(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】自動車内での高性能低音再生のための剛構造体用の振動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20230607BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20230607BHJP
H04R 7/04 20060101ALI20230607BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20230607BHJP
【FI】
H04R1/02 102B
H04R1/00 310F
H04R7/04
H04R9/02 102A
(21)【出願番号】P 2021560434
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 EP2020060215
(87)【国際公開番号】W WO2020208168
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-10-05
(31)【優先権主張番号】102019205278.9
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521442213
【氏名又は名称】コンチネンタル・エンジニアリング・サーヴィシズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】パツォーラス・ディミトリオス
(72)【発明者】
【氏名】イェスト・ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】フリードリヒ・イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ケルクマン・ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー・パスカル
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ・カルステン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィック・ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】アイゼレ・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】フェレキディス・ハラランポス
(72)【発明者】
【氏名】ノイバウアー・フィリップ
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0039491(US,A1)
【文献】国際公開第2011/158434(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/104659(WO,A2)
【文献】特開2013-118545(JP,A)
【文献】上野滋,すぐに役に立つ 精密機械技術ノート6-永遠の課題:熱対策[I]-,機械と工具,2006年04月,第50巻,第4号,p.76-79
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/46
H04R 7/00-7/26
H04R 9/00-9/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の少なくとも1つの構成部品を振動で励振させるためのアクチュエータ(5)であって、
前記アクチュエータ(5)は、以下のもの、すなわち、
前記構成部品に接続されるように構成されるハウジング(10)と、
前記ハウジング(10)に堅固に接続される電気コイル(30)であって、電流が前記電気コイル(30)に流れたときに磁界を発生させるように構成される前記電気コイル(30)と、
限られた範囲内で移動可能であるように前記ハウジング(10)内に配置される磁石(40)と
、を有し、
前記アクチュエータは、前記磁石に割り当てられる少なくとも1つの第1の磁極板(44、46)を有し、第1の磁極板の外向き表面(62)、すなわち、前記磁石から離れる方向に面する表面は、凹状で
ある結果、前記第1の磁極板の外縁が、前記磁極板の中央よりも大き
い厚さを有する
当該アクチュエータ(5)。
【請求項2】
前記第1の磁極板(44、46)は、前記
第1の磁極板
の半径方向の全長の最大20%を占めることができる、前記第1の磁極板(44、46)の外縁に沿った
一定の厚さのカラー(63)を有す
る請求項
1に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項3】
前記磁石側に向けられる前記第1の磁極板のその表面(61)は
、平面状であ
る請求項
1又は2に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項4】
第1の磁極板及び/又は第2の磁極板(44、46)は、それらの外向き表面(62)に関して、第1の磁極板及び/又は第2の磁極板(44、46)がそれらの中心
に平面状の一部表面及び/又は平坦部(64)を有するように構成され
る請求項
1~
3のいずれか一項に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項5】
前記アクチュエータ(10)の前記ハウジングは、少なくとも0.08kJ/K
又は少なくとも0.1kJ/Kの熱容量を有す
る請求項1~
4のいずれか一項に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項6】
前記
電気コイルは、比較的高い熱伝導性の接着剤による前記ハウジングへの固定接続部を有し、前記接着剤は、少なくとも0.8W/(m K)
又は少なくとも1W/(m K)の熱伝導率を有す
る請求項1~
5のいずれか一項に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項7】
前記接着剤の層厚さは、最大
で0.3mm
であるか又は0.1mm未満であ
る請求項
6に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項8】
接着接続により前記
電気コイルに接続される、前記ハウジング
の内表面
が、構造化され且つ/輪郭形成され
る請求項1~
7のいずれか一項に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項9】
前記磁石(40)を非動作位置に付勢するように構成されるばね構成(20)を有し、前記ばね構成(20)は、可能な全ての移動方向に沿って前記磁石を前記非動作位置に戻す態様で前記磁石(40)を付勢するように構成され
る請求項1~
8のいずれか一項に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項10】
前記ばね構成(20)は、第1のばね要素(22)と第2のばね要素(24)とを有し、
前記磁石(40)は、前記第1のばね要素(22)と前記第2のばね要素(24)との間に保持され、
前記第1のばね要素(22)は、前記磁石(40)を第1の方向に付勢し、且つ前記第2のばね要素(24)は、前記磁石(40)を前記第1の方向と反対の第2の方向に付勢し
、前記第1のばね要素(22)は、前記磁石(40)を付勢するための
複数のばねアーム(26)を有し、且つ/又は前記第2のばね要素(24)は、前記磁石(40)を付勢するための
複数のばねアーム(28)を有す
る請求項
9に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項11】
前記ばね要素(22、24)は、複合材料から形成され
る請求項
10に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項12】
前記ばねアーム(26)の前記構成は、固有振動を防止するために
対称又は非対称に構成される、請求項
10~
11のいずれか一項に記載のアクチュエータ(5)。
【請求項13】
前記ばねアーム(26)は、剛性及び振動特性を更に改善するように輪郭形成され、前記輪郭形成は
、少なくとも1つのリブ及び/又は少なくとも1つのビード及び/又は少なくとも1つの縁部及び/又は少なくとも1つの湾曲部によりなされ
る請求項
10~
12に記載のアクチュエータ(5)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の少なくとも1つの構成部品を振動で励振させるためのアクチュエータと、かかるアクチュエータを備えた構成部品構成と、かかる構成部品構成を備えた自動車とに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の自動車では、ラジオ、CD、又は電子録音などの音源からの音声再生を可能にする娯楽システムが標準的である。車両内でのバランスの取れた音声再生のために、音声信号は通常、異なる周波数範囲に分割され、この目的でいずれの場合にも最適化されている要素を使用して再現される。低音域の再現には、相応に力強い音を生成するために、十分に重くて大きなスピーカと大きな容積とが必要となる。しかしながら、車室内では、通常、使用可能な空間を制限せずに、小さな容積しか利用できない。更に、そのようなスピーカの概して大きな重量は、燃費に、ひいては汚染物質排出及び汚染域にも悪影響を及ぼす。
【0003】
特に低音域を再現するためのスピーカは、車室内に組み込まれたハウジング内に既に設置されていることが多い。このハウジングは、スピーカのために適合された共鳴容積を既に含む。しかしながら、そのようなスピーカとハウジングとの組み合わせには、特に、大きな容積及び高重量などの、前述の欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、自動車内での音声再生のための代替的な及び/又は改善された可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、それぞれの主請求項に係る、アクチュエータと構成部品構成と自動車とにより達成される。有利な実施形態は、例えば、それぞれの従属請求項に見出すことができる。それらの請求項の内容は、明示的な参照により本説明の内容に組み込まれる。
【0006】
本発明は、好ましくは、自動車の少なくとも1つの構成部品を振動で励振させるためのアクチュエータに関する。アクチュエータは、構成部品に接続されるように構成されるハウジングを有する。アクチュエータは、ハウジングに堅固に接続される電気コイルであって、電流が電気コイルに流れたときに磁界を発生させるように構成される電気コイルを有する。更に、アクチュエータは、限られた範囲内で移動可能であるようにハウジング内に配置される磁石を有する。アクチュエータにより振動するように励振させる少なくとも1つの構成部品は、特に好ましくは複数の構成部品の構造体であり、非常に特に好ましくはハウジングを含む。
【0007】
アクチュエータは、好ましくは、そのような構成部品を励振させて適切な態様で振動させることができ、この振動が空気伝播音を発することができる。自動車におけるそのようなアクチュエータの使用により、自動車内で使用される既知のスピーカと比較して空間と重量の大幅な節約が可能となる。
【0008】
剛構造体用のアクチュエータは、自動車内での高性能低音再生のために励振させるべき構成部品として設計されることが好適である。アクチュエータ自体は、音を発しないが、むしろ車両内にいかなる場合にも存在する構造体を励振させ、これらの構造体の少なくとも1つは、振動させるために、励振させるべき構成部品の形態である。この励振の結果として、構造体は振動を形成し、最終的には、従来のサブウーファと比較して有利な態様で音を発する。ここでは、追加の共鳴容積は必要でない。必要とされる空間が最小限に抑えられる。アクチュエータは、有利には、従来のサブウーファよりも5~10倍小さく且つ2~5倍軽い。低音再生の性能は、特に最も高い出力ピークと常時の最大負荷に関して、従来のサブウーファの性能をはるかに上回っている。
【0009】
アクチュエータの1つの目的は、例えば、空気伝播音を発するために又は1つ若しくは複数の適切な構造体により音を再現するために、振動を発生させることとすることができる。
【0010】
構造体は、好適には、複数の構成部品、特に互いに接続され且つ振動するように一緒に又は部分的に励振させる構成部品を含む。
【0011】
アクチュエータは、好ましくは、低音域を再現するのに又は低音再生のために特に適したものであるように構成され、アクチュエータは、いずれの場合にも好適には-6dBまで、特に-3dBまでの振幅の低下を伴う、100Hz又は200Hz未満、特に100Hz又は200Hz未満から少なくとも60Hz、特に好ましくは少なくとも40Hzまで下がる周波数に適した又は更に適したものである。
【0012】
アクチュエータは、好適には、少なくとも100dBの最大音圧レベルを再現するように構成される。
【0013】
特に、アクチュエータは、少なくとも1時間にわたって少なくとも80dBの音圧レベルを連続的に発生させることができるように設計される。
【0014】
アクチュエータのハウジングは、好ましくは、構成部品に直接接続されるか、又は少なくとも1つの締結手段を介して構成部品に間接的に接続される。ハウジングと構成部品との間のリンクは、そこでは、特に実質的に剛性及び/又は強固であるように直接又は間接的に構成される。
【0015】
構成部品は、好適には、自動車の以下の構造体、すなわち、床パネル、ドア構造パネル、トランクリッド、予備車輪用の凹部、ルーフ構造、クロスメンバ、フェンダ、長手方向部材、ドア支持体、端壁又はフレーム部のうちの1つ、特に、以下の構造体、すなわち、床パネル、トランクリッド又は端壁のうちの1つとして構成される。この構造体は、特に好ましくは、炭素及び/又はガラス繊維強化プラスチックGFRP及び/又は炭素繊維強化プラスチックCFRPとして構成される。
【0016】
ハウジング内の電気コイルの好ましい剛性構成は、コイルとハウジングとの相対移動を効果的に防止する。このように、互いに擦れ合うことがある構成部品の摩滅を防止することができる。このことは、電気コイルを接続するためのケーブルにも当てはまり、このケーブルについては、以下でより詳細に述べる。
【0017】
振動は、好ましくは、機械的振動である。この振動は、例えば、アクチュエータの振動で表すことができる。そのような振動は、少なくとも1つの構成部品に伝達することができ、次いで、構成部品も、対応する振動を実行する。アクチュエータの振動は、好ましくは、特に少なくとも1つの構成部品に伝達された後に、空気伝播音波の発振又は空気中を更に伝播する音波の発生をもたらす振動である。特に、この振動は、人間の典型的な可聴範囲にほぼ相当する、20Hz~20kHzの周波数を有することができる。
【0018】
アクチュエータは、好ましくは、例えば差し込み接続又は圧着接続による電気接続部を有し、この電気接続部は、ハウジング内に完全に又は部分的に組み込むことができ、且つコイルに電気的に接続される。ケーブルは、例えば、この目的で使用することができる。前記ケーブルは、接続部とコイルとの間に電気的リンクを形成することができる。かかるケーブルはまた、例えば、電気接続部をハウジングから離して配置するために使用することができる。
【0019】
電気接続部は、有利には、ハウジングに堅固に接続される。このように、特に、電気接続部とハウジングとの相対移動を防止することができ、これにより摩滅を回避することができる。
【0020】
電気接続部とコイルとの間の電気的リンクは、好ましくは、ハウジング上に完全に固定される。結果として、ケーブルなどの電気的リンクとハウジングとの相対移動を効果的に防止することができる。これにより、材料の摩擦及び疲労、ひいては摩耗又は摩滅が回避される。
【0021】
磁石は、好ましくは、特にコイルにより発生させる磁界により、励振可能及び/又は偏向可能とすることができる。それにより、振動を発生させることができる。
【0022】
磁石は、好ましくは、ハウジング内に定められた1つの空間方向にのみ移動可能とすることができる。空間方向は、ここでは、ある方向と正反対の方向との組み合わせに相当することができる。換言すれば、磁石は、ハウジング内に定められた軸線に沿って1次元的に移動させることができる。
【0023】
アクチュエータは、好ましくは、磁石を非動作位置に付勢するように構成されるばね構成を有する。そして、特にコイルにより発生させた既に述べた磁界により、前記非動作位置から磁石を偏向させることができる。
【0024】
ばね構成は、好ましくは、可能な全ての移動方向に沿って磁石を非動作位置に戻す態様で磁石を付勢するように構成することができる。可能な移動方向は、例えば、上記で既に更に述べた空間方向により定められる方向とすることができる。
【0025】
ばね構成は、好ましくは、第1のばね要素と第2のばね要素とを有し、磁石は、第1のばね要素と第2のばね要素との間に保持される。第1のばね要素は、好ましくは、磁石を第1の方向に付勢する。第2のばね要素は、好ましくは、磁石を第1の方向と反対の第2の方向又は向きに付勢する。ばね要素による付勢は、それに応じて磁石が、上記で既に述べたように、1つの空間方向に又は1次元的にのみ移動可能である場合に特に有利である可能性がある。そして、磁石は、ばね構成により両方向に付勢される。
【0026】
代替的に、好ましくは、例えば、1つ又は全ての関連する方向に付勢を発生させることができる1つのばね要素のみを使用することも可能である。
【0027】
ばね要素又は第1のばね要素は、好ましくは、磁石を付勢するための多数のばねアームを有する。第2のばね要素もまた、好ましくは、磁石を付勢するための多数のばねアームを有する。そのような実施形態は、典型的な用途に有利であることが分かっている。磁石は、特にばねアームが1点で交わるそれぞれの箇所に取り付けることができる。
【0028】
第1のばね要素のばねアームは、好ましくは、星形又は螺旋形に配置することができる。第2のばね要素のばねアームもまた、好ましくは、星形又は螺旋形に配置することができる。磁石は、例えば、そのような星形状の中心に締結することができ、それにより生じるばね効果が有利であることが判明している。
【0029】
ばねアームの構成は、固有振動を防止するために、好適には対称に構成されるか又は、代替的に、好ましくは非対称に構成される。ここでは、非対称は、特に好ましくは、回転非対称又は並進非対称として構成される。
【0030】
ばね要素の材料厚さは、好ましくは、一定であるように又は、特に、異なる厚さであるように構成することができる。ばねの特別な振動特性及び特別な戻り特性を実現するために、ばね要素の異なる箇所に異なる厚さを与えることが好適である。例えば、ばね要素は、より顕著な漸進的戻り特性曲線を輪郭形成により取得することができる。
【0031】
少なくとも1つのばねアーム又は複数のばねアーム及び/又は少なくとも1つのばね要素は、好適には、剛性及び振動特性を更に改善するように輪郭形成されるように構成される。ここでは、輪郭形成は、特に好ましくは、少なくとも1つのリブ及び/又は少なくとも1つのビード及び/又は少なくとも1つの縁部及び/又は少なくとも1つの湾曲部により、非常に特に好ましくは各ばねアーム及び/又は各ばね要素に対して行われる。
【0032】
第1のばね要素及び第2のばね要素は、好ましくは、互いに可能な限り最大の距離をおいてハウジング内に配置され且つ/又はハウジングの両端部に配置される。結果として、特にハウジングの位置を自由に選択できるという意味で、可能な限り最良のばね力の発生を達成することができる。磁石は、地表面又は何か他の外部要素に対するハウジングの任意の位置において非動作位置に適切に付勢され、且つ制限なしに意図したように磁界により偏向させることができる。可能な限り最大の距離は、ここでは特に、磁石の軸方向の移動を示す、上記で既に述べた空間方向を指すことができる。
【0033】
ばね要素は、例えば、プラスチック、金属又は複合材料から形成することができる。それにより、音響挙動に影響を及ぼすことができる。特に、このように、ばね要素の減衰挙動に影響を及ぼすことができる。
【0034】
ばね要素は、特に好ましくは、特に追加的に、ばね要素の固有振動挙動を減衰及び/又は離調させるために、例えば、比較的高い減衰特性を有する1つ若しくは複数のプラスチックで又は比較的重い材料でコーティングされる。
【0035】
磁石は、好ましくは、コイル内を移動可能とすることができる。コイル内での可動性は、コイルにより発生させる特に良好な磁界効果を達成する。
【0036】
アクチュエータは、好ましくは、コイルを取り囲み且つ導磁性及び/又は熱伝導性材料から形成されるハウジング又はハウジング部としてのリングを有する。導磁性材料からの形成により、好ましい態様でコイルの側面に磁気接続を生じさせることが可能となる。これにより、コイルにより発生させる磁界効果が大幅に改善される。
【0037】
アクチュエータのハウジングは、好ましくは、少なくとも25W/(m k)、特に少なくとも40W/(m K)の熱伝導率を有する材料から形成される。これにより、ハウジングの内部で生じる熱の特に有利な放散が可能となる。この熱は、特に、コイルに流れる電流と移動する磁石に起因して起こり得る摩擦効果とから生じる可能性がある。熱伝導性材料からの形成により、好ましくはこの熱を、例えば、ハウジングに接続された構成部品又は励振させるべき構成部品に放散することが可能となる。それにより、アクチュエータの過熱が有利に防止される。
【0038】
アクチュエータのハウジングは、好ましくは、少なくとも0.08kJ/K、特に少なくとも0.1kJ/Kの熱容量を有する。この特に高い比熱容量のため、一時的な負荷ピークから生じる高い熱入力をコイルにより吸収することができる。
【0039】
ハウジングへのコイルの固定接続部は、好ましくは、比較的高い熱伝導性の接着剤の接着接続により形成することができる。ここでは、接着剤は、少なくとも0.8W/(m K)、特に少なくとも1W/(m K)の熱伝導率を有する。ここでは、接着剤の層厚さは、好適には、最大0.3mm、特に0.1mm未満である。これにより、コイルからハウジングへの効率的な熱放散が確実に行われる。
【0040】
ハウジングに強固に接続されたコイルのコイル支持体は、コイルからハウジング内への効率的な熱放散を確実にするために、少なくとも0.8W/(m K)、特に少なくとも1W/(m K)の熱伝導率を有する比較的高い熱伝導性の材料から形成されることが好ましい。
【0041】
接着接続によりコイルに且つ/又はコイル支持体に接続される、ハウジングの内表面は、構造化され且つ/又は輪郭形成されることが好ましい。ハウジングの内表面又はハウジング内部の表面は、特にこの表面がコイルに且つ/又はコイル支持体に接続される領域において、接触表面の増大によりコイルからハウジング内への効率的な熱放散を確実にするために、例えば、表面構造として矩形輪郭及び/又は三角形輪郭及び/又は正弦波状輪郭及び/又は円弧状輪郭を有する。追加的又は代替的に、更なる輪郭形成部/リブは、好適には、ハウジングの外側に取り付けることができ、環境への熱伝達の改善を確実にする。
【0042】
好ましい実施形態によれば、ハウジングは、コイルに対する第1の軸方向端部に第1のカバーキャップを有する。第1のカバーキャップは、特にプラスチックから、非導磁性材料及び/若しくは非熱伝導性材料から、又は熱伝導性材料から形成することができる。ハウジングはまた、コイルに対する第2の軸方向端部に第2のカバーキャップを有することができる。第2のカバーキャップもまた、特にプラスチックから、非導磁性材料及び/若しくは非熱伝導性材料から、又は熱伝導性材料から形成することができる。
【0043】
非導磁性材料からのそれぞれのカバーキャップの特に好ましい形成のため、磁束をハウジング内に全体的又は部分的に保持することができ、これにより、例えば、他の構成部品との干渉が防止される。非熱伝導性材料から形成する結果として、アクチュエータから接触要素への熱放出を防止又は低減することができる。
【0044】
PA6(ポリアミド6)、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体)又はPP(ポリプロピレン)などのプラスチックが、非熱伝導性で非導磁性の材料として使用されることが好ましい。
【0045】
特に、3つの部分から成る、すなわち、リングと2つのカバーキャップとを備えたハウジング構造を提供することができる。
【0046】
しかしながら、それぞれのカバーキャップはまた、例えば、熱伝導性であるように設計することもできる。特に、それぞれのカバーキャップは、同時に導磁性でないように設計することができる。結果として、別の要素に熱を放出することができ、これにより、アクチュエータの過熱が防止される。例えば、アルミニウム又はマグネシウムは、熱伝導性及び非導磁性材料として使用することができる。
【0047】
ハウジングは、好ましくは、外部からアクセス可能な雌ねじを備えたボア又は外側からアクセス可能な別の締結手段を有する。そのような締結手段はまた、例えば、ねじ山のない貫通孔として又は別の適切な態様で設計することができる。結果として、ハウジングを、例えば、自動車の既に述べた構成部品とは異なる要素に、例えば車体に又は自動車の床に、更に堅固に締結することができる。結果として、構成部品を有利な態様で励振させることができるように、別の要素、特により剛性の高い要素に対する基準を確立することができる。
【0048】
磁石は、好ましくは、アクチュエータの他の構成部品の質量の80%~アクチュエータの他の構成部品の質量の120%の範囲の質量を有する。このような値は、特に音響の観点から、有利であることが判明している。
【0049】
ハウジングは、好ましくは、完全に又は実質的に径方向に対称であるように設計することができる。この設計は、簡単に製造及び使用できる設計であることが判明している。しかしながら、他の設計、例えば、四角形、正方形又は矩形の設計、又は異なる数の角を有する設計も可能である。
【0050】
ハウジングは、例えば、閉鎖されるように、開放した状態であるように又は部分的に開放した状態であるように設計することができる。閉鎖設計は、特に、塵埃、液体又は他の汚染物質の侵入に対して一定水準の保護を実現することができる。
【0051】
磁石は、好ましくは、磁性中心部と、第1の磁極板と、第2の磁極板とを有する。ここでは、中心部は、好ましくは、第1の磁極板と第2の磁極板とで取り囲まれる。
磁性中心部は、特に、第1の磁極板と第2の磁極板との間の磁石の単一の可能な移動方向又は空間方向に沿って配置することができる。このような設計は、有利であることが判明している。
【0052】
第1の磁極板及び/又は第2の磁極板は、好ましくは、磁石に特に2つの対向する側面に割り当てられ、磁極板間の磁石は、アクチュエータの非偏向状態において、特に好ましくは中心に位置する。
【0053】
好適な第1の磁極板の外向き表面、すなわち、磁極板が磁石に割り当てられた状態で、磁石から離れる方向に面する表面は、特にその断面に関して、好ましくは凹状であり、したがって、前記磁極板は、その中心においてよりも外縁において大きな厚さを有する。厚肉の外縁と薄肉の中心部との間の移行部は、ここでは、特に直線状に傾斜するか又は円弧状に傾斜するか又は放物線状に傾斜する態様で設計される。更に、磁極板の外縁、特に外向き表面の外縁に沿って、磁極板は、特に好ましくは、特に実質的に一定の厚さのカラーを有し、このカラーは、第1の磁極板の半径方向の全長の最大20%を占めることができる。磁石側に向けられる第1の磁極板の表面は、好適には、実質的に平面状であるように設計される。
【0054】
同様に、第2の磁極板は、好ましくは、その外向き側面において、第1の磁極板の外向き表面と同じように形成される。特に、第2の磁極板の場合には、磁石側に向けられた側面又は表面も実質的に平面状である。そのような設計は、第1に、磁極板の外側領域における磁束密度がより高く、第2に、それぞれの隣接するばね要素を磁極板のより近傍に配置できるという効果をもたらすことができる。結果として、構築空間を全体的に節約することができる。
【0055】
第1の磁極板及び/又は第2の磁極板は、好適には、それらの外向き表面に関して、第1の磁極板及び/又は第2の磁極板がそれらの中心に実質的に平面状の一部表面又は平坦部を有するように構成される。
【0056】
第1の磁極板及び/又は第2の磁極板は、磁石に面する側面が実質的に平面状であり、磁石から離れる方向に面する側面又は外側面は、磁極板の断面に関して凹状であり、したがって、磁極板の断面全体が凹状であることが好適である。第1の磁極板及び/又は第2の磁極板の外側面は、特に周縁にカラーを有し、磁極板は、中心においてよりもカラーにおいて大きな厚さ又は材料厚さを有し、特にいずれの場合にも、外側面の中心領域における磁極板は、実質的に平面状の平坦部を有する。カラーと平坦部との間の移行部は、ここでは、特に好ましくは直線状移行部又は円弧状移行部又は放物線状移行部又はこれらの移行部形状のうちの2つ若しくは3つの組み合わせとして設計される。
【0057】
磁石又は磁性中心部は、例えば、ネオジム合金又はフェライト合金で構成することができる。
【0058】
本発明は更に、好ましくは、自動車用の構成部品構成に関し、構成部品構成は、自動車用の少なくとも1つの構成部品と本発明によるアクチュエータとを有する。アクチュエータは、ここでは、構成部品に堅固に接続される。アクチュエータに関して、本明細書で説明する全ての実施形態及び変形例を参照することができる。
【0059】
好ましい及び/又は本発明の構成部品構成により、音波を発生させる振動での構成部品の簡単な励振が可能であり、その結果、構成部品は、自動車内での音声再生のためのシステムの一部として使用することができる。典型的には別個のダイヤフラムを必要とし、かなり多くの空間を必要とし、且つより重い、別個のスピーカと比較して、本発明による構成部品構成は、空間及び重量の点で大幅な節約を可能にする。
【0060】
本発明は更に、本発明による少なくとも1つの構成部品構成を有する自動車に関する。構成部品構成に関して、特に構成部品構成に含まれるアクチュエータに関して、本明細書で説明する全ての実施形態及び変形例を参照することができる。上記で既に説明した利点は、このように達成することができ、特に、自動車は、従来のスピーカを用いた実施形態と比較して、より多くの空間及び/又はより軽い重量を有することができる。
【0061】
本発明は更に、自動車におけるアクチュエータ、特に本発明によるアクチュエータの使用に関する。本発明によるアクチュエータに関して、本明細書で説明する全ての実施形態及び変形例を参照することができる。
【0062】
概して、それ自体は音を発しないが、むしろ車両内の既存の構造体を励振させるアクチュエータ又は加振器について説明することができる。この励振により構造体が振動し、その際に、構造体自体が音を発する。同等のサブウーファと比較して、アクチュエータは、典型的には、5~10倍小さく且つ2~5倍軽い。
【0063】
本明細書で説明するような、アクチュエータ、深さアクチュエータ又は加振器は、好ましくは、例えば、個別に又は組み合わせて使用できる、以下の特徴を有することができる。
-アクチュエータのコイルは、外側ハウジングに直接接続され、例えば接着接合されるか又は他の何らかの方法で接続され、磁石は、典型的には内側に、例えばコイル直径の内側に位置し、且つ典型的には、移動可能に装着される。
-コイルを締結できる、ハウジング又はハウジング部としての外側リングは、例えば、熱伝導性金属又は材料で構成することができ、リングは、例えば、磁束回路を閉じることができ、コイルにより発生した熱を外部に且つ外側面において環境に放散させることもできる。
-アクチュエータは、車両内外の様々な位置に設置することができる。アクチュエータは、好ましくは、床パネルなどの板金構造体、ドア構造パネル、トランクリッド、予備車輪用の凹部、ルーフ構造、クロスメンバ、フェンダ、長手方向部材、端壁、又は自動車の他の構成部品に取り付けることができる。
-アクチュエータは、全ての空間方向に同じ適合性で位置決めすることができる。この位置決めは、特に、可能な限り互いに離間している平面での磁石システム又は磁石の中心合わせにより可能にすることができる。
-磁石システムの中心合わせ及び懸架は、1つの構成部品において実施することができ、この磁石システムは、例えば、プラスチック、金属又は複合材料などの、異なる材料で構成することができ、その結果として、音響挙動に影響を及ぼすか又は音響挙動を最適化することができる。
-アクチュエータは、アクチュエータをボルトで中心に締結できるように上部から底部まで連続した中心孔を有することができる。
-可動磁石システム又はコアの質量は、例えば、アクチュエータの外側コア又は他の構成部品の質量の約±20%とすることができる。結果として、アクチュエータは、それ自体の共振周波数を上回る周波数と下回る周波数の両方で動作することができる。
-アクチュエータハウジングは、原則として、種々の形状に設計できるが、対称な設計は、組み立てに更には製造にも有利である場合がある。
-材料は、例えば、異なるように設計することができる。磁石は、例えば、ネオジム合金又はフェライト合金で構成することができる。更に、ハウジングは、開放した状態であるように又は部分的に開放した状態であるように設計することができる。既に述べた中心孔は別にして、アクチュエータは、外締め又は接着接続若しくは溶接接続により接続することもできる。磁石システムが完全にコイルの直径内に位置しない構造体であって、コイルが磁石に部分的に囲まれ得る構造体も考えられる。
【0064】
更なる特徴及び利点は、添付の図面を参照して以下で説明する例示的な実施形態から当業者には分かるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1は、本発明の例示的な一実施形態によるアクチュエータ5を分解側面図で示す。
【0067】
アクチュエータ5は、ハウジング10を有する。ハウジング10は、第1のカバーキャップ12と第2のカバーキャップ16とリング14とにより形成される。2つのカバーキャップ12、16は、外側に配置され、且つ非熱伝導性で非導磁性の材料で構成される。しかしながら、前記2つのカバーキャップ12、16の一方又は両方はまた、例えば、熱伝導性で非導磁性の材料で構成することもできることに注意すべきである。リング14は、熱伝導性で導磁性の材料で構成される。
【0068】
アクチュエータ5は、第1のばね要素22と第2のばね要素24とにより形成されるばね構成20を有する。アクチュエータ5の設計については、以下で更に詳細に述べる。
【0069】
アクチュエータ5は、コイル支持体32と第1のコイル部分34と第2のコイル部分36とにより形成されるコイルを有する。2つのコイル部分34、36は、ここでは、コイル支持体32に取り付けられる。電流は、コイル部分34、36に流れることができ、その結果、コイル30に磁界を発生させる。
【0070】
アクチュエータ5は磁石40を有する。磁石40は、磁性中心部42と、第1の非磁極板44及び第2の非磁極板46とにより形成される。ここでは、中心部42は、2つの磁極板44、46の間に収容される。
【0071】
上述の構成部品を締結するために、それぞれ4つのねじ18、19の2セットが使用される。代替的に、例えば、接着接合、溶接又はリベット留めによる締結も可能である。
【0072】
図2は、アクチュエータ5を分解斜視図で示す。ここでは、第1のばね要素22が合計4つのばねアーム26を有することが分かる。よって、第2のばね要素24は、合計4つのばねアーム28を有する。
【0073】
組立状態では、磁石40は、2つの磁極板44、46が磁性中心部42に直接隣接するように設計される。次に、磁石40は、軸方向に隣接する2つのばね要素22、24により全体として保持される。結果として、磁石40は、一軸方向にのみ移動可能であり、磁石40は、ばね要素22、24により中心の非動作位置に付勢される。
【0074】
図示のように、磁極板44、46は、磁極板44、46の外向き表面が凹湾曲状であるように設計される。この設計は、ばね要素22、24間の磁石40の特に省スペースの構成を可能にし、且つ磁極板の縁領域において特に高い磁束密度を実現する。
【0075】
組立状態では、コイル30は、磁石40を径方向に取り囲む。ここでは、コイル30は、ハウジング10内に強固に固定される。コイル30への電圧の印加により、磁石40をその非動作位置から偏向させることができ、その結果、振動が発生する。特に、ここでは、音声信号が変調される電圧を印加することができる。次いで、磁石40は、この音声信号に従って振動し、対応する振動を発生させる。導磁性材料で作られたリング14は、ここでは、有利な磁気閉鎖をもたらすために使用される。
【0076】
第1のカバーキャップ12から内方に延びる、第1の円筒状突起13、及び第2のカバーキャップ16から内方に延びる、第2の円筒状突起17は、磁石40が沿って移動可能である軸方向を定める役割を果たす。
【0077】
図3は、アクチュエータ5を組立状態で示す。ここでは、3つの円筒状接点7が第1のカバーキャップ12の外側に配置されることが分かる。前記接点により、アクチュエータ5は、自動車の構成部品に隣接することができる。また、ねじ山が形成されるボア8が中心に配置される。したがって、アクチュエータ5は、構成部品に締結することができる。それに応じて、第2のカバーキャップ16も構成される。
【0078】
磁石40が発生させることができる、上記で既に更に述べた振動は、自動車の構成部品へのアクチュエータ8の締結又は適用により、構成部品に伝達することができる。このように、構成部品自体を振動するように励振させることができ、これにより、構成部品が音波を発する。これらの音波は、典型的には、車室内で聞くことができる。このように、別のスピーカを用意せずに音を発生させることができ、このことは、低周波数において特に適切であるとともに、空間及び重量の大幅な節約につながる。
【0079】
例えば、ボア8はまた、例えば、車両の車体部などの、剛性構成部品にアクチュエータ5を接続するために使用することができ、且つアクチュエータ5は、振動するように励振させるべき構成部品とは反対側に接続できることに注意すべきである。このように、例えば、車両の車体などの、固定された構成部品は、振動が励振される基準としての役割を果たすことができる。
【0080】
図4は、ばね要素、ここでは例として第1のばね要素22の代替的な実施形態を示す。この代替的な実施形態は、
図1~
図3に示す第1のばね要素22の代わりに及び/又は
図1~
図3に示す第2のばね要素24の代わりに、
図1~
図3を参照して説明する実施形態との関連で使用することができる。
【0081】
図2で分かる星形設計とは対照的に、
図4に図示するばね要素22のばねアーム26は、螺旋形に設計される。したがって、異なるばね特性を実現することができる。
【0082】
図5は、例示的な磁極板44、46を断面で概略的に示す。磁極板は、例として、磁石(図示せず)に面する側面が実質的に平面状61であるように構成される。磁石から離れる方向に面する外側面又は外表面62は、凹状であり、したがって、磁極板の断面全体が凹状である。外側面は、周縁にカラー63を有し、磁極板は、中心においてよりもカラーにおいて大きな厚さ又は材料厚さを有する。磁極板は、外側面の中心領域に実質的に平面状の平坦部64を有する。カラー63と平坦部64との間の移行部65は、種々の方法で設計することができ、直線状移行部、円弧状移行部、及び放物線状移行部が、例として左側に図示されている。
【0083】
手続きの過程で、1つの特徴又は特徴群が必ずしも必要でないことが分かった場合、特徴又は特徴群をもはや有しない少なくとも1つの独立請求項の記載が出願人により遅滞なく求められる。この独立請求項の記載は、例えば、出願日に存在する請求項の部分的な組み合わせ、又は更なる特徴により限定される出願日に存在する請求項の部分的な組み合わせであり得る。言い換えを必要とするこの種の特徴の請求項又は組み合わせは、本出願の開示によっても網羅されるものとして理解されるように意図されている。
【0084】
種々の実施形態若しくは例示的な実施形態で説明し且つ/又は図に示す本発明の改良形態、特徴及び変形例は、任意の所望の方式で互いに組み合わせることができることも指摘されるべきである。単一又は複数の特徴は、任意の所望の方式で相互に交換可能である。かかる特徴から生じる特徴の組み合わせは、本出願の開示によっても網羅されるものとして理解されるように意図される。
【0085】
従属請求項におけるその後の参照は、後に参照される従属請求項の特徴に対する独立した実質的な保護の実現の放棄として理解されるようには意図されていない。また、これらの機能は、他の機能と任意の所望の方式で組み合わされ得る。
【0086】
本説明にのみ開示する特徴、又は他の特徴と併せて本説明に又は特許請求の範囲にのみ開示する特徴は、原則として、本発明に不可欠な独立した有意性を有し得る。したがって、これらの特徴はまた、先行技術との境界を定める目的で、特許請求の範囲に個別に含まれ得る。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
自動車の少なくとも1つの構成部品を振動で励振させるためのアクチュエータ(5)であって、
前記アクチュエータ(5)は、以下のもの、すなわち、
前記構成部品に接続されるように構成されるハウジング(10)と、
前記ハウジング(10)に堅固に接続される電気コイル(30)であって、電流が前記電気コイル(30)に流れたときに磁界を発生させるように構成される前記電気コイル(30)と、
限られた範囲内で移動可能であるように前記ハウジング(10)内に配置される磁石(40)と
を有する、アクチュエータ(5)。
2.
前記アクチュエータは、前記磁石に割り当てられる少なくとも1つの第1の磁極板(44、46)を有し、第1の磁極板の外向き表面(62)、すなわち、前記磁石から離れる方向に面する表面は、凹状であり、したがって、前記磁極板は、前記表面の中心においてよりも前記外縁において大きな厚さを有する、上記1に記載のアクチュエータ(5)。
3.
前記第1の磁極板(44、46)は、前記磁極板の全体の最大20%を占めることができる、前記第1の磁極板(44、46)の外縁に沿った特に実質的に一定の厚さのカラー(63)を有する、上記1又は2に記載のアクチュエータ(5)。
4.
前記磁石側に向けられる前記第1の磁極板のその表面(61)は、実質的に平面状である、上記2又は3に記載のアクチュエータ(5)。
5.
第1の磁極板及び/又は第2の磁極板(44、46)は、それらの外向き表面(62)に関して、第1の磁極板及び/又は第2の磁極板(44、46)がそれらの中心に実質的に平面状の一部表面及び/又は平坦部(64)を有するように構成される、上記2~4のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。
6.
前記アクチュエータ(10)の前記ハウジングは、少なくとも0.08kJ/K、特に少なくとも0.1kJ/Kの熱容量を有する、上記1~5のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。
7.
前記コイルは、比較的高い熱伝導性の接着剤による前記ハウジングへの固定接続部を有し、前記接着剤は、少なくとも0.8W/(m K)、特に少なくとも1W/(m K)の熱伝導率を有する、上記1~6のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。
8.
前記接着剤の層厚さは、最大0.3mm、特に0.1mm未満である、上記7に記載のアクチュエータ(5)。
9.
接着接続により前記コイルに且つ/又は前記コイル支持体に接続される、前記ハウジングの前記内表面は、構造化され且つ/輪郭形成される、上記1~8のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。
10.
前記磁石(40)を非動作位置に付勢するように構成されるばね構成(20)を有し、前記ばね構成(20)は、可能な全ての移動方向に沿って前記磁石を前記非動作位置に戻す態様で前記磁石(40)を付勢するように構成される、上記1~9のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。
11.
前記ばね構成(20)は、第1のばね要素(22)と第2のばね要素(24)とを有し、
前記磁石(40)は、前記第1のばね要素(22)と前記第2のばね要素(24)との間に保持され、
前記第1のばね要素(22)は、前記磁石(40)を第1の方向に付勢し、且つ前記第2のばね要素(24)は、前記磁石(40)を前記第1の方向と反対の第2の方向に付勢し、特に、前記第1のばね要素(22)は、前記磁石(40)を付勢するための多数のばねアーム(26)を有し、且つ/又は前記第2のばね要素(24)は、前記磁石(40)を付勢するための多数のばねアーム(28)を有する、
上記1~10のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。
12.
前記ばね要素(22、24)は、複合材料から形成される、上記1~11のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。
13.
前記ばね要素(22、24)は、特に追加的に、前記ばね要素(22、24)の固有振動挙動を減衰及び/又は離調させるために、例えば、比較的高い減衰特性を有する1つ若しくは複数のプラスチックで又は比較的重い材料でコーティングされる、上記1~12のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。
14.
前記ばねアーム(26)の前記構成は、固有振動を防止するために、対称に構成されるか又は、代替的に、好ましくは非対称に構成される、上記1~13のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。
15.
前記ばねアーム(26)は、剛性及び振動特性を更に改善するように輪郭形成され、前記輪郭形成は、ここでは、特に少なくとも1つのリブ及び/又は少なくとも1つのビード及び/又は少なくとも1つの縁部及び/又は少なくとも1つの湾曲部によりなされる、上記1~14のいずれか1つに記載のアクチュエータ(5)。