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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】磁気メモリ装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/16 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
G11C11/16 240
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020525804
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 JP2019024596
(87)【国際公開番号】W WO2019244998
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2018117935
(32)【優先日】2018-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業 産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 好昭
(72)【発明者】
【氏名】池田 正二
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-77339(JP,A)
【文献】特開2013-200930(JP,A)
【文献】特開2018-93065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延在し、且つ所定間隔で互いに平行に配列された複数の配線と、前記複数の配線に接続され、前記複数の配線の延在方向及び配列方向に沿ってマトリクス状に配置され、且つ各々が磁気抵抗効果素子を有する複数のメモリセルと、を有するメモリセルアレイと、
前記複数の配線に接続され、前記複数の配線の中から互いに非隣接の配線を選択する選択回路と、
前記選択回路に接続されたコントローラであって、前記メモリセルアレイにデータを書き込むとき、前記選択回路を制御して前記非隣接の配線を選択させ、選択された前記非隣接の配線に同時に書き込み電流を流すコントローラと、を備え、
前記複数のメモリセルの各々は、選択トランジスタを有し、前記選択トランジスタのドレインは前記磁気抵抗効果素子に接続され、前記選択トランジスタのソースはソース線に接続され、前記選択トランジスタのゲートはワード線に接続され、
前記ソース線及び前記ワード線は、前記複数の配線の配列方向に延在する、
磁気メモリ装置。
【請求項2】
前記選択回路は、2本以上のコントロール線を有し、
前記複数の配線において隣接する配線が、それぞれ、前記2本以上のコントロール線の異なるコントロール線に接続され、
前記メモリセルアレイにデータを書き込むとき、前記コントローラは、前記2本以上のコントロール線を個別に制御して、前記複数の配線において隣接する配線に異なるタイミングで前記書き込み電流を流す、請求項1に記載の磁気メモリ装置。
【請求項3】
前記選択回路は、前記複数の配線にそれぞれ接続された複数のトランジスタを備え、
前記複数のトランジスタのうち、前記複数の配線において隣接する配線に接続されたトランジスタは、それぞれ、前記2本以上のコントロール線の異なるコントロール線に接続され、
前記コントローラは、コントロール線ごとに前記複数のトランジスタのオンとオフを制御する、請求項2に記載の磁気メモリ装置。
【請求項4】
前記メモリセルアレイにデータを書き込むとき、前記コントローラは、配線選択のためのアドレス信号を前記選択回路に出力し、
前記選択回路は、前記コントローラから出力された前記アドレス信号に従って、前記複数の配線の中から前記書き込み電流を流す前記非隣接の配線を選択する、請求項1に記載の磁気メモリ装置。
【請求項11】
一方向に延在し、且つ所定間隔で互いに平行に配列された複数の配線と、前記複数の配線に接続され、前記複数の配線の延在方向及び配列方向に沿ってマトリクス状に配置され、且つ各々が磁気抵抗効果素子を有する複数のメモリセルと、を有するメモリセルアレイと、
前記複数の配線に接続され、前記複数の配線の中から互いに非隣接の配線を選択する選択回路と、
前記選択回路に接続されたコントローラであって、前記メモリセルアレイにデータを書き込むとき、前記選択回路を制御して前記非隣接の配線を選択させ、選択された前記非隣接の配線に同時に書き込み電流を流すコントローラと、
を備え、
前記メモリセルアレイにデータを書き込むとき、前記コントローラは、配線選択のためのアドレス信号を前記選択回路に出力し、
前記選択回路は、前記コントローラから出力された前記アドレス信号に従って、前記複数の配線の中から前記書き込み電流を流す前記非隣接の配線を選択する、磁気メモリ装置。
【請求項12】
前記選択回路は、
前記コントローラ及び前記複数の配線に接続されたデコーダであって、前記メモリセルアレイにデータを書き込むとき、前記コントローラから出力された前記アドレス信号に従って、前記複数の配線のうち第1配線を選択するための第1選択信号と、前記複数の配線のうち前記第1配線に隣接する第2配線を選択するための第2選択信号のいずれか一方を出力するデコーダと、
前記第1配線に接続された電界効果トランジスタであり、前記第1配線に接続されたソースと、ドレインと、前記第1配線を選択するときに前記デコーダから出力された前記第1選択信号が印加されるゲートと、を有する第1トランジスタと、
前記第2配線に接続された電界効果トランジスタであり、前記第2配線に接続されたソースと、ドレインと、前記第2配線を選択するときに前記デコーダから出力された前記第2選択信号が印加されるゲートと、を有する第2トランジスタと、
前記第1トランジスタの前記ドレインに接続され、前記コントローラの制御の下で、前記第1トランジスタに前記書き込み電流を流す第1書き込みドライバと、
前記第2トランジスタの前記ドレインに接続され、前記コントローラの制御の下で、前記第2トランジスタに前記書き込み電流を流す第2書き込みドライバと、
を備える、請求項11に記載の磁気メモリ装置。
【請求項14】
前記メモリセルアレイは、前記複数の配線としての複数のビット線と、前記複数のビット線に交差し、所定間隔で平行に配列された複数のワード線と、を有し、
前記メモリセルアレイは、前記複数のメモリセルが前記複数のビット線と前記複数のワード線との交点にそれぞれ位置するクロスポイント型のメモリセルアレイである、請求項11~13の何れか1項に記載の磁気メモリ装置。
【請求項15】
前記複数のメモリセルの各々は、
前記磁気抵抗効果素子として、スピン注入トルクにより磁化反転する磁気トンネル接合素子と、
前記磁気トンネル接合素子に接続され、前記磁気トンネル接合素子をアクセス対象として選択するための選択トランジスタと、
を有する、請求項11又は12に記載の磁気メモリ装置。
【請求項17】
前記メモリセルアレイには、前記複数の配線として複数の重金属層が配列され、
前記複数のメモリセルは、前記磁気抵抗効果素子として、スピン軌道トルクにより磁化反転する複数の磁気トンネル接合素子をそれぞれ有し、
前記複数の磁気トンネル接合素子は、前記複数の重金属層上に配置される、請求項11又は12に記載の磁気メモリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気メモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速性と高書き換え耐性が得られる次世代不揮発メモリ装置として、磁気抵抗効果素子を記憶素子として用いた磁気メモリ装置が知られている。磁気メモリ装置に用いる不揮発メモリとしては、STT-MRAM(Spin Transfer Torque Magnetic Random Access Memory)やSOT-MRAM(Spin-Orbit Torque Magnetic Random Access Memory)が注目されている。STT-MRAMでは、メモリセルに用いられている磁気トンネル接合(MTJ)素子に書き込み電流を流すことによって生じるスピン注入トルクによってMTJ素子の記録層の磁化を反転させる。SOT-MRAMでは、重金属層上にMTJ素子を設けた構成を有し、重金属層に書き込み電流を流すことでスピン軌道相互作用により分離したスピン流をMTJ素子の記録層にスピン吸収させることにより磁化を反転させる。
【0003】
近年、より大容量の磁気メモリ装置を実現させるため、様々な技術が研究されている。例えば、ワード線とビット線の交点にメモリセルが位置するクロスポイント型の磁気メモリ装置が提案されている(非特許文献1参照)。また、一方向に延在した細長形状を有する重金属層にMTJ素子を密に直列配置した磁気メモリ装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-112351号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】H. Yang, X. Hao, Z. Wang, R. Malmhall, H. Gan, K. Satoh, J. Zhang, D. H. Jung, X. Wang, Y. Zhou, B. K. Yen and Y. Huai, “Threshold Switching Selector and 1S1R Integration Development for 3D Cross-point STT-MRAM,” IEDM 2017 Digest, 38.1.1-38.1.4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1Xnm世代の大容量の磁気メモリ装置を実現させるためにメモリセルを高密度に配置すると、書き込み電流に起因して隣接するメモリセル間にクロストークが発生し得る。以下、図1図4A及び図4Bを参照し、書き込み電流が及ぼす影響について説明する。図1は、STT-MRAMを用いたクロスポイント型の磁気メモリ装置のメモリセルアレイ1の模式的な平面図である。メモリセルアレイ1には、ビット線BLとワード線WLの交点に、MTJ素子とセレクタとからなるメモリセル2が位置している。
【0007】
メモリセルアレイ1には、図1に示すように、あるMTJ素子に注目すると、データ書き込み時に書き込み電流Iw1、Iw2、Iw3、Iw4、及びIw5が同時に流れている瞬間が存在する。ビット線BLに電流が流れることによって、電流磁界が発生する。例えば、メモリセルc2に着目すると、左隣のメモリセルc1のビット線BLに書き込み電流Iw1が+y方向に流れ、右隣のメモリセルc3のビット線BLに書き込み電流Iw3が+y方向に流れている。これにより、メモリセルc2では、図2Aに示すように、+x方向の磁場が強め合う一方で、+z方向の磁場と-z方向の磁場がほぼ打ち消し合う。メモリセルc5に着目すると、左隣のメモリセルc4のビット線BLに書き込み電流Iw3が+y方向に流れ、右隣のメモリセルc6のビット線BLに書き込み電流Iw5が-y方向に流れている。これにより、メモリセルc5では、図2Bに示すように、+x方向の磁場と-x方向の磁場がほぼ打ち消し合う一方で、-z方向の磁場が強め合う。
【0008】
図3に、メモリセルの隣接間距離(nm)と隣接するメモリセルからの電流磁場(Oe)との関係を示す。図3に示すように、ビオ・サバールの法則により電流磁場の大きさを見積もることができ、隣接間距離が短くなると隣接するメモリセルからの電流磁場が大きくなる。例えば、電流密度が2.4*106A/cm2、隣接間距離が10nmの場合、片側に隣接するメモリセルから約0.6Oeの電流磁場が生じるが、両側に隣接するメモリセルからの電流磁場が強め合った場合、約1.2Oeの電流磁場が印加されることとなる。一方、両側に隣接するメモリセルからの電流磁場が打ち消されると、電流磁場は印加されない。よって、この場合、最大0.0Oe~1.2Oeの範囲で漏れ磁場のばらつきが生じることとなる。
【0009】
漏れ磁場は書き込みエラー率(Write Error Rate:WER)に影響を及ぼす。図4A及び図4Bに、書き込み電流I(パルス電流)から生じる漏れ磁場Hstrayの書き込みエラー率への影響を示す。図4Aのグラフに示すように、外部磁場Hext、書き込み電流Iが大きくなると書き込みエラー率を下げることができる。書き込み電流Iを増加させると、書き込みエラー率を下げることができる一方で、書き込み電流Iにより漏れ磁場Hstrayが生じている。図4Bの左図(拡大図)のグラフに示すように、5Oe以下の漏れ磁場Hstrayであっても書き込みエラー率に悪影響を及ぼしていることがわかる。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、書き込み電流による磁場の影響を低減することができる磁気メモリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による磁気メモリ装置は、一方向に延在し、且つ所定間隔で互いに平行に配列された複数の配線と、複数の配線に接続され、複数の配線の延在方向及び配列方向に沿ってマトリクス状に配置され、且つ各々が磁気抵抗効果素子を有する複数のメモリセルと、を有するメモリセルアレイと、複数の配線に接続され、複数の配線の中から互いに非隣接の配線を選択する選択回路と、選択回路に接続されたコントローラと、を備える。メモリセルアレイにデータを書き込むとき、コントローラは、選択回路を制御して非隣接の配線を選択させ、選択された非隣接の配線に同時に書き込み電流を流す。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メモリセルアレイを構成する複数の配線のうち互いに非隣接の配線に同時に書き込み電流を流すようにしたことにより、隣接するメモリセル間において書き込み電流による磁場の影響を低減させ、クロストークの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】クロスポイント型のメモリセルアレイの模式的な平面図であって、書き込み電流が流れている状況を示す図である。
図2A図1のメモリセルアレイにおいて、書き込み電流が流れたときにメモリセルに印加される磁場の大きさ及び方向を説明する図である。
図2B図1のメモリセルアレイにおいて、書き込み電流が流れたときにメモリセルに印加される磁場の大きさ及び方向を説明する図である。
図3】メモリセルの隣接間距離と隣接するメモリセルから生じる電流磁場との関係を示すグラフである。
図4A】漏れ磁場の書き込みエラー率への影響を示すグラフである。
図4B】漏れ磁場の書き込みエラー率への影響を示すグラフである。
図5】本発明の第1実施形態に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
図6図5の線VI-VIにおける断面図である。
図7図5の線VII-VIIにおける断面図である。
図8】第1実施形態の磁気メモリ装置において、第1コントロール線に接続されたトランジスタがONで第2コントロール線に接続されたトランジスタがOFFであるときの書き込み動作を説明する図である。
図9】第1実施形態の磁気メモリ装置において、第1コントロール線に接続されたトランジスタがOFFで第2コントロール線に接続されたトランジスタがONであるときの書き込み動作を説明する図である。
図10】第1実施形態の変形例に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
図12図11の線XII-XIIにおける断面図である。
図13図11の線XIII-XIIIにおける断面図である。
図14】第2実施形態の変形例に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
図15】第2実施形態の他の変形例に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
図16図15の線XVI-XVIにおける断面図である。
図17図15の線XVII-XVIIにおける断面図である。
図18】本発明の第3実施形態に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
図19図18の線XIX-XIXにおける断面図である。
図20図18の線XX-XXにおける断面図である。
図21】第3実施形態の変形例に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
図22】本発明の第4実施形態に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
図23図22に示す選択回路の構成を示す模式図である。
図24図23に示すYデコーダの回路構成図の一例である。
図25】本発明の第5実施形態に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
図26】本発明の第6実施形態に係る磁気メモリ装置の模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図面において、同一又は同様の構成要素には同一の参照符号を付している。図面は模式的なものであり、平面寸法と厚みとの関係、及び各部材の厚みの比率は現実のものとは異なる。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0015】
<第1実施形態>
まず、図5図10を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。第1実施形態の磁気メモリ装置100は、STT-MRAM(Spin Transfer Torque Magnetic Random Access Memory)を用いた磁気メモリ装置(以下、「STT-MRAM装置」と呼ぶ。)であり、図5に示すように、メモリセルアレイ110と、選択回路120と、Xデコーダ130と、コントローラ140と、を備える。
【0016】
メモリセルアレイ110は、クロスポイント型のメモリセルアレイであり、図5に示すように、奇数列のビット線BL1と偶数列のビット線BL2が所定間隔で平行に配列された複数のビット線(複数の配線)と、複数のビット線BL1及びBL2に交差し、所定間隔で平行に配列された複数のワード線WLと、複数のビット線BL1及びBL2と複数のワード線WLとの交点に位置する複数のメモリセル101と、を有する。このように、複数のメモリセル101は、複数のビット線BL1及びBL2の延在方向(図5のy方向)と配列方向(図5のx方向)に沿ってマトリクス状に配置されている。
【0017】
メモリセル101は、磁気抵抗効果素子としての磁気トンネル接合素子(以下、「MTJ素子」と呼ぶ。)と、MTJ素子をアクセス対象として選択するためのスイッチ素子であるセレクタと、を有している。MTJ素子とセレクタは図5のz方向に積層されている。メモリセル101のMTJ素子は、スピン注入トルク(STT)により磁化反転するMTJ素子であり、強磁性体からなる記録層と、絶縁体からなる障壁層と、強磁性体からなる参照層と、を有する。MTJ素子の記録層、障壁層、及び参照層はこの順もしくはその逆に積層されており、記録層はビット線BL1又はBL2に接続されており、参照層はセレクタに接続されている。セレクタはワード線WLに接続されている。メモリセル101のMTJ素子及びセレクタとして、例えば、非特許文献1に開示されたように、垂直磁化方式のMTJ素子及びHfOxを基本組成とした2端子のセレクタをそれぞれ採用することが可能である。または、メモリセル101のセレクタとして、Si/SiOx/SiN中にCu、Agなどがイオン伝導するイオンブリッジメモリなどで検討されている2端子素子など10以上電流値が変化する2端子素子を採用することも可能である。
【0018】
選択回路120は、第1コントロール線121及び第2コントロール線122を有する。奇数列のビット線BL1は、トランジスタ151を介して第1コントロール線121に接続され、偶数列のビット線BL2は、トランジスタ152を介して第2コントロール線122に接続されている。これらの接続関係の詳細は後述する(図6及び図7参照)。
【0019】
Xデコーダ130は、複数のワード線WLに接続されており、コントローラ140の制御の下、アクセス対象の行のワード線WLに電圧を印加する。
【0020】
コントローラ140は、Xデコーダ130と、第1コントロール線121と、第2コントロール線122と、に接続され、データ書き込み又はデータ読み出しに応じて、Xデコーダ130、第1コントロール線121及び第2コントロール線122をそれぞれ制御する。
【0021】
データ書き込み時、コントローラ140は、奇数列のビット線BL1と偶数列のビット線BL2に異なるタイミングで電流を流すように第1コントロール線121及び第2コントロール線122を個別に制御する。ここで「異なるタイミング」とは、隣接するビット線に同時に書き込み電流が流れないように、隣接するビット線の一方に書き込み電流が流れている時と、隣接するビット線の他方に書き込み電流が流れている時が異なっていることを意味する。第2実施形態及び第3実施形態の「異なるタイミング」についても同様である。コントローラ140による書き込み制御の詳細は後述する(図8及び図9参照)。
【0022】
次に、図6及び図7を参照して、ビット線BL1と第1コントロール線121との接続、及びビット線BL2と第2コントロール線122との接続について詳細に説明する。
【0023】
図6は、図5の線VI-VIにおける断面図である。ビット線BL1はトランジスタ151に接続される。トランジスタ151は、電界効果トランジスタであり、ドレイン151bがビット線BL1に接続され、ソース151cが電源線163に接続されている。具体的には、トランジスタ151がビット線BL1よりも下層に設けられており、ビット線BL1は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール161a、161b、161c、及び161dと、金属電極層162a、162b、及び162cと、を介して、トランジスタ151のドレイン151bに接続されている。電源線163は、スルーホール161dを介してトランジスタ151のソース151cに接続されている。トランジスタ151のゲート151aは第1コントロール線121に接続されており、ゲート151aに電圧が印加されると、ビット線BL1に電流が流れる。
【0024】
図7は、図5の線VII-VIIにおける断面図である。ビット線BL2はトランジスタ152に接続される。トランジスタ152は、電界効果トランジスタであり、ドレイン152bがビット線BL2に接続され、ソース152cが電源線173に接続されている。具体的には、トランジスタ152がビット線BL2よりも下層に設けられており、ビット線BL2は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール171a、171b、171c、及び171dと、金属電極層172a、172b、及び172cと、を介して、トランジスタ152のドレイン152bに接続されている。電源線173は、スルーホール171dを介してトランジスタ152のソース152cに接続されている。トランジスタ152のゲート152aは第2コントロール線122に接続されており、ゲート152aに電圧が印加されると、ビット線BL2に電流が流れる。
【0025】
なお、第1コントロール線121と第2コントロール線122とが別々に設けられていれば、ビット線BL1とトランジスタ151との間を接続するスルーホール及び金属電極層の配置の態様(図6)、並びにビット線BL2とトランジスタ152との間を接続するスルーホール及び金属電極層の配置の態様(図7)は、変更可能である。
【0026】
次に、図8及び図9を参照して、コントローラ140による書き込み制御について説明する。以下では、奇数列のビット線BL1に接続されたメモリセル101a、101c、及び101eと、偶数列のビット線BL2に接続されたメモリセル101b、101d、及び101fにデータを書き込む例を挙げて説明する。
【0027】
まず、コントローラ140は、書き込むデータに応じて、メモリセル101aに接続されたビット線BL1及びワード線WLの電位、メモリセル101cに接続されたビット線BL1及びワード線WLの電位、並びにメモリセル101eに接続されたビット線BL1及びワード線WLの電位を設定して、メモリセル101a、101c及び101eの各々のセレクタをONにする。また、図8に示すように、第1コントロール線121により、ビット線BL1に接続されたトランジスタ151をONにすることで(すなわち、ゲート151aに電圧を印加することで)、それぞれのビット線BL1を介して、メモリセル101aのMTJ素子、メモリセル101cのMTJ素子、及びメモリセル101eのMTJ素子に書き込み電流Iwを流す。書き込み電流Iwの向きは、ビット線BL1とワード線WLとの電位差により決まる。各MTJ素子に書き込み電流Iwが流れると、スピン注入トルクによって各MTJ素子にデータが書き込まれる。
【0028】
次いで、コントローラ140は、トランジスタ151をOFFにし、書き込むデータに応じて、メモリセル101bに接続されたビット線BL2及びワード線WLの電位、メモリセル101dに接続されたビット線BL2及びワード線WLの電位、並びにメモリセル101fに接続されたビット線BL2及びワード線WLの電位を設定し、メモリセル101b、101d及び101fの各々のセレクタをONにする。また、図9に示すように、第2コントロール線122により、ビット線BL2に接続されたトランジスタ152をONにすることで(すなわち、ゲート152aに電圧を印加することで)、それぞれのビット線BL2を介して、メモリセル101bのMTJ素子、メモリセル101dのMTJ素子、及びメモリセル101fのMTJ素子に書き込み電流Iwを流す。書き込み電流Iwの向きは、ビット線BL2とワード線WLとの電位差により決まる。各MTJ素子に書き込み電流Iwが流れると、スピン注入トルクによって各MTJ素子にデータが書き込まれる。
【0029】
なお、奇数列のビット線BL1に書き込み電流を流した後に、偶数列のビット線BL2に書き込み電流を流す例を説明したが、逆の順番にしてもよい。
【0030】
以上のように、第1実施形態の磁気メモリ装置100によれば、隣接するビット線BL1及びBL2がそれぞれ第1コントロール線121及び第2コントロール線122に接続され、データを書き込むとき、コントローラ140は、非隣接のビット線BL1又は非隣接のビット線BL2に同時に書込み電流を流し、隣接するビット線BL1及びBL2に異なるタイミングで書き込み電流を流すように第1コントロール線121及び第2コントロール線122を個別に制御した。これにより、隣接するビット線BL1及びBL2に同時に書き込み電流が流れることがなく、隣接するメモリセル間において書き込み電流による磁場の影響を低減させ、クロストークの発生を抑制することができる。よって、書き込み電流の値を低減させつつ、低い書き込みエラー率を実現することができる。また、直列接続するメモリセルの数を増やすことができ、製造コストを大幅に増やすことなく、高密度化及び大容量化を図ることができる。さらに、コントロール線ごとにまとめて書き込みをすることができるため、高速の書き込みを実現することができる。
【0031】
なお、図5図9では、2本のコントロール線を備えた磁気メモリ装置100を示したが、コントロール線の数は2本以上であれば特に限定されない。書き込み電流が大きくなると、2本のコントロール線を個別に制御したとしても漏れ磁場の影響を無視することができなくなる可能性がある。そこで、例えば、図10に示すように、磁気メモリ装置に3本のコントロール線を設けるようにしてもよい。
【0032】
図10に示す磁気メモリ装置100Aは、STT-MRAM装置であり、メモリセルアレイ110Aと、選択回路120Aと、Xデコーダ130と、コントローラ140Aと、を備える。
【0033】
選択回路120Aは、第1コントロール線121、第2コントロール線122、及び第3コントロール線123を有する。
【0034】
メモリセルアレイ110Aも、メモリセルアレイ110と同様、複数のビット線(ビット線BL1、BL2及びBL3)と複数のワード線WLとの交点にメモリセル101が配置されたクロスポイント型のメモリセルアレイである。メモリセルアレイ110Aにおいて、3n-2列目(nは正の整数)のビット線BL1はトランジスタ151を介して第1コントロール線121に接続され、3n-1列目のビット線BL2はトランジスタ152を介して第2コントロール線122に接続され、3n列目のビット線BL3はトランジスタ153を介して第3コントロール線123に接続されている。トランジスタ151、152及び153は、いずれも電界効果トランジスタである。
【0035】
コントローラ140Aは、Xデコーダ130と、第1コントロール線121、第2コントロール線122、及び第3コントロール線123と、に接続され、データ書き込み又はデータ読み出しに応じて、Xデコーダ130、第1コントロール線121、第2コントロール線122、及び第3コントロール線123をそれぞれ制御する。
【0036】
メモリセルアレイ110Aにデータを書き込むとき、コントローラ140Aは、隣接するビット線に異なるタイミングで書き込み電流を流すように第1コントロール線121、第2コントロール線122、及び第3コントロール線123を個別に制御する。例えば、まず、第1コントロール線121に接続されたトランジスタ151をONにし、3n-2列目のビット線BL1に書き込み電流を流す。次に、トランジスタ151をOFFにし、第2コントロール線122に接続されたトランジスタ152をONにして、3n-1列目のビット線BL2に書き込み電流を流す。次に、トランジスタ152をOFFにし、第3コントロール線123に接続されたトランジスタ153をONにして、3n列目のビット線BL3に書き込み電流を流す。
【0037】
図10に示す磁気メモリ装置100Aによれば、より大きな書き込み電流を流す場合であっても、クロストークの発生を抑制することができる。
【0038】
<第2実施形態>
次に、図11図17を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態の磁気メモリ装置200は、1トランジスタ(Tra)-1MTJ型のSTT-MRAM装置であり、図11に示すように、メモリセルアレイ210と、選択回路220と、Xデコーダ230と、コントローラ240と、を備える。
【0039】
メモリセルアレイ210は、図11に示すように、奇数列のビット線BL1と偶数列のビット線BL2が所定間隔で平行に配列された複数のビット線(複数の配線)と、複数のビット線BL1及びBL2に交差し、所定間隔で平行に配列された複数のワード線WLと、複数のビット線BL1及びBL2と複数のワード線WLとが交差する領域に配置された複数のメモリセル203と、を有する。このように、複数のメモリセル203は、複数のビット線BL1及びBL2の延在方向(図11のy方向)及び配列方向(図11のx方向)に沿ってマトリクス状に配置されている。
【0040】
メモリセル203は、磁気抵抗効果素子としてのMTJ素子201と、MTJ素子201をアクセス対象として選択するためのスイッチ素子である選択トランジスタ202と、を有している。MTJ素子201は、スピン注入トルク(STT)により磁化反転するMTJ素子であり、強磁性体からなる記録層と、絶縁体からなる障壁層と、強磁性体からなる参照層と、を有する。MTJ素子201の記録層、障壁層、及び参照層はこの順で積層されており、記録層がビット線BL1又はBL2に接続され、参照層が選択トランジスタ202のドレイン202bに接続されている(図12及び図13参照)。選択トランジスタ202のゲート202aはワード線WLに接続され、ソース202cはソース線266(図12及び図13参照)に接続されている。このように、メモリセル203は、1個の選択トランジスタ202と1個のMTJ素子201とで構成された1Tra-1MTJ型のメモリセルである。
【0041】
選択回路220は、第1コントロール線221及び第2コントロール線222を有する。奇数列のビット線BL1は、トランジスタ251を介して第1コントロール線221に接続され、偶数列のビット線BL2は、トランジスタ252を介して第2コントロール線222に接続されている。これらの接続関係の詳細は後述する(図12及び図13参照)。
【0042】
Xデコーダ230は、複数のワード線WL及び複数のソース線266に接続されており、コントローラ240の制御の下、アクセス対象の行のワード線WL及びソース線266のそれぞれに電圧を印加する。
【0043】
コントローラ240は、Xデコーダ230と、第1コントロール線221と、第2コントロール線222と、に接続され、データ書き込み又はデータ読み出しに応じて、Xデコーダ230、第1コントロール線221及び第2コントロール線222をそれぞれ制御する。
【0044】
データ書き込み時、コントローラ240は、奇数列のビット線BL1と偶数列のビット線BL2に異なるタイミングで書き込み電流を流すように第1コントロール線221及び第2コントロール線222を個別に制御する。コントローラ240による書き込み制御については後述する。
【0045】
次に、図12及び図13を参照して、ビット線BL1と第1コントロール線221との接続、ビット線BL2と第2コントロール線222との接続、及びMTJ素子201と対応する選択トランジスタ202との接続について詳細に説明する。
【0046】
図12は、図11の線XII-XIIにおける断面図である。ビット線BL1はトランジスタ251に接続される。トランジスタ251は、電界効果トランジスタであり、ドレイン251bがビット線BL1に接続され、ソース251cが電源線263に接続されている。具体的には、トランジスタ251がビット線BL1よりも下層に設けられており、ビット線BL1は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール261a、261b、261c、及び261dと、金属電極層262a、262b、及び262cと、を介して、トランジスタ251のドレイン251bに接続されている。電源線263は、スルーホール261dを介してトランジスタ251のソース251cに接続されている。トランジスタ251のゲート251aは第1コントロール線221に接続されており、ゲート251aに電圧が印加されると、ビット線BL1に電流が流れる。
【0047】
ビット線BL1に接続されたMTJ素子201は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール265b、265c、及び265dと、金属電極層264a、264b、及び264cと、を介して、選択トランジスタ202のドレイン202bに接続されている。選択トランジスタ202のソース202cはスルーホール265dを介してソース線266に接続され、ゲート202aはワード線WLに接続されている。選択トランジスタ202とトランジスタ251は、半導体基板の活性領域に形成されており、これらの活性領域は素子分離領域により区画されている。
【0048】
図13は、図11の線XIII-XIIIにおける断面図である。ビット線BL2はトランジスタ252に接続される。トランジスタ252は、電界効果トランジスタであり、ドレイン252bがビット線BL2に接続され、ソース252cが電源線273に接続されている。具体的には、トランジスタ252がビット線BL2よりも下層に設けられており、ビット線BL2は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール271a、271b、271c、及び271dと、金属電極層272a、272b、及び272cと、を介して、トランジスタ252のドレイン252bに接続されている。電源線273は、スルーホール271dを介してトランジスタ252のソース252cに接続されている。トランジスタ252のゲート252aは第2コントロール線222に接続されており、ゲート252aに電圧が印加されると、ビット線BL2に電流が流れる。
【0049】
ビット線BL2に接続されたMTJ素子201は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール275b、275c、及び275dと、金属電極層274a、274b、及び274cと、を介して、選択トランジスタ202のドレイン202bに接続されている。選択トランジスタ202のソース202cはスルーホール275dを介してソース線266に接続され、ゲート202aはワード線WLに接続されている。選択トランジスタ202とトランジスタ252は、半導体基板の活性領域に形成されており、これらの活性領域は素子分離領域により区画されている。
【0050】
なお、第1コントロール線221と第2コントロール線222とが別々に設けられていれば、ビット線BL1とトランジスタ251との間を接続するスルーホール及び金属電極層の配置の態様(図12)、並びにビット線BL2とトランジスタ252との間を接続するスルーホール及び金属電極層の配置の態様(図13)は、変更可能である。
【0051】
次に、コントローラ240による書き込み制御について説明する。以下では、奇数列のビット線BL1に書き込み電流を流した後に、偶数列のビット線BL2に書き込み電流を流すものとして説明するが、逆の順番にしてもよい。
【0052】
まず、コントローラ240は、書き込むデータに応じて、書き込み対象のメモリセル203が接続された奇数列のビット線BL1の電位、及び当該メモリセル203の選択トランジスタ202のソース202c(ソース線266)の電位を設定する。ビット線BL1と選択トランジスタ202のソース202cとの電位差により、書き込み電流の向きが決まる。また、コントローラ240は、当該メモリセル203に対応するワード線WLから選択トランジスタ202のゲート202aに電圧を印加させて選択トランジスタ202をONにするとともに、第1コントロール線221により、ビット線BL1に接続されたトランジスタ251をONにする。これにより、ビット線BL1及びMTJ素子201に書き込み電流が流れ、スピン注入トルクによってMTJ素子201の磁化が反転し、データが書き込まれる。
【0053】
次いで、コントローラ240は、トランジスタ251をOFFにし、書き込むデータに応じて、書き込み対象のメモリセル203が接続された偶数列のビット線BL2の電位、及び当該メモリセル203の選択トランジスタ202のソース202c(ソース線266)の電位を設定する。ビット線BL2と選択トランジスタ202のソース202cとの電位差により、書き込み電流の向きが決まる。また、コントローラ240は、当該メモリセル203に対応するワード線WLから選択トランジスタ202のゲート202aに電圧を印加させて選択トランジスタ202をONにするとともに、第2コントロール線222により、ビット線BL2に接続されたトランジスタ252をONにする。これにより、ビット線BL2及びMTJ素子201に書き込み電流が流れ、スピン注入トルクによってMTJ素子201の磁化が反転し、データが書き込まれる。
【0054】
第2実施形態の磁気メモリ装置200によれば、第1実施形態の磁気メモリ装置100と同様の効果を得ることができる。磁気メモリ装置200は、各メモリセル203が選択トランジスタ202を有していることから、図11のy方向におけるメモリセル203の配置は、クロスポイント型の磁気メモリ装置100のメモリセル101の配置に比べると密ではない。しかしながら、大容量の磁気メモリ装置200では、ビット線BL1及びBL2の配列方向(図11のx方向)においてメモリセル203は密に配置されることから、第2実施形態のように、第1コントロール線221及び第2コントロール線222を個別に制御して、隣接するビット線に異なるタイミングで電流を流すことは有効である。
【0055】
なお、図11図13では、2本のコントロール線を備えた磁気メモリ装置200を示したが、コントロール線の数は2本以上であれば特に限定されない。書き込み電流が大きくなると、2本のコントロール線を個別に制御したとしても漏れ磁場の影響を無視することができなくなる可能性がある。そこで、例えば、図14に示すように、磁気メモリ装置に3本のコントロール線を設けるようにしてもよい。
【0056】
図14に示す磁気メモリ装置200Aは、STT-MRAM装置であり、メモリセルアレイ210Aと、選択回路220Aと、Xデコーダ230と、コントローラ240Aと、を備える。
【0057】
選択回路220Aは、第1コントロール線221、第2コントロール線222、及び第3コントロール線223を有する。
【0058】
メモリセルアレイ210Aを構成するメモリセル203も、1個のMTJ素子201と1個の選択トランジスタ202とからなる1Tra-1MTJ型のメモリセルである。メモリセルアレイ210Aにおいて、3n-2列目(nは正の整数)のビット線BL1はトランジスタ251を介して第1コントロール線221に接続され、3n-1列目のビット線BL2はトランジスタ252を介して第2コントロール線222に接続され、3n列目のビット線BL3はトランジスタ253を介して第3コントロール線223に接続されている。トランジスタ251、252及び253は、いずれも電界効果トランジスタである。
【0059】
コントローラ240Aは、Xデコーダ230と、第1コントロール線221、第2コントロール線222、及び第3コントロール線223と、に接続され、データ書き込み又はデータ読み出しに応じて、Xデコーダ230、第1コントロール線221、第2コントロール線222、及び第3コントロール線223をそれぞれ制御する。
【0060】
メモリセルアレイ210Aにデータを書き込むとき、コントローラ240Aは、隣接するビット線に異なるタイミングで書き込み電流を流すように第1コントロール線221、第2コントロール線222、及び第3コントロール線223を個別に制御する。例えば、まず、第1コントロール線221に接続されたトランジスタ251をONにして、3n-2列目のビット線BL1に書き込み電流を流す。次に、トランジスタ251をOFFにし、第2コントロール線222に接続されたトランジスタ252をONにして、3n-1列目のビット線BL2に書き込み電流を流す。次に、トランジスタ252をOFFにし、第3コントロール線223に接続されたトランジスタ253をONにして、3n列目のビット線BL3に書き込み電流を流す。
【0061】
図14に示す磁気メモリ装置200Aによれば、より大きな書き込み電流を流す場合であっても、クロストークの発生を抑制することができる。
【0062】
図11図13に示す磁気メモリ装置200及び図14に示す磁気メモリ装置200Aでは、メモリセルアレイの1行につき1本のソース線266を設けているが、図15図17に示すように、隣接する2行ごとに1本のソース線を設けるようにしてもよい。
【0063】
図15に示す磁気メモリ装置200Bは、STT-MRAM装置であり、メモリセルアレイ210Bと、選択回路220Bと、Xデコーダ230Bと、コントローラ240Bと、を備えている。
【0064】
選択回路220Bは、第1コントロール線221及び第2コントロール線222を有する。
【0065】
コントローラ240Bは、Xデコーダ230Bと、第1コントロール線221と、第2コントロール線222と、に接続され、データ書き込み又はデータ読み出しに応じて、Xデコーダ230B、第1コントロール線221及び第2コントロール線222をそれぞれ制御する。
【0066】
磁気メモリ装置200Bは、メモリセルアレイ210Bの隣接する2行ごとに1本のソース線276を設ける点で図11図13に示す磁気メモリ装置200と異なる。奇数列のビット線BL1と第1コントロール線221との接続関係、偶数列のビット線BL2と第2コントロール線222との接続関係、及びコントローラ240Bによる書き込み制御については、磁気メモリ装置200と同様であるため、その説明を省略する。以下、磁気メモリ装置200の構造と異なる点のみを説明する。
【0067】
図16は、図15の線XVI-XVIにおける断面図である。ビット線BL1に接続されたMTJ素子201は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール265b、265c、及び265dと、金属電極層264a、264b、及び264cと、を介して、選択トランジスタ202のドレイン202bに接続されている。選択トランジスタ202のソース202cはスルーホール265dを介してソース線276に接続され、ゲート202aはワード線WLに接続されている。行方向(図16のy方向)で隣接する2個の選択トランジスタ202は、ソース202cを共有しており、共通のソース線276に接続されている。選択トランジスタ202は、半導体基板の活性領域に形成されており、活性領域は素子分離領域により区画されている。
【0068】
図17は、図15の線XVII-XVIIにおける断面図である。ビット線BL2に接続されたMTJ素子201は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール275b、275c、及び275dと、金属電極層274a、274b、及び274cと、を介して、選択トランジスタ202のドレイン202bに接続されている。選択トランジスタ202のソース202cはスルーホール275dを介してソース線276に接続され、ゲート202aはワード線WLに接続されている。行方向(図17のy方向)で隣接する2個の選択トランジスタ202は、ソース202cを共有しており、共通のソース線276に接続されている。選択トランジスタ202は、半導体基板の活性領域に形成されており、これらの活性領域は素子分離領域により区画されている。
【0069】
このように、メモリセルアレイ210Bの行方向で隣接する2個の選択トランジスタ202ごとにソース202cを共有することで、行方向においてメモリセル203をより密に配置することができ、大容量化を図ることができる。
【0070】
なお、言うまでもなく、図15図17の磁気メモリ装置200Bにおいて、3本以上のコントロール線を備えるようにしてもよい。
【0071】
<第3実施形態>
次に、図18図21を参照して本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態の磁気メモリ装置300は、SOT-MRAM(Spin-Orbit Torque Magnetic Random Access Memory)を用いた磁気メモリ装置(以下、「SOT-MRAM装置」と呼ぶ。)であり、図18に示すように、メモリセルアレイ310と、選択回路320と、Xデコーダ330と、コントローラ340と、を備える。
【0072】
メモリセルアレイ310では、図18に示すように、一方向(図18のy方向)に延在した細長形状を有する複数の重金属層(複数の配線)が所定間隔で平行に配列されている。複数の重金属層は、奇数列の重金属層31_1と偶数列の重金属層31_2からなる。各重金属層31_1上には、一定数のメモリセル303が重金属層31_1の長手方向(図18のy方向)に沿って直列に配置され、各重金属層31_2上には、一定数のメモリセル303が重金属層31_2の長手方向(図18のy方向)に沿って直列に配置されている。このように、複数のメモリセル303は、複数の重金属層の延在方向(y方向)及び配列方向(x方向)に沿ってマトリクス状に配置されている。
【0073】
メモリセル303は、磁気抵抗効果素子としてのMTJ素子301と、MTJ素子301上に形成された電極302と、を有する。MTJ素子301は、強磁性体からなる記録層と、絶縁体からなる障壁層と、強磁性体からなる参照層と、を有し、スピン軌道トルク(SOT)により磁化反転するMTJ素子である。MTJ素子301の記録層、障壁層、及び参照層はこの順で積層されており、記録層は重金属層31_1又は重金属層31_2と接しており、参照層は電極302に接続されている。
【0074】
選択回路320は、第1コントロール線321及び第2コントロール線322を有する。奇数列の重金属層31_1は、トランジスタ351を介して第1コントロール線321に接続され、偶数列の重金属層31_2は、トランジスタ352を介して第2コントロール線322に接続されている。これらの接続関係の詳細は後述する(図19及び図20参照)。
【0075】
Xデコーダ330は、メモリセル選択用の複数の選択線(図示せず)に接続されており、コントローラ340の制御の下、アクセス対象の選択線を介して電極302に電圧を印加する。
【0076】
コントローラ340は、Xデコーダ330と、第1コントロール線321と、第2コントロール線322と、に接続され、データ書き込み又はデータ読み出しに応じて、Xデコーダ330、第1コントロール線321及び第2コントロール線322をそれぞれ制御する。
【0077】
データ書き込み時、コントローラ340は、奇数列の重金属層31_1と偶数列の重金属層31_2に異なるタイミングで書き込み電流を流すように第1コントロール線321及び第2コントロール線322を個別に制御する。コントローラ340による書き込み制御については後述する。
【0078】
次に、図19及び図20を参照して、重金属層31_1と第1コントロール線321との接続、及び重金属層31_2と第2コントロール線322との接続について詳細に説明する。
【0079】
図19は、図18の線XIX-XIXにおける断面図である。重金属層31_1は、一端がスルーホール361aを介してグラウンドに接続され、他端がトランジスタ351に接続されている。トランジスタ351は、電界効果トランジスタであり、ドレイン351bが重金属層31_1に接続され、ソース351cが電源線363に接続されている。具体的には、トランジスタ351が重金属層31_1よりも下層に設けられており、重金属層31_1は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール361a、361b、361c、及び361dと、金属電極層362a、362b、及び362cと、を介して、トランジスタ351のドレイン351bに接続されている。電源線363は、スルーホール361dを介してトランジスタ351のソース351cに接続されている。トランジスタ351のゲート351aは第1コントロール線321に接続されており、ゲート351aに電圧が印加されると、重金属層31_1に電流が流れる。
【0080】
図20は、図18の線XX-XXにおける断面図である。重金属層31_2は、一端がスルーホール371aを介してグラウンドに接続され、他端がトランジスタ352に接続されている。トランジスタ352は、電界効果トランジスタであり、ドレイン352bが重金属層31_2に接続され、ソース352cが電源線373に接続されている。具体的には、トランジスタ352が重金属層31_2よりも下層に設けられており、重金属層31_2は、層間絶縁膜に設けられたスルーホール371a、371b、371c、及び371dと、金属電極層372a、372b、及び372cと、を介して、トランジスタ352のドレイン352bに接続されている。電源線373は、スルーホール371dを介してトランジスタ352のソース352cに接続されている。トランジスタ352のゲート352aは第2コントロール線322に接続されており、ゲート352aに電圧が印加されると、重金属層31_2に電流が流れる。
【0081】
なお、第1コントロール線321と第2コントロール線322とが別々に設けられていれば、重金属層31_1とトランジスタ351との間を接続するスルーホール及び金属電極層の配置の態様(図19)、並びに重金属層31_2とトランジスタ352との間を接続するスルーホール及び金属電極層の配置の態様(図20)は、変更可能である。
【0082】
次に、コントローラ340による書き込み制御について説明する。以下では、奇数列の重金属層31_1に書き込み電流を流した後に、偶数列の重金属層31_2に書き込み電流を流すものとして説明するが、逆の順番にしてもよい。
【0083】
まず、コントローラ340は、書き込むデータに応じて、電源線363の電位を設定し、第1コントロール線321によりトランジスタ351をONにすることで(すなわち、ゲート351aに電圧を印加することで)、重金属層31_1に書き込み電流を流す。ここで、電源線363の電位をグラウンドよりLowレベルに設定した場合、書き込み電流は図18及び図19の-y方向に流れ、電源線363の電位をグラウンドよりHighレベルに設定した場合、書き込み電流は図18及び図19の+y方向に流れる。また、コントローラ340は、当該重金属層31_1上に配置された書き込み対象のメモリセル303の電極302から、対応するMTJ素子301の参照層に電圧を印加させる。これにより、当該MTJ素子301の記録層の磁気異方性が下がり、データが書き込まれる。
【0084】
次いで、コントローラ340は、トランジスタ351をOFFにし、書き込むデータに応じて、電源線373の電位を設定し、第2コントロール線322によりトランジスタ352をONにすることで(すなわち、ゲート352aに電圧を印加することで)、重金属層31_2に書き込み電流を流す。ここで、電源線373の電位をグラウンドよりLowレベルに設定した場合、書き込み電流は図18及び図20の-y方向に流れ、電源線373の電位をグラウンドよりHighレベルに設定した場合、書き込み電流は図18及び図20の+y方向に流れる。また、コントローラ340は、当該重金属層31_2上に配置された書き込み対象のメモリセル303の電極302から、対応するMTJ素子301の参照層に電圧を印加させる。これにより、当該MTJ素子301の記録層の磁気異方性が下がり、データが書き込まれる。
【0085】
第3実施形態の磁気メモリ装置300によれば、第1実施形態の磁気メモリ装置100及び第2実施形態の磁気メモリ装置200とほぼ同様の効果を得ることができる。特に、磁気メモリ装置300は、コントロール線ごとに一括書き込みが可能なため、より高速な書き込みが可能となる。また、一括書き込みにより、1個のメモリセル303あたりの書き込み電流を下げることができ、消費電力を削減することができる。
【0086】
なお、図18図20では、2本のコントロール線を備えた磁気メモリ装置300を示したが、コントロール線の数は2本以上であれば特に限定されない。書き込み電流が大きくなると、2本のコントロール線を個別に制御したとしても漏れ磁場の影響を無視することができなくなる可能性がある。そこで、例えば、図21に示すように、磁気メモリ装置に3本のコントロール線を設けるようにしてもよい。
【0087】
図21に示す磁気メモリ装置300Aは、SOT-MRAM装置であり、メモリセルアレイ310Aと、選択回路320Aと、Xデコーダ330と、コントローラ340Aと、を備える。
【0088】
選択回路320Aは、第1コントロール線321、第2コントロール線322、及び第3コントロール線323を有する。
【0089】
メモリセルアレイ310Aにおいて、3n-2列目(nは正の整数)の重金属層31_1は、一端がグラウンドに接続され、他端がトランジスタ351を介して第1コントロール線321に接続されている。3n-1列目の重金属層31_2は、一端がグラウンドに接続され、他端がトランジスタ352を介して第2コントロール線322に接続されている。3n列目の重金属層31_3は、一端がグラウンドに接続され、他端がトランジスタ353を介して第3コントロール線323に接続されている。トランジスタ351、352及び353は、いずれも電界効果トランジスタである。
【0090】
コントローラ340Aは、Xデコーダ330と、第1コントロール線321、第2コントロール線322、及び第3コントロール線323と、に接続され、データ書き込み又はデータ読み出しに応じて、Xデコーダ330、第1コントロール線321、第2コントロール線322、及び第3コントロール線323をそれぞれ制御する。
【0091】
メモリセルアレイ310Aにデータを書き込むとき、コントローラ340Aは、隣接する重金属層に異なるタイミングで書き込み電流を流すように第1コントロール線321、第2コントロール線322、及び第3コントロール線323を個別に制御する。例えば、まず、第1コントロール線321に接続されたトランジスタ351をONにして、3n-2列目の重金属層31_1に書き込み電流を流す。次に、トランジスタ351をOFFにし、第2コントロール線322に接続されたトランジスタ352をONにして、3n-1列目の重金属層31_2に書き込み電流を流す。次に、トランジスタ352をOFFにし、第3コントロール線323に接続されたトランジスタ353をONにして、3n列目の重金属層31_3に書き込み電流を流す。
【0092】
図21に示す磁気メモリ装置300Aによれば、より大きな書き込み電流を流す場合であっても、クロストークの発生を抑制することができる。
【0093】
なお、第3実施形態では、磁気メモリ装置300及び磁気メモリ装置300Aにおいて、重金属層31_1の一端、重金属層31_2の一端、及び重金属層31_3の一端がグラウンドに接続されるものとしたが、これら重金属層の一端をグラウンド以外の基準電圧に設定してもよい。
【0094】
第1~第3実施形態では、選択回路が2本以上のコントロール線を有し、複数の配線において隣接する配線が、それぞれ、異なるコントロール線に接続された構成を採用することで、所定の非隣接の配線に同時に書込み電流を流し、隣接する配線には異なるタイミングで書き込み電流を流すようにした。以下の第4~第6実施形態では、このような書き込みを実現する別の回路構成について説明する。
【0095】
<第4実施形態>
図22に、第4実施形態の磁気メモリ装置400の構成を示す。磁気メモリ装置400は、STT-MRAM装置であり、図22に示すように、クロスポイント型のメモリセルアレイ110と、選択回路420と、Xデコーダ130と、コントローラ440と、を備える。第4実施形態の磁気メモリ装置400と第1実施形態の磁気メモリ装置100は、選択回路の構成と、コントローラによる書き込み制御方法が異なる。以下では、第1実施形態の磁気メモリ装置100と異なる点を主に説明する。
【0096】
コントローラ440は、選択回路420及びXデコーダ130に接続されている。メモリセルアレイ110にデータを書き込むとき、コントローラ440は、配線選択のためのアドレス信号A0及びA1を選択回路420に出力する。
【0097】
選択回路420は、コントローラ440から出力されたアドレス信号A0及びA1に従って、複数の配線(ビット線BL1及びBL2)の中から書き込み電流を流す非隣接の配線(奇数列のビット線BL1のみ又は偶数列のビット線BL2のみ)を選択する。
【0098】
図23及び図24に、選択回路420の構成を示す。選択回路420は、図23に示すように、Yデコーダ421と、書き込みドライバ431と、トランジスタ451と、書き込みドライバ432と、トランジスタ452とを有する。書き込みドライバ431及びトランジスタ451は、奇数列のビット線BL1に対応して設けられ、書き込みドライバ432及びトランジスタ452は、偶数列のビット線BL2に対応して設けられる。
【0099】
トランジスタ451は電界効果トランジスタであり、ソースがビット線BL1に接続され、ドレインが書き込みドライバ431に接続され、ゲートがYデコーダ421(図24)のNOTゲート491の出力段に接続されている。トランジスタ452は電界効果トランジスタであり、ソースがビット線BL2に接続され、ドレインが書き込みドライバ432に接続され、ゲートがYデコーダ421(図24)のNOTゲート492の出力段に接続されている。
【0100】
書き込みドライバ431は、コントローラ440の制御の下で、トランジスタ451に電流を流す。書き込みドライバ432は、コントローラ440の制御の下で、トランジスタ452に電流を流す。
【0101】
Yデコーダ421は、図24に示すように、NOTゲート461と、6本の選択線Y00、Y01、Y10、Y11、Y20及びY21と、NANDゲート471と、NOTゲート491と、NANDゲート472と、NOTゲート492とを有する。NANDゲート471及びNOTゲート491は、奇数列のビット線BL1に対応して設けられ、NANDゲート472及びNOTゲート492は、偶数列のビット線BL2に対応して設けられている。
【0102】
NOTゲート461の入力段と選択線Y01は、コントローラ440に接続されている。メモリセルアレイ110にデータを書き込むとき、コントローラ440からNOTゲート461と選択線Y01にアドレス信号A0が入力される。NOTゲート461の出力段は選択線Y00に接続されている。選択線Y00には、NOTゲート461から、アドレス信号A0を反転した信号が入力される。アドレス信号A0は、Highレベル(“1”)又はLowレベル(“0”)の値をとる。
【0103】
4本の選択線Y10、Y11、Y20及びY21は、コントローラ440に接続されている。メモリセルアレイ110にデータを書き込むとき、コントローラ440からこれら4本の選択線Y10、Y11、Y20及びY21にアドレス信号A1が入力される。コントローラ440からから出力されるアドレス信号A1の値は、常にHighレベル(“1”)である。
【0104】
3本の選択線Y00、Y10及びY20は、NANDゲート471の入力段に接続されている。他の3本の選択線Y01、Y11及びY21は、NANDゲート472の入力段に接続されている。NANDゲート471の出力段は、NOTゲート491の入力段に接続されている。NANDゲート472の出力段は、NOTゲート492の入力段に接続されている。
【0105】
NOTゲート491の出力段は、トランジスタ451のゲートに接続され、NOTゲート492の出力段は、トランジスタ452のゲートに接続されている。
【0106】
次に、コントローラ440による書き込み制御について説明する。以下では、奇数列のビット線BL1に書き込み電流を流した後に、偶数列のビット線BL2に書き込み電流を流すものとして説明するが、逆の順番にしてもよい。
【0107】
まず、コントローラ440は、4本の選択線Y10、Y11、Y20及びY21に対し、Highレベル(“1”)のアドレス信号A1を出力し、NOTゲート461と選択線Y01に対し、Lowレベル(“0”)のアドレス信号A0を出力する。これにより、NOTゲート461でアドレス信号A0が反転され、選択線Y00はHighレベル(“1”)となる。このとき、NANDゲート471の3入力が全て“1”となるため、NANDゲート471からNOTゲート491に“0”が出力され、NOTゲート491から、反転信号“1”が選択信号S1として出力される。一方、NANDゲート472の3入力は、“1”、“1”、“0”であるため、NANDゲート472からNOTゲート492に“1”が出力され、NOTゲート492から、反転信号“0”が選択信号S2として出力される。
【0108】
トランジスタ451は、ゲートにHighレベル(“1”)の選択信号S1が印加されるとONとなり、書き込みドライバ431により、奇数列のビット線BL1に書き込み電流が一斉に流れる。一方、トランジスタ452は、ゲートにLowレベル(“0”)の選択信号S2が印加されるため、OFFとなり、偶数列のビット線BL2に書き込み電流は流れない。
【0109】
次いで、コントローラ440は、4本の選択線Y10、Y11、Y20及びY21を、引き続きHighレベル(“1”)に維持させる一方で、NOTゲート461と選択線Y01に対し、Highレベル(“1”)のアドレス信号A0を出力する。これにより、NOTゲート461でアドレス信号A0が反転され、選択線Y00はLowレベル(“0”)となる。このとき、NANDゲート471の3入力は“1”、“1”、“0”となるため、NANDゲート471からNOTゲート491に“1”が入力され、NOTゲート491から、反転信号“0”が選択信号S1として出力される。一方、NANDゲート472の3入力は全て“1”となるため、NANDゲート472からNOTゲート492に“0”が出力され、NOTゲート492から、反転信号“1”が選択信号S2として出力される。
【0110】
トランジスタ452は、ゲートにHighレベル(“1”)の選択信号S2が印加されるとONとなり、書き込みドライバ432により、偶数列のビット線BL2に書き込み電流が一斉に流れる。一方、トランジスタ451は、ゲートにLowレベル(“0”)の選択信号S1が印加されると、OFFに切り替わるため、奇数列のビット線BL1に書き込み電流は流れない。
【0111】
第4実施形態の磁気メモリ装置400によれば、選択回路420の面積オーバーヘッドを抑えつつ、非隣接のビット線に同時に書き込み電流を流すことができ、第1実施形態の磁気メモリ装置100と同様の効果を得ることができる。
【0112】
<第5実施形態>
図25に、第5実施形態の磁気メモリ装置500の構成を示す。磁気メモリ装置500は、1Tra-1MTJ型のSTT-MRAM装置であり、図25に示すように、メモリセルアレイ210と、選択回路520と、Xデコーダ230と、コントローラ540と、を備える。
【0113】
第5実施形態の磁気メモリ装置500と第2実施形態の磁気メモリ装置200は、選択回路の構成と、コントローラによる書き込み制御方法が異なる。以下では、第2実施形態の磁気メモリ装置200と異なる点を主に説明する。
【0114】
コントローラ540は、選択回路520及びXデコーダ230に接続されている。メモリセルアレイ210にデータを書き込むとき、コントローラ540は、配線選択のためのアドレス信号A0及びA1を選択回路520に出力する。
【0115】
選択回路520は、コントローラ540から出力されたアドレス信号A0及びA1に従って、複数の配線(ビット線BL1及びBL2)の中から書き込み電流を流す非隣接の配線(奇数列のビット線BL1のみ又は偶数列のビット線BL2のみ)を選択する。
【0116】
選択回路520の構成は、図23及び図24に示した第4実施形態の選択回路420の構成と同一である。また、コントローラ540による書き込み制御方法も、第4実施形態のコントローラ440と同一である。
【0117】
第5実施形態の磁気メモリ装置500によれば、選択回路520の面積オーバーヘッドを抑えつつ、非隣接のビット線に同時に書き込み電流を流すことができ、第2実施形態の磁気メモリ装置200と同様の効果を得ることができる。
【0118】
<第6実施形態>
図26に、第6実施形態の磁気メモリ装置600の構成を示す。磁気メモリ装置600は、SOT-MRAM装置であり、図26に示すように、メモリセルアレイ310と、選択回路620と、Xデコーダ330と、コントローラ640と、を備える。
【0119】
第6実施形態の磁気メモリ装置600と第3実施形態の磁気メモリ装置300は、選択回路の構成と、コントローラによる書き込み制御方法が異なる。以下では、第3実施形態の磁気メモリ装置300と異なる点を主に説明する。
【0120】
コントローラ640は、選択回路620及びXデコーダ330に接続されている。メモリセルアレイ310にデータを書き込むとき、コントローラ640は、配線選択のためのアドレス信号A0及びA1を選択回路620に出力する。
【0121】
選択回路620は、コントローラ640から出力されたアドレス信号A0及びA1に従って、複数の配線(重金属層31_1及び31_2)の中から書き込み電流を流す非隣接の配線(奇数列の重金属層31_1のみ又は偶数列の重金属層31_2のみ)を選択する。
【0122】
選択回路620の構成も、図23及び図24に示した第4実施形態の選択回路420の構成と同一である。選択回路620では、トランジスタ451のソースが重金属層31_1に接続され、トランジスタ452のソースが重金属層31_2に接続されている。また、コントローラ640による書き込み制御方法も、第4実施形態のコントローラ440と同一である。
【0123】
第6実施形態の磁気メモリ装置600によれば、選択回路620の面積オーバーヘッドを抑えつつ、非隣接の重金属層に同時に書き込み電流を流すことができ、第3実施形態の磁気メモリ装置300と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0124】
100、100A、200、200A、200B、300、300A、400、500、600 磁気メモリ装置
101、203、303 メモリセル
110、110A、210、210A、210B、310、310A メモリセルアレイ
120、120A、220、220A、220B、320、320A、420、520、620 選択回路
121、221、321 第1コントロール線
122、222、322 第2コントロール線
123、223、323 第3コントロール線
130、230、230B、330 Xデコーダ
140、140A、240、240A、240B、340、340A、440、540、640 コントローラ
151、152、153、251、252、253、351、352、353 トランジスタ
151a、152a、251a、252a、351a、352a ゲート
151b、152b、251b、252b、351b、352b ドレイン
151c、152c、251c、252c、351c、352c ソース
201、301 MTJ素子
202 選択トランジスタ
202a ゲート
202b ドレイン
202c ソース
266、276 ソース線
302 電極
31_1、31_2、31_3 重金属層
421 Yデコーダ
431、432 書き込みドライバ
451、452 トランジスタ
461、491、492 NOTゲート
471、472 NANDゲート
A0、A1 アドレス信号
BL1、BL2、BL3 ビット線
WL ワード線
Iw 書き込み電流
S1、S2 選択信号
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26