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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】発熱性の膨張性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/14 20060101AFI20230608BHJP
   C09K 5/18 20060101ALI20230608BHJP
   C08K 3/10 20180101ALI20230608BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20230608BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20230608BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20230608BHJP
   C08K 3/16 20060101ALI20230608BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20230608BHJP
   C08K 9/02 20060101ALI20230608BHJP
   A61F 7/02 20060101ALI20230608BHJP
   A61M 35/00 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
C08L101/14
C09K5/18 J
C09K5/18 K
C08K3/10
C08K3/08
C08K3/22
C08K3/04
C08K3/16
C08K3/26
C08K9/02
A61F7/02 L
A61M35/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019531788
(86)(22)【出願日】2017-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2017066208
(87)【国際公開番号】W WO2018112099
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】62/433,766
(32)【優先日】2016-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512020187
【氏名又は名称】フォエバー ヤング インターナショナル、 インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ヤング、 ダニエル エル.
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-500460(JP,A)
【文献】特開2003-129041(JP,A)
【文献】特表平11-511235(JP,A)
【文献】国際公開第2006/006645(WO,A1)
【文献】特表2009-508563(JP,A)
【文献】特表2013-500216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L
C08K
C09K 5/18
A61M35/00
A61F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張性の発熱性ゲル形成組成物であって、
銅、ニッケル、パラジウム、銀、金、白金、炭素、コバルト、アルミニウム、リチウム、鉄、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、マグネシウム、マンガン、MgNi、MgNi、MgCa、MgCa、及びMgCOからなる群から選択される少なくとも2種を含む金属性ガルバニック合金粒子、
少なくとも1種の遷移金属から構成される金属性二次シェル、および
高吸収性ポリマーを含み、
前記金属性ガルバニック合金粒子、前記金属性二次シェル、ならびに前記高吸収性ポリマーが互いにブレンドされ、
前記ゲル形成組成物が、水和されるにつれて膨張し、空気の非存在下で水および電解質に曝露されると、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こすように適合され、
前記金属性二次シェルが、前記発熱性ゲル形成組成物内で、前記発熱反応によって生成される水素ガス副生成物を、抑制するように適合され
前記金属性二次シェルが、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、イットリウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、及び/またはウンウンニリウムを含む1種以上の遷移金属を含む、組成物。
【請求項2】
前記金属性ガルバニック合金粒子が、マグネシウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
膨張性の発熱性ゲル形成組成物であって、
銅、ニッケル、パラジウム、銀、金、白金、炭素、コバルト、アルミニウム、リチウム、鉄、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、マグネシウム、マンガン、Mg Ni、MgNi 、Mg Ca、MgCa 、及びMgCO からなる群から選択される少なくとも2種を含む金属性ガルバニック合金粒子、
少なくとも1種の遷移金属から構成される金属性二次シェル、および
高吸収性ポリマーを含み、
前記金属性ガルバニック合金粒子、前記金属性二次シェル、ならびに前記高吸収性ポリマーが互いにブレンドされ、
前記ゲル形成組成物が、水和されるにつれて膨張し、空気の非存在下で水および電解質に曝露されると、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こすように適合され、
前記金属性二次シェルが、前記発熱性ゲル形成組成物内で、前記発熱反応によって生成される水素ガス副生成物を、抑制するように適合され、
前記金属性二次シェルの前記遷移金属が、二酸化マンガンである組成物。
【請求項4】
前記金属性ガルバニック合金粒子、金属性二次シェル、および高吸収性ポリマーとブレンドされた、活性炭をさらに含み、
前記活性炭が、マグネタイトとブレンドまたは合金化され、前記活性炭が、前記ゲル形成組成物の全重量の2~25%を占め、
前記活性炭が、ゲル形成中の発熱反応によって生成される臭気を吸収する、請求項1又は3に記載の組成物。
【請求項5】
塩化ナトリウムまたは塩化カルシウムを含む電解質をさらに含み、前記高吸収性ポリマーが、少なくとも200g/gの吸収能力を有し、前記高吸収性ポリマーが、水素結合を介した水分子の溶媒和によって溶解することなく水を吸収するように動作可能である、請求項1又は3に記載の組成物。
【請求項6】
前記金属性ガルバニック合金粒子が、2~20重量%の鉄と80~98重量%のマグネシウムの混合物から形成されるか、又は、
前記組成物が、20:1~5:1の重量比の金属性ガルバニック合金粒子と高吸収性ポリマーを混合することによって形成されるか、又は、
前記組成物が、1:1の重量比の金属性ガルバニック合金粒子と高吸収性ポリマーを混合することによって形成されるか、又は、
前記組成物が、20:1~5:1の重量比の高吸収性ポリマーと金属性ガルバニック合金粒子を混合することによって形成される、請求項1又は3に記載の組成物。
【請求項7】
前記ゲル形成組成物が、前記発熱反応の副生成物として、水および過酸化水素(H)を生成するように適合されている、請求項1又は3に記載の組成物。
【請求項8】
前記金属性二次シェルによって生成された酸素と前記発熱反応の前記水素ガス副生成物とを組み合わせることによって、前記発熱性ゲル形成組成物内で、前記発熱反応によって生成された水素ガスの95%超を、抑制するように適合された、請求項1又は3に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年12月13日出願の米国特許仮出願第62/433,766号に対する優先権を主張するものであり、その内容はそれらの全体として、参照により逐語的に記述されているかのように本出願に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本開示は、一般に、消費者製品および医療産業において主に有用である発熱性組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
電気または燃焼燃料の使用なしに熱を生成する能力は、多くの用途において望ましい。化粧品産業において、熱は、様々な化粧品の皮膚および頭皮への適用に望ましい。医療専門職において、熱の適用は、物理療法、整形外科、創傷治癒、関節炎治療などにおいて重要である。消費者製品において、食品および他の物質の熱さを保ち、ならびにそれらを最初に加熱する能力は、他の加熱手段が好都合でない、または利用できないとき望まれる。
【0004】
そのような用途における発熱性の化学反応の有用性が記載されている。例えば、軍隊は、少なくとも1973年以降戦場において軍用食を加熱するのに「フレームレス加熱デバイス」を使用してきた。これらのデバイスは、マグネシウムアノード、炭素電極および電解質塩からなる「ホットシート」の形である。さらに最近では、軍隊は、半固体のポリエチレンマトリックスに捕捉されたマグネシウム-鉄合金粒子でできた化学的加熱パッドを利用する取り外し式軍用食加熱デバイス(DRHD)を開発した(例えば、米国特許第4,522,190号を参照のこと)。
【0005】
化粧品産業において熱を生成する金属合金粒子の他の例は、吸収性材料として紙ベースの「フラフ」と併せた使用について記載されている。しかし、そのような系は、比較的低いエネルギーポテンシャルを有し、したがって短時間の発熱反応および不均一な加熱を示す。
【0006】
したがって、安全、均一、制御可能で、長く持続する好都合な形式で熱を発生させるのに使用することができる組成物が必要とされている。したがって、当技術分野において、これらのおよび他の問題を解決する必要が存在する。
【発明の概要】
【0007】
特許請求された主題のいくつかの態様の基本的な理解をもたらすために、以下の簡略化した概要を提供する。この概要は広範囲におよぶ概説ではなく、主要な/重要な要素を特定するものでも、特許請求された主題の範囲を叙述するものでもない。その目的は、いくつかの概念を簡略化した形で、以下に呈示されるより詳細な説明の序文として呈示することである。
【0008】
一実施形態において、第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子(または、一緒に合金化されていてもよい少なくとも2種の異なる金属性ガルバニック合金粒子)を含む膨張性の発熱性粒子状ゲル形成組成物が提供される。他の実施形態において、2種より多い異なる金属性ガルバニック合金粒子を提供することができる。少なくとも1種の遷移金属から構成される金属性二次シェル;および高吸収性ポリマー;ここで、第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子(または2種以上の異なる金属性ガルバニック合金粒子のそれぞれ)、金属性二次シェル、ならびに高吸収性ポリマーは互いにブレンドされ、ゲル形成組成物は、水および電解質に曝露されると、水和され、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こすにつれて、膨張する。一部の実施形態においては、第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、金属性二次シェル、ならびに高吸収性ポリマーは互いにブレンドされ、電気接触する。一部の実施形態において、高吸収性ポリマーとブレンドされた第1および第2の金属性ガルバニック粒子から、粉末混合物が形成される。所定の持続時間とは、数分(例えば、5分間)~数時間(例えば、8時間)の範囲であり得るが、所望のまたは必要とされる任意の持続時間とすることができる。本開示において持続時間に関して使用される「所定の」という用語は、それぞれの組成物に基づいて知られているまたは予想されるが、そのようなものとして具体的に定義されていない限り、各例において決定されているわけでも、使用者に必ずしも知られているというわけでないものであり得る。
【0009】
特許請求された組成物によって、ガス抑制、例えば水素ガス抑制、または典型的には基となる発熱反応によって発生したガスの抑制を、これらのガスが、形成された組成物(反応した、反応している、形成されたゲル/フォーム、膨張しているまたは膨張した発熱性などの組成物を指す)から逃避しない、またはこれらの逃避が本明細書で論じられるかなりの程度に抑制されるように実現する。ある特定の実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの大部分(または本明細書に記載される百分率)は抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない。
【0010】
一部の実施形態において、活性炭が組成物と共に臭気吸収剤として使用される。活性炭は、組成物の約2~25%の量で存在することができる。活性炭には、様々な粒径のグラファイト材料、他の炭素粉末の組合せが含まれ得る。
【0011】
一実施形態において、膨張性の発熱性組成物は、2種以上の異なる金属性粒子を含むことができ、それぞれ、異なる酸化電位を有する。少なくとも1種の遷移金属を有する金属性二次シェルを含めることができる。高吸収性ポリマーも含めることができる。第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、金属性二次シェル、ならびに高吸収性ポリマーを(例えば、均一な粉末混合物に)互いにブレンドすることができ、ゲル形成組成物は、水および電解質に曝露されると、水和されて、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こすにつれて、膨張することができる。ある特定の実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの大部分(または本明細書に記載される百分率)は抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない。
【0012】
含まれることの多い実施形態において、膨張性の発熱性組成物であって、第1および第2のガルバニック合金粒子(または一緒に合金化されていてもよい少なくとも2種の異なる金属性ガルバニック合金粒子);高吸収性ポリマー;ならびに過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリウムを含み、第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子(または2種以上の異なる金属性ガルバニック合金粒子のそれぞれ)、過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリウム、ならびに高吸収性ポリマーが互いにブレンドされ、組成物が、水および電解質のみに曝露されると、水和されて、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こすにつれて、膨張する、組成物が提供される。ある特定の実施形態において、第1および第2のガルバニック合金粒子は、MgFeおよびMnOを含む。同様に、しばしば、発熱反応によって生成されたガスの約37%~約93%、または93%超が抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない。
【0013】
別の実施形態において、膨張性の発熱性組成物であって、高吸収性ポリマーとブレンドされた酸化マンガンを含み、ゲル形成組成物が、水性溶液のみに曝露されると、水和されて、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こすにつれて、膨張する、組成物が提供される。一部の実施形態において、酸化マンガンは二酸化マンガンである。ある特定の関連した実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの大部分(または本明細書に記載される百分率)は抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない。
【0014】
一部の実施形態において、組成物は膨張して、硬い(stiff)フォームを形成する。一部の実施形態において、組成物は、水和されるにつれてふんわり膨らむ。一部の実施形態において、水性溶液は過酸化水素であり、緩衝剤は、圧縮スポンジおよび/または粘土粒子のブレンド混合物である。この点において、この実施形態の組成物は膨張して、硬いフォームを形成することができる。ある特定の関連した実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの大部分(または本明細書に記載される百分率)は抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない。
【0015】
キット、例えば、容器;先行する請求項のいずれかに記載の発熱性粒子状ゲル形成組成物;活性剤水溶液であって、ゲル形成組成物が水和されるにつれて膨張するように、高吸収性ポリマーが、活性剤水溶液を吸収するように動作可能である、活性剤水溶液;および組成物が空気の非存在下で活性剤水溶液と接触すると活性化されて、熱を所定の持続時間生成することを明記している指示書を含むキットも提供される。
【0016】
別の実施形態において、膨張性の発熱性粒子状ゲル形成組成物であって、マグネシウムおよび鉄を含む第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子;二酸化マンガンを含む少なくとも1種の遷移金属から構成される金属性二次シェル;ならびにポリアクリルアミドナトリウムを含む高吸収性ポリマーを含み、第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、金属性二次シェル、ならびに高吸収性ポリマーが互いにブレンドされ、ゲル形成組成物が、水および電解質に曝露されると、水和され、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こすにつれて、膨張する、組成物が提供される。ある特定の関連した実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの大部分(または本明細書に記載される百分率)は抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない。
【0017】
別の実施形態において、酸化マグネシウムおよび酸化マンガンを含む(すなわち、それによって、ガルバニック合金粒子は、鉄を含まない)第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子を有する膨張性の発熱性組成物が提供される。高吸収性ポリマーを炭素粒子と同様に含めることができる。第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、高吸収性ポリマー、ならびに炭素を互いにブレンドすることができる。組成物は水で水和されるにつれて膨張し、塩などの電解質を水に含める必要はない。組成物を水和すると、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こすことができる。ある特定の関連した実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの大部分(または本明細書に記載される百分率)は抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない。
【0018】
別の実施形態において、膨張性の発熱性(粒子状)ゲル形成組成物であって、マグネシウムおよび鉄を含む第1および第2のガルバニック合金粒子;ポリアクリルアミドナトリウムを含む高吸収性ポリマー;ならびに過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリウムを含み、第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリウム、ならびに高吸収性ポリマーが互いにブレンドされ、ゲル形成組成物が、水および電解質のみに曝露されると、水和され、熱を所定の持続時間生成するにつれて、膨張する、組成物が提供される。ある特定の関連した実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの大部分(または本明細書に記載される百分率)は抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない。
【0019】
別の実施形態において、ふんわり膨らむことができ、かつ/または膨潤することができる膨張性の発熱性組成物であって、ポリアクリルアミドナトリウムを含む高吸収性ポリマーとブレンドされた酸化マンガンを含む組成物が提供される。この実施形態では、ポリアクリルアミドナトリウムではない、本明細書に開示される高吸収性ポリマーを使用することができる。組成物は、水性溶液のみに曝露されると、水和され、熱を所定の持続時間生成するにつれて、膨張する。ある特定の関連した実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの大部分(または本明細書に記載される百分率)は抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない。
【0020】
別の実施形態において、容器;先行する請求項のいずれかに記載の発熱性粒子状ゲル形成組成物;水または生理食塩水を含む活性剤水溶液であって、ゲル形成組成物が水和されるにつれて膨張するように、高吸収性ポリマーが、活性剤水溶液を吸収するように動作可能である、活性剤水溶液;および組成物が空気の非存在下で活性剤水溶液と接触すると活性化されて、熱を所定の持続時間生成することを明記している指示書を含むキットが提供される。
【0021】
本明細書で企図される頻繁な実施形態において、組成物は、発熱反応時に、または発熱反応の結果としてその他の時に組成物(反応した、反応している、形成されたゲル/フォーム、膨張しているまたは膨張した発熱性などの組成物を指す)から生成または放出されるガスを最小またはほぼゼロにするように適合されている。しばしば、発熱反応によって生成されたガスの約37%~約93%が抑制され、発熱反応時に、またはその他の時に発熱反応の結果として組成物から放出されない。同様にしばしば、発熱反応によって生成されたガスの約93%~約100%が抑制され、発熱反応時に、またはその他の時に発熱反応の結果として組成物から放出されない。頻繁に含まれる実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの40%もしくは約40%超、45%もしくは約45%超、50%もしくは約50%超、55%もしくは約55%超、60%もしくは約60%超、65%もしくは約65%超、70%もしくは約70%超、75%もしくは約75%超、80%もしくは約80%超、85%もしくは約85%超、90%もしくは約90%超、93%もしくは約93%超、または95%もしくは約95%超が抑制され、発熱反応時に、またはその他の時に発熱反応の結果として組成物(再び、反応した、反応している、形成されたゲル/フォーム、膨張しているまたは膨張した発熱性などの組成物を指す)から放出されない。
【0022】
開示された解決策の他の態様は、本明細書全体にわたって見出される。しかし、上述および関連の目的を達成するために、本明細書で開示される態様は、特許請求された主題の原理を用いることができる様々な方式のいくつかだけを示しており、特許請求された主題は、そのような態様およびそれらの均等物をすべて含むように意図されている。他の利点および新規の特色は、以下の詳細な説明から明らかになり得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
この解決策は、消費者製品および医療産業において主に有用である膨張性の発熱性ゲル形成組成物の分野におけるものである。より詳細には、本明細書に開示された解決策は、電気または可燃性燃料を必要としない、表面および物体を空気の非存在下で加熱するための長く持続する効率的な熱生成を伴う膨張性の粒子状発熱性ゲル形成組成物の使用に関する。本開示の発熱性ゲル形成組成物は、一般にいくつかの手法によって製剤化される。
【0024】
普通に理解されている意味を有する用語を、明確にするためかつ/またはすぐに参照できるように本明細書において定義することができ、そのような定義を本明細書に含めることは、当技術分野において一般に理解されているものについて実質的な違いを表すと必ずしも解釈されるべきではない。本明細書に引用される特許、出願、出願公開および他の刊行物はすべて、それらの全体として参照により組み込まれる。このセクションに記述されている定義が、参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、出願公開および他の刊行物に記述されている定義と反対またはその他の点で矛盾している場合、このセクションに記述されている定義が、参照により本明細書に組み込まれる定義に優先する。
【0025】
本明細書では、「a」または「an」は「少なくとも1つの」または「1つ以上の」を意味する。
【0026】
本明細書では、「使用者」、「対象」、「エンドユーザー」などという用語は、特定の実体または人に限定されない。例えば、「使用者」という用語は、本明細書に記載される系および方法を使用する人を指すことができ、往々にして技術者であり得る。しかし、この用語は、エンドユーザーまたは技術者に限定されず、したがって開示された系および方法を使用することができる様々な人を包含する。
【0027】
次に、以下の詳細な説明を見て、開示された解決策をよく理解することができる。記載される実施形態は例として記述されているのであって、最終的に特許請求の範囲に定義される実施形態の限定として記述されているものではないことをはっきりと理解されたい。
【0028】
「ガルバニック合金」は、2種以上の異なる金属塩を組み合わせることを含めて、2種以上の金属元素を組み合わせることによって作製される金属を意味することができると理解される。組合せは、例えば、ボールミルなどを使用する合金化プロセスを使用することを含む、公知の合金化する(alloying)ための手段を介することが多い。
【0029】
「ブレンドされた」という用語は、2種以上のものを一緒にブレンドして、ブレンド粉末(均一にせよそうでないにせよ)、均質な混合物または均質な粉末などの混合物を形成することを意味することができると理解される。2種以上のものを一緒に「ブレンドする」のに使用することができるブレンダーには、ドラムミキサー、ブラウンミキサー、リボンブレンダー、ブレードブレンダー、V字形ブレンダー、バッチミキサーなど市販のミキサーおよびブレンダーが含まれ得る。
【0030】
「活性剤溶液」という用語は、水、水および電解質、または本開示の発熱性組成物のいずれかと接触すると、発熱反応を開始、増強もしくは再開する他の水性溶液を意味することができると理解される。
【0031】
本明細書では、「ゲル」という用語は、当技術分野において、フォームに加えてゲルとして以前から知られている材料およびそれらの組合せを指すように意図されている。フォームは、形成されると、硬いフォームなどある特定のレベルの構造剛性または形状保持性(shape adherence)を有するフォームであることが多い。そのような硬いフォームは、ある特定のレベルの外部の力に対する変形に耐えることができ、または自立性フォーム組成物であり得る。したがって、ゲル形成組成物は、本明細書では、ゲル形成組成物を指すように意図され、具体的に特段の指示のない限り、フォーム形成組成物も指す。同様に、例えば発熱性ゲルは、本明細書では、発熱性ゲル組成物を指すように意図され、具体的に特段の指示のない限り、発熱性フォーム組成物も指す。同様に、例えば膨潤性ゲルまたはゲルマトリックスも、したがって具体的に特段の指示のない限り、本明細書で膨潤性フォームまたはフォームマトリックスを指すように意図されている。
【0032】
本明細書では、「発熱性組成物」を、組成物を使用した発熱反応の開始の前、その間、またはその後に「発熱性組成物」と呼ぶことができる。
【0033】
自己加熱性組成物の使用は周知である。塩および水によって活性化されるマグネシウム-鉄の合金が、軍隊およびレクリエーション市場によって何十年も使用されてきた。しかし、これらの反応のすべてが、制御不可能であり、激しく、時間が短い。これらの反応では、水分子を酸素に分裂させ、水素ガスを遊離させながら熱を生成することによって、酸化-還元反応を使用して、金属元素を効果的に酸化する。この水素ガス放出は、標準大気条件下において水素ガスが爆発性であるため、これらの組成物を使用することができる場所について主要な制限因子であり得る。
【0034】
自己加熱性に対する以前の手法は、高吸収性ポリマー(SAP)と組み合わせたガルバニック合金(例えば、Mg-Fe合金)を含むものであった。次に、そのような手法は、SAPと水性溶液(例えば、水または生理食塩水)の接触時にふんわり膨らむ作用によって形成される自己膨潤性ゲルを実現した。次に、これにより、対応する発熱性ゲルが物体周りの輪郭まで膨張し、空隙を補うことができる。より重要なことに、SAPの膨潤性剤は、Mg-Feの酸化プロセスに電子的に干渉するものであり、反応内で影響を及ぼす水素結合力を理解しつつ、既知の時間にわたる熱の出力を算出して、制御された反応を設計することができる。SAPの熱対時間緩衝効果は、それ自体の構造内で、水および電解質の存在下におけるガルバニック合金の酸化傾向間の綱引きで電子共有および水素結合力を利用することによって働く。より詳細には、塩溶液、およびSAPマトリックスの電子吸引力、すなわち水素結合および原子価共有である。水で駆動される、制御および算出された持続放出性発熱反応はできる限り適用可能であるが、反応の副生成物として水素ガスを放出するという不利な点を依然として有する。
【0035】
ガルバニック合金粒子
本開示全体にわたって論じられているように、ガルバニック合金(GA)粒子を含む開示された解決策の実施形態は、2種以上の金属剤の混合物からなることができ、2種以上の金属剤のそれぞれは、組成物のこの2つの構成成分が活性剤溶液を介して互いに電気接触すると、電気化学反応において一方はカソードとして機能し、他方はアノードとして機能するように、異なる酸化電位を有する。
【0036】
例示的な金属剤には、銅、ニッケル、パラジウム、銀、金、白金、炭素、コバルト、アルミニウム、リチウム、鉄、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、マグネシウム、マンガン、MgNi、MgNi、MgCa、MgCa、MgCO、MnO、およびそれらの組合せの混合物が含まれ得る。例えば、白金は、炭素上に分散することができ、この分散系をカソード材料として使用することができる。例えば、米国特許第3,469,085号;同第4,264,362号;同第4,487,817号;および同第5,506,069号を参照のこと。
【0037】
例示的なアノード材料はマグネシウムであり、水と反応して、水酸化マグネシウム(Mg(OH))および水素ガスを形成し、大量の熱を発生させる。高い標準酸化電位を有する他の金属剤(リチウムなど)もアノード材料として機能することができるが、コストおよび安全性の観点からあまり好ましくない。カソード材料は、アノード材料よりも低い標準酸化電位を有する。カソードは、電気化学的相互作用において消費されないが、腐食アノードによって放棄された電子のための部位として機能し、電解質中で正に帯電したイオンを中和する。例示的なカソード材料には、鉄、銅およびコバルトが含まれる。
【0038】
ある特定の例示的な実施形態において、ガルバニック合金は、一緒に合金化される2種の異なる合金を含む。最もしばしば、そのような合金は、本明細書で記載および/または企図される2種の異なるガルバニック合金の組合せを含む。例えば、一実施形態において、ガルバニック合金は、MnOと合金化されたMgFeを含む。
【0039】
従来の溶解または機械的合金化など普通の方法のいずれも、ガルバニック合金の生成において用いることができる。機械的合金化のプロセスは、例えば、高エネルギーボールミルを使用してボール-粉末-ボール衝突によって起こる機械的変形の反復により、最初の粉末混合物の構成成分間の固体状態反応を誘導することを含む。そのような機械的変形には、例えば、金属構成要素、例えば活性および不動態金属粒子の繰り返される平坦化、破砕、および溶接が含まれ得る。鋼球とそれらの間に捕捉されている粒子を衝突させる衝撃から生成される得られたエネルギーは、原子的にクリーンな粒子表面を創造する。これらの原子的にクリーンな粒子表面により、一緒に冷間溶接することが可能になる。
【0040】
粉砕前の金属性構成成分の粒径は、数ミクロンから数百ミクロンまで様々であり得る。一実施形態において、効率的な合金化を促進するのに200ミクロン未満、例えば100~150ミクロンなどの、平均粒径を有することが望ましいことがある。
【0041】
酸素またはある特定の他の反応性化合物への曝露により、冷間溶接効果を低減または完全になくす表面層が生成される。したがって、不活性雰囲気をミル中に維持して、クリーンな表面の再酸化を防止し、それによって、ガルバーニ電池反応を低減する、粒子表面の酸化物被覆の形成を回避することができる。本明細書では「不活性ガス」は、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドンなどの非反応性ガスであり、さらには、非酸化性ガス、二酸化炭素も含まれる。不活性ガスは、水を本質的に含むべきでない(5ppm未満または1ppm未満などの10ppm未満)。
【0042】
一般に、粉砕プロセスを長期間進行させるとき、粒子構造はより緻密になり、カソード粒子はサイズが小さくなる。しかし、粉砕プロセスにおけるある特定の時点の後、追加の粉砕により、カソード材料がアノード材料全体にわたって微細分散されすぎになるため、腐食速度が低減する。これが起こると、電解質との接触のために利用できる粒子表面積のカソード/アノード比は低下し、したがって腐食速度が低下する。粉砕プロセスから得られた機械的合金化粉末は、全体にわたって分散しているより小さい粒子の不動態金属を有する活性金属のマトリックスからなる小粒子である。したがって、粉砕時間は、電気伝導率の点から最善の結果のために最適化されるべきである。一実施形態において、ガルバニック合金粒子は、マグネシウムとニッケル、マグネシウムと鉄、マグネシウムと銅、ならびにマグネシウムとコバルトからなる(米国特許第4,264,362号)。マグネシウム含有合金において、マグネシウムは、通常、75重量%超、80重量%超、90重量%超または95重量%超など、より豊富に存在している。
【0043】
高吸収性ポリマー
高吸収性ポリマー(SAP)を含む開示された解決策の実施形態において、SAPは、「スラッシュ粉末」、「水不溶性吸収性ヒドロゲル形成ポリマー」、「ヒドロゲル形成」ポリマーまたは「ハイドロコロイド」であり得ると理解される。SAPの使用は、水性溶液と組み合わせると、膨張するゲルを創造することができるので重要である。この水ベースのゲルは、その高い比熱容量のため、発熱反応によって発生したかなりの量の熱を貯蔵することができる。したがって、ゲルは、(ゲルの非存在下で実施された発熱反応と比較して)比較的長期間、熱いままでいる。ゲルは、加熱されている物体を比較的一定の高温に維持することができる持続時間も延ばす。さらに、ゲル形成組成物は膨張するとき、ゲルが膨張しなかった場合よりも、外部物体の広い表面積に熱を移動させることができる。
【0044】
「高吸収性ポリマー」という用語は、水に曝露されると、乾燥ポリマー1g当たり200gまで膨潤することができるポリマーであり得る。一般に、SAPは、解離しているイオン性官能基を担持する柔軟なポリマー鎖の緩く架橋された三次元網目である。水などの特定の材料に対するSAPの吸収能力は、浸透圧およびポリマーのその材料との親和性、ならびにポリマーのゴム弾性によって決定される。
【0045】
SAPの内部のイオン濃度と周囲の水溶液のイオン濃度との違いにより、利用可能な浸透圧の強度が決定される。したがって、浸透圧によって、SAPが大量の水を吸収することができる。さらに、特定のポリマーのその周囲の溶液に対する親和性も、ポリマーの吸収能力に影響する。したがって、周囲の浸透圧およびポリマーの水に対する親和性によるポリマーの吸収能力に基づいて、SAPは、水素結合を介した水分子の溶媒和によって溶解することなく、大量の水および他の水性溶液を吸収することができ、網目のエントロピーを増加させて、SAPを途方もなく膨潤させる。
【0046】
一方、SAPの吸収力を抑制する因子は、その網目構造によって生ずるゲルの弾性に見出される。ポリマーのゴム状弾性は、ポリマーの架橋密度と共に増加し、所与のSAPの吸収能力は、そのゴム弾性がその吸水力と平衡を得るときその最大値に到達する。
【0047】
SAPの例として、ポリアクリル酸塩ベースのポリマー、ビニルアルコール-アクリル酸塩ベースのポリマー、PVAベースのポリマー、またはイソブチレン-無水マレイン酸ポリマーを挙げることができる。SAPの他の例として、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなどの多糖;ポリビニルアルコールおよびポリビニルエーテルなどの非イオン型;ポリビニルピリジン、ポリビニルモルホリノン、ならびにN,N-ジメチルアミノエチルまたはN,N-ジエチルアミノプロピルアクリラートおよびメタクリラートなどのカチオン型;ならびに加水分解デンプン-アクリロニトリルグラフトコポリマー、部分中和された加水分解デンプン-アクリロニトリルグラフトコポリマー、加水分解アクリロニトリルまたはアクリルアミドコポリマーおよびポリアクリル酸が含まれるカルボキシ基が挙げられる。
【0048】
SAPを作製する方法は周知であり、所望の膨潤性を達成するように容易に最適化することができる。例えば、SAPは、水酸化ナトリウムとブレンドされたアクリル酸を開始剤の存在下で重合して、ポリアクリル酸ナトリウム塩(すなわち、「ポリアクリル酸ナトリウム」)を形成することによって作製することができる。SAPを作製するのに使用される他の材料は、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシ-メチル-セルロース、ポリビニルアルコールコポリマーおよび架橋ポリエチレンオキシドである。
【0049】
多くのタイプのSAPが市販されているが、大部分は、軽く架橋されたアクリラートとアクリル酸のコポリマー、ならびに逆懸濁、乳化重合または溶液重合によって調製されたデンプン-アクリル酸グラフトポリマーである。逆懸濁重合は、一般に、ポリアクリルアミドベースのSAPを調製するのに使用され、モノマー溶液を非溶媒に分散し、安定剤が添加された微細なモノマー小滴を形成することを含む。次いで、開始剤の熱分解からのラジカルによって、重合が開始される。
【0050】
特に適していることが見出されたSAPには、例えば、Sumitomo Seika Chemical Company(Osaka,Japan)により製造されたAQUA KEEP(登録商標)高吸収性ポリマーが含まれる。一部の実施形態について、適していることが見出されたAQUA KEEP(登録商標)の速効性バージョンは、AQUA KEEP(登録商標)10SH-Pである。追加のポリマーは、市販されているStockhausen Inc.,Greensboro,N.C.から入手可能なCABLOC 80HS;Emerging Technologies,Inc.,Greensboro,N.C.から入手可能なLIQUIBLOCK(登録商標)2G-40;Hoechst Celanese Corporation,Bridgewater,N.J.から入手可能なSANWET IM1000F;Nippon Shokubai Co.,Ltd.,Osaka,Japanから入手可能なAQUALIC CA;およびSumitomo Kagaku Kabushiki Kaisha,Japanから入手可能なSUMIKA GELとして見出すことができる。追加のSAPは、Dow Chemical(Midland,Mich.)およびChemdal(Arlington Heights,Ill.)などいくつかの製造業者からも市販されている。ポリマーの大部分(重量当たり50重量%超、好ましくは70重量%超)が、1グラム当たり200g以上の吸収能力を有する限り、上記のSAPのいずれかを、2種以上のポリマーのブレンドとして含めることができる。
【0051】
吸収測定は、ティーバッグ法、遠心分離法および篩法などのいくつかの方法の下で実施することができる。ティーバッグ法によれば、約5×5cmのバッグに試料を入れ、次いでバッグをその周囲を囲んで封止する。次いで、バッグを皿に過剰量の水または0.9%NaCl溶液と共に置き、試料に溶液を吸収させ、バッグ中で自由に1時間またはそれが平衡に到達するまで膨潤させる。次いで、バッグを除去し、過剰溶液があればそれから試料を分離し、秤量して、膨潤能力を算出する。次いで、ポリマー試料の吸収能力を次式に従って算出することができる。
【数1】

(式中、A=試料吸収度;A=ティーバッグ材料吸収度;m=吸収後のティーバッグと試料の重量;m=空の乾燥ティーバッグの重量;およびm=乾燥試料の重量)
【0052】
一実施形態において、SAP(または2種以上のブレンドが使用される場合少なくともSAPの大部分)は、少なくとも200g/gの吸収能力を有し、ここで、1gのSAPは、最大200gの水を吸収することができる。SAPは、20秒以下、より好ましくは10秒以下または5秒以下の吸収速度の速効性ポリマーでもあり得る。
【0053】
カプセル化
開示された実施形態のすべてにおいて、発熱反応を制御するために構成成分のある程度のカプセル化を含むようにさらに加工することができる。例えば、一手法は、GA粒子またはゲル形成組成物をカプセル化して、その貯蔵寿命を延ばし、かつ一旦活性化溶液に曝露されるとエネルギーの放出を制御することの両方である。本明細書では「カプセル化」は、適当なカプセル化材料に、GAの少なくとも一部分またはゲル形成組成物の他の部分を、カプセル化材料が粒子の表面に付着するように実質的に封入することを意味する。本明細書では「適当なカプセル化材料」または「カプセル材」は、ゲル形成組成物の製剤化(formulation)および製造条件に耐えるのに十分頑強であり、製剤と相溶性があり、その性能に悪影響を及ぼさない材料を意味する。ただし、熱生成を延ばすことは有害な効果でない。さらに、適当なカプセル化材料は、組成物に付着する。カプセル材の付着は、共有結合性化学結合によってまたは非共有結合性相互作用(例えば、イオン、Van der Waals、双極子-双極子など)によって起こり得る。
【0054】
本明細書では「マイクロカプセル化された」は、カプセル化された構成成分の平均直径が約1μm~約1000μmであることを意味する。カプセル化された構成成分が長方形または非対称である場合には、平均直径は、最大長を有する構成成分のその部分を横切って測定される。一実施形態において、上述の組成物のすべてまたは一部分をマイクロカプセル化することができ、カプセル化された生成物は、約1μm~約1000μm、あるいは約1μm~約120μm、あるいは約1μm~約50μm、あるいは約1μm~約25μmの平均直径を有する。別の実施形態において、カプセル化された生成物は、約100μm~約800μm、または約500μm~約700μm、例えば600μmなどの平均直径を有する。
【0055】
適当なカプセル化材料の非限定的な例には、ポリスチレン、メタクリラート、ポリアミド、ナイロン、ポリ尿素、ポリウレタン、ゼラチン、ポリエステル、ポリカーボナート、改変ポリスチレン、およびエチルセルロース分解性ポリマーマトリックスなどが挙げられる。一実施形態において、カプセル化材料は、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLG)、ポリ(グリシジルメタクリラート)(PGMA)、ポリスチレン、またはそれらの組合せである。他の実施形態において、カプセル材はヒドロキシプロピルメチルセルロースである。適当なカプセル化材料は、約5kDa~約250kDa、あるいは約200kDa~約250kDa、あるいは約50kDa~約75kDa、あるいは約10kDa~約50kDa、あるいは約10kDa~約25kDaの分子量を有することができる。
【0056】
合金構成成分(すなわち、カソードとアノードの両方)のいずれかまたはすべてを、カソードおよび/またはアノードを別々に、結合剤とまたは結合剤なしのいずれかでカプセル化することができることも理解されるべきである。様々な構成成分の被覆の異なる組合せを使用し、公知のカプセル化技法を使用するルーチンの最適化により、理想的なカプセル化形式を、組成物が役立てられている使用に基づいて決定することができる。例えば、治療上の利点をより長期間達成するように意図されているボディーラップについては、より溶解しにくい被覆が、熱生成の期間を延ばすのに望ましい。あるいは、医薬品の投与については、より溶解しやすい被覆が、より短いタイムスパンにわたってより高温を達成するのに望ましい。
【0057】
上記の被覆の化学的特性、ならびにナノテクノロジー、エネルギー物質および医療分野などの様々な分野におけるそれらの使用は周知であり、そのような最適化は、この膨大な知識体系に基づいて容易に達成することができる。
【0058】
結合剤
ゲル形成組成物は、SAPに加えてポリマーまたはプラスチックなど少なくとも1種の結合剤も含むことができる。例示的な結合剤には、天然樹脂、合成樹脂、ゼラチン、ゴム、ポリ(ビニルアルコール)、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセタート、セルロースアセタートブチラート、ポリ(ビニルピロリドン)、カゼイン、デンプン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリル酸)、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、スチレン-無水マレイン酸コポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリ(ビニルアセタール)(例えば、ポリ(ビニルホルマール)およびポリ(ビニルブチラール))、ポリ(エステル)、ポリ(ウレタン)、フェノキシ樹脂、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(エポキシド)、ポリ(カーボナート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(オレフィン)、セルロースエステル、およびポリ(アミド)が含まれる。結合剤を、ゲル形成組成物に水または有機溶媒中の溶液または乳濁液として添加して、公知の方法を使用して一緒にブレンドすることができる。
【0059】
水素ガス抑制
本明細書で企図されるように、ガス抑制、特に水素ガス抑制は、同様のまたは同一の抑制されていない反応に対して考察される。抑制されていない反応において、ガスは、公知のレベル、従来知られているレベル、または反応物に基づいて算出することができるレベルで自由に生成される。本明細書で企図されるガス抑制は、抑制されていない反応に対する、形成された発熱性組成物(例えば、ゲル、フォームなど)からのガス生成および放出の低減百分率を指す。例示的な実施形態について本明細書に提供される実験データは、90%超のガス抑制を実証するが、より高いレベルのガス抑制、最大100%を含むガス抑制が企図される。ある特定の実施形態において、30%または約30%~95%または約95%のガス抑制が提供される。ある特定の実施形態において、37%もしくは約37%、または約37%超のガス抑制が提供される。ある特定の実施形態において、約37%~93%、93%もしくは約93%、または約93%超のガス抑制が提供される。
【0060】
一実施形態において、水素ガス副生成物を抑制するゲル形成発熱性組成物は、SAP、1種以上のGA粒子、および金属性二次シェルと呼ばれることもある、二次シェルまたは電子軌道結合特性を有する金属の均質混合物から調製することができる。この金属性二次シェルは、二次シェル電子との反応によるまたは電子共有パターン内における水素ガスの形成を阻害または防止することができ、GA合金粒子の最外表面における水素副生成物をなくす。効果的に、金属性二次シェルは、表面レベルにおける水素ガスの生成を妨げる。典型的には、大部分の元素は、それらの外部軌道からの電子のみを使用して、他の元素と結合することができる。「二次シェル」結合特性を有するこれらの金属は、2つの最外シェル/これらの金属性二次シェルの電子構造に共通の電子軌道、例えばs軌道、d軌道、p軌道および/またはf軌道を使用して、他の元素と結合して、予想外の組合せを生成することができる。この実施形態の場合、水素原子は、還元され、Hまたは分子状水素ガスになる代わりに、元素状マグネシウム原子、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよび/または水分子と結合するときこの二次相互作用によって阻害される。
【0061】
例示的な金属性二次シェルとしては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホージウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、およびウンウンニリウムなどの遷移金属などを挙げることができる。
【0062】
金属性二次シェルの一実施形態には、二酸化マンガンが含まれ得る。二酸化マンガンは、水素ガスに有効な阻害剤であり、比較的安価で、容易に入手可能で、安全で、環境、人々、植物および動物の生命に無害である。
【0063】
本明細書に開示された金属性二次シェルはいずれも、GA粒子とボールミルで一緒に粉砕し、次いで高吸収性ポリマー(SAP)材料を組成物と一緒にさらに混合することによって、GA粒子と組み合わせることができる。ある特定の実施形態において、ドラムミキサー、ブラウンミキサー、リボンブレンダー、ブレードブレンダー、V字形ブレンダー、バッチミキサーなど様々な市販のミキサーおよびブレンダーのいずれかを使用して、均質混合物を生み出すことができる。好ましいブレンダーは、GA粒子、金属性二次シェル、またはSAPを過剰にせん断しないものである。使用される機器のタイプに応じて、2つの主構成成分およびいずれかの任意で含まれていてもよい構成成分を逐次または同時に混合容器に添加し、均一にブレンドされた生成物が形成されるまで混合される。
【0064】
このゲル形成組成物では、出力ガスが大幅に低減し、熱が、活性化のための酸素の非存在下でほとんど水素ガス副生成物なしに安全にかつ効果的に生成される。一部の実施形態において、二次シェルがゲル形成組成物に含まれていない場合に比べて90~100%の水素ガス副生成物が抑制または阻害されたことが見出された。
【0065】
この組成物の他の実施形態において、水素ガスの正味の阻害の結果として、他の改善がもたらされる。例えば、水との典型的なMg-Fe合金反応は、ヒト嗅覚が水素ガスを金属臭として検知することができるので、非常に「金属性の臭気」を生成する。水との典型的なMg-Fe合金反応は、非常に「金属性の臭気」を生成し、それをヒト嗅覚が認識することができる。この臭気は、非毒性であるけれども、ある特定の人々には特に食品の存在下で非常に不快であり得る。食体験は、味と臭気の両方に関連し、したがって不快な臭気は、食体験を台無しにするおそれがある。食品および食は一例であり、そのような金属性の臭気を防止する利点は、基となる組成物のいくつかの他の利点およびより広い範囲の使用の可能性をもたらす。この組成物のある特定の実施形態は、金属性の臭気が生じるのを防止することによって、およびSAPによって形成されたヒドロゲルに他の臭気を吸収することによって、この問題を解決する。
【0066】
この組成物の他の実施形態において、Mg-Fe合金反応の「金属性の臭気」を低減または阻害するために、活性炭が組成物と共に臭気吸収剤として使用される。活性炭は、ある特定の実施形態において水素ガス副生成物を吸収しようと奮闘することがあるが、活性炭を組成物に添加すると、予想外なことに発熱反応の電子間の「プッシュプル」または「綱引き」と相互作用し、軌道殻および水素結合力がSAPゲルマトリックスと一緒にまたそれに対抗して働く。この点において、SAPが熱プロファイルを緩衝、制御、延長し、予想可能なものとする能力は、活性炭を添加することによって影響を受けることがある。驚くべきことに、活性炭を添加すると、発熱反応をより効率的にし、より高い全カロリー出力の産出をより長くする助けとなる。活性炭は、組成物の約2~25%の量で存在することができる。
【0067】
活性炭には、様々な粒径のグラファイト材料、他の炭素粉末の組合せが含まれ得る。一般に、本明細書で企図される活性炭の形は、導電性の形の活性炭である。ゲル形成組成物の電気的相互作用に対してこれらの改変剤の一部または全部の組合せを使用すると、発熱反応の全効率に関して特に有利である。具体的には、伝導性鉱物の磁気品質は、SAPと合金の間の上記の電気的/水素結合のせめぎ合いと相互作用する。
【0068】
他の実施形態において、マグネタイト(Fe)を、本開示に記載されているガルバニック合金粒子およびSAPの実施形態の1つ以上と組み合わせて使用する、膨張性の発熱性組成物が開示される。マグネタイトを使用することは、水性溶液で活性化されると、熱出力時間を犠牲にすることなく独特の熱曲線を有する(例えば、熱をより長い持続時間および/またはより高い温度で発生させることができる)発熱反応を引き起こすことができるので、特に有利である。
【0069】
活性化溶液は、一般に水などの水性溶液であり得る。ゲル形成組成物または活性化溶液のいずれかが少なくとも1種の電解質を含有し、それが発熱反応を開始させるために必要とされる電気化学的プロセスを助けることに留意することも重要である。本明細書では、「電解質」という用語は、導電性である、自由イオンを含有する物質を意味する。電解質溶液は、普通イオン性溶液であり、通常は酸、塩基または塩の溶液として存在する。塩は、水などの水性溶媒に入れるとそれらの構成成分元素に解離する。好ましい電解質の例としては、塩化カリウム、塩化ナトリウムおよび塩化カルシウムが挙げられる。
【0070】
粒子状ゲル形成組成物は、膨張体積および率、ならびに熱生成および保持を測定することによって試験される。粒子状ゲル形成組成物は、少なくとも2倍、好ましくは5倍、またはさらには10倍(体積/体積)に膨張する場合に最適とみなされる。少なくとも105°Fの温度を実現し、少なくとも100°Fの温度を1時間維持することができる場合に、「効率的」であるとみなされる。
【0071】
一実施形態において、マグネシウム-鉄粒子は、2~20重量%の鉄と80~98重量%のマグネシウムを気密封止ボールミル中で一緒に混合することによって調製することができる。
【0072】
一実施形態において、発熱性粒子状ゲル形成組成物は、400g/gより高い吸収能力を有する。
【0073】
一実施形態において、ブレンド混合物は、20:1~5:1の重量比のガルバニック合金粒子と高吸収性ポリマーを混合することによって形成される。他の実施形態において、混合物は、約1:1の重量比のガルバニック合金粒子と高吸収性ポリマーを混合することによって形成される。他の実施形態において、混合物は、20:1~5:1の重量比の高吸収性ポリマーとガルバニック合金粒子を混合することによって形成される。
【0074】
粉砕より前に、乾燥不活性ガスを用いて、空気を取り除く。生成物が均一になるまで、粉砕を室温または室温付近(例えば、15~50℃)で継続する。ガルバニック合金生成物について、主に水蒸気の放出による減量を測定することによって、生理食塩水(例えば、0.5~10%塩化ナトリウム)と接触したとき反応する能力を試験することができる。
【0075】
本明細書で企図される頻繁な実施形態において、組成物は、発熱反応時に、または発熱反応の結果としてその他の時に組成物(反応した、反応している、形成されたゲル/フォーム、膨張しているまたは膨張した発熱性などの組成物を指す)から生成または放出されるガスを最小またはほぼゼロにするように適合されている。頻繁に含まれる実施形態において、発熱反応によって生成されたガスの40%もしくは約40%超、45%もしくは約45%超、50%もしくは約50%超、55%もしくは約55%超、60%もしくは約60%超、65%もしくは約65%超、70%もしくは約70%超、75%もしくは約75%超、80%もしくは約80%超、85%もしくは約85%超、90%もしくは約90%超、93%もしくは約93%超、または95%もしくは約95%超が抑制され、発熱反応時に、または発熱反応の結果としてその他の時に組成物(再び、反応した、反応している、形成されたゲル/フォーム、膨張しているまたは膨張した発熱性などの組成物を指す)から放出されない。
【0076】
水素副生成物封鎖
別の実施形態において、GA粒子を高吸収性ポリマーおよび過マンガン酸リチウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸カリウム、鉄酸リチウム、鉄酸ナトリウム、もしくは鉄酸カリウムなどの過マンガン酸塩または鉄酸塩酸化体とブレンドまたは混合して、均質混合物を形成することができる。この点において、水素ガス副生成物が逃避し得る前に組成物内で水素を酸化するまたはなくすための、Mg-FeなどのGA粒子の酸化反応に基づく安全な自己加熱性組成物が開示される。ゲル形成組成物は、前述したように空気の非存在下で水または生理食塩水などの電解質水溶液などの活性剤溶液と接触させると活性化することができる。
【0077】
過マンガン酸カリウムもしくは鉄酸カリウムなどの過マンガン酸塩または鉄酸塩酸化体のGAおよびSAP混合物への添加によって、Mg-Fe合金によって放出される水素と、それが水素ガスに変換し、逃避し得る前に組み合わせることができる酸素供給源が得られる。次に、反応中に、水および過酸化水素(H)が生成することがあり、次にそれが、Mg-Fe合金に水の供給源を供給にフィードバックし、その酸化-還元反応で助けとなる。この実施形態において、過酸化水素は、最終的に水と酸素分子の別の供給源とに分解する。言い換えれば、Hガス副生成物を捕獲し、水に変換することができる。過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリウムが好ましいことがあるが、本開示の領域内で他の還元性種を使用することができる。
【0078】
この組成物のある特定の実施形態において、そのような酸化体をゲルと使用すると、例えば過マンガン酸カリウムに起因し得る紫色の染みまたは変色が生じ得る。食品を加温する場合などある特定の用途について、これは、食品容器が透過性パウチと接触することがあり、染色剤が透過性パウチから食品容器、ひいては食品を食べる人の手に移動するので、禁止副生成物であり得る。しかし、この変色および染色は、組成物のゲル化によって解決することができる。例えば、ある特定の実施形態において示されているゴム様の濃密なヒドロゲルは、液体を、それらが周囲の材料を染色するまたは変色させる前に封鎖することができる。次いで、染色剤はゲルによって「捕捉」または封鎖されるので、変色した溶液の移動を低減するまたはなくすことができる。同時に、これらの還元性種によって発生された酸素は、ゲルを通って流動するまたは「泡になって出る」ことができ、遊離水素分子との再組み合わせが可能になり、その再組み合わせはゲル内で起こり得る。
【0079】
液体活性剤による構成および活性化は、封止容器の内部で起こって、染色剤がゲル形成組成物に吸収および封鎖される時間が得られる。ある特定の実施形態において、容器の1つ以上の層は、透過性であってもよく、他の層は不透過性であってもよい。
【0080】
ある特定の実施形態において、容器内で発生した熱は、空気の生成および水蒸気の流出のため容器を膨張させる。したがって、容器に外部大気圧への通気孔をつけなければならない。この通気は、不織(または織)布などの透過性材料のパネル、穿孔プラスチックカバーなどによって行うことができる。この透過性層は、組成物が水性溶液と接触するチャンバーの上に設置することができる。染色溶液の漏出をさらに遅らせるために、水溶性フィルムまたは被覆の層を、組成物に直接隣接する透過性層の内側に適用することもできる。水溶性材料の非限定的な例は、ポリビニルアルコール(PVAまたはPVOH)であり得るが、水溶性被覆またはフィルムを必要または要求に応じて使用することができる。他の実施形態において、容器は蒸気圧弁を含むことができる。これらの「弁」は、所定のレベルの蒸気または熱気圧を通気することができる。ある特定の実施形態において、このレベルの遅延は、すべての液体染色剤が封鎖されていることを保証するように時間プログラミングされる。
【0081】
封止容器からの蒸気および加熱された副生成物ガスの通気を遅延させることによって、上記の還元性種によって導入された遊離酸素およびGA合金の酸化によって生成された遊離水素に関してさらに混合および組み合わせを行うことができる。次に、水素副生成物をさらになくすことができる。さらに、ある特定の実施形態において、ゲルおよび蒸気の熱および湿りが水溶性被覆を透過するにつれて、それは、容器内で実質的な圧力が高まり得る前に急速に溶解することができる。次に、透過性層を通して、圧力を放出することができる。この遅延も、すべての遊離水素ガスが除去されていることを保証する。
【0082】
水素ガス副生成物を含まない発熱性ゲル
別の実施形態において、過酸化物分解の触媒を、上記のSAPなどの緩衝剤とブレンドまたは混合して、均一か、それとも均質である粉末混合物などの混合物を形成することができる。触媒を過酸化物分解および緩衝剤と組み合わせると、水素ガス副生成物をもたらさない発熱反応を引き起こすことができる。ブレンドされた圧縮スポンジ、粘土粒子、ならびに他の合成および改変天然材料からの粒子を含めて、組成物と共に使用するための他の緩衝剤が企図される。緩衝剤として組成物と共に使用するために企図された一部の合成高吸収性材料ポリマーには、ポリ(アクリル酸)およびポリ(メタクリル酸)のアルカリ金属およびアンモニウム塩、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(ビニルエーテル)、ビニルエーテルおよびアルファ-オレフィンとの無水マレイン酸コポリマー、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルモルホリノン)、ポリ(ビニルアルコール)、ならびにそれらの混合物およびコポリマーが含まれる。しかし、組成物はそのように限定されず、組成物と共に使用するために企図された他の高吸収性材料には、加水分解アクリロニトリル-グラフトデンプン、アクリル酸グラフトデンプン、メチルセルロース、キトサン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの他の天然および改変天然ポリマー、ならびにアルギナート、ザンサンガム、ローカストビーンガムなどのある特定の天然ゴムが含まれる。
【0083】
過酸化物分解の触媒と共に使用するための緩衝剤の量および特徴は、組成物に関連している発熱反応を制御および/または安定化するように選択的に変更することができる。緩衝剤は、例えばカーボナート溶液を例えば硫酸マグネシウムで抑制することによって、組成物のカロリー値出力をより高いまたはより低い速度で調整するように選択的に変更することもできる。次に、これは、過酸化水素分解が平坦化することができるように組成物が反応する機構に影響する。これは、安定な発熱反応をより非効率または不安定にすることが反応の出力を制御または改変する一手法であることも見いだされたため、分解をより効率的なものにするので特に有利である。
【0084】
これらの実施形態における発熱性の膨張性組成物を、過酸化物、例えば過酸化水素(H)を含有する活性剤溶液と接触させると活性化することができる。例えば、過酸化物分解触媒をSAPとブレンドし、過酸化水素で活性化して、発熱反応を生み出すことができる。過酸化物分解触媒は、SAPまたは1種もしくは複数の他の緩衝剤と混合するのに適したどのような過酸化物分解触媒であってよい。例えば、過酸化物分解触媒は、酸化マンガン、塩化第二鉄などの第二鉄塩、またはカタラーゼなどの酵素であってよい。
【0085】
ある特定の実施形態において、触媒のカプセル化は、カプセル材の溶解性に基づいて、熱出力の曲線に影響し、反応を遅延または引き延ばすことができる。熱出力に影響する他の手法には、酸化マンガン(MnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化銅、PhO、二酸化鉛、赤色酸化鉄(III)、ペルオキシダーゼ酵素、ヨウ化カリウム、塩化第二鉄などを含めて触媒を変更することが含まれ得る。
【0086】
この組成物は、組成物に関連している発熱反応が長く持続し、安全で、制御されており、活性剤溶液が生理食塩水または水に対してはるかに低い凝固点を有するので、特に有利である。これは、より高い高度または氷点下状態など温度が実質的に低減され得る操作環境において特に有用である。好ましくは、凝固点-31℃の35重量%の過酸化水素を使用することができるが、他の重量百分率を必要または要求に応じて使用することができる。さらに、反応が触媒反応であるので、SAP混合物または1種もしくは複数の他の緩衝剤との混合物中における過酸化物分解触媒の存在を最小限に抑えることができる。好ましい一実施形態において、酸化マンガンとSAPの均質な混合物を過酸化物溶液で処理して、水および酸素ガスのみ生成する発熱反応を引き起こすことができる。
【0087】
本開示のゲル形成組成物は、水和されると膨張ゲルまたはフォームマトリックスを形成し、エネルギー放出とエネルギー管理との間の平衡を創造するので有用である。ある特定の実施形態において、これは、本明細書に開示された組成物中のSAPと他の活性成分との関係によってもたらされる。いかなる動作理論にも束縛されることを望むものではないが、SAPは急速に水性溶液を吸収し、それによって、組成物の残りの成分の反応の可能性が限定される。次いで、水分がゲル構成成分から残りの構成成分に移されるにつれて、制御された反応が起こる。この反応は熱を発散し、その熱はゲルに戻され、そのゲルは熱を加熱されたガスの形で空気中に逃避させるのではなく貯蔵する。この相乗的な熱貯蔵および分配系は、医学的、治療的および美容処置などの商業的用途に有益な効果をもたらす。ゲル形成粒子は、水和されるにつれて膨張するので、異なるいくつかの装置のいずれかに組み込むことができ、膨潤するにつれて、所望の場合には膨張し、それらを使用して、発熱性ゲルの平らなブランケットを創造することができ、それによって表面積接触を最大限にし、不均一な熱の面積をなくす。過酸化物分解速度は、例えば炭酸ナトリウム溶液の添加および変化形、ならびに比較的高濃度の塩またはイオンの形のマグネシウム、例えば硫酸マグネシウムによって改変することができる。
【実施例
【0088】
以下に続く実施例において、重量比、混合時間、および他のデータ点などの条件を特定の意図した使用向けに容易に最適化することができる。例えば、消費者用途では、皮膚と接触させるように意図されている医療品のための温度よりも高い温度を達成する組成物を提供することが望ましいことが多い。
【0089】
実施例1
水素ガスが抑制されていないMgFe実施形態
一実施形態において、ガルバニック合金材料は、0.5グラムのMgFeおよび0.5グラムのSA60Sを含む。ガルバニック合金およびSAP(SA60S)の混合物を試験管に入れ、5グラムの3%生理食塩水を添加する。栓をし、発熱反応によって排出されたガスを強制的にチュービングに通し、水で完全に満たされたフラスコに送り込む。水は、ビーカーに追い出される。ガス放出によって追い出された水の量を記録した。試験1は、303.2グラムの水が追い出されたことを示し、試験2は、305.6グラムの水が追い出されたことを示し、試験3は、298.7グラムの水が追い出されたことを示し、試験4は、301.2グラムの水が追い出されたことを示し、試験5は、304.6グラムの水が追い出されたことを示した。
【0090】
実施例2
A.非粉砕MnO組成物混合物、水素ガスを抑制
一実施形態において、ガルバニック合金粒子、SAP、およびMnOは、ブレンディング装置中で一緒にブレンドして、粉末混合物を形成することによって調製する。材料は、0.5グラムのMgFe、0.5グラムのSA60S、および0.5グラムのMnOを含む。粉末混合物を試験管に入れ、5グラムの3%生理食塩水を添加する。栓をし、発熱反応によって排出されたガスを強制的にチュービングに通し、水で完全に満たされたフラスコに送り込む。水は、ビーカーに追い出される。ガス発生によって追い出された水の量を記録した。抑制されていない実施例1に対して約62.9%のガスが発生し、約37%のガスが抑制された。
【0091】
B.粉砕MnO組成物混合物、水素ガスを抑制
一実施形態において、ガルバニック合金粒子およびSAPは、高速ボールミルを使用して、MgFeをMnOと合金化し、それをSAP(SA60S)と組み合わせることによって調製する。材料は、0.5グラムのSA60Sとブレンドされた0.5グラムのMgFe/MnO合金を含む。MgFe/MnO合金をSAPとブレンドする。MgFe/MnO合金とSAPのブレンドを試験管に入れ、5グラムの3%生理食塩水を添加する。栓をし、発熱反応によって排出されたガスを強制的にチュービングに通し、水で完全に満たされたフラスコに送り込む。水は、ビーカーに追い出される。ガス発生によって追い出された水の量を記録する。結果は、反応によって生成されたガスの大部分が抑制されていることを示す。
【0092】
実施例3
過マンガン酸カリウムKMnO組成物混合物、水素ガスを抑制
一実施形態において、ガルバニック合金粒子、SAP、およびKMnOは、ブレンディング装置中で一緒にブレンドして、粉末混合物を形成することによって調製する。ガルバニック合金材料は、0.5グラムのMgFe、0.5グラムのSA60S、および0.5グラムのKMnOを含む。粉末混合物を試験管に入れ、5グラムの3%生理食塩水を添加する。栓をし、発熱反応によって排出されたガスを強制的にチュービングに通し、水で完全に満たされたフラスコに送り込む。水は、ビーカーに追い出される。ガス発生によって追い出された水の量を記録した。実施例1に対して約6.8%のガスが発生し、約93.2%のガスが抑制された。
【0093】
本明細書に記載および例示して、本発明の性質を説明にしてきた詳細、材料、ステップおよびパーツの配置に、当業者は添付の特許請求の範囲で表現されている本発明の原理および範囲内でさらなる多くの変化をもたらすことができると理解される。
【0094】
したがって、以下の特許請求の範囲の単語または要素の定義は、文字通り記述されている要素の組合せを含むだけではないと本明細書に定義される。以下の特許請求の範囲における要素のいずれか1つと2つ以上の要素の均等物との置換を行うことができること、またはある請求項における2つ以上の要素と単一の要素と置換することができることも企図される。要素は、ある特定の組合せで作用するものと上に記載され、さらにはそのようなものとして最初に特許請求されているが、特許請求された組合せからの1つ以上の要素を組合せから場合によっては削除することができること、および特許請求された組合せは、部分組合せまたは部分組合せの変化形を対象にすることができることをはっきりと理解されたい。
【0095】
当業者によって考慮され、現在公知であり、または後に想到される、特許請求された主題からのわずかな変化は、均等に特許請求の範囲内であるとしてはっきりと企図される。したがって、当業者に現在または後に公知の明らかな置換は、定義された要素の範囲内であると定義される。したがって、特許請求の範囲には、上に具体的に例示および記載されたもの、概念的に均等であるもの、明らかに置換することができるもの、さらには実施形態の本質的な考えを組み込んだものが含まれると理解されたい。
【0096】
上に記載されたものには、1つ以上の実施形態の例が含まれる。当然、上記の実施形態
を記載する目的で構成成分または方法論の考えられるあらゆる組合せを記載することは可
能でないが、当業者は、様々な実施形態の多くのさらなる組合せおよび並べ替えが可能で
あることを認識することができる。したがって、記載された実施形態は、添付の特許請求
の範囲の趣旨および範囲内に入るそのような修正、改変および変化形をすべて包含するよ
うに意図されている。さらに、「含む(includes)」という用語が詳細な説明ま
たは特許請求の範囲で使用されている範囲で、そのような用語は、「含む(compri
sing)」という用語がある請求項において移行語として用いられているときに解釈さ
れるように「含む(comprising)」と同様に包含的であるように意図されてい
る。
<付記>
<項1>
膨張性の発熱性ゲル形成組成物であって、
第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、
少なくとも1種の遷移金属から構成される金属性二次シェル、ならびに
高吸収性ポリマー
を含み、
第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、金属性二次シェル、ならびに高吸収性
ポリマーが互いにブレンドされ、
ゲル形成組成物が、水和されるにつれて膨張し、水および電解質に曝露されると、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こす、組成物。
<項2>
第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、金属性二次シェル、ならびに高吸収性
ポリマーが互いにブレンドされ、電気接触する、項1に記載の組成物。
<項3>
高吸収性ポリマーとブレンドされた第1および第2の金属性ガルバニック粒子から、粉
末混合物が形成される、項1に記載の組成物。
<項4>
金属性ガルバニック合金粒子が、ブレンディング装置によって高吸収性ポリマーとブレ
ンドされて、粉末混合物を形成する、項1に記載の組成物。
<項5>
第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、金属性二次シェル、ならびに高吸収性
ポリマーが互いにブレンドされて、均質混合物を形成する、項1に記載の組成物。
<項6>
二次シェルの遷移金属が、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄
、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、
テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、ハフニウム、タン
タル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、ラザホージ
ウム、ドブニウム、シーボーギウム、ボーリウム、ハッシウム、マイトネリウム、または
ウンウンニリウムからなる、項1に記載の組成物。
<項7>
二次シェルの遷移金属が、二酸化マンガンである、項1に記載の組成物。
<項8>
ガルバニック合金粒子、二次シェル、および高吸収性ポリマーとブレンドされた、活性
炭をさらに含み、
活性炭が、ゲル形成中の発熱反応によって生成される臭気を吸収する、項1に記載の組成物。
<項9>
活性炭が、マグネタイトとブレンドまたは合金化される、項8に記載の組成物。
<項10>
活性炭が、組成物の全重量の2~25%を占める、項8に記載の組成物。
<項11>
発熱反応の出力が、第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子と高吸収性ポリマー
との第1の重量比によって決定される、項1に記載の組成物。
<項12>
電解質をさらに含み、高吸収性ポリマーが、少なくとも200g/gの吸収能力を含み
、高吸収性ポリマーが、水素結合を介した水分子の溶媒和によって溶解することなく水を
吸収するように動作可能である、項1に記載の組成物。
<項13>
電解質が、塩化カリウム、塩化ナトリウムまたは塩化カルシウムを含む、項10に記載の組成物。
<項14>
第1および第2のガルバニック合金粒子が、マグネシウムおよび鉄を含む、項1に記載の組成物。
<項15>
発熱性粒子状ゲル形成組成物が、少なくとも1種の結合剤をさらに含む、項1に記載の組成物。
<項16>
高吸収性ポリマーが、ポリアクリルアミドナトリウムである、項1に記載の組成物。
<項17>
ゲル形成組成物が、少なくとも5倍(体積/体積)膨張する、項1に記載の組成物。
<項18>
ゲル形成組成物が、少なくとも10倍(体積/体積)膨張する、項1に記載の組成
物。
<項19>
発熱性粒子状ゲル形成組成物が、400g/gより高い吸収能力を有する、項1に記載の組成物。
<項20>
ガルバニック合金粒子が、2~20重量%の鉄と80~98重量%のマグネシウムの混
合物から形成される、項1に記載の組成物。
<項21>
20:1~5:1の重量比のガルバニック合金粒子と高吸収性ポリマーを混合すること
によって形成される、項1に記載の組成物。
<項22>
約1:1の重量比のガルバニック合金粒子と高吸収性ポリマーを混合することによって
形成される、項1に記載の組成物。
<項23>
20:1~5:1の重量比の高吸収性ポリマーとガルバニック合金粒子を混合すること
によって形成される、項1に記載の組成物。
<項24>
ガルバニック合金粒子が、ポリマーによってマイクロカプセル化される、項1に記載の組成物。
<項25>
ポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである、項24に記載の組成物。
<項26>
ガルバニック合金粒子が、高吸収性ポリマーによって形成されたゲルによってカプセル
化され、所定の持続時間が、少なくとも1時間である、項1に記載の組成物。
<項27>
第1のガルバニック合金粒子がアノードであり、第2のガルバニック合金粒子がカソー
ドであり、第1および第2のガルバニック合金粒子を高吸収性ポリマーとブレンドすると
、組成物が形成される、項1に記載の組成物。
<項28>
膨張性の発熱性膨張性組成物であって、
第1および第2のガルバニック合金粒子、
高吸収性ポリマー、ならびに
過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリウム
を含み、
第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリ
ウム、ならびに高吸収性ポリマーが互いにブレンドされ、
組成物が、水和されるにつれて膨張し、水および電解質のみに曝露されると、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こす、組成物。
<項29>
発熱反応中に組成物から生成された水素ガスが、過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリ
ウムによって加水分解される、項28に記載の組成物。
<項30>
第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、金属性二次シェル、ならびに高吸収性
ポリマーが互いにブレンドされて、均質混合物を形成する、項28に記載の組成物。
<項31>
水および過酸化水素(H )が、発熱反応の副生成物である、項28に記載の組成物。
<項32>
発熱反応によって生成された染色剤が、ゲル形成組成物によって封鎖される、項28に記載の組成物。
<項33>
封止容器に配置されている、項28に記載の組成物。
<項34>
封止容器が、透過性層を含む、項33に記載の組成物。
<項35>
封止容器が、蒸気弁をさらに含む、項33に記載の組成物。
<項36>
発熱反応の出力が、第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子と高吸収性ポリマー
との第1の重量比によって決定される、項28に記載の組成物。
<項37>
第1および第2のガルバニック合金粒子が、MgFeおよびMnO を含む、項38に記載の組成物。
<項38>
膨張性の発熱性組成物であって、
緩衝剤とブレンドされた酸化マンガン
を含み、
ゲル形成組成物が、水和されるにつれて膨張し、水性溶液のみに曝露されると、熱を所定の持続時間生成する、組成物。
<項39>
酸化マンガンが、二酸化マンガンである、項38に記載の組成物。
<項40>
水性溶液が過酸化水素であり、緩衝剤が高吸収性ポリマーである、項38に記載の組成物。
<項41>
膨張して、発熱性ゲルを形成する、項40に記載の組成物。
<項42>
膨張して、硬いフォームを形成する、項40に記載の組成物。
<項43>
水和されるにつれてふんわり膨らむ、項40に記載の組成物。
<項44>
水性溶液が過酸化水素であり、緩衝剤が、圧縮スポンジおよび/または粘土粒子のブレ
ンド混合物である、項38に記載の組成物。
<項45>
膨張して、硬いフォームを形成する、項44に記載の組成物。
<項46>
発熱反応の出力が、酸化マンガンと緩衝剤との第1の重量比によって決定される、項38に記載の組成物。
<項47>
緩衝剤が高吸収性ポリマーであり、酸化マンガンおよび高吸収性ポリマーが互いにブレ
ンドされて、均質混合物を形成する、項38に記載の組成物。
<項48>
封止容器に配置されている、項38に記載の組成物。
<項49>
発熱反応中に組成物から生成または放出されるガスが最小またはほぼゼロである、項1から48のいずれかに記載の組成物。
<項50>
発熱反応によって生成されたガスの約37%~約93%が抑制され、発熱反応中に組成
物から放出されない、項1から48のいずれかに記載の組成物。
<項51>
発熱反応によって生成されたガスの約93%~約100%が抑制され、発熱反応中に組
成物から放出されない、項1から48のいずれかに記載の組成物。
<項52>
発熱反応によって生成されたガスの40%もしくは約40%超、45%もしくは約45
%超、50%もしくは約50%超、55%もしくは約55%超、60%もしくは約60%
超、65%もしくは約65%超、70%もしくは約70%超、75%もしくは約75%超
、80%もしくは約80%超、85%もしくは約85%超、90%もしくは約90%超、
または95%もしくは約95%超が抑制され、発熱反応中に組成物から放出されない、項1から48のいずれかに記載の組成物。
<項53>
容器、
先行する項のいずれかに記載の発熱性粒子状ゲル形成組成物、
活性剤水溶液であって、ゲル形成組成物が水和されるにつれて膨張するように、緩衝剤
または高吸収性ポリマーが、活性剤水溶液を吸収するように動作可能である、活性剤水溶
液、および
組成物が空気の非存在下で活性剤水溶液と接触すると活性化されて、熱を所定の持続時
間生成することを明記している指示書
を含むキット。
<項54>
容器が、バッグ、ティーバッグ、または透過性サシェである、項53に記載のキット。
<項55>
飲料容器、食品容器、医療デバイス、マッサージ器具などにおいて使用される、項
53に記載のキット。
<項56>
膨張性の発熱性粒子状ゲル形成組成物であって、
マグネシウムおよび鉄を含む第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、
二酸化マンガンを含む少なくとも1種の遷移金属から構成される金属性二次シェル、な
らびに
ポリアクリルアミドナトリウムを含む高吸収性ポリマー
を含み、
第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、金属性二次シェル、ならびに高吸収性
ポリマーが互いにブレンドされ、
ゲル形成組成物が、水和されるにつれて膨張し、水および電解質に曝露されると、熱を所定の持続時間生成する発熱反応を引き起こす、組成物。
<項57>
膨張性の発熱性粒子状ゲル形成組成物であって、
マグネシウムおよび鉄を含む第1および第2のガルバニック合金粒子、
ポリアクリルアミドナトリウムを含む高吸収性ポリマー、ならびに
過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリウム
を含み、
第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、過マンガン酸カリウムまたは鉄酸カリ
ウム、ならびに高吸収性ポリマーが互いにブレンドされ、
ゲル形成組成物が、水和されるにつれて膨張し、水および電解質のみに曝露されると、熱を所定の持続時間生成する、組成物。
<項58>
膨張性の発熱性粒子状ゲル形成組成物であって、
ポリアクリルアミドナトリウムを含む高吸収性ポリマーとブレンドされた酸化マンガン
を含み、ゲル形成組成物が、水和されるにつれて膨張し、水性溶液のみに曝露されると、熱を所定の持続時間生成する、組成物。
<項59>
膨張性の発熱性組成物であって、
鉄を含まない、マグネシウムおよび酸化マンガンを含む第1および第2の金属性ガルバ
ニック合金粒子、
高吸収性ポリマー、ならびに
炭素粒子
を含み、
第1および第2の金属性ガルバニック合金粒子、高吸収性ポリマー、ならびに炭素粒子
を互いにブレンドすることができ、
組成物が、水で水和されるにつれて膨張し、熱を所定の持続時間生成する、組成物。
<項60>
容器、
先行する項のいずれかに記載の発熱性粒子状ゲル形成組成物、
水または生理食塩水を含む活性剤水溶液であって、ゲル形成組成物が水和されるにつれ
て膨張するように、高吸収性ポリマーが、活性剤水溶液を吸収するように動作可能である
、活性剤水溶液、および
組成物が空気の非存在下で活性剤水溶液と接触すると活性化されて、熱を所定の持続時
間生成することを明記している指示書
を含むキット。