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特許7291491ガラスクロス用芯管及びガラスクロス捲回体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ガラスクロス用芯管及びガラスクロス捲回体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/10 20060101AFI20230608BHJP
   B65H 18/26 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
B65H75/10
B65H18/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019012380
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020117387
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 正朗
(72)【発明者】
【氏名】世古 宗泉
【審査官】前原 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-172642(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203775(WO,A1)
【文献】特開2018-030713(JP,A)
【文献】特開2018-002447(JP,A)
【文献】特開平06-032539(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00 - 75/32
18/00 - 18/28
B65G 47/80 - 47/80
47/84 - 47/86
47/90 - 47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスクロスを巻き取るためのガラスクロス用芯管であって、
円柱形状を有する基材と、
該基材の側面に、円周方向に沿って配された一又は複数の第1帯状凸部と、を有し、
該第1帯状凸部の長手方向長さが、前記基材の円周長に対して、75%以上であり、
前記基材の側面に、軸方向に沿って配された一又は複数の第2帯状凸部をさらに有し、
前記第2帯状凸部が、粘着剤層を含む、
ガラスクロス用芯管。
【請求項2】
ガラスクロスを巻き取るためのガラスクロス用芯管であって、
円柱形状を有する基材と、
前記基材の側面に、軸方向に沿って配された一又は複数の第2帯状凸部と、を有し、
前記第2帯状凸部が、厚さ2μm以上30μm未満の粘着剤層を含み、
前記基材の側面に、円周方向に沿って配された一又は複数の第1帯状凸部をさらに有する、
ガラスクロス用芯管。
【請求項3】
前記第1帯状凸部及び/又は前記第2帯状凸部が、両面テープにて形成される、
請求項1又は2に記載のガラスクロス用芯管。
【請求項4】
前記ガラスクロスの弾性率が、50GPa~70GPaである、
請求項1~のいずれか一項に記載のガラスクロス用芯管。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載のガラスクロス用芯管を用いたガラスクロス捲回体の製造方法であって、
前記ガラスクロスを、押圧ロールにて前記ガラスクロス用芯管の中心方向に圧力を加えつつ捲回する工程を含む、
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスクロス用芯管及びそれを用いたガラスクロス捲回体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に用いられるプリント配線板は、通常、ガラスクロス等の基材に樹脂を含浸したプリプレグを絶縁層として備える。近年、スマートフォン等の情報端末の高性能化、高速通信化に伴い、プリント配線板の低誘電率化、低誘電正接化が著しく進行している。
【0003】
それに伴い、プリント配線板を構成するガラスクロスとしても、誘電率の低いものが用いられる傾向にある。このような低誘電ガラスクロスは、これまで一般に使用されてきたEガラスクロスに比べてガラス中のB23を多く含むことにより、低誘電率、低誘電正接を発現することができる。
【0004】
しかしながら、このような低誘電ガラスクロスの弾性係数は、従来のEガラスクロスに比べて低く、その取扱性に課題がある。例えば、弾性係数の低いガラスクロスを捲回した時には、巻きしわが発生しやすい。このような巻きしわは、ロールから解反したガラスクロスに織構造の歪みとして蓄積されやすい。織構造の歪みが存在するガラスクロスを用いた場合、プリント配線板の製造過程及び回路パターン形成過程において寸法変化のバラツキが大きくなるという問題が発生する。
【0005】
また、ガラスクロスのように薄くて大判の長尺物を捲回し大径のロールにした場合には、巻き取り精度が悪いと芯管のずれが生じる可能性もある。このような、巻き取り精度を向上させるために、接着テープをその長さ方向が芯管の長手方向中心軸と平行となるよう芯管外周面に貼り付ける方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-35830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記方法は、ある程度の物理強度を有する銅箔に適したものであり、当該方法によっても、弾性係数の低い低誘電ガラスクロスの巻きしわの発生を抑制することはできない。
【0008】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、比較的低弾性率のガラスクロスを、押圧ロールでプレスしつつ捲回する場合にも、巻きしわの発生を抑制することのできるガラスクロス用芯管、及びそれを用いたガラスクロス捲回体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、所定の構造を有するガラスクロス用芯管を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
ガラスクロスを巻き取るためのガラスクロス用芯管であって、
円柱形状を有する基材と、
該基材の側面に、円周方向に沿って配された一又は複数の第1帯状凸部と、を有し、
該第1帯状凸部の長手方向長さが、前記基材の円周長に対して、75%以上である、
ガラスクロス用芯管。
〔2〕
前記基材の側面に、軸方向に沿って配された一又は複数の第2帯状凸部をさらに有する、
〔1〕に記載のガラスクロス用芯管。
〔3〕
ガラスクロスを巻き取るためのガラスクロス用芯管であって、
円柱形状を有する基材と、
前記基材の側面に、軸方向に沿って配された一又は複数の第2帯状凸部と、を有し、
前記第2帯状凸部が、厚さ2μm以上10μm未満の粘着剤層を含む、
ガラスクロス用芯管。
〔4〕
前記基材の側面に、円周方向に沿って配された一又は複数の第1帯状凸部をさらに有する、
〔3〕に記載のガラスクロス用芯管。
〔5〕
前記第1帯状凸部及び/又は前記第2帯状凸部が、両面テープにて形成される、
〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載のガラスクロス用芯管。
〔6〕
前記ガラスクロスの弾性率が、50GPa~70GPaである、
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載のガラスクロス用芯管。
〔7〕
〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載のガラスクロス用芯管を用いたガラスクロス捲回体の製造方法であって、
前記ガラスクロスを、押圧ロールにて前記ガラスクロス用芯管の中心方向に圧力を加えつつ捲回する工程を含む、
製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、比較的低弾性率のガラスクロスを、押圧ロールでプレスしつつ捲回する場合にも、巻きしわの発生を抑制することのできるガラスクロス用芯管、及びそれを用いたガラスクロス捲回体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態のガラスクロス用芯管の一態様を表す図である。
図2】従来の芯管を用いた場合の捲回体の断面表す図である。
図3】本実施形態のガラスクロス用芯管の一態様を表す図である。
図4】本実施形態のガラスクロス用芯管の一態様を表す図である。
図5】本実施形態のガラスクロス捲回体の製造方法の一態様を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右などの位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0014】
〔ガラスクロス用芯管(第1実施態様)〕
本実施形態のガラスクロス用芯管は、ガラスクロスを巻き取るためのガラスクロス用芯管であって、円柱形状を有する基材と、該基材の側面に、円周方向に沿って配された一又は複数の第1帯状凸部と、を有し、該第1帯状凸部の長手方向長さが、前記基材の円周長に対して75%以上である。
【0015】
図1に、本実施形態のガラスクロス用芯管の一態様を示す。図1に示すように、本実施形態のガラスクロス用芯管10は、該基材1の側面に、円周方向に沿って配された一又は複数の第1帯状凸部2を有する。第1帯状凸部2の長手方向の長さは、基材1の円周長さの75%以上である。なお、第1帯状凸部2の長手方向の長さが基材1の円周長さの100%未満であるとき、基材1の側面において第1帯状凸部2が存在しない箇所は、基材1の軸方向から観察したときに、ガラスクロス用芯管10の最外周形状における凹部3として確認される。
【0016】
従来のように、接着テープをその長さ方向が芯管の長手方向中心軸と平行となるよう芯管外周面に貼り付けた場合、芯管は、基材1の軸方向から観察したときに、最外周形状に凸部を有する。このような芯管を用いて巻き取りを行った場合、ガラスクロス捲回体が、図2のような断面形状に成長し、基材の円周方向でガラスクロスが密に捲回された部分と、疎に捲回された部分が生じることが分かった。
【0017】
疎に捲回された部分では、捲回体の芯管側に捲回されたガラスクロスが捲回体の外側に捲回されたガラスクロスにより拘束されていない。そのため、所定の張力で巻き取った場合に、幅方向(芯管の長手方向)にガラスクロスの収縮が生じやすくなる。また、巻取り張力に起因する応力分布により、捲回体の内部で巻き締まりが生じやすくなる。そのため、巻きしわが発生しやすい状態が構築される。そして、疎に捲回された部分では、芯管とガラスクロス、或いはガラスクロスの層間での摩擦係数が低下するため、上記の幅方向の収縮と、長手方向の巻き締まりが作用した際に、ガラスクロスがズレることで応力解放され、巻きシワが発生してしまう。
【0018】
さらに、図2のような断面形状で、ガラスクロスの捲回体が成長し、歪みが大きくなると、歪んだ捲回体形状に合わせて巻き取り機の各部位の上下振動が激しくなり、巻取り精度の制御がより一層困難となる。
【0019】
これに対して、本実施形態では、長手方向長さが基材の円周長に対して75%以上となるように、第1帯状凸部2を構成する。これにより、比較的低弾性率のガラスクロスを、押圧ロールでプレスしつつ捲回する場合にも、巻きしわの発生を抑制することが可能となる。
【0020】
その理由としては、特に制限されないが、押圧ロールによるプレス圧が、捲回体の周回を通して均一に作用するため、周回を通して均一に密に巻き取ることが可能となり、上記のような問題を回避することができると考えられる。これに対して、接着テープをその長さ方向が芯管の長手方向中心軸と平行となるよう芯管外周面に貼り付けた場合には、接着テープの部分だけが粘着テープの厚さ分だけ凸状になる。この場合、押圧ロールがこの凸状の粘着テープの部分で押し上げられ、その部分近辺のプレス圧が弱くなる。そして、凸状の粘着テープの部分を過ぎると押圧ロールが戻り、圧が強く作用する。これが周期的に繰り返されるので、プレスが弱い部分が疎に、プレスが強い部分が密に、成長して巻き取られていく。本実施形態においては、円周上の第1帯状凸部により、このような凸状の粘着テープの部分を見掛け上低減することで、上記のような問題回避することができると考えられる。
【0021】
〔基材〕
本実施形態のガラスクロス用芯管において、基材1は、円柱形状を有する。基材1の材質は、特に制限されないが、例えば、紙、ABS樹脂などのプレスチック、FRP(繊維強化プレスチック)、ステンレス等の金属が挙げられる。
【0022】
基材1の幅方向(芯管の長手方向)の長さは、巻き取るガラスクロスの幅よりも長いことが好ましい。具体的には、長さは、巻き取るガラスクロスの幅に対して、好ましくは1.01~1.1倍であり、より好ましくは1.03~1.1倍であり、さらに好ましくは1.05~1.1倍である。長さが上記範囲内であることにより、巻取り精度の制御がより一層容易になる傾向にある。
【0023】
また、基材1の直径は、好ましくは100~500mmであり、より好ましくは130~350mmであり、さらに好ましくは150~300mm、よりさらに好ましくは150~250mmである。基材1の直径が大きいほど、同じ長さのガラスクロスを捲回した時の捲回回数が少なくなり、捲回されるガラスクロスの厚みが小さくなる。そのため、基材1の直径が大きいほど、捲回体の芯管側に捲回されたガラスクロスに作用する応力と、捲回体の外側に捲回されたガラスクロスに作用する応力の差異が小さくなり、巻きしわがより抑制される傾向にある。他方で、基材1の直径が小さいほど、捲回体の容積や重量が小さくなり、保管や流通過程において有利となる。また、基材1の直径が小さく曲率が大きいほど、凸状の粘着テープに起因して捲回体が図2のような断面形状に成長して巻きシワが発生しやすくなるため、本願発明により、巻きシワの発生なく安定して捲回体が得られるため好ましい。
【0024】
〔第1帯状凸部〕
第1帯状凸部2は、基材1の側面に、円周方向に沿って配される。第1帯状凸部2は、基材1の円周方向と平行に配されることが好ましい。
【0025】
第1帯状凸部2は、基材1の側面に複数設けられていてもよい。この場合、それぞれの第1帯状凸部2によって構成される凹部は、芯管の長手方向中心軸と平行な直線上に並ぶよう配されてもよいし、並ばなくともよい。このなかでも、複数の第1帯状凸部2を配する場合には、それぞれの第1帯状凸部2によって構成される凹部は、芯管の長手方向中心軸と平行な直線上に並ぶよう配されることが好ましい。これにより、巻き取りしわがより抑制される傾向にある。
【0026】
また、第1帯状凸部2は、基材1の側面から見たときに左右対称となるように配されることが好ましい。例えば、第1帯状凸部2を一本のみ配する場合には、その第1帯状凸部2は、基材1の中心に配されることが好ましい。また、偶数本の第1帯状凸部2を配する場合には、それら第1帯状凸部2は、基材1の側面から見たときに左右対称となるように配されることが好ましい。これにより、巻き取り時の左右の張力差等の発生を抑制することができ、巻き取りしわがより抑制される傾向にある。
【0027】
第1帯状凸部2の長手方向の長さは、基材の円周長に対して、75%以上100%以下であり、好ましくは85%以上100%以下であり、さらに好ましくは95%以上100%以下である。第1帯状凸部2の長手方向の長さが上記範囲内であることにより、巻取り精度の制御がより一層容易になる傾向にある。
【0028】
第1帯状凸部2の幅W1は、好ましくは5~100mmであり、より好ましくは10~50mmであり、さらに好ましくは20~40mmである。幅W1が5mm以上であることにより、ガラスクロスをより強固に芯管に固定することができるため、巻き取り時の張力を向上することができる。これにより、ガラスクロスが疎に捲回された部分が生じにくく、巻きしわの発生がより抑制される傾向にある。また、幅W2が100mm以下であることにより、芯管にガラスクロスを貼り付ける際にしわが生じにくくなる。そのため、貼り付ける際に生じる初期しわに起因する巻きしわの発生がより抑制される傾向にある。
【0029】
第1帯状凸部2の厚さHは、好ましくは5~300μmであり、より好ましくは10~200μmであり、さらに好ましくは20~100μmであり、よりさらに好ましくは20μm~40μmである。第1帯状凸部2の厚さHが5μm以上であると、押圧ロールによるプレス圧が捲回体の周回を通して均一に作用するため、周回を通して均一に密に巻き取ることができる傾向にある。第1帯状凸部2の厚さHが300μm以下であると、押圧ロールによるプレス圧の幅方向の差異を小さい範囲に抑えることができるため、プレス圧のバラツキに起因する巻きシワの発生が抑制される傾向にある。また、第1帯状凸部2の厚さHが上記範囲内であることにより、芯管にガラスクロスを貼り付ける際にしわが生じにくくなる。そのため、貼り付ける際に生じる初期しわに起因する巻きしわの発生がより抑制される傾向にある。
【0030】
第1帯状凸部2の材質は、特に制限されないが、例えば、両面テープなどの接着テープ、ゴム材、樹脂材等が挙げられる。このなかでも、両面テープが好ましい。このような第1帯状凸部を用いることにより、取り扱い性がより向上する傾向にある。なお、芯管の使用前の状態では、両面テープは離型紙により粘着層が露出しないように保護されていてもよい。
【0031】
また、第1帯状凸部2の材質を両面テープなどの粘着性部材やゴム材などの滑り止め部材とすることにより、芯管とガラスクロスの界面で、ずれが生じることを抑制することができる。ガラスクロスには、巻取り張力に起因して幅方向に縮もうとする応力が作用するが、粘着性部材や滑り止め部材を用いることにより、このような幅方向の収縮を回避することができる。また、図2のように、歪みが生じることにより疎に巻回された部分では、捲回体の芯管側に捲回されたガラスクロスが捲回体の外側に捲回されたガラスクロスにより拘束されていないため、芯管とガラスクロスの境界で、ガラスクロスが幅方向に収縮することにより巻きシワが発生してしまう。しかしながら、第1帯状凸部2に粘着性部材や滑り止め部材を用いることにより、このような幅方向の収縮も回避することができる。
【0032】
複数の第1帯状凸部2を配する場合、少なくとも2つの第1帯状凸部2は、基材1の端部に近い位置に配することが好ましい。より具体的には、第1帯状凸部2が基材1の端部からの距離L1の位置に配されるとすると、距離L1は、基材の長手方向の長さに対して、好ましくは0~15%であり、より好ましくは0~11%であり、さらに好ましくは0~7%である。このように、第1帯状凸部2を基材1の端部に近い位置に配することにより、巻きしわの発生がより抑制される傾向にある。特に、押圧ロールにてガラスクロス用芯管の中心方向に圧力を加えつつ捲回するような方法を用いた場合に、巻きしわの発生を顕著に抑制することができる。
【0033】
〔第2帯状凸部〕
図3に示すように、本実施形態のガラスクロス用芯管は、基材1の側面に、軸方向に沿って配された一又は複数の第2帯状凸部4をさらに有していてもよい。第2帯状凸部4を有することにより、巻取り張力に起因する半径方向応力が幅方向に均一に作用するので、巻取りロールの均一性がより向上する傾向にある。
【0034】
第2帯状凸部4は、基材1の側面に複数設けられていてもよい。第2帯状凸部4の位置は、特に制限されないが、例えば、図2のように、第1帯状凸部2の末端と接するT字型の配置や、図3のように第1帯状凸部2の途中と交差する十字型の配置が挙げられる。
【0035】
第2帯状凸部4の長手方向の長さは、巻き取るガラスクロスの幅と同等以上であり、基材の長さL以下であることが好ましい。具体的には、第2帯状凸部4の長手方向の長さは、巻き取るガラスクロスの幅に対して、好ましくは0.95~1.1倍であり、より好ましくは0.98~1.05倍であり、さらに好ましくは0.99~1.02倍である。第2帯状凸部4の長手方向の長さと、巻き取るガラスクロスの幅が同じであっても良い。第2帯状凸部4の長手方向の長さが上記範囲内であることにより、巻取り精度の制御がより一層容易になる傾向にある。
【0036】
第2帯状凸部4の幅は、好ましくは5~100mmであり、より好ましくは10~50mmであり、さらに好ましくは20~40mmである。幅が5mm以上であることにより、ガラスクロスをより強固に芯管に固定することができるため、巻き取り時の張力を向上することができる。これにより、ガラスクロスが疎に捲回された部分が生じにくく、巻きしわの発生がより抑制される傾向にある。また、幅が100mm以下であることにより、芯管にガラスクロスを貼り付ける際にしわが生じにくくなる。そのため、貼り付ける際に生じる初期しわに起因する巻きしわの発生がより抑制される傾向にある。
【0037】
第2帯状凸部4の厚さは、好ましくは0.5~150μmであり、より好ましくは1~50μmであり、さらに好ましくは1~40μmである。第2帯状凸部4の厚さが0.5μm以上であることにより、ガラスクロスをより強固に芯管に固定することができる傾向にある。また、第2帯状凸部4の厚さが150μm以下であることにより、図2のような歪みが抑制されたり、第2帯状凸部の段差痕がガラスクロスに転写するのが抑制される傾向にある。そのため、芯管にガラスクロスを貼り付ける際にしわが生じにくくなる。そのため、貼り付ける際に生じる初期しわに起因する巻きしわの発生がより抑制される傾向にある。
【0038】
第2帯状凸部の材質は、特に制限されないが、例えば、両面テープなどの接着テープ、ゴム材、樹脂材等が挙げられる。このなかでも、両面テープが好ましい。このような第1帯状凸部を用いることにより、取り扱い性がより向上する傾向にある。なお、芯管の使用前の状態では、両面テープは離型紙により粘着層が露出しないように保護されていてもよい。
【0039】
また、第2帯状凸部4に両面テープなどの粘着性部材やゴム材などの滑り止め部材を用いた場合には、ガラスクロスが幅方向を通して芯管に固定される。そのため、巻き初めからガラスクロスを幅方向に均一に引っ張ることができるため、均一に巻き取ることができる傾向にある。
【0040】
〔凹部〕
第1帯状凸部2の長手方向の長さが基材1の円周長さの100%未満であるとき、基材1の側面において第1帯状凸部2が存在しない箇所は、基材1の軸方向から観察したときに、ガラスクロス用芯管10の最外周形状における凹部3として確認される。この凹部の内壁の少なくとも一部は、図1のように、第1帯状凸部の端部で形成されていてもよい。また、凹部の内壁の少なくとも一部は、図2のように、第2帯状凸部の側部1帯状凸部の端部で形成されていてもよい。
【0041】
凹部の幅Rの、最外周を円近似した円周長に占める割合は、25%以下であり、好ましくは15%以下であり、より好ましくは5%以下である。また、凹部の幅Rの割合の下限は、0%であってもよく、第1帯状凸部を芯管に形成させやすさの観点から、好ましくは5%以上であり、より好ましくは1%以上であり、更に好ましくは0.2%以上である。
【0042】
なお、凹部の幅Rは、ガラスクロス用芯管を基材の軸方向から観察し、第1帯状凸部2及び第2帯状凸部4が基材表面に接していない部分3bの長さとして求めることができる。また、「最外周を円近似した円周長」とは、基材1の最外周を円近似した円周長である。基材1の円周長から、第1帯状凸部の長さを引いた値を、凹部の幅Rと考えることもできる。
【0043】
〔ガラスクロス用芯管(第2実施態様)〕
第2実施態様のガラスクロス用芯管は、ガラスクロスを巻き取るためのガラスクロス用芯管であって、円柱形状を有する基材と、前記基材の側面に、軸方向に沿って配された一又は複数の第2帯状凸部と、を有し、前記第2帯状凸部が、厚さ2μm以上30μm未満の粘着剤層で構成される。
【0044】
第2実施態様のガラスクロス用芯管では、粘着剤層のみで構成される十分な薄さの第2帯状凸部を用いる。これにより、図2のように、基材の円周方向でガラスクロスが密に捲回された部分と、疎に捲回された部分が生じにくいことが分かった。
【0045】
第2実施態様における第2帯状凸部の粘着剤層の厚さは、2μm以上30μm未満であり、好ましくは3μm以上~22μm未満であり、より好ましくは4μm以上~15μm未満であり、さらに好ましくは5μm以上10μm未満である。
【0046】
厚さが30μm未満である場合、芯管にガラスクロスを貼り付けた際、ガラスクロスの表面の凹凸の凹み部位や、ガラスクロスの経糸と緯糸の隙間の空隙部位に接着剤層が侵入することで、第2帯状凸部の厚さをガラスクロスの半分以下に低減することが可能となるため、比較的低弾性率のガラスクロスを、押圧ロールでプレスしつつ捲回する場合にも、巻きしわの発生を抑制することができる。
【0047】
厚さが2μm以上である場合、接着剤がガラスクロスの表面の凹凸の凹み部位や、ガラスクロスの経糸と緯糸の隙間の空隙部位に接着剤層が侵入して接着面積が大きくなることで、芯管とガラスクロスの接着強度が強くなり、適正な巻取り張力を作用させて巻取りを行うことができる。
【0048】
厚さが上記範囲内であることにより、比較的低弾性率のガラスクロスを、押圧ロールでプレスしつつ捲回する場合にも、巻きしわの発生を抑制することができる。
【0049】
第2実施態様のガラスクロス用芯管は、第2帯状凸部が所定の厚さの粘着剤層を含むこと以外は、第1実施態様における構成を有することができる。例えば、第1帯状凸部をさらに有してもよいし、第1帯状凸部及び第2帯状凸部の長さや材質などは同様とすることができる。さらに、芯管の構成についても同様とすることができる。
【0050】
〔ガラスクロス〕
本実施形態のガラスクロス用芯管に捲回されるガラスクロスの弾性率は、好ましくは50GPa~70GPaであり、より好ましくは50~63GPaであり、さらに好ましくは53~63GPaである。ガラスクロスの弾性率が50GPa以上であることにより、巻きしわの発生が抑制される傾向にある。また、ガラスクロスの弾性率が70GPa以下であることにより、ガラスクロスの風合いが柔らかくなり、巻き取りしわが発生しやすいため、本発明が特に有用である。また、ガラスクロスの弾性率が70GPa以下である場合、相対的に誘電率がより低下する傾向にある。弾性率は、ガラス糸の組成により調整することができる。
【0051】
また、ガラスクロスの厚さは、20~60μm、好ましくは25~55μm、より好ましくは30~50μmである。ガラスクロスの厚さが上記範囲内であることにより、巻き取りしわが発生しやすいため、本発明が特に有用である。なお、ガラスクロスの厚さが60μm以下であることにより、得られるプリント配線板の薄型化や高密度化を達成しやすい傾向にある。また、ガラスクロスの厚さが20μm以上であることにより、ガラスクロスの強度がより向上し、意図せずクロスが切断することなどがより抑制される傾向にある。
【0052】
ガラスクロスの長さは、特に限定されず、ガラスクロスの使用用途に応じて適宜選択することができる。具体的なガラスクロスの長さは、通常、200~5000mである。ガラスクロスの長さが200m以上であることにより、芯管に対するガラスクロスの捲回回数が多くなり、また、得られる捲回体の重量が重くなるため、巻きしわがより発生しやすい。そのため、本発明が特に有用である。なお、ガラスクロスの長さが200m以上であることにより、プリプレグ製造等を多量に連続して実施することができる。また、ガラスクロスの長さが5000m以下であることにより、得られる捲回体の大きさや重量が小さくなり、取り扱いや保管性がより向上する傾向にある。
【0053】
ガラスクロスの幅は、特に限定されず、ガラスクロスの使用用途に応じて適宜選択することができる。具体的なガラスクロスの幅は、好ましくは500~2000mmであり、より好ましくは700~1800mmであり、さらに好ましくは900~1600mmである。ガラスクロスの幅が500mm以上であることにより、芯管の軸方向にガラスクロスの長尺方向が直交するように捲回を行いにくくなり、また、得られる捲回体の重量が重くなるため、巻きしわがより発生しやすい。そのため、本発明が特に有用である。なお、幅が上記範囲内であるガラスクロスは、改めて幅を調整することなく、プリプレグ製造で汎用されている樹脂塗工機に供しやすい。
【0054】
ガラスクロスの織り構造は、特に限定されないが、例えば、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織り等の織り構造が挙げられる。さらに、ガラスクロスは、異種のガラス糸を用いた混織構造を有するものであってもよい。この中でも、平織り構造を有するガラスクロスが好ましい。
【0055】
〔ガラスクロス捲回体の製造方法〕
本実施形態のガラスクロス捲回体の製造方法は、ガラスクロスを、押圧ロールにてガラスクロス用芯管の中心方向に圧力を加えつつ捲回する工程を含む。
【0056】
図5に、本実施形態のガラスクロス捲回体の製造方法の一態様を表す図を示す。図5の例では、送り出されたガラスクロスが、ガラスクロスの幅方向に張力を加えるエキスパンダーロール21と、ガラスクロス用芯管の中心方向に圧力を加える押圧ロール22を通過し、ガラスクロス用芯管に捲回される。
【0057】
押圧ロール22にてガラスクロス用芯管の中心方向に圧力を加えることにより、巻取られているガラスクロスの層間への空気の巻き込みをより小さくすることができる。そのため、捲回体の最外層にあるガラスクロスと最外層から1層内層側にあるガラスクロスとの間に適度な摩擦力を作用させることができる。これにより、最外層のガラスクロスに巻取り張力に起因する圧縮応力が作用した場合でも、最外層がその一層内層のガラスクロスに拘束されて動き難くなるため、巻きシワの発生が抑制される。
【0058】
押圧ロールによって付与する圧力は、好ましくは10~500N/mであり、より好ましくは30~400N/m、さらに好ましくは50~300N/mである。押圧ロールによって付与する圧力が10N/m以上であることにより、巻きしわの発生がより抑制される傾向にある。また、押圧ロールによって付与する圧力が500N/m以下であることにより、過加圧に起因して生じるガラスクロスの毛羽立ち等が抑制される傾向にある。
【0059】
なお、押圧ロールは、通常使用されるものであれば特に制限されない。
【0060】
エキスパンダーロール21にて、ガラスクロスの幅方向に張力を加えることにより、安定した巻取りが可能となる。エキスパンダーロールとしては、特に制限されないが、例えば、ガラスクロスを屈曲させてロールに通すことにより両端方向に張力を付与できるものが挙げられる。
【実施例
【0061】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【0062】
〔ガラスクロスの物性〕
ガラスクロスの物性、具体的には、ガラスクロスの厚さ、経糸及び緯糸の質量、経糸及び緯糸を構成するフィラメントの径、フィラメント数、経糸及び緯糸の織密度は、JIS R3420に従い測定した。
【0063】
〔巻き取りしわの評価1〕
巻取り工程中にシワ発生の有無を確認した。その結果を表1に示す。
【0064】
〔巻き取りしわの評価2〕
実施例及び比較例で得られた捲回体を、巻き出し張力90Nで解反した。解反したガラスクロスを目視にて観察し、シワ等の歪の有無を確認した。その結果を表1に示す。
【0065】
〔ガラスクロスAの製造方法〕
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5μm、フィラメント数100本からなるガラス糸(弾性係数61GPa)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸65本/25mm、緯糸67本/25mmの織密度でガラスクロスの生機を製織した。得られたガラスクロスの生機に加熱脱糊処理、シランカップリング剤による表面処理、高圧水スプレーによる開繊処理を実施した後に幅加工を行い、厚さ25μm、長さ2000m×幅1290mmのガラスクロスAを得た。
【0066】
〔ガラスクロスBの製造方法〕
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5μm、フィラメント数100本からなるガラス糸(弾性係数56GPa)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸65本/25mm、緯糸67本/25mmの織密度でガラスクロスの生機を製織した。得られたガラスクロスの生機に加熱脱糊処理、シランカップリング剤による表面処理、高圧水スプレーによる開繊処理を実施した後に幅加工を行い、厚さ25μm、長さ2000m×幅1290mmのガラスクロスBを得た。
【0067】
〔ガラスクロスCの製造方法〕
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5μm、フィラメント数200本からなるガラス糸(弾性係数61GPa)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸52.5本/25mm、緯糸52.5本/25mmの織密度でガラスクロスの生機を製織した。得られたガラスクロスの生機に加熱脱糊処理、シランカップリング剤による表面処理、高圧水スプレーによる開繊処理を実施した後に幅加工を行い、厚さ44μm、長さ2000m×幅1290mmのガラスクロスCを得た。
【0068】
〔実施例1〕
図1において、第1帯状凸部の長手方向長さを、基材の円周長に対して、100%とした芯管を用意した。なお、基材としては、直径182mm×幅1350mmの紙管を用い、第1帯状凸部としては厚さ30μm、幅30mmの、粘着剤層を有するPET基材両面テープを用いた。また、2つの第1帯状凸部の基材1の両端部からの距離は、それぞれ50mmとした。
【0069】
上記芯管に対してガラスクロスAを捲回し、捲回体を得た。具体的には、ガラスクロスAにエキスパンダーロールで拡幅力を印加しながら、初期巻取張力300Nの巻取り張力条件で、芯管に巻き付けた。この際、押圧ロールにてガラスクロス用芯管の中心方向に圧力を加えつつ捲回を行った。押圧ロールによって付与する初期圧力は、150N/mとした。
【0070】
〔実施例2〕
基材の両端及び中心に合計3本の第1帯状凸部を設け、それぞれの第1帯状凸部の長手方向長さを、基材の円周長に対して、100%とした芯管を用意した。なお、基材としては、直径182mm×幅1350mmの紙管を用い、第1帯状凸部としては厚さ30μm、幅30mmの、粘着剤層を有するPET基材両面テープを用いた。また、両端に配した2つの第1帯状凸部の基材1の両端部からの距離は、それぞれ50mmとした。当該芯管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、巻き取りを行った。
【0071】
〔実施例3〕
第1帯状凸部の長手方向長さを基材の円周長に対して80%としたこと以外は実施例1と同様の芯管を用意した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、巻き取りを行った。
【0072】
〔実施例4〕
図3において、第1帯状凸部の長手方向長さを、基材の円周長に対して、100%とし、第2帯状凸部を一本有する芯管を用意した。なお、基材としては、直径182mm×幅1350mmの紙管を用い、第1帯状凸部及び第2帯状凸部としては厚さ30μm、幅30mmの、粘着剤層を有するPET基材両面テープを用いた。また、2つの第1帯状凸部の基材1の両端部からの距離は、それぞれ50mmとした。当該芯管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、巻き取りを行った。
【0073】
〔実施例5〕
実施例4の芯管に対して、第2帯状凸部を一本追加し、第2帯状凸部の本数を合計二本とした芯管を用意した。なお、追加した第2帯状凸部はもともとあった第2帯状凸部に隣り合わせに配した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、巻き取りを行った。なお、この巻き取りの際には、先ず、第2帯状凸部の1本目の両面テープに対してガラスクロスを貼り付け、次いで、ガラスクロスに張力をかけた状態で、1本目の両面テープが存在する向きとは反対方向に芯管を約1回転させ、最後に2本目の両面テープに対してガラスクロスを貼り付けた。
【0074】
〔実施例6〕
第1帯状凸部を、圧さ130μmの、接着剤層を含むPET基材両面テープとしたこと以外は、実施例5と同様の芯管を用意した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、巻き取りを行った。
【0075】
〔実施例7〕
第1帯状凸部を、厚さ130μmの、接着剤層を含むPET基材両面テープとし、第2帯状凸部を、接着剤層のみで構成される厚さを18μmの両面テープとしたこと以外は、実施例5と同様の芯管を用意した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、巻き取りを行った。
【0076】
〔実施例8〕
第1帯状凸部を、厚さ18μmの、接着剤層のみで構成される両面テープとし、第2帯状凸部を、厚さ18μmの、接着剤層のみで構成される両面テープとしたこと以外は、実施例5と同様の芯管を用意した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、巻き取りを行った。
【0077】
〔実施例9〕
実施例5と同様の芯管を用意し、当該芯管に対してガラスクロスBを捲回し、捲回体を得た。その他の条件も、実施例5と同様にして、巻き取りを行った。
【0078】
〔実施例10〕
実施例5と同様の芯管を用意し、当該芯管に対してガラスクロスCを捲回し、捲回体を得た。その他の条件も、実施例5と同様にして、巻き取りを行った。
【0079】
〔比較例1〕
図2のように、第2帯状凸部を一本有する、芯管を用意した。なお、基材としては、直径182mm×幅1350mmの紙管を用い、第2帯状凸部としては厚さ30μm、幅30mmの、粘着剤層を有するPET基材両面テープを用いた。当該芯管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、巻き取りを行った。
【0080】
〔比較例2〕
比較例1の芯管に対して、第2帯状凸部を一本追加し、第2帯状凸部の本数を合計二本とした芯管を用意した。なお、追加した第2帯状凸部はもともとあった第2帯状凸部に隣り合わせに配した。また、第2帯状凸部としては厚さ30μm、幅30mmの、粘着剤層を有するPET基材両面テープを用いた。当該芯管を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、巻き取りを行った。なお、この巻き取りの際には、先ず、第2帯状凸部の1本目の両面テープに対してガラスクロスを貼り付け、次いで、ガラスクロスに張力をかけた状態で、1本目の両面テープが存在する向きとは反対方向に芯管を約1回転させ、最後に2本目の両面テープに対してガラスクロスを貼り付けた。
【0081】
〔比較例3〕
段差痕解消を目的としたL溝加工が施された、φ200mmのABS樹脂製芯管を用意した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、巻き取りを行った。
【0082】
〔比較例4〕
段差痕解消を目的として、外周面に1mm厚さの応力緩和層(クッション層)が配された、φ200mmのABS樹脂製芯管を用意した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、巻き取りを行った。
【0083】
〔比較例5〕
第1帯状凸部の長手方向長さを基材の円周長に対して60%としたこと以外は実施例1と同様の芯管を用意した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、巻き取りを行った。
【0084】
〔実施例11〕
図2において、第2帯状凸部一本有する芯管を用意した。なお、基材としては、直径182mm×幅1350mmの紙管を用い、第2帯状凸部としては厚さ18μm、幅30mmの粘着剤層のみで構成される両面テープを用いた。
当該芯管を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、巻き取りを行った。
【0085】
〔実施例12〕
実施例11の芯管に対して、第2帯状凸部を一本追加し、第2帯状凸部の本数を合計二本とした芯管を用意した。なお、追加した第2帯状凸部はもともとあった第2帯状凸部に隣り合わせに配した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、巻き取りを行った。
【0086】
〔実施例13〕
実施例12の芯管に対して、第2帯状凸部を厚さ7μm、幅30mmの粘着剤層のみで構成される両面テープに変更した芯管を用意した。当該芯管を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、巻き取りを行った。
【0087】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明のガラスクロス用芯管は、巻き取りしわを発生させにくい芯管として、産業上の利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5