IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ▲漢▼▲瑪▼科技股▲フン▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特許-電気めっきラックの固定装置 図1
  • 特許-電気めっきラックの固定装置 図2
  • 特許-電気めっきラックの固定装置 図3
  • 特許-電気めっきラックの固定装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】電気めっきラックの固定装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/08 20060101AFI20230608BHJP
   C25D 17/20 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
C25D17/08 C
C25D17/20 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022061782
(22)【出願日】2022-04-01
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】111100157
(32)【優先日】2022-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519020465
【氏名又は名称】▲漢▼▲瑪▼科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】弁理士法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】黄 愽道
(72)【発明者】
【氏名】劉 耀崇
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-060566(JP,U)
【文献】特開2013-187170(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104538762(CN,A)
【文献】特開昭61-056299(JP,A)
【文献】実開昭60-049157(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/00-21/22,
H01R 13/11,13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気めっきラックの固定装置であって、
電気めっきラックに設置される、少なくとも1つの電気伝導部品と、
平台に設置され、且つ前記電気伝導部品に対向する、少なくとも1つの伝導座と、を含み、
前記伝導座は、複数の電気伝導片と、1つの挿入孔とを含み、前記挿入孔は、前記複数の電気伝導片に囲まれて画定され、且つ前記電気伝導部品が挿入して前記複数の電気伝導片を前記電気伝導部品に密着させて電気的接続するように構成され
前記伝導座は、締付ばねをさらに有し、前記締付ばねは、前記複数の電気伝導片外周に套設される電気めっきラックの固定装置。
【請求項2】
前記伝導座は、上座と下座とをさらに含み、前記上座は、前記下座に組み合わせられ、前記複数の電気伝導片は、前記下座に設置され、前記挿入孔は、前記上座の貫通孔の下方に位置する請求項1に記載の電気めっきラックの固定装置。
【請求項3】
前記貫通孔の孔径は、前記上座の頂部から前記上座の底部に向かって漸縮する請求項2に記載の電気めっきラックの固定装置。
【請求項4】
前記上座の底部に凹溝を形成し、前記凹溝と前記貫通孔とは連通し、前記凹溝は、前記複数の電気伝導片の上端縁を収容するように構成される請求項3に記載の電気めっきラックの固定装置。
【請求項5】
前記凹溝の孔径は、前記複数の電気伝導片の上端縁に形成された挿入孔の孔径より大きい請求項4に記載の電気めっきラックの固定装置。
【請求項6】
前記下座の底部に少なくとも1つの電極を設置し、しかも前記電極と前記複数の電気伝導片とは電気的接続される請求項2に記載の電気めっきラックの固定装置。
【請求項7】
各電気伝導片は、上半部と下半部とを有し、前記上半部と前記下半部との接続箇所は内側に凹み、夾角を形成する請求項1に記載の電気めっきラックの固定装置。
【請求項8】
前記電気伝導部品は、前部と、中部と、後部とを含み、前記前部は、錐形であり、前記中部の一端から延伸し、前記後部は、前記中部の他端から延伸し、且つ、前記電気めっきラックに組み合わせられるように構成される請求項1に記載の電気めっきラックの固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定装置に関し、特に電気めっきラックの固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、電気めっき加工は、電解工程において電流を陽極と陰極とに入力し、陽極と陰極とに酸化還元反応を起こし、電気めっき液中の金属イオンを陰極まで遊動させてめっき対象物(電気めっき板等)の表面に付着させて、めっき対象物の表面に金属シェルを形成するものである。
【0003】
電気めっき対象物は通常、電気めっきラックを利用して電気めっきを行い、ここで、電気めっきラックは、メインフレーム外側端に隣接して設けられた電気伝導極座と、サイドフレームに隣接して設けられた伝導座とを含み、前記電気伝導極座と前記伝導座とは、電気めっきの際の電気伝導作業のために移動可能に接触される。
【0004】
ここで、前記電気伝導極座下方は、尖錐部を呈し、前記伝導座は、2枚の斜板を含み、前記2枚の斜板は、V字型を形成し、前記電気伝導極座の尖錐部は、前記2枚の斜板が形成するV字型溝と合わせられ、接触した場合、電気的接続を形成する。前記メインフレームが下降し、電気めっきを行おうとすると、前記電気伝導極座の尖錐部は、V字型溝に沿って前記2枚の斜板と接触して電気伝導を形成し電気めっき作業を開始する。
【0005】
しかしながら、前記電気伝導極座の尖錐部と前記伝導座の2枚の斜板との組合せ形式は、前記尖錐部がV字型溝に延入する位置を把握することができないだけでなく、正確に位置決め及び固定することもできず、滑脱を発生しやすく、前記電気伝導極座の尖錐部と前記伝導座の2枚の斜板とに変形から接触不良を引き起こしやすく、電気的接続を持続することができず、エネルギー消費を増加して電気めっき作業の電気めっき品質に影響を及ぼすだけでなく、素子の劣化速度を加速することにもなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このため、従来技術における欠点及び不備を克服するため、本発明は改良された電気めっきラックの固定装置を提供して、上記従来技術における問題を解決する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は主に、電気めっきラックの固定装置を提供することを目的とし、電気伝導部品と複数の電気伝導片とが互いに密着する形式を利用して、前記電気めっきラックが下降した後の位置を正確に把握して位置決めすることができるようにし、しかも前記電気伝導部品は、滑脱しにくくなる。
【0008】
上記目的を達するため、本発明は、電気めっきラックの固定装置を提供し、前記固定装置は、少なくとも1つの電気伝導部品と、少なくとも1つの伝導座とを含み、前記電気伝導部品は、電気めっきラックに設置され、前記伝導座は、平台に設置され、且つ前記電気伝導部品に対向し、前記伝導座は、複数の電気伝導片と、1つの挿入孔とを含み、前記挿入孔は、前記複数の電気伝導片に囲まれて画定され、且つ前記電気伝導部品が挿入して、前記複数の電気伝導片を前記電気伝導部品に密着させて電気的接続するように構成され、前記伝導座は、締付ばねをさらに有し、前記締付ばねは、前記複数の電気伝導片外周に套設される。
【0009】
本発明の一実施例において、前記伝導座は、上座と下座とをさらに含み、前記上座は、前記下座に組み合わせられ、前記複数の電気伝導片は、前記下座に設置され、前記挿入孔は、前記上座の貫通孔の下方に位置する。
【0010】
本発明の一実施例において、前記貫通孔の孔径は、前記上座の頂部から前記上座の底部に向かって漸縮する。
【0011】
本発明の一実施例において、前記上座の底部に凹溝を形成し、前記凹溝と前記貫通孔とは連通し、しかも前記凹溝は、前記複数の電気伝導片の上端縁を収容するように構成される。
【0012】
本発明の一実施例において、前記凹溝の孔径は、前記複数の電気伝導片の上端縁に形成された挿入孔の孔径より大きい。
【0013】
本発明の一実施例において、前記下座の底部に少なくとも1つの電極を設置し、前記電極と前記複数の電気伝導片とは電気的接続される。
【0014】
本発明の一実施例において、各電気伝導片は、上半部と下半部とを有し、前記上半部と前記下半部との接続箇所は内側に凹み、夾角を形成する。
【0016】
本発明の一実施例において、前記電気伝導部品は、前部と、中部と、後部とを含み、前記前部は、錐形であり且つ前記中部の一端から延伸し、前記後部は、前記中部の他端から延伸し、前記電気めっきラックに組み合わせられるように構成される。
【0017】
上記のように、前記電気伝導部品と前記複数の電気伝導片とが互いに密着することで、前記電気伝導部品は、特定位置に安定して固定されることができ、前記電気めっきラックが下降した後の位置を正確に把握して位置決めすることができ、また、前記電気伝導部品は、滑脱しにくく、前記電気伝導部品と前記複数の電気伝導片とは有効に且つ連続して電気的接続されることができ、エネルギー消費を低下させて電気めっき作業の電気めっき品質を高めることができるだけでなく、素子の劣化を防ぐこともできる。それと同時に、前記電気伝導部品と前記複数の電気伝導片との抜き差しの組合せは、後続の補修及び洗浄においても比較的簡単で便利である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明電気めっきラックの固定装置に係る一実施例を示す図である。
図2】本発明電気めっきラックの固定装置に係る一実施例の電気伝導部品を伝導座に挿入する前を示す図である。
図3】本発明電気めっきラックの固定装置に係る一実施例の電気伝導部品を伝導座に挿入した後を示す図である。
図4】本発明電気めっきラックの固定装置に係る他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の上記及びその他の目的、特徴、長所をさらに明確にわかりやすくするため、以下では特に、本発明実施例を挙げ、添付図面を参考しながら詳細に説明する。さらに、本発明で述べる方向を表す用語、例えば、上、下、頂、底、前、後、左、右、内、外、側面、周囲、中央、水平、横方向、垂直、縦方向、軸方向、径方向、最上層又は最下層等は、添付図面の方向の参考にすぎない。このため、使用する方向を表す用語は、本発明を説明し理解するためのものであり、本発明を制限するためのものではない。
【0020】
図1図2は、本発明電気めっきラックの固定装置の一実施例であり、前記固定装置は、2つの電気伝導部品2と、2つの伝導座3とを含む。本発明は、以下で各素子の細部構造、組立関係及びその動作原理を詳細に説明する。
【0021】
引き続き図1及び図2に示すように、前記複数の電気伝導部品2は、電気めっきラック101の一方に設置され、前記複数の電気伝導部品2は互いに間隔を開け、前記複数の伝導座3は、平台102に設置され、前記複数の伝導座3と前記複数の電気伝導部品2とは対応する。本実施例において、前記電気めっきラック101の内側に電気めっきドラム104が取り付けられ、前記電気めっきドラム104は、前記電気めっきラック101の他方に位置する駆動装置(図示せず)を介して駆動回転する。
【0022】
引き続き図1及び図2に示すように、前記伝導座3は、複数の電気伝導片31と、1つの挿入孔32とを含み、ここで、前記挿入孔32は、前記複数の電気伝導片31に囲まれて画定され、また、前記電気伝導部品2を挿入して、前記複数の電気伝導片31を前記電気伝導部品2に密着させて電気的に接続するように構成される。また、前記伝導座3は、上座33と、下座34とをさらに含み、前記上座33は、前記下座34に組み合わせられ、前記複数の電気伝導片31は、前記下座34に設置され、前記挿入孔32は、前記上座33の貫通孔331の下方に位置する。本実施例において、前記貫通孔331の孔径は、前記上座33の頂部から前記上座33の底部に向かって漸縮する。
【0023】
図2に示すように、前記上座33の底部に凹溝332を形成し、前記凹溝332と前記貫通孔331とは連通し、前記凹溝332は、前記複数の電気伝導片31の上端縁を収容するように構成される。本実施例において、前記凹溝332の孔径は、前記複数の電気伝導片31の上端縁に形成された挿入孔32の孔径より大きい。
【0024】
引き続き図2に示すように、前記下座34の底部に複数の電極103を設置し、前記複数の電極103と前記複数の電気伝導片31とは電気的接続される。本実施例において、各電気伝導片31は、上半部311と、下半部312とを有し、前記上半部311と前記下半部312との接続箇所は内側に凹み、夾角を形成し、しかも前記夾角は例えば160度の鈍角であり、前記下半部312と対応する電極103とは、電気的接続される。また、前記伝導座3は、締付ばね35をさらに有し、前記締付ばね35は、前記複数の電気伝導片31外周に套設され、しかも前記締付ばね35は、前記上半部311と前記下半部312との接続箇所に位置する。
【0025】
図2及び図3に示すように、前記電気伝導部品2は、前部21と、中部22と、後部23とを含み、前記前部21は、錐形であり且つ前記中部22の一端から延伸し、前記前部21は、前記貫通孔331から前記凹溝332を経由して前記挿入孔32に入るように構成され、それと同時に前記複数の電気伝導片31の上半部311の内縮挟制を受けて、前記電気伝導部品2に密着し(図3参照)、前記後部23は、前記中部22の他端から延伸し、また、前記電気めっきラック101に組み合わせられるように構成される。
【0026】
上記の構造により、電気めっき作業を行う際、前記電気めっきラック101は下降して、前記電気めっきドラム104を前記平台102に向かって移動させて電解液(図示せず)中に浸漬させ、前記電気めっきラック101の下降中に、前記電気伝導部品2の前部21は、まず前記貫通孔331から前記凹溝332を経由して、前記挿入孔32に入り、このとき、前記電気伝導部品2の前部21は、前記複数の電気伝導片31に接触して且つ押圧し、それと同時に前記複数の電気伝導片31は、前記締付ばねの弾性回復力を受けて、前記複数の電気伝導片31の上半部311を内縮挟制させて前記電気伝導部品2に密着させ(図3参照)、前記電気伝導部品2は、特定位置に緩まないように固定され、さらに前記電気伝導部品2と前記複数の電気伝導片31とを電気的接続して後続の電気めっき作業を行う。
【0027】
上記のように、前記電気伝導部品2と前記複数の電気伝導片31とが互いに密着することで、前記電気伝導部品2は、特定位置に安定して固定されることができ、前記電気めっきラック101が下降した後の位置を正確に把握して位置決めすることができるようになり、また、前記電気伝導部品2は、滑脱しにくく、前記電気伝導部品2と前記複数の電気伝導片31とは、有効に且つ連続して電気的接続されることができ、エネルギー消費を低下させて電気めっき作業の電気めっき品質を高めることができるだけでなく、素子の劣化を防ぐこともでき、それと同時に前記電気伝導部品2と前記複数の電気伝導片31との抜き差しの組合せは、後続の補修及び洗浄においても比較的簡単で便利である。
【0028】
図4に示すように、他の実施例において、前記固定装置は、電気伝導部品2と、伝導座3とを含み、前記複数の伝導座3は、平台102に設置され且つ、電気信号の接触バスバー105の一方に設置され、前記電気伝導部品2は、電気めっきラック101の一方に設置され、前記伝導座3と前記複数の電気伝導部品2とは対応する。本実施例において、前記電気めっきラック101の底部に電気めっきドラム104が設置され、前記電気めっきドラム104は、前記電気めっきラック101下方に位置する駆動装置(図示せず)を介して駆動回転する。
【0029】
上記のように、前記電気伝導部品2と前記複数の電気伝導片31とが互いに密着することで、前記電気伝導部品2は、特定位置に安定して固定されることができ、前記電気めっきラック101が下降した後の位置を正確に把握して位置決めすることができるようになり、また、前記電気伝導部品2は、滑脱しにくく、前記電気伝導部品2と前記複数の電気伝導片31とは有効に且つ連続して電気的接続されることができ、エネルギー消費を低下させて電気めっき作業の電気めっき品質を高めることができるだけでなく、素子の劣化を防ぐこともでき、それと同時に前記電気伝導部品2と前記複数の電気伝導片31との抜き差しの組合せは、後続の補修及び洗浄においても比較的簡単で便利である。前記伝導座3を前記接触バスバー105の一方に設置しても、素子の占有空間を有効に節約して生産コストを低下させることができる。
【0030】
本発明は、実施例により開示したが、本発明を制限するためのものではなく、この技術に習熟したいかなる者も、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに、各種変更及び修飾を行うことができるはずであり、このため、本発明の保護範囲は、後に添付する特許請求の範囲が画定するものを基準とみなすべきである。
【符号の説明】
【0031】
101 電気めっきラック
102 平台
103 電極
104 電気めっきドラム
105 接触バスバー
2 電気伝導部品
21 前部
22 中部
23 後部
3 伝導座
31 電気伝導片
311 上半部
312 下半部
32 挿入孔
33 上座
331 貫通孔
332 凹溝
34 下座
35 締付ばね

【要約】      (修正有)
【課題】改良された電気めっきラックの固定装置を提供する。
【解決手段】本発明は、少なくとも1つの電気伝導部品2と、少なくとも1つの伝導座3とを含む電気めっきラックの固定装置を提供し、前記電気伝導部品は、電気めっきラックに設置され、前記伝導座は、平台に設置され、且つ前記電気伝導部品に対向し、前記伝導座は、複数の電気伝導片31と、1つの挿入孔32とを含む。前記電気伝導部品と前記複数の電気伝導片とが互いに密着することで、前記電気めっきラックが下降した後の位置を正確に把握して位置決めすることができ、また、前記電気伝導部品は、滑脱しにくい。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4