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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-06
(45)【発行日】2023-06-14
(54)【発明の名称】気流感知シート
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0245 20060101AFI20230607BHJP
   A61B 5/113 20060101ALI20230607BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20230607BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20230607BHJP
【FI】
A61B5/0245 C
A61B5/113
A61B5/11 100
B60N2/90
A61B5/0245 ZDM
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022521376
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2019128942
(87)【国際公開番号】W WO2021068419
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】201910947952.7
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517316030
【氏名又は名称】恵州市唐群座椅科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】TANGTRING SEATING TECHNOLOGY INC.
【住所又は居所原語表記】2nd Rd.,Yifa Industrial Park Pingtan Town,Huiyang District Huizhou,Guangdong 516259 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(72)【発明者】
【氏名】傅智銘
(72)【発明者】
【氏名】梅晨龍
(72)【発明者】
【氏名】余佳育
(72)【発明者】
【氏名】劉棋鵬
(72)【発明者】
【氏名】李星鋒
(72)【発明者】
【氏名】鄭鏡峰
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-194321(JP,A)
【文献】特表2015-531714(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108638930(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02-5/03
A61B 5/06-5/22
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流感知シートであって、シート本体(1)と、エアバッグ(2)と、感知アセンブリ(3)と、マイクロコントローラユニット(4)とを含み、前記エアバッグ(2)はシート本体(1)内部に設置され、エアバッグ(2)内部に変形可能な支持構造(21)が設けられ、前記支持構造(21)は、エアバッグ(2)内の適切な量のガスを維持するために使用され、前記エアバッグ(2)と前記感知アセンブリ(3)との間に伝達機構(5)が設置され、前記伝達機構(5)はエアバッグ(2)内部のガスの乱れを感知アセンブリ(3)に伝達するために使用され、前記感知アセンブリ(3)は、ガスの乱れに基づき、対応するアナログ電気信号を生成するために使用され、前記感知アセンブリ(3)はマイクロコントローラユニット(4)に電気的に接続され、前記感知アセンブリ(3)は、アナログ電気信号をマイクロコントローラユニット(4)に伝送し、前記マイクロコントローラユニット(4)は、アナログ電気信号を分析及び計算し、ユーザの生物学的信号を取得するために使用され、
前記伝達機構(5)は、伝送管(52)と、圧力調整シート(51)とを含み、前記伝送管(52)の一端はエアバッグ(2)と連通し、他端は感知アセンブリ(3)と協力して設置され、前記伝送管(52)に圧力調整口が開けられ、前記圧力調整シート(51)は圧力調整口に取り外し可能に設置され、且つ前記圧力調整シート(51)に外部と導通する複数のマイクロチャネルが設けられることを特徴とする、気流感知シート。
【請求項2】
前記エアバッグ(2)は、第1エアバッグ層(22)と、第2エアバッグ層(23)とを含み、第2エアバッグ層(23)と第1エアバッグ層(22)の縁が密封して接続されるため、バッグ状構造が形成され、前記第1エアバッグ層(22)と前記第2エアバッグ層(23)との間に変形可能な支持構造(21)が設置され、前記エアバッグ(2)に接続口が開けられ、接続口と伝達機構(5)は密封して接続されることを特徴とする、請求項1に記載の気流感知シート。
【請求項3】
前記支持構造(21)は、ポリマー材料、サンドイッチメッシュ、綿、スポンジ又は不織布であることを特徴とする、請求項2に記載の気流感知シート。
【請求項4】
前記第1エアバッグ層(22)と第2エアバッグ層(23)は両方とも柔軟で気密なポリマー材料で製造されることを特徴とする、請求項2に記載の気流感知シート。
【請求項5】
出力ユニット(6)を更に含み、前記出力ユニット(6)は、無線通信ネットワーク、車両通信回路、コントローラエリアネットワーク、シリアルデータ通信プロトコル、イーサネットネットワーク、表示ユニット、光インジケータ若しくは音声インジケータ、スピーカユニット又はメモリであることを特徴とする、請求項1に記載の気流感知シート。
【請求項6】
前記シート本体(1)にシートのパラメータを変更するための調整システムが更に配置され、前記調整システムとマイクロコントローラユニット(4)は電気的に接続されるため、前記マイクロコントローラユニットから送信したシートのパラメータの調整信号を受信することを特徴とする、請求項1に記載の気流感知シート。
【請求項7】
前記シートのパラメータは、シートの高さ、シートの角度、ヘッドレストの高さ、シートの前後位置、ランバーサポートの高さ、シートの温度、シートの通気性のうち1つ以上を含むことを特徴とする、請求項に記載の気流感知シート。
【請求項8】
前記感知アセンブリ(3)は、センサ(31)と、増幅器(32)とを含み、前記センサ(31)は、ガスの乱れに対応するアナログ電気信号を生成するために使用され、前記増幅器(32)はアナログ電気信号を増幅するために使用され、前記マイクロコントローラユニット(4)は、アナログデジタル変換器(41)と、計算ユニット(42)とを含み、前記アナログデジタル変換器(41)は、増幅されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するために使用され、前記計算ユニット(42)は、デジタル信号を分析及び計算し、生物学的信号を取得するために使用されることを特徴とする、請求項1に記載の気流感知シート。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の気流感知シートに基づき、
感知アセンブリ(3)によってエアバッグ(2)内部のガスの乱れを監視し、且つガスの乱れに対応するアナログ電気信号を生成するステップと、
アナログ電気信号を増幅するステップと、
増幅されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するステップと、
デジタル信号を分析及び計算し、生物学的信号を取得するステップと、
マイクロコントローラユニット(4)は生物学的信号に基づいてシートのパラメータを調整するステップとを含み、
ここで、デジタル信号を分析及び計算し、生物学的信号を取得する前記ステップは、
生物学的信号の特徴に基づき、帯域通過フィルタを利用してデジタル信号を処理し、サンプル信号を抽出するサブステップと、
サンプル信号における干渉信号をフィルタリングし、生物学的信号を取得するサブステップとを含むことを特徴とする、スマートシート調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の自動車のシートの技術分野に関し、特に気流感知シートに関するものであり、該シートは気流の変化を検出することによって乗客の呼吸、心拍数などの生物学的信号を測定し、且つ生物学的信号に基づいてシートのパラメータを変更し、顧客に快適、健康なサービスを提供する。
【背景技術】
【0002】
現代の自動車技術の急速な発展に伴い、自動車は徐々に数千世帯に参入し、人々の日常旅行の主要な交通手段になり、同時に、自動車のシートの乗り心地への関心はますます高まっており、快適で便利なサービスをユーザに提供できるかどうかは、シートの性能を評価する上で重要な指標の1つとなっている。現在、中国産自動車のシートは主に、弾性フィラーをシートクッションやシートバックの主なフィラーとして使用し、シートが人体への包みを実現する。しかし、従来のシートには、人体の生物学的信号の自動検出と、生物学的信号に基づく快適、健康、安全、便利なサービスの提供にまだ欠点があり、個々の生物学的特性に合わせた個別のサービスを提供することはできない。
【0003】
近年、生物学的信号を検出し、及び生物学的信号に基づいて快適、健康なサービス技術を提供することは、徐々に研究のホットスポットになり、特に呼吸や心拍数などの様々な生物学的信号の自動検出技術への要件は日々高まり、それは、主に、乗客の呼吸と心拍数が乗客の心身の状態を効果的に反映でき、従って、呼吸と心拍数も新しいサービスを提供するための基礎となるからである。従来の自動車のシートの多くは、カメラを使用して顔の血流の変化を検出し、ユーザの生物学的信号を取得し、該検出方法は非接触検出を実現できるが、計算量が多く、検出結果が周囲光源や体の動きの影響を受けやすく、ユーザのプライバシーが侵害されやすいという欠陥がある。レーダを使用して胸部の微振動を感知し、ユーザの生物学的信号を変換する自動車のシートもいくつかあり、該検出方法は、ユーザのプライバシーに関連しないが、検出過程において、レーダをユーザの胸部に向け、追加のエネルギーを注入する必要があるため、人の健康を損なうかどうかはまだ確認されない。また、シートクッションとシートバックに圧電感知アセンブリ、静電容量式フィルムセンサ、圧電ケーブルセンサなどを埋め込むことでユーザの生物的信号を検出する自動車のシートもあり、しかし、埋め込まれた電子アセンブリは長時間に圧力を受けるため、損傷しやすく、耐用年数を短縮させるだけでなく、回路の破損や短絡による安全上の問題が深刻である。
【発明の概要】
【0004】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、気流感知シートを提供し、シート本体と、エアバッグと、感知アセンブリと、マイクロコントローラユニットとを含み、前記エアバッグはシート本体内部に設置され、エアバッグ内部に変形可能な支持構造が設けられ、前記支持構造は、エアバッグ内の適切な量のガスを維持するために使用され、前記エアバッグと前記感知アセンブリとの間に伝達機構が設置され、前記伝達機構はエアバッグ内部のガスの乱れを感知アセンブリに伝達するために使用され、前記感知アセンブリは、ガスの乱れに基づき、対応するアナログ電気信号を生成するために使用され、前記感知アセンブリはマイクロコントローラユニットに電気的に接続され、前記感知アセンブリは、アナログ電気信号をマイクロコントローラユニットに伝送し、前記マイクロコントローラユニットは、アナログ電気信号を分析及び計算し、ユーザの生物学的信号を取得するために使用される。
【0005】
更に、前記エアバッグは、第1エアバッグ層と、第2エアバッグ層とを含み、第2エアバッグ層と第1エアバッグ層の縁が密封して接続されるため、バッグ状構造が形成され、前記第1エアバッグ層と前記第2エアバッグ層との間に変形可能な支持構造が設置され、前記エアバッグに接続口が開けられ、接続口と伝達機構は密封して接続される。
【0006】
更に、前記支持構造は、ポリマー材料、サンドイッチメッシュ、綿、スポンジ又は不織布である。
【0007】
更に、前記第1エアバッグ層と第2エアバッグ層は両方とも柔軟で気密なポリマー材料で製造される。
【0008】
更に、前記伝達機構は、伝送管と、圧力調整シートとを含み、前記伝送管の一端はエアバッグと連通し、他端は感知アセンブリと協力して設置され、前記伝送管に圧力調整口が開けられ、前記圧力調整シートは圧力調整口に取り外し可能に設置され、且つ前記圧力調整シートに外部と導通する複数のマイクロチャネルが設けられる。
【0009】
更に、出力ユニットを更に含み、前記出力ユニットは、無線通信ネットワーク、車両通信回路、コントローラエリアネットワーク、シリアルデータ通信プロトコル、イーサネットネットワーク、表示ユニット、光インジケータ若しくは音声インジケータ、スピーカユニット又はメモリである。
【0010】
更に、前記シート本体にシートのパラメータを変更するための調整システムが配置され、前記調整システムとマイクロコントローラユニットは電気的に接続されるため、前記マイクロコントローラユニットから送信したシートのパラメータの調整信号を受信する。
【0011】
更に、前記シートのパラメータは、シートの高さ、シートの角度、ヘッドレストの高さ、シートの前後位置、ランバーサポートの高さ、シートの温度、シートの通気性のうち1つ以上を含む。
【0012】
更に、前記感知アセンブリは、センサと、増幅器とを含み、前記センサは、ガスの乱れに対応するアナログ電気信号を生成するために使用され、前記増幅器はアナログ電気信号を増幅するために使用され、前記マイクロコントローラユニットは、アナログデジタル変換器と、計算ユニットとを含み、前記アナログデジタル変換器は、増幅されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するために使用され、前記計算ユニットは、デジタル信号を分析及び計算し、生物学的信号を取得するために使用される。
【0013】
スマートシート調整方法であって、上記気流感知シートに基づき、
感知アセンブリによってエアバッグ内部のガスの乱れを監視し、且つガスの乱れに対応するアナログ電気信号を生成するステップと、
アナログ電気信号を増幅するステップと、
増幅されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するステップと、
デジタル信号を分析及び計算し、生物学的信号を取得するステップと、
マイクロコントローラユニットは生物学的信号に基づいてシートのパラメータを調整するステップとを含む。
【0014】
更に、デジタル信号を分析及び計算し、生物学的信号を取得する前記ステップは、
生物学的信号の特徴に基づき、帯域通過フィルタを利用してデジタル信号を処理し、サンプル信号を抽出するサブステップと、
サンプル信号における干渉信号をフィルタリングし、生物学的信号を取得するサブステップとを含む。
【0015】
本発明の有益な技術的効果は以下の通りである。
従来技術に比べて、本発明は、気流感知シートを開示し、該シートには、シート本体内部にエアバッグが埋め込まれ、エアバッグ内部に変形可能な支持構造が設置されるため、エアバッグ内に適切な量のガスがあることを保証し、エアバッグが圧力を受けた後、その内部のガスの流れによるガスの乱れは伝達機構を介して感知アセンブリにリアルタイムに伝達され、感知アセンブリは、感知されたガスの乱れ信号に基づいて適合するアナログ電気信号を生成し、マイクロコントローラユニットはアナログ電気信号を分析し、生物学的信号を取得する。生物学的信号の取得過程において、シート本体中にエアバッグを埋め込むだけで済み、エアバッグは、シートクッション又はシートバック、あるいはその両方に設置され得、他の圧力感知アセンブリを設置する必要がなく、過度の圧力によって引き起こされた従来の電子圧力感知アセンブリの損傷を回避し、且つ、検出過程において、空気ポンプでエアバッグに空気を供給する必要がなく、シート全体は、構造がシンプルであり、コストが低く、耐用年数が長い。最も重要なものとして、伝達機構に更にスローリーク機構が設置され、強いガスの乱れの発生を防止し、ガスの乱れが常に感知アセンブリの検知範囲にあることを保証し、検出の精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例1における気流感知シートの構造図である。
図2】実施例1におけるエアバッグ、感知アセンブリ、マイクロコントローラユニット及び出力ユニットの間の接続関係の概略図である。
図3】実施例1におけるセンサ、増幅器、アナログデジタル変換器及び計算ユニットの接続関係の概略図である。
図4】実施例1におけるエアバッグの全体構造の概略図である。
図5】実施例1におけるエアバッグの各部品の接続関係の概略図である。
図6】実施例1における伝達機構の各部品の位置関係の概略図である。
図7】実施例1における伝達機構の断面図である。
図8】実施例1における伝達機構の全体構造の概略図である。
図9】実施例1におけるエアバッグがシート本体での分布の概略図である。
図10】実施例1における調整システムがシート本体内部での分布の構造図である。
図11】実施例2においてスマートシート調整方法のフロー概略図である。
図12】実施例2においてデジタル信号を分析及び計算するフロー概略図である。
図13】実施例2において取得されたガスの乱れに対応するアナログ電気信号の概略図である。
図14】実施例2において取得されたデジタル信号、フィルタリングされた脈動サンプル信号、及びフィルタリングされた呼吸サンプル信号の概略図である。
図15】実施例2において自動車のエンジンが起動する時に生じる干渉信号の概略図である。
図16】後処理された脈動信号、後処理されない脈動信号、及び実施例2の心電図によって取得された脈動信号の比較図である。
図17】実施例2において座っている人がいる、及び誰も座っていない時のエア駆動信号の変化図である。
図18】実施例2において誰かがシートに座っているかどうかを判断するためのアルゴリズムのフロー概略図である。
図19】実施例2において異なる下り居カテゴリを分類するためのアルゴリズムである。
【0017】
図面は例示的な説明のみを目的としており、本願の制限として解釈されるべきではなく、本実施例をよく説明するために、図面の一部の部品は省略、拡大、縮小され、実際の製品のサイズを表すものではなく、当業者にとって、図面におけるいくつかの周知の構造及びそれらの説明は省略され得ることは理解され得、同じ又は類似の記号は、同じ又は類似の部品に対応し、図面における位置関係を説明する用語は、例示的な説明のみを目的としており、本願の制限として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施例を詳細に説明し、本発明の利点及び特徴が当業者によってより容易に理解され得るようにし、従って、本発明の保護範囲をより明確に定義する。
(実施例1)
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施例は、シート本体1と、エアバッグ2と、感知アセンブリ3と、マイクロコントローラユニット4とを含む気流感知シートを提供する。エアバッグ2は、シート本体1内部に設置され、エアバッグ2内部に変形可能な支持構造21が設けられ、支持機構21はガスに空間を提供し、支持機構21はエアバッグ2内の適切な量のガスを維持するために使用される。圧力を受けた後のエアバッグ2の体積の変化によってエアバッグ2内部のガスの乱れをもたらし、従って、エアバッグ2の体積の変化可能を実現し、エアバッグ2内部に設置された支持構造21は一定の極小の弾性を有する必要があり、同時に、適切な量のガスを収容するための空間を必要とする。エアバッグ2と感知アセンブリ3との間に伝達機構5が設置され、伝達機構5はエアバッグ2内部のガスの乱れを感知アセンブリ3に伝達するために使用される。感知アセンブリ3は気流の微小の変化を感応でき、且つガスの微小の変化に基づき、ガスの乱れに対応するアナログ電気信号を生成する。感知アセンブリ3はマイクロコントローラユニット4に電気的に接続され、生成されたアナログ電気信号を感知アセンブリ3を介してマイクロコントローラユニット4に伝送する。マイクロコントローラユニット4は、アナログ電気信号を分析及び計算し、ユーザの生物学的信号を取得するために使用される。ここで、生物学的信号は、心拍数帯域、呼吸帯域、身長関連情報、体重関連情報、体格関連情報、及び話し、下り居、起き上がり、座り方の微細調整などの体の動作信号を指す。
【0020】
一般的に、ユーザの体の動作信号を完全で正確に検出することを実現するために、シート本体1内部に複数のエアバッグ2を埋め込む必要があり、図9に示すように、複数のエアバッグ2はシート本体1のシートバック11及びシートクッション12に均一に分布し、各エアバッグ2に感知アセンブリ3及びマイクロコントローラユニット4がそれぞれ配置される。人体がシート本体1に座る場合、人体の生理学的活動は、シートクッション12及びシートバック11に設置されたエアバッグ2に影響を与え、例えば、呼吸が続くと、シートバック11内部に設置されたエアバッグ2の応力情況が変化し、その内部の気流がわずかに変化し、各エアバッグ2内部の気流がわずかに変化することは、伝達機構5を介して対応する感知アセンブリ3に伝達され、且つ感知アセンブリ3から対応するアナログ電気信号をマイクロコントローラユニット4まで出力し、マイクロコントローラユニット4は、アナログ電気信号への分析を完了し、且つ生物学的信号を取得する。各マイクロコントローラユニット4によって取得された生物学的信号を分類器で分類し、次に、分類された生物学的信号を統合した後に出力ユニット6に伝送する。ここで、分類器は、ニューラルネット、決定木、サポートベクタマシン、ベイズ信頼性ネットワークを含む。出力ユニット6は、無線通信ネットワーク、車両通信回路、コントローラエリアネットワーク、シリアルデータ通信プロトコル、イーサネットネットワーク、表示ユニット、スピーカユニット、光インジケータ若しくは音声インジケータ又はメモリのうちいずれか1つから選択され、ここでは限定されるものではない。本実施例において、シート本体1内部に共に6つのエアバッグ2が埋め込まれ、そのうち3つのエアバッグ2はシートクッション12内部に並列して設置され、他の3つのエアバッグ2はシートバック11内部に並列して設置され、エアバッグ2は方形のバッグ状構造であり、6つのエアバッグ2は基本的にシートクッション12とシートバック11の領域全体を被覆する。当然ながら、エアバッグ2の面積の大きさに基づいてエアバッグ2の数を適切に調整でき、一般的に、エアバッグ2の数が多いほど、監視範囲が広くなり、試験結果の精度が高くなり、ここではエアバッグ2の数を具体的に限定するものではない。
【0021】
図4及び図5に示すように、好ましくは、エアバッグ2は、第1エアバッグ層22と、第2エアバッグ層23とを含む。第1エアバッグ層22と第2エアバッグ層23は両方とも柔軟で気密なポリマー材料で製造される。第2エアバッグ層23と第1エアバッグ層22の縁はホットメルト接着の方式で密封して接続されるため、バッグ状構造が形成される。第1エアバッグ層22と第2エアバッグ層23との間に変形可能な支持構造21が設置される。エアバッグ2に接続口が開けられ、接続口箇所に連通型空気管24が取り付けられ、連通型空気管24と伝達機構5は密封して接続される。エアバッグ2内部に設置された支持構造21は、ポリマー材料、サンドイッチメッシュ、綿、スポンジ又は不織布などの、弾性で柔軟なフィラーであり得、好ましくは、綿であり、更に、特定の支持形状であり得、形状自体の構造を利用してエアバッグ2を広げ、外部の空気供給アセンブリがない場合で一定の量のガスを維持する。支持構造21は更に、第1エアバッグ層22と第2エアバッグ層23と同じポリマー材料で製造され、支持構造21がポリマー材料で製造される場合、一般的にプラスチック射出成形プロセスで製造される。本実施例において、第1エアバッグ層22、第2エアバッグ層23及び支持構造21はいずれもポリ塩化ビニール(PVC)材料で製造される。
【0022】
好ましくは、気流の乱れによる信号が感知アセンブリ3の感知範囲を超えることを防止するために、エアバッグ2又は伝達機構5にスローリーク構造が設置され得、ガスの乱れ信号の伝送を保証すると同時に、内部の気圧と外部の気圧との釣り合いを維持し、信号飽和又は異常な状況の発生を回避し、同時に感知アセンブリ3の大量生産範囲はまた、異なる重量の人体を考慮に入れ、ガス量を調整することができる。スローリーク機能を有する伝達機構5を一例として説明する。図6図7及び図8に示すように、伝達機構5は伝送管52と、圧力調整シート51とを含む。伝送管52の一端は第1エアエアダクト53を介してエアバッグ2に設置された連通型空気管24に接続されるため、伝送管52とエアバッグ2との連通を実現し、その他端に第2エアダクト54が接続され、第2エアダクト54と感知アセンブリ3は協力して設置され、即ち、第2エアダクト54の排気端と感知アセンブリ3は対応して設置されるため、ガスの乱れを感知アセンブリ3に伝達する。伝送管52に圧力調整口が開けられ、圧力調整シート51と圧力調整口は協力して設置され、前記圧力調整シート51と伝送管52は取り外し可能に接続され、且つ前記圧力調整シート51に外部と導通する複数のマイクロチャネルが設けられる。
【0023】
好ましくは、圧力調整口において伝送管52に対応する位置に外向きに延在する係止溝構造55が接続され、圧力調整シート51と伝送管52は係止溝構造55を介して接続される。本実施例において、圧力調整シート51はマイクロチャネルを有するプラスチックであり、それはプラスチック粒子を焼成することによって製造される。圧力調整シート51の動作方式は受動的な圧力調整方式に属し、圧力調整シート51におけるマイクロチャネルは内部の圧力と外部の圧力をゆっくりして変更し、内部の圧力と外部の圧力との釣り合いを維持し、内部の気流の圧力は大きくなり、外部の圧力が内部の圧力より小さい場合、気流が外向きに流れることをもたらし、圧力調整効果を達成し、内部の気流の圧力は小さくなり、外部の圧力が内部の圧力より大きい場合、気流が内向きに流れ、更に圧力調整効果を達成し、ここで、外部の圧力は自然大気圧である。伝達構造のこのようなスローリーク配置は、誰かが最初にシートに座る時に大きな信号変化のために感知アセンブリ3が飽和する情況を回避するために役立つ。
【0024】
好ましくは、シート本体1にシートのパラメータを変更するための調整システム7が配置され、調整システム7とマイクロコントローラユニット4は電気的に接続されるため、マイクロコントローラユニットから送信したシートのパラメータの調整信号を受信し、調整システム7はシートのパラメータの調整信号に基づいて対応して調整される。図10に示すように、調整システム7はバック加熱装置71と、バック換気装置72と、マッサージ装置73と、クッション加熱装置74、ランバーサポート装置75と、ショルダ支持装置76と、側面支持装置77と、硬度調整装置78とを含む。当然ながら、ユーザは自己のニーズに応じて他の調整装置を追加でき、本実施例に記載の各調整装置はいずれも従来技術であるため、ここでは詳細説明しない。調整システムはマイクロコントローラユニット4に電気的に接続され、マイクロコントローラユニット4は、シートのパラメータの調整信号を送信することによってシートのパラメータを変更する。ここで、シートのパラメータは、シートの高さと、シートの角度と、ヘッドレストの高さと、シートの前後位置と、ランバーサポートの高さ及び硬さと、シートの温度と、シートの通気とを含む。各シートのパラメータの調整は、異なる生物学的信号に自動的に対応でき、生物学的信号を自動制御及び調整システムの基礎として使用する。シートの高さとシートの角度などの調整は、ユーザの身長信号、体重信号、体格信号に基づいて適応的に調整する必要があり、身長信号、体重信号、体格信号の検出は、対照データベースによって完了する。つまり、身長信号、体重信号、体格信号を検出する時、まず、身長信号、体重信号、体格信号とエア駆動信号との対照データベースを構築する必要があり、異なる身長信号、異なる体重信号、異なる体格信号とエア駆動信号との対照データベースとの間の関係を見つけ、当然ながら、外部の熟した対照データベースを直接導入できる。また、シートのパラメータの調整信号がない情況で、本実施例によって開示されたバック加熱装置71、バック換気装置72、マッサージ装置73、クッション加熱装置74、ランバーサポート装置75と、ショルダ支持装置76と、側面支持装置77と、硬度調整装置78などは、運転者によって手動に調整でき、ここでは限定されるものではない。
【0025】
図3に示すように、好ましくは、感知アセンブリ3は、センサ31と、増幅器32とを含み、センサ31は、ガスの乱れに対応するアナログ電気信号を生成するために使用される。増幅器32は、実際には増幅回路であり、センサ31によって収集された弱いアナログ電気信号を増幅するために使用される。ここで、増幅器32はTIのLM833アセンブリを選択でき、センサ31はMXP2010の圧力センサを選択できる。圧力センサはガスのエア駆動信号に基づいて対応するアナログ電気信号を生成できる。収集原理は、ピエゾフィルムを使用し、フィルムが力を受けると、電流を生成し、従って、気流の変化を電気信号に変換でき、アナログ電圧信号生成原理と過程は全て従来技術であり、ここでは詳細に説明しない。当然ながら、速度センサ又は気流量センサを用いると、同様に動作できる。マイクロコントローラユニット4は、アナログデジタル変換器41と、計算ユニット42とを含み、アナログデジタル変換器41は、増幅されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換するために使用され、計算ユニット42は、デジタル信号を分析及び計算し、生物学的信号を解析し出す。アナログデジタル変換器41と計算ユニット42を協力して設置するだけで、信号の解析を完了する。それは、自然界の大部分の信号はアナログ信号で、連続的であるためであり、計算ユニットで処理すると、連続的なアナログ信号に対してサンプリングを行い、離散信号に変更し、次に離散信号を量子化ビット信号に変換する必要があると、デジタル計算機の処理の要件を満たす。本実施例において、マイクロコントローラユニット4は、Microchip dsPIC33シリーズのプロセッサ又はNXP 32K144シリーズのプロセッサを選択でき、両方のシリーズのマイクロプロセッサの内部は、計算ユニット42と、アナログデジタル変換器41とを含む。当然ながら、アナログデジタル変換器41は、独立してマイクロコントローラユニット4の外部に設置され得、更なるアセンブリを使用してマイクロコントローラユニット4に接続すればよい。
【0026】
本実施例によって開示された気流感知シートは、広い適用価値を有し、自動車だけでなく、二輪車、飛行機、船、更に車椅子にも取り付けることができ、交通手段がエア駆動された後に感知アセンブリ3を起動してガスの乱れ信号を伝送するだけで、生物学的信号の検出を実現できる。
【0027】
本実施例によって開示された気流感知シートは、シート本体1内部に設置されたエアバッグ2内のガスの流れに基づいて生物学的信号を収集し、エアバッグ2内部にエアバッグを広げるための支持構造21が設置されるため、エアバッグ2内に適切な量のガスを常に維持でき、従って、空気ポンプでエアバッグ2に空気を供給する必要がなく、構造がシンプルであり、使いやすい。また、伝達機構5は非密封設計を用い、外部と導通するマイクロチャネルを作り出すため、過度の圧力による感知アセンブリ3の信号信号飽和又は損傷を効果的に回避する。最も重要なものとして、シート本体1は、生物学的信号を検出するための監視システムと干渉がないことを実現するための調整システムを組み合わせ、取り付け構造を簡素化させ、生産とメンテナンスの難しさを低減し、シート本体の信頼性を向上させる。
(実施例2)
【0028】
図11に示すように、本実施例は、スマートシート調整方法を開示し、実施例1における気流感知シートに基づき、具体的には以下ステップを含む。
【0029】
01、感知アセンブリ3によってエアバッグ2内部のガスの乱れを監視し、且つガスの乱れに対応するアナログ電気信号を生成する。
【0030】
具体的には、ユーザの呼吸信号と脈動信号の検出を一例として説明する。人体がシート本体1に座る場合、人体の呼吸及び脈動は、シートクッション12及びシートバック11に設置されたエアバッグ2の圧力に直接影響を与え、エアバッグ2の圧力が変化する場合、エアバッグ2内のガスは必然的にわずかに変化し、エアバッグ2は、伝達構造5を介して感知アセンブリ3と協力して設置されるため、伝達構造5は、エアバッグ2内の気流の変化を、感知アセンブリ3内の圧力センサにリアルタイムに反応させる。図13に示すように、圧力センサにおけるピエゾフィルムが気流の衝突を受けると、対応する電流が発生し、エア駆動信号からアナログ電気信号に変換することを実現する。
【0031】
02、アナログ電気信号を増幅する。
【0032】
エアバッグ2内部のガスの量がわずかに変化するため、圧力センサによって変換されたアナログ電気信号は比較的弱い、従って、増幅回路を使用してアナログ電気信号を増幅する必要があり、後続の計算精度を向上させる。
【0033】
03、増幅されたアナログ電気信号をデジタル信号に変換する。
【0034】
エア駆動信号はアナログ信号で、連続的であるため、変換によって得られたアナログ電気信号も連続的である。図14における上の図面に示すように、デジタル計算機は、離散信号のみを処理できるため、信号を分析する前、アナログデジタル変換器41を使用し、連続的なアナログ電気信号を量子化ビット信号に変換する必要があり、元のデータ信号を取得する。
【0035】
04、デジタル信号を分析及び計算し、生物学的信号を取得する。
【0036】
心拍数帯域と呼吸帯域の検出方法は、信号を帯域通過フィルタに通し、帯域が必要な生物学的信号を含むように適切に調整でき、次に短期間の極値検出を行い、一定期間の極値を見つけることができ、続いて、隣接する極値間の距離を分析することにより、心拍数と呼吸の周波数によって表される極値を見つけることができ、且つ後処理によって異常な極値を除去し、それらを統計し、最終的に統計値や計算過程における関連情報を出力ユニットに出力することである。一般的な医学的知識によると、脈動信号の周波数は1Hz?8Hzであり、呼吸信号の周波数は0.1~0.6Hzである。
【0037】
脈動信号と呼吸信号を一例としており、デジタル信号の分析と計算過程を段階的に説明し、図12に示すように、
041、生物学的信号の特徴に基づき、帯域通過フィルタを利用してデジタル信号を処理し、サンプル信号を抽出する。
【0038】
脈動信号の周波数と呼吸信号の周波数に基づき、図14における上の図面(元のデータ信号)を観察すると、図面における強い乱れと呼吸信号は関連性を有し、より鋭くてより大きな振幅の信号と心拍数が一定の関連性を有することを発見し、ここで、1つの脈動周期と1つの呼吸周期がマークされる。ここで、呼吸は強い乱れであり、脈動は弱い乱れである。この関連性の原理は、心電図との比較によって得られたものであり、心電図は一般的な医療グレードの機器であり、当社の信号収集方法を使用すると、静的条件下で精度が94%以上に達する可能性がある。強い乱れは、呼吸に直接結び付けることができ、呼吸と信号との関係を直接観察することにより、呼吸はエアバッグの気流の変化をもたらすと結論付けられ、当社のシステムに反映される。
【0039】
上記関連性に基づき、適切な帯域通過フィルタに基づいて元のデータ信号を処理し、サンプル信号を抽出する。抽出過程において、心拍数信号の周波数を0.8~20Hzに設定し、該周波数は、人体の脈動の振動周波数の範囲を統計することによって得られ、呼吸信号の周波数を0.1~0.6Hzに設定し、該呼吸信号の周波数は、人体の呼吸の周波数を統計することによって得られる。使用過程において、帯域通過フィルタの帯域を適切に調整できるため、必要な生物学的信号を含めることができる。本実施例において、帯域通過フィルタは、6次バターワースフィルタを選択する。
【0040】
ここで、短期間の極値検出を使用し、脈動時間と呼吸時間の位置を取得する。短期間の極値検出は、0.5秒などの短期間の信号を取得し、次にこの0.5秒以内の極値を見つけ、ここで、極値が最大値又は最小値であり得、即ち波形のピーク又はトラフを取得し、次に短期間の間隔で絶えずに変位し、次の期間の極値を見つけるまでであり、全てのピーク又はトラフを見つけるまで繰り返される。
【0041】
短期間の極値検出を行った後、0.5秒以内の極値などの一定期間内の極値を見つける。極値を見つけた後、生物学的信号の特性に基づいて2つの極値の間の距離を分析する。一般的には、心拍数は1分あたり50?120拍であり、つまり、2つの極値が0.5秒?2秒であるのは、脈動信号である。呼吸数は1分あたり10?20回であり、つまり、2つの極値が3秒?6秒であるのは、呼吸信号である。極値距離を分析することにより、脈動と呼吸の周波数で表される極値を見つけ、後処理によって不要な極値点を除去することができる。ここで、後処理では、5セットの2つずつの極値距離を使用して中央値を取得でき、又は60%を超えてはならないフィルタリングされたデータの絶対値の比率を追加できる。最終的に得られた脈動帯域信号と呼吸帯域信号は図14に示され、ここで、図14における中間の図面は脈動帯域信号図であり、図14における下の図面は呼吸帯域信号図である。
【0042】
042、サンプル信号における干渉信号をフィルタリングし、生物学的信号を取得する。
【0043】
周知のように、車両エンジンを起動すると、シート本体1が振動し、人体がシート本体1に座ると、それに伴って姿勢が変化することは避けられず、更にエアバッグ2を押圧し、干渉信号を生成する。生物学的信号の検出精度を向上させるために、エンジンによって生成されたこの種類の干渉を除去する必要がある。従って、エンジン起動時に生成するエア駆動信号を分析する。図15は、エンジン起動時のエア駆動信号であり、その上の図面はエア駆動信号であり、他の3つのサブグラフはそれぞれ加速度センサのxyz軸信号である。エンジンの振動により、信号に10Hzを超える高周波振動信号が含まれることがわかり、エンジンの振動信号は一種の干渉であり、フィルタを使用した後、この種の干渉信号をフィルタリングすることができる。
【0044】
干渉信号をフィルタリングした後、後処理技術によって精度がより高い生物学的信号を取得することができる。本実施例に記載の後処理技術は、一定期間の値の中央値を取得するために使用することができ、その結果、一貫性のない複数の値を除去することができ、後処理の目的は、隣接する極値に一定の連続性を持たせ、あまり変化しないようにし、実際には脈動や呼吸ではない信号判断点を見つけることである。図16は、後処理された脈動信号である。ここで、refは、心電図を使用して得られた心拍数であり、orgは、後処理されない心拍数であり、postは、後処理された心拍数である。後処理された心拍数は、心電図を使用して得られた心拍数と高度に一致することがわかる。
【0045】
当然ながら、アルゴリズムモデルは、時間だけでなく帯域でも分析できる。例えば、信号をフーリエ変換し、ここで、フーリエ変換の時間は5秒~10秒であり、次に脈動帯域の極値を見つけ、検出結果も高い精度を有し、心拍数の関連程度に非常に近い。また、基底投影分析及び処理によって周波数関連の生理学的信号特性を取得し、フーリエスペクトル分析に加えて、ウェーブレット変換時間周波数分析、短時間フーリエ変換分析、ヒルベルトファン変換分析などの分析手法も使用できる。上記アルゴリズムモデルはいずれも従来技術のものであるため、ここでは詳細に説明しない。
【0046】
注意すべきものとして、気流感知シートを介して生物学的信号を検出する前、誰かが実際にシート本体1に座っているかどうかも確認でき、従って、本社は2つの期間を分割するための信号アルゴリズムを開発し、確認のために2つの期間の違いを分析する。ここで、図17に示すように、2つの期間を分割するための信号は気流の乱れの大きな変化を利用し、閾値を設定し、気流の乱れ値が急に増大し、その比が閾値を超える場合、2つの信号の特性をそれぞれ統計する。2つの信号の統計値がまったく異なる場合、1つの信号には人体信号があり、もう1つの信号には人体信号がないと判断される。一般的には、気流の生物学的信号の範囲が強い1つは人がいると設定し、弱い1つは人がないと設定する。誰かがシートに座っているかどうかを判断するためのアルゴリズムフローは図18に示される。次に、物体信号のある1つに対して物体信号分析を行う。
【0047】
本実施例において、誰かが椅子に座っているかどうかを判断するアルゴリズム過程において、閾値を超える時点の一定期間の値を統計し、統計値を記録することができる。図19に示すように、一般的にが、まず、閾値を超えた時間を判断し、該時間の一定範囲の値を統計し、且つ該統計値を記録し、次に該統計値と前の統計値を比較すると、監視なしの学習分類を実現し、複数のクラスタに分ける。当然ながら、分類方法は他の従来のアルゴリズムを用いることができ、分類を実現すればよく、ここでは詳細に説明しない。
【0048】
05、マイクロコントローラユニット4は生物学的信号に基づいてシートのパラメータを調整する。
【0049】
ステップ04で取得された生物学的信号を複数のカテゴリに分け、マイクロコントローラユニットに伝送し、マイクロコントローラユニット4は、様々な生物学的信号に基づいてシート本体1の快適さを調整する。調整過程において、マイクロコントローラユニット4は、様々な生物学的信号を分析する必要があり、次に対応する調整命令を調整システム7に送信し、調整システム7でランバーサポートの調整、シートの高さの調整、シートの角度の調整、シートの前後位置の調整、マッサージなどを完了する。本実施例に記載の調整システム7はバック加熱装置71と、バック換気装置72と、マッサージ装置73と、クッション加熱装置74、ランバーサポート装置75と、ショルダ支持装置76と、側面支持装置77と、硬度調整装置78とを含む。調整システム7の調整方式は、まず、元の手動調整の結果を記録し、例えば、シートの高さを調整した後、該シートの高さの生物学的信号の特徴値を記録し、ここで、生物学的信号の特徴値は、生物学的信号の特徴値は、座ってから定常状態に達するまでの時間差、定常状態に達する生物学的信号の特徴値の平均値、及び2つの定常状態の信号変化値であり得、該統計値を使用し、手動調整の結果に対応でき、このように、取得された生物学的信号を使用して各部分の調整に対応でき、各調整は様々なタイプの自動調整に自動的に対応できる。つまり、まず、身長、体格、体重の異なるユーザをシート本体1に座らせる必要があり、次に、シート本体1の各パラメータを手動に調整することにより、ユーザが最も快適な状態に達し、マイクロコントローラユニット4が、身長、体格、体重の異なるユーザに対応する様々なパラメータを記録でき、即ち、身長、体格、体重とシートのパラメータとの間のデータベースを確立する。このように、座席パラメータの自動調整過程では、マイクロコントローラユニット4が身長信号、体型信号又は体重信号を取得する限り、データベース内で一致するシートのパラメータを直接見つけることができ、次に、見つかったシートのパラメータに応じ、調整命令を調整システムに送信し、調整システムが様々なシートのパラメータの調整を完了する。
【0050】
どの技術を使用するかに関係なく、自動車の生物学的信号の測定は簡単な作業ではない。動きによるチャレンジは、車両だけでなく、運転者自身によっても引き起こされる。ユーザを干渉しないセンサ技術を使用する場合、移動や動きによるこれらのチャレンジはより困難になる。センサフュージョンを適用することにより、このチャレンジの一部は軽減される。センサフュージョンは、複数の異なる位置にある複数のセンサを使用し、関連する技術的な欠陥を補い、例えば、1つのセンサを適応フィルタリングのノイズ信号として利用する。ソース分離は、例えば、統計的依存関係に基づくアルゴリズム(独立成分分析など)を適用する。カバー率が向上し、例えば、同じ生命兆候を測定する複数のセンサを利用することにより、ある時点で該生命兆候を取得する可能性が高くなる。本願の検出技術と上記従来技術を組み合わせると、生物学的信号の検出範囲を効果的に拡大し、検出精度を向上させることができる。
【0051】
明らかに、本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するための単なる例であり、本発明の実施形態を限定することを意図するものではない。当業者にとって、上記説明に基づいて他の異なる形式の変更又は修正を行うこともできる。ここでは全ての実施形態を網羅する必要はなく、網羅することもできない。本発明の精神及び原則の範囲内で行われた修正、同等の交換及び改良などは、本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0052】
1-シート本体、11-シートバック、12-シートクッション、2-エアバッグ、21-支持構造、22-第1エアバッグ層、23-第2エアバッグ層、24-連通型空気管、3-感知アセンブリ、31-センサ、32-増幅器、4-マイクロコントローラユニット、41-アナログデジタル変換器、42-計算ユニット、5-伝達機構、51-圧力調整シート、52-伝送管、53-第1エアダクト、54-第2エアダクト、55-係止溝構造,6-出力ユニット、7-調整システム、71-バック加熱装置、72-バック換気装置、73-マッサージ装置、74-クッション加熱装置、75-ランバーサポート装置、76-ショルダ支持装置、77-側面支持装置、78-硬度調整装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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