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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】米飯供給装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20230608BHJP
【FI】
A23L7/10 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019068134
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020162531
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】矢内 政利
(72)【発明者】
【氏名】神山 孝司
(72)【発明者】
【氏名】平井 悠太
(72)【発明者】
【氏名】中野 達也
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-014983(JP,A)
【文献】特開平05-007526(JP,A)
【文献】特開2014-184019(JP,A)
【文献】特開2019-037163(JP,A)
【文献】特開2014-184018(JP,A)
【文献】特開2010-268849(JP,A)
【文献】特開2005-087024(JP,A)
【文献】特開2018-113949(JP,A)
【文献】特開2006-141598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
A47J 27/00
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯が貯留される貯留部と、
前記貯留部内の米飯を搬送する搬送手段と、
前記貯留部内の米飯の残量を計測する残量計測手段と、
前記搬送手段から送られた米飯を計量し、予め設定された重量の米飯を受容部材に供給する計量供給手段と、
上下方向に複数段に配置されるとともに相互に独立して温度設定が可能な複数のヒータが設けられ、前記貯留部を収容する保温手段と、
前記残量計測手段に計測される米飯の残量に応じて複数の前記ヒータの温度を個別に変更する制御を実行する制御手段と、
有し、
前記制御手段は、
米飯が存在する高さ位置の前記ヒータは第1の温度にし、米飯が存在しない高さ位置の前記ヒータは前記第1の温度よりも低い第2の温度または作動停止にする、
ことを特徴とする米飯供給装置。
【請求項2】
前記第1の温度は、一定した温度または周期的に変動する温度であり、
前記第2の温度は、一定した温度または周期的に変動する温度である、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項3】
前記残量計測手段は、前記貯留部内の米飯の重量を計測する米飯重量計測器である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の米飯供給装置。
【請求項4】
前記米飯重量計測器は、装置に取り付けられた脚部にそれぞれ設置されたロードセルで得られた装置重量から前記貯留部に米飯を貯留していない状態での装置重量を差し引いて前記貯留部内の米飯の残量を計測する、
ことを特徴とする請求項3記載の米飯供給装置。
【請求項5】
前記残量計測手段は、前記貯留部内の米飯の高さ位置を検知するセンサである、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯供給装置に関し、特に、米飯供給装置に貯留された米飯の保温に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当や丼物等を作る場合、米飯を弁当箱や椀等の容器に供給するための米飯供給装置が知られている。この米飯供給装置は、貯留部であるホッパ(貯留部)に米飯を貯留しておき、そこから米飯を搬送スクリュ(搬送手段)で適量搬送して計量することにより、一定量の米飯を容器に自動的に供給する装置である。
【0003】
ここで、米飯供給装置においては、ホッパ内の米飯が冷めないようにするために、ヒータの設けられた保温容器にホッパを収容した構造が採用されている。
【0004】
なお、米飯の保温については、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この特許文献1では、保温工程中などにおいて、炊飯器の蓋が開かれなかった場合には、ご飯の温度を上げる昇温制御を行なわないようにして、消費電力の節減を図る技術が開示されている。そして、保温工程では、一定の温度で米飯を保温している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-36397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、前述した特許文献1に記載のような炊飯器とは異なり、米飯供給装置に貯留されている米飯は、弁当や丼物等を作るために所定量が計量されて容器に盛り付けられるために徐々に減少し、ホッパ内は例えば4時間程度で空になる。
【0007】
このような米飯が減少していく過程で、ヒータの熱によりホッパ内の米飯の水分の蒸発が進行して乾き気味になり、食感が悪化してしまう。
【0008】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、貯留部内の米飯の乾きを抑制できる米飯供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯供給装置は、米飯が貯留される貯留部と、前記貯留部内の米飯を搬送する搬送手段と、前記貯留部内の米飯の残量を計測する残量計測手段と、前記搬送手段から送られた米飯を計量し、予め設定された重量の米飯を受容部材に供給する計量供給手段と、上下方向に複数段に配置されるとともに相互に独立して温度設定が可能な複数のヒータが設けられ、前記貯留部を収容する保温手段と、前記残量計測手段に計測される米飯の残量に応じて複数の前記ヒータの温度を個別に変更する制御を実行する制御手段と、を有し、前記制御手段は、米飯が存在する高さ位置の前記ヒータは第1の温度にし、米飯が存在しない高さ位置の前記ヒータは前記第1の温度よりも低い第2の温度または作動停止にする、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記第1の温度は、一定した温度または周期的に変動する温度であり、前記第2の温度は、一定した温度または周期的に変動する温度である、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1または2記載の発明において、前記残量計測手段は、前記貯留部内の米飯の重量を計測する米飯重量計測器である、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項3記載の発明において、前記米飯重量計測器は、装置に取り付けられた脚部にそれぞれ設置されたロードセルで得られた装置重量から前記貯留部に米飯を貯留していない状態での装置重量を差し引いて前記貯留部内の米飯の残量を計測する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、前記残量計測手段は、前記貯留部内の米飯の高さ位置を検知するセンサである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、米飯が存在する高さ位置のヒータは第1の温度にし、米飯が存在しない高さ位置のヒータは第1の温度よりも低い第2の温度または作動停止にするようにしている。
【0016】
これにより、貯留部内の米飯が存在していない空間は、米飯を暖めるときの温度よりも低い温度で暖められることになる。これにより、その空間に面した部分の米飯の水分の蒸発が緩やかになるので、米飯の乾きを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図である。
図2図1の米飯供給装置の上部について上蓋を開いた状態で示す斜視図である。
図3図1の米飯供給装置の断面図である。
図4】本実施の形態の米飯供給装置の上部ホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め上方から示す斜視図である。
図5】本実施の形態の米飯供給装置のホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め下方から示す斜視図である。
図6】本実施の形態の米飯供給装置においてホッパを収容する保温容器を示す斜視図である。
図7】本実施の形態におけるホッパと保温容器とを概念的に示す断面図である。
図8】本発明の一実施の形態である米飯供給装置のブロック図である。
図9】(a)はホッパ内の米飯が上段ヒータの高さ位置まであるときのヒータの温度制御のパターンを示す説明図、(b)はホッパ内の米飯が下段ヒータの高さ位置までに減少したときのヒータの温度制御のパターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図、図2図1の米飯供給装置の上部について上蓋を開いた状態で示す斜視図、図3図1の米飯供給装置の断面図、図4は本実施の形態の米飯供給装置の上部ホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め上方から示す斜視図、図5は本実施の形態の米飯供給装置のホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め下方から示す斜視図、図6は本実施の形態の米飯供給装置においてホッパを収容する保温容器を示す斜視図、図7は本実施の形態におけるホッパと保温容器とを概念的に示す断面図、図8は本発明の一実施の形態である米飯供給装置のブロック図、図9(a)はホッパ内の米飯が上段ヒータの高さ位置まであるときのヒータの温度制御のパターンを示す説明図、図9(b)はホッパ内の米飯が下段ヒータの高さ位置までに減少したときのヒータの温度制御のパターンを示す説明図である。
【0020】
図1および図2に示すように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、正面板10および当該正面板10の背面に位置する背面板11、ならびにこれら正面板10および背面板11の両側に位置する側面板12を備え、上方に開いた開口部13が形成された本体部1を有している。また、本体部1には、開口部13を開閉するための上蓋14が、蝶番ユニット15を介して取り付けられている。なお、上蓋14は、開口部13を閉鎖したときに外側に位置する外蓋部14-1と、内側に位置する内蓋部14-2とで構成されている。
【0021】
図示するように、正面板10には、タッチパネル式の表示部16が備えられている。表示部16は、操作コマンドを入力したりメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。本体部1の背面側には、米飯供給装置Aの動作制御を行うための制御部(制御手段・残量計測手段(米飯重量計測器):図8)30などの様々な電子部品が実装された基板17(図3)が設置されている。
【0022】
また、正面板10の下方には、米飯を盛り付けるときの容器が設置される容器設置部18が設けられ、正面板10と容器設置部18との間には、所定の奥行きおよび高さを有した凹部空間19が形成されている。この凹部空間19は容器を収容するに十分な空間となっており、その上方から米飯が落下して容器に供給される。
【0023】
図2および図3に示すように、前述した開口部13内には、当該開口部13から投入された米飯が貯留されるホッパ(貯留部)20が設置されている。また、図3に示すように、ホッパ20の底面付近には、米飯を搬送(図3においては、図面右側から斜め左上側に搬送)するための搬送スクリュ(搬送手段)21、およびホッパ20内の米飯を撹拌しながら搬送スクリュ21へ送る撹拌羽根(撹拌手段)25が設けられている。
【0024】
搬送スクリュ21における米飯の搬送方向の下流側には、搬送スクリュ21の回転によりホッパ20内を搬送された米飯を解すように取り崩して落下させるドラム型で外周に多数の爪22aが設けられた解しローラ(解し手段)22が配置されている。さらに、解しローラ22の直下には、当該解しローラ22から落下した米飯の落下経路を開閉する一対のシャッタ(計量供給手段の一部)23が備えられている。
【0025】
解しローラ22の回転軸は搬送スクリュ21の回転軸と直交するような位置関係になっている。これにより、ホッパ20に貯留された米飯は、ホッパ20に設けられた搬送スクリュ21の回転により解しローラ22へと搬送される。そして、解しローラ22に搬送された米飯は、当該解しローラ22の回転に伴う爪22aの働きにより、解されながら落下する。
【0026】
また、シャッタ23は、前述した解しローラ22によって落下する米飯の落下経路上に位置している。このシャッタ23は、米飯が蓄積可能に下方に膨らんだ形状となっており、下方に向けて開閉可能になった一対の部材で形成されている。そして、容器に米飯を供給する際にはシャッタ23が開き、供給を停止する際に閉じることにより、米飯の容器への供給動作と供給停止動作とが行われる。
【0027】
図3および図5に示すように、ホッパ20は、上端および下端が開口した上部ホッパ20aと、上部ホッパ20aの下端の開口に嵌め込まれてホッパ20の底面を形成する下部ホッパ20bとで構成されている。
【0028】
上部ホッパ20aには、上方より下方へ向かって徐々に狭く形成されており、これによって上端が広口の開口とされるとともに、下端が狭口の開口とされている。
【0029】
図3図5において、下部ホッパ20bに形成された略半円形の収容溝20b-1内には、前述した搬送スクリュ21が設置されている。搬送スクリュ21は、米飯の搬送方向に沿って延びる搬送軸21aと、この搬送軸21aの回りに設けられてホッパ20内の米飯を解しローラ22へと搬送する螺旋状のスクリュ21bとで構成されている。そして、搬送軸21aの一方の端部(解しローラ22と反対側の端部)は下部ホッパ20bの外部へ突出しており、当該突出端には減速機26を構成するギア26aが取り付けられている。
【0030】
前述した撹拌羽根25は、搬送スクリュ21と並列に設置されている。撹拌羽根25は、搬送スクリュ21による米飯の搬送方向に沿って配置されたシャフト25aと、シャフト25aの回転方向と交差する方向に延びるとともに相互に間隔を空けて設けられた複数の撹拌棒25bとで構成されている。そして、シャフト25aの一方の端部(解しローラ22と反対側の端部)も下部ホッパ20bの外部へ突出しており、同様に、突出端には減速機27を構成するギア27aが取り付けられている。なお、撹拌羽根25の構造は本実施の形態に示すものには限定されない。また、撹拌羽根25は設けられていなくてもよい。
【0031】
搬送軸21aに取り付けられたギア26aを含む減速機26、およびシャフト25aに取り付けられたギア27aを含む減速機27は、共にハウジング28内に格納されている。また、ハウジング28の裏側には、搬送スクリュ21を回転駆動するための搬送用モータM1、および撹拌羽根25を回転駆動するための撹拌用モータM2がそれぞれ固定されている。そして、搬送用モータM1の出力軸には減速機26を構成するギア26bが、撹拌用モータM2の出力軸には減速機27を構成するギア27bが、それぞれ取り付けられている。これにより、搬送用モータM1の回転力は、ギア26bから中継用のギア26cを介してギア26aに伝達され、搬送スクリュ21を回転させる。また、撹拌用モータM2の回転力は、ギア27bから中継用のギア27cを介してギア27aに伝達され、撹拌羽根25を回転させる。
【0032】
なお、ハウジング28の前面は、減速機26,27を保護するとともに、これらの減速機26,27の回転軸を支持するためのハウジングカバー28aで覆われている。
【0033】
さて、図3において、米飯供給装置Aは、シャッタ23に蓄積された米飯(つまり、容器設置部18に載置された容器に供給されることになる米飯)の計量を行う計量器(計量供給手段の一部)24を備えている。
【0034】
計量器24には、荷重を電気信号に変換するロードセルが用いられている。そして、閉鎖位置にあるシャッタ23に蓄積された米飯の計量値(計量器24による計量値)が目標計量値に到達する直前に搬送スクリュ21および解しローラ22の回転動作が停止し、最終的に目標計量値に到達したときにシャッタ23が開放位置になって米飯が容器に落下供給される。
【0035】
ここで、ホッパ20は、図6に示す保温容器(保温手段)32内に収容されている。また、保温容器32は、容器本体32aと、この容器本体32aに取り付けられたヒータ32bとを備えている。図示するように、ヒータ32bは、上段ヒータ32b-1および下段ヒータ32b-2の上下方向に2段で構成されており、相互に独立して温度設定が可能になっている。
【0036】
本実施の形態におけるホッパ20と保温容器32とを図7において概念的に示す。図示するように、上段ヒータ32b-1は容器本体32aの周囲に配置されているが、下段ヒータ32b-2は、容器本体32aの周囲および底面に配置されている。
【0037】
なお、図6に示す場合には、上段ヒータ32b-1は上下および横方向に複数に分割されて容器本体32aに配置されているが、これらは同一温度に設定されるために、上段ヒータ32b-1として一つに取り扱われる。下段ヒータ32b-2も同様に分割されているが、これらも同一温度に設定されるために、やはり下段ヒータ32b-2として一つに取り扱われる。すなわち、上段ヒータ32b-1や下段ヒータ32b-2は、それぞれ一体となっていてもよいが、本実施の形態のように分割されていてもよい。
【0038】
なお、本実施の形態において、ヒータ32bは上段ヒータ32b-1および下段ヒータ32b-2で構成されているが、上下方向に複数段に配置されて相互に独立して温度設定が可能となっていれば足り、3段以上であってもよい。
【0039】
装置底面の4箇所に取り付けられた脚部29には、荷重を電気信号に変換するロードセル(図8)31が設けられており、各ロードセル31で計測された重量を合計すると米飯供給装置Aの総重量が求められる。したがって、ホッパ20に米飯を貯留していない状態での装置重量を予め登録しておけば、制御部30において、当該装置重量と4つのロードセル31の合計で得られた装置重量(ホッパ20に米飯を貯留した状態での装置重量)との差を求めることにより、ホッパ20内の米飯の重量、つまり米飯の残量が計測される。
【0040】
したがって、制御部30は、ホッパ20内の米飯の残量を計測する米飯重量計測器(残量計測手段)として機能する。
【0041】
なお、ホッパ20内の米飯の重量は、本実施の形態のように脚部29に設置されたロードセル31により測定された装置重量から米飯を貯留していない装置重量を引いて求めることに限定されるものではない。例えば、ホッパ20の重量計測器を設置しておき、計測値からホッパ20の重量を引いて米飯の残量を求めるようにしてもよい。
【0042】
以上のような構成を有する米飯供給装置Aのブロック図を図8に示す。
【0043】
図示するように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、装置の動作制御を行う制御部30を備えており、前述した表示部16、計量器24、ロードセル31、上段ヒータ32b-1、下段ヒータ32b-2、搬送用モータM1、撹拌用モータM2の他に、解しローラ22を回転駆動するための解し用モータM3、シャッタ23の開閉させるためのシャッタ用電磁弁Sなどを備えている。
【0044】
そして、制御部30は、米飯重量計測器としての制御部30により計測される米飯の残量に応じてヒータ32b(つまり、上段ヒータ32b-1および下段ヒータ32b-2)の温度を個別に変更する制御を行うようになっている。
【0045】
このような制御の一例を図9に示す。ここで、図9(a)はホッパ内の米飯が上段ヒータの高さ位置まであるときのヒータの温度制御のパターンを示す説明図、図9(b)はホッパ内の米飯が下段ヒータの高さ位置までに減少したときのヒータの温度制御のパターンを示す説明図である。
【0046】
図9(a)において、ホッパ20内の米飯が上段ヒータ32b-1の高さまで存在しているときには、上段ヒータ32b-1および下段ヒータ32b-2をともに第1の温度に設定する。ここで、第1の温度は、一定した温度または周期的に変動する温度の何れかの温度であり、本実施の形態では、前者の温度は85℃であり、後者の温度は10分の周期により70℃~85℃の幅で変動する温度である。
【0047】
図9(b)において、ホッパ20内の米飯が、上段ヒータ32b-1の高さ位置には存在しなくなり下段ヒータ32b-2の高さ位置にだけ存在しているときには、米飯が存在する高さ位置の下段ヒータ32b-2の設定は第1の温度のままにしておき、米飯が存在しない高さ位置の上段ヒータ32b-1は第1の温度よりも低い第2の温度に設定するか、作動停止にする。ここで、第2の温度は、一定した温度または周期的に変動する温度の何れかの温度であり、本実施の形態では、前者の温度は70℃であり、後者の温度は10分の周期により60℃~75℃の幅で変動する温度である。また、上段ヒータ32b-1の作動停止とは、上段ヒータ32b-1への給電を止めて発熱しないようにすることである。
【0048】
なお、本実施の形態の米飯供給装置Aでは、第1の温度や第2の温度として、一定した温度と周期的に変動する温度の何れかが選択的に設定可能となっており、上段ヒータ32b-1を第2の温度にするか作動停止にするかが選択的に設定可能となっているが、これらは何れかに固定的で選択は不能となっていてもよい。
【0049】
また、本実施の形態において、一定した温度と周期的に変動する温度との温度の高低の比較は、周期的に変動する温度について変動幅の平均温度をとって行う。つまり、70℃~85℃の幅で変動する温度の場合には、平均温度である77.5℃で行う。したがって、図9(b)に示す状態において、上段ヒータ32b-1を一定した温度である70℃に設定し、下段ヒータ32b-2を70℃~85℃の幅で周期的に変動する温度に設定した場合、下段ヒータ32b-2の下限温度は70℃で上段ヒータ32b-1の一定温度である70℃と同じであるが、平均温度は77.5℃であるので、上段ヒータ32b-1は下段ヒータ32b-2よりも低い温度ということになる。
【0050】
そして、第1の温度や第2の温度の数値や周期の数値は一例であり、これに限定されるものではない。
【0051】
次に、本実施の形態の米飯供給装置Aにおける米飯の供給動作の概略について説明する。
【0052】
先ず、上蓋14を開いておいて、炊き上がった米飯をホッパ20に投入する。このときの投入量は、上段ヒータ32b-1の高さ位置までとする。その後、上蓋14を閉めて電源を入れると、上段ヒータ32b-1および下段ヒータ32b-2が給電されて第1の温度になり、保温容器32に収容されたホッパ20内の米飯が暖められる。
【0053】
そして、タッチパネル式の表示部16で所定の盛付ボタンを押す。容器設置部18に容器を設置すると、図示しないセンサが容器の設置を検出して搬送スクリュ21、撹拌羽根25および解しローラ22が回転を開始し、閉鎖位置にあるシャッタ23内に米飯が蓄積されていく。このとき、シャッタ23に蓄積された米飯の重量は計量器24によって逐次計測される。そして、前述のように、計測値が目標値に到達する直前に搬送スクリュ21、撹拌羽根25および解しローラ22の回転動作が停止し、最終的に目標値に到達したときにシャッタ23が開放位置になって米飯が容器に落下供給される。
【0054】
ここで、米飯供給装置Aにおいて、ホッパ20内から米飯が容器へと盛り付けられて徐々に減っていくと、米飯が下段ヒータ32b-2の高さ位置には存在するが、上段ヒータ32b-1の高さ位置には存在しなくなる状態、つまり図9(a)に示す状態から図9(b)に示す状態に移行する。このとき、上段ヒータ32b-1を第1の温度に維持しておくと、ホッパ20内の米飯上方の空間が米飯を暖めるときと同じ温度で暖められることにより、当該空間に面した部分の米飯の水分の蒸発が進行する。すると、この部分の米飯が乾き気味になり、食感が悪化してしまう。
【0055】
そこで、本実施の形態では、前述のように、米飯が存在する高さ位置の下段ヒータ32b-2の設定はそのまま(つまり、第1の温度)にしておき、米飯が存在しない高さ位置の上段ヒータ32b-1は第1の温度よりも低い第2の温度に設定するか、作動停止にする。よって、ホッパ20内の米飯が存在していない空間は米飯を暖めるときよりも低い温度で暖められることになり、その空間に面した部分の米飯の水分の蒸発が緩やかになる。
【0056】
このように、本実施の形態の米飯供給装置Aでは、制御部30により、米飯重量計測器で計測されるホッパ20内の米飯の残量に応じて上段ヒータ32b-1および下段ヒータ32b-2の温度を個別に制御するようにして、米飯が存在する高さ位置のヒータ(図9(a)の場合には、上段ヒータ32b-1および下段ヒータ32b-2)は第1の温度にし、米飯が存在しない高さ位置のヒータ(図9(b)の場合には、上段ヒータ32b-1)は第1の温度よりも低い第2の温度または作動停止にするようにしている。
【0057】
したがって、ホッパ20内の米飯が存在していない空間は、米飯を暖めるときの温度(つまり、第1の温度)ではなく、それよりも低い温度(つまり、第2の温度に設定したときには第2の温度、作動停止にしたときには第2の温度よりも低い温度)で暖められることになる。これにより、その空間に面した部分の米飯の水分の蒸発が緩やかになって当該部分の米飯の乾きが抑制される。したがって、容器に盛り付けられた米飯の食感が悪化してしまうことがなくなる。
【0058】
とりわけ、第1の温度や第2の温度として周期的に変動する温度として米飯を暖める場合には、一定した温度にした場合と比較して、米飯が冷めにくく且つより乾きにくくなるので望ましい。
【0059】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0060】
例えば、以上の説明では、残量計測手段として米飯重量計測器が用いられており、ホッパ20内の米飯の残量を米飯の重量から求めていたが、これに限定されるものではない。すなわち、ホッパ20内の米飯の高さ位置を検知するセンサ(光学センサなど)を設置し、ホッパ20内の米飯の残量を重量ではなく米飯の高さから求めるようにしてもよい。
【0061】
そして、前述した実施の形態の米飯供給装置Aにおいては、受容部材の一例として容器が示されているが、容器に限定されるものではなく、例えば落下した米飯を所定の形状に成形するための成形型などであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上の説明では、シャッタに蓄積される米飯の重量を計測するいわゆる上計量の米飯供給装置が示されているが、容器設置部に載置された容器に落下供給される米飯の重量を計測するいわゆる下計量の米飯供給装置であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 本体部
20 ホッパ(貯留部)
21 搬送スクリュ(搬送手段)
21a 搬送軸
21b スクリュ
22 解しローラ(解し手段)
22a 爪
23 シャッタ(計量供給手段の一部)
24 計量器(計量供給手段の一部)
25 撹拌羽根(撹拌手段)
29 脚部
30 制御部(制御手段・残量計測手段(米飯重量計測器))
31 ロードセル
32 保温容器(保温手段)
32a 容器本体
32b ヒータ
32b-1 上段ヒータ
32b-2 下段ヒータ
A 米飯供給装置
M1 搬送用モータ
M2 撹拌用モータ
図1
図2
図3
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図9