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  • 特許-ハイマウントストップランプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】ハイマウントストップランプ
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/20 20180101AFI20230608BHJP
   F21S 43/237 20180101ALI20230608BHJP
   F21S 43/249 20180101ALI20230608BHJP
   F21S 45/10 20180101ALI20230608BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20230608BHJP
   B60Q 1/44 20060101ALI20230608BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20230608BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230608BHJP
【FI】
F21S43/20
F21S43/237
F21S43/249
F21S45/10
F21S43/14
B60Q1/44 A
F21W103:35
F21Y115:10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019182582
(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公開番号】P2021061091
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 安弘
(72)【発明者】
【氏名】中山 晴基
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-56629(JP,U)
【文献】特開2013-26095(JP,A)
【文献】特開2019-8933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
B60Q 1/00- 1/56
F21W 103/35
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に装着されるリアスポイラーと一体化されるハイマウントストップランプであって、
ハウジングと当該ハウジングの開口部を塞ぐアウタレンズとから構成され、前記リアスポイラーに埋設されるランプ本体と、
前記ランプ本体に収容された光源と、
前記ランプ本体に収容され、前記光源の点灯を制御する制御基板と、
前記ランプ本体の外面に貼り付けられ、前記制御基板の少なくとも一部を覆うアルミテープと、を有し、
前記アルミテープは、前記ランプ本体が前記リアスポイラーに埋設されると、当該リアスポイラーによって覆い隠されて外部から目視不能となる、ハイマウントストップランプ。
【請求項2】
前記アルミテープが前記アウタレンズの外面に貼り付けられている、請求項1に記載のハイマウントストップランプ。
【請求項3】
前記光源が発光ダイオードである、請求項1又は請求項2に記載のハイマウントストップランプ。
【請求項4】
前記ランプ本体に収容され、当該ランプ本体の長手方向に延在する導光部材を有し、
2つの前記光源が前記導光部材の長手方向両側にそれぞれ配置され、
一方の前記光源から発せられた光が前記導光部材の長手方向一端から当該導光部材に入射し、他方の前記光源から発せられた光が前記導光部材の長手方向他端から当該導光部材に入射する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のハイマウントストップランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車両の後部に設けられるハイマウントストップランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くの車両の後部には、制動灯の他に補助制動灯が装着されている。制動灯及び補助制動灯は、運転者のブレーキ操作に連動して点灯し、後続車や周囲の車両に対して当該車両が減速中または停止中であることを知らせる。通常、一対の制動灯が車両の後部両側に対称に装着される。補助制動灯は、後方からの視認性をより高めるために、車両の後部中央であって、かつ、制動灯よりも高い位置に装着される。このため、制動灯が「ブレーキランプ」と呼ばれるのに対して、補助制動灯は「ハイマウントストップランプ」と呼ばれる。
【0003】
ハイマウントストップランプの具体的な装着位置は、車両の構造やデザインなどによって異なる。例えば、トランクリッドを備えるセダンタイプやクーペタイプの車両の場合、車室内のリアトレイ上にハイマウントストップランプが装着されることが多い。また、ハッチバックタイプの車両の場合、リアゲート(「テールゲート」や「バッグドア」と呼ばれることもある。)の上部にハイマウントストップランプが装着されることが多い。さらに、リアスポイラーを備える車両の場合には、リアスポイラーにハイマウントストップランプが装着されることが多い。
【0004】
ハイマウントストップランプは、ハウジングと当該ハウジングの開口部を覆うアウタレンズとから構成されるランプ本体を備えており、ランプ本体には、光源と当該光源の点灯を制御する制御基板とが少なくとも収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-21082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハイマウントストップランプのデザイン性や放熱性などを向上させるために制御基板の大きさが制約されることがある。しかし、制御基板の大きさが制約された結果、制御基板上のGNDパターンの面積が縮小されると、制御基板の耐ノイズ性能が低下する。そして、制御基板の耐ノイズ性能が低下すると、外来ノイズの影響によって光源の正常な点灯が妨げられる虞がある。多層化やパターン変更などによって制御基板の耐ノイズ性能を向上させることも考えられるが、これらの対策を実現するためには手間やコストを要する。
【0007】
本発明の目的は、制御基板が外来ノイズの影響を受けないように改良されたハイマウントストップランプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のハイマウントストップランプは、車両に装着されるリアスポイラーと一体化されるハイマウントストップランプである。本発明のハイマウントストップランプは、ハウジングと当該ハウジングの開口部を塞ぐアウタレンズとから構成され、前記リアスポイラーに埋設されるランプ本体と、前記ランプ本体に収容された光源と、前記ランプ本体に収容され、前記光源の点灯を制御する制御基板と、前記ランプ本体の外面に貼り付けられ、前記制御基板の少なくとも一部を覆うアルミテープと、を有する。そして、前記アルミテープは、前記ランプ本体が前記リアスポイラーに埋設されると、当該リアスポイラーによって覆い隠されて外部から目視不能となる。
【0009】
本発明の一態様では、前記アルミテープが前記アウタレンズの外面に貼り付けられる。
【0010】
本発明の他の一態様では、前記光源が発光ダイオードである。
【0011】
本発明の他の一態様では、前記ランプ本体に収容され、当該ランプ本体の長手方向に延在する導光部材が設けられる。また、2つの前記光源が前記導光部材の長手方向両側にそれぞれ配置される。そして、一方の前記光源から発せられた光が前記導光部材の長手方向一端から当該導光部材に入射し、他方の前記光源から発せられた光が前記導光部材の長手方向他端から当該導光部材に入射する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、制御基板が外来ノイズの影響を受けないように改良されたハイマウントストップランプが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ハイマウントストップランプが一体化されたリアスポイラーが装着された車両の一例を示す部分斜視図である。
図2】ハイマウントストップランプの外観を示す斜視図である。
図3】アウタレンズが取り外されたハイマウントストップランプの斜視図である。
図4】リアスポイラーとハイマウントストップランプとの位置関係および制御基板とアウタレンズとの位置関係を模式的に示す説明図である。
図5】制御基板とアルミテープとの位置関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明が適用されたハイマウントストップランプの一例について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示されるように、本実施形態に係るハイマウントストップランプ1は、車両10に装着されるリアスポイラー11と一体化される。図1に示されている車両10は、所謂ハッチバックタイプの車両である。この車両10の後部には、大きな荷物を車室内に出し入れし得る開口部(後方開口部)が設けられている。この後方開口部は、車両10のルーフ12の後端に設けられたヒンジによって回動可能に支持されているリアゲート13によって開閉される。尚、リアゲートは、「テールゲート」や「バッグドア」等と呼ばれることもあるが、本明細書では「リアゲート」と呼ぶ。
【0015】
リアゲート13にはリアガラス14が嵌め込まれている。リアスポイラー11は、リアゲート13の上端に装着されており、リアガラス14の上辺に沿って車幅方向に延びている。リアスポイラー11は、リアゲート13が閉じられると車両10のルーフ12に連なり、ルーフ12に沿って流れてきた空気(走行風)を整流して車両10からスムーズに離脱させる。
【0016】
図1に示されるように、ハイマウントストップランプ1は、リアスポイラー11に埋設されている。具体的には、ハイマウントストップランプ1は、リアスポイラー11の長手方向中央に設けられている凹部に嵌め込まれている。
【0017】
図2に示されるように、ハイマウントストップランプ1は、ハウジング20とアウタレンズ30とから構成されるランプ本体40を備えている。図3に示されるように、ハウジング20は、リアスポイラー11(図1)の長手方向に沿って延びる細長の箱である。具体的には、ハウジング20は、背面部21,天井部22,底部23,右側部24,左側部25及び開口部26を有する。背面部21と開口部26とは互いに対向し、天井部22と底部23とは互いに対向し、右側部24と左側部25とは互いに対向している。この結果、長手方向と直交するハウジング20の断面は略コ字形を呈する。
【0018】
以下の説明では、開口部26が設けられているハウジング20の一面を「前面」と呼ぶ場合がある。また、背面部21によって形成されているハウジング20の一面を「背面」、右側部24によって形成されるハウジング20の他の一面を「右側面」、左側部25によって形成されるハウジング20のさらに他の一面を「左側面」と呼ぶ場合がある。電源ケーブルSCがハウジング20の背面から引き出されており、電源ケーブルSCの先端には、車両側のコネクに接続されるコネクタが設けられている。また、ハウジング20の右側面および左側面には、ハイマウントストップランプ1をリアスポイラー11に固定するためのネジが挿通される貫通穴を有するリブ27,28がそれぞれ一体形成されている。
【0019】
図2図4に示されるように、アウタレンズ30は、ハウジング20の開口部26を塞ぐように、ハウジング20の前面に装着されている。アウタレンズ30は、透光性のある樹脂によって形成されており、かつ、赤色に着色されている。アウタレンズ30は、ハウジング20の天井部22と平行又は略平行な上面部31と、上面部31の先端からハウジング20の底部23に向かって斜めに延びる傾斜部32と、を含んでおり、全体として略三角形の断面形状を有する。尚、ランプ本体40の水密性や気密性を確保すべく、ハウジング20とアウタレンズ30との当接部にゴムパッキン等のシール部材が配置されることがある。
【0020】
図2図3に示されるように、ランプ本体40には、2つの光源51,52と、これら光源51,52の点灯を制御する制御基板53と、光源51,52から出射された光が入射する管状の導光部材54と、導光部材54を保持するホルダ55と、が収容されている。
【0021】
図3に示されるように、ホルダ55は、対向する上板55a及び下板55bを備えており、ハウジング20に固定されている。具体的には、ハウジング20の内部には、背面側から前面側に向かって突出する複数のブラケット29が一体成形されており、それぞれのブラケット29の先端にホルダ55の上板55aがネジ留めされている。
【0022】
導光部材54は、ハウジング20に沿って延在しており、両端部を除く略全長がホルダ55の上板55aと下板55bとの間の隙間に差し入れられている。つまり、対向する上板55a及び下板55bによって導光部材54を保持する保持溝が形成されている。
【0023】
光源51,52は、導光部材54の長手方向両側にそれぞれ配置されている。具体的には、導光部材54の長手方向一端(右端)とハウジング20の右側部24との間に光源51が配置されている。また、導光部材54の長手方向他端(左端)とハウジング20の左側部25との間に光源52が配置されている。光源51から発せられた光は、導光部材54の右端から当該導光部材54に入射し、当該導光部材54の左端に向かって伝搬する。一方、光源52から発せられた光は、導光部材54の左端から当該導光部材54に入射し、当該導光部材54の右端に向かって伝搬する。この結果、導光部材54の全長に亘って当該導光部材54の外周面から均一又は略均一に光が発せられる。導光部材54の外周面から発せられた光は、アウタレンズ30の傾斜部32を通して外部に出射される。既述のとおり、アウタレンズ30は赤色に着色されている。よって、アウタレンズ30の傾斜部32を通して外部に出射される光は赤色光となる。尚、本実施形態における光源51,52は発光ダイオードである。
【0024】
図3に示されている制御基板53は、運転者のブレーキ操作に連動して光源51,52を点灯させるための制御回路(点灯回路)を構成する電子部品や配線パターンを備えている。運転者によってブレーキが操作されると、電源ケーブルSCを介して制御基板53に電流が入力される。制御基板53は、入力された電流に基づいて光源51,52に所定の順方向電圧を印加し、これら光源51,52を発光させる。
【0025】
図3に示されるように、制御基板53はホルダ55の上板55aの上に載置されている。もっとも、制御基板53の一部はホルダ55の上板55aと重なっているが、制御基板53の他の一部は上板55aからはみ出している。上板55aからはみ出している制御基板53の一部は、ハウジング20に底部23に突設されている複数本のボスによって支持されているとともに、それらボスにネジ留めされている。
【0026】
図4に示されるように、制御基板53はアウタレンズ30によって覆われている。より具体的には、制御基板53はアウタレンズ30の上面部31によって覆われており、制御基板53の主面53aとアウタレンズ30の上面部31の内面31aとは僅かな隙間を介して対向している。
【0027】
再び図2を参照すると、ランプ本体40の外面にアルミテープ60が貼り付けられている。具体的には、アウタレンズ30の上面部31の外面31bにアルミテープ60が貼り付けられている。尚、アウタレンズ30の上面部31の外面31bがランプ本体40の外面の一部であることは明らかである。
【0028】
図5に示されるように、アルミテープ60は長方形であり、その幅(W)は制御基板53の幅よりも広く、アウタレンズ30の上面部31の幅よりも狭い。また、アルミテープ60の長さ(L)は、制御基板53の長さよりも長く、アウタレンズ30の上面部31の長さよりも短い。上記寸法を有するアルミテープ60は、制御基板53の真上に貼り付けられており、制御基板53の少なくとも一部を覆っている。本実施形態では、アウタレンズ30の上面部31の内面31a(図4)と対向している制御基板53の主面53aの全域がアルミテープ60によって覆われている。アルミテープ60は、制御基板53に影響を与える恐れがある外来ノイズ(高周波電磁波)を反射し、制御基板53に外来ノイズが到達することを防止する。制御基板53に影響を与える恐れがある外来ノイズの発生源は様々であるが、例えば、リアガラス14(図1)に設けられる電熱線やフィルムアンテナ等は外来ノイズの発生源の1つとなり得る。尚、アルミテープ60の目的は外来ノイズを反射することである。よって、アルミテープ60を接地させる必要はない。図5では、図1等に示されている電源ケーブルSCの図示は省略されている。
【0029】
ここで、図4に示されるように、ランプ本体40がリアスポイラー11の所定位置に埋設されると、アウタレンズ30の上面部31の外面31bは、その全域がリアスポイラー11に覆われる。この結果、アウタレンズ30の上面部31よりも幅が狭く、かつ、長さが短いアルミテープ60は、リアスポイラー11によって完全に覆い隠され、外部から目視不能となる。尚、ランプ本体40がリアスポイラー11に埋設されると、アウタレンズ30の上面部31はリアスポイラー11に覆われるが、傾斜部32はリアスポイラー11に覆われず外部に露出する。よって、傾斜部32から出射される光がリアスポイラー11によって遮られることはない。また、傾斜部32の表面はリアスポイラー11の表面と面一又は略面一となる。
【0030】
以上のように、本実施形態に係るハイマウントストップランプ1では、制御基板53の少なくとも一部が外来ノイズを反射可能なアルミテープ60によって覆われている。よって、制御基板53が外来ノイズの影響によって誤作動したり、動作不能なったりすることがない。さらに、電磁シールドとして機能するアルミテープ60は、制御基板53が収容されているランプ本体40の外面に貼り付けられているが、ランプ本体40がリアスポイラー11に埋設されると、当該リアスポイラー11によって覆い隠されて外部から目視不能となる。よって、アルミテープ60がリアスポイラー11やリアスポイラー11が装着される車両10の美観を損なうことは一切ない。
【0031】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、光源は発光ダイオードに限られず、光源の数や配置も適宜変更することができる。アルミテープを貼り付ける位置は制御基板の位置などに応じて適宜変更することができる。また、アルミテープの形状や大きさも適宜変更することができる。さらに、必要に応じて2枚以上のアルミテープを貼り付けてもよく、アルミテープをハウジングとアウタレンズとに跨って貼り付けてもよい。
【0032】
上記実施形態では、制御基板の主面の全域がアルミテープによって覆われていた。しかし、外来ノイズの影響を特に受けやすい制御基板の主面の一部のみをアルミテープで覆ってもよい。例えば、インピーダンスが高い配線は、それが低い配線に比べて外来ノイズの影響を受けやすい。よって、制御基板の主面上に、インピーダンスが高い配線と低い配線とが混在する場合、インピーダンスが高い配線のみを選択的にアルミテープで覆ってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 ハイマウントストップランプ
10 車両
11 リアスポイラー
12 ルーフ
13 リアゲート
14 リアガラス
20 ハウジング
21 背面部
22 天井部
23 底部
24 右側部
25 左側部
26 開口部
27,28 リブ
29 ブラケット
30 アウタレンズ
31 上面部
31a 内面
31b 外面
32 傾斜部
40 ランプ本体
51,52 光源
53 制御基板
53a 主面
54 導光部材
55 ホルダ
55a 上板
55b 下板
60 アルミテープ
SC 電源ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5