(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】二酸化炭素作動流体を用いた電力生成のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F01K 25/10 20060101AFI20230607BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20230607BHJP
F02C 3/34 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
F01K25/10 E
F01K23/10 Z
F02C3/34
(21)【出願番号】P 2020568863
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(86)【国際出願番号】 IB2019051677
(87)【国際公開番号】W WO2019167021
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2022-02-28
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アラン,ロドニー ジョン
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0058318(US,A1)
【文献】特表2016-512302(JP,A)
【文献】特開2015-021465(JP,A)
【文献】特表2017-529478(JP,A)
【文献】国際公開第2009/041617(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01K 23/10
F01K 25/10
F02C 3/34
F02C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力生成の方法であって、
燃焼流を形成するために、燃焼器において約100バール乃至約500バールの圧力のリサイクルCO
2流の存在下で燃料を酸化剤流と燃焼させることと、
電力を生成しタービン排気流を形成するために、タービンにおいて前記燃焼流をより低い圧力に膨張させることと、
異なる温度範囲で動作する複数のセクションを有する熱交換器において、前記タービン排気流を冷却することと、
実質的に純粋なCO
2流を形成するために、前記タービン排気を精製することと、
前記実質的に純粋なCO
2流を第1の部分および第2の部分に分離することと、
前記実質的に純粋なCO
2流の第1の部分および第2の部分を増加された圧力までポンプすることと、
前記実質的に純粋なCO
2流の第1の部分および第2の部分の温度を上昇させるために、それらを前記熱交換器に個別に通過させることと、
前記実質的に純粋なCO
2流の第1の部分を前記リサイクルCO
2流として前記燃焼器へ受け渡すことと、
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分を前記燃焼器へ受け渡すことと、
を備える、方法であり、
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分は、
前記熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより上流で、前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分を引き出すこと、
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分の圧力および温度を上昇させることにより前記実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分を形成するために、圧縮機において前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分を処理すること、および
前記熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより下流で、前記実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分を前記熱交換器へ流入させること
によって、前記熱交換器の前記複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションをバイパスする、方法。
【請求項2】
前記実質的に純粋なCO
2流は、前記第1の部分および前記第2の部分に分離する前に、多段圧縮機を通して処理される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱交換器は、各々が連続的に低くなる温度範囲で動作する第1のセクション、第2のセクション、および第3のセクションを少なくとも備える、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分は、前記熱交換器の第2のセクションをバイパスし、前記熱交換器の第1のセクションおよび第3のセクションにおいて加熱される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分は、前記熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより下流で、前記実質的に純粋なCO
2流の第1の部分と混合されることによって、前記熱交換器へ流入する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記実質的に純粋なCO
2流の第1の部分は、前記実質的に純粋なCO
2流の第3の部分を形成するために分割され、前記実質的に純粋なCO
2流の第3の部分は、前記酸化剤流を形成するために酸素流と混合される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分は、前記実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分が前記酸化剤流として前記熱交換器から流出するように、前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分が前記熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションをバイパスする前に酸素流と混合される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分が前記酸素流と混合した後かつ前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分が前記熱交換器を通過する前、前記混合された酸素流を含む前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分は、熱交換器において加熱される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記燃焼流は、約700℃乃至約1,600℃の温度であり、
前記タービン排気流は、約1バール乃至約50バールの圧力であり、
前記精製することは、前記タービン排気流から水を分離することを備え、
前記ポンプすることの前に、前記実質的に純粋なCO
2流は、多段圧縮機において約65バール乃至約90バールの圧力に圧縮され、
前記実質的に純粋なCO
2流の第1の部分は、約100バール乃至約500バールの圧力にポンプされ、
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分は、約80バール乃至約140バールの圧力にポンプされ、
前記圧縮機において前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分を処理することは、前記圧力を約200バール乃至約500バールに上昇させることを備える
という条件のうちの1つ以上が満たされる、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションをバイパスする前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分の量は、約2℃乃至約20℃である、前記熱交換器の少なくとも1つのセクションにおける正の最小温度差をもたらすために十分であ
り、前記温度差は、前記熱交換器の少なくとも1つのセクションに流入するタービン排気流の温度と、前記熱交換器の少なくとも1つのセクションに流入する実質的に純粋なCO
2
流の温度との間の差である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより上流にある前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分および前記熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより下流で前記熱交換器へ流入する前記実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分は、約2℃乃至約20℃である、前記熱交換器の少なくとも1つのセクションにおける正の最小温度差を提供するように構成されたそれぞれの温度を有
し、前記温度差は、前記熱交換器の少なくとも1つのセクションに流入するタービン排気流の温度と、前記熱交換器の少なくとも1つのセクションに流入する実質的に純粋なCO
2
流の温度との間の差である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分を処理する圧縮機は、約65バール乃至約260バールの入口圧を有する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記酸化剤流を形成するために、空気分離プラントからの酸素流を、前記実質的に純粋なCO
2流の第1の部分および前記第2の部分の1つと混合することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
電力生成システムであって、
複数の流れを受け入れるように構成され、出口を有する燃焼器と、
前記燃焼器の出口と流体接続している入口を有し、出口を有するタービンと、
電力の生成のために構成され、前記タービンと発電接続している発電機と、
第1のセクション、第2のセクション、および最後のセクションを備える熱交換器であって、各セクションが複数の複数の入口および出口を有し、各セクションが異なる温度範囲での動作のために構成され、前記第1のセクションが、前記タービンと流体接続している入口および出口を有する、熱交換器と、
前記熱交換器の最後のセクションからの出口と流体接続しており、実質的に純粋なCO
2流の出力のための出口を有する分離器と、
前記実質的に純粋なCO
2流を第1の部分および第2の部分に分割するために構成された分割器と、
前記実質的に純粋なCO
2流の第1の部分を受け入れ、その圧力を上昇させるように構成された第1のポンプであって、前記第1のポンプが、前記熱交換器の最後のセクションの第1の入口と流体接続している出口を有する、第1のポンプと、
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分を受け入れ、その圧力を上昇させるように構成された第2のポンプであって、前記第2のポンプが、前記熱交換器の最後のセクションの第2の入口と流体接続している出口を有する、第2のポンプと、
前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分が前記熱交換器の第2のセクションをバイパスするように構成されるように、前記熱交換器の最後のセクションの出口と流体接続する入口であって、前記入口が、前記実質的に純粋なCO
2流の第2の部分を受け入れるように構成される、入口と、前記熱交換器の第1のセクションにおける入口と流体接続している出口とを有するバイパス圧縮機と、
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素作動流体を用いた電力生成のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力生成における作動流体として(特に、超臨界形態における)CO2を用いることは、電力生成のための非常に効率の高い方法であることが示されている。たとえば、参照によって本明細書に組み込まれる開示であるアラム(Allam)他に対する米国特許第8,596,075号を参照すると、これは、実質的に大気への任意の流れの放出がゼロである復熱式酸素燃焼ブレイトンサイクル発電システムにおける直接加熱CO2作動流体の使用を説明するものである。プロセス効率を高めるために、そのようなシステムおよび方法は、一般に、約400℃の温度未満の大量の熱入力を用いてきた。この余分な低温熱入力は、復熱式熱交換器における熱伝達中、高圧リサイクルCO2流および低圧タービン排気流に関するより低い絶対温度の比熱比における急速な上昇を補償するために用いられている。
【0003】
たとえば、300バールのリサイクルCO2圧および30バールのタービン排気圧を考慮すると、700℃の復熱式熱交換器の高温端部におけるCO2に関する比熱比は1.032であり、一方、100℃の低温端部付近の比は1.945である。この増加は、タービン排気流が、復熱装置熱交換器の低温端部において、合計リサイクル高圧CO2流プラス燃料ガス燃焼に必要な酸素の温度を上昇させるために必要な熱の約半分超過を提供するために十分な熱含量をもはや有さないことを意味する。
【0004】
上述されている欠点は、従来、上述されているように熱を追加するための様々な手段を用いて補償されてきた。しかしながら、追加の熱を提供するための既知の方法は、大量の電力消費を必要とすること、追加の装置の必要性に起因する費用増加、およびプロセス複雑性の増加を含む様々な欠点を有する。たとえば、既知のシステムは、空気分離プラントから電力生成システムへ追加の加熱を提供しているが、そのような追加の加熱源を用いることは、特に急速な電力変化の要望がある時、特殊な制御を必要とし得る。したがって、当技術分野において、改善された効率を有する電力生成のための更なるシステムおよび方法、具体的には、たとえば二酸化炭素などの作動流体を用いる電力サイクルにおいて必要とされ得る追加の加熱を提供する方法を提供するシステムおよび方法の必要性が未だ存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、二酸化炭素(CO2)作動流体が用いられる電力生成のためのシステムおよび方法に関する。作動流体として用いられるCO2流は、圧縮され、反応器における燃焼(たとえば、炭化水素燃料または他の燃料物質の燃焼)の熱で加熱され、タービンにおいて電力生成のために膨張させられ、復熱式熱交換器において冷却され、(たとえば、水、過剰な二酸化炭素、または他の物質の除去によって)精製され、その後、復熱式熱交換器における加熱によって圧縮およびリサイクルされるリサイクルCO2流である。いくつかの実施形態において、燃料内に存在する水素および炭素の燃焼の結果生じる液体水および高圧CO2は、電力サイクルからの別々の生成物として提供され得る。本システムおよび方法は、特に復熱式熱交換器の低温端部において、熱交換システムの構成と混合されたCO2流圧縮システムの構成に関して特に定義され得る。そのような構成は、ガス流の断熱圧縮によって生じる外部供給熱を一切必要とせず、既知の電力サイクルにおいて示される効率を有利に実現および超過することができる。
【0006】
1つ以上の実施形態において、復熱式熱交換器は、第1の高温端部セクションを有してよい。この高温端部セクションは、累進的に冷える、(冷却されている)タービン出口流および(加熱されている)リサイクルCO2流が概ね等しい、たとえば2つの流れが約2℃乃至約20℃の範囲内の温度差を有する点まで伸長する機能長さにわたり定義され得る。この点は、復熱式熱交換器の「ピンチポイント」と定義され得る。復熱式熱交換器のこのセクションにおける温度差は、既定の高温端部温度差から始まるが、高圧リサイクルCO2流および冷却タービン出口流の比熱比がより低い温度で増加するとともに、高温端部セクションの機能長さにわたり変化する。
【0007】
復熱式熱交換器の第2のセクションは、累進的に冷える、温度がタービン排気流の水の露点と概ね等しい点まで伸長する機能長さにわたり、上記定義のピンチポイントから伸長する。この点は、復熱式熱交換器の「露点」として定義され得る。実際、燃焼反応器において用いられる燃料ガスは、酸素と燃焼すると水を形成する水素を大きな比率で含有してよい。その結果、タービン排気は、約4%乃至約7%モル濃度の水蒸気含有量を含有することが予想され得る。復熱式熱交換器のこの第2の温度のセクションにおいて、低圧タービン排気に対する高圧リサイクルCO2流の比熱比は、急速に増加する。好適には、このセクションにおいて、高圧リサイクルCO2流の流量は、正の温度差を維持するために大幅に低減される。好適には、このセクションにおける高圧リサイクルCO2流の流量は、総リサイクル高圧CO2流量の約40%乃至約70%の範囲まで低減される。加熱している高圧リサイクルCO2流と冷却しているタービン排気流との間の最大温度差は、いくつかの実施形態において、約2℃乃至約20℃の範囲内であってよい。
【0008】
復熱式熱交換器の第3のセクションは、累進的に冷える、熱交換器の低温端部まで伸長する機能長さにわたる上記定義の露点から伸長する。タービン排気の水蒸気成分(たとえば、燃料ガス内に存在する水素の燃焼によって生じる水)の凝縮を実現するための冷却は、合計リサイクルCO2流(ならびに燃焼に必要な酸素)を、復熱式熱交換器のタービン排気露点の温度に非常に近い温度に(たとえば、約2℃乃至約20℃の範囲内の温度差に収まるまで)加熱するために必要なエネルギを提供する大量の熱を放出する。実際、タービン排気の蒸気含有量の80%乃至95%以上が、復熱式熱交換器の第3のセクションにおいて凝縮し、合計リサイクルCO2流および酸素流が第3のセクションにおいて加熱されることを可能とするために十分な追加の熱を提供する。復熱式熱交換器のセクション3において、大部分がCO2である低圧タービン排気流に対する高圧CO2流の増加する比熱比値によって、温度差は、最初、タービン排気が冷却し水蒸気のバルク部分が凝縮すると同時にこのセクションにおいて増加し、次に、復熱装置熱交換器の低温端部において、2℃乃至20℃の範囲内の定義されたピンチ温度差まで減少する。
【0009】
復熱式熱交換器の最適設計のための要件は、復熱式熱交換器の第2および第3のセクションの設計とともに、CO2リサイクル圧縮機システム構成に基づいて実行可能な解決策のための要件を更に定義し得る。
【0010】
リサイクルCO2流プラス燃焼に必要な酸素流の総流量は、いずれも、復熱式熱交換器の第3の最低温セクションにおいて、タービン排気流の露点に近い温度アプローチまで加熱される。いくつかの実施形態において、リサイクルCO2流の約30%乃至約50%は、復熱式熱交換器の第2のセクションにおいて加熱される、合計CO2リサイクル流の残りの約50%乃至約70%プラス任意選択的に酸素を残して、この時点で熱交換器から除去される。合計加熱CO2流の一部を引き抜くことは、セクション2で加熱されている高圧リサイクルCO2プラス酸素の残りの流量が、復熱式熱交換器のこのセクションにおける定義された最小の正の温度差を十分に維持することを確実にする。いくつかの実施形態において、引き抜かれたCO2流は、酸素流の少なくとも一部を含有してよい。
【0011】
復熱式熱交換器の最適動作をもたらすために、セクション2と3との間で復熱式熱交換器から除去されるリサイクルCO2流および酸素流の画分の温度を上昇させ、これらの流れを、復熱式熱交換器のセクション1のタービン出口点を定めるピンチポイントにおけるリサイクルCO2流プラス酸素流温度に対応する温度で、セクション1と2との間で復熱式熱交換器へ戻すことが特に有利であり得る。この温度上昇を実現するために、リサイクルCO2流プラス酸素流の総流量を、タービン入口圧まで圧縮し、圧縮機出口が、復熱式熱交換器のセクション1へ流入するリサイクルCO2流および酸素流の入口温度に対応するより高い必要な温度であるように、これらの流れを断熱的に圧縮することが有用であり得る。第3および第2のセクションの接合部で復熱式熱交換器から除去される高圧リサイクルCO2流および任意選択的に酸素流の総流量は、タービン排気露点付近および未満の温度であってよい。バイパス圧縮機段の排出圧および入口温度は定められているので、これは、約80バール乃至約140バール、好適には約95バール乃至約115バールであり得るバイパス圧縮機の入口圧を定めてよい。この流れは、断熱外部圧縮機段においてタービン入口圧に圧縮される。バイパス圧縮機は、リサイクルCO2圧縮システムの一部として組み込まれ得る高効率断熱圧縮段である単一段であってよい。この高温CO2圧縮段の出口温度は、高圧リサイクルCO2流および復熱式熱交換器の第2のセクションにおいて加熱された酸素流の少なくとも一部の温度と概ね同じである。任意選択的に、燃料の燃焼に必要な酸素は、復熱式熱交換器内の個別の通路においてセクション3へ流入する前にバイパスCO2流と混合され得る。圧縮されたバイパスCO2+O2流は、高圧リサイクルCO2流とは別の通路において復熱式熱交換器の第1のセクションを通過する。あるいは、バイパス流は、O2を追加されないリサイクルCO2流の一部であってよく、この場合、バイパス流は、第1の復熱装置段の入口点において一致する温度でリサイクル高圧CO2流に追加され得る。
【0012】
ここで開示されるシステムおよび方法は、深冷O2プラントにおいて断熱圧縮された空気から、またはリサイクルCO2流の断熱圧縮部分からの間接熱伝達を用いて外部供給された熱を有するシステムを含めて、少なくとも、リサイクルされた二酸化炭素作動流体流を用いる従来技術のシステムと同様に高い全体効率を有利に示し得る。本システムおよび方法は、少なくとも、断熱CO2リサイクルおよび深冷酸素プラント空気圧縮および関連する高圧熱交換器を必要とする熱伝達システムの全ての排除を含む利点を提供する。これは、大幅なコスト節減、より単純で小型のプラント配置、およびより単純な制御システムをもたらし得る。また、本システムおよび方法は、深冷空気分離プラント電力要件が15%乃至20%低減されることを可能にし、標準的な空気圧縮機を有する空気分離プラントの資本コストが大幅に低くなる。同様に、CO2圧縮トレーンは簡略化され得る。本明細書で説明されるようなシステムおよび方法を用いる商業プラントの全体コストは、断熱圧縮機ガス冷却器およびそれらの配管および他のシステムの排除によって大幅に低くすることができ、配置計画は、面積および複雑性が大幅に低減される。全体電力システム効率における好影響、および生成される電力のコストにおける大幅な低減が存在する。
【0013】
1つ以上の実施形態において、本開示は特に、電力生成の方法に関する。そのような方法は、約200バール乃至約500バールの圧力の高圧リサイクルCO2流を燃焼器内へ受け渡し、約700℃乃至約1,600℃の温度の混合ガス流を生成するために、酸化剤流内の炭化水素燃料の燃焼によって生じた燃焼生成物と上記高圧CO2流とを混合することと、膨張された混合ガス流を形成するために、電力生成タービンにおいて混合ガス流を約1バール乃至約50バールの圧力に膨張させることと、冷却混合ガス流を形成するために、燃焼器に渡されたリサイクルCO2流に熱を伝達することによって、膨張された混合ガス流を復熱装置熱交換器において冷却することと、冷却混合ガス流から水を分離し、リサイクルCO2流を形成することと、圧縮機において、リサイクルCO2流を約65バール乃至約90バールの圧力に圧縮することと、約0.5より大きい比重を有するほぼ周囲温度の冷却高密度CO2流を提供するために、圧縮リサイクルCO2流を冷却することと、バイパスCO2流を引き出し、別の段においてこの流れを約80バール乃至約140バール、好適には約95バール乃至約115バールの圧力に圧縮することと、高圧リサイクルCO2流を形成するために、残りのリサイクルCO2流を約200バール乃至約500バールの圧力に更に圧縮することと、高圧リサイクルCO2流およびバイパスCO2流を復熱装置熱交換器内へ受け渡すことと、熱交換器のバイパスセクションの上流で熱交換器からバイパスCO2流を引き出し、断熱バイパスCO2圧縮機においてバイパスCO2流を約200バール乃至約500バールの圧力に圧縮し、高圧リサイクルCO2流を形成するために、そのように加熱されたバイパスCO2流を、熱交換器のバイパスセクションより下流で復熱装置熱交換器においてリサイクルCO2流と混合することと、高圧リサイクルCO2流を燃焼器へ再循環させることとを備えてよい。更なる実施形態において、この方法は、任意の数および順序で混合され得る以下の文のいずれか1つ以上に関連して定義され得る。
【0014】
バイパスCO2の量は、約2℃乃至約20℃である復熱装置熱交換器のバイパスセクションにおける正の最小温度差をもたらすために十分である。
【0015】
バイパス圧縮機の入口流およびバイパス圧縮機の出口流の温度は、約2℃乃至約20℃である復熱装置熱交換器のバイパスセクションにおける正の最小温度差をもたらすように選択される。
【0016】
バイパス圧縮機の入口温度は、約80バール乃至約140バールである。
【0017】
方法は、酸化剤流を形成するために、空気分離プラントからの酸素流を高圧リサイクルCO2流の一部と混合することを更に備える。
【0018】
方法は、酸化剤流を形成するために、空気分離プラントからの酸素流をバイパスCO2流と混合することを更に備える。
【0019】
方法は、高圧リサイクルCO2流への個別の通路において、酸化剤流に復熱装置熱交換器を通過させることを更に備える。
【0020】
合計リサイクルCO2流は、リサイクル圧縮機後部冷却器を通過し、ここで、その密度が少なくとも0.5Kg/リットルに増加すると、ほぼ周囲温度まで冷却される。
【0021】
冷却合計リサイクルCO2流は、複数の個別の流れに分割される。
【0022】
リサイクルCO2流からの第1の分割流は、多段ポンプにおいてタービン入口圧に圧縮され、復熱装置熱交換器において加熱される。
【0023】
リサイクルCO2流の第2の分割流は、約20%乃至約30%モル濃度の酸素および約80%乃至約70%モル濃度のCO2を有する酸化剤流を形成するために酸素流と混合され、任意選択的にタービン入口圧に圧縮され、その後、加熱のために復熱装置熱交換器を通過する。
【0024】
第3の分割流は、多段ポンプにおいて約80バール乃至約140バールの圧力に圧縮され、復熱装置熱交換器の第3段において加熱され、復熱装置熱交換器の第2のセクションと第3のセクションとの間の接合部において、乃至タービン放出流に対して約2℃乃至約20℃の温度アプローチで除去される。第3の分割流は、タービン入口システム圧と等しい吐出圧を有する断熱圧縮機においてタービン入口圧に断熱圧縮され、第3の分割流は、冷却タービン排気流と加熱リサイクルCO2流との間の温度差が約2℃乃至約20℃である点において、第1のセクションと第2のセクションとの間で、復熱装置熱交換器へ再挿入される。
【0025】
第3の分割CO2流は、約10%から約20%までのモル酸素濃度を有する酸化剤流を形成し、酸化剤流およびバイパス流を同時に形成するために、酸素流と混合される。
【0026】
酸素は、単一のバイパス圧縮機を用いて合計酸化剤流を形成するためにリサイクルCO2流と混合され、
少なくとも0.5kg/リットルの密度で後部冷却器から離れる合計CO2リサイクル圧縮機放出流は2つの部分に分割され、
第1の部分は、多段ポンプにおいてタービン入口システム圧に圧縮され、復熱装置熱交換器において加熱され、
多段ポンプにおいてバイパス圧縮機入口圧に圧縮された第2の部分は、復熱装置熱交換器の第3のセクションへ流入する前にリサイクルCO2圧縮機によって生じた圧縮熱に接して熱交換器において加熱され、
酸素流は、復熱装置熱交換器のセクション3へ流入する酸化剤流を形成するためにバイパスCO2流と混合され、
復熱装置熱交換器のセクション3へ流入する酸化剤流の温度は、復熱装置熱交換器の低温端部温度差を最小限にするように調整され、
酸化剤流は、10%と20%との間のO2モル濃度を有し、
酸化剤流は、冷却タービン放出流と加熱流との間の温度差が約2℃乃至約20℃である、セクション2と3との間で復熱装置熱交換器から離れ、
酸化剤流は、断熱圧縮され、冷却タービン放出流と加熱流との間の温度差が約2℃乃至約20℃であるセクション2と3との間で復熱装置熱交換器へ再流入する
という条件のうちの1つ以上が当てはまる。
【0027】
復熱装置熱交換器のセクション2から流出するタービン放出流は、その水の露点である。
【0028】
1つ以上の実施形態において、燃料に含有される炭素の燃焼により形成される生成物CO2は、直接冷却器から流出するタービン放出と復熱装置熱交換器へ流入する高圧リサイクルCO2流との間の圧力における圧縮ガス状または超臨界生成物として生成される。
【0029】
本発明は、限定を伴わず、以下の実施形態を含む。
【0030】
実施形態1:電力生成の方法であって、燃焼流を形成するために、燃焼器において約100バール乃至約500バールの圧力のリサイクルCO2流の存在下で燃料を酸化剤流と燃焼させることと、電力を生成しタービン排気流を形成するために、タービンにおいて燃焼流をより低い圧力に膨張させることと、異なる温度範囲で動作する複数のセクションを有する熱交換器において、タービン排気流を冷却することと、実質的に純粋なCO2流を形成するために、タービン排気を精製することと、実質的に純粋なCO2流を第1の部分および第2の部分に分離することと、実質的に純粋なCO2流の第1の部分および第2の部分を増加された圧力までポンプすることと、実質的に純粋なCO2流の第1の部分および第2の部分の温度を上昇させるために、それらを熱交換器に個別に通過させることと、実質的に純粋なCO2流の第1の部分をリサイクルCO2流として燃焼器へ受け渡すことと、実質的に純粋なCO2流の第2の部分を燃焼器へ受け渡すこととを備える、方法であり、実質的に純粋なCO2流の第2の部分は、熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより上流で、実質的に純粋なCO2流の第2の部分を引き出すこと、実質的に純粋なCO2流の第2の部分の圧力および温度を上昇させることにより実質的に純粋なCO2流のバイパス部分を形成するために、圧縮機において実質的に純粋なCO2流の第2の部分を処理すること、および熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより下流で、実質的に純粋なCO2流のバイパス部分を熱交換器へ流入させることによって、熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションをバイパスする、方法。
【0031】
実施形態2:実質的に純粋なCO2流は、第1の部分および第2の部分に分離する前に、多段圧縮機を通して処理される、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0032】
実施形態3:熱交換器は、各々が連続的に低くなる温度範囲で動作する第1のセクション、第2のセクション、および第3のセクションを少なくとも備える、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0033】
実施形態4:実質的に純粋なCO2流の第2の部分は、熱交換器の第2のセクションをバイパスし、熱交換器の第1のセクションおよび第3のセクションにおいて加熱される、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0034】
実施形態5:実質的に純粋なCO2流のバイパス部分は、熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより下流で、実質的に純粋なCO2流の第1の部分と混合されることによって、熱交換器へ流入する、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0035】
実施形態6:実質的に純粋なCO2流の第1の部分は、実質的に純粋なCO2流の第3の部分を形成するために分割され、実質的に純粋なCO2流の第3の部分は、酸化剤流を形成するために酸素流と混合される、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0036】
実施形態7:実質的に純粋なCO2流の第2の部分は、実質的に純粋なCO2流のバイパス部分が酸化剤流として熱交換器から流出するように、実質的に純粋なCO2流の第2の部分が熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションをバイパスする前に酸素流と混合される、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0037】
実施形態8:実質的に純粋なCO2流の第2の部分が酸素流と混合した後かつ実質的に純粋なCO2流の第2の部分が熱交換器を通過する前、混合された酸素流を含む実質的に純粋なCO2流の第2の部分は、熱交換器において加熱される、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0038】
実施形態9:燃焼流は、約700℃乃至約1,600℃の温度であること、タービン排気流は、約1バール乃至約50バールの圧力であること、上記精製することは、タービン排気流から水を分離することを備えること、上記ポンプすることの前に、実質的に純粋なCO2流は、多段圧縮機において約65バール乃至約90バールの圧力に圧縮されること、実質的に純粋なCO2流の第1の部分は、約100バール乃至約500バールの圧力にポンプされること、実質的に純粋なCO2流の第2の部分は、約80バール乃至約140バールの圧力にポンプされること、圧縮機において実質的に純粋なCO2流の第2の部分を処理することは、圧力を約200バール乃至約500バールに上昇させることを備えることという条件のうちの1つ以上が満たされる、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0039】
実施形態10:熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションをバイパスする実質的に純粋なCO2流の第2の部分の量は、約2℃乃至約20℃である、熱交換器の少なくとも1つのセクションにおける正の最小温度差をもたらすために十分である、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0040】
実施形態11:熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより上流にある実質的に純粋なCO2流の第2の部分および熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより下流で熱交換器へ流入する実質的に純粋なCO2流のバイパス部分は、約2℃乃至約20℃である、熱交換器の少なくとも1つのセクションにおける正の最小温度差を提供するように構成されたそれぞれの温度を有する、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0041】
実施形態12:実質的に純粋なCO2流の第2の部分を処理する圧縮機は、約65バール乃至約260バールの入口圧を有する、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0042】
実施形態13:酸化剤流を形成するために、空気分離プラントからの酸素流を、実質的に純粋なCO2流の第1の部分および第2の部分の1つと混合することを更に備える、任意の上記実施形態に記載の方法。
【0043】
実施形態14:複数の流れを受け入れるように構成され、出口を有する燃焼器と、燃焼器の出口と流体接続している入口を有し、出口を有するタービンと、電力の生成のために構成され、タービンと発電接続している発電機と、第1のセクション、第2のセクション、および最後のセクションを備える熱交換器であって、各セクションが複数の入口および出口を有し、各セクションが異なる温度範囲での動作のために構成され、第1のセクションが、タービンと流体接続している入口および出口を有する、熱交換器と、熱交換器の最後のセクションからの出口と流体接続しており、実質的に純粋なCO2流の出力のための出口を有する分離器と、実質的に純粋なCO2流を第1の部分および第2の部分に分割するために構成された分割器と、実質的に純粋なCO2流の第1の部分を受け入れ、その圧力を上昇させるように構成された第1のポンプであって、その第1のポンプが、熱交換器の最後のセクションの第1の入口と流体接続している出口を有する第1のポンプと、実質的に純粋なCO2流の第2の部分を受け入れ、その圧力を上昇させるように構成された第2のポンプであって、その第2のポンプが、熱交換器の最後のセクションの第2の入口と流体接続している出口を有する第2のポンプと、実質的に純粋なCO2流の第2の部分が熱交換器の第2のセクションをバイパスするように構成されるように、熱交換器の最後のセクションの出口と流体接続する入口であって、その入り口が、実質的に純粋なCO2流の第2の部分を受け入れるように構成される、入口と、熱交換器の第1のセクションにおける入口と流体接続している出口とを有するバイパス圧縮機とを備える電力生成システム。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】外部熱源からの熱の追加を必要とする電力サイクルのフロー図である。
【
図2】リサイクルCO
2流の一部が、圧縮バイパスを有する少なくとも1つの復熱式加熱段をバイパスする、本開示の実施形態に係る電力サイクルのフロー図である。
【
図3】リサイクルCO
2流の一部が、圧縮バイパスを有する少なくとも1つの復熱式加熱段をバイパスする、本開示の追加の実施形態に係る電力サイクルのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
ここで、本発明の主要部は、以下、その典型的な実施形態を参照してより詳しく説明される。これらの典型的な実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、当業者に主要部の範囲を十分に伝達するものとなるように説明される。実際、主要部は、多数の異なる形式で具体化されてよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されてはならず、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法律の要求を満たすように提供される。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる際、単数形の「一」、「一つ」、「その」は、文脈がそうでない場合を明示しない限り、複数の指示物を含む。
【0046】
本開示は、リサイクルCO2流を作動流体として用いる電力生成のためのシステムおよび方法に関する。本開示に係る電力生成プラントに含まれ得る要素(およびそれらの動作方法)の非限定的な例は、米国特許第8,596,075号、米国特許第8,776,532号、米国特許第8,869,889号、米国特許第8,959,887号、米国特許第8,986,002号、米国特許第9,062,608号、米国特許第9,068,743号、米国特許第9,410,481号、米国特許第9,416,728号、米国特許公開第2010/0300063号、米国特許公開第2012/0067054号、米国特許公開第2012/0237881号、および米国特許公開第2013/0213049号において説明され、これらの開示は、参照によって本明細書に組み込まれるものである。
【0047】
図1には、既知の高効率電力生成サイクルが示される。図に示されるように、304バールのCO
2流7が、マルチストリーム熱交換器1において700℃に加熱される。CO
2流7は、燃焼器2へ流入し、ここで、約25%の酸素および75%のCO
2モル濃度の組成および約304バールの圧力を有する酸化剤流8内で燃焼する、電気モータ6によって駆動される圧縮機5において約304バールの圧力および約251℃の温度に圧縮されたメタン流12の燃焼によって生じる燃焼生成物と混合する。その結果生じる混合流10は、約1150℃および約300バールで、発電機4を駆動するタービン3へ流入し、約30バールおよび約720℃に膨張させられ、流れ9として流出する。30バールの流れは、熱を高圧CO
2リサイクル流7に伝達する熱交換器1内で冷却し、約65℃の温度で流れ13として流出する。これは、充填部14と、水流19、20、および21を充填部の頂部へ向けるポンプ16および間接水冷熱交換器17を備える循環水部とを有する直接水冷却器15において更に冷却される。CH
4燃焼器流内で生成された過剰液体水18は、充填塔15の基部から除去される。冷却CO
2流22は分割され、主要部分24は、第1段圧縮機59、第2段圧縮機25、および中間冷却器60を含む2段中間冷却CO
2圧縮機へ流入し、ここで、約67.5バールに圧縮される。タービンは、熱交換器1内の適切な点で加熱リサイクル高圧CO
2流から引き抜かれる冷却およびシールガス高圧CO
2流89を必要とする。
【0048】
例示された電力サイクルは、大量の外部生成熱が400℃未満の温度レベルで高圧CO2流へ供給されることを必要とする。この熱は、圧縮熱を供給する2つの供給源から得られる。第1は、空気流39を受け入れ、電気モータ41によって駆動される深冷空気分離プラント主要供給空気圧縮機40からの5.7バールおよび226℃の断熱圧縮された空気流42である。第2は、135度の温度で熱交換器1から得られ、圧縮機36において226℃の流れ37を生成するために68バールに断熱圧縮されたCO235の一部である。これら2つの流れは、熱交換器34を通過し、ここで、304バールのCO2流31を50℃から221℃に加熱する。冷却CO2流38およびCO2リサイクル圧縮機放出流62は混合して合計CO2流27を形成し、これは、19.7℃の生成物流28を生成するために冷却水熱交換器26において冷却される。この高密度CO2超臨界流体の流れは、多段ポンプ29において305バールに圧縮される。50℃の放出流30は、復熱式熱交換器1へ流入する主要部分32と、冷却断熱圧縮流37および42に接して、対応する温度で熱交換器1内の主要高圧CO2流と再合流する流れ33を生成する、熱交換器34において221℃に加熱される副流31とに分かれる。56℃の冷却空気流43は、深冷空気分離システムへ流入する。これは、直接空気冷却器と、水冷器と、5.6バールおよび12℃の乾燥無CO2空気流を送給する切換えデュエルベッド熱再生性吸着ユニットとを有する空気冷却および精製ユニット44を備える。この空気流45の一部は、圧縮機46において70バールに圧縮され、合計空気流48および47は、ポンプ式液体酸素サイクル空気分離深冷システム49へ流入する。空気分離器による生成物は、窒素排気流60および30バールの生成物酸素流50であり、これは、CO2流63の冷却部分と混合し、酸化剤流51を生成するために直接空気冷却器15から流出する。これは、電気モータ53によって駆動されるCO2/O2圧縮機52において304バールに圧縮され、150バール圧の放出流55は、水冷式熱交換器54において20℃に冷却され、ここで、約25%のO2および約75%のCO2モル濃度の組成を有する高密度超臨界流体流56を形成する。超臨界流56は、多段ポンプ57において305バールに昇圧される。その結果生じる酸化剤流58は、熱交換器1において700℃に加熱され、流れ8として流出し、燃焼器2へ流入する。燃料ガス供給流11内に存在する炭素の燃焼によって生じる正味CO2生成物流61は、流れ61として冷却タービン排気流23から除去される。
【0049】
上記サイクルにおいて、合計リサイクル高圧CO2流の大部分31は、サイクルに関する高効率への鍵である、復熱装置熱交換器1の高温端部および低温端部における低い温度差を実現するために、タービン排気流への追加の熱源を用いて加熱される。この場合、流れ31は、合計リサイクル高圧CO2流の37%である。しかし、本開示のシステムおよび方法は、外部供給熱源の必要性を有利に低減または排除することができる。むしろ、本開示の実施形態によると、復熱装置熱交換器1の一部をバイパスし、復熱装置熱交換器における最適な流量および温度の組み合わせを指定する高圧リサイクルCO2流の断熱圧縮から直接得られた熱入力を用いて、高圧リサイクルCO2流の必要な加熱を提供することが可能である。
【0050】
図2に関して、本開示に係る電力サイクルの実施形態が示される。示されたサイクルは、約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)の圧力で酸素生成物流150を生成する深冷空気分離プラントを用いる。本開示のプロセスは、バイパス高圧リサイクルCO
2加熱器(たとえば
図1の要素34)および高温CO
2圧縮段階(たとえば
図1の要素36)、ならびに断熱圧縮段階の要件を排除し得る。また、本開示のプロセスは、復熱装置熱交換器100の中間セクションをバイパスするリサイクル高圧CO
2流の一部を圧縮および加熱する高温リサイクルCO
2圧縮機136を含んでよい。
【0051】
より具体的に
図2を参照すると、約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)のCO
2流107は、第1のセクション100-1、第2のセクション100-2、および第3のセクション100-3を有する(しかしながら、1つ以上の実施形態において、より多いまたは少ない数のセクションが用いられ得ることが理解される)マルチストリーム熱交換器100において約700℃(たとえば、約625℃乃至約900℃、約650℃乃至約850℃、または約675℃乃至約800℃など、600℃以上、625℃以上、または650℃以上)に加熱される。CO
2流107は、燃焼器102へ流入し、ここで、約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)の圧力の酸化剤流108内で燃焼する、電気モータ106によって駆動される圧縮機105において約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)および約251℃(たとえば、約215℃乃至約375℃、約225℃乃至約325℃、または約235℃乃至約300℃など、200℃以上、215℃以上、または225℃以上)に圧縮されたメタン流112から生じる燃焼生成物と混合する。酸化剤流108は、少なくとも酸素を備え、好適には、CO
2で希釈された酸素を備えてよく、たとえば約10%の酸素および約90%のCO
2乃至約40%の酸素および約60%のCO
2のモル組成、好適には、約25%の酸素および約75%のCO
2モル濃度の組成例を有する。その結果生じる混合流110は、約1150℃(たとえば約800℃乃至約1600℃、約900℃乃至約1500℃、または約1000℃乃至約1400℃など、最大約1600℃、最大約1500℃、または最大約1400℃)および約300バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)で、(発電機104を駆動する)タービン103へ流入し、約30バール(たとえば、約1バール乃至約60バール、約15バール乃至約50バール、または約20バール乃至約40バールなど、65バール未満、60バール未満、または50バール未満)および約720℃(たとえば、約400℃乃至約1000℃、約500℃乃至約900℃、または約600℃乃至約800℃など、850℃未満、800℃未満、または775℃未満)に膨張させられ、流れ109として流出する。更なる実施形態において、タービン103の入口温度は、最高で、タービンに関して許可された最高動作温度であってよい。1つ以上の実施形態において、タービン出口圧は、既知のタービンポリトロピック効率を考慮して定義され得る。タービンは、熱交換器100内の適切な点で加熱リサイクル高圧CO
2流から引き抜かれる冷却高圧CO
2流189を用い得る。
【0052】
流れ109は、高圧CO2リサイクル流107へ熱を伝達する熱交換器100において冷却し、約56℃(たとえば、約30℃乃至約85℃、約35℃乃至約80℃、または約40℃乃至約70℃など、90℃未満、80℃未満、または70℃未満)の温度で流れ113として流出する。流れ113は、充填部114と、充填部の頂部へ水流119、120、および121を向ける、ポンプ116および間接水冷熱交換器117とを備える循環水部とを有する直接水冷却器115において更に冷却される。CH4燃焼器において生成された過剰液体水流118は、充填塔115の基部から除去される。冷却CO2流122は、第1の圧縮機段159、第2の圧縮機段125、および中間冷却器163を含む2段中間冷却CO2圧縮機へ流入し、ここで、約65バール(たとえば、約45バール乃至約95バール、約50バール乃至約80バール、または約55バール乃至約70バールなど、40バール以上、45バール以上、または50バール以上)に圧縮される。合計出口流162は、水冷式熱交換器126において、約20℃(約10℃乃至約30℃、約12℃乃至約28℃、または約15℃乃至約25℃)に冷却される。したがって、冷却器出口流128の密度は、約0.8kg/リットル(たとえば、約0.5kg/リットル乃至約1.5kg/リットルまたは約0.6kg/リットル乃至約1.2kg/リットル)に増加する。出口CO2流128は、2つの流れに分かれる。バイパスCO2流138aは、この時点で除去され、多段ポンプ127へ流入し、ここでその圧力は、約110バール(たとえば、約60バール乃至約200バール、約70バール乃至約190バール、または約80バール乃至約180バール)に上昇し、バイパス流138bとして流出する。残りの流れ160は、多段ポンプ129へ流入し、ここでその圧力は、約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)に上昇する。放出流161は、復熱装置熱交換器100へ流入して約700℃(たとえば、約400℃乃至約1000℃、約500℃乃至約900℃、または約600℃乃至約800℃)に加熱される主要高圧CO2リサイクル流130に分かれ、流れ107として流出して燃焼器102へ流入する。副流132は、酸素流150と混合され、酸化剤流158を形成する。炭化水素燃料流111内に存在する炭素による生成物CO2流は、バイパスポンプ127から離れるバイパス流138bから得られた流れ170として圧力下で除去される。
【0053】
プロセスに必要な酸素は、深冷空気分離プラントにおいて、約99.5%モル濃度またはそれ以上の純度で生成される。供給空気流139は、電気モータ141によって駆動される中間冷却多段空気圧縮機140へ流入する。一般に5.7バール圧(たとえば、約2バール乃至約15バール、約3バール乃至約12バール、または約4バール乃至約10バールなど、2バール以上、3バール以上、または4バール以上)の放出流142は、直接空気冷却器と、冷水器と、5.5バール(たとえば、約2バール乃至約15バール、約3バール乃至約12バール、または約4バール乃至約10バール)および12℃(たとえば、約1℃乃至約20℃、約2℃乃至約18℃、または約5℃乃至約15℃)の乾燥している実質的に無CO2の空気流を送給する切換えデュアルベッド熱再生成吸着ユニットと、を含む空気冷却および精製ユニット144へ流入する。この空気流145の一部は、電気モータまたは他のデバイス131によって駆動される圧縮機146において、100バール(たとえば、約30バール乃至約200バール、約50バール乃至約180バール、または約70バール乃至約150バール)に圧縮され、合計空気流148および147は、ポンプ式液体酸素サイクル空気分離深冷システム149へ流入する。空気分離器による生成物は、(大気へ放出され得る)窒素排気流160、および約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)の生成物酸素流150である。この流れは、超臨界CO2ポンプ129から離れる高圧CO2流の一部132と混合し、酸化剤流158を形成する。酸化剤流158は、好適にはCO2で希釈された酸素を備え、たとえば約10%の酸素および約90%のCO2乃至約40%の酸素および約60%のCO2のモル組成を有し、好適には、約25%のO2および約75%のCO2モル濃度の組成例を有する。酸化剤流は、復熱装置熱交換器100において約700℃(たとえば、約400℃乃至約1000℃、約500℃乃至約900℃、または約600℃乃至約800℃)に加熱され、流れ108として流出し、燃焼器102へ流入する。ただし、燃焼器は一般に、タービン103内に組み込まれる。
【0054】
タービン排気流は、この場合、純メタン燃料の水素画分の燃焼によって生じる水蒸気を含有する。この結果、タービン排気流において、約6.0%(たとえば、約2.0%乃至約10.0%、約3.0%乃至約9.0%、または約4.0%乃至約8.0%)モル濃度のH2O含有量がもたらされる。この流れの露点は、約111℃である。
【0055】
復熱装置熱交換器100の最適な設計を定義する上での明確化のために、復熱装置熱交換器100を3つのセクションに分割することが好都合である。第1の最高温セクション100-1は、タービン排気109を720℃の入口温度から約212℃(たとえば、約150℃乃至約300℃、約170℃乃至約275℃、または約190℃乃至約250℃)の温度に冷却し、この点において、約303バールの高圧リサイクルCO2流の比熱は、30バールのタービン排気流に対して、温度差が約6℃(たとえば、約2℃乃至約20℃、約3℃乃至約15℃、または約4℃乃至約12℃)まで低減されるように上昇している。中間セクション100-2は、この部分で加熱されるリサイクル高圧CO2流を大幅に低減することによって、正の最小温度差を維持する必要がある。これは、セクション100-2の周囲で合計リサイクル高圧CO2流135のうち既定の量(たとえば、約36.5%など、約20%乃至約50%、約25%乃至約45%、または約30%乃至約40%)をバイパスさせ、バイパス流が、流れ137が対応する温度で主要高圧リサイクルCO2流と再合流するセクション100-1の低温側端部における入口流137として復熱装置熱交換器へ再流入する前に、バイパス流を約110℃の温度から約206℃(たとえば、約150℃乃至約250℃、約160℃乃至約240℃、または約180℃乃至約220℃)の温度に加熱することによって実現される。バイパス流138bは、復熱装置セクション100-3において約110℃(たとえば、約80℃乃至約140℃、約90℃乃至約130℃、または約100℃乃至約120℃)に加熱され、流れ135として流出する。これは、断熱圧縮段階136において110バールから304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)に圧縮され、流れ137として流出し、セクション100-1と100-2との間で復熱装置熱交換器へ流入し、ここで、主要リサイクル高圧CO2流と再合流する。バイパスCO2リサイクル圧縮段の使用は、リサイクルCO2流のバイパス部分の圧力を上昇させること、およびその温度を、復熱装置熱交換器セクション100-2の高温端部から流出するリサイクルCO2と同じ値に上昇させることのデュアル機能を有する。断熱圧縮段136は、タービンに直接結合されるか、または電気モータを用いて個別に駆動され得る、リサイクルCO2圧縮機のステージ159および125を含む多段一体ギヤ式ターボ圧縮機に組み込まれ得る。
【0056】
高圧リサイクルCO
2流の外部供給低温加熱の必要なく電力サイクルの必要な最適性能を実現するためにバイパス圧縮を使用する状況において、他のプロセス変化例が可能である。本プロセス構成の更なる実施形態は、
図3に示される。
図3に係る実施形態において、深冷空気分離プラントは、バイパス圧縮機ポンプ367の放出圧と実質的に同様の圧力の酸素生成物流350を生成する。酸素生成物流350は、99%超過、好適には99.5%(モル濃度)超過の酸素純度を有する。例示されたプロセスは、好適には、深冷空気分離ユニットおよび高温CO
2圧縮機のために用いられる空気圧縮機の冷却断熱圧縮段によって供給される高圧リサイクルCO
2への間接熱交換によって供給される外部熱入力の排除を提供する。バイパス高圧リサイクルCO
2加熱器もまた排除され得る。全体電力プラント効率を最大にするために必要な高圧リサイクルCO
2流への熱入力は、復熱式熱交換器300のセクション300-2をバイパスする断熱圧縮機段336における酸化剤流の断熱圧縮によって提供され得る。この断熱バイパス圧縮機段336は、復熱装置熱交換器300の中間セクションまたは第2セクション300-2をバイパスするリサイクル高圧CO
2流の一部を圧縮および加熱する。この流れは、酸素燃焼燃焼器における燃料の燃焼に必要な純酸素流の全部も含む。復熱装置高温端部温度差およびたとえば利用可能な冷却水温度などの周囲冷却手段における変動は、リサイクル圧縮機およびCO
2ポンプの必要な入口および出口温度を変化させる。復熱装置熱交換器における最適な動作条件は、タービン入口温度および圧力、タービン出口圧および復熱式熱交換器内で指定された温度差によって定められる。バイパス圧縮機の放出圧は一般に、必要なタービン入口圧力によって定められるので、変数は、タービン放出流の露点によって、ゆえに流れ311内で用いられる燃料ガスの組成によって制御され、バイパス圧縮段階における入口温度および温度上昇を定めるバイパス圧縮機入口圧となる。バイパス圧縮機放出圧および温度および入口温度を定めることにより、必要なバイパス圧縮機入口圧が定められる。ガス化プロセスによる石炭系燃料ガスは、タービン排気の露点を高くしバイパス圧縮機の入口圧を上昇させる高濃度の水素を含有する。
【0057】
バイパス圧縮機入口温度は、タービン排気流の露点、および、冷却タービン排気流と、復熱装置熱交換器のセクション300-2および300-3の間の境界面における高圧加熱流の温度との温度差の仕様によって定められ得る。復熱装置熱交換器のセクション300-2から流出してセクション300-3へ流入する冷却タービン排気流は、一般にその露点にあり、これが、復熱装置熱交換器のセクション300-2と300-3との間の境界面温度を定める。バイパス圧縮機流338のためのCO
2は、リサイクルCO
2圧縮機後置冷却器326から流出する高密度超臨界CO
2流から得られる。これにより、高密度のバイパスCO
2流が、低い電力要件を有する多段ポンプを用いてバイパス圧縮機に必要な入口圧力に圧縮されることが可能である。可能な最高効率での電力サイクルの動作は、復熱装置熱交換器のセクション300-3から流出する低温タービン排気流313と復熱装置熱交換器のセクション300-3へ流入するリサイクル高圧CO
2流330およびバイパス酸化剤流371の温度との低い温度差を必要とする。これは、セクション300-3へ流入するバイパスCO
2流の温度を調整することによって実現され得る。これを遂行するために、混合酸化剤バイパス流363と、復熱装置熱交換器流371のセクション300-3への入口との間に、バイパスCO
2流のための加熱器364を含むことが有利であり得る。この加熱器は、リサイクル圧縮機トレーン(
図3の要素359、360、および325)からの圧縮熱を利用し得る。必要な酸素流350を加熱バイパスCO
2流371に混合することは、混合物内の酸素の部分圧が混合前の流れ350の圧力よりもはるかに低いため、温度が下がる原因となることに留意すべきである。この冷却は、最適には、酸素流350とポンプ367から流出する流れ361とを混合し、その後、この流れ363を用いてポンプ329への入口流366を予冷却することにより、電力消費を低減するために利用され得る。あるいは、冷却水の一部は更に冷却され、リサイクル圧縮機流322の温度を更に低減するために直接水冷却器循環熱交換器において用いられ得る。バイパス圧縮機入口圧で深冷空気分離プラントにより生成された燃料ガス燃焼に必要な全酸素流は、バイパスCO
2加熱器の前または後でバイパス圧縮機CO
2流と混合される。その結果、バイパス圧縮機放出流は、復熱装置熱交換器300のセクション300-1における別の通路を用いる燃料燃焼のための酸化剤流となる。酸素は一般に、酸化剤流において10%と20%との間のモル濃度である。このプロセスに関する詳細なフローシートは、
図3に示される。
【0058】
約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)のCO2流307は、マルチストリーム熱交換器300において、約695℃(たとえば、約625℃乃至約900℃、約650℃乃至約850℃、または約675℃乃至約800℃など、600℃以上、625℃以上、または650℃以上)に加熱される。CO2流307は、燃焼器302へ流入し、ここで、約14%の酸素モル濃度の組成および約303バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)の圧力を有する酸化剤流308内で燃焼する電気モータ306によって駆動される圧縮機305において約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)および約251℃(たとえば約215℃乃至約375℃、約225℃乃至約325℃、または約235℃乃至約300℃など、200℃以上、215℃以上、または225℃以上)に圧縮されたメタン流312から得られた燃焼生成物と混合する。たとえば、酸化剤流308は、CO2で希釈された酸素を備えてよく、たとえば、約10%の酸素および約90%のCO2乃至約40%の酸素および約60%のCO2のモル組成を有し、好適には、約25%の酸素および約75%のCO2モル濃度の組成例を有する。
【0059】
その結果生じる混合流310は、発電機304を駆動するタービン303へ流入し、混合流は、約1212℃(たとえば、約800℃乃至約1600℃、約900℃乃至約1500℃、または約1000℃乃至約1400℃など、最大約1600℃、最大約1500℃、または最大約1400℃)および約300バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)であり、約20バール(たとえば、約1バール乃至約60バール、約10バール乃至約50バール、または約15バール乃至約40バールなど、65バール未満、60バール未満、または50バール未満)および約720℃(たとえば、約400℃乃至約1000℃、約500℃乃至約900℃、または約600℃乃至約800℃など、850℃未満、800℃未満、または775℃未満)に膨張させられ、流れ309として流出する。更なる実施形態において、タービン303に関する入口温度は、最高で、タービンに許容される最高動作温度であってよい。1つ以上の実施形態において、タービン出口圧は、既知のタービンポリトロピック効率を考慮して定められ得る。燃焼器302は、タービン303のフレームワークに組み込まれてよく、または個別のユニットであってよい。タービンは、熱交換器300内の適切な点で加熱リサイクル高圧CO2流から引き抜かれる冷却高圧CO2流389を利用し得る。
【0060】
20バールの流れは、熱交換器300内で冷却し、高圧CO2リサイクル流307および酸化剤流308に熱を伝達し、流れ313において約74℃(たとえば、約30℃乃至約95℃、約35℃乃至約90℃、または約40℃乃至約85℃など、100℃未満、90℃未満、または80℃未満)で流出する。これは、充填部314と、ポンプ316および25℃で利用可能な冷却水を用いる間接水冷式熱交換器317を備える循環水部とを有する直接水冷却器315において更に冷却される。水流319、320、および321は、充填部の頂部へ流れる。燃焼器302内で生成された過剰液体水である流れ318は、充填塔315の基部から除去される。
【0061】
冷却CO2流322は、第1段圧縮機359、第2段圧縮機325、および中間冷却器360を含む2段中間冷却CO2圧縮機へ流入し、ここで、約65バール(たとえば、約45バール乃至約95バール、約50バール乃至約80バール、または約55バール乃至約70バールなど、40バール以上、45バール以上、または50バール以上)に圧縮される。最終段325から流出するリサイクルCO2流365は、熱交換器364において、約71℃の温度から約31℃(たとえば、約25℃乃至約50℃)の温度に冷却されて流れ362を提供し、その後、水冷式熱交換器326を通過した結果、約17℃(たとえば約10℃乃至約30℃、約12℃乃至約28℃、または約15℃乃至約25℃)の温度のリサイクルCO2流328をもたらす。出口CO2流328は、この時点で、約0.82kg/リットル(たとえば、約0.5kg/リットル乃至約1.5kg/リットルまたは約0.6kg/リットル乃至約1.2kg/リットル)に密度が増加している。流れ328はこの時点で、2つの流れに分かれる。主要リサイクルCO2流366は、多段ポンプ329において、約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)および約52℃(たとえば、約35℃乃至約80℃または約40℃乃至約60℃)に昇圧される。バイパス圧縮機CO2流338は、多段ポンプ367内で約110バール(たとえば、約60バール乃至約200バール、約70バール乃至約190バール、または約80バール乃至約180バール)および約25℃(たとえば、約20℃乃至約30℃)に昇圧される。主要リサイクルCO2流330は、その後、復熱装置熱交換器300へ流入し、ここで、約700℃(たとえば、約400℃乃至約1000℃、約500℃乃至約900℃、または約600℃乃至約800℃)に加熱され、流れ307として流出する。
【0062】
約111バール(たとえば、約80バール乃至約140バール、約90バール乃至約130バール、または約100バール乃至約120バール)および約19℃(たとえば、約10℃乃至約30℃、約12℃乃至約28℃、または約15℃乃至約25℃)の実質的に純粋な酸素流350(たとえば、O2モル純度約99.5%)は、約13℃(たとえば、約8℃乃至約20℃)の温度の酸化剤バイパス流363を生成するために、ポンプ367から流出するバイパス流361と混合される。バイパス圧縮機への入口に必要な圧力におけるバイパス酸化剤CO2流は、熱交換器364において約66℃(たとえば、約40℃乃至約90℃または約50℃乃至約80℃)の温度に加熱され、流れ371として流出し、復熱式熱交換器のセクション300-3へ流入する。正味CO2生成物流370は、酸化剤流350との混合点より前に、約110バール(たとえば、約80バール乃至約140バール、約90バール乃至約130バール、または約100バール乃至約120バール)の流れ361から得られる。
【0063】
空気分離プラントは、電気モータ341によって駆動される中間冷却多段空気圧縮機340へ流入する供給空気流339を有する。一般に約5.7バール圧(たとえば、約2バール乃至約15バール、約3バール乃至約12バール、または約4バール乃至約10バールなど、2バール以上、3バール以上、または4バール以上)の放出流342は、直接空気冷却器、水冷機、および約5.5バール(たとえば、約2バール乃至約15バール、約3バール乃至約12バール、または約4バール乃至約10バール)および12℃(たとえば、約1℃乃至約20℃、約2℃乃至約18℃、または約5℃乃至約15℃)の乾燥している実質的に無CO2の空気流を送給する切換えデュエルベッド熱再生成吸着ユニットを含む空気冷却および精製ユニット344へ流入する。この空気流345の一部は、これもまた電動モータ341によって駆動される圧縮機346において、約86バール(たとえば、約30バール乃至約180バール、約50バール乃至約150バール、または約60バール乃至約120バール)に圧縮され、合計空気流348および347は、ポンプ式液体酸素サイクル空気分離深冷システム349へ流入する。空気分離器による生成物は、窒素排気流369および111バールの生成物酸化剤流350である。酸化剤流363は、たとえば約17.8%モル濃度のO2を含有する。いくつかの実施形態において、酸化剤流363は、約10%の酸素および約90%のCO2乃至約40%の酸素および約60%のCO2のモル組成を備えてよく、好適には、約15%のO2および約85%のCO2乃至約25%のO2および約75%のCO2モル濃度の組成例を有する。タービン排気流は、この場合、純メタン燃料の水素画分の燃焼によって生じる水蒸気を含有する。その結果、タービン排気流における6.5%モル濃度(たとえば、約2.0%乃至約10.0%、約3.0%乃至約9.0%、または約4.0%乃至約8.0%モル濃度)のH2O含有率をもたらす。この流れの露点は、約108℃である。
【0064】
復熱装置熱交換器の最適設計を定義する上での明確性のために、復熱装置熱交換器を3つのセクションに分割することが好都合である。第1の最高温セクション300-1は、タービン排気を約720℃の入口温度から約214℃(たとえば、約150℃乃至約300℃、約170℃乃至約275℃、または約190℃乃至約250℃)に冷却し、この点において、約304バールの高圧リサイクルCO2流の比熱は、30バールのタービン排気流に対して、温度差が約5℃(たとえば、約2℃乃至約20℃、約3℃乃至約15℃、または約4℃乃至約12℃)まで低減されるように上昇している。中間セクション300-2は、このセクションにおいて加熱されるリサイクル高圧CO2流を大幅に低減することによって、正の最小温度差を維持する必要がある。これは、復熱式熱交換器のセクション300-2の周りで、合計酸素プラス均衡CO2流を備える流れ335をバイパスさせることによって実現される。セクション300-2は、実施形態例において、必要な正の温度差を提供するために合計高圧リサイクルCO2の64.9%の流量を有する。更なる実施形態において、セクション300-2は、合計高圧リサイクルCO2の約50%乃至約80%、約55%乃至約75%、または約60%乃至約70%の流量を有してよい。バイパス酸化剤流は、復熱装置熱交換器セクション300-3において、約103℃(たとえば、約80℃乃至約140℃、約90℃乃至約130℃、または約100℃乃至約120℃)に加熱され、流れ335として流出する。これは、断熱圧縮段336において、約109.5バールから約304バール(たとえば、約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなど、100バール以上、250バール以上、または300バール以上)に圧縮され、約303バールおよび約209℃で流れ337として流出し、セクション300-1と300-2との間で復熱装置熱交換器へ流入し、ここで、個別加熱流となり、酸化剤流308として復熱装置高温端部から流出する。バイパスCO2酸化剤リサイクル圧縮段階の使用は、リサイクル酸化剤CO2流のバイパス部分の圧力を上昇させることと、その温度を、復熱装置熱交換器セクション300-2の高温端部から流出するリサイクルCO2と同じ値まで上昇させることというデュエル機能を有する。
【0065】
上記から分かるように、本開示は、改善された効率で、好適には外部源による加熱を利用する必要性なく、電力生成が実現され得るシステムおよび方法を提供し得る。むしろ、本開示のシステムおよび方法は、バイパス圧縮機の使用により、リサイクルCO2流および/または混合された酸素およびリサイクルCO2流の追加の加熱を可能にするように構成され得る。
【0066】
1つ以上の実施形態において、上で例示されている処理ステップを取り入れる電力生成の方法は、燃焼流(110、310)を形成するために、たとえば100バール以上、250バール以上、または300バール以上など、またはより具体的には、たとえば約100バール乃至約500バール、約150バール乃至約450バール、または約200バール乃至約400バールなどの適当に増加された圧力のリサイクルCO2流(107、307)の存在下で、燃焼器(102、302)において、燃料源(111、311)からの燃料(112、312)を酸化剤流(108、308)と燃焼させることを備えてよい。燃焼流(110、310)は、たとえば最高で約1600℃、最高で約1500℃、または最高で約1400℃など、またはより具体的には、たとえば約700℃乃至約1600℃、約800℃乃至約1600℃、約900℃乃至約1500℃、または約1000℃乃至約1400℃などの適当な高温であってよい。
【0067】
燃焼流(110、310)は、発電機(104、304)を用いて電力を生成するためにタービン(103、303)においてより低い圧力に膨張させられ、タービン排気流(109、309)を形成してよい。実施形態例において、タービン排気流(109、309)は、たとえば約1バール乃至約60バール、約1バール乃至約50バール、約10バール乃至約50バール、または約15バール乃至約40バールなど、65バール未満、60バール未満、または50バール未満の圧力であってよい。同様に、タービン排気流(109、309)は、たとえば約400℃乃至約1000℃、約500℃乃至約900℃、または約600℃乃至約800℃など、850℃未満、800℃未満、または775℃未満の温度であってよい。
【0068】
タービン排気流(109、309)は、異なる温度範囲で動作する複数のセクションを有する復熱式熱交換器(100、300)において冷却され得る。
図2および
図3に示すように、熱交換器(100、300)は、第1の熱交換器セクション(100-1、300-1)、第2の熱交換器セクション(100-2、300-2)、および第3の熱交換器セクションまたは最後の熱交換器セクション(100-3、300-3)として説明され得る3つのセクションを有する。「最後の熱交換器セクション」という用語の使用は、3より多い数の熱交換器セクションが用いられ得ることを示す。例示するように、第3の熱交換器セクション(100-3、300-3)は、1つ以上の追加の熱交換器セクション(複数も可)が第1の熱交換器セクション(100-1、300-1)と第2の熱交換器セクション(100-2、300-2)との間および/または第2の熱交換器セクション(100-2、300-2)と最後の熱交換器セクション(100-3、300-3)との間に含まれる場合、最後の熱交換器セクションとして動作する。複数の熱交換器セクションは、実質的に異なる温度範囲で動作するように適合または構成され、温度範囲は重なり合ってよいことが理解される。このように、タービン排気流(109、309)は、熱交換器の複数のセクションの通過中に連続的に冷却され得る。同様に、以下で更に説明するように、追加の流れが、熱交換器(100、300)のセクションの1つ以上の通過によって連続的に再加熱され得る。
【0069】
熱交換器の最後のセクション(100-3、300-3)から流出する冷却タービン排気流(113、313)は、実質的に純粋なCO2流(122、322)を形成するために精製され得る。精製は、具体的には、たとえば既に上述されているような直接水冷却器(115、315)および関連部品を用いてタービン排気流から水を除去することを含んでよい。このように、炭化水素燃料(112、312)の燃焼中に形成された水は、存在し得る他の汚染物質とともに除去されてよく、そのような精製を実現するために必要に応じて追加の精製部品が含まれ得ることが理解される。
【0070】
実質的に純粋なCO2流(122、322)は、第1の部分(160、366)と第2の部分(138a、338)とに分離され得る。上述されているように、そのような個別部分への分離の前に、実質的に純粋なCO2流(122、322)は、冷却器を用いて中間冷却される多段圧縮機(159/125、359/325)を用いて圧縮され得る。たとえば、実質的に純粋なCO2流は、多段圧縮機において、約65バール乃至約90バールの圧力に圧縮され得る。
【0071】
実質的に純粋なCO2流の第1の部分は、第1のポンプ(129、329)を用いて増加された圧力までポンプされ、実質的に純粋なCO2流の第2の部分は、第2のポンプ(127、367)を用いて増加された圧力までポンプされる。第1のポンプおよび第2のポンプは、実質的に異なる圧力範囲で動作するように構成されてよく、そのような範囲は重なり合ってよい。たとえば、第1のポンプ(129、329)は、実質的に純粋なCO2流の第1の部分を、(既述されているような)燃焼器への入力に適している圧力までポンプするように構成され得る。第2のポンプ(127、367)は、実質的に純粋なCO2流の第2の部分がバイパス流(135/137、335/337)として利用され得るように、実質的に純粋なCO2流の第2の部分を実質的により低い圧力までポンプするように構成され得る。その結果、第2のポンプ(127、367)は、実質的に純粋なCO2流の第2の部分を、約60バール乃至約200バール、約70バール乃至約190バール、約80バール乃至約180バール、または約80バール乃至約140バールの圧力までポンプするように構成され得る。
【0072】
実質的に純粋なCO2流の第1の部分および第2の部分は、それらのそれぞれの温度を上昇させるために熱交換器を再び通過し得る。上述されているように、実質的に純粋なCO2流の第1の部分は、燃焼器への入力に適している圧力であってよく、その結果、第1の部分は、リサイクルCO2流として利用され得る。具体的には、熱交換器における加熱後、第1の部分は、リサイクルCO2流(107、307)であるとみなされ得る。したがって、この方法は、実質的に純粋なCO2流の第1の部分をリサイクルCO2流として燃焼器へ受け渡すことを含んでよい。
【0073】
実質的に純粋なCO2流の第2の部分は、同様に、最終的には燃焼器内へ戻され得るが、第2の部分は好適には、復熱式熱交換器において再加熱される1つ以上の流れへの追加の加熱を提供するためにバイパス流として利用される。
【0074】
したがって、1つ以上の実施形態において、実質的に純粋なCO
2流の第2の部分は、熱交換器の複数のセクションのうち少なくとも1つのセクションをバイパスしてよい。これは、たとえば、熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより上流で実質的に純粋なCO
2流の第2の部分を引き出すこと、実質的に純粋なCO
2流の第2の部分の圧力および温度を上昇させることにより、実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分を形成するために、圧縮機において実質的に純粋なCO
2流の第2の部分を処理すること、および、実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分を、熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションより下流で熱交換器へ流入させることを実行することによって実現され得る。
図1および
図3における実施形態例を参照すると、バイパスは、第2の熱交換器セクション(100-2、300-2)をバイパスすることを備えてよい。より具体的には、これは、最後の熱交換器セクション(100-3、300-3)の高温端部における出口から流出するライン135、335内の第2の部分流を、第2の熱交換器セクションより(第2の部分流の流れ方向に関して)上流となるように引き出すことを備えてよい。ライン135、335内の実質的に純粋なCO
2流の第2の部分は、実質的に純粋なCO
2流の第2の部分の圧力および温度を上昇させるために、断熱圧縮機であってよい圧縮機(136、336)において処理され得る。その結果これは、バイパス圧縮機(136、336)から流出する実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分(137、337)を形成する。バイパス部分(137、337)は、その後、第2の熱交換器セクション(100-2、300-2)より下流で熱交換器へ再び入力される。たとえば、バイパス部分は、第1の熱交換器セクション(100-1、300-1)へ直接入力され得る。あるいは、バイパス部分は、第2の熱交換器セクション(またはバイパスされる他の熱交換器セクション)より下流で熱交換器(100、300)を通過する再加熱流へ入力され得る。その結果これは、プロセス効率を改善するための再加熱流への追加の加熱を提供する。バイパス圧縮機は好適には、実質的に純粋なCO
2流の第2の部分(すなわち、バイパス部分)を、たとえば既に上述されているような範囲などの燃焼器への入力に適している圧力に圧縮するように構成される。
【0075】
図2に示す実施形態例において、実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分137は、熱交換器を通る第1の部分の流れに関して第2の熱交換器セクション100-2より下流で、(流れ130として通過する)実質的に純粋なCO
2流の第1の部分と混合されることによって、熱交換器100へ流入する。例示されたような流れ130は、実質的に純粋なCO
2流の第3の部分が流れ132内で分割された後に残る実質的に純粋なCO
2流の第1の部分である。実質的に純粋なCO
2流の第3の部分は、燃焼器へ受け渡される酸化剤流(158および108)を形成するために酸素流と混合されてよく、このようにして形成された酸化剤流は、既に上述されているような酸素/CO
2比を有してよい。
【0076】
図3に示す実施形態例において、実質的に純粋なCO
2流の第2の部分は、実質的に純粋なCO
2流の第2の部分が熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションをバイパスする前に、酸素流と混合され得る。このように、実質的に純粋なCO
2流のバイパス部分は、酸化剤流として熱交換器から流出してよい。
図3に示すように、第2の部分338は、流れ361としてポンプ367から流出し、酸素流350と混合して流れ363を形成し、これは、最後の熱交換器セクション300-3へ流入する流れ371を形成するために加熱され得る。好適には、実質的に純粋なCO
2流の第2の部分が酸素流と混合された後かつ実質的に純粋なCO
2流の第2の部分が熱交換器を通過する前、混合された酸素流を含む実質的に純粋なCO
2流の第2の部分は、熱交換器364において加熱される。
【0077】
熱交換器の複数のセクションのうちの少なくとも1つのセクションをバイパスする実質的に純粋なCO2流の第2の部分の量は、熱交換器のバイパスされるセクションにおける所望の最小温度差をもたらすように構成され得る。たとえば、少なくとも1つのセクションをバイパスする実質的に純粋なCO2流の第2の部分の量は、約2℃乃至約20℃であるバイパスされるセクションにおける正の最小温度差をもたらすために十分であってよい。
【0078】
いくつかの実施形態において、バイパス圧縮機(136、336)へ流入する流れ(135、335)およびバイパス圧縮機から流出する流れ(137、337)の温度は、熱交換器のバイパスされるセクションにおける所望の最小温度差をもたらすように構成された既定の範囲内で提供され得る。たとえば、温度は、約2℃乃至約20℃である熱交換器のバイパスセクションにおける正の最小温度差をもたらすように構成され得る。
【0079】
バイパス圧縮機の入口圧は同様に、所望の性能を提供するように制御され得る。たとえば、実質的に純粋なCO2流の第2の部分を処理する圧縮機(すなわち、バイパス圧縮機)は、約65バール乃至約260バールの入口圧を有してよい。
【0080】
1つ以上の実施形態において、本開示は特に、本明細書で既に説明されているような部品の組み合わせを用いる電力生成システムを提供する。実施形態例において、電力生成システムは、複数の流れを受け入れるように構成され、出口を有する燃焼器と、燃焼器の出口と流体接続している入口を有し、出口を有するタービンと、電力の生成のために構成され、タービンと発電接続している発電機と、各々が入口および出口を有し、各々が異なる温度範囲で動作するために構成された第1のセクション、第2のセクション、および最後のセクションを備え、第1のセクションがタービンと流体接続している入口および出口を有する熱交換器と、熱交換器の最後のセクションからの出口と流体接続しており、実質的に純粋なCO2流の出力のための出口を有する分離器と、実質的に純粋なCO2流を第1の部分および第2の部分に分割するために構成された分割器と、実質的に純粋なCO2流の第1の部分を受け入れ、その圧力を上昇させるように構成され、熱交換器の最後のセクションの第1の入口と流体接続している出口を有する第1のポンプと、実質的に純粋なCO2流の第2の部分を受け入れ、その圧力を上昇させ、熱交換器の最後のセクションの第2の入口と流体接続している出口を有する第2のポンプと、実質的に純粋なCO2流の第2の部分が熱交換器の第2のセクションをバイパスするように構成されるように、実質的に純粋なCO2流の第2の部分を受け入れるように構成された、熱交換器の最後のセクションの出口と流体接続している入口を有し、熱交換器の第1のセクションにおける入口と流体接続している出口を有するバイパス圧縮機とを備えてよい。
【0081】
当然のこととして、上記は、本開示に係る電力生成システムを形成する上で用いられ得る構成要素の組み合わせを限定するものとして解釈されてはならない。好適には、本開示に係る電力生成システムは最低限、復熱式熱交換器から引き出され、熱交換器の少なくとも1つのセクションをバイパスした後に熱交換器へ再挿入される再加熱流の温度および圧力を上昇させるように適合または構成されたバイパス圧縮機を含む。よって、電力生成システムは好適には、復熱式熱交換器、電力生成タービン(および関連発電機)、および任意の追加の圧縮機、ポンプ、熱交換器、移送ライン、燃焼器(複数も可)、および本明細書で他に説明されたような電力生成方法を実行する上で有用であり得るその他も含む。
【0082】
プロセス効率を示す本開示の典型的な実施形態を以下に示す。
【表1】
【表2】
【0083】
ここで開示された主要部の多数の変更例および他の実施形態は、上記説明および関連図面に提示された教示の利益を得る本主要部が関与する当業者の意識に上るだろう。したがって、本開示は、本明細書で説明された特定の実施形態に限定されるものではないこと、および、変更例および他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されたものであることを理解された。本明細書において特定の用語が用いられるが、それらは一般的かつ説明的な意味で用いられているにすぎず、限定を目的とするものではない。