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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】流量制御弁及び作業機械
(51)【国際特許分類】
   F16K 47/04 20060101AFI20230607BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
F16K47/04 A
F16K27/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019009525
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2020118219
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁
(72)【発明者】
【氏名】後藤 敬介
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-130527(JP,A)
【文献】実開平03-105790(JP,U)
【文献】実開昭62-044305(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 47/04
F16K 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つのポートと、段部を有する形状であって前記二つのポートに接続する内部空間と、を有するケーシングと、
前記二つのポートの間を結ぶ流路に設けられる絞り部と、移動方向に対して非平行な面を有し前記段部に接触することで他の流路を遮断可能とする接触部と、前記接触部を前記ケーシングの前記段部に接触可能なように押し付ける押付部材と、を有し、前記ケーシングの前記内部空間内に移動可能に収容される弁構造体と、
を備え
前記接触部は弁部材に形成され、前記絞り部は他の弁部材に形成され、
前記弁部材は、前記流路の一部を構成する開口部を有し、
前記弁部材と前記他の弁部材とが相対的に移動することで、前記他の弁部材により前記開口部が部分的に閉塞される、流量制御弁。
【請求項2】
前記押付部材は前記弁部材と前記他の弁部材とを離間するよう押し付ける、請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記弁構造体を前記移動方向において反転させても収容可能である、請求項1又は2に記載の流量制御弁。
【請求項4】
二つのポートと、該二つのポートを内部で結ぶ内部空間と、を有するケーシングと、
前記ケーシングの前記内部空間において、前記ケーシングの一方のポートに接触可能な接触部と、該一方のポートから他方のポートとの間に配置される絞り部と、を有する弁構造体と、を備え、
前記弁構造体の前記接触部が、前記ケーシングに接触した状態で、前記二つのポートの間に絞り部を介した流路が形成され、
前記弁構造体の前記接触部が、前記ケーシングから離間した状態で、前記絞り部を迂回する流路が形成される、
流量制御弁。
【請求項5】
二つのポートと、第1段部及び第2段部を有する形状であって前記二つのポートに接続する内部空間と、を有するケーシングと、
前記ケーシングの前記内部空間内に移動可能に収容され、移動方向に対して非平行な面を持ち、前記第1段部に接触可能な第1接触部と、前記第1接触部の前記移動方向の一側と他側とを結び、該一側を閉塞し、該他側を開放する中央通路と、前記第1接触部の前記一側で、前記中央通路から径方向に形成される開口部と、
を備える第1弁部材と、
前記ケーシングの前記内部空間内に移動可能に収納され、前記ケーシングの前記第2段部と接触可能な第2接触部と、前記第2接触部と一体に形成し、前記第1弁部材の前記中央通路を軸線方向に移動可能な軸部と、前記軸部の前記移動方向の前記一側が開いており、前記他側が閉じている中空部と、前記中空部から径方向に形成される絞り部と、
を備える第2弁部材と、
前記第1弁部材と前記第2弁部材と離間させる押付部材と、
を備える流量制御弁。
【請求項6】
請求項1~のいずれか1項に記載の流量制御弁を備える、作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れる流体の流量を制御する流量制御弁及び該流量制御弁を備える作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の流体回路において、当該流体回路中を流れる流体の流量を制御する流量制御弁が用いられている。例えば、油圧を用いて駆動される建設車両等の作業機械においては、作業機械の各油圧アクチュエータへ作動油を供給するための油圧回路や、方向切換弁等の油圧装置を動作させるパイロット圧を供給するための油圧回路に、当該油圧回路中を流れる油の流量を制御する流量制御弁が用いられている。
【0003】
特許文献1には、入力ポート、出力ポート、本体部、本体部内部の流体室内に長手方向に移動可能に挿入されたスプール、スプールを入力ポート側へ向けて付勢する第1スプリング、スプールを出力ポート側へ向けて付勢する第2スプリング、を備えたショックレスバルブが開示されている。このショックレスバルブでは、油圧アクチュエータの駆動を停止させるために、パイロットバルブを中立位置にセットすると、パイロットバルブの圧油の出力が停止され、ショックレスバルブの入力ポート側の圧力が急激に低くなる。これにより、圧油が、出力ポートから流体室内の出力ポート側スプール内室に流入し、絞り連通孔を通過して、入力ポート側スプール内室に流入する。このとき、絞り連通孔の前後に差圧が発生し、スプールが入力ポート側に移動する。これにより、入力ポート側スプール内室と第1環状溝とを連通する第1連通穴による開口が狭められ、ここを通過する圧油の流れが制限される。さらに圧油が流れると、絞り連通孔の前後の差圧と、第2スプリングの付勢力とが釣り合うところでスプールは停止し、第1連通穴の開口が調整され、出力ポート側から入力ポート側への圧油の流量が一定となる。これにより、パイロットバルブの圧油の出力が急激に停止されても、コントロールバルブにおけるスプールの戻り動作の速度を遅くすることができる。したがって、パイロットバルブの衝撃的な動作を緩衝することができる。
【0004】
特許文献2に開示された方向切換弁では、ハウジングの外壁に開口する2つの孔が設けられ、これらの孔にそれぞれ逆止弁付絞り弁が装着されている。この逆止弁付絞り弁は、それぞれメータイン方式及びメータアウト方式により油量を制御する。上述の2つの孔は、互いに同一形状及び同一寸法に形成されており、用途や使用条件によって2つの逆止弁付絞り弁を入れ替えることができる。したがって、特許文献2に開示された逆止弁付絞り弁は互換性を有し、これにより広範囲の用途や使用条件を満足することができる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-312801号公報
【文献】特開昭55-107101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたショックレスバルブでは、油圧アクチュエータを駆動させるために、パイロットバルブから圧油を出力した場合、入力ポートを介してショックレスバルブに流入した圧油が、連通路、第1環状溝、スプールの第1連通穴を通過して入力ポート側スプール内室に流入し、さらに絞り連通孔を通過して、出力ポート側へ流れる。油が絞り連通孔を通過すると、絞り連通孔の前後に差圧が発生し、この差圧が第1スプリングの付勢力より大きくなると、スプールが、第1スプリングの付勢力に抗して、出力ポート側に移動される。これにより、第1環状溝と第2環状溝とがスプールの外周溝によって連通され、圧油が第2連通穴を通過して出力ポート側スプール内室内に流入する。このとき、ショックレスバルブ1が、パイロットバルブとコントロールバルブとの間に介在することによって、コントロールバルブの動作に応答の遅れが生じる。この応答の遅れは、コントロールバルブの衝撃的な動作を緩和するように作用する。その一方、油圧アクチュエータの駆動開始の際にこのような応答の遅れが生じると、操作者は油圧アクチュエータが緩慢な動作をしているように感じ、違和感を生じるという不都合がある。
【0007】
また、特許文献2に開示されたメータイン方式用の逆止弁付絞り弁と、メータアウト方式用の逆止弁付絞り弁とは、その構成部品が完全に異なっており、逆止弁付絞り弁を交換する場合には、当該逆止弁付絞り弁全体を別の逆止弁付絞り弁に交換する必要がある。したがって、交換部品の数が多くなり、これにより逆止弁付絞り弁の製造コストや交換の手間が増大する問題がある。
【0008】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、流量制御弁において応答遅れが生じることを防止することを目的とする。さらに、本発明は、流量制御弁の機能を変更する際の交換部品点数を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による流量制御弁は、
二つのポートと、段部を有する形状であって前記二つのポートに接続する内部空間と、を有するケーシングと、
前記二つのポートの間を結ぶ流路に設けられる絞り部と、移動方向に対して非平行な面を有し前記段部に接触することで他の流路を遮断可能とする接触部と、前記接触部を前記ケーシングの前記段部に接触可能なように押し付ける押付部材と、を有し、前記ケーシングの前記内部空間内に移動可能に収容される弁構造体と、
を備える。
【0010】
本発明による流量制御弁において、
前記接触部は弁部材に形成され、前記絞り部は他の弁部材に形成され、押付部材は前記弁部材と前記他の弁部材とを離間するよう押し付けてもよい。
【0011】
本発明による流量制御弁において、
前記他の弁部材が前記弁部材に接近するように移動することで、前記流路の開口部の開口面積が変化してもよい。
【0012】
本発明による流量制御弁において、
前記ケーシングは、前記弁構造体を前記移動方向において反転させても収容可能であってもよい。
【0013】
本発明による流量制御弁は、
二つのポートと、該二つのポートを内部で結ぶ内部空間と、を有するケーシングと、
前記ケーシングの前記内部空間において、前記ケーシングの一方のポートに接触可能な接触部と、該一方のポートから他方のポートとの間に配置される絞り部と、を有する弁構造体と、を備え、
前記弁構造体の前記接触部が、前記ケーシングに接触した状態で、前記二つのポートの間に絞り部を介した流路が形成され、
前記弁構造体の前記接触部が、前記ケーシングから離間した状態で、前記絞り部を迂回する流路が形成される。
【0014】
本発明による流量制御弁は、
二つのポートと、第1段部及び第2段部を有する形状であって前記二つのポートに接続する内部空間と、を有するケーシングと、
前記ケーシングの前記内部空間内に移動可能に収容され、移動方向に対して非平行な面を持ち、前記第1段部に接触可能な第1接触部と、前記第1接触部の前記移動方向の一側と他側とを結び、該一側を閉塞し、該他側を開放する中央通路と、前記第1接触部の前記一側で、前記中央通路から径方向に形成される開口部と、
を備える第1弁部材と、
前記ケーシングの前記内部空間内に移動可能に収納され、前記ケーシングの前記第2段部と接触可能な第2接触部と、前記第2接触部と一体に形成し、前記第1弁部材の前記中央通路を軸線方向に移動可能な軸部と、前記軸部の前記移動方向の前記一側が開いており、前記他側が閉じている中空部と、前記中空部から径方向に形成される絞り部と、
を備える第2弁部材と、
前記第1弁部材と前記第2弁部材と離間させる押付部材と、
を備える。
【0015】
本発明による作業機械は、
上述の流量制御弁を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、流量制御弁において応答遅れが生じることを防止することができる。さらに、本発明によれば、流量制御弁の機能を変更する際の交換部品点数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、流量制御弁が組み込まれた作業機械の油圧回路の一例を示す油圧回路図である。
図2図2は、流量制御弁の一例を示す油圧回路図である。
図3図3は、流量制御弁の一例を示す縦断面図である。
図4図4は、流量制御弁の第2弁部材の第2接触部の形状を示す斜視図である。
図5図5は、流量制御弁の動作について説明するための図である。
図6図6は、流量制御弁の動作について説明するための図である。
図7図7は、流量制御弁を、弁構造体を反転させて示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
【0019】
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件ならびにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0020】
図1図7は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。本実施の形態では、流量制御弁20が油圧回路10内におけるいわゆるショックレス弁として用いられる例について説明するが、流量制御弁20の用途はこれに限られず、種々の流体回路内における流体の流量が制御されるべき箇所に配置されて用いられ得る。図1は、流量制御弁20が組み込まれた作業機械の油圧回路10の一例を示す油圧回路図である。
【0021】
図1に示された油圧回路10は、油圧ポンプ11から吐出され油圧アクチュエータ12へ向かう作動油の流量を制御するスプール弁13と、パイロットポンプ16で生成されたパイロット油の流路を選択するリモコン弁17と、スプール弁13とリモコン弁17との間を流れるパイロット油の流量を制御する流量制御弁(ショックレス弁)20と、を備えている。
【0022】
スプール弁13は、スプール14を有している。スプール14は、パイロットポンプ16で生成されたパイロット油の圧力であるパイロット圧の作用により、その軸方向(長手方向、図1では左右方向)に沿った位置が変更され、これにより油圧ポンプ11から吐出され油圧アクチュエータ12へ向かう作動油の流量が連続的に変化する。パイロットポンプ16は、常に一定のパイロット圧を有するパイロット油を吐出する油圧ポンプであり、一例としてギアポンプが用いられる。図示された例では、スプール14は、その軸方向に沿った一端(図1では右端)及び他端(図1では左端)のいずれにもパイロット圧が作用しない場合、ばね15の押付け力を受けて最も一端側に位置している。パイロット圧が流路101を介してスプール14の一端に作用し、ばね15による押付け力に抗してスプール14が他端側へ向けて移動すると、油圧ポンプ11から吐出され油圧アクチュエータ12へ向かう作動油の流量は増加する。また、パイロット圧が流路102を介してスプール14の他端に作用し、スプール14が一端側へ向けて移動すると、作動油の流量は減少する。
【0023】
リモコン弁17は、オペレータにより操作される操作レバー18を有しており、操作レバー18の操作に応じて、パイロットポンプ16で生成されたパイロット油の流路を、流路101、流路102又はタンク19から選択して接続する。操作レバー18が中立位置にある場合、リモコン弁17は、パイロットポンプ16とタンク19とを通じさせる。操作レバー18が第1操作位置へ向けて操作されると、リモコン弁17は、パイロットポンプ16と流路101とを通じさせ、流路102とタンク19とを通じさせる。操作レバー18が第1操作位置とは異なる第2操作位置へ向けて操作されると、リモコン弁17は、パイロットポンプ16と流路102とを通じさせ、流路101とタンク19とを通じさせる。
【0024】
図示された油圧回路10では、オペレータが操作レバー18を操作していない場合には、リモコン弁17の操作レバー18は中立位置にあり、パイロットポンプ16で生成されたパイロット油は、リモコン弁17を介してタンク19へ排出される。したがって、スプール14の一端及び他端のいずれにもパイロット圧は作用しない。
【0025】
オペレータにより操作レバー18が第1操作位置へ向けて操作されると、パイロットポンプ16で生成されたパイロット油は、リモコン弁17及び流路101を介してスプール弁13へ向かうとともに、スプール弁13から流路102を介してリモコン弁17へ向かう油は、タンク19へ排出される。これによりスプール14の一端にパイロット圧が作用し、ばね15による押付け力に抗してスプール14が他端側へ向けて移動する。したがって、油圧ポンプ11から吐出され油圧アクチュエータ12へ向かう作動油の流量が増加し、油圧アクチュエータ12が一方向に駆動される。例えば、油圧ショベルのブームを駆動するための油圧シリンダが伸長し、ブームが作動する。
【0026】
オペレータにより操作レバー18が第2操作位置へ向けて操作されると、パイロットポンプ16で生成されたパイロット油は、リモコン弁17及び流路102を介してスプール弁13へ向かうとともに、スプール弁13から流路101を介してリモコン弁17へ向かう油は、タンク19へ排出される。これによりスプール14の他端にパイロット圧が作用し、スプール14が一端側へ向けて移動する。したがって、油圧ポンプ11から吐出され油圧アクチュエータ12へ向かう作動油の流量が減少し、油圧アクチュエータ12が停止する。
【0027】
このような油圧回路10においては、スプール14の軸方向に沿った一方向への移動は速やかに行われる一方、他方向への移動は緩やかに行われることが要求される場合がある。例えば、油圧ショベル等の作業機械に取り付けられ、油圧回路を用いて駆動されるフロントリンケージ(ブーム、アーム及びバケット)は、比較的大きな重量を有している。この場合、フロントリンケージが油圧により作動された後、急停止されると、フロントリンケージの大きな慣性力に起因する衝撃が生じ、これにより作業機械全体が大きく揺動し得る。この揺動が収まるまではオペレータは次の動作ができないため、当該作業機械を用いた作業の効率が低下する。このため、図1に示された油圧回路10においては、リモコン弁17とスプール弁13とを通じさせる流路101の途中に流量制御弁(ショックレス弁)20が設けられている。
【0028】
図2は、流量制御弁20の一例について説明するための油圧回路図である。図示された例では、流量制御弁20は、第1流体圧要素E1と第2流体圧要素E2との間に配置され、第1流体圧要素E1から第2流体圧要素E2へ向かう流体は速やかに流れさせ、第2流体圧要素E2から第1流体圧要素E1へ向かう流体は緩やかに流れさせる。流量制御弁20が、図1に示した油圧回路10に組み込まれる場合、例えば第1流体圧要素E1がリモコン弁17であり、第2流体圧要素E2がスプール弁13である。しかしこれに限られず、流量制御弁20に接続される第1流体圧要素E1及び第2流体圧要素E2は、他の油圧要素、空圧要素等の流体圧要素であってもよい。
【0029】
図2に示された流量制御弁20は、絞り部22と、制御弁24と、チェック弁28とを備えている。なお、図2では、絞り部22、制御弁24、チェック弁28及び流路103,104を、いずれもその機能により概念的に示している。
【0030】
絞り部22は、第1流体圧要素E1と第2流体圧要素E2とを通じさせる流路103の途中に設けられており、流路103を流れる油(流体)の単位時間当たりの流量を制限する。
【0031】
制御弁24は、流路103を流れる油の単位時間当たりの流量を制御する。制御弁24は、流路103における、絞り部22の第1流体圧要素E1側の位置P1での油の圧力と、絞り部22の第2流体圧要素E2側の位置P2での油の圧力との差に応じて、流路103の断面積を変化させることにより、流路103を流れる油の単位時間当たりの流量を変化させる。図示された例では、位置P1での油の圧力と位置P2での油の圧力とが等しいときには、制御弁24における流路103の断面積が最大になる。本実施の形態では、後述の第1弁部材50の通路51の開口部52の開口面積が最大となる。位置P2での油の圧力が位置P1での油の圧力よりも大きくなると、制御弁24は、流路103の断面積を減少させることにより、流路103を流れる油の単位時間当たりの流量を減少させる。本実施の形態では、後述の第2弁部材60が第1弁部材50に接近するように移動することにより、第2弁部材60の端部64により開口部52が部分的に閉塞される。したがって、制御弁24は、流路103を流れる油の単位時間当たりの流量を制限する追加の絞り部として機能する。とりわけ制御弁24は、流路103の断面積を連続的に変化させることが可能な可変絞り弁として機能する。
【0032】
流路103における制御弁24の第1流体圧要素E1側の位置P3から分岐して、絞り部22及び制御弁24を迂回し、絞り部22の第2流体圧要素E2側の位置P4で流路103に合流する流路104の途中に、チェック弁28が設けられている。すなわち、チェック弁28は、絞り部22及び制御弁24と並列に設けられている。本実施の形態では、後述の第1接触部53を有する第1弁部材50が、チェック弁28として機能する。流路104を通って位置P3からチェック弁28へ流入した油は、チェック弁28を通って位置P4へ向かう。その一方、流路104を通って位置P4からチェック弁28へ流入した油は、チェック弁28でその流れが妨げられ、位置P3へ向かうことはできない。
【0033】
図2に示された流量制御弁20では、第1流体圧要素E1から第2流体圧要素E2へ向かう油は、流路103に沿って位置P3へ向かう。チェック弁28は、流路104を通って位置P3から位置P4へ向かう油の流れを許容する。絞り部22及び制御弁24も、流路103を通って位置P3から位置P4へ向かう油の流れを許容するが、絞り部22によりその単位時間当たりの流量が制限される。したがって、位置P3から位置P4へ向かう油は、主に流路104を通って、すなわちチェック弁28を通過して流れる。その後、油は、位置P4から流路103に沿って第2流体圧要素E2へ向かう。
【0034】
第2流体圧要素E2から第1流体圧要素E1へ向かう油は、流路103に沿って位置P4へ向かう。ここで、チェック弁28は、流路104を通って位置P4から位置P3へ向かう油の流れを許容しない。この場合、位置P4から位置P3へ向かう油は、絞り部22を流れる。ここで、絞り部22を流れる油の単位時間当たりの流量は制限される。これにより、絞り部22の第2流体圧要素E2側の位置P2,P4における油の圧力と、絞り部22の第1流体圧要素E1側(制御弁24側)の位置P1,P3における油の圧力との間に差が生じる。具体的には、位置P2,P4における油の圧力が、位置P1,P3における油の圧力よりも大きくなる。位置P2,P4における油の圧力は、制御弁24に導入される。これにより、制御弁24は、流路103の断面積を減少させて、流路103を流れる油の単位時間当たりの流量を減少させる。このとき、制御弁24は、追加の絞り部として機能し、制御弁24を流れる油の単位時間当たりの流量を制限する。すなわち、絞り部22で単位時間当たりの流量が制限された油は、制御弁24においてさらにその単位時間当たりの流量が制限される。
【0035】
油が第1流体圧要素E1から第2流体圧要素E2へ向かう際には、チェック弁28が油の流れを許容するので、油は流量制御弁20を速やかに通過する。第1流体圧要素E1がリモコン弁17であり、第2流体圧要素E2がスプール弁13である場合、リモコン弁17からスプール弁13へ向かうパイロット油は、流量制御弁20を通過して、スプール弁13を速やかに動作させる。したがって、油圧ポンプ11から吐出され油圧アクチュエータ12へ向かう作動油の流量は、速やかに増加する。
【0036】
油が第2流体圧要素E2から第1流体圧要素E1へ向かう際には、チェック弁28が油の流れを許容しない。したがって、油は、絞り部22で単位時間当たりの流量が制限されるとともに、制御弁24においても単位時間当たりの流量がさらに制限される。第1流体圧要素E1がリモコン弁17であり、第2流体圧要素E2がスプール弁13である場合、スプール弁13からリモコン弁17へ向かう油は、流量制御弁20で単位時間当たりの流量が大きく制限される。これにより、スプール弁13は、緩やかな速度で動作する。したがって、油圧ポンプ11から吐出され油圧アクチュエータ12へ向かう作動油の流量は、緩やかな速度で減少する。
【0037】
図1及び図2に示された例では、油圧アクチュエータ12への作動油の送出が開始される際には、油圧アクチュエータ12へ向かう作動油の流量を速やかに増大させることができる。これにより、油圧アクチュエータ12の駆動開始時に、油圧アクチュエータ12に動作遅れが生じることを抑制することができる。したがって、油圧アクチュエータ12の駆動開始時に、操作レバー18を操作するオペレータが違和感を覚えたり、油圧アクチュエータ12を更に動作させようとしてさらに操作レバー18の不要な操作を行ってしまうことを防止することができる。
【0038】
その一方、油圧アクチュエータ12への作動油の送出が停止される際には、油圧アクチュエータ12へ向かう作動油の流量を緩やかな速度で減少させることができる。これにより、油圧アクチュエータ12が急停止して作業機械にフロントリンケージの大きな慣性力に起因する衝撃が生じることを、効果的に抑制することができる。したがって、作業機械全体が大きく揺動することを防止し、オペレータが迅速に次の動作を行うことができるようになる。すなわち、作業機械を用いた作業効率を効果的に向上させることが可能になる。
【0039】
次に、図3及び図4を参照して、本実施の形態の流量制御弁20の具体的構造の一例について詳述する。図3は、流量制御弁20の一例を示す縦断面図であり、図4は、流量制御弁20の第2弁部材60の第2接触部65の形状を示す斜視図である。
【0040】
図3に示された例では、流量制御弁20は、二つのポート30a,30bと、段部33,38を有する形状であって二つのポート30a,30bに接続する内部空間Sと、を有するケーシング30と、ケーシング30内に保持された弁構造体40と、を備えている。とりわけケーシング30は、二つのポート30a,30bと、第1段部33及び第2段部38を有する形状であって二つのポート30a,30bに接続する内部空間Sと、を有する。弁構造体40は、二つのポート30a,30bの間を結ぶ後述の第1流路に設けられる絞り部62と、移動方向に対して非平行な面53aを有しケーシング30の段部33,38に接触することで後述の第2流路を遮断可能とする第1接触部53と、第1接触部53をケーシング30の段部33,38に接触可能なように押し付ける押付部材70と、を有し、ケーシング30の内部空間S内に移動可能に収容されている。弁構造体40は、ケーシング30内に移動可能に収容された第1弁部材(弁部材)50及び第2弁部材(他の弁部材)60と、第1弁部材50と第2弁部材60との間に配置された押付部材70と、を含んでいる。図示された例では、第1接触部53は第1弁部材50に形成され、絞り部62は第2弁部材60に形成され、押付部材70は第1弁部材50と第2弁部材60とを離間するよう押し付ける。以下、流量制御弁20の各構成要素について説明する。図3では、流量制御弁20の中心軸線Aに沿った方向を軸線方向daとし、軸線方向daに沿って流量制御弁20に対して外部部材90側(図3では下側)を「一側」、当該「一側」と反対側(図3では上側)を「他側」と呼ぶ。図3に示された例では、流量制御弁20は、その一側部分で第1流体圧要素E1と通じ、他側部分で第2流体圧要素E2と通じている。
【0041】
ケーシング30は、内部空間Sを画定するケースとして機能する。ケーシング30は、第1ポート30a及び第2ポート30bの2つのポートを有している。図示された例では、ケーシング30は、第1ポート30aを有する第1ケーシング31と、第2ポート30bを有し第1ケーシング31に連結された第2ケーシング35と、を備えており、内部空間Sは、第1ケーシング31及び第2ケーシング35により画定される。ケーシング30は、弁構造体40の移動にともなって第1接触部53が接触及び離間する段部33,38を有している。したがって、ケーシング30は、二つのポート30a,30bと、段部33,38を有する形状であって二つのポート30a,30bに接続する内部空間Sと、を有する。ケーシング30を、第1ケーシング31と第2ケーシング35とに分割して形成することにより、ケーシング30の製造を容易にすることができる。ケーシング30には、第1ねじ部41が形成されており、この第1ねじ部41が外部部材90の凹部92に形成された外部ねじ部94に螺合することにより、流量制御弁20(ケーシング30)が外部部材90に取り付けられる。ケーシング30は、全体として概ね円柱状(円筒状)の形状を有しており、軸線方向daに沿って見たときに略円形形状を有している。外部部材90は、任意の油圧装置の一部である。外部部材90は、第1流体圧要素E1(リモコン弁17)に通じる部材である。図示された例では、第1ポート30aは第1流体圧要素E1に通じ、第2ポート30bは第2流体圧要素E2に通じている。
【0042】
第1ケーシング31は、小径部31aと、小径部31aに対して他側に位置する大径部31bと、を有する。小径部31aは、大径部31bに対して相対的に小さい直径を有している。小径部31aの外周における一側には、第1ねじ部41が形成されている。第1ねじ部41は、雄ねじで構成されている。大径部31bは、小径部31aに対して相対的に大きな直径を有している。小径部31a及び大径部31bは、それぞれ概ね円筒状の形状を有している。
【0043】
第1ケーシング31の内部には、一側から他側へ貫通する貫通孔32が形成されている。図示された例では、貫通孔32は、一側から他側へ向かうにつれて段階的に大きくなるように互いに異なる直径を有する3つの孔(32a~32c)の組み合わせで構成されている。このうち第1ケーシング31の一側の端面に開口し且つ最も小さい断面寸法(直径)を有する穴を小径孔32a、第1ケーシング31の他側の端面に開口し且つ最も大きい直径を有する穴を大径孔32c、軸線方向daに沿って小径孔32aと大径孔32cとの間に位置し且つ小径孔32aの直径と大径孔32cの直径との間の直径を有する孔を中径孔32bとする。図示された例では、小径孔32aが第1ポート30aを構成する。孔32a~32cは、互いに同軸に配置されている。貫通孔32の内周面には、第2ねじ部42が形成されている。とりわけ、第2ねじ部42は、大径孔32cの内周面に形成されている。第2ねじ部42は、雌ねじで構成されている。小径孔32aの他側の端部は、第1弁部材50の後述の第1接触部53と接触する第1段部33を形成する。なお、中径孔32bは省略されてもよい。すなわち、貫通孔32は、小径孔32aと大径孔32cとを有するように構成されてもよい。
【0044】
第2ケーシング35は、全体として略円筒状に形成されており、その一側部分において第1ケーシング31に取り付けられている。第2ケーシング35の外周における一側部分には、第3ねじ部43が形成され、第2ケーシング35の外周における他側部分には、第4ねじ部44が形成されている。第3ねじ部43及び第4ねじ部44は、いずれも雄ねじで構成されている。図示された例では、第2ケーシング35の一側端部は第1ケーシング31の貫通孔32(大径孔32c)内に位置しており、第2ケーシング35の第3ねじ部43が、第1ケーシング31の第2ねじ部42と螺合することにより、第2ケーシング35が第1ケーシング31に対して取り付けられている。
【0045】
第2ケーシング35の内部には、一側から他側へ貫通する貫通孔36が形成されている。貫通孔36は、互いに異なる直径を有する2つの孔(36a,36b)の組み合わせで構成されている。このうち他側に位置し且つ相対的に小さい直径を有する穴を小径孔36a、小径孔36aの一側に位置し且つ相対的に大きい直径を有する穴を大径孔36bとする。図示された例では、小径孔36aが第2ポート30bを構成する。小径孔36aの一側の端部は、大径孔36bに開口する開口部37となっている。大径孔36bは第2ケーシング35の一側の端面に開口している。大径孔36bの最も他側には、第2弁部材60の後述の第2接触部65を受ける支持面を有する第2段部38が形成されている。支持面は、一側を向き中心軸線Aと直交する面で構成されている。
【0046】
図3に示された例では、第1ケーシング31の貫通孔32及び第2ケーシング35の貫通孔36内に、弁構造体40が配置される。すなわち、貫通孔32,36内に、第1弁部材50、第2弁部材60及び押付部材70が配置される。これにより、弁構造体40は、ケーシング30の第1ポート30aと第2ポート30bとの間に配置される。また、第1ケーシング31の中径孔32b及び大径孔32c並びに第2ケーシング35の大径孔36bにより、内部空間Sが画定される。
【0047】
第1ケーシング31と第2ケーシング35との間には、密封部材75が配置されている。また、ケーシング30と外部部材90との間、とりわけ第1ケーシング31と外部部材90との間、には密封部材77が配置されている。密封部材75,77は、例えばOリングで構成され、第1ケーシング31と第2ケーシング35との間又はケーシング30と外部部材90との間から油が漏出することを防止する。
【0048】
第1弁部材(弁部材)50は、第2弁部材60と協働して、図2を参照して説明した制御弁24として機能するとともに、第1ケーシング31の第1段部33と協働して、図2を参照して説明したチェック弁28として機能する部材である。図3に示された例では、第1弁部材50は、一側から他側へ向かうにつれて段階的に大きくなるように互いに異なる断面寸法(直径)を有する3つの部分(50a~50c)の組み合わせで構成されている。すなわち、第1弁部材50は、軸線方向daに沿って最も一側に位置し且つ最も小さい直径を有する小径部50aと、最も他側に位置し且つ最も大きい直径を有する大径部50cと、小径部50aと大径部50cとの間に位置し且つ小径部50aの直径と大径部50cの直径との間の直径を有する中径部50bと、を有する。小径部50a、中径部50b及び大径部50cは、軸線方向daから見て、いずれも円形状の輪郭を有している。第1弁部材50は、大径部50cが油膜を介して第2ケーシング35の大径孔36bの内周面に接触しながら、軸線方向daに沿って移動可能である。
【0049】
小径部50aは、その一側が閉塞された概ね円筒状の形状を有している。小径部50aにおける軸線方向daに沿って延びる側面には、貫通孔として形成された複数の通路51が設けられている。通路51は、後述の中央通路54に開口する開口部52を有している。開口部52は、後述の第1接触部53の一側で、中央通路54から径方向に形成されている。また、図示された例では、通路51は、第1ケーシング31の第1ポート30a(小径孔32a)並びに外部部材90の凹部92及び流路96を介して、第1流体圧要素E1と通じている。
【0050】
第1弁部材50の外周面における小径部50aと中径部50bとの間には、第1弁部材50の移動方向すなわち軸線方向daに対して非平行なシート面を有する第1接触部(接触部)53が設けられている。シート面は、第1弁部材50の移動方向及び当該移動方向に直交する方向の両方に対して傾斜した方向に延びている。より詳細には、シート面は、中心軸線A上の中径部50bよりも一側の点を通り中心軸線Aに対して傾斜した直線を、中心軸線A周りに回転させて得られる円錐面の一部で形成される。第1弁部材50の小径部50aと中径部50bとは、第1接触部53を介して接続されている。第1接触部(接触部)53は、ケーシング30の内部空間Sにおいて、ケーシング30の第1ポート30aに接触可能に構成される。後述するように、流量制御弁20のケーシング30は、弁構造体40を第1弁部材50の移動方向において反転させても収容可能となっている。この場合、第1接触部(接触部)53は、ケーシング30の内部空間Sにおいて、ケーシング30の第2ポート30bに接触可能に構成される。したがって、弁構造体40は、ケーシング30の内部空間Sにおいて、ケーシング30の一方のポート30a,30bに接触可能な第1接触部53と、該一方のポート30a,30bから他方のポート30b,30aとの間に配置される絞り部62と、を有する。
【0051】
第1弁部材50が軸線方向daに沿って一側に移動し、第1接触部53が、中心軸線A周りの全周にわたって第1ケーシング31の第1段部33に接触すると、第1弁部材50の外周と第1ケーシング31の貫通孔32の内周との間、とりわけ第1接触部53と第1段部33との間、の油の流れが妨げられる。その一方、第1弁部材50が軸線方向daに沿って他側に移動し、第1接触部53が、第1段部33から離間すると、第1弁部材50の外周と第1ケーシング31の貫通孔32の内周との間の油の流れが許容される。
【0052】
第1弁部材50は、第2弁部材60の後述の軸部61を保持する中央通路54を有している。第1弁部材50の内部には、他側に開口する大径孔55と、大径孔55に開口する中央通路54が設けられている。中央通路54及び大径孔55は、軸線方向daから見て、いずれも円形状の輪郭を有している。大径孔55は、中央通路54の直径よりも大きい直径を有している。図示された例では、中央通路54は、中心軸線Aに沿って小径部50a及び中径部50bにわたって延びており、大径孔55は、大径部50cの内部に中心軸線Aに沿って延びている。図示された例では、中央通路54は、第1接触部53の移動方向の一側と他側とを結び、該一側を閉塞し、該他側を開放する。
【0053】
第1弁部材50の大径部50cには、大径部50cの外周面から内周面(大径孔55)へ通じる孔56が形成されている。孔56の断面積は、油の単位時間当たりの流量を実質的に制限しない程度の面積を有している。例えば、孔56の断面積は、第2弁部材60の後述の絞り部62の断面積よりも十分に大きな面積を有していることが好ましい。中央通路54と大径孔55とを接続する段部には、押付部材70を支持し押付部材70による押付け力を受ける第1支持部57が形成されている。第1支持部57は中心軸線Aと直交する面で構成されている。
【0054】
第2弁部材(他の弁部材)60は、軸部61と、軸部61の他側に位置する第2接触部65と、を有する。軸部61は、全体として略円筒状に形成されており、軸線方向daに沿って延びている。図示された例では、軸部61の長手方向に延びる中心軸は、中心軸線Aと一致している。すなわち、中心軸線Aは、軸部61の中心軸線であるともいえる。軸部61と第2接触部65とは一体に形成されており、軸部61は、第1弁部材50の中央通路54を軸線方向daに移動可能とされている。軸部61の内部には、中空部63が形成されている。中空部63は、一側で開口し他側で閉塞された穴として形成されている。すなわち、中空部63は、軸部61の移動方向の一側が開いており、他側が閉じている。中空部63は、中心軸線Aを含んで軸線方向daに沿って延びている。中空部63における中心軸線Aと直交する断面は、円形形状を有しており、軸線方向daに沿った各位置において互いに同一の寸法を有している。第2弁部材60は、第1弁部材50の中央通路54に移動可能に保持されている。とりわけ第2弁部材60の一側の端部(軸部61の先端部)64は、中央通路54内に保持されている。換言すると、軸部61の一側の端部64を含む一部が、中央通路54内に挿入されている。これにより、第2弁部材60は、第1弁部材50に対して軸線方向daに沿って、第1弁部材50の通路51の開口部52へ向かう向き(一側へ向かう向き)と、開口部52から離れる向き(他側へ向かう向き)とに移動可能とされている。そして、第2弁部材60の移動にともなって端部64で開口部52が部分的に閉塞される。また、開口部52が部分的に閉塞されることにより、開口部52の開口面積が変化する。したがって、第2弁部材60が第1弁部材50に接近するように移動することで、油の流路の開口部52の開口面積が変化する。
【0055】
第2弁部材60の軸部61には、中空部63に通じる絞り部62が形成されている。絞り部62は、第2弁部材60が最も一側に位置するときに中央通路54から露出する位置に形成されている。すなわち、絞り部62は、第2弁部材60がその移動範囲内のいずれの位置にある場合でも、常に中央通路54から露出する。図示された例では、絞り部62は、中心軸線Aと直交する方向に沿って延びている。すなわち、絞り部62は、中空部63から径方向に形成されている。絞り部62の延びる方向に直交する、絞り部62の断面は、円形形状を有しており、絞り部62の延びる方向に沿った各位置において互いに同一の寸法を有している。なお、これに限られず、絞り部62は、中心軸線Aの延びる方向(軸線方向da)及び中心軸線Aと直交する方向の両方に対して傾斜した方向に延びてもよい。また、絞り部62の断面は、絞り部62の延びる方向に沿った各位置において互いに異なる寸法を有していてもよい。例えば、絞り部62の断面は、絞り部62の延びる方向に沿った一部の範囲において、他の範囲における断面の寸法よりも小さな寸法を有していてもよい。絞り部62の最小断面積は、絞り部62を流れる油の単位時間当たりの流量を制限することができる程度に設定される。
【0056】
ケーシング30の内部空間Sは、第2弁部材60により、中空部63を含む第1圧力室C1と、絞り部62を介して中空部63と通じる第2圧力室C2と、に区画される。図示された例では、第1圧力室C1は、中空部63及び中央通路54内の空間であり、第2圧力室C2は、内部空間Sのうち第2弁部材60の外側の空間である。上述のように、通路51の開口部52は、中央通路54に開口している。したがって、開口部52は、第1圧力室C1に開口しているともいえる。図示された例では、第1圧力室C1は、開口部52を介して、第1ケーシング31の第1ポート30a(小径孔32a)並びに外部部材90の凹部92及び流路96に通じている。
【0057】
第2接触部65は、軸線方向daに沿って見たときに、軸部61の外寸法及び中央通路54の内寸法よりも大きな外寸法を有している。したがって、第2接触部65は、中央通路54内には進入できない。また、第2接触部65は、軸線方向daに沿って見たときに、貫通孔36の小径孔36aの内寸法よりも大きく、大径孔36bの内寸法よりも小さな外寸法を有している。したがって、第2接触部65は、大径孔36b内には進入できるが、小径孔36a内には進入できない。すなわち、第2弁部材60が他側に向かって移動したときには、第2接触部65が小径孔36aと大径孔36bとを接続する第2段部38に接触し、第2弁部材60はそれ以上他側には移動できない。
【0058】
第2接触部65の一側を向く面は、押付部材70を支持し押付部材70による押付け力を受ける第2支持部67を含んでいる。図示された例では、押付部材70はコイルばねであり、第2支持部67と第1支持部57との間に圧縮された状態で配置されている。したがって、押付部材70は、その弾性力によって当該押付部材70が伸長する向きに、換言すると第1弁部材50と第2弁部材60とが離れる向きに、押付け力を生じる。押付部材70をなすコイルばねは、軸部61の周囲を取り巻くように配置されている。なお、押付部材70としては、コイルばねに限られず、押付け力を生じ得る種々の部材が使用可能である。
【0059】
第2接触部65は、図4に示されているように、外周部に切欠き部66を有している。図示された例では、第2接触部65は、中心軸線Aに対して対称に2つの切欠き部66を有している。切欠き部66は、軸線方向daから見て、第2接触部65の外周部から、第2ケーシング35の小径孔36aの開口部37の輪郭を超えて内側へ向かって延びている。これにより、切欠き部66と開口部37との間には、隙間81が形成される。隙間81は、当該隙間81を流れる油の単位時間当たりの流量を実質的に制限しない程度の開口面積を有している。図示された例では、各切欠き部66は、第2接触部65の外周部を軸線方向daから見て直線状に切り欠いて形成されているが、切欠き部66の具体的形状はこれに限られない。例えば、切欠き部66は、第2接触部65の外周部から内側へ向かう溝状に形成されてもよい。また、第2接触部65は、1つの切欠き部66を有していてもよいし、3つ以上の切欠き部66を有していてもよい。なお、切欠き部66に代えて、第2接触部65に一側から他側へ貫通する貫通孔を設け、この貫通孔を隙間81としてもよい。
【0060】
次に、図3図5及び図6を参照して、流量制御弁20の動作について説明する。
【0061】
リモコン弁17が操作されておらず、パイロットポンプ16からのパイロット圧が流量制御弁20に作用していない場合、第1圧力室C1内の油の圧力と第2圧力室C2内の油の圧力とが等しくなる。図3に示されているように、第1弁部材50は、押付部材70の押付け力により、第2弁部材60と反対側(一側)に位置する。このとき、第1弁部材50の第1接触部53は、第1ケーシング31の第1段部33に押付けられる。また、第2弁部材60は、押付部材70の押付け力により、第1弁部材50と反対側(他側)に位置する。このとき、第2弁部材60の第2接触部65は、第2ケーシング35の第2段部38の支持面に押付けられる。図示された例では、このとき通路51の開口部52は、第2弁部材60の端部64で閉塞されておらず、開口部52は、当該開口部52を流れる油の単位時間当たりの流量を実質的に制限しない程度の開口面積を有している。
【0062】
第1弁部材50の第1接触部53がケーシング30(第1段部33)に接触した状態で、第1ポート30aと第2ポート30bとの間には、絞り部62を含む第1流路(流路)が形成される。具体的には、第1ポート30aと第2ポート30bとの間に、通路51、中央通路54、中空部63、絞り部62、隙間81を含む第1流路が形成される。したがって、第1弁部材50の第1接触部53がケーシング30に接触した状態では、絞り部62を迂回する流路(第2流路、他の流路)は遮断され、第1ポート30aと第2ポート30bとの間を流れる油は、必ず絞り部62を通ることになる。
【0063】
オペレータによりリモコン弁17の操作レバー18が操作され、パイロットポンプ16からのパイロット圧が第1流体圧要素E1(リモコン弁17)を通って流量制御弁20に作用した場合、パイロット圧は、流路96、凹部92、第1ポート30a(小径孔32a)及び通路51を介して第1圧力室C1内に導入される。このとき、絞り部62は、当該絞り部62を流れる油の単位時間当たりの流量を制限する。これにより、第1圧力室C1内の油の圧力が、第2圧力室C2内の油の圧力よりも大きくなる。詳細には、絞り部62の流量制限効果により、第1圧力室C1及び第1ポート30a内の油の圧力の上昇速度に対して、第2圧力室C2内の油の圧力の上昇速度が遅くなり、第1圧力室C1及び第1ポート30a内の油の圧力と第2圧力室C2内の油の圧力との間に差(差圧)が生じる。
【0064】
この差圧がある大きさを超えると、この差圧により生じる第1弁部材50を第2弁部材60側(他側)へ向けて押す力が、押付部材70による第1弁部材50を第2弁部材60と反対側(一側)へ向けて押す力よりも大きくなり、第1弁部材50は、第2弁部材60側へ向かって移動する。これにより、第1弁部材50の第1接触部53は、第1ケーシング31の第1段部33から離間する。このとき、第1接触部53と第1段部33との間の隙間83を介して、第1ポート30aと第2圧力室C2とが通じる。したがって、図5に示されているように、第1流体圧要素E1から第1ポート30aへ流入した油は、隙間83、孔56、大径孔55、隙間81及び第2ポート30b(小径孔36a)を順に通って第2流体圧要素E2へ向かって流れる。これにより、第2流体圧要素E2が動作する。
【0065】
第1弁部材50の第1接触部53が第1ケーシング31の第1段部33から離間すると、隙間83を介して第1ポート30aから第2圧力室C2へ速やかに油が流入し、第1圧力室C1及び第1ポート30a内の油の圧力と第2圧力室C2内の油の圧力との差(差圧)が小さくなる。この差圧が小さくなることにより、第1弁部材50を第2弁部材60側へ向けて押す力が小さくなり、第1弁部材50は、押付部材70の押付け力により第2弁部材60と反対側へ向けて押し戻される。このとき、隙間83が小さくなることにより、第1圧力室C1及び第1ポート30aと第2圧力室C2との間に新たに差圧が生じ、これにより第1弁部材50は、押付部材70の押付け力に抗して、第2弁部材60側へ向けて押される。したがって、第1弁部材50は、押付部材70による第1弁部材50を第2弁部材60と反対側へ押す押付け力と、第1圧力室C1及び第1ポート30aと第2圧力室C2との間に生じる差圧による第1弁部材50を他側へ押す押付け力と、が釣り合う位置にて停止する。なお、第1圧力室C1及び第1ポート30aと第2圧力室C2との間に生じる差圧の微小な変動により、第1弁部材50は完全には停止せず、その位置がわずかに変動することもある。
【0066】
第1弁部材50の第1接触部53がケーシング30(第1段部33)から離間した状態で、第1ポート30aと第2ポート30bとの間には、絞り部62を迂回する第2流路(他の流路)が形成される。具体的には、第1ポート30aと第2ポート30bとの間に、隙間83、孔56、大径孔55、隙間81を含む第2流路が形成される。したがって、第1弁部材50の第1接触部53がケーシング30から離間した状態では、第1ポート30aと第2ポート30bとの間を流れる油の大部分は、絞り部62を通ることなく流れる。なお、この場合であっても、第1ポート30aと第2ポート30bとの間を流れる油の一部は、絞り部62を通過し得る。
【0067】
オペレータによりリモコン弁17の操作レバー18が操作され、第1圧力室C1及び第1ポート30aが凹部92、流路96及び第1流体圧要素E1(リモコン弁17)を介してタンク19と通じると、第1圧力室C1及び第1ポート30aと第2圧力室C2との間の差圧が急激に低下する。すなわち、第1弁部材50を第2弁部材60側へ向けて押す押付け力が急激に低下する。これにより、第1弁部材50が押付部材70の押付け力により第2弁部材60と反対側へ移動し、第1弁部材50の第1接触部53が第1ケーシング31の第1段部33に押付けられ、隙間83が閉塞される。したがって、第1圧力室C1と第2圧力室C2とは、絞り部62でのみ互いに通じる。これにより、第2圧力室C2内の油の圧力が、第1圧力室C1内の油の圧力よりも大きくなる。詳細には、絞り部62の流量制限効果により、第1圧力室C1内の油の圧力の下降速度に対して、第2圧力室C2内の油の圧力の下降速度が遅くなり、第1圧力室C1内の油の圧力と第2圧力室C2内の油の圧力との間に差(差圧)が生じる。この差圧による押付け力により、図6に示されているように、第2弁部材60は、押付部材70の押付け力に抗して、第1弁部材50側(一側)へ移動する。
【0068】
第2弁部材60が第1弁部材50に接近するように移動することで、絞り部62を含む流路は部分的に閉塞される。具体的には、第2弁部材60の移動にともなって、通路51の開口部52が、第2弁部材60の端部64で部分的に閉塞される。このとき、第1圧力室C1と第2圧力室C2との間の差圧が大きくなるにつれて、この差圧による第1弁部材50側へ向かう押付け力と、押付部材70による第1弁部材50側と反対側へ向かう押付け力と、の差が大きくなり、第2弁部材60が一側へ移動して端部64が開口部52を大きく閉塞し、開口部52の開口面積は小さくなる。開口部52の開口面積が小さくなると、当該開口部52を流れる油の単位時間当たりの流量が制限される。したがって、第2弁部材60の端部64により部分的に閉塞された開口部52は、絞り部62に対する追加の絞り部として機能する。
【0069】
開口部52の開口面積が、絞り部62の断面積(最小断面積)よりも小さくなると、開口部52により当該開口部52を流れる油の単位時間当たりの流量が大きく制限される一方、絞り部62を介して、第2圧力室C2から第1圧力室C1内に油が流入する。これにより、第1圧力室C1内の油の圧力が上昇し、第1圧力室C1と第2圧力室C2との間の差圧が小さくなる。そうすると、この差圧による第1弁部材50側へ向かう押付け力と、押付部材70による第1弁部材50側と反対側へ向かう押付け力と、の差が小さくなり、第2弁部材60が第1弁部材50側と反対側(他側)へ移動して第2弁部材60の端部64による開口部52の閉塞領域が小さくなり、開口部52の開口面積は大きくなる。したがって、通路51の開口部52が端部64で部分的に閉塞され、これにより第2弁部材60は、第1圧力室C1と第2圧力室C2との間に生じる差圧による第2弁部材60を第1弁部材50側へ押す押付け力と、押付部材70による第1弁部材50側と反対側へ向かう押付け力と、が釣り合う位置にて停止する。なお、第1圧力室C1と第2圧力室C2との間に生じる差圧の微小な変動により、第2弁部材60は完全には停止せず、その位置がわずかに変動することもある。また、第2弁部材60は、その移動の途中において、その端部64が一時的に開口部52を完全に閉塞することもある。したがって、本明細書において、「開口部52が部分的に閉塞される」とは、一時的に開口部52が完全に閉塞される場合をも含む。
【0070】
図3図5及び図6を参照して説明した例では、絞り部62が、図2を参照して説明した例における絞り部22の機能を発揮する。また、開口部52及び第2弁部材60の端部64が、図2を参照して説明した例における制御弁24の機能を発揮する。さらに、第1弁部材50の第1接触部53及び第1ケーシング31の第1段部33が、図2を参照して説明した例におけるチェック弁28の機能を発揮する。これにより、流量制御弁20は、第1ポート30aから第2ポート30bへ向かう油の流量、すなわち第1流体圧要素E1から第2流体圧要素E2へ向かう油の流量、が急速に増大することを許容する。その一方、流量制御弁20は、第2ポート30bから第1ポート30aへ向かう油の流量、すなわち第2流体圧要素E2から第1流体圧要素E1へ向かう油の流量、が急速に増大することを妨げる。したがって、流量制御弁20は、図1を参照して説明した例において、スプール14がその軸方向に沿った一端(右端)側へ向かって急激に移動することにより、油圧ポンプ11から吐出された油によって駆動される油圧アクチュエータ12が急停止してフロントリンケージの大きな慣性力に起因する衝撃が生じることを軽減する機能(ショックレス機能)を発揮する。
【0071】
本実施の形態では、図7に示されているように、流量制御弁20のケーシング30は、弁構造体40を第1弁部材50の移動方向において反転させても収容可能となっている。この場合、第2ケーシング35の小径孔36aの開口部37が第1段部33を構成する。第1弁部材50及び第2弁部材60を反転して配置した場合、図3図5及び図6を参照して説明した例とは逆に、流量制御弁20は、第2ポート30bから第1ポート30aへ向かう油の流量、すなわち第2流体圧要素E2から第1流体圧要素E1へ向かう油の流量、が急速に増大することを許容する。その一方、流量制御弁20は、第1ポート30aから第2ポート30bへ向かう油の流量、すなわち第1流体圧要素E1から第2流体圧要素E2へ向かう油の流量、が急速に増大することを妨げる。したがって、本実施の形態の流量制御弁20では、第1弁部材50及び第2弁部材60を第1弁部材50の移動方向において反転させるだけで、図3図5及び図6を参照して説明した例とは異なる機能を発揮する流量制御弁を得ることができる。とりわけ、本実施の形態の流量制御弁20では、第1弁部材50及び第2弁部材60を第1弁部材50の移動方向において反転させるだけで、図3図5及び図6を参照して説明した例とは逆方向にショックレス機能を発揮し得る流量制御弁を得ることができる。
【0072】
ここで、中心軸線Aに直交する方向に沿った、第1弁部材50の小径部50aの幅(外径)をWとし、中径部50bの幅(外径)をWとし、第2弁部材60の第2接触部65の幅(外径且つ最大幅)をWとし、第1ケーシング31の小径孔32aの幅(内径)をWとし、第2ケーシング35の小径孔36aの幅(内径)をWとする。本実施の形態では、幅W及び幅Wは、いずれも幅Wよりも大きく幅Wよりも小さい。また、幅W及び幅Wは、いずれも幅Wよりも小さい。これにより、第1弁部材50及び第2弁部材60を第1弁部材50の移動方向において反転させても、ショックレス機能を発揮し得る流量制御弁を得ることができる。第1弁部材50及び第2弁部材60を反転させた際に、反転前の流量制御弁20と同一特性を有する流量制御弁を得るためには、幅Wと幅Wとを互いに同一寸法とする。その一方、第1弁部材50及び第2弁部材60を反転させた際に、反転前の流量制御弁20と異なる特性を有する流量制御弁を得るためには、幅Wと幅Wとを互いに異なる寸法とすることができる。
【0073】
本発明の流量制御弁20は、二つのポート30a,30bと、段部33,38を有する形状であって二つのポート30a,30bに接続する内部空間Sと、を有するケーシング30と、二つのポート30a,30bの間を結ぶ流路に設けられる絞り部62と、移動方向に対して非平行な面53aを有し段部33,38に接触することで他の流路を遮断可能とする接触部53と、接触部53をケーシング30の段部33,38に接触可能なように押し付ける押付部材70と、を有し、ケーシング30の内部空間S内に移動可能に収容される弁構造体40と、を備える。
【0074】
本発明の流量制御弁20は、二つのポート30a,30bと、該二つのポート30a,30bを内部で結ぶ内部空間Sと、を有するケーシング30と、ケーシング30の内部空間Sにおいて、ケーシング30の一方のポート30a,30bに接触可能な接触部53と、該一方のポート30a,30bから他方のポート30b,30aとの間に配置される絞り部62と、を有する弁構造体40と、を備え、弁構造体40の接触部53が、ケーシング30に接触した状態で、二つのポート30a,30bの間に絞り部62を介した流路が形成され、弁構造体40の接触部53が、ケーシング30から離間した状態で、絞り部62を迂回する流路が形成される。
【0075】
本発明の流量制御弁20は、二つのポート30a,30bと、第1段部33及び第2段部38を有する形状であって二つのポート30a,30bに接続する内部空間Sと、を有するケーシング30と、ケーシング30の内部空間S内に移動可能に収容され、移動方向に対して非平行な面53aを持ち、第1段部33に接触可能な第1接触部53と、第1接触部53の移動方向の一側と他側とを結び、該一側を閉塞し、該他側を開放する中央通路54と、第1接触部53の一側で、中央通路54から径方向に形成される開口部52と、
を備える第1弁部材50と、ケーシング30の内部空間S内に移動可能に収納され、ケーシング30の第2段部38と接触可能な第2接触部65と、第2接触部65と一体に形成し、第1弁部材50の中央通路54を軸線方向daに移動可能な軸部61と、軸部61の移動方向の一側が開いており、他側が閉じている中空部63と、中空部63から径方向に形成される絞り部62と、を備える第2弁部材60と、第1弁部材50と第2弁部材60と離間させる押付部材70と、を備える。
【0076】
本発明の作業機械は、上述の流量制御弁20を備える
【0077】
このような流量制御弁20及び作業機械によれば、弁部材50の第1接触部53がケーシング30に接触した状態と、ケーシング30から離間した状態とで、絞り部62を含む流路と、絞り部62を迂回する流路との切り換えを行うことができる。したがって、弁部材50の第1接触部53がケーシング30に接触した状態と、ケーシング30から離間した状態とで、流量制御弁20に異なる流量制御機能を付与することができる。この場合、第1接触部53がケーシング30から離間することにより、油の流路が、絞り部62を含む流路から絞り部62を迂回する流路へ瞬時に切り換えられる。したがって、流量制御弁20において応答遅れが生じることを効果的に防止することができる。また、弁部材50を含む弁構造体40の少なくとも一部を交換することにより、ケーシング30を交換することなく流量制御弁20にさらに異なる流量制御機能を付与することが可能になる。これにより、流量制御弁20の機能を変更する際の交換部品点数を効果的に削減することができる。
【0078】
本発明の流量制御弁20では、接触部53は弁部材50に形成され、絞り部62は他の弁部材60に形成され、押付部材70は弁部材50と他の弁部材60とを離間するよう押し付ける。
【0079】
また、本発明の流量制御弁20は、他の弁部材60が弁部材50に接近するように移動することで、流路の開口部52の開口面積が変化する。
【0080】
このような流量制御弁20によれば、絞り部62を含む流路における他の弁部材60により部分的に閉塞される部分を追加の絞り部として機能させることができる。したがって、流体回路中を流れる流体の単位時間当たりの流量を大きく制限することが要求される場合に、極めて小さな断面寸法を有する絞り部を設ける必要がない。これにより、高い流量制御機能を発揮する流量制御弁20を、容易に製造することが可能になる。なお、他の弁部材60により部分的に閉塞される部分(本実施の形態では通路51の開口部52)は、他の弁部材60(端部64)により部分的に閉塞されることにより開口面積が変更可能な絞り部として機能するので、当該部分を極めて小さな断面寸法を有する孔として形成する必要はない。
【0081】
流体回路が油圧回路である場合、絞り部を流れる油の単位時間当たりの流量は、当該油の温度の影響を大きく受ける。高温では油の粘度は小さいが、低温では油の粘度は大きくなる。一般に油の粘度は大きな温度依存性を有しているため、極めて小さな断面寸法を有する絞り部を用いた場合、高温においては絞り部を流れる油の単位時間当たりの流量が多くなり流量制限効果が小さくなる一方、低温においては絞り部を流れる油の単位時間当たりの流量が極端に少なくなり、精度の高い流量制御が困難になる。これに対して、本発明の流量制御弁20によれば、比較的大きな断面寸法を有する孔を絞り部62として用いることができるので、流量制御弁20を流れる油の単位時間当たりの流量が、当該油の温度の影響を受けることを抑制し、精度の高い流量制御が可能になる。
【0082】
本発明の流量制御弁20では、ケーシング30は、弁構造体40を移動方向において反転させても収容可能である。
【0083】
このような流量制御弁20によれば、弁部材50及び他の弁部材60を弁部材50の移動方向において反転させるだけで、異なる機能、とりわけ逆方向のショックレス機能、を発揮する流量制御弁を得ることができる。これにより、流量制御弁20の機能を変更する際の交換部品点数をさらに効果的に削減することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 油圧回路
11 油圧ポンプ
12 油圧アクチュエータ
13 スプール弁
16 パイロットポンプ
17 リモコン弁
19 タンク
20 流量制御弁
30 ケーシング
30a 第1ポート
30b 第2ポート
31 第1ケーシング
33 第1段部
35 第2ケーシング
40 弁構造体
50 第1弁部材
51 通路
52 開口部
53 第1接触部
54 中央通路
60 第2弁部材
61 軸部
62 絞り部
63 中空部
64 端部
65 第2接触部
66 切欠き部
70 押付部材
A 中心軸線
E1 第1流体圧要素
E2 第2流体圧要素
C1 第1圧力室
C2 第2圧力室
S 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7