(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】重力による変形を相殺して細長い物体の真直度誤差を測定するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01B 21/20 20060101AFI20230608BHJP
G01B 21/00 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
G01B21/20 A
G01B21/00 H
G01B21/00 A
(21)【出願番号】P 2020543422
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(86)【国際出願番号】 IB2018058359
(87)【国際公開番号】W WO2019082134
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-09-21
(31)【優先権主張番号】102017000122452
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520147119
【氏名又は名称】キュー-テック エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】フマガリ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】トマッシーニ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】トシ,ディエゴ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴレリー,エリカ
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0284798(US,A1)
【文献】特開平10-260037(JP,A)
【文献】特開平08-201053(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03093611(EP,A1)
【文献】国際公開第2017/168324(WO,A1)
【文献】特開昭63-246606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00-21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーと称される細長い形状の要素の真直度誤差を測定する測定装置であって、
-各バーの測定サイクル中は静止しており、測定される前記バーが上に配置され、前記測定サイクル中は安定したままである支持システム、
-測定下の前記バーの立体幾何学形状を検出する1つまたは複数の第1のセンサを備える、前記バーの長手方向軸線の展開を検出する第1の検出システム、
-前記バーに作用する力を検出する第2の検出システムであって、前記バーが前記支持システムに加える力を検出する複数の第2のセンサを備える、第2の検出システム、
-中央制御部、及び
-前記バーの弾性モジュールを含むことができる、測定下の前記バーの物理的パラメータを獲得する、獲得手段、
を備え、
前記中央制御部が、前記バーの潜在的な真直度誤差を決定するために、前記第1及び第2の検出システムによって検出され、前記獲得手段によって獲得されたデータを獲得し処理する、プログラム手段を備えた少なくとも1つのデータ獲得及び処理モジュールを備え、
前記第1のセンサが光学センサであり、前記バーの前記長手方向軸線の前記展開を検出す
る検出手段が、
-少なくとも1つの光学センサ、及び前記バーの前記長手方向軸線に沿った3つの異なる断面に隣接して前記センサを位置決めする手段、または
-前記バーの前記長手方向軸線に沿った異なる断面に隣接してそれぞれ配置された、少なくとも3つの固定の光学センサ、を備え、
前記プログラム手段は、
前記獲得手段によって獲得された前記物理的パラメータの値、ならびに、前記第2の検出システムによって検出された前記力に基づいて、変形可能な細長い物体に適用することができる、弾性曲線方法による前記バーの理論上の変形モデル化を使用し、力が加えられていない場合の前記バーの幾何学的形状を推定し、かつ、
前記第1の検出システムによって検出された前記バーの前記長手方向軸線の前記展開から前記バーの幾何学的形状を差し引いて、前記バーの実際の真直度誤差を決定する、
ようにプログラムされている、
測定装置。
【請求項2】
前記支持システムが、前記第2のセンサの少なくとも1つとそれぞれ組み合わされる、測定下の前記バーを支える少なくとも2つの支承要素を備え、前記第2のセンサが、前記支持システムの前記支承要素それぞれに前記バーが加える力の係数及び方向を検出する、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記獲得手段が、前記バーの前記物理的パラメータの入力を可能にする入力手段を備えたインターフェースを備えることができる、請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記獲得手段(10)が、前記バーの前記物理的パラメータを検出する、前記バーに変形を生じさせるように適合された検出システム、及び前記検出システムによって生じた前記バーの前記変形に基づいて、前記バーの前記弾性モジュールを計算する計算手段を備える、請求項1に記載の測定装置。
【請求項5】
前記支持システムが少なくとも2つの支承要素を備え、前記検出システムが、前記支承要素の少なくとも1つを、少なくとも2つの前記支承要素のうち他方に対する距離を大幅に変動させるように移動させることができる、少なくとも1つのアクチュエータを備え、前記距離の変動に基づいて前記バーの異なる変形の基準を処理することによって、スティフネス定数が前記計算手段によって得られる、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
前記第1の検出システムが、少なくとも3つの断面に隣接した前記バーの表面の複数の点の座標を獲得し、前記データ獲得及び処理モジュールが、前記複数の点の前記座標から始まる、前記3つの断面に隣接した前記バーの前記長手方向軸線の位置を計算するようにプログラムされる、請求項1に記載の測定装置。
【請求項7】
前記バーの二次元及び/または三次元の幾何学的外形を検出する前記光学センサが、光学三角測量レーザー・センサ、構造化光を投影する測定センサ、飛行時間カメラ、立体映像システム、及び/または一般に、測定下の前記バーの表面に属する点の複数の座標を検出するように適合された、任意の測定デバイスから選択される、請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
前記第1のセンサを移動させる移動手段を備え、前記移動手段が、前記バーの長手方向に沿って、前記中央制御部によって駆動される適切なアクチュエータを通して、前記第1のセンサの1つまたは複数を並進させることができる、少なくとも1つのガイドを備える、請求項1に記載の測定装置。
【請求項9】
前記力を検出する前記第2のセンサが、同じ支承要素に直接統合され、各支承要素に連結された少なくとも1つの二軸力センサ、または、
各支承要素に連結され、前記バーが前記支承要素に加える力ベクトル全体を検出することができる、少なくとも2つの一軸力センサを備える、請求項1に記載の測定装置。
【請求項10】
バー生産プラントと並べて配置され、前記中央制御部が、前記バーにおいて検出されるたびに前記真直度誤差に基づいて、フィードバックして生産パラメータを調節するために、外部のバー生産プラントとインターフェース接続される、請求項1に記載の測定装置。
【請求項11】
測定サイクル中は静止しており、測定されるバーが上に配置される支持システム、前記バーの長手方向軸線の展開を検出する第1の検出システム、前記バーに作用する力を検出する、前記支持システムと組み合わされた第2の検出システム、前記バーの弾性モジュールを含むことができる、測定下の前記バーの物理的パラメータの値を獲得する獲得手段、及び中央制御部を備える測定装置によって、バーと称される細長い形状の要素の真直度誤差を測定する測定方法であって、
a)静的平衡位置で配置されるように、前記支持システム上にバーを位置決めするステップと、
b)前記獲得手段によって、前記バーの前記物理的パラメータの前記値を獲得するステップと、
c)前記第2の検出システムによって、前記バーが前記支持システムに加える力のベクトルを検出するステップと、
d)前記第1の検出システムによって、前記バーの少なくとも3つの断面に隣接した前記バーの表面の複数の点の座標を検出するステップと、
e)ステップd)の検出に基づいて、前記少なくとも3つの断面に隣接した前記バーの前記長手方向軸線の前記座標を計算するステップと、
f)前記第1及び第2の検出システムによって検出されたデータ、ならびに前記獲得手段によって検出された前記バーの前記物理的パラメータの前記値を使用して、力が加えられていない場合の前記バーの幾何学形状を推定するステップと、
g)前記第1及び第2の検出システムによって検出された前記データ、ならびにステップf)で推定された前記バーの前記幾何学形状に基づいて、前記支持システムの制約によって誤差が影響されないように、前記バーの実際の真直度誤差を決定するステップとを含み、
前記ステップf)が、ステップb)で獲得した前記物理的パラメータの前記値、ならびにステップc)で加えられた前記力の前記ベクトルに基づいて、変形可能な細長い物体に適用することができる、弾性曲線方法による前記バーの理論上の変形のモデル化を使用し、前記理論上の変形をステップe)で計算した前記変形から差し引いて、前記バーの実際の真直度誤差を決定する、
測定方法。
【請求項12】
前記支持システムが、少なくとも2つの支承要素を備え、前記バーが各支承システムに加える力を検出するのに、前記第2の検出システムが組み合わされる、請求項11に記載の測定方法。
【請求項13】
系の原点が前記バーの第1の断面の中心に位置決めされ、Z軸が前記バーの前記長手方向軸線の方向に沿って配向される、測定下の前記バーと一体になったデカルト基準系X、Y、Zを適合させることによって、
ステップd)が、軸Zに沿った少なくとも3つの断面それぞれにおいて、前記バーの表面の複数の点の座標X、Yを獲得し、
ステップe)が、前記バーの断面の基準モデルを用いて点の座標の最小二乗内挿を実施して、各断面の中心の座標、即ち少なくとも3つの断面における前記バーの軸線の位置を決定し、
ステップg)が、一方が2つの断面の中心を通り、他方が前記2つの断面の中心間の第3の断面の中心を通る、2つの平行線間の距離として、前記真直度誤差を計算する、請求項11に記載の測定方法。
【請求項14】
前記バーにおいて検出されるたびに前記実際の真直度誤差に関するデータが、フィードバックして生産パラメータを調節するために、バー生産プラントに送られる、請求項11に記載の測定方法。
【請求項15】
前記バーが、測定された前記真直度誤差の量に基づいて分類され、場合によって、前記真直度誤差の量に基づいて異なるライン上で前記支持システムから取り除かれる、請求項11に記載の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、測定装置の分野に関し、詳細には、細長い形状の要素、一般的にはシャフト、バー、またはチューブの真直度誤差を測定するための方法及び装置に関する。好ましくは、金属材料で作られた要素に関し、測定はそれらの生産サイクルの間に行われる。
【背景技術】
【0002】
特に金属材料のバー生産部門、より具体的には真ちゅう、アルミニウム、及び鋼の引抜加工において、完成品の真直度を測定し、バー形状の製品などに、偏向とも称される真直度誤差が存在する可能性を判定する方法が知られている。換言すれば、検査下のバーに何らかの真直度誤差があるかどうか、即ち、直線ではなくその長手方向軸線に沿って1つまたは複数の湾曲を有するかどうかを検出し、バーが既定の品質基準に準拠しているか否かを判定するために、それらの誤差を測定することが必要である。
【0003】
従来の方法によれば、真直度誤差は、検査下のバーを2つの支承部上に配置し、360°回転させ、比較器を用いて、一般的には2つの支承部の中間である選択された区画の高さで、上側母線に対応する点の最大キャンバー変動を測定することによって測定される。次に、測定された値を2で割らなければならない。基本の基準は支承部からの距離によって与えられる。非常に正確であり、バーに作用する重力による変形が引き起こす測定誤差による影響を本質的に受けないが、非常に時間がかかり、したがって、サイクル時間が短すぎる生産ラインにおいて実施するのには適さない。特に、現行の加工工場は、例えば真ちゅう部門では、約60~120m/分の速度でひとまとまりの製品を加工し、したがって長さ3~5mのバーの完成品がバー1本当たり1~3秒で生産される。しかしながら、上述の技術は、はるかに長い測定時間を要し、したがって、従来、ラインに隣接したサンプルを検査するのにのみ使用される。
【0004】
長期にわたり、ライン上の材料のうねりを測定する他のシステムが開発された。これらのシステムは、バーと既知の基準面との間の距離を測定し、したがってバー自体の何らかのうねり指数を決定する、1つまたは複数のレーザー・センサを使用する。しかしながら、これらのシステムは、材料がバー状に切断される前に材料のうねりを検出するように設計されており、したがって、生産速度が上昇すると、速度及び駆動システムによって起こる材料変形及び振動により、使用されることが少なくなるか、または使用されなくなる。更に、これらのシステムは、材料がバー状に切断され、長手方向の牽引力を受ける前に材料を測定し、したがって、完成品に対する切断プロセスの影響を考慮せず、切断プロセス後にバーを変形させる恐れがある、材料における残留応力の影響に関する指示も提供しない。
【0005】
材料の湾曲を推定するのに使用される他の測定システムは、適切な転がり面に連結された複数の接触センサを使用するが、十分に制御された測定条件下でしか使用できず、バーの円形ではない断面の測定に適合させることが困難であるという点で不利であり、これらのシステムは、例えば、材料の摩擦及び予期しない転がり、構成要素の機械的調節または摩耗によって生じる、測定誤差を伴う場合が多く、またこれらのシステムは、生産ラインで寸法チェックを実施するのにはさほど効率的でない。更に、これらのシステムは、材料の真直度誤差の大きさを測定するが、これらの基準は常に間接的であり、材料の真直度誤差の有効な基準を正確に提供することができない。
【0006】
光学センサを使用するデバイスも提案されたが、これらは、実施される測定の精度及び確度に関して満足のいく結果を提供しない。特に、提案された現在知られている解決策は全て、バー自体に作用する重力によって生成される、本質的にバーの変形によって生じる測定誤差を相殺せず、誤差は、材料が徐々に薄くなり可撓性が増すにつれて、漸増的に非常に大きくなる恐れがある。
【0007】
例えば、文献国際公開第2006/138228号は、バーの真直度誤差を測定するための装置であって、バーの少なくとも3つの異なる断面それぞれの中心位置を推定するために、それらの断面に隣接した一連の画像対を獲得する、装置に関する。好ましくは、画像対は、互いに直交するか、または互いに何らかの角度を成す方向から獲得される。いずれの場合も、センサ対を測定されるバーの各断面に有することが必要であり、多数の測定センサ、最小限の構成で少なくとも6つのセンサが存在することを要し、特に正確な測定値は得られない。更に、各断面に2つしか基準が存在しないので、分析されるバー断面における実際の中心位置の特に正確な推定値を得ることはできない。更に、この中心の決定は、円形体の場合にのみ正確であり、測定値は本質的に、材料の断面の幾何学形状の有効な測量ではなく陰の投影に基づいている。更に、システムは、バーに対する重力の影響を何ら相殺せず、したがって、バーの自重の力のみによって簡単に変形する場合がある幾何学形状を有する、細長い物体の場合は非常に不正確である。
【0008】
文献特開昭61-071307号公報は、材料の長手方向の所定の距離で配置された少なくとも三対の距離検出器を用いて、一対のローラによって片持ち支持された、測定される材料の湾曲を測定するためのシステムに関する。測定される材料の湾曲は、これらのセンサが検出した距離に従って計算される。文献国際公開第2006/138228号による装置と同じ問題が提示されるのに加えて、チューブが片持ちで拘束されているという事実が、チューブの重量による更なるチューブの曲がりを引き起こす可能性がある。更に、このシステムは、一方向でしか真直度の欠陥を測定することができず、生産ラインで使用するには全く適さない。
【0009】
最後に、文献欧州特許出願公開第1447645号明細書は、少なくとも2つの検出器によって検出された画像の比較に基づいて、バーなどの細長い要素の真直度をチェックするデバイスに関する。このシステムを動作させる場合、検出された画像を、真直度誤差がないものと推測される、基準のバーの場合に同じデバイスによって獲得された画像と比較する必要がある。システムは、したがって、基準のバーが事実上、真直度誤差を有さないかどうかを検出することができず、更に、かかるシステムは、バーを評価することができるように、対応する基準のバーの画像を有する必要があることを所与とすると、あまり柔軟性はない。
【0010】
同一出願人による欧州特許出願公開第3093611号明細書で提案されているものなど、より最近の解決策は、バー支持システムを用いて、測定下の細長い物体に対して、特定の限界内でバー自体に作用する重力によって生じる変形を均衡させることができる、反推力を加えようとして、主に機械的に作用することによって重力の影響を相殺することに関連する問題に対処してきた。しかしながら、これらの解決策には実用上の制限が残っており、より具体的には、測定される物体の長さに基づいて、バー支持システムの簡単ではない場合が多い構成を必要とする。更に、バーに対する推力及び反推力の平衡システムに基づいており、したがって、測定を実施するのに必要な平衡に達する前に、比較的長い調節時間を要する。したがって、これらは、連続サイクル生産プラントにおいて利用可能なサイクル時間と、常に適合性があるわけではない。
【0011】
他のシステムは重量検出手段を使用する。
【0012】
具体的には、米国特許出願第2017/284798号明細書は、シャフト状部品の真直度を測定するためのデバイスであって、より多くの部分を有する部品の支持体を含む、デバイスに関する。各部分は、部品の重量を相殺するために支持部分を移動させるように、重力加速に対して横断方向で本質的に延在する方向で、部品が支持面に対して加える力を測定する、力センサを備えた支持面を有する。
【0013】
他方で、文献特開2005-300298号公報は、平坦面を有するプレート、及びプレートと組み合わされ、所与の間隔で離隔された複数のフレームを有する、バーの湾曲を測定するためのツールに関する。測定されるシャフトは、フレーム上に配置され、湾曲の測定を実施するために転がされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】国際公開第2006/138228号
【文献】特開昭61-071307号公報
【文献】欧州特許出願公開第1447645号明細書
【文献】欧州特許出願公開第3093611号明細書
【文献】米国特許出願第2017/284798号明細書
【文献】特開2005-300298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、細長い物体が切断されて可変の長さなどを有するバー、シャフト、及びチューブにされたときの真直度誤差を検出し測定する、例えば引抜き、転造、押出しなどのタイプの生産ライン上で直接使用することができる、装置及び関連する方法を提案することによって、上述した既知の技術の欠点を克服することを目的として想起された。
【0016】
別の目的は、例えば円形、六角形、扁平などの任意の幾何学断面、及び任意の長さを有する、細長い物体の真直度誤差を測定するように適合された、装置及び方法を提案することである。
【0017】
別の目的は、物体自体に作用する重力によって発生する細長い物体の変形を相殺することができる、装置及び方法を提供することである。
【0018】
更に別の目的は、バーを支持する可動及び/または傾斜及び/または浮遊の機械的要素を全く有さないことにより、測定時間を大幅に低減することができる、装置及び方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的は、請求項1に記載の、バー、シャフト、チューブなどの細長い物体、短くはバーと称される物体の、真直度誤差を測定するための装置によって達成される。
【0020】
特に、測定装置は、各バーの測定サイクル中は静止したままであり、測定サイクル中は安定した静的平衡状態であるようにしてバーが上に配置される、複数の支承要素を有するバー支持システム、バーの立体幾何学形状を検出する第1の検出システム、バーに作用する力を検出する第2の検出システム、毎回測定下のバーの少なくとも1つの物理的パラメータを獲得する獲得手段、ならびに前記検出システム及び獲得手段によって獲得されたデータを受信し処理する制御及び処理部、を備える。したがって、支持システムは、バーの測定ステップ中は静止しており、換言すれば、各測定中、支持体は並進運動を全く行わない。更に、支持体は、例えば、バー自体の長さ及びサイズと適合する距離に配置するために、異なる測定サイクルの間は一方を他方に対して並進させることができる。更に、また好ましくは、支持システムは振動を受けず、一切傾斜しない。測定サイクルは、単一のバーの真直度測定を実施するのに必要な全てのステップを意味する。
【0021】
好ましくは、バーの少なくとも1つの物理的パラメータを獲得する手段は、前記パラメータを格納する手段と組み合わされ、具体的には、少なくとも測定下のバーの弾性モジュールを獲得し格納するように構造化される。これらの手段は、毎回測定されているバーのサイズ、理論上の形状、材料のタイプ、材料の密度など、他のパラメータを獲得し格納するように適合させることができる。
【0022】
好ましくは、バーの物理的パラメータを獲得する手段は、データまたは関心データを入力する手段を有するインターフェースを備える。このデータは、毎回生産されているバーのタイプに応じて、ユーザが手動で入力するか、または測定装置の上流にある同じバー生産プラントによって獲得手段に送ることができる。
【0023】
別の方法として、またはそれに加えて、少なくとも1つのパラメータを獲得する手段は、バー自体から始まる関心パラメータを検出し取得するように適合された、物理的手段を含むことができる。特に好ましい実施態様では、前記手段は、バーの変形をもたらすように適合された要素、及び生じた変形に基づいてバーのスティフネス定数を取得する計算手段を含むことができる。バーの変形は、例えば、測定を実施する前に、少なくとも1つの支持要素を既知の量移動させることによって、またスティフネス定数を取得するために、支持要素の位置の変動に基づいて異なる変形を測定することによって、得ることができる。
【0024】
有利には、第1の検出システムは、バー自体の複数の断面に隣接したバー表面上における複数の点の座標を獲得する。制御及び処理部は、上述の点の座標から始まる、検出された各断面の有効な幾何学中心の位置を計算するようにプログラムされる。好ましくは、第1の検出システムは、バーの少なくとも3つの異なる断面に隣接した点の座標を獲得する。特に好ましい解決策では、バーの長手方向軸線の展開を検出するシステムに典型的な座標系に示される、バーの支持要素の位置も獲得される。
【0025】
好ましくは、第2の検出システムは、バー自体の位置の制約として作用する、バーが支承要素それぞれに加える力を、特に、これらの支承要素それぞれに隣接したバーに加えられる力の係数及び方向を測定する。
【0026】
上述した第1の検出システムによって取得された、バーの長手方向軸線の幾何学的展開から、バーの制約位置それぞれにおいて第2の検出システムによって測定された力のベクトルにより、バーの少なくとも1つの物理的パラメータの値が分かっていると、装置の中央制御部は、何らかの異なる分野の力がバーに加えられた場合の、具体的には、バー自体の質量によって決定される重力を含む外力も加えられていない状態で、バーの有効な幾何学形状を推定することができ、この推定されたバーの幾何学形状から、データ獲得及び処理モジュールは、測定されているバーの有効な非真直度誤差を計算することができる。
【0027】
第1の検出システムは、バーの長手方向軸線に沿って移動させて、長手方向軸線に沿ったバーの少なくとも3つの異なる断面に隣接した点の座標を獲得することができる、好ましくは光学タイプの1つまたは複数のセンサを含み、別の方法では、長手方向軸線に沿ったバーの異なる断面に隣接してそれぞれ配置された、少なくとも3つの光学センサが提供される。センサは、固定であるか、またはバーの支持システム、及びバーの長手方向軸線に平行に、可動であることができる。好ましくは、バーの幾何学形状のより有効な検出を実施するため、少なくとも3つの可動センサが提供される。
【0028】
使用される光学センサは、レーザーまたは他の光タイプを使用する光学三角測量システムの分類、または例えば、構造化光を投影する測定システム、飛行時間カメラ、立体映像システムなど、バーの二次元及び/または三次元の幾何学的外形を検出することができる任意の測定センサの分類に属する。
【0029】
制御部によって駆動されるそれぞれのアクチュエータを用いて既知の位置で可動センサをガイドに沿って並進させることができる、少なくとも1つのガイドが、光学センサの直線移動のために提供される。代替例では、1つまたは複数のセンサが、固定される形でガイドと組み合わされ、ガイド自体は相対的な動力化を用いて並進させられる。ガイドは固定であることもでき、固定センサの支持体として作用する。
【0030】
バーが支承要素それぞれに加える力を測定するというタスクを有する、第2の検出システムは、ロード・セルとして知られ、二軸変換器または一軸ロード・セルの組合せであることができる、力変換器の分類に属する複数の第2のセンサを含む。
【0031】
有利には、測定デバイスは、バー生産プラントと並べて配置することができる。この場合、中央制御部は、バーにおいて検出されるたびに真直度誤差に基づいて、フィードバックして生産パラメータを調節するように、生産プラントとインターフェース接続する手段を有する。
【0032】
本発明の更なる態様は、バーと称される細長い形状の要素の真直度誤差を測定するための、請求項12に記載の方法に関し、方法は、測定サイクル中、支持システムの支承要素によって課される制約に従ってバーの長手方向軸線が配置された状態で、静的平衡位置に、即ち静止して配置するように、支持システム上でバーを位置決めし、バーの少なくとも1つの物理的パラメータ、好ましくは少なくともバーのスティフネス定数を獲得し格納し、第1の検出システムを用いて、少なくとも3つの断面に隣接したバー表面上の複数の点の座標を検出し、第2の検出システムを用いて、前記支承要素それぞれに隣接してバーが加える力のベクトルを検出し、検出した座標に基づいて、少なくとも3つの断面に隣接したバーの長手方向軸線の座標を計算し、重力場及び支持の制約がない場合に有するべき幾何学的展開に対応する、バー自体の有効な形状を推定するために、適切に開発されたシステム・モデルで検出され、検出されたバーの幾何学形状、支承要素上で検出された力、及び測定下のバーに対して獲得された少なくとも1つの物理的パラメータを含む、条件を入力し、この推定された幾何学形状を使用して、1つまたは複数の適切に定義された基準線によって構成される理論上の軸線の偏差として、バーの真直度誤差を決定する。
【0033】
有利には、第2の検出システムは、バーが支持システムに加える力を測定する。実際に、これらの力は、部分的には支承要素に伝達されるバーの重量によるものであり、また部分的には支持要素の配置によって生じる可能性があり、バーを一時的に変形させ、変形は、それを発生させた制約が排除されると消失し、バー自体の実際の変形に加えられる。したがって、測定方法は、これらの力を検出し、バーのスティフネス定数に基づいて、力によって生じた変形を計算し、それを第1の検出システムによって検出された変形全体から差し引いて、バー自体の変形の有効な基準を取得する。したがって、方法は、最終測定値から、支持システムによってバーにもたらされた真直度誤差を相殺し、即ち排除して、バーの生産プロセスのみによって生じる真直度誤差測定値を提供することができる。
【0034】
有利には、加えられる力がない状態で、バーの幾何学形状は、本明細書で考察されるタイプの細長い変形可能な物体に、即ち直径の約6倍超の長さを有する物体に適用可能な、いわゆる「弾性曲線方法」を用いて推定され、この方法は、ビームの軸線によって仮定される変形構成に応じて、バーの横断方向移動の領域を説明することを可能にする、弾性の構成的ビーム・モデルを指す。この方法によれば、2つの支持点の間に構成されるバーの部分の変形量は、スティフネス定数、またはヤング定数、及び支持点間の距離など、様々なパラメータによって決まる。
【0035】
好ましくは、限定及び制約ではなく例として、真直度誤差は、一方は2つの断面の中心を通り、他方は前述の2つの中心間の第3の断面の中心を通る、2つの平行線間の距離として決定することができる。中心の数が多いほど、即ちバーに関して検出される断面の数が多いほど、バーの長手方向軸線のパターンを再構成したものの信頼性は高く、誤差計算はより正確になる。真直度誤差は、バーの全長で測定することができ、または1つもしくは複数の関心部分でのみ測定することができ、実際には、部門の特定の規則によって求められるものなど、局所的な非真直度を決定するために、バーの隣接部分において、分析を複数回繰り返すことができる。
【0036】
有利には、バーは、測定された真直度誤差の量に基づいて分類することができ、誤差の量に基づいて異なるライン上で支持システムによって取り除かれてもよい。
【0037】
しかしながら、本発明は、添付の示唆的であるが限定的ではない図面を参照する以下の説明において、更に例証されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図2】
図2は、本発明による測定デバイスの一実施形態の斜視図を示す。
【
図3a】
図3aは、
図2の測定デバイスの要素を異なる方向から見た斜視図を示す。
【
図3b】
図3bは、
図2の測定デバイスの要素を異なる方向から見た斜視図を示す。
【
図5】
図5は、第1の非真直度誤差計算ステップの一例を示す。
【
図6】
図6は、第2の非真直度誤差計算ステップの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
前記図面において、1は全体的に、以下、単純にバー2と称される、バー、シャフト、チューブなどの細長い形状の要素の真直度誤差を測定するためのデバイスを指す。バーは、任意のサイズ及び任意の材料、好ましくは金属の、例えば円形、六角形、正方形などの任意の幾何学形状の断面を有することができる。
【0040】
図1に模式的に示されるように、測定デバイス1は次のものを備える。
各バーの測定サイクル中は静止したままであり、バーを支持するためのものであり、測定下のバーが上に配置される複数の固定の支承要素4で構成された、支持システム3。支承要素は、1つの測定と別の測定が必要なときとの間で移動させることができる。
バー2の長手方向軸線の展開を検出するものであり、測定下のバーの立体幾何学形状を検出する、1つまたは複数の第1のセンサ6、好ましくは光学センサを備える、第1の検出要素5。
バーに作用する力を検出し、各支承要素4と組み合わされ、前記支承要素それぞれにバーが加える力の係数及び方向を検出するように適合された、複数の第2のセンサ7Aを備え、それらの第2のセンサは、個々にまたは測定精度を高めるために他のものとの組合せで、関連する支承要素とそれぞれ組み合わされた、ロード・セル・タイプのものであることができる、第2の検出システム7。
図3a及び3bに示される好ましい実施形態では、測定の精度を高めるために、前記第2のセンサ7Aのうち2つ、または更に好ましくは3つが、各支承要素と組み合わされる。
【0041】
支承要素4はそれぞれ、前記第2のセンサ7Aのうち関連する少なくとも1つのセンサとともに、測定下のバーに基づいて異なる位置に移動され配置されるように、支持システム3に搭載することができる。
【0042】
好ましくは、支承要素4はそれぞれ、長手方向成分を有する力を全く受けずその力がない位置を仮定するために、支持システムの長手方向でバーが自由に動くように、関連する支持ローラ4Aを含む。
【0043】
第1のセンサ6は、バーの支持システム3に対して固定の幾何学構成で、またはセンサをバー自体に平行に並進させることができる適切な電動リニア・ガイド8を用いて、可動の構成で位置決めすることができる。
【0044】
更に、測定装置は、データ獲得及び処理モジュール9’を備え、バーの少なくとも1つの物理的パラメータを獲得する獲得手段10を備え、バーの検出された物理的パラメータを格納する格納手段10’を備えた、中央制御部9を備える。有利には、獲得及び格納手段によって、測定下のバーの少なくともスティフネス定数、またはヤング定数を獲得し格納することが可能になる。
【0045】
データ獲得及び処理モジュール9’は、第1の検出システムによって、第2の検出システムによって、及び獲得手段によって、検出されたデータを獲得し、それらを処理してバーの何らかの真直度誤差を測定する。
【0046】
第1の検出システム5は、バー2の長手方向軸線2’の展開を検出するため、
図5に示されるように、バー自体の少なくとも3つの断面Z1、Z2、・・・、Znそれぞれに隣接した、バー表面の複数の点P1、P2、・・・、Pnの座標を獲得するように適合される。この目的のため、第1の検出システム5は、少なくとも3つの断面に隣接したバー表面の点の座標を獲得する、前記第1のセンサ6の少なくとも1つ、好ましくは可動の光学センサ、またはそれぞれ光学タイプであり、それぞれの断面Z1、Z2、・・・、Znに隣接してそれぞれ位置決めされる、前記第1のセンサのうち少なくとも3つを含むことができる。これらの光学センサは、バーの長手方向軸線の方向で、固定で、またはバーの支持システムに平行に移動可能に搭載することができる。
【0047】
図に示されるように、各光学センサは、支持システム3に対してバーの反対側に、したがってバーの上方でバーに面して位置決めすることができるが、センサが支持システムに対して異なるように位置決めされる異なる構成は、それらがバーに面している限り、除外されるものではない。好ましくは、支持システム3に平行にそれぞれ可動である、3つの光学センサ6があるので、複数の断面における表面の点の座標を獲得することができる。
【0048】
光学センサは、レーザーもしくは他の光タイプを用いる光学三角測量システムの分類、または例えば、構造化光を投影する測定センサ、もしくは飛行時間カメラ、もしくは立体映像システムなど、バーの二次元及び/もしくは三次元の幾何学的外形を検出することができる他の任意の測定センサの中から選択される。
【0049】
予測されるように、バーの長手方向軸線の展開を検出する第1の検出システム5は、少なくとも1つの光学センサ6が一体的に締結された、少なくとも1つの真直度ガイド8を備える。好ましくは、ガイドは、適切な動力化手段を用いて、バーの長手方向に対して実質的に平行な方向で並進させて、光学センサ6をバーの連続部分に隣接して位置決めすることができる。好ましくは、単一の真直度ガイド8が提供され、単一のセンサ、または離隔させた2つ以上のセンサと組み合わされ、所定の位置に配置される。代替例では、固定のまたは並進可能なガイドを各光学センサに提供することができる。
【0050】
中央制御部9は、第1のインターフェース・システム11を用いて、それぞれ第1の検出システム5及び第2の検出システムの、第1のセンサ6及び第2のセンサ7Aに向けて、第2のインターフェース・システム12を用いてシステム・オペレータに向けて、また可能性のある第3のインターフェース・システム13を用いて、バーの生産プラント(図示せず)に向けて、データを交換することができる。
【0051】
獲得手段10は、バーの少なくとも1つの物理的パラメータに関する値、及び具体的には、測定下のバーのヤング定数の値を入力するのを可能にする、インターフェースを備えることができる。これらの値は、ユーザによって、適切に予め配置された入力手段(図示せず)を用いて入力することができ、またはバーの生産プラントで直接受信することができ、それにより、生産されているバーのタイプに従って測定装置が更新される。第1の事例では、インターフェースは第2のインターフェース・システム12と合致することができ、第2の事例では、第3のインターフェース・システム13と合致することができる。手動入力の場合、操作を容易にするため、獲得及び格納手段はまた、ユーザが測定下のバーを設定するためにその中から選択することを可能にするのに必要な物理的パラメータを全て含む、異なるタイプのバーのライブラリを獲得し格納することができる。
【0052】
別の方法として、またはそれに加えて、獲得手段は、バーの一時的な変形を引き起こすことができる検出システム14と組み合わせることができる。具体的には、検出システムは、バーの測定サイクルの前または後に、少なくとも1つの支承要素を既知の量移動させる、少なくとも1つのアクチュエータ14’を含むことができる。このように、少なくとも1つの支承要素と別の支承要素との間の距離が変更され、したがって、2つの支承要素間に含まれるバー部分の一時的な変形が誘発される。距離が変更された後、これらの一時的な変形の測定値によって、測定下のバーにおけるスティフネス定数の値を得ることが可能になる。次に、各支承部は、測定サイクル中は静止して維持される。
【0053】
更なる実施形態の方法(図示せず)によれば、検出システムは、例えば、所定の量変形させるように、2つの隣接した支承要素の間に含まれる、バーの一部分に力を加えることによって、または既知の力を加えることによって、バーを変形させるように構造化することができる。バーのスティフネス定数は、所与の力を加えた後に得られた変形に基づいて、または所定の変形を得るように加えられた力に基づいて、プログラム手段によって計算される。
【0054】
全体として、測定装置1は、バーの真直度誤差に関する情報を抽出するために獲得された、検出された点の座標、検出された力、及びバーの物理的パラメータを処理するように構造化される。測定装置はまた、任意のバーを拒絶するため、及び/または連続するバーを処理するのに任意のフィードバック調節リングを駆動するため、及び/または計算された誤差に基づいてバーを矯正するための、測定デバイスの下流にあり得る処理システムを駆動するため、この結果を生産プラントに通信することができる。
【0055】
本発明はまた、上述したようなデバイス1を用いてバーの真直度誤差を測定するための方法に関する。
【0056】
バーを測定するために実施される各測定サイクルは、
図4のスキームに表され、次のように説明することができる。測定サイクルは、バー2を支持システム3上に位置決めすることと、バーの少なくとも1つの物理的パラメータを獲得することとで始まり、その終わりに、中央制御部9は、必要な全てのデバイスを、特に第1のセンサ6及び第2のセンサ7Aを駆動して、支持システム上に配置されたバーの立体幾何学形状と、各支承要素4に加えられた力のベクトルをそれぞれ検出する。このように獲得され検出された測定データは、データ獲得及び処理モジュール9’によって処理されて、バーの真直度誤差が計算され、この結果が、検出されたバーの連続拒絶/矯正ステップのため、外部システムに通信される。バーの少なくとも1つの物理的パラメータを獲得するステップは、物理的パラメータがインターフェース手段によって入力される場合はいつでも、測定サイクルの終わりに実施するか、またはバーの位置決めのかなり前に実施することもできる。
【0057】
具体的には、光学センサによって検出されたデータの処理によって得られた、バーの物理的パラメータ、バーによって各支承要素に働く力、及びバーの立体幾何学的展開に関するデータは、外的制約によって生じる変形がない場合に、即ち、支持による制約がない場合、及びバー自体の質量によって生じる重量の力がない場合に、測定下のバーが有するであろう幾何学的外形を推定するために使用される。このように推定された幾何学的外形は、次に、測定下のバーの潜在的な真直度誤差の量を検出し計算するのに使用される。
【0058】
サイクルは、次に続くバーの潜在的な測定サイクルを続けるために、バーを支持システムから取り除くことで終わる。
【0059】
より具体的には、バー自体の非真直度誤差の計算は、各断面Z1、Z2、・・・、Znの幾何学的データから、また特に、第1の検出システム5によって、第2の検出システム7によって獲得されるようなバーに作用する力のベクトルによって、ならびに獲得手段10によって獲得されるようなバーの少なくとも1つの物理的パラメータによって、獲得されるような、前記断面それぞれの点P1、P2、・・・、Pnの座標の幾何学的データから始まって実施される。
【0060】
実際の計算プロセスは3ステップで展開される。
【0061】
(i)最初に、計算部は、測定下のバーと同じサイズで同じ物理的/機械的特性を有し、最初は完全な直線であるとされるバーが、測定下のバーに対するのと同じ制約及び同じ力場を受けた場合に起こるであろう、理論上の変形を決定する。この力場は、バーの全ての支承要素に隣接した第2のセンサ7Aによって測定されるので、個々の位置において分かっている。バーの物理的パラメータ、及び特にそのスティフネス定数が分かると、それ自体分かっているいわゆる「弾性曲線」方法をバーに適用することによって、変形が決定され、物理工学分野において「建築科学」として文書化される。この方法は、変形が起こる本発明の細長い物体に正確に適用可能である。「細長い物体」は、直径の、またはいずれにしてもそれ自体の断面の、約6倍超の長さを有することを特徴とする物体を意味する。
【0062】
(ii)続いて、中央制御部9は、先行するステップで計算された理論上の変形を、特定の第1の検出手段5によって測定したバーの実際の幾何学形状から差し引き、このようにして、バーの自由幾何学形状を推定する。バーの「自由幾何学形状」は、外力が加えられない場合に、したがって具体的には重力もない場合にバーが有するであろう幾何学形状を意味する。本発明のシステムの目的に対する実際の関心事例では、バーの全長に対する横の変形が非常に小さいため、このように実施されるバーの自由幾何学形状の推定は非常に信頼性が高い。これにより、バーの変形全体を決定する際に重複する効果の仮説を正確に適用することが可能になる。この仮説は、変形全体を、バー自体の「自由幾何学形状」を、即ち外力が加えられておらず、非真直度誤差による影響を受けている可能性があるバーが取る幾何学形状を、バー自体に加えられる外力場によって生じる変形に加えた重複として見ている。
【0063】
(iii)最後に、先行するステップで推定されたバーのこの自由幾何学形状から始まって、処理部は、異なる適用部門の異なる規格及び/または規則に応じて異なる計算方法を適用することによって、有効な非真直度誤差を計算する。例えば、
図5のX-Z面における中心C1、C2、・・・、Cnの座標を使用して、部門の特定の規則によって求められるような、局所的な非真直度を決定するために、バーの全長において、または関心のバーの1つもしくは複数の部分のみにおいて評価される、同じ中心全てによって定義される最小二乗に内挿する線に対する中心の有効な座標の最大偏差を決定することができる。
【0064】
しかしながら、非真直度誤差を計算するための異なる方法を使用することが可能である。例えば、円の理論上の円弧で中心の内挿を実施することによって、この誤差を決定し、続いて、特定の適用できる部門、例えば真ちゅうバー部門における慣例であるような、例えばバーの長さに対して、またはバーの二乗長さに対して正規化された最大偏向など、この円弧のいくつかの不変量を決定することが可能である。
【0065】
バーの非真直度誤差の計算サイクルが完了すると、中央制御部は、この誤差の量に基づいてバーを分類し、場合によっては、既定の誤差閾値に応じて、バーを支持システムから取り除いて異なる経路に載せるようにプログラムされる。
【0066】
有利には、上述した第1の計算ステップでは、第1の検出システム5は、個々の断面それぞれの有効な幾何学形状、バーの支持制約に対するその配向及びその位置、ならびにバーの全長を含む、測定下のバーの特性に関する詳細な情報を、計算モデルに自動的に提供することができる。
【0067】
第2の計算ステップでは、データ獲得及び処理モジュール9’は、有利には、バーに対して長手方向の各測定断面Z1、Z2、・・・、Znに隣接して獲得された複数の測定点P1、P2、・・・、Pnに対して検出された座標から始まる、バーの長手方向軸線の展開を決定することができる。これらの点は、図示される例の円周であるバーの断面の基準モデルを用いた最小二乗内挿を実施し、したがって各断面の中心C1、C2、・・・、Cnの座標Xc、Ycを決定するのに使用される。使用される断面の数は、バー生産頻度に応じて、利用可能な測定回数に対応して、測定精度を改善するために、最低3つの断面からより多数の間で変動する可能性がある。
【0068】
図6は、支持システムと組み合わされたデカルト基準系X、Zにおいて検出される、断面の中心C1、C2、・・・、Cnの位置の一例を示している。特に、第1の線R
1が2つの断面の中心を通り、第2の線R
2が前述の2つの中心間の第3の断面の中心を通る、2つの平行線の間の距離として、真直度誤差Eを計算する誤差の計算方法が示される。
【0069】
この方法は、有利には、幾何学的に複雑であっていずれにしても円形とは異なる断面を有するバーが存在する場合も、バーの長手方向軸線の展開を決定するのに適用することができる。