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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
G09F9/30 330
G09F9/30 308Z
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/30 348Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019033080
(22)【出願日】2019-02-26
(65)【公開番号】P2019152857
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2018-0024734
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】朴 注 燦
(72)【発明者】
【氏名】金 善 浩
(72)【発明者】
【氏名】李 善 熙
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0077447(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106783917(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0047802(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0079629(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0118451(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/30-9/46
H01L21/336
29/786
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素回路、及び、前記複数の画素回路のそれぞれに連結された複数のディスプレイ素子を具備して画像を具現するディスプレイ領域、並びに、前記ディスプレイ領域の外側の周辺領域を含む基板と、
前記ディスプレイ領域に配置され、互いに隣接した第1画素回路と第2画素回路との間の領域に、穴または溝として形成された下部バレーを有する下部無機絶縁層と、
前記下部バレーを充填するとともに、前記第1画素回路及び前記第2画素回路を含む領域にわたって全面に配置された第1有機平坦化層と、
前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する連結配線と、を含み、
前記連結配線は、前記第1有機平坦化層を貫通する第1コンタクトホールを介して、前記第1画素回路に配置された第1導電層と連結され、前記第1有機平坦化層を貫通する第2コンタクトホールを介して、前記第2画素回路に配置された第2導電層と連結され
前記連結配線に沿った第1方向へと、一つまたは複数の画素を横切るごとに、前記下部バレーを横切ることとなるように、前記下部バレーが配置されているディスプレイ装置。
【請求項2】
前記第1方向に交差する第2方向へと、一つまたは複数の画素を横切るごとにも、前記下部バレーを横切ることとなるように、前記下部バレーが配置されている、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
複数の画素回路、及び、前記複数の画素回路のそれぞれに連結された複数のディスプレイ素子を具備して画像を具現するディスプレイ領域、並びに、前記ディスプレイ領域の外側の周辺領域を含む基板と、
前記ディスプレイ領域に配置され、互いに隣接した第1画素回路と第2画素回路との間の領域に、穴または溝として形成された下部バレーを有する下部無機絶縁層と、
前記下部バレーを充填するとともに、前記第1画素回路及び前記第2画素回路を含む領域にわたって全面に配置された第1有機平坦化層と、
前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する連結配線と、を含み、
前記連結配線は、前記第1有機平坦化層を貫通する第1コンタクトホールを介して、前記第1画素回路に配置された第1導電層と連結され、前記第1有機平坦化層を貫通する第2コンタクトホールを介して、前記第2画素回路に配置された第2導電層と連結され、
前記下部無機絶縁層は、第1ゲート絶縁層、及び、前記第1ゲート絶縁層上に配置された第2ゲート絶縁層を含み、
前記第1導電層及び前記第2導電層は、前記第1ゲート絶縁層上で、前記下部バレーを挟んで離隔されて配置され、
前記第2ゲート絶縁層は、前記第1導電層及び前記第2導電層を覆い、
前記の第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールは、前記第2ゲート絶縁層をも貫通することを特徴とすディスプレイ装置。
【請求項4】
複数の画素回路、及び、前記複数の画素回路のそれぞれに連結された複数のディスプレイ素子を具備して画像を具現するディスプレイ領域、並びに、前記ディスプレイ領域の外側の周辺領域を含む基板と、
前記ディスプレイ領域に配置され、互いに隣接した第1画素回路と第2画素回路との間の領域に、穴または溝として形成された下部バレーを有する下部無機絶縁層と、
前記下部バレーを充填するとともに、前記第1画素回路及び前記第2画素回路を含む領域にわたって全面に配置された第1有機平坦化層と、
前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する連結配線と、を含み、
前記連結配線は、前記第1有機平坦化層を貫通する第1コンタクトホールを介して、前記第1画素回路に配置された第1導電層と連結され、前記第1有機平坦化層を貫通する第2コンタクトホールを介して、前記第2画素回路に配置された第2導電層と連結され、
前記下部バレーは、前記複数の画素回路のうちの少なくとも一部のものを取り囲むように配置されることを特徴とすディスプレイ装置。
【請求項5】
複数の画素回路、及び、前記複数の画素回路のそれぞれに連結された複数のディスプレイ素子を具備して画像を具現するディスプレイ領域、並びに、前記ディスプレイ領域の外側の周辺領域を含む基板と、
前記ディスプレイ領域に配置され、互いに隣接した第1画素回路と第2画素回路との間の領域に、穴または溝として形成された下部バレーを有する下部無機絶縁層と、
前記下部バレーを充填するとともに、前記第1画素回路及び前記第2画素回路を含む領域にわたって全面に配置された第1有機平坦化層と、
前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する連結配線と、を含み、
前記連結配線は、前記第1有機平坦化層を貫通する第1コンタクトホールを介して、前記第1画素回路に配置された第1導電層と連結され、前記第1有機平坦化層を貫通する第2コンタクトホールを介して、前記第2画素回路に配置された第2導電層と連結され、
前記連結配線上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路との間の領域に、穴または溝として形成された上部バレーを有する層間絶縁層をさらに含み、
前記上部バレーを充填し、前記第1画素回路及び前記第2画素回路を含む領域にわたって全面に配置される第2有機平坦化層をさらに含むことを特徴とすディスプレイ装置。
【請求項6】
複数の画素回路、及び、前記複数の画素回路のそれぞれに連結された複数のディスプレイ素子を具備して画像を具現するディスプレイ領域、並びに、前記ディスプレイ領域の外側の周辺領域を含む基板と、
前記ディスプレイ領域に配置され、互いに隣接した第1画素回路と第2画素回路との間の領域に、穴または溝として形成された下部バレーを有する下部無機絶縁層と、
前記下部バレーを充填するとともに、前記第1画素回路及び前記第2画素回路を含む領域にわたって全面に配置された第1有機平坦化層と、
前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する連結配線と、を含み、
前記連結配線は、前記第1有機平坦化層を貫通する第1コンタクトホールを介して、前記第1画素回路に配置された第1導電層と連結され、前記第1有機平坦化層を貫通する第2コンタクトホールを介して、前記第2画素回路に配置された第2導電層と連結され、
前記複数の画素回路は、前記第2画素回路と隣接した第3画素回路を含み、
前記連結配線と同一の配線パターン層中に配置され、前記第2画素回路と前記第3画素回路とを連結する追加連結配線と、
前記追加連結配線上に配置され、前記第2画素回路と前記第3画素回路との間の領域に上部バレーを有する層間絶縁層と、をさらに含むことを特徴とすディスプレイ装置。
【請求項7】
前記追加連結配線は、前記連結配線と一体に形成されたことを特徴とする請求項に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
複数の画素回路、及び、前記複数の画素回路のそれぞれに連結された複数のディスプレイ素子を具備して画像を具現するディスプレイ領域、並びに、前記ディスプレイ領域の外側の周辺領域を含む基板と、
前記ディスプレイ領域に配置され、互いに隣接した第1画素回路と第2画素回路との間の領域に、穴または溝として形成された下部バレーを有する下部無機絶縁層と、
前記下部バレーを充填するとともに、前記第1画素回路及び前記第2画素回路を含む領域にわたって全面に配置された第1有機平坦化層と、
前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する連結配線と、を含み、
前記連結配線は、前記第1有機平坦化層を貫通する第1コンタクトホールを介して、前記第1画素回路に配置された第1導電層と連結され、前記第1有機平坦化層を貫通する第2コンタクトホールを介して、前記第2画素回路に配置された第2導電層と連結され、
前記複数の画素回路は、いずれも、
駆動薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタを具備し、
前記駆動薄膜トランジスタとストレージキャパシタとは、重ね合わされて配置されたことを特徴とすディスプレイ装置。
【請求項9】
複数の画素回路、及び、前記複数の画素回路のそれぞれに連結された複数のディスプレイ素子を具備して画像を具現するディスプレイ領域、並びに、前記ディスプレイ領域の外側の周辺領域を含む基板と、
前記ディスプレイ領域に配置され、互いに隣接した第1画素回路と第2画素回路との間の領域に、穴または溝として形成された下部バレーを有する下部無機絶縁層と、
前記下部バレーを充填するとともに、前記第1画素回路及び前記第2画素回路を含む領域にわたって全面に配置された第1有機平坦化層と、
前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する連結配線と、を含み、
前記連結配線は、前記第1有機平坦化層を貫通する第1コンタクトホールを介して、前記第1画素回路に配置された第1導電層と連結され、前記第1有機平坦化層を貫通する第2コンタクトホールを介して、前記第2画素回路に配置された第2導電層と連結され、
前記周辺領域において、1方向に延長されたベンディング軸を中心にベンディングされたベンディング領域に配置されたベンディング有機物層と、
前記ベンディング有機物層上を、前記第1方向と交差する第2方向へと通り過ぎるように延びるファンアウト配線と、を含むことを特徴とすディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第1導電層と前記第2導電層は、前記下部バレーを挟んで離隔されて配置され、前記第1導電層と前記第2導電層は、前記下部無機絶縁層の上面に配置されたことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
画像を具現するディスプレイ領域に、第1方向に順次配置された第1画素回路、第2画素回路及び第3画素回路を含むディスプレイ装置において、
前記第1画素回路と前記第2画素回路との間の第1領域に、穴または溝として形成された第1下部バレーを有する下部無機絶縁層と、
前記第1下部バレーを充填するとともに、前記第1画素回路、第2画素回路及び第3画素回路を含む領域にわたって全面に配置される第1有機平坦化層と、
前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1領域と重ねられて配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する第1連結配線と、
前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第2画素回路と前記第3画素回路とを連結する第2連結配線と、
前記第1連結配線及び前記第2連結配線を覆うように配置され、前記第2画素回路と前記第3画素回路との間の第2領域に、穴または溝として形成された第2上部バレーを有する層間絶縁層と、
前記第2上部バレーを充填するとともに、前記第1画素回路、第2画素回路及び第3画素回路を含む領域にわたって全面に配置される第2有機平坦化層と、を含むディスプレイ装置。
【請求項12】
前記層間絶縁層は、前記第1領域に対応するように、穴または溝として形成された第1上部バレーをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記下部無機絶縁層は、前記第2領域に対応するように、穴または溝として形成された第2下部バレーをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記層間絶縁層上に配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延長された縦連結配線をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記縦連結配線は、駆動電圧線及びデータ線を含むことを特徴とする請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記下部無機絶縁層は、第1ゲート絶縁層、及び前記第1ゲート絶縁層上に配置された第2ゲート絶縁層を含み、
前記第1領域にて、前記第1ゲート絶縁層上に配置された第1導電層と、
前記第2領域にて、前記第1ゲート絶縁層上に配置された第2導電層と、をさらに含み、
前記第1導電層と前記第2導電層とは、前記第1下部バレーを挟んで離隔されて配置され、
前記第1連結配線は、前記第1有機平坦化層及び前記第1ゲート絶縁層を貫通する、第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを介して、前記第1導電層と前記第2導電層とにそれぞれ連結されることを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
前記第1下部バレー及び前記第2上部バレーのうち少なくとも一方は、前記複数の画素回路のうちの少なくとも一部のものを取り囲むように配置されることを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項18】
前記第1画素回路及び前記第2画素回路は、いずれも、駆動薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタを含み、前記駆動薄膜トランジスタとストレージキャパシタとは、互いに重ね合わされ、
前記第1画素回路のストレージキャパシタの上部電極と、前記第2画素回路のストレージキャパシタの上部電極は、前記第1連結配線のうちの一つのものであるメッシュ連結線によって連結されたことを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項19】
前記第1画素回路、第2画素回路及び第3画素回路は、いずれも、
画素電極、前記画素電極と対向する対向電極、及び、前記画素電極と前記対向電極との間に介在される有機発光層を含む中間層を含む有機発光素子と、
前記有機発光素子を覆う封止層と、をさらに具備し、
前記封止層は、第1無機封止層と、第2無機封止層と、前記第1無機封止層と前記第2無機封止層との間に介在された有機封止層と、を含むことを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【請求項20】
前記ディスプレイ装置は、ディスプレイ領域が、折り畳み可能、または、巻き取り可能であることを特徴とする請求項11に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ディスプレイ装置は、ディスプレイ素子、及び該ディスプレイ素子に印加される電気的信号を制御するための電子素子を含む。該電子素子は、薄膜トランジスタ(TFT:thin film transistor)、ストレージキャパシタ、及び複数の配線を含む。
【0003】
該ディスプレイ素子の発光のオンオフ及び発光の程度を正確に制御するために、1つのディスプレイ素子に電気的に連結される薄膜トランジスタの個数が増加し、そのような薄膜トランジスタに電気的信号を伝達する配線の本数も増加したのである。このような増加に伴い、該ディスプレイ装置の高集積化を具現すると共に、不良発生を低減させることができる方案に対する研究が活発に進められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、外部衝撃に剛健でありながらも柔軟でありうるディスプレイ装置を提供することである。
【0005】
しかし、そのような課題は、例示的なものであり、それにより、本発明の範囲が限定されるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、複数の画素回路、及び前記複数の画素回路それぞれに連結された複数のディスプレイ素子を具備して画像を具現するディスプレイ領域、並びに前記ディスプレイ領域外側の周辺領域を含む基板;前記ディスプレイ領域に配置され、互いに隣接した第1画素回路と第2画素回路との間の領域に、穴(hole)または溝(groove)として形成された下部バレー(valley)を有する下部無機絶縁層;前記下部バレーを充填しながら、前記第1画素回路及び前記第2画素回路に全面的に配置される第1有機平坦化層;及び前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する連結配線;を含み、前記連結配線は、前記第1有機平坦化層を貫通する第1コンタクトホールを介して、前記第1画素回路に配置された第1導電層と連結され、前記第1有機平坦化層を貫通する第2コンタクトホールを介して、前記第2画素回路に配置された第2導電層と連結されるディスプレイ装置を開示する。
【0007】
一実施形態において、前記第1導電層と前記第2導電層は、前記下部バレーを挟んで離隔されて配置され、前記第1導電層と前記第2導電層は、前記下部無機絶縁層の上面にも配置される。
【0008】
一実施形態において、前記下部無機絶縁層は、第1ゲート絶縁層、及び前記第1ゲート絶縁層上に配置された第2ゲート絶縁層を含み、前記第1導電層及び前記第2導電層は、前記第1ゲート絶縁層上で、前記下部バレーを挟んで離隔されて配置され、前記第2ゲート絶縁層は、前記第1導電層及び前記第2導電層を覆い、前記第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールは、前記第2ゲート絶縁層を貫通することができる。
【0009】
一実施形態において、前記下部バレーは、前記複数の画素回路のうち少なくとも一部を取り囲みながら配置される。
【0010】
一実施形態において、前記連結配線上に配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路との間の領域に、開口またはグルーブによって形成された上部バレーを有する層間絶縁層をさらに含んでもよい。
【0011】
一実施形態において、前記上部バレーを充填し、前記第1画素回路及び前記第2画素回路に全面的に配置される第2有機平坦化層をさらに含んでもよい。
【0012】
一実施形態において、前記複数の画素回路は、前記第2画素回路と隣接した第3画素回路を含み、前記連結配線と同一層に配置され、前記第2画素回路と前記第3画素回路とを連結する追加連結配線;及び前記追加連結配線上に配置され、前記第2画素回路と前記第3画素回路との間の領域に上部バレーを有する層間絶縁層;をさらに含んでもよい。
【0013】
一実施形態において、前記追加連結配線は、前記連結配線と一体にも形成される。
【0014】
一実施形態において、前記複数の画素回路それぞれは、駆動薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタを具備し、前記駆動薄膜トランジスタとストレージキャパシタは、重畳されても配置される。
【0015】
一実施形態において、前記周辺領域において、前記第1方向に延長されたベンディング軸を中心にベンディングされたベンディング領域に配置されたベンディング有機物層;及び前記ベンディング有機物層上部を、前記第2方向に過ぎるファンアウト配線を含んでもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態は、画像を具現するディスプレイ領域に、第1方向に順次配置された第1画素回路、第2画素回路及び第3画素回路を含むディスプレイ装置において、前記第1画素回路と前記第2画素回路との間の第1領域に、穴(hole)または溝(groove)として形成された第1下部バレーを有する下部無機絶縁層;前記第1下部バレーを充填しながら、前記第1画素回路、第2画素回路及び第3画素回路に全面的に配置される第1有機平坦化層;前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第1領域と重畳配置され、前記第1画素回路と前記第2画素回路とを連結する第1連結配線;前記第1有機平坦化層上に配置され、前記第2画素回路と前記第3画素回路とを連結する第2連結配線;前記第1連結配線及び前記第2連結配線上に配置され、前記第2画素回路と前記第3画素回路との間の第2領域に、開口またはグルーブによって形成された第2上部バレーを有する層間絶縁層;及び前記第2上部バレーを充填しながら、前記第1画素回路、第2画素回路及び第3画素回路に全面的に配置される第2有機平坦化層;を含むディスプレイ装置を開示する。
【0017】
一実施形態において、前記層間絶縁層は、前記第1領域に対応するように、開口またはグルーブによって形成された第1上部バレーをさらに含んでもよい。
【0018】
一実施形態において、前記下部無機絶縁層は、前記第2領域に対応するように、開口またはグルーブによって形成された第2下部バレーをさらに含んでもよい。
【0019】
一実施形態において、前記層間絶縁層上に配置され、前記第1方向と交差する第2方向に延長された縦連結配線をさらに含んでもよい。
【0020】
一実施形態において、前記縦連結配線は、駆動電圧線及びデータ線を含んでもよい。
【0021】
一実施形態において、前記下部無機絶縁層は、第1ゲート絶縁層、及び前記第1ゲート絶縁層上に配置された第2ゲート絶縁層を含み、前記第1画素領域において、前記第1ゲート絶縁層上に配置された第1導電層;及び前記第2画素領域において、前記第1ゲート絶縁層上に配置された第2導電層;をさらに含み、前記第1導電層及び前記第2導電層は、前記下部バレーを挟んで離隔されて配置され、前記第1連結配線は、前記第1有機平坦化層及び前記第1ゲート絶縁層を貫通する第1コンタクトホール及び第2コンタクトホールを介して、前記第1導電層と前記第2導電層とにそれぞれ連結されうる。
【0022】
一実施形態において、前記下部バレー及び前記上部バレーのうち少なくとも一つは、前記複数の画素回路のうちの少なくとも一部のものを取り囲むように配置される。
【0023】
一実施形態において、前記第1画素回路及び前記第2画素回路は、それぞれ駆動薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタを含み、前記駆動薄膜トランジスタとストレージキャパシタは、互いに重畳され、前記第1画素回路のストレージキャパシタの上部電極と前記第2画素回路のストレージキャパシタの上部電極は、前記第1連結配線の1本のメッシュ連結線によって連結されうる。
【0024】
一実施形態において、前記第1画素回路、第2画素回路及び第3画素回路それぞれは、画素電極、前記画素電極と対向する対向電極、及び前記画素電極と前記対向電極との間に介在される有機発光層を含む中間層を含む有機発光素子;及び前記有機発光素子を覆う封止層;をさらに具備し、前記封止層は、第1無機封止層と、第2無機封止層と、前記第1無機封止層と前記第2無機封止層との間に介在された有機封止層と、を含んでもよい。
【0025】
一実施形態において、前記ディスプレイ装置は、ディスプレイ領域が折り畳まれるか、あるいは巻き取られる。
【発明の効果】
【0026】
前述のように、本発明の実施形態によるディスプレイ装置は、下部バレーを有する下部無機絶縁層及びそれを充填する有機平坦化層を具備するのであり、外部衝撃に対して剛健でありながら柔軟でもある。
【0027】
ここで、そのような効果により、本発明の範囲が限定されるものではないということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置を概略的に示した図面である。
図2】本発明の一実施形態による有機発光表示装置を概略的に示したブロック図である。
図3図1のディスプレイ装置に具備された1つの画素の等価回路図である。
図4】互いに隣接した2つ画素における複数の薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ及び画素電極の位置を概略的に示した配置図である。
図5図4に図示された複数個の薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ及び画素電極といった構成要素を配線パターン層別に概略的に図示する配置図(1)である。薄膜トランジスタの半導体層のパターンを示す。
図6図4に図示された複数個の薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ及び画素電極といった構成要素を配線パターン層別に概略的に図示する配置図(2)である。ゲート電極を含む金属配線パターンを示す。
図7図4に図示された複数個の薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ及び画素電極といった構成要素を配線パターン層別に概略的に図示する配置図(3)である。初期化電圧線を含む金属配線パターンを示す。
図8図4に図示された複数個の薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ及び画素電極といった構成要素を配線パターン層別に概略的に図示する配置図(4)である。横連結配線をなす金属配線パターンを示す。
図9図4に図示された複数個の薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ及び画素電極といった構成要素を配線パターン層別に概略的に図示する配置図(5)である。縦連結配線をなす金属配線パターンを示す。
図10図4のI-I’、及びII-II’に沿って切った断面図である。
図11図4のIII-III’に沿って切った断面図の一部である。
図12】本発明の他の実施形態によるディスプレイ装置の一部を図示した断面図である。下部バレー(谷部)に重なる位置に、上部バレー(谷部)がさらに形成されたものを示す。
図13】本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置の一部を図示した断面図である。下部バレー(谷部)を、より浅く形成したものを示す。
図14】本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置の一部を図示した断面図である。下部バレー(谷部)を、基板の表面を露出させるように、より深く形成したものを示す。
図15】本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置の一部を図示した断面図である。上下のバレー(谷部)を互い違いの位置に形成したものを示す。
図16】本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置の一部を図示した平面図である。上下のバレー(谷部)により形成される最小区画(マスメ)中に2個の画素が配置されたものを示す。
図17】本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置の一部を図示した平面図である。上下のバレー(谷部)により形成される最小区画(マスメ)中に6個の画素が配置されたものを示す。
図18】本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置を概略的に示した図面である。ディスプレイ領域が折り畳まれる様子を示す。
図19】本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置を概略的に示した図面である。ディスプレイ領域が巻き取られた状態を示す。
図20】本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置を概略的に示した図面である。手前側の端部を裏側に折り返すことができる構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、多様な変換を加えることができ、さまざまな実施形態を有することができるが、特定の複数の実施形態を図面に例示し、詳細な説明にて、詳細に説明することにする。本発明の効果、特徴、及びそれらを達成する方法は、図面と共に詳細に説明する実施形態を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、多様な形態に具現されうる。
【0030】
以下、添付された図面を参照し、本発明の実施形態について詳細に説明するが、図面を参照して説明する際、同一であるか、あるいは対応する構成要素については、同一の図面符号を付し、それに係わる重複説明は、省略する。
【0031】
以下の実施形態において、第1、第2といった用語は、限定的な意味ではなく、1つの構成要素を他の構成要素と区別する目的に使用されている。
【0032】
以下の実施形態において、単数の表現は、文脈上、明白に複数でないことを意味しない限り、複数の表現を含む。
【0033】
以下の実施形態において、「含む」または「有する」といった用語は、明細書に記載された特徴または構成要素が存在するということを意味するのであり、1以上の他の特徴または構成要素が付加される可能性をあらかじめ排除するものではない。
【0034】
図面においては、説明の便宜のために、構成要素について、その大きさが誇張されていたり縮小されていたりする。例えば、図面に示された各構成の大きさ及び厚みは、説明の便宜のために、任意に示されているので、本発明は、必ずしも図示されたところに限定されるものではない。
【0035】
以下の実施形態において、膜、領域、構成要素などが連結されたというとき、膜、領域、構成要素などが、直接に連結された場合だけではなく、膜、領域、構成要素などとの間の中間に、他の膜、領域、構成要素などが介在されるようにして、間接的に連結された場合も含む。例えば、本明細書において、膜、領域、構成要素などが電気的に連結されたというとき、膜、領域、構成要素などが直接に電気的な連結が行なわれた場合だけではなく、中間に、他の膜、領域、構成要素などが介在されるようにして、間接的に電気的な連結が行なわれた場合も含む。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置を概略的に示した図面である。
【0037】
基板110上のディスプレイ領域DAには、有機発光素子(OLED)といった多様なディスプレイ素子を具備した画素PXが配置されうる。基板110の周辺領域PAには、ディスプレイ領域DAに印加する電気的信号を伝達する多様な配線が位置することができる。以下においては、便宜上、ディスプレイ素子として有機発光素子を具備するディスプレイ装置について説明する。しかし、本発明は、それに限定されるものではなく、液晶表示装置、電気泳動表示装置、無機電界発光(無機EL)表示装置など、多様な方式のディスプレイ装置に適用されうる。
【0038】
図2は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置を概略的に示したブロック図である。
【0039】
本発明の一実施形態によるディスプレイ装置は、複数の画素PXを含む表示部10、スキャン駆動部20、データ駆動部30、発光制御駆動部40、及び制御部50を含む。
【0040】
表示部10は、図1の基板110におけるディスプレイ領域DAが形成された部分であり、複数のスキャン線SL1ないしSLn+1と、複数のデータ線DL1ないしDLm、及び、複数の発光制御線EL1ないしELnとがなす交差部に対応するように、ほぼ行列(マトリクス)の形態に配列された複数の画素PXを含む。複数のスキャン線SL1ないしSLn+1、及び複数の発光制御線EL1ないしELnは、行方向である第2方向に延長され、複数のデータ線DL1ないしDLm、及び駆動電圧線ELVDDLは、列方向である第1方向に延長されている。1本の画素ラインにおいて、複数のスキャン線SL1ないしSLn+1のn値は、複数の発光制御線EL1ないしELnのn値と異なっていてもよい。
【0041】
各画素PXは、表示部10に伝達される複数のスキャン線SL1ないしSLn+1のうちの3本のスキャン線に連結されている。スキャン駆動部20は、複数のスキャン線SL1ないしSLn+1を介して、各画素PXに、3つのスキャン信号を生成して伝達する。すなわち、スキャン駆動部20は、スキャン線SL2~SLn、前段のスキャン線SL1~SLn-1または後段のスキャン線SL3~SLn+1に、スキャン信号を順次に供給する。
【0042】
初期化電圧線ILは、外部の電源供給源VINTから、初期化電圧を印加され、各画素PXに供給することができる。
【0043】
また、各画素PXは、表示部10に連結される複数のデータ線DL1ないしDLmのうちの1本のデータ線、及び、表示部10に連結される複数の発光制御線EL1ないしELnのうちの1本の発光制御線に連結されている。
【0044】
データ駆動部30は、複数のデータ線DL1ないしDLmを介して、各画素PXにデータ信号を伝達する。該データ信号は、第1スキャン線SL2~SLnにスキャン信号が供給されるたびに、スキャン信号によって選択された画素PXに供給される。
【0045】
発光制御駆動部40は、複数の発光制御線EL1ないしELnを介して、各画素に、発光制御信号を生成して伝達する。該発光制御信号は、画素PXの発光時間を制御する。発光制御駆動部40は、画素PXの内部構造によっては省略されてもよい。
【0046】
制御部50は、外部から伝達される複数の映像信号IR,IG,IBを、複数の映像データ信号DR,DG,DBに変更し、データ駆動部30に伝達する。また、制御部50は、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync及びクロック信号MCLKの伝達を受けて、前記スキャン駆動部20、データ駆動部30、及び発光制御駆動部40の駆動を制御するための制御信号を生成し、それぞれに伝達する。すなわち、制御部50は、スキャン駆動部20を制御するスキャン駆動制御信号SCS、データ駆動部30を制御するデータ駆動制御信号DCS、及び、発光制御駆動部40を制御する発光駆動制御信号ECSを、それぞれ生成して伝達する。
【0047】
複数の画素PXのそれぞれは、外部の駆動電源電圧ELVDD及び共通電源電圧ELVSSの供給を受ける。駆動電源電圧ELVDDは、所定のハイレベル電圧でありうるのであり、共通電源電圧ELVSSは、前記駆動電源電圧ELVDDより低い電圧や接地電圧でありうる。駆動電源電圧ELVDDは、駆動電圧線ELVDDLを介して、各画素PXに供給される。
【0048】
複数の画素PXのそれぞれは、複数のデータ線DL1ないしDLmを介して伝達されたデータ信号に応じて発光素子に供給される、駆動電流により、所定輝度の光を発光する。
【0049】
図3は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置に具備された1つの画素の等価回路図である。
【0050】
図3を参照すれば、各画素PXは、信号線121,122,123,151、初期化電圧線131(IL)、駆動電圧線152(ELVDDL)に連結された画素回路PC、及び画素回路PCに連結された発光素子、例えば、有機発光素子OLEDを含む。
【0051】
画素回路PCは、複数個の薄膜トランジスタT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7、及びストレージキャパシタCstを含む。
【0052】
図3においては、1つの画素PXごとに、信号線121,122,123,151(SLn-1,SLn,ELn,DLm)、初期化電圧線131及び駆動電圧線152が具備された場合を図示しているが、本発明は、それに限定されるものではない。他の実施形態として、信号線121,122,123,151のうちの少なくともいずれか1本、または/及び初期化電圧線131(IL)は、隣接する画素同士で共有されうる。
【0053】
薄膜トランジスタは、駆動薄膜トランジスタ(driving TFT)T1、スイッチング薄膜トランジスタ(switching TFT)T2、補償薄膜トランジスタT3、第1初期化薄膜トランジスタT4、動作制御薄膜トランジスタT5、発光制御薄膜トランジスタT6及び第2初期化薄膜トランジスタT7を含んでもよい。
【0054】
信号線は、スキャン信号Snを伝達するスキャン線121(SLn)と、第1初期化薄膜トランジスタT4及び第2初期化薄膜トランジスタT7に、前段のスキャン信号Sn-1を伝達する前段スキャン線122(SLn-1)と、動作制御薄膜トランジスタT5及び発光制御薄膜トランジスタT6に発光制御信号Enを伝達する発光制御線123と、スキャン線121と交差しデータ信号Dmを伝達するデータ線151(DLm)とを含む。駆動電圧線152(ELVDDL)は、駆動薄膜トランジスタT1に駆動電圧ELVDDを伝達するためのものであり、初期化電圧線131(IL)は、駆動薄膜トランジスタT1及び画素電極を初期化する初期化電圧Vintを伝達するためのものである。
【0055】
駆動薄膜トランジスタT1の駆動ゲート電極G1は、ストレージキャパシタCstの第1電極Cst1に連結されており、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ソース電極S1は、動作制御薄膜トランジスタT5を経由して、駆動電圧線152(ELVDDL)に連結されており、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ドレイン電極D1は、発光制御薄膜トランジスタT6を経由して、有機発光素子OLEDの画素電極310(図10)と電気的に連結されている。駆動薄膜トランジスタT1は、スイッチング薄膜トランジスタT2のスイッチング動作により、データ信号Dmの伝達を受け、有機発光素子OLEDに駆動電流IOLEDを供給する。
【0056】
スイッチング薄膜トランジスタT2のスイッチングゲート電極G2は、スキャン線121(SLn)に連結されており、スイッチング薄膜トランジスタT2のスイッチングソース電極S2は、データ線151(DLm)に連結されており、また、スイッチング薄膜トランジスタT2のスイッチングドレイン電極D2は、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ソース電極S1に連結されるとともに、動作制御薄膜トランジスタT5を経由して、駆動電圧線152(ELVDDL)に連結されている。スイッチング薄膜トランジスタT2は、スキャン線121(SLn)を介して伝達されたスキャン信号Snによってターンオンされ、データ線151(DLm)から伝達されたデータ信号Dmを、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ソース電極S1に伝達するスイッチング動作を遂行する。
【0057】
補償薄膜トランジスタT3の補償ゲート電極G3は、スキャン線121(SLn)に連結されており、補償薄膜トランジスタT3の補償ソース電極S3は、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ドレイン電極D1に連結されるとともに、発光制御薄膜トランジスタT6を経由して、有機発光素子OLEDの画素電極310(図10)と連結されており、また、補償薄膜トランジスタT3の補償ドレイン電極D3は、ストレージキャパシタCstの第1電極Cst1、第1初期化薄膜トランジスタT4の第1初期化ドレイン電極D4、及び、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ゲート電極G1に連結されている。補償薄膜トランジスタT3は、スキャン線121を介して伝達されたスキャン信号Snによってターンオンされ、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ゲート電極G1と、駆動ドレイン電極D1とを電気的に連結し、駆動薄膜トランジスタT1をダイオード連結させる。
【0058】
第1初期化薄膜トランジスタT4の第1初期化ゲート電極G4は、前段スキャン線122(SLn-1)に連結されており、第1初期化薄膜トランジスタT4の第1初期化ドレイン電極D4は、第2初期化薄膜トランジスタT7の第2初期化ドレイン電極D7と初期化電圧線131(IL)に連結されており、また、第1初期化薄膜トランジスタT4の第1初期化ソース電極S4は、ストレージキャパシタCstの第1電極Cst1、補償薄膜トランジスタT3の補償ドレイン電極D3、及び駆動薄膜トランジスタT1の駆動ゲート電極G1に連結されている。第1初期化薄膜トランジスタT4は、前段スキャン線122を介して伝達された前段スキャン信号Sn-1によってターンオンされ、初期化電圧Vintを、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ゲート電極G1に伝達することで、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ゲート電極G1の電圧を初期化させる、初期化動作を遂行する。
【0059】
動作制御薄膜トランジスタT5の動作制御ゲート電極G5は、発光制御線123(ELn)に連結されており、動作制御薄膜トランジスタT5の動作制御ソース電極S5は、駆動電圧線152(ELVDDL)と連結されており、また、動作制御薄膜トランジスタT5の動作制御ドレイン電極D5は、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ソース電極S1、及び、スイッチング薄膜トランジスタT2のスイッチングドレイン電極D2と連結されている。
【0060】
発光制御薄膜トランジスタT6の発光制御ゲート電極G6は、発光制御線123(ELn)に連結されており、発光制御薄膜トランジスタT6の発光制御ソース電極S6は、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ドレイン電極D1、及び補償薄膜トランジスタT3の補償ソース電極S3に連結されており、また、発光制御薄膜トランジスタT6の発光制御ドレイン電極D6は、第2初期化薄膜トランジスタT7の第2初期化ソース電極S7、及び有機発光素子OLEDの画素電極310(図10)に電気的に連結されている。
【0061】
動作制御薄膜トランジスタT5及び発光制御薄膜トランジスタT6は、発光制御線123を介して伝達された発光制御信号Enによって同時にターンオンされ、駆動電圧ELVDDが有機発光素子OLEDに伝達され、有機発光素子OLEDに駆動電流IOLEDが流れるようにする。
【0062】
第2初期化薄膜トランジスタT7の第2初期化ゲート電極G7は、前段スキャン線122(SLn-1)に連結されており、第2初期化薄膜トランジスタT7の第2初期化ソース電極S7は、発光制御薄膜トランジスタT6の発光制御ドレイン電極D6、及び有機発光素子OLEDの画素電極に連結されており、また、第2初期化薄膜トランジスタT7の第2初期化ドレイン電極D7は、第1初期化薄膜トランジスタT4の第1初期化ソース電極S4、及び初期化電圧線131(IL)に連結されている。第2初期化薄膜トランジスタT7は、前段スキャン線122(SLn-1)を介して伝達された前段スキャン信号Sn-1によってターンオンされ、有機発光素子OLEDの画素電極を初期化させる。
【0063】
図3においては、初期化薄膜トランジスタT4及び第2初期化薄膜トランジスタT7が、前段スキャン線122(SLn-1)に連結された場合を図示したが、本発明は、それに限定されるものではない。他の実施形態として、初期化薄膜トランジスタT4は、前段スキャン線122(SLn-1)に連結されて前段スキャン信号Sn-1によって駆動され、第2初期化薄膜トランジスタT7は、別途の信号線(例えば、後段スキャン線SLn+1)に連結されて、この信号線に伝達される信号によって駆動されるのでありうる。一方、図3のソース電極S1~S7及びドレイン電極D1~D4は、トランジスタの種類(p-型またはn-型)により、位置が互いに変わりうる。
【0064】
一実施形態による各画素PXの具体的な動作は、次の通りである。
【0065】
初期化期間の間、前段スキャン線122(SLn-1)を介して、前段スキャン信号Sn-1が供給されれば、前段スキャン信号Sn-1に対応して、初期化薄膜トランジスタT4がターンオンされ、初期化電圧線131から供給される初期化電圧Vintにより、駆動薄膜トランジスタT1が初期化される。
【0066】
データプログラミング期間の間、スキャン線121(SLn)を介して、スキャン信号Snが供給されれば、スキャン信号Snに対応して、スイッチング薄膜トランジスタT2及び補償薄膜トランジスタT3がターンオンされる。この際、駆動薄膜トランジスタT1は、ターンオンされた補償薄膜トランジスタT3によってダイオード連結され、順方向にバイアスされる。
【0067】
それにより、データ線151(DLm)を通じて供給されたデータ信号Dmから、駆動薄膜トランジスタT1の閾値電圧Vthだけ低減された補償電圧(Dm+Vth及びVthは(-)の値)が、駆動薄膜トランジスタT1の駆動ゲート電極G1に印加される。
【0068】
ストレージキャパシタCstの両端には、駆動電圧ELVDDと補償電圧(Dm+Vth)とが印加され、ストレージキャパシタCstには、両端間の電圧差に対応する電荷が保存される。
【0069】
発光期間の間、発光制御線123(ELn)から供給される発光制御信号Enにより、動作制御薄膜トランジスタT5及び発光制御薄膜トランジスタT6がターンオンされる。駆動薄膜トランジスタT1のゲート電極の電圧と、駆動電圧ELVDDとの電圧差による駆動電流IOLEDが発生し、発光制御薄膜トランジスタT6を介して、駆動電流IOLEDが有機発光素子OLEDに供給される。
【0070】
図4は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置において、互いに隣接した画素回路PC1,PC2における複数の薄膜トランジスタ、及びストレージキャパシタの位置を概略的に示した配置図であり、図5ないし図9は、図4に図示された複数個の薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタ及び画素電極といった構成要素を、配線パターン層別に概略的に図示する配置図である。そして、図10は、図4の画素部分をI-I’線及びII-II’線に沿って切断した断面図である。
【0071】
図4ないし図10を参照すれば、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置は、隣り合う画素PXの画素回路PC1,PC2間の領域に、下部バレー(valley)VA1を有する下部無機絶縁層105、及び、前記下部バレーVA1を充填する第1有機平坦化層161を含む。本明細書において、下部バレーVA1は、下部無機絶縁層105の一部の領域を除去して形成された穴(hole)または溝(groove)を指す。
【0072】
また、本実施形態によるディスプレイ装置は、第1有機平坦化層161上に配置されて前記第1有機平坦化層161を、第1方向に横切る横連結配線140、及び/または第2方向に横切る縦連結配線150を含んでもよい。
【0073】
本発明の実施形態において、横連結配線140の下層側に配置された、無機物を含むバリア層101、バッファ層111、第1ゲート絶縁層112、第2ゲート絶縁層113を総称して下部無機絶縁層105と言うことができる。特には、これらの4層の無機層からなる積層膜を下部無機絶縁層105と呼ぶことができる。そのような下部無機絶縁層105は、互いに隣接した画素回路同士の間の領域に、穴(hole)または溝(groove)として形成された下部バレーVA1を含んでもよい。
【0074】
図10においては、該下部無機絶縁層105が、溝(groove)として形成された下部バレーVA1を有するものを図示している。すなわち、バリア層101は、互いに隣接した画素にある第1画素回路PC1及び第2画素回路PC2を含む全領域にわたって連続的でありうる。そして、バッファ層111、第1ゲート絶縁層112、第2ゲート絶縁層113は、互いに隣接した画素間の細長い領域にて、開口111a,112a,113aを有することができる。
【0075】
それにより、バリア層101、バッファ層111、第1ゲート絶縁層112、第2ゲート絶縁層113を含む下部無機絶縁層105は、互いに隣接した画素間の領域に、溝(groove)として形成された下部バレーVA1を有するものと理解されうる。前記溝(groove)は、積層膜としての下部無機絶縁層105に形成された掘割状の溝(trench)を意味しうる。
【0076】
一方、下部無機絶縁層105の穴(hole)というのは、バリア層101、バッファ層111、第1ゲート絶縁層112、及び第2ゲート絶縁層113のいずれにも開口が形成されていることで、基板110が露出されるように形成されたものを意味しうる。
【0077】
ここで、該下部無機絶縁層105は、上記のものとは異なる多様な形態の溝(groove)を含んでもよいということは言うまでもない。例えば、バリア層101の上面の一部も除去されうるのであり、また、それとは異なり、バッファ層111の下面側の部分は、除去されずに残存するといった、多様な変形が可能である。
【0078】
下部無機絶縁層105の下部バレーVA1の幅VAW1は、数μmでありうる。例えば、下部無機絶縁層105の下部バレーVA1の幅VAW1は、約5μm~10μmの値を有することができる。
【0079】
そのような、穴(hole)または溝(groove)GRとして形成された下部バレーVA1を形成するために、前記第2ゲート絶縁層113まで形成した後、別途のマスク工程及びエッチング工程を利用して遂行されうる。前記エッチング工程により、バッファ層111、第1ゲート絶縁層112、及び、第2ゲート絶縁層113の開口111a,112a,113aを形成することができる。前記エッチング工程は、ドライエッチング工程でありうる。
【0080】
前記下部無機絶縁層105の下部バレーVA1には、第1有機平坦化層161が充填される。第1有機平坦化層161は、前記下部バレーVA1を充填するとともに、第1画素回路PC1及び第2画素回路PC2の領域の全面にわたって配置されうる。そして、横連結配線140及び縦連結配線150は、第1有機平坦化層161の上方に位置することになる。
【0081】
そのような下部無機絶縁層105の下部バレーVA1は、画素回路同士の間に、少なくとも一部が存在しうる。図4において、下部無機絶縁層105の下部バレーVA1は、それぞれの画素回路PC1,PC2を取り囲んで配置されている。すなわち、下部バレーVA1は、第1画素回路PC1の周囲、及び第2画素回路PC2の周囲をぐるりと取り囲むように配置されている。しかし、本発明は、それに限定されるものではない。
【0082】
例えば、該下部無機絶縁層105の下部バレーVA1は、それぞれの画素回路PC1,PC2を取り囲むのではなく、左右方向(第1方向)に隣り合う左右の画素間の領域(第1画素回路PC1と第2画素PC2との間の領域)にて、第2方向に延長されるように形成されうる。または、該下部無機絶縁層105の下部バレーVA1は、縦方向(第2方向)に隣り合う画素間の領域ごとに、第1方向に延長されるようにも形成されうるというように、多様な変形が可能である。
【0083】
そのような下部無機絶縁層105の下部バレーVA1、及びそれを充填する第1有機平坦化層161は、ディスプレイ装置が外部からの衝撃によって受ける影響を最小化させるために導入されたものでありうる。該下部無機絶縁層105は、その硬度が、第1有機平坦化層161より高いために、外部の衝撃により、クラックが発生する確率が非常に高く、該下部無機絶縁層105にクラックが発生する場合、下部無機絶縁層105の中間または上方に配置された多様な信号線にもクラックが発生して、断線などの不良が発生する確率が非常に高くなる。
【0084】
しかし、本実施形態によるディスプレイ装置の場合、該下部無機絶縁層105は、複数の画素回路に挟まれる領域に下部バレーVA1を有し、前記下部バレーVA1を、第1有機平坦化層161が充填しており、外部衝撃があっても、クラックが伝播される確率が極めて低くなる。また、第1有機平坦化層161は、その硬度が無機物の層より低いために、外部衝撃によるストレスを第1有機平坦化層161が吸収し、第1有機平坦化層161上に位置する連結配線140,150にストレスが集中することを、効果的に最小化させることができる。
【0085】
また、第1有機平坦化層161は、複数の画素回路に全面的に配置され、平坦な上面を提供するが、連結配線140,150の製造において、不良発生の確率を画期的に低減させることができる。
【0086】
一方、横連結配線140及び縦連結配線150は、第1有機平坦化層161上に配置され、複数の画素回路を互いに連結することができる。そのような横連結配線140及び縦連結配線150は、複数の画素に電気的信号を伝達する配線として機能することができる。
【0087】
以下、図4ないし図10を参照し、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置について具体的に説明する。図4は、複数の画素回路PC1,PC2の平面図を示すものであり、各画素回路に連結された有機発光素子は、省略されている。図10は、複数の画素回路PC1,PC2に、有機発光素子OLEDが連結された、複数の画素PX1,PX2の断面を概略的に示している。
【0088】
図5ないし図9のそれぞれは、同一の配線パターン層中に位置する配線、電極、半導体層などの配置を図示したものであり、図5ないし図8に図示された配線パターン層の間には、それぞれ絶縁層が介在されうる。例えば、図5に図示された配線パターン層と、図6に図示された配線パターン層との間には、第1ゲート絶縁層112(図10)が介在され、図6に図示された配線パターン層と、図7に図示された配線パターン層との間には、第2ゲート絶縁層113(図10)が介在され、図7に図示された配線パターン層と、図8に図示された配線パターン層との間には、第1有機平坦化層161(図10)が介在される。また、図8に図示された配線パターン層と、図9に図示された配線パターン層との間には、層間絶縁層115(図10)が介在される。前述の絶縁層のうちの少なくとも一部の絶縁層を貫くコンタクトホールを介して、図5ないし図9に図示された配線パターン層が、互いに電気的に連結されうる。
【0089】
図4図5及び図10を参照すれば、駆動薄膜トランジスタT1、スイッチング薄膜トランジスタT2、補償薄膜トランジスタT3、第1初期化薄膜トランジスタT4、動作制御薄膜トランジスタT5、発光制御薄膜トランジスタT6、第2初期化薄膜トランジスタT7の半導体層AS1ないしAS7は、同一の配線パターン層中に配置され、同一物質を含む。例えば、半導体層AS1ないしAS7は、多結晶シリコンによって形成されうる。
【0090】
半導体層AS1ないしAS7は、基板110上に配置されたバッファ層111(図10)上に配置される。基板110は、ガラス材;金属材;またはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、もしくはポリイミドといったプラスチック材から形成されうる。該バッファ層111は、酸化ケイ素(SiOx)といった酸化膜、及び/または窒化ケイ素(SiNx)といった窒化膜によって形成されうる。
【0091】
基板110は、ガラス材、セラミックス材、金属材、または、フレキシブルまたはベンダブル(特には、折り畳みまたは巻き取りが可能)な特性を有する物質(材料)を含むのでありうる。基板110がフレキシブルまたはベンダブルな特性を有する場合、基板110は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド(PI)、ポリカーボネート(PC)またはセルロースアセテートプロピオネート(CAP)といった高分子樹脂を含んでもよい。基板110は、前記物質による単層構造または積層構造を有することができ、積層構造の場合、無機層をさらに含んでもよい。一部実施形態において、基板110は、有機物/無機物/有機物の構造、すなわち、2つの有機層の間に、無機層が挟みこまれた形の、少なくとも3層の積層構造を有することができる。
【0092】
基板110とバッファ層111との間には、バリア層101がさらに含まれてもよい。バリア層101は、基板110などからの不純物が、半導体層AS1ないしAS7に浸透することを防止するか、あるいは最小化させる役割を行うことができる。バリア層101は、酸化物または窒化物のような無機物、有機物、または有無機複合物を含んでもよく、無機物と有機物との単層構造または多層構造によってもなる。
【0093】
バッファ層111は、基板110の上面の平滑性を高める役割を行うことガでき、シリコンオキサイド(シリコン酸化物)、シリコンナイトライド(シリコン窒化物)及び/またはシリコンオキシナイトライド(シリコン酸窒化物;酸化窒化シリコン)といった無機物を含んでもよい。
【0094】
図5の平面図に示すように、駆動薄膜トランジスタT1の駆動半導体層AS1、スイッチング薄膜トランジスタT2のスイッチング半導体層AS2、補償薄膜トランジスタT3の補償半導体層AS3、第1初期化薄膜トランジスタT4の第1初期化半導体層AS4、動作制御薄膜トランジスタT5の動作制御半導体層AS5、発光制御薄膜トランジスタT6の発光制御半導体層AS6、及び、第2初期化薄膜トランジスタT7の第2初期化半導体層AS7は、互いに連結され、多様な形状に折れ曲がっているのでありうる。
【0095】
図5の平面図、及び図10の積層断面図に示すように、半導体層AS1ないしAS7は、チャネル領域A1ないしA7と、それぞれのチャネル領域を挟むようにその両側に位置するソース領域S1ないしS7及びドレイン領域D1ないしD7とを含んでもよい。一例として、ソース領域S1ないしS7及びドレイン領域D1ないしD7は、不純物によってドーピングされうるのであり、該不純物は、N型不純物またはP型不純物を含んでもよい。該ソース領域及び該ドレイン領域は、それぞれソース電極及びドレイン電極に該当する。以下では、ソース電極やドレイン電極の代わりに、ソース領域及びドレイン領域という用語を使用する。
【0096】
駆動半導体層AS1のパターンは、駆動チャネル領域A1、及び、駆動チャネル領域A1の両側にある駆動ソース領域S1及び駆動ドレイン領域D1を含む。駆動半導体層AS1は、屈曲された形状を有し、駆動チャネル領域A1は、他のチャネル領域A2ないしA7より長くも形成される。例えば、駆動半導体層AS1が、ギリシャ文字のオメガの大文字「Ω」またはアルファベット「S」のように、複数回折り曲げられた形状を有することにより、狭い空間内に長いチャネル長を形成することができる。駆動チャネル領域A1が長く形成されるので、駆動ゲート電極G1に印加されるゲート電圧の駆動範囲(driving range)が広くなり、有機発光素子OLEDから放出される光の階調を、さらに精巧に制御することができ、表示品質を向上させることができる。
【0097】
スイッチング半導体層AS2のパターンは、スイッチングチャネル領域A2、及び、その両側にある、スイッチングソース領域S2及びスイッチングドレイン領域D2を含む。スイッチングドレイン領域D2は、駆動ソース領域S1と連結される。
【0098】
補償薄膜トランジスタT3の補償半導体層AS3のパターンは、2つの補償チャネル領域A3a,A3c、及び、2つの補償チャネル領域A3a,A3cの外側にある、補償ソース領域S3及び補償ドレイン領域D3を含む。補償半導体層AS3を含む第1初期化薄膜トランジスタT3は、2つの薄膜トランジスタ部分からなるデュアル薄膜トランジスタであり、2つの補償チャネル領域A3a,A3cを具備している。ここで、2つの補償チャネル領域A3a,A3cの間の領域A3bは、不純物がドーピングされた領域であって、一方の側の部分が、一方の薄膜トランジスタ部分のソース領域をなすとともに、他方の側の部分が、他方の薄膜トランジスタ部分のドレイン領域をなす。
【0099】
同様に、第1初期化半導体層AS4のパターンは、第1初期化チャネル領域A4a,A4c、及び、その両側にある、第1初期化ソース領域S4及び第1初期化ドレイン領域D4を含む。第1初期化半導体層AS4を含む第1初期化薄膜トランジスタT4は、2つの薄膜トランジスタ部分からなるデュアル薄膜トランジスタであり、2個の第1初期化チャネル領域A4a,A4cを具備している。ここで、2つの第1初期化チャネル領域A4a,A4cの間の領域A4bは、不純物がドーピングされた領域であって、一方の側の部分が、一方の薄膜トランジスタ部分のソース領域をなすとともに、他方の側の部分が、他方の薄膜トランジスタ部分のドレイン領域をなす。
【0100】
動作制御半導体層AS5のパターンは、動作制御チャネル領域A5、及び、その両側の動作制御ソース領域S5及び動作制御ドレイン領域D5を含む。動作制御ドレイン領域D5は、駆動ソース領域S1と連結されうる。
【0101】
発光制御半導体層AS6のパターンは、発光制御チャネル領域A6、及び、その両側にある、発光制御ソース領域S6及び発光制御ドレイン領域D6を含む。発光制御ソース領域S6は、駆動ドレイン領域D1とも連結される。
【0102】
第2初期化半導体層AS7のパターンは、第2初期化チャネル領域A7、及び、その両側の第2初期化ソース領域S7及び第2初期化ドレイン領域D7を含む。
【0103】
半導体層AS1ないしAS7の上には、第1ゲート絶縁層112が位置する。第1ゲート絶縁層112は、酸化物または窒化物を含む無機物を含んでもよい。例えば、第1ゲート絶縁層112は、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiON)、アルミニウム酸化物(Al23)、チタン酸化物(TiO2)、タンタル酸化物(Ta25)、ハフニウム酸化物(HfO2)または亜鉛酸化物(ZnO2)などを含むのでありうる。
【0104】
本実施形態において、半導体層AS1ないしAS7は、複数の画素のそれぞれにて、互いに連結された一つのパターンをなすとともに、隣り合う画素同士の間で、互いに分離されて形成される。例えば、一の画素中の第1画素回路PC1の半導体層AS1ないしAS7は、その隣りの画素中にある第2画素回路PC2の半導体層AS1ないしAS7と、互いに離隔されて形成される。
【0105】
図4図6及び図10を参照すれば、第1ゲート絶縁層112上に、スキャン線121(SLn)、前段スキャン線122(SLn-1)、発光制御線123(ELn)及び駆動ゲート電極G1が配置される。スキャン線121、前段スキャン線122、発光制御線123及び駆動ゲート電極G1は、同一の配線パターン層中に配置され、同一の物質を含む。例えば、スキャン線121、前段スキャン線122、発光制御線123、駆動ゲート電極G1は、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、チタン(Ti)などを含む、単層膜または積層膜として形成されうる。
【0106】
駆動ゲート電極G1は、図6に示すように、面積の大きいアイランドタイプ(島状)であり、駆動半導体層AS1の駆動チャネル領域A1と重ねられて配置される。駆動ゲート電極G1は、駆動薄膜トランジスタT1のゲート電極としての機能だけではなく、ストレージキャパシタCstの第1電極C1としての機能も遂行することができる。すなわち、駆動ゲート電極G1と第1電極C1とは、一体であるものとして理解されうる。
【0107】
スキャン線121、前段スキャン線122、発光制御線123の一部または突出した部分は、薄膜トランジスタT2ないしT7のゲート電極に該当する。
【0108】
スキャン線121のうち、スイッチングチャネル領域A2及び補償チャネル領域A3a,A3cと重畳する領域は、それぞれスイッチングゲート電極G2及び補償ゲート電極G3a,G3bに該当する。前段スキャン線122のうち、第1初期化チャネル領域A4a,A4c及び第2初期化チャネル領域A7と重ねられる領域は、それぞれ第1初期化ゲート電極G4a,G4b及び第2初期化ゲート電極G7に該当する。発光制御線123のうち、動作制御チャネル領域A5及び発光制御チャネル領域A6と重ねられる領域は、それぞれ動作制御ゲート電極G5及び発光制御ゲート電極G6に該当する。
【0109】
補償ゲート電極G3a,G3bは、第1補償ゲート電極G3aと第2補償ゲート電極G3bとを含むデュアルゲート電極であり、漏れ電流の発生を防止するか、あるいは漏れ電流を減らす役割を行うことができる。
【0110】
本実施形態において、スキャン線121、前段スキャン線122、発光制御線123及び駆動ゲート電極G1のパターンは、複数の画素のそれぞれに配置され、左右方向(第1方向)または縦方向(第2方向)に隣り合う画素同士の間で、互いに分離されて、別個に形成される。例えば、第1画素回路PC1のスキャン線121、前段スキャン線122、発光制御線123及び駆動ゲート電極G1のパターンは、第2画素回路PC2のスキャン線121、前段スキャン線122、発光制御線123及び駆動ゲート電極G1のパターンと、それぞれ、互いに離隔されて形成される。
【0111】
ここで、第1画素回路PC1のスキャン線121、前段スキャン線122及び発光制御線123のパターンは、追って、他の配線パターン層中に配置された横連結配線140により、左右方向(第1方向)から隣り合う第2画素回路PC2のスキャン線121、前段スキャン線122及び発光制御線123のパターンと、それぞれ連結される。
【0112】
スキャン線121、前段スキャン線122、発光制御線123、駆動ゲート電極G1の上には、第2ゲート絶縁層113が位置する。第2ゲート絶縁層113は、酸化物または窒化物を含む無機物を含んでもよい。例えば、第2ゲート絶縁層113は、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiON)、アルミニウム酸化物(Al23)、チタン酸化物(TiO2)、タンタル酸化物(Ta25)、ハフニウム酸化物(HfO2)または亜鉛酸化物(ZnO2)などを含んでもよい。
【0113】
図4図7及び図10を参照すれば、第2ゲート絶縁層113上に、ストレージキャパシタCstの第2電極C2、及び初期化電圧線131が位置することができる。
【0114】
ストレージキャパシタCstの第2電極C2、及び初期化電圧線131は、同一の配線パターン層中に配置され、同一の物質を含む。例えば、ストレージキャパシタCstの第2電極C2、及び初期化電圧線131は、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、チタン(Ti)などを含む導電物質(材料)を含んでもよく、これらのうちのいずれかの導電材料を含む積層膜または単層膜として形成されうる。
【0115】
本実施形態において、隣り合う画素回路PC1,PC2同士の間で、ストレージキャパシタCstの第2電極C2、及び初期化電圧線131は、互いに分離されて形成される。例えば、第1画素回路PC1のストレージキャパシタCstの第2電極C2と、第2画素回路PC2のストレージキャパシタCstの第2電極C2は、互いに離隔されて配置され、第1画素回路PC1の初期化電圧線131と、第2画素回路PC2の初期化電圧線131は、互いに離隔されて配置される。
【0116】
ストレージキャパシタCstの第2電極C2、及び初期化電圧線131の上には、第1有機平坦化層161が位置する。第1有機平坦化層161は、下部無機絶縁層105によって形成された下部バレーVA1を充填するとともに、前記ストレージキャパシタCstの第2電極C2、及び初期化電圧線131の上に配置されうる。
【0117】
第1有機平坦化層161は、アクリレート(acrylate)、メタクリレート(metacrylate)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、及び、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO;hexamethyldisiloxane)からなる群から選択された1以上の樹脂材料を含んでもよい。第1有機平坦化層161は、薄膜トランジスタT1ないしT7を覆う保護膜の機能を行うとともに、その上面を概ね平坦化させる役割を行うことができる。第1有機平坦化層161は、単層膜または積層膜として具備されうる。
【0118】
図4図8及び図10を参照すれば、第1有機平坦化層161上に、第1方向に延長される横連結配線140が位置する。横連結配線140は、第1画素回路PC1から第2画素回路PC2に延長されて、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2とを連結する。横連結配線140は、第1方向に羅列された複数の画素を連結することができる。
【0119】
本実施形態において、横連結配線140の下方に配置された、半導体層AS1ないしAS7、並びに、信号線121,122,123、初期化電圧線131、ストレージキャパシタの第1電極C1及び第2電極C2などの導電層は、画素回路ごとに分離されて形成される。それにより、1つの画素回路で発生しうるストレスが、他の画素に伝播されることが防止される。一方、横連結配線140は、延伸率(伸び率)が高い物質によって形成することができ、ストレスによる不良を最小化させることができる。
【0120】
横連結配線140は、発光制御連結線141、メッシュ連結線142、スキャン連結線143、前段スキャン連結線144、及び初期化電圧連結線145を含んでもよい。
【0121】
発光制御連結線141は、第1有機平坦化層161及び第2ゲート絶縁層113を貫通して形成されたコンタクトホールCNT1a,CNT1bを介して、第1画素回路PC1の発光制御線123と、第2画素回路PC2の発光制御線123とを連結する。発光制御連結線141は、第1画素回路PC1の発光制御線123、及び第2画素回路PC2の発光制御線123と重ね合わせられながら、第1方向に延長されうる。
【0122】
すなわち、発光制御連結線141は、左右方向(第1方向)に並ぶ複数の画素中にそれぞれ配置された発光制御線123(図6)を、全て覆うようにして、図8に示すように、左右方向(第1方向)に連続して延びる。
【0123】
メッシュ連結線142は、第1有機平坦化層161を貫通して形成されたコンタクトホールCNT3a,CNT2bを介して、第1画素回路PC1の第2電極C2と、第2画素回路PC2の第2電極C2とを連結する。ストレージキャパシタCstの第2電極C2は、駆動電圧線152と連結されて駆動電圧を伝達されるので、メッシュ連結線142は、第1方向に羅列された複数の画素にわたって、駆動電圧を伝達する役割を行うことができる。メッシュ連結線142により、第1方向に連続して延長される別途の駆動電圧線を配置する空間を確保せずとも、メッシュ構造の駆動電圧線を形成することができる。それにより、ストレージキャパシタCstのための空間をさらに確保することができ、高画質のディスプレイ装置を具現することができる。
【0124】
ここで、メッシュ構造とは、上層側の断続的な配線と、下層側の断続的な配線とが組み合わさって、一方向に連続する配線をなすことを言うこととする。すなわち、ここでは、
メッシュ連結線142が、画素間の境界部の近傍のみ、すなわち、谷部(下部バレーVA1)の近傍のみに配置されることで、上層側の断続的な配線をなし、下層側にある、ストレージキャパシタCstの第2電極C2が、下層側の断続的な配線をなし、これらの組み合わせで、一方向に連続する配線をなしている。
【0125】
スキャン連結線143は、第1有機平坦化層161及び第2ゲート絶縁層113を貫通して形成されたコンタクトホールCNT4a,CNT4bを介して、第1画素回路PC1のスキャン線121と、第2画素回路PC2のスキャン線121とを連結する。スキャン連結線143は、第1画素回路PC1のスキャン線121、及び第2画素回路PC2のスキャン線121と重畳されながら、第1方向に延長されうる。
【0126】
前段スキャン連結線144は、第1有機平坦化層161及び第2ゲート絶縁層113を貫通して形成されたコンタクトホールCNT5a,CNT5bを介して、第1画素回路PC1の前段スキャン線122と、第2画素回路PC2の前段スキャン線122とを連結する。前段スキャン連結線144は、第1画素回路PC1の前段スキャン線122、及び第2画素回路PC2の前段スキャン線122と重ね合わせられながら、第1方向に延長されうる。
【0127】
初期化電圧連結線145は、第1有機平坦化層161を貫通して形成されたコンタクトホールCNT6a,CNT6bを介して、第1画素回路PC1の初期化電圧線131と、第2画素回路PC2の初期化電圧線131とを連結する。初期化電圧連結線145は、第1画素回路PC1の初期化電圧線131、及び第2画素回路PC2の初期化電圧線131と重ね合わせられながら、第1方向に延長される。
【0128】
上記のように、横連結配線140は、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2とを連結するのであり、複数の画素に電気的信号を供給する役割を行うことができる。
【0129】
横連結配線140上には、層間絶縁層115が位置する。層間絶縁層115は、酸化物または窒化物を含む無機物を含んでもよい。例えば、層間絶縁層115は、シリコン酸化物(SiO2)、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸窒化物(SiON)、アルミニウム酸化物(Al23)、チタン酸化物(TiO2)、タンタル酸化物(Ta25)、ハフニウム酸化物(HfO2)または亜鉛酸化物(ZnO2)などを含んでもよい。
【0130】
図4図9及び図10を参照すれば、層間絶縁層115上には、第2方向(向かって縦の方向)に延長された縦連結配線150が位置する。縦連結配線150は、横連結配線140とは、層間絶縁層115によって絶縁される。縦連結配線150は、データ線151、駆動電圧線152、第1ノード連結線153、第2ノード連結線154、及び中間連結線155を含んでもよい。
【0131】
データ線151、駆動電圧線152、第1ノード連結線153、第2ノード連結線154、及び中間連結線155は、同一の配線パターン層中に配置され、同一の物質を含む。例えば、データ線151、駆動電圧線152、第1ノード連結線153、第2ノード連結線154及び中間連結線155は、延伸率が高い導電物質によって形成されうる。
【0132】
例えば、データ線151、駆動電圧線152、第1ノード連結線153、第2ノード連結線154及び中間連結線155は、アルミニウムを含むのでありうる。一部の実施形態において、データ線151、駆動電圧線152、第1ノード連結線153、第2ノード連結線154、及び中間連結線155は、Ti/Al/Tiの積層構造で形成されうる。すなわち、アルミニウムの金属層または合金層が、上下から、チタンまたはチタン合金によるキャッピング層により挟まれた三層構造で形成されうる。
【0133】
データ線151は、層間絶縁層115、第1有機平坦化層161、第2ゲート絶縁層113及び第1ゲート絶縁層112を貫通するコンタクトホールCNT7を介して、スイッチング薄膜トランジスタT2のスイッチングソース領域S2(図5)と連結される。データ線151は、第2方向に羅列された複数の画素回路を連結することができる。
【0134】
駆動電圧線152は、層間絶縁層115、第1有機平坦化層161、第2ゲート絶縁層113及び第1ゲート絶縁層112を貫通するコンタクトホールCNT8を介して、動作制御薄膜トランジスタT5の動作制御ソース領域S5と連結される。
【0135】
また、駆動電圧線152は、層間絶縁層115及び第1有機平坦化層161を貫通するコンタクトホールCNT9を介して、ストレージキャパシタCstの第2電極C2と連結される。駆動電圧線152は、第2方向に羅列された複数の画素回路を連結することができる。
【0136】
第1ノード連結線153は、駆動薄膜トランジスタT1及び画素電極310を初期化させる初期化電圧Vintを伝達する。第1ノード連結線153は、層間絶縁層115、第1有機平坦化層161、第2ゲート絶縁層113及び第1ゲート絶縁層112を貫通するコンタクトホールCNT11を介して、第1初期化薄膜トランジスタT4及び第2初期化薄膜トランジスタT7に連結され、層間絶縁層115及び第1有機平坦化層161を貫通するコンタクトホールCNT12を介して、初期化電圧線131に連結される。
【0137】
第2ノード連結線154は、コンタクトホールCNT12,CNT13を介して、駆動ゲート電極G1と、補償薄膜トランジスタT3の補償ドレイン領域D3とを連結する。第2ノード連結線154により、アイランドタイプの駆動ゲート電極G1は、補償薄膜トランジスタT3と電気的に連結されうる。
【0138】
中間連結線155は、層間絶縁層115、第1有機平坦化層161、第2ゲート絶縁層113及び第1ゲート絶縁層112を貫通するコンタクトホールCNT14を介して、第2初期化薄膜トランジスタT7の第2初期化ソース領域S7に連結されうる。中間連結線155は、層間絶縁層115、第1有機平坦化層161、第2ゲート絶縁層113及び第1ゲート絶縁層112を貫通するコンタクトホールCNT15を介して、発光制御薄膜トランジスタT6の発光制御ドレイン領域D6と連結されうる。
【0139】
データ線151、駆動電圧線152及び中間連結線155は、第2方向に隣接する画素回路を互いに連結することができる。
【0140】
データ線151、駆動電圧線152、第1ノード連結線153、第2ノード連結線154及び中間連結線155の上には、第2有機平坦化層163が位置する。第2有機平坦化層163は、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ヘキサメチルジシロキサン樹脂からなる群から選択された1以上の樹脂材料を含んでもよい。第2有機平坦化層163は、単層または多層によっても具備される。
【0141】
図10を参照すれば、第1有機平坦化層161は、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2との間で、下部無機絶縁層105の下部バレーVA1を充填すると共に、第1画素回路PC1の領域及び第2画素回路PC2の領域にわたって全面に配置される。
【0142】
そのような第1有機平坦化層161は、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ヘキサメチルジシロキサン樹脂からなる群から選択された1以上の樹脂材料を含んでもよい。一部の実施形態において、第1有機平坦化層161は、ポリイミド系、フェニレン系、シロキサン系の高耐熱性有機物によって形成されうる。そのような物質は、第1有機平坦化層161にコンタクトホールを形成するにおいて有利でありうる。しかし、本発明は、それらに限定されるものではない。
【0143】
下部無機絶縁層105は、第1有機平坦化層161に比べ、硬度が高いのであり、ストレスに脆弱でありうる。一方、第1有機平坦化層161は、有機物の特性上、ストレスを吸収することができる。
【0144】
本実施形態において、下部無機絶縁層105は、その一部が除去されて形成された下部バレーVA1を具備し、第1有機平坦化層161は、前記下部バレーVA1を充填して配置されているのであり、ディスプレイ装置に印加されてしまうストレスや、前記ストレスによるクラックが、画素回路PC1,PC2間に伝播されることを防止することができる。
【0145】
また、第1有機平坦化層161は、画素回路PC1,PC2の全領域にわたって全面に配置され、平坦な上面を提供するが、その上に形成される横連結配線140の形成時に発生しうる不良を低減させることができ、横連結配線140と、その上方に配置される縦連結配線150との間に発生しうるカップリングを低減させることができる。
【0146】
もしも、第1有機平坦化層161の上面が平坦ではなく、その一部が凸状であるならば、導電層をパターニングして横連結配線140を形成する過程にて、横連結配線140の幅が異なって形成されてしまう。また、横連結配線140が第1有機平坦化層161の形状に沿って凸状に形成されるならば、その上方に配置される縦連結配線150とのカップリングが発生しうる。従って、第1有機平坦化層161の上面は、平坦に形成することが望ましい。
【0147】
第1有機平坦化層161上には、横連結配線140が配置される。前記横連結配線140は、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2との間の領域に配置された、下部バレーVA1と重ね合わされて配置される。
【0148】
第1連結配線中の一つのもであるメッシュ連結線142の一端は、第1有機平坦化層161を貫通するコンタクトホールCNT3aにより、第1画素回路PC1に配置された導電層であるストレージキャパシタCstの第2電極C2と連結される。
【0149】
メッシュ連結線142の他端は、第1有機平坦化層161を貫通するコンタクトホールCNT2bにより、第2画素回路PC2に配置された導電層である、ストレージキャパシタCstの第2電極C2と連結される。
【0150】
第2有機平坦化層163上には、画素電極310と、対向電極330と、これらの間に介在される、発光層を含む中間層320とを有する有機発光素子OLEDが位置することができる。
【0151】
画素電極310は、第2有機平坦化層163に区画形成されたコンタクトホールCNT16を介して、中間連結線155に連結され、中間連結線155により、発光制御薄膜トランジスタT6の発光制御ドレイン領域D6に連結される。
【0152】
画素電極310は、反射層を含む反射電極でありうる。例えば、反射層は、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、ニッケル(Ni)、ネオジム(Nd)、イリジウム(Ir)及びクロム(Cr)を含むグループから選択された少なくとも一つを含むことができ、反射層上には、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnO、In23、IGO(indium gallium oxide)及びAZO(aluminum doped zinc oxide)を含むグループから選択された少なくとも一つによって形成された透明または半透明の電極層がさらに配置されうる。
【0153】
一実施形態によれば、画素電極310は、ITO/Ag/ITOの3層によって構成されうる。すなわち、銀またはその合金の層を、上下から、酸化インジウムスズによる保護層で挟み込んだ積層構造とすることができる。
【0154】
第2有機平坦化層163上には、画素区画形成膜117が配置されうる。この画素区画形成膜117は、各副画素に対応する開口、すなわち、少なくとも画素電極310の中央部を露出させる開口を有することにより、画素を区画形成する役割を行う。また、画素区画形成膜117は、画素電極310のエッジと、画素電極310の上方の対向電極330との間の距離を増大させることにより、画素電極310のエッジにて、アークなどが発生することを防止する役割を行う。そのような画素区画形成膜117は、例えば、ポリイミドまたはHMDSO(hexamethyldisiloxane)樹脂といった有機物によって形成されうる。
【0155】
有機発光素子OLEDの中間層320は、低分子または高分子の物質を含んでもよい。低分子物質を含む場合ホール注入層(HIL:hole injection layer)、ホール輸送層(HTL:hole transport layer)、発光層(EML:emission layer)、電子輸送層(ETL:electron transport layer)、電子注入層(EIL:electron injection layer)などが、それぞれ単独で形成された層、及び/または、これらのうちの複数が複合された層を含む積層された構造を有することができ、積層構造をなす各層は、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン(NPB)、トリス-8-ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などといった、多様な有機物質を含みうる。そのような層は、真空蒸着法によって形成されうる。
【0156】
中間層320が高分子物質を含む場合には、概してホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)を含む構造を有することができる。そのとき、該ホール輸送層は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を含み、該発光層は、ポリフェニレンビニレン(PPV)系及びポリフルオレン系など高分子物質を含んでもよい。そのような中間層320は、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法、レーザ熱転写方法(LITI:laser induced thermal imaging)などで形成することができる。
【0157】
ここで、中間層320は、必ずしもそれに限定されるものではなく、多様な構造を有することもできるということは言うまでもない。そして、中間層320は、複数個の画素電極310にかけて一体である層を含み、複数個の画素電極310それぞれに対応するようにパターニングされた層を含んでもよい。
【0158】
対向電極330は、ディスプレイ領域DA上部に配置されるが、図10に図示されているように、ディスプレイ領域DAを覆うようにも配置される。すなわち、対向電極330は、複数個の有機発光素子において一体に形成され、複数個の画素電極310に対応する。対向電極330は、(半)透明電極でもある。例えば、対向電極330は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、銅(Cu)、LiF/Ca、LiF/Al、MgAg及びCaAgのうちから選択された1以上の物質を含んでもよく、光を透過させることができるように、数ないし数十nmの厚みを有する薄膜によっても形成される。
【0159】
そのような有機発光素子OLEDは、外部からの水分や酸素などによって容易に損傷されてしまうために、封止層400がそのような有機発光素子を覆い、それらを保護する。封止層400は、ディスプレイ領域DAを覆い、ディスプレイ領域DA外側まで延長される。そのような封止層400は、第1無機封止層410、有機封止層420及び第2無機封止層430を含んでもよい。
【0160】
第1無機封止層410は、対向電極330を覆い、セラミックス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、インジウム酸化物(In23)、スズ酸化物(SnO2)、インジウムスズ酸化物(ITO)、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド及び/またはシリコンオキシナイトライドなどを含んでもよい。ここで、必要によっては、第1無機封止層410と対向電極330との間に、キャッピング層のような他層が介在されうるということは言うまでもない。そのような第1無機封止層410は、その下部の構造物に沿って形成されるために、第1無機封止層410の上面が平坦ではなくなる。
【0161】
有機封止層420は、そのような第1無機封止層410を覆うが、第1無機封止層410と異なり、その上面がほぼ平坦になりうる。具体的には、有機封止層420は、ディスプレイ領域DAに対応する部分においては、上面がほぼ平坦になる。そのような有機封止層420は、アクリレート、メタアクリレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、及びヘキサメチルジシロキサンからなる群から選択された1以上の材料を含んでもよい。
【0162】
第2無機封止層430は、有機封止層420を覆い、セラミックス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物、インジウム酸化物(In23)、スズ酸化物(SnO2)、インジウムスズ酸化物(ITO)、シリコンオキサイド、シリコンナイトライド及び/またはシリコンオキシナイトライドなどを含んでもよい。
【0163】
そのように、封止層400は、第1無機封止層410、有機封止層420及び第2無機封止層430を含むが、そのような多層構造を介して、封止層400内にクラックが発生するとしても、第1無機封止層410と有機封止層420との間、または有機封止層420と第2無機封止層430との間において、そのようなクラックが連結されない。それを介して、外部からの水分や酸素などが、ディスプレイ領域DAに浸透することになりうる経路の形成を防止するか、あるいは最小化させることができる。
【0164】
図示されていないが、画素区画形成膜117上には、マスク損傷防止のためのスペーサがさらに含まれ、封止層400上には、外光反射を低減させるための偏光層、ブラックマットリックス、カラーフィルタ及び/またはタッチ電極を具備したタッチスクリーン層など多様な機能層が具備されてもよい。
【0165】
図11は、図4のIII-III’線に沿って切断した断面図の一部であり、連結配線のうちの一つのものである、前段スキャン連結線144よりも上方に配置された部材を、省略して図示した図面である。
【0166】
図11を参照すれば、本実施形態によるディスプレイ装置は、互いに隣接する第1画素回路PC1と第2画素回路PC2との間の領域に、下部バレーVA1を有する下部無機絶縁層105(無機積層膜)、及び、前記下部バレーVA1を充填するとともに第1画素回路PC1と第2画素回路PC2とにわたって全面に配置される第1有機平坦化層161を具備する。
【0167】
一方、横連結配線140のうちの一つのものである前段スキャン連結線144は、前記第1有機平坦化層161を貫くように配置された、第1画素回路PC1のコンタクトホールCNT5aを介して、第1画素回路PC1の前段スキャン線122aと連結されており、また、第1画素回路PC1に左右方向(第1方向)から隣り合う第2画素回路PC2中にて、同様に前記第1有機平坦化層161を貫くように配置されたコンタクトホールCNT5bを介して、第2画素回路PC1の前段スキャン線122bと連結されている。
【0168】
第1画素回路PC1の前段スキャン線122aと、左右方向(第1方向)から隣り合う第2画素回路PC1の前段スキャン線122bは、下部バレーVA1を挟んで離隔されて配置され、前段スキャン連結線144によって互いに連結される。前段スキャン線122a,122bは、第1ゲート絶縁層112上に配置され、第1ゲート絶縁層112の下方には、補償薄膜トランジスタT4(図4)の半導体層AS4が配置されうる。前段スキャン線122a,122bの一部は、補償薄膜トランジスタT4のゲート電極として機能することができる。前段スキャン線122a,122bの上方には、第2ゲート絶縁層113が配置されうる。
【0169】
前記第1画素回路PC1のコンタクトホールCNT5a、及び、第2画素回路PC2のコンタクトホールCNT5bは、第1有機平坦化層161とともに第2ゲート絶縁層113を貫通し、前記前段スキャン連結線144は、前記コンタクトホールCNT5a,CNT5bを介して、前段スキャン線122a,122b(図11)に連結されうる。
【0170】
図12は、本発明の他の実施形態によるディスプレイ装置の一部分を図示する断面図である。具体的には、図4のI-I’に対応する箇所を概略的に図示する断面図である。図12において、図10と同一の参照符号は、同一の部材であることを意味する。
【0171】
図12を参照すれば、本実施形態によるディスプレイ装置は、左右方向(第1方向)に互いに隣接する第1画素回路PC1と第2画素回路PC2との間の領域に、下部バレーVA1を有する積層膜としての下部無機絶縁層105、及び、前記下部バレーVA1を充填するとともに、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2とにわたって全面に配置された第1有機平坦化層161を具備する。
【0172】
また、第1有機平坦化層161上に配置され、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2とを連結する横連結配線140を含み、前記横連結配線140は、第1有機平坦化層161を貫通するコンタクトホールCNT3aを介して、第1画素回路PC1の第2電極C2に連結され、同様に第1有機平坦化層161を貫通するコンタクトホールCNT2bを介して、第2画素回路PC2の第2電極C2に連結される。
【0173】
一方、本実施形態において、該ディスプレイ装置は、前記横連結配線140上に配置された層間絶縁層115に、上部バレーVA2が具備される。前記上部バレーVA2は、第1画素回路PC1と前記第2画素回路PC2との間の領域に、穴(hole)または溝(groove)として形成されうる。そして、上部バレーVA2は、第2有機平坦化層163で充填されうる。それにより、横連結配線140の一部は、第1有機平坦化層161と第2有機平坦化層163とに直接接するように、これらの間に配置されうる。
【0174】
上部バレーVA2は、下部バレーVA1と少なくとも一部が重なり合うように配置されうる。しかし、本発明は、それに限定されるものではない。上部バレーVA2と下部バレーVA1は、それぞれ別途の領域に配置されうるというように、多様な変形が可能である。
【0175】
層間絶縁層115に、上部バレーVA2が形成されるのであり、下部無機絶縁層105として具備された層間絶縁層115に印加されるストレスを、各画素回路に伝播させないようにすることができる。また、上部バレーVA2の内部には、第2有機平坦化層163が配置されるが、そのような第2有機平坦化層163は、ディスプレイ装置に印加されるストレスを吸収することができる。
【0176】
複数の画素回路同士の間の領域において、横連結配線140は、下方の第1有機平坦化層161と、上方の第2有機平坦化層163とに、直接に接するように、これらの間に配置されるので、横連結配線140が、外部ストレスに対してさらに剛健でありうる。
【0177】
第1有機平坦化層161及び第2有機平坦化層163は、ポリアクリルレート、ポリメタクリルレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、及び、ポリヘキサメチルジシロキサンからなる群から選択された1つ以上の材料を含んでもよい。
【0178】
図13及び図14は、本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置の一部分を図示する断面図である。図13及び図14において、図12と同一の参照符号は、同一の部材であることを意味する。
【0179】
図13を参照すれば、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2との間に形成された下部バレーVA1の形状が、図12の下部バレーVA1の形状と異なるように形成されうる。
【0180】
図13において、無機積層膜としての下部無機絶縁層105中、バリア層101及びバッファ層111は、複数の画素にわたって全面に連続して延びるものでありうる。そして、第1ゲート絶縁層112及び第2ゲート絶縁層113のみが、互いに隣接した画素同士の間の領域において、開口112a,113aを有するのでありうる。このようにして、バリア層101、バッファ層111、第1ゲート絶縁層112、第2ゲート絶縁層113を含む無機積層膜としての下部無機絶縁層105は、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2との間の領域にて、下部バレーVA1を有するものと理解されうる。
【0181】
前記下部バレーVA1は、第2ゲート絶縁層113が形成された後、実質上、下部バレーVA1のみを形成するための別途のマスク工程及びエッチング工程を利用して形成されうる。それにより、下部無機絶縁層105の下部バレーVA1の形状を、他のパターニング工程から独立して、適宜に選択することができる。
【0182】
図13のような構造は、第1ゲート絶縁層112及び第2ゲート絶縁層113の開口112a,113aを形成するエッチング工程によって可能である。
【0183】
下部無機絶縁層105の下部バレーVA1の形状は、多様に具備されうる。例えば、バリア層101、バッファ層111、及び第1ゲート絶縁層112が、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2とを含む領域の全体にわたって連続的に形成されうるのであって、第2ゲート絶縁層113だけが開口113aを有することができ、第2ゲート絶縁層113の一部だけが除去されてもよいというように、多様な変形が可能である。
【0184】
前記下部バレーVA1の内部には、第1有機平坦化層161が充填され、第1有機平坦化層161上に、左右方向(第1方向)から互いに隣接した画素同士の間で、左右方向に延びる配線パターン同士を連結する、横連結配線140が配置される。
【0185】
図14を参照すれば、積層膜としての下部無機絶縁層105は、複数の画素回路同士の間、すなわち、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2との間の細長い領域にて、穴(hole)を形成することにより、下部バレーVA1を形成することができる。すなわち、この下部無機絶縁層105では、バリア層101、バッファ層111、第1ゲート絶縁層112、及び第2ゲート絶縁層113のいずれもが、互いに隣接した画素同士の間の領域にて、開口101a、111a,112a,113aを有することができる。
【0186】
前記穴(hole)の幅は、数μmでありうる。前記穴(hole)は、第2ゲート絶縁層113が形成された後、実質上、この穴(hole)のみを形成するための別途のマスク工程及びドライエッチング工程を利用して形成されうる。それにより、該下部無機絶縁層105の下部バレーVA1は、開口またはグルーブの形状を、他のパターニング工程から独立して、適宜に選択することができる。
【0187】
前記穴(hole)の内部には、第1有機平坦化層161が充填され、第1有機平坦化層161上に、左右方向(第1方向)から互いに隣接した画素同士の間で、左右方向に延びる配線パターン同士を連結する横連結配線140が配置される。
【0188】
図15は、本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置の一部分を図示する断面図である。図15において、図12と同一の参照符号は、同一の部材であることを意味する。
【0189】
図15を参照すれば、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置は、第1方向(左右方向)に順次配置された、第1画素回路PC1、第2画素回路PC2、及び第3画素回路PC3を含む。
【0190】
本実施形態において、該ディスプレイ装置は、互いに隣接する第1画素回路PC1と第2画素回路PC2との間の領域に、下部バレーVA1を有する積層膜としての下部無機絶縁層105、及び、前記下部バレーVA1を充填するとともに、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2とを含む領域に全面的に配置される第1有機平坦化層161を具備する。
【0191】
また、該ディスプレイ装置は、第1有機平坦化層161とその上方の層間絶縁層115の間に配置されて、第1画素回路PC1と第2画素回路PC2とを連結する第1連結配線140aを含む。
【0192】
一方、第2画素回路PC2と第3画素回路PC3との間の領域には、上部バレーVA2を有する層間絶縁層115が具備され、前記上部バレーVA2は、第2有機平坦化層163で充填される。第2連結配線140bは、第1有機平坦化層161とその上方の層間絶縁層115との間に配置され、前記上部バレーVA2と一部重ねられ、第2画素回路PC2と第3画素回路PC3とを連結する。
【0193】
本実施形態において、ディスプレイ装置の全領域または一部の領域にて、下部バレーVA1と上部バレーVA2とは、互いに重ならない。下部バレーVA1及び上部バレーVA2の具備により、ディスプレイ装置の柔軟性を確保することができるが、相対的な強度が低下してしまう。従って、下部バレーVA1と上部バレーVA2とを、複数の画素回路同士の間の領域のうちの、少なくとも一部の領域に、重なり合わないよう(非重畳)に配置することで、ディスプレイ装置の柔軟性及び強度(stiffness)に対する信頼性を確保することができる。
【0194】
一部の実施形態において、下部バレーVA1と上部バレーVA2とは、一方向に沿った、複数の画素回路同士の間の領域にて、互いに交差するように配置されうる。
【0195】
すなわち、例えば、下部バレーVA1を左右方向(第1方向)に延びるように配置し、上部バレーVA2を左右方向(第1方向)から少し傾いた方向に延びるように配置することができる。また、下部バレーVA1及び上部バレーVA2の少なくとも一方を、波線状とすることができる。なお、下部バレーVA1及び上部バレーVA2の少なくとも一方が、断続的に延びるのであっても良い。
【0196】
図16及び図17は、本発明のさらに他の実施形態によるディスプレイ装置の一部分を図示する平面図である。
【0197】
図16及び図17を参照すれば、下部無機絶縁層105の下部バレーVA1、または層間絶縁層の上部バレーVA2は、複数の画素をグルーピングして取り囲むように配置されうる。すなわち、直交格子状に延びる下部バレーVA1及び上部バレーVA2がなす矩形状の各区画(マスメ)中に、複数の画素が含まれるように配置されうる。図16の場合、下部バレーVA1または上部バレーVA2は、2つの画素回路、すなわち、第1画素回路PC1及び第2画素回路PC2を取り囲む矩形状の最小区画(マスメ)をなすように配置されている。図17の場合、下部無機絶縁層105の下部バレーVA1、または該層間絶縁層の上部バレーVA2は、6個の画素回路PC1~6を取り囲む矩形状の最小区画(マスメ)をなすように配置されている。それ以外に、グルーピングする画素回路の数は、多様に変形されうる。
【0198】
一方、グルーピングする画素の個数は、1つのディスプレイ装置中にて同一であったり、あるいは位置によっても異なる。例えば、クラックの危険や、ストレスを多く受ける領域である場合は、下部無機絶縁層105の下部バレーVA1または該層間絶縁層の上部バレーVA2が、1つの画素を取り囲んで配置され、残り領域には、複数の画素を取り囲むようにも配置される。または、下部無機絶縁層105の下部バレーVA1、または層間絶縁層115の上部バレーVA2は、ディスプレイ領域に、一部にのみ形成される。
【0199】
図18及び図19は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置を概略的に示した図面である。図18は、ディスプレイ領域が折り畳まれる様子を図示しており、図19は、ディスプレイ領域が巻き取られたところを図示している。
【0200】
本発明によるディスプレイ装置は、ディスプレイ領域DAに、下部無機絶縁層105の下部バレーVA1、及びそれを充填する第1有機平坦化層161を具備しており、図18及び図19の場合のように、ディスプレイ領域DAを折り畳んだり(foldable)巻き取ったり(rollable)する。
【0201】
すなわち、ディスプレイ領域DAを折り畳んだり巻き取ったりしても、下部無機絶縁層105に下部バレーVA1を具備し、クラック発生が最小化され、下部バレーVA1を充填する第1有機平坦化層161は、ベンディングによる引っ張りストレスを吸収することができるのである。
【0202】
図20は、本発明の他の実施形態によるディスプレイ装置を概略的に図示した平面図である。図20を参照すれば、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置は、周辺領域PAに、ベンディング軸BAXを中心に、断面が円弧状または楕円弧状となるようにベンディングされるベンディング領域BAを有し、ベンディング領域BAにおいて、ベンディングバレーVA’、及びそれを充填するベンディング有機物層161’をさらに含んでもよい。また、前記ベンディング有機物層161’上に配置され、ディスプレイ領域DAから延長され、ベンディング領域BAを横切るファンアウト配線150’をさらに含んでもよい。
【0203】
ベンディングバレーVA’は、ベンディング領域BAに対応して下部無機絶縁層105に形成される穴(hole)または溝(groove)を指す。前記ベンディングバレーVA’は、ディスプレイ領域DAの下部無機絶縁層105に、下部バレーVA1(図10)を形成する際に、同時に形成することができる。
【0204】
ベンディング有機物層161’は、前記ベンディングバレーVA’を充填し、ベンディング時に印加される引っ張りストレスを吸収する役割を行うことができる。ベンディング有機物層161’は、ディスプレイ領域DAの第1有機平坦化層161と同時に、同一の物質によって形成されうる。
【0205】
ファンアウト配線150’は、周辺領域PAに配置され、周辺領域PAに配置される駆動ドライバIC(integrated circuit)または軟性回路基板から提供される電気的信号をディスプレイ領域DAに伝達する配線を意味する。
【0206】
ファンアウト配線150’は、ディスプレイ領域DAの横連結配線140または縦連結配線150と同時に、同一物質によって形成されうる。すなわち、ファンアウト配線150’は、延伸率が高い物質によって形成されうる。例えば、ファンアウト配線150’は、アルミニウムを含んでもよい。ここで、ファンアウト配線150’は、必要によっては、多層構造を有することができるということは言うまでもない。一部の実施形態において、ファンアウト配線150’には、Ti/Al/Tiの積層構造を適用することができる。
【0207】
そのような構造により、本発明によるディスプレイ装置は、ディスプレイ領域DAまたは/及び周辺領域PAを折り畳んだり巻き取ったりすることができる。
【0208】
以上、本発明は、図面に図示された実施形態を参照して説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当該技術分野において当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決められるものである。
【0209】
好ましい一実施形態では、下記のとおりである。
【0210】
特に有機発光表示装置(OLED display)は、折り畳み可能(foldable)または巻き取り可能(rollable, windable)なディスプレイ装置とするのに適している。
【0211】
ところが、有機発光表示装置などのディスプレイ装置は、各画素ドット中に、複数のTFTと、ストレージキャパシタと、これらのための配線を配置する必要がある。そして、これらのための配線パターン層を互いに絶縁し、また被覆するための、複数層の無機絶縁層を基板上に配置する必要がある。
【0212】
前提として、下記A1のとおりである。
A1 TFTなどのための複数層からなる無機絶縁層(「下部無機絶縁層」:参照符号105を追加しました)と、表層側の画素電極310との間には、樹脂からなる平坦化膜161が配置される。平坦化膜の厚みは、例えば1~3μmである。
【0213】
このような、複数層からなる無機絶縁層(「下部無機絶縁層」105)は、ディスプレイ装置を曲げた際、特には、表示面を外側にして曲げた際に、クラックが生じうる。この無機絶縁層(「下部無機絶縁層」105)の厚みは、例えば、100~800nmである。
【0214】
そこで、下記B1~B3とする。
【0215】
B1 隣り合う画素同士の境界に沿って、TFTなどのための複数層の無機絶縁層(「下部無機絶縁層」105)に、谷部(下部バレーVA1)を設ける。
【0216】
B2 谷部(下部バレーVA1)は、樹脂からなる平坦化膜(第1有機平坦化層161)を形成する際に、この樹脂により埋められる(充填される)ようにする。
【0217】
B3 谷部(下部バレーVA1)を横切って延びる配線のうち、少なくとも一部のものについて、下記(i)~(iii)を含むようにする。
【0218】
(i)「下部無機絶縁層」105の内部に、またはその上面に接して形成される下層配線部分。この下層配線部分は、谷部(下部バレーVA1)の近傍で省かれて、非連続となっている。
(下層配線部分:スキャン配線121、前段スキャン配線122、発光制御線123、及び駆動ゲート電極G1、並びに、初期化電圧線131、及び、ストレージキャパシタCstの第2電極C2。)
【0219】
(ii)「下部無機絶縁層」105を覆う平坦化膜(第1有機平坦化層161)の上に配置される中層配線(横連結配線140)。
この上部配線は、少なくとも谷部(下部バレーVA1)を横切る部分を含む。
【0220】
(iii)谷部(下部バレーVA1)の近傍以外にて、平坦化膜(第1有機平坦化層161)を貫き、下層配線部分と、中層配線(横連結配線140)とを接続するコンタクトホールCNT1a~CNT6b。
【0221】
好ましい実施形態では、さらに下記A2~A4を前提として、下記B4~B5とする。
【0222】
A2 「下部無機絶縁層」105と、画素電極310との間には、さらに、第1の平坦化膜(第1有機平坦化層161)を覆う層間絶縁層115と、これをさらに覆う第2の平坦化膜(第2有機平坦化層163)とが配置される。この平坦化膜の厚みも、例えば1~3μmである。
【0223】
A3 層間絶縁層115と、第2の平坦化膜(第2有機平坦化層163)との間には、上層配線(連結配線150)が配置される。
この上層配線は、特には、中層配線(横連結配線140)と交差する方向に、複数の画素にわたって延びる。
【0224】
A4 上層配線(連結配線150)は、第1~2の平坦化膜(第1~2有機平坦化層161及び163)及び層間絶縁層115を少なくとも貫くコンタクトホールCNT7~CNT15を介して、下層配線部分の電極や端子に接続されている。
【0225】
B4 隣り合う画素同士の境界に沿って、層間絶縁層115に、谷部(上部バレーVA2)を設ける。
【0226】
B5 この谷部(上部バレーVA2)は、樹脂からなる平坦化膜(第2有機平坦化層263)を形成する際に、この樹脂により埋められる(充填される)ようにする。
【0227】
好ましい具体的な実施形態では、下記A5~7、及び下記B6~11のうちの少なくともいずれか、またはその組合せとすることができる。
【0228】
A5 中層配線(横連結配線140)及び上層配線(連結配線150)は、アルミニウムを主体とする積層膜や単層膜で設けることができる。アルミニウムは、融点が低いものの延性及び導電性に優れた金属である。
【0229】
例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主体(例えば70%以上)とする合金の層に、これより厚みの小さい、チタンなどの高融点(例えば融点1200℃以上)で耐食性のキャッピング層を、上下または上方に積層した積層膜(Ti/Al/Ti)を用いることができる。場合により、アルミニウムに代えて、銅(融点約1100℃)などを用いることもできる。
【0230】
中層配線(横連結配線140)及び上層配線(連結配線150)の一方をこのような積層膜とし、他方を、アルミニウムなどの単体または合金による、単層膜とすることもできる。
【0231】
一方、下層配線部分は、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、チタン(Ti)などを主体とする単層膜または積層膜とすることができる。
【0232】
A6 各TFTは、ポリシリコンまたは酸化物半導体を半導体活性層とすることで、同時に形成される半導体層AS1~7のパターンにより、ドレイン電極及びソース電極(ドレイン領域及びソース領域)、並びに、一部の配線を形成することができる。
【0233】
A7 駆動TFTのゲート電極(駆動ゲート電極G1)は、大面積(例えば、縦方向の寸法がスキャン配線の3倍以上で、左右方向の寸法が画素開口の幅の半分以上である矩形状)に形成されて、ストレージキャパシタCstの第1電極C1を兼ねる。
【0234】
B6 ストレージキャパシタCstの第2電極C2は、同様に大面積(特には上記寸法の矩形状)に形成され、中層配線(横連結配線140)に属するメッシュ連結線142とともに、左右方向(第1方向)に延びる駆動電圧線ELVDDLをなすことができる。
【0235】
これにより、縦方向(第2方向)に延びる上層配線(連結配線150)中の駆動電圧線152とともに、マトリクス状の駆動電圧線ELVDDLを形成して、各画素PXへの駆動電圧を安定させることができる。また、上層配線(連結配線150)中の駆動電圧線152を省くこともできる。
【0236】
B7 隣り合う画素同士の境界に沿って配置される谷部(下部バレーVA1及び上部バレーVA2)は、少なくとも、ベンディング軸に沿った方向の境界に沿って設ける。
【0237】
B8 谷部(下部バレーVA1及び上部バレーVA2)は、ベンディング軸に垂直または交差する方向の境界に沿った箇所にも設けることができる。
すなわち、直交格子状、または交差格子状に設けることができる。
【0238】
B9 上下の谷部(下部バレーVA1及び上部バレーVA2)は、互いに重なるように設けることもできる。また、互い違いになるように配置することもできる。すなわち、同じ方向の谷部を並列に設けるにあたり、隣り合う画素同士の一の境界部には下方の谷部(下部バレーVA1)のみを設け、次の一の境界部では、上方の谷部(上部バレーVA2)のみを設けることができる。
【0239】
B10 谷部(下部バレーVA1及び上部バレーVA2)は、好ましくは、幅が、3~20μm、3~15μm、3~10μmまたは5~10μmである。
【0240】
B11 谷部(下部バレーVA1及び上部バレーVA2)は、絶縁層(「下部無機絶縁層」105または層間絶縁層115)の形成後に、フォトリソグラフィーなどによるパターニングなどの工程により設けることができ、これによりテーパー角を50°以上、60°以上、70°以上、または80°以上とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0241】
本発明のディスプレイ装置は、例えば、表示関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0242】
161 第1有機平坦化層
163 第2有機平坦化層
140 横連結配線
150 縦連結配線
110 基板
101 バリア層
111 バッファ層
112 第1ゲート絶縁層
113 第2ゲート絶縁層
115 層間絶縁層
117 画素区画形成膜
400 封止層
DA ディスプレイ領域
PA 周辺領域
PC1,PC2 画素回路
T1~T7 薄膜トランジスタ
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