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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】処理ルート情報
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0202 20230101AFI20230607BHJP
【FI】
G06Q30/0202
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021576481
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 SG2019050319
(87)【国際公開番号】W WO2020263176
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】518236797
【氏名又は名称】グラブタクシー ホールディングス プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GRABTAXI HOLDINGS PTE. LTD.
【住所又は居所原語表記】3 Media Close, #01-03/06, Singapore 138498, Singapore
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, リウキン
(72)【発明者】
【氏名】ウェン, レンロン
(72)【発明者】
【氏名】ザン, シゼ
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-043296(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0363435(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第108846524(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107103383(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサと、メモリとを含むルート情報を処理するためのサーバ装置であって、
前記サーバ装置は、前記プロセッサの制御の下、前記メモリに記憶された命令を実行するように構成され、
a.スタート位置と、前記スタート位置からの少なくとも1つのルートを有する目的地との間にある複数のルートの詳細を含むルートデータレコードを生成し、
b.各前記ルートを構成し、ゾーンに位置するルートセグメントを示すセグメントデータレコードを決定するために前記ルートデータレコードを分解し、
c.前記ルートを構成する前記ルートセグメントにおける予測値に基づいて、前記目的地までの前記ルートを構成するルートデータをスコア化するように、前記ルートを構成する前記ルートセグメントについての前記予測値を含む予測データレコードと前記セグメントデータレコードを結び付けるように構成されていることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記予測データレコードは、前記ゾーンにおけるジョブの尤度の予測を含む請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記予測データレコードは、前記ゾーンにおける見込み収益の予測を含む請求項1または2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
入力データレコードがアイドル状態になったサービスプロバイダを示すデータを含むかどうかを判定するために、サービスプロバイダ通信デバイスの前記入力データレコードを処理し、それに応答して、前記ルートデータレコードを生成する工程を開始するようにさらに構成される請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項5】
最高スコアを有する前記ルートを示すデータを前記サービスプロバイダ通信デバイスに送信するようにさらに構成される請求項4に記載のサーバ装置。
【請求項6】
サービスプロバイダデバイスに表示するための少なくとも1つのスコア付けされたルートを示すデータを出力するように動作可能である請求項1ないし5のいずれかに記載のサーバ装置。
【請求項7】
目的地を有する複数のゾーンで構成された地理的エリア内のサービスプロバイダのルート情報を処理するサーバ装置において実行される方法であって、
前記方法は、前記サーバ装置のプロセッサの制御の下、
a.スタート位置と、前記スタート位置からの少なくとも1つのルートを有する目的地との間にある複数のルートの詳細を含むルートデータレコードを確立する工程と、
b.各前記ルートを構成し、各前記ゾーンに位置するするルートセグメントを示すセグメントデータレコードを決定するために前記ルートデータレコードを分解する工程と、
c.前記ルートを構成する前記ルートセグメントのための予測値を含む予測データレコードと前記セグメントデータレコードを結び付ける工程と、前記ルートを構成する前記ルートセグメントにおける前記予測値に基づいて、前記目的地への前記ルートを構成するルートデータをスコアリングする工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記予測データレコードは、前記ゾーンにおけるジョブの尤度の予測をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記値は、前記ゾーンにおける見込み収益の予測を含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ルートを構成する前記ゾーンは、前記スタート位置を含む請求項7ないし9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ルートを構成する前記ゾーンは、前記目的地を含む請求項7ないし10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記スコア化されたルートから、最高スコアを有する前記ルートを決定する工程をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記最高スコアを有する前記ルートを示すデータを、表示のためにサービスプロバイダデバイスに通信する工程をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
サービスプロバイダ通信デバイスから受信されたメッセージに応答して、前記複数のルートを確立する工程を開始する工程をさらに含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記最高スコアを有する前記ルートを示すデータを前記サービスプロバイダ通信デバイスのみに送信する工程をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記メッセージは、サービスプロバイダ通信デバイスが位置する前記ゾーンを示すデータを含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のルートを確立する工程において使用するための候補目的地を決定する工程と、
前記候補目的地ではない前記目的地を無視する工程とをさらに含み、
前記候補目的地を決定する工程は、前記スタート位置からの移動時間を予測する工程と、
所定時間未満の予測移動時間を有する前記ルートを前記候補目的地として選択する工程とを含む請求項7ないし16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記ルートをスコアリングする工程は、前記ゾーンにおけるジョブの確率を決定するために前記ゾーンをスコア化する工程と、ルートスコアを達成する確率を合計する工程とを含む請求項12に記載の方法。
【請求項19】
各前記ルートをスコアリングする工程は、前記ゾーンにおける見込み収益の予測を決定するために前記ゾーンをスコア化する工程と、ルートスコアを達成する確率を合計する工程とを含む請求項12に記載の方法。
【請求項20】
すべてのゾーンについて、ユーザの数および利用可能なサービスプロバイダの数を予測することによって、ジョブの確率の予測を形成する工程をさらに含む請求項7ないし19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
すべてのゾーンについて、サービスリクエストの数および利用可能なサービスプロバイダの数を予測することによって、見込み収益の予測を形成する工程をさらに含む請求項7ないし20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
すべての候補ゾーンを検索する工程と、前記スタート位置から関心地点(POI)までの最大トップkの走行軌跡および履歴予約に基づいて、前記候補ゾーン内の前記関心地点を検索する工程とをさらに含み、
前記候補ゾーンは、前記スタート位置から所定の閾値未満の距離を有するゾーンである請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記ゾーンは、ジオハッシュである請求項7ないし16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信および管理の一般的な分野に属する。一つの態様は、タクシー型サービス、バイク、配送車両などのオンデマンドサービスプロバイダの状況を有する。これらのサービスプロバイダは、基本的に移動型である。
【背景技術】
【0002】
人と商品をより効果的に動かすことは、ますます重要な目標になってきている。近年、商品や人の双方を従来の技術よりも遅れずに移動させ、または移動させる手段を用いたオンデマンドサービスの提供に成長がある。オンデマンドサービスプロバイダは、車両を運転する人間であってもよく、または代替的に、無人車であってもよい。ユーザが目的地に移動するためにサービスプロバイダを要求した場合、その目的地から、またはその場所の近くから、新しい「ジョブ」を直ちに利用できない可能性が高い。
【0003】
ここで、「サージ(surge)」の概念について説明する。サージは、サービスプロバイダの不足が生じた場合、または逆に見ると、過剰なサービスユーザが生じた場合に生じる。サージとは、ジョブのコストが通常設定された倍率だけ増加するように、価格設定が変更される場合である。したがって、一例として、通常5ドルかかるジョブは、8ドルに増大することである。価格情報は、有望なユーザに利用可能である。その結果、サービスの必要性が緊急であるこれらの有望なユーザは、サージ手数料を支払うことができる。一方、他のユーザは、単に、高価格のために、それらのリクエストを受けないか、またはサージ状況が解消し、コストが通常に戻るのを待つことを選択する。
【0004】
本明細書で使用される他の用語:
【0005】
機械学習:データ分析の分野では、機械学習は、予測に役立つ複雑なモデルおよびアルゴリズムを考案するために使用される方法である。商業的な使用では、これは、予測分析として知られている。これらの分析モデルにより、研究者、データ科学者、エンジニア、およびアナリストは、データにおける履歴的関係および傾向から学習することによって、「信頼性のある反復可能な決定および結果を生み出し」、「隠れたインサイツ」を発見することができる。
【0006】
生存分析:生存分析は、生物有機体の死および機械的システムにおける故障のような1つまたは複数の事象が起こるまでの予想される持続時間を分析するための統計のブランチである。
【0007】
最適化:最適化は、利用可能な選択肢のいくつかのセットから(いくつかの基準に関して)最良の要素を選択することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
US2017/0227370Aは、移動の間の待ち時間を短縮するために、プロバイダに情報を提供する移動調整システムを開示する。領域は、ゾーンに分割され、各ゾーンについてスコアを生成する。ゾーンスコアは、ゾーンの待ち時間を推定することによって生成することができる。これは、待ち時間のモデルによって決定される。待ち時間のモデルは、ゾーン内のプロバイダの数および移動リクエストレートなど、待ち時間に寄与する要因を使用する。各ゾーンのゾーンスコアは、地理的領域のロードマップ上でプロバイダに表示される。移動調整システムはまた、目的地への移動中、割り当てリクエストを受信するための待ち時間を低減するために、ゾーンスコアリングを使用するルートを提供する。移動調整システムは、目的地を識別し、目的地までの候補ルートを生成する。ルートは、ルートスコアに基づいて選択される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、モバイルサービスプロバイダを道案内するための技術が開示される。その技術は、サービスプロバイダがジョブを見つけるという予測に従って、複数の目的地から一つの目的地を選択する工程を含む。
【0010】
この技術は、複数の候補目的地のそれぞれについてジョブ予測を決定するためのルート情報を処理する工程を含む。
【0011】
第2の態様では、選択されたルートによって選択された目的地に向けてサービスプロバイダを移動させるための技術が開示される。目的地およびルートは、そのルートをたどった結果として行われたジョブが高収益を有するという予測に従って選択される。
【0012】
第3の態様では、複数の候補目的地が考慮されるモバイルサービスプロバイダのためにルート情報を処理する方法が提供される。ルートおよび目的地は、複数の目的地の各ルートに沿ったジョブを見つける予測確率(probability)に従って各ルートをスコアリングすることによって決定される。
【0013】
第4の態様では、サービスプロバイダのためのルート情報を処理する方法が提供される。この方法は、スタート位置(すなわち、サービスプロバイダの現在位置)から異なる目的地までのルートに沿ってジョブを見つける確率を予測する工程と、各ルートに沿ったジョブからの収益の予測に応じて、各ルートをスコア付けするためにこの確率を使用する工程と、を含む。
【0014】
一実施形態は、各潜在的な目的地への各ルートを複数のセグメントに分割し、生存分析(すなわち、オンデマンド目標位置に到達するまでの持続時間を予測する工程)を使用して、ルートに沿って通過中または目的地に到達したときのいずれかで、ジョブを達成する尤度(likelihood、可能性)を判定する。いくつかの実施形態では、予測は、プロバイダが考慮中のルートのそれぞれのセグメントに費やすと予想される時間の長さを考慮し、および連続するセグメントへの入力時間も考慮する。
【0015】
一実施形態は、履歴データおよびリアルタイムデータを使用して、各セグメントの周りのエリア内の状態を予測する。予測は、すべてのルートおよび目的地について繰り返される。ターゲットプロバイダに、最も高い予測結果を有するルートおよび目的地のメッセージを送る。
【0016】
第5の態様には、プロセッサとメモリとを含むサーバ装置が開示される。サーバ装置は、プロセッサの制御の下、メモリに記憶された命令を実行し、複数のルートを示すデータを含むルートデータレコードを生成するように構成される。各ルートは、スタート位置とそれぞれの目的地との間にある。各目的地は、スタート位置から目的地への少なくとも1つのルートを有する。サーバ装置は、各ルートを構成するゾーンを示すゾーンデータレコードを決定するためにルートデータレコードを処理するように構成される。また、サーバ装置は、そのルートを構成する各ゾーンのジョブの確率の予測に基づいて、各目的地へのルートを構成するルートデータをスコア化するためにゾーンデータレコードを予測データレコードと組み合わせるように構成される。
【0017】
別の態様では、複数のゾーンから構成される地理的エリア内のサービスプロバイダの潜在的な移動のためのルート情報を処理する方法がある。その方法は、各ターゲットゾーンについて、現在のサービスプロバイダ通信デバイス位置から各ターゲットゾーン内の各関心地点までのルートを決定する複数のターゲットゾーンとして複数のゾーンを選択する工程と、各ルートについて、現在の位置とターゲットゾーン内の各関心地点との間を移動した軌道セグメントを識別する工程と、軌道セグメント内のジョブの尤度の予測に基づいて、各ターゲットゾーンまでの各ルートをスコアリングする工程とを含む。
【0018】
さらなる態様では、目的地を有する複数のゾーンから構成される地理的エリア内に位置するサービスプロバイダのためのルート情報を処理する方法がある。この方法は、現在のサービスプロバイダ通信デバイスの位置と目的地との間にある複数のルートを確立する工程を含む。目的地は、現在のサービスプロバイダ通信デバイスの位置から目的地への少なくとも1つのルートを有する。方法は、各ルートを構成する軌道セグメントを決定する工程と、そのルートを構成する各軌道セグメントにおけるジョブの尤度の予測に基づいて、目的地へのルートをスコアリングする工程とを含む。
【0019】
さらに別の態様では、目的地を有する複数のゾーンから構成された地理的エリア内のサービスプロバイダのためのルート情報の方法が提供される。この方法は、スタート位置と目的地との間にある複数のルートを確立する工程を含む。目的地は、スタート位置から目的地への少なくとも1つのルートを有する。方法はまた、各ルートを構成する軌道セグメントを決定する工程と、そのルートを構成する各軌道セグメント内のジョブから導かれる収益の予測に基づいて、目的地へのルートをスコアリングする工程と、を含む。
【0020】
さらに別の態様では、機械学習アルゴリズムを実行するように構成されたコンピュータシステムが提供される。アルゴリズムは、記憶装置にアクセスして、記憶装置に保存されているデータを読み取り、読み取られた記憶データに従ってパラメータ値の予測を適応させるように構成されている。
【0021】
記憶されたデータは、データウェアハウスに保持される。
【0022】
一実施形態では、機械学習アルゴリズムは、データウェアハウスにアクセスして、セル毎にサービスプロバイダのアイデンティティを決定し、各セルにおける供給、需要、およびサージを予測する際にデータウェアハウスからの情報を使用する。
【0023】
現在のデータは、アルゴリズムが後続の予測を形成する際に使用されるデータを更新する効果を有するように、保存されているデータと共に考慮される。
【0024】
一群の実施形態では、サービスプロバイダがアイドル状態になったこと、またはアイドル状態になりそうことを示すと、サーバは、機械学習プロセスの結果を使用して、サービスがリクエストされる位置および位置へのルート、および/または、そのルートをたどることによって得られる可能性のある収益を評価する。
【0025】
いくつかの実施形態では、結果は、各位置の各ルートについて得られるジョブまたは期待される収益を見つける確率を含む。
【0026】
いくつかの実施形態における機械学習アルゴリズムは、サービスプロバイダがアイドル状態のプロバイダの車両位置から運転したくない、または運転したくないと予測されるセルの位置を学習する。
【0027】
一実施形態では、複数の生存モデルを使用して、各セルまたはサブエリアにおける供給、需要、およびサージに基づいて、ジョブ確率および/または収益を予測する。
【0028】
いくつかの実施形態では、一般性を失うことなく、各ゾーンは、それぞれのジオハッシュである。他の実施形態では、他のタイプのゾーン、例えば、六角形などの非矩形ゾーンが想定される。
【0029】
実施形態のいくつかの他の特徴は、本明細書の後の従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0030】
実施形態の利点は、最大限のジョブ/稼働率/収益結果の尤度を改善するために、利用可能なデータが処理され、複数のオンラインプロバイダのそれぞれに配信される方法を改善することにある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、通信システムの概略図を示す。
図2図2は、地理的領域の概略図を示す。
図3図3は、アイドル状態のサービスプロバイダと潜在的なターゲット目的地を有する図2の地理的領域を示す。
図4図4は、再配置ルートの例を示す。
図5図5は、第1のジオハッシュのすべての第1の層の隣接ジオハッシュのジョブ確率および期待収益を計算することを示す表を示す。
図6図6は、第1のジオハッシュの第1の層の隣接ジオハッシュのマップを示す。
図7図7は、ルートを完成するために車両が移動するセルを決定する例示的な例を示す。
図8図8は、サービスプロバイダを管理するためのプロセスの部分フローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
最初に図1を参照すると、サービスプロバイダを移動させるためのシステム100が示される。システム100は、サーバ装置102と、サービスプロバイダ通信デバイス104と、ユーザ通信デバイス106と、データ保存部(本実施形態ではデータウェアハウス202)とを含む。これらのデバイスは、例えば、インターネット通信プロトコルを実現するそれぞれの通信リンク110、112、114、204を介して、通信ネットワーク108(例えば、インターネット)に接続される。通信デバイス104、106は、他の通信ネットワーク(例えば、移動セルラー通信ネットワークを含む公衆交換電話ネットワーク(PSTNネットワーク)など)を介して通信することができる。しかし、これらは、明確にするために図1から省略されている。
【0033】
サーバ装置102は、図1に概略的に示されるように、単一のサーバであり、複数のサーバコンポーネントに分散されたサーバ装置102によって実行される機能性を有する。図1の例では、サーバ装置102は、多数の個別のコンポーネントを含む。その個別のコンポーネントは、特に限定されないが、1つまたは複数のマイクロプロセッサ116と、実行可能命令120のローディングのためのメモリ118(例えば、RAMのような不揮発性メモリ)と、を含む。サーバ装置102の機能性を定義する実行可能命令は、プロセッサ116の制御の下で実行される。サーバ装置102はまた、サーバが通信ネットワーク108を介して通信することができる入出力モジュール122を含む。ユーザインターフェース124は、ユーザ制御のために提供され、例えば、ディスプレイモニタ、コンピュータキーボードなどの従来のコンピューティング周辺装置を含む。
【0034】
サービスプロバイダ通信デバイス104は、多数の個別のコンポーネントを含む。その個別のコンポーネントは、特に限定されないが、1つまたは複数のマイクロプロセッサ128と、実行可能命令132のローディングのためのメモリ130(例えば、RAMのような不揮発性メモリ)と、を含む。サービスプロバイダ通信デバイス104の機能を規定する実行可能命令は、プロセッサ128の制御の下で実行される。サービスプロバイダ通信デバイス104はまた、サービスプロバイダ通信デバイス104が通信ネットワーク108を介してデータレコードを通信することができる入出力モジュール134を含む。データレコード(例えば、ファイル)は、1つまたは複数のフィールドを含む。そのフィールドは、本明細書で説明されるそれぞれのパラメータを表すデータを含む。ルートデータレコードは、以下でさらに詳細に説明するように、例えば、1つまたは複数のルートを表すデータフィールドを含む。スタート位置は「スタート位置」データフィールド内のデータによって表され、目的地位置は「目的地位置」データフィールド内のデータによって表されるなどである。テーブルが図面に示され、以下で説明される場合、データフィールドは、テーブルのセルに示される値を表すデータを含む。そして、複数のデータフィールド(例えば、行全体または行のグループ)は、データレコードを形成するために使用される。
【0035】
ユーザインターフェース136は、ユーザ制御のために提供される。サービスプロバイダ通信デバイス104が例えば、スマートフォンまたはタブレットデバイスである場合、ユーザインターフェース136は、多くのスマートフォンおよび他の携帯デバイスにおいて普及しているようなタッチパネルディスプレイを有する。あるいは、サービスプロバイダ通信デバイスが例えば、従来のデスクトップコンピュータまたはラップトップコンピュータである場合、ユーザインターフェースは例えば、ディスプレイモニタ、コンピュータキーボード等の従来のコンピューティング周辺装置を有する。
【0036】
ユーザ通信デバイス106は、例えば、サービスプロバイダ通信デバイス104と同一または類似のハードウェアアーキテクチャを有するスマートフォンまたはタブレットデバイスである。
【0037】
この実施形態では、データウェアハウス202は、通信リンク204を介して、サーバ装置102に直接接続される。しかし、これは必須ではない。通信ネットワーク108を介した接続も可能である。
【0038】
一実施形態では、サービスプロバイダ通信デバイス104は、サービスプロバイダの状態を示すデータレコードをサーバ装置102に定期的にプッシュするように構成される。他の点では、サーバ装置102は、サービスプロバイダ通信デバイスに状態情報をポーリングする。このような情報は、サービスプロバイダ通信デバイス104の位置を示すデータを含むデータフィールド/レコード、サービスプロバイダが現在アクティブであるかどうか、もしアクティブであれば、プロバイダが非アクティブになるまでどのくらいかかるかなどを含む。いずれの場合も、サービスプロバイダ通信デバイス104からのデータレコードは、サーバ装置102に通信され、データウェアハウス202内の関連する場所に格納される。データウェアハウス202内の履歴データは、所定の来るべき期間および任意の所定のエリアにおいてサービスをリクエストするユーザの推定数、その期間において利用可能なサービスプロバイダの推定数、およびそれらの推定地理的分布などの将来の状態を予測するために使用される。
【0039】
この実施形態の使用において、ユーザは、ユーザ通信デバイス106と対話して、サービスをリクエストするデータレコードを入力する。このデータレコードは、サーバ102に渡される。サーバは、受信データレコードからデータを抽出し、このデータをデータウェアハウス202に保存する。一実施形態では、このようなデータは、とりわけ、特定のユーザ通信デバイス106のアイデンティティ、そのデバイスの位置、サービスが要求された時間、サービスの目的地を含む。実施形態では、サーバ装置102は、特定のユーザデータを含むデータレコードを特定のサービスプロバイダ通信デバイス104に渡す。例えば、ジョブの性質、位置および目的地をすべてのサービスプロバイダデバイス104に渡す。一実施形態では、このようなデータは、データウェアハウス202に記憶されたデータに従って、特定の基準を満たすサービスプロバイダにのみ渡される。一実施形態における基準は、サービスプロバイダ通信デバイスの位置として、そのデバイスを有するサービスプロバイダが占有されているか、またはフリーであるどうかかを含む。
【0040】
一実施形態では、マッチング処理は、ユーザがサービスプロバイダからリクエストされたサービスを取得するように、サーバによって実行される。これは、システムによって記録され、データは時間および日付情報と共に、データウェアハウス202に格納される。ある時点で、1つまたは複数のサービスプロバイダは、アイドル状態になる可能性がある。アイドル状態は、サービスリクエストを受け入れる準備と意思を意味する。この事実も、一実施形態では、現在アイドル状態にあるサービスプロバイダの日時および位置と共に、データウェアハウス202に記録される。
【0041】
図2を参照すると、地理的領域の概略図は、4×4のマトリクス状に配列された16のゾーンからなる。このマトリクスのサイズは、説明を簡単にするために選択されたものであり、実際の地理的領域は、より多くのゾーンを有する。以下、ゾーンは、主に「セル」と呼ばれるが、範囲を限定することを意図するものではない。各セルは、本明細書で関心地点(POI)と呼ばれる位置を含む。一実施形態では、関心地点は、ルート選択システムのセットアップ時に選択されるそれぞれのセル内の単一の位置である。この図のセルは、便宜上、1~16の番号が付されて示されている。そして、セルC13は、サービスプロバイダ車両Vである(明確にするために、車両Vの表示は図から省略されている)。
【0042】
別の実施形態では、各セルに多くのPOIが存在する。各セルに対する特定のPOIは、異なる条件に基づいて、特定のサービスプロバイダのために選択される。異なる条件として、サービスプロバイダがそこに行くための距離および時間、POI付近および/またはPOIにおける予測される需要、どのくらいのサービスプロバイダが現在のPOI付近および/またはPOIにいるか、どのくらいのサービスプロバイダがこのモデルによってPOIに行くことが提案されているか(これは、同じPOIに送信されるサービスプロバイダが多すぎることを回避する)、サービスプロバイダがPOIに留まることができるか、またはPOI付近に留まることができるかどうか等が挙げられる。
【0043】
一実施形態では、サーバ102は、機械学習プロセスを実行する。この機械学習プロセスは、データウェアハウス202内のデータレコード/フィールドにアクセスして、セルごとにサービスプロバイダのアイデンティティにアクセスし、各セル内の供給、需要、およびサージを予測するために、データウェアハウス202からの情報を使用する。サービスプロバイダがアイドル状態になったこと、またはアイドル状態になりそうことを示すと、実施形態では、サーバは、機械学習プロセスの結果を使用して、サービスがリクエストされる場所およびその場所へのルート、ならびに/または、そのルートに従うことによって得られる可能性のある収益を評価する。実施形態における結果は、各セルにおける各ルートのスタート時間の推定値と、各セルにおいて費やされた時間の持続時間とを含む。いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、アイドル状態のプロバイダの車両位置から、サービスプロバイダが運転したくない、または運転したくないと予測されるセルの位置を学習する。
【0044】
機械学習プロセスの非限定的な例では、サーバは、次のステップの一部またはすべてを実行する。
【0045】
i)複数の地理的エリアのそれぞれについて、供給、需要、およびサージを予測する。例えば、都市を構成する1組のエリアまたはゾーンについて、予測が行われる期間は、(交通状況または都市に特有の他のパラメータに応じて)1つの都市については15分、別の都市については30分といった停車時間の期間、または、変動/選択可能な期間のいずれかとして変化させることができる。「変動期間」とは、いかなる制約もなく変化させることができる期間を意味する。「選択可能な期間」とは、選択に利用可能な期間の値の母集団が存在することを意味する。したがって、例えば、15分の期間は昼間の間に選択されるが、ラッシュアワーについては10分の期間、および真夜中については30分の期間が選択される。期間は、時間に依存するか、または適応可能である。その結果、要求が異常に低い場合、システムはそれに応じて期間を変化させる。予測アルゴリズムは、ダブルシーズンホルトウィンター(DSHW)、自己回帰統合移動平均(ARIMA)等のような時系列モデル、または、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、長期短期メモリ(LSTM)のようなMLモデルを含む。
【0046】
ii)各アイドル状態のサービスプロバイダについて、候補POIを見つけ、候補POIへのトップK走行ルートを見つける。
【0047】
iii)K個のルートを軌跡セグメントに分割する。1つ複数の軌跡セグメントを複数のルートで共有することは許容される。
【0048】
iv)各軌道セグメントについて、ルーティング距離、リアルタイム交通情報、移動速度などを使用して、軌道セグメントのスタート時間および軌道セグメントで費やされた時間の持続時間を予測する。
【0049】
v)CoxのハザードモデルおよびAalenの加法的ハザードモデルなどの生存分析技法を使用して、それぞれのセグメントにおいて費やされた予測スタート時間および継続時間、サービスプロバイダの予測需給および格付け、サービスプロバイダの優先順位、緯度、経度、曜日、時刻、祝日などに基づいて、各軌道セグメントにおいてジョブを達成する尤度を決定する。
【0050】
vi)各軌道セグメントについて、ジョブを確保するための予測確率、履歴データからの1移動当たりの平均運賃、1km当たりの平均ガソリン費用、1分間当たりの平均ドライバ収入、ルーティング距離、および予想される消費時間の期間および予想されるサージに基づいて、各軌道の期待収益を予想する。
【0051】
vii)例えば、実際に使用されたルートまたは軌道セグメントに基づいて、実際の結果を使用して予測を形成する際に使用されるデータを更新する。
【0052】
一実施形態では、サーバ102は、複数の生存モデルを使用して、各サブエリアにおける供給、需要、およびサージに基づいて、ジョブ確率および/または収益を予測する。
【0053】
図2に示すように、ここで説明する実施形態のすべてのセルは、同じサイズおよび形状である。しかし、これは、説明および理解を容易にするためだけのものである。それは、概念にとって基本的ではない。いくつかの実施形態では、セルは、単一の固定されたサイズである。他の実施形態では、セルは、時間および位置に基づいて調整される(例えば、都市中心部のより小さいセル、および周辺国のより大きいセルなど)。同様に、交通条件が時間と共に実質的に変化する場合、いくつかの実施形態におけるセルサイズは、対処するために変更される。したがって、例えば、CBDは、週末に交通量がほとんどないため、平日のラッシュ時間に使用される比較的小さいセルよりも大きいセルが使用される。利点の1つは、少ない供給および需要しか有さない多くの類似のセルについてメトリックを算出する必要がないことであり、これは最終スコアの算出を節約する。
【0054】
システムが人間のサービスプロバイダを管理する場合、一実施形態では、POIは、サービスプロバイダに知られているどこか、または、サービスプロバイダには明らかなどこかであると選択される。それは、社会的または他の重要性のある場所である必要はなく、例えば単純に駐車場であるかもしれない。上述したように、現在アイドル状態にあるサービスプロバイダ車両Vは、領域(C13)の左上のセルに位置している。この簡略化された実施形態では、このようなアイドル状態のサービスプロバイダの車両が1つのみと考慮する。実施形態では、おそらく、必ずしもそうではないが、異なるセル内に、相当数のアイドル状態のサービスプロバイダ車両が存在する。いくつかの実施形態では、すぐにアイドル状態になると予測されるプロバイダ車両が同様に考慮され、「アイドル状態のサービスプロバイダ車両」という用語に含まれる。いくつかの実施形態では、サービスプロバイダとして動作する人間のドライバまたはライダは、例えば、専用ボタンを使用して、またはサービスプロバイダ通信デバイス上のGUIと対話することによって、本明細書で説明する動作をリクエストする能力を有する。
【0055】
予測工程は、全てのセルにおける、需要、サービスプロバイダ供給、およびサージ(すなわち、基本料金から最終料金を計算する乗数)を特定の期間にわたって予測するために実行される。期間は、典型的には、サービスプロバイダ車両が最も遠いゾーンに到達するのにかかる時間の長さに概ね対応する持続時間を有する間近に迫った期間である。予測工程は、本実施形態では、車両がアイドル状態になったときにのみ、または本明細書に記載される操作をリクエストするときにのみ、各アイドル状態のサービスプロバイダの車両に対して実施される。
【0056】
別の実施形態では、予測工程は、連続的または実質的に連続的に実行される。連続的に行われる予測には、供給、需要、およびサージが含まれる。なお、予測は、このモデルのためだけでなく、システム全体で利用されることも可能である。POIの提案に関して、一実施形態では、候補ルートスコアは、サービスプロバイダがアイドル状態になったことに応答して単独で実行されるか、または、サービスプロバイダがこのサポートをリクエストするためにボタンを押すことに応答して単独で実行される。一実施形態における同一のサービスプロバイダに対する結果は、時間ウィンドウの間(例えば、5分間)、キャッシュされる。すなわち、同一時間ウィンドウにおいて同一サービスプロバイダがこれをリクエストする場合、同じ結果が計算を更新せずに与えられる。
【0057】
一群の実施形態では、どのセルが候補目的地セルであるかについて判定が行われる。「候補目的地セル」は、アイドルサービスプロバイダの位置に十分に近いセルを意味する。一群の実施形態の1つの実施形態では、この決定は、サービスプロバイダがアイドル状態のプロバイダの車両位置から運転したくないと予測されるセルを決定するために、機械学習アルゴリズムを使用して行われる。別の実施形態では、決定は、経験的に到達される。したがって、例えば、4つのセルを通る運転は、限界と見なされる。
【0058】
次のステップでは、遠すぎるゾーンは考慮されない。本実施例では、ゾーンC4は、C13から遠すぎるものとして除外される。
【0059】
別の実施形態では、すべてのセルが考慮される。すなわち、セルは、到達するのに長すぎるか、または遠すぎることに基づいて除外されない。
【0060】
図3を参照すると、セルC13内の位置「スタート」は、サービスプロバイダがアイドル状態になったポイントである。
【0061】
次のステップは、スタート位置から各関心地点までの設定された数のルートを識別することである。これは、専用のルート発見アプリケーションを使用することによって実行されてもよく、または任意の他のルート発見アプリケーションによって実行されてもよい。
【0062】
簡単にするために、図2および図3では、単一の関心地点POI2が考慮される。これは、単に説明のためであることが理解される。実際の例では、除外されていない全ての目的地は、各候補サービスプロバイダ車両に注意を払っている間に考慮される。
【0063】
図3に示すように、POI2は、セルC2内に位置する。スタートからPOI2への2つのルートが識別される。ルートの数は、状況および位置の性質に応じて決定される。多数の代替ルートが可能である場合、設定された数は、制限される必要がある。この実施形態では、2つのルートは、独自のルートファインダによって提供される2つの代替物である。
【0064】
システムは、各ルートがどのセル内を移動するかを決定し、いくつかの実施形態では、各ルート上を移動する間に各セル内で費やされる時間の長さを予測する。
【0065】
第1のルートは、セグメントS0(セルC13のスタートセグメント)、S1、S2、S3、およびS4(セルC2の最終セグメント)からなることに留意されたい。第2のルートは、セグメントS5、S6、S7、S8およびS9からなる。一実施形態で、「セグメント」は特定のセルを横切るルートの一部であるが、セグメントは代替の方法で定義することができることも理解される。例えば、特定のセルを横切るルートは、2つ以上のセグメントを含む。そのセグメントは、そのセル内の中間点で合流する。
【0066】
これは、第1のルートがC13、C14、C10、C6、C2を移動し、第2のルートがC13、C9、C5、C1、C2を移動するということを意味する。
【0067】
図3の寸法が正確であれば、セルC9を横切るルートセグメントS6の長さは、セルC14を横切るルートセグメントS1の長さよりも長い。C9で費やされる時間は、C14で費やされる時間よりも長い。しかし、これは、セグメントS6が高速道路であり、S1が都市の交通渋滞による遅い移動である場合には真実である必要はない。
【0068】
セグメントS0およびS5は同じセルC13内にあるが、本実施形態では、2つのセグメントの「スコア」は、同じである必要はない。実際、それらが同じになる可能性は低い。これは、ドライバがセグメントS0上をドライブする場合に、セルC13内のドライバが要する時間の長さが、ドライバがセグメントS5上をドライブする場合に、ドライバがセルC13内で費やす時間の長さと異なる可能性があるからである。
【0069】
そのため、本実施形態は、時間、曜日、道路走行速度の履歴、リアルタイムの交通状況、天候等に基づいて、例えば、機械学習アルゴリズムを使用して、各セルで費やされる時間の持続時間を予測することを含む。
【0070】
同様に、ルート2を走行するドライバは、ルート1にいる場合(S4でC2に入る)、ドライバの到着時刻とは異なる時刻にセグメントS9(セルC2)に入る可能性がある。その場合、セグメントS9に費やされる時間の長さも、セグメントS4の時間の長さとは異なる可能性がある。
【0071】
本実施形態は、例えば、機械学習アルゴリズムによってこれらの要因を考慮する。
【0072】
本実施形態では、セル内の距離および時間に関するルートの判定は、ルートが確立されるたびに(すなわち、サービスプロバイダがアイドル状態になるたびに)行われる。他の実施形態では、各ルートのパラメータは、それが最初に確立された後に記憶される。後者の場合、後続のサービスプロバイダがC13でアイドル状態になると、C2への2つのルートが単にメモリから取得される。システムセットアッププロセス中に、セグメント化された形でルートを作成することも可能である。
【0073】
いくつかの実施形態では、ルートが1つのセグメントの終わりと次のセグメントの始まりである境界に到達するときから、セル境界を識別することのみが必要である。
【0074】
いくつかの実施形態では、ルートは、独自のルート発見アプリケーションによって、または、ルート発見プロバイダ(例えば、グーグルマップなど)から提供される。この場合、ルートに沿って、中間点のリストを見つけることができる。たとえ連続的なルートが利用可能でなくても、ルートに沿った点は、それらがどのセル内にあるかに関して識別することができ、このシステムにとって十分である。セルがジオハッシュによって定義される場合、ルート検索プロバイダまたはその他のAPIは、各ポイントがどのジオハッシュに属するのかということを返すことができる。
【0075】
あるいは、図7を参照すると、スタート点Aがセル1内にある場合、サーバ装置は、ルート上の点が新しいセル(例えば、点A1)内にあることが見出されるまで、中間点を通過する。ルートが通過するセルをリストするこのプロセスは、エンドポイントセル(セルB)まで続く。
【0076】
他方、システム自体がセルを定義する場合、点がセルに属するか否かが分かる。次に、上記のプロセスを使用して、セルを「ジオハッシュ」のように処理する。
【0077】
各ルートについて、システムは、サービスプロバイダがそれぞれのルートセグメントが位置するセルにおいてジョブを取得する推定収益および確率について、各セルにスコアを付ける。各セルにおけるジョブの尤度のスコアリングは、予測される供給、需要、および関心のセルに費やされると予測されるルートセグメントの継続時間に少なくとも部分的に基づいている。
【0078】
次に、システムは、ルートセグメントの計算された値を使用することによって、このルートの予想収益と、ルート全体(最初のセルおよび最後のセルを含む)についてのジョブの確率と、を計算する。ルートはランク付けされ、最良の確率または最高の予測収益の予測を有するルートが選択される。
【0079】
図3のような単純な設定では、ランキングは、C13に留まることによってジョブを確保する確率の比較である。これは、C13についての予測された供給、需要、およびサージを使用し、POI2への2つのルートのそれぞれについての予測を比較する。
【0080】
別の配置では、検討中の複数の目的地セルがある。それぞれは、アイドル状態のサービスプロバイダが位置するスタート位置から目的地への1つまたは複数のルートを有する。
【0081】
サービスプロバイダが人間のドライバである場合、次のステップは、推奨される目的地POIおよびそのPOIへの好ましいルートのドライバ(およびこの実施形態ではドライバのみ)に通知するために、関連するドライバの通信デバイスにメッセージを送信することである。自律車両が使用される場合、メッセージは、代わりに、一実施形態では、車両の目的地およびルートを直接制御する。
【0082】
明確にするために、各セルは、ルートを構成するセグメントの各セットに含まれることに留意されたい。また、上述のように、1つのルートは、スタートセル内でスタートする位置にあることができることに留意されたい。例えば、ユーザが出発セルの列車駅で自分のルートを終了し、本システムが、高い確率のジョブが出発セルのショッピングモールでも見つかると予測する場合、サービスプロバイダは、単に、ショッピングモールまたはその周辺に移動することによってジョブを待つように、出発セルに留まるメッセージを受信する。
【0083】
一実施形態では、生存分析を使用して、各ルートセグメントにおいて予測する供給、需要、およびサージに基づいて、ジョブ確率を推定する。
【0084】
ここで、特定の実施形態で使用される詳細な技術の例を説明する。この実施形態では、セルは、ジオハッシュとして定義される。ジオハッシュは、英数字文字列を使用して、位置(世界中のどこでも)を表現する便利な方法と見なすことができる。より小さいセルは、より長いストリングを使用して定義される。付加された文字は、前のセルサイズの30分の1のセルを定義する。
【0085】
異なる長さのジオハッシュのセルサイズは、以下の通りである。セル幅が赤道から離れるにつれて減少する(磁極で0になる)ことに留意されたい。
【0086】
ジオハッシュ長さ セル幅 セルの高さ
1 ≦5,000km × 5,000km
2 ≦1,250km × 625km
3 ≦156km × 156km
4 ≦39.1km × 19.5km
5 ≦4.89km × 4.89km
6 ≦1.22km × 0.61km
7 ≦153m × 153m
8 ≦38.2m × 19.1m
9 ≦4.77m × 4.77m
【0087】
ジオハッシュのサイズ(および他の実施形態では、他の方法で定義されるゾーンまたはセルのサイズ)は、人口密度、サービスプロバイダの数などの特徴に従って選択される。一実施形態では、ジオハッシュ長さ6が使用される。異なる都市の実施形態では、異なるセルサイズが存在する。また、同じ都市について、上述したように、いくつかの実施形態では、異なるセルサイズは、時間および位置に基づいて選択される。
【0088】
ジオハッシュは長方形であるが、本発明はそのように限定されず、他の実施形態では他の形状が想定される。
【0089】
本実施形態では、セルは、各セル内の状況が類似するように分離される。各サブエリアは、ジオハッシュ、または、いくつかのジオハッシュまたは特定のエリアの組み合わせであることができる。
【0090】
一実施形態では、サーバ102は、複数の機械学習アルゴリズムを使用して、各セルにおける供給、需要、およびサージを予測する。
【0091】
各セル内のルートのスタート時間も、機械学習アルゴリズムによって推定される。たとえば、サービスプロバイダは、9:00にA地点からB地点に移動し始め、セル1、2、3を通過してB地点に行く。例えば、セル2に9:04に到着し、セル3に9:06に到着し、目的地Bに9:10に到着した場合、サーバ102の供給、需要、およびサージ予測は、エリア2で9:04から9:06になる。
【0092】
一実施形態では、サーバ102は、複数の生存モデルを使用して、各サブエリアにおける供給、需要、およびサージに基づいてジョブ確率を予測する。上記の例では、エリア2のジョブ確率は、Pbar1×P[9.04-9.06]である。
【0093】
「Pbar1」はサービスプロバイダがエリア1でジョブを取得しない確率であり、P[9.04-9.06]はサービスプロバイダが9:04から9:06までジョブを取得する確率である(サービスプロバイダが9:04から9:06までジョブを取得する確率は、生存モデルから予測される)。
【0094】
サービスプロバイダが推奨場所Bに行くことに応じる場合、供給数字は更新される。
【0095】
上記の例では、サービスプロバイダは、9:04~9:06のエリア2にいる。ユーザは、推奨ルートに沿ってセル内でいつでもアクティブになる。そして、以前にアイドル状態になっていたサービスプロバイダは、そのユーザによってリクエストされたジョブを受け入れることを選択する。これらに留意する必要がある。
【0096】
本実施形態は、データ分析(例えば、PythonパッケージPandasにおけるDataframe、RにおけるDataframe、ScalaにおけるDataFrame)を行うために、サイズ変異可能な異種の表データ構造を使用する。
【0097】
図4は、再配置ルートの例を示している。各グリッドは、ジオハッシュを表す。異なるジオハッシュ内の異なるルートセグメントは、異なる色で表示される。ルートは、各セグメントが1つのジオハッシュまたは1つのみのジオハッシュ(セル)に属するように、セグメントに分離される。サービスプロバイダの現在位置から目的地(すなわち、ターゲットジオハッシュにおけるPOI)までのこのルートに5つのルートセグメントがある。
【0098】
サービスプロバイダが同じセルに滞在する場合に、待ち時間にジョブを得る確率を推定するために、この確率は、F(t)として示される。これは、生存分析における寿命分布関数とも呼ばれる。そして、生存関数は、S(t)=1-F(t)である。この実施形態において、生存モデルは、例えば、データウェアハウス202からの履歴データから、そこに格納された特徴データを使用することによってトレーニングされる。「特徴データ」は、ジオハッシュの集約された需要および供給、ドライバ評価、ドライバ優先度、中央ビジネス区域であるかどうか、平日であるかどうか、ピーク時であるかどうかなどの一部またはすべてを含む。ジョブ確率は、特徴を考慮して、F(t;x)で示される。式中、xは、特徴ベクトルである。
【0099】
式pは、サービスプロバイダが、時間ti-1前にジョブが発生しないことを与えられた期間(t-ti-1)待っている時、i番目のルートセグメント(ルートに沿ったi番目のセル)内でジョブを取得する条件付き確率である。(すなわち、サービスプロバイダは(i-1)番目のセルに入る前に、まだジョブを取得していない)。
【0100】
がi番目のルートセグメントの特徴ベクトルと仮定すると、第1のセル(セル1)について、pは、p=F(t-t;x)によって与えられる。
【0101】
次に、次のジオハッシュpは、p=F(1-p)F(t-t;x)によって与えられ、p=(1-p-p)F(t-t;x)、・・・・によって与えられる。
【0102】
一般に、ルートがn個のセグメントを持つ場合、次の式で表される。
【0103】
サービスプロバイダがスタートから終了までのルートに沿って移動していると予測される時間ウィンドウTの間にジョブを取得する確率は、下記式によって与えられる。

【0104】
Tは、いくつかの実施形態では、サービスプロバイダがジョブの探索中に移動する可能性が高い最大時間として選択される持続時間である。
【0105】
ここで、s(t)は、時間tにおけるi番目のルートセグメント(ルートに沿ったi番目のセル)のサージである。d、tは、それぞれ、現在位置からi番目のルートセグメントの最後の地点までの距離、時間である。fは、ジョブ当たりの平均基本料金である。cは、1km当たりの平均燃料コストである。vは、1秒当たりの平均収入である。特に、セットd=0、t=0、t=Tである。
【0106】
Tは、所定の最大カット持続時間(例えば、サービスプロバイダがジョブを探して移動する可能性が最も高い時間)である。したがって、たとえば、特定のアプリケーションでは、T=10分である。任意の特定のセルは、サービスプロバイダがT=10分以内に到着でき、ルート距離が所定のしきい値以下である場合およびその場合にのみ、アイドル状態のサービスプロバイダの位置に隣接する候補隣接セルと見なされる。あるいは、別の方法では、「Tは、任意の候補隣接セルの任意の到着時間よりも長い所定の停止時間である」。サービスプロバイダがT=10分以内にセルAに到着できない場合、セルAは、全く考慮されない。理解されるように、10分は一例に過ぎず、他の持続時間も可能である。
【0107】
目的地ジオハッシュへの1つのルートの期待収益Eは、下記式によって与えられる。


ここで、rは、i番目のルートセグメント内の推定収益である。
=f×s(t)-c×(d-di-1)-v×(t-ti-1
【0108】
図5は、ジオハッシュのすべての第1の層の隣接ジオハッシュのジョブ確率および期待収益を計算する例を示す。この例では、現在の位置から各目的地へのルートが1つだけ見つかる。この表は、期待収益の降順にソートされる。
【0109】
図6のマップでは、各ジオハッシュの中心は、それぞれの目的地POIとして設定されている。このマップは、図5のテーブルに対応している。両方の図を参照すると、目的地3は15分以内にジョブの最高確率を有するが、目的地1は最高期待収益を有することが分かる。出発点に近い目的地4は、仕事の確率が比較的低く、予想される収益が比較的低い。
【0110】
1つのセル(例えば、ジオハッシュ)の需要および供給が計算されるとき、サービスプロバイダは、隣接するセルにおいてジョブを得るので、隣接するジオハッシュの数を集約することが必要である。
【0111】
生存回帰モデルを訓練するために、利用可能なオンライン待機時間は、所定の時間ウィンドウ内の各サービスプロバイダのリアル待機時間として、システムによって計算される。さらに、サービスプロバイダは、待機時間中にジョブを取得しても取得しなくてもよい。打ち切り(Censoring)は、サービスプロバイダが待ち時間tの間にジョブを取得せず、システムがサービスプロバイダのジョブを取得するための待ち時間が少なくともtであることのみを知っている場合に発生する。実際、使用される生存回帰モデルは、打ち切りを扱うことができる。
【0112】
上述したように、期待収益は、離散(discrete)の方法で計算される。
【0113】
代替的に、各ルートの予想収益を下記連続バージョンで計算することもできる。


この場合、r(t)は、時間tでの予想収益である。F(t)は、サービスプロバイダが待ち時間tの間のジョブを取得する確率である。
【0114】
ここで図8を参照すると、サーバ102で実行されるプロセスの一実施形態のフローチャートの一部の概略図が示されている。
【0115】
ブロック502は、使用中、サービスプロバイダ通信デバイス104によってサーバ装置102にプッシュされるタイプの入力データレコードを表す。入力データレコード502は、データレコードを発信するサービスプロバイダ通信デバイス104を示す情報を保持するフィールドと、現在位置、アイドル状態であるか否か、現在のジョブの終了までの予測時間などの項目のフィールドとを含む。
【0116】
入力データレコード502は、サービスプロバイダデータフィールドがプロバイダがアイドル状態になったことを示すかどうかをテストするサーバの決定プロセス504に渡される。プロバイダがアイドル状態であることが判明した場合、決定プロセス504は、パケットをルート提案プロセス510に渡し、サーバ装置からデータウェアハウス202に他のデータを渡す。プロバイダがアイドル状態でない場合、決定プロセス504は、現在のサービスプロバイダの位置データを含むパケットをデータウェアハウス202に渡して、そこに記憶する。
【0117】
決定プロセス504がデータレコードをルート提案プロセス510に渡す場合、データレコードは、それによって、セル決定プロセス514に渡される。セル決定プロセス514は、複数の候補目的地セルを示すデータレコードのセットを決定する。
【0118】
候補目的地セルは、この実施形態では、システムによって監視されるすべてのセルのサブセットである。例えば、アイドル状態のサービスプロバイダの位置から遠すぎないと見なされるセルである。「遠すぎない」パラメータは、セル決定プロセス514に入力されるか、または、セル決定プロセス514によって保持されるパラメータによって設定される。
【0119】
データレコード502を生じさせる各候補目的地セルおよびサービスプロバイダ通信デバイスを示すフィールドを含むデータレコードは、位置プロセス516に渡される。これは、各候補目的地セル内の関心地点(POI)を決定し、各目的地を示す目的地データレコードを提供する。
【0120】
次いで、目的地データレコードは、ルートファインダアプリケーション540に渡される。これは、各POIへのルートの詳細を含むルートデータレコードを返す。目的地ルートレコードは、ルート分解プロセス518に渡される。ルート分解プロセス518は、それぞれのルートが通過するセルのセットを含むセルデータレコードを含む分解されたルートデータレコードを提供する。セルデータレコードは、ルートアセンブリプロセス522に渡される。
【0121】
位置プロセス516はまた、メッセージを発信するサービスプロバイダ通信デバイスを示す情報を含むデータレコードの一部をルートセグメントプロセス518に渡す。ルート分解プロセス518は、メッセージを発信するサービスプロバイダ通信デバイスを示す情報をルートアセンブリプロセス522に渡す。
【0122】
ルートアセンブリプロセス522は、予測プロセス520から、セル当たりのジョブ確率の予測を含む予測データレコードを受け取る。予測プロセス520は、データウェアハウス202にアクセスし、特徴(例えば、各セルの供給、需要、および可能性のあるチャージ量など)を予測することができるように、履歴データおよび他のデータを使用する。
【0123】
予測データレコードは、ルートアセンブリプロセス522において、ルート分解プロセス518からのセグメント情報と結び付けられて、このルート上で生じるジョブからの予想される収益と、予測されたジョブ確率との各ルートについてのスコアを提供する。
【0124】
一実施形態では、予測プロセスは、実質的に常に生じる。別の実施形態では、予測プロセスは、必要なとき(例えば、サービスプロバイダがアイドル状態になったとき、またはこの支持を求めるリクエストが受信されたとき)にのみ行われる。この場合において、全てのPOIへのルート上のジオハッシュよりむしろ、ルート内のジオハッシュのみ(すなわち、候補目的地POIのみ)が考慮されるので、予測の計算を削減することができる。
【0125】
次いで、メッセージを発信するサービスプロバイダ通信デバイスを示す情報とともに、これらの推定値は、比較プロセス524に適用され、出力プロセス526に供給される。比較プロセス524は、ジョブの最も高い予測または最も高い予測収益を有するルートを選択するように、ルートをランク付けする。出力プロセスは、比較プロセス524から提供された情報を使用して、選択されたルート上のデータを、メッセージを発信するサービスプロバイダ通信デバイスに出力させる。一実施形態では、このルートデータは、アイドルメッセージを発信するサービスプロバイダ通信デバイスにのみ提供される。
【0126】
サービスプロバイダが人間のドライバである場合、このルートデータは、サービスプロバイダ通信デバイスがドライバの注意を提案ルートに引き付けることができる形式である。これは、視覚的なディスプレイ上にあってもよいし、音声の提案であってもよい。データは、サービスプロバイダの車両のナビゲーションデバイス上に即座に表示する形式で出力される。自律走行車両がサービス提供車両である場合、出力プロセスによって送られるデータは、典型的には、決定された目的地に移動する車両に命令するようにフォーマットされる。一群の実施形態では、システムは、サービスプロバイダが通常の運転速度で目的地に直接行くことが想定されるので、目的地でのみ待機時間を考慮する。人間のドライバに中間セルで待つように伝えることは困難である。他の実施形態において(例えば、いわゆる「ドライバレス車両」のための実施形態に限定されない)、これが仕事の機会または利益のある仕事の機会を改善するときに、中間位置で停止するように指示が与えられる。
【0127】
人間のサービスプロバイダの場合、送信されるメッセージは、待ち時間の予測を含む。例えば、特定の目的地で約5分待つ場合に、ジョブを期待できることをプロバイダに伝えることを含む。ただし、5分以内にジョブの保証はない。
【0128】
ドライバに示される異なる目的地での待ち時間は変化する。しかし、最適なルートが計算されるとき、全てのルートに対して公平になるように、カットオフ時間Tが必要である。
【0129】
本発明は、例としてのみ記載されていることが理解される。添付の特許請求の範囲の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される技術に様々な修正を行うことができる。開示された技術は、スタンドアロン方式で、または互いに組み合わせて提供され得る技術を含む。したがって、1つの技術に関して説明した特徴は、別の技術と組み合わせて提示することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8