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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】ガス流制御のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20230607BHJP
【FI】
G05D7/06 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021109827
(22)【出願日】2021-07-01
(62)【分割の表示】P 2018500675の分割
【原出願日】2016-07-08
(65)【公開番号】P2021184257
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】62/191,272
(32)【優先日】2015-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510033424
【氏名又は名称】ピヴォタル システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】モンコウスキー,ジョーセフ アール.
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジウイ
(72)【発明者】
【氏名】ディング,タオ
(72)【発明者】
【氏名】シュマコフ,アンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンズ,トラヴィス
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-510404(JP,A)
【文献】特開2005-024421(JP,A)
【文献】実開昭53-032764(JP,U)
【文献】実開平07-005022(JP,U)
【文献】特開2010-186234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流制御バルブによってガス流量を制御する方法であって、
a. 前記制御バルブの上流の圧力、前記制御バルブの測定位置、および流量を相関させる第1検索表を作成するステップと、
b. 前記制御バルブの上流に配置された流量制限器によってガス流量を決定し、前記ガス流量は、第2検索表と、前記流量制限器の上流の圧力、前記流量制限器の下流の圧力、および前記流量制限器の温度を測定した値とを用いて決定されるステップと、
c. 所望の流量を得るために制御バルブ位置の必要な変更を前記第1検索表から決めるステップと、
d. 前記制御バルブの位置を変更させるステップと、
e. 前記所望の流量と前記流量制限器を通過した前記決定された流量との差を計算するステップと、
f. 前記差を用いて前記第1検索表を更新し、前記所望の流量を得るように連続的に前記圧力を測定して前記制御バルブを調整するステップと、
g. 前記差が所定の値を超える場合にアラームを送信するステップと、
h. 前記所望の流量がゼロでない値である期間、上記のステップb~gを反復するステップと、を含む方法。
【請求項2】
ガスの流量を制御するための装置であって、制御可能なバルブの位置および前記制御可能なバルブの上流のガス圧力が測定されるとともに、前記制御可能なバルブを通過するガス流量を決定するために第1検索表とともに使用される制御可能なバルブと、流量制限器の温度と前記流量制限器の上流および下流のガス圧力とが測定されるとともに、前記ガスの流量を決定するために第2検索表とともに用いられる制御可能なバルブの上流の流量制限器と、所望の流量と前記流量制限器を通過した前記決定された流量との間の差を計算し、その差を用いて前記第1検索表を更新するコントローラとを含む、装置。
【請求項3】
前記流量の正確性を検証するために、前記第1検索表から決定された前記流量と前記第2検索表から決定された前記流量との比較が用いられる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記流量制限器は管を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記流量制限器は機械加工された金属ブロックに形成されたチャネルを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
ガスの流量を制御するための装置であって、
制御バルブと、
前記制御バルブの上流に配置された流量制限器と、
前記流量制限器の上流に配置された第1圧力変換器と、
前記流量制限器の下流かつ前記制御バルブの上流に配置された第2圧力変換器と、
前記流量制限器において温度を測定するように配置された温度センサと、
プロセッサおよび記憶媒体を含むコントローラと、を含み、
前記記憶媒体は、前記制御バルブの上流で測定される前記第2圧力変換器の圧力、測定された前記制御バルブの位置、および前記制御バルブを通る流量を相関させる第1検索表と、前記流量制限器の上流の圧力、前記流量制限器の下流の圧力、前記温度センサの温度、および前記流量制限器を通る質量流量を相関させる第2検索表とを含み、
前記コントローラは、所望の流量と前記流量制限器を通過した前記第2検索表に基づいて決定された流量との間の差を計算し、その差を用いて前記第1検索表を更新するステップとを含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本願は、2015年7月10日に出願の米国仮特許出願第62/191,272号の優先権を主張し、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本願は、半導体処理においてなど、特に正確な測定が必要とされるときの、ガス流の制御に関する。
【背景技術】
【0003】
ガス流量の計量は多くの工業プロセスにとって重要である。半導体産業の場合、計量は特に正確である必要があり、これはたった数パーセントの流量の揺らぎが処理の不成功を招き得るためである。
【0004】
工業標準の流量制御装置は、流量を増加させるために部分的に開放される、または流量を減少させるために部分的に閉鎖されることができるバルブを含むマスフローコントローラ(MFC)である。バルブの開放は、外部から提供される設定値(すなわち所望の流量)と内部流量測定装置からの読み取り値との間の差を最小化する閉ループフィードバック回路によって制御される。流量測定装置では、ガスが流れる管の外側周囲に巻きつけられた2つの抵抗温度計素子を備えた熱センサが使用される。素子は、電流を印加することによって加熱される。ガスが管を通って流れるとき、第1の素子から熱を吸収して、それを第2の素子に伝達する。結果として生じる2つの素子間の温度差は、ガスの質量流量の尺度となる。より新しい、圧力不感応のMFCでは、圧力変換器を熱センサと制御バルブとの間に含み、流量における圧力変化の影響に対応する。
【0005】
MFCで熱センサ流量測定が用いられる結果として、正確な流量制御のために装置には定期的な校正が必要とされる。定期的な校正をしないと、MFCを通過する実際の流量は、流量測定装置の変動のため許容されない値になり得る。この校正は、MFCを介して既知の内部空間内にまたは内部空間からガスを流して、内部空間における圧力上昇または圧力低下を測定することで行われることがある。実際の流量は、圧力上昇または圧力低下の速度を計算し、既定の圧力・温度・体積のガスの関係を用いて、測定されることができる。この種の測定は立ち上がり速度の校正として既知である。
【0006】
ガス流量を計量する別の方法は、臨界オリフィス上流のガスの圧力を変化させることである。例えば上流圧力が下流圧力の少なくとも2倍であることなど、所定の圧力要件が満たされていれば、一定温度において臨界オリフィスを通るガスの体積流量は、上流圧力または下流圧力とは無関係である。圧力に比例する上流のガスの密度を制御することにより、臨界オリフィスを通る質量流量を制御することができる。
【0007】
この種の流量制御において、圧力は、制御バルブと臨界オリフィスとの間に配置された圧力変換器を備えた閉ループ制御回路の制御バルブを用いて制御される。制御バルブは、臨界オリフィスの上流で特定の圧力を維持するために開閉される。質量流量は、臨界オリフィス上流の圧力および臨界オリフィスの既定の特性から決定される。ゆえに、正確な流量の計量は、圧力制御系の性能だけでなく、オリフィス寸法の機械的完全性および安定性によっても決まる。オリフィスは、粒子汚染による制限を受けやすく、またはオリフィスを流れるガスによる反応で腐食しやすいので、定期的に圧力・流量関係を校正することが望ましい。これは、MFCに用いられるものと同様の立ち上がり速度の測定を用いて行われる。
【0008】
これらの2つのフローコントローラにおいて、流量の任意の変動は、フローコントローラに校正を行うまで発見されない。結果として、重要な処理が不正確なガス流によって大きく障害される可能性が常に存在することになる。
【0009】
これらの2つの流量制御方式の短所、特に校正および欠陥の検出のために外部測定が必要であることは、改善された流量制御方式が望ましい理由を示すものである。
【0010】
作動時に欠陥を検出可能な流量制御装置の主要な要件は、観察および制御可能な、十分な数のプロセス変数があることである。半導体産業で用いられる流量制御装置の大部分を含む、上述の両方の種の流量制御装置において、これらの処理を行うための十分な数のプロセス変数が存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以下の本開示の概要は、本発明の一部の態様および特徴の基本的な理解を得るために包含される。この概要は、本発明の広範な概説ではなく、それ自体で本発明の要所もしくは重要な要素を具体的に特定したり、または本発明の範囲を明確化したりすることを意図するものではない。その唯一の目的は、後述されるより詳細な説明の前置きとして、本発明の幾つかの概念を単純な形で提示することにある。
【0012】
開示の実施形態では、流量測定における潜在的変動の自己監視が可能な新規の流量測定装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様において、従来のマスフローコントローラは、自己分析を行うための十分なプロセス変数を有する新規のガスフローコントローラに置き換えれられる。
【0014】
本発明の実施形態において、(1)バルブの位置と流量制限特性との間において、非常に正確に、且つ、繰り返し可能にマッピングするように設計され、バルブの位置を非常に正確に測定および制御をすることができる制御バルブ、ならびに(2)上流圧力と、下流圧力と、温度と、流量との間の関係が良好に特徴づけられた流量制限器、の2つの流量制限部を適用することで、十分な数のプロセス変数が利用可能になる。
【0015】
本発明の実施形態では、制御バルブによってガス流量を制御する方法が提供され、該方法は、ガス流制御バルブの上流の圧力、測定されたバルブの位置、および流量を相関させる検索表を作成するステップと、ガス流制御バルブの上流の圧力と検索表から決定位置を得るために必要な駆動信号とに基づいて、制御バルブを通過する流量を確定するステップと、圧力が変化する場合、圧力が変化したときに所望の流量を得るように、ガス流制御バルブを決定された位置に連続的に保持するステップと、ガス流制御バルブの上流の流量センサを用いて流量を測定するステップと、検索表からの所望の流量と流量センサによって測定された流量との差を計算するステップと、差を用いて検索表を更新し、所望の流量を得るように連続的に圧力を測定してガス流制御バルブを調整するステップと、差が所定の値を超える場合にアラームを送信するステップと、を含む。流量センサは第2検索表を備えた流量制限器であり、該第2検索表は、流量制限器の上流および下流の圧力と流量制限器の温度との測定値に基づいて流量を決定するものであるとよい。流量制限器は、管または機械加工した金属ブロックに形成されたチャネルを含むとよく、該方法は、流量制限器の上流の圧力を、流量制限器の下流の圧力の少なくとも2倍に維持することをさらに含むとよい。流量センサは熱センサであるとよく、該方法は、熱センサの質量流量信号から流量を取得することをさらに含むとよい。
【0016】
さらなる実施形態において、制御バルブによってガス流量を制御する方法が提供され、該方法は、ガス流制御バルブの上流の圧力、測定されたバルブの位置、および流量を相関させる第1検索表を作成するステップと、制御バルブの上流に配置された流量制限器を介してガス流量を決定し、ガス流量は、第2検索表と、流量制限器の上流の圧力、流量制限器の下流の圧力、および流量制限器の温度を測定した値とを用いて決定されるステップと、所望の流量を得るために、第1検索表から、要求される制御バルブ位置の変更を判定するステップと、その制御バルブ位置の変更を適用するステップと、所望の流量がゼロでない値である期間、上述のステップを反復するステップと、を含む。
【0017】
他の態様において、ガスの流量を制御するための装置が提供され、該装置は、制御可能なバルブと、制御可能なバルブの上流の流量制限器とを含み、バルブの位置およびバルブ上流のガス圧力が測定され、第1検索表とともに使用されて、バルブを介してガス流量を決定し、流量制限器の温度と流量制限器の上流および下流のガス圧力とが測定され、第2検索表とともに用いられて、流量制限器を介してガス流量を決定する。第1検索表から決定された流量と第2検索表から決定された流量との比較は、流量の正確性を検証するために用いられる。流量制限器は、管または機械加工した金属ブロックに形成されたチャネルを含むとよい。
【0018】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、明細書とともに本発明の原理を説明し図示する役割を担う。図面は、例示的な実施形態の主要な構成要素を図式で示すことを意図したものである。図面では、実際の実施形態のすべての構成要素や図示された要素の相対的な寸法を描くことが意図されておらず、正確な縮尺で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、自己検証型ガス流制御のための本発明によるガスフローコントロール装置の一実施形態の簡易的な概略模式図である。
図2A図2Aは、制御バルブに用いられる、制御可能な高精度流量制限のための本発明による装置の一実施形態の簡易的な概略模式図である。図2Aは、閉位置の制御バルブを示す。
図2B図2Bは、制御バルブに用いられる、制御可能な高精度流量制限のための本発明による装置の一実施形態の簡易的な概略模式図である。図2Bは、開位置の制御バルブを示し、開放量は「h」によって示される。
図3図3は、流量制限器の一実施形態の簡易的な概略模式図である。
図4図4において、図4Aおよび図4Bは、流量制限器の他の実施形態の簡易的な概略模式図である。
図5図5は、ガスの流量を制御および検証するための方法の一実施形態のフローチャートである。
図6図6は、ガスの流量を制御および検証するための方法の他の実施形態のフローチャートである。
図7図7は、自己検証型ガス流制御のための本発明によるガスフローコントロール装置の一実施形態の簡易的な概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の態様において、標準的なマスフローコントローラは新規のガスフローコントローラ(gas flow controller、GFC)に置き換えられる。一般に、標準的MFCでは、測定されるものは(ガスによって運ばれる熱の形態の)エネルギー移動であり、これはガスの質量流量と相関することを理解する必要がある。しかし、開示のガスフローコントローラでは、測定および制御されるものはガス流であり、質量流量ではない。つまり、開示の構成を用いることで、ガス流が良好に制御される。
【0021】
図1は、自己検証型ガス流制御のための本発明によるガスフローコントロール装置100の一実施形態の簡易的な概略模式図である。図1において、ガス源104がGFC100の吸気口101にガス流を供給する。圧力変換器106は吸気口101におけるガス圧力を測定する。次に、ガスは流量制限器110に流れ込む(図3図4Aおよび図4Bに関して以下にさらに説明される)。第2圧力変換器112が流量制限器110の下流に設けられる。
【0022】
図1において、GFC100は、(1)上流圧力と、下流圧力と、温度と、流量との間の関係が良好に特徴づけられた流量制限器110と、続く(2)バルブ位置と流量制限特性との間において、非常に正確に、且つ、繰り返し可能なマッピングを行うように設計されるとともに、バルブ位置の非常に正確な測定および制御を行うことができる制御バルブ108との2つの連続的な流量制限を実施するものである。これら2つの流量制限を連続的に行うことで、ガス流の良好な制御が可能になり、また十分なパラメータを提供して、GFCによる自己監視を可能にする。
【0023】
本発明の種々の実施形態において、流量制限部の寸法を非常に高精度で測定および制御できる、制御可能な流量制限部を有する制御バルブ108が用いられる。
【0024】
本発明の実施形態において、以下の特性、つまり、
1.流量制限部の2つの対向する面の一軸の動作において、他の2つの軸における横方向動作および/または回転動作が約1nm未満に限られること、
2.その一軸次元の動作の測定は約1nmの精度であること、
3.動作のアクチュエーションは約0.1nmの分解能を有すること、
を取り入れることで、このレベルの精度が得られる。
【0025】
図2Aおよび図2Bには、そうした制御バルブの例示的実施形態が示される。この実施形態において、制御バルブは、流量制限部211を形成する平面接触領域を有する2つの隣接したボディ201および202からなる。図2Aは、閉鎖した、すなわち流れのない状態を示し、図2Bは開放位置を示す。図示されるように、ボディ202は、上部および下部湾曲部221を介してボディ201に連結される。一実施形態において、ボディ201及びボディ202は円筒状であり、湾曲部分221はボディ202から延びる丸いディスクであって、ボディ202と同じブロックから機械加工されたものであってもよく、例えば溶接によって単にボディ202に取り付けられたものであってもよい。他の形状も可能であるが、円形形状により、均質かつバランスのよい動作となる。この実施形態において、下部湾曲部分221は、封止空間213に対する封止部210としても機能するが、別の封止部を提供することも明らかに可能である。空間213は、ボディ201の下部分、ボディ202の底面、および下部湾曲部分221によって封じ込められ、入口配管208と連結された空間204と、出口配管209と連結された空間205とを含む。ボディ202が緩んだ位置のとき、空間204と空間205とを密封して分離する。ボディ202が上昇位置にあるとき、空間204と空間205との間で流体の流量を制御することを可能にする。
【0026】
リニアアクチュエータ206は、レバー240とボディ201の上部分との間に設けられており、アクチュエータ206が伸びると、図2Bに示されるように、レバー240を上昇させて、ボディ202を上昇させ且つボディ202の湾曲部分を弾力をもって曲げるようにする。上昇位置において、流量制限面を形成するボディ202の底面は、ボディ201の補完的流量制限面から距離「h」だけ上昇し、それにより、流量制限バルブ211を介して、空間213への流体の流量の制御が可能となり、そのため、ガスが出口配管209へと流れ込むことができる。この実施形態において、2つの円筒状湾曲部は、ボディ201とボディ202との間の相対的動作を1つの自由度(垂直)に限定し、平面におけるボディの互いに対する回転を制限する。このため、流量制限部211を介した流体流量の高精度の制御が可能になる。
【0027】
アクチュエータ206は第1ボディ201に設けられ、第1ボディは、第2ボディ202に作用して当該第2ボディの変位を誘発し、それにより流量制限の寸法を変更する。第1ボディには変位センサ207が設けられ、第1ボディに対する第2ボディ202の変位を測定する。あるいは、変位センサはレバー240またはアクチュエータ206の変位を測定することができる。一実施形態において、これは、1ナノメートル程度の直線変位を測定することができる容量測定装置または変位センサを用いて実施される。
【0028】
閉ループ制御回路は、センサ207の出力及びアクチュエータ206の作用によって形成され、流量制限部211の寸法の制御、および結果として2つの空間を連結するフローコンダクタンスの制御を実現する。ガス流が1つの空間に導かれ、他の空間から出るように導かれて、すべての流れが2つのボディにより規定された流量制限部を通過しなければならないように、配管208及び配管209はシステムに組み込まれる。
【0029】
図1に示されるように、この実施形態のGFCは流量制限器110も含む。流量制限器の典型的な実施形態は、図3および図4A~4Bに示される。図3において、流量制限器にはU字型に湾曲した管が用いられる。図3に示されるように、この管301は、ボルト穴303に挿入されるボルトでフローコントロール装置(図示せず)のボディに固定されるフランジ302内部に溶接されて、1つは流量制限器の上流、1つは下流でこれもフローコントロール装置のボディに固定される2つの圧力変換器106および112のガス流経路に、流量制限器のガス流経路を接続する。図4A~4Bにおいて、流量制限チャネル401がブロックに機械加工され、このブロックは同様に、ボルト穴403に挿入されるボルトでフローコントロール装置に固定される。
【0030】
流量を制御する前に、検索表、またはデータを記録するいずれか他の形式(概して「検索表」として言及される)が、上流圧力と、下流圧力と、温度と、流量制限器110を通る流量との間の関係を記述するために作成される。同様の情報を得る他の方法は、上流圧力と、流量制限器にわたる圧力低下と、温度と、流量制限器110を通る流量との間の関係を記述することである。この検索表と流量制限器110両端の圧力センサ、および流量制限器の温度を測定する温度センサ114によって、流量制限器110が流量センサーとして使用されることができる。流量制限器には可動部品がないので、検索表からのガス流の変動は、あっても最小限であると考えられる。
【0031】
図1のガスフローコントローラ100は、流量の正確性、およびバルブの位置、圧力変換器変動など他のパラメータについて自己診断を行うことができるように、観察および制御可能な、十分な数のパラメータを有する。さらに、これらの自己診断は、ガスフローコントローラが処理チャンバに所望の流量でガスを搬送しているときに、行うことができる。
【0032】
図1のコントローラ120は、コンピュータ読み出し可能な記憶媒体内に値を保存しており、該値は、所定のガス圧力および温度について所望される流量を得るために必要とされる、要求される流量制限部開放量hを決定することを可能にする。要求される開放量は、広範囲な圧力、温度、およびバルブの位置hの値についてガス流量を測定することで事前に決定された検索表を用いて決定可能である。
【0033】
図5のフローチャートにおいて、ガス制御バルブ108を通るガスの流量を制御および検証するための方法の一実施形態が示され、これは以下のようにまとめられる。
1.ステップ500において、流量の所望の設定値がコントローラ120に送信される。505において設定値が0である場合、処理が完了していると推定され、510においてコントローラはバルブを閉鎖する信号を送信し、515においてプロセスは停止する。
2.505において設定値が0でない場合、プロセスはステップ520に進み、コントローラは、圧力変換器P2 112によって示される測定圧力とともに制御バルブ108のための検索表を用いて、制御バルブの必要な位置を検索表から決定する。
3.コントローラは、バルブの決定位置を第1検索表から設定するために必要な駆動信号を決定する。これは閉ループ制御システムを用いて行われ、これにより、第1検索表から決定された位置が525にて定められたと制御バルブの位置センサが判定するまで、駆動信号を変化させる。
4.コントローラは、圧力変換器P1 106およびP2 112と、温度センサT114との値を読み取る。このデータを用いて、コントローラは、流量制限器110のための第2検索表から流量を決定する。
5.535では、コントローラは、流量制限器の第2検索表によって決定された流量と、制御バルブの第1検索表によって決定された流量とを比較する。535において値が合致すると、プロセスはステップ505に戻る。
6.535において、流量制限器の第2検索表によって決定された流量が、制御バルブの第1検索表によって決定された流量と異なるとき、540では、コントローラが、流量制限器の第2検索表によって決定された流量に合致させるように、制御バルブの第1検索表を更新する。
7.さらに、ステップ540の比較において、流量制限器の検索表によって決定された流量と、制御バルブの検索表によって決定された流量との差が、所定のしきい値より大きいことを示す場合、550において、コントローラはアラームを送信する。
8.設定値がゼロでない任意の値である期間、一定の間隔でステップ2~7が繰り返される。
【0034】
別の実施形態において、図6のフローチャートでは、制御バルブ108によってガスの流量を制御および検証するための方法が示され、これは以下のようにまとめられる。
1.600において、流量の所望の設定値をコントローラに送信する。605において設定値がゼロである場合、処理が完了していると推定され、610においてコントローラはバルブを閉鎖する信号を送信し、プロセスは停止する。
2.605において値が0でない場合、コントローラは、圧力変換器P1およびP2と、温度センサTとの値を読み取る。615において、流量制限器のための第2検索表とともにこのデータを用いて、コントローラは現在の流量を判定し、これにより、設定値の流量を得るために流量にどのくらいの変化が必要かの計算が可能になる。
3.620においてコントローラは制御バルブのための第1検索表を用い、ステップ615において判定された流量の変化を得るためにバルブがどのくらい移動する必要があるかを判定する。
4.コントローラは、625において必要な量の移動をするように制御バルブに命令する。
5.設定値がゼロでない任意の値である期間、一定の間隔で上述のステップ2、3および4が繰り返される。
6.命令、または設定値の各変更、または他の都合のよいときに、630において、流量の正確性が判定毎に確認されることがある。これは、635において、流量制限器の検索表によって決定された流量と、制御バルブの検索表によって決定された流量とを比較することで行われる。640においてこれらの2つの値が所定のしきい値を超えて異なる場合、645において警告またはアラームが送信され、流量の正確性が検証できなかったことを操作者に警告する。
【0035】
この実施形態において、ステップ5に記載される一定の間隔は、制御バルブが要求される位置に移動可能である時間よりも短くなるように選択される。結果的として、制御バルブが、所望の設定値と同等に流量制限器用検索表によって決定された流量を保つために、要求される位置を最終的にとるように、コントローラは、制御バルブの要求される動きを定期的に更新している。
【0036】
さらに他の実施形態において、要求される正確性がさほど高くないが、ある種の流量検証が所望される場合、流量制限器の代わりに熱センサをガス制御バルブの上流に配置することができる。これは図7の図面に示され、熱センサ701が流量の正確性を検証するために用いられている。図7において、熱センサ701によって測定される2つの発熱素子間の温度差は、GFC108の上流の、ガスの質量流量を示すものである。この質量流量データは、GFCの検索表とともに用いられて、GFCを通る実際の流量を検証し、任意の変動を修正する。「背景技術」の項において説明したように、熱センサ701は、流量制限器より不正確であり得るが、流量の検証は、制御バルブが正確に作動できない場合に有用であり、これは、制御バルブがGFC108における変動を検証するために使用可能なデータを提供するためである。図7における熱センサ701の使用は、先行技術のMFCにおいては熱センサ出力がMFCを通る流量の指標となるので、先行技術のMFCにおける使用とは異なるということが言及される。しかし、図7の実施形態において、熱センサの出力は、GFC上流の流量の指標となる一方で、GFCを通る流量は検索表によって決定され、熱センサ701の出力によって検証される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7