(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ドリル装置
(51)【国際特許分類】
E21B 7/12 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
E21B7/12
(21)【出願番号】P 2021578235
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 KR2020007651
(87)【国際公開番号】W WO2021002607
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-02-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0079627
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522001552
【氏名又は名称】イェ ソン オーシャン テック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ビョンホ
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/021807(WO,A1)
【文献】特開昭53-080707(JP,A)
【文献】特開昭53-105012(JP,A)
【文献】国際公開第01/088279(WO,A1)
【文献】特開2019-044479(JP,A)
【文献】特開2009-167685(JP,A)
【文献】特開平03-132506(JP,A)
【文献】特表昭61-501404(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0059007(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00-19/24
E21B 44/00-44/10
E02D 5/22-5/80
B63B 1/00-85/00
B63J 1/00-99/00
E02B 3/04-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶に備えられた係留施工装置を通じて海底面へ下降し、上面が垂直方向に加圧されることによって本体の一部が前記海底面の一領域に固定されるパイルと、
前記パイルに
上下方向に貫通形成された貫通孔を通じて前記海底面へ下降して海底地盤に本体が挿入され、掘削が終わると、前記貫通孔を通じて回収される駆動パイプと、
前記パイルの一側に一端が固定され、前記貫通孔を通じて他端が流入されて前記駆動パイプとともに前記海底地盤に挿入されるチェーンと、
パイプ形状の本体の前面部にドリルビットが備えられ、前記本体の後面部に形成された締結部に前記駆動パイプの一端が締結され、前記本体
に形成されたリング状の突出部を囲むベアリング
の一側に前記チェーンの他端が連結された状態で、前記駆動パイプ及び前記チェーンを前記海底地盤に挿入するドリルビットユニットと、を含
み、
前記ドリルビットユニットは、前記チェーンが前記駆動パイプに巻かれることを防止するために、前記ベアリングの一側に形成された締結部とチェーンの他端との間に連結されるスイベルをさらに含む、ことを特徴とするドリル装置。
【請求項2】
前記駆動パイプの他端には駆動モーターが連結され、前記駆動モーターが前記駆動パイプを回転させるにつれて前記駆動パイプの一端に連結された前記ドリルビットユニットが回転して前記海底面を掘削する、ことを特徴とする請求項1に記載のドリル装置。
【請求項3】
前記パイルには複数のドリルビットユニットが連結され、前記複数のドリルビットユニットは、前記パイルを中心に
平面視で放射状に広がって前記海底地盤を掘削する、ことを特徴とする請求項1に記載のドリル装置。
【請求項4】
前記ドリルビットユニットは、前記駆動パイプが回収されると、前記チェーンで発生される張力によって掘削された海底地盤の内壁に前記後面部がめり込んで固定される、ことを特徴とする請求項1に記載のドリル装置。
【請求項5】
係留施工装置に連結されて、海底面へ下降し、前記海底面が掘削されるにつれて本体が挿入され、掘削が終わると、船舶に回収される駆動パイプと、
前記駆動パイプとともに前記海底面に挿入されるチェーンと、
パイプ形状の本体の前面部にドリルビットが備えられ、前記本体の後面部に形成された締結部に前記駆動パイプが締結され、前記本体
に形成されたリング状の突出部を囲むベアリング
の一側に前記チェーンが連結された状態で前記海底面を掘削して前記駆動パイプ及び前記チェーンを海底地盤に挿入するドリルビットユニットと、を含
み、
前記ドリルビットユニットは、前記チェーンが前記駆動パイプに巻かれることを防止するために、前記ベアリングの一側に形成された締結部とチェーンの他端との間に連結されるスイベルをさらに含む、ことを特徴とするドリル装置。
【請求項6】
前記ドリルビットユニットは、前記駆動パイプが回収されると、前記チェーンで発生される張力によって前記海底地盤の内壁に前記後面部がめり込んで固定される、ことを特徴とする請求項5に記載のドリル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海底地盤に固定させる係留用装置を設置するために、海底地盤を掘削するドリル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、海上構造物を係留するための係留装置は、海底面にアンカーを設置する係留方式、及びドリブンパイルを設置する係留方式、そしてテンションレッグプラットフォーム(Tension Leg Platform、TLP)方式がある。
【0003】
このような係留装置は、海上構造物と係留用チェーンで連結され、波による海上構造物の浮力を支持する役割を果たす。そのため、海底面に設置された係留装置は、台風及び大型波にも堪えることができるように、堅固に固定する必要性がある。
【0004】
韓国登録特許10-1859610号(発明の名称:係留装置)に参照されるように、パイルを堅固に固定させるために、ドリルビットを利用して海底地盤を掘削し、ここにチェーンを挿入してパイルを固定する技術が開示されている。しかしながら、このような技術は、ドリルビットが回転しながら海底地盤を掘削する時に連結されたチェーンが、ドリルビットの後面部に連結された駆動パイプに巻かれて掘削を妨害するという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、海の海底地盤に固定させる係留用(Mooring)装置を設置するために、海底地盤を掘削するドリル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の技術的課題を解決するために、開示された技術の第1の側面は、船舶に備えられた係留(Mooring)施工装置を通じて海底面へ下降し、上面が垂直方向に加圧されることによって本体の一部が前記海底面の一領域に固定されるパイル(Pile)と、前記パイルに形成された貫通孔を通じて前記海底面へ下降して、海底地盤に本体が挿入され、掘削が終わると、前記貫通孔を通じて回収される駆動パイプと、前記パイルの一側に一端が固定され、前記貫通孔を通じて他端が流入されて、前記駆動パイプとともに前記海底地盤に挿入されるチェーンと、本体の前面部にドリルビットが備えられ、前記本体の後面部に形成された締結部に前記駆動パイプの一端が締結され、前記本体を囲むベアリングに前記チェーンの他端が連結された状態で、前記駆動パイプ及び前記チェーンを前記海底地盤に挿入するドリルビットユニットと、を含むドリル装置を提供することにある。
【0007】
前記の技術的課題を解決するために、開示された技術の第2の側面は、係留(Mooring)施工装置に連結されて海底面へ下降し、前記海底面が掘削されるにつれて本体が挿入され、掘削が終わると、船舶に回収される駆動パイプと、前記駆動パイプとともに前記海底面に挿入されるチェーンと、本体の前面部にドリルビットが備えられ、前記本体の後面部に形成された締結部に前記駆動パイプが締結され、前記本体を囲むベアリングに前記チェーンが連結された状態で前記海底面を掘削して前記駆動パイプ及び前記チェーンを海底地盤に挿入するドリルビットユニットと、を含むドリル装置を提供することにある。
【発明の効果】
【0008】
開示された技術の実施例は、以下の長所を含む効果を奏する。ただし、開示された技術の実施例がこれを全部含むとの意味ではなく、開示された技術の権利範囲がこれによって制限されると理解されてはならない。
【0009】
開示された技術の一実施例によれば、ドリル装置は、ドリルビットユニットが海底地盤を掘削する時に駆動パイプにチェーンが巻かれることを防止するという効果を奏する。
【0010】
また、放射状に海底地盤を掘削してチェーンの固定力を高めるとい効果を奏する。
【0011】
また、駆動パイプが回収された後に、ドリルビットユニットが掘削された海底地盤の内壁に固定されて、パイルの固定状態を堅固に保持するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】開示された技術の一実施例によるドリル装置全体に対する側面図である。
【0013】
【
図2】開示された技術の一実施例によるドリル装置に対する斜視図である。
【0014】
【
図3】開示された技術の一実施例による複数のドリルビットに対する側面図である。
【0015】
【
図4】ドリルビットユニットと駆動パイプの連結構造を示した側面図である。
【0016】
【
図5】ドリルビットユニットに締結された駆動パイプを回収することを示した図面である。
【0017】
【
図6】ドリルビットユニットが海底地盤の内壁に固定されることを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施例を有するが、ここでは、特定の実施例を図面に例示して、詳細に説明することとする。しかしながら、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解すべきである。
【0019】
第1、第2、A、Bなどの用語は、多様な構成要素を説明するのに用いられるが、当該構成要素は前記用語によって限定されず、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで用いられる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素に命名され、同様に、第2構成要素も第1構成要素に命名される。及び/またはという用語は、複数の係る記載された項目の組合または複数の係る記載された項目のいずれの項目を含む。
【0020】
本明細書で用いられる用語で、単数の表現は文脈上明白に異なりに解釈されない限り、複数の表現を含むことと理解されるべきである。また、「含む」などの用語は、実施された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを意味するものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部分品、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0021】
図面に対する詳細な説明に先立って、本明細書での構成部に対する区分は、各構成部が担当する主機能別に区分したことに過ぎないことを明確にしようとする。すなわち、以下で説明する2つ以上の構成部が一つの構成部に合されるか、または一つの構成部がより細分化された機能別に2つ以上に分化されて備えられることもできる。
【0022】
そして、以下で説明する構成部のそれぞれは、それ自体が担当する主機能の以外にも、他の構成部が担当する機能の一部または全部の機能を追加的に実行することもでき、構成部のそれぞれが担当する主機能の一部機能が他の構成部によって専担されて実行されることもできることは勿論である。すなわち、本明細書を通じて説明される各構成部の存在可否は機能的に解釈されるべきである。
【0023】
図1は、開示された技術の一実施例によるドリル装置全体に対する側面図である。また、
図2は、開示された技術の一実施例によるドリル装置に対する斜視図である。
図1及び
図2を参照すれば、ドリル装置は、パイル110、駆動パイプ120、チェーン130、及びドリルビットユニット140を含む。そして、スイベル150をさらに含む。
【0024】
パイル110は、海上構造物とチェーンで連結される係留(Mooring)装置の一部で、船舶に備えられたクレーンに連結される。ここで、海上構造物は、浮遊式風力発電機を含む。船舶は、海上構造物の係留支持台の役割を果たすパイル110を海底地盤に固定するための船舶で、クレーンを利用してパイル110を海底面の一地点に安着させ、海底面へハウジング101を下降してパイル110の上面に圧力を加える方式でパイル110を海底面に固定する。ハウジング101は、本体がガントリークレーンに連結された状態で移送され、下降時にクレーンのワイヤを通じて垂直下降される。この時、垂直線上の下端には先に下降されたパイル110が配置される。
【0025】
一方、海底に下降されたパイル110は、ハウジング101によって上面が垂直方向に加圧されることによって本体下面が海底面に固定される。すなわち、海底面で所定深さだけ海底地盤に本体の一部がめり込んで固定される。ハウジング101自体の重量が数十トン以上になるので、パイル110は、ハウジング101で伝達される圧力によって軟質の海底地盤にある程度めり込まれる。
【0026】
一方、パイル110は、海上構造物とチェーンで連結されて、海上構造物を海上に固定するために海底面に設置されるもので、一種の杭のような形態を有することができる。例えば、パイル110は、クレーンに備えられたワイヤを通じて海底へ下降するドリブンパイル(Pile)を利用することができる。
【0027】
駆動パイプ120は、パイル110とハウジング101に形成された貫通孔111を通じて海底面へ下降する。パイル110とハウジング101には複数の貫通孔111が形成されており、海底面に固定された状態でその下の海底地盤に駆動パイプ120が挿入されるように、貫通孔111に駆動パイプ120が挿入された状態で下降することができる。すなわち、この状態で海底面に固定されると、駆動パイプ120に連結されたドリルビットユニット140が接触した海底面を掘削して海底地盤に深く入り込んで、駆動パイプ120が海底地盤に挿入されるようにするのである。
【0028】
一方、貫通孔111は、一つの駆動パイプ120を利用する場合には、一つのみ形成され、複数の駆動パイプ120を連結する場合には、複数が形成される。そして、駆動パイプ120を挿入する状況や環境によって、貫通孔111が海底面と垂直に形成されたり、放射状に広がるように形成される。例えば、一つの駆動パイプ120にドリルビットユニット140を連結する場合には、貫通孔111が垂直に形成されたり、斜めの斜線に形成される。また、複数の駆動パイプ120のそれぞれにドリルビットユニット140を連結して固定する場合には、各駆動パイプ120が放射状に海底面に挿入されるように、貫通孔111が放射状に形成されてもよい。
【0029】
一方、駆動パイプ120は、掘削が終わると貫通孔111に回収される。一実施例として、ドリルビットユニット140に連結された状態で掘削が行われて、海底地盤の所定深さ以上挿入されてから、目標とする深さに至ると、掘削が終るとともに、ドリルビットユニット140で連結が解除される。そして、駆動パイプ120を回収する装置によって、ハウジング101の貫通孔111に回収される。すなわち、パイル110はそのまま海底面に固定されており、駆動パイプ120のみパイルの貫通孔111を通過してハウジング101の貫通孔に回収され、ハウジングとともにクレーンに引き上げられる。
【0030】
一方、前述のように、駆動パイプ120の一端にはドリルビットユニット140がそれぞれ連結される。そして、駆動パイプ120の他端には駆動モーターが連結される。すなわち、駆動モーターが駆動パイプ120を回転するにつれて、駆動パイプ120の一端に連結されたドリルビット140が回転して海底面を掘削するようになる。従来の場合には、ドリルビットの後面部に駆動モーターが備えられて、掘削時に一緒に海底地盤に挿入される場合もあったが、開示された技術では、ドリルビットユニット140と駆動パイプ120を締結した後、駆動パイプ120に連結された駆動モーターを動作することによって、ドリルビットユニット140の前面部に配置されたドリルビットに回転力を伝達する方式を利用する。
【0031】
チェーン130は、パイル110の一側に形成された保管部に一端が固定され、パイル110に形成された貫通孔111を通じて他端が流入されて、駆動パイプ120とともに海底面へ下降して海底地盤に挿入される。チェーン130は、掘削過程が終わった後に駆動パイプ120が回収されると、掘削経路の空いた空間にそのままとどまり、パイル110の固定状態を堅固に保持するために利用される。チェーン130は、一端がパイル110に固定されており、他端は駆動パイプ120とともにドリルビットユニット140に連結されているので、掘削が終わった地点からパイル110に連結された地点まである程度のテンションが保持される状態で固定される。すなわち、海底地盤の深い所でパイル110を引き寄せる力が発生するので、固定された状態を保持することができる。
【0032】
ドリルビットユニット140は、本体の前面部にドリルビットが備えられる。そして、本体の後面部に駆動パイプ120の一端が締結される締結部が形成される。締結部は、ドリルビットユニット140の後面部に駆動パイプ120の一端が挿入できるように、空間が形成されており、駆動パイプ120の一端と締結状態を堅固に保持できるように、螺糸山が形成される。そして、駆動パイプ120の一端は締結部に挿入できるように、締結部の螺糸山に噛み合う形状の螺糸山が形成される。すなわち、駆動パイプ120の一端がドリルビットユニット140の締結部に回転しながら締結される。駆動パイプ120の回転は、前述のように、駆動モーターを利用することができる。このように回転しながら締結された後、続いて駆動モーターを動作させると、駆動パイプ120とともに、ドリルビットユニット140まで一緒に回転するようになって、ドリルビットが海底面を掘削することができる。
【0033】
一方、ドリルビットユニット140の本体にはベアリング140aが含まれる。ベアリング140aは、駆動パイプ120と締結されたドリルビットユニット140が回転する時に発生する摩擦力を減少し、チェーンがドリルビットユニット140によって回転して駆動パイプ120を巻きつかないようにするものであり、このベアリング140aにチェーン130が連結される。例えば、チェーン130の他端がベアリング140aの一側に連結される。ドリルビットユニット140は、この状態で海底面を掘削して駆動パイプ120とチェーン130を海底地盤に引きずって入ることができる。
【0034】
一方、このような過程によって、駆動パイプ120とチェーン130が海底地盤の所定深さまで挿入されると、駆動モーターを反対に回転させて締結部から駆動パイプ120の一端を抜き取ることができる。すなわち、駆動パイプ120を貫通孔111に回収することができる。この時、チェーン130はそのまま連結状態を保持しており、掘削を終えたドリルビットユニット140の本体をまるでアンカーのように活用してその位置に固定することができる。
【0035】
一方、開示された技術によるドリル装置は、スイベル150をさらに含む。スイベル150は、ドリルビットユニット140が回転する時、チェーン130がねじれたり駆動パイプ120に巻かれることを防止するために備えられる。チェーン130の他端を固定するためには、ベアリング140aに別途の固定部材が要求されるが、スイベル150を利用してチェーン130とベアリング140aを連結することができる。例えば、チェーン130の他端をスイベル150の本体にかけて固定させ、ベアリング140aの一側に形成された締結部とスイベル150を締結して連結状態を保持することができる。
【0036】
一方、開示された技術の一実施例によれば、海底面に固定されたパイル110には少ない場合には一つ、多い場合には複数のドリルビットユニット140が備えられる。一つのドリルビットユニット140を利用する場合には、海上構造物が相対的に軽量であるので、一つで充分に係留状態を保持することができる場合に利用することができ、海上構造物の規模と重量が大きい場合には、パイルに複数のドリルビットユニット140を連結することができる。
【0037】
一方、複数のドリルビットユニット140を利用する場合には、それぞれのドリルビットユニット140がパイル110を中心に放射状に広がりながら海底地盤を掘削することができる。
図1に示したように、掘削される経路が放射状に広がり、このような掘削経路に沿って使用が完了されたドリルビットユニット140とチェーン130をより強く固定することが可能である。一実施例で、駆動パイプ120が回収された後、波や外力によってパイル110に浮力が発生する時に、海底地盤に挿入されたチェーン130が引っ張られながら張力が発生するようになる。そして、チェーン130に連結されたドリルビットユニット140にも力が加えられ、この時、ドリルビットユニット140の本体の後面部が掘削経路の内壁にめりこむようになる。すなわち、締結部で駆動パイプ120の抜けた部分がまるでアンカーのような役割を果たすようになって、海底地盤の内壁に埋め込まれるようになって、強い固定力を発生するようになる。それにより、パイル110が上に上げられることを防止することができる。
【0038】
一方、開示された技術の一実施例によれば、ドリル装置は、パイル110を利用することなく、係留装置に直接ドリルビットユニット140を連結することもできる。一実施例において、係留(Mooring)装置を施工する船舶に備えられたクレーンに連結されて、海底面に下降する駆動パイプ120と、駆動パイプとともに海底面に挿入されるチェーン130と、駆動パイプ120とチェーン130が連結された状態で海底面を掘削して海底地盤に挿入されるドリルビットユニット140とを含むことができる。そして、ドリルビットユニット140は、チェーン130が駆動パイプ120に巻かれることを防止するために、ベアリング140aとスイベル150をさらに含むことができる。
【0039】
一方、パイルを利用しないでドリルビットユニット140を利用する場合にも、基本的には、
図1及び
図2を通じて説明したように、少ない場合には一つ、多い場合には複数のドリルビットユニットを利用することができる。すなわち、ドリルビットユニット140が駆動パイプ120とチェーン130を海底地盤に挿入し、掘削が終わると、パイプ120は回収され、ドリルビットユニット140とチェーン130のみ海底地盤に固定されることは同一で、係留装置の種類によって連結するドリルビットユニット140の個数が変わる。
【0040】
図3は、開示された技術の一実施例によるドリルビットに対する側面図である。
図3を参照すれば、ドリルビットユニット140の本体前面部には掘削のためのドリルビットが備えられる。ドリルビットユニット140には、回転の時の掘削効率性を増加させるために、
図3のように、複数のドリルビット301、302、303が備えられることができる。各ドリルビット301、302、303は、互いに同じ間隔で配置されており、それぞれ回転しながら海底地盤を掘削する。場合によって、ドリルビットユニットの本体を回転するのと別途に複数のドリルビット301、302、303をそれぞれ回転させるモーターが別途に備えられてもよく、ドリルビット301、302、303の表面にダイヤモンドのように高強度を有する部材を備えて海底地盤を壊すように動作することも可能である。
【0041】
図4は、ドリルビットユニットと駆動パイプとの連結構造を示した側面図である。
図4を参照すれば、ドリルビットユニット140の本体後面部に形成された締結部401に駆動パイプ120の一端402が締結される。駆動パイプ120は、掘削作業が終わると、再びハウジングに回収されるので、ドリルビットユニット140が海底地盤を掘削する時は駆動パイプ120が連結された状態を保持し、掘削が終わると、ドリルビットユニット140は掘削終了地点にそのままとどまり、駆動パイプ120のみ締結部401から抜け出ることができる。
図1を通じて説明したように、駆動モーターの回転力を利用して締結部401と駆動パイプ端部402が結合され、駆動モーターの回転方向を反対にすることで締結を解除することができる。
【0042】
図5は、ドリルビットユニットに締結された駆動パイプを回収する場面を示した図面である。
図5を参照すれば、ドリルビットユニット140がチェーン130と駆動パイプ120を連結した状態で海底地盤501を掘削して、所定深さだけ掘削経路502を生成すれば、船舶で駆動モーターを反対に回転させて駆動パイプ120を回収することができる。駆動パイプ120は、掘削過程で形成された経路502に沿ってハウジングの貫通孔111に回収される。そして、ドリルビットユニット140とチェーン130はそのまま海底地盤に固定される。
【0043】
図6は、ドリルビットユニットが海底地盤の内壁に固定される場面を示した図面である。
図6を参照すれば、駆動パイプ120が回収された後、ドリルビットユニット140とチェーン130はそのまま海底地盤に埋められた状態で待機する。その後、パイル110に浮力が発生すれば、ドリルビットユニットの本体後面部が掘削経路の内壁の所定地点601にめり込んで固定される。すなわち、掘削が完了されたドリルビットが船を固定するアンカーのような役割を果たすことができる。開示された技術の一実施例によれば、固定対象によって、少ない場合には一つ、多い場合には複数のドリルビットユニット140を利用して海底地盤を掘削するので、安定的な固定状態を保持することができ、固定強度を堅固に保持することができる。
【0044】
開示された技術の一実施例によるドリル装置は、理解に役立つように図面に示された実施例を通じて説明されたが、これは例示に過ぎず、当該分野で通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということを理解すべきである。したがって、開示された技術の真の技術的保護範囲は特許請求範囲によって定められるべきである。