(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】データを検出するための装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/50 20230101AFI20230608BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20230608BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20230608BHJP
B23K 1/00 20060101ALI20230608BHJP
G03B 17/55 20210101ALN20230608BHJP
【FI】
H04N23/50
G03B17/02
H04N23/57
B23K1/00 330E
G03B17/55
(21)【出願番号】P 2019555674
(86)(22)【出願日】2018-04-26
(86)【国際出願番号】 DE2018000129
(87)【国際公開番号】W WO2018196900
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】102017004139.3
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517306282
【氏名又は名称】アライド ビジョン テクロノジー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】ヘスターベルク ラルフ シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】フンク オラフ
(72)【発明者】
【氏名】フランクセン アイケ
(72)【発明者】
【氏名】ブッセ エーリック
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-013422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/50
G03B 17/02
H04N 23/57
B23K 1/00
G03B 17/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚的なデータを検出するための装置にして、カメラ筐体(2)内に複数の電子部品(12)を有しているデジタルカメラ(1)として形成されている装置であって、
前記カメラ筐体(2)内部に少なくとも2つの基板が上下に配設され、1つの基板積層体(8)へと接合されており、前記基板のうち少なくとも一方が、その他方の基板に向かい合う側の領域に、他方の基板に配設された前記電子部品(12)を収容するための少なくとも1つ
の凹部(15)を有している装置において、
前記少なくとも1つ
の凹部(15)が、前記電子部品(12)を収容するための少なくとも1つ
の基板の領域において、少なくとも1つのディープミーリング部として実現されており、
前記基板
が互いにハンダ付け
によって前記基板積層体(8)へと接続されており、
少なくとも1つ
の基板が
、センサ基板(8b)に配設された画像センサ(9)の位置を前記デジタルカメラ(1)の固定の参照平面(E)に対して定義する高さ(H)の高さ調整を実現するための深さ(T)の輪郭ミーリング部(14)を外側の縁領域に備えている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記基板積層体(8)が3つの基板から実現されており、それらのうちの1つの基板は接合基板(8c)として形成されており、その際、前記電子部品(12)を収容するための前記凹部(15)が少なくとも前記接合基板(8c)の領域まで延伸している、ことを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、
前記高さ調整によって、特にはセンサ基板(8b)に配設された画像センサ(9)の、前記デジタルカメラ(1)の光学系内での正確な位置決めが、前記画像センサ(9)を支持する基板の厚さ(D)及び前記画像センサ(9)の高さ(S)に応じて実現可能である、ことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
少なくとも1つの機械的な接続装置(16c)が基板に配設された少なくとも1つの固定要素(16a)内に組み入れられている、ことを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
前記少なくとも1つ
の固定要素(16a)が、インターフェース(16)のそれぞれ1つの接続装置の領域に配設されており、また、電気的な接続の機械的な保護を実現している、ことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4及び5の少なくとも1つに記載の装置において、
インターフェース(16)の接続装置がUSB接続装置、CSI-2接続装置、及び/又は、I/O接続装置として実現されている、ことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項2に記載の装置において、
筐体下部(2b)が少なくとも1つの弾性的なクリップ(3)を用いて筐体上部(2a)に締め付け固定されている、ことを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ用のデータを検出するための装置、及び、データを検出するための装置を製造するための方法に関するものである。そのようなデジタルカメラは通常少なくとも1つの画像センサ或いは変換チップを有しており、当該変換チップは発生する光学的な情報を割り当てられた電気的信号へ変換する。例えば、いわゆるCCDチップを備えたデジタルカメラが知られている。
【背景技術】
【0002】
その種のデジタルカメラは通常、複数のレンズから構成されている光学システムを支持するカメラ筐体(カメラハウジング)を有している。この光学系の後方には、視覚的なデータ(光学的なデータ)を電気的なデータへ変換するためのセンサが配設されている。追加的に、通常その種のデジタルカメラは制御装置及び記憶素子を有している。更に、往々にして、別のデバイスとの連絡(コミュニケーション)のための少なくとも1つのインターフェースが備えられている。デジタルカメラ内部では、複数のデータが様々な電子部品の間で伝達される。
【0003】
そのようなデジタルカメラの基本的な構成は、例えば特許文献1において説明されている。カメラ筐体内部にセンサを配設するための解決策は特許文献2において説明されている。
【0004】
その種のデジタルカメラには、個人の範囲でも、また同様に商業の範囲でも、複数の使用分野が存在する。対応的なデジタルカメラが、製造制御(プロダクションコントロール)用に、及び/又は、工業ロボットと関連して、ますます用いられている。
【0005】
多くの使用においては、デジタルカメラの非常に高い質、及び、提供される光学的な情報が要求される、それだけではなく対応的に、デジタルカメラはそれにもかかわらず比較的安価にそして非常に安定的に高い質で準備されるべきである。
【0006】
更に、増加的により小型のカメラが求められており、それによってカメラ筐体内部で利用可能な構成空間は更に制限される。
【0007】
コスト面で最適なデジタルカメラ製品にとっては、例えば筐体や光学的な構成要素のような、構成部品が異なるカメラタイプに対して使用可能である場合が有利であり、それらのカメラタイプは例えば用いられる画像センサに関して異なっている。通常は異なる画像センサに伴い異なる構造高さがもたらされることになるが、その結果、カメラの光学系に対して画像センサを正しく配置することを、費用をかけて行われなければならない。
【0008】
従来技術に従い、別のデバイスとの連絡のためのインターフェースのコネクタデバイスは、例えばI/O挿入接続の形態で、個別の電気的及び機械的な接続装置として形成されている。電気的な接続装置は、通常基板にハンダ付け(ソルダリング)されており、他方で機械的な接続装置はカメラ筐体にて実現されている。機械的及び電気的な接続装置の互いの正しい調整を保証するためには、従って、電気的な接続装置を支持する基板がカメラ筐体に対して厳密に定められて調整されていなければならない。これはデジタルカメラ内部に複数の個別の基板を要求するが、その理由は、センサ基板が、接続装置を支持している基板とは別の調整要求を有しているからである。更に、既知の構造は、個別の基板の間での柔軟な接続を要求するが、コスト及び場合によっては信号統合の問題の原因となる。
【0009】
上述の要求の組み合わせは、これまで知られている方法及び装置を用いては依然として満たすことは出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】EP 1 432 240 A1
【文献】DE 10 2005 027 892 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って本発明の課題は、カメラ筐体内に配設される構成要素の構成を、場所的要求(空間的要求)が最適化されるように実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は本発明に従い、デジタルカメラの複数の基板が以下のように形成されていることによって解決される、すなわち、複数の基板のうち少なくとも1つが、例えばディープミーリングによって実現されている少なくとも1つの凹部を有し、当該凹部が、デジタルカメラの別の基板に配設された部品の少なくとも一部を、そのように構成された少なくとも1つのポケット内に収容することによって、解決される。
【0013】
本発明の更なる課題は、以下のようにデジタルカメラを構成することである、すなわち、異なるモデルのデジタルカメラ用に異なる画像センサを用いる場合においても、例えばフィルタ、カバーガラス又はレンズといった、割り当てられた光学的な構成要素と共に、常に同一のカメラ筐体が使用可能であるようにデジタルカメラを構成することである。
【0014】
この課題は本発明に従い、光学系に対する画像センサの距離を特定する1つ又は複数の基板が、この基板の厚さ又は基板積層体の厚さを、以下のように減少させる輪郭ミーリング部(アウトラインミーリング部)を有していることによって、すなわち、デジタルカメラの筐体内部に配設された支持部及び基板と支持部の間の接着剤の接続状態で、画像センサが光学系に関して特定の平面に配置可能であるように、光学系に対する画像センサの距離が適合可能であるように、減少させる輪郭ミーリング部を有していることによって、解決される。
【0015】
本発明の更なる課題は、別のデバイスとの連絡のためのデジタルカメラのインターフェースを、インターフェースに割り当てられた機械的な接続装置及び電気的な挿入接続の誤調整が互いに排除可能であるように構成することである。
【0016】
この課題は本発明に従い、インターフェースのカメラ側の接続装置が従来技術に従い電気的な接触部として1つの基板に配設されまた機械的な接続装置がハウジングにて実現されているのではなく、デジタルカメラの1つの基板に共同で配設されていることによって解決される。
【0017】
本発明の更なる課題は、カメラ筐体の少なくとも2つの部品の、迅速に取り外し可能及び結合可能でありまた複数の筐体部分(筐体部品)の確実な結合を保証する可逆的な接続を実現すること、である。
【0018】
この課題は本発明に従い、筐体部分の接続が少なくとも1つのクリップを用いて実現されており、当該クリップはその特別な形態構成により、1つの、筐体部分の接続を確実にする復元力を発生させる凸部を有している。
【0019】
以下においては、構造的又はプロセス工学的な複数の実現可能性について説明する。それらは、選択的に個別に又は互いに組み合わせて実現され得る。
【0020】
本発明に従うデジタルカメラは、好ましい実施形態においては、複数部分からなるカメラ筐体を有している。カメラ筐体の内部には少なくとも2つの基板が配設されており、それらは少なくとも1つの画像センサ及び関連する構成要素並びに更なる電気的な構成要素を支持している。
【0021】
少なくとも2つの基板は互いにハンダ付けによって基板積層体へと接続されている。基板のうちの一方はその際、有利には少なくとも画像センサを支持しているセンサ基板として形成されており、また、他方の基板は、制御要素として少なくとも1つのメインチップを支持しているメイン基板として形成されている。当該メインチップは有利にはASIC、FPGA又はプロセッサとして形成されている。
【0022】
基板のうち少なくとも一方は、その他方の基板に向けられた側に少なくとも1つの凹部を有しており、当該凹部は、それらの基板が1つの基板積層体へと接合されている場合、それぞれの基板の間に1つのポケット部を形成し、当該ポケット部には、他方の基板に配設された相応の高さの構成要素が収容可能である。少なくとも1つの凹部は有利にはディープミーリング部として実現されている。
【0023】
3つの基板からなる基板積層体の構成も考えられる。その場合は、有利には1つの基板がセンサ基板として、もう1つの基板が接続基板として、またもう1つの基板がメイン基板として形成されている。基板の間にポケット部を形成するためのディープミーリング部はこの実施例においては、完全に又は少なくとも部分的に接続基板に配置されており、その結果、接続基板を安価に適合させて、異なるセンサ基板及びメイン基板を互いに組み合わせ可能である。選択的に、ディープミーリング部は追加的にセンサ基板へ延伸することも可能である。更に、接続基板を用いることによって、その他の基板の厚さが同一に維持される場合に、ポケット部はより大きな高さで実現可能であり、その結果、より大きな構造高さの構成要素も収容可能である。
【0024】
更に、本発明に従うデジタルカメラは有利な実施形態においては、少なくとも1つの基板の領域に、輪郭ミーリング部を有しており、当該輪郭ミーリング部は基板の厚み或いは基板積層体の厚みを減少させる。
【0025】
輪郭ミーリング部は特に有利にはセンサ基板の外側の縁領域に配置されており、また、センサ基板の厚さ、画像センサの構造高さ、センサ基板或いは基板積層体用にカメラ筐体内に配設される支持部、及び、支持部と基板積層体の間の接着剤の厚さに関連して、デジタルカメラ内の画像センサの位置を定義する。
【0026】
別の基板に配設された構成要素を収容するための少なくとも1つの凹部を備える少なくとも1つの基板、及び、デジタルカメラ内で画像センサの位置適合を実現するための少なくとも1つの輪郭ミーリング部を備える少なくとも1つの基板、を有するデジタルカメラの本発明に従う実施形態においては、センサ基板、接続基板及びメイン基板として形成される3つの基板からの基板積層体の実現が特に有利であるが、その理由は、先に挙げた特性が基板ごとに一種類のミーリング部のみが必要とされるように実現され、それにより製造コストが低減可能である点にある。
【0027】
本発明に従うデジタルカメラの有利な実施形態においては、別のデバイスとの連絡のためのインターフェースの少なくとも1つのコネクタデバイスを実現するために、基板積層体に、例えばいわゆるファスナーとして形成されている少なくとも1つの固定要素が配設されている。
【0028】
ファスナーは、少なくとも1つのインターフェースの少なくとも1つのコネクタデバイスの機械的な接続装置(結合装置)を実現しまた少なくとも1つのインターフェースの電気的なコネクタデバイスの領域においてそれぞれの基板と接続されているような、固定要素である。
【0029】
例えば、インターフェースの電気的なコネクタデバイスは電気的な挿入接触部を有するソケットとして実現されており、また、ファスナーはインターフェースの挿入接続を機械的に確実にする追加的なネジ止め装置又はクランプ装置を有している。
【0030】
インターフェースのコネクタデバイスを側方又は後方に相応してカメラ筐体に配設するため、ファスナーは90°又は180°の実施形態で実現されていてもよい。その場合角度は基板積層体の積層方向に関連してコネクタデバイスの挿入方向を説明している。
【0031】
更に、本発明に従うデジタルカメラは有利な実施形態においてはカメラ筐体の複数の部品を結合するための少なくとも1つのクリップを有しており、当該クリップはその形状によってカメラ筐体の部品の結合を確実にする凸部を有している。
【0032】
特に有利にはカメラ筐体は2つの部分に分けられており、それらはそれらの結合側部の領域に、少なくとも1つのクリップのための収容部を形成する構造部を有している。
【0033】
少なくとも1つのクリップは、有利な実施形態においては、薄板から製造されておりまたその長手方向に湾曲部を有している。当該湾曲部は例えばクリップの左右方向における1つ又は複数のカーブによって実現されている。この湾曲部はクリップのプリストレス(プリロード)を実現している。長手側の端部では、クリップはそれぞれ固定装置を有しており、当該固定装置は例えばクリップの部分的なカーブによって実現されている。クリップの一方の端部では、湾曲部は筐体側の収容構造と関連してアンダーカットを実現しており、また、他方の端部では、弾性要素を実現している。
【0034】
カメラ筐体の複数部分における収容構造は、有利には筐体部分に配されたそれぞれの角部(縁部)によって実現されており、当該角部は筐体部分の結合平面に対して略平衡に配されており、またその後方でクリップが固定可能である。
【0035】
複数の筐体部分を結合させるため、少なくとも1つのクリップは筐体側の収容構造の領域に位置決め可能であり、クリップの湾曲部へ力を及ぼすことによって長手方向に延伸可能である。クリップの湾曲した端部はその後筐体部分の割り当てられた角部の方向に位置決め可能である。クリップのプリストレスに基づいて発生する復元力は結合を確実にする方向に作用する。
【0036】
更に、本発明はデジタルカメラの少なくとも2つの基板上の電子部品を電気的に連絡(接触)させるための方法であって、少なくとも1つの電子チップが少なくとも1つの基板上にハンダ付けされ、また、少なくとも2つの基板が互いにハンダ付けされる方法に関しており、当該方法は、少なくとも1つの電子チップがハンダ付けプロセスによって一度のみ加熱されるように、ハンダ付けプロセスが実施されることを特徴としている。
【0037】
特に、本発明に従う連絡のための方法においては、少なくとも1つの温度に敏感な画像センサがハンダ付けプロセスにて傷つけられないことが考えられている。
【0038】
従って第1ステップでは、少なくとも1つの画像センサのセンサ基板が少なくとも1つの画像センサを除いて連続して上面及び下面に装備(取り付け)及びハンダ付けされる。第2ステップではメイン基板が連続して上面及び下面に装備及びハンダ付けされ、また場合によっては更なるステップで接続基板が装備及びハンダ付けされる。その都度の装備及びハンダ付けの後には、それらの基板は基板の種類に応じた保管部(トレイ)内へ整理される。これらのトレイから、基板積層体に必要な基板が取り出される。
【0039】
基板積層体は、以下の工程によって形成される、すなわち、メイン基板を割り当てられた保管部から取り出す工程、及び、メイン基板を位置決めする工程、それに続きメイン基板と接続される基板にして、例えば接続基板又はセンサ基板によって与えられる基板を取り出す工程、接合されるべき複数の基板のうち少なくとも1つにフラックスを塗布する工程、接合されるべき基板をメイン基板に取り付ける工程、接合されるべき基板の取り出しからセンサ基板がそのようにして形成された積層体に取り付けられるまで上述のステップを繰り返す工程、それに続きセンサ基板へ及び/又は画像センサの下面にフラックスを塗布する工程、及び、センサ基板に画像センサを取り付ける工程、及び、有利にはリフォローサイクルとして実現される本来のハンダ付け工程であって、それにより基板積層体の個々の基板が互いに接続及び連絡されまた画像センサがセンサ基板と接続及び連絡されるハンダ付け工程、によって形成される。
【0040】
本発明に従う特徴は、格別に小さい構成空間を有するデジタルカメラの製造を可能とし、それにより、カメラの電子装置全体をコミュニケーションインターフェースのコネクタ装置を含めてただ1つの基板積層体であって、画像センサの調整に関して与えられた要求に適合して正確にカメラ内で位置決め可能な基板積層体上で実現することが可能となる。
【0041】
図中には本発明の例示的な実施形態が概略的に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図2】筐体下部を筐体上部と結合させるため及びそれらの構成部材に互いにテンションをかけて締め付け固定するためのクリップの領域での、本発明に従うデジタルカメラの拡大された部分断面図を示す。
【
図4】拡大されまた部分的に切断された本発明に従う基板積層体の図を示す。
【
図5】カメラ筐体内に配設された構成要素を切断する鉛直方向の長手断面図を示す。
【
図6】デジタルカメラの本発明に従う基板積層体の側面図を示す。
【
図7】デジタルカメラの本発明に従う基板積層体の斜視上面図を示す。
【
図8】固定要素を備えるデジタルカメラの本発明に従う基板積層体を示す。
【
図9】代替的な実施形態の固定要素を備えるデジタルカメラの本発明に従う基板積層体を示す。
【
図10】カメラ筐体内部の基板装置の別の図を示す。
【
図11】代替的な画像センサを備える
図10に従う基板装置を示す。
【
図13】予定されている複数の溶接領域及び複数のディープミーリングを有する基板を示す。
【
図14】メイン基板の製造工程を明確化するためのフローチャートを示す。
【
図15】センサ基板の製造工程を明確化するためのフローチャートを示す。
【
図16】本発明に従う基板積層体の複数の基板の全装置を製造する際の製造工程を明確化するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1における斜視図からは、本発明に従うデジタルカメラ1のカメラ筐体2の基本構造が見て取れる。カメラ筐体2は筐体上部2a及び筐体下部2bから構成されている。筐体上部2a及び筐体下部2bは2つのクリップ3を用いて互いに接続されている。クリップ3は、例えば鋼といった弾性的で弾力のある材料から構成されている。
【0044】
筐体上部2a及び/又は筐体下部2bを製造するための材料としては、鋳造亜鉛を用いることが合目的であることが判明したが、その理由は、それによって比較的薄い壁厚における繊細な構造が達成され得ることにある。
【0045】
筐体上部2aの上面の領域には、熱を環境へ排出出来るようにするため、複数の冷却フィン4が配設されている。筐体下部2bは、周りを取り囲むフランジとして実現されているレンズ保持部5を有しており、当該レンズホルダ5は筐体下部2bへのアクセス開口部を画定している。カメラ筐体2の内部空間には、レンズ保持部5に隣り合って光学的な構成要素、例えば1つ又は複数のレンズ又はフィルタが配設されている。
【0046】
カメラ筐体2は更に、筐体下部2bの領域に2つの取り付け装置6を有しており、当該取り付け装置6は、図示されている実施形態においてはネジ山として実現されておりまた例えばデジタルカメラ1を三脚或いはホルダと接続するために利用可能である。
【0047】
図2は取り付けクリップ3の領域におけるデジタルカメラの拡大された部分断面図を示している。
【0048】
図2の左側にはハウジング内部が断面図で描かれている。下方の筐体部分2bでは内側でウェブ7が突出しており、当該ウェブ7はフィルタ用の載置異形部(載置プロフィール)を有している。更に基板積層体8が配設されており、当該基板積層体8は図示されている実施形態においては2つの互いに接続された基板8a、8bを有しており、それらはメイン基板8a及びセンサ基板8bとして形成されている。センサ基板8bはその図面下方側で画像センサ9を支持している。
【0049】
図2では更に、クリップ3がその端部領域に材料の折り返し部を備えていることが見て取れる。
図2の右下に示されている折り返し領域3bは、筐体下部2bの割り当てられた異形部10の後方での最初の掛けはめのために利用される。
図2にてクリップ3の左上に見て取れる別の折り返し領域3aは、筐体上部2aの対向異形部11へのクリップ留めに利用される。
【0050】
図3の斜視図はクリップ3の構造を示しており、当該クリップ3はその長手延伸部の方向で僅かに傾斜を付けられた曲がり部3cを有している。組み立てられた状態では、湾曲部3cはおおよそ筐体下部2bから筐体上部2aへの移行領域内で延伸する。湾曲部3cは、クリップ留めの際のクリップ3の弾性的な延びを促進する。
【0051】
筐体上部2aに割り当てられた折り返し領域3aは、組み立てられた状態では筐体上部2aの対向異形部11と共に、アンダーカット部を形成する。筐体下部2bに割り当てられた折り返し領域3bは、2つに分かれる1つのバネ要素(弾性要素)として形成されている。分かれた部分は異形部10の領域でレンズ支持体5の丸い外側輪郭に適合することができる。
【0052】
更にクリップ3は2つの取り付け補助部3dを有しており、当該取り付け補助部3dはクリップ3内の除去部(空隙部)として実現されている。
【0053】
クリップ3を用いることによって、筐体2における接着や螺合は避けられる。組み立て工程は更に非常に僅かな時間的なコストで実行可能である。
【0054】
図4は基板積層体8の断面を図示している。基板積層体8は2つの基板を有しており、それらはメイン基板8a及びセンサ基板8bとして形成されている。
【0055】
センサガラス9aを有する画像センサ9に加えて、センサ基板8bにもメイン基板8aにも、電子部品12が配設されており、それらの構成要素12は例えばコンデンサ、抵抗、ダイオード、及び/又は、IC(集積回路)として形成され得る。
【0056】
メイン基板8aは更に、メインチップ13として形成されているデジタルカメラ1の制御要素を支持しており、それは図示されている例においてはASIC(特定用途向け集積回路)として実現されている。
【0057】
センサ基板8bはその
図4における上側及び下側に輪郭ミーリング部14を有しており、当該輪郭ミーリング部14を介して、デジタルカメラ1内での画像センサ9の位置は作用され得る。更にセンサ基板8bは2つの凹部15を有しており、当該凹部15はディープミーリング部として実現されており、メイン基板8aとセンサ基板8bの間でポケット部を形成している。当該ポケット部はそれらの基板の間に構成要素12を収容するために利用される。
【0058】
凹部15を画定する基板の平面の領域での金属化によって、そのように形成されたポケット部内に収容される構成要素12の電磁気的な遮蔽が達成され得る。
【0059】
メインチップ13に並んで、メイン基板8aにはインターフェース16のコネクタ装置が配置されており、当該インターフェース16は、固定要素16a及びI/O挿入接続部(プラグ)16bを有している。
【0060】
図5はデジタルカメラ1の横断面図で基板の領域での輪郭ミーリング部14の使用を具体的に示しているが、その目的はそれによって高さの比較を行うことが出来るようにすることである。この図面においてもまずは、筐体上部2a及び筐体下部2bを接続するためにクリップ3が用いられていることが見て取れる。画像センサ9の厚さSは、本発明に従うデジタルカメラ1内で使用可能である種々の画像センサ9に関して可変であるが、それぞれの個別のケースにおいて与えられるものである。深さTの輪郭ミーリング部14を本発明に従って使用すると、画像センサ9の位置をデジタルカメラ1の固定の参照平面Eに対して定義する高さHをシステムの要求に対応して適合可能であるように、高さ調整を実現することが可能である。
【0061】
その際、大まかな適合はセンサ基板8bを選択することによって行われ、当該センサ基板8bは選択に応じて厚さDを有している。高さHの別の適合は、基板積層体8を取り付ける際にカメラ筐体2内に入れられる接着剤によって行われる。その際には、接着剤は筐体内空間において割り当てられた載置部17、及び/又は、輪郭ミーリング部14の領域のセンサ基板8bに塗布され、また、センサ基板8bはカメラ筐体2内で配向される。接着剤はその後硬化されそして載置部17の領域でセンサ基板8bをカメラ筐体2に結合させる。しかしながらこの措置は、硬化時の接着剤の収縮によって、また、硬化後の接着剤の温度に依存する膨張によって、非常に制限された範囲でのみ可能である。
【0062】
更に
図5には拡張基板18の使用が示されており、当該拡張基板18は、例えばFPGAとして形成された追加の電子チップ19や、例えば少なくとも1つのRAM構成要素の形態の保存要素20を保持し、また当該拡張基板18は、接続プラグ21を介してメイン基板8aと接続可能である。
【0063】
図6は、
図5を補足して再度、センサ基板8bの厚さD、及び、画像センサ9の厚さS、並びに、輪郭ミーリング部14の深さTを具体的に示している。本発明に従うメイン基板8a並びにセンサ基板8bを有する基板積層体8の側面図が表されている。
【0064】
図7は、デジタルカメラ1の本発明に従う基板積層体8のセンサ基板8b上の
画像センサ9の配置を斜視図で具体的に示している。更に、センサ基板8b上に配設されている複数の電子部品12を見て取ることが出来る。メイン基板8aの領域には、固定要素16aが配設されており、それを用いて2つのインターフェース16の2つのコネクタ装置の機械的な保護が実現可能である。
【0065】
それぞれ少なくとも1つのインターフェース16に対して1つの部分を割り当てた、固定要素16aの2つの部分又は複数の部分からなる実施も、本発明に従い実現可能である。
【0066】
割り当てられる電子部品12としては、例えばフラッシュメモリ、ブロッキングキャパシタ(阻止コンデンサ)、電圧レギュレータ、電力供給装置、クロック発振器、及び/又は、抑制回路(保護回路)を用いることが出来る。対応する部品は複数の実施形態においても用いられ得る。
【0067】
図8の図面に従えば、基板積層体8のメイン基板8a上には、メインチップ13及びその他の電子的な部品12に加えて、差し込みプラグ23及び固定要素16aを備える2つの外部接続装置16が配設されている。
【0068】
差し込みプラグ23は、
図5に示されているような、選択的な拡張基板のための接続の可能性として利用される。
【0069】
インターフェース16の複数の接続装置は、図示されている有利な実施形態においては、それぞれ1つの電気的な接続装置16bを有しており、それは実際のソケット接触子を実現し、また、少なくともメイン基板8aと接続されている。そのソケットは、USBインターフェース、CSI-2インターフェース、又はI/Oインターフェースを実現することが出来る。割り当てられた固定要素16aは、電気的な接続装置16bの領域に配置されており、また例えばハンダ付け及び/又は機械的な接続によってメイン基板8b及び/又は基板積層体8に固定されている。
【0070】
固定要素16aは有利には、例えば亜鉛鋳物といった固体材料から製造されており、また、例えばネジ山として形成されている少なくとも1つの機械的な接続装置を有している。
図8に図示されている一体的な固定要素16aは、メイン基板8aに対して90°配向状態で配設されている。
【0071】
図9の図面に従い、デジタルカメラ1の本発明に従う基板積層体8の実施形態は、例えば90°配向状態及び例えば180°配向状態の一体的な固定要素16aを有している。
【0072】
図10は斜視図にて再度、センサ基板8bの領域内の深さTの輪郭ミーリング部の配置、並びに、センサ基板8b上の小型の画像センサ9の配置を具体的に示している。画像センサ9はアクティブ面Fを有している。用いられるセンサ基板8bの厚さDは通常の方法で本発明に従い使用される画像センサ9に適合される。画像センサ9のカバーは通常の方法で(不図示の)ガラスプレートを用いて行われる。
【0073】
基板積層体8の基板の間で電子部品12を一体化させることによって、非常にコンパクトな構造を有するデジタルカメラ1を実現することが可能である。特にメイン基板8a及びセンサ基板8bの良好な結束によって場合によっては必要なブロッキングコンデンサ(阻止コンデンサ)を最小化することが可能である。特には挿入プラグを回避するため基板の直接的なハンダ付けが行われ得る。重なる基板の正確な位置決めは、ハンダ付けする場合にはその際自動的に、対応的なハンダパッドを基板に接続する液状のハンダ(ロウ)の表面張力に基づいて行われる。
【0074】
高速のデータ接続が実現される場合、更に非常に良好な信号品位(シグナルインテグリティ)を達成することが出来る。
【0075】
図11及び
図12は、それぞれ異なる寸法の画像センサ9を備える基板装置を示している。
【0076】
図13は本発明に従い形成されたセンサ基板8bの下面図を示している。センサ基板8bは2つの凹部15を有しており、別の基板上に配設されている複数の構成要素12を収容するための2つのポケットを形成している。一方のポケットはその際3つのサブポケットに分けられている。ミーリングされていない構造の領域では、センサ基板8bは複数のハンダパッド(ソルダリングパッド)25を有しており、それらは接続される基板を接触させるために用いられる。
【0077】
更に凹部15の領域には2つの穴が配されており、それらは、基板積層体8、カメラ筐体2、及びフィルタ或いはカバーガラスの間で画定された空間のための通気流路として用いられ、また、圧力平衡を可能とする。圧力平衡の可能性なしでは、環境圧が変化する場合、さもなければ内部の光学系の曇りが発生し得る。基板積層体8の基板の間でハンダ接続部によって形成される構造は、その際、流れ込む空気に対するラビリンスの目的でフィルタとして作用し、また従って、例えば粉塵(ちり、ほこり)といった異物の画像センサ9の領域への侵入を防ぐ。
【0078】
図14のフローチャートは、メイン基板のための製造プロセスを具体的に示している。第1のプロセスステップでは、基板の上面にハンダ付けペースト(クリームハンダ)がプロットされる。このペーストは特には鉛を含まないもの(鉛フリーのもの)である。同様に、好ましくは、印刷プロセスでのプロットが行われ、当該印刷プロセスはステンシルを用いたシルク印刷(シルクプリント)と類似のものである。ステンシルの厚さはその際、プロットされる(載せられる)ハンダ付けペーストの量を定める。
【0079】
メイン基板の上面に予定されている構成要素を位置決めした後(装着させた後)、第1の溶融プロセスが実行される(第1のハンダ付けプロセス)。その後、上面の自動化された光学的な検査が行われる。基板を回転させた後、ハンダ付けペーストがメイン基板の下面にプロットされ、またその後、予定されている構成要素が下面の領域に位置決めされる。引き続き、再度溶解プロセス(第2のハンダ付けプロセス)が実行され、改めて下面の自動化された光学的な検査が行われる。光学的な検査を行った後、個別の基板の分離が行われ、また互いに分離された基板は割り当てられたトレイに入れられる。それに続き、達成された複数の接続部に関するテストが行われ、最後に機能テストが行われる。
【0080】
図15はセンサ基板のための製造プロセスを具体的に示している。このプロセスでは先ず、ハンダ付けペーストがセンサ基板の下面にプロットされ、そして、第1の溶解プロセスが実行される。それに続き、このケースでも、基板の回転が行われ、そしてハンダ付けペーストがセンサ基板の上面にプロットされる。その後、予定されている構成要素が下面に位置決めされる。センセはまだ位置決めされていない。その後溶解プロセスが実行され、そして、このケースでも最後に下面の自動化された光学的な検査が行われる。その後、基板は互いに分離され、互いに別々にトレイへ配される。ハンダ付けペーストは通常ハンダスズ及びハンダ付け用フラックスを含んでいる。
【0081】
図16は基板を組み合わせるための製造プロセスを具体的に示している。最初は空のトレイは、このプロセスでは、メイン基板(メインボード)を備えさせられ、それはその後センサ基板を追加される。その後、センサ基板の下面にハンダ付けペーストがプロットされる。更なる製造ステップでは、センサ基板はメイン基板上に位置決めされ、そしてセンセが追加される。その後ハンダ付け用フラックスがセンサの下面に配され、そしてセンセはセンサ基板に位置決めされる。その後、センサのための溶解プロセスが実行され、最後に機能テストが行われる。
【0082】
図14から
図16に具体的に示されている本発明に従う方法によって、
基板へのCMOS画像センサの装備する際に、該当する画像センサが一度のみハンダ付けプロセスを経ることが達成される。
【0083】
選択的に、個別に又は互いに組み合わせて援用することが出来る発明の構成要素をもう一度以下において要約する。
【0084】
本発明の特に有利な実施形態では、データを検知するための装置は、デジタルカメラとして形成され、独立請求項1で挙げられた特徴の少なくとも1つの組み合わせを有している。
【0085】
一方で、本発明に従い基板積層体の内部での凹部への電子部品の組み入れが行われ、その目的は、それによってコンパクトな構造的実現を促進することである。
【0086】
更に、少なくとも1つの基板の領域で少なくとも1つの輪郭ミーリング部によって、特には画像センサに関しての高さの調整が行われる。
【0087】
別の発明バリエーションに従い、基板積層体に接続されている1つ又は複数の固定要素内へのインターフェースのコネクタ装置の機械的な保護部の組み入れが行われる、また、別の発明バリエーションに従い、ハンダ付けプロセスによる電子部品の損傷を避けるための特別なハンダ付けプロセスが実行される。
【0088】
最後に、複数の筐体部分は、複数のハウジング構成要素の確実な接続並びに簡潔な製造経過(プロダクションフロー)を可能とするために、少なくとも1つの特別な弾性的なクリップを用いて互いに接続されている。
【0089】
内部でのデータ連絡に関して、好ましくは適合するデータバスが用いられる。個々のカメラの機能の定義並びに機能の予定される調整は好ましくはASISとして形成されるメインチップを介して実現される。
【符号の説明】
【0090】
1 デジタルカメラ
2 カメラ筐体(カメラハウジング)
2a 筐体上部
2b 筐体下部
3 クリップ
8 基板積層体
12 電子部品
14 輪郭ミーリング部
15 凹部
16a 固定要素
16c 接続装置
T 輪郭ミーリング部の深さ