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  • 特許-医薬組成物の製造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】医薬組成物の製造
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/08 20060101AFI20230607BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 38/00 20060101ALI20230607BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
A61K9/08
A61K9/10
A61K38/00
A61K39/00 F
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020515736
(86)(22)【出願日】2018-09-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 EP2018075034
(87)【国際公開番号】W WO2019053247
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】17191652.1
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507372198
【氏名又は名称】フエリング・インターナシヨナル・センター・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】ルーンバック,ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ソーニエ,ジョスラン
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0279038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00-9/72
A61K 38/00
A61K 39/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体医薬組成物の連続製造の為の方法であって、
治療薬の補給品及び液体ビヒクルの補給品を用意すること、
対応する複数の前記補給品から前記治療薬及び前記液体ビヒクルを分配し、そして、混合ユニット(1)に供給すること、ここで、前記分配及び供給することが、所定の時間的に安定な速度に従って実行され、前記治療薬の前記速度及び前記液体ビヒクルの前記速度がそれぞれ独立して調節可能である、
前記混合ユニット(1)を動作させ、それによって或る治療薬濃度を有する液体組成物を得ること、
前記液体組成物を前記混合ユニット(1)から保持ユニット(2)へ排出すること、ここで、前記保持ユニット(2)が、前記液体組成物のユニット滞留時間が前記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分であるように構成されている、及び
前記液体組成物を前記保持ユニット(2)から排出して、処理すること
の工程を含み、
前記治療薬の前記分配及び供給が、該治療薬をインライン計量することを含み
前記治療薬のインライン計量が、前記分配された治療薬の質量及び含水量を測定するのに好適なマイクロ波スペクトルをインライン取得すること、前記測定された質量及び含水量を表すデータを出力すること、前記データを処理して、それによって対応する信号を生成すること、そして前記信号を使用して、前記治療薬及び/又は前記液体ビヒクルの分配速度及び供給速度を動的に調節することを含む、
前記方法。
【請求項2】
前記医薬組成物が、ペプチド、タンパク質及び抗体のうちの1以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体組成物が、溶液又は懸濁物の形態にある、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体医薬組成物が、該組成物の体積単位当たり約0.05mg/mL超の治療薬を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記治療薬及び前記ビヒクルの前記分配及び供給が定常流で行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ビヒクルの前記分配及び供給が定常流で行われ、一方、前記治療薬の前記分配及び供給が或る頻度で行われる請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
治療薬及び液体ビヒクルの補給品を用意すること、ここで、前記補給品が専用分配ユニット(3、4)に入れられている、
対応する複数の前記補給品から前記治療薬及び前記液体ビヒクルを分配し、そして、対応する前記分配ユニット(3、4)とスクリューミキサ(1)とを流体接続する輸送要素(5、6)により、スクリューミキサ(1)に供給すること、ここで、前記分配及び供給することが、所定の時間的に安定な速度に従って実行され、前記治療薬の前記速度及び前記液体ビヒクルの前記速度がそれぞれ独立して調節可能であり、前記スクリューミキサ(1)が、バレル、該バレル内に配置され且つ該バレルの中心軸に沿って回転する少なくとも1つのスクリュー、該バレルの近位端に少なくとも1つの供給入口(10、11)、及び該バレルの反対側の遠位端に排出出口(12)を備えている、
前記治療薬と前記ビヒクルとを前記バレル内で排出出口(12)に向けて輸送しながら前記治療薬と前記ビヒクルとを混合し、それによって液体組成物を得るように、前記スクリューを動作させること、ここで、前記組成物が或る治療薬濃度を有する、
前記液体組成物を前記バレルの前記排出出口(12)から保持ユニット(2)へ排出すること、ここで、前記保持ユニット(2)が、前記液体組成物のユニット滞留時間が前記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分であるように構成されている、及び
前記液体組成物を前記保持ユニット(2)から排出して、処理すること
の工程を含み、
前記治療薬の前記分配及び供給が、該治療薬をインライン計量することを含み
前記治療薬のインライン計量が、前記分配された治療薬の質量及び含水量を測定するのに好適なマイクロ波スペクトルをインライン取得すること、前記測定された質量及び含水量を表すデータを出力すること、前記データを処理して、それによって対応する信号を生成すること、そして前記信号を使用して、前記治療薬及び/又は前記液体ビヒクルの分配速度及び供給速度を動的に調節することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記治療薬の前記分配が、該治療薬をマイクロドージングすることを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記治療薬のインライン計量が、該治療薬の分配中に前記対応する補給品の質量減少を測定することを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物を前記保持ユニット(2)から排出し、そして、前記排出された液体医薬組成物中の前記治療薬の濃度を制御することをさらに含み、前記制御することが、前記組成物中の前記治療薬の濃度を定量化すること、前記測定された濃度を表すデータを出力すること、前記データを処理して、それによって対応する信号を生成すること、そして前記信号を使用して、前記混合ユニット(1)に供給される治療薬と液体ビヒクルとの比を経時的に安定に維持するように、前記治療薬及び/又は前記液体ビヒクルの前記分配速度及び供給速度を動的に調節することを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
自動化された方法である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
液体医薬組成物の連続製造の為の装置であって、
治療薬及び液体ビヒクルの補給品をそれぞれ含む少なくとも2つの専用分配ユニット(3、4)と、ここで、各分配ユニット(3、4)が、前記液体ビヒクル及び前記治療薬の分配を所定の時間的に安定な速度でトリガするように構成されている放出アクチュエータを備えており、前記治療薬の前記速度と前記液体ビヒクルの前記速度とがそれぞれ独立して調節可能である、
前記分配ユニット(3、4)の下流の、該分配ユニット(3、4)に流体接続された混合ユニット(1)と、ここで、前記混合ユニット(1)が、近位端及び遠位端を有する混合チャンバと、該チャンバの近位端に供給入口と、並びに該チャンバの反対側の遠位端に排出出口(12)とを備えており、前記チャンバが前記入口を通じて前記治療薬及び前記液体ビヒクルを受け取るように構成されており、前記混合ユニットが、或る治療薬濃度を有する液体組成物を得るように構成されている、
前記混合ユニット(1)の下流の、該混合ユニット(1)の排出出口(12)に流体接続された保持ユニット(2)と、ここで、前記保持ユニットが入口(13)及び出口(14)を有し、前記ユニット(2)が、前記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分な前記液体組成物の滞留時間を有するように構成されている、並びに
前記分配ユニット(3、4)を前記混合ユニット(1)の前記供給入口に流体接続し、及び前記混合ユニット(1)の前記排出出口(12)を前記保持ユニット(2)の前記入口(13)に流体接続するように配置されている複数の輸送要素(5、6、22)と
を備えており、
前記治療薬の分配ユニット(3)と前記混合ユニットとを接続する前記輸送要素(5)が、インライン計量デバイス(9)を備えており、
前記インライン計量デバイス(9)が、前記治療薬の質量及び含水量を測定するのに好適な前記治療薬のマイクロ波スペクトルをインライン取得し、前記測定された質量及び含水量を表すデータを出力し、前記データを処理して、それによって対応する信号を生成し、そして前記信号を使用して、前記治療薬及び/又は前記液体ビヒクルの前記放出アクチュエータがそれぞれの物質を分配する速度を動的に調節するように構成されている、
前記装置。
【請求項13】
前記混合ユニットがスクリューミキサである、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記インライン計量デバイス(9)が、前記分配ユニット(3)の質量減少を測定するように構成されている、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記液体医薬組成物を保持ユニット(2)からさらなる処理ユニットへと輸送する複数の要素(23)をさらに備えており、ここで、輸送する前記複数の要素(23)が、前記液体医薬組成物中の治療薬の濃度を制御するように配置された濃度制御装置(15)を備えている、請求項1214のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記濃度制御装置(15)が、UV、NIR又はRAMAN分光分析法に依拠したデバイスを備えており、前記組成物中の前記治療薬を定量化するように構成されている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記保持ユニット(2)が、前記液体医薬組成物のpHを監視する、及び任意的に、所定の目標pHに対して外れている場合に、前記pHを補正するように構成された装置をさらに備えている、請求項1216のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記構成されることは、上記液体組成物が、上記治療薬を標準に合わせるのに好適な時間、前記保持ユニット(2)内に保持されるように、前記保持ユニット(2)を構成することによって行われる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記構成されることは、上記液体組成物が、上記治療薬を標準に合わせるのに好適な時間、前記保持ユニット(2)内に保持されるように、前記保持ユニット(2)を構成することによって行われる、請求項1217のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、液体医薬組成物、特にバイオテクノロジー薬物を含む組成物、の為の連続製造方法、及びその方法を実行するのに好適な装置に関する。幾つかの医薬品は、液体組成物、又は液体組成物をさらに処理することによって得られうる組成物(例えば、凍結乾燥した組成物)の形態で患者に投与される。これらの組成物は、典型的には、治療薬(以下で「API」又は「活性成分」とも云う)が所定のAPI濃度を得るように液体ビヒクルと混合される工程を含む製造方法によって得られる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1図1は、本明細書に開示された方法の実施態様の配管、器具類、システム装置部品の機能的関係の概略を示すブロック図であり、ここで、該方法は連続して実行される。図中、実線は、物質がそれを通じて流れるところの配管要素を特定する。破線は、典型的にコンピュータで制御されるシステムの存在を特定し、ここで、下流機器/部品から引き出されたデータが、上流機器/部品の機能を制御する為に使用される(図中に示された流れ方向に従う)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書に開示された課題は、なかんずく、製品特性、特にAPI濃度、の適切なインライン(リアルタイム)制御を確実にする、液体医薬組成物の為の連続製造方法を提供することである。これは、正確且つ厳密なAPI含有量を含む組成物(及びこの組成物を含む剤形単位)を経時的に得る為に重要である。所与の治療薬の固有特性とは関係なく、適切な含有均一性を確保することは、例えば高い効力のあるAPI(HPAPIとも云う)について低い公称API濃度である場合、特に困難であり得、ここで、API濃度のわずかな変動であっても深刻な結果を招きうる。
【0004】
本明細書に開示された別の課題は、短い全体滞留時間を目標とする、すなわち、例えばバルクリザーバからの治療薬の供給から最終組成物の提供までの時間が短い、上記方法を提供することである。短い滞留時間を達成することは、例えば不安定なAPIを処方する為に有利であると考えられる。また、短い滞留時間を有する方法は、一般に、始動期間及び停止期間が短いため、特に研究開発の目的又は/及び少量製造を魅力あるものにする。
【0005】
本明細書に開示された別の課題は、小さい設置面積を有する上記方法を提供することである。本明細書に開示された別の課題は、慣用的な方法に対して、廃棄物の産出が少なく且つ誤差が小さい、上記方法を提供することである。
【0006】
本明細書に開示された別の課題は、上記方法を実行するのに好適な装置、例えば小さい設置面積を有する装置、を提供することである。理想的には、該装置は、実験室規模及び工業規模の両方で方法を実行するのに好適であるべきであり、ここで、該方法の規模拡大は、該装置の設置面積(例えば、装置ユニットのサイズ)ではなく、実行時間を調節することによって得られうる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これら及び他の課題は、添付の特許請求の範囲において定義された方法(process)、装置、及び使用によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下で、本明細書に開示された様々な観点がより詳細に説明される。簡潔にする為に、ある特徴が1つの観点に関してのみ説明される。しかしながら、これらの特徴は、技術的に関連する他の全ての観点に等しく適用可能であることを理解されたい。
【0009】
第1の観点において、本開示は、液体医薬組成物の連続製造の為の方法であって、
治療薬の補給品及び液体ビヒクルの補給品を用意すること、
対応する複数の上記補給品から上記治療薬及び上記液体ビヒクルを分配し、そして、混合ユニット1に供給すること、ここで、上記分配及び供給することが、所定の時間的に安定な速度に従って実行され、上記治療薬の上記速度及び上記液体ビヒクルの上記速度がそれぞれ独立して調節可能である、
上記混合ユニット1を動作させ、それによって或る治療薬濃度を有する液体組成物を得ること、
上記液体組成物を上記混合ユニット1から保持ユニット2へ排出すること、ここで、上記保持ユニット2が、液体組成物のユニット滞留時間が上記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分であるように構成されている、及び
上記液体組成物を上記保持ユニット2から排出して、処理すること
の工程を含む上記方法を開示する。
【0010】
特に明記しない限り、「a」又は「an」は1以上を意味する。
【0011】
特に明記しない限り、物質の状態、例えば物質が液体又は固体であるか、は、標準周囲温度及び圧力、例えば約25℃及び約1バール、で評価される。
【0012】
特に明記しない限り、組成物は、該組成物が治療薬を含むときはいつでも「医薬組成物」である。治療薬は、人間又は動物の疾病を処置又は予防する為に知られている又は単に示される物質であり、且つ医療診断を行う為に又は人間又は動物の生理的機能を回復、補正又は修正する為に人間又は動物に投与されうる何らかの物質である。治療薬の組み合わせが可能である。治療薬は、化学薬品(「小分子」としても知られる)及び/又はバイオテクノロジー治療薬、例えばペプチド、タンパク質及び抗体、を含みうる。典型的なバイオテクノロジー治療薬は、ペプチド又はタンパク質である。該治療薬は、固体又は液体の状態でありうる。例えば、該治療薬は、バルク粉末状又は顆粒状であることができる。固体状であるとき、治療薬は結晶形又は非晶形でありうる。周囲温度及び圧力で液体になる治療薬は、適切な処理を受ければ固体状で分配されうる。この場合、該治療薬は、分配ユニットに供給される前に予備凍結されうる。
【0013】
所与の液体ビヒクルに関して、好適な治療薬は何らかの溶解性を有しうる。例えば、治療薬は、USP26,NF21 2003に従い、「溶解性」から「実質的に不溶性」、又は「難溶性」から「実質的に不溶性」、例えば「わずかに溶解性」から「実質的に不溶性」若しくは「非常にわずかに溶解性」から「実質的に不溶性」と定義される溶解性、を有しうる。溶解性は、プロトコルに従い、且つPh.Eur.第9版、5.11.Characters section in monographsで定義された装置を使用して試験されうる。
【0014】
選択された液体ビヒクルにおける選択された1以上の活性薬の溶解性に基づいて、本発明の液体組成物は溶液又は懸濁物の形態にありうる。該液体組成物のさらなる処理は、保持ユニットから排出されたときにその物理的形状を変化させ得、例えば液体組成物を固体にしうる(例えば、凍結乾燥により)。これは、一時的な懸濁物の再構成の為に意図された組成物の事例であることができる。
【0015】
2以上の治療薬が使用される場合、各治療薬は、選択された液体ビヒクルにおいて個々の溶解性を有し、及び/又は該方法に供給されるときに種々の物理的形状を有しうる。
【0016】
液体ビヒクルは、典型的には、薬学的に許容可能な液体、例えば水及び/又は他の溶媒、好ましくは水、を含む。水は、いずれかの種類のUSP29モノグラフ純水、例えば薬学的適用の為の水、蒸留水、又は滅菌注射用の水、でありうる。該液体ビヒクルは、ビヒクルの単位サンプルの重量を超える約50重量%超、例えば60重量%又は70重量%、の量の水を含みうる。該液体ビヒクルは、基本的に水から構成されうる。
【0017】
液体ビヒクルは、液体医薬処方物の製造の為に典型的に使用される薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含みうる。例えば、ビヒクルは、緩衝剤、等張剤(例えば、浸透剤)、可溶化剤、安定剤、抗酸化剤、及びそれらの混合物からなる群から選択された賦形剤を含みうる。
【0018】
液体ビヒクルの定性的な例は下記の通りである:
抗酸化剤、例えばL-メチオニン、
緩衝剤、例えばコハク酸、
等張剤、例えばマンニトール、
pH調整剤、例えば水酸化ナトリウム、及び
水、例えば注射用水。
【0019】
液体ビヒクルの他の定性的な例は以下の通りである:
等張剤、例えばマンニトール、
pH調整剤、例えば塩酸、及び
水、例えば注射用水。
【0020】
全ての成分は、USPグレードとして使用されうる。
【0021】
本開示されている方法は、上記組成物の体積単位あたり約0.05mg/mL超、例えば約0.1mg/mL~約7.5mg/mL、の治療薬を含む液体医薬組成物を得る為に好適である。
【0022】
本開示されている方法は、慣用的なバッチ製造技法とは対照的に、連続的に実行される。特に明記しない限り、語「連続方法」は、連続方式及び半連続方式の両方を包含し、好ましくは連続方式を云う。連続製造方式及びバッチ製造方式の特徴が、医薬品分野で知られている。例えば、バッチ製造に関連して、様々な方法の段階間の休止の頻度が、連続製造設計の場合にない。本開示されている方法は、自動化された方法でありうる。該方法ラインの自動化は、それが人による干渉及び製造誤差の余地を減らすので有利である。
【0023】
バッチ製造方法を連続製造方法に変えることは、特に医薬品の場合、この分野で満たされるべき厳しい品質基準及び安全基準の観点から特に困難でありうる。液体医薬組成物(又は液体医薬組成物を処理することによって得られる組成物)の製造の場合、主な課題の1つは、治療薬の濃度の経時的な変動、例えば正又は負のピーク、を標準に合わせる(且つ場合により防止する)必要があることによって表される。本開示は、連続製造技法に典型的に関連付けられる利点による恩恵を受けながら、この問題を回避する液体医薬組成品の効果的且つ完全に制御された製造を獲得する為の解決策を開示する。何らの理論によって縛られることを意図されるものではないが、該組成物中における治療薬の所定の目標濃度を達成すること及び維持することは、混合ユニットが保持ユニットの下流に連結される方法の核心を設計したこと、且つ治療薬の濃度の経時的な変動を防止すること及び標準に合わせることに集中的に作用する他の任意的な特徴の存在に根差していると考えられる。その特徴により、本発明の方法は、高い効力のある活性医薬成分(HPAPIとも称する)、すなわち、一般的に非常に少ない量で使用され、濃度のわずかな変動であっても該組成物の安全性及び品質に関して重要な結果を招きうる化合物を処方するのに特に好適である。
【0024】
プロセス滞留時間(RT:residence time)は、固体若しくは流体が留まる時間、又は連続プロセスにおいて1以上のプロセスユニットを通って流れる時間を特徴付ける為に、製造プロセスでしばしば使用される公知の重要な装置及びプロセスパラメータである。本明細書で使用される場合、「滞留時間」という語は、その慣用的な意味を有し、且つ液体組成物が定義されたユニット若しくはデバイス内に留まる時間、又は該ユニット若しくはデバイス内を流れる時間の長さ、例えば混合ユニット内における液体組成物の滞留時間、又は保持ユニット内における液体組成物の滞留時間、を云う。液体組成物の全体滞留時間は、全ての部分的なユニット/デバイスの特定の滞留時間の組み合わせである。特に明記しない限り、本開示におけるRTへの言及は平均RTを云う。所与のユニットのRTは、ユニット体積とプロセスパラメータとの両方に依存すると考えられる。特に、理論に縛られるものではないが、ユニット体積は平均RTに影響を与え、一方、プロセスパラメータはRT分布(すなわち、RTが平均値付近でどのように変化するか)に影響を与えると考えられる。簡単に言うと、プロセスパラメータは等しく、所与のユニットのRTはユニット体積、特にユニットサイズ、に影響を与える物質パラメータに依存する。幾何形状が比較的単純な保持タンクの場合、ユニットサイズがその体積に等しいとみなすことでき、それによって該液体組成物のタンク滞留時間を決定する主パラメータになる。
【0025】
該治療薬の補給品及び該液体ビヒクルの補給品は、専用分配ユニット3及び4、例えば輸送要素5及び6によって混合ユニット1に流体接続されたリザーバ(例えば、治療薬用のホッパ及び液体ビヒクル用のタンク)、に最初に含まれうる。公知の「補給」技法に従う分配ユニット3及び4の充填は、補給品が終了したときに、該方法を停止させることなく、連続的な様式で該方法を実行することを可能にする。
【0026】
対応する分配ユニット3及び4から分配されると、該治療薬及び該液体ビヒクルの補給品が混合ユニット1に供給され、そして混合ユニット1内で混合されうる。代替的には、それらは、混合ユニット1に対して上流、例えばすぐ上流、で混合されうる。ありうる安定性の問題を回避する為に、該治療薬及び該液体ビヒクルが、混合ユニット1に供給される前に接触しないことが好ましい。
【0027】
対応する複数の上記補給品からの該治療薬及び該液体ビヒクルを分配及び供給することは、所定の時間的に安定な速度に従って連続的に実行される。特に明記しない限り、所定の時間的に安定な速度とは、対応する複数の上記補給品から分配され混合ユニット1に供給される治療薬の量(好ましくは重量により表される)と液体ビヒクルの量(好ましくは体積により表される)が、所望の定性的及び/又は定量的結果、通常は目標濃度、を達成し、時間単位(例えば、1分又は1時間)ごとに安定したままであるように予め決められた値に対応することを意味する。
【0028】
所定の時間的に安定な速度は、該治療薬及び該ビヒクルを定常流で分配及び供給することによって得られうる。該治療薬の場合、所定の、時間的に安定な速度は、代替的に、該治療薬を物理的に個々のサブ量で、すなわち或る頻度で、分配及び供給することによって得られうる。結果として得られる速度が所定の適時安定のままである限り、頻度パラメータは経時的に変化しうる。
【0029】
該治療薬の速度及び該液体ビヒクルの速度は、それぞれ独立して調節可能である。これは、本明細書に開示された方法が、液体組成物の濃度の変動を集中的に標準に合わせ且つ防止する為に保持ユニット2と組み合わせて使用されることができる任意的な構成/デバイスによって生成される特定のトリガ信号を通じて、個々の分配ユニット3及び4に作用することによって、2つの物質のそれぞれの分配を独立して調節する可能性を含むことを意味する。
【0030】
該治療薬についての可能な速度は、0.03g/時~45g/時でありうる。該液体ビヒクルについての可能な速度は、0.6L/時~12L/時でありうる。これらの速度は、広範囲の濃度、特に医薬品の大部分に共通して要求される濃度、を目標とするのに好適である。ある適用(生物学的治療薬を含む組成物を除く)、特に工業規模での適用、の場合、該治療薬の速度は36kg/時でありうる。しかしながら、このような非常に高い速度は、医薬品の用途には好ましくなく、且つ装置ユニットのサイズを調節することを必要とし、それは望ましい選択肢ではない。
【0031】
例えば、液体組成物は、0.06g/時の速度又は9g/時の速度で治療薬を分配及び供給することによって、本明細書に開示された方法に従って製造されうる。液体ビヒクルについての好適な速度の例は、0.6L/時~1.2L/時でありうる。上記の固体及び液体の速度の組み合わせは、0.1mg/ml~7.5mg/mLの濃度を結果としてもたらしうる。
【0032】
治療薬の分配は、治療薬をマイクロドージングすることを含みうる。これは、マイクロドージングデバイス8を備えている分配ユニット3を用いることによって得られることができる。マイクロドージングデバイスは、非常に少量の液体又は固体物質の非常に正確な且つ厳密な連続又は繰返し(「シングルショット」)分配を可能にする既知のシステムである。典型的には、それらは、固体の場合、0.5~20ミリグラム(mg)の量、例えば2秒以上の時間につき20mg未満の量、を分配することができる。典型的には、マイクロドージングデバイスは、上流リザーバ内のバルク補給品として含まれている所与の物質の量を分配する。
【0033】
固体治療薬についての好適なマイクロドージングデバイス8の例は、容積真空移送システムの分配デバイス及び撹拌システムの移送分配デバイスである。高精密(precision)且つ高精度(accuracy)のマイクロドージングデバイスは、例えば、バイアル充填用、カプセル充填用、錠剤マトリックス充填用、に市販されている。
【0034】
撹拌システムの移送分配デバイスは、治療薬を連続的に分配するのに好適である。従って、治療成分を連続して供給及び分配することは、分配ユニット(3)内の治療薬を撹拌すること、及び治療薬を分配ユニット(3)から連続して押し出すことを含みうる。該押し出すことは、能動的又は受動的(例えば、重力による)でありうる。
【0035】
治療薬を分配及び供給することは、任意的に、例えば、治療薬の含水量計量システム9、例えばマイクロ波計量システム、の使用、又は質量減少計量システムの使用によって、治療薬をインライン計量することを含む。この選択肢は、マイクロドージングの使用と連動されたときに特に有利である。
【0036】
インライン計量は治療薬の濃度の変動を防止することを可能にするので、所定の時間的に安定な速度の時間安定性についての制御を向上させる。変動を防止及び標準に合わせることは、最終液体組成物中で安定した濃度を維持するように集中的に作用する。
【0037】
治療薬のインライン計量は、治療薬の含水量を測定することを含みうる。実際には、治療薬中の水の存在(例えば、治療薬の含水量)は経時的に変化しうる。次に、これは、時間単位ごとに混合ユニットに供給される治療薬の量、及び最終的に組成物中の治療薬の濃度を修正しうる。それ故に、治療薬のインライン計量は、治療薬がビヒクルと混合される前、例えば治療薬が混合ユニット1に供給される前、例えば治療薬分配ユニット3を混合ユニット1に流体接続する輸送要素5内に治療薬があるときに、治療薬のマイクロ波スペクトルをインライン取得すること、及びこれらのスペクトルを質量及び含水量に変換することを含みうる。マイクロ波を利用する制御デバイス、例えばマイクロ波計量システム9、は市販されている。
【0038】
従って、治療薬及び液体ビヒクルを分配及び供給することは、分配される治療薬の質量及び含水量を測定するのに好適なマイクロ波スペクトルをインライン取得すること、測定された質量及び含水量の低下を表すデータを出力すること、データを処理して、それによって対応する信号を生成すること、そしてこの信号を使用して、治療薬及び/又は液体ビヒクルの分配速度及び供給速度を動的に調節することを含みうる。これらの様式において、分配速度及び供給速度が、それに基づいて予め決められたところの所望の定性的及び/又は定量的結果(例えば、液体組成物の目標最終濃度)を回復することができる。例えば、該生成された信号は、混合ユニット1に供給された治療薬と液体ビヒクルとの比を経時的に安定に維持する為に、治療薬の分配ユニット3及び液体ビヒクルの分配ユニット4に動作可能に接続された放出アクチュエータに転送されうる。インライン計量を通じて得られる「フィードバック」制御は、液体組成物の安全性及び品質の変動の危険をさらに減少させる。
【0039】
治療薬のインライン計量は、治療薬の分配中に、対応する補給品(例えば、専用分配ユニット(3))の質量減少を測定することを含みうる。これは、治療薬を連続して分配するときに特に有利である。質量減少を利用する制御デバイスは、市販されている。
【0040】
質量減少を測定することは、治療薬の含水量を測定することに加えて、又はその代わりでありうる。
【0041】
従って、治療薬及び液体ビヒクルを分配及び供給することは、治療薬を分配ユニット(3)内で撹拌すること、治療薬を分配ユニット(3)から連続して分配すること、例えば治療薬を分配ユニット(3)から連続して押し出すこと、及び分配ユニット(3)の質量減少を測定することを含みうる。質量減少を測定することはさらに、測定された質量の低下を表すデータを出力すること、データを処理して、それによって対応する信号を生成すること、そしてこの信号を使用して、治療薬及び/又は液体ビヒクルを分配及び供給することを動的に調節することを含みうる。治療薬の場合、これは、撹拌を調節することによって、例えば撹拌速度を調節すること及び/又は分配ユニット(3)からの押出しを調節することによって達成されることができる。例えば、治療薬は、例えば分配ユニット(3)の底部に配置された、直径が変化しうる出口を通して押し出され得、該方法中にその開口サイズが質量減少についてのデータに応じて修正されることができる。
【0042】
該混合は、静的混合又は動的混合、好ましくは動的混合、でありうる。静的混合又は動的混合を実行する為のデバイスが知られている。ファインケミカルの分野で既に使用されているデバイスが特に好適である。デバイスの例は、スクリューを含む混合デバイス(例えば、スクリューミキサ)、混合管、及び混合容器である。例えば、混合ユニット1はスクリューミキサでありうる。混合ユニット1は、治療薬及び液体ビヒクルがそれを通ってユニット1に入るところの供給入口、例えば少なくとも2つの供給入口10及び11、と、治療薬と液体ビヒクルとが完全に混合される混合チャンバと、液体組成物がそれを通ってユニット1から出るところの排出出口12とを少なくとも含みうる。幾つかの実施態様において、混合ユニット1は混合エフェクタを含まない。これらの実施態様において、治療薬とビヒクルとの所望の混合物を混合することは、例えば乱流混合、振動流、又は静的混合によって達成されうる。他の実施態様において、スクリューミキサと同様に、混合ユニット1は、治療薬とビヒクルとの混合に寄与する混合エフェクタ、例えばスクリュー、を備えている。
【0043】
好適なスクリューミキサは、食品又はポリマー加工において一般的に使用されているものでありうる。スクリューミキサはまた、固体組成物を得る為に、例えば固体治療薬を固体ポリマーマトリックスと共に分散させる為に又は粉末状賦形剤を造粒する為に、医薬品の分野において使用される。例えば、本方法の文脈で使用されうるスクリューミキサは、ホットメルト押出し(HME:hot melt extrusion)用に商品化されたスクリューミキサである。この種のスクリューミキサは、種々の製造業者から(本開示で想定されるもの以外の適用で)市販されており、通常、供給された物質をバレル内で運ぶ少なくとも1つの回転スクリュー(例えば、2つの双回転スクリュー)を備えているバレルを備えている。例えば、好適なスクリューミキサは、以下の個々の部分を備えている:
1つのバレルと、供給された物質を運んで混合する少なくとも1つの回転スクリューとを備えている輸送部(混合チャンバ)、ここで、1以上の回転スクリューが、該バレルの主長手方向軸に沿って回転するように配置されている、
物質(この場合、治療薬及び液体ビヒクル)がそれを通じてバレルに入るところの供給入口、例えば少なくとも2つの供給入口、並びに
処理された物質(この場合、液体組成物)がそれを通じてスクリューミキサから出るところの排出出口。
【0044】
典型的に、該供給入口は該バレルの近位端に配置されており、一方、該排出出口は該バレルの遠位端に配置されている。近位及び遠位の定義は、供給された物質が該バレル内で回転スクリューによって運ばれる方向を基準として理解されたい。この決まりに従って、該バレルの近位端は、該物質が該バレル内に供給される点に近く、一方、該遠位端は、該組成物が該バレルから出る点に近い。該スクリューミキサは、該治療薬及び該ビヒクルの為の専用入口10及び11を備えうる。この場合、該治療薬及び該ビヒクルは混合ユニット1内のみで接触し、且つ対応する入口10及び11は、該治療薬及び該液体ビヒクルの供給部、例えば対応する専用分配ユニット3及び4に、輸送要素5及び6によって流体接続される。代替的には、該スクリューミキサは、1つの供給入口を含みうる。この場合、該混合ユニットはさらに予備混合タンクを備えており、該予備混合タンク内で、該治療薬及び該液体が該スクリューミキサの該バレルに入る前に接触し、且つ該予備混合タンクは複数の輸送要素を介して該供給入口に流体接続される。
【0045】
該治療薬及び該液体ビヒクルが該スクリューミキサの該バレルに供給されると、該治療薬及び該液体ビヒクルが少なくとも1つの回転スクリューによって該バレル内を排出出口に向けて輸送される間に、均一な混合並びに効果的な湿潤及び該治療薬のビヒクル内への溶解が、制御可能(すなわち、再現可能且つ繰返し可能)な様式で生じる。
【0046】
好適なスクリューミキサは、例えばThree-Tec GmbH and Thermo Fisher Scientificから市販されている。
【0047】
回転スクリューの長さ及び体積は、少なくとも約5秒、例えば少なくとも10秒、の混合ユニット滞留時間(RT)を目標とするように有利に選択される。これは、上記速度が採用されると、特に液体ビヒクルが水を含む場合に、滞留時間が、該治療薬及び該液体ビヒクルの大部分の組み合わせについて湿潤を得る為に十分であるとみなされることを意味する。例えば、この滞留時間は、直径12mmの双スクリューを50~250rpmで動作させることによって得られることができる。例えば、該治療薬若しくは該ビヒクルの特性により、又は該治療薬について特に高い速度を用いることによって、適切な湿潤を得る為により長い滞留時間が必要とされる場合、上記スクリューの長さ及び体積は、所望の結果に達するまで徐々に増加されることができる。方法パラメータ、例えば上記スクリューが動作される方法(例えば、スクリュー回転のrpm)、を調節することは、RTの分布を調整することを可能にする。
【0048】
一つの実施態様において、本明細書に開示された方法は、下記の工程を含む:
治療薬の補給品及び液体ビヒクルの補給品を用意すること、ここで、該補給品は専用分配ユニット3及び4に入れられている、
対応する複数の上記補給品から上記治療薬及び上記液体ビヒクルを分配し、例えば対応する分配ユニット3及び4とスクリューミキサ1とを流体接続する輸送要素5及び6によって、スクリューミキサ1に供給すること、ここで、上記分配及び供給することが、所定の時間的に安定な速度に従って実行され、上記治療薬の上記速度及び上記液体ビヒクルの上記速度がそれぞれ独立して調節可能であり(例えば、動作可能に制御された流量計及び/又は本明細書に開示されたマイクロドージングデバイスの使用により)、スクリューミキサ1が、バレル、該バレル内に配置され、該バレルの中心軸に沿って回転する少なくとも1つのスクリュー、該バレルの近位端に少なくとも1つの供給入口10及び11、並びに該バレルの反対側の遠位端に排出出口12を備えている、
上記スクリューを動作させて、上記治療薬及び上記ビヒクルを該バレル内で排出出口12に向けて輸送しながら上記治療薬及び上記ビヒクルを混合し、それによって液体組成物を得ること、ここで、上記組成物が或る治療薬濃度を有する、
上記液体組成物を上記バレルの排出出口12から保持ユニット2へ排出すること、ここで、保持ユニット2が、上記液体組成物のユニット滞留時間が上記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分であるように構成されている、及び
上記液体組成物を保持ユニット2から排出して(例えば、本明細書に開示された動作可能に制御された流量計の使用を通じて)、処理すること。
【0049】
本明細書に開示された他の実施態様についても同様に、混合ユニット1としてのスクリューミキサの使用を上記治療薬のマイクロドージングシステム8及び/又はインライン計量システム9と組み合わせることができる。マイクロドージングとインライン計量との両方の採用が好ましい。
【0050】
混合ユニット1から、上記液体組成物が保持ユニット2内に排出される。例えば、スクリューミキサの排出出口12は、保持ユニット2の入口13に流体接続される。典型的に、保持ユニット2はタンクである。本開示に従うと、保持ユニット2は、上記治療薬の或る濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分である液体組成物の滞留時間を得るように構成されている。これは、実際には、上記液体組成物が、上記或る治療薬濃度を標準に合わせるのに好適な時間、ユニット内に保持されるように、該ユニットを構成することによって行われる。
【0051】
所与の所定の分配及び供給速度について、該混合ユニットの出口での上記液体組成物の濃度が目標組成物に対応しないことがある。言い換えれば、該組成物が混合ユニット1から排出される場合に、その濃度が目標濃度付近で変動を示しうる。これは、方法及び物質パラメータ、例えば混合ユニット1の選択された幾何形状(混合ユニット1の混合機構、並びに混合エフェクタの存在、構造、及び動作パラメータを含む)、又は選択された液体ビヒクルへの選択された治療薬の溶解性に影響を与える現象、例えば分配工程、供給工程、及び混合工程の湿度及び温度、に関連付けられうる。
【0052】
本発明者等は、本明細書に開示された保持ユニット2の存在が、混合ユニット1の出口における液体組成物の濃度の変動の問題に対する解決策であることを見出した。保持ユニット2の採用が、上記液体組成物のバルク量の形成を伴い、このことは、保持ユニット2が適切に構成されている場合、例えば上記治療薬の不完全な湿潤又は溶解の後に混合ユニット1内又は上流に形成される、ありうる正負の濃度ピークを標準に合わせることを可能にする。混合ユニット1から排出された液体組成物が、例えば単回用量に直ちに処理される(例えば、シリンジ、カートリッジ、バイアル、アンプルに充填される、又は凍結乾燥される)場合に、このような用量のうちの1つが正又は負の濃度ピークを含む危険性が高くなる。この危険性は、保持ユニット2の使用によってもたらされる希釈効果によって減少し、且つ潜在的に回避される。
【0053】
従って、上記液体組成物は、その濃度を標準に合わせるのに好適な滞留時間を有するように保持ユニット2内に保持される。この目的の為に、上記保持ユニットは、その体積を調節することによって構成されることができる。方法パラメータ、例えば、混合ユニット1から排出された液体組成物がそれを通じて保持ユニットに入るところの入口13の位置、及び該組成物がそれを通じてユニット2から通って排出されるところの出口14の位置、を調節することは、RTの分布の調整を可能にする。
【0054】
本明細書に開示された方法は、最終液体医薬組成物の製造を最適化する為のさらに任意的な工程を含みうる。
【0055】
例えば、該方法は、上記組成物を保持ユニット2から排出し、そして、該排出された液体医薬組成物中の上記治療薬の濃度を制御する工程を含みうる。該制御することは、慣用的な手段、例えば非破壊間接技法、例えばUV放射及びNIR放射、RAMAN、によって実行されることができる。UVの場合、上記液体医薬組成物は、該組成物中の治療薬の量及び/又は賦形剤の量を定量化するのに適切な、1以上の適切な波長を使用して検査される。これらの技法を利用する制御デバイス15は、市販されている。治療薬の濃度を制御することは、上記組成物中の治療薬の濃度を定量化すること、該測定された濃度を表すデータを出力すること、該データを処理して、それによって対応する信号を生成すること、そしてこの信号を使用して、混合ユニット1に供給される治療薬と液体ビヒクルとの比を経時的に安定に維持するように、該治療薬及び/又は該液体ビヒクルの上記分配速度及び上記供給速度を動的に調節することを含みうる。液体ビヒクルの供給速度を調節することは、ポンプ7を制御する流量計16によって行われうる。インライン計量についても同様に、この特徴は、上記治療薬の目標濃度の変動を回避し且つ迅速に補正する為に、該組成物の成分についての任意的な「フィードバック」制御を達成する。制御する工程はまた、保持ユニット2から排出された液体医薬組成物を一時的にオフラインに逸らすことを含みうる。オフラインに逸らすことは、所望の目標濃度を標準に合わせるのに必要な時間、継続しうる。逸らすことは、例えば、上記治療薬の濃度を制御する為のデバイス15の上流に及び保持ユニットの下流に配置された、ポンプ24を制御する三方流量計17を用いることによって達成されることができる。
【0056】
該方法はまた、上記液体医薬組成物が混合ユニット1から排出された後に該液体医薬組成物のpHを監視する工程を含みうる。該監視は、市販のpH監視デバイス、例えばpH計18、を介して実行されることができる。pHを監視することはまた、該組成物のpHが意図された目標pHから外れている場合に、該pHを調節することを含むことができる。この場合、該pH監視デバイスは、pH計18又は同等のデバイスと、塩基及び/又は酸の補給品を含む専用リザーバ19及び20とを備えているアセンブリである。該pH監視デバイスは、保持ユニット2の一部でありうる(すなわち一体化されうる)。pHを監視する工程は、上記液体組成物のpHを測定すること、測定されたpH値を表すデータを出力すること、該データを処理して、それによって対応する信号を生成すること、そしてこの信号を使用して、必要であれば、例えば、酸及び/又は塩基専用リザーバ19及び20に動作可能に接続された放出アクチュエータに信号を転送することによって、pHを動的に調節することを含みうる。該信号に応答して、リザーバ19及び20は、上記酸及び/又は塩基の補給品の所定量を放出し、そして所望の目標pHを回復する為に、酸及び/又は塩基を上記液体組成物に輸送することができる。
【0057】
該方法はまた、対応するリザーバ4から混合ユニット1へ輸送される液体ビヒクルのモル浸透圧濃度を調節する工程(すなわち、該調節は、該ビヒクルを混合ユニット1に供給する工程の上流で実行されうる)を含みうる。該モル浸透圧濃度の該調節は、所定量の浸透薬、例えばマンニトール又は同等の薬、を、該液体ビヒクルが混合ユニット1に供給される前に該液体ビヒクルに添加することによって実行されることができる。浸透薬の補給品は、該液体ビヒクルをそのリザーバから該混合ユニットへ輸送する要素に流体接続された専用リザーバに入れられていることができる。例えば、該液体ビヒクルを該混合ユニットに輸送する該要素は、該ビヒクルを一時的に蓄え、内部で該ビヒクルに所定量の浸透薬が添加されることのできる第2のリザーバ、例えばタンク、を備えていることができる。該浸透薬が該ビヒクルと効果的に混合されると、該ビヒクルは上記の所定の時間的に安定な速度で放出され、該混合ユニットに輸送される。代替的には、該浸透薬は、例えば本発明の方法を上流で繰り返すことによって、該液体ビヒクルに連続的な方法で添加されることができる。
【0058】
該方法はまた、上記液体医薬組成物が混合ユニット1から排出された後に、例えば該組成物をスクリューミキサのバレルから排出した後に、該液体医薬組成物をフィルタリングする工程を含みうる(すなわち、該フィルタリングは、排出する工程の下流で、及び好ましくは、pH監視工程の下流でまた実行されうる)。該フィルタリングは、所望のフィルタリング能力を有する慣用的なフィルタ21を介して上記液体医薬組成物を輸送することによって実行されることができる。該フィルタリングの工程は、該液体医薬組成物の市販用の最終容器(例えば、びん、バイアル、カートリッジ、充填済みシリンジ等)を充填する前に、最終工程として実行されうる。
【0059】
更なる観点において、本開示は、液体医薬組成物の連続製造、例えば本明細書に開示された連続製造、の為の装置であって、
治療薬及び液体ビヒクルの補給品をそれぞれ含む少なくとも2つの専用分配ユニット3及び4、例えばリザーバ、と、ここで、各分配ユニット3及び4が、上記液体ビヒクル及び上記治療薬の分配を所定の時間的に安定な速度でトリガするように構成されている放出アクチュエータを備えており、該治療薬の上記速度と該液体ビヒクルの上記速度とがそれぞれ独立して調節可能である、
分配ユニット3及び4の下流の、分配ユニット3及び4に流体接続された混合ユニット1と、ここで、混合ユニット1が、近位端及び遠位端を有する混合チャンバと、該チャンバの近位端に供給入口(例えば、2つの入口10及び11)と、並びに該チャンバの反対側の遠位端に排出出口12とを備えており、該チャンバが上記入口を通じて上記治療薬及び上記液体ビヒクルを受け取るように構成されており、該混合ユニットが、或る治療薬濃度を有する液体組成物を得るように構成されている、
混合ユニット1の下流の、混合ユニット1の排出出口12に流体接続された保持ユニット2、例えばタンク、と、ここで、該保持ユニットが入口13及び出口14を有し、上記ユニット2が、上記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分な液体組成物の滞留時間を有するように構成されている、並びに
分配ユニット3及び4を混合ユニット1の上記供給入口に流体接続し、及び混合ユニット1の排出出口12を保持ユニット2の入口13に流体接続するように配置されている複数の輸送要素5、6及び22と
を備えている上記装置を開示する。
【0060】
上記液体ビヒクルの分配ユニット4は、リザーバ、例えばタンク、でありうる。該液体ビヒクルの分配ユニット4は、該液体ビヒクルの分配を上記の所定の時間的に安定な速度でトリガするように配置された放出アクチュエータを備えうる。このアクチュエータは、ポンプ且つ流量計でありうる。
【0061】
上記治療薬の分配ユニット3は、リザーバ、例えば撹拌ホッパ、でありうる。分配ユニット3は、該治療薬の分配を上記の所定の時間的に安定な速度でトリガするように配置された放出アクチュエータを含みうる。このアクチュエータは、マイクロドージングデバイスでありうる。
【0062】
輸送要素5及び6は、上記治療薬及び上記ビヒクルの分配ユニット3及び4を混合ユニット1に流体接続する。輸送要素6は、ポンプ7又は機能的に同等の部品をさらに備えうる。
【0063】
上記治療薬の分配ユニット3と上記混合ユニットとを接続する輸送要素5は、インライン計量デバイス9を備えうる。例えば、インライン計量デバイス9は、上記治療薬の質量及び含水量を測定するのに好適な治療薬のマイクロ波スペクトルをインライン取得し、測定された質量及び含水量を表すデータを出力し、該データを処理して、それによって対応する信号を生成し、そしてこの信号を使用して、上記治療薬及び/又は上記液体ビヒクルの放出アクチュエータがそれぞれの物質を分配する速度を動的に調節するように構成されうる。この「フィードバック」回路は、混合ユニット1に効果的に供給される上記治療薬の量と上記液体ビヒクルの量との一定の比を経時的に維持する。インライン監視デバイス9は、上記治療薬の質量及び含水量並びに測定された値を表す出力データをインライン監視するように構成されたマイクロ波計量デバイスでありうる。インライン監視デバイス9はまた、上記治療薬及び/又は上位液体ビヒクルの分配ユニット3及び4に動作可能に接続されうるプロセッサを備えうる。例えば、該プロセッサは、計量デバイス9からデータを受信し、該データを処理し、放出アクチュエータに該信号を出力することによって、上記治療薬及び/又は上記液体ビヒクルの分配及び供給方法を動的に調節するように構成されうる。
【0064】
混合ユニット1は、或る治療薬濃度を有する液体組成物を得るように構成されている。好適な既知の混合ユニットが使用されることができる。好ましい実施態様において、混合ユニット1は、上記の回転スクリューを備えているスクリューミキサでありうる。上記液体医薬組成物の連続製造の為の方法の文脈においてスクリューミキサを混合ユニットとして用いることは、知られていなかった。
【0065】
上記のスクリューミキサの開示を参照すると、上記スクリューミキサのバレルは、上記治療薬の供給用の供給入口(例えば、開口)と、上記液体ビヒクルの供給用の別個の供給入口(例えば、開口)とを備えうる。両入口10、11は、該バレルの遠位端に配置されうる。一つの実施態様において、上記治療薬の供給用の供給入口10は、上記ビヒクル用の供給入口11の下流でバレルに配置される。特に明記しない限り、下流及び上流は、物質(すなわち、上記治療薬、上記ビヒクル、及び対応する医薬組成物)が装置内で流れる方向に相対的に表されるものであることを理解されたい。
【0066】
保持ユニット2は、上記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分な液体組成物の滞留時間を得るように構成されている。これは、上記治療薬の濃度を標準に合わせるのに好適な時間、上記液体組成物を保持ユニット2内に保持することによって行われる。従って、保持ユニット2の存在は、混合ユニット1の出口における上記治療薬の濃度のありうる変動が与えうる、最終製品の安全性及び効能に対する悪影響を相殺する。この結果を得るように保持ユニット2を構成する可能な方法は、上記されている。例えば、ユニット2の幾何形状、例えばその体積、又はユニット2の入口13及び出口14の相互位置、は、所望の効果を達成するまで液体組成平均滞留時間及びその分布をそれぞれ修正するように調節されることができる。必要以上に長い保持ユニット滞留時間は採用されうるが、あまり好ましくない。標準に合わせることの目的が達成されると、より長い滞留時間(例えば、大型の保持ユニットによる)は、目に見えるほどの利点をもたらさず、全体的な方法の滞留時間を増加させる(それは、より長い実行時間及びより高い費用を伴い、それは典型的には望ましくない要因である)。
【0067】
当該装置の様々な要素/デバイス/ユニットは、物質(例えば、上記治療薬、上記液体ビヒクル、及び上記液体医薬組成物)をリザーバ3及び4から混合ユニット1へ輸送し、そして次に、ユニット1から保持ユニット2内へ輸送する複数の輸送要素(例えば、5、6及び22)によって適切に流体接続される。
【0068】
上記液体医薬組成物を保持ユニット2からさらなる処理ユニット、例えば濾過装置、充填装置、若しくは一次包装装置、又は凍結乾燥ステーション、へと輸送する為の他の複数の輸送要素23が存在しうる。
【0069】
本明細書に開示された装置はさらに、上記医薬組成物の特性を最適化する工程を実行する為に、例えば、保持ユニット2及びインライン計量デバイス9と共に集中的に作用して、液体組成物の濃度の変動を回避する為に、混合ユニット1の下流又は上流に配置されることができる任意的なデバイス又は構成を備えうる。
【0070】
上記液体組成物を保持ユニット2から輸送する複数の要素23は、該液体医薬組成物中の治療薬の濃度を制御するように配置された濃度制御装置15を備えうる。例えば、この構成15は、UV、NIR又はRAMAN分光分析法に依拠したデバイスを備えている。例えば溶質(この場合、上記治療薬)によるUV吸光度、又はNIR若しくはRAMAN分光分析法によって液体組成物を特徴付ける技法は、医薬品の分野で知られており、且つ市販されている。濃度制御装置15は、例えばAPI特有の波長の吸光度を介して該組成物中の治療薬を定量化し、測定されたAPI/賦形剤濃度を表すデータを出力し、該データを処理して、それによって対応する信号を生成するように構成されうる。この信号は、分配速度及び供給速度を調節し、最終的に医薬組成物中の上記治療薬の濃度を標準に合わせる為に、適切な要素を通じて上記治療薬及び/又は上記液体ビヒクルの分配ユニット3及び4の放出アクチュエータに転送されることができる。制御構成、例えば本明細書に開示された制御構成、を実施することは、リアルタイムの品質制御を得ることを可能にする。
【0071】
上記液体ビヒクルをその分配ユニット4から混合ユニット1へ輸送する複数の輸送要素6はまた、液体ビヒクル供給制御デバイス16及び7、例えば流量計、を備えうる。このデバイスは、インライン計量デバイス9及び濃度制御装置15に動作可能に接続され、インライン計量デバイス9及び濃度制御装置15により生成された信号のうちのいずれか1つによって作動されうる。上記液体ビヒクルの供給の「フィードバック」動的調節を実現することによって、本発明の装置は、上記治療薬の濃度の変動を回避又は標準に合わせる為のさらなる機構を提供する。
【0072】
上記液体組成物を保持ユニット2から輸送する複数の要素23は、ポンプ24又は機能的に同等の部品をさらに備えうる。該液体組成物を保持ユニット2から輸送する複数の要素23は、第2の流量計17又は機能的に同等のデバイスをさらに備えうる。この第2の流量計17は、濃度制御装置15に動作可能に接続され、上記治療薬の濃度の深刻な未補正の変動の場合に、保持ユニット2から排出された液体医薬組成物を一時的にオフラインに逸らすように動作されうる。第2の流量計17は、意図されたAPI濃度を回復する為に必要な時間、動作されうる。上記された通り、上記液体組成物をオフラインに逸らすことが望ましい場合に、ポンプ24を制御する第2の流量計17が三方弁の形でありうる。
【0073】
例えば、保持ユニット2は、上記液体医薬組成物のpHを監視する為の、及び任意的に、所定の目標pHに対して外れている場合に、このpHを補正する為の構成を含みうる。該構成は、pHを監視する為のデバイス、例えば市販のpH計18、と、塩基の補給品を含むリザーバ20及び/又は酸の補給品を含むリザーバ19と、ここで、リザーバ19及び20はpH監視デバイス18に流体接続される、並びにこの構成を保持ユニット2に接続する複数の輸送要素25とを備えうる。塩基及び/又は酸の所定量が、pH測定デバイス18により生成された信号に従ってリザーバ19及び20から放出されることができる。次に、これらの量が、ポンプ26及び27によって輸送要素25を通じて保持ユニット2内の液体医薬組成物に添加されて、所定のpH値を回復する。
【0074】
該装置はさらに、上記組成物の為のさらなる賦形剤、例えば上記された通りの液体医薬組成物のモル浸透圧濃度を調節する為の賦形剤、を添加する為の専用の構成を備えうる。
【0075】
保持ユニット2の下流に、該装置はさらに、上記液体医薬組成物をフィルタリングする為の構成21を備えうる。好ましくは、医薬品用の従来のフィルタを含み得、そのフィルタリング能力が意図した使用に応じて選択されることのできる構成が、上記組成物が最終的に処理される、例えばバイアル若しくはシリンジに充填される又は凍結乾燥される、前の最終下流要素となるように配置されている。それ故に、フィルタリング構成21は、保持ユニット2及び濃度制御装置15の両方の下流に配置されうる。
【0076】
該装置はまた、上記液体組成物を凍結乾燥し、それ故に該液体組成物を固体組成物に変える為の構成を備えうる。
【0077】
該装置はまた、完成した上記組成物をバルクに集め、且つ/又は単用量若しくは多用量包装用に単回剤形単位(例えば、バイアル又はシリンジ又は凍結乾燥用量)に分割する為の構成を備えうる。
【0078】
更なる観点において、本開示は、
マイクロドージングデバイス8、
マイクロドージングデバイス8の下流のインライン計量デバイス9、及び
インライン計量デバイス9の下流の保持ユニット2、ここで、それぞれが例えば本明細書に開示されたものである、
を備えているアセンブリを、液体医薬組成物の連続製造中に治療薬の安定濃度を維持する為に使用する方法であって、ここで、該組成物が上記治療薬及び液体ビヒクルを含有する、上記方法を開示する。
【0079】
安定濃度を維持することは、上記組成物の上記治療薬の濃度の変動(すなわち、正及び/又は負のピーク)を防止及び/又は標準に合わせることを意味する。
【0080】
上記アセンブリはまた、インライン計量9デバイスの下流且つ保持ユニット2の上流に配置された混合ユニット1を備えうる。この混合ユニット1は、本明細書に開示されたスクリューミキサでありうる。
【0081】
上記アセンブリはさらに、上記治療薬の補給品及び上記液体ビヒクルの補給品を分配するように配置された分配ユニット3及び4と、上記医薬組成物中の上記治療薬の濃度を制御するように配置され且つ上記分配要素3及び4に動作可能に接続されたところの濃度制御装置15とを備えうる。従って、本実施態様において、該アセンブリの残りの部分と共に、上記組成物中の上記治療薬の濃度の変動を迅速に発見し、上記治療薬及び/又は上記液体ビヒクルの分配の対応する対抗調節をトリガすることに集中的に寄与する「フィードバック」回路が実現される。
【0082】
更なる観点において、本開示は、
マイクロドージングデバイス8、
マイクロドージングデバイス8の下流のインライン計量デバイス9、及び
インライン計量デバイス9の下流の保持ユニット2、ここで、それぞれが例えば本明細書に開示されたものである、
を備えているアセンブリであって、
液体医薬組成物の連続製造中に治療薬の安定濃度を維持するように構成されており、ここで、該組成物が上記治療薬及び液体ビヒクルを含む、上記アセンブリを開示する。
【0083】
本明細書に開示された様々な観点は、上記治療薬、特にバイオテクノロジー活性成分を含む液体医薬組成物の連続した、好ましくは自動化された、製造を可能にする。該方法及び該装置は、広範囲の種々の製造要求に合うように実行時間又は流量を調節するだけで、容易にスケールアップ及びスケールダウンされることができる。本明細書に開示された観点は、開発、研究、及び商業規模の製造に迅速に適用されることができる。これは、とりわけ、短い開発時間、少量の治療薬を扱うことができること、全体的に小さい設置面積、廃棄物の産出が少ないこと、及び重要な組成物パラメータ、例えば液体組成物中の或る治療薬濃度、についての厳しい制御を維持する為の解決策の存在によって可能である。該方法及び該装置を医薬品製造についての品質及び安全性に関して最新の要件に適合させるように、自動化が達成されることができる。
【0084】
さらなる実施態様及び本明細書に開示された観点の利点が、以下に示される実施例に照らして当業者に明らかになるであろう。
【実施例
【0085】
アモルファスペプチドAPIが、マイクロドージングを用いて、直径12mm、長さ240mmのスクリューミキサに、45秒ごとに約5mg用量の頻度で添加された。注射用水及び濃度約5%の賦形剤を含む液体ビヒクルが、約65ml/分の速度で添加された。ミキサースクリューが200rpmで回転され、そして、溶液が、約100mlの液体容量を有するタンクに導かれた。該溶液が撹拌され、そして10%のHCl又は10%のNaOH溶液を用いて、pHが4.5に連続的に調節された。出口ポンプが該タンクに接続され、そして、タンク容量を約100mlで一定に維持する為に、溶液出力流が約65ml/分に設定された。該溶液が0.45μmと0.2μmとの組み合わせフィルタを通じてポンプで送り出され、そして、API濃度がUV方法を用いてオンラインで測定された。濃度は12分で安定状態に到達し、その後、実験終了まで0.1mg/ml±5%の濃度が約1時間30分保持されたことがわかった。
【0086】
アモルファスペプチドAPIが、マイクロドージングを用いて、直径12mm、長さ240mmのスクリューミキサに、2.4秒ごとに約5mg用量の頻度で添加された。注射用水及び濃度約5%の賦形剤を含む液体ビヒクルが、約17ml/分の速度で添加された。ミキサースクリューが200rpmで回転され、そして、溶液が、約25mlの液体容量を有するタンクに導かれた。該溶液が撹拌され、そして10%のHCl又は10%のNaOH溶液を用いて、pHが4.5に連続的に調節された。出口ポンプが該タンクに接続され、そして、タンク容量を約27mlで一定に維持する為に、溶液出力流が約17ml/分に設定された。該溶液が0.45μmと0.2μmとの組み合わせフィルタを通じてポンプで送り出され、そして、API濃度がUV方法を用いてオンラインで測定された。濃度は9分で安定状態に到達し、その後、実験終了まで7.5mg/ml±3%の濃度が約1時間保持されたことがわかった。
本発明は下記によって表されうる。
[1]
液体医薬組成物の連続製造の為の方法であって、
治療薬の補給品及び液体ビヒクルの補給品を用意すること、
対応する複数の前記補給品から前記治療薬及び前記液体ビヒクルを分配し、そして、混合ユニット(1)に供給すること、ここで、前記分配及び供給することが、所定の時間的に安定な速度に従って実行され、前記治療薬の前記速度及び前記液体ビヒクルの前記速度がそれぞれ独立して調節可能である、
前記混合ユニット(1)を動作させ、それによって或る治療薬濃度を有する液体組成物を得ること、
前記液体組成物を前記混合ユニット(1)から保持ユニット(2)へ排出すること、ここで、前記保持ユニット(2)が、前記液体組成物のユニット滞留時間が前記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分であるように構成されている、及び
前記液体組成物を前記保持ユニット(2)から排出して、処理すること
の工程を含む、前記方法。
[2]
前記医薬組成物が、ペプチド、タンパク質及び抗体のうちの1以上を含む、項1に記載の方法。
[3]
前記液体組成物が、溶液又は懸濁物の形態にある、項1又は2に記載の方法。
[4]
前記液体医薬組成物が、該組成物の体積単位当たり約0.05mg/mL超の治療薬を含む、項1~3のいずれか1項に記載の方法。
[5]
前記治療薬及び前記ビヒクルの前記分配及び供給が定常流で行われる、項1~4のいずれか1項に記載の方法。
[6]
前記ビヒクルの前記分配及び供給が定常流で行われ、一方、前記治療薬の前記分配及び供給が或る頻度で行われる。項1~4のいずれか1項に記載の方法。
[7]
治療薬及び液体ビヒクルの補給品を用意すること、ここで、前記補給品が専用分配ユニット(3、4)に入れられている、
対応する複数の前記補給品から前記治療薬及び前記液体ビヒクルを分配し、そして、対応する前記分配ユニット(3、4)とスクリューミキサ(1)とを流体接続する輸送要素(5、6)により、スクリューミキサ(1)に供給すること、ここで、前記分配及び供給することが、所定の時間的に安定な速度に従って実行され、前記治療薬の前記速度及び前記液体ビヒクルの前記速度がそれぞれ独立して調節可能であり、前記スクリューミキサ(1)が、バレル、該バレル内に配置され且つ該バレルの中心軸に沿って回転する少なくとも1つのスクリュー、該バレルの近位端に少なくとも1つの供給入口(10、11)、及び該バレルの反対側の遠位端に排出出口(12)を備えている、
前記治療薬と前記ビヒクルとを前記バレル内で排出出口(12)に向けて輸送しながら前記治療薬と前記ビヒクルとを混合し、それによって液体組成物を得るように、前記スクリューを動作させること、ここで、前記組成物が或る治療薬濃度を有する、
前記液体組成物を前記バレルの前記排出出口(12)から保持ユニット(2)へ排出すること、ここで、前記保持ユニット(2)が、前記液体組成物のユニット滞留時間が前記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分であるように構成されている、及び
前記液体組成物を前記保持ユニット(2)から排出して、処理すること
の工程を含む、項1に記載の方法。
[8]
前記治療薬の前記分配が、該治療薬をマイクロドージングすることを含む、項1~7のいずれか1項に記載の方法。
[9]
前記治療薬の前記分配及び供給が、該治療薬をインライン計量することを含む、項1~8のいずれか1項に記載の方法。
[10]
前記治療薬のインライン計量が、前記分配された治療薬の質量及び含水量を測定するのに好適なマイクロ波スペクトルをインライン取得すること、前記測定された質量及び含水量を表すデータを出力すること、前記データを処理して、それによって対応する信号を生成すること、そして前記信号を使用して、前記治療薬及び/又は前記液体ビヒクルの分配速度及び供給速度を動的に調節することを含む、項9に記載の方法。
[11]
前記治療薬のインライン計量が、該治療薬の分配中に前記対応する補給品の質量減少を測定することを含む、項9又は10に記載の方法。
[12]
前記組成物を前記保持ユニット(2)から排出し、そして、前記排出された液体医薬組成物中の前記治療薬の濃度を制御することをさらに含み、前記制御することが、前記組成物中の前記治療薬の濃度を定量化すること、前記測定された濃度を表すデータを出力すること、前記データを処理して、それによって対応する信号を生成すること、そして前記信号を使用して、前記混合ユニット(1)に供給される治療薬と液体ビヒクルとの比を経時的に安定に維持するように、前記治療薬及び/又は前記液体ビヒクルの前記分配速度及び供給速度を動的に調節することを含む、項1~11のいずれか1項に記載の方法。
[13]
自動化された方法である、項1~12のいずれか1項に記載の方法。
[14]
液体医薬組成物の連続製造の為の装置であって、
治療薬及び液体ビヒクルの補給品をそれぞれ含む少なくとも2つの専用分配ユニット(3、4)と、ここで、各分配ユニット(3、4)が、前記液体ビヒクル及び前記治療薬の分配を所定の時間的に安定な速度でトリガするように構成されている放出アクチュエータを備えており、前記治療薬の前記速度と前記液体ビヒクルの前記速度とがそれぞれ独立して調節可能である、
前記分配ユニット(3、4)の下流の、該分配ユニット(3、4)に流体接続された混合ユニット(1)と、ここで、前記混合ユニット(1)が、近位端及び遠位端を有する混合チャンバと、該チャンバの近位端に供給入口と、並びに該チャンバの反対側の遠位端に排出出口(12)とを備えており、前記チャンバが前記入口を通じて前記治療薬及び前記液体ビヒクルを受け取るように構成されており、前記混合ユニットが、或る治療薬濃度を有する液体組成物を得るように構成されている、
前記混合ユニット(1)の下流の、該混合ユニット(1)の排出出口(12)に流体接続された保持ユニット(2)と、ここで、前記保持ユニットが入口(13)及び出口(14)を有し、前記ユニット(2)が、前記治療薬濃度を標準に合わせるのに少なくとも十分な前記液体組成物の滞留時間を有するように構成されている、並びに
前記分配ユニット(3、4)を前記混合ユニット(1)の前記供給入口に流体接続し、及び前記混合ユニット(1)の前記排出出口(12)を前記保持ユニット(2)の前記入口(13)に流体接続するように配置されている複数の輸送要素(5、6、22)と
を備えている、前記装置。
[15]
前記混合ユニットがスクリューミキサである、項14に記載の装置。
[16]
前記治療薬の分配ユニット(3)と前記混合ユニットとを接続する前記輸送要素(5)が、インライン計量デバイス(9)を備えている、項14又は15に記載の装置。
[17]
前記インライン計量デバイス(9)が、前記治療薬の質量及び含水量を測定するのに好適な前記治療薬のマイクロ波スペクトルをインライン取得し、前記測定された質量及び含水量を表すデータを出力し、前記データを処理して、それによって対応する信号を生成し、そして前記信号を使用して、前記治療薬及び/又は前記液体ビヒクルの前記放出アクチュエータがそれぞれの物質を分配する速度を動的に調節するように構成されている、項16に記載の装置。
[18]
前記インライン計量デバイス(9)が、前記分配ユニット(3)の質量減少を測定するように構成されている、項16又は17に記載の装置。
[19]
前記液体医薬組成物を保持ユニット(2)からさらなる処理ユニットへと輸送する複数の要素(23)をさらに備えており、ここで、輸送する前記複数の要素(23)が、前記液体医薬組成物中の治療薬の濃度を制御するように配置された濃度制御装置(15)を備えている、項14~18のいずれか1項に記載の装置。
[20]
前記濃度制御装置(15)が、UV、NIR又はRAMAN分光分析法に依拠したデバイスを備えており、前記組成物中の前記治療薬を定量化するように構成されている、項19に記載の装置。
[21]
前記保持ユニット(2)が、前記液体医薬組成物のpHを監視する、及び任意的に、所定の目標pHに対して外れている場合に、前記pHを補正するように構成された装置をさらに備えている、項14~20のいずれか1項に記載の装置。
[22]
マイクロドージングデバイス(8)、
前記マイクロドージングデバイス(8)の下流のインライン計量デバイス(9)、及び
前記インライン計量デバイス(9)の下流の保持ユニット(2)
を備えているアセンブリを、液体医薬組成物の連続製造中に治療薬の安定濃度を維持する為に使用する方法であって、ここで、前記組成物が前記治療薬及び液体ビヒクルを含有する、前記方法。
[23]
マイクロドージングデバイス8、
前記マイクロドージングデバイス8の下流のインライン計量デバイス9、及び
前記インライン計量デバイス9の下流の保持ユニット2
を備えているアセンブリであって、
液体医薬組成物の連続製造中に治療薬の安定濃度を維持するように構成されており、ここで、前記組成物が前記治療薬及び液体ビヒクルを含む、前記アセンブリ。
図1