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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】点鼻薬噴出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20230608BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20230608BHJP
   A61M 11/02 20060101ALI20230608BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B65D47/34 100
A61M11/02 Z
F04B9/14 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019099999
(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公開番号】P2020193015
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-039298(JP,A)
【文献】特開2014-237454(JP,A)
【文献】実開平04-057264(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 47/34
A61M 11/02
F04B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容可能であって上部を開放した口部につながる収容空間を有する容器本体と、
上方付勢されたステムを押し下げることによって駆動して前記収容空間の薬剤を該ステムから吐出させるディスペンサと、
前記ディスペンサを前記口部に吊り下げた状態で保持するとともに周壁から突出する円柱状の突起を有する装着キャップと、
前記ステムを保持するとともに該ステムに通じる通路を備えるノズルと、該ノズルに連結するとともに前記容器本体を覆う外側壁と、該外側壁に設けられ該外側壁の外側から前記突起に到達可能な開口又は切欠きと、を有するカバーと、
前記カバーに揺動可能に支持される支持部と、該支持部を挟んで一端側に設けられる操作部と、該支持部を挟んで他端側に設けられ前記開口又は切欠きから前記外側壁の内側に挿通されるアームと、前記アームの先端に設けられ前記突起に係合可能な半円部と、を備えるレバーとを備え、
前記レバーは、前記アームが前記突起に下方から係合する準備位置と、アーム押し上げると前記突起に係合する前記半円部によって前記ステムが該ノズルで相対的に押し下げられて薬剤が噴出される噴出位置と、に変位可能である点鼻薬噴出器。
【請求項2】
前記レバーは、前記アームに対して前記操作部の質量が大である請求項1に記載の点鼻薬噴出器。
【請求項3】
前記レバーは、前記アームが前記突起から離反するとともに前記操作部が起立する起立位置に変位可能である請求項1又は2に記載の点鼻薬噴出器。
【請求項4】
前記カバーは、起立位置に変位した前記レバーに係合するストッパを有する請求項3に記載の点鼻薬噴出器。
【請求項5】
起立位置に変位した前記レバーとともに前記ノズルを覆って前記カバーに装着されるオーバーキャップを有する請求項3又は4に記載の点鼻薬噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鼻腔内へ薬剤を噴出させる点鼻薬噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
鼻腔に挿入するノズルを有し、収容した薬剤をノズルの先端から噴出させることによって鼻の内側に薬剤を注入する点鼻薬噴出器が既知である。
【0003】
例えば下記の特許文献1には、ノズルの下端部にフランジ(特許文献1では基板44と称している)が設けられている点鼻薬噴出器が示されている。この点鼻薬噴出器によれば、二本の指(例えば人差し指と中指)をノズルの間に差し入れてフランジにあてがい、そのままフランジを押し下げることによって、収容した薬剤を噴出させることが可能である。
【0004】
また下記の特許文献2には、ノズルを挟んで一対の押圧腕を設け、これらの押圧腕にそれぞれ指をあてがい、ノズルに向かって押圧腕を傾倒させることによって、薬剤をノズルの先端から噴出させることができる点鼻薬噴出器が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-844号公報
【文献】特開2010-75874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこれらの点鼻薬噴出器は、通常2本の指を使って薬剤を噴出させるものであるが、1本の指でも噴出させることが可能であれば、操作性がより高まることになる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであって、従来のものに比してより操作しやすい点鼻薬噴出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、薬剤を収容可能であって上部を開放した口部につながる収容空間を有する容器本体と、
上方付勢されたステムを押し下げることによって駆動して前記収容空間の薬剤を該ステムから吐出させるディスペンサと、
前記ディスペンサを前記口部に吊り下げた状態で保持するとともに周壁から突出する円柱状の突起を有する装着キャップと、
前記ステムを保持するとともに該ステムに通じる通路を備えるノズルと、該ノズルに連結するとともに前記容器本体を覆う外側壁と、該外側壁に設けられ該外側壁の外側から前記突起に到達可能な開口又は切欠きと、を有するカバーと、
前記カバーに揺動可能に支持される支持部と、該支持部を挟んで一端側に設けられる操作部と、該支持部を挟んで他端側に設けられ前記開口又は切欠きから前記外側壁の内側に挿通されるアームと、前記アームの先端に設けられ前記突起に係合可能な半円部と、を備えるレバーとを備え、
前記レバーは、前記アームが前記突起に下方から係合する準備位置と、アーム押し上げると前記突起に係合する前記半円部によって前記ステムが該ノズルで相対的に押し下げられて薬剤が噴出される噴出位置と、に変位可能である点鼻薬噴出器である。
【0009】
前記レバーは、前記アームに対して前記操作部の質量が大であることが好ましい。
【0010】
前記レバーは、前記アームが前記突起から離反するとともに前記操作部が起立する起立位置に変位可能であることが好ましい。
【0011】
前記カバーは、起立位置に変位した前記レバーに係合するストッパを有することが好ましい。
【0012】
起立位置に変位した前記レバーとともに前記ノズルを覆って前記カバーに装着されるオーバーキャップを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の点鼻薬噴出器は、レバーの操作部を押圧することにより、操作部の反対側に設けたレバーのアームが装着キャップの突起を押し上げ、これによりディスペンサのステムがノズルで相対的に押し下げられてディスペンサを駆動させることができる。このような操作部は1本の指でも押圧可能であるため、通常2本の指を使って薬剤を噴出させていた従来の点鼻薬噴出器よりも操作性が良くなる。
【0014】
ところで特許文献1、2の如き従来の点鼻薬噴出器では、ノズルを鼻腔に挿入して薬剤を噴出させる操作を行うと、ノズルが下方へ移動するため、所期した部位に薬剤を噴出できなかったり薬剤が鼻の外に漏れたりするおそれがある。また所期した部位に薬剤を噴出させるためには、ノズルの移動に合わせて点鼻薬噴出器を上方へ動かさなければならず、操作性の点で難がある。一方、本発明に従う点鼻薬噴出器では、カバーにノズルを設けるとともに薬剤を噴出させる操作を行うアームはカバーに揺動可能に支持されるように構成していて、アームを動かしてもノズルは移動しないため、所期した部位へ操作性よく薬剤を噴出させることができる。
【0015】
またこのようなレバーとして、アームに対して操作部の質量が大であるものを用いる場合は、操作部の自重でもって、アームよりも操作部が下方に位置するようにレバーが揺動するため、レバーを準備位置に自動的に変位させることができる。すなわち、揺動する途中でレバーが止まってしまう不具合を有効に防止することができる。
【0016】
更にレバーが、突起からアームが離反するとともに操作部が起立する起立位置に変位可能である場合は、点鼻薬噴出器を使用しない場合は起立位置にレバーを変位させておくことによってレバーが邪魔になることがなく、また薬剤が不用意に噴出される不具合も防止することができる。
【0017】
またカバーに、起立位置に変位したレバーに係合するストッパを設ける場合は、レバーが意図せず準備位置に変位することがなくなるため、薬剤の不用意な噴出が更に確実に防止できる。
【0018】
そして、起立位置に変位したレバーとともにノズルを覆ってカバーに装着されるオーバーキャップを設ける場合は、ノズルへの埃や塵の付着が抑制されるため衛生的に優れるうえ、輸送中や店頭での陳列時に操作部が押圧されることがないため、薬剤の偶発的な噴出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に従う点鼻薬噴出器の一実施形態に関し、レバーを起立位置に変位させた状態について示した側面視での説明図である。
図2図1に示した点鼻薬噴出器の斜視図である(オーバーキャップは取り外している)。
図3図1に示した点鼻薬噴出器に関し、レバーを準備位置に変位させた状態について示した側面視での説明図である。
図4図3に示した点鼻薬噴出器の平面図及び側面図である。
図5図3に示した点鼻薬噴出器の斜視図である。
図6図1に示した点鼻薬噴出器に関し、レバーを噴出位置に変位させた状態について示した側面視での説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明に従う点鼻薬噴出器の一実施形態について説明する。なお図1は、本実施形態の点鼻薬噴出器を正立させた状態で示した図であって、以下の説明における「上」「下」の関係は、図1に示すように点鼻薬噴出器を正立させた状態での向きをいう。また「後」とは、後述するレバーを設けた側(図1では右側)であり、「前」とは、その逆側(図1では左側)である。また「左」「右」は、前から後に向かって点鼻薬噴出器を見た際の左右方向である。
【0021】
本実施形態の点鼻薬噴出器は、容器本体1、ディスペンサ2、装着キャップ3、カバー4、レバー6、オーバーキャップ7で構成されている。またカバー4は、図1に示すようにカバー4の下方における開口を閉鎖する底板5を備えている。
【0022】
容器本体1は、板状をなす底部1aと、底部1aの外縁部から起立する胴部1bと、胴部1bの上部に連結する円筒状の口部1cを備えるものである。底部1a、胴部1b、口部1cで取り囲まれた内部の空間(収容空間S)には、点鼻用の薬剤を収容することが可能である。また口部1cの外周面には、雄ねじ部1dが設けられている。本実施形態における容器本体1は、図2に示すように、前後方向の幅が左右方向の幅よりも広くなっていて、これによりカバー4に対して決まった向きに収容される。
【0023】
ディスペンサ2は、概略筒状をなすシリンダー2aを備えている。シリンダー2aには、逆止弁2b、下部スプリング2c、ポペット2d、ピストン2e、上部スプリング2f、ステム2g等が組み込まれている。またシリンダー2aの下端部には、底部1aに向かって延在するパイプ2hが設けられている。このように構成されるディスペンサ2によれば、ステム2gをシリンダー2aの内側に向けて移動させると、シリンダー2a内でピストン2eが下方に移動してシリンダー2aの内部が加圧されるため、シリンダー2a内の薬剤をステム2gの上端部より吐出させることができる。また上方付勢されているステム2gが元の位置へ向かって上昇すると、ピストン2eもシリンダー2a内で上方へ移動し、それに伴いシリンダー2aの内部が減圧されるため、パイプ2hを通して収容空間Sに収容されている薬剤をシリンダー2a内に吸引することができる。従って、ステム2gを往復移動させることによって、収容空間Sに収容されている薬剤をステム2gから繰り返し吐出させることができる。
【0024】
装着キャップ3は、口部1cを取り囲む円筒状の周壁3aを備えている。周壁3aの内周面には、雄ねじ部1dに適合する雌ねじ部3bが設けられている。また周壁3aの外周面における左右には、円柱状をなし径方向外側に向けて突出する一対の突起3cが設けられている。そして周壁3aの上端部には、径方向内側に向けて延在する天壁3eが設けられていて、天壁3eの中央部には上方に向けて突出する段部3dが設けられている。なお段部3dの中央部には、上述したステム2gを挿通させる貫通孔が設けられていて、また段部3dの内側は、シリンダー2aの上端部を嵌合保持できるように構成されている。また装着キャップ3は、段部3dから上方に向けて起立する円筒状の内側上部周壁3fと、内側上部周壁3fの径方向外側に位置する円筒状の外側上部周壁3gが設けられている。そして天壁3eの下面には、軟質材等で形成されるパッキン3hが配置されている。このような装着キャップ3によれば、段部3dの貫通孔からステム2gを突出させるとともに段部3dにシリンダー2aの上端部を嵌合させ、天壁3eの下方にパッキン3hを配置し、更に雄ねじ部1dに雌ねじ部3bをねじ込むことによって、ディスペンサ2を口部1cに吊り下げるようにして保持することができる。
【0025】
カバー4は、上方に向けて起立するノズル4aを備えている。ノズル4aの中央部には、ステム2gの上端部を保持する内側筒状壁4bが設けられていて、内側筒状壁4bの内側に形成される通路4cは、ステム2gと連通している。また内側筒状壁4bの上部には、通路4cに通じるとともに薬剤を外界に噴出させる噴出口4dが設けられている。そして内側筒状壁4bの径方向外側には、外側筒状壁4eが設けられている。
【0026】
またカバー4は、概略有蓋筒状をなし外側筒状壁4eに連結するとともに容器本体1の全体を覆う(装着キャップ3から容器本体1の底部1aまでを覆う)外側壁4fを備えている。外側壁4fの下面には、装着キャップ3の外側上部周壁3gよりも径方向内側に位置する環状壁4gが設けられている。また外側壁4fにおける後方上部側面には、外側壁4fを貫通して、外側壁4fの外側から突起3cに到達可能な開口4hが設けられている。そして開口4hに対して左右方向外側には、板状をなす一対の側壁4jが設けられていて(図2参照)、側壁4jにおける開口4hに向く面には、縦方向に延在する縦溝4kと、縦溝4kの下端部に位置するとともにレバー6を揺動可能に支持する軸穴4mが設けられている。
【0027】
底板5は、カバー4における下方の開口を塞ぐものである。本実施形態の底板5は、その外縁部から起立してカバー4の内周面に係合する爪部5aを備えている。また底板5は、胴部1bの左右の外周面に沿って上向きに延在する一対の縦板部5bを備えていて、縦板部5bの上端部には、上方に向けて半円状に突出する凸部(ストッパ)5cが設けられている。
【0028】
レバー6は、概略円柱状をなし、対をなす側壁4jの内側に収まる幅で形成される支持部6aを備えている。支持部6aの左右両端部には、円柱状をなして軸穴4mに収まる軸部6bが設けられている。また支持部6aの外周面には、板状をなすとともに片面に凹凸部を設けた操作部6cが設けられている。また、操作部6cの反対側であって支持部6aの外周面における左右両端部には、一対のアーム6dが設けられている。本実施形態のアーム6dは、直線状に延在するとともに先端に半円部6eを備えるものである。なおレバー6は、図1に示すように操作部6cが起立する位置(起立姿勢)と、図3に示すようにレバー6の半円部6eが突起3cに下方から係合する位置(準備位置)と、図6に示すようにレバー6によって突起3cが押し上げられて容器本体1が上方に持ち上げられる位置(噴出位置)との間で揺動することが可能である。
【0029】
オーバーキャップ7は、有蓋筒状をなすものであって、カバー4に対して着脱可能に装着される形態で設けられている。
【0030】
このような構成になる点鼻薬噴出器では、図1に示すようにしてオーバーキャップ7を装着することができる。この状態においては、オーバーキャップ7によってノズル4aが覆われるため、ノズル4aへの埃や塵の付着を抑制することが可能である。またオーバーキャップ7の内側にはレバー6も収まるため、輸送中や店頭での陳列時に操作部6cが押圧されることがなく、薬剤の偶発的な噴出を防止することができる。また、図1に示したように本実施形態の操作部6cは、起立位置においてカバー4よりも後方に突出していないため、オーバーキャップ7の外周壁をカバー4の外周壁に揃えることができ、見栄えの点でも優れている。
【0031】
薬剤を吐出するにあたっては、図1に示したオーバーキャップ7を取り外して図2に示す状態とする。なお、起立位置におけるレバー6は、半円部6eの先端がストッパ5cに係合しているため、不用意に揺動することはない。
【0032】
そして、操作部6cに指をかけて後方に向けて力を加えると、半円部6eとストッパ5cとの係合が解けて、レバー6は、図3図5に示すように半円部6eが突起3cに下方から係合する位置(準備位置)まで変位する。なお、本実施形態のレバー6は、半円部6eを含めたアーム6dに対して操作部6cの質量が大となっている。このため、半円部6eとストッパ5cとの係合が解ければ、その自重でもってレバー6を準備位置まで自動的に変位させることができる。
【0033】
その後、図3に示す準備位置に変位したレバー6に対し、操作部6cに指をあてがってこれを押圧する。本実施形態では、指で押圧する部位は操作部6cのみであるため、1本の指で操作することができる。このようにして操作部6cを押圧して、レバー6を図6に示す噴出位置まで変位させると、半円部6eで突起3cが押し上げられて容器本体1は上方に持ち上げられ、ステム2gはノズル4aで相対的に押し下げられることになる。そして、図1に示したピストン2eは、シリンダー2aの内側で移動してシリンダー2a内が加圧されるため、シリンダー2aに収容されている薬剤は、ステム2gの内側を通って通路4c内を通過し、噴出口4dから噴出される。ここで、容器本体1が上方に持ち上げられる際、図6に示すように、内側上部周壁3fは内側筒状壁4bと外側筒状壁4eに案内されるようにしてこれらの間に入り込み、また外側上部周壁3gも環状壁4gに案内されるようにして上昇する。すなわち容器本体1を、前後左右に傾けることなく上昇させることができるため、操作部6cを押圧する際に過大な力を要することがない。また操作部6cへの押圧を解除すると、上方付勢されているステム2gが元の位置へ移動し、それに伴って図1に示すピストン2eが元の位置に戻ってシリンダー2a内が減圧されるため、収容空間Sに収容されている薬剤はパイプ2hを通してシリンダー2a内に吸引される。従って、操作部6cへの押圧とその解除を繰り返すことによって、薬剤を噴出口4dから繰り返し噴出させることができる。なお、操作部6cを押圧した際は、容器本体1が上方に持ち上げられているため、操作部6cへの押圧を解除すると、容器本体1はその自重でもって下方に移動することになる。すなわち、操作部6cへの押圧を解除することにより、上方付勢されているステム2gの復元力に加え、容器本体1も下方に移動するため、図6に示した噴出位置のレバー6を、図3に示した準備位置まで確実に戻すことができる。
【0034】
以上、本発明に従う点鼻薬噴出器について具体的な実施形態を示しながら説明したが、本発明に従う点鼻薬噴出器は、上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に従う範疇で種々の変更を加えたものも含まれる。例えばアーム6dは、先端に設けた半円部6eを省略して直線状に延在するだけの形態としてもよい。また、レバー6に設けた軸部6bとカバー4に設けた軸穴4mを、相互に入れ替えるように構成してもよい。また開口4hは、カバー4に設けた孔であるが、カバー4の下端に至るまで孔を広げて切欠きとし、この切欠きにレバー6のアーム6dが挿通されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 :容器本体
1a :底部
1b :胴部
1c :口部
1d :雄ねじ部
2 :ディスペンサ
2a :シリンダー
2b :逆止弁
2c :下部スプリング
2d :ポペット
2e :ピストン
2f :上部スプリング
2g :ステム
2h :パイプ
3 :装着キャップ
3a :周壁
3b :雌ねじ部
3c :突起
3d :段部
3e :天壁
3f :内側上部周壁
3g :外側上部周壁
3h :パッキン
4 :カバー
4a :ノズル
4b :内側筒状壁
4c :通路
4d :噴出口
4e :外側筒状壁
4f :外側壁
4g :環状壁
4h :開口
4j :側壁
4k :縦溝
4m :軸穴
5 :底板
5a :爪部
5b :縦板部
5c :凸部(ストッパ)
6 :レバー
6a :支持部
6b :軸部
6c :操作部
6d :アーム
6e :半円部
7 :オーバーキャップ
S :収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6