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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】液体皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20230607BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230607BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/41
A61K8/81
A61Q19/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019111275
(22)【出願日】2019-06-14
(65)【公開番号】P2020203840
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2022-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 律裕
(72)【発明者】
【氏名】森部 利江
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-214326(JP,A)
【文献】国際公開第2017/208524(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/208541(WO,A1)
【文献】特開2017-048292(JP,A)
【文献】特開2012-001503(JP,A)
【文献】特開2004-175709(JP,A)
【文献】特開2003-231614(JP,A)
【文献】特開2017-214327(JP,A)
【文献】特開2009-242274(JP,A)
【文献】特開平05-221848(JP,A)
【文献】国際公開第2007/145054(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/093089(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/103892(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アニオン性界面活性剤と、
(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(C)下記一般式(C1)で表される化合物、下記一般式(C2)で表される化合物、及び下記一般式(C3)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、
【化1】
(ただし、前記一般式(C1)中、Rは、炭素数3以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基を表す。)
【化2】
(ただし、前記一般式(C2)中、R及びRはそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基又はアルキル基を表し、前記R及び前記Rの少なくともいずれかはヒドロキシアルキル基である。)
【化3】
(ただし、前記一般式(C3)中、R 、及びRはそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基又はアルキル基を表し、前記R 前記R、及び前記Rの少なくともいずれかはヒドロキシアルキル基である。)
を含有し、
前記(A)成分がラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、及びステアリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上であり、
前記(B)成分の塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が40モル%以上であり、
前記(C)成分が2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジエタノールアミン、及び2-ジメチルアミノエタノールからなる群より選ばれる1種以上であり、
前記(A)成分の含有量が、10質量%~34質量%であり、
前記(B)成分の含有量が、0.2質量%~3質量%であり、
前記(C)成分の含有量が、0.01質量%~0.20質量%であり、
前記(C)成分の含有量に対する、前記(A)成分の含有量の質量比[(A)/(C)]が300~1,000であることを特徴とする液体皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分が、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、及びステアリン酸塩を含む高級脂肪酸塩である請求項1に記載の液体皮膚洗浄剤組成物。
【請求項3】
(A)成分の含有量が、20質量%~32質量%であり、(B)成分の含有量が、0.3質量%~1質量%であり、(C)成分の含有量が、0.02質量%~0.08質量%である請求項1から2のいずれかに記載の液体皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ボディソープやハンドソープなどの液体皮膚洗浄剤組成物には、優れた保湿性が求められている。優れた保湿性を得るためには、すすぎ時に保湿成分が洗い流され、十分に皮膚に残らないという課題を解消したり、保湿実感を与える上で重要な性能である泡のクリーミーさやを向上させたりすることが考えられる。
【0003】
これまでに、高級脂肪酸塩と、一定以上のカチオン化度のカチオン性ポリマーとを配合することで、泡のクリーミーさを保ちつつ、しっとりとした良好な肌感触を得たり、塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリルアミド共重合体等のカチオン性ポリマーを配合することで、すすぎ時の肌のなめらかさを付与したりする液体皮膚洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1~2参照)。
【0004】
しかしながら、石けん系のpHが高い製剤においては、経時で着色が進行するという課題がある。更に、前記提案の液体皮膚洗浄剤組成物は、洗浄後の肌感触が十分満足できるものではないという課題もある。
【0005】
したがって、高いpHにおいても着色を抑制することができ、更に、良好な泡性能と、洗浄後の良好な肌感触を得ることができる液体皮膚洗浄剤組成物は未だ提供されておらず、その速やかな開発が強く望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-214327号公報
【文献】国際公開第2007/145054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高いpHにおいても着色を抑制することができ、更に、良好な泡性能と、洗浄後の良好な肌感触を得ることができる液体皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、(A)アニオン性界面活性剤と、(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、(C)下記一般式(C1)で表される化合物、下記一般式(C2)で表される化合物、及び下記一般式(C3)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、を含有し、前記(B)成分の塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が40モル%以上であり、前記(C)成分の含有量に対する、前記(A)成分の含有量の質量比[(A)/(C)]が300~1,000とすることにより、高いpHにおいても着色を抑制することができ、更に、良好な泡性能と、洗浄後の良好な肌感触を得ることができることを知見した。
【化1】
(ただし、前記一般式(C1)中、Rは、炭素数3以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基を表す。)
【化2】
(ただし、前記一般式(C2)中、R及びRはそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基又はアルキル基を表し、前記R及び前記Rの少なくともいずれかはヒドロキシアルキル基である。)
【化3】
(ただし、前記一般式(C3)中、R 、及びRはそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基又はアルキル基を表し、前記R 前記R、及び前記Rの少なくともいずれかはヒドロキシアルキル基である。)
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> (A)アニオン性界面活性剤と、
(B)塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種のカチオン性ポリマーと、
(C)下記一般式(C1)で表される化合物、下記一般式(C2)で表される化合物、及び下記一般式(C3)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、
【化4】
(ただし、前記一般式(C1)中、Rは、炭素数3以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基を表す。)
【化5】
(ただし、前記一般式(C2)中、R及びRはそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基又はアルキル基を表し、前記R及び前記Rの少なくともいずれかはヒドロキシアルキル基である。)
【化6】
(ただし、前記一般式(C3)中、R 、及びRはそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基又はアルキル基を表し、前記R 前記R、及び前記Rの少なくともいずれかはヒドロキシアルキル基である。)
を含有し、
前記(B)成分の塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が40モル%以上であり、
前記(C)成分の含有量に対する、前記(A)成分の含有量の質量比[(A)/(C)]が300~1,000であることを特徴とする液体皮膚洗浄剤組成物である。
<2> (A)成分が、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、及びステアリン酸塩を含む高級脂肪酸塩である前記<1>に記載の液体皮膚洗浄剤組成物である。
<3> (A)成分の含有量が、20質量%~32質量%であり、(B)成分の含有量が、0.3質量%~1質量%であり、(C)成分の含有量が、0.02質量%~0.08質量%である前記<1>から<2>のいずれかに記載の液体皮膚洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、高いpHにおいても着色を抑制することができ、更に、良好な泡性能と、洗浄後の良好な肌感触を得ることができる液体皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(液体皮膚洗浄剤組成物)
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物は、(A)成分のアニオン性界面活性剤と、(B)成分のカチオン性ポリマーと、(C)成分の下記一般式(C1)で表される化合物、下記一般式(C2)で表される化合物、及び下記一般式(C3)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0012】
<(A)アニオン性界面活性剤>
前記(A)成分のアニオン性界面活性剤は、主に、泡のクリーミー性を向上させるために含有される。
【0013】
前記(A)成分のアニオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレン(POE)アルキルエーテル硫酸塩、エーテルカルボン酸系界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤、アシルタウリン系界面活性剤、スルホサクシネート系界面活性剤、アルキルリン酸系界面活性剤、オレフィンスルホン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、泡のクリーミー性の点から、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、エーテルカルボン酸系界面活性剤、アミノ酸系界面活性剤が好ましく、高級脂肪酸塩がより好ましい。
【0014】
-高級脂肪酸塩-
前記(A)成分の中の前記高級脂肪酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、泡のクリーミー性の点から、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、及びステアリン酸塩をいずれも含む高級脂肪酸塩が好ましい。
【0015】
前記高級脂肪酸塩の対イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、塩基性アミノ酸などが挙げられる。
前記アルカリ金属イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどが挙げられる。
前記塩基性アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、リジン、アルギニンなどが挙げられる。
これらの中でも、泡のクリーミー性の点から、カリウムイオンが好ましい。
【0016】
前記高級脂肪酸塩は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
なお、前記高級脂肪酸塩は、高級脂肪酸塩として配合することも可能であるが、高級脂肪酸と、水酸化カリウム等の塩とを別々に、配合槽中に添加して中和反応させて高級脂肪酸塩としてもよい。
【0017】
前記ラウリン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡のクリーミー性、及びタオルドライ後の肌のしっとり感の点から、液体皮膚洗浄剤組成物全量に対して、3質量%~12質量%が好ましく、7質量%~10質量%がより好ましい。前記含有量が、3質量%以上であると、泡のクリーミー性が良好であり、12質量%以下であると、タオルドライ後の肌のしっとり感が良好である。
【0018】
前記ミリスチン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡のクリーミー性、及びタオルドライ後の肌のしっとり感の点から、液体皮膚洗浄剤組成物全量に対して、4質量%~14質量%が好ましく、8質量%~14質量%がより好ましい。前記含有量が、4質量%以上であると、泡のクリーミー性が良好であり、14質量%以下であると、タオルドライ後の肌のしっとり感が良好である。
【0019】
前記パルミチン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡のクリーミー性、及びタオルドライ後の肌のしっとり感の点から、液体皮膚洗浄剤組成物全量に対して、1質量%~9質量%が好ましく、3質量%~9質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上であると、泡のクリーミー性が良好であり、9質量%以下であると、タオルドライ後の肌のしっとり感が良好である。
【0020】
前記ステアリン酸塩の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡のクリーミー性、及びタオルドライ後の肌のしっとり感の点から、液体皮膚洗浄剤組成物全量に対して、0.1質量%~3質量%が好ましく、0.2質量%~1質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上であると、泡のクリーミー性が良好であり、3質量%以下であると、タオルドライ後の肌のしっとり感が良好である。
【0021】
-ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩-
前記(A)成分の中の前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A1)で表される化合物などが挙げられる。前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化7】
【0022】
前記一般式(A1)中、Rはアルキル基を示し、前記アルキル基部分の炭素数としては、10~14が好ましい。
【0023】
前記一般式(A1)中、nはエチレンオキサイド(E.O.)の平均付加モル数を示し、前記エチレンオキサイドの平均付加モル数としては、1~5が好ましい。
【0024】
前記一般式(A1)中、Xは、アルカリ金属、又はアンモニウムを示す。
前記アルカリ金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
【0025】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の具体例としては、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(別名:POE(2)ラウレス硫酸ナトリウム)、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(別名:POE(3)ラウレス硫酸ナトリウム)、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(3)アルキル(C12,13)エーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
なお、前記( )内の数値は、エチレンオキサイドの平均付加モル数(n)を表す。
【0026】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の市販品としては、例えば、Texapon(テキサポン)(登録商標) N70(BASF社製、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)などが挙げられる。
【0027】
-エーテルカルボン酸系界面活性剤-
前記(A)成分の中の前記エーテルカルボン酸系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A2)又は(A3)で表される化合物などが挙げられる。前記エーテルカルボン酸系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化8】
【0028】
前記一般式(A2)及び(A3)中、Rは炭素数5~23の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数5~23の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたフェニル基を示し、前記R部分の炭素数としては、10~14が好ましい。
【0029】
前記一般式(A2)中、Rは同一でも異なっていてもよく、炭素数2~4のアルキレン基を示し、炭素数2が好ましい。
【0030】
前記一般式(A2)中、oは1~20のアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、前記アルキレンオキサイドの平均付加モル数としては、1~5が好ましい。
【0031】
前記一般式(A2)及び(A3)中、Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は塩基性アミノ酸を示す。
【0032】
前記一般式(A2)又は(A3)で表されるエーテルカルボン酸系界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸カリウム、ラウリルグリコール酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
なお、前記( )内の数値は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数(o)を表す。
【0033】
前記エーテルカルボン酸系界面活性剤は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記エーテルカルボン酸系界面活性剤の市販品としては、例えば、エナジコールEC-30(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライト LCA-25F(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライト LCA-30D(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、ビューライト LCA-H(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸)、ビューライト LCA-25NH(ラウレス-4カルボン酸)、ビューライト SHAA(ラウリルグリコールカルボン酸ナトリウム)、ビューライト LCA(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム)(以上、三洋化成工業株式会社製)、カオーアキポRLM-45NV(ポリオキシエチレン(4.5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)、カオーアキポRLM-100NV(ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム)(以上、花王株式会社製)などが挙げられる。
なお、前記( )内の数値は、アルキレンオキサイドの平均付加モル数(o)を表す。
【0034】
-アミノ酸系界面活性剤-
前記(A)成分の中の前記アミノ酸系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(A4)で表される化合物などが挙げられる。前記アミノ酸系界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【化9】
【0035】
前記一般式(A4)中、R10は炭素数5~23の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基、又は炭素数5~23の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基で置換されたフェニル基を示し、前記R10部分の炭素数としては、8~18が好ましい。
【0036】
前記一般式(A4)中、R11は、水素原子又は炭素数1~3のアルキル基を示す。
【0037】
前記一般式(A4)中、R12及びR13は同一でも異なっていてもよく、水素原子又は-(CH-COOMを示す。
【0038】
前記一般式(A4)中、m及びnは同一でも異なっていてもよく、0~20の数を示す。
【0039】
前記一般式(A4)中、M及びMは同一でも異なっていてもよく、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又は塩基性アミノ酸を示す。
【0040】
前記アミノ酸系界面活性剤の親水部のアミノ酸構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、グリシン、グルタミン酸、メチルアラニンが好ましい。
【0041】
前記一般式(A4)で表されるアミノ酸系界面活性剤の具体例としては、N-ココイル-グリシンカリウム(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)等のN-アシル-グリシン及びその塩;N-ミリストイル-N-カルボキシエチル-グリシンナトリウム等のN-アシル-N-カルボキシエチル-グリシン及びその塩;N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸カリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸カリウム、N-パーム脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム等のN-アシルグルタミン酸及びその塩;N-ラウロイル-N-メチル-β-アラニンカリウムなどが挙げられる。
【0042】
前記アミノ酸系界面活性剤は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記アミノ酸系界面活性剤の市販品としては、例えば、アミライト(登録商標)GCK-11(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)、アミライト(登録商標)GCK-12K(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム)、アミライト(登録商標)GCS-12K(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム)、アミライト(登録商標)GCS-11(N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム)、アミソフト(登録商標)CS-11(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)CS-22(N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)LS-11(N-ラウロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)MS-11(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS-11P(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS-11P(F)(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム)、アミソフト(登録商標)HS21(N-ステアロイル-L-グルタミン酸ジナトリウム)、アミライト(登録商標)ACS-12(ココイルアラニンナトリウム)(以上、味の素ヘルシーサプライ株式会社製)、アミノサーファクト(登録商標)AMMS-P1(N-ミリストイル-L-グルタミン酸ナトリウム)(旭化成ケミカルズ株式会社製)、NIKKOL サルコシネート MN(ミリストイルメチルアミノ酢酸ナトリウム)、NIKKOL アラニネート LN-30(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(以上、日光ケミカルズ株式会社製)、アラノンACE(ヤシ油脂肪酸メチルアラニンナトリウム)、アラノンAME(ミリストイルメチル-β-アラニンナトリウム)、アラノンALE(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(以上、川研ファインケミカル株式会社製)、エナジコール L-30AN(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)、ソフティルトAT-L(ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム)(日油株式会社製)などが挙げられる。
【0043】
前記(A)成分のアニオン性界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡のクリーミー性、及びタオルドライ後の肌のしっとり感の点から、液体皮膚洗浄剤組成物全量に対して、10質量%~34質量%が好ましく、20質量%~32質量%がより好ましい。前記含有量が、10質量%以上であると、泡のクリーミー性が良好であり、34質量%以下であると、タオルドライ後の肌のしっとり感が良好である。
【0044】
<(B)カチオン性ポリマー>
前記(B)成分のカチオン性ポリマーは、塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、及び塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体から選択される少なくとも1種であり、主に、タオルドライ後の肌のしっとり感、及びタオルドライ後の肌が手に吸い付く感じを向上させるために含有される。
【0045】
前記(B)成分の中の塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体は、下記一般式(B1)で表される。
【化10】
ただし、前記一般式(B1)中、n、及びmは各構造単位のモル比率(モル%)を示し、n+m=100であり、前記mは40モル%以上である。
【0046】
前記(B)成分のうちの塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率としては、タオルドライ後の肌のしっとり感、及びタオルドライ後の肌が手に吸い付く感じの点から、40モル%以上であり、65モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましい。前記モル比率が、40モル%未満であると、タオルドライ後の肌のしっとり感、及びタオルドライ後の肌が手に吸い付く感じが不十分となることがある。
前記塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記(B)成分のうちの塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体における各構造単位のモル比率は、核磁気共鳴(NMR)により下記測定条件で測定することで決定することができる。
[測定条件]
溶媒:重水(DO)
測定器:JNM-LA300(300MHz、日本電子株式会社製)
【0048】
前記(B)成分のカチオン性ポリマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、タオルドライ後の肌のしっとり感、及びタオルドライ後の肌が手に吸い付く感じの点から、10,000~1,000,000が好ましく、15,000~450,000がより好ましい。
前記(B)成分のカチオン性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、SEC-MALLS-RIシステム(測定条件:カラム:東ソー株式会社製TSKgelαシリーズ α-Mカラム30cm、溶媒:硝酸ナトリウム0.3M水溶液)で測定することができる。
【0049】
前記(B)成分のカチオン性ポリマーの固形分30質量%~44質量%の溶液の25℃での粘度は、10mPa・s~15,000mPa・sが好ましく、20mPa・s~12,000mPa・sがより好ましい。
前記粘度は、例えば、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて測定することができる。
【0050】
前記(B)成分のカチオン性ポリマーは、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、以下のものなどが挙げられる。
マーコート(MERQUAT)100(成分名:塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、ルーブリゾール社製、固形分39質量%~44質量%の25℃での粘度:8,000mPa・s~12,000mPa・s、重量平均分子量:150,000)。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.3のローターを使用し、6回転/分間の条件において測定することができる。
【0051】
マーコート106(成分名:塩化ジメチルジアリルアンモニウム重合体、ルーブリゾール社製、固形分30質量%~36質量%の25℃での粘度:20mPa・s~65mPa・s、重量平均分子量:15,000)。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.1のローターを使用し、60回転/分間の条件において測定することができる。
【0052】
マーコート295(成分名:塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体、ルーブリゾール社製、固形分35質量%~40質量%の25℃での粘度:3,500mPa・s~9,000mPa・s、重量平均分子量:190,000、前記一般式(B1)におけるn:m=5:95(モル比)、塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が95モル%)。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.4のローターを使用し、30回転/分間の条件において測定することができる。
【0053】
マーコート280(成分名:塩化ジメチルジアリルアンモニウム-アクリル酸共重合体、ルーブリゾール社製、固形分39質量%~43質量%の25℃での粘度:3,000mPa・s~6,000mPa・s、重量平均分子量:450,000、前記一般式(B1)におけるn:m=35:65(モル比)、塩化ジメチルジアリルアンモニウムに由来する構造単位のモル比率が65モル%)。前記粘度は、ブルックフィールド粘度計LVF(ブルックフィールド社製)を用いて、25℃でスピンドルNo.4のローターを使用し、60回転/分間の条件において測定することができる。
【0054】
これらの中でも、前記(B)成分のカチオン性ポリマーとしては、タオルドライ後の肌のしっとり感、及びタオルドライ後の肌が手に吸い付く感じの点から、マーコート100、マーコート106、マーコート295が好ましい。
【0055】
前記(B)成分のカチオン性ポリマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡のクリーミー性、タオルドライ後の肌のしっとり感、及びタオルドライ後の肌が手に吸い付く感じの点から、液体皮膚洗浄剤組成物全量に対して、0.2質量%~3質量%が好ましく、0.3質量%~1質量%がより好ましい。前記含有量が、0.2質量%以上であると、タオルドライ後の肌のしっとり感、及びタオルドライ後の肌が手に吸い付く感じが良好であり、3質量%以下であると、泡のクリーミー性が良好である。
【0056】
<(C)一般式(C1)で表される化合物、一般式(C2)で表される化合物、及び一般式(C3)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物>
前記(C)成分の一般式(C1)で表される化合物、一般式(C2)で表される化合物、及び一般式(C3)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物は、主に、タオルドライ後の肌のしっとり感を向上させるために含有される。
【化11】
(ただし、前記一般式(C1)中、Rは、炭素数3以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基を表す。)
【化12】
(ただし、前記一般式(C2)中、R及びRはそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基又はアルキル基を表し、前記R及び前記Rの少なくともいずれかはヒドロキシアルキル基である。)
【化13】
(ただし、前記一般式(C3)中、R 、及びRはそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のヒドロキシアルキル基又はアルキル基を表し、前記R 前記R、及び前記Rの少なくともいずれかはヒドロキシアルキル基である。)
【0057】
これらの中でも、前記(C)成分としては、タオルドライ後の肌のしっとり感の点から、前記一般式(C1)で表される化合物が好ましい。
【0058】
前記一般式(C1)で表される化合物、前記一般式(C2)で表される化合物、及び前記一般式(C3)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物の具体例としては、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール等の前記一般式(C1)で表される化合物;ジエタノールアミン等の前記一般式(C2)で表される化合物;トリエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール等の前記一般式(C3)で表される化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、タオルドライ後の肌のしっとり感の点から、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールが好ましい。
【0059】
前記(C)成分の化合物は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、AMP ULTRA(登録商標)PC1000(アンガスケミカルカンパニー製、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール)、AMPD ULTRA(登録商標)PC(アンガスケミカルカンパニー製、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール)、ジエタノールアミン(三井化学株式会社製)、トリエタノールアミン99(ダウケミカル株式会社製、トリエタノールアミン)、アミノアルコール 2Mabs(日本乳化剤株式会社製、2-ジメチルアミノエタノール)などが挙げられる。
【0060】
前記(C)成分の化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、タオルドライ後の肌のしっとり感の点から、液体皮膚洗浄剤組成物全量に対して、0.01質量%~0.20質量%が好ましく、0.02質量%~0.08質量%がより好ましい。前記含有量が、前記好ましい範囲内であると、タオルドライ後の肌のしっとり感が良好である。
【0061】
<質量比[(A)/(C)]>
前記(C)成分の含有量に対する、前記(A)成分の含有量の質量比[(A)/(C)]としては、タオルドライ後の肌のしっとり感の点から、300~1,000であり、305~400が好ましく、320~370がより好ましい。前記質量比[(A)/(C)]が、300~1,000であると、タオルドライ後の肌のしっとり感が良好である。一方、前記質量比[(A)/(C)]が、300未満又は1,000を超えると、タオルドライ後の肌のしっとり感が不十分である。
【0062】
<その他の成分>
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物には、前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、その他の成分を配合することができる。
前記その他の成分としては、例えば、精製水、前記(B)成分以外の水溶性ポリマー、前記(C)成分以外のアミノアルコール、油分、低級アルコールや高級アルコール等のアルコール類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、ビタミン等の薬剤、殺菌剤、防腐剤、粘度調整剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、清涼剤、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記その他の成分の前記液体皮膚洗浄剤組成物全量に対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0063】
前記(C)成分以外のアミノアルコールとしては、例えば、モノエタノールアミンなどが挙げられる。前記モノエタノールアミンの前記液体皮膚洗浄剤組成物全量に対する含有量としては、0.05質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましい。前記モノエタノールアミンの含有量が、0.05質量%を超えると、前記液体皮膚洗浄剤組成物の着色の抑制が不十分となることがある。
【0064】
-pH-
前記液体皮膚洗浄剤組成物の25℃におけるpHとしては、9.5~11.0が好ましく、9.8~10.6がより好ましい。
前記pHは、例えば、pHメーター(HM-30R、TOA DKK社製)を使用して測定することができる。
【0065】
-粘度-
前記液体皮膚洗浄剤組成物の25℃における粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mPa・s~6,000mPa・sが好ましく、50mPa・s~4,000mPa・sがより好ましい。
前記粘度は、例えば、BM型粘度計(株式会社東京計器製)を用いて、試料温度25℃にて、以下の条件で測定することができる。前記粘度が、1mPa・s~3,000mPa・sであれば、BMアダプター、回転数30rpm、No.3のローターを用いて1分間後の粘度を測定し、3,000mPa・sを超える場合は、BMアダプター、回転数30rpm、No.4のローターにて1分間後の粘度を測定することにより測定できる。
【0066】
-容器-
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物は、特に制限はなく、通常の容器に充填して使用される。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポンプディスペンサー容器、チューブ、フォーマー容器、袋状容器などが挙げられる。これらの中でも、ポンプディスペンサー容器が好ましい。前記ポンプディスペンサー容器としては、例えば、株式会社吉野工業所製のノズル口径(内径)3.5mm、吐出量3mLのポンプディスペンサー容器などが挙げられる。
【0067】
-製造方法-
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記(A)、前記(B)成分、及び前記(C)成分、必要に応じて、前記その他の成分及び前記精製水(液体皮膚洗浄剤組成物全体が100質量%となるように残量として配合)を混合して得ることができる。
具体的には、以下のようにして製造することができる。70℃~80℃に加温した精製水に前記(A)成分を溶解し、40℃以下に冷却してから、前記(B)成分及び前記(C)成分を添加して製造することができる。
【0068】
前記液体皮膚洗浄剤組成物は、装置を用いて調製してもよい。前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断力があり、全体を混合することができる攪拌羽根を備えた攪拌装置などが挙げられる。
前記攪拌羽根としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどが挙げられる。
【0069】
-用途-
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物は、高いpHにおいても着色を抑制することができ、更に、良好な泡性能と、洗浄後の良好な肌感触を得ることができるため、例えば、洗顔料、ハンドソープ、ボディソープ、クレンジングフォーム、メイク落としなどに用いることができ、特にボディソープに好適に用いることができる。
【実施例
【0070】
以下に、本発明を実施例及び比較例に基づいて更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0071】
実施例及び比較例に記載の各成分の含有量は「質量%」で示し、全て純分換算した値である。また、前記(C)成分の含有量に対する、前記(A)成分の含有量の質量比[(A)/(C)]は、小数点以下第1位を四捨五入し、整数として求め、記載した。
【0072】
(実施例1~25及び比較例1~8)
下記表1~表6に示す組成、及び含有量の液体皮膚洗浄剤組成物(以下、「製剤」と称することがある)を以下の方法で調製した。
最終的に得られる液体皮膚洗浄剤組成物全量の60質量%になる量の精製水を、70℃~80℃に加温し、(A)成分のアニオン性界面活性剤を溶解し、共通成分の水酸化カリウムを用いて中和した。40℃以下に冷却してから、(B)成分又は(B)成分の比較成分、(C)成分又は(C)成分の比較成分、及び共通成分である香料を添加することにより液体皮膚洗浄剤組成物を調製した。その後、所定のpHに満たない場合は、共通成分である水酸化カリウムを添加し、所定のpHに調整後、全体量が100質量%になるように精製水を加えて、目的とする実施例及び比較例の各液体皮膚洗浄剤組成物を得た。また、攪拌羽根としてはプロペラを使用し、スリーワンモーター(HEIDON BL1200、新東化学株式会社製)を用いて攪拌した。なお、pHは、pHメーター(HM-30R、TOA DKK社製)を用いて、25℃で測定した。また、得られた実施例1~25及び比較例1~8の各液体皮膚洗浄剤組成物は、ポンプディスペンサー付き容器[吐出量3mL、ノズル口径(内径)3.5mm、株式会社吉野工業所製]に充填した。
【0073】
調製した実施例1~25及び比較例1~8の各液体皮膚洗浄剤組成物について、以下のようにして、「泡のクリーミー性」、「タオルドライ後の肌のしっとり感」、「タオルドライ後の肌が手に吸い付く感じ」、及び「製剤の着色抑制」を評価及び判定した。結果を下記表1~表6に示した。
【0074】
<泡のクリーミー性>
専門評価者10名が、40℃の温水に濡らして、軽く水気をとったナイロンタオルに、実施例1~25及び比較例1~8の各液体皮膚洗浄剤組成物を2プッシュ(約6g)取り、ナイロンタオルを10回擦って泡立てたときの、泡のクリーミー性を観察し、下記評価基準に従って評価した。結果は、前記専門評価者10名の平均評価点を求め、求めた平均評価点から「泡のクリーミー性」を判定した。なお、平均評価点が3.0点以上であれば、「泡のクリーミー性」は良好である。
-「泡のクリーミー性」の評価基準-
5点 : ほとんどの泡が細かい泡で、非常にクリーミーである。
4点 : 細かい泡の中の一部に大きな泡が混ざっているが、クリーミーである。
3点 : 細かい泡の中に大きな泡が半分ぐらい混ざり、ややクリーミーである。
2点 : 細かい泡よりも大きく粗い泡の方が多く、クリーミーではない。
1点 : 大きく粗い泡しか立たず、全くクリーミーではない。
【0075】
<タオルドライ後の肌のしっとり感>
専門評価者10名が、40℃の温水に濡らして、軽く水気をとったナイロンタオルに、実施例1~25及び比較例1~8の各液体皮膚洗浄剤組成物を2プッシュ(約6g)取り、5回擦って泡立て、前記ナイロンタオルで全身を擦った後、40℃の温水で、前記液体皮膚洗浄剤組成物をすすぎ流し、タオルで水滴を拭き取った。その後、専門評価者は、「タオルドライ後の肌のしっとり感」をそれぞれ下記評価基準に従って評価した。結果は、前記専門評価者10名の平均評価点を求め、求めた平均評価点から下記判定基準に従って「タオルドライ後の肌のしっとり感」を判定した。なお、判定が「○」、「◎」、又は「◎◎」であれば、「タオルドライ後の肌のしっとり感」は良好である。
-「タオルドライ後の肌のしっとり感」の評価基準-
5点 : しっとり感を強く感じる。
4点 : しっとり感を感じる。
3点 : しっとり感をやや感じる。
2点 : しっとり感をあまり感じない。
1点 : しっとり感を全く感じない。
-「タオルドライ後の肌のしっとり感」の判定基準-
◎◎: 平均評価点が、4.5以上~5.0未満
◎ : 平均評価点が、4.0以上~4.4未満
○ : 平均評価点が、3.0以上~3.9未満
△ : 平均評価点が、1.6以上~3.0未満
× : 平均評価点が、1.0以上~1.5未満
【0076】
<タオルドライ後の肌が手に吸い付く感じ>
専門評価者10名が、40℃の温水に濡らして、軽く水気をとったナイロンタオルに、実施例1~25及び比較例1~8の各液体皮膚洗浄剤組成物を2プッシュ(約6g)取り、5回擦って泡立て、前記ナイロンタオルで全身を擦った後、40℃の温水で、前記液体皮膚洗浄剤組成物をすすぎ流し、タオルで水滴を拭き取った。その後、専門評価者は、「タオルドライ後の肌が手に吸い付く感じ」をそれぞれ評価し、下記判定基準に従って判定した。なお、判定が「○」又は「◎」であれば、「タオルドライ後の肌が手に吸い付く感じ」は良好である。
-「タオルドライ後の肌が手に吸い付く感じ」の判定基準-
◎ : 専門評価者の8名以上10名以下が吸い付き感を感じる。
○ : 専門評価者の5名以上7名以下が吸い付き感を感じる。
△ : 専門評価者の3名以上4名以下が吸い付き感を感じる。
× : 専門評価者の0名以上2名以下が吸い付き感を感じる。
【0077】
<製剤の着色抑制>
実施例1~25及び比較例1~8の各液体皮膚洗浄剤組成物を50mL容量のガラス瓶(ねじ口瓶SV-50A、日電理化硝子株式会社製)に50mL入れ、ガラス瓶の蓋を閉めて、50℃において30日間保存した。専門評価者10名が、保存した前記各液体皮膚洗浄剤組成物の外観の澄明性をそれぞれ評価し、下記判定基準に従って「製剤の着色抑制」を判定した。なお、判定が「○」、「◎」、又は「◎◎」であれば、「製剤の着色抑制」は良好である。
-「製剤の着色抑制」の判定基準-
◎◎: 専門評価者の10名が外観を澄明であると感じる。
◎ : 専門評価者の8名以上9名以下が外観を澄明であると感じる。
○ : 専門評価者の5名以上7名以下が外観を澄明であると感じる。
△ : 専門評価者の3名以上4名以下が外観を澄明であると感じる。
× : 専門評価者の0名以上2名以下が外観を澄明であると感じる。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
【表3】
【0081】
【表4】
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
前記実施例1~25及び比較例1~8で使用した各成分の詳細について、下記表7に示す。
【0085】
【表7】
※1:ラウリン酸カリウムは、ラウリン酸(NAA-122、日油株式会社製)を水酸化カリウム(旭硝子株式会社製、液体苛性カリ)で中和させて調製したものを使用した。
※2:ミリスチン酸カリウムは、ミリスチン酸(NAA-142、日油株式会社製)を水酸化カリウム(旭硝子株式会社製、液体苛性カリ)で中和させて調製したものを使用した。
※3:パルミチン酸カリウムは、パルミチン酸(NAA-160、日油株式会社製)を水酸化カリウム(旭硝子株式会社製、液体苛性カリ)で中和させて調製したものを使用した。
※4:ステアリン酸カリウムは、ステアリン酸(NAA-180、日油株式会社製)を水酸化カリウム(旭硝子株式会社製、液体苛性カリ)で中和させて調製したものを使用した。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の液体皮膚洗浄剤組成物は、高いpHにおいても着色を抑制することができ、更に、良好な泡性能と、洗浄後の良好な肌感触を得ることができるため、例えば、洗顔料、ハンドソープ、ボディソープ、クレンジングフォーム、メイク落としなどに用いることができ、特にボディソープに好適に用いることができる。