(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】貨幣処理システム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/22 20190101AFI20230607BHJP
G07D 11/165 20190101ALI20230607BHJP
【FI】
G07D11/22
G07D11/165
(21)【出願番号】P 2019136887
(22)【出願日】2019-07-25
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 智博
(72)【発明者】
【氏名】旭泉 かりん
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-146828(JP,A)
【文献】特開2013-171460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00- 3/16
G07D 9/00-13/00
G07F 19/00
G06Q 40/02
G07G 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金処理を行う貨幣処理システムであって、
貨幣と証票を収納可能であり、前記入金処理において
前記貨幣と
前記証票のうち少なくとも1つを収納する貨幣処理装置と、
前記入金処理において前記貨幣処理装置に収納されない証票が投入され、該証票を撮像することで該証票の画像を取得し、該証票を排出するスキャナと、
前記貨幣処理装置における前記入金処理の結果を示す貨幣入金情報と、前記スキャナにより取得された証票の画像とを紐付ける制御部とを備え
、
前記貨幣処理装置は、前記証票を含む有価媒体を処理する有価媒体処理部を有し、
前記有価媒体処理部は、前記有価媒体を撮像することで該有価媒体の画像を取得する撮像部と、該有価媒体を収納する有価媒体収納部とを有し、
前記スキャナには、前記入金処理において前記有価媒体処理部に収納されない証票が投入される
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記スキャナにより撮像された証票の属性情報が入力される入力部を備え、
前記制御部は、前記スキャナにより取得された証票の画像と、前記入力部に入力された属性情報とを紐付ける
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項3】
請求項1
または2において、
前記スキャナに投入することができる証票は、前記入金処理において前記貨幣処理装置に収納することができる証票よりも大きい
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1つにおいて、
操作者により投入される証票を収納する証票収納部を備え、
前記スキャナにより撮像された証票は、前記証票収納部に収納される
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1つにおいて、
前記スキャナは、前記貨幣処理装置の外に設けられる
ことを特徴とする貨幣処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、貨幣処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙幣や硬貨などの貨幣だけでなく、小切手や手形や商品券などの証票も処理する貨幣処理装置が知られている。特許文献1には、特殊媒体を収納する特殊媒体収納装置が開示されている。特殊媒体は、機械的に真偽や金種判定が困難な貨幣、汚損貨幣、記念硬貨、小切手の少なくとも一つを含む。特許文献1の装置は、特殊媒体の投入を受け付ける特殊媒体受付手段と、投入された特殊媒体を撮像する撮像手段と、特殊媒体受付手段により複数の前記特殊媒体の受付が行われた場合に、複数の特殊媒体の画像と特殊媒体の属性とを対応付けて一覧表示する表示制御手段とを備える。また、特許文献1の装置では、特殊媒体の画像が操作表示部に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような貨幣処理装置では、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票の画像を、貨幣入金情報(貨幣処理装置における入金処理の結果を示す情報)に紐付けて管理することができない。そのため、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票を管理することが困難である。
【0005】
そこで、ここに開示する技術は、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票の管理を容易にすることが可能な貨幣処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示する技術は、入金処理を行う貨幣処理システムに関する。この貨幣処理システムは、前記入金処理において貨幣と証票のうち少なくとも1つを収納する貨幣処理装置と、前記入金処理において前記貨幣処理装置に収納されない証票が投入され、該証票を撮像することで該証票の画像を取得し、該証票を排出するスキャナと、前記貨幣処理装置における前記入金処理の結果を示す貨幣入金情報と、前記スキャナにより取得された証票の画像とを紐付ける制御部とを備える。
【0007】
前記の構成では、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票の画像を、貨幣処理装置における入金処理の結果を示す貨幣入金情報に紐付けて管理することができる。これにより、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票の管理を容易にすることができる。
【0008】
前記貨幣処理システムは、前記スキャナにより撮像された証票の属性情報が入力される入力部を備えてもよい。前記制御部は、前記スキャナにより取得された証票の画像と、前記入力部に入力された属性情報とを紐付けるように構成されてもよい。
【0009】
前記の構成では、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票の画像を、証票の属性情報に紐付けて管理することができる。これにより、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票の管理を容易にすることができる。
【0010】
前記貨幣処理システムにおいて、前記貨幣処理装置は、前記証票を含む有価媒体を処理する有価媒体処理部を有してもよい。前記有価媒体処理部は、前記有価媒体を撮像することで該有価媒体の画像を取得する撮像部と、該有価媒体を収納する有価媒体収納部とを有してもよい。前記スキャナには、前記入金処理において前記有価媒体処理部に収納されない証票が投入されてもよい。
【0011】
前記の構成では、入金処理において有価媒体処理部に収納されない証票の画像を貨幣入金情報に紐付けて管理することができる。これにより、入金処理において有価媒体処理部に収納されない証票の管理を容易にすることができる。
【0012】
前記貨幣処理システムにおいて、前記スキャナに投入することができる証票は、前記入金処理において前記貨幣処理装置に収納することができる証票よりも大きくてもよい。
【0013】
前記の構成では、入金処理において貨幣処理装置に収納することができる証票よりも大きい証票をスキャナに投入することができる。これにより、このような証票の画像を貨幣入金情報に紐付けて管理することができるので、このような証票の管理を容易にすることができる。
【0014】
前記貨幣処理システムは、操作者により投入される証票を収納する証票収納部を備えてもよい。前記スキャナにより撮像された証票は、前記証票収納部に収納されてもよい。
【0015】
前記の構成では、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票を証票収納部に収納することができる。これにより、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票の管理を容易にすることができる。
【0016】
前記貨幣処理システムにおいて、前記スキャナは、前記貨幣処理装置の外に設けられてもよい。
【0017】
前記の構成では、貨幣処理装置の外に設けられるスキャナを利用することにより、貨幣処理装置を大幅に改造せずに、機能を拡張することができる。これにより、機能拡張のために貨幣処理装置を大幅に改造する場合よりも、コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0018】
ここに開示する技術によれば、入金処理において貨幣処理装置に収納されない証票の管理を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態による貨幣処理システムの構成を例示する概略図である。
【
図2】
図1に示した貨幣処理装置の構成を例示するブロック図である。
【
図3】
図1に示したスキャナの構成を例示するブロック図である。
【
図4】
図1に示した有価媒体処理部の構成を例示する概略図である。
【
図5】貨幣処理システムにおける入金処理を例示するフローチャートである。
【
図6】モード指定領域を含む操作画面画像を例示する図である。
【
図7】投入指示画像を含む操作画面画像を例示する図である。
【
図8】証票画像と属性情報入力領域とを含む操作画面画像を例示する図である。
【
図9】入金情報表示領域と証票の画像と属性情報表示領域とを含む操作画面画像を例示する図である。
【
図10】印刷情報表示領域と手持ち移行ボタンとを含む操作画面画像を例示する図である。
【
図11】投入指示画像を含む操作画面画像を例示する図である。
【
図12】セット指示画像を含む操作画面画像を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0021】
(貨幣処理システム)
図1は、実施形態の貨幣処理システム1の構成を例示する。貨幣処理システム1は、貨幣処理装置10と、スキャナ20と、管理コンピュータ50とを備える。例えば、貨幣処理システム1は、銀行などの金融機関に設けられる。また、貨幣処理システム1では、入金処理などの各種処理が行われる。貨幣処理システム1において行われる入金処理については、後で詳しく説明する。
【0022】
〔貨幣処理装置〕
貨幣処理装置10は、入金処理において貨幣と証票のうち少なくとも1つを収納する。この例では、貨幣処理装置10は、出納機を構成する。具体的には、
図1および
図2に示すように、貨幣処理装置10は、バラ紙幣処理部100と、有価媒体処理部200と、帯封紙幣処理部300と、バラ硬貨処理部400と、包装硬貨処理部500と、損貨記念貨処理部600と、貨幣保管部700と、1つまたは複数(この例では2つ)の操作表示部11と、1つまたは複数(この例では2つ)のプリンタ12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
【0023】
〔貨幣と証票の説明〕
貨幣には、紙で作られた貨幣である紙幣と、金属で作られた貨幣である硬貨とが含まれる。証票は、バラ紙幣処理部100に収納することができない紙葉類である。例えば、証票には、小切手、手形、商品券、配当金領収証などが含まれる。
【0024】
〈バラ紙幣処理部〉
バラ紙幣処理部100は、バラ紙幣(バラ状態の紙幣)を処理する。バラ紙幣処理部100は、バラ紙幣を入金するバラ紙幣入金処理やバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金処理などの各種処理を行う。例えば、バラ紙幣入金処理では、バラ紙幣がバラ紙幣処理部100に投入される。バラ紙幣処理部100に投入されたバラ紙幣が入金可能な紙幣に該当する場合、バラ紙幣処理部100は、その投入されたバラ紙幣を収納する。一方、バラ紙幣処理部100に投入されたバラ紙幣が入金可能な紙幣に該当しない場合、バラ紙幣処理部100は、その投入されたバラ紙幣を返却する。なお、バラ紙幣処理部100の動作は、制御部15により制御される。
【0025】
〈有価媒体処理部〉
有価媒体処理部200は、有価媒体を処理する。有価媒体には、バラ紙幣処理部100に収納することができない紙幣と、証票とが含まれる。バラ紙幣処理部100に収納することができない紙幣の例としては、損券、旧券、新券などが挙げられる。有価媒体処理部200は、有価媒体を入金する有価媒体入金処理や有価媒体を払い出す有価媒体払出処理などの各種処理を行う。なお、有価媒体処理部200の動作は、制御部15により制御される。また、有価媒体入金処理については、後で詳しく説明する。
【0026】
〈帯封紙幣処理部〉
帯封紙幣処理部300は、帯封紙幣を処理する。帯封紙幣は、所定枚数(例えば100枚)のバラ紙幣が帯封紙により帯封されて構成される。帯封紙幣処理部300は、帯封紙幣を生成する帯封処理や帯封紙幣を出金する帯封紙幣出金処理などの各種の処理を行う。例えば、帯封紙幣出金処理では、出金されるべき帯封紙幣の金種と束数(または合計金額)が指定され、帯封紙幣処理部300は、その指定された金種と束数(または合計金額)の帯封紙幣を帯封紙幣収納部(図示を省略)から繰り出して払い出す。なお、帯封紙幣処理部300の動作は、制御部15により制御される。
【0027】
〈バラ硬貨処理部〉
バラ硬貨処理部400は、バラ硬貨(バラ状態の硬貨)を処理する。バラ硬貨処理部400は、バラ硬貨を入金するバラ硬貨入金処理やバラ硬貨を出金するバラ硬貨出金処理などの各種処理を行う。例えば、バラ硬貨入金処理では、バラ硬貨がバラ硬貨処理部400に投入される。バラ硬貨処理部400に投入されたバラ硬貨が入金可能な硬貨に該当する場合、バラ硬貨処理部400は、その投入されたバラ硬貨を収納する。一方、バラ硬貨処理部400に投入されたバラ硬貨が入金可能な硬貨に該当しない場合、バラ硬貨処理部400は、その投入されたバラ硬貨を返却する。なお、バラ硬貨処理部400の動作は、制御部15により制御される。
【0028】
〈包装硬貨処理部〉
包装硬貨処理部500は、包装硬貨を処理する。包装硬貨は、所定枚数(例えば50枚)のバラ硬貨が包装されて構成される。包装硬貨処理部500は、包装硬貨を生成する包装処理や包装硬貨を出金する包装硬貨出金処理などの各種処理を行う。例えば、包装硬貨出金処理では、出金されるべき包装硬貨の金種と本数(または合計金額)が指定され、包装硬貨処理部500は、その指定された金種と本数(または合計金額)の包装硬貨を包装硬貨収納部(図示を省略)から繰り出して払い出す。なお、包装硬貨処理部500の動作は、制御部15により制御される。
【0029】
〈損貨記念貨処理部〉
損貨記念貨処理部600は、損貨や記念貨などの硬貨(バラ硬貨処理部400に収納することができない硬貨)を処理する。損貨記念貨処理部600は、損貨や記念貨を入金する損貨記念貨入金処理などの各種処理を行う。例えば、損貨記念貨入金処理では、バラ硬貨処理部400に収納することができない硬貨が損貨記念貨処理部600に投入される。損貨記念貨処理部600において、撮像部(図示を省略)は、その投入された硬貨を撮像することで硬貨の画像を取得する。この硬貨の画像は、操作表示部11に表示される。操作者は、操作表示部11に表示された硬貨の画像を確認して硬貨の属性情報(硬貨の種類や金種など)を判定し、その硬貨の属性情報を入力するための操作を操作表示部11に与える。硬貨の属性情報を確定するための操作である確定操作が操作表示部11に与えられると、制御部15は、その硬貨の画像と、その硬貨の属性情報とを紐付ける。そして、制御部15は、属性情報に紐付けられた硬貨の画像を記憶部14に記憶する。一方、撮像部により撮像された硬貨を返却するための操作である返却操作が操作表示部11に与えられると、制御部15は、損貨記念貨処理部600に投入された硬貨が損貨記念貨処理部600から返却されるように、損貨記念貨処理部600の動作を制御する。
【0030】
〈貨幣保管部〉
貨幣保管部700は、貨幣を保管する。貨幣保管部700は、貨幣保管部700に設けられたドロアに貨幣を収納(装填)する貨幣収納処理やドロアから貨幣を取り出す貨幣取出処理などの各種処理を行う。なお、貨幣保管部700の動作は、制御部15により制御される。
【0031】
〈操作表示部〉
操作表示部11は、操作部11aと表示部11bとを有する。例えば、操作表示部11は、タッチパネルによって構成される。操作部11aは、操作者による操作が与えられ、その操作者による操作に応じて情報を入力する。これにより、操作者は、操作部11aを操作して貨幣処理装置10に各種処理を行わせることができる。すなわち、貨幣処理装置10は、操作者による操作に応答して動作する。表示部11bは、情報を表示する。
【0032】
〈プリンタと通信部〉
プリンタ12は、情報を印刷媒体(例えばジャーナル)に印刷する。通信部13は、制御部15が外部機器(例えば管理コンピュータ50や上位コンピュータ60やタブレット端末やスマートフォンなど)との間で有線通信または無線通信を行うために設けられる。
【0033】
〈記憶部〉
記憶部14は、情報を記憶する。記憶部14には、貨幣処理装置10における貨幣や証票の処理状況に関する情報や、貨幣処理装置10における貨幣や証票の在高に関する情報や、操作表示部11に表示される操作画面などの画像(画像データ)や、貨幣処理装置10の動作を制御するための制御情報などが記憶される。例えば、記憶部14は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの汎用ストレージデバイスによって構成される。
【0034】
〈各種センサ〉
また、貨幣処理装置10の各部には、貨幣や証票の通過を検知する通過センサなどの各種センサが設けられる。これらの各種センサによる検知結果(検知信号)は、制御部15に送信される。
【0035】
〈制御部〉
制御部15は、貨幣処理装置10の各部(この例ではバラ紙幣処理部100と有価媒体処理部200と帯封紙幣処理部300とバラ硬貨処理部400と包装硬貨処理部500と損貨記念貨処理部600と貨幣保管部700と操作表示部11とプリンタ12と通信部13と記憶部14)と電気的に接続されて貨幣処理装置10の各部との間において信号や情報を伝送可能となっている。また、制御部15は、通信部13を経由して外部機器と通信可能となっている。そして、制御部15は、操作表示部11に与えられた操作や、貨幣処理装置10の各部(各部に設けられた各種センサを含む)および外部機器から送られてきた信号や情報などに基づいて、貨幣処理装置10の各部を制御して貨幣処理装置10の動作を制御する。例えば、制御部15は、プロセッサや、プロセッサを動作させるためのプログラムや情報を記憶するメモリなどによって構成される。
【0036】
〔スキャナ〕
スキャナ20には、入金処理において貨幣処理装置10(具体的には有価媒体処理部200)に収納されない証票が投入される。スキャナ20は、その投入された証票を撮像することで、その証票の画像を取得する。そして、スキャナ20は、その証票を排出する。具体的には、スキャナ20は、投入口に投入された証票を排出口へ向けて搬送しながら証票を撮像する。この例では、スキャナ20は、証票の両面を撮像して証票の表面の画像と証票の裏面の画像を取得する。スキャナ20により取得された証票の画像は、制御部15に送信される。
【0037】
なお、この例では、スキャナ20に投入することができる証票は、入金処理において貨幣処理装置10(具体的には有価媒体処理部200)に収納することができる証票よりも大きい。具体的には、スキャナ20に投入することができる証票の許容厚みは、入金処理において貨幣処理装置10に収納することができる証票の許容厚みよりも厚い。または、スキャナ20に投入することができる証票の長手方向(または短手方向)の許容長さは、入金処理において貨幣処理装置10に収納することができる証票の長手方向(または短手方向)の許容長さよりも長い。
【0038】
この例では、スキャナ20は、貨幣処理装置10の外に設けられる。具体的には、制御部15は、筐体(例えば操作表示部11の筐体)内に収納され、スキャナ20は、制御部15を収納する筐体の外に設けられる。そして、この例では、スキャナ20は、USBケーブルなどの通信線により制御部15に接続される。具体的には、制御部15を収納する筐体に設けられたコネクタ(制御部15と電気的に接続されたコネクタ)に通信線の一端が接続され、スキャナ20に設けられたコネクタ(後述するスキャナ制御部26と電気的に接続されたコネクタ)に通信線の他端が接続される。
【0039】
図3に示すように、この例では、スキャナ20は、搬送部21と、撮像部22と、操作部23と、通信部24と、記憶部25と、スキャナ制御部26とを備える。
【0040】
〈搬送部〉
搬送部21は、スキャナ20の投入口に投入された証票をスキャナ20の排出口へ向けて搬送する。撮像部22は、搬送部21により搬送される証票を撮像する。これにより、証票の画像が取得される。この例では、撮像部22は、証票の両面を撮像して証票の表面の画像と証票の裏面の画像を取得する。撮像部22により取得された証票の画像は、スキャナ制御部26に送信される。スキャナ制御部26に送信された証票の画像は、貨幣処理装置10の制御部15に送信される。
【0041】
〈操作部と通信部〉
操作部23は、操作者による操作が与えられ、その操作者による操作に応じて情報を入力する。操作者は、操作部23を操作してスキャナ20に各種処理を行わせることができる。通信部24は、スキャナ制御部26が外部機器(例えば貨幣処理装置10)との間で有線通信または無線通信(この例では有線通信)を行うために設けられる。
【0042】
〈記憶部〉
記憶部25は、情報を記憶する。記憶部25には、撮像部22により取得された証票の画像や、スキャナ20の動作を制御するための制御情報などが記憶される。例えば、記憶部25は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの汎用ストレージデバイスによって構成される。
【0043】
〈各種センサ〉
また、スキャナ20の各部には、証票の通過を検知する通過センサなどの各種センサが設けられる。これらの各種センサによる検知結果(検知信号)は、スキャナ制御部26に送信される。
【0044】
〈スキャナ制御部〉
スキャナ制御部26は、スキャナ20の各部(この例では搬送部21と撮像部22と操作部23と通信部24と記憶部25)と電気的に接続されてスキャナ20の各部との間において信号や情報を伝送可能となっている。また、スキャナ制御部26は、通信部24を経由して外部機器と通信可能となっている。そして、スキャナ制御部26は、操作部23に与えられた操作や、スキャナ20の各部(各部に設けられた各種センサを含む)および外部機器から送られてきた信号や情報などに基づいて、スキャナ20の各部を制御してスキャナ20の動作を制御する。例えば、スキャナ制御部26は、プロセッサや、プロセッサを動作させるためのプログラムや情報を記憶するメモリなどによって構成される。
【0045】
〔管理コンピュータ〕
管理コンピュータ50は、貨幣処理システム1の各部(この例では貨幣処理装置10)を管理する。この例では、管理コンピュータ50は、操作部51と、表示部52と、通信部53と、記憶部54と、制御部55とを備える。
【0046】
〈操作部と表示部と通信部〉
操作部51は、操作者による操作が与えられ、その操作者による操作に応じて情報を入力する。この例では、操作者は、操作部51を操作して管理コンピュータ50に各種処理を行わせることができる。すなわち、管理コンピュータ50は、操作者による操作に応答して動作する。表示部52は、情報を表示する。通信部53は、制御部55が外部機器(例えば貨幣処理装置10や上位コンピュータ60やタブレット端末やスマートフォンなど)との間で有線通信または無線通信を行うために設けられる。
【0047】
〈記憶部〉
記憶部54は、情報を記憶する。記憶部54には、貨幣処理システム1における貨幣や証票の処理状況に関する情報や、貨幣処理システム1における貨幣や証票の在高に関する情報や、表示部52に表示される操作画面などの画像(画像データ)や、管理コンピュータ50の動作を制御するための制御情報などが記憶される。例えば、記憶部54は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどの汎用ストレージデバイスによって構成される。
【0048】
〈制御部〉
制御部55は、管理コンピュータ50の各部(この例では操作部51と表示部52と通信部53と記憶部54)と電気的に接続されて管理コンピュータ50の各部との間において信号や情報を伝送可能となっている。また、制御部55は、通信部53を経由して貨幣処理装置10や外部機器と通信可能となっている。そして、制御部55は、操作部51に与えられた操作や、管理コンピュータ50の各部および外部機器から送られてきた信号や情報などに基づいて、管理コンピュータ50の各部を制御して管理コンピュータ50の動作を制御する。例えば、制御部55は、プロセッサや、プロセッサを動作させるためのプログラムや情報を記憶するメモリなどによって構成される。
【0049】
〔有価媒体処理部の詳細〕
図4は、有価媒体処理部200の構成を例示する。
図4に示すように、有価媒体処理部200は、投入部201と、払出部202と、複数(この例では4つ)の新券収納部203と、一時保留部204と、複数(この例では3つ)の小切手収納部205と、複数(この例では2つ)の損券収納部206と、搬送部207と、撮像部208と、証票収納部210とを有する。なお、新券収納部203と小切手収納部205と損券収納部206は、有価媒体を収納する有価媒体収納部の一例である。
【0050】
〈投入部〉
投入部201には、有価媒体が投入される。この例では、投入部201は、有価媒体処理部200の構成部品を収納する筐体の前面に設けられ、複数枚の有価媒体を投入することができるように構成される。また、投入部201には、投入部201に投入された有価媒体を搬送部207に一枚ずつ繰り出す繰出機構201aが設けられる。
【0051】
〈払出部〉
払出部202は、有価媒体を機外に払い出す。この例では、払出部202は、筐体の前面に設けられ、複数枚の有価媒体を集積することができるように構成される。また、払出部202には、搬送部207から払出部202に搬送されてきた有価媒体を払出部202に一枚ずつ繰り入れる羽根車202aが設けられる。また、払出部202には、開閉可能なシャッタが設けられており、このシャッタが開状態となっている場合に、払出部202に集積された有価媒体を操作者が取り出すことができるようになっている。
【0052】
〈新券収納部〉
複数の新券収納部203は、それぞれが新券を収納する。この例では、複数の新券収納部203は、筐体の前部に設けられて上下方向に並んで配置され、それぞれが複数枚の新券を集積することができるように構成される。また、新券収納部203には、新券収納部203に収納された新券を搬送部207に一枚ずつ繰り出す繰出機構203aが設けられる。
【0053】
〈一時保留部〉
一時保留部204は、有価媒体を一時的に保留(収納)する。この例では、一時保留部204は、テープ巻き取り式の収納部によって構成される。具体的には、一時保留部204は、正回転方向および逆回転方向の両方に回転可能なドラム204aを有しており、このドラム204aに一対のテープが巻き取られるようになっている。そして、搬送部207から一時保留部204に送られた有価媒体は、この一対のテープの間に挟まれた状態で1枚ずつ順番にドラム204a(正回転方向に回転するドラム204a)により巻き取られて収納される。また、ドラム204aを逆回転方向に回転させると、巻き取られた有価媒体が搬送部207に1枚ずつ繰り出される。
【0054】
〈小切手収納部〉
複数の小切手収納部205は、それぞれが小切手を収納する。この例では、小切手収納部205は、スタッカ式の収納部によって構成される。具体的には、小切手収納部205は、複数枚の小切手を集積することができるように構成される。
【0055】
〈損券収納部〉
複数の損券収納部206は、それぞれが損券を収納する。この例では、2つの損券収納部206のうち一方の損券収納部206の構成は、小切手収納部205の構成(スタッカ式の収納部)と同様であり、他方の損券収納部206の構成は、一時保留部204の構成(テープ巻き取り式の収納部)と同様とである。
【0056】
〈搬送部〉
搬送部207は、有価媒体を搬送する。この例では、搬送部207は、投入部201と払出部202と複数の新券収納部203と一時保留部204と複数の小切手収納部205と複数の損券収納部206との間において、有価媒体を搬送するように構成される。例えば、搬送部207は、有価媒体を搬送するための搬送ベルトおよび搬送ローラにより構成された搬送路や、搬送ベルトおよび搬送ローラを駆動するための駆動機構や、有価媒体の搬送を案内するためのガイド機構や、有価媒体の搬送方向を切り換えるための分岐爪などによって構成される。
【0057】
〈撮像部〉
撮像部208は、搬送部207に設けられ、投入部201の下流(有価媒体の搬送方向における下流)に配置される。そして、撮像部208は、搬送部207により搬送される有価媒体を撮像することにより有価媒体の画像を取得する。この例では、撮像部208は、有価媒体の両面を撮像して有価媒体の表面の画像と有価媒体の裏面の画像を取得する。撮像部208により取得された有価媒体の画像は、制御部15に送信される。
【0058】
〈証票収納部〉
証票収納部210は、操作者により投入される証票を収納する。例えば、スキャナ20により撮像されて機外(スキャナ20の外)に排出された証票は、証票収納部210に収納される。この例では、証票収納部210は、有価媒体処理部200の構成部品を収納する筐体の前面に設けられる。また、証票収納部210は、筐体の前面に開口する投入口210aを有し、複数枚の証票を投入することができるように構成される。
【0059】
〔有価媒体入金処理〕
次に、有価媒体処理部200において行われる有価媒体入金処理について説明する。有価媒体入金処理では、有価媒体が有価媒体処理部200に投入される。制御部15は、投入部201から繰り出された有価媒体が撮像部208において撮像されて一時保留部204に搬送されるように、有価媒体処理部200の動作を制御する。
【0060】
また、制御部15は、撮像部208により取得された有価媒体の画像に基づいて簡易識別処理を行う。簡易識別処理では、有価媒体の種類の識別などが行われる。具体的には、有価媒体入金処理において処理される有価媒体が紙幣(損券や旧券など)である場合、簡易識別処理では、紙幣の金種や券種や記番号の識別が行われる。また、有価媒体入金処理において処理される有価媒体が証票(小切手や手形や商品券や配当金領収証など)である場合、簡易識別処理では、証票の種類や価値の識別が行われる。例えば、証票が小切手や手形や商品券や配当金領収証の中のどれに該当するのかが識別される。そして、操作表示部11は、撮像部208により取得された有価媒体の画像と制御部15による有価媒体の簡易識別結果とを表示する。
【0061】
次に、操作者は、操作表示部11に表示された有価媒体の画像を確認して有価媒体の属性情報(紙幣の券種や金種、証票の種類や金額など)を判定し、その有価媒体の属性情報を入力するための操作を操作表示部11に与える。すなわち、操作表示部11には、有価媒体の属性情報が入力される。そして、有価媒体の属性情報を確定するための操作である確定操作が操作表示部11に与えられると、制御部15は、その有価媒体の画像と、その有価媒体の属性情報とを紐付ける。そして、制御部15は、属性情報に紐付けられた有価媒体の画像を記憶部14に記憶する。一方、撮像部208により撮像された有価媒体を返却するための操作である返却操作が操作表示部11に与えられると、制御部15は、一時保留部204から繰り出された有価媒体(返却すべき有価媒体)が払出部202に搬送されるように、有価媒体処理部200の動作を制御する。
【0062】
そして、有価媒体入金処理において処理されるべき有価媒体の全部(具体的には投入部201に投入された有価媒体の全部)に対して確定操作または返却操作が行われると、制御部15は、一時保留部204に一時的に保留されている有価媒体の各々が属性情報に応じて小切手収納部205と損券収納部206のいずれか1つに搬送されるように、有価媒体処理部200の動作を制御する。
【0063】
〔入金処理〕
次に、
図5を参照して、貨幣処理システム1において行われる入金処理について説明する。以下の説明では、入金処理において貨幣処理装置10(具体的には有価媒体処理部200)に収納することができる証票を「定形証票」と記載し、入金処理において貨幣処理装置10に収納することができないがスキャナ20に投入することができる証票を「定形外証票」と記載する。
【0064】
〈ステップS11〉
まず、操作者は、入金処理の対象に貨幣が含まれるか否かを判断する。具体的には、入金処理の対象に、バラ紙幣、帯封紙幣、バラ硬貨、包装硬貨、バラ紙幣処理部100に収納されない紙幣(例えば損券や旧券など)、バラ硬貨処理部400に収納されない硬貨(例えば損貨や記念貨など)のうち少なくとも1つが含まれているか否かが判断される。入金処理の対象に貨幣が含まれる場合には、ステップS12の処理が行われ、そうでない場合には、ステップS13の処理が行われる。
【0065】
〈ステップS12〉
入金処理の対象に貨幣が含まれる場合、貨幣処理システム1において貨幣入金処理が行われる。この例では、貨幣入金処理には、バラ紙幣入金処理と、バラ硬貨入金処理と、損貨記念貨入金処理とが含まれる。また、貨幣入金処理には、バラ紙幣処理部100に収納されない紙幣に対する有価媒体入金処理が含まれる。
【0066】
具体的には、制御部15は、バラ紙幣に対してバラ紙幣入金処理が行われてバラ紙幣がバラ紙幣処理部100に収納されるように、バラ紙幣処理部100の動作を制御する。これと同様に、制御部15は、バラ硬貨に対してバラ硬貨入金処理が行われてバラ硬貨がバラ硬貨処理部400に収納されるように、バラ硬貨処理部400の動作を制御する。
【0067】
また、制御部15は、バラ硬貨処理部400に収納されない硬貨(例えば損貨や記念貨など)に対して損貨記念貨入金処理が行われて硬貨が損貨記念貨処理部600に収納されるように、損貨記念貨処理部600の動作を制御する。これと同様に、制御部15は、バラ紙幣処理部100に収納されない紙幣(例えば損券や旧券など)に対して有価媒体入金処理が行われて紙幣が有価媒体処理部200に収納されるように、有価媒体処理部200の動作を制御する。
【0068】
そして、制御部15は、貨幣入金処理の結果に基づいて、貨幣入金処理の結果を示す第1入金情報を記憶部14に記憶する。この例では、第1入金情報には、貨幣入金処理において取り引きされた貨幣の合計枚数、貨幣の合計金額、貨幣の種類別の合計枚数、貨幣の種類別の合計金額などが示される。
【0069】
〈ステップS13〉
次に、操作者は、入金処理の対象に定形証票が含まれるか否かを判断する。入金処理の対象に定形証票が含まれる場合には、ステップS14の処理が行われ、そうでない場合には、ステップS15の処理が行われる。
【0070】
〈ステップS14〉
入金処理の対象に定形証票が含まれる場合、貨幣処理システム1において定形証票入金処理が行われる。この例では、定形証票入金処理は、定形証票に対する有価媒体入金処理である。具体的には、制御部15は、定形証票に対して有価媒体入金処理が行われて定形証票が有価媒体処理部200に収納されるように、有価媒体処理部200の動作を制御する。
【0071】
また、有価媒体処理部200において行われる定形証票入金処理(定形証票に対する有価媒体入金処理)では、定形証票の属性情報(例えば種類や金額など)が操作表示部11(入力部の一例)に入力される。制御部15は、撮像部208により取得された定形証票の画像と、操作表示部11に入力された属性情報とを紐付ける。そして、制御部15は、属性情報に紐付けられた定形証票の画像(第2入金情報)を記憶部14に記憶する。
【0072】
〈ステップS15〉
次に、操作者は、入金処理の対象に定形外証票が含まれるか否かを判断する。入金処理の対象に定形外証票が含まれる場合には、ステップS16の処理が行われ、そうでない場合には、ステップS17の処理が行われる。
【0073】
〈ステップS16〉
入金処理の対象に定形外証票が含まれる場合、貨幣処理システム1において定形外証票入金処理が行われる。
【0074】
具体的には、定形外証票入金処理では、定形外証票がスキャナ20に投入される。スキャナ20は、その投入された定形外証票を撮像し、その撮像された定形外証票を収納せずに排出する。これにより、定形外証票の画像が取得される。スキャナ20により取得された定形外証票の画像は、制御部15に送信される。操作表示部11は、制御部15による制御に応答して、スキャナ20により取得された定形外証票の画像を表示する。
【0075】
次に、操作者は、操作表示部11に表示された定形外証票の画像を確認して定形外証票の属性情報(例えば種類や金額など)を判定し、その定形外証票の属性情報を入力するための操作を操作表示部11に与える。すなわち、操作表示部11には、定形外証票の属性情報が入力される。そして、定形外証票の属性情報を確定するための操作である確定操作が操作表示部11に与えられると、制御部15は、その定形外証票の画像と、その定形外証票の属性情報とを紐付ける。そして、制御部15は、属性情報に紐付けられた定形外証票の画像を記憶部14に記憶する。一方、スキャナ20により取得された定形外証票の画像を破棄するための操作である破棄操作が操作表示部11に与えられると、制御部15は、操作表示部11に表示された定形外証票の画像を破棄する。
【0076】
そして、定形外証票入金処理において処理されるべき定形外証票の全部に対して確定操作または破棄操作が行われると、制御部15は、次の動作を行う。
【0077】
このように、定形外証票入金処理では、定形外証票の属性情報が操作表示部11(入力部の一例)に入力される。制御部15は、スキャナ20により取得された定形外証票の画像と、操作表示部11に入力された属性情報とを紐付ける。そして、制御部15は、属性情報に紐付けられた定形外証票の画像(第3入金情報)を記憶部14に記憶する。
【0078】
〈ステップS17〉
入金対象の入金が完了すると、制御部15は、ステップS12において得られた第1入金情報(貨幣入金処理の結果を示す情報)と、ステップS14において得られた第2入金情報(属性情報に紐付けられた定形証票の画像)と、ステップS16において得られた第3入金情報(属性情報に紐付けられた定形外証票の画像)とに基づいて、入金情報を生成する。そして、制御部15は、入金情報を記憶部14に記憶する。入金情報は、貨幣処理システム1における入金処理の結果を示す。例えば、入金情報には、第1入金情報と第2入金情報と第3入金情報に加えて、入金処理を識別する識別情報(例えば取引ID)と、入金処理が行われた日時を示す日時情報と、担当者を識別する担当者情報(例えば操作者ID)とが含まれる。
【0079】
なお、入金情報では、第1入金情報と第2入金情報と第3入金情報とが互いに紐付けられている。第1入金情報と第2入金情報は、貨幣処理装置10における入金処理の結果を示す貨幣入金情報である。すなわち、制御部15は、貨幣処理装置10における入金処理の結果を示す貨幣入金情報(第1入金情報および第2入金情報)と、スキャナ20により取得された定形外証票の画像(第3入金情報)とを紐付けている。
【0080】
〔定形外証票入金処理および紐付け処理の具体例〕
次に、
図6~
図9を参照して、定形外証票入金処理について具体的に説明する。
【0081】
まず、入金対象に定形外証票が含まれる場合、
図6に示した操作画面画像P1が操作表示部11に表示される。操作画面画像P1には、入金情報表示領域R10と、モード指定領域R11と、完了ボタンB10とが設けられる。
【0082】
入金情報表示領域R10には、入金情報(貨幣処理システム1における入金処理の結果を示す情報)が表示される。モード指定領域R11は、定形証票入金処理または定形外証票入金処理を指定するための領域である。この例では、モード指定領域R11には、定形証票入金処理を指定するための領域(「証票」と記載された領域)と、通常の定形外証票入金処理を指定するための領域(「定形外証票」と記載された領域)と、スキャナ20において定形外証票の重送が検知されない定形外証票入金処理を指定するための領域(「定形外証票(重送検知なし)」と記載された領域)とが設けられる。完了ボタンB10は、貨幣処理システム1における入金処理を完了するためのボタンである。
【0083】
図6に示した操作画面画像P1においてモード指定領域R11の「定形外証票」または「定形外証票(重送検知なし)」を指定する操作が操作表示部11に与えられると、
図7に示した操作画面画像P2が操作表示部11に表示される。操作画面画像P2には、投入指示画像P20と、計数開始ボタンB21と、計数終了ボタンB22とが設けられる。
【0084】
投入指示画像P20は、定形外証票をスキャナ20に投入することを指示する画像である。計数開始ボタンB21は、スキャナ20の動作を開始させるためのボタンである。計数終了ボタンB22は、スキャナ20の動作を終了するためのボタンである。
【0085】
定形外証票がスキャナ20の投入口に投入され、
図7に示した操作画面画像P2において計数開始ボタンB21を押下する操作が操作表示部11に与えられると、スキャナ20が動作を開始する。スキャナ20は、投入口に投入された証票を排出口へ向けて搬送しながら定形外証票を撮像する。これにより、定形外証票の画像が取得される。スキャナ20により撮像された定形外証票は、スキャナ20の排出口から機外へ排出される。
【0086】
スキャナ20により定形外証票の画像が取得されると、
図8に示した操作画面画像P3が操作表示部11に表示される。操作画面画像P3には、定形外証票の画像P30と、属性情報入力領域R30と、確定ボタンB30とが設けられる。
【0087】
定形外証票の画像P30は、スキャナ20により取得された定形外証票の画像である。属性情報入力領域R30には、定形外証票の属性情報が入力される。確定ボタンB30は、属性情報入力領域R30に入力された定形外証票の属性情報を確定させるためのボタンである。
【0088】
図8に示した操作画面画像P3において確定ボタンB30を押下する操作が操作表示部11に与えられると、制御部15は、操作画面画像P3に表示された定形外証票の画像P30と、属性情報入力領域R30に入力された定形外証票の属性情報とを紐付け、定形外証票の属性情報が紐付けられた定形外証票の画像P30を記憶部14に記憶する。
【0089】
また、
図8に示した操作画面画像P3において確定ボタンB30を押下する操作が操作表示部11に与えられると、
図7に示した操作画面画像P2が操作表示部11に表示される。そして、
図7に示した操作画面画像P2において計数終了ボタンB22を押下する操作が操作表示部11に与えられると、スキャナ20が動作を停止する。
【0090】
また、
図7に示した操作画面画像P2において計数終了ボタンB22を押下する操作が操作表示部11に与えられると、
図9に示した操作画面画像P4が操作表示部11に表示される。操作画面画像P4には、入金情報表示領域R10と、モード指定領域R11と、完了ボタンB10と、定形外証票の画像P30と、属性情報表示領域R40とが設けられる。属性情報表示領域R40には、操作画面画像P3において確定された定形外証票の属性情報が表示される。また、
図9の例では、入金情報表示領域R10に表示された入金情報が更新されている。
【0091】
図9に示した操作画面画像P4において完了ボタンB10を押下する操作が操作表示部11に与えられると、貨幣処理システム1における入金処理が完了する。
【0092】
〔入金情報の出力〕
次に、
図10~
図12を参照して、入金情報の出力について説明する。制御部15は、貨幣処理システム1における入金処理が完了すると、入金情報を操作表示部11に出力する。操作表示部11は、入金情報を表示する。また、制御部15は、入金情報をプリンタ12に出力する。プリンタ12は、入金情報を印刷媒体に印刷し、入金情報が印刷された印刷媒体を発行する。
【0093】
具体的には、貨幣処理システム1における入金処理が完了すると、
図10に示した操作画面画像P5が操作表示部11に表示される。操作画面画像P5には、印刷情報表示領域R50と、手持ち移行ボタンB50とが設けられる。印刷情報表示領域R50には、印刷媒体に印刷される予定である入金情報が表示される。手持ち移行ボタンB50は、定形外証票の管理を手持ち管理(貨幣処理装置10の外での管理)に変更するためのボタンである。
【0094】
図10に示した操作画面画像P5が表示された時点から予め定められた待機時間が経過するまでの期間に、手持ち移行ボタンB50を押下する操作が操作表示部11に与えられない場合、
図11に示した操作画面画像P6が操作表示部11に表示される。操作画面画像P6には、投入指示画像P60が設けられる。投入指示画像P60は、定形外証票を証票収納部210に投入することを指示する画像である。また、プリンタ12は、入金情報が印刷された印刷媒体を発行する。そして、定形外証票は、入金情報が印刷された印刷媒体とともに証票収納部210に収納される。
【0095】
一方、
図10に示した操作画面画像P5が表示された時点から予め定められた待機時間が経過するまでの期間に、手持ち移行ボタンB50を押下する操作が操作表示部11に与えられると、
図12に示した操作画面画像P7が操作表示部11に表示される。操作画面画像P7には、印刷情報表示領域R50と、セット指示画像P70が設けられる。セット指示画像P70は、手持ち管理のための印刷媒体(例えばジャーナル)をプリンタ12にセットすることを指示する画像である。これにより、入金情報が手持ち管理のための印刷媒体に印刷される。そして、定形外証票は、入金情報が印刷された印刷媒体とともに管理される。
【0096】
〔実施形態の効果〕
以上のように、入金処理において貨幣処理装置10(具体的には有価媒体処理部200)に収納されない証票の画像を、入金処理の結果を示す入金情報に紐付けて管理することができる。これにより、入金処理において貨幣処理装置10に収納されない証票の管理を容易にすることができる。
【0097】
また、入金処理において貨幣処理装置10に収納されない証票の画像を、証票の属性情報に紐付けて管理することができる。これにより、入金処理において貨幣処理装置10に収納されない証票の管理を容易にすることができる。
【0098】
また、入金処理において貨幣処理装置10に収納することができる証票よりも大きい証票をスキャナ20に投入することができる。これにより、このような証票の画像を入金情報に紐付けて管理することができるので、このような証票の管理を容易にすることができる。
【0099】
また、入金処理において貨幣処理装置10に収納されない証票を証票収納部210に収納することができる。これにより、入金処理において貨幣処理装置10に収納されない証票の管理を容易にすることができる。
【0100】
また、貨幣処理装置10の外に設けられるスキャナ20を利用することにより、貨幣処理装置10を大幅に改造せずに、機能を拡張することができる。これにより、機能拡張のために貨幣処理装置10を大幅に改造する場合よりも、コストを削減することができる。
【0101】
(その他の実施形態)
以上の説明において、スキャナ20により取得された証票の画像は、有価媒体処理部200の撮像部208により取得された有価媒体の画像と異なる体系で管理されてもよい。例えば、スキャナ20により取得された証票の画像は、有価媒体処理部200の撮像部208により取得された有価媒体の画像と異なるデータ形式で記憶されてもよい。なお、スキャナ20により取得された証票の画像は、有価媒体処理部200の撮像部208により取得された有価媒体の画像と同一のデータ形式で記憶されてもよい。
【0102】
また、以上の説明において、制御部15は、スキャナ20により取得された証票の画像に、その証票の画像がスキャナ20により取得されたことを示す撮像情報を紐付けるように構成されてもよい。操作表示部11は、証票の画像とともに、証票の画像に紐付けられた撮像情報を表示してもよい。これと同様に、制御部15は、有価媒体処理部200の撮像部208により取得された有価媒体の画像に、その有価媒体の画像が有価媒体処理部200の撮像部208により取得されたことを示す撮像情報を紐付けるように構成されてもよい。操作表示部11は、有価媒体の画像とともに、有価媒体の画像に紐付けられた撮像情報を表示してもよい。
【0103】
また、以上の説明において、貨幣処理装置10とスキャナ20とを用いて定形外証票入金処理を行うことができる権限のレベルは、貨幣処理装置10を用いて他の処理を行うことができる権限レベルと異なっていてもよい。例えば、貨幣処理装置10とスキャナ20とを用いて定形外証票入金処理を行うことができる権限のレベルは、貨幣処理装置10を用いて他の処理を行うことができる権限レベルよりも高くなっていてもよい。
【0104】
また、以上の説明において、スキャナ20は、スキャン機能のみを有する専用機により構成されてもよいし、スキャン機能とその他の機能(コピー機能やプリント機能など)とを有する複合機により構成されてもよい。また、スキャナ20が複合機により構成される場合、定形外証票入金処理を行うために複合機のスキャン機能を使用することができる権限は、複合機のその他の機能(コピー機能やプリント機能など)を使用することができる権限と異なっていてもよい。
【0105】
また、以上の説明において、スキャナ20は、複数枚の証票(定形外証票)を連続的に取り込んで複数枚の証票を連続的に撮像するように構成されてもよい。この場合、スキャナ20により複数枚の証票の画像の各々に対して定形外証票入金処理が行われる。
【0106】
また、以上の説明では、貨幣処理装置10が有価媒体処理部200を備える場合を例に挙げたが、貨幣処理装置10は、有価媒体処理部200を備えなくてもよい。この場合、スキャナ20には、入金処理において貨幣処理装置10に収納されない証票と、入金処理において貨幣処理装置10に収納されない紙幣(例えば損券や旧券など)が投入される。
【0107】
また、以上の説明において、制御部15は、スキャナ20の認証を行うように構成されてもよい。例えば、記憶部14は、定形外証票入金処理に使用することができるスキャナ(使用可能なスキャナ)の製品情報を記憶する。例えば、製品情報には、品番や型番などが含まれる。制御部15は、制御部15と電気的に接続されて通信可能であるスキャナ20から製品情報を取得する。そして、制御部15は、その取得されたスキャナ20の製品情報と記憶部14に記憶された使用可能なスキャナの製品情報とを照合し、制御部15と電気的に接続されたスキャナ20が使用可能なスキャナに該当するか否かを判定する。スキャナ20が使用可能なスキャナに該当する場合、制御部15は、スキャナ20の認証を終了する。一方、スキャナ20が使用可能なスキャナに該当しない場合、制御部15は、スキャナ20を使用することができないことを報知する情報を出力する。
【0108】
また、以上の説明では、証票収納部210が有価媒体処理部200に設けられる場合を例に挙げたが、証票収納部210は、有価媒体処理部200の外に設けられてもよい。例えば、証票収納部210は、貨幣保管部700に設けられてもよい。
【0109】
また、以上の説明では、貨幣処理装置10の制御部15が定形外証票入金処理に関する制御を行い、貨幣処理装置10の記憶部14がスキャナ20により取得された証票の画像(貨幣入金情報に紐付けられた証票の画像)を記憶する場合を例に挙げたが、これに限定されない。定形外証票入金処理に関する制御を行う制御部は、貨幣処理装置10の外に設けられた制御部(例えば管理コンピュータ50の制御部55)であってもよい。また、スキャナ20により取得された証票の画像(貨幣入金情報に紐付けられた証票の画像)を記憶する記憶部は、貨幣処理装置10の外に設けられた記憶部(例えば管理コンピュータ50の記憶部54)であってもよい。
【0110】
また、以上の説明において、定形外証票入金処理に関する制御を行う制御部(この例では制御部15)は、単一の回路チップ(例えばプロセッサやメモリなどを含む集積回路)により構成されてもよいし、互いに通信する複数の回路チップにより構成されてもよい。また、制御部を構成する複数の回路チップは、単一のモジュールに集約されてもよいし、複数のモジュールに分散されてもよい。
【0111】
また、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、ここに開示する技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上説明したように、ここに開示する技術は、貨幣処理システムとして有用である。
【符号の説明】
【0113】
1 貨幣処理システム
10 貨幣処理装置
100 バラ紙幣処理部
200 有価媒体処理部
300 帯封紙幣処理部
400 バラ硬貨処理部
500 包装硬貨処理部
600 損貨記念貨処理部
700 貨幣保管部
11 操作表示部
11a 操作部
11b 表示部
12 プリンタ
13 通信部
14 記憶部
15 制御部
20 スキャナ
21 搬送部
22 撮像部
23 操作部
24 通信部
25 記憶部
26 スキャナ制御部
50 管理コンピュータ
51 操作部
52 表示部
53 通信部
54 記憶部
55 制御部
60 上位コンピュータ
201 投入部
202 払出部
203 新券収納部
204 一時保留部
205 小切手収納部
206 損券収納部
207 搬送部
208 撮像部
210 証票収納部
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