(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】缶体の印刷システム、管理装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20230608BHJP
【FI】
G06F3/12 344
G06F3/12 308
G06F3/12 329
G06F3/12 375
G06F3/12 378
G06F3/12 388
(21)【出願番号】P 2019532458
(86)(22)【出願日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2018024622
(87)【国際公開番号】W WO2019021739
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2019-12-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2017144353
(32)【優先日】2017-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】池田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 明日美
(72)【発明者】
【氏名】増田 和久
【合議体】
【審判長】▲吉▼田 耕一
【審判官】中野 裕二
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-32879(JP,A)
【文献】特開2016-149037(JP,A)
【文献】特開2014-50786(JP,A)
【文献】特開2002-182883(JP,A)
【文献】特開2003-6481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B05C5/00
B05C11/00
B05D1/26
B05D3/00
B41J3/413
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる場所に設置され、インクジェット印刷により缶体に印刷を行う複数の印刷装置と、
前記複数の印刷装置を管理する管理装置と、
ユーザが操作するクライアント装置に接続され、印刷が行われた缶体の試作に用いられる試作用プリンタであって、試作用印刷画像データを基に缶体への印刷を行う試作用プリンタと、
を備え、
前記管理装置は、取得したデザイン画像に対して缶体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データである印刷装置用印刷画像データを作成し、
前記試作用プリンタにて用いられる前記試作用印刷画像データは、
デザイン画像と当該デザイン画像を基に前記クライアント装置にて作成された見本画像に対する前記ユーザの色変更情報とを基に、前記印刷装置用印刷画像データを作成する前記管理装置によって作成される、
缶体の印刷システム。
【請求項2】
前記管理装置は、缶体の素地面、または缶体の素地面上に所定の表面処理が施されたコート面に対して前記デザイン画像を印刷するための色に関する画像処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の缶体の印刷システム。
【請求項3】
前記管理装置は、前記複数の印刷装置によって印刷を行う缶体の数に関する情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の缶体の印刷システム。
【請求項4】
前記異なる場所ごとに設けられ、前記管理装置と前記印刷装置とを中継する複数の中継装置を備えることを特徴とする請求項1に記載の缶体の印刷システム。
【請求項5】
前記中継装置は、前記印刷装置により印刷が行われた印刷缶の数に関する情報を取得することを特徴とする請求項4に記載の缶体の印刷システム。
【請求項6】
前記印刷装置により印刷が行われた印刷缶の印刷の状態を検査する検査装置を備え、
前記検査装置は、前記印刷装置用印刷画像データを取得することを特徴とする請求項1に記載の缶体の印刷システム。
【請求項7】
前記異なる場所ごとに設けられ、前記管理装置と前記印刷装置とを中継する複数の中継装置を備え、
前記検査装置は、前記印刷缶を読み取った読取画像データと前記印刷装置用印刷画像データとに基づいて印刷の不具合が発生した印刷缶の数を特定し、特定した当該印刷缶の数に関する情報を前記中継装置に送信することを特徴とする請求項6に記載の缶体の印刷システム。
【請求項8】
前記管理装置は、前記デザイン画像が缶体に印刷された場合の見本画像をクライアント装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の缶体の印刷システム。
【請求項9】
前記管理装置は、前記見本画像に対する色の変更に関する情報を前記クライアント装置から取得することを特徴とする請求項8に記載の缶体の印刷システム。
【請求項10】
インクジェット印刷により缶体に印刷を行うとともに異なる場所に設置される複数の印刷装置を管理する管理装置であって、
取得したデザイン画像に対して缶体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データである印刷装置用印刷画像データを作成する作成部と、
前記作成部が作成した前記印刷装置用印刷画像データを、前記複数の印刷装置に向けて送信する送信部と、
印刷が行われた缶体の試作に用いられ
ユーザが操作するクライアント装置に接続される試作用プリンタが用いる印刷画像データである試作用印刷画像データを作成する試作用印刷画像データ作成部
であって、デザイン画像と当該デザイン画像を基に当該クライアント装置にて作成された見本画像に対するユーザの色変更情報とを基に、当該試作用印刷画像データを作成する試作用印刷画像データ作成部と、
前記試作用印刷画像データ作成部が作成した試作用印刷画像データを、前記試作用プリンタに向けて送信する送信部と、
を備えることを特徴とする管理装置。
【請求項11】
インクジェット印刷により缶体に印刷を行うとともに異なる場所に設置される複数の印刷装置を管理する管理装置として機能するコンピュータに、
取得したデザイン画像に対して缶体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データである印刷装置用印刷画像データを作成する機能と、
作成された前記印刷装置用印刷画像データを、前記複数の印刷装置に向けて送信する機能と、
印刷が行われた缶体の試作に用いられ
ユーザが操作するクライアント装置に接続される試作用プリンタが用いる印刷画像データである試作用印刷画像データを作成する機能
であって、デザイン画像と当該デザイン画像を基に当該クライアント装置にて作成された見本画像に対するユーザの色変更情報とを基に、当該試作用印刷画像データを作成する機能と、
作成された試作用印刷画像データを、前記試作用プリンタに向けて送信する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶体の印刷システム、管理装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載の飲料缶に用いられる缶体の製造方法では、筒状に形成され且つ金属材料により形成され外周面に金属の地が現れている缶体の外周面に対し、金属の地を覆う層を形成する。さらに、金属の地を覆う層を形成後、缶体の外周面に対し、画像を形成する。そして、引用文献1には、金属の地を覆う層の形成は、複数のインク吐出口を有し、インクを吐出するか否かの制御をインク吐出口毎に行うことが可能なインクジェット印刷によって行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば複数の工場にて缶体に対する印刷をそれぞれ行う場合など、異なる場所に設置された複数の印刷装置を用いて印刷缶の生産を行うことがある。そして、従来は、所定のデザイン画像に基づいて印刷を缶体に対して行う際、印刷装置が設定される場所ごとにデザイン画像に対して色に関する処理を行い、処理を行ったデザイン画像を用いて印刷を行っていた。しかしながら、印刷装置が設定される場所ごとにデザイン画像に対して色に関する処理を行う場合、印刷缶のデザインの色に異なる場所ごとにばらつきが生じる可能性が高かった。
【0005】
本発明は、異なる場所に設置された印刷装置を用いて缶体に印刷を行う際に、色のばらつきの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が適用される缶体の印刷システムは、異なる場所に設置され、インクジェット印刷により缶体に印刷を行う複数の印刷装置と、前記複数の印刷装置を管理する管理装置と、を備え、前記管理装置は、取得したデザイン画像に対して缶体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データを作成することを特徴とする。
ここで、前記管理装置は、缶体の素地面、または缶体の素地面上に所定の表面処理が施されたコート面に対して前記デザイン画像を印刷するための色に関する画像処理を行うことを特徴とすることができる。
また、前記管理装置は、前記複数の印刷装置によって印刷を行う缶体の数に関する情報を作成することを特徴とすることができる。
さらに、前記異なる場所ごとに設けられ、前記管理装置と前記印刷装置とを中継する複数の中継装置を備えることを特徴とすることができる。
そして、前記中継装置は、前記印刷装置により印刷が行われた印刷缶の数に関する情報を取得することを特徴とすることができる。
また、前記印刷装置により印刷が行われた印刷缶の印刷の状態を検査する検査装置を備え、前記検査装置は、前記印刷画像データを取得することを特徴とすることができる。
さらにまた、前記異なる場所ごとに設けられ、前記管理装置と前記印刷装置とを中継する複数の中継装置を備え、前記検査装置は、前記印刷缶を読み取った読取画像データと前記印刷画像データとに基づいて印刷の不具合が発生した印刷缶の数を特定し、特定した当該印刷缶の数に関する情報を前記中継装置に送信することを特徴とすることができる。
また、前記管理装置は、前記デザイン画像が缶体に印刷された場合の見本画像をクライアント装置に送信することを特徴とすることができる。
ここで、前記管理装置は、前記見本画像に対する色の変更に関する情報を前記クライアント装置から取得することを特徴とすることができる。
また、本発明が適用される管理装置は、インクジェット印刷により缶体に印刷を行うとともに異なる場所に設置される複数の印刷装置を管理する管理装置であって、取得したデザイン画像に対して缶体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データを作成する作成部と、前記作成部が作成した前記印刷画像データを、前記複数の印刷装置に向けて送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明が適用されるプログラムは、インクジェット印刷により缶体に印刷を行うとともに異なる場所に設置される複数の印刷装置を管理する管理装置として機能するコンピュータに、取得したデザイン画像に対して缶体に印刷するための画像処理を施し、前記複数の印刷装置にて用いられる印刷画像データを作成する機能と、作成された前記印刷画像データを、前記複数の印刷装置に向けて送信する機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異なる場所に設置された印刷装置を用いて缶体に印刷を行う際に、色のばらつきの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1の缶体の印刷システムの全体図である。
【
図2】本実施形態のホスト装置の機能ブロック図である。
【
図4】各工場における印刷缶の生産フロー図である。
【
図5】実施形態2の缶体の印刷システムの全体図である。
【
図6】ホスト装置を適用するのに好適なコンピュータのハードウェア構成の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
<実施形態1>
図1は、実施形態1の缶体の印刷システム1の全体図である。
【0010】
〔システム構成〕
図1に示すように、缶体の印刷システム1は、缶体に印刷を行うためのデザイン画像を送信するクライアント装置2と、後述する複数のインクジェットプリンタ装置4を管理するホスト装置3とが、ネットワークを介して接続している。さらに、缶体の印刷システム1は、缶体にインクジェット印刷を行う複数のインクジェットプリンタ装置4(以下、プリンタ装置4)と、ホスト装置3とプリンタ装置4とを中継する中継装置5とが、ネットワークを介して接続している。また、缶体の印刷システム1は、プリンタ装置4によって印刷が行われた印刷缶の印刷の状態を検査する検査装置6が、ネットワークを介して接続している。
なお、本実施形態において、プリンタ装置4が印刷装置の一例として機能し、ホスト装置3が管理装置の一例として機能する。
【0011】
ここで、通信回線の一例としてのネットワークは、クライアント装置2、ホスト装置3、中継装置5、プリンタ装置4および検査装置6間の情報通信に用いられる通信手段である。ここで、通信手段は、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)方式などであり、システム構成を実現できるのであれば、このような方式に限られるものではない。さらに、缶体の印刷システム1のクライアント装置2は、一つに限らず、複数に分散されていても良い。また、ホスト装置3や中継装置5は、一つに限らず、遠隔地に複数あっても良い。さらに、缶体の印刷システム1は、一つ以上のクライアント装置2と、ネットワーク接続などの機能を有するプリンタ装置4を備えていれば良いものとする。
【0012】
なお、本実施形態において、プリンタ装置4によって印刷が行われる前の缶体のことを「印刷前缶」と称し、プリンタ装置4によって印刷が行われた缶体のことを「印刷缶」と称する場合がある。また、特に印刷の前後で区別しない場合には、便宜上、「缶体」と称する。
【0013】
また、本実施形態では、複数の工場として、印刷前缶に印刷を行うプリンタ装置4がそれぞれ設置されたA工場とB工場が存在する例を用いて説明する。
そして、本実施形態の説明において、クライアント装置2、ホスト装置3、A工場およびB工場は、互いに異なる離れた場所に位置していることを想定している。
【0014】
A工場には、複数のプリンタ装置4として第1プリンタ装置41、第2プリンタ装置42および第3プリンタ装置43が設置されている。また、A工場には、ホスト装置3と複数のプリンタ装置4とを中継する第1中継装置51が設置されている。さらに、A工場には、印刷缶の状態を検査する第1検査装置61が設置されている。
【0015】
また、B工場には、複数のプリンタ装置4として第4プリンタ装置44、第5プリンタ装置45および第6プリンタ装置46が設置されている。また、B工場には、ホスト装置3と複数のプリンタ装置4とを中継する第2中継装置52が設置されている。さらに、B工場には、印刷缶の状態を検査する第2検査装置62が設置されている。
【0016】
なお、本実施形態の説明において、第1プリンタ装置41~第6プリンタ装置46を特に区別しない場合には、「プリンタ装置4」と総称する。同様に、第1中継装置51および第2中継装置52を特に区別しない場合には、「中継装置5」と総称する。さらに、第1検査装置61および第2検査装置62を特に区別しない場合には、「検査装置6」と総称する。
【0017】
さらに、本実施形態において、缶体は、金属を材料とする筒状の容器である。また、缶体の材料には、アルミニウム、アルミニウム合金、スチールなどの金属を用いることができる。
【0018】
〔クライアント装置2〕
クライアント装置2は、例えば、印刷缶の納品先の企業等の端末装置(パーソナルコンピュータ、タブレット端末、携帯端末等)を例示することができる。この場合、クライアント装置2は、例えば缶体に対する印刷の発注を行う発注者などのユーザによって操作が行われる。
【0019】
そして、クライアント装置2は、ユーザが予め作成したデザイン画像をネットワークを介してホスト装置3に送信する。デザイン画像は、缶体の側面部(全周)に印刷される画像である。なお、デザイン画像は、例えば汎用ソフトウェアで作成されたデータ形式で構成されている。
また、クライアント装置2は、印刷缶の発注に係る生産情報をネットワークを介してホスト装置3に送信する。ここで、生産情報には、生産計画に係る生産計画情報、デザイン画像、色変更情報などが含まれる。特に、生産計画情報には、デザイン画像ごとに、ユーザが納品を希望する印刷缶の総数である計画総数の情報、缶体の素地面に印刷するかコート面に印刷するかの印刷面の条件に関する情報が含まれる。さらに、生産計画情報には、納期などの時間に関する情報、納品先などの場所に関する情報、量産品や試作品の識別情報など、印刷缶の生産に関する各種情報が含まれている。
【0020】
また、クライアント装置2は、ホスト装置3から取得した後述する見本画像を画面に表示可能になっている。さらに、クライアント装置2は、見本画像に対する色の変更に関する情報である色変更情報を受け付ける。そして、クライアント装置2は、その色変更情報をホスト装置3に送信可能になっている。
【0021】
〔ホスト装置3〕
次に、ホスト装置3について詳細に説明する。
図2は、本実施形態のホスト装置3の機能ブロック図である。
ホスト装置3は、デザイン画像を取得するデザイン取得部31と、生産計画情報を取得する計画情報取得部32と、デザイン画像に対する画像処理を行う画像処理部33(作成部の一例)と、を有している。また、ホスト装置3は、デザイン画像に基づいて見本画像を作成する見本画像作成部34と、ユーザによる見本画像に対する色の変更に関する指示を受け付ける色変更情報受付部35と、を有している。さらに、ホスト装置3は、複数のプリンタ装置4の状態を監視するプリンタ監視部36と、印刷缶の生産条件を決定する生産条件決定部37と、中継装置5に対して印刷に関する指示を送信する印刷情報送信部38(送信部の一例)と、を有している。
【0022】
デザイン取得部31は、クライアント装置2からデザイン画像を取得する。そして、デザイン取得部31は、取得したデザイン画像を画像処理部33に渡す。
計画情報取得部32は、クライアント装置2からデザイン画像ごとに対応付けられた生産計画情報を取得する。そして、計画情報取得部32は、取得した生産計画情報を生産条件決定部37に渡す。
【0023】
画像処理部33は、デザイン取得部31から取得したデザイン画像に対して、色に関わる予め定められた画像処理を行う。また、画像処理部33は、計画情報取得部32から生産計画情報を取得する。
そして、画像処理部33は、デザイン画像に基づいてプリンタ装置4にて印刷を行うために必要な形式のデータである印刷画像データを作成する。印刷画像データの形式は、プリンタ装置4や中継装置5が取り扱うことができれば良く、例えばPDL(Page description language)など各種の形式を用いることができる。そして、画像処理部33は、作成した印刷画像データを印刷情報送信部38および見本画像作成部34に渡す。
【0024】
後述するように、本実施形態のプリンタ装置4では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを基本のインクとして用いている。従って、画像処理部33は、画像処理として、デザイン画像を4色のインクに対応させて分色を行う。さらに、画像処理部33は、画像処理として、色ごとに、予め定められた条件に基づいて色調調整や濃度調整を行う。
【0025】
また、本実施形態では、画像処理部33は、印刷前缶の表面の条件に応じて分色、色調調整および濃度調整を行う。例えば、アルミニウム缶に対してインクジェット印刷を行う場合、印刷前缶の表面は、アルミニウムの素地面である場合、素地面に白色コート、有色コートあるいは無色透明コートなどのベースコートが施されたコート面である場合が想定される。従って、本実施形態の画像処理部33は、画像処理として、印刷前缶の表面が素地面であるか、コート面であるかに応じて、印刷缶におけるデザインの色が最適になるように分色、色調調整および濃度調整を行う。
【0026】
見本画像作成部34は、画像処理部33から取得した印刷画像データに基づいて、クライアント装置2にてユーザが閲覧可能な見本画像を作成する。そして、見本画像作成部34は、作成した見本画像をクライアント装置2に送信する。
【0027】
あるデザイン画像を用いて同じようにインクジェット印刷を行った場合であっても、印刷前缶の表面の条件に応じて、印刷缶におけるデザインの色の見え方は大きく変わってくる。そこで、本実施形態では、見本画像作成部34は、デザイン画像に対して画像処理が施された印刷画像データを用いて見本画像を作成するようにしている。さらには、見本画像作成部34は、印刷画像データに基づいて素地面あるいはコート面にインクジェット印刷を行った場合のイメージ画像である見本画像をユーザが確認できるようにしている。
【0028】
色変更情報受付部35は、クライアント装置2から、見本画像に対する色変更情報を受け付ける。そして、色変更情報受付部35は、色変更情報を画像処理部33に渡す。
見本画像作成部34が作成した見本画像をユーザが確認した場合に、例えば現状の見本画像よりも明るさを増したかったり、光沢感を高めたかったりと、ユーザが色の変更を希望することが想定される。そこで、本実施形態では、色変更情報受付部35は、ユーザから見本画像に対する色の変更を受け付けることを可能にしている。
【0029】
そして、色変更情報受付部35は、クライアント装置2から受け付けた色変更情報を見本画像作成部34に送信する。なお、見本画像作成部34では、取得した色変更情報に基づいて見本画像が改めて作成され、更新した見本画像を再度クライアント装置2に送信する。
【0030】
本実施形態では、以上のようにして、デザイン画像に基づく見本画像を介して、ユーザの希望に沿った色の変更(調整)作業が行われる。そして、色変更情報受付部35は、デザイン画像に対するユーザによる色の変更作業が完了した場合、最終決定された色変更情報を画像処理部33に送る。
【0031】
なお、見本画像作成部34が設けられる場合であっても、ユーザが特に見本画像に対する色の変更を希望しない場合には、見本画像を用いたユーザの色の変更が反映されずに印刷画像データが作成される。
また、見本画像作成部34および色変更情報受付部35の構成は、必須ではない。見本画像作成部34を設けない場合には、見本画像を用いたユーザの色の変更が反映されずに印刷画像データが作成される。
【0032】
プリンタ監視部36は、中継装置5から後述する監視情報を取得する。監視情報には、複数のプリンタ装置4に関する各種の情報が含まれている。プリンタ監視部36は、例えば工場ごとに、プリンタ装置4の空き状況や、プリンタ装置4の故障・エラー情報などを把握することができる。
なお、本実施形態では、プリンタ監視部36は、取得した監視情報をクライアント装置2にも送信するようにしている。
【0033】
生産条件決定部37は、生産計画情報および監視情報に基づいて、中継装置5(工場)ごとに印刷缶の生産条件を決定する。そして、生産条件決定部37は、生産条件に関する情報である生産条件情報を印刷情報送信部38に送る。
具体的には、生産条件決定部37は、計画総数の印刷缶の生産が達成されるように、中継装置5(工場)ごとに計画総数のうち所定数を割り当てる。そして、生産条件決定部37は、生産条件情報として、中継装置5(工場)ごとに割り当てた印刷缶の生産数(以下、割当数)に関する情報を作成する。また、生産条件決定部37は、生産条件情報として、中継装置5(工場)ごとに、所定の割当数の印刷缶の生産をいつまでに完了するという期限情報も作成する。
【0034】
例えば、印刷缶の納品先がB工場よりもA工場の方が近い場合には、生産条件決定部37は、A工場に対して計画総数の全数を割当数とした生産条件情報を作成する。また、例えば、他の例として、納品先の距離については特に制約がなく納期を優先するような場合には、生産条件決定部37は、A工場およびB工場に対して計画総数を適宜分配した所定数を割当数として生産条件情報を作成する。さらに、例えば、A工場における印刷缶の生産に比較的空きが少なく、B工場における印刷缶の生産に余力がある場合には、生産条件決定部37は、B工場に対してA工場よりも多くが割り当てられた割当数とした生産条件情報を作成する。
さらに、少なくとも1台以上のプリンタ装置4が故障した場合、プリンタ監視部36は、中継装置5を介して監視情報(故障情報を含む)を取得する。次に、生産条件決定部37は、監視情報に基づき、最適な生産条件を設定することにより、故障していないプリンタ装置4に印刷ジョブを割り当てることが可能となる。
【0035】
以上のように、本実施形態の缶体の印刷システムでは、ホスト装置3(生産条件決定部37)が、中継装置5(工場ごとのプリンタ装置4)に対する印刷ジョブを振り分けるようになっている。
【0036】
印刷情報送信部38は、複数のプリンタ装置4に対する印刷指示情報を作成する。そして、印刷情報送信部38は、第1中継装置51および第2中継装置52に対し、作成した印刷指示情報をそれぞれ送信する。
印刷指示情報には、プリンタ装置4にて用いられる印刷画像データと、印刷画像データに対応づけられた生産条件情報とが含まれる。そして、あるデザイン画像に対応する印刷指示情報のうち生産条件情報の内容は、中継装置5(工場)ごとに異なる場合がある。一方で、あるデザイン画像に対応する印刷指示情報のうち印刷画像データは、中継装置5(工場)に関わらず同じ内容のものである。
【0037】
以上のように構成されるホスト装置3は、異なる複数の中継装置5に対して、それぞれ印刷指示情報を送信する。さらに、各中継装置5では、受信した印刷指示情報に基づいて、各中継装置5に接続しているプリンタ装置4に対して印刷前缶へのインクジェット印刷を実行させる。
【0038】
そして、本実施形態では、上述したとおり、ホスト装置3(画像処理部33)が一括して印刷画像データの作成を行う。これによって、例えば異なる複数の中継装置5(工場)がクライアント装置2からそれぞれデザイン画像を取得し、中継装置5(工場)ごとに独立して印刷画像データを作成する場合に比べて、工場ごとに印刷缶の色にばらつきが生じることが防止される。
【0039】
〔プリンタ装置4〕
図3は、実施形態1のプリンタ装置4の説明図である。
プリンタ装置4では、中継装置5(ホスト装置3)から取得した印刷画像データに基づいて所謂デジタル印刷を行う。
また、プリンタ装置4は、所定のタイミングで監視情報を中継装置5に対して送信する。ここで、監視情報には、プリンタ装置4のインクの残量や故障・エラーなどプリンタ装置4の状態に関する情報が含まれる。
さらに、プリンタ装置4は、インクジェットヘッド400を有している。本実施形態のインクジェットヘッド400は、インクジェットヘッド400の下方に位置する缶体に向けてインクを吐出して、缶体の外周面に対する印刷を行う。言い換えると、本実施形態のプリンタ装置4では、非接触の画像形成方式によって、缶体に対する画像形成を行う。
【0040】
さらに、プリンタ装置4における画像形成処理では、インクジェットヘッド400による画像形成後に、缶体の外周面に対して塗料が塗布されて、保護層(オーバーコート層)が形成される。
言い換えると、プリンタ装置4における印刷処理では、インキを液滴としてノズルから噴射して、このインクを缶体の外周面に付着させて、缶体の外周面に画像を形成し、さらに、この画像の上に塗料を塗布して保護層を形成する。
【0041】
ここで、プリンタ装置4は、例えば、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインクを基本のインクとして用いている。なお、プリンタ装置4において、必要に応じて、特定のデザイン画像のために用意した特別な色のインク(特色インク)を用いても良い。
また、プリンタ装置4では、上述した色ごとインクジェットヘッド400を用意し、複数のインクジェットヘッド400を用いて缶体への画像形成を行う。
なお、プリンタ装置4にて用いるインクとしては、活性放射線硬化型インクを用いることが望ましい。ここで、活性放射線硬化型インクには、例えば、紫外線(UV)硬化型インクが含まれる。
【0042】
さらに、プリンタ装置4では、缶体の内部に、支持部材の一例である筒状のマンドレル(
図4では不図示)を挿入し、マンドレルで缶体を内側から支持したうえで、缶体への印刷を行う。さらに、このとき、マンドレルを周方向に回転させて、缶体を周方向に回転させる。
【0043】
ここで、プリンタ装置4における解像度は、高い方がより好ましいが、費用や生産性等を考慮すると、解像度は、例えば600dpi程度とすることが好ましい。
また、形成される画像の質を向上させる観点からは、缶体とインクジェットヘッド400との距離を短くすることがより好ましいが、短すぎると、缶体とインクジェットヘッド400とが干渉するおそれがある。缶体とインクジェットヘッド400との離間距離は、例えば、1mm程度とすることができる。
【0044】
また、缶体の回転数は、大きい方が生産性に寄与するが、大きすぎると、缶体にインクが着弾した際に、インクが缶体の周方向に延び、解像度が低下するおそれがある。このため、回転数を大きくしつつ、缶体の周方向へのインクの延びを抑えられる回転数で、缶体を回転させることが望ましい。
また、紫外線硬化型インクを用いる場合には、1つの色のインクを缶体に吐出する毎に紫外線を照射してインクを硬化させてもよいし、複数色のインクを吐出した後に、紫外線を照射して、一括でインクを硬化させてもよい。
【0045】
なお、プリンタ装置4では、缶体に挿入するとその一部が拡径するマンドレルを用いることが好ましい。言い換えると、缶体の挿入後に一部が拡径してこの一部が缶体の内周面に接触するマンドレルを用いることが好ましい。付言すると、缶体の内周面から離間した箇所からこの内周面に接近してこの内周面に接触する部位を備えたマンドレルを用いることが好ましい。
【0046】
〔中継装置5〕
中継装置5は、ホスト装置3から取得した印刷指示情報に基づいて、複数のプリンタ装置4を工場ごとに管理する。中継装置5は、ホスト装置3から取得した印刷指示情報(印刷画像データ、生産条件情報)に基づいて、複数のプリンタ装置4のうちいずれのプリンタ装置4を用いるかを決定する。そして、中継装置5は、各プリンタ装置4に対して、印刷画像データごとに所定の数の印刷を実行させる。
また、中継装置5は、検査装置6により印刷の不具合を検査させるために、印刷画像データを検査装置6に送信する。
【0047】
さらに、中継装置5は、検査装置6から印刷缶の生産数に関する情報を取得する。これによって、中継装置5は、工場ごとに、ある印刷画像データに基づいて実際に印刷された印刷缶の生産数を把握する。
なお、中継装置5は、プリンタ装置4から印刷缶の生産数に関する情報を直接的に取得しても良い。
【0048】
また、中継装置5は、検査装置6から印刷に不具合が生じた印刷缶の数の情報も取得する。そして、中継装置5は、不具合が生じた印刷缶の数に応じて、印刷画像データに基づく追加の印刷の指示をプリンタ装置4に対して行う。
【0049】
そして、中継装置5は、プリンタ装置4およびプリンタ装置4によって印刷された印刷缶に関する監視情報をホスト装置3に対して送信する。
監視情報には、例えば第1中継装置51の場合には、第1プリンタ装置41~第3プリンタ装置43の各々の印刷缶の割当数などジョブの実施状況に関する情報が含まれる。また、監視情報には、各プリンタ装置4のインクの残量や故障・エラーなどプリンタ装置4の状態に関する情報が含まれる。
また、監視情報には、デザイン画像ごとの印刷缶の生産数、不具合が生じた印刷缶の数の情報などが含まれる。
【0050】
〔検査装置6〕
検査装置6は、複数のプリンタ装置4によって印刷が施された複数の印刷缶に対して順次、印刷の状態を検査する。本実施形態においては、例えば第1検査装置61は、第1プリンタ装置41、第2プリンタ装置42および第3プリンタ装置43がそれぞれ印刷した印刷缶を一括して検査する。
【0051】
具体的には、検査装置6は、印刷缶を回転させながら印刷缶の表面を読み取って、印刷缶の側面部における印刷状況を検査する。検査装置6は、中継装置5を介してホスト装置3から印刷画像データを取得している。そして、検査装置6は、印刷缶から読み取った読取画像データと、印刷画像データとを比較する。そして、例えば印刷缶の一部において印刷画像が欠けているなど、印刷画像データに対して読取画像データが対応していない場合には、該当する印刷缶に印刷の不具合が発生していると判断する。そして、検査装置6は、印刷画像データに対応する印刷缶に何個の不具合が発生しているかのエラー情報を中継装置5に送信する。
【0052】
また、検査装置6に対して順次送られてくる複数の印刷缶において、印刷缶に印刷されているイメージ画像が複数の印刷缶においてバラバラである場合がある。
本実施形態の印刷システムでは、デジタル印刷であるインクジェット印刷を実行するプリンタ装置4を用いて印刷前缶に対して印刷を行うものである。従って、例えば所定の版を用いて搬送される印刷前缶に対して一律に同じ画像を印刷するものとは違い、連続的に搬送されてくる印刷前缶に対して、順次、それぞれ異なるイメージを印刷する場合もある。例えば、スポーツチームを構成する複数の選手にそれぞれ対応して、異なる印刷前缶ごとに異なるデザインを印刷するような場合を例示できる。
【0053】
以上のような場合、検査装置6は、予め複数種類の印刷画像データを取得している。そして、検査装置6は、検査装置6に対して順次搬送されてくる印刷缶の読取画像データを作成する。そして、検査装置6は、予め記憶されている複数の印刷画像データの中から読取画像データに対応する印刷画像データを特定する。そして、検査装置6は、読取画像データと特定した印刷画像データとに基づいて印刷の不具合を検出する。
【0054】
なお、印刷缶において印刷画像データを特定することが可能な識別情報(例えば、バーコードや印刷缶の端部に形成された記号等)が形成されている場合には、検査装置6に対して順次搬送されてくる印刷缶を少なくとも1周回転させ、その識別情報を取得する。そして、検査装置6は、識別情報に基づいて特定の印刷画像データを特定し、読取画像データと特定した印刷画像データとに基づいて印刷の不具合を検出する。
【0055】
続いて、各工場での具体的な生産の流れについて説明する。以下の説明では、A工場にて、特定のデザイン画像について、所定の割当数の印刷缶の生産を行う場合について説明する。
図4は、各工場における印刷缶の生産フロー図である。
【0056】
まず、A工場において、第1中継装置51は、特定のデザイン画像に対応する印刷画像データを含む印刷指示情報を取得する(S101)。
そして、第1中継装置51は、第1プリンタ装置41、第2プリンタ装置42および第3プリンタ装置43に対して、それぞれ印刷缶の生産数の割り振りを行う(S102)。そして、第1中継装置51は、印刷画像データおよび印刷缶の生産数に関する情報を、第1プリンタ装置41、第2プリンタ装置42および第3プリンタ装置43にそれぞれ送信する(S103)。
【0057】
その後、第1プリンタ装置41、第2プリンタ装置42および第3プリンタ装置43は、それぞれ印刷前缶に対するインクジェット印刷を実行する(S104)。
また、第1検査装置61は、各プリンタ装置4にて印刷が行われた印刷缶に対して、印刷の検査を実行する(S105)。第1検査装置61は、不具合が生じている印刷缶を検出した場合には、不具合が生じた印刷缶の数を第1中継装置51に送信する。
【0058】
そして、第1中継装置51は、プリンタ装置4にて印刷された印刷缶の数から不具合が発生した印刷缶の数を差し引いた数が、所定の割当数を満たしているか否かを判断する(S106)。
差し引いた数が所定の割当数を満たしていれば(S106にてYES)、特定の印刷画像データに基づくプリンタ装置4による印刷を終了する。
一方、差し引いた数が所定の割当数を満たしていなければ(S106にてNO)、第1プリンタ装置41、第2プリンタ装置42および第3プリンタ装置43うちいずれかのプリンタ装置4に対して追加の印刷指示を送る(S107)。その後、追加の印刷指示によって、最終的に所定の割当数に到達することで、特定の画像データに基づくプリンタ装置4の印刷は終了する。
【0059】
<実施形態2>
図5は、実施形態2の缶体の印刷システム1の全体図である。
続いて、実施形態2の印刷システムについて説明する。なお、実施形態2において実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0060】
実施形態2においては、発注者が発注センターに出向いて、試作品を実際に見ながら、印刷画像データを作成することを想定している。
発注センターとして、クライアント装置2および試作プリンタ装置7が同じ場所に設定されている。他の構成は、本実施形態と同様である。
【0061】
発注者は、例えばデザイン画像を発注センターに持ち込んで、実際に試作プリンタ装置7にて印刷を行う。なお、試作プリンタ装置7は、各工場に設けられるプリンタ装置4と同一または同様の仕様である。
【0062】
実施形態2の缶体の印刷システム1において、クライアント装置2からホスト装置3にデザイン画像が送信される。そして、ホスト装置3では、取得したデザイン画像に基づいて印刷画像データを作成する。さらに、試作プリンタ装置7は、ホスト装置3から取得した印刷画像データに基づいて印刷前缶にインクジェット印刷を行う。
実施形態2においては、発注者は、試作プリンタ装置7によって印刷された印刷缶を直ぐに直接確認することができる。
【0063】
なお、印刷缶の色が発注者の希望と異なっている場合には、発注者はクライアント装置2を介して、印刷画像データの変更作業を行う。
そして、最終的に、確定された印刷画像データは、ホスト装置3から各工場の中継装置5にそれぞれ送信される。
【0064】
以上のように、ユーザは、工場にて印刷が行われる場合と同じ条件で印刷された印刷缶を直接確認することができる。そして、各工場では、発注者によって確認が行われた内容に基づいて作成された印刷画像データを用いて、印刷前缶に対する大量の印刷が実施される。そのため、実施形態2においては、特に、ユーザの希望と異なる色の印刷缶が実際に生産されるという状況が極めて生じにくくなっている。
【0065】
最後に、実施形態1および実施形態2のホスト装置3のハードウェア構成について説明する。
図6は、ホスト装置3を適用するのに好適なコンピュータのハードウェア構成の一例を示した図である。
図6に示すように、ホスト装置3は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)100aと、主記憶手段であるメモリ100cを備える。また、外部デバイスとして、磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)100g、ネットワークインターフェイス100f、ディスプレイ装置を含む表示機構100d、音声機構100h、キーボードやマウス等の入力デバイス100i等を備える。
【0066】
図6に示す構成例では、メモリ100cおよび表示機構100dは、システムコントローラ100bを介してCPU100aに接続されている。また、ネットワークインターフェイス100f、磁気ディスク装置100g、音声機構100hおよび入力デバイス100iは、I/Oコントローラ100eを介してシステムコントローラ100bと接続されている。各構成要素は、システム・バスや入出力バス等の各種のバスによって接続される。
また、
図6において、磁気ディスク装置100gにはOSのプログラムやアプリケーション・プログラムが格納されている。そして、これらのプログラムがメモリ100cに読み込まれてCPU100aに実行されることにより、本実施形態に係るホスト装置3の各機能部の機能が実現される。
【0067】
なお、上述したホスト装置3における上述した機能をコンピュータに実現させるプログラムは、例えば通信手段により提供することはもちろん、各種の記録媒体(例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)など)に格納して提供しても良い。
【0068】
なお、実施形態1および実施形態2では、ホスト装置3にてデザイン画像に基づいて見本画像を作成し、作成した見本画像をクライアント装置2に送信するようにしているが、この態様に限定されない。例えば、素地面やコート面にデザイン画像がインクジェット印刷されることに基づく分色、色調調整や濃度調整を考慮した見本画像を表示可能なアプリケーションソフトウェアを予めクライアント装置2に設けても良い。そして、見本画像に対するユーザの色変更情報をデザイン画像と共にホスト装置3に送信するようにしても良い。
【0069】
なお、実施形態1および実施形態2の缶体の印刷システム1において、中継装置5を設ける構成を採用しているが、中継装置5は必ずしも設ける必要はない。中継装置5を設けない場合には、ホスト装置3が各工場の複数のプリンタ装置4を管理したり、複数の工場を跨いで複数のプリンタ装置4を管理したりすれば良い。
また、本実施形態および実施形態2の印刷システム1において、中継装置5(工場)ごとに複数台のプリンタ装置4が設けられているが、プリンタ装置4は、各々の工場において1台のみ設けられていても良い。
また、実施形態1および実施形態2において、ホスト装置3は、A工場またはB工場に設置されていても構わない。
【符号の説明】
【0070】
1…印刷システム、2…クライアント装置、3…ホスト装置、4…プリンタ装置、5…中継装置、6…検査装置、7…試作プリンタ装置