくは第1縁部と同心または実質的に同心である。軸A1は、好ましくはケージの回転または実質的な回転対称軸である。
【0073】
第1開口50は、第1縁部58または第2縁部59に出現する開口である。第1実施形態の第1変形例において、第1開口は、ケージの外側縁部である、第1縁部に出現する。
【0074】
少なくとも1つの空洞構成52は、図示の変形例において、図10に示すように、ケージの厚み57を通過する少なくとも1つの第2開口52である。
【0075】
更に、第2開口52は、第2縁部または第1縁部上に出現する。第1実施形態の第1変形例において、第2開口は、ケージの内側の縁部である第2縁部上に出現する。しかしながら、特に中心の、円形または実質的に円形の開口であって軸A1に中心を取る、王冠形状を形成する中央開口60は、第2開口を形成しない。第2開口は、第1縁部及び第2縁部で制限される王冠内に形成される。
【0076】
好ましくは、ケージは複数の第2開口52を含んでもよい。更に好ましくは、第2開口52のそれぞれは、2つの第1隣接開口の間に配置されてもよい。
【0077】
代替的に、第1開口及びまたは1以上の第2開口は、第1及び第2縁部の一方及びまたは他方に出現しなくてもよい。
【0078】
実務上、第1及びまたは第2開口が第1及び第2縁部の一方及びまたは他方に出現するという事実は、第1及びまたは第2縁部の円形性質を少なくとも局所的に変更する可能性がある。極端には、第1円形縁部及びまたは第2円形縁部は、ケージに関して外接する円筒の一部として定義することができる、及びまたは第1円形縁部及びまたは第2円形縁部は、ケージの中央開口に内接する円筒部分として定義することができる。ケージに関して外接する円筒部分は、このため、ケージの外周の一部を、すなわち第1または第2縁部の一部を、形成することができる。ケージの中央開口に内接する円筒部分は、このため、ケージの内周の一部を、すなわち第1または第2縁部の一部を形成することができる。
【0079】
また、第1実施形態の第1変形例において、ケージは軸方向に平面50a、50bにより定義される。表面50a、50bは、ケージの内周の一部および外周の一部により平面上で区切られる。平面間の距離が、ケージの厚み57を定義する。平面50a及びまたは50bの面積は、ケージの表面Bの面積として定義できる。更に一般的には、ケージが全体的に平坦な環状形状を有する全ての実施形態と変形例において、ケージの表面Bの面積は、軸A1に垂直な平面上の、軸A1に沿ったケージの投影領域として定義できる。このため、ケージの表面に配置されたあらゆる押し出しまたは突起、及び全ての溝またはスロットは、ケージの表面Bの面積に影響を与えない。換言すれば、表面Bは、軸A1に沿ったケージの正射影である。
【0080】
ケージの、第1及び第2リングの一方及びまたは他方に対する動きは、以下により限定される。
- 軸A1に対して一方では軸方向に、第1及び第2リングの一方及びまたは他方の表面41a及び41b、具体的には溝側面によって限定される、
- 軸A1に対して他方では半径方向に、
○ 第1及び第2リングの一方及びまたは他方の壁43a、具体的には溝底面によって限定される、及びまたは
○ ケージの壁53と第1及び第2リングのどちらかの溝底の壁43aとの間に十分な半径隙間が残されている場合には、回転体によって限定される。この場合、有利にはケージ-リング接触面積を更に減少することができる。
【0081】
表面41a及び41bは、例えば、第2リングの、具体的には内輪の環状要素4a及び4bにそれぞれ配置される。表面41a及び41bは、接触区域49と協働する。
【0082】
ケージの内縁59と溝底壁43aとの間に、半径隙間が存在する。半径隙間はまた、表面41a及び41b及び表面50a及び50bの間に存在する。リング-ケージインターフェースは、リングに対するケージの半径隙間を定義する。
【0083】
ケージ5とリングのうちの1つ、具体的には環状要素4aまたは環状要素4bとの間の第1接触区域56または潜在的な接触面は、図1に示す、中央開口に内接する破線円Tと円Cとで区切られる。
【0084】
リングと接触可能なケージの(図14で陰影がつけられた)表面Aの面積は、ケージの(図13で陰影がつけられた)表面Bの面積の60%より小さい、または50%より小さい、または45%より小さい、または30%より小さいように、ケージが配置される、またはケージと第1及び第2リングが配置される。表面Aは、軸受の通常動作モードにおいて、すなわち軸受が組付けられ、軸受の一方のリングが軸A1周りに軸受の他のリングに対して移動するときに、軸受のリングと接触可能なケージの面の全ての点により形成される。表面A及びBは、ケージの第1面に位置されてもよく、及びまたは表面A及びBはケージの第2面に位置されてもよい。
【0085】
第2開口または第2切欠52は、表面Aの面積を最小限にするために成形される。より具体的には、第2切欠52は、ケージの内側へ向けられた複数の突起51aで形成される部分56を定義する。好ましくは、第2切欠52は、2つの第1連続切欠50間に配置される。好ましくは、2つの突起51aは、第2切欠52の両側に配置される。好ましくは、第2切欠52の数は、切欠50の数と同一である。
【0086】
第1実施形態の当該第1変形例において、Aの面積の合計に対応する表面Aの面積は、複数の突起51aを有する。
【0087】
第1実施形態の当該第1変形例において、ケージ5は、11個の第1切欠50と、11個の第2切欠52とを有する。この特定の変形例において、
AA=0.4×AB
ここで、
AA:表面Aの面積、及び
AB:表面Bの面積である。
【0088】
有利には、突起51a、特に突起51aの端部は、表面50a及び41aまたは50b及び41bのインターフェースに配置された潤滑油の膜を破ることができる。有利には、突起51a、特に突起51aの端部は、長手方向の溝底壁43a及びケージの内縁の長手方向の壁53のインターフェースに配置された油の膜を破ることができる。有利には、潤滑油は、所定のトルクより大きな抵抗トルクを引き起こさないように、第2切欠52内に収容されてもよい。このため、潤滑油は、軸受の性能に悪影響を与えない。
【0089】
図2及び3は、ケージが、内輪4のワッシャ4a、4bにそれぞれ配置された平面41a、41bにより軸方向に区切られた、第1実施形態の第1変形例を示す。もちろん、ケージが外輪3の平面により軸方向に区切られる、特許文献3に開示されたものと類似の、代替の構造の軸受を提案してもよい。図示しない当該実施例において、ケージは、内縁に第1切欠50が設けられる、平坦な円形王冠の形状であってもよい。ここで切欠は、回転体を受けるために設けられる。第2切欠52は、ケージの外側へ向けられた複数の突起51aを含む、部分51を定義する。
【0090】
図4に示す第1実施形態の第2変形例において、ケージ5は、その円筒形状のため、第1実施形態の第1変形例のケージとは異なる。円筒形状の軸は、軸A1と一致または実質的に一致する。
【0091】
第1縁部58は、第1軸方向端部581の縁部であり、第2縁部59は第2軸方向端部591の縁部である。
【0092】
このため、ケージはまた、切欠円筒の形状であってもよい。第1切欠50は、回転体2を受けるため、ケージの第1軸方向端部581に設けられ、第2空洞構造52は、ケージと軸受の2つのリングの一方及びまたは他方、具体的には内輪との間の潜在的な円筒状接触面を最小限にするため、ケージの第2軸方向端部に設けられる。
【0093】
当該第2変形例において、ケージは、第1及び第2端部を定義する離れた平面により軸方向に定義される。両平面間の距離は、ケージの長さを定義する。ケージはまた、第1円筒と、第1円筒と同軸の第2円筒により半径方向に定義され、第1及び第2円筒の半径の差がケージの厚みを定義する。第1及び第2円筒は、このためケージの内径及び外径を決定する。
【0094】
リングの一方と接触可能なケージの両側の(図20で黒で示す)表面Aの面積は、ケージの表面Aを定義する円筒の直径に等しい直径であってケージの2つの端部縁の間に含まれる、(図19で黒で示す)円筒表面Bの面積の50%より小さい、または45%より小さい、または40%より小さい、または30%より小さいように、ケージが配置される、またはケージと第1及び第2リングが配置される。当該実施形態において、表面Bは、軸A1に対して半径方向にケージの各点を見た際に見える、ケージの表面である。当該実施形態において、表面Aは、リングの一方と接触することができ、軸A1に対して半径方向にケージの各点を見た際に見える、ケージの表面である。表面A及びBは、ケージの内側に、すなわちケージの内周径に位置されてもよく、及びまたは表面A及びBは、ケージの外側に、すなわちケージの外周径に位置されてもよい。
【0095】
第1実施形態の第3変形例において、ケージ5は、リングの表面に更に少なくとも1つの(すなわち、軸A1に沿った)第1軸方向突起構成を含む点で、第1実施形態の第1変形例のケージと異なる。当該突起構成の上端は、ケージ-軸受リングインターフェースに参加することが意図される。
【0096】
少なくとも1つの第1突起構成は、リブを含む。リブは、円形または実質的に円形であってよい。好ましくは、少なくとも1つの第1突起構成は、2つのリブを含む。第1リブは、リングの表面と接触するよう設けられ、第2リブは他のリングまたは同じリングの他の表面と接触するよう設けられる。有利には、第1リブはケージの第1面に、特にケージの平面の第1表面に設けられ、第2リブはケージの第2面に、特にケージの平面の第2表面に設けられる。1以上の空洞(またはアンダーカット)を、リブの片側または両側に製造してもよい。
【0097】
代替的に、少なくとも1つの(すなわち、軸A1に沿った)第1軸方向突起構成は、一組のボス、特に少なくとも3つのボスを、具体的には軸A1に対して円形にまたは実質的に円形に配置された少なくとも3つのボスを、及びまたは軸A1に対して一定のまたは実質的に一定の角度間隔で配置された少なくとも3つのボスを、含む。好ましくは、ボスの第1組は、第1リング表面、特に第1環状要素の第1面と接触するよう設けられ、ボスの第2組は、第2リング表面、特に第2環状要素の第2面と接触するよう設けられる。
【0098】
更に代替的には、ケージの形状は、非平面、特にリングの1つと接触することが意図される1以上の区域において非平面であってもよい。ケージは、波状面の、特に1以上の規定の区域において波状面の、王冠の形状であってもよい。このため、突起は、軸受の軸方向に向けられ、第1切欠50は、ケージの内側または外側に向けられてもよい。
【0099】
図11及び12は、少なくとも1つの第1突起構成55と少なくとも1つの第1空洞構成52を含み、その上端551がケージ-軸受リングインターフェースに参加することが意図される、接触区域56を示す。
【0100】
図11に示す変形例において、空洞構成52の底は、表面50aの残りの部分と一般的に同じ高さにある。当該変形例の場合、図15では表面Bに陰影がつけられ、図16では表面Aに陰影がつけられる。
【0101】
図12に示す変形例において、突起構成55の上端551は、表面50aの残りの部分と一般的に同じ高さにある。当該変形例の場合、図17では表面Bに陰影がつけられ、図18では表面Aに陰影がつけられる。
【0102】
他の代替策として、空洞構成52の底は、表面50aの残りの部分に対して一般的にくぼんでもよく、突起構成55の上端551は、表面50aの残りの部分に対して一般的に突出してもよい。
【0103】
図11及び12には図示されていないものの、表面50a及び50bは、同様に構成または成形されてもよい。表面50a及び50bは、同一または互いに対称であってもよい。
【0104】
図5及び図6に示す第1実施形態の第4変形例において、軸受は、少なくとも1つのリングが、少なくとも1つの第2空洞構成42a、42b及びまたは少なくとも1つの第2突起構成41a、41bを有する第2接触区域49を含む点で、第1実施形態の第1変形例の軸受と異なる。
【0105】
少なくとも1つの第2空洞構成は、第1及び第2接触区域間のあらゆる接触を制限することを可能にする。
【0106】
突起構成の上端は、ケージ-軸受リングインターフェースに参加することが意図される。当該第4変形例において、ケージは、回転体を受けるための第1開口のみを有する王冠である。
【0107】
少なくとも1つの第2突起構成は、リブである、または1以上のリブを含む。リブは、円形または実質的に円形形状であってもよい。好ましくは、少なくとも1つの第2突起構成は、2つのリブを含む。第1リブ41aは、ケージの第1表面50aと接触するよう設けられ、第2リブ41bは、ケージの第2表面50bと接触するよう設けられる。有利には、第1リブ41aは環状要素4a上に設けられ、第2リブ41bは環状要素4b上に設けられる。少なくとも1つの第2空洞構成は、リブの片側または両側に形成可能な1以上のアンダーカット42a、42bを含んでもよい。
【0108】
アンダーカット42a、42bは、同一の形状であってもなくてもよい。アンダーカット42a、42bは、360°にわたり形成されてもされなくてもよい。環状要素4a、4bの表面にドロップを作るため、複数のアンダーカットを組み合わせてもよい。
【0109】
代替的に、少なくとも1つの第2突起構成は、一組のボスを、特に少なくとも3つのボスを、具体的には軸A1に対して円形にまたは実質的に円形に配置された少なくとも3つのボス、及びまたは軸A1に対して一定のまたは実質的に一定の角度間隔で配置された少なくとも3つのボスを含む。好ましくは、ボスの第1組はケージの第1表面50aと接触するよう設けられ、ボスの第2組はケージの第2表面50bと接触するよう設けられる。有利には、第1組は環状要素4aに設けられ、第2組は環状要素4bに設けられる。
【0110】
論理的にまたは技術的に両立しない場合を除き、上述の各種変形例のいくつかのあらゆる組み合わせを予期することができる。例として、図7は、第1変形例と第4変形例の組み合わせを形成する第5変形例を示す。図7の実施形態において、軸受は実際には、第1変形例にかかるケージと、第4変形例にかかるリングとを含む。
【0111】
このため、第1実施形態は、潤滑油が差された軸受、ケージ及びまたは少なくとも1つのリングであって、その形状はケージと内輪または外輪との間の少なくとも1つの接触面または少なくとも1つの潜在的な接触面を最小限にするよう形成されたケージ及びまたはリングに関する。当該実施形態は、少なくとも1つの接触面を減少または除去することを可能にし、当該接触面には潤滑油を収容可能であり、このため潤滑油が引き起こす摩擦モーメントを最小限にすることを可能にする。
【0112】
これは、特に軸受の一部を形成する部品で、特にケージと軸受の内輪または外輪で起こり得る粘着によって、潤滑油が軸受のエネルギー伝達性能を損なうことなく、軸受の動作騒音に関して良好な性能を得るために軸受に潤滑油を差すことを可能にする。
【0113】
時計400の第2実施形態を、図8及び9を参照して以下に説明する。時計は、例えば小型時計、具体的には腕時計、特に自動式腕時計である。
【0114】
時計は、時計ムーブメント300、具体的には機械式ムーブメント、特に自動式ムーブメントである。
【0115】
ムーブメントは、時計機構200を含む。当該機構は、例えば、自動巻上げ装置の回転錘装置であったり、または自動巻上げ装置であってもよい。機構は、軸受を含む。
【0116】
軸受1は、例えば、時計軸受、特に時計玉軸受である。軸受は、第1リング4、特に内輪と、第2リング3、特に外輪と、回転体2、特にボールとを含む。
【0117】
軸受は、軸A1を有し、軸A1周りを第1または第2リングが回転体を用いて回転案内される。第1及び第2リングは、それぞれ、回転体を保持するために設けられる、軸受軌道を有する。
【0118】
軸受は、ケージを有さない。このため、これは「ケージレス」型の軸受である。換言すれば、軸受は、「総玉軸受」または「一体型玉軸受」型である。より一般的には、軸受は、「一体型要素または回転体」を有する。より具体的には、軸受の回転体は、特に1つのリングが軸A1周りに他方に対して移動されたときに、互いに接触することができる。当該軸受の利点は、軸受がケージを欠いているため、軸受のケージと内輪または外輪との間での粘着の危険性を回避できることである。更に、当該軸受の利点は、第1実施形態にかかる軸受が支持可能な負荷よりも大きな、著しい負荷に耐えることができることである。このため、当該実施形態は、自動巻上げ機構に特によく適合し、当該自動巻上げ機構の回転錘92は、120μNm以上、または180μNm以上、または220μNm以上、または250μNm以上の静的トルクを示す。代替的にまたは追加的に、当該実施形態は、自動巻上げ機構に特によく適合し、当該自動巻上げ機構の回転錘は重いセクターを含み、回転錘の重さは2gより大きく、または3gより大きく、または4gより大きい。
【0119】
リング4の一方は、時計ムーブメントのフレームに固定するために設けられてもよい。このため、リングは、フレームへ組付け可能にする、構成40を有してもよい。好ましくは、他のリング3は、ムーブメントの機構へ接続するための、少なくとも1つの手段30を有する。当該手段は、例えば歯30であってもよい。ムーブメントの機構は、例えば自動巻上げ機構であってもよい。このため、リング3は更に、図示しない回転錘を受けるための表面90を含んでもよい。
【0120】
第1及び第2リングの一方、例えば内輪は、例えば互いに固定されたまたは単に弾性的に互いに引き寄せられた、2つの環状要素またはワッシャ4a、4bで形成されてもよい。
【0121】
前述の時計軸受または時計機構または時計ムーブメントまたは時計の製造方法の実施形態を、以下に説明する。
【0122】
方法は、以下のステップを含む。
- 第1リング4、特に内輪と、第2リング3、特に外輪と、回転体2とを含む軸受を提供する、または前述の軸受を供給するステップ、および
- 第1リング及びまたは第2リング及びまたは回転体の少なくとも1つの表面上に潤滑油を塗布するステップ。
【0123】
好ましくは、少なくとも1つの表面は、リングの一方の軸受軌道または軸受軌道の一部の表面を含むまたは形成する、及びまたは少なくとも1つの表面は、回転体の少なくとも1つの軸受表面を含む。
【0124】
有利には、潤滑油は噴射または非接触吹付により塗布される。
【0125】
好ましくは、20℃の温度での潤滑油の動粘度は、8から15Stの間、特に10Stに等しいまたは10Stに実質的に等しい。代替的に、潤滑油は、20℃でより低い動粘度を有してもよい。例えば、20℃の温度での潤滑油の動粘度は、0.8から1.5Stの間、特に1.2Stに等しいまたは1.2Stに実質的に等しくてもよい。
【0126】
実施形態や変形例にかかわらず、回転体は、鋼、ニチノールのような超弾性合金、またはセラミック製であってもよく、特に酸化ジルコニウム型のセラミック製または窒化ケイ素型のセラミック製であってもよい。同じ軸受内に、異なる素材製の体要素を混ぜてもよい。セラミックを利用することで、微小はんだ及びまたは鋼対鋼の接触による経時的な腐食の危険性を防止することができる。窒化ケイ素製の回転体は、特に高い抵抗、高い耐摩耗性、良好な剛性、及び非常に良い耐食性を提供する。当該セラミックの密度は、鋼の密度よりも40%低い。
【0127】
実施形態や変形例にかかわらず、ケージは、CuBe2のような銅基合金、または鋼製であってもよい。代替的に、ケージはその他の素材製であってもよい。
【0128】
実施形態や変形例にかかわらず、軸受は、5から11個のボールを、特に7個のボールを、ケージレス軸受の場合にはそれ以上のボールを含んでもよい。
【0129】
実施形態や変形例にかかわらず、第1リングの及びまたは第2リングの及びまたは回転体の少なくとも1つの表面は、潤滑油により被覆される。潤滑油は、例えば、20℃の温度での動粘度が8から15Stの間の、具体的には10Stに等しいまたは10Stにほぼ等しい動粘度を有する潤滑油である。潤滑油は、油であってもよい。
【0130】
実施形態や変形例にかかわらず、軸受は、好ましくは4つの接触点を有する軸受である。
【0131】
回転体は、好ましくはボールである。代替的に、実施形態や変形例にかかわらず、回転体は、針またはローラー、特に円筒状またはテーパーローラーであってもよい。
【0132】
第2実施形態において、軸受は、25から35個の回転体またはボール、特に27または28または29または30個の回転体またはボールを含んでもよい。
【0133】
軸受の実施形態にかかわらず、潤滑油は、好ましくは「噴射」または非接触吹付により塗布される。当該潤滑方式は、軸受の摩擦音を最小限にするため、または軸受の動作音を打ち消すために特定され適応された、管理された量の潤滑油を塗布することを可能にする。好ましくは、潤滑油、特に油滴は、回転体に直接に塗布される。全ての回転体に潤滑油を差してもよい。代替的に、回転体の1つまたはいくつかに潤滑油を差してもよい。後者の場合、他の回転体の表面は、軸受の動作中に軸受軌道と潤滑油が差された回転体との接触を通じ、その後軸受軌道への他の回転体の非接触を通じ、潤滑油が差される。
【0134】
「潤滑油」の文言は、固体、ペースト状、または液体潤滑油に係るものであろうと、回転体とリングとの間の摩擦を減少可能なあらゆる素材を示す。好ましくは、油が選択される。完了した試験によって、実際に、約10Stの粘度を有する油が、特に騒音の面で、玉軸受の性能目的を完全に満足させることがわかる。
【0135】
当該書類を通じて、「潤滑油が差された軸受」の文言は、内輪及びまたは外輪及びまたはケージ及びまたは回転体の全部または一部の表面に潤滑油が差された軸受を意味するものと理解される。
【0136】
当該書類を通じて、2つの部品間の「潜在的な接触面」の文言は、間隙の補償に続いて当該部品が接触するときの、当該2つの部品の接触面を意味するものと理解される。
【0137】
当該書類を通じて、「貫通開口」は、パーツの、特にケージの厚みの全体を通過する、開口または穴に関する。
【0138】
当該書類を通じて、「出現する」の文言は、パーツの、特にケージの縁部に位置する開口または穴であって、穴自体がパーツの縁部の一部を形成する開口または穴に関する。
【0139】
軸受は、第1部品に対して、軸A1周りに第2部品に対する回転案内の提供を可能にする。その型に応じて、軸受はまた、第1部品に対して発揮される軸力を第2部品が吸収することを可能にする。
【0140】
有利には、時計玉軸受1の興味深い実施形態は、内輪4、外輪3、及びボール2を含む。内輪及びまたは外輪及びまたはボールの少なくとも1つの表面は、潤滑油により被覆される。玉軸受は、25から35個のボールを、特に27または28または29または30個のボールを含む。玉軸受は、ボールを分離するためのケージを含まない、または玉軸受は一体型ボールを有する型、特に総玉軸受型である、またはボールは互いに接触可能である。ボールの一つまたはいくつかまたはボールの全ては、鋼製である。内輪は鋼製であり、外輪は鋼製である。
【0141】
有利には、ボールは、Crを含む低合金鋼、例えば100Cr6または100CrMo7-3といった軸受鋼製である。
【0142】
有利には、内輪は、ステンレス鋼製、例えば4C27A(DIN1.4197)製である。
【0143】
有利には、外輪は、ステンレス鋼製、例えば4C27A(DIN1.4197)製である。
【0144】
有利には、ボールは、接線の遊びまたは間隙を有してリングに搭載される。当該遊びは、全てのボールが接触するとき、すなわちボールが2つの端部ボールと中間ボールとであって、各中間ボールが2つの隣接するボールと接触し、各端部ボールが単一の中間ボールと接触して一連を形成するときに、計測される。遊びは、例えば、ボールの半径より高いまたはボールの半径に等しい。遊びは、例えば、ボールの直径よりも低いまたはボールの直径に等しい。
【0145】
当該興味深い実施形態の特定の実施にかかる第1玉軸受は、27個のボールを有する。当該軸受で試験を行った。第1玉軸受は、回転錘を回転案内するためのムーブメント上で時計に搭載された。音響センサを、時計ガラスから5cmの位置にセットした。最初に時計が動かされると、音響センサにより25dBAの騒音レベルが記録された。回転錘の所定の回転周期(当該周期は、10年間時計を通常使用した後に得られる摩耗と同等の摩耗をもたらす)後、時計が再度動かされると、音響センサにより25dBAの騒音レベルが再度記録された。第2玉軸受で試験を行った。第2玉軸受は、ボールが窒化ケイ素製という点のみで、第1玉軸受と異なる。第2玉軸受は、同じ回転錘を回転案内するための同じムーブメント上で同じ時計に搭載された。同じ音響センサを、時計ガラスから5cmにセットした。最初に時計が動かされると、音響センサにより25dBAの騒音レベルが記録された。回転錘の所定の回転周期(当該周期は、10年間時計を通常使用した後に得られる摩耗と同等の摩耗をもたらす)後、時計が再度動かされると、音響センサにより33dBAの騒音レベルが記録された。このため、騒音の基準に関して、潤滑油が差された玉軸受内で鋼ボールを使用することは、セラミックボールの使用よりも有利であると思われる。
【0146】
有利には、回転錘装置または自動巻上げ装置の興味深い実施形態は、以下のものを含む。
- フレーム91、
- 回転錘92であって、
○ 回転錘の静的トルクは、120μNm以上または180μNm以上または220μNm以上または250μNm以上、及びまたは
○ 回転錘は2gより重いまたは3gより重いまたは4gより重く、
- 上述の時計玉軸受1の興味深い実施形態にかかる玉軸受1であって、軸A1周りにフレーム上で回転錘を案内する玉軸受、または
- 内輪4、外輪3、ボール2を含む玉軸受1であって、内輪及びまたは外輪及びまたはボールの少なくとも1つの表面が潤滑油で被覆されており、
○ 玉軸受は、軸A1周りにフレーム上で回転錘を案内し、
○ 玉軸受は、25個から35個のボール、特に27または28または29または30個のボールを含み、
○ 軸受は、ボールを分離するためのケージを含まず、または軸受は一体型ボールを有する型、特に総玉軸受型であり、またはボールは互いに接触可能であり、
○ 少なくとも1つまたはいくつかのボールまたは全てのボールは、鋼製または窒化ケイ素製またはニチノールといった超弾性合金製であり、
○ 内輪は、鋼製またはニチノールといった超弾性合金製であり、
○ 外輪は、鋼製またはニチノールといった超弾性合金製である。
【0147】
有利には、時計ムーブメントの実施形態は、前段落に説明される装置の興味深い実施形態を含む。
【0148】
有利には、時計の実施形態は、前段落に説明される時計ムーブメントの実施形態、または上述の装置の興味深い実施形態を含む。
【符号の説明】
【0149】
1 軸受
2 回転体
3 第2リング
4 第1リング
5 ケージ
50 第1開口
52 第2開口
55 第1突起構成
56 第1接触区域
58 第1縁部
59 第2縁部
200 時計機構
300 時計ムーブメント
400 時計
図1
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