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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】回転軸カバーの支持ステー
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/28 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
B60K17/28 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019161619
(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公開番号】P2021037899
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小林 貴裕
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-048840(JP,U)
【文献】実開昭55-086124(JP,U)
【文献】実開昭56-158326(JP,U)
【文献】実開昭56-118128(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を伝達するために車両に設けられた回転軸を覆うカバーを片持ち支持する支持ステーであって、
前記カバーと、
前記カバーに取り付けられるカバー取付部と、
前記車両の車体に取り付けられる車体取付部と、
前記カバー取付部と前記車体取付部とを接続する接続部と、を備え、
前記カバー取付部は、前記回転軸の軸方向において前記カバーの一方の端部寄りに取り付けられる第1取付部と、前記第1取付部から前記カバーの他方側へ前記回転軸の軸方向に所定の距離だけ離れた位置において前記カバーに取り付けられる第2取付部と、を有し、
前記接続部は、前記第1取付部と前記車体取付部とを接続する第1接続部と、前記第2取付部と前記車体取付部とを接続する第2接続部と、を有することを特徴とする支持ステー。
【請求項2】
前記第2接続部は、前記車体取付部の前記車体に対する取付面に略直交するとともに前記第2取付部の前記カバーに対する取付面に略直交して延びる板状部であることを特徴とする請求項1に記載の支持ステー。
【請求項3】
前記カバー取付部、前記車体取付部、及び、前記接続部は、単一の板材を折り曲げることによりそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の支持ステー。
【請求項4】
前記接続部は、前記車体取付部に対して一対設けられ、
対向する前記接続部の間隔は、前記車体取付部から離れるにつれて徐々に大きくなることを特徴とする請求項3に記載の支持ステー。
【請求項5】
前記第1取付部及び前記第2取付部は、前記車体取付部に対してそれぞれ一対設けられ、
一対の前記第1取付部には、それぞれ第1取付孔が設けられ、
一対の前記第2取付部には、それぞれ第2取付孔が設けられ、
前記第1取付孔間の間隔と、前記第2取付孔間の間隔と、は同じであることを特徴とする請求項4に記載の支持ステー。
【請求項6】
前記接続部は、前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する第3接続部をさらに有することを特徴とする請求項1から5の何れか1つに記載の支持ステー。
【請求項7】
前記第1取付部、前記車体取付部及び前記第1接続部を有する第1支持部材と、
前記第2取付部、前記車体取付部及び前記第2接続部を有し、前記第1支持部材とともに前記車体に取り付けられる第2支持部材と、により形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の支持ステー。
【請求項8】
前記所定の距離の大きさは、前記回転軸の軸方向における前記カバーの長さの3分の1以上であることを特徴とする請求項1から7の何れか1つに記載の支持ステー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸カバーを支持する支持ステーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、駆動力を伝達するために車両に設けられた回転軸を覆うためにカバーを設けた構成が開示されている。このカバーは端部が車体に溶接等されることによって車両に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭62-48840号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のカバーは、両端部ではなく一方の端部のみが固定された片持ち支持状態となっている。このため、エンジンの振動や走行時の振動によって、カバーの他方の端部側が揺れ動くことによりカバーを固定している部分周辺の応力が変動することになる。このような応力変動が長期間にわたって継続すると、やがてカバーの固定部周辺において疲労破壊が生じ、カバーが脱落するおそれがある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、片持ち支持される回転軸カバーの振動を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、駆動力を伝達するために車両に設けられた回転軸を覆うカバーを片持ち支持する支持ステーが、カバーと、カバーに取り付けられるカバー取付部と、車両の車体に取り付けられる車体取付部と、カバー取付部と車体取付部とを接続する接続部と、を備え、カバー取付部が、回転軸の軸方向においてカバーの一方の端部寄りに取り付けられる第1取付部と、第1取付部からカバーの他方側へ回転軸の軸方向に所定の距離だけ離れた位置においてカバーに取り付けられる第2取付部と、を有し、接続部が、第1取付部と車体取付部とを接続する第1接続部と、第2取付部と車体取付部とを接続する第2接続部と、を有することを特徴とする。
【0007】
この発明では、支持ステーは、車体取付部が車体に取り付けられ、第1取付部がカバーの一方の端部寄りに取り付けられることにより、カバーを片持ち支持している。このようにカバーを片持ち支持した状態において、支持ステーは、第1取付部から回転軸の軸方向に所定の距離だけ離れた位置に設けられた第2取付部においてさらにカバーに取り付けられる。第2取付部は、車体取付部と突支部材として機能する第2接続部により接続されているため、支持ステーによってカバーを支持することにより、カバーの振動を抑制することができる。
【0008】
また、本発明は、第2接続部が、車体取付部の車体に対する取付面に略直交するとともに第2取付部のカバーに対する取付面に略直交して延びる板状部であることを特徴とする。
【0009】
この発明では、第2接続部が板状部であり、車体取付部の車体に対する取付面に略直交するとともに第2取付部のカバーに対する取付面に略直交して延びている。つまり、第2接続部は、剛性が高い強軸方向である幅方向が、第2取付部の取付面を介して車体取付部の取付面へと伝達されるカバーの振動の方向と同じ方向となるように配置されている。このようにカバーの振動方向と第2接続部の強軸方向とを一致させることにより、カバーの振動を抑制することができる。
【0010】
また、本発明は、カバー取付部、車体取付部、及び、接続部が、単一の板材を折り曲げることによりそれぞれ形成されることを特徴とする。
【0011】
この発明では、カバー取付部、車体取付部、及び、接続部が、単一の板材により形成される。このように、支持ステーは、1枚の板材から折り曲げ加工のみによって形成されるため、支持ステーが適用される車両の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0012】
また、本発明は、接続部は、車体取付部に対して一対設けられ、対向する接続部の間隔は、車体取付部から離れるにつれて徐々に大きくなることを特徴とする。
【0013】
この発明では、対向する接続部の間隔が車体取付部から離れるにつれて大きくなるようにしておくことで、折り曲げ加工された複数の支持ステーを重ねた状態で保管することが可能となり、支持ステーの保管コストを低減することができる。
【0014】
また、本発明は、第1取付部及び第2取付部は、車体取付部に対してそれぞれ一対設けられ、一対の第1取付部には、それぞれ第1取付孔が設けられ、一対の第2取付部には、それぞれ第2取付孔が設けられ、第1取付孔間の間隔と、第2取付孔間の間隔と、は同じであることを特徴とする。
【0015】
この発明では、第1取付孔間の間隔と、第2取付孔間の間隔と、が同じに設定されている。このため、対向する接続部の間隔が車体取付部から離れるにつれて徐々に大きくなるように形成される場合であっても、第1取付孔及び第2取付孔に対向してカバー側に形成される取付孔は、平行に設ければよいことになる。したがって、カバーの製造コストが上昇してしまうことを回避することができる。
【0016】
また、本発明は、接続部が、第1接続部と第2接続部とを接続する第3接続部をさらに有することを特徴とする。
【0017】
この発明では、第1接続部と第2接続部とが第3接続部により接続される。このため、カバーがねじれるように振動した場合であっても、第1接続部と第2接続部とを接続する第3接続部が設けられることで、ねじり方向における支持ステーの剛性が向上されるため、カバーの振動を効率的に抑制することができる。
【0018】
また、第1取付部、車体取付部及び第1接続部を有する第1支持部材と、第2取付部、車体取付部及び第2接続部を有し、第1支持部材とともに車体に取り付けられる第2支持部材と、により形成されることを特徴とする。
【0019】
この発明では、支持ステーがは、第1取付部、車体取付部及び第1接続部を有する第1支持部材と、第2取付部、車体取付部及び第2接続部を有し、第1支持部材とともに車体に取り付けられる第2支持部材と、により形成される。このように支持ステーが複数の部材で形成される場合であっても、第2取付部と車体取付部とを接続するように設けられた第2接続部は、いわゆる突支部材として機能することから、カバーの振動を抑制することができる。
【0020】
また、所定の距離の大きさは、回転軸の軸方向におけるカバーの長さの3分の1以上であることを特徴とする。
【0021】
この発明では、所定の距離の大きさが、回転軸の軸方向におけるカバーの長さの3分の1以上に設定される。このように、所定の距離の大きさをカバーの長さの3分の1以上とすることで、第2取付部と車体取付部とを接続するように設けられた第2接続部は、いわゆる突支部材として機能し易くなることから、カバーの振動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、片持ち支持される回転軸カバーの振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る支持ステーが適用されるミキサ車を上方から見た平面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る支持ステーがミキサ車に適用された状態をミキサ車の右後方の上方から見た斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る支持ステーの展開図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る支持ステーがミキサ車に適用された状態を上方から見た平面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る支持ステーの変形例の展開図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る支持ステーがミキサ車に適用された状態をミキサ車の右後方の上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1~3を参照して、本発明の第1実施形態に係る支持ステー20について説明する。
【0026】
支持ステー20は、駆動力を伝達するために車両に設けられた回転軸を覆うカバーを片持ち支持する部材である。以下では、支持ステー20が、架装車両である後述のミキサ車1において、エンジン10のPTO軸9に連結される回転軸であるドライブシャフト8を覆うカバー14を支持するために設けられている場合について説明する。
【0027】
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る支持ステー20が適用される車両としてのミキサ車1の全体構成について説明する。図1は、ミキサ車1全体を上方から見た平面図である。
【0028】
ミキサ車1は、ミキサドラム2内に投入されたモルタルやレディミクストコンクリート等のいわゆる生コンクリート(以下、「生コン」と称する。)を運搬する車両である。
【0029】
ミキサ車1は、図1に示すように、運転室11と、図示しない車両フレーム上に固定された車体としての架台3と、を備える車両であり、架台3に搭載されて生コンを搭載可能なミキサドラム2と、ミキサドラム2を回転駆動する駆動装置4と、を備える。
【0030】
ミキサドラム2は、架台3に回転可能に搭載される有底円筒形の容器であり、その後端には生コンの投入と排出とが行われる開口部2aが設けられる。ミキサドラム2は、その回転軸Oが車両の前部から後部に向かって徐々に高くなるように傾斜して搭載される。ミキサドラム2内には、図示しないドラムブレードがドラム内壁面に沿って螺旋状に配設されており、ミキサドラム2とともにドラムブレードが回転することによって、ミキサドラム2内に積載された生コンの攪拌等が行われる。
【0031】
ミキサドラム2の開口部2aの後方上部には、ホッパ16が設けられる。生コン工場においてミキサ車1に投入される生コンは、ホッパ16によって開口部2aへと導かれる。ミキサドラム2の開口部2aの後方下部には、図示しないフローガイド及びシュート18が設けられる。開口部2aから排出される生コンは、フローガイドによってシュート18に導かれ、シュート18によって所定の方向に排出される。
【0032】
ミキサドラム2は、ミキサ車1に搭載された走行用のエンジン10を駆動源として、駆動装置4を介して回転駆動される。駆動装置4は、エンジン10の回転によって駆動され、作動流体の流体圧によってミキサドラム2を回転駆動する流体圧装置である。
【0033】
エンジン10の回転は、エンジン10から常時動力を取り出すPTO軸9(PTO:Power take-off)と、PTO軸9と駆動装置4とを連結する回転軸としてのドライブシャフト8と、を介して駆動装置4に伝達される。つまり、ドライブシャフト8は、ミキサ車1において、駆動装置4を駆動させる駆動力を伝達するために設けられている。
【0034】
駆動装置4は、エンジン10によって駆動され作動流体としての作動油を吐出する油圧ポンプ5と、油圧ポンプ5から供給される作動油によって作動しミキサドラム2を回転駆動する油圧モータ6と、を有する。なお、駆動装置4では、作動流体として作動油ではなく、他の非圧縮性流体が用いられてもよい。
【0035】
油圧ポンプ5は、PTO軸9を介してエンジン10から常時取り出される動力によって回転駆動される。なお、ドライブシャフト8を介して油圧ポンプ5を回転駆動させる駆動源としては、走行用のエンジン10に限定されず、走行に用いられない補機用のエンジンや電動モータであってもよい。
【0036】
駆動装置4の出力軸、すなわち油圧モータ6の出力軸は、減速機7を介してミキサドラム2の回転軸Oに連結される。このため、油圧モータ6の回転速度を増減することによって、ミキサドラム2の回転速度を増減させることが可能であり、油圧モータ6の回転方向を切り換えることによって、ミキサドラム2の回転方向を正回転方向である撹拌方向と逆回転方向である排出方向とに切り換えることが可能である。
【0037】
また、上記構成のミキサ車1には、ドライブシャフト8の継手部内に充填されたグリースが周囲に飛散することを防止するために、ドライブシャフト8を覆うカバー14が設けられている。
【0038】
カバー14は、長手方向がドライブシャフト8の軸方向に沿って設けられており、その一端部が支持ステーを介して、架台3の一部として形成されたフレーム13の下方に吊り下げられた状態で固定されている。フレーム13は、駆動装置4と運転室11との間において、ミキサ車1の左右方向に延びて設けられるフレーム部材であり、ドライブシャフト8の上方に架け渡される。
【0039】
ここで、従来では、カバー14は、長手方向において、その両端部ではなく一方の端部のみが固定された片持ち支持状態となっている。このため、エンジン10の振動や走行時の振動によって、カバー14の他方の端部側が揺れ動くことによりカバー14を車体に固定している部分周辺の応力が変動することになる。このような応力変動が長期間にわたって継続すると、やがてカバー14を固定している部分の周辺において疲労破壊が生じ、結果として、カバー14が脱落してしまうおそれがある。
【0040】
特に、ドライブシャフト8の周辺は、エンジン10に近いことから、ドライブシャフト8を覆うように設けられるカバー14は、エンジン10の振動の影響を受けやすい。
【0041】
このような振動を防止するには、カバー14の中央部を支持することが考えられるが、カバー14が固定されるフレーム13は、ミキサドラム2を支持する架台3の一部であり、水タンクの保持やスペアタイヤの保持などにも用いられることから、カバー14の支持位置を最適化するためだけにその位置を変更することは困難である。
【0042】
また、カバー14の他方の端部側の揺動を防止するには、カバー14の両端を支持する構成とすることが考えられる。しかしながら、上述のミキサ車1のような架装車両では、ドライブシャフト8は、エンジン10から架装部に向かって配置されるため、カバー14の他方の端部は、架装部であるミキサドラム2や駆動装置4が配置される領域に臨むことになる。
【0043】
このような架装部周辺にカバー14を支持するためのフレーム等の部材をさらに設けることは困難であるとともに、仮にフレーム等を追加することが可能であったとしても架装車両の製造コストの増大を招くとともに、架装車両の重量が増加し、最大積載量の低下を招くことになる。
【0044】
このような従来の課題を解決するために、本実施形態では、カバー14が片持ち支持される場合であっても、カバー14の他方の端部側が揺れ動くことを抑制するために、後述の構成を有する支持ステー20によりカバー14を支持している。
【0045】
次に、図2~4を参照し、支持ステー20の具体的な形状について説明する。図2は、支持ステー20がミキサ車1に取り付けられた状態をミキサ車1の右後方の上方から見た斜視図であり、カバー14、フレーム13及び支持ステー20以外のドライブシャフト8等の部材については省略して示している。図3は、単一の板材で形成される支持ステー20を展開して示した展開図であり、図4は、支持ステー20がミキサ車1に取り付けられた状態を上方から見た平面図である。
【0046】
カバー14は、図2に示すように、支持ステー20が取り付けられる平面部14aを有し、長手方向の一端14bがエンジン10側に向かい、他端14cがミキサドラム2側に向かうようにドライブシャフト8の軸方向に沿って配置されている。なお、図2において、矢印Aで示される方向は、ドライブシャフト8の軸方向を示し、矢印Bで示される方向は、ミキサ車1の上下方向を示している。
【0047】
上記形状のカバー14を支持する支持ステー20は、カバー14の平面部14aに取り付けられる一対のカバー取付板31と、ミキサ車1の車体としてのフレーム13の取付面13aに取り付けられる車体取付板41と、一対のカバー取付板31と車体取付板41とをそれぞれ接続する接続部としての一対の接続板51と、を有する。カバー取付板31と車体取付板41と接続板51とは、図3に展開して示されるように、1枚の板材により形成される。
【0048】
カバー取付板31は、略矩形状に形成され、図2に示すように支持ステー20がカバー14に取り付けられた状態において、車体取付板41に比較的近い位置に形成される第1取付孔32と、第1取付孔32から矢印A方向に沿って所定の第1距離L1だけ離れた位置に形成される第2取付孔33と、の二つの貫通孔を有し、第1取付孔32を挿通する図示しないボルトと、第2取付孔33を挿通する図示しないボルトと、によってカバー14に取り付けられる。
【0049】
つまり、カバー取付板31は、カバー取付板31のうち、第1取付孔32が設けられる部分である第1取付部31Aと、第2取付孔33が設けられる部分である第2取付部31Bと、においてカバー14に取り付けられる。このようにボルト等の締結部材を介してカバー14に取り付けられる部分である第1取付部31A及び第2取付部31Bがカバー取付部に相当する。なお、第1取付孔32及び第2取付孔33は、それぞれ複数設けられていてもよい。
【0050】
車体取付板41は、略矩形状に形成され、図2に示すように支持ステー20がフレーム13の取付面13aに取り付けられた状態において、車体取付板41の取付面13aに対向する部分に設けられる2つの取付孔42と、軽量化のために設けられる肉抜き孔43と、を有し、取付孔42を挿通する図示しないボルトによってフレーム13に取り付けられる。
【0051】
つまり、車体取付板41は、車体取付板41のうち、取付孔42が設けられる部分である車体取付部41Aにおいてフレーム13に取り付けられる。なお、車体取付部41Aに設けられる取付孔42の数は2つに限定されず、3つ以上設けられていてもよい。
【0052】
接続板51は、略直角三角形状に形成され、車体取付板41と同様に、軽量化のために設けられる肉抜き孔54を有し、肉抜き孔54が形成されることで接続板51には、図2に示すように支持ステー20がカバー14及びフレーム13に取り付けられた状態において、車体取付板41に沿って上下方向に延び第1取付部31Aと車体取付部41Aとを接続する第1接続部52と、車体取付板41の上端からカバー取付板31の第2取付部31B側の先端に向かって斜めに直線状に延び第2取付部31Bと車体取付部41Aとを接続する第2接続部53と、カバー取付板31に沿って矢印A方向に延び第1接続部52と第2接続部53とを接続する第3接続部55と、が形成される。
【0053】
また、第2接続部53は、第2取付部31Bと接続される部分では、矢印Aで示されるドライブシャフト8の軸方向に所定の大きさの第1幅W1を有するように形成され、車体取付部41Aと接続される部分では、矢印Bで示される上下方向に所定の大きさの第2幅W2を有するように形成される。第1幅W1の大きさは、矢印Aで示される方向において、第2取付部31Bの他端14c側の端部から第2取付孔33が設けられる位置を含むように設定され、第2幅W2の大きさは、矢印Bで示される方向において、車体取付部41Aの上方側の端部から取付孔42が設けられる位置を含むように設定される。
【0054】
上述のように略矩形状に形成されたカバー取付板31及び車体取付板41と、略直角三角形状に形成された接続板51とは、図3に示されるように、車体取付板41の対辺に接続板51の一方の隣辺が第1折曲部61を介してそれぞれ接続され、接続板51の他方の隣辺には、カバー取付板31が第2折曲部62を介して接続される。
【0055】
支持ステー20は、車体取付板41と接続板51とが成す角度及び接続板51とカバー取付板31とが成す角度がそれぞれ約90°となるように、図3に示される第1折曲部61及び第2折曲部62がそれぞれ谷折りに折り曲げ加工されることによって、図2に示されるような箱状に形成される。
【0056】
このように支持ステー20は、溶接等を要することなく、1枚の板材から折り曲げ加工のみによって形成されるため、支持ステー20が適用されるミキサ車1の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0057】
なお、対向する接続板51は、互いに平行となるように折り曲げ加工されてもよいが、図4に示すように、車体取付板41と接続板51とが成す角度αを90°よりも若干大きく、例えば、92~95°とし、対向する接続板51の間隔が車体取付板41から離れるにつれて徐々に大きくなるように折り曲げ加工することが好ましい。
【0058】
このように、対向する接続板51の間隔が車体取付板41から離れるにつれて大きくなるようにしておくことで、折り曲げ加工された複数の支持ステー20を、例えば車体取付板41を底面として重ねた状態で保管することが可能となる。これにより、支持ステー20の保管コストを低減することができる。
【0059】
また、この際、第1取付孔32及び第2取付孔33の位置は、図4に示すように、第1取付孔32と第2取付孔33とが設けられる設置ラインC1が、一対のカバー取付板31間において互いに平行となるように設定されている。このため、対向する接続板51の間隔が車体取付板41から離れるにつれて徐々に大きくなるように形成される場合であっても、第1取付孔32及び第2取付孔33に対向してカバー14側に形成される図示しない取付孔は、矢印Aで示される方向と平行に設ければよいことになる。したがって、カバー14の製造コストが上昇してしまうことを回避することができる。
【0060】
続いて、図2を参酌し、上記構成の支持ステー20によるカバー14の支持について説明する。
【0061】
第1取付孔32を挿通するボルトがカバー14の一端14b寄りに結合され、取付孔42を挿通するボルトがフレーム13に結合されることによって、カバー14は、一端14b側が支持ステー20により片持ち支持された状態となる。
【0062】
この状態において、支持ステー20は、第1取付孔32からドライブシャフト8の軸方向に沿って所定の第1距離L1だけ離れた位置に形成された第2取付孔33を挿通するボルトによってさらにカバー14に結合される。また、この状態において、第2取付孔33が設けられる第2取付部31Bと取付孔42が設けられる車体取付部41Aとは、上述のように、接続板51において傾斜して直線状に延びる第2接続部53により接続されている。
【0063】
このように、第2取付部31Bと車体取付部41Aとを接続する第2接続部53は、いわゆる突支部材として機能する。このため、カバー14の他端14cがエンジン10等の振動によって、図2において矢印Bで示されるように、主に上下方向に振動することは抑制されることになる。
【0064】
また、この状態において、矢印Aで示される方向及び矢印Bで示される方向において最も離れた部分である第2取付孔33が設けられる第2取付部31Bの他端14c側の端部と、取付孔42が設けられる車体取付部41Aの上方側の端部とは、上述のように、第2接続部53によって直線状に接続されている。
【0065】
このように、第2取付部31Bと車体取付部41Aとの最も離れた部分間を第2接続部53により直線状に接続することにより、第2接続部53の突支機能によって、第2取付部31Bにおいて振動が生じることが効率的に抑制される。この結果、カバー14の他端14cにおいて振動が生じることも抑制されることになる。
【0066】
また、第2接続部53は、フレーム13の取付面13aに対向する車体取付部41Aの取付面に略直交するとともにカバー14の平面部14aに対向する第2取付部31Bの取付面に略直交して延びる板状部であり、板厚方向に直交する方向が矢印A及び矢印Bで示される方向に沿うように配置されている。
【0067】
ここで、一般的に、板厚部材は、板厚方向の剛性に比べて板厚方向に直交する方向の剛性が高いことから、上述のように配置された第2接続部53は、剛性が高い板厚方向に直交する方向が、カバー14の他端14cにおいて主に生じる振動方向と同じ方向に配置された状態となっている。
【0068】
このようにカバー14の他端14cにおいて生じる振動の方向と第2接続部53の板厚方向に直交する方向とをほぼ一致させることにより、カバー14の振動を効率的に抑制することができる。
【0069】
また、上述のように配置された第2接続部53は、カバー取付板31に沿って矢印A方向に延びる第3接続部55を介して第1接続部52とも接続されることから、第2接続部53が単独で設けられた場合と比較し、大幅に剛性が向上することで、カバー14の振動をさらに効率的に抑制することができる。なお、第2接続部53の剛性は、肉抜き孔54を小さくすることによってさらに向上させることが可能である。
【0070】
また、カバー14がねじれるように振動した場合であっても、第1接続部52と第2接続部53とを接続する第3接続部55が設けられることで、ねじり方向における剛性が向上されるため、カバー14の振動を効率的に抑制することができる。
【0071】
なお、振動抑制効果を高めるには、第1取付孔32と第2取付孔33との間隔である第1距離L1をカバー14の全長L2の少なくとも3分の1以上、より好ましくは、半分以上とすることがよい。しかし、第1距離L1を大きくする程、支持ステー20が大型化して重さが重くなり、結果として、ミキサ車1の最大積載量が小さくなってしまう。このため、第1距離L1は、カバー14の全長L2の半分程度とすることが好ましい。
【0072】
以上の第1実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0073】
支持ステー20は、取付孔42を挿通するボルトによりフレーム13に結合され、第1取付孔32を挿通するボルトによりカバー14の一端14b寄りに結合されることにより、カバー14の一端14b側を片持ち支持している。
【0074】
このようにカバー14を片持ち支持した状態において、支持ステー20は、第1取付孔32からドライブシャフト8の軸方向に沿って所定の第1距離L1だけ離れた位置に形成された第2取付孔33を挿通するボルトによってさらにカバー14に結合される。また、第2取付孔33が設けられる第2取付部31Bと取付孔42が設けられる車体取付部41Aとは、接続板51の直線状に形成された第2接続部53により接続された状態となっている。
【0075】
第2取付部31Bと車体取付部41Aとを接続するように設けられた第2接続部53は、いわゆる突支部材として機能することから、上記構成の支持ステー20によってカバー14を支持することにより、カバー14の他端14cがエンジン10の振動や走行時の振動によって揺れ動いてしまうことを抑制することができる。
【0076】
次に、上記第1実施形態の変形例について説明する。
【0077】
上記第1実施形態では、第1取付孔32は、第2取付孔33とともにカバー取付板31に形成されている。これに代えて、第1取付孔32は、図4に示すように、カバー取付板31とは別の第2カバー取付板34に設けられていてもよい。この場合、第1取付孔32が設けられる部分である第2カバー取付板34が第1取付部に相当し、肉抜き孔43を挟んで上下方向に延びる車体取付板41の部分が、第2カバー取付板34と車体取付部41Aとを接続する第1接続部に相当する。
【0078】
また、この場合、支持ステー20は、車体取付板41と接続板51とが成す角度、接続板51とカバー取付板31とが成す角度及び車体取付板41と第2カバー取付板34とが成す角度がそれぞれ約90°となるように、図4に示される第1折曲部61及び第2折曲部62に加えて、車体取付板41と第2カバー取付板34との間の第3折曲部63がそれぞれ谷折りに折り曲げ加工されることによって、上記第1実施形態と同様に、箱状に形成される。
【0079】
また、上記第1実施形態では、支持ステー20の各取付部31A,31B,41Aは、ボルトによって、カバー14及びフレーム13に結合されている。カバー14及びフレーム13に対して支持ステー20を結合させる手段はボルトに限定されず、リベット結合や溶接結合といった公知の結合手段が用いられてもよい。
【0080】
また、上記第1実施形態では、接続板51は略直角三角形状に形成されているが、接続板51の形状は、直角部を有する三角形状に限定されず、直角部を有しない三角形状や四角形状であってもよく、フレーム13の取付面13aとカバー14の平面部14aとが成す角度に応じて適宜変更される。
【0081】
また、上記第1実施形態では、支持ステー20は、車体取付板41の両側部からカバー取付板31及び接続板51が延びた構成となっている。これに代えて、支持ステー20は、車体取付板41の一方の側部のみからカバー取付板31及び接続板51が延びた構成となっていてもよい。
【0082】
<第2実施形態>
次に、図5を参照して、本発明の第2実施形態に係る支持ステー120について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付し説明を省略する。
【0083】
図5に示される支持ステー120は、3つの部材により構成されている点で第1実施形態に係る支持ステー20と主に相違する。
【0084】
支持ステー120は、カバー14とフレーム13とに取り付けられる第1支持部材130と、カバー14とフレーム13とに取り付けられる一対の第2支持部材140と、の3つの部材を有する。
【0085】
第1支持部材130は、断面形状が略L字状となるように略直角に折り曲げて形成された板状部材であり、フレーム13の取付面13aに取り付けられる車体取付板131と、カバー14の平面部14aに取り付けられるカバー取付板135と、を有する。
【0086】
車体取付板131は、略矩形状に形成され、図6に示すように支持ステー120がフレーム13の取付面13aに取り付けられた状態において、車体取付板131の取付面13aに対向する部分に設けられる2つの取付孔132と、軽量化のために設けられる肉抜き孔133と、を有し、取付孔132と後述の取付孔142を挿通する図示しないボルトによってフレーム13に取り付けられる。つまり、車体取付板131は、車体取付板131のうち、取付孔132が設けられる部分である車体取付部131Aにおいてフレーム13に取り付けられる。
【0087】
カバー取付板135は、略矩形状に形成され、図6に示すように支持ステー120がカバー14に取り付けられた状態において、カバー14に対向配置されており、2つの第1取付孔136を有する。カバー取付板135は、第1取付孔136を挿通する図示しないボルトによってカバー14に取り付けられる。つまり、カバー取付板135は、カバー14に取り付けられる第1取付部に相当する。
【0088】
このように形成された第1取付部に相当するカバー取付板135は、車体取付板131の車体取付部131Aと、肉抜き孔133を挟んで上下方向に延びる車体取付板131の部分において接続されている。したがって、肉抜き孔133を挟んで上下方向に延びる部分が第1接続部に相当する。
【0089】
第2支持部材140は、フレーム13に取り付けられる車体取付板141と、カバー14の平面部14aに取り付けられるカバー取付板144と、車体取付板141とカバー取付板144とを接続する接続板147と、を有する板状部材である。
【0090】
車体取付板141は、取付孔142を有し、取付孔142と取付孔132を挿通する図示しないボルトによってフレーム13に取り付けられる。つまり、車体取付板141は、フレーム13に取り付けられる車体取付部に相当する。
【0091】
カバー取付板144は、第1取付孔136から矢印A方向に沿って所定の第1距離L1だけ離れた位置に設けられた第2取付孔145を有し、第2取付孔145を挿通する図示しないボルトによってカバー14に取り付けられる。つまり、カバー取付板144は、カバー14に取り付けられる第2取付部に相当する。
【0092】
このように形成された車体取付部に相当する車体取付板141と、第2取付部に相当するカバー取付板144とは、接続板147により接続される。つまり、接続板147が第2接続部に相当する。
【0093】
また、第2接続部に相当する接続板147は、カバー取付板144と接続される部分では、矢印Aで示されるドライブシャフト8の軸方向に所定の大きさの第1幅W1を有するように形成され、車体取付板141と接続される部分では、矢印Bで示される上下方向に所定の大きさの第2幅W2を有するように形成される。第1幅W1の大きさは、矢印Aで示される方向において、カバー取付板144の他端14c側の端部から第2取付孔145が設けられる位置を含むように設定され、第2幅W2の大きさは、矢印Bで示される方向において、車体取付板141の上方側の端部から取付孔142が設けられる位置を含むように設定される。
【0094】
続いて、上記構成の支持ステー120によるカバー14の支持について説明する。
【0095】
第1取付孔136を挿通するボルトがカバー14の一端14b寄りに結合され、取付孔132及び取付孔142を挿通するボルトがフレーム13に結合されることによって、カバー14は、一端14b側が支持ステー120により片持ち支持された状態となる。
【0096】
この状態において、支持ステー120は、第1取付孔136からドライブシャフト8の軸方向に沿って所定の第1距離L1だけ離れた位置に設けられた第2取付孔145を挿通するボルトによってさらにカバー14に結合される。また、この状態において、第2取付孔145が設けられるカバー取付板144と取付孔142が設けられる車体取付板141とは、上述のように、接続板147により接続されている。
【0097】
このように、カバー取付板144と車体取付板141とを接続する接続板147は、いわゆる突支部材として機能する。このため、カバー14の他端14cがエンジン10等の振動によって、図5において矢印Bで示されるように、主に上下方向に揺動することは抑制されることになる。
【0098】
また、この状態において、矢印Aで示される方向及び矢印Bで示される方向において最も離れた部分である第2取付孔145が設けられるカバー取付板144の他端14c側の端部と、取付孔142が設けられる車体取付板141の上方側の端部とは、上述のように、接続板147によって直線状に接続されている。
【0099】
このように、カバー取付板144と車体取付板141との最も離れた部分間を接続板147により直線状に接続することにより、接続板147の突支機能によって、カバー取付板144において振動が生じることが効率的に抑制される。この結果、カバー14の他端14cにおいて振動が生じることも抑制されることになる。
【0100】
また、接続板147は、フレーム13の取付面13aに対向する車体取付板141の取付面に略直交するとともにカバー14の平面部14aに対向するカバー取付板144の取付面に略直交して延びる板状部であり、板厚方向に直交する方向が矢印A及び矢印Bで示される方向に沿うように配置されている。
【0101】
ここで、一般的に、板厚部材は、板厚方向の剛性に比べて板厚方向に直交する方向の剛性が高いことから、上述のように配置された接続板147は、剛性が高い板厚方向に直交する方向が、カバー14の他端14cにおいて主に生じる振動方向と同じ方向に配置された状態となっている。
【0102】
このようにカバー14の他端14cにおいて生じる振動の方向と接続板147の板厚方向に直交する方向とをほぼ一致させることにより、カバー14の振動を効率的に抑制することができる。
【0103】
なお、振動抑制効果を高めるには、第1取付孔136と第2取付孔145との間隔である第1距離L1をカバー14の全長L2の半分以上とすることが好ましい。しかし、第1距離L1を大きくする程、支持ステー120が大型化して重さが重くなり、結果として、ミキサ車1の最大積載量が小さくなってしまう。このため、第1距離L1は、カバー14の全長L2の半分程度とすることが好ましい。
【0104】
以上の第2実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0105】
支持ステー120は、取付孔132及び取付孔142を挿通するボルトによりフレーム13に結合され、第1取付孔136を挿通するボルトによりカバー14の一端14b寄りに結合されることにより、カバー14の一端14b側を片持ち支持している。
【0106】
このようにカバー14を片持ち支持した状態において、支持ステー120は、第1取付孔136からドライブシャフト8の軸方向に沿って所定の第1距離L1だけ離れた位置に設けられた第2取付孔145を挿通するボルトによってさらにカバー14に結合される。また、第2取付孔145が設けられるカバー取付板144と取付孔142が設けられる車体取付板141とは、直線状に形成された接続板147により接続された状態となっている。
【0107】
カバー取付板144と車体取付板141とを接続するように設けられた接続板147は、いわゆる突支部材として機能することから、上記構成の支持ステー120によってカバー14を支持することにより、カバー14の他端14cがエンジン10の振動や走行時の振動によって揺れ動いてしまうことを抑制することができる。
【0108】
次に、上記第2実施形態の変形例について説明する。
【0109】
上記第2実施形態では、第2支持部材140の接続板147が車体取付板141に略直交するとともにカバー取付板144に略直交している。これに代えて、接続板147は、矢印Aで示される方向に沿って、車体取付板141の下方の端部とカバー取付板144の車体取付板141側の端部とを単に接続するものであってもよい。
【0110】
また、上記第2実施形態では、支持ステー120の車体取付部131A、カバー取付板135、車体取付板141及びカバー取付板144は、ボルトによって、カバー14及びフレーム13に結合されている。カバー14及びフレーム13に対して支持ステー120を結合させる手段はボルトに限定されず、リベット結合や溶接結合といった公知の結合手段が用いられてもよい。
【0111】
また、上記第2実施形態では、第1支持部材130は、断面が略L字状となるように略直角に折り曲げて形成されているが、第1支持部材130の形状はこれに限定されず、フレーム13の取付面13aとカバー14の平面部14aとが成す角度に応じて適宜変更される。同様に、第2支持部材140の車体取付板141とカバー取付板144とが成す角度もフレーム13の取付面13aとカバー14の平面部14aとが成す角度に応じて適宜変更される。
【0112】
また、上記第2実施形態では、支持ステー120は、第2支持部材140を一対有している。これに代えて、支持ステー120は、第2支持部材140を1つだけ有する構成としてもよい。
【0113】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0114】
支持ステー20,120は、カバー14に取り付けられるカバー取付部31A,31B,135,144と、ミキサ車1の車体であるフレーム13に取り付けられる車体取付部41A,131A,141と、カバー取付部31A,31B,135,144と車体取付部41A,131A,141とを接続する接続部51,131,147と、を備え、カバー取付部31A,31B,135,144は、回転軸であるドライブシャフト8の軸方向においてカバー14の一方の端部14b寄りに取り付けられる第1取付部31A,135と、第1取付部31A,135からカバー14の他方14c側へドライブシャフト8の軸方向に所定の第1距離L1だけ離れた位置においてカバー14に取り付けられる第2取付部31B,144と、を有し、接続部51,131,147は、第1取付部31A,135と車体取付部41A,131Aとを接続する第1接続部52,131と、第2取付部31B,144と車体取付部41A,141とを接続する第2接続部53,147と、を有する。
【0115】
この構成では、支持ステー20,120は、車体取付部41A,131A,141がフレーム13に取り付けられ、第1取付部31A,135がカバー14の一方の端部14b寄りに取り付けられることにより、カバー14を片持ち支持している。
【0116】
このようにカバー14を片持ち支持した状態において、支持ステー20,120は、第1取付部31A,135からドライブシャフト8の軸方向に所定の第1距離L1だけ離れた位置に設けられた第2取付部31B,144がカバー14に取り付けられる。また、第2取付部31B,144と車体取付部41A,141とは、第2接続部53,147により接続されている。
【0117】
第2取付部31B,144と車体取付部41A,141とを接続するように設けられた第2接続部53,147は、いわゆる突支部材として機能することから、上記構成の支持ステー20,120によってカバー14を支持することにより、カバー14の他端14cが振動することを抑制することができる。
【0118】
また、第2接続部53,147は、車体取付部41A,141のフレーム13に対する取付面に略直交するとともに第2取付部31B,144のカバー14に対する取付面に略直交して延びる板状部である。
【0119】
この構成では、第2接続部53,147が板状部であり、車体取付部41A,141のフレーム13に対する取付面に略直交するとともに第2取付部31B,144のカバー14に対する取付面に略直交して延びている。つまり、第2接続部53,147は、剛性が高い板厚方向に直交する方向が、第2取付部31B,144のカバー14に対する取付面を介して車体取付部41A,141のフレーム13に対する取付面へと伝達されるカバー14の振動の方向と同じ方向となるように配置されている。このようにカバー14の振動方向と第2接続部53,147の板厚方向に直交する方向とを一致させることにより、カバー14の他端14cの振動を効率的に抑制することができる。
【0120】
また、カバー取付部31A,31B、車体取付部41A、及び、接続部51は、単一の板材を折り曲げることによりそれぞれ形成される。
【0121】
この構成では、カバー取付部31A,31B、車体取付部41A、及び、接続部51が、単一の板材により形成される。このように、支持ステー20は、溶接等を要することなく、1枚の板材から折り曲げ加工のみによって形成されるため、支持ステー20が適用されるミキサ車1の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0122】
また、接続部51は、車体取付部41Aに対して一対設けられ、対向する接続部51の間隔は、車体取付部41Aから離れるにつれて徐々に大きくなる。
【0123】
このように、対向する接続板51の間隔が車体取付板41から離れるにつれて大きくなるようにしておくことで、折り曲げ加工された複数の支持ステー20を、例えば車体取付板41を底面として重ねた状態で保管することが可能となる。これにより、支持ステー20の保管コストを低減することができる。
【0124】
また、第1取付部31A及び第2取付部31Bは、車体取付部41Aに対してそれぞれ一対設けられ、一対の第1取付部31Aには、それぞれ第1取付孔32が設けられ、一対の第2取付部31Bには、それぞれ第2取付孔33が設けられ、第1取付孔32間の間隔と、第2取付孔33間の間隔と、は同じである。
【0125】
この構成では、第1取付孔32及び第2取付孔33の位置は、例えば図4に示されるように、第1取付孔32と第2取付孔33とが設けられる設置ラインC1が、一対のカバー取付板31間において互いに平行となるように設定されている。このため、対向する接続板51の間隔が車体取付板41から離れるにつれて徐々に大きくなるように形成される場合であっても、第1取付孔32及び第2取付孔33に対向してカバー14側に形成される図示しない取付孔は、矢印Aで示される方向と平行に設ければよいことになる。したがって、カバー14の製造コストが上昇してしまうことを回避することができる。
【0126】
また、接続部51は、第1接続部52と第2接続部53とを接続する第3接続部55をさらに有する。
【0127】
この構成では、第1接続部52と第2接続部53とが第3接続部55により接続される。このため、カバー14がねじれるように振動した場合であっても、第1接続部52と第2接続部53とを接続する第3接続部55が設けられることで、ねじり方向における支持ステー20の剛性が向上されるため、カバー14の振動を効率的に抑制することができる。
【0128】
また、支持ステー120は、第1取付部135、車体取付部131A及び第1接続部を有する第1支持部材130と、第2取付部144、車体取付部141及び第2接続部147を有し、第1支持部材130とともにフレーム13に取り付けられる第2支持部材140と、により形成される。
【0129】
この構成では、支持ステー120は、第1取付部135、車体取付部131A及び第1接続部を有する第1支持部材130と、第2取付部144、車体取付部141及び第2接続部147を有し、第1支持部材130とともにフレーム13に取り付けられる第2支持部材140と、により形成される。このように支持ステー120が複数の部材で形成される場合であっても、第2取付部144と車体取付部141とを接続するように設けられた第2接続部147は、いわゆる突支部材として機能することから、上記構成の支持ステー120によってカバー14を支持することにより、カバー14の他端14cが振動することを抑制することができる。
【0130】
また、所定の第1距離L1の大きさは、ドライブシャフト8の軸方向におけるカバー14の長さの3分の1以上である。
【0131】
この構成では、所定の第1距離L1の大きさが、ドライブシャフト8の軸方向におけるカバー14の長さの3分の1以上に設定される。このように、所定の第1距離L1の大きさをカバー14の長さの3分の1以上とすることで、第2取付部31B,144と車体取付部41A,141とを接続するように設けられた第2接続部53,147は、いわゆる突支部材として機能し易くなることから、上記構成の支持ステー20,120によってカバー14を支持することにより、カバー14の他端14cが振動することを抑制することができる。
【0132】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0133】
例えば、上記各実施形態では、支持ステー20,120が、架装車両であるミキサ車1において、エンジン10のPTO軸9に連結される回転軸であるドライブシャフト8を覆うカバー14を支持するために設けられている。本実施形態に係る支持ステーが適用される車両は架装車両に限定されるものではなく、支持ステーは、何らかの駆動力を伝達するために車両に設けられたドライブシャフト等の回転軸を覆うカバーを支持していれば、どのような車両に適用されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0134】
20,120・・・支持ステー、1・・・ミキサ車(車両)、8・・・ドライブシャフト(回転軸)、13・・・フレーム(車体)、14・・・カバー、31・・・カバー取付板、31A・・・第1取付部(カバー取付部)、31B・・・第2取付部(カバー取付部)、32・・・第1取付孔、33・・・第2取付孔、41・・・車体取付板、41A・・・車体取付部、42・・・取付孔、51・・・接続板(接続部)、52・・・第1接続部、53・・・第2接続部、130・・・第1支持部材、131・・・車体取付板(第1接続部,接続部)、131A・・・車体取付部、132・・・取付孔、135・・・カバー取付板(第1取付部,カバー取付部)、136・・・第1取付孔、140・・・第2支持部材、141・・・車体取付板(車体取付部)、142・・・取付孔、144・・・カバー取付板(第2取付部,カバー取付部)、145・・・第2取付孔、147・・・接続板(第2接続部,接続部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6