(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】鼻水又は鼻づまりの口腔粘膜投与用即効性改善剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/513 20060101AFI20230608BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230608BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230608BHJP
【FI】
A61K31/513 ZMD
A61P11/02
A61K47/18
(21)【出願番号】P 2019097486
(22)【出願日】2019-05-24
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2018110212
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515044263
【氏名又は名称】株式会社古川リサーチオフィス
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100102255
【氏名又は名称】小澤 誠次
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100188352
【氏名又は名称】松田 一弘
(74)【代理人】
【識別番号】100113860
【氏名又は名称】松橋 泰典
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100198074
【氏名又は名称】山村 昭裕
(74)【代理人】
【氏名又は名称】富田 博行
(72)【発明者】
【氏名】古川 令
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153395(JP,A)
【文献】国際公開第02/100409(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オロット酸又はその塩を有効成分として含有する、鼻水又は鼻づまりの即効性改善剤であって、
オロット酸又はその塩の投与量が、100~1000mg/日であって、前記オロット酸又はその塩が、口腔粘膜から体内に吸収されるように投与されることを特徴とする口腔粘膜投与用の前記即効性改善剤。
【請求項2】
さらに、カルニチンを含有することを特徴とする請求項1に記載された即効性改善剤。
【請求項3】
オロット酸又はその塩が、オロット酸カリウム塩又はオロット酸マグネシウム塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載された即効性改善剤。
【請求項4】
オロット酸又はその塩の投与量が、150~250mg/日であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載された即効性改善剤。
【請求項5】
鼻水又は鼻づまりが、副鼻腔炎に起因することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載された即効性改善剤。
【請求項6】
鼻水又は鼻づまりが、風邪に起因することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載された即効性改善剤。
【請求項7】
鼻水又は鼻づまりが、花粉症に起因することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載された即効性改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻水又は鼻づまりを改善する口腔粘膜投与用の即効性改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
オロット酸は乳清から発見された化合物で、オロト酸、オロチン酸、ウラシル6-カルボン酸、ビタミンB13とも呼ばれ、ピリミジンヌクレオチド生合成系における主要中間物質である。ジヒドロオロト酸がジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼによって誘導され、オロト酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ(PRPP)によってオロチジル酸となる。オロチジル酸は、さらに速やかにウリジン一リン酸(UMP)に変換され、その後ウリジン三リン酸、シチジン三リン酸などのピリミジンヌクレオチドが合成される。このように、オロット酸はピリミジンの前駆体であり、分裂が盛んな組織では重要な栄養素である。オロット酸は、根菜、小麦胚芽、ビール酵母などの食品に含まれていることが知られており、肝臓病の治療に用いられるほか、葉酸、ビタミンB12の代謝に関与し、その抗酸化作用と老化予防にも注目されている。さらに、オロット酸の他の生理活性作用が見いだされ、オロット酸若しくはその誘導体又はそれらの塩を有効成分として含有する、花粉症に伴う気道の炎症等の気道用抗炎症剤が検討された(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、オロット酸等の有効成分が口内で吸収される形態の上記気道用抗炎症剤として製造されたキャンディー、ドロップ等の摂取が、気道用抗炎症剤として有効であることは確認されていなかった。また、1日に3gのオロット酸フリー体一水和物の14日間の経口摂取による、鼻水、鼻づまり等の花粉症症状の改善が検討されると共に、花粉症による目の痒み等の眼疾患の改善又は予防するためのオロット酸又はその塩を含有する点眼剤も検討された(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
近年、多数の人が、花粉、ダニ、ハウスダスト、ウィルス、細菌等に起因するアレルギー性鼻炎症状に悩まされている。そこで、アルブミン等の4種のたんぱく質を有効成分として含有する卵白アミノ酸結合水からなるアレルギー疾患治療剤(例えば、特許文献3参照)等のアレルギー疾患治療剤が検討された。また、(A)シュードエフェドリン又はその薬学上許容される塩、(B)フェニレフリン又はメトキシフェナミン若しくはこれらの薬学上許容される塩、および(C)ダツラエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ベラドンナエキス、ロートエキスからなる群より選択される少なくとも1種を含有する鼻炎治療用医薬組成物が検討された(例えば、特許文献4参照)。しかし、これらの治療剤は高価であり、眠気、吐き気、めまい、倦怠感が起きる等の副作用を有している場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2002/100409号パンフレット
【文献】特開2016-153395号公報
【文献】特開2017-114817号公報
【文献】特開2004-269517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
日常生活に支障をきたす程度に深刻な副作用がなく、安価で、即効性を有する鼻水又は鼻づまりの改善剤が求められていたが、そのような改善剤は提供されていなかった。本発明の課題は、副作用がなく、少ない投与量で即効性を有する鼻水又は鼻づまりの改善剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、オロット酸摂取による身体への有効性・改善性について幅広く研究を進めている。そして、飲酒や運動や無呼吸症候群に起因して低下した動脈血中酸素飽和度の向上に関するオロット酸の口腔粘膜投与の研究に際して、オロット酸200mgを含有する錠剤を舌下(口腔粘膜)投与したところ、驚くべきことに、口中に錠剤が残存しなくなる前、すなわち口腔粘膜投与2~3分で、花粉症に起因する鼻水・鼻づまりが解消した。そこで、日頃から花粉症に悩んでいる40歳代の女性にも、目的を告知することなくオロット酸200mgを含有する錠剤を口腔粘膜投与してもらったところ、5分後には日頃の鼻づまりが解消した上に、頭のもやもやがスッキリしたとのことであった。また、その日のうちに花粉症の50歳代と70歳代の2人の男性にもオロット酸200mgを含有する錠剤を口腔粘膜投与してもらったところ、5分以内に花粉症が有意に改善したとの回答を得た。
後日、副鼻腔炎を患っている男性と風邪をひいている女性に、それぞれオロット酸200mgを含有する錠剤を口腔粘膜投与してもらったところ、いずれも鼻水・鼻づまりの症状が改善することを確認した。
そして、上記のような鼻水・鼻づまりの症状改善効果は、オロット酸600mgを含有する錠剤を経口摂取しても得られないことも確認した。また以前、オロット酸1g/日の2週間摂取の臨床試験を実施したが、鼻水・鼻づまりへの改善効果は認められなかった。
本発明は、以上の知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]オロット酸又はその塩を有効成分として含有する、鼻水又は鼻づまりの即効性改善剤であって、前記オロット酸又はその塩が、口腔粘膜から体内に吸収されるように投与されることを特徴とする口腔粘膜投与用の前記即効性改善剤。
[2]さらに、カルニチンを含有することを特徴とする上記[1]に記載された即効性改善剤。
[3]オロット酸又はその塩が、オロット酸カリウム塩又はオロット酸マグネシウム塩であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載された即効性改善剤。
[4]オロット酸又はその塩の投与量が150~250mg/日であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれかに記載された即効性改善剤。
[5]鼻水又は鼻づまりが副鼻腔炎に起因することを特徴とする上記[1]~[4]のいずれかに記載された即効性改善剤。
[6]鼻水又は鼻づまりが風邪に起因することを特徴とする上記[1]~[4]のいずれかに記載された即効性改善剤。
[7]鼻水又は鼻づまりが花粉症に起因することを特徴とする上記[1]~[4]のいずれかに記載された即効性改善剤。
【0007】
また、本発明の実施の他の形態として、[8]口腔粘膜から体内に吸収されるオロット酸又はその塩を、鼻水又は鼻づまりの即効性改善を必要とする対象者(例えば、前記症状を有する患者、又は前記症状を有するおそれのある対象者)に、口腔粘膜から体内に吸収されるように投与する工程を含む、鼻水又は鼻づまりの即効性改善方法、[9]鼻水又は鼻づまりの口腔粘膜投与用の即効性改善剤として使用するためのオロット酸又はその塩、[10]鼻水又は鼻づまりの口腔粘膜投与用の即効性改善剤を製造するための、オロット酸又はその塩の使用を挙げることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤は、鼻水又は鼻づまりを摂取後短時間で改善し、その改善効果は2時間~1日間持続し、安価であり、日常生活に支障をきたす程度に深刻な副作用を示さない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤は、「鼻水又は鼻づまりを即効性で改善するため」という用途と、「口腔粘膜投与のため」という用途が限定された、前記症状の改善用の有効成分としてオロット酸又はその塩を含有する剤であり、オロット酸又はその塩を、口腔粘膜から体内に吸収されるように投与する点に特徴がある。本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤には、医薬品(医薬組成物)、すなわち、鼻水又は鼻づまりの予防又は治療用製剤(医薬組成物)の他、特定の機能を有し、健康維持などを目的として摂食される医薬品類似の食品(食品組成物)、すなわち、鼻水又は鼻づまりの予防又は治療用食品(食品組成物)も含まれる。かかる食品としては、例えば、健康食品(機能性食品、栄養補助食品、健康補助食品、栄養強化食品、栄養調整食品、サプリメント等)、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等)を挙げられる。
【0010】
鼻水又は鼻づまりの原因としては、副鼻腔炎(蓄膿症);好酸球性副鼻腔炎;副鼻腔真菌症;風邪;インフルエンザ;花粉、ダニ、ハウスダスト等に起因するアレルギー性鼻炎;慢性上咽頭炎;鼻中隔弯曲症等を具体的に例示することができる。
【0011】
本発明において、「即効性」とは、改善剤を摂取してから1時間以内、好ましくは30分以内、更に好ましくは15分以内、最も好ましくは5分以内に、鼻水又は鼻づまりが改善されていると自覚できることを意味する。
【0012】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤の形態又は剤型としては、オロット酸又はその塩が、口腔粘膜から体内に吸収され得るものであればよく、具体的な形態又は剤型や、口腔内での滞留方式は特に制限されない。本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤は、オロット酸又はその塩の放出を遅くするため、唾液により、本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤の表面が徐々に溶解、消失し、投与後のオロット酸又はその塩が長時間口腔内に滞留させる作用を有するもの(口腔粘膜に適用する徐放性剤)が好ましい。また、本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤は、速やかに飲み込まれないように、好ましくは、その大きさ、形態等が調整される。
【0013】
上記「口腔粘膜に適用する徐放性剤」の形態又は剤型としては、具体的に、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、オブラート(可食性デンプンフィルム)等の可食性フィルムに包んだ顆粒剤、ゼリー錠、チュアブル錠(咀嚼錠)等の、オロット酸又はその塩が口腔粘膜から吸収されることが可能な錠剤を挙げられる。
【0014】
上記「口腔粘膜に適用する徐放性剤」において、投与後のオロット酸又はその塩を含む固体成分が口腔内に滞留する時間は、オロット酸又はその塩の投与量や、投与対象者の年齢、体重、性別、症状、オロット酸又はその塩への感受性等に応じて適宜選択することができ、例えば、少なくとも10秒間であり、好ましくは少なくとも15秒間、より好ましくは少なくとも20秒間、更に好ましくは少なくとも25秒間、最も好ましくは少なくとも30秒間である。より具体的には、オロット酸200mgを含有する錠剤の場合、5分程度で錠剤が全部溶解することが好ましい。
【0015】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤の有効成分であるオロット酸又はその塩は、オロット酸が生体内で合成されることから、安全な成分ということができ、また、安価であるため、日常的に簡便に継続して摂取できる。したがって、好ましい本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤は食品である。かかる食品は、特定の食品に制限されず、例えば、「口腔粘膜に適用する徐放性剤」の形態又は剤型である場合、具体的には、(のど)飴、チューインガム、グミ、ゼリー、チューイングキャンディー、ゼリービーンズ等である。
【0016】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤に含有されるオロット酸又はその塩におけるオロット酸としては、オロット酸無水物(フリー体)の他、オロット酸一水和物等のオロット酸水和物が含まれる。
【0017】
上記オロット酸の具体例は、オロット酸フリー体一水和物(協和発酵バイオ社製、マツモト交商製)、オロット酸無水物(協和発酵バイオ社製)、オロット酸一水和物(SIGMA-ALDRICH社製、和光純薬工業社製)等の市販品;ピリミジン要求性、ピリミジンアナログ
耐性等の変異を導入した様々な微生物を用いた発酵法により、培養液中に生成蓄積させ(例えば、特許第2927882号公報参照)、上記培養物、オロット酸を含有するホエイ等から、通常の精製手段、例えば、沈澱法、イオン交換樹脂、活性炭等によるクロマトグラフィー法などの分離精製法を用いて精製、採取したものである。
【0018】
上記オロット酸塩は、生理学的に許容される塩基等との塩である。当該オロット酸塩の具体例は、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;亜鉛塩等の重金属塩;アンモニウム塩;塩基性アミノ酸、塩基性ペプチドとの塩等である。好ましいオロット酸塩は、オロット酸カリウム塩、オロット酸マグネシウム塩である。
【0019】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤は、オロット酸又はその塩の口腔粘膜への吸収性を向上させるため、更に、オロット酸又はその塩の溶解性を高める成分(例えば、アミノ酸、ペプチド等)を好ましくは含む。オロット酸又はその塩の溶解性を高める成分としては、例えば、リジン、ヒスチジン、アルギニン、オルニチン、カルニチン、コリン、カルノシン、アンセリン、バレニン等を挙げることができ、これらの中でもカルニチンを好適に例示できる。上記オロット酸又はその塩の溶解性を高める成分には、当該成分のL体、D体又はそれらの混合物が含まれる。また、上記オロット酸又はその塩の溶解性を高める成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。オロット酸又はその塩、特にオロット酸と上記溶解性を高める成分との併用により、オロット酸又はその塩の口腔粘膜への吸収性が向上するから、オロット酸又はその塩が口内に留まる時間が短くなり、小児や高齢者等にとって摂取が容易になる。
【0020】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤には、必要に応じて、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、等張剤、添加剤、被覆剤、可溶化剤、潤滑剤、滑走剤、溶解補助剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、溶剤、ゲル化剤、栄養剤等の配合成分を更に添加してもよい。かかる配合成分としては、具体的に、水、生理食塩水、動物性脂肪及び油、植物油、乳糖、デンプン、ゼラチン、結晶性セルロース、ガム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、グリセリン等を例示できる。
【0021】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤に含まれるオロット酸又はその塩の投与量は、投与対象者の年齢、体重、性別、症状、オロット酸又はその塩への感受性等に応じて適宜決定される。オロット酸又はその塩の投与量は、例えば、50~2000mg/日の範囲内であり、好ましくは100~1000mg/日、より好ましくは150~500mg/日、更に好ましくは150~250mg/日、最も好ましくは200mg/日である。また、一日あたり単回又は複数回(例えば、2~4回)に分けて投与してもよい。例えば、オロット酸又はその塩の一日あたりの投与量が200mgである場合、50mgのオロット酸又はその塩が含有される錠剤を1日に4回摂取してよく、100mgのオロット酸又はその塩が含有される錠剤を1日に2回摂取してよく、また、200mgのオロット酸又はその塩が含有される錠剤を1日に1回摂取してもよい。
【0022】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤の効果持続時間は、オロット酸又はその塩の投与量や、投与対象者の年齢、体重、性別、症状、オロット酸又はその塩への感受性等に応じて変化するが、好ましくは2時間~1日、より好ましくは4時間~1日、更に好ましくは6時間~1日、最も好ましくは8時間~1日である。
【0023】
本発明の口腔粘膜投与用即効性改善剤は、花粉症による目の痒み及び倦怠感も緩和できる。
【0024】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
[オロット酸又はその塩を含有する口腔粘膜投与用即効性改善剤の製造]
表1に示される配合成分からなる組成物をチュアブル錠に打錠し、オロット酸フリー体一水和物含有喉飴を製造した。また、表2に示される配合成分からなる組成物をチュアブル錠に打錠し、オロット酸フリー体一水和物及びL-カルニチン含有喉飴を製造した。そしてまた表3に示される配合成分からなる組成物をチュアブル錠に打錠し、オロット酸カリウム塩含有喉飴を製造した。さらに、200mgのオロット酸カリウム塩、200mgのオロット酸フリー体一水和物を、それぞれ、オブラート(可食性デンプンフィルム)で包み、オロット酸カリウム塩顆粒剤、オロット酸フリー体一水和物顆粒剤を製造した。
【0026】
【表1】
1)オロット酸フリー体一水和物、(株)マツモト交商製ラクトセラム
【0027】
【表2】
2)オロット酸カルニチン混合粉末は、L-カルニチンの潮解性を無くすために、ラクトセラムとL-カルニチン(ロンザジャパン)の粉末を1:1で混合乾燥粉砕したもの
3)サプリメントのOEMを受注するアピ株式会社で調製
4)サプリメントのOEMを受注するアピ株式会社で調製
【0028】
【表3】
5)オロット酸カリウム塩(Potassium 0rotate)Bulk Supplement.com(米国)
から購入
【実施例2】
【0029】
花粉症の症状を示す20~50歳代の女性健常者6名及び40~70歳代の男性健常者4名に、オロット酸フリー体一水和物含有喉飴、オロット酸フリー体一水和物及びL-カルニチン含有喉飴、オロット酸カリウム塩顆粒剤のそれぞれを舌下剤として別の日に摂取してもらい、摂取から1時間以内の鼻水、鼻づまり、目の痒み及び倦怠感に対する効果を確認した。結果を表4に示す。
【0030】
【0031】
オロット酸フリー体一水和物の口腔粘膜からの摂取、L-カルニチン含有オロット酸フリー体一水和物の口腔粘膜からの摂取、オロット酸カリウム塩の口腔粘膜からの摂取の少なくとも1つは、摂取から1時間以内に花粉症に起因する鼻水又は鼻づまりの緩和に効果を有することが確認された。これらの効果は、有効成分の口腔粘膜からの摂取の数分後に実感でき、2時間~1日間持続した。ほとんどの人が、オロット酸フリー体一水和物含有喉飴の舌下錠としての摂取において舌に痛みを感じたが、オロット酸カリウム塩顆粒剤の舌下錠としての摂取において痛みを感じないかほとんど感じなかった。さらに、ほとんどの人が、L-カルニチン含有オロット酸フリー体一水和物喉飴の舌下錠としての摂取と、オロット酸カリウム塩顆粒剤の舌下錠としての摂取において痛みを感じないかほとんど感じなかった。したがって、オロット酸フリー体の溶出に長時間を要するオロット酸フリー体一水和物含有喉飴の舌下錠としての摂取においては、L-カルニチンとの混合剤として摂取することが好ましい。
【0032】
オロット酸フリー体一水和物の口腔粘膜からの摂取、L-カルニチン含有オロット酸フリー体一水和物の口腔粘膜からの摂取、オロット酸カリウム塩の口腔粘膜からの摂取は、摂取から1時間以内の花粉症に起因する目の痒み及び倦怠感の緩和にも効果的であることが確認された。
【実施例3】
【0033】
風邪のために鼻水鼻詰まりがひどい60才代の男性健常者に、実施例1で作製したオロット酸カリウム塩含有喉飴を、1錠を口腔粘膜から摂取してもらった結果、摂取し終わった頃から鼻水の減少を感じ、1時間後には鼻をかむ回数も半分以下になり、終日そのような状態で過ごせた。翌日は風邪の症状そのものが無くなった。
【実施例4】
【0034】
副鼻腔炎と診断されている30才代の女性に、実施例1で作製したオロット酸フリー体一水和物含有喉飴を、1錠を口腔粘膜から摂取してもらったところ、20分後には鼻通りが良くなり、脳に酸素が送られていることが実感できるような体感があったという感想であった。
【実施例5】
【0035】
14種類(39項目)のIgE抗体の検査ではアレルゲンは特定されていないが、例年秋ごろに鼻がむず痒くなることがある62才の小児科の医師を対象とし、鼻にむず痒さを感じた時に実施例1で作製したオロット酸フリー体一水和物含有喉飴1錠を口腔内で溶かして摂取した結果、1時間以内に症状が完全に消失した。その後、痒みの気配を感じた際に上記喉飴1錠、途中からは実施例1で作製したオロット酸カリウム塩含有喉飴1錠を摂取することで秋から冬にかけて、一度も鼻の痒みに悩まされることがなかった。
【実施例6】
【0036】
長年鼻茸に悩まされている80才代の男性を対象とした。この男性は、花粉症でも好酸球性副鼻腔炎でもないと診断されており、また脳梗塞,狭心症の既往歴があり、バッファリン服用のため鼻茸の手術が適用外ということで、過去に複数の抗アレルギー剤を服用するも特に効果がなく中止しており、現在はザイザル錠を服用するも特に効果がなく、鼻づまり感だけでなく,臭覚にも障害がある慢性症状が長年続いていた。この80才代の男性に実施例1で作製したオロット酸カリウム塩含有喉飴1錠を口腔内で溶かして摂取してもらったところ、2時間後に,梅まつりの会場で梅の花の匂いを感じ、花の香を感じたことが長年無かったので、大変驚いたとのこと。その後も上記喉飴を1日1錠、途中からは実施例1で作製したオロット酸フリー体一水和物含有喉飴を1日1錠を口腔内で溶かして摂取した結果,服用後の食事の際に,柑橘系や海苔など今まで感じられなかったいくつかの臭いを感じ,オロット酸錠の即効的な嗅覚回復への効果を体感した。また,鼻づまりの不快感も改善された。30日の服用で鼻の通りが極めて快調になり,臭いも外気からと口腔内の両方で頻繁に感じるようになり,耳鼻咽喉科での診断も,鼻茸から軽い炎症と診断される状態に改善した。
【実施例7】
【0037】
花粉症の症状を示す女性健常者9名、男性健常者8名、及び男児14歳1名のそれぞれに、花粉症の症状がひどいと思う任意の5日間に、実施例1で作製したオロット酸カリウム塩含有喉飴1錠を口腔内で溶かして摂取してもらい、摂取の前後で、アレルギー症状である鼻症状(水っぱな、くしゃみ、鼻づまり、鼻のかゆみ)、及び目症状(目のかゆみ、涙目)について評価した。結果を表5に示す。
【0038】
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、鼻水又は鼻づまりの改善を目的とした食品(例えば、健康食品、保健機能食品)と医薬品の製造分野に資する。