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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】半導体パッケージアレイ
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/64 20100101AFI20230608BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20230608BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
H01L33/64
H01L23/34 A
H01L23/36 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020128944
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022025833
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100227732
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 祥二
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 達也
(72)【発明者】
【氏名】井本 洋介
(72)【発明者】
【氏名】外山 豊
【審査官】大和田 有軌
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-094122(JP,A)
【文献】特開2015-088707(JP,A)
【文献】特開2008-198759(JP,A)
【文献】特開2007-059207(JP,A)
【文献】国際公開第2020/045480(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/209149(WO,A1)
【文献】特開2016-184653(JP,A)
【文献】特開2013-258399(JP,A)
【文献】特開2013-046071(JP,A)
【文献】特開2009-272536(JP,A)
【文献】特表2009-517853(JP,A)
【文献】特開2007-234846(JP,A)
【文献】特開2005-123477(JP,A)
【文献】特開2003-152225(JP,A)
【文献】特開2003-069083(JP,A)
【文献】特開2002-335019(JP,A)
【文献】特開平03-011787(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106159064(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01L 21/52
H01L 21/58 - 21/607
H01L 23/12 - 23/15
H01L 23/34 - 23/473
H01S 5/00 - 5/50
H05K 1/00 - 1/02
H05K 3/32 - 3/34
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
F21V 1/00 - 99/00
F21W 102/00 -131/411
F21Y 101/00 -115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージアレイであって、
複数の半導体パッケージを備えており、
前記半導体パッケージは、
上面と下面との間を貫通する貫通孔を有する枠部と、前記枠部の内周面に配置され、前記枠部の内側に突出するように形成されている突出部と、を有する基体と、
半導体が配置される放熱体であって、一対の主面を有し、前記半導体が配置される一方の主面が前記基体の前記突出部の下面側に接合される放熱体と、を備え、
前記放熱体は、他方の主面の中央部が外周部に比べて凹んだ形状を有しており
前記半導体パッケージアレイは、
複数の前記半導体パッケージがアレイ状に配列されて、全体として板形状を有しており、
前記放熱体の前記一方の主面が並ぶ表面と、前記放熱体の前記他方の主面が並ぶ裏面と、を備え、
前記裏面は、前記半導体パッケージアレイの全体としての中央部が、前記半導体パッケージアレイの全体としての外周部に比べて凹んだ形状を有している、
ことを特徴とする半導体パッケージアレイ
【請求項2】
請求項1に記載の半導体パッケージアレイであって、
前記半導体パッケージは、前記一対の主面のそれぞれと交差する方向における前記放熱体の断面において、前記他方の主面の外周部の外形線、曲線をなしている、
ことを特徴とする半導体パッケージアレイ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージ、および、半導体パッケージアレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体が配置される放熱体と、放熱体を支持する基体とを備え、半導体を支持しつつ、半導体と外部の機器とを電気的に接続する半導体パッケージが知られている。例えば、特許文献1には、銅と、タングステンまたはモリブデンとの合金からなる放熱体を備える半導体パッケージが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-46071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような先行技術によっても、半導体パッケージにおいて、半導体の実装精度を向上するためには、なお改善の余地があった。例えば、特許文献1に記載の技術では、半導体パッケージは、外部の機器に電気的に接続される基盤に実装される。半導体パッケージを基盤に実装するとき、基盤の表面に対向する放熱体の対向面は、平面形状を有している。このため、半導体パッケージを基盤に実装するために半導体パッケージが加熱されると、熱膨張する放熱体の対向面の中央部が突出し、基盤の表面に接触するおそれがある。放熱体の対向面の中央部が基盤の表面に接触すると、半導体パッケージの姿勢が不安定になるため、基盤と半導体パッケージとの接合に不具合が発生するおそれがある。また、半導体パッケージが基盤に対して傾いた状態で基盤に接合されると、その後に半導体パッケージに実装される半導体の実装精度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、半導体パッケージにおいて、半導体の実装精度を向上する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
(1)本発明の一形態によれば、半導体パッケージが提供される。この半導体パッケージは、基体と、半導体が配置される放熱体であって、一対の主面を有し、前記半導体が配置される一方の主面が前記基体に接合される放熱体と、を備え、前記放熱体は、他方の主面の中央部が外周部に比べて凹んだ形状を有している。
【0008】
この構成によれば、放熱体において、基体に接合される一方の主面とは反対側の他方の主面は、中央部が外周部に比べて凹んだ形状を有しており、外周部が中央部より飛び出した形状となっている。これにより、半導体パッケージが基盤に実装されるとき、基盤の表面には放熱体の他方の主面のうち外周部が基盤の表面に接触するため、例えば、熱膨張率が比較的大きい銅から放熱体が形成されている場合に、半導体パッケージの加熱によって放熱体が熱膨張で変形しても、放熱体の他方の主面の中央部は基盤の表面に接触しにくくなる。したがって、半導体パッケージを基盤に実装するときに半導体パッケージが基盤の表面に対して傾いた状態となることを抑制することができる。半導体パッケージの基盤への実装時に基盤の表面に対する半導体パッケージの傾きが抑制されることで、基盤に実装された半導体パッケージの放熱体に対する半導体の実装精度を向上することができる。また、半導体パッケージと基盤との接合不良を抑制することができる。
【0009】
(2)上記形態の半導体パッケージにおいて、前記一対の主面のそれぞれと交差する方向における前記放熱体の断面において、前記他方の主面の外周部の外形線は、曲線をなしていてもよい。この構成によれば、放熱体は、一対の主面のそれぞれと交差する方向における放熱体の断面において、他方の主面の外周部の外形線は、曲線をなしている。これにより、放熱体の他方の主面の外周部において、放熱体の製造時に発生するバリなど、外周部の他の部分に比べて突出した部分がある場合に比べ、半導体パッケージが基盤の表面に対して傾いた状態となることをさらに抑制することができる。したがって、基盤に実装された半導体パッケージの放熱体に対する半導体の実装精度をさらに向上することができる。
【0010】
(3)本発明の別の形態によれば、半導体パッケージアレイが提供される。半導体パッケージアレイは、上述した半導体パッケージがアレイ状に配列されて、全体として板形状を有しており、前記放熱体の前記一方の主面が並ぶ表面と、前記放熱体の前記他方の主面が並ぶ裏面と、を備え、前記裏面は、中央部が外周部に比べて凹んだ形状を有している。この構成によれば、半導体パッケージがアレイ状に配列された半導体パッケージアレイでは、全体として、放熱体の他方の主面が並ぶ裏面は、中央部が外周部に比べて凹んだ形状を有している。これにより、半導体パッケージアレイが備える複数の放熱体のそれぞれに半導体を配置するとき、加熱される半導体パッケージアレイが放熱体の熱膨張によって変形しても表面側に凹んだ形状になりにくい。したがって、半導体パッケージアレイは、放熱体への半導体の配置中に、姿勢を安定させることができるため、基盤に実装された半導体パッケージアレイに対する半導体の実装精度を向上することができる。
【0011】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、半導体パッケージの製造方法、半導体パッケージアレイの製造方法、これらの製造方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム、コンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、コンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等などの形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の半導体パッケージの模式図である。
図2】本実施形態の半導体パッケージの製造方法を説明する図である。
図3】本実施形態の半導体パッケージの効果を説明する図である。
図4】比較例の半導体パッケージを基盤に実装するときの図である。
図5】第2実施形態の半導体パッケージの断面図である。
図6】第2実施形態の半導体パッケージアレイの模式図である。
図7】本実施形態の半導体パッケージアレイの効果を説明する図である。
図8】本実施形態の半導体パッケージアレイの製造方法を説明する図である。
図9】比較例の半導体パッケージアレイに半導体を配置するときの図である。
図10】変形例の半導体パッケージアレイの製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の半導体パッケージ1の模式図である。本実施形態の半導体パッケージ1は、基体10と、放熱体20と、接合材30と、配線部40と、を備える。半導体パッケージ1には、半導体50が配置される。半導体50は、例えば、発光ダイオードであり、半導体パッケージ1の外部の制御装置と電気的に接続されており、発光が制御される。なお、半導体50は、発光ダイオードに限定されず、例えば、パワーMOSFETやダイオードなどから構成されるパワーデバイスであってもよいし、他の機能を有する半導体を含んでもよい。半導体パッケージ1は、半導体50と外部の制御装置とを電気的接続するとともに、半導体50で発生する熱を外部に放出する。
【0014】
基体10は、セラミック、例えば、アルミナによって形成されている枠状の部材である。基体10は、枠部11と、突出部12と、を備える。基体10は、放熱体20を支持しつつ、半導体パッケージ1の外部の機器と半導体50とを電気的に接続する。
【0015】
枠部11は、矩形形状に形成されている枠であって、上側端面11aと、下側端面11bと、上側端面11aと下側端面11bとの間を貫通する貫通孔11cを有する。本実施形態では、貫通孔11cは、矩形形状に形成されている。
【0016】
突出部12は、枠部11の貫通孔11cを形成する内周面11dに配置されており、枠部11の内側に突出するように形成されている。突出部12は、第1の表面12aと、第2の表面12bとを有する。突出部12より内周側は空洞であり、つまり、第1の表面12aと第2の表面12bとの対向方向に貫通する貫通孔12cが形成されている。第2の表面12b上には、タングステンにニッケルめっきが施されたメタライズ層が配置されている。
【0017】
放熱体20は、基体10を形成する材料より熱膨張率が大きい材料、例えば、銅から形成されている矩形形状の平板であって、半導体50が配置される。放熱体20は、一対の主面21、22を有している。半導体50が配置される一方の主面21が基体10に接合される。放熱体20は、半導体50で発生する熱を外部に放出する。
【0018】
本実施形態では、放熱体20は、他方の主面22の中央部22aが外周部22bに比べて凹んだ形状を有している。具体的には、図1(b)に示すように、放熱体20において、外周部22bの厚みT1は、中央部22aの厚みT2より厚い。また、一対の主面21、22のそれぞれと交差する方向における放熱体20の断面(図1(b))において、他方の主面22の外周部22bの外形線は、曲線(円弧)を有している。具体的には、外周部22bの断面は、主面22と、一対の主面21、22をつなぐ側面23とを緩やかにつなぐ曲線(円弧)となっている(図1(b)の二点鎖線の円で示す領域C1参照)。
【0019】
接合材30は、基体10の突出部12と、放熱体20との間に配置されている。具体的には、接合材30は、突出部12の第2の表面12b上のメタライズ層と、放熱体20の一方の主面21との間に配置されている。接合材30は、銀銅ろうであって、基体10と放熱体20とを接合する。
【0020】
配線部40は、基体10に配置されているタングステンを金めっきした部材である。本実施形態では、配線部40は、枠部11の下側端面11b(図1(c)参照)、および、突出部12の第1の表面12a(図1(a)参照)のそれぞれに配置されている。これらの配線部40は、図示しない内部配線によって導通している。配線部40は、放熱体20に配置されている半導体50と、半導体パッケージ1の外部の電気配線とを電気的に接続する。
【0021】
図2は、本実施形態の半導体パッケージ1の製造方法を説明する図である。次に、半導体パッケージ1の製造方法について説明する。最初に、放熱体20となる銅製の板25に対して、片側の主面25aをへこますようにプレスされる(図2(a)の白抜き矢印F1参照)。これにより、放熱体20が完成する。本実施形態では、例えば、大きさが56.06×51.28×1.9mmの半導体パッケージ1に接合される放熱体20の場合、放熱体20の他方の主面22は、中央部22aから外周部22bに向かって1mm進むごとに、4μm以上反るように成形される。なお、この凹形状における反りの程度はこれに限定されない。
【0022】
次に、プレスによって成形された放熱体20を基体10に接合する。具体的には、基体10の突出部12と放熱体20との間に、銀銅ろう材30aを配置する(図2(b)参照)。この銀銅ろう材30aが配置された基体10と放熱体20とを加熱することで、基体10と放熱体20とが、接合材30によって接合される(図2(c)参照)。
【0023】
図3は、本実施形態の半導体パッケージ1の効果を説明する図である。次に、本実施形態の半導体パッケージ1の効果について説明する。本実施形態の半導体パッケージ1は、図3に示すように、図示しない電気配線を有する基盤5に実装されて使用される。半導体パッケージ1を基盤5に実装するとき、半導体パッケージ1は、放熱体20の他方の主面22が基盤5の表面6に対向するように配置される。半導体パッケージ1の放熱体20は、他方の主面22の中央部22aが外周部22bに比べて凹んだ形状を有しているため、基盤5の表面6には、他方の主面22の外周部22bが接触する。
【0024】
半導体パッケージ1と基盤5との間のろう材7を溶融するために、半導体パッケージ1を加熱すると、半導体パッケージ1は、熱膨張する。このとき、基体10より熱膨張率が大きい放熱体20は、一方の主面21が基体10に接合されているため、他方の主面22側が一方の主面21側に比べ膨張し、基盤5の表面6に向かって膨らみやすい。しかしながら、本実施形態の半導体パッケージ1では、放熱体20の他方の主面22の中央部22aが外周部22bに比べて凹んだ形状を有しているため、中央部22aが外周部22bより突出しにくい。これにより、半導体パッケージ1を基盤5に実装するとき、中央部22aが基盤5の表面6に接触しにくくなるため、中央部22aと基盤5との接触によって半導体パッケージ1が傾くことを抑制することができる。半導体パッケージ1の基盤5の表面6に対する傾きが抑制されることで、半導体パッケージ1と基盤5との接合不良を抑制することができる。また、半導体パッケージ1は、基盤5の表面6に対して傾くことなく基盤5に実装されるため、半導体パッケージ1が備える放熱体20に対する半導体50の実装精度を向上することができる。さらに、放熱体20の一方の主面21と基盤5の表面6との間の距離が均一となるため、半導体50で発生する熱を安定して外部に放出することができる(図3の距離h11と距離h12との比較参照)。
【0025】
図4は、比較例の半導体パッケージ8、9を基盤5に実装するときの図である。ここでは、比較例の半導体パッケージ8、9を基盤5に実装するときの課題を説明する。図4(a)には、放熱体80の基盤5側の主面81が平面状に形成されている半導体パッケージ8の断面図を示している。半導体パッケージ8では、基盤5に実装されるときの加熱によって放熱体80が膨らむ。このため、放熱体80の主面81の中央部81aが基盤5の表面6に接触するため、図4(a)に示すように、半導体パッケージ8が傾きやすくなる。このため、半導体パッケージ8と基盤5との接合不良が発生しやすくなる。また、半導体50の実装精度が低下するため、例えば、半導体50が発光ダイオードなどの発光デバイスの場合、出射角が所定の角度からずれるおそれがある。さらに、放熱体80の半導体50が配置される主面82と基盤5の表面6との間の距離が不均一となるため、半導体50で発生する熱の放出量にばらつきが発生する(図4(a)の距離h21と距離h22との比較参照)。
【0026】
図4(b)には、放熱体90の基盤5側の主面91の外周部91bに、例えば、放熱体90の成型時に形成されるバリなどの、突出部93を有する放熱体90を備える半導体パッケージ9の断面図を示している。このような半導体パッケージ9では、半導体パッケージ9が基盤5に実装されるとき、突出部93が基盤5の表面6に接触するため、図4(b)に示すように、半導体パッケージ9が傾きやすくなる。このため、図4(a)の半導体パッケージ8と同様に、半導体パッケージ9と基盤5との接合不良が発生しやすくなるとともに、半導体50の実装精度が低下する。また、放熱体90の半導体50が配置される主面92と基盤5の表面6との間の距離が不均一となるため、半導体50で発生する熱の放出量にばらつきが発生する(図4(b)の距離h31と距離h32との比較参照)。
【0027】
以上説明した、本実施形態の半導体パッケージ1によれば、放熱体20において、基体10に接合される一方の主面21とは反対側の他方の主面22は、中央部22aが外周部22bに比べて凹んだ形状を有しており、外周部22bが中央部22aより飛び出した形状となっている。半導体パッケージ1が基盤5に実装されるとき、基盤5の表面6には放熱体20の他方の主面22のうち外周部22bが基盤5の表面6に接触する。これにより、熱膨張率が比較的大きい銅から放熱体20が、半導体パッケージ1を基盤5に実装するときの半導体パッケージ1の加熱によって熱膨張で変形しても、放熱体20の他方の主面22の中央部22aは、基盤5の表面6に接触しにくくなる。したがって、放熱体20の他方の主面22の中央部22aだけが基盤5に接触することで、半導体パッケージ1が基盤5の表面6に対して傾いた状態となることを抑制することができる。半導体パッケージ1の基盤5への実装時に、基盤5の表面6に対する半導体パッケージ1の傾きが抑制されることで、基盤5に実装された半導体パッケージ1の放熱体20に対する半導体50の実装精度を向上することができる。また、半導体パッケージ1と基盤5との接合不良を抑制することができる。
【0028】
また、例えば、放熱体を熱膨張率が銅に比べて小さい銅合金から形成する場合、熱膨張による変形量が抑えられるため、半導体パッケージが基盤に対して傾いた状態となることを抑制することは可能である。また、放熱体の厚みを薄くして熱膨張による変形量を抑えることで、半導体パッケージが基盤に対して傾いた状態となることを抑制することも可能である。しかしながら、放熱体を銅合金にすると熱伝導率が低下したり、放熱体の厚みを薄くすると半導体パッケージと基盤とを接合するろう材の厚みが厚くなることで熱伝導性が低下したりするため、いずれにしても放熱性が低下する。特に、半導体50がパワーMOSFETやダイオードなどから構成されるパワーデバイスである場合、半導体パッケージの放熱性が重要となる。本実施形態の半導体パッケージ1によれば、放熱体20における他方の主面22の形状を変更だけで、半導体パッケージ1が基盤5の表面6に対して傾いた状態となることを抑制しつつ放熱性を向上することができる。これにより、半導体50の実装精度を向上しつつ、半導体パッケージ1における放熱性を簡便に向上することができる。
【0029】
また、本実施形態の半導体パッケージ1によれば、図1(b)に示すような一対の主面21、22のそれぞれと交差する方向における放熱体20の断面において、他方の主面22の外周部22bの外形線は、曲線(円弧)をなしている。これにより、放熱体20の他方の主面22の外周部22bにおいて、例えば、放熱体20の製造時に発生するバリなど、外周部22bの他の部分に比べて突出した突出部93(図4(b)参照)がある場合に比べ、外周部22bの方当たりによって半導体パッケージ1が基盤5の表面6に対して傾いた状態となることをさらに抑制することができる。したがって、基盤5に実装された半導体パッケージ1の放熱体20に対する半導体50の実装精度をさらに向上することができる。
【0030】
<第2実施形態>
図5は、第2実施形態の半導体パッケージ2の断面図である。第2実施形態の半導体パッケージ2では、第1実施形態の半導体パッケージ1と比較して、基体の形状が異なる。
【0031】
本実施形態の半導体パッケージ2は、基体60と、放熱体20と、接合材30と、配線部40と、を備える。基体60は、セラミック、例えば、アルミナによって形成されている枠状の部材であって、枠部11と、突出部62と、を備える。基体60は、放熱体20を支持する。
【0032】
突出部62は、枠部11の貫通孔11cを形成する内周面11dに配置されており、枠部11の内側に突出するように形成されている。突出部62は、第1の表面62aと、第2の表面12bとを有する。突出部12より内周側は空洞であり、つまり、第1の表面62aと第2の表面12bとの対向方向に貫通する貫通孔12cが形成されている。第1の表面62aは、枠部11の上側端面11aと同じ高さに位置している。
【0033】
図6は、第2実施形態の半導体パッケージアレイ3の模式図である。図6(a)には、半導体パッケージアレイ3の斜視図を示している。図6(b)には、半導体パッケージアレイ3の断面図を示している。本実施形態の半導体パッケージアレイ3は、図6に示すように、半導体パッケージ2がアレイ状に配列されて、全体として板形状を有している。具体的には、半導体パッケージアレイ3の複数の半導体パッケージ2のそれぞれは、上述した板形状において、放熱体20が一方の側に配列される(図6(b)参照)。すなわち、半導体パッケージアレイ3は、放熱体20の一方の主面21が並ぶ表面31と、放熱体20の他方の主面22が並ぶ裏面32とを備えている。半導体パッケージアレイ3では、隣接する半導体パッケージ2の基体60どうしは、接続されて一体となっており、ろう材によって半導体50を放熱体20に接合するための加熱の前では、裏面32は、中央部が外周部に比べて凹んだ形状を有している(図6(b)参照)。なお、図6(b)では、半導体パッケージアレイ3の形状を強調して示している。
【0034】
図7は、本実施形態の半導体パッケージアレイ3の効果を説明する図であって、半導体パッケージアレイの断面形状の変化を示す模式図である。図7(a)には、放熱体20に半導体50が接合される前の半導体パッケージアレイ3であって、例えば、常温での半導体パッケージアレイ3の断面図を示している。また、図7(b)には、放熱体20に半導体50が接合されるときの半導体パッケージアレイ3であって、加熱されている状態の半導体パッケージアレイ3の断面図を示している。
【0035】
図7(a)に示すように、半導体50を接合するために加熱される前の半導体パッケージアレイ3では、全体として、裏面32は、中央部が外周部に比べて凹んだ形状を有している。具体的には、半導体パッケージアレイ3の放熱体20が配列されている側(裏面32側)が内側になるように、半導体パッケージアレイ3の全体として凹形状となっている。放熱体20と半導体50とを接合させるために半導体パッケージアレイ3全体が加熱されると、基体10と放熱体20との熱膨張率の差によって基体10より放熱体20が膨張するため、図7(b)に示すように、半導体パッケージアレイ3の形状は、平面形状に近くなる。これにより、半導体パッケージアレイ3の姿勢を安定させやすくなる。したがって、半導体パッケージアレイ3の放熱体20に半導体50を接合させやすくなるため、半導体パッケージ2に対する半導体50の実装精度を向上することができる。
【0036】
図8は、本実施形態の半導体パッケージアレイ3の製造方法を説明する図である。本実施形態では、半導体パッケージアレイ3において複数の基体10となるセラミックグリーンシート3aを、図8(a)に示すような形状の型70a、70bを有するプレス装置70でプレスする。これにより、図8(b)に示すような、全体として凹形状となっているセラミックグリーンシート3bを製作する。その後、半導体パッケージ1の突出部12や貫通孔11cとなる部分の加工、セラミックグリーンシート3bの焼成、焼成されたセラミックグリーンシート3bへの放熱体20の接合などを行う。焼成されたセラミックグリーンシート3bに放熱体20を接合するとき、放熱体20は、図8(b)に示すセラミックグリーンシート3bの凹んでいる側、すなわち、主面3c側に接合される。
【0037】
図9は、比較例の半導体パッケージアレイ4に半導体を配置するときの図である。比較例の半導体パッケージアレイ4は、図9(a)に示すように、半導体50を接合するための加熱の前では、全体として平面形状を有している。この半導体パッケージアレイ4の放熱体20と半導体50とを接合させるために半導体パッケージアレイ4全体を加熱すると、半導体パッケージアレイ4全体は、基体10と放熱体20との熱膨張率の差によって、図9(b)に示すように、放熱体20が配置されている側の面42とは反対側の面41が凹んだ形状となる。このため、半導体パッケージアレイ4の姿勢が不安定になりやすく、半導体50の実装精度が低下するおそれがある。
【0038】
以上説明した、本実施形態の半導体パッケージアレイ3によれば、半導体パッケージ1がアレイ状に配列された半導体パッケージアレイ3では、全体として、放熱体20の他方の主面22が並ぶ裏面32は、中央部が外周部に比べて凹んだ形状を有している。これにより、半導体パッケージアレイ3が備える複数の放熱体20のそれぞれに半導体50を配置するとき、加熱される半導体パッケージアレイ3が放熱体20の熱膨張によって変形しても半導体パッケージアレイ3の表面31側が凹んだ形状になりにくく、平面形状となりやすい。したがって、半導体パッケージアレイ3は、放熱体20に半導体50を配置するときの姿勢が安定するため、基盤5に実装された半導体パッケージアレイ3に対する半導体50の実装精度を向上することができる。
【0039】
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0040】
[変形例1]
上述の実施形態では、基体10は、枠部11と、突出部12とを有するとした。しかしながら、基体10の構成はこれに限定されず、突出部はなくてもよい。
【0041】
[変形例2]
上述の実施形態では、放熱体20は、一対の主面21、22と交差する方向における放熱体20の断面において、他方の主面22の外周部22bの外形線は、曲線(円弧)をなしているとした。しかしながら、放熱体は、このような形状でなくてもよい。半導体パッケージを基盤に実装するときに、外周部の一部分が基盤の表面に接触することで半導体パッケージが傾かないように、外周部の断面は、一部分が突出しないような形状であることが望ましい。
【0042】
[変形例3]
上述の実施形態では、プレスによって、放熱体20の他方の主面22を、中央部22aが外周部22bに比べて凹んだ形状にするとした。しかしながら、放熱体20の他方の主面22を凹んだ形状とする方法は、これに限定されない。
【0043】
[変形例4]
第2実施形態では、半導体パッケージアレイ3を全体として、裏面32側に凹んだ形状とするために、半導体パッケージアレイ3の基体10となるセラミックグリーンシート3aをプレス装置70によってプレスするとした。しかしながら、半導体パッケージアレイ3を凹形状とする方法は、これに限定されない。
【0044】
図10は、変形例の半導体パッケージアレイ3の製造方法を説明する図である。変形例の半導体パッケージアレイ3は、セラミックからなる複数のシートを積層して、半導体パッケージアレイ3の基体10となるセラミックグリーンシート3aを形成する。例えば、図10に示すように、4枚のシート3d、3e、3f、3gを積層してセラミックグリーンシート3aを形成する。4枚のシート3d、3e、3f、3gのうち半導体パッケージアレイ3の裏面32を形成するシート3gには、中央部分に貫通孔3hが形成されている。これにより、4枚のシート3d、3e、3f、3gを積層したセラミックグリーンシート3aでは、全体として、裏面は、中央部が外周部に比べて凹んだ形状を有していることとなる。したがって、このセラミックグリーンシート3aを用いた半導体パッケージアレイ3は、半導体50を配置するときに加熱しても比較的平面形状に近い状態となり、半導体パッケージアレイ3に対する半導体50の実装精度を向上することができる。
【0045】
[変形例5]
上述の実施形態では、放熱体20は、銅から形成されており、基体10は、アルミナから形成されるとした。しかしながら、放熱体20および基体10を形成する材料はこれに限定されない。放熱体20を形成する材料の熱膨張率は、基体10を形成する材料の熱膨張率より高いことが望ましいが、これに限定されない。
【0046】
[変形例6]
上述の実施形態では、それぞれ、基体10は4辺において同一の断面形状を有していた。しかしながら基体10は、4辺において同一の断面形状を有していなくてもよい。例えば、4辺のうち2辺が第1実施形態におけるものと同一形状であり、他の2辺が第2実施形態におけるものと同一形状であってもよい。
【0047】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0048】
1,2…半導体パッケージ
3…半導体パッケージアレイ
10,60…基体
20…放熱体
21…一方の主面
22…他方の主面
22a…中央部
22b…外周部
31…表面
32…裏面
50…半導体
図1
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図8
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図10