(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】噛み合い電磁クラッチ
(51)【国際特許分類】
F16D 27/108 20060101AFI20230607BHJP
F16D 27/118 20060101ALI20230607BHJP
F16D 11/04 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
F16D27/108 Z
F16D27/118
F16D11/04 Z
(21)【出願番号】P 2021555340
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(86)【国際出願番号】 CN2020079481
(87)【国際公開番号】W WO2020187180
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】201920332243.3
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511268454
【氏名又は名称】ジン-ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【氏名又は名称】池本 理絵
(72)【発明者】
【氏名】イー,ピィン
(72)【発明者】
【氏名】ヂィン,ハァイタァオ
(72)【発明者】
【氏名】ペェィ,ヂァンチィァン
(72)【発明者】
【氏名】ヘェィ,イーシィア
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108443353(CN,A)
【文献】欧州特許出願公開第00475504(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 27/108
F16D 27/112
F16D 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに噛み合って伝動する可動ギアスリーブ(5)と固定ギアスリーブ(12)とを含み、前記可動ギアスリーブ(5)の外側に第1のエンドカバー(6)が設けられ、前記可動ギアスリーブ(5)の外周にベアリング(1)が設けられ、前記ベアリング(1)がベアリングシート(7)内に嵌装され、前記ベアリングシート(7)の後端に位置決め面が設けられており、前記第1のエンドカバー(6)の前端が、前記ベアリングシート(7)の位置決め面に合わせる鉛直平面である噛み合い電磁クラッチであって、
前記第1のエンドカバー(6)の前端に位置決めピン(15)が設けられ、前記ベアリングシート(7)の後端に位置決め穴が前記位置決めピン(15)に合わせて設けられており、該位置決めピン(15)が前記位置決め穴に挿入されることで、前記ベアリングシート(7)と前記第1のエンドカバー(6)との間が、相対的な回転運動が発生せずに、相対的に軸方向に移動可能になるように制限される、
ことを特徴とする噛み合い電磁クラッチ。
【請求項2】
前記位置決めピン(15)が1つ以上設けられており、複数の前記位置決めピン(15)が設けられた場合、前記位置決めピン(15)が前記第1のエンドカバー(6)の周方向に沿って設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の噛み合い電磁クラッチ。
【請求項3】
前記位置決めピン(15)の後端が、前記第1のエンドカバー(6)の前端にネジ付け固定され、前記位置決めピン(15)の前端には、取り付け工具に合わせて前記位置決めピン(15)を取り付けるための一字溝、十字溝又は内六角溝が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の噛み合い電磁クラッチ。
【請求項4】
前記可動ギアスリーブ(5)の外側に可動アーマチュア(8)が外装され、前記可動アーマチュア(8)が前記可動ギアスリーブ(5)と共に軸方向に沿って移動可能であり、前記可動アーマチュア(8)と前記ベアリングシート(7)とがリベット(16)によって接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の噛み合い電磁クラッチ。
【請求項5】
前記ベアリングシート(7)の外周に径方向のフランジが設けられ、前記フランジには、取付穴が前記リベット(16)に対応して設けられている、
ことを特徴とする請求項4に記載の噛み合い電磁クラッチ。
【請求項6】
前記固定ギアスリーブ(12)の外側に固定アーマチュア(10)が外装され、前記固定アーマチュア(10)の前端には、前記可動アーマチュア(8)との吸引時に緩衝作用を果たし、前記固定アーマチュア(10)と可動アーマチュア(8)との間に隙間を残させるための緩衝部材が設けられており、前記緩衝部材が射出成形によって前記固定アーマチュア(10)の前端に固定されている、
ことを特徴とする請求項4に記載の噛み合い電磁クラッチ。
【請求項7】
前記緩衝部材が、前記固定アーマチュア(10)の前端に設けられた緩衝ガスケット(9)であるか、又は、周方向に沿って前記固定アーマチュア(10)の前端に設けられた複数の緩衝ブロックである、
ことを特徴とする請求項6に記載の噛み合い電磁クラッチ。
【請求項8】
前記緩衝ガスケット(9)又は緩衝ブロックが逆T字形である、
ことを特徴とする請求項7に記載の噛み合い電磁クラッチ。
【請求項9】
前記固定アーマチュア(10)内にソレノイドコイル(11)が設けられ、前記ソレノイドコイル(11)が通電されると、前記可動アーマチュア(8)が前記固定アーマチュア(10)へ吸引され、前記可動ギアスリーブ(5)と前記固定ギアスリーブ(12)とが噛み合い、前記緩衝部材の高さは、前記可動アーマチュア(8)と前記固定アーマチュア(10)との吸引後の隙間が0.1~1.5mmの範囲にあるという要件を満たす、
ことを特徴とする請求項6に記載の噛み合い電磁クラッチ。
【請求項10】
前記可動ギアスリーブ(5)が、スプラインを介して第1軸(4)に外装され、前記第1軸(4)の軸方向に沿って移動可能であり、前記第1軸(4)の前端に軸押さえ板(3)が設けられ、前記軸押さえ板(3)がスプリング(2)を介して前記可動ギアスリーブ(5)に接続されており、前記ソレノイドコイル(11)への通電が切断されると、前記スプリング(2)の弾性力により、前記可動ギアスリーブ(5)と前記固定ギアスリーブ(12)とが分離する、
ことを特徴とする請求項9に記載の噛み合い電磁クラッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチの技術分野に関し、特に、噛み合い電磁クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
噛み合い電磁クラッチが自動車で比較的広く使用されている。先行技術における一種の噛み合い電磁クラッチ構造は、
図1に示すように、互いに噛み合って伝動する可動ギアスリーブ5と固定ギアスリーブ12とを含み、固定ギアスリーブ12の外側に固定アーマチュア10が外装され、固定アーマチュア10と固定ギアスリーブ12とは、その間に隙間が設けられるとともに、位置が固定されており、固定アーマチュア10内にソレノイドコイル11が設けられ、可動ギアスリーブ5の外側に可動アーマチュア8が回転可能に外装されており、可動アーマチュア8が可動ギアスリーブ5と共に軸方向に沿って移動可能であり、ソレノイドコイル11が通電されると、可動アーマチュア8が固定アーマチュア10へ吸引され、可動ギアスリーブ5と固定ギアスリーブ12とが噛み合うようになる。
【0003】
可動ギアスリーブ5の外周にベアリング1が外装され、ベアリング1がベアリングシート7内に嵌装され、可動アーマチュア8がベアリングシート7の前端に接続され、ベアリングシート7の後端に位置決め面が設けられている。ベアリングシート7の位置決め面と第1のエンドカバー6とを位置決めして貼り合わせ、第1のエンドカバー6の前端が、ベアリングシート7の位置決め面に合わせる鉛直平面である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベアリング1の支持作用の下で、可動アーマチュア8が固定アーマチュア10へ吸引された時、ベアリングシート7が可動ギアスリーブ5と共に回転することがなく、可動アーマチュア8が固定アーマチュア10から分離された時、可動ギアスリーブ5が固定ギアスリーブ12と噛み合わなくなるが、可動ギアスリーブ5が回転し続け、すぐに停止することはできない。可動ギアスリーブ5からベアリングシート7に伝達されるトルクが非常に小さくなっているにもかかわらず、このときベアリングシート7が可動ギアスリーブ5と共に回転するため、ベアリングシート7が第1のエンドカバー6と摩擦を生じ、第1のエンドカバー6の損傷を引き起こしやすい。
【0005】
上記課題について、本発明は、位置決めピン及び位置決め穴によって、可動ギアスリーブのベアリングシートとエンドカバーとの間が、相対的な回転運動が発生せずに、相対的に軸方向に移動可能になるように可動ギアスリーブのベアリングシートとエンドカバーを制限し、両者間の摩擦を回避した噛み合い電磁クラッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明には、以下の技術案が用いられている。
本発明による噛み合い電磁クラッチは、互いに噛み合って伝動する可動ギアスリーブと固定ギアスリーブとを含み、前記可動ギアスリーブの外側に第1のエンドカバーが設けられ、前記可動ギアスリーブの外周にベアリングが設けられ、前記ベアリングがベアリングシート内に嵌装され、前記ベアリングシートの後端に位置決め面が設けられており、前記第1のエンドカバーの前端が、前記ベアリングシートの位置決め面に合わせる鉛直平面であり、前記第1のエンドカバーの前端に位置決めピンが設けられ、前記ベアリングシートの後端に位置決め穴が前記位置決めピンに合わせて設けられており、該記位置決めピンが前記位置決め穴に挿入されることで、前記ベアリングシートと前記第1のエンドカバーとの間が、相対的な回転運動が発生せずに、相対的に軸方向に移動可能になるように制限される。
【0007】
また、前記位置決めピンが1つ以上設けられており、複数の前記位置決めピンが設けられた場合、前記位置決めピンが前記第1のエンドカバーの周方向に沿って設けられてもよい。
【0008】
また、前記位置決めピンの後端が、前記第1のエンドカバーの前端にネジ付け固定され、前記位置決めピンの前端には、取り付け工具に合わせて前記位置決めピンを取り付けるための一字溝、十字溝又は内六角溝が設けられていてもよい。
【0009】
また、前記可動ギアスリーブの外側に可動アーマチュアが外装され、前記可動アーマチュアが前記可動ギアスリーブと共に軸方向に沿って移動可能であり、前記可動アーマチュアと前記ベアリングシートとがリベットによって接続されてもよい。
【0010】
また、前記ベアリングシートの外周に径方向のフランジが設けられ、前記フランジには、取付穴が前記リベットに対応して設けられていてもよい。
【0011】
また、前記固定ギアスリーブの外側に固定アーマチュアが外装され、前記固定アーマチュアの前端には、前記可動アーマチュアとの吸引時に緩衝作用を果たし、前記固定アーマチュアと前記可動アーマチュアとの間に隙間を残させるための緩衝部材が設けられており、前記緩衝部材が射出成形によって前記固定アーマチュアの前端に固定されていてもよい。
【0012】
また、前記緩衝部材が、前記固定アーマチュアの前端に設けられた緩衝ガスケットであるか、又は、周方向に沿って前記固定アーマチュアの前端に設けられた複数の緩衝ブロックであってもよい。
【0013】
また、前記緩衝ガスケット又は緩衝ブロックが逆T字形であってもよい。
【0014】
また、前記固定アーマチュア内にソレノイドコイルが設けられ、前記ソレノイドコイルが通電されると、前記可動アーマチュアが前記固定アーマチュアへ吸引され、前記可動ギアスリーブと前記固定ギアスリーブとが噛み合い、前記緩衝部材の高さは、前記可動アーマチュアと前記固定アーマチュアとの吸引後の隙間が0.1~1.5mmの範囲にあるという要件を満たしてもよい。
【0015】
また、前記可動ギアスリーブが、スプラインを介して第1軸に外装され、前記第1軸の軸方向に沿って移動可能であり、前記第1軸の前端に軸押さえ板が設けられ、前記軸押さえ板がスプリングを介して前記可動ギアスリーブに接続されており、前記ソレノイドコイルへの通電が切断されると、前記スプリングの弾性力により、前記可動ギアスリーブと前記固定ギアスリーブとが分離してもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明による噛み合い電磁クラッチの利点及び有益な効果は、以下の通りである。
可動ギアスリーブのベアリングシートに1つの位置決めピンが追加され、位置決めピンの他端がエンドカバーに取り付けられており、位置決めピンの役割が、周方向での位置決め用であり、ベアリングシートとエンドカバーが回転運動をせずに、軸方向での往復移動のみを行うことを保証し、両者間の摩擦を回避した。
ベアリングシートと可動アーマチュアとの間がリベット接続方式で接続されるようにベアリングシートの設計を最適化し、緩み防止性能を向上させ、システム全体の信頼性を高めた。
射出成形の方式によって緩衝ガスケット又は緩衝ブロックを固定アーマチュア上に固定することで、生産効率が向上するとともに、緩衝ガスケット又は緩衝ブロックと可動アーマチュアとの接触面積が増加した。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】先行技術における噛み合い電磁クラッチの構造模式図である。
【
図2】本発明の実施例における噛み合い電磁クラッチの構造模式図である。
【
図3】本発明の実施例における固定ギアスリーブの構造模式図である。
【
図4】本発明の実施例における可動ギアスリーブの構造模式図である。
【
図5】本発明の実施例における可動ギアスリーブと可動アーマチュアの組立模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の設計思想としては、
可動ギアスリーブのベアリングシートとエンドカバーとの間で摩擦が生じてエンドカバーの損傷を引き起こしやすいという先行技術に存在する欠陥に対して、本発明は、可動ギアスリーブのベアリングシートに1つの位置決めピンが追加され、位置決めピンの他端がエンドカバーに取り付けられた噛み合い電磁クラッチを提供する。位置決めピンの役割が、周方向での位置決め用であり、ベアリングシートとエンドカバーが回転運動をせずに、軸方向での往復移動のみを行うことを保証し、両者間の摩擦を回避した。
本発明の目的、技術案及び利点がさらに明確になるように、以下、図面を参照して、本発明の実施形態をさらに詳しく説明する。
【0019】
[実施例1]
図2、
図3、
図4、
図5には、本発明の実施例1が示されており、当該実施例による噛み合い電磁クラッチは、互いに噛み合って伝動する可動ギアスリーブ5と固定ギアスリーブ12とを含み、可動ギアスリーブ5の外側に第1のエンドカバー6が設けられ、可動ギアスリーブ5の外周にベアリング1が設けられ、ベアリング1がベアリングシート7内に嵌装され、ベアリングシート7の後端に位置決め面が設けられ、第1のエンドカバー6の前端が、ベアリングシート7の位置決め面に合わせる鉛直平面であり、第1のエンドカバー6の前端に位置決めピン15が設けられ、ベアリングシート7の後端に位置決め穴が位置決めピン15に合わせて設けられており、位置決めピン15が位置決め穴に挿入されることで、ベアリングシート7と第1のエンドカバー6との間が、相対的な回転運動が発生せずに、相対的に軸方向に移動可能になるように制限され、両者間の摩擦が回避される。
【0020】
可動ギアスリーブ5からベアリングシート7に伝達されるトルクが非常に小さいため、位置決めピン15を1つだけ設ければ、ベアリングシート7を周方向で位置規制する役割を果たすことができる。
【0021】
もちろん、複数の位置決めピン15が設けられてもよい。複数の位置決めピン15が設けられた場合、位置決めピン15が、第1のエンドカバー6の周方向に沿って設けられ、第1のエンドカバー6の前端に均等に配置されてもよい。
【0022】
図1に示すように、位置決めピン15の後端が、第1のエンドカバー6の前端にネジ付け固定され、位置決めピン15の前端には、取り付け工具に合わせて位置決めピン15を取り付けるための一字溝、十字溝又は内六角溝が設けられている。
【0023】
取り付け工具に合わせる溝を設けることで、位置決めピン15の直径を大きくすることなく、ベアリングシート7の位置決め穴における位置決めピン15の軸方向の移動を妨げないことが保証され、取り付けが便利である。
【0024】
可動ギアスリーブ5の外側に可動アーマチュア8が外装され、可動アーマチュア8が可動ギアスリーブ5と共に軸方向に沿って移動可能であり、可動アーマチュア8とベアリングシート7とが、
図1、
図5に示すように、リベット16によって接続される。
【0025】
リベット接続方式は、先行技術におけるボルト接続方式に比べて、可動アーマチュア8とベアリングシート7との間の緩み防止性能を向上させることができ、システム全体の信頼性を高めた。
【0026】
リベット16の取り付けを容易にするために、
図1に示すように、ベアリングシート7の外周に径方向のフランジが設けられ、フランジには、取付穴がリベット16に対応して設けられている。
【0027】
図1に示すように、固定ギアスリーブ12の外側に固定アーマチュア10が外装され、固定アーマチュア10の前端には、可動アーマチュア8との吸引時に緩衝作用を果たし、固定アーマチュア10と可動アーマチュア8との間に隙間を残させるための緩衝部材が設けられており、緩衝部材が射出成形によって固定アーマチュア10の前端に固定されている。
【0028】
緩衝部材によれば、固定アーマチュア10と可動アーマチュア8との直接衝突が回避される一方で、固定ギアスリーブ12と可動ギアスリーブ5との噛合時に固定アーマチュア10と可動アーマチュア8との間に一定の隙間が保証され、固定アーマチュア10と可動アーマチュア8との貼合後に残留磁気によって分離できなくなることが回避される。
【0029】
本実施例において、緩衝部材が、固定アーマチュア10の前端に設けられた緩衝ガスケット9である。射出成形の方式によって緩衝ガスケット9を固定アーマチュア10上に固定することは、先行技術におけるボルト接続方式に比べて、生産効率を向上させるとともに、緩衝ガスケット9と可動アーマチュア10との接触面積を増加させた。
【0030】
好ましくは、緩衝ガスケット9が逆T字形であり、このようにして、緩衝ガスケット9の固定アーマチュア10での堅固さを向上させることができる。
【0031】
図1に示すように、固定アーマチュア10内にソレノイドコイル11が設けられており、ソレノイドコイル11が通電されると、可動アーマチュア8が固定アーマチュア10へ吸引され、可動ギアスリーブ5と固定ギアスリーブ12とが噛み合い、緩衝部材の高さは、可動アーマチュア8と固定アーマチュア10との吸引後の隙間が0.1~1.5mmの範囲にあるという要件を満たす。
【0032】
可動ギアスリーブ5が、スプラインを介して第1軸4に外装され、第1軸4の軸方向に沿って移動可能であり、第1軸4の前端に軸押さえ板3が設けられ、軸押さえ板3がスプリング2を介して可動ギアスリーブ5に接続されており、ソレノイドコイル11への通電が切断されると、スプリング2の弾性力により、可動ギアスリーブ5と固定ギアスリーブ12とが分離する。
【0033】
軸押さえ板3の役割は、スプリング2を圧縮状態に保つためであり、クラッチの離接に伴ってスプリング2の圧縮量が変化し、弾性力の値も変化する。
【0034】
クラッチが分離状態にある時、スプリング2の予圧縮の下で、ベアリングシート7の位置決め面が第1のエンドカバー6にくっつくため、分離状態での可動アーマチュア8の位置が決まり、可動アーマチュア8と固定アーマチュア10との分離後の隙間が3.6~4mmの範囲内とされ、この隙間によれば、ソレノイドコイル11に通電した時に、固定アーマチュア10が十分な吸引力を有することが保証され、可動アーマチュア8が迅速に吸引される。ソレノイドコイル11による電磁力が、スプリング2の弾性力、及び、可動ギアスリーブ5と第1軸4との摩擦力よりも大きい場合、クラッチが分離状態から結合状態に変化する。結合状態を維持しようとする場合、ソレノイドコイル11には、その発生する電磁力がこの時の弾性力よりも大きくなるように通電する必要がある。また、結合状態にある時、緩衝ガスケット9が可動アーマチュア8にくっつき、可動アーマチュア8と固定アーマチュア10との吸引後の隙間が0.3~0.5mmの範囲内にあることが保証される。本発明は、可動アーマチュアとエンドカバーとの間の正確な位置決めにより、クラッチの分離後に2つのアーマチュア間の隙間が予め設定された範囲内にあるようにし、クラッチの吸引時に十分な吸引力を保証し、迅速な吸引を実現している。
【0035】
クラッチの吸引時に、固定アーマチュア10上の緩衝ガスケット9が可動アーマチュア8にしっかりとくっつき、可動アーマチュア8と固定アーマチュア10との間に相対的な回転がなく、相互に摩擦する問題が回避され、それと同時に、固定ギアスリーブ12と可動ギアスリーブ5とが噛み合って、同期回転してトルクを伝達し、このとき、固定ギアスリーブ12と可動ギアスリーブ5との端面歯は、歯側面のみが接触し、歯元と歯先が接触しないため、電磁力による余分な軸方向荷重が第1軸4及び第2軸14に作用することが回避され、これら2つの軸のベアリングへの負荷が軽減される。
【0036】
本実施例による噛み合い電磁クラッチは、新エネルギー自動車用電気駆動システムに適用され、構造がコンパクトで、補助実行構造がなく、操作が便利であり、当該システムが、動力トルクの伝達と遮断を制御する。本発明は、構造が単純で、組立製造性が良い。
【0037】
[実施例2]
実施例1とは異なり、本実施例において、緩衝部材が、周方向に沿って固定アーマチュア10の前端に設けられた複数の緩衝ブロックである。
好ましくは、緩衝ブロックも逆T字形であり、このようにして、緩衝ブロックの固定アーマチュア10での堅固さを向上させることができる。
本実施例における噛み合い電磁クラッチは、他の構造が実施例1と同じであり、ここで繰り返して説明しない。
【0038】
上記内容は、あくまでも本発明の具体的な実施形態であり、本発明の保護範囲はこれに限定されることなく、当分野に精通している当業者であれば、本発明によって開示された技術的範囲内で容易に想到され得るいかなる変更又は置換も、本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0039】
1…ベアリング、2…スプリング、3…軸押さえ板、4…第1軸、5…可動ギアスリーブ、501…可動ギアスリーブ端面歯、6…第1のエンドカバー、7…ベアリングシート、8…可動アーマチュア、9…緩衝ガスケット、10…固定アーマチュア、11…ソレノイドコイル、12…固定ギアスリーブ、121…固定ギアスリーブ端面歯、13…第2のエンドカバー、14…第2軸、15…位置決めピン、16…リベット。