(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/28 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
B60N2/28
(21)【出願番号】P 2019196624
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】峯岸 元史
(72)【発明者】
【氏名】池田 健治
(72)【発明者】
【氏名】辻 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】手塚 亨
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0221715(US,A1)
【文献】特開2010-064636(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0101714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、
前記スリット部は、前記アンカが挿通されている第一領域と、前記第一領域よりも前記本体部の底部側に位置し且つ前記第一領域よりも狭い第二領域と、を備え、
前記本体部の内部における前記アンカの延びる方向に垂直な面に平行な方向を特定方向とし、前記第二領域と、前記第一領域に挿通されている前記アンカとは、前記特定方向にずれて配置され、
前記スリット部における前記第一領域の一部を覆う被覆部を前記本体部の外周部に更に備え、
前記被覆部は、前記アンカの延びる前記方向に弾性変形可能に構成されている乗り物用シート。
【請求項2】
チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、
前記スリット部は、前記アンカが挿通されている第一領域と、前記第一領域よりも前記本体部の底部側に位置し且つ前記第一領域よりも狭い第二領域と、を備え、
前記本体部の内部における前記アンカの延びる方向に垂直な面に平行な方向を特定方向とし、前記第二領域と、前記第一領域に挿通されている前記アンカとは、前記特定方向にずれて配置され、
前記スリット部の前記第一領域は、前記第二領域に隣接する第一部分と、前記第一部分から前記特定方向に延びる第二部分とを含み、
前記第二部分に前記アンカが挿通されており、
前記本体部の外周部に設けられた、前記第一部分を覆う被覆部を更に備える乗り物用シート。
【請求項3】
チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、
前記スリット部は、前記アンカが挿通されている第一領域と、前記第一領域よりも前記本体部の底部側に位置し且つ前記第一領域よりも狭い第二領域と、を備え、
前記本体部の内部における前記アンカの延びる方向に垂直な面に平行な方向を特定方向とし、前記第二領域と、前記第一領域に挿通されている前記アンカとは、前記特定方向にずれて配置され、
前記スリット部の前記第一領域は、前記第二領域に隣接する第一部分と、前記第一部分から前記特定方向に延びる第二部分とを含み、
前記第二部分に前記アンカが挿通されており、
前記第一部分は、前記第二部分よりも狭くなっており、
前記第一部分は、前記アンカの外径よりも狭い乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チャイルドシートを保持するためのアンカが配置された凹部と、この凹部をカバーするカバー部材と、を有する車両用シートが記載されている。このカバー部材は、弾性変形してスリットにアンカが挿通される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、弾性変形可能なカバー部材を採用する場合には、カバー部材のスリットを通して、シートのパッドやワイヤ等の内部構造が極力見えないようにすることが求められる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、美観性を向上させることのできる乗り物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の乗り物用シートは、チャイルドシートの係止部材と係止されるアンカが配置された凹部と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材と、を有する乗り物用シートであって、前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部と、を備え、前記スリット部は、前記アンカが挿通されている第一領域と、前記第一領域よりも前記本体部の底部側に位置し且つ前記第一領域よりも狭い第二領域と、を備え、前記本体部の内部における前記アンカの延びる方向に垂直な面に平行な方向を特定方向とし、前記第二領域と、前記第一領域に挿通されている前記アンカとは、前記特定方向にずれて配置されているものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、美観性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態である車両用シートの一部破断の概略側面図である。
【
図2】
図1に示す車両用シート10のテザーアンカ31近傍の拡大斜視図である。
【
図3】
図2に示すカバー部材40をシートバック12の凹部12B側から見た斜視図である。
【
図4】
図2に示すカバー部材40を左右方向に見た側面図である。
【
図5】
図2に示すカバー部材40をシートバック12の凹部12B側から見た背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(乗り物用シートの構成)
図1は、本発明の一実施形態である車両用シートの一部破断の概略側面図である。
図1に示すように、車両用シート10は、正規の姿勢で着座した人の背中と対面するシートバック12と、正規の姿勢で着座した人の足及び腰が載置されるシートクッション14と、を備える。車両用シート10は、自動車や電車等の車両に搭載して用いられる。
【0011】
以下では、車両用シート10に正規の姿勢にて人が着座した状態において、その人の正面の方向を前方向Frと記載し、その人の背面の方向を後方向Rrと記載する。前方向Frと後方向Rrを総称して前後方向とも記載する。また、その人を前方向Frに向かって見た時のその人の右方向(
図1の紙面手前から奥に向かう方向)を右方向Rと記載する。また、その人を前方向Frに向かって見た時のその人の左方向(
図1の紙面奥から手前に向かう方向)を左方向Lと記載する。右方向Rと左方向Lを総称して左右方向とも記載する。
【0012】
図1に示す車両用シート10にはチャイルドシート20が固定可能となっている。チャイルドシート20は、車両用シート10の前面側に設けられたISO-FIXタイプのロアアンカ30に係止可能な係止部材22と、車両用シート10の背面側に設けられたテザーアンカ31に係止可能な係止部材26Aを先端に有するテザーベルト(トップテザー)26と、を備えている。
【0013】
シートクッション14は、その骨格となるシートクッションフレーム(図示省略)に発泡ウレタン等の発泡材からなるパッド(図示省略)が被せられ、このパッドがトリムカバー16で被覆されて構成されている。シートクッション14には、その前面側且つ後端部に、チャイルドシート20の係止部材22が係止可能な左右一対のロアアンカ30が設けられている。
【0014】
チャイルドシート20は、後方向Rrへ延びた左右一対の係止部材22を背面下部に有する。例えば、これら係止部材22の先端に形成された長溝状の切欠きを、対応するロアアンカ30に係止させることにより、チャイルドシート20がロアアンカ30に保持される。
【0015】
シートバック12は、その骨格となるシートバックフレーム(図示省略)に発泡ウレタン等の発泡材からなるパッド12Aが被せられ、このパッド12Aがトリムカバー13で被覆されて構成されている。
【0016】
シートバック12のパッド12Aには、その背面において、チャイルドシート20の係止部材26Aが係止可能なテザーアンカ31が配置される凹部12Bが形成されている。凹部12Bは、テザーアンカ31のフロントバー31Fが露出する状態にて、後述するカバー部材40によって覆われている。
【0017】
シートバック12のトリムカバー13には、凹部12Bと対面する位置に開口が形成されている。そして、トリムカバー13の上記の開口は、カバー部材40のフランジ部42(
図2から
図5参照)と縫合されることで、閉じられた構成となっている。
【0018】
テザーアンカ31は、円柱状のワイヤ材を折り曲げ加工して形成された略U字状の形状となっており、左右方向に延びるフロントバー31Fを備えている。このフロントバー31Fに、チャイルドシート20の係止部材26Aが係止可能となっている。テザーアンカ31は、シートバック12のシートバックフレームに固定されている。
【0019】
チャイルドシート20のテザーベルト26は、たとえば、シートベルトのストラップと同様に、引張り強さに優れたポリエステル繊維を編んだ帯状体とされる。そして、テザーベルト26の一端はチャイルドシート20の頂部に固定され、シートバック12の頂部を越えて延びた他端(自由端)にはテザーアンカ31のフロントバー31Fに係止可能な係止部材26Aが取付けられる。係止部材26Aは例えばフックとされる。
【0020】
なお、
図1の例では、テザーアンカ31がシートバック12に設けられているが、シートクッション14の後端部の背面にテザーアンカ31が設けられる構成であってもよい。
【0021】
(カバー部材の構成)
図2は、
図1に示す車両用シート10のテザーアンカ31近傍の拡大斜視図である。
図3は、
図2に示すカバー部材40をシートバック12の凹部12B側から見た斜視図である。
図4は、
図2に示すカバー部材40を左右方向に見た側面図である。
図5は、
図2に示すカバー部材40をシートバック12の凹部12B側から見た背面図である。
【0022】
カバー部材40は、弾性変形可能な可撓性を有するものであり、エラストマー等の軟質性の樹脂材料等が例えば射出成形等によって成形されたものである。カバー部材40は、シートバック12の凹部12B内に配置された、開口41kを有する容器状の本体部41を備える。本体部41は、その底部と側部が凹部12B内に配置されている。本体部41は、開口41kの縁より外方に鍔状に延設されたフランジ部42を有する。フランジ部42には、シートバック12のトリムカバー13と縫合される縫合領域42Aが設けられている。
【0023】
本体部41には、その底部から左右の両側部にわたって形成されたスリット部43が設けられている。スリット部43は、開口41k側に位置する第一領域43Aと、本体部41の底部側に位置する第二領域43Bとによって構成されている。第一領域43Aにテザーアンカ31のフロントバー31Fが挿通されることで、フロントバー31Fが本体部41の内部にて車両用シート10の外部に露出する構成となっている。
【0024】
第二領域43Bは、
図4に示すように、本体部41の底部から、左右方向に直交する方向X(換言すると、凹部12Bの深さ方向)に延びて形成されている。第一領域43Aは、第二領域43Bの開口41k側の端部から、方向X及び左右方向に垂直な方向Yに延びて形成されている。方向Yは、第一領域43Aに挿通されているフロントバー31Fの延びる方向(つまり左右方向)に垂直な面に平行な方向となる。
【0025】
図4に示すように、第一領域43Aは、第二領域43Bに隣接する第一部分43aと、第一部分43aから方向Yに延びた第二部分43bとから構成されている。第一部分43aの方向Xの幅は、第二部分43bの方向Xの幅よりも狭くなっている。
【0026】
第一領域43Aの方向Yの幅は、第二領域43Bの方向Yの幅よりも大きくなっている。具体的には、第一領域43Aにおける第二部分43bの方向Yの幅が、テザーアンカ31のフロントバー31Fの外径よりも大きくなっている。また、第二部分43bの方向Xの幅は、テザーアンカ31のフロントバー31Fを配置可能な大きさ(例えばフロントバー31Fの外径と略同じ幅)となっている。
【0027】
第二領域43Bの方向Yの幅は、フロントバー31Fの外径よりも十分に小さくなっている。ただし、第二領域43Bの方向Yの幅は、カバー部材40を弾性変形させることによって、フロントバー31Fを通すことができる程度に広げることが可能になっている。
【0028】
第一部分43aの方向Xの幅は、フロントバー31Fの外径よりも小さくなっている。ただし、第一部分43aの方向Xの幅は、カバー部材40を弾性変形させることによって、フロントバー31Fを通すことができる程度に広げることが可能になっている。
【0029】
図3及び
図4に示すように、カバー部材40は、更に、スリット部43における第一領域43Aの一部と第二領域43Bの一部をそれぞれ覆う被覆部44を備えている。被覆部44は、本体部41の外周部に設けられており、
図5における左右方向に弾性変形可能に構成されている。被覆部44は、
図4に示す左右方向に見た状態において、第一領域43Aの第一部分43aと、第二領域43Bにおける第一領域43A側の端部とを覆う位置に設けられている。
【0030】
以上の構成のカバー部材40は次のようにして凹部12Bに装着される。まず、カバー部材40が縫合されたトリムカバー13によってシートバック12のパッド12Aを覆う。この状態にて、カバー部材40の本体部41を凹部12Bに押し込む。この際、カバー部材40の本体部41を弾性変形させて、スリット部43の第二領域43Bの幅を方向Yに広げながら、スリット部43にフロントバー31Fを押し込む。この押し込み動作により、フロントバー31Fは、スリット部43に対し方向Xに移動して第一部分43aに達する。その後、フロントバー31Fをスリット部43に対し方向Yに移動させると、第一部分43aの幅が方向Xに広がりながらフロントバー31Fが移動して、第二部分43bまで到達する。これにより、
図2に示す状態が得られる。
【0031】
この状態においては、
図2、
図4、及び
図5に示すように、第一領域43Aの第二部分43bに挿通されたフロントバー31Fと、第二領域43Bとが、方向Yにずれて配置された構成となる。また、
図2に示すように、本体部41の内部を開口41k側から観察した場合に、スリット部43における第一領域43Aと第二領域43Bとの境界部分が被覆部44によって目隠しされた状態となる。
【0032】
(実施形態の効果)
車両用シート10は、
図2、
図4、及び
図5に示すように、第一領域43Aの第二部分43bに挿通されたフロントバー31Fと、スリット部43の入口を構成する第二領域43Bとが、方向Yにずれて配置される構成である。この構成によれば、
図2に示す状態において、スリット部43の第二領域43Bを十分に狭くした状態に維持することが可能となる。このため、スリット部43の第二領域43Bからシートバック12の凹部12Bの内部構造が観察されるのを防ぐことができ、美観性を向上させることができる。また、着座時の加重によってフロントバー31Fの位置が前後方向に変化する場合であっても、第二領域43Bとフロントバー31Fとが方向Yにずれていることで、カバー部材40がフロントバー31Fから外れるのを防ぐことができる。
【0033】
また、車両用シート10は、スリット部43における第一領域43Aの一部を覆う被覆部44を更に備える。このため、
図2に示すように、スリット部43における第一領域43Aとフロントバー31Fとの隙間部分から凹部12Bの内部構造が観察されるのを被覆部44によって防ぐことができる。この結果、美観性を更に向上させることができる。また、被覆部44によってフロントバー31Fの方向Yへの移動を規制することもでき、カバー部材40がフロントバー31Fから外れるのを効果的に防ぐことができる。
【0034】
また、車両用シート10では、被覆部44が、スリット部43における第二領域43Bの一部を更に覆っている。このため、スリット部43の第二領域43Bから凹部12Bの内部構造が観察されるのを被覆部44によって更に防ぐことができる。この結果、美観性を更に向上させることができる。
【0035】
また、車両用シート10では、被覆部44が、カバー部材40の本体部41の外周部に設けられている。この構成によれば、
図2に示すように、本体部41の内部を観察した場合に、スリット部43から被覆部44の一部だけが観察されるようになる。このように、被覆部44の全体形状が見えない構成となっていることで、美観性を更に向上させることができる。
【0036】
(実施形態の変形例)
被覆部44は、第一部分43aのみを覆う構成であってもよい。この構成であっても美観性を十分に向上させることができる。
【0037】
被覆部44は必須ではなく省略されてもよい。この構成であっても、第一部分43aの面積が第二部分43bの面積よりも小さくなっているため、スリット部43から凹部12Bの内部構造が観察されにくくなっている。したがって、美観性を十分に向上させることができる。
【0038】
以上の説明では、乗り物用シートの一実施形態として、自動車などに搭載される車両用シート10を例にした。しかし、本発明は、自動車等の車両に搭載されるシートに限らず、自動車を含む、電車、航空機、及び船舶などの乗り物に搭載されるシートであれば適用可能である。
【0039】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0040】
(1)
チャイルドシート(チャイルドシート20)の係止部材(係止部材26A)と係止されるアンカ(テザーアンカ31)が配置された凹部(凹部12B)と、前記凹部を覆う可撓性のカバー部材(カバー部材40)と、を有する乗り物用シート(車両用シート10)であって、
前記カバー部材は、前記凹部内に配置された容器状の本体部(本体部41)と、前記本体部の底部から側部に渡って形成され且つ前記アンカが挿通されたスリット部(スリット部43)と、を備え、
前記スリット部は、前記アンカが挿通されている第一領域(第一領域43A)と、前記第一領域よりも前記本体部の底部側に位置し且つ前記第一領域よりも狭い第二領域(第二領域43B)と、を備え、
前記本体部の内部における前記アンカの延びる方向(左右方向)に垂直な面に平行な方向を特定方向(方向Y)とし、前記第二領域と、前記第一領域に挿通されている前記アンカとは、前記特定方向にずれて配置されている乗り物用シート。
【0041】
(1)によれば、第二領域とアンカとが特定方向にずれて配置されているため、第二領域を十分に狭くした状態に維持することが可能となる。このため、スリット部から凹部の内部が観察されるのを防ぐことができ、美観性を向上させることができる。また、着座時の加重によってアンカの位置が変化する場合であっても、第二領域とアンカとが特定方向にずれていることで、カバー部材がアンカから外れるのを防ぐことができる。
【0042】
(2)
(1)記載の乗り物用シートであって、
前記スリット部における前記第一領域の一部(第一部分43a)を覆う被覆部(被覆部44)を更に備える乗り物用シート。
【0043】
(2)によれば、スリット部における第一領域とアンカとの隙間部分から凹部の内部が観察されるのを被覆部によって防ぐことができる。この結果、美観性を更に向上させることができる。
【0044】
(3)
(2)記載の乗り物用シートであって、
前記被覆部は、前記スリット部における前記第二領域の一部を更に覆う乗り物用シート。
【0045】
(3)によれば、スリット部の第二領域から凹部の内部が観察されるのを被覆部によって防ぐことができる。この結果、美観性を更に向上させることができる。
【0046】
(4)
(2)又は(3)記載の乗り物用シートであって、
前記被覆部は、前記本体部の外周部に設けられている乗り物用シート。
【0047】
(4)によれば、本体部の内部を観察した場合に、第一領域や第二領域から被覆部の一部だけが観察されるようになる。このため、美観性を更に向上させることができる。
【0048】
(5)
(1)から(4)のいずれか1つに記載の乗り物用シートであって、
前記スリット部の前記第一領域は、前記第二領域に隣接する第一部分(第一部分43a)と、前記第一部分から前記特定方向に延びる第二部分(第二部分43b)とを含み、
前記第二部分に前記アンカが挿通されており、
前記第一部分は、前記第二部分よりも狭くなっている乗り物用シート。
【0049】
(5)によれば、第一領域におけるアンカとの隙間部分の面積を小さくすることができるため、凹部の内部を観察しにくくすることができ、美観性を向上させることができる。また、第一部分を例えばアンカの外径よりも小さくすることで、アンカの特定方向への移動を抑制することもでき、カバー部材がアンカから外れるのを防ぐ効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0050】
10 車両用シート
12A パッド
12B 凹部
12 シートバック
14 シートクッション
13,16 トリムカバー
20 チャイルドシート
22,26A 係止部材
26 テザーベルト
30 ロアアンカ
31F フロントバー
31 テザーアンカ
40 カバー部材
41k 開口
41 本体部
42A 縫合領域
42 フランジ部
43 スリット部
43A 第一領域
43B 第二領域
43a 第一部分
43b 第二部分
44 被覆部