(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20230608BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230608BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 624B
G09G3/20 670H
G09G3/20 670Q
G09G3/20 621B
G09G3/20 623C
G09G3/20 623L
G09G3/20 623R
G09G3/20 622D
G02F1/133 550
(21)【出願番号】P 2019161911
(22)【出願日】2019-09-05
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 隆行
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-061435(JP,A)
【文献】特開2014-215495(JP,A)
【文献】特開2007-333823(JP,A)
【文献】特開2014-026028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に設けられた複数の画素と、
前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第1データ線と、
前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第2データ線と、
前記複数の第1データ線のそれぞれに正極性の映像信号を供給するか否かを切り替えるとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれに負極性の映像信号を供給するか否かを切り替える複数の第1スイッチ素子と、
検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された複数の正極性の画素駆動電圧と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された複数の負極性の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力する複数のセンスアンプと、を備え、
各前記画素は、
対応する前記第1データ線に供給された前記正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第1サンプルホールド回路と、
対応する前記第2データ線に供給された前記負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第2サンプルホールド回路と、
前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧を出力する第1ソースフォロワバッファと、
前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧を出力する第2ソースフォロワバッファと、
画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された液晶表示素子と、
第1ソースフォロワバッファから出力された前記正極性の映像信号の電圧、及び、
第2ソースフォロワバッファから出力された前記負極性の映像信号の電圧、を選択的に前記画素駆動電極に印可する極性切り替えスイッチと、
第1ソースフォロワバッファから出力され、かつ、前記極性切り替えスイッチを介して前記画素駆動電極に印可される前の前記正極性の映像信号の電圧を、前記正極性の画素駆動電圧として前記対応する第1データ線に出力するか否かを切り替える第1スイッチトランジスタと、
第2ソースフォロワバッファから出力され、かつ、前記極性切り替えスイッチを介して前記画素駆動電極に印可される前の前記負極性の映像信号の電圧を、前記負極性の画素駆動電圧として前記対応する第2データ線に出力するか否かを切り替える第2スイッチトランジスタと、を有
し、
前記第1スイッチトランジスタは、前記第1ソースフォロワバッファの出力ノードと、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
前記第2スイッチトランジスタは、前記第2ソースフォロワバッファの出力ノードと、前記対応する第2データ線と、の間に設けられている、
液晶デバイス。
【請求項2】
検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに前記複数の正極性の画素駆動電圧が読み出される前に、前記複数の第1データ線のそれぞれに所定電圧を供給する複数の第2スイッチ素子と、
検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに前記複数の負極性の画素駆動電圧が読み出される前に、前記複数の第2データ線のそれぞれに前記所定電圧を供給する複数の第3スイッチ素子と、をさらに備えた、
請求項
1に記載の液晶デバイス。
【請求項3】
前記映像信号の書き込み時には、前記複数の第1スイッチ素子をオンし、かつ、各前記画素に設けられた前記第1及び前記第2スイッチトランジスタをオフし、前記映像信号の読み出し時には、前記複数の第1スイッチ素子をオフした状態で、検査対象の行の各前記画素に設けられた前記第1及び前記第2スイッチトランジスタを選択的にオンするように制御するドライバをさらに備えた、
請求項1
又は2に記載の液晶デバイス。
【請求項4】
入力ポートと、
一又は複数の出力ポートと、
前記入力ポートに入射された光信号を偏向して前記一又は複数の出力ポートのうち選択された何れかの出力ポートから出射する、複数の画素を有する請求項1~
3の何れか一項に記載の液晶デバイスによって構成された空間光変調器と、
を備えた、波長選択光スイッチ装置。
【請求項5】
行列状に設けられた複数の画素と、
前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第1データ線と、
前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第2データ線と、
前記複数の第1データ線のそれぞれに正極性の映像信号を供給するか否かを切り替えるとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれに負極性の映像信号を供給するか否かを切り替える複数の第1スイッチ素子と、
検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された複数の正極性の画素駆動電圧と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された複数の負極性の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力する複数のセンスアンプと、を備え、
各前記画素は、
対応する前記第1データ線に供給された前記正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第1サンプルホールド回路と、
対応する前記第2データ線に供給された前記負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第2サンプルホールド回路と、
前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧を出力する第1ソースフォロワバッファと、
前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧を出力する第2ソースフォロワバッファと、
画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された液晶表示素子と、
第1ソースフォロワバッファから出力された前記正極性の映像信号の電圧、及び、
第2ソースフォロワバッファから出力された前記負極性の映像信号の電圧、を選択的に前記画素駆動電極に印可する極性切り替えスイッチと、
第1ソースフォロワバッファから出力され、かつ、前記極性切り替えスイッチを介して前記画素駆動電極に印可される前の前記正極性の映像信号の電圧を、前記正極性の画素駆動電圧として前記対応する第1データ線に出力するか否かを切り替える第1スイッチトランジスタと、
第2ソースフォロワバッファから出力され、かつ、前記極性切り替えスイッチを介して前記画素駆動電極に印可される前の前記負極性の映像信号の電圧を、前記負極性の画素駆動電圧として前記対応する第2データ線に出力するか否かを切り替える第2スイッチトランジスタと、を有
し、
前記第1スイッチトランジスタは、前記第1ソースフォロワバッファの出力ノードと、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
前記第2スイッチトランジスタは、前記第2ソースフォロワバッファの出力ノードと、前記対応する第2データ線と、の間に設けられている、
液晶デバイスの画素検査方法であって、
各前記画素に設けられた前記第1及び前記第2スイッチトランジスタをオフした状態で、前記複数の第1スイッチ素子をオンすることにより、前記複数の第1データ線のそれぞれに前記正極性の映像信号を供給するとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれに前記負極性の映像信号を供給し、
前記複数の第1データ線のそれぞれから検査対象の行の複数の前記画素に前記正極性の映像信号を書き込むとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれから検査対象の行の複数の前記画素に前記負極性の映像信号を書き込み、
前記複数の第1スイッチ素子をオフした状態で、検査対象の行の各前記画素に設けられた前記第1スイッチトランジスタをオンすることにより、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに前記複数の正極性の画素駆動電圧を読み出し、
前記複数の第1スイッチ素子をオフした状態で、検査対象の行の各前記画素に設けられた前記第2スイッチトランジスタをオンすることにより、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに前記複数の負極性の画素駆動電圧を読み出し、
前記複数のセンスアンプを用いて、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された前記複数の正極性の画素駆動電圧と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された前記複数の負極性の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力し、
前記複数のセンスアンプのそれぞれから出力された前記複数の検出信号に基づいて、検査対象の行の複数の前記画素の故障の有無を検出する、
液晶デバイスの画素検査方法。
【請求項6】
前記液晶デバイスは、
前記複数の第1データ線のそれぞれに所定電圧を供給するか否かを切り替える複数の第2スイッチ素子と、
前記複数の第2データ線のそれぞれに前記所定電圧を供給する否かを切り替える複数の第3スイッチ素子と、をさらに備え、
検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに前記複数の正極性の画素駆動電圧が読み出される前に、前記複数の第2スイッチ素子をオンすることにより、前記複数の第1データ線のそれぞれに前記所定電圧を供給し、
検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに前記複数の負極性の画素駆動電圧が読み出される前に、前記複数の第3スイッチ素子をオンすることにより、前記複数の第2データ線のそれぞれに前記所定電圧を供給し、
前記複数の第1スイッチ素子をオフした状態に加えて、前記複数の第2スイッチ素子をオフし、かつ、前記複数の第3スイッチ素子をオフした状態で、検査対象の行の各前記画素に設けられた前記第1スイッチトランジスタをオンすることにより、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに前記複数の正極性の画素駆動電圧を読み出し、
前記複数の第1スイッチ素子をオフした状態に加えて、前記複数の第2スイッチ素子をオフし、かつ、前記複数の第3スイッチ素子をオフした状態で、検査対象の行の各前記画素に設けられた前記第2スイッチトランジスタをオンすることにより、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに前記複数の負極性の画素駆動電圧を読み出す、
請求項
5に記載の液晶デバイスの画素検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法に関し、速やかに画素の検査を実行するのに適した液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された液晶表示装置は、マトリクス状に配置された複数の画素と、複数の画素の各列に対応して設けられた複数組のデータ線と、複数の画素の各行に対応して設けられた複数のゲート線と、複数組のデータ線に対して組単位で順番に正極性及び負極性の映像信号を供給するための複数のスイッチと、複数のスイッチ及び複数のゲート線を駆動する駆動手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液晶表示装置には、信頼性向上のため、例えば製品出荷前に画素に欠陥や特性劣化がないかを検査することが求められている。
【0005】
しかし、特許文献1には、画素の検査方法についての具体的な内容が開示されていない。したがって、特許文献1に開示された液晶表示装置では、例えば、通常動作時における画素への映像信号の書き込み経路を用いて、検査対象の画素に書き込まれた映像信号(画素駆動電圧)が読み出され、その読み出された映像信号に基づいて画素の検査が行われているものと考えられる。しかしながら、この検査方法では、映像信号の伝搬経路に付加された大きな配線容量の影響で、検査対象の画素に書き込まれた映像信号を速やかに読み出すことができないため、速やかに画素の検査を実行することができない、という問題があった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、速やかに画素の検査を実行することが可能な液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる液晶デバイスは、行列状に設けられた複数の画素と、前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第1データ線と、前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第2データ線と、前記複数の第1データ線のそれぞれに正極性の映像信号を供給するか否かを切り替えるとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれに負極性の映像信号を供給するか否かを切り替える複数の第1スイッチ素子と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された複数の正極性の画素駆動電圧と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された複数の負極性の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力する複数のセンスアンプと、を備え、各前記画素は、対応する前記第1データ線に供給された前記正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第1サンプルホールド回路と、対応する前記第2データ線に供給された前記負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第2サンプルホールド回路と、画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された液晶表示素子と、前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、を選択的に前記画素駆動電極に印可する極性切り替えスイッチと、前記第1サンプルホールド回路から出力され、かつ、前記極性切り替えスイッチを介して前記画素駆動電極に印可される前の前記正極性の映像信号の電圧を、前記正極性の画素駆動電圧として前記対応する第1データ線に出力するか否かを切り替える第1スイッチトランジスタと、前記第2サンプルホールド回路から出力され、かつ、前記極性切り替えスイッチを介して前記画素駆動電極に印可される前の前記負極性の映像信号の電圧を、前記負極性の画素駆動電圧として前記対応する第2データ線に出力するか否かを切り替える第2スイッチトランジスタと、を有する。
【0008】
本発明の一態様にかかる液晶デバイスの画素検査方法は、行列状に設けられた複数の画素と、前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第1データ線と、前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第2データ線と、前記複数の第1データ線のそれぞれに正極性の映像信号を供給するか否かを切り替えるとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれに負極性の映像信号を供給するか否かを切り替える複数の第1スイッチ素子と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された複数の正極性の画素駆動電圧と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された複数の負極性の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力する複数のセンスアンプと、を備え、各前記画素は、対応する前記第1データ線に供給された前記正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第1サンプルホールド回路と、対応する前記第2データ線に供給された前記負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第2サンプルホールド回路と、画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された液晶表示素子と、前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、を選択的に前記画素駆動電極に印可する極性切り替えスイッチと、前記第1サンプルホールド回路から出力され、かつ、前記極性切り替えスイッチを介して前記画素駆動電極に印可される前の前記正極性の映像信号の電圧を、前記正極性の画素駆動電圧として前記対応する第1データ線に出力するか否かを切り替える第1スイッチトランジスタと、前記第2サンプルホールド回路から出力され、かつ、前記極性切り替えスイッチを介して前記画素駆動電極に印可される前の前記負極性の映像信号の電圧を、前記負極性の画素駆動電圧として前記対応する第2データ線に出力するか否かを切り替える第2スイッチトランジスタと、を有する、液晶デバイスの画素検査方法であって、各前記画素に設けられた前記第1及び前記第2スイッチトランジスタをオフした状態で、前記複数の第1スイッチ素子をオンすることにより、前記複数の第1データ線のそれぞれに前記正極性の映像信号を供給するとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれに前記負極性の映像信号を供給し、前記複数の第1データ線のそれぞれから検査対象の行の複数の前記画素に前記正極性の映像信号を書き込むとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれから検査対象の行の複数の前記画素に前記負極性の映像信号を書き込み、前記複数の第1スイッチ素子をオフした状態で、検査対象の行の各前記画素に設けられた前記第1スイッチトランジスタをオンすることにより、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに前記複数の正極性の画素駆動電圧を読み出し、前記複数の第1スイッチ素子をオフした状態で、検査対象の行の各前記画素に設けられた前記第2スイッチトランジスタをオンすることにより、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに前記複数の負極性の画素駆動電圧を読み出し、前記複数のセンスアンプを用いて、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された前記複数の正極性の画素駆動電圧と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された前記複数の負極性の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力し、前記複数のセンスアンプのそれぞれから出力された前記複数の検出信号に基づいて、検査対象の行の複数の前記画素の故障の有無を検出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、速やかに画素の検査を実行することが可能な液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に至る前の構想にかかる液晶表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示す液晶表示装置に設けられた水平ドライバ16及びアナログスイッチ部17をより詳細に示す図である。
【
図3】
図1に示す液晶表示装置に設けられた画素の具体的な構成例を示す図である。
【
図4】
図1に示す液晶表示装置による画素の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】画素に書き込まれる正極性映像信号及び負極性映像信号のそれぞれの黒から白までの電圧レベルを説明するための図である。
【
図6】
図1に示す液晶表示装置の画像表示モードでの動作を示すタイミングチャートである。
【
図7】実施の形態1にかかる液晶表示装置の構成例を示す図である。
【
図8】
図7に示す液晶表示装置に設けられた画素及びその周辺回路の具体的な構成例を示す図である。
【
図9】
図7に示す液晶表示装置に設けられたスイッチ部18、センスアンプ部19、及び、ラッチ部20をより詳細に示す図である。
【
図10】
図7に示す液晶表示装置に設けられたセンスアンプSA_iの具体的な構成例を示す図である。
【
図11】
図7に示す液晶表示装置に設けられたシフトレジスタ回路21の具体的な構成例を示す図である。
【
図12】
図7に示す液晶表示装置の画素検査モードでの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<発明者による事前検討>
実施の形態1にかかる液晶表示装置について説明する前に、本発明者が事前検討した内容について説明する。
【0012】
(構想段階の液晶表示装置50の構成)
図1は、構想段階のアクティブマトリクス型の液晶表示装置(液晶デバイス)50の構成例を示す図である。
【0013】
図1に示すように、液晶表示装置50は、画像表示部51と、タイミング発生器13と、極性切り替え制御回路14と、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15と、水平ドライバ16と、アナログスイッチ部17と、AND回路ADA1~ADAn、ADB1~ADBnと、を備える。水平ドライバ16は、アナログスイッチ部17とともにデータ線駆動回路を構成しており、シフトレジスタ回路161と、1ラインラッチ回路162と、コンパレータ部163と、階調カウンタ164と、を有する。なお、
図1には、通常動作時に液晶表示装置50に接続されるランプ信号発生器2も示されている。
【0014】
図2は、液晶表示装置50に設けられた水平ドライバ16及びアナログスイッチ部17をより詳細に示す図である。コンパレータ部163は、m(mは2以上の整数)列の画素52に対応するm個のコンパレータ163_1~163_mを備える。アナログスイッチ部17は、m列の画素52に対応するm組のスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-を備える。
【0015】
画像表示部51の画素配置領域には、水平方向(X軸方向)に延びるn行(nは2以上の整数)の行走査線G1~Gn及びn行の読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnと、垂直方向(Y軸方向)に延びるm列のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-の組と、が配線されている。また、画像表示部51の画素配置領域には、ゲート制御信号線S+,S-、及び、ゲート制御信号線Bが配線されている。
【0016】
画像表示部51は、規則的に配置された複数の画素52を有する。ここで、複数の画素52は、水平方向(X軸方向)に延びるn行の行走査線G1~Gnと、垂直方向(Y軸方向)に延びるm組のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-と、が交差する合計n×m個の交差部に二次元マトリクス状に配置されている。
【0017】
行走査線Gj(jは1~nの任意の整数)、及び、読み出し用スイッチ選択線TGjは、j行目に配置されたm個の画素52のそれぞれに共通に接続されている。また、データ線Di+,Di-(iは1~mの任意の整数)は、i列目に配置されたn個の画素52のそれぞれに共通に接続されている。さらに、ゲート制御信号線S+,S-、及び、ゲート制御信号線Bは、何れも、全ての画素52に共通に接続されている。ただし、ゲート制御信号線S+,S-、及び、ゲート制御信号線Bは、何れも、行毎に個別に設けられても良い。
【0018】
極性切り替え制御回路14は、タイミング発生器13によって生成されたタイミング信号に基づいて、ゲート制御信号線S+に対して正極性用のゲート制御信号(以下、ゲート制御信号S+と称す)を出力し、ゲート制御信号線S-に対して負極性用ゲート制御信号(以下、ゲート制御信号S-と称す)を出力し、さらに、ゲート制御信号線Bに対してゲート制御信号(以下、ゲート制御信号Bと称す)を出力する。
【0019】
垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15は、n行の走査パルスを1行目からn行目にかけて1行ずつ順番に1水平走査期間HSTの周期で出力する。AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、外部から供給されるモード切替信号MDに基づいて、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力するか否かを制御する。AND回路ADB1~ADBnは、それぞれ、外部から供給されるモード切替信号MDに基づいて、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnに出力するか否かを制御する。
【0020】
例えば、画素52に映像信号が書き込まれる動作(画像書き込み動作)の場合、外部からHレベルのモード切替信号MDが供給される。この場合、AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力する。他方、AND回路ADB1~ADBnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnに出力しない。そのため、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnは何れもLレベルに固定される。
【0021】
それに対し、画素52に書き込まれた映像信号が読み出される動作(画像読み出し動作)の場合、外部からLレベルのモード切替信号MDが供給される。この場合、AND回路ADB1~ADBnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnに出力する。他方、AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力しない。そのため、行走査線G1~Gnは何れもLレベルに固定される。
【0022】
(画素52の具体的な構成例)
図3は、画素52の具体的な構成例を示す図である。ここでは、n行×m列の画素52のうちj行目かつi列目に設けられた画素52について説明する。
【0023】
図3に示すように、画素52は、NチャネルMOSトランジスタ(以下、単にトランジスタと称す)Tr1,Tr2,Tr5,Tr6,Tr9と、PチャネルMOSトランジスタ(以下、単にトランジスタと称す)Tr3,Tr4,Tr7,Tr8と、を有する。
【0024】
トランジスタTr1及び保持容量Cs1は、データ線Di+を介して供給される正極性の映像信号をサンプルしてホールドするサンプルホールド回路を構成している。具体的には、トランジスタTr1では、ソースがデータ線対の一方のデータ線Di+に接続され、ドレインがトランジスタTr3のゲートに接続され、ゲートが行走査線Gjに接続されている。保持容量Cs1は、トランジスタTr3のゲートと接地電圧端子Vssとの間に設けられている。
【0025】
トランジスタTr2及び保持容量Cs2は、データ線Di-を介して供給される負極性の映像信号をサンプルしてホールドするサンプルホールド回路を構成している。具体的には、トランジスタTr2では、ソースがデータ線対の他方のデータ線Di-に接続され、ドレインがトランジスタTr4のゲートに接続され、ゲートが行走査線Gjに接続されている。保持容量Cs2は、トランジスタTr3のゲートと接地電圧端子Vssとの間に設けられている。なお、保持容量Cs1,Cs2は、互いに独立して設けられ、それぞれ正極性及び負極性の映像信号を並列的に保持する。
【0026】
トランジスタTr3,Tr7は、保持容量Cs1に保持された電圧を出力するソースフォロワバッファ(インピーダンス変換用バッファ)を構成している。具体的には、ソースフォロワのトランジスタTr3では、ドレインが接地電圧ラインVssに接続され、ソースがノードNaに接続されている。バイアス制御可能な定電流負荷として用いられるトランジスタTr7では、ソースが電源電圧ラインVddに接続され、ドレインがノードNaに接続され、ゲートがゲート制御信号線Bに接続されている。
【0027】
トランジスタTr4,Tr8は、保持容量Cs2に保持された電圧を出力するソースフォロワバッファを構成している。具体的には、ソースフォロワのトランジスタTr4では、ドレインが接地電圧ラインVssに接続され、ソースがノードNbに接続されている。バイアス制御可能な定電流負荷として用いられるトランジスタTr8では、ソースが電源電圧ラインVddに接続され、ドレインがノードNbに接続され、ゲートがゲート制御信号線Bに接続されている。
【0028】
トランジスタTr5,Tr6は、極性切り替えスイッチを構成している。具体的には、トランジスタTr5では、ソースがノードNaに接続され、ドレインが画素駆動電極PEに接続され、ゲートがゲート制御信号線対の一方のゲート制御信号線S+に接続されている。トランジスタTr6では、ソースがノードNbに接続され、ドレインが画素駆動電極PEに接続され、ゲートがゲート制御信号線対の他方のゲート制御信号線S-に接続されている。
【0029】
液晶表示素子LCは、光反射特性を有する画素駆動電極(反射電極)PEと、画素駆動電極と離間対向配置され光透過性を有する共通電極CEと、これらの間の空間領域に充填封入された液晶LCMと、によって構成される。共通電極CEには、共通電圧Vcomが印加されている。トランジスタTr9は、画素駆動電極PEとデータ線Di+との間に設けられ、読み出し用スイッチ選択線TGjによってオンオフを切り替える。
【0030】
データ線対Di+,Di-には、アナログスイッチ部17によってサンプリングされた互いに極性の異なる映像信号が供給される。ここで、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力された走査パルスが行走査線Gjに供給されると、トランジスタTr1,Tr2は同時にオン状態となる。それにより、保持容量Cs1,Cs2にはそれぞれ正極性及び負極性の映像信号の電圧が蓄積、保持される。
【0031】
なお、正極側及び負極側のそれぞれのソースフォロワバッファの入力抵抗はほぼ無限大である。したがって、保持容量Cs1,Cs2のそれぞれに蓄積された電荷は、リークすることなく、1垂直走査期間が経過して新たな映像信号が書き込まれるまで保持される。
【0032】
極性切り替えスイッチを構成するトランジスタTr5,Tr6は、ゲート制御信号S+,S-に応じてオンオフを切り替えることにより、正極側のソースフォロワバッファの出力電圧(正極性の映像信号の電圧)と、負極側のソースフォロワバッファの出力電圧(負極性の映像信号の電圧)と、を交互に選択して画素駆動電極PEに対して出力する。これにより、画素駆動電極PEには、周期的に極性反転する映像信号の電圧が印加される。このように、この液晶表示装置は、画素自体に極性反転機能を有しているため、各画素において、画素駆動電極PEに供給される映像信号の電圧の極性を高速に切り替えることにより、垂直走査周波数に依らず、高い周波数での交流駆動が可能となる。
【0033】
(画素52の交流駆動方法の説明)
図4は、液晶表示装置50による画素52の交流駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。ここでは、n行×m列の画素52のうちj行目かつi列目に設けられた画素52の交流駆動方法について説明する。
【0034】
なお、
図4において、VSTは、映像信号の垂直走査の基準となる垂直同期信号を表している。Bは、2種類のソースフォロワバッファの定電流負荷として用いられるトランジスタTr7,Tr8のそれぞれのゲートに供給されるゲート制御信号を表している。S+は、極性切り替えスイッチに設けられた正極側のトランジスタTr5のゲートに供給されるゲート制御信号を表している。S-は、極性切り替えスイッチに設けられた負極側のトランジスタTr6のゲートに供給されるゲート制御信号を表している。VPEは、画素駆動電極PEに印加される電圧を表している。Vcomは、共通電極CEに印加される電圧を表している。VLCは、液晶LCMに印加される交流電圧を表している。
【0035】
また、
図5は、画素52に書き込まれる正極性映像信号及び負極性映像信号のそれぞれの黒から白までの電圧レベルを説明するための図である。
図5の例では、正極性映像信号は、電圧レベルが最小のときに黒レベルを表し、電圧レベルが最大のときに白レベルを表している。それに対し、負極性映像信号は、電圧レベルが最小のときに白レベルを表し、電圧レベルが最大のときに黒レベルを表している。ただし、正極性映像信号は、電圧レベルが最小のときに白レベルを表し、電圧レベルが最大のときに黒レベルを表すようにしてもよい。また、負極性映像信号は、電圧レベルが最小のときに黒レベルを表し、電圧レベルが最大のときに白レベルを表すようにしてもよい。なお、図中の一点鎖線は、正極性映像信号及び負極性映像信号の反転中心を示している。
【0036】
画素52において、トランジスタTr9は、読み出し用スイッチ選択線TGjがLレベルに固定されているためオフ状態を維持する。他方、トランジスタTr1,Tr2は、行走査線Gjに走査パルスが供給された場合に一時的にオンする。トランジスタTr1,Tr2がオンした場合、保持容量Cs1,Cs2にはそれぞれ正極性及び負極性の映像信号の電圧が蓄積、保持される。
【0037】
図4に示すように、ゲート制御信号S+がHレベルを示す期間、正極側のトランジスタTr5がオンする。このとき、ゲート制御信号BをLレベルにすることにより、トランジスタTr7がオンするため、正極性側のソースフォロワバッファがアクティブになる。それにより、画素駆動電極PEは、正極性の映像信号の電圧レベルに充電される。なお、ゲート制御信号BをLレベルにすることにより、トランジスタTr8がオンするため、負極性側のソースフォロワバッファもアクティブになる。しかしながら、負極性側のトランジスタTr6がオフしているため、画素駆動電極PEは、負極性の映像信号の電圧レベルに充電されることはない。画素駆動電極PEに完全に電荷が充電された時点で、ゲート制御信号BをLレベルからHレベルに切り替えるとともに、ゲート制御信号S+をHレベルからLレベルに切り替える。それにより、画素駆動電極PEがフローティング状態となるため、液晶容量には正極性の駆動電圧が保持される。
【0038】
一方、ゲート制御信号S-がHレベルを示す期間、負極側のトランジスタTr6がオンする。このとき、ゲート制御信号BをLレベルにすることにより、負極側のトランジスタTr8がオンするため、負極側のソースフォロワバッファがアクティブになる。それにより、画素駆動電極PEは、負極性の映像信号の電圧レベルに充電される。なお、ゲート制御信号BをLレベルにすることにより、トランジスタTr7がオンするため、正極性側のソースフォロワバッファもアクティブになる。しかしながら、正極性側のトランジスタTr5がオフしているため、画素駆動電極PEは、正極性の映像信号の電圧レベルに充電されることはない。画素駆動電極PEに完全に電荷が充電された時点で、ゲート制御信号BをLレベルからHレベルに切り替えるとともに、ゲート制御信号S-をHレベルからLレベルに切り替える。それにより、画素駆動電極PEがフローティング状態となるため、液晶容量には負極性の駆動電圧が保持される。
【0039】
上述の正極側及び負極側のそれぞれの動作を交互に繰り返すことにより、画素駆動電極PEには、正極性及び負極性のそれぞれの映像信号の電圧を用いて交流化された駆動電圧VPEが印加されることになる。
【0040】
なお、保持容量Cs1,Cs2に保持された電荷を直接に画素駆動電極PEに転送するのではなく、ソースフォロワバッファを介して転送しているため、画素駆動電極PEにおいて正極性及び負極性の映像信号の電圧の充放電を繰り返し行った場合でも、電荷を中和させることなく、電圧レベルの減衰しない画素駆動を実現することができる。
【0041】
また、
図4に示すように、画素駆動電極PEへの印加電圧VPEの電圧レベルの切り替わりに同期して、共通電極CEへの印加電圧Vcomの電圧レベルを、印加電圧VPEとは逆のレベルに切り替えている。なお、共通電極CEへの印加電圧Vcomは、画素駆動電極PEへの印加電圧VPEの反転基準電圧とほぼ等しい電圧を反転基準にしている。
【0042】
ここで、液晶LCMに印加される実質的な交流電圧VLCは、画素駆動電極PEへの印加電圧VPEと、共通電極CEへの印加電圧Vcomと、の差電圧であるから、液晶LCMには、直流成分を含まない交流電圧VLCが印加されることとなる。このように、共通電極CEへの印加電圧Vcomを画素駆動電極PEへの印加電圧VPEと逆相で切り替えることにより、画素駆動電極PEに印加すべき電圧の振幅を小さくすることができるため、画素の回路部分を構成するトランジスタの耐圧及び消費電力を低減することができる。
【0043】
なお、仮に1画素当たりのソースフォロワバッファに定常的に流れる電流が1μAの微少電流である場合でも、液晶表示装置の全画素に定常的に流れる電流は無視できないほどに大きな電流になる可能性がある。例えば、フルハイビジョン200万画素の液晶表示装置では、消費電流が2Aに達してしまう可能性がある。そこで、画素52では、定電流負荷として用いられるトランジスタTr7,Tr8を、常時オンにはせず、それぞれ正極側及び負極側のトランジスタTr5,Tr6がオンしている期間のうちの限られた期間のみオンしている。それにより、一方のソースフォロワバッファを動作させている場合には、他方のソースフォロワバッファの動作を停止させることができるため、消費電流の増大を抑制することができる。
【0044】
液晶表示素子LCの交流駆動周波数は、垂直走査周波数に依らず、画素自身の反転制御周期を調整することで自由に調整することができる。例えば、垂直走査周波数が一般的なテレビ映像信号で用いられる60Hzであって、フルハイビジョンの垂直周期走査線数nが1125ラインであるとする。また、各画素における極性切り替えを15ライン期間程度の周期で行うものとする。換言すると、各画素における極性切り替え1周期当たりのライン数rを30ラインとする。この場合、液晶の交流駆動周波数は、60Hz×1125/(15×2)=2.25kHzとなる。つまり、液晶表示装置50は、液晶の交流駆動周波数を飛躍的に高めることができる。それにより、液晶の交流駆動周波数が低い場合に問題となっていた液晶画面に表示される映像の信頼性、安定性、表示品質を大幅に向上させることができる。
【0045】
続いて、液晶表示装置50の各動作モードでの動作について説明する。
【0046】
(画像表示モードでの液晶表示装置50の動作)
まず、液晶表示装置50の画像表示モードでの動作について、
図6を用いて説明する。
図6は、液晶表示装置50の画像表示モードでの動作を示すタイミングチャートである。
【0047】
図6に示すように、水平同期信号HSTのパルス信号が供給されると、シフトレジスタ回路161は、クロック信号HCKに同期して、N(Nは2以上の整数)ビット幅の映像信号をm列分、逐次取り込む。1ラインラッチ回路162は、シフトレジスタ回路161に取り込まれたm列分の映像信号を、トリガ信号REG_Sが一時的にアクティブになったタイミングで一斉に出力する。
【0048】
階調カウンタ164は、クロック信号CNT_CKの立ち上がり回数をカウントし、そのカウント値に応じた階調レベルの階調信号Coutを出力する。ここで、階調カウンタ164は、1水平走査期間の開始時(水平同期信号HSTの立ち上がり時)には最小レベルの階調信号Coutを出力し、カウント値の上昇に伴って階調信号Coutの階調レベルを増加させ、1水平走査期間の終了時(水平同期信号HSTの次の立ち上がり直前)には最大レベルの階調信号Coutを出力する。なお、階調カウンタ164によるカウント値は、例えば水平同期信号HSTの立ち上がりに応じてリセット信号CNT_Rがアクティブになることによって“0”に初期化される。
【0049】
コンパレータ部163に設けられたm列のコンパレータ163_1~163_mは、クロック信号CMP_CKに同期して動作し、階調カウンタ164から出力された階調信号Coutが1ラインラッチ回路162から一斉に出力されたm列の映像信号(ラインデータ)のそれぞれと一致したタイミングで、一致信号P1~Pmをアクティブ(例えばLレベル)にする。
【0050】
アナログスイッチ部17に設けられたm組のスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-のうち、正極性側のスイッチ素子SW1+~SWm+は、それぞれ、データ線D1+~Dm+と、共通配線Dcom+と、の間に設けられている。また、負極性側のスイッチ素子SW1-~SWm-は、それぞれ、データ線D1-~Dm-と、共通配線Dcom-と、の間に設けられている。m組のスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、それぞれ、コンパレータ163_1~163_mからの一致信号P1~Pmによってオンオフを切り替える。
【0051】
なお、共通配線Dcom+には、ランプ信号発生器2から出力された正極性用のランプ信号である基準ランプ電圧Ref_R+が供給されている。また、共通配線Dcom-には、ランプ信号発生器2から出力された負極性用のランプ信号である基準ランプ電圧Ref_R-が供給されている。
【0052】
基準ランプ電圧Ref_R+は、各水平走査期間の開始から終了にかけて映像のレベルが黒レベルから白レベルに変化する掃引信号である。基準ランプ電圧Ref_R-は、各水平走査期間の開始から終了にかけて映像のレベルが白レベルから黒レベルに変化する掃引信号である。したがって、共通電圧Vcomに対する基準ランプ電圧Ref_R+と、共通電圧Vcomに対する基準ランプ電圧Ref_R-とは、互いに反転関係となっている。
【0053】
スイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、水平走査期間の開始時にスタート信号SW_Startがアクティブ(例えばHレベル)になることによって一斉にオンする。その後、スイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、それぞれ、コンパレータ163_1~163_mから出力された一致信号P1~Pmがアクティブ(例えばLレベル)になることによってオンからオフに切り替わる。なお、水平走査期間の終了時にはスタート信号SW_Startはインアクティブ(例えばLレベル)になる。
【0054】
図6の例では、階調レベルkの映像信号が書き込まれる画素列、に対応して設けられたスイッチ素子SWq+,SWq-(qは1~mの何れかの整数)、のオンオフを切り替えるタイミングを表す波形が、波形SPkとして示されている。
図6を参照すると、上記スイッチ素子SWq+,SWq-は、スタート信号SW_Startの立ち上がりでオンした後、一致信号Pqがアクティブになることによってオンからオフに切り替わる。ここで、スイッチ素子SWq+,SWq-は、オンからオフに切り替わるタイミングで基準ランプ電圧Ref_R+,Ref_R-(
図6における電圧P,Q)をサンプリングする。これらのサンプリングされた電圧P,Qは、データ線Dq+,Dq-に供給される。換言すると、階調レベルkの映像信号のDA変換結果であるアナログ電圧P,Qがそれぞれデータ線Dq+,Dq-に供給される。
【0055】
なお、画像表示モードでは、外部からHレベルのモード切替信号MDが供給されている。そのため、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスは、それぞれ行走査線G1~Gnに供給される。それにより、例えばj行目の各画素52に設けられたトランジスタTr1,Tr2は、一時的にオンする。その結果、j行目の各画素52に設けられた保持容量Cs1,Cs2には、それぞれ対応する正極性及び負極性の映像信号の電圧が蓄積、保持される。他方、各画素52に設けられたトランジスタTr9はオフ状態を維持する。その後の各画素52の交流駆動方法については、既に説明した通りである。
【0056】
上述のように、スイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、各水平走査期間の開始時に一斉にオンするが、それぞれ、対応する画素52に表示させる画像の階調レベルに応じた任意のタイミングでオフする。つまり、スイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、全て同時にオフする場合もあれば、異なるタイミングでオフする場合もある。また、オフする順番も固定されていない。
【0057】
このように、液晶表示装置50は、ランプ信号を用いて映像信号をDA変換したうえで画素52に書き込むことにより、画像の直線性を向上させることができる。
【0058】
(画素検査モードでの液晶表示装置50の動作)
続いて、液晶表示装置50の画素検査モードでの動作について説明する。なお、画素検査モードでは、ランプ信号発生器2の代わりに検査装置(不図示)が設けられる。
【0059】
画素検査モードでは、まず、検査対象であるj行目のm個の画素52に対して検査用の映像信号の書き込みが行われる。このときの動作は、基本的には、画素表示モードでの動作と同様である。その後、検査対象であるj行目のm個の画素52に書き込まれた映像信号(画素駆動電圧VPE)の読み出しが行われる。
【0060】
画素読み出し動作では、外部から供給されるモード切替信号MDがHレベルからLレベルに切り替わる。そのため、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力されるj行目の走査パルスが、読み出し用スイッチ選択線TGjに供給される。それにより、検査対象であるj行目の各画素52に設けられたトランジスタTr9は、一時的にオンする。他方、各画素52に設けられたトランジスタTr1,Tr2はオフ状態を維持する。
【0061】
例えば、j行目かつi列目に設けられた画素52では、トランジスタTr9がオンすることによって画素駆動電極PEとデータ線Di+とが導通状態となる。このとき、トランジスタTr7,Tr8をアクティブにし、かつ、トランジスタTr5,Tr6の何れかをオンすることにより、画素駆動電極PEは、トランジスタTr3,Tr7又はトランジスタTr4,Tr8からなるソースフォロワバッファによって駆動された状態となる。それにより、ソースフォロワバッファによって画素駆動電極PEに印可されている駆動電圧VPEは、データ線Di+に読み出される。
【0062】
検査対象であるj行目のm個の画素52からデータ線D1+~Dm+のそれぞれに読み出されたm個の画素駆動電圧VPEは、アナログスイッチ部17に設けられたm組のSW1+,SW1-~SWm+,SWm-を順次オンすることにより、共通配線Dcom+に逐次供給される。ランプ信号発生器2の代わりに設けられた検査装置(不図示)は、共通配線Dcom+を介して逐次供給されるm個の画素駆動電圧VPEに基づいて、j行目のm個の画素52の故障(画素の欠陥及び特性劣化)の有無を検出する。
【0063】
このような検査は、1行目のm個の画素52からn行目のm個の画素52にかけて1行ずつ順番に行われる。
【0064】
ここで、検査対象の画素52では、低出力インピーダンスのソースフォロワバッファによって駆動された画素駆動電極PEの電圧VPEがそのまま読み出されるため、検査対象の画素52の欠陥や特性劣化を正確かつ容易に検出することが可能である。
【0065】
しかしながら、検査対象の画素52から読み出された画素駆動電圧VPEは、データ線Di+、スイッチ素子SWi+、及び、共通配線Dcom+を介して、外部の検査装置に出力される。そのため、検査対象の画素52のソースフォロワバッファは、大きな負荷容量及び大きな抵抗を持った配線を駆動する必要がある。
【0066】
具体的には、データ線Di+には、n行分の画素52の配線容量が付加されている。例えば、FHD(Full High Definition)の場合、データ線Di+には1080画素分の配線容量(例えば1pF)が付加されている。また、共通配線Dcom+には、例えば5pFの配線容量が付加されている。そのため、検査対象の画素52のソースフォロワバッファは、画素駆動電圧VPEを保持容量Cs1,Cs2の何れかの保持電圧と同等レベルに安定させるために、長時間かけて合計6pF程度の高い負荷容量の充電を行う必要がある。また、画素検査モードでは、全ての画素52のそれぞれの画素駆動電圧VPEがシリアルに読み出されるため、検査装置による検査時間が非常に長くなってしまう。つまり、液晶表示装置50では、検査装置による画素52の検査を速やかに実行させることができないという問題があった。検査時間の長時間化は、検査コストの増大を引き起こす。
【0067】
なお、検査時間を短くするために、画素駆動電圧VPEが安定するのを待たずに検査対象の画素52の検査が行われた場合、検査装置は、検査対象の画素52の欠陥や特性劣化を正確に検出することができない。この場合、例えば、画像表示部51に全体の画像を表示させてみなければ画素欠陥を特定することができないため、液晶組み立てや投影評価などの工数が増大してしまい、その結果、コストが増大してしまう。
【0068】
そこで、画素の速やかな検査を実行することが可能な、実施の形態1にかかる液晶表示装置及びその検査方法が見いだされた。
【0069】
<実施の形態1>
図7は、実施の形態1にかかる液晶表示装置(液晶デバイス)1の構成例を示す図である。液晶表示装置1は、液晶表示装置50と比較して、画素12への映像信号の書き込み経路とは別に、画素12からの映像信号の読み出し経路をさらに備える。
【0070】
具体的には、液晶表示装置1は、液晶表示装置50と比較して、画像表示部51の代わりに画像表示部11を備えるとともに、スイッチ部18、センスアンプ部19、ラッチ部20、及び、シフトレジスタ回路21をさらに備える。なお、
図7には、通常動作時に液晶表示装置1に接続されるランプ信号発生器2も示されている。
【0071】
水平ドライバ16は、アナログスイッチ部17とともにデータ線駆動回路を構成しており、シフトレジスタ回路161と、1ラインラッチ回路162と、コンパレータ部163と、階調カウンタ164と、を有する。コンパレータ部163は、m(mは2以上の整数)列の画素12に対応するm個のコンパレータ163_1~163_mを備える。アナログスイッチ部17は、m列の画素12に対応するm組のスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-を備える。
【0072】
画像表示部11の画素配置領域には、水平方向(X軸方向)に延びるn行(nは2以上の整数)の行走査線G1~Gn、n行の読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnが配線されている。また、画像表示部11の画素配置領域には、垂直方向(Y軸方向)に延びるm列のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-の組が配線されている。さらに、画像表示部11の画素配置領域には、ゲート制御信号線S+,S-、及び、ゲート制御信号線Bが配線されている。
【0073】
画像表示部11は、規則的に配置された複数の画素12を有する。ここで、複数の画素12は、水平方向(X軸方向)に延びるn行の行走査線G1~Gnと、垂直方向(Y軸方向)に延びるm組のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-と、が交差する合計n×m個の交差部に二次元マトリクス状(行列状)に配置されている。
【0074】
行走査線Gj、及び、読み出し用スイッチ選択線TGjは、j行目に配置されたm個の画素12のそれぞれに共通に接続されている。また、データ線Di+,Di-は、i列目に配置されたn個の画素12のそれぞれに共通に接続されている。さらに、ゲート制御信号線S+,S-、及び、ゲート制御信号線Bは、何れも、全ての画素12に共通に接続されている。ただし、ゲート制御信号線S+,S-、及び、ゲート制御信号線Bは、何れも、行毎に個別に設けられても良い。
【0075】
(画素12の具体的な構成例)
図8は、画素12の具体的な構成例を示す図である。なお、
図8の例では、n行×m列の画素12のうちj行目かつi列目の画素12が示されている。
【0076】
図8を参照すると、各画素12では、画素52と比較して、トランジスタ(スイッチトランジスタ)Tr9,Tr10の接続関係が異なる。j行目かつi列目の画素12において、トランジスタTr9は、トランジスタTr3,Tr7からなるソースフォロワバッファの出力ノードであるノードNaと、データ線Di+と、の間に設けられ、読み出し用スイッチ選択線TGjによってオンオフを切り替える。また、トランジスタTr10は、トランジスタTr4,Tr8からなるソースフォロワバッファの出力ノードであるノードNbと、データ線Di-と、の間に設けられ、読み出し用スイッチ選択線TGjによってオンオフを切り替える。各画素12のその他の構成については、画素52の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0077】
極性切り替え制御回路14は、タイミング発生器13によって生成されたタイミング信号に基づいて、ゲート制御信号線S+に対して正極性用のゲート制御信号(ゲート制御信号S+)を出力し、ゲート制御信号線S-に対して負極性用ゲート制御信号(ゲート制御信号S-)を出力し、さらに、ゲート制御信号線Bに対してゲート制御信号(ゲート制御信号B)を出力する。
【0078】
垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15は、n行の走査パルスを1行目からn行目にかけて1行ずつ順番に1水平走査期間HSTの周期で出力する。AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、外部から供給されるモード切替信号MDに基づいて、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力するか否かを制御する。また、AND回路ADB1~ADBnは、それぞれ、外部から供給されるモード切替信号MD,TMDに基づいて、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnに出力するか否かを制御する。
【0079】
例えば、画素12に映像信号が書き込まれる動作(画像書き込み動作)の場合、外部からHレベルのモード切替信号MDが供給される。この場合、AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力する。なお、このとき、AND回路ADB1~ADBnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnに出力しない。このとき、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnは何れもLレベルに固定される。
【0080】
それに対し、画素12に書き込まれた映像信号が読み出される動作(画像読み出し動作)の場合、外部からLレベルのモード切替信号MDが供給される。この場合において、外部からHレベルのモード切替信号TMDが供給されている場合、AND回路ADB1~ADBnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnに出力する。なお、このとき、AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力しない。このとき、行走査線G1~Gnは何れもLレベルに固定される。
【0081】
スイッチ部18は、検査対象の行のm個の画素12からm本のデータ線D1+~Dm+のそれぞれに正極性の画素駆動電圧として読み出されたm個の正極性の映像信号の電圧を、ノードNd1_1~Nd1_mに出力するか否かを切り替える。また、スイッチ部18は、検査対象の行のm個の画素12からm本のデータ線D1-~Dm-のそれぞれに負極性の画素駆動電圧として読み出されたm個の負極性の映像信号の電圧を、ノードNd2_1~Nd2_mに出力するか否かを切り替える。さらに、スイッチ部18は、m組のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-に対して電圧供給線midの所定電圧(所定電圧mid)を出力するか否かの切り替えも行う。
【0082】
センスアンプ部19は、m本のデータ線D1+~Dm+からスイッチ部18を介してノードNd1_1~Nd1_mに出力された電圧と、m本のデータ線D1-~Dm-からスイッチ部18を介してノードNd2_1~Nd2_mに出力された電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、増幅信号e_1~e_mを出力する。ラッチ部20は、センスアンプ部19から出力された増幅信号e_1~e_mをラッチして一斉に出力する。
【0083】
図9は、液晶表示装置1に設けられたスイッチ部18、センスアンプ部19及びラッチ部20をより詳細に示す図である。スイッチ部18は、m個のスイッチ素子SW2_1~SW2_mと、m個のスイッチ素子SW3_1~SW3_mと、m個のスイッチ素子SW7_1~SW7_mと、m個のスイッチ素子SW8_1~SW8_mと、を備える。センスアンプ部19は、m個のセンスアンプSA_1~SA_mを備える。ラッチ部20は、m個のスイッチ素子SW4_1~SW4_mを備える。
【0084】
スイッチ部18において、スイッチ素子SW2_1~SW2_mは、それぞれ、データ線D1+~Dm+とノードNd1_1~Nd1_mとの間に設けられ、切替信号KSWによってオンオフを切り替える。スイッチ素子SW3_1~SW3_mは、それぞれ、ノードNd1_1~Nd1_mと電圧供給線midとの間に設けられ、切替信号nutによってオンオフを切り替える。また、スイッチ素子SW7_1~SW7_mは、それぞれ、データ線D1-~Dm-とノードNd2_1~Nd2_mとの間に設けられ、切替信号KSWによってオンオフを切り替える。スイッチ素子SW8_1~SW8_mは、それぞれ、ノードNd2_1~Nd2_mと電圧供給線midとの間に設けられ、切替信号nutによってオンオフを切り替える。
【0085】
センスアンプ部19において、センスアンプSA_1~SA_mは、ノードNd1_1~Nd1_mの電圧と、ノードNd2_1~Nd2_mの電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、増幅信号e_1~e_mを出力する。ラッチ部20において、スイッチ素子SW4_1~SW4_mは、それぞれ、増幅信号e_1~e_mが伝搬する信号線上に設けられ、トリガ信号Tlatによってオンオフを切り替える。
【0086】
例えば、スイッチ素子SW2_1~SW2_mをオンし、スイッチ素子SW3_1~SW3_mをオンすることにより、m個のデータ線D1+~Dm+と電圧供給線midとがショートする。それにより、m個のデータ線D1+~Dm+の電圧は、所定電圧midにリフレッシュされる。同様に、スイッチ素子SW7_1~SW7_mをオンし、スイッチ素子SW8_1~SW8_mをオンすることにより、m個のデータ線D1-~Dm-と電圧供給線midとがショートする。それにより、m個のデータ線D1-~Dm-の電圧は、所定電圧midにリフレッシュされる。
【0087】
また、例えば、スイッチ素子SW2_1~SW2_mをオンし、スイッチ素子SW3_1~SW3_mをオフすることにより、検査対象の行のm個の画素12からm個のデータ線D1+~Dm+のそれぞれに読み出されたm個の正極性の画素駆動電圧がノードNd1_1~Nd1_mに出力される。同様に、スイッチ素子SW7_1~SW7_mをオンし、スイッチ素子SW8_1~SW8_mをオフすることにより、検査対象の行のm個の画素12からm個のデータ線D1-~Dm-のそれぞれに読み出されたm個の負極性の画素駆動電圧がノードNd2_1~Nd2_mに出力される。このとき、センスアンプSA_1~SA_mは、ノードNd1_1~Nd1_mの電圧と、ノードNd2_1~Nd2_mの電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、H又はLレベルで表される増幅信号e_1~e_mを出力する。そして、ラッチ部20に設けられたスイッチ素子SW4_1~SW4_mは、センスアンプSA_1~SA_mの増幅信号e_1~e_mをラッチして一斉に出力する。
【0088】
(センスアンプSA_iの具体的な構成例)
図10は、センスアンプSA_iの具体的な構成例を示す回路図である。なお、
図10には、電圧源回路30も示されている。
図10に示すように、センスアンプSA_iは、トランジスタTr11~Tr17を備える。トランジスタTr13~Tr16は、何れもPチャネルMOSトランジスタであって、トランジスタTr11,Tr12,Tr17は、何れもNチャネルMOSトランジスタである。電圧源回路30は、トランジスタTr21~Tr25を備える。トランジスタTr21,Tr24は、何れもPチャネルMOSトランジスタであって、トランジスタTr22,Tr23,Tr25は、何れもNチャネルMOSトランジスタである。
【0089】
トランジスタTr15,Tr16は、電源電圧端子Vddと接地電圧端子Vssとの間に並列に設けられ、それぞれのゲートにノードN2の電圧が印可されている。トランジスタTr13,Tr14は、それぞれトランジスタTr15,Tr16に直列に設けられ、それぞれのゲートには、電圧源回路30の出力電圧Vaが印加されている。トランジスタTr11,Tr12は、それぞれトランジスタTr13,Tr14に直列に設けられ、それぞれのゲートには、ノードNd1_iの電圧が供給される非反転入力端子、及び、ノードNd2_iの電圧が供給される反転入力端子が接続されている。トランジスタTr17は、トランジスタTr11,Tr12と、接地電圧端子Vssと、の間に設けられ、ゲートには、電圧源回路30の出力電圧Vbが印可されている。トランジスタTr11,Tr13間ノードN1の電圧は、インバータINV3によって反転された後、増幅信号e_iとして出力される。
【0090】
電圧源回路30において、トランジスタTr21~Tr23は、何れもダイオード接続されており、電源電圧端子Vddと接地電圧端子Vssとの間に直列に設けられている。トランジスタTr21,Tr22のゲート電圧は、電圧源回路30の電圧Vaとして出力される。トランジスタTr24,Tr25は、何れもダイオード接続されており、電源電圧端子Vddと接地電圧端子Vssとの間に直列に設けられている。トランジスタTr25のゲート電圧は、電圧源回路30の電圧Vbとして出力される。
【0091】
なお、センスアンプSA_iの構成は、
図10に示す構成に限られず、同等の機能を実現可能な他の構成、及び、よりゲインの高い高性能なセンスアンプの構成に適宜変更可能である。
【0092】
シフトレジスタ回路21は、ダイナミック型シフトレジスタ構成となっており、ラッチ部20から一斉に出力された増幅信号e_1~e_mを取り込んで、これらを一つずつ順番に検査信号(検出信号)TOUTとして出力する。
【0093】
図11は、液晶表示装置1に設けられたシフトレジスタ回路21をより詳細に示す図である。シフトレジスタ回路21は、インバータINV1_1~INV1_mと、インバータINV2_1~INV2_mと、スイッチ素子SW5_1~SW5_mと、スイッチ素子SW6_1~SW6_mと、バッファBF1と、を備える。
【0094】
シフトレジスタ回路21において、接地電圧端子Vssと出力端子OUTとの間には、直列接続されたスイッチ素子SW5_i、インバータINV1_i、スイッチ素子SW6_i、及び、インバータINV2_iの組み合わせが、m組、直列に設けられている。インバータINV2_mの後段には、バッファBF1が設けられている。ラッチ部20から一斉に出力された増幅信号e_1~e_mは、それぞれ、インバータINV1_1~INV1_mの出力端子に供給される。なお、スイッチ素子SW5_1~SW5_mは、クロック信号TCKによってオンオフを切り替える。また、スイッチ素子SW6_1~SW6_mは、クロック信号TCKbによってスイッチ素子SW5_1~SW5_mと相補的にオンオフを切り替える。シフトレジスタ回路21の構成は、
図11に示す構成に限られず同等の機能を実現可能な他の構成に適宜変更可能である。
【0095】
(画素検査モードでの液晶表示装置1の動作)
続いて、液晶表示装置1の画素検査モードでの動作について説明する。
【0096】
図8は、既に説明したように、液晶表示装置1に設けられた画素12及びその周辺回路の構成例を示す図である。なお、
図8の例では、n行×m列の画素12のうちj行目かつi列目の画素12及びその周辺回路が示されている。また、
図12は、液晶表示装置1の画素検査モードでの動作を示すタイミングチャートである。
【0097】
画素検査モードでは、まず、検査対象であるj行目のm個の画素12に対して検査用の映像信号の書き込みが行われる。このときの動作は、基本的には、画像表示モードにおける映像信号の書き込み動作と同様である。このとき、外部からHレベルのモード切替信号MDが供給される。それにより、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力されるj行目の走査パルスが、j行目の行走査線Gjに供給される。そのため、例えば、j行目の各画素12に設けられたトランジスタTr1,Tr2は、行走査線Gjに走査パルスが供給されることによって一時的にオンする(時刻t1)。その結果、j行目の各画素12に設けられた保持容量Cs1,Cs2には、それぞれ対応する正極性及び負極性の映像信号の電圧が蓄積、保持される。他方、各画素12に設けられたトランジスタTr9,Tr10はオフ状態を維持する。
【0098】
次に、検査対象であるj行目のm個の画素12に書き込まれた映像信号の読み出しが行われる。このとき、外部から供給されるモード切替信号MDは、HレベルからLレベルに切り替わる。また、このとき、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は何れもオフに制御される(アナログスイッチ部17の各スイッチ素子のオンオフを制御する制御信号A_SWはインアクティブ(Lレベル)に制御される)。
【0099】
まず、切替信号KSWをアクティブ(例えばHレベル)にすることによってスイッチ素子SW2_1~SW2_m、SW7_1~SW7_mをオフからオンに切り替える(時刻t2)。それにより、センスアンプSA_1~SA_mのそれぞれの非反転入力端子と、データ線D1+~Dm+と、が導通状態となり、かつ、センスアンプSA_1~SA_mのそれぞれの反転入力端子と、データ線D1-~Dm-と、が導通状態となる。
【0100】
その後、切替信号nutを一時的にアクティブ(例えばHレベル)にすることによってスイッチ素子SW3_1~SW3_m、SW8_1~SW8_mを一時的にオンする(時刻t3)。それにより、データ線D1+~Dm+と電圧供給線midとがショートするため、データ線D1+~Dm+の電圧は、所定電圧midにリフレッシュされる。また、データ線D1-~Dm-と電圧供給線midとがショートするため、データ線D1-~Dm-の電圧は、所定電圧midにリフレッシュされる。
【0101】
次に、検査対象の画素12の保持容量Cs1に書き込まれた正極性の映像信号のデータ線Di+への読み出し、及び、検査対象の画素12の保持容量Cs2に書き込まれた負極性の映像信号のデータ線Di-への読み出し、が行われる。このとき、外部からHレベルのモード切替信号TMDが供給される。
【0102】
まず、ゲート制御信号Bをアクティブ(Lレベル)にすることによって、各画素12のトランジスタTr3、Tr7からなる正極性側のソースフォロワバッファ、及び、トランジスタTr4,Tr8からなる負極性側のソースフォロワバッファを動作させる(時刻t4)。それにより、各画素12の正極性側のソースフォロワバッファの出力ノードであるノードNaには、保持容量Cs1に保持された正極性の映像信号の電圧が充電される。また、各画素12の負極性側のソースフォロワバッファの出力ノードであるノードNbには、保持容量Cs2に保持された負極性の映像信号の電圧が充電される。
【0103】
その後、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力されるj行目の走査パルスがj行目の読み出し用スイッチ選択線TGjに供給される(時刻t5)。
【0104】
それにより、j行目の各画素12に設けられたトランジスタTr9,Tr10は、読み出し用スイッチ選択線TGjに走査パルスが供給されることによって一時的にオンする。そのため、j行目のm個の画素12のノードNaと、データ線D1+~Dm+と、がそれぞれ導通状態となる。その結果、これらのm個の画素12のノードNaに充電された正極性の映像信号の電圧は、正極性の画素駆動電圧として、それぞれデータ線D1+~Dm+に読み出され、保持される。同様に、j行目のm個の画素12のノードNbと、データ線D1-~Dm-と、がそれぞれ導通状態となる。その結果、これらのm個の画素12のノードNbに充電された負極性の映像信号の電圧は、負極性の画素駆動電圧として、それぞれデータ線D1-~Dm-に読み出され、保持される。
【0105】
ここで、アナログスイッチ部17の全てのスイッチがオフに制御されているため、データ線Di+には、共通配線Dcom+の5pF程度の配線容量は付加されておらず、n行分の画素12の配線容量のみが付加されている。例えば、FHDの場合、データ線Di+には、1080画素分の1pF程度の配線容量のみが付加されている。したがって、液晶表示装置1では、検査対象のj行目かつi列目の画素12に設けられたソースフォロワバッファ(Tr3,Tr7)が、共通配線Dcom+の配線容量の影響を受けないため、液晶表示装置50の場合と比較して容量換算で6分の1程度の容量を駆動するだけでよい。さらに、このソースフォロワバッファ(Tr3,Tr7)は、共通配線Dcom+の配線抵抗の影響も受けない。そのため、検査対象の画素12に設けられたソースフォロワバッファ(Tr3,Tr7)によってノードNaを保持容量Cs1の保持電圧と同等レベルに安定させるまでの時間が短縮される。
【0106】
同様に、アナログスイッチ部17の全てのスイッチがオフに制御されているため、データ線Di-には、共通配線Dcom-の5pF程度の配線容量は付加されておらず、n行分の画素12の配線容量のみが付加されている。例えば、FHDの場合、データ線Di-には、1080画素分の1pF程度の配線容量のみが付加されている。したがって、液晶表示装置1では、検査対象のj行目かつi列目の画素12に設けられたソースフォロワバッファ(Tr4,Tr8)が、共通配線Dcom-の配線容量の影響を受けないため、液晶表示装置50の場合と比較して容量換算で6分の1程度の容量を駆動するだけでよい。さらに、このソースフォロワバッファ(Tr4,Tr8)は、共通配線Dcom-の配線抵抗の影響も受けない。そのため、検査対象の画素12に設けられたソースフォロワバッファ(Tr4,Tr8)によってノードNbを保持容量Cs2の保持電圧と同等レベルに安定させるまでの時間が短縮される。
【0107】
その後、読み出し用スイッチ選択信号TGjはインアクティブ(Lレベル)になる。それにより、トランジスタTr9,Tr10はオフする(時刻t6)。
【0108】
データ線D1+~Dm+のそれぞれに読み出されたm個の正極性の映像信号の電圧(正極性の画素駆動電圧)は、それぞれ、センスアンプSA_1~SA_mの非反転入力端子に供給される。データ線D1-~Dm-のそれぞれに読み出されたm個の負極性の映像信号の電圧(負極性の画素駆動電圧)は、それぞれ、センスアンプSA_1~SA_mの反転入力端子に供給される。
【0109】
センスアンプSA_1~SA_mは、j行目のm個の画素12のそれぞれからデータ線D1+~Dm+に読み出されたm個の正極性の映像信号の電圧と、j行目のm個の画素12のそれぞれからデータ線D1-~Dm-に読み出されたm個の負極性の映像信号の電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅し、H又はLレベルで表される増幅信号e_1~e_mを出力する。
【0110】
例えば、j行目かつi列目の画素12から、データ線Di+に2.6Vの正極性の映像信号の電圧が読み出され、かつ、データ線Di-に2.4Vの負極性の映像信号の電圧が読み出された場合、センスアンプSA_iは、Hレベルの増幅信号e_iを出力する。逆に、j行目かつi列目の画素12からデータ線Di+に2.4Vの正極性の映像信号の電圧が読み出され、データ線Di-に2.6Vの負極性の映像信号の電圧が読み出された場合、センスアンプSA_iは、Lレベルの増幅信号e_iを出力する。
【0111】
そして、ラッチ部20に設けられたスイッチ素子SW4_1~SW4_mは、トリガ信号Tlatが一時的にアクティブになったタイミングで、センスアンプSA_1~SA_mの増幅信号e_1~e_mを一斉に出力する(時刻t6)。
【0112】
その後、シフトレジスタ回路21は、ラッチ部20から一斉に出力された増幅信号e_1~e_mを取り込んで、これらを一つずつ順番に検査信号TOUTとして出力する(時刻t7)。
【0113】
液晶表示装置1の外部に設けられた検査装置(不図示)は、この検査信号TOUTの値と期待値とを比較することにより、検査対象であるj行目のm個の画素12の故障(欠陥や特性劣化など)を検出する。
【0114】
このような検査は、1行目のm個の画素12からn行目のm個の画素12にかけて1行ずつ順番に行われる。
【0115】
このように、本実施の形態にかかる液晶表示装置1は、画素12への映像信号を書き込む経路とは別に、画素12からの映像信号の読み出し経路を備え、検査対象の画素12に書き込まれた映像信号の読み出し時には、画素12への映像信号の書き込み経路の一部をデータ線から電気的に分離させる。それにより、本実施の形態にかかる液晶表示装置1は、検査対象の画素12に書き込まれた映像信号の読み出し時、例えば共通配線Dcom+,Dcom-の配線容量を余計に充電する必要がなくなるため、各画素12のソースフォロワバッファによって画素駆動電圧VPEを安定させるまでの時間を短縮させることができ、その結果、検査装置による画素12の検査を速やかに実行させることができる。
【0116】
また、本実施の形態にかかる液晶表示装置1では、各画素12に設けられた保持容量Cs1,Cs2に蓄積された電荷のリークを検査することもできる。
【0117】
ここで、トランジスタTr1のドレインを形成するN型拡散層と、Pウエルとは、PN接合されている。そのため、製造プロセスにおいてPN接合部分に欠陥が生じた場合、保持容量Cs1に蓄積された電荷は、PN接合部分を介して、Pウエルにリークしてしまう可能性がある。それにより、保持容量Cs1の電圧は、接地電圧レベルに向かって徐々に減少してしまう可能性がある。同様に、トランジスタTr2のドレインを形成するN型拡散層と、Pウエルとは、PN接合されている。そのため、製造プロセスにおいてPN接合部分に欠陥が生じた場合、保持容量Cs2に蓄積された電荷は、PN接合部分を介して、Pウエルにリークしてしまう可能性がある。それにより、保持容量Cs2の電圧は、接地電圧レベルに向かって徐々に減少してしまう可能性がある。この場合、液晶表示パネル(画像表示部11の表示画面)の表示画像に画素欠陥が生じてしまう。
【0118】
そこで、本実施の形態にかかる液晶表示装置1では、各画素12に設けられた保持容量Cs1,Cs2に蓄積された電荷のリークを検査する場合、検査対象の画素12の保持容量Cs1に正極性の映像信号が書き込まれてから、保持容量Cs1に書き込まれた映像信号が読み出されるまでの時間を、通常の検査時よりも長くする。同様に、検査対象の画素12の保持容量Cs2に負極性の映像信号が書き込まれてから、保持容量Cs2に書き込まれた映像信号が読み出されるまでの時間を、通常の検査時よりも長くする。
【0119】
それにより、保持容量Cs1の電荷がリークしている場合、時間の経過によって保持容量Cs1に保持された電圧が低下するため、その低下した電圧は、ソースフォロワバッファ(Tr3,Tr7)によって、そのまま正極性の画素駆動電圧として出力される。同様に、保持容量Cs2の電荷がリークしている場合、時間の経過によって保持容量Cs2に保持された電圧が低下するため、その低下した電圧は、ソースフォロワバッファ(Tr4,Tr8)によって、そのまま負極性の画素駆動電圧として出力される。
【0120】
検査対象の画素12に設けられた保持容量Cs1の電荷のリークを検査する場合、例えば、保持容量Cs1から読み出される正極性の画素駆動電圧の期待値を2.6Vに設定し、保持容量Cs2から読み出される負極性の画素駆動電圧の期待値を2.5Vに設定する。それにより、例えば、検査対象の画素12に設けられた保持容量Cs1の電荷がリークしていない場合、当該画素12から読み出された正極性の画素駆動電圧が2.6Vを示すため、センスアンプの出力は、検査対象の画素12が正常であることを表すHレベルを示す。それに対し、検査対象の画素12の保持容量Cs1の電荷がリークしている場合、当該画素12から読み出された正極性の画素駆動電圧が期待値よりも低い値(例えば2.4V)を示すため、センスアンプの出力は、検査対象の画素12に設けられた保持容量Cs1の電荷がリークしていることを表すLレベルを示す。その後、正極性の画素駆動電圧の期待値の微調整及び検査を繰り返すことにより、保持容量Cs1のリーク量を特定することが可能である。
【0121】
同様にして、検査対象の画素12に設けられた保持容量Cs2の電荷のリークを検査する場合、例えば、保持容量Cs1から読み出される正極性の画素駆動電圧の期待値を2.5Vに設定し、保持容量Cs2から読み出される負極性の画素駆動電圧の期待値を2.6Vに設定する。それにより、例えば、検査対象の画素12に設けられた保持容量Cs2の電荷がリークしていない場合、当該画素12から読み出された負極性の画素駆動電圧が2.6Vを示すため、センスアンプの出力は、検査対象の画素12が正常であることを表すLレベルを示す。それに対し、検査対象の画素12の保持容量Cs2の電荷がリークしている場合、当該画素12から読み出された負極性の画素駆動電圧が期待値よりも低い値(例えば2.4V)を示すため、センスアンプの出力は、検査対象の画素12に設けられた保持容量Cs2の電荷がリークしていることを表すHレベルを示す。その後、負極性の画素駆動電圧の期待値の微調整及び検査を繰り返すことにより、保持容量Cs2のリーク量を特定することが可能である。
【0122】
このように、液晶表示装置1では、各画素12に設けられた保持容量Cs1,Cs2のリークを検査することができる。
【0123】
なお、保持容量Cs1,Cs2のリーク量及びその発生箇所を特定することができれば、通常動作時にそのリーク量を補正することも可能である。それにより、本来であれば廃棄されていたチップを補正して利用することが可能になるため、歩留まりを向上させることができる。
【0124】
さらに、プローブテスト用に追加されたPAD(例えば、外部から信号TCK,TCKb,Tlat,nut,mid,KSW,TOUTが供給されるPAD)は、検査後は使用されないため、例えば、プルダウン又はプルアップして画素検査回路を初期化して固定しておく。それにより、プローブテスト用に追加されたPADが外部から信号電圧が入力されずに浮いた状態であっても、画素検査回路は意図しない動作及び意図しないリーク電流を防ぐことができる。
【0125】
以上のように、本実施の形態にかかる液晶表示装置1では、検査対象の画素12を構成するトランジスタTr1~Tr4,Tr7~Tr10及び保持容量Cs1,Cs2のそれぞれが正常に動作しているか否かを速やかに検査することができるだけでなく、保持容量Cs1,Cs2のリーク量を特定することができる。
【0126】
また、本実施の形態にかかる液晶表示装置1では、検査対象の画素12の正極性側の検査と負極性側の検査とを同時に行うことができるため、正極性側の検査と負極性側の検査とを別々に検査する場合と比較して、検査速度をさらに向上させることができる。
【0127】
さらに、本実施の形態にかかる液晶表示装置1では、画素検査モードにおいて、画素12への映像信号の書き込み動作、及び、画素12からの映像信号の読み出し動作、の何れも実行する。そのため、画素12の検査のみならず、その周辺回路が正常に動作しているか否かを検査することができる。なお、本実施の形態にかかる液晶表示装置1の画素検査方法は、他の検査方法と組み合わせて用いられて良いことは言うまでも無い。
【0128】
なお、上記実施の形態1にかかる液晶表示装置1の仕組みは、例えば、波長多重光通信の分野で用いられる波長選択光スイッチ装置(WWS;Wavelength Selective Switch)に搭載された空間光変調器(SLM;Spatial Light Modulator)にも適用されることができる。空間光変調器は、例えばLCOS(Liquid Crystal on Silicon)技術を用いて構成され、入力ポートに入射された光信号を偏向して、一又は複数の出力ポートのうち選択された何れかの出力ポートから出射する。
【0129】
より具体的には、波長選択光スイッチ装置は、例えば、入力ポート、一又は複数の出力ポート、波長分散器、光学結合器、及び、空間光変調器を備える。波長分散器は、入力ポートに入射された光信号を複数の波長成分に空間的に分散させる。光学結合器は、波長分散器によって分散された複数の波長成分を集光する。空間光変調器は、例えば、波長に応じて展開されたx軸方向と、x軸方向に垂直なy軸方向と、からなるxy平面にマトリクス状に配置された複数の画素12を有する。複数の画素12は、光学結合器によって集光された光信号を、波長毎に反射方向を変化させて(即ち、偏向して)、一つ又は複数の出力ポートのうち選択された何れかの出力ポートから出射する。
【0130】
波長選択光スイッチ装置は、空間光変調器に上記実施の形態1にかかる液晶表示装置1の仕組みを適用することにより、液晶表示装置1と同等の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0131】
1 液晶表示装置
2 ランプ信号発生器
11 画像表示部
12 画素
13 タイミング発生器
14 極性切り替え制御回路
15 垂直シフトレジスタ&レベルシフタ
16 水平ドライバ
17 アナログスイッチ部
18 スイッチ部
19 センスアンプ部
20 ラッチ部
21 シフトレジスタ回路
30 電圧源回路
50 液晶表示装置
51 画像表示部
52 画素
161 シフトレジスタ回路
162 1ラインラッチ回路
163 コンパレータ部
163_1~163_m コンパレータ
164 階調カウンタ
ADA1~ADAn AND回路
ADB1~ADBn AND回路
B ゲート制御信号線
BF1 バッファ
CE 共通電極
Cs1,Cs2 保持容量
D1+,D1-~Dm+,Dm- データ線
Dcom+,Dcom- 共通配線
G1~Gn 行走査線
INV1_1~INV1_m インバータ
INV2_1~INV2_m インバータ
INV3 インバータ
LC 液晶表示素子
LCM 液晶
N1,N2 ノード
Na,Nb ノード
Nd1_1~Nd1_m ノード
Nd2_1~Nd2_m ノード
PE 画素駆動電極(反射電極)
S+,S- ゲート制御信号線
SA_1~SA_m センスアンプ
SW1+,SW1-~SWm+,SWm- スイッチ素子
SW2_1~SW2_m スイッチ素子
SW3_1~SW3_m スイッチ素子
SW4_1~SW4_m スイッチ素子
SW5_1~SW5_m スイッチ素子
SW6_1~SW6_m スイッチ素子
SW7_1~SW7_m スイッチ素子
SW8_1~SW8_m スイッチ素子
TG1~TGn 読み出し用スイッチ選択線
Tr1~Tr10 トランジスタ
Tr11~Tr17 トランジスタ
Tr21~Tr25 トランジスタ