(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-06-07
(45)【発行日】2023-06-15
(54)【発明の名称】基板を低温流体混合物で処理するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230608BHJP
B08B 7/00 20060101ALI20230608BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 645A
B08B7/00
(21)【出願番号】P 2020518011
(86)(22)【出願日】2018-09-25
(86)【国際出願番号】 US2018052643
(87)【国際公開番号】W WO2019067444
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-09-21
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508151552
【氏名又は名称】ティーイーエル マニュファクチュアリング アンド エンジニアリング オブ アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】デクレーカー,デイヴィッド ピー.
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-076702(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロエレクトロニクス基板を処理する方法であって、
注入口と、放出口とを有する流体膨張コンポーネントを備える真空プロセスチャンバ内にマイクロエレクトロニクス基板を受け入れるステップと、
前記真空プロセスチャンバにおいて35Torr以下の処理圧力を維持するステップと、
前記流体膨張コンポーネントに流体混合物を受け入れるステップであって、前記流体混合物は窒素又はアルゴンを含み、流体混合物は、70Kから200Kまでの範囲内の温度及び800psig未満の圧力である、ステップと、
前記流体膨張コンポーネント及び前記真空プロセスチャンバへの前記流体混合物を第1群のプロセス条件の下で維持するステップと、
前記放出口を介して前記真空プロセスチャンバ内に前記流体混合物を膨張させるステップであって、したがって、膨張した前記流体混合物は前記マイクロエレクトロニクス基板にわたって流れる、ステップと、
前記マイクロエレクトロニクス基板にわたって流れる前記流体混合物を用いて前記マイクロエレクトロニクス基板から複数の第1物体を除去するステップと、
前記流体膨張コンポーネント及び前記真空プロセスチャンバへの前記流体混合物を第2群のプロセス条件の下で維持するステップであって、前記第1群のプロセス条件と前記第2群のプロセス条件との間では少なくとも1つのプロセス条件が異なる、ステップと、
前記放出口を介して前記真空プロセスチャンバ内に前記流体混合物を膨張させるステップであって、したがって、膨張した前記流体混合物は前記マイクロエレクトロニクス基板にわたって流れる、ステップと、
前記マイクロエレクトロニクス基板にわたって流れる前記流体混合物を用いて前記マイクロエレクトロニクス基板から複数の第2物体を除去するステップと、を
含
み、
前記第1物体はより大きな粒子であり、前記第2物体はより小さい粒子であり、
前記第1群のプロセス条件は、第1流体フローレートを含み、
前記第2群のプロセス条件は、前記第1流体フローレートより高い第2流体フローレートを含み、
前記複数の第2物体を除去するステップは、前記複数の第1物体を除去するステップの後に行われる、方法。
【請求項2】
前記第1群のプロセス条件は、約100slmの第1流体フローレートを含み、
前記第2群のプロセス条件は、約160slmの第2流体フローレートを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1群のプロセス条件又は前記第2群のプロセス条件は、前記流体混合物のフローレート、前記流体混合物の化学組成、前記流体混合物の温度、前記流体混合物の流体圧、前記マイクロエレクトロニクス基板と前記流体膨張コンポーネントとの間の距離、又は、前記真空プロセスチャンバのチャンバ圧力、を
さらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記流体混合物は、窒素、アルゴン又はそれらの組み合わせを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記流体混合物は、キセノン、クリプトン、ヘリウム、水素、C2H6又は二酸化炭素のうちの1つ以上と、少なくとも窒素又はアルゴンとの混合物を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
マイクロエレクトロニクス基板をクリーニングする方法であって、
注入口及び放出口を有する流体膨張コンポーネントを備える真空プロセスチャンバ内にマイクロエレクトロニクス基板を受け入れるステップと、
前記流体膨張コンポーネントにガス混合物を供給するステップであって、前記ガス混合物は、273K未満である温度と、前記流体膨張コンポーネント内のガス混合物での液体形成を阻止する圧力と、を有する、ステップと、
前記ガス混合物及び前記真空プロセスチャンバに対する第1群のプロセス条件を維持するステップと、
前記マイクロエレクトロニクス基板を前記流体膨張コンポーネントに対向して位置決めし、前記マイクロエレクトロニクス基板と前記放出口との間に2mmから50mmの間の範囲のギャップ距離を提供する、ステップであって、前記流体膨張コンポーネントは前記マイクロエレクトロニクス基板に対向して配置されている、ステップと、
前記流体膨張コンポーネントの放出口を介して、かつ前記のギャップを介して、前記ガス混合物を前記真空プロセスチャンバ内へと膨張させるステップであって、したがって膨張した前記ガス混合物は前記マイクロエレクトロニクス基板にわたって流れる、ステップと、
前記マイクロエレクトロニクス基板の初期処理のために、前記流体膨張コンポーネントに隣接する経路に沿って、前記マイクロエレクトロニクス基板を移動させるステップと、
前記マイクロエレクトロニクス基板の前記初期処理の後の後続の処理のために、前記ガス混合物又は真空プロセスチャンバに関する少なくも1つのプロセス条件を変化させるステップ
であって、前記プロセス条件を変化させるステップは、ガスフローレートを増加させるステップを含み、それにより、より大きな粒子をより小さい粒子より先に除去する、ステップと、
を含む方法。
【請求項7】
前記温度は、70K以上及び150K以下である、
請求項
6記載の方法。
【請求項8】
前記真空プロセスチャンバは10Torr未満に維持される、
請求項
6記載の方法。
【請求項9】
前記マイクロエレクトロニクス基板を位置決めするステップは、前記マイクロエレクトロニクス基板と前記流体膨張コンポーネントとの間で45°から90°の入射角を維持するステップを含む、
請求項
6記載の方法。
【請求項10】
冷却加圧される前記ガス混合物は、窒素、アルゴン又はそれらの組み合わせを含む、
請求項
6記載の方法。
【請求項11】
冷却され、加圧される前記ガス混合物は、キセノン、クリプトン、ヘリウム、水素、C
2H
6又は二酸化炭素のうちの1つ以上と、少なくとも窒素又はアルゴンとの混合物を含む、
請求項
6記載の方法。
【請求項12】
前記プロセス条件を変化させるステップは、少なくとも1つのプロセス条件を、前記マイクロエレクトロニクス基板の初期処理から、前記マイクロエレクトロニクス基板の後続の処理のために、変化させるステップを含む、
請求項
6記載の方法。
【請求項13】
前記プロセス条件を変化させるステップは、前記マイクロエレクトロニクス基板の後続の処理のために前記ギャップ距離を変化させるステップを含む、
請求項
6記載の方法。
【請求項14】
前記プロセス条件を変化させるステップは、前記ガス混合物のガスフローレート、前記ガス混合物の化学組成、前記ガス混合物の温度、前記ガス混合物のガス圧力、前記マイクロエレクトロニクス基板と前記流体膨張コンポーネントとの間の距離、前記真空プロセスチャンバのチャンバ圧、又は、それらの任意の組み合わせ、のうちの少なくとも2つのプロセス条件を変化させるステップを含む、
請求項
6記載の方法。
【請求項15】
マイクロエレクトロニクス基板を処理する方法であって、
真空プロセスチャンバ内に前記マイクロエレクトロニクス基板を受け入れるステップであり、前記真空プロセスチャンバは、注入口及び放出口を有する流体膨張コンポーネントを備え、前記真空プロセスチャンバは35Torr以下の圧力であり、前記マイクロエレクトロニクス基板と前記流体膨張コンポーネントの前記放出口との間で、2mmから50mmの範囲内のギャップ距離を提供するように、前記マイクロエレクトロニクス基板は配置されている、ステップと、
加圧及び冷却された流体を前記マイクロエレクトロニクス基板から粒子を除去するために効果的な条件の下で前記真空プロセスチャンバ内へと膨張させる第1群のプロセス条件の下で発生する第1処理を使用するステップと、
加圧及び冷却された流体を前記マイクロエレクトロニクス基板から粒子を除去するために効果的な条件の下で前記真空プロセスチャンバ内へと膨張させる第2群のプロセス条件の下で発生する第2処理を使用するステップと、
を含
み、
前記第1群のプロセス条件は第1流体フローレートを含み、前記第2群のプロセス条件は第2流体フローレートを含み、前記第1流体フローレートは前記第2流体フローレートより大きく、
前記第1処理によって除去される粒子は、前記第2処理によって除去される粒子より大きく、
前記第2処理を使用するステップは、前記第1処理を使用するステップの後に行われる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
この出願は、2017年9月29日に出願された米国仮特許出願第15/721,396号の利益を主張し、その開示は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
関連出願
2017年9月29日に出願出された米国非仮出願15/721,396は、2016年6月29日に出願された米国非仮出願15/197,450の一部継続出願であり、その優先権を主張し、2014年10月6日出願の米国仮特許出願第62/060,130号、2015年3月31日出願の米国仮特許出願第62/141,026号、及び2015年10月6日出願の米国非仮特許出願第14/876,199号の一部継続出願であり、その優先権を主張する。
【0003】
技術分野
本開示は、マイクロエレクトロニクス基板の表面を処理する装置及び方法に関し、特に、低温流体(cryogenic fluids)を用いてマイクロエレクトロニクス基板から物体を除去するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
マイクロエレクトロニクス技術の進歩により、ますます増加する能動部品密度を有する、マイクロエレクトロニクス基板(例えば、半導体基板)上に形成されるべき集積回路(ICs)が生じている。IC製造は、マイクロエレクトロニクス基板上の種々の材料の適用及び選択的除去によって行われることができる。製造プロセスの一態様は、マイクロエレクトロニクス基板の表面を、マイクロエレクトロニクス基板クリーニング処理に曝し、プロセス残渣及び/又はデブリ(例えば、粒子)をマイクロエレクトロニクス基板から除去する、ステップを含み得る。マイクロエレクトロニクス基板をクリーニングするために、種々の乾式及び湿式クリーニング技術が開発されている。
【0005】
しかしながら、マイクロエレクトロニクスIC製造の進歩により、基板上のデバイスフィーチャがより小さくなった。より小さなデバイスフィーチャにより、デバイスは、従来よりも小さな粒子からの損傷を受け易くなっている。したがって、基板を損傷することなく、より小さい粒子及び/又は比較的大きな粒子の除去を可能にする任意の技術が望まれるだろう。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載されるのは、種々の異なる流体又は流体混合物を使用して、マイクロエレクトロニクス基板から物体(例えば、粒子)を除去することができるいくつかの装置及び方法である。特に、流体又は流体混合物は、マイクロエレクトロニクス基板の表面から粒子を除去し得る方法で、マイクロエレクトロニクス基板に曝されることができる。流体混合物は、(例えば大気圧より高い)高圧環境から、マイクロエレクトロニクス基板を有しうる(例えば大気圧未満の)より低い圧力環境への流体混合物の膨張によって形成される低温エアロゾル及び/又はガスクラスタージェット(GCJ)スプレーを含み得るが、限定されない。
【0007】
本明細書に記載する実施形態は、より大きな(例えば、>100nm)粒子の除去効率を低下させることなく、及び/又は、粒子除去中にマイクロエレクトロニクス基板のフィーチャを損傷することなく、100nm未満の粒子の粒子の除去効率を改善することによって、予想外の結果(unexpected results)を実証している。損傷の低減は、流体混合物の液化を回避するか、又は膨張前の液化を抑えること(例えば<1重量%)によって可能にされてもよい。
【0008】
さらなる予想外の結果は、単一ノズルからのより広いクリーニングエリア(~100mm)を示すことを含む。より広いクリーニングエリアを可能にする1つの側面は、ノズルとマイクロ電子基板との間のギャップ距離を最小化することに、少なくとも部分的に、基づくことが示されている。クリーニングエリアサイズを大きくすると、サイクルタイムと化学物質のコストを削減できる。さらに、マイクロエレクトロニクス基板から粒子を除去するために使用され得る流体混合物の膨張を制御するために、1つ又は複数の特有の(unique)ノズルを使用することができる。
【0009】
一実施形態によれば、少なくとも1つの流体による表面の衝突を介してマイクロエレクトロニクス基板の表面を処理するための装置が記載される。装置は、プロセスチャンバ内でマイクロエレクトロニクス基板を少なくとも一つの流体で処理するために内部空間を画定する処理チャンバと、処理チャンバ内で基板を支持する可動チャックと、少なくとも一つの流体による処理のための位置において露出する上側表面を有する基板と、可動チャックに動作可能に(operatively)連結され、かつ、基板ロード位置と少なくとも1つの流体で基板が処理される少なくとも1つの処理位置との間で可動チャックを並進させるように構成された、基板並進駆動システムと、処理チャンバに動作可能に連結し、基板を回転させるように構成された基板回転駆動システムと、少なくとも1つの流体源と接続された少なくとも1つの流体膨張コンポーネント(例えばノズル)であって、可動チャックが少なくとも1つの上記の処理位置に位置して基板を支持するときに、基板の上側表面に向かって流体混合物を方向づけるのに効果的なように、処理チャンバ内に配置された少なくとも1つの流体膨張コンポーネントと、
を含むことができる。
【0010】
他の実施例によれば、低温流体混合物による表面の衝突を介して基板の表面を処理するための方法が、本明細書に記載されている。流体混合物には、窒素、アルゴン、キセノン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、二酸化炭素、又はそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。流入する流体混合物は、273K未満で、流体混合物内での液体形成を阻止する圧力に維持される。流体混合物は、エアロゾル又はガスクラスタースプレーを形成するために、プロセスチャンバ内へと膨張する。膨張は、流体混合物を、ノズルを介して、35Torr以下に維持され得るプロセスチャンバへと通すことにより実施され得る。流体混合物スプレーは、動力学的及び/又は化学的手段を介して基板から物体を除去するために使用され得る。
【0011】
本明細書に記載のプロセスは、大変効率的な方法で、大きい粒子(例えば、> 100nm)及び小さい粒子(例えば、<100nm)を除去することが見出された。しかしながら、粒子除去効率は、マイクロエレクトロニクス基板上の異なるタイプの粒子に対処するための多段階処理方法(a multi-stage treatment method)を組み込むことによりさらに改善され得る。多段階プロセスには、異なるプロセス条件でマイクロエレクトロニクス基板を複数回通過させることが含まれ得る。例えば、第1処理は、特定のタイプの粒子を除去するために使用される第1群のプロセス条件を含み、その後、第2群のプロセス条件でマイクロエレクトロニクス基板にわたって通過する。
【0012】
一実施形態では、GCJスプレー処理方法は、
第1群のプロセス条件でマイクロエレクトロニクス基板を処理することを含み、第1群のプロセス条件は、チャンバ圧力、ガス圧力、ガス温度、ガスケミストリ、基板速度又は滞留時間、ノズルとマイクロ電子基板間のギャップ距離、を含むが、これに限定されるものではない。第1処理の後、同一のマイクロエレクトロニクス基板は、第2処理を用いて処理されることができ、そこでは、第1群のプロセス条件と比較して、複数のプロセス条件のうちの少なくとも1つが異なるか又は異なる大きさを有する。このようにして、変位した粒子又はGCJスプレーによって引き起こされる損傷を最小化しつつ、粒子を除去する可能性が高いプロセス条件を最適化することによって、種々のタイプの粒子が除去の標的とされ得る。例えば、小さな粒子は除去するためにより高いフローレート(flow rate)又は滞留時間を必要とし得るが、そのプロセス条件はより大きな粒子には過剰なエネルギーを与え、パターン化されたフィーチャの付加的な損傷を引き起こし得る。しかしながら、パターン化されたフィーチャを損傷することなく、より大きな粒子がより低いフローレートで除去され得る場合、第1処理はより大きな粒子を除去するために比較的低いフロープロセス条件を含み得る。しかしながら、第2処理は、より大きな粒子が除去された後に、より小さな粒子を除去するために、比較的高いフローレートを含み得る。それ故、第2処理に先立ってより大きな粒子が除去されたため、より高いフローレート処理はパターン化されたフィーチャのより少ない損傷を生じさせ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を示し、上記に与えられた発明の一般的な説明及び以下の詳細な説明と共に、本発明を説明する役割を果たす。
さらに、参照符号の最も左の桁は、参照符号が最初に現れる図面を識別する。
【
図1】本開示の少なくとも1つの実施形態による洗浄システムの概略図及び洗浄システムのプロセスチャンバの断面図を示す。
【
図2A】本開示の少なくとも2つの実施形態による2段階ガスノズルの断面図を示す。
【
図2B】本開示の少なくとも2つの実施形態による2段階ガスノズルの断面図を示す。
【
図3】本開示の少なくとも1つの実施形態による単段ガスノズルの断面図を示す。
【
図4】本開示の少なくとも1つの実施形態によるフラッシュガスノズルの断面図を示す。
【
図5】本開示の少なくとも1つの実施形態による、ガスノズルとマイクロエレクトロニクス基板との間のギャップ距離の図を含示す。
【
図6A】本開示の少なくとも1つの実施形態による、クライオ流体を液体状態又は気体状態に維持し得るプロセス条件の表示を提供する相図の図を示す。
【
図6B】本開示の少なくとも1つの実施形態による、クライオ流体を液体状態又は気体状態に維持し得るプロセス条件の表示を提供する相図の図を示す。
【
図7】様々な実施形態による、流体でマイクロエレクトロニクス基板を処理する方法を提示するフローチャートを示す。
【
図8】様々な実施形態による、流体でマイクロエレクトロニクス基板を処理する別の方法を提示するフローチャートを示す。
【
図9】様々な実施形態による、流体でマイクロエレクトロニクス基板を処理する別の方法を提示するフローチャートを示す。
【
図10】種々の実施形態による、流体でマイクロエレクトロニクス基板を処理する別の方法を提示するフローチャートを示す。
【
図11】種々の実施形態による、流体でマイクロエレクトロニクス基板を処理する別の方法を表すフローチャートを示す。
【
図12】種々の実施形態による、流体でマイクロエレクトロニクス基板を処理する別の方法を提示するフローチャートを示す。
【
図13】様々な実施形態による非液体含有流体混合物と液体含有流体混合物との間の粒子除去効率改善の棒グラフを示す。
【
図14】ノズルとマイクロエレクトロニクス基板との間のより小さいギャップ距離に少なくとも部分的に基づいて、より広い洗浄領域を示すマイクロエレクトロニクス基板の粒子マップを示す。
【
図15】先行技術と本明細書に開示された技術との間の異なるフィーチャダメージの差異を示すマイクロエレクトロニクス基板特徴の写真を示す。
【
図16A】種々の実施形態によるマイクロエレクトロニクス基板を流体で処理する他の方法を提示するフローチャートを示す。
【
図16B】種々の実施形態によるマイクロエレクトロニクス基板を流体で処理する他の方法を提示するフローチャートを示す。
【
図17】種々の実施形態によるマイクロエレクトロニクス基板を流体で処理する他の方法を提示するフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
マイクロエレクトロニクス基板から物体を選択的に除去するための方法が様々な実施形態において説明される。当業者であれば、様々な実施形態が、特定の詳細の1つ以上を用いることなく、又は、他の置換及び/又は追加の方法、材料、又はコンポーネントを用いて実施され得ることを認識するであろう。
他の例では、本開示の様々な実施形態の態様を不明瞭にすることを避けるために、よく知られている構造、材料、又は動作は詳細に図示又は説明されていない。同様に、本発明の完全な理解を提供するために、説明の目的で、特定の数、材料、及び構成が示されている。しかしながら、システム及び方法は、具体的な詳細なしで実施されることができる。さらにまた、
図6A及び6Bを除いて、図に示されているさまざまな実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解される。
【0015】
本明細書を通じて、「一実施形態」又は「実施形態」は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するが、あらゆる実施形態にそれらが存在することを意図するものではない。したがって、本明細書全体を通して、様々な箇所における「一実施形態において」又は「実施形態において」という表現の出現は、必ずしも本発明の同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、複数の、特定の特徴、構造、材料又は特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせることができる。種々の追加層及び/又は構造は含まれることができ、及び/又は、記載されている特徴は他の実施形態様で省略されることができる。
【0016】
本明細書で用いられる「マイクロエレクトロニクス基板」とは、通常、本発明に従って処理されるべき対象を意味する。マイクロエレクトロニクス基板は、デバイスの、特に半導体デバイス又は他のエレクトロニクスデバイスの、任意の材料部分又は構造を含むことができ、例えば、半導体基板のようなベース基板構造であるか、又は、ベース基板構造上の若しくはベース基板構造を覆う薄膜のような層でありうる。したがって、基板は、パターン化された又はパターン化されていない、任意の特定のベース構造、下地層又はオーバーレイ層に限定することを意図しておらず、任意のそのような層又はベース構造、及び、層及び/又はベース構造の任意の組み合わせを含むことを意図する。以下の説明は、特定の種類の基板を参照することができるが、これは例示の目的に過ぎず、限定するものではない。マイクロエレクトロニクス基板に加えて、本明細書に記載の技術は、フォトリソグラフィ技術を用いたマイクロエレクトロニクス基板のパターニングに使用され得るレチクル基板のクリーニングにも使用され得る。
【0017】
低温流体クリーニングは、汚染物質とマイクロエレクトロニクス基板との間の付着力を克服するために、エアロゾル粒子又はガスジェット粒子(例えば、ガスクラスター)から十分なエネルギーを与えることによって、汚染物質を除去するために使用される技術である。したがって、適切なサイズ及び速度の低温流体混合物(例えば、エアロゾルスプレー及び/又はガスクラスタージェットスプレー)を生成し又は膨張させる(expanding)ことが望ましい場合がある。エアロゾル又はクラスターの運動量は質量及び速度の関数である。運動量は速度又は質量を増加させることによって増加することができ、それは特に粒子が非常に小さい場合に(例えば、<100ナノメートル)、粒子と基板表面との間の強い付着力に打ち勝つために、重要となり得る。より大きい粒子は、衝突し得るクラスターに対して、より小さい粒子よりも大きな表面積を有するであろう。それ故、クラスターの量が多いほど、より小さい粒子よりもより大きい粒子に影響を与える可能性が高くなる。それ故、より大きな粒子への運動量の移行は、より小さな粒子よりも高いレートで発生する可能性があり、したがって、より大きな粒子は、より小さな粒子より先に、マイクロエレクトロニクス基板から除去される可能性が高い。したがって、小さな粒子を除去するためのプロセス処理は、大きな粒子に過剰なエネルギーを与え、それらが除去されるときにマイクロエレクトロニクス基板又はマイクロエレクトロニクス基板上のパターン化されたフィーチャを損傷し得る。それ故、粒子除去効率を最大化するために、さまざまな種類の粒子を除去するために多段階クリーニング処理を用いる必要がある。
【0018】
図1は、エアロゾルスプレー又はガスクラスタージェット(GCJ)スプレーを用いてマイクロエレクトロニクス基板をクリーニングするために使用され得るクリーニングシステム100の概略図と、クリーニングが行われるプロセスチャンバ104の断面
図102とを含む。エアロゾルスプレー又はGCJスプレーは、低温冷却された(cryogenically cooled)流体混合物をプロセスチャンバ104内で大気圧以下の環境へと膨張させることによって形成することができる。
図1に示すように、1つ以上の流体源106は、プロセスチャンバ104内のノズル110を通して膨張される前に、加圧された(複数の)流体を低温冷却システム108に供給することができる。真空システム134は、プロセスチャンバ104内の大気圧以下の環境を維持し、必要に応じて流体混合物を除去するために使用されることができる。
【0019】
この適用において、マイクロエレクトロニクス基板から物体を除去するために、以下の変数のうちの1つ以上が重要である:膨張前のノズル110内に流入する流体混合物の圧力及び温度、流体混合物の流速、流体混合物の組成及び比率、並びにプロセスチャンバ104内の圧力。したがって、コントローラ112を使用してプロセスレシピをメモリ114に格納し、コンピュータプロセッサ116を使用して、本明細書で開示するクリーニング技術を実施するクリーニングシステム100の種々のコンポーネントを制御するネットワーク138を介して命令を発行することができる。
【0020】
半導体処理の当業者は、本明細書で開示される実施形態を実施するために、(複数の)流体源、低温冷却システム、真空システム134及びそれらそれぞれのサブコンポーネント(図示されない、例えばセンサ、コントローラ等)を構成することができる。例えば、一実施形態では、クリーニングシステム100のコンポーネントは、50psig~800psigの加圧流体混合物を提供するように構成することができる。流体混合物の温度は、低温冷却システム108の液体窒素デュワーに流体混合物を通すことによって、70K~270K、好ましくは70K~150Kの範囲に維持することができる。真空システム134は、エアロゾル及び/又はガスクラスターの形成を促進するために、35Torr未満、又はより好ましくは10Torr未満の圧力にプロセスチャンバ104を維持するように構成されることができる。
【0021】
ノズル110を通して加圧冷却された流体混合物をプロセスチャンバ104内へと膨張させることができ、エアロゾルスプレー又はGCJスプレーをマイクロエレクトロニクス基板118に方向づけることができる。少なくとも1つのノズル110は、プロセスチャンバ104内に支持されることができ、ノズル110は、流体混合物をマイクロエレクトロニクス基板118に方向づける少なくとも1つのノズルオリフィスを有する。例えば、一実施形態では、ノズル110は、ノズルスプレーの長さに沿って複数の開口を有するノズルスプレーバーであってもよい。ノズル110は、マイクロエレクトロニクス基板118に衝突する流体スプレーの角度が特定の処理のために最適化され得るように、調節可能であってもよい。マイクロエレクトロニクス基板118は、好ましくは真空チャンバ120の長手軸に沿って、少なくとも1つの並進自由度124を提供する移動可能なチャック122に固定されてもくよく、ノズル110から放射される流体スプレーを介してマイクロエレクトロニクス基板118の少なくとも一部を直線走査することを容易にする可動チャックは、可動チャック122の移動経路を画定するための1つ以上のスライド及びガイド機構を含むことができる基板並進駆動システム128に結合されてもよく、駆動機構は、そのガイド経路に沿って可動チャック122に移動(the movement)を付与するために利用されてもよい。駆動機構は、任意の電気的、機械的、電気機械的、液圧的、又は気圧的装置を含むことができる。駆動機構は、少なくとも1つのノズル110から放射される流体スプレーの領域を少なくとも部分的に通って、マイクロエレクトロニクス基板118の露出表面の移動を可能にするのに十分な長さの範囲を提供するように設計されてもよい。基板並進駆動システム128は、真空チャンバ120の壁のスライド真空シール(図示せず)を介して延在するように配置された支持アーム(図示せず)を有することができ、第1遠位端は可動チャック122に取り付けられ、第2遠位端は、真空チャンバ120の外側に位置するアクチュエータ機構と係合する。
【0022】
さらに、可動チャック122は、好ましくはマイクロ電子基板118の露出表面に垂直な軸の周りに少なくとも1つの回転自由度126を提供する基板回転ドライブシステム130を含むこともでき、第1所定インデックス位置から、マイクロエレクとニクス基板118の別の部分を流体スプレーに露出する第2所定インデックス位置まで、マイクロエレクトロニクス基板118の回転インデックス容易にする。他の実施形態では、可動チャック122は、インデックス位置で停止することなく連続速度で回転することができる。さらに、可動チャック122は、ノズル110の角度を変えることに関連して、又はそれ自体で、マイクロエレクトロニクス基板118の位置を変えることにより、流体スプレーの入射角を変えることができる。
【0023】
別の実施形態では、可動チャック122は、マイクロエレクトロニクス基板118の露出表面への少なくとも1つの流体スプレーの衝突中に、マイクロエレクトロニクス基板118を可動チャック122の上表面に固定するための機構を含むことができる。マイクロエレクトロニクス基板118は、例えば半導体処理の当業者によって実施され得るように、機械的ファスナ又はクランプ、真空クランプ、又は静電クランプを使用して可動チャック122に固定されてもよい。
【0024】
さらにまた、可動チャック122は温度制御機構を含むことができ、マイクロエレクトロニクス基板118の温度を周囲温度より上に上昇した温度、又は、周囲温度より下に低下した温度に制御することができる。温度制御メカニズムは、可動チャック122及びマイクロエレクトロニクス基板118の温度を調整及び/又は制御するように構成された加熱システム(図示せず)又は冷却システム(図示せず)を含むことができる。加熱システム又は冷却システムは、冷却時に、可動チャック122から熱を受け取って熱交換システム(図示せず)に熱を伝達する、又は、加熱時に熱交換システムから可動チャックに熱を伝達する、熱伝達流体の再循環流を有することができる。他の実施形態では、可動チャック122は、抵抗加熱要素、又は熱電加熱器/冷却器等の加熱/冷却要素を有することができる。
【0025】
図1に示すように、プロセスチャンバ104は、同一の真空チャンバ120内で、低温エアロゾル及び/又はGCJスプレー又はそれらの組み合わせを用いて基板118の処理を可能にするデュアルノズル構成(例えば、第2ノズル132)を含んでもよい。しかしながら、デュアルノズル構成は、必要とされない。ノズル110の設計のいくつかの例は、
図2A~4の説明で説明される。ノズル110、132は、平行に配置されるように示されているが、クリーニングプロセスを実施するために互いに平行である必要はない。他の実施形態では、ノズル110、132は真空チャンバ120の対向端部にあり、可動チャック122は、1つ以上のノズル110、132が流体混合物をマイクロエレクトロニクス基板118に噴霧できる位置の中へ基板118を移動させることができる。
【0026】
別の実施形態では、マイクロエレクトロニクス基板118の露出表面積(例えば電子デバイスが含まれるエリア)が、第1ノズル110及び/又は第2ノズル132から同時に又は類似の時間(並列処理)に又は異なる時間(例えば連続処理)に、流体混合物(例えばエアロゾル又はGCJ)によって衝突され得るように、マイクロエレクトロニクス基板118が移動し得る。例えば、クリーニングプロセスには、エアロゾルクリーニングプロセスとそれに続くGCJクリーニングプロセス、又はその逆が含まれ得る。さらに、第1ノズル110及び第2ノズル132は、それらのそれぞれの流体混合物が異なる位置で同時にマイクロエレクトロニクス基板118に衝突するように配置されてもよい。一例では、基板118を回転させて、マイクロエレクトロニクス基板118全体を異なる流体混合物に曝露させることができる。
【0027】
ノズル110は、放出口圧力(outlet pressures)(例えば、<35Toor)よりも実質的に高い注入口圧力(inlet pressures)(例えば、50psig~800psig)を有する低温(例えば、<273K)流体混合物を受け取るように構成されてもよい。ノズル110の内部設計は、流体混合物の膨張を可能にし、マイクロ電子基板118に向けて方向づけられ得る固体及び/又は液体粒子を生成し得る。ノズル110の寸法は、膨張流体混合物の特性に強い影響を与え、スプレーバーに沿って配置された単純なオリフィスから、マルチ膨張容積構成、単一膨張容積構成までの構成の範囲に及ぶ可能性がある。
図2A乃至
図4は、使用することができるいくつかのノズル110の実施形態を示している。しかしながら、本開示の範囲は、例示された実施形態に限定されず、本明細書に開示された方法は、任意のノズル110設計に適用され得る。上記のように、ノズル110の図は縮尺通りに描かれていない場合がある。
【0028】
図2Aは、2段ガスノズル200の断面図を含み、2段ガスノズル200は、互いに流体連通し得る2つのガス膨張領域を含み得、流体混合物が2段ガス(TSG)ノズル200を通って進行するにつれて、流体混合物に圧力変化を受けさせ得る。TSGノズル200の第1段は、低温冷却システム108及び流体源106と流体連通し得る注入口204を介して流体混合物を受け入れることができるリザーバコンポーネント202であり得る。流体混合物は、注入口圧力未満であり得る圧力まで、リザーバコンポーネント202内へと膨張し得る。流体混合物は、移行オリフィス206を介して放出口コンポーネント208に流れることができる。いくつかの実施形態において、流体混合物は、移行オリフィス206を介して流れる場合、より高い圧力に圧縮され得る。
流体混合物が放出口オリフィス210を介して真空チャンバ120の低圧環境に暴露されるにしたがって、流体混合物は、放出口コンポーネント208内へと再び膨張し、エアロゾルスプレー又はガスクラスタージェットの形成に寄与し得る。広義には、TSGノズル200は、注入口オリフィス204と放出口オリフィス210との間の流体混合物の二重膨張(a dual expansion)を可能にし得る任意の寸法設計を組み込むことができる。TSGノズル200の範囲は、本願明細書において記載されている実施例に限られることができない。
【0029】
図2Aの実施形態では、リザーバコンポーネント202は、注入口オリフィス204から移行オリフィス206まで延在するシリンダ状の設計を含んでもよい。シリンダは、移行オリフィス206のサイズから移行オリフィス206のサイズの3倍以上まで変化し得る直径212を有し得る。
【0030】
一実施形態では、TSGノズル200は、0.5mm~3mmの範囲、好ましくは0.5mm~1.5mmの範囲であり得る入口オリフィス204の直径を有し得る。リザーバコンポーネント202は、2mm~6mm、好ましくは4mm~6mmの直径212を有するシリンダを含むことができる。リザーバコンポーネント208は、20mm~50mm、好ましくは20mm~25mmの長さ214を有することができる。リザーバコンポーネント208の非注入口端部(the non-inlet end)では、移行オリフィス206を介して流体混合物を放出口コンポーネント208の中へと圧縮させることができるより小さい直径に移行することができる。
【0031】
移行オリフィス206は、いくつかの異なる実施形態において存在することができ、リザーバコンポーネント202と放出口コンポーネント208との間での移行の際に、流体混合物を調整するために使用されることができる。一実施形態では、移行オリフィス206は、リザーバコンポーネント202の一端における単純なオリフィス又は開口であってもよい。この移行オリフィス206の直径は、2mm~5mmの範囲であってもよいが、好ましくは2mm~2.5mmである。別の実施形態では、
図2Aに示すように、移行オリフィス206は、先の実施形態における単純な開口部よりも、より大きな実質的容積(a more substantial volume)を有し得る。例えば、移行オリフィス206は、5mm未満であり得る距離に沿って一定であり得るシリンダ形状を有し得る。この実施形態では、移行オリフィス206の直径は、放出口コンポーネント208の初期直径よりも大きくなり得る。この例では、移行オリフィス206と放出口コンポーネント208との間のステップ高さが存在し得る。ステップ高さは、1mm未満であり得る。1つの特定の実施形態において、ステップ高さは約0.04mmであり得る。放出口コンポーネント208は、移行オリフィス206と放出口オリフィス210との間で直径が増加する円錐形状を有し得る。放出口コンポーネント208の円錐部分は、3°~10°、好ましくは3°~6°の半角(a half angle)を有することができる。
【0032】
図2Bは、移行オリフィス206とほぼ同じサイズである直径218を有するリザーバコンポーネント202を含むTSGノズル200の別の実施形態220を示す。この実施形態では、直径218は、2mm~5mmであり得、
図2Aの実施形態と同様の長さ214を有し得る。
図2Bの実施形態は、リザーバコンポーネント202と放出口コンポーネント208との間の圧力差を低減し、TSGノズル200の第1段階中の流体混合物の安定性を改善し得る。しかしながら、他の実施形態では、TSGノズル200の実施形態において圧力変動を低減するために1段ノズル300を使用することができ、流体混合物の乱流を低減することができる。
【0033】
図3は、注入口オリフィス302と放出口オリフィス304との間に単一の膨張チャンバを組み込み得る1段ガス(SSG)ノズル300の一実施形態の断面図を示す。SSGノズル300の膨張チャンバは変化し得るが、
図3の実施形態では、注入口オリフィス302(例えば、0.5mm~1.5mm)よりもわずかに大きい初期直径306(例えば、1.5mm~3mm)を有し得る円錐形の設計を示す。円錐形の設計は、3°~10°、好ましくは3°~6°の半角を含み得る。半角は、(注入口オリフィス302及び放出口オリフィス304から)SSGノズル300の膨張チャンバを通る仮想中心線と膨張チャンバの側壁(例えば、円錐壁)との間の角度であり得る。最後に、SSGノズル300は、18mmと40mmとの間、好ましくは18mmと25mmとの間の長さ308を有することができる。SSGノズル300の別の変形例は、
図4に示すように、注入口オリフィス302から放出口オリフィス304への膨張容積の連続テーパを有し得る。
【0034】
図4は、フラッシュガス(FG)ノズル400の断面図を含み、FGノズル400は注入口オリフィス402と放出口オリフィス404との間のオフセット又は収縮部を含まない連続膨張チャンバを有し得る。その名前が示すように、膨張容積の初期直径は、注入口直径402と同一平面であり得、0.5mm~3mm、好ましくは1mm~1.5mmであり得る注入口直径を有し得る。一実施形態では、放出口直径404は、注入口直径402のサイズの2~4倍、好ましくは2mm~12mmであり得る。さらに、半角は3°から10°の間、好ましくは3°から6°の間であり得る。膨張容積の長さ406は、注入口オリフィス402と放出口オリフィス404との間で10mm~50mmの間で変化するはずである。さらに、以下の実施形態は、
図3及び
図4の実施形態の両方に適用され得る。1つの特定の実施形態において、ノズルは、20mmの円錐長さ、3°の半角、及び約4mmの放出口オリフィス直径を有し得る。別の特定の実施形態では、円錐長さは15mm~25mmであり得、放出口オリフィス直径は3mm~6mmであり得る。他の特定実施例において、放出口オリフィス直径は約4mmであり得、注入口直径は約1.2mm及び円錐長さは約35mmであり得る。
【0035】
クリーニングシステム100のクリーニング効率に影響を及ぼし得る別の特徴は、ノズル放出口404とマイクロエレクトロニクス基板118との間の距離であり得る。いくつかのプロセス実施形態において、ギャップ距離は、除去される粒子の量によってだけでなく、基板118をにわたる単一の経路の間に粒子が除去され得る表面積の量(the amount of surface area)によっても、クリーニング効率に影響を与え得る。いくつかの例では、ノズル110の放出口オリフィスがマイクロエレクトロニクス基板118により近い(例えば、<50mm)場合、エアロゾルスプレー又はGCJスプレーは、基板118のより大きな表面積をクリーニングすることができる。
【0036】
図5は、本開示の少なくとも1つの実施形態による、ノズル110の放出口オリフィス404とマイクロエレクトロニクス基板118との間のギャップ距離502を示す
図500を含む。一例では、ギャップ距離502は、ノズル110のための構造又は支持体を形成するノズル110アセンブリの端部から測定され得る。別の例では、ギャップ距離502は、マイクロエレクトロニクス基板118に露出される円錐形拡張領域の最大直径にわたって延在する平面から測定されてもよい。
【0037】
ギャップ距離502は、チャンバ圧力、ガス組成、流体混合物温度、注入口圧力、ノズル110設計、又はそれらのいくつかの組み合わせに依存して変化し得る。通常、ギャップ距離502は、2mm~50mmであり得る。通常、真空チャンバ120の圧力は35Torr未満であり得、2mm及び50mmのギャップ距離502内で動作し得る。しかしながら、チャンバ圧力は10Torr未満であり得、ガスノズル110が6mm未満の放出口オリフィスを有する場合、ギャップ距離502は10mm未満になるように最適化され得る。いくつかの特定の実施形態では、真空チャンバ120の圧力が10Torr未満であって5mm未満の放出口直径を有するノズル110に対する所望のギャップ距離502は約5mmであり得る。
【0038】
他の実施形態では、ギャップ距離502は、少なくとも部分的に、真空チャンバ120の圧力との反比例の関係(an inverse relationship)に基づいてもよい。例えば、ギャップ距離502は、一定値をチャンバ120の圧力で除算することによって導出される値以下であってもよい。一実施形態において、定数は、無次元パラメータであってもよく、又はmm×Torrの単位であってもよく、真空チャンバ120の圧力は、Torrで測定されてもよい。式1を参照されたい:
ギャップ距離 ≦ 定数/チャンバ圧力 (1)
【0039】
このようにして、チャンバ圧力で定数を除算することによって得られる値は、クリーニングプロセスに使用され得るギャップ距離502を提供する。例えば、1つの特定の実施形態において、定数は50であってもよく、チャンバ圧力は約7Torrであってもよい。この場合、ギャップ距離は、式(1)の下で7mm以下である。他の実施形態では、定数は40~60の範囲であり得、圧力は1Torr~10Torrの範囲であり得る。別の実施形態では、定数は0.05~0.3の範囲であり得、圧力は0.05Torr~1Torrの範囲であり得る。ギャップ距離502は、クリーニング効率にプラスの影響を与え得るが、エアロゾルスプレー及びガスクラスタージェットスプレーを用いるクリーニング効率に寄与し得るいくつかの他のプロセス変数がある。
【0040】
図1~5の説明に記載されたハードウェアは、エアロゾルスプレー及びガスクラスタージェット(GCJ)スプレーを、ハードウェアのわずかな変化、及びプロセス条件に対する実質的な変化で可能にするために使用することができる。プロセス条件は、異なる流体混合組成物及び比率、注入口圧力、注入口温度、又は真空チャンバ120圧力の間で変化し得る。エアロゾルスプレーとGCJスプレープロセスとの間の1つの実質的な差異は、ノズル110へ流入する流体混合物の相組成であり得る。例えば、エアロゾルスプレー流体混合物は、GCJ流体混合物よりも高い流体濃度を有し得、これは、ノズル110へ流入するGCJ流体混合物中に流体が非常に少ないか又は全くない気体状態で存在し得る
【0041】
エアロゾルスプレーの実施形態では、低温冷却システム108の温度は、ノズル110へ流入する流体混合物の少なくとも一部が液相で存在し得る点に設定され得る。この実施形態では、ノズル混合物は、液体状態で少なくとも10重量%であり得る。次いで、液体/気体混合物は、高圧でプロセスチャンバ104内に膨張され、そこで、低温エアロゾルが形成され得、固体及び/又は液体粒子の相当な部分(a substantial portion)を含み得る。しかしながら、後述するように、流体混合物の状態は、エアロゾルプロセスとGCJプロセスとの間の唯一の差異ではない可能性がある。
【0042】
対照的に、ノズル110に流入するGCJスプレー流体混合物は、非常に少ない液相しか含まず(例えば、<1体積%)、又は、液相を含まず完全にガス状であってもよい。例えば、低温冷却システム108の温度は、GCJクリーニングプロセスのために流体混合物が液相で存在するのを阻止する点に設定されてもよい。したがって、状態図は、プロセスチャンバ104内でエアロゾルスプレー又はGCJスプレーを形成することを可能にするために使用され得るプロセス温度及び圧力を特定するための1つの方法であり得る。
【0043】
図6A乃至6Bを参照すると、状態
図600、608は、流入する流体混合物の成分がどの相で存在し得るか、又は液相、気相、若しくはそれらの組み合わせを含む可能性がより高いかを示すことができる。例示的な状態図を説明し及び図示するために、アルゴンの状態
図602、窒素の状態
図604、酸素の状態
図610、及びキセノンの状態
図612が示されている。当業者は、文献、又はメリーランド州ゲーサーズバーグの国立標準技術研究所又は他のソースを介して、状態図情報を見つけることができるかもしれない。本願明細書に記載される他の化学物質も、代表的な状態図を有し得るが、説明を容易にする目的で本願明細書には示されていない。
【0044】
状態
図600、608は、圧力(例えば、y軸)と温度(例えば、x軸)との関係、及び元素がガス状又は液体状で存在し得る可能性を強調するグラフ表示によって表すことができる。状態図は、元素が液体状態又は気体状態の間で転移するところを表すことができる気液相転移線(a gas-liquid phase transition line )606(又は気液転移線(a vapor-liquid transition line))を含むことができる。これらの実施形態では、元素の圧力及び温度が気液転移線606の左側にある場合には、液相が存在する可能性が高くなり、元素の圧力及び温度が気液転移線606の右側にある場合には、気相が優勢になり得る。さらに、元素の圧力及び温度が気液相転移線606に非常に近い場合、元素が気液相中に存在する可能性は、気液相転移線606から圧力及び温度がさらに離れている場合よりも高い。例えば、アルゴンの状態
図602を考慮すると、アルゴンが100Kの温度で300psiの圧力に維持される場合には、アルゴンが130Kの温度で300psiの圧力に維持される場合よりも、アルゴンは液相である部分を含むか、又は、より高い液体の(重量による)濃度を有する可能性がより高い。アルゴンの液体濃度は、300psiの圧力を維持しながら、温度が130Kから低下するにつれて増加し得る。同様に、130Kの温度を維持すると共に、圧力が300psiから増加するときに、アルゴンの液体濃度は増加し得る。通常、状態
図600によれば、アルゴンを気体状態に維持するためには、温度は83K以上であるべきであり、窒素を気体状態に維持するためには、温度は63K以上であるべきである。しかしながら、任意の窒素-アルゴン混合物、アルゴン又は窒素の相は、元素の相対濃度に依存し得、流体混合物の圧力及び温度にも依存し得る。しかしながら、状態
図600は、アルゴン-窒素混合物、アルゴン又は窒素環境の相の指標、又は少なくとも液体が存在し得る可能性の指標を提供し得るガイドラインとして使用され得る。例えば、エアロゾルクリーニングプロセスの場合、流入する流体混合物は、流入する流体混合物の1つ以上の元素について、気液転移線606の上又は左側に、温度又は圧力を有し得る。対照的に、GCJクリーニングプロセスは、GCJ流入流体混合物中の1つ以上の元素について、気液相転移線606の右側にあり得る圧力及び温度を有し得る流入流体混合物を使用する可能性がより高い。場合によっては、システム100は、流体混合物の流入温度及び/又は圧力を変えることにより、エアロゾルプロセスとGCJプロセスとを交互に行うことができる。
【0045】
気液相転移線606が各状態
図600、608と類似している点に留意する必要がある、しかしながら、各状態
図600、608に割り当てられる化学薬品に、それらの値は特有でもよい、しかし、状態
図600、608がアルゴン状態
図602の説明にて説明したように、当業者によって用いられることができる。当業者は、状態
図600、608を用いることができ、エアロゾル又はGCJスプレーの流体混合物中の液体及び/又は気体の量を最適化することができる。
【0046】
低温エアロゾルスプレーは、少なくとも1つの流体の液化温度又はその付近低温温度にさらされた流体又は流体混合物で形成され、その後、ノズル110を通じて流体混合物をプロセスチャンバ104の低圧環境に膨張させることができる。流体混合物の膨張条件及び組成は、基板118に衝突し得るエアロゾルスプレーを有する、小さな小液滴及び/又は個体粒子を形成する役割を果たし得る。エアロゾルスプレーは、汚染物質とマイクとエレクトロニクス基板118との間の付着力を克服するために、エアロゾルスプレー(例えば小液滴、個体粒子)から十分なエネルギーを与えることによって、マイクロエレクトロニクス基板118の汚染物質(例えば粒子)を取り払うために使用され得る。エアロゾルスプレーの運動量(The momentum )は、前述の付着力に必要とされ得るエネルギーの量に、少なくとも部分的に、基づいて粒子を除去する際に重要な役割を果たし得る。粒子除去効率は、種々の質量及び/又は速度の成分(例えば、小液滴、結晶など)を有し得る低温エアロゾルを生成することによって最適化され得る。汚染物質を除去するのに必要な運動量は質量と速度の関数である。質量及び速度は、特に粒子が非常に小さい場合(<100nm)には、粒子と基板の表面との間の強い付着力を克服するために非常に重要であり得る。
【0047】
図7は、粒子を除去するためにマイクロエレクトロニクス基板118を低温エアロゾルで処理する方法のフローチャート700を示す。上述のように、粒子除去効率を改善するための1つのアプローチは、エアロゾルスプレーの運動量を増加させることであり得る。運動量は、エアロゾルスプレーの内容物の質量及び速度の積であり得、したがって、エアロゾルスプレーの成分の質量及び/又は速度を増加させることによって運動エネルギーが増加し得る。質量及び/又は速度は、流体混合組成物、流入流体混合物の圧力及び/又は温度、及び/又はプロセスチャンバ104の温度及び/又は圧力を含み得るが、これらに限定されない、種々の要因に依存し得る。フローチャート700は、窒素及び/又はアルゴン、及び少なくとも1つの他のキャリアガス及び/又は純粋なアルゴン又は純粋な窒素の種々の組み合わせを使用することによって、運動量を最適化する一実施形態を示す。
【0048】
図7を参照すると、ブロック702において、システム100は、プロセスチャンバ104内にマイクロエレクトロニクス基板118を受け入れ得る。マイクロエレクトロニクス基板118は、メモリデバイス、マイクロプロセッサデバイス、発光ディスプレイ、太陽電池などを含み得るが、これらに限定されない電子デバイスを製造するために使用され得る半導体材料(例えば、シリコンなど)を含み得る。マイクロエレクトロニクス基板118は、パターン化された膜又はブランケット膜を含み得、これは、システム100上で実施されるエアロゾルクリーニングプロセスによって除去され得る汚染を含み得る。システム100は、低温冷却システム108及び1つ以上の流体ソース106と流体連通するプロセスチャンバ104を含得る。プロセスチャンバはまた、流体混合物を膨張させてマイクロエレクトロニクス基板118をクリーニングするためのエアロゾルスプレーを形成するために使用され得る流体膨張コンポーネント(例えば、TSGノズル200など)を含み得る。
【0049】
ブロック704において、システム100は、流体混合物を273K未満に冷却し得る低温冷却システム108を介して流体膨張コンポーネントに流体混合物を供給することができる。1つの実施形態において、流体混合物の温度は、70K以上及び200K以下であり得、より具体的には、温度は130K未満であり得る。また、システム100は、大気圧よりも高い圧力で流体混合物を維持することができる。一実施形態において、流体混合物の圧力は、50psig~800psigの間に維持されることができる。
【0050】
一実施形態において、流体混合物は、原子量が28未満の分子を含む第1流体成分、及び原子量が少なくとも28の分子を含む少なくとも1つの付加的流体成分を含み得る。当業者であれば、2つ以上の流体の流体混合物を最適化して、エアロゾルスプレー成分の所望の運動量を達成して、粒子除去効率を最大化するか、異なるタイプ又はサイズの粒子を標的化することができるであろう。この場合、第1流体成分は、ヘリウム、ネオン、又はそれらの組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。少なくとも1つの付加的流体成分は、窒素(N2)、アルゴン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素、又はそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。1つの特定の実施形態において、付加的流体成分はN2及びアルゴン混合物を含み、第1流体成分はヘリウムを含んでもよい。しかしながら、流体混合物の温度、圧力及び濃度は、異なるタイプのエアロゾルスプレーを提供するために変化し得る。他の実施形態において、流体混合物の相又は状態は、以下に記載される種々の濃度の気体、液体、気体-液体を含み得る。
【0051】
第1流体成分と付加的流体成分との間の比率は、マイクロエレクトロニクス基板118をクリーニングするために所望のスプレーのタイプに依存して変化し得る。流体混合物は、化学組成及び濃度によって、及び/又は物質の相又は状態(例えば、気体、液体など)によって変化し得る。1つのエアロゾル実施形態において、第1流体成分は、流体混合物の少なくとも50重量%から100重量%までを有し、流体混合物は、気体状態の第1部分及び液体状態の第2部分を含み得る。ほとんどの場合、流体混合物は、液相において少なくとも10重量%を有し得る。流体混合物は、パターン化された又はパターン化されていないマイクロエレクトロニクス基板118上に存在し得る粒子の異なるタイプ及び/又はサイズに対処するために最適化され得る。粒子除去性能を変化させるための1つのアプローチは、粒子除去性能を向上させるために流体混合物の組成及び/又は濃度を調整することである。別の流体混合の実施形態では、第1流体成分は、流体混合物の10重量%~50重量%を含む。別の実施形態では、第1流体成分は、流体混合物の20重量%~40重量%を含み得る。別の流体混合の実施形態では、第1流体成分は、流体混合物の30重量%~40重量%を含み得る。前述のエアロゾル流体混合物の相も、基板118上の異なる種類の粒子及び膜に対して調整するために、広く変化し得る。例えば、流体混合物は、気体状態であり得る第1部分と、液体状態であり得る第2部分とを含み得る。
【0052】
一実施形態において、第2部分は、流体混合物の少なくとも10重量%であり得る。しかしながら、特定の場合には、粒子を除去するために、より低い濃度の液体が望ましいことがある。より低い液体濃度の実施形態では、第2部分は、流体混合物の1重量%以下であり得る。流体混合物は、一つ以上の成分の液相又は気相を含むことができる。これらの流体混合物の実施形態では、システム100は、付加的流体成分を120slm~140slmの間で流し、第1流体成分を30slm~45slmの間で流すことによって、エアロゾルスプレーを実施することができる。
【0053】
流体混合物の流入圧力、濃度、及び組成に加えて、エアロゾルスプレーの運動量及び組成もまた、プロセスチャンバ104内の圧力によって影響され得る。より具体的には、チャンバ圧力は、エアロゾルスプレー中の小液滴(the liquid droplets)及び/又は固体粒子の質量及び/又は速度に影響を及ぼし得る。流体混合物の膨張は、ノズル110にわたる圧力差に依存し得る。
【0054】
ブロック706において、システム100は、流体混合物の少なくとも一部がマイクロエレクトロニクス基板118と接触するように、流体混合物をプロセスチャンバ104内に提供することができる。流体膨張コンポーネント(例えば、ノズル110)を介した流体混合物の膨張は、エアロゾルスプレーの小液滴及び/又は固体粒子を形成し得る。システム100は、プロセスチャンバ104を35Torr以下のチャンバ圧力に維持し得る。特定の場合には、エアロゾルスプレー中の小液滴及び/又は固体粒子の質量及び/又は速度を最適化するために、プロセスチャンバ104をはるかに低い圧力に維持することが望ましい場合がある。1つの特定の実施形態において、エアロゾルスプレーの粒子除去特性は、プロセスチャンバが10Torr未満に維持される場合、特定の粒子に対してより望ましい場合がある。また、プロセスチャンバ104が、流体混合物の膨張中に5Torr未満に維持される場合、粒子除去効率はより大きな表面積をカバーすることが注目された。
【0055】
流体混合物が流体膨張コンポーネントを通って流れるとき、流体混合物は、比較的高い圧力(例えば、>大気圧)から比較的低い圧力(例えば、<35Torr)への流体混合物の膨張に関連する相転移を受けることができる。一実施形態では、流入する流体混合物は、気体又は液体-気体相中に存在することができ、プロセスチャンバ104よりも比較的高い圧力下にある。しかしながら、流体混合物がプロセスチャンバ104の低圧を通って流れるか又は膨張すると、流体混合物は転移し始めて、上述のように、小液滴及び/又は固体状態を形成し得る。例えば、膨張した流体混合物は、気相、液相、及び/又は固相の部分の組み合わせを含んでもよい。これには、上記の低温エアロゾルが含まれ得る。さらに別の実施形態では、流体混合物はまた、ガスクラスターを含んでもよい。一実施形態では、膨張した流体混合物のGCJ又はエアロゾルスプレーは、弱い引力(例えば、ファンデルワールス力)による原子又は分子の凝集であり得る。一例では、ガスクラスターは、ガスと固体との間の物質の相であると考えられ、ガスクラスターのサイズは、数個の分子又は原子から105個を超える原子までの範囲であり得る。
【0056】
もう1つの実施形態において、流体混合物は、同じマイクロエレクトロニクス基板118を処理しながら、同じノズル内のエアロゾルとガスクラスター(例えば、GCJ)との間で転移してもよい。このようにして、流体混合物は、より高い液体濃度から、流体混合物中のより低い液体濃度に進むことによって、エアロゾルとGCJとの間で転移し得る。あるいは、流体混合物は、流体混合物中のより低い液体濃度からより高い液体濃度に進むことによって、GCJとエアロゾルとの間で転移してもよい。
図6A~6Bの説明で上述したように、液相濃度は、温度、圧力、又はそれらの組み合わせによって制御することができる。例えば、エアロゾルからGCJへの転移において、1つの特定の実施形態において、流体混合液の濃度は、10重量%から1重量%未満に遷移し得る。別の特定の実施形態では、流体混合物の液体濃度が1重量%から10重量%未満に遷移するときに、GCJからエアロゾルへの転移が起こり得る。しかしながら、エアロゾルとGCJとの間の転移、及びその逆は、前述の特定の実施形態におけるパーセンテージに限定されるものではなく、また、説明のための単なる例示に過ぎず、限定されるものではない。
【0057】
ブロック708において、膨張した流体は、マイクロエレクトロニクス基板118に向けて方向づけられることができ、流体膨張コンポーネントがマイクロエレクトロニクス基板118の表面にわたって移動するにつれて、マイクロエレクトロニクス基板118から粒子を除去することができる。いくつかの実施形態において、システム100は、マイクロエレクトロニクス基板118の周りに配置され得る複数の流体膨張コンポーネントを含み得る。複数の流体膨張コンポーネントは、粒子を除去するために同時に又は連続的に(concurrently or serially)使用されることができる。あるいは、複数の流体膨張コンポーネントのいくつかは、エアロゾル処理専用であってもよく、残りの流体膨張コンポーネントは、GCJ処理に使用されてもよい。
【0058】
エアロゾル処理に加えて、マイクロエレクトロニクス基板118は、GCJ処理を用いてクリーニングされてもよい。低温ガスクラスターは、アルゴン又は窒素又はそれらの混合物等の気体種が、任意の気体成分の液化温度を超え得る低温温度にガスを曝すデュワー等の熱交換器ベッセル(例えば、低温冷却システム108)を通過するときに形成され得る。次いで、高圧の低温ガスは、マイクロエレクトロニクス基板118の表面に対して角度をなす又は垂直なノズル110又はノズルアレイを介して膨張し得る。GCJスプレーは、マイクロエレクトロニクス基板118の表面への損傷を引き起こすことなく、又は損傷の量を制限して(without causing any damage or limiting the amount of damage)、半導体ウエハの表面から粒子を除去するために使用され得る。
【0059】
ガスクラスターは、力(例えば、ファンデルワールス力)によって一緒に保持される原子/分子の集合又は凝集であり得るが、気体中の原子又は分子と固相との間の物質の別個の相として分類され、サイズは数個の原子から105個の原子までの範囲であり得る。式(2)で与えられるHagenaの経験的クラスタースケーリングパラメータ(Γ*)は、クラスターサイズに影響し得る臨界パラメータを提供する。kは結合形成に関連する凝縮パラメータ(ガス種特性)、dはノズルオリフィス直径、αは膨張半角、Po及びToは膨張前圧力及び温度である。円錐形状を有するノズルの幾何学的形状は、膨張するガスを制約し、より効率的なクラスター形成のために原子又は分子間の衝突の数を増加させるのに役立つ。このようにして、ノズル110は、基板118の表面から汚染物質を取り除くのに十分な大きさのクラスターの形成を促進することができる。ノズル110から放出されるGCJスプレーは、基板118に衝突する前にイオン化されないが、原子の中性集合として残る。
【数1】
【0060】
クラスターを構成する原子又は分子の集合体は、マイクロエレクトロニクス基板118上の汚染物サイズに低温クラスターサイズが近接していることにより、より良好なプロセス能力を提供し得るサイズ分布を有することができ、100nm未満のサイズの汚染物のクリーニングを目標とすることができる。また、マイクロエレクトロニクス基板118に衝突する低温クラスターのサイズが小さいことは、処理中に保護する必要がある高感度構造を有し得るマイクロエレクトロニクス基板118の損傷を防止又は最小限に抑えることができる。
【0061】
エアロゾルプロセスと同様に、GCJプロセスは、
図1のシステム100の説明に記載されたものと同じ、又は類似のハードウェア、及び
図2A~5の説明に記載されたコンポーネントを使用することができる。しかしながら、GCJ法の実施は、本明細書に記載されるハードウェアの実施形態に限定されない。特定の実施形態では、GCJプロセスは、エアロゾルプロセスと同じ又は類似のプロセス条件を使用することができるが、GCJプロセスは、流体混合物に対してより低い液相濃度を有してもよい。しかしながら、GCJプロセスは、本明細書に記載されるエアロゾルプロセスの全ての実施形態よりも低い液体濃度を有する必要はない。当業者は、本明細書に記載されるGCJ方法において存在し得る任意の小液滴及び/又は固体粒子(例えば、凍結液体)に対するガスクラスターの量又は密度を増加させるGCJ方法を実施することができる。これらのGCJ方法は、クリーニングプロセスを最適化するためのいくつかの異なる技術を有してもよく、当業者は、これらの技術の任意の組み合わせを使用して、任意のマイクロエレクトロニクス基板118をクリーニングすることができる。例えば、当業者は、マイクロエレクトロニクス基板118をクリーニングするために、ノズル110の設計及び/又は配向、流体混合物の組成又は濃度、流体混合物の流入圧力及び/又は温度、及びプロセスチャンバの104の圧力及び/又は温度を変化させることができる。
【0062】
図8は、マイクロエレクトロニクス基板118から粒子を除去するためのGCJプロセスを生成するための低温法のためのフローチャート800を提供する。この実施形態では、本方法は、
図2A乃至2Bの説明で本明細書に記載される2段ガス(TSG)ノズル200と同様に、多段ノズル110を使用することができるGCJプロセスを代表することができる。
図8の実施形態は、流体混合物が多段ノズル110を介して高圧環境から低圧環境に移行する際に、流体混合物の圧力差又は変化を反映し得る。
【0063】
図8を参照すると、ブロック802において、システム100は、流体膨張コンポーネント(例えば、TSGノズル200)を含むことができる真空プロセスチャンバ120内にマイクロエレクトロニクス基板118を受け入れることができる。このシステムは、マイクロエレクトロニクス基板118を低温冷却システム108によって提供される任意の流体混合物に曝す前に、プロセスチャンバ104を大気圧以下の状態にしてもよい。
【0064】
ブロック804において、システム100は、273K未満の温度及び大気圧よりも高い圧力である流体混合物を供給又は調整することができる。例えば、流体混合物の温度は、70K~200Kの間、又はより具体的には70K~120Kの間であり得る。混合流体の圧力は、50psig~800psigの間であってもよい。一般に、流体混合物の少なくとも大部分(重量による)は、気相中にあってもよい。しかしながら、他の実施形態において、流体混合物は、気相において10重量%未満であってもよく、より詳細には、気相において1重量%未満であってもよい。
【0065】
流体混合物は、N2、アルゴン、キセノン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、二酸化炭素、又はこれらの任意の組み合わせ(combination)を含み得る単一の流体組成物又は流体の組み合わせであり得るが、これらに限定されない。当業者は、前述の流体の1つ以上の組み合わせを選択し、一度に1つの流体混合物を用いて基板を処理し、又は、同一のマイクロエレクトロニクス基板118に対して、流体混合物の組み合わせを用いて基板を処理することができる。
【0066】
一実施形態において、流体混合物は、1:1~11:1の間の比において、N
2及びアルゴンの組み合わせを含んでもよい。当業者は、マイクロエレクトロニクス基板118から粒子を除去するために、N
2及び/又はアルゴンの液体濃度に関連して比率を最適化することができる。しかしながら、他の実施形態において、当業者は、粒子除去効率を最適化するために、GCJ流体混合物のエネルギー又は運動量を最適化することもできる。例えば、流体混合物は、GCJプロセスの質量及び/又は速度を変化させ得る別のキャリアガスを含み得る。キャリアガスは、キセノン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、二酸化炭素又は何かそれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではあることができない。1つの実施形態において、流体混合物は、アルゴン対N
2の1:1~1:4の混合物であることができ、キセノン、クリプトン、二酸化炭素、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上のキャリアガスが混合され得る混合物を含み得る。他の例では、キャリアガスの組成及び濃度は、異なる比率のキャリアガスを有する異なる比率のN
2及びアルゴンで最適化され得る。他の実施形態において、キャリアガスは、表1に示すように、Hagena値、kに基づいて含まれてもよい。
【表1】
【0067】
通常、いくつかの実施形態では、N2、アルゴン、又はそれらの組み合わせと混合されている場合、k値の低い流体は、濃度が同等又はそれ以上でなければならない。例えば、キャリアガスをN2、アルゴン、又はそれらの組み合わせ(例えば、1:1~4:1)と混合する場合は、N2、アルゴン又はそれらの組み合わせと、キャリアガスとの間の比は、少なくとも4:1の混合比(a ratio mixture)を用いて行われるべきであり、ここでは、キセノン、クリプトン、二酸化炭素又はこれらの任意の組み合わせを11:1までの混合比で用いる。対照的に、ヘリウム、ネオン又はそれらの組み合わせを、N2、アルゴン、又はそれらの組み合わせ(例えば、1:1~4:1)と組み合わせる場合、混合比は、N2、アルゴン又はそれらの組み合わせ(例えば1:1~4:1)と、ヘリウム、ネオン又はそれらの組み合わせと、の間で少なくとも1:4であり得る。上記のN2、アルゴン及び/又はキャリアガスの組み合わせは、本明細書に記載の他のエアロゾル及びGCJ法にも適用することができる。
【0068】
他の実施形態では、流体混合物は、1:1と11:1との間の比率のアルゴンとN2の組み合わせを含み得る。この流体混合物はまた、キャリアガス(例えば、表1)を含むことができる。しかしながら、流体混合物は、本明細書中に記載されるエアロゾル又はGCJ法を用いて使用され得る純粋なアルゴン又は純粋な窒素組成物も含み得る。
【0069】
ブロック806において、システム100は、流体源106から及び/又は低温冷却システム108から流体膨張コンポーネントに流体混合物を提供することができる。システム100はまた、プロセスチャンバ104を35Torr未満の圧力に維持してもよい。例えば、システム100は、プロセスチャンバ104の圧力を制御するために真空システム134を使用し、流体混合物がプロセスチャンバ104に導入される前又はその時に、プロセスチャンバ104を制御してもよい。いくつかの実施形態では、プロセスチャンバ104の圧力は、5Torr~10Torrの間であってもよく、いくつかの実施形態では、圧力は、5Torr未満であってもよい。
【0070】
GCJスプレーは、流体混合物が、比較的高圧の環境(例えば、ノズル110の上流)と低圧の環境(例えば、プロセスチャンバ)との間で移行するときに形成されてもよい。
図8の実施形態において、流体膨張コンポーネントは、マイクロエレクトロニクス基板118に衝突する前に、流体混合物を少なくとも2つの圧力変化又は膨張の下におくことができるTSGノズル200であってもよい。
【0071】
ブロック808において、流体混合物は、注入口オリフィス204を通ってリザーバコンポーネント202へと膨張し、プロセスチャンバ104圧力を超え、流体混合物の流入圧力未満のリザーバ圧力を達成し又は維持することができる。概して、リザーバ圧力は、800psig未満で35Torr以上であり得る。しかしながら、
図2A乃至2Bに図示される限られた空間内でのガス流の変動により、リザーバ圧力が変動し得る。
【0072】
流体混合物は、リザーバコンポーネント202の直径より小さいか又は小さくなくてもよい移行オリフィス206へ進むことができる。
移行オリフィス206がリザーバコンポーネント202の直径より小さい場合、流体混合物は、移行オリフィス206を流れ又は移行オリフィス206を通り抜けて、TSGノズル200の放出口コンポーネント208内へに流入するときに、より高い圧力に圧縮され得る。
【0073】
ブロック810において、流体混合物は、流体膨張コンポーネントの放出口コンポーネント208内の放出口圧力に維持され得る。
放出口圧力は、チャンバ圧力を超え、リザーバコンポーネント202圧力未満であることができる。移行オリフィス206と出口オリフィス210との間の移行の間に、流体混合物は膨張し得、上述のようにガスクラスターを形成し得る。放出口コンポーネント208とプロセスチャンバ104との間の圧力差は、プロセスチャンバ104のより大きな容積と比較して、放出口コンポーネント210のより小さい閉じられた容積に起因し得る。
【0074】
ガスクラスターは、放出口オリフィス210に向けて方向づけられることができ、流体混合物は、流体混合物がTSGノズル200を出た後も膨張し続け得る。しかしながら、運動量は、ガスクラスタースプレーの少なくとも大部分をマイクロエレクトロニクス基板118に方向づけることができる。上述のように、ガスクラスターのサイズは、105までのいくつかの原子間で変化し得る。プロセスは、上述のプロセス条件によって変化することにより、ガスクラスターの数及びサイズを制御するために最適化されることができる。例えば、当業者は、マイクロエレクトロニクス基板118から粒子を除去するために、流入する流体混合物圧力、流体混合物の組成/濃度、プロセスチャンバ104圧力、又はそれらの任意の組み合わせを変更することができる。
【0075】
ブロック812では、GCJスプレーのコンポーネントを使用して、マイクロエレクトロニクス基板118から物体又は汚染物を動力学的的又は化学的に除去することができる。物体は、GCJスプレーの運動学的影響によって、及び/又は流体混合物が有し得る物体との化学的相互作用によって、除去することができる。しかしながら、対象物の除去は、動力学的及び/又は化学的除去の理論に限定されるものではなく、GCJスプレーを適用した後の物体の除去は、物体の除去を説明するために用いられる任意の適用可能な理論のための十分な証拠となり得るという点で、物体の除去を説明するための任意の理論を適用可能である。
【0076】
また、TSGノズル200とマイクロエレクトロニクス基板118との相対位置を用いて、物体の除去を最適化することができる。例えば、GCJスプレーの入射角は、マイクロエレクトロニクス基板118の表面と放出口オリフィス210の平面との間で0°と90°との間でTSGノズル200を移動させることにより調整され得る。1つの特定の実施例において、マイクロエレクトロニクス基板118上の組成又はパターンに基づいて物体を除去するために、入射角は30°から60°であってもよい。あるいは、入射角は、60°と90°との間、より具体的には約90°とすることができる。他の実施形態では、2つ以上のノズル110を使用して、同様の又は変化する入射角でマイクロエレクトロニクス基板118を処理してもよい。
【0077】
上述の除去の実施形態では、マイクロエレクトロニクス基板118は、除去プロセスの間に並進及び/又は回転されることができる。除去速度は、マイクロエレクトロニクス基板118の特定の部分上のGCJスプレーの所望の滞留時間に最適化することができる。当業者は、所望の粒子除去効率を達成するために、滞留時間及びGCJスプレー衝突位置を最適化することができる。例えば、所望の粒子除去効率は、粒子測定の前と後の間で80%を超える除去であってもよい。
【0078】
同様に、放出口オリフィス210とマイクロエレクトロニクス基板118の表面との間のギャップ距離を最適化して、粒子除去効率を高めることができる。ギャップ距離は、
図5の説明でより詳細に説明されるが、一般にギャップ距離は、50mm未満であってもよい。
【0079】
また、GCJプロセスは、
図3及び4の説明に記載されるものと同様に、単一段ノズル300、400を使用して実施されてもよい。単一段ノズル300、400は、膨張領域の直径306が注入口オリフィス302と放出口オリフィス304との間で同じであるか又は増加するという点で連続的であり得る単一の膨張チャンバを含むことができる。例えば、単一段ノズル300、400は、TSGノズル200のような移行オリフィス206を有していなくてもよい。しかしながら、単一段のGCJ方法は、TSGノズル200システム100によっても使用されることができ、単一段ノズルシステム100に限定されない。同様に、
図9乃至12の説明に記載される方法は、単一段ノズル300、400によっても使用され得る。
【0080】
図9は、GCJスプレーでマイクロエレクトロニクス基板118を処理する別の方法のためのフローチャート900を示す。マイクロエレクトロニクス基板118に対するノズル110の位置決めは、粒子除去効率に強いインパクトを有し得る。特に、放出口オリフィス304とマイクロエレクトロニクス基板118の表面との間のギャップ距離は、粒子除去効率に影響を及ぼし得る。ギャップ距離は、GCJスプレーの、流体の流れ及び分布に影響を及ぼし、ノズル110によるクリーニング表面積のサイズに影響を及ぼしうる。このようにして、GCJプロセスのためのサイクルタイムは、ノズル110のためのより少ない経路又は短い滞留時間のため低減されることができる。
【0081】
図9を参照すると、ブロック902において、マイクロエレクトロニクス基板118は、ガス膨張コンポーネント(GEC)(例えば、ノズル300、400)を有し得るプロセスチャンバ104内に受け入れられることができる。GECは、本明細書に記載されるノズル110のいずれであってもよいが、特に、TSGノズル200、SSGノズル300、又はフラッシュノズル400と同じ又は類似の構成であり得る。一般に、ノズルは、流体混合物を受け入れる注入口オリフィス402と、流体混合物をプロセスチャンバ104内に流入させる放出口オリフィス404とを含み得る。
【0082】
ブロック904で、システム100は、放出口オリフィス404がマイクロエレクトロニクス基板118の上に又は隣接して配置されるように、GECの反対側にマイクロエレクトロニクス基板118を配置することができる。また、GECは、マイクロエレクトロニクス基板118の表面に対してある角度に配置され得る。その表面はマイクロエレクトロニクスデバイスが製造される部分である。角度は、0°から90°の範囲であり得る。GECの位置決めはまた、
図5に記載されるように、ギャップ距離502に基づいて最適化されることができる。ギャップ距離502は、マイクロエレクトロニクス基板118へ向かう及び/又はマイクロエレクトロニクス基板118にわたる(across)フロー分布に影響を与え得る。ギャップ距離502が増加するにつれて、クリーニング表面積は減少し、粒子除去効率を維持又は改善するために追加のノズル経路を必要としうる。膨張流体混合物の速度はまた、ギャップ距離502に依存して変化してもよい。例えば、マイクロエレクトロニクス基板118にわたる流体の横方向の流れは、ギャップ距離502が減少するときに増加してもよい。いくつかの実施形態において、より高い速度は、より高い粒子除去効率を提供することができる。
【0083】
通常、GECは、マイクロエレクトロニクス基板118の表面から50mm以内にあり得る。しかし、ほとんどの実施形態では、ギャップ距離502は、本明細書に記載のエアロゾル又はGCJプロセスに対して10mm未満であり得る。1つの特定の実施形態において、GECを通してプロセスチャンバ104内に流体混合物を分配する前に、ギャップ距離502は約5mmであり得る。
【0084】
ブロック906において、システム100は、273K未満であり得る温度であって、かつ流体混合物が提供される温度において流体混合物中の液体形成を阻止する圧力において、流体混合物をGECに供給することができる。このようにして、流体混合物内の液体濃度は、流体混合物が存在しないか、少なくとも1重量%未満であることができる。化学処理の当業者は、流体混合物の液体濃度を測定するために、任意の既知の技術を使用することができる。さらに、当業者は、状態
図600、608、又は、単一の種若しくは種の混合物について入手可能である、その他の既知の状態図の文献を使用して、温度及び圧力の適切な組み合わせを選択することができる。
【0085】
一実施形態では、温度は、窒素、アルゴン、キセノン、ヘリウム、二酸化炭素、クリプトン、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る流体混合物について、70K以上及び273K未満であり得る。同様に、圧力は、状態
図600、608を使用して、又は液体混合物中の液体濃度を1重量%未満に最小化する他の既知の測定技術によって選択されてもよい。とんどの実施形態では、圧力は10Torr以下であってもよいが、他の実施形態では、粒子除去効率を最大にするために圧力は10Torrを超えることができる。
【0086】
ブロック908において、システムは、流体混合物の少なくとも一部がマイクロエレクトロニクス基板118と接触するように、GECを介してプロセスチャンバ104内に流体混合物を提供することができる。上述のように、流体混合物は、プロセスチャンバ104内で比較的高い圧力から低い圧力まで膨張し得る。一実施形態において、プロセスチャンバ104は、35Torr以下のチャンバ圧力に維持されてもよい。
【0087】
1つの実施形態において、流体混合物は、1:1と11:1の間の比、特に4:1未満の比で、N2とアルゴンの組み合わせを含み得る。他の実施形態において、流体混合物は、GCJスプレーの質量及び/又は速度を変化させることができる別のキャリアガスを含み得る。キャリアガスは、キセノン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、二酸化炭素又は何かそれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではあることができない。1つの実施形態において、流体混合物は、アルゴン対N2の1:1~1:4の混合物であることができ、セノン、クリプトン、二酸化炭素、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上のキャリアガスが混合され得る混合物を含み得る。
【0088】
他の実施態様において、流体混合物は、1:1と11:1との間のアルゴンの比率でアルゴン及びN2の組合せを含むことができる。この流体混合物はまた、キャリアガス(例えば、表1)を含むことができる。しかしながら、流体混合物は、本明細書中に記載されるエアロゾル又はGCJ法を用いて使用され得る純粋なアルゴン又は純粋な窒素組成物も含み得る。
【0089】
例えば、キャリアガスをN2、アルゴン、又はそれらの組み合わせ(例えば、1:1~4:1)と混合する場合は、N2、アルゴン又はそれらの組み合わせと、キャリアガスとの間の比は、少なくとも4:1の混合比を用いて行われるべきであり、ここでは、キセノン、クリプトン、二酸化炭素又はこれらの任意の組み合わせを11:1までの混合比で用いる。対照的に、ヘリウム、ネオン又はそれらの組み合わせを、N2、アルゴン、又はそれらの組み合わせ(例えば、1:1~4:1)と組み合わせる場合、混合比は、N2、アルゴン又はそれらの組み合わせ(例えば1:1~4:1)と、ヘリウム、ネオン又はそれらの組み合わせと、の間で少なくとも1:4であり得る。上記のN2、アルゴン及び/又はキャリアガスの組み合わせは、本明細書に記載の他のエアロゾル及びGCJ法にも適用することができる。
【0090】
別の実施形態では、流体混合物はN2を含むことができ、ヘリウム又はネオンと組み合わされ、かつ、アルゴン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素のうちの少なくとも1つを含んでもよい。1つの特定の実施形態において、前記組み合わせの混合比は、2:1.8:1であり得る。
【0091】
ブロック910では、膨張した流体混合物(例えば、GCJスプレー)をマイクロエレクトロニクス基板118に向けて射出することができ、表面上の物体と接触し(例えば、運動学的及び/又は化学的相互作用)、かかる物体は、マイクロエレクトロニクス基板118から除去されることができる。GCJスプレーの運動学的及び/又は化学的相互作用は、物体とマイクロエレクトロニクス基板118との間の付着力を克服し得る。物体は、真空システム134を介してプロセスチャンバ104から除去されてもよく、又はプロセスチャンバ104内の他の場所に堆積されてもよい。
【0092】
図10は、マイクロエレクトロニクス基板118を低温流体で処理する別の方法の別のフローチャート1000を示す。この実施形態において、流体混合物は、比較的低い液体濃度を有し得るGCJスプレーを生成し得る。上述のように、流体混合物の温度及び圧力は、流体混合物中の液体の量(重量)に影響を及ぼし得る。この場合、流体混合物の液体濃度は、温度を変化させることによって最適化され得る。
【0093】
図10を参照すると、ブロック1002において、マイクロエレクトロニクス基板118は、ガス膨張コンポーネント(GEC)(例えば、ノズル300、400)を含み得るプロセスチャンバ104内に受け入れられ得る。GECは、本明細書に記載されるノズル110のいずれであってもよいが、特に、TSGノズル200、SSGノズル300、又はフラッシュノズル400と同じ又は類似の構成であり得る。一般に、ノズルは、流体混合物を受け入れる注入口オリフィス402と、流体混合物をプロセスチャンバ104内に流入させる放出口オリフィス404とを含み得る。
【0094】
ブロック1004において、システム100は、マイクロエレクトロニクス基板118の上方に又は隣接して配置される放出口オリフィス404が、マイクロエレクトロニクス基板118と反対の位置に配置され得る。また、GECは、マイクロエレクトロニクス基板118の表面に対してある角度に配置され得る。その表面はマイクロエレクトロニクスデバイスが製造される部分である。角度は、0°から90°の範囲であり得る。GECの位置決めは、
図5に記載されるように、ギャップ距離502に基づいて最適化されることもできる。一般に、GECは、マイクロエレクトロニクス基板118の表面から50mm以内にあり得る。しかし、大部分の実施態様で、ギャップ距離502は、本明細書に記載されるGCJ又はエアロゾルに対して20mm未満であり得る。1つの特定の実施形態において、GECを通してプロセスチャンバ104内に流体混合物を分配する前に、ギャップ距離502は約5mmであり得る。
【0095】
ブロック1006で、システム100は、大気圧よりも高い圧力で、かつ273K未満の温度であって、所与の圧力での流体混合物の凝縮温度よりも高い温度で、流体混合物をGECに供給することができる。凝縮温度は、異なるガス間で変化することができ、異なる組成及び濃度を有する異なるガス混合物間で変化することができる。当業者は、既知の文献(例えば、状態図)又は、流体混合物の観察及び/又は測定に、少なくとも部分的に基づいた経験的技術を用いて、流体混合物のガス凝縮温度を特定することができる。
【0096】
一例では、所与の圧力での凝縮温度は、流体が液相に移行して存在する可能性のある温度である。例えば、流体混合物が凝縮温度よりも高い温度に保持されている場合、流体混合物は、いかなる液相も存在せず、又は非常に少量の液体(例えば、<1重量%)と共に、気体状態で存在し得ることを示す。ほとんどの実施形態において、流体混合物の温度は、異なる凝縮温度を有するガスを含む流体混合物の組成に応じて、50K~200Kの間で変化してもよいが、より具体的には、70K~150Kの間で変化する。
【0097】
例えば、N
2流体混合物の実施形態において、液体の重量による量は、N
2状態
図604を用いることによって推定され得る。約100psiの流入圧力に対して、流体混合物の温度は、液体の量を最小にするために100Kを超え得る。この実施形態では、流体混合物は、流入温度が約120Kであり、100psiの圧力を伴う場合、何ら液体を有さないか、又は少なくとも1重量%未満を有し得る。
【0098】
ブロック1008において、システム100は、流体混合物の少なくとも一部がマイクロエレクトロニクス基板118と接触するように、GECを介してプロセスチャンバ104内に流体混合物を提供することができる。
この実施形態では、プロセスチャンバ104の圧力は、少なくとも大気圧以下であってもよいが、特に10Torr未満であり得る。
【0099】
1つの実施形態において、流体混合物は、1:1と11:1の間の比、特に4:1未満の比で、N2とアルゴンの組み合わせを含み得る。他の実施形態において、流体混合物は、GCJスプレーの質量及び/又は速度を変化させることができる別のキャリアガスを含み得る。キャリアガスは、キセノン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、二酸化炭素又は何かそれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではあることができない。1つの実施形態において、流体混合物は、アルゴン対N2の1:1~1:4の混合物であることができ、セノン、クリプトン、二酸化炭素、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上のキャリアガスが混合され得る混合物を含み得る。
【0100】
例えば、キャリアガスをN2、アルゴン、又はそれらの組み合わせ(例えば、1:1~4:1)と混合する場合は、N2、アルゴン又はそれらの組み合わせと、キャリアガスとの間の比は、少なくとも4:1レベルの混合比を用いて行われるべきであり、ここでは、キセノン、クリプトン、二酸化炭素又はこれらの任意の組み合わせを11:1までの混合比で用いる。対照的に、ヘリウム、ネオン又はそれらの組み合わせを、N2、アルゴン、又はそれらの組み合わせ(例えば、1:1~4:1)と組み合わせる場合、混合比は、N2、アルゴン又はそれらの組み合わせ(例えば1:1~4:1)と、ヘリウム、ネオン又はそれらの組み合わせと、の間で少なくとも1:4であり得る。上記のN2、アルゴン及び/又はキャリアガスの組み合わせは、本明細書に記載の他のエアロゾル及びGCJ法にも適用することができる。
【0101】
他の実施態様において、流体混合物は、1:1と11:1との間のアルゴンの比率でアルゴン及びN2の組合せを含むことができる。この流体混合物はまた、キャリアガス(例えば、表1)を含むことができる。しかしながら、流体混合物は、本明細書中に記載されるエアロゾル又はGCJ法を用いて使用され得る純粋なアルゴン又は純粋な窒素組成物も含み得る。
【0102】
ブロック1010において、膨張した流体混合物(例えば、GCJスプレー)は、マイクロエレクトロニクス基板118に向かって射出され、表面上の物体(例えば、運動学的及び/又は化学的相互作用)と接触し、かかる物体は、マイクロエレクトロニクス基板118から除去され得る。GCJスプレーの運動学的及び/又は化学的相互作用は、物体とマイクロエレクトロニクス基板118との間の付着力を克服し得る。物体は、真空システム134を介してプロセスチャンバ104から除去されてもよく、又はプロセスチャンバ104内の他の場所に堆積されてもよい。
【0103】
図11は、マイクロエレクトロニクス基板118を低温流体で処理する別の方法のフローチャート1100を示す。この実施形態において、流体混合物は、比較的低い液体濃度を有し得るGCJスプレーを生成し得る。上述のように、流体混合物の温度及び圧力は、流体混合物中の液体の量(重量)に影響を及ぼし得る。この場合、流体混合物の液体濃度は、圧力を変化させることによって最適化され得る。さらに、ギャップ距離502は、レシピ圧力及び以下に説明する一定値を用いて計算するためにコントローラ112を使用して特定され得る。
【0104】
図11を参照すると、ブロック1102において、マイクロエレクトロニクス基板118は、ガス膨張コンポーネント(GEC)(例えば、ノズル300)を含み得るプロセスチャンバ104内に受け入れられ得る。GECは、本明細書に記載されるノズル110のいずれであってもよいが、特に、TSGノズル200、SSGノズル300、又はフラッシュノズル400と同じ又は類似の構成であり得る。一般に、ノズルは、流体混合物を受け入れる注入口オリフィス402と、流体混合物をプロセスチャンバ104内に流入させる放出口オリフィス404とを含み得る。
【0105】
ブロック1104において、273K未満の温度及び流入温度でのガス混合物中の液体形成を阻止する流入圧力で、ガス混合物をGECに供給する。例えば、N
2の実施形態では、N
2状態
図604は、約100Kの流体混合物が、N
2を気相に維持するために、100psi未満の圧力を有する可能性が高いことを示す。圧力が約150psi以上であれば、N
2プロセスガス中に液相が存在する可能性がより強くなる。
【0106】
ブロック1106において、システム100は、流体混合物の少なくとも一部がマイクロエレクトロニクス基板118と接触するように、GECを介してプロセスチャンバ104内に流体混合物を提供することができる。この実施形態では、プロセスチャンバ104の圧力は、少なくとも大気圧以下であってもよいが、特に10Torr未満であり得る。
【0107】
1つの実施形態において、流体混合物は、1:1と11:1の間の比、特に4:1未満の比で、N2とアルゴンの組み合わせを含み得る。他の実施形態において、流体混合物は、GCJスプレーの質量及び/又は速度を変化させることができる別のキャリアガスを含み得る。キャリアガスは、キセノン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、二酸化炭素又は何かそれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではあることができない。1つの実施形態において、流体混合物は、アルゴン対N2の1:1~1:4の混合物であることができ、セノン、クリプトン、二酸化炭素、又はそれらの任意の組合せのうちの1つ以上のキャリアガスが混合され得る混合物を含み得る。
【0108】
例えば、キャリアガスがN2、アルゴン、又はそれらの組み合わせ(例えば、1:1~4:1)と混合される場合は、N2、アルゴン又はそれらの組み合わせと、キャリアガスとの間の比は、少なくとも4:1レベルの混合比を用いて行われるべきであり、ここでは、キセノン、クリプトン、二酸化炭素又はこれらの任意の組み合わせを11:1までの混合比で用いる。対照的なのは、ヘリウム、ネオン又はそれらの組み合わせを、N2、アルゴン、又はそれらの組み合わせ(例えば、1:1~4:1)と組み合わせる場合である。混合比は、N2、アルゴン又はそれらの組み合わせ(例えば1:1~4:1)と、ヘリウム、ネオン又はそれらの組み合わせと、の間で少なくとも1:4であり得る。上記のN2、アルゴン及び/又はキャリアガスの組み合わせは、本明細書に記載の他のエアロゾル及びGCJ法にも適用することができる。
【0109】
他の実施態様において、流体混合物は、1:1と11:1との間のアルゴンの比率でアルゴン及びN2の組合せを含むことができる。この流体混合物はまた、キャリアガス(例えば、表1)を含むことができる。しかしながら、流体混合物は、本明細書中に記載されるエアロゾル又はGCJ法を用いて使用され得る純粋なアルゴン又は純粋な窒素組成物も含み得る。
【0110】
ブロック1108で、システム100は、放出口(例えば、放出口オリフィス404)とマイクロエレクトロニクス基板118の間のギャップ距離502にマイクロ電子基板118を配置し得る。ギャップ距離502は、少なくとも部分的に、
図5の説明において式1に示されるように、チャンバ圧力と、40と60との間の値を有する定数パラメータとの比に基づいている。一実施形態において、定数パラメータの単位は、長さ/圧力(例えば、mm/Torr)の単位を有してもよい。
【0111】
ブロック1110では、膨張した流体混合物は、マイクロエレクトロニクス基板118に向かって射出され、表面上の物体(例えば、運動学的及び/又は化学的相互作用)と接触し、かかる物体は、マイクロエレクトロニクス基板118から除去され得る。GCJスプレーの運動学的及び/又は化学的相互作用は、物体とマイクロエレクトロニクス基板118との間の付着力を克服し得る。物体は、真空システム134を介してプロセスチャンバ104から除去されてもよく、又はプロセスチャンバ104内の他の場所に堆積されてもよい。
【0112】
図12は、マイクロエレクトロニクス基板118を低温流体で処理する別の方法のためのフローチャート1200を示す。この実施形態において、流体混合物は、比較的低い液体濃度を有し得るGCJスプレーを生成し得る。上述のように、流体混合物の温度及び圧力は、流体混合物中の液体の量(重量)に影響を及ぼし得る。この場合、システム100は、流入する流体混合物の圧力とチャンバ104圧力との間の比を維持して、運動量又は組成(例えば、ガスクラスターなど)を最適化することができる。さらに、システム100は、流入する流体混合物の圧力を最適化することもでき、流入圧力とプロセスチャンバ104圧力との間の圧力比関係の範囲内で流入流体混合物の液体濃度を制御し得る。
【0113】
図12を参照すると、ブロック1202において、マイクロエレクトロニクス基板118は、ガス膨張コンポーネント(GEC)(例えば、ノズル300,400)を含み得るプロセスチャンバ104内に受け入れられ得る。GECは、本明細書に記載されるノズル110のいずれであってもよいが、特に、TSGノズル200、SSGノズル300、又はフラッシュノズル400と同じ又は類似の構成であり得る。一般に、ノズルは、流体混合物を受け入れる注入口オリフィス402と、流体混合物をプロセスチャンバ104内に流入させる放出口オリフィス404とを含み得る。
【0114】
ブロック1204において、システム100は、流体混合物を真空プロセスチャンバ104に供給することができ、システム100は、流体混合物を気相中に維持する温度及び/又は圧力に流体混合物を維持することができる。流体混合物は、窒素、アルゴン、キセノン、クリプトン、酸化炭素又はヘリウムのうちの少なくとも1つを含み得るが、これらに限定されない。
【0115】
別の実施形態では、流体混合物は、N2を含むことができ、少なくともヘリウム又はネオンと組み合わされ、かつ、アルゴン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素のうちの少なくとも1つと組み合わされることができる。1つの特定の実施形態において、前述の流体混合物の組み合わせの比は、約1:2:2であり得る。別のより具体的な実施形態では、前述の流体混合物の比は、1:2:1.8であり得る。
【0116】
ブロック1206で、システム100は、圧力比を用いて、プロセスチャンバ104の圧力及び流入する流体混合物の圧力を維持する。このようにして、システム100は、流入圧力とプロセス圧力との間に、バランス又は関係があることを保証することができる(例えば、比率=(流入圧力/プロセス圧力))。圧力比は、超えることも超えないこともできる閾値であり得、又は、圧力比は、流入圧力又はチャンバ圧力の変化にもかかわらず維持され得る範囲を含んでもよい。圧力比の値は、200~500,000の範囲であってもよい。しかしながら、圧力比は、コントローラ112に格納された所与のレシピ条件を維持し得る範囲を超えられるか、超えられないか、又は、範囲を指定することができる、閾値に作用し得る。このようにして、ノズルにわたる圧力差は制御されることができ、GCJ/エアロゾルスプレーの運動量又は組成(例えば、ガスクラスターサイズ、ガスクラスター密度、固体粒子サイズなど)を維持することができる。
【0117】
圧力比の実施形態では、コントローラ112が圧力を同一の又は類似の単位に変換して流入圧力及びチャンバ圧力を制御し得るように、値は同様の単位を考慮する。
【0118】
上限閾値実施形態は、チャンバ圧力に対する流入圧力が上限閾値比よりも小さくなり得るように、超えてはならない圧力比を含んでもよい。例えば、上限閾値は、300000、5000、3000、2000、1000又は500のいずれかの値であってもよい。
【0119】
別の実施形態では、コントローラ112は、流入圧力及びプロセス圧力を圧力比値の範囲内に維持することができる。例示的な範囲には、100000~300000、200000~300000、50000~100000、5000~25000、200~3000、800~2000、500~1000、又は700~800が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0120】
ブロック1208において、システム100は、マイクロエレクトロニクス基板118を、放出口(例えば、出口オリフィス404)とマイクロエレクトロニクス基板118との間のギャップ距離502に配置することができる。ギャップ距離502は、少なくとも部分的に、
図5の説明において式1に示されるように、チャンバ圧力と、40と60との間の値を有する定数パラメータとの比に基づいている。一実施形態において、定数パラメータの単位は、長さ/圧力(例えば、mm/Torr)の単位を有してもよい。
【0121】
ブロック1210において、膨張した流体混合物は、マイクロエレクトロニクス基板118に向かって射出され、表面上の物体(例えば、運動学的及び/又は化学的相互作用)に接触し、かかる物体は、マイクロエレクトロニクス基板118から除去され得る。GCJスプレーの運動学的及び/又は化学的相互作用は、物体とマイクロエレクトロニクス基板118との間の付着力を克服し得る。物体は、真空システム134を介してプロセスチャンバ104から除去されてもよく、又はプロセスチャンバ104内の他の場所に堆積されてもよい。
【0122】
図13は、非液体含有流体混合物(例えば、GCJ)と液体含有流体混合物(例えば、エアロゾル)との間の粒子除去効率向上の棒グラフ1300を含む。本明細書に開示された、予想外の結果の1つは、100nm以下(sub-100nm)の粒子についての改良された粒子除去効率に関し、及び100nmを超える粒子についての粒子除去効率を維持又は改善することに関する。従前の技術は、液体濃度が10%を超える低温流体混合物でマイクロエレクトロニクス基板を処理することを含み得る。予想外の結果を生み出す新しい技術は、液化濃度を有さない低温流体混合物でマイクロエレクトロニクス基板118を処理することを含み得る。
【0123】
図13の実施形態では、マイクロエレクトロニクス基板118は、市販の堆積システムを用いて窒化シリコン粒子(silicon nitride particles)で堆積された。窒化シリコン粒子は、両方の試験で同様の密度及びサイズを有した。ベースラインの低温プロセス(例えば、>1重量%の液体濃度)を、少なくとも1つのマイクロエレクトロニクス基板118に適用し、GCJを、窒化シリコン粒子で覆われた、異なるグループのマイクロエレクトロニクス基板118にも適用した。この場合、GCJプロセスは、約9Torrに維持された真空チャンバから高圧流体源を分離するノズル110の前に、83psigの注入口圧力を伴う、2:1の窒素対アルゴン流量比を含む。ノズル110の注入口直径は~0.06”であった。ギャップ距離502は、2.5~4mmの間にあった。ウエハは、粒子で汚染された領域がGCJスプレーに2回曝露されるように、ノズルの下方を2回通過した。粒子は、カリフォルニア州ミルピタスのKLA-TencorTM製のKLA-SURF SCAN SP2-XPを用いて処理の前後に測定した。
【0124】
従前の技術の下では、
図13に示されるように、100nm以下(sub-100nm)の粒子除去効率(PRE)は、90nmを超える粒子では80%を超えるものの、42nm未満の粒子では30%未満に低下した。具体的には、PREは、65nm~90nmの間の粒子について、~87%(@>90nm粒子)から~78%に低下した。55nm~65nmの粒子と40nm~55nmの粒子の間のPREの減少はより顕著であった。PREはそれぞれ~61%及び~55%に低下した。最後に、PREの最大の低下は、40nm以下の粒子、~24%のPREで見られた。
【0125】
このデータを考慮すると、100nm以下の粒子効率の改善は、粒子サイズの減少に伴い、同様に減少するリターン(return)を示すことが期待された。しかしながら、本明細書中に開示されたGCJ技術は、100nm以下のPREを改良しただけでなく、予想よりも高い程度のPREを維持した。例えば、
図13に示すように、GCJ PREは、いずれの粒子ビンサイズに対しても~80%を下回らなかった。
【0126】
図13に示すように、90nmを超える粒子についてのGCJ PREは、95%を超えるまで改善され、これは、従来の技術を用いた結果よりも5%を超える改善である。さらに、GCJプロセスは、従前の技術と比較して、粒子サイズが減少するにつれて、100nm以下の粒子を除去するより大きな能力を示した。例えば、65nm~90nm、55nm~65nm及び40nm~55nmビンは、少なくとも90%のPREを有した。各ビンサイズで~15%から~35%の間の改善である。しかし、最大の改善は40nm以下のビンサイズの場合であり、PREは25%から~82%に改善した。
【0127】
GCJ PREの予想外の結果は二重であった。第一に、90nmを超える粒子のPREの増加は、90nm未満の粒子のPREの増加と連動していた。第二に、GCJプロセスに対するサイズのビン間(between the bins sizes)の差は、同様の範囲のプロセス条件を用いたエアロゾルプロセスのPRE結果よりもはるかによりタイトな分布を示した。
【0128】
図14は、少なくとも部分的に、ノズル110とマイクロエレクトロニクス基板118との間のより小さいギャップ距離502に基づく、より広いクリーニングエリアを示すマイクロエレクトロニクス基板の粒子マップ1400を含む。通常、ガスが高圧環境から低圧環境へと膨張するにつれて、ガスはより大きな表面積又はカバーエリアをカバーする可能性が高くなり、ガスは、初期膨張点からさらに離れる。このようにして、ガスノズルをマイクロエレクトロニクス基板118から離して配置すると、有効クリーニングエリアが大きくなると考えられた。しかしながら、これは事実ではなく、実際には、より小さなギャップ距離502を有すると、マイクロエレクトロニクス基板118上のより広いクリーニングエリアを得るという、完全に直観に反する結果を達成した。
【0129】
クリーニング後粒子マップに示されるように、5mmギャップ距離は、10mmギャップ距離よりも幅広のクリーニングエリアを有する。5mmギャップ粒子マップ1406は、マイクロエレクトロニクス基板118の右半分について、PREが~70%であることを示す。対照的に、10mmギャップ粒子マップ1408は、200mmマイクロエレクトロニクス基板118の右半分に対して~50%のPREを有した。この場合、5mmギャップの粒子マップは、6mm以下の放出口オリフィスを有するノズル110から約80mm幅のクリーニングエリア1410を示す。かかる小さな放出口オリフィスを有するノズル110は、それ自体のサイズの12倍を超える有効クリーニング距離を有することができることは予期されなかった。
【0130】
図15は、従前の技術(例えば、エアロゾル)と、本明細書に開示された技術(例えば、GCJ)との間の、異なるフィーチャ損傷差異を示すマイクロエレクトロニクス基板フィーチャの画像1500を含む。損傷の差異は肉眼で視認され、走査型電子顕微鏡(SEM)によるより詳細な検査によって確認される。この実施形態では、ポリシリコンフィーチャは、既知のパターニング技術を用いてマイクロエレクトロニクス基板上に形成された。フィーチャは、約20nmの幅及び約125nmの高さを有した。別個のフィーチャサンプル(例えば、ライン構造)を、本明細書に開示されているGCJプロセス及びエアロゾルプロセスと同様のプロセスに曝露した。
【0131】
従前の技術では、エアロゾルクリーニングプロセスに曝されたマイクロエレクトロニクス基板118の画像1502、1504の変色によって、ライン構造の損傷が明らかにされた。可視のライン損傷は、エアロゾルSEM画像1506によって確認される。対照的に、GCJ画像1508、1510では変色がなく、GCJ SEM画像1512では損傷が示されていない。従って、GCJ画像1508、1510における変色の欠如及びGCJ SEM画像1512における損傷の欠如は、本明細書に記載されるGCJ技術が、エアロゾルプロセスよりもマイクロエレクトロニクス基板118に対して破壊的ではないことを示唆する。
【0132】
パターン化されたフィーチャの損傷(図示せず)の別の例は、より大きな粒子によって、それらがマイクロエレクトロニクス基板の表面から移動するにつれて、引き起こされる損傷を含み得る。より大きな粒子は、より小さな粒子よりも相対的に高い運動量を有し得るが、これは、部分的には、それらの質量がより高いためであり、それらが除去されるときに、又は、もしそれらがマイクロエレクトロニクス基板から取り除かれた後に、表面に沿って運ばれると、パターン化されたフィーチャの損傷を引き起こす可能性がより高い。
【0133】
本明細書に記載されるプロセスは、非常に効率的な方法で、大きな粒子(例えば、>100nm)及び小さな粒子(例えば、<100nm)を除去することが見出された。しかしながら、比較的大きな粒子(例えば、>100nm)いついての除去力に対する付着力の比は、場合によっては、小さな粒子についての除去力に対する付着力の比よりも小さくなり得る。したがって、小さな粒子を除去するプロセス処理は、より大きな粒子に過度のエネルギーを与え、それらが除去される際に、マイクロエレクトロニクス基板又はマイクロエレクトロニクス基板上のパターン化されたフィーチャを損傷し得る。しかしながら、より大きな粒子が、第1群のプロセス条件での第1処理の間に除去されれば、第2処理は、第2群のプロセス条件を用い、第2群のプロセス条件は、第1群のプロセス条件と異なる少なくとも1つのプロセス条件を含む。1つの具体的な実施形態において、2段階処理は、より大きな粒子を除去するための比較的低いフローレートを有する第1の処理を含むことができ、その後により小さな粒子を除去するためのより高いフローレートを有する第2の処理を含むことができる。このようにして、より低いフローレートは、より大きな粒子がマイクロエレクトロニクス基板から除去されるときに、より大きな粒子の運動量を最小化するために、より大きな粒子により少ない量のエネルギーを与える。理想的には、より低い運動量は、より大きな粒子が除去される際に、パターン化されたフィーチャに対する損傷の量又は程度を最小化する。
【0134】
したがって、粒子除去効率は、マイクロエレクトロニクス基板118上の異なるタイプの粒子に対処するために多段階処理方法を組み込むことによって改善されることができる。多段階プロセスは、異なるプロセス条件でマイクロエレクトロニクス基板118にわたる複数のパス(multiple passes)を実施することを含み得る。例えば、第1処理は、特定のタイプの粒子を除去するために使用される第1群のプロセス条件を含み、その後、第2群のプロセス条件でマイクロエレクトロニクス基板118を通過する(passes)。
図16A/16B及び17は、これらの多段階プロセス処理の例示的実施形態を示す。
【0135】
図16A及び16Bは、本明細書に開示されたプロセスに関連する多段階処理プロセスを使用して、GCJスプレーでマイクロエレクトロニクス基板118を処理する別の方法のフローチャート1600を示す。これらの多段階の実施形態では、GCJスプレーのプロセス条件及びマイクロエレクトロニクス基板118に対するノズル110の位置決めは、粒子除去効率に強い影響を与え得る。GCJスプレープロセス条件及び/又は出口オリフィス304とマイクロエレクトロニクス基板118の表面との間のギャップ距離を変化させることは、粒子を除去し、処理プロセス中のマイクロエレクトロニクス基板118への損傷を最小限にするために、当業者によって最適化され得る。いくつかの実施形態において、処理ガスのプロセス条件は、流体フローレート、化学組成、温度、GEC(例えばノズル400)への流入圧力、真空プロセスチャンバ104圧力を含み得るが、これらに限定されない。さらに、ギャップ距離502は、クリーニング効率を改善するか、又はマイクロエレクトロニクス基板118上のパターンフィーチャの損傷を最小限にするために、処理段階間で変化させることもできる。
図16Aを参照すると、フローチャート1600は、
図1に示されるシステム100によって実施され得る多段階処理プロセスの一実施形態を概説する。
【0136】
ブロック1602では、マイクロエレクトロニクス基板118は、流体又はガス膨張コンポーネント(GEC) (例えばノズル300、400)を含み得るプロセスチャンバ104内に受け入れられ得る。GECは、本明細書に記載されるノズル110のいずれであってもよいが、特に、TSGノズル200、SSGノズル300、又はフラッシュノズル400と同じ又は類似の構成であり得る。通常、、GECは、流体混合物を受け入れる注入口オリフィス402又は注入口と、流体混合物をプロセスチャンバ104に流入させる放出口オリフィス404又は放出口と、を含み得る。
図1に示すように、GECは、ガス混合物を70K~200Kの温度及び800psig未満の圧力に維持することができる低温冷却ガス源と流体連通することができる。
【0137】
マイクロエレクトロニクス基板118は、
図1の説明にさらに開示されているように、GECの下方又は直下で(underneath or subjacent)回転及び/又は並進することができる可動チャック122に固定され得る。可動チャック112は、移動中のマイクロエレクトロニクス基板118を機械的及び/又は電子的に固定するように構成され得る。この能力は、マイクロエレクトロニクス基板118が処理中に可動チャック122から移動又は脱落するのを防止する。一旦マイクロエレクトロニクス基板118が適切な位置に固定されると、初期プロセス処理が継続され得る。
【0138】
ブロック1604において、真空プロセスチャンバは、多段処理プロセスを通じて安定したプロセス圧力を維持するために、真空システム134を制御するためのコントローラ112を使用して、35 Torr以下のプロセス圧力に維持され得る。半導体処理の当業者は、本明細書に開示された多段処理の間、所望の設定点に圧力を維持するために閉ループ制御システムを設計し、構成することができるであろう。例えば、圧力設定点は、真空プロセスチャンバ104へのガスフロー条件が、本明細書に開示される多段階処理プロセスの間に変化する場合でも維持され得る。
【0139】
通常、プロセス圧力は、流入ガス混合物よりもはるかに低い圧力に維持されることができ、ガス混合物がGECを通過するときに比較的高い圧力から比較的低い圧力に移行するにつれて、ガスクラスター形成を可能にすることができる。さらに、他の実施形態では、真空チャンバのプロセス圧力を多段階処理プロセスの間に変更することができ、マイクロエレクトロニクス基板118にわたる流体のフロー特性を変更し、又は、ガスフローから粒子に伝達されるエネルギーの量を変更して、マイクロエレクトロニクス基板118との粒子の表面付着を克服することができる。圧力制御に加えて、粒子除去効率はまた、流入ガスの圧力、組成、及び/又はフローレートに影響され得る。
【0140】
ブロック1606では、流体混合物は、流体源106からGECに供給されることができ、流入する流体混合物の温度は、低温システム108を用いて、70K~200Kの間で制御され得る。流入する流体混合物の圧力は、5psigを超え800psig未満であることができ、最適な粒子除去効率を達成するために最適化されることができ、これは、真空チャンバ圧力、流体混合物組成、及び本明細書に記載される他のプロセス条件と関連して行うことができる。
【0141】
一実施形態において、流体混合物は、窒素、アルゴン、又は、100重量%の窒素から100重量%のアルゴンまでの範囲による、それらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、流体混合物は、窒素対アルゴンの1:1重量混合物を含んでもよく、窒素対アルゴンの1:4重量混合物までの範囲であってもよい。窒素及びアルゴンの流体組成を、種々のファクターに、少なくとも部分的に基づいて、粒子除去効率を最適化するために変化させることができ、種々のファクターは、パターン化されたフィーチャのタイプ及び/又は組成及び粒子のサイズを含み得るが、これらに限定されない。
【0142】
別の実施形態では、前の実施形態で記載された流体混合物は、ガスクラスタースプレー中のクラスターのサイズ、重量、及び密度を変更するための追加の化学物質を含み得る。ガスクラスター特性は、特定のタイプの粒子を除去するために最適化され得る。例えば、流体混合物は、キセノン、クリプトン、ヘリウム、水素、C2H6又は二酸化炭素のうちの1つ以上の化学物質と混合された窒素及び/又はアルゴンを含み得る。特定の一実施形態では、流体混合物は、窒素又はアルゴン対、キセノン、クリプトン、ヘリウム、水素、C2H6又は二酸化炭素のうちの少なくとも1つの化学物質の、重量による4:1の混合物であり得る。
【0143】
他の実施形態では、流体混合物は、ヘリウム又はネオンのうちの1つ以上の化学物質を混合された窒素及び/又はアルゴンを含みうる。特定の一実施形態では、流体混合物は、窒素又はアルゴン対、ヘリウム又はネオンのうちの少なくとも1つの化学物質の、重量による4:1の混合物であり得る。
【0144】
多段階プロセスは、システム100のコントローラ112を介して、流体混合物組成、流体混合物の圧力及び温度、並びに真空チャンバの圧力に関連するプロセス条件を設定及び維持することによって開始することができる。
【0145】
ブロック1608において、システム100は、第1群のプロセス条件(例えば、流体組成、流体圧力及び/又は温度、真空チャンバ圧力、ギャップ距離502)の下で、流体膨張コンポーネントへの流体混合物を維持するために使用され得る。マイクロエレクトロニクス基板118は、マイクロエレクトロニクス基板118から粒子を除去するために使用されるこの第1群のプロセス条件を用いて第1処理を受ける。
【0146】
特定の一実施形態では、第1群のプロセス条件は、流体混合物を第1フローレートで流すことによって、より大きなサイズ(例えば、>100nm)を標的と(target)するために使用されることができ、より大きい粒子を除去するために十分高く、かつ、粒子の運動量を最小化するために十分低く、より大きい粒子がマイクロエレクトロニクス基板118から除去されるときに損傷を最小化することができる。この例では、流体混合物のフローレートは、100重量%アルゴン組成物を用いて約100slmであることができ、200K未満の流体混合物の温度を有することができる。ギャップ距離502は、放出口オリフィス404とマイクロエレクトロニクス基板118の表面との間で約10mmであることができる。
【0147】
ブロック1610において、次いで、流体混合物は、膨張した流体混合物(例えば、GCJスプレー)がマイクロエレクトロニクス基板118の表面にわたって流れるように、放出口(例えば、放出口オリフィス404)を介して真空プロセスチャンバ内に膨張され得る。
【0148】
ブロック1612において、可動チャック122は、放出口オリフィス404の下方でマイクロエレクトロニクス基板118を回転及び/又は平行移動させることができ、それによって、粒子を膨張した流体混合物(例えば、GCJスプレー)に曝して、マイクロエレクトロニクス基板118から複数の第1物体(例えば、粒子)を除去することができる。この場合、より大きな粒子は、より高いレートで除去され得る。除去力に対する付着力の比がより高いより小さな粒子よりも、除去力に対する付着力の比がより小さいからである。より大きな表面積は、流体混合物からより大きな粒子へのより高い運動量伝達レートを可能にし得る。より小さな粒子よりもより大きな粒子に衝突する可能性が高いクラスターの量がより多いためである。
【0149】
当業者は、必要に応じて、粒子除去効率を最適化するために、滞留時間(例えば、回転速度及び/又は移動速度)を決定することができる。滞留時間は、GECが、マイクロエレクトロニクス基板118の任意の位置の向かい側に(across from)位置決めされる時間の量である。一実施形態では、GECは、1つの位置に固定され、可動チャック122は、GECから流入する膨張した流体混合物を介してマイクロエレクトロニクス基板118を回転及び並進させる。それ故、並進及び回転速度は、マイクロエレクトロニクス基板118の任意の部分がGECの真下ある又は向かい側にある時間の量を制御する。例えば、マイクロエレクトロニクス基板118のいずれか1つの部分が放出口オリフィス404の向かい側で又は放出口オリフィス404に対向して(opposite)、より長い時間量を費やすように、並進速度及び/又は回転速度を減少させることによって、滞留時間を増加させることができる。同様に、並進速度及び/又は回転速度を増加させることによって、滞留時間を減少させることができ、マイクロエレクトロニクス基板118のいずれか1つの部分が放出口オリフィス404の向かい側で又は放出口オリフィス404に対向する時間量を減少させることができる。特定の一実施形態では、並進速度は2mm/s~120mm/sの範囲であることができ、回転速度は30rpm~300rpmの範囲であることができ、多段階処理の段階の間で変化することができる。特定の一実施形態では、システム100は、30~60rpmで基板を回転させ、2mm/sと100mm/sとの間で並進させるように構成することができる。多段階処理の第1部分の終了後、プロセス条件は、異なる値に移行して、多段階処理プロセスを継続することができる。
【0150】
ブロック1614において、システム100は、流体混合物の流入フローを停止させ、後続の処理に先立って第2群のプロセス条件を設定するか、又は、全てのプロセス条件がそれらの新しい設定点に達したときにオンザフライでプロセス条件を移行させることによって、多段階処理プロセスの第2部分に移行してもよい。
【0151】
一実施形態では、マイクロエレクトロニクス基板118が、コンセントオフィス404の真下に配置されていない場合に、移行が生じ得る。しかし、他の実施形態では、GECは、マイクロエレクトロニクス基板118の上方に配置されたままであってもよい。
【0152】
別の実施形態では、システム100は、第2群のプロセス条件の下で流体膨張コンポーネントへの流体混合物を維持することができ、第2群のプロセス条件では、少なくとも1つのプロセス条件が第1群のプロセス条件と第2群のプロセス条件との間で異なる。例えば、システム100は、以下のプロセス条件のうちの1つ以上を、多段階処理の第1部分の間に使用されなかった設定点の値に移行させることができる。それ故、第2群のプロセス条件とみなされるためにこれらの値の全てが変更される必要はない。第1群のプロセス条件のいくつかは後続の処理のために変化していないにも関わらず、プロセス条件の1つだけの変化は、存在すべき第2群のプロセス条件のために充分である。プロセス条件は、流体混合物のフローレート、流体混合物の化学組成、流体混合物の温度、流体混合物の流体圧、マイクロエレクトロニクスの基板118と流体膨張コンポーネントとの間の距離(例えばギャップ距離502)、又は、真空プロセスチャンバのチャンバ圧力、を含み得るが、これらに限定されるものではない。一実施形態では、プロセス条件のうちの1つ以上は、多段階処理の初期部分の間に使用される設定値の少なくとも10%だけ変化させることができる。
【0153】
例えば、一実施形態では、GECに流入する流体混合物の温度は、多段階処理の後続の部分について、初期設定の150Kから後続の設定の135K以下に変更され得る。同様に、流入流体温度も、150Kから、165K以上200Kまで、変化させることができる。
【0154】
他の実施形態において、真空チャンバの圧力は、第1群のプロセス条件と第2群のプロセス条件との間で、圧力を少なくとも10%低下させることによって変化させることができる。例えば、初期チャンバ圧力は約20Torrであることができ、第2チャンバ圧力は3Torr以下であることができる。特定の一実施形態では、プロセス圧力は、初期圧力として約14Torr、第2チャンバ圧力として8Torrであることができる。
【0155】
具体的な一実施形態において、多段階処理の初期部分について約100slmの第1流体フローレートは、多段階処理の後続の部分について約160slmの第2流体フローレートに変更され得る。
【0156】
他の実施形態において、第1群のプロセス条件と第2群のプロセス条件との間の移行は、流体混合物の化学組成を変化させることを含んでもよい。変更は、本明細書に開示されている化学組成物のいずれかの間の移行を含み得る。本明細書に開示されている組成物は、特に断らない限り、重量によるものとして定義される。例えば、第1群のプロセス条件は、初期多段階処理で使用される100重量%のアルゴンを含むことができ、窒素又は本明細書に開示された処理化学物質のいずれかを含み得る希釈混合物に移行することができる。
【0157】
別の実施形態では、ギャップ距離502を、第1群のプロセス条件と第2群のプロセス条件との間で変化させることができ、マイクロエレクトロニクス基板118の表面にわたる流体混合物の横方向のフロープロファイルを変化させることができる。例えば、ギャップ距離502は、50mmから3mmに変化されることができ、マイクロエレクトロニクス基板の表面に伝達される力の量を増加させて、除去力に対する付着力のより高い比を有する、より小さな粒子を除去することができる。しかしながら、他の実施形態では、ギャップ距離は、2mmから100mmの間で変化してもよい。
【0158】
他の実施形態では、1つを超える変数が、同じマイクロエレクトロニクス基板118への初期の処理と後続の処理との間で、変化することができる。例えば、一例では、第1群のプロセス条件と第2群のプロセス条件との間で移行するときに、フローレート及び真空チャンバ圧力の両方が変化してもよい。システム100は、本明細書に開示されるプロセス範囲の中、又は、半導体プロセスの当業者が粒子除去効率を改善するために使用する他の任意の値の中で、多段階処理のうちのいずれかの移行の間に変化する1つ以上のプロセス条件を移行するようにプログラムされることができる。例えば、変化は、フローレート及び真空チャンバ圧力を含むことができるとともに、残りのプロセス条件は第1群のプロセス条件と第2群のプロセス条件との間で同一又は類似に維持することができる。別の例では、流体混合物のフローレート及び流体混合物の温度を、第1群のプロセス条件と第2群のプロセス条件との間で変化させることができる。さらに、三種変化の実施形態は、流体混合物のフローレートと、真空チャンバの圧力と、流体混合物の温度とを、第1群のプロセス条件と第2群のプロセス条件との間で変化させることを含むことができる。
【0159】
一実施形態では、真空プロセスチャンバ104に流体混合物を供給するシステム100及びシステム100は、流体混合物を気相(例えば液相<1%)に維持する温度及び/又は圧力に、流体混合物を維持することができる。しかしながら、流体混合物は、全ての多段階処理の実施形態に対して液相1%未満である必要はない。
【0160】
システム100は、上述のように、流体混合物のプロセス条件を移行するようにプログラムされることができ、移行中に流体混合物のフローをシャットダウンすることによって、段階的に移行を実行することができるか、又は、マイクロエレクトロニクス基板118が放出口オリフィス404の下で並進し及び/又は回転している間に、移行をオンザフライで実行することができる。しかしながら、いつ、どのように移行が生じるかにかかわらず、流体混合物は、多段階処理の次の繰り返しにおいてマイクロエレクトロニクス基板118に露出される。しかしながら、フローチャート1600の目的のために、移行は段階的に発生する。
【0161】
ブロック1616において、システム100は、第2群のプロセス条件の設定点に到達したときに、流体混合流が流れることを可能にする。流体混合物は、膨張した流体混合物がマイクロエレクトロニクス基板にわたって横方向に流れるように、放出口(例えば放出口オリフィス404)を介して真空プロセスチャンバ内へと膨張される。膨張した流体混合物は、粒子を衝突及び払いのけることによって粒子の除去を可能にするガスクラスター(例えば、GCJスプレー)を形成し得る。
【0162】
ブロック1618において、膨張する流体混合物は、マイクロエレクトロニクス基板118上の粒子に十分なエネルギーを適用することができ、マイクロエレクトロニクス基板118にわたって流れる流体混合物を用いて、マイクロエレクトロニクス基板118から複数の第2物体(例えば、粒子)を除去することができる。この後続の処理は、初期処理の間に除去された粒子よりも、除去力に対する付着力の高い比を有する粒子を標的とすることができる。いくつかの例では、より小さい粒子(<100nm)は、より大きな粒子よりも、除去力に対する付着力の比が高いことが見出されている。しかしながら、後続の処理は、特定のサイズの粒子を除去することに限定されず、粒子のサイズとは無関係に、他のタイプの粒子を標的とするために使用され得る。
【0163】
後続の処理は、マイクロエレクトロニクス基板118から追加の群(例えば第3、第4など)の物体を除去するために続くことができる。このように、クリーニング処理は、本明細書に開示されているプロセス条件を変化させることによって最適化されることができ、粒子除去効率を最大化し得る。プロセス条件は、マイクロエレクトロニクス基板118上に見出される異なる種類の粒子、材料、及びフィーチャを考慮して変化されてもよい。例えば、粒子は、サイズ、組成、及び配向又は位置(例えば、表面積層、埋め込み)によって変化することができ、当業者は、既存のフィーチャへの損傷を最小限にしつつ、GCJスプレーを使用してそれらを除去するために、過度の実験(undue experimentation)を行うことなく、プロセス条件を最適化することができる。さらに、マイクロエレクトロニクス基板118の表面は、種々の露出材料を有していてもよく、マイクロエレクトロニクス基板118にわたって分散された粒子に対する異なる表面付着特性を可能にする。したがって、後続の処理は、本明細書に開示されるプロセス条件を調整することによって、異なる種類の材料を説明する(account for )ことができ、粒子除去効率を最大にすることができる。さらに、マイクロエレクトロニクス基板118上のパターン化されたフィーチャは、ダイ(the die)及びマイクロエレクトロニクス基板118にわたる、幾何学的形状、トポグラフィー、及び密度に関して変化する。トポグラフィー(例えば、トレンチ、穴、絶縁ライン、緻密ライン(dense lines)など)は、ダイ及び/又はマイクロエレクトロニクス基板118にわたって変化することができ、GCJスプレーの流体のフロー及びダイナミクスに影響を与えることができる。ダイ若しくはマイクロエレクトロニクス基板118にわたるトポグラフィーの変化は、マイクロエレクトロニクス基板118から物体又は粒子を除去するGCJスプレーの能力をシールド又は制限することができる。したがって、当業者は、トレンチ内に存在するか、緻密ラインフィーチャの頂部に配置されるか、又はダイ内で又はマイクロエレクトロニクス基板118にわたってパターン化されたラインフィーチャ間の空間内に位置する粒子を除去するために、これらのトポグラフィーの相違に対処するためのプロセス条件を開発することができる。
【0164】
さらに、後続の処理は、マイクロエレクトロニクス基板118の特定の領域を標的とすることができる。特徴的な粒子パターンは、マイクロエレクトロニクス基板118上に見出されることができ、プロセス条件及び処理位置を変更することによって対処することができる。例えば、粒子パターンは、マイクロエレクトロニクス基板118のエッジに影響を与える(impact)ことが既知であり得る。この場合、後続の処理は、サイクル時間又は化学物質の使用量を削減するために、マイクロエレクトロニクス基板118全体を処理することなく、特定の領域に位置する粒子に対処するために可動チャック122又はGECを位置決めすることによって、マイクロエレクトロニクス基板118のエッジを標的にすることができる。
【0165】
フローチャート1600の実施形態は、多段階処理の間の流体混合物フローの個別の開始及び停止を意味し得るが、請求の範囲は、
図17の実施形態に示されるように、これらのタイプのプロセスに限定されることを意図されない。
【0166】
図17は、多段処理を用いて、マイクロエレクトロニクス基板118を低温流体で処理する別の方法のフローチャート1700を示す。この場合、多段階処理は、流体混合物が流れている間に異なる設定点にアクティブに移行させることによって、又は、流体混合物を止めて異なる設定点への移行か完了するのを待つことによって、処理が進行している間にその場でプロセス条件を変化させることによって実行されることができる。プロセス条件は、本明細書に開示された任意のプロセス条件を含み得るが、これらに限定されない。
【0167】
上記に開示されたように、流体混合物は、流体混合物の温度と圧力を制御することで液体混合物に含まれる液体の量(重量による)に影響を与えることにより、比較的低い液体濃度のGCJスプレーを生成することができる。システム100は、全てではないがいくつかの実施形態について、流入する流体混合物の圧力及び温度を最適化し、流入する流体混合物の液体濃度を制御して、(例えば、1重量%未満の液体の)ガス混合物を達成することができる。
【0168】
ブロック1702では、マイクロエレクトロニクス基板118は、流体又はガス膨張コンポーネント(GEC) (例えば、ノズル400)を含み得るプロセスチャンバ104内に受け入れられることができる。通常、ノズルは、流体混合物を受け入れるための注入口オリフィス402又は注入口と、流体混合物をプロセスチャンバ104に流入させる放出口オリフィス404又は放出口とを含み得る。
図1に示すように、GECは、70K~200Kの温度及び800psig未満の圧力でガス混合物を維持し得る低温冷却ガス源と流体連通することができる。
【0169】
マイクロエレクトロニクス基板118は、可動チャック122に固定されることができ、又はその上に配置されることができ、
図1の説明においてさらに開示されているように、ノズル400の下方又は直下で(underneath or subjacent)回転及び/又は並進し得る。可動チャック122は、移動中のマイクロエレクトロニクス基板118を固定するように構成されることができる。この能力は、処理中に基板が可動チャック122から移動し又は脱落するのを阻止する。一旦、マイクロエレクトロニクス基板118が可動チャック122上に固定されると、初期プロセス処理が継続され得る。まとめると、システム100は、初期処理のための第1群の条件を維持することができ、プロセス条件は、本願明細書に開示されるプロセス条件範囲ごとの値における真空プロセスチャンバ104のチャンバ圧力、ガス混合物のガスフローレート、ガス混合物の化学組成、ガス混合物の温度、及び/又は、マイクロエレクトロニクス基板118とガス膨張コンポーネントとの間の距離、
を含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0170】
ブロック1704において、システム100は、初期処理の前に、ガス中に液体を有さない、又は非常に少量の液体(例えば、1重量%未満)しか有さないガス又はガス混合物をガス膨張コンポーネントに供給するように構成されてもよい。システム100は、窒素及びアルゴンについて
図6A及び6Bに記載されている技術を使用して、ガス混合物を273K未満の温度及びガス混合物中の液体形成を阻止又は最小化する圧力に維持することができ、このことは、本明細書に開示されている任意のガス又はガス混合物について他の状態図を使用して適用されることができる。
【0171】
多くの実施形態において、ガス温度は70K以上200K以下であり、圧力は5psiと800psigとの間の範囲である。ガスは、窒素、アルゴン、又はそれらの組み合わせで構成されることができるが、これらに限定されない。他の実施形態において、ガスは、窒素、アルゴン、キセノン、クリプトン、ヘリウム、水素、C2H6又は二酸化炭素、又はそれらの任意の組合せから構成されることができる。別の実施形態では、N2を含み得るガス混合物は、少なくともヘリウム又はネオンと組み合わされ、かつ、アルゴン、クリプトン、キセノン、二酸化炭素のうちの少なくとも1つと組み合わされることができる。具体的な一実施形態において、上述の混合ガスの比率は、約1:2:2であることができる。さらに具体的な別の実施形態では、上述のガス混合物の比率は、1:2:1.8であることができる。
【0172】
多くの実施形態において、システム100は、処理プロセス中のガスクラスター形成を可能にするために、35Torr以下の真空プロセスチャンバ104をプロセス圧力に維持することができる。特定の一実施形態では、プロセス圧力は、約10Torr以下であることができる。さらに、GECに対するマイクロエレクトロニクス基板118の位置は、粒子除去効率を改善するために調整されることができる。
【0173】
まとめると、システム100は、初期処理のための第1群の条件を維持することができ、プロセス条件は、本願明細書に開示されるプロセス条件範囲ごとの値における真空プロセスチャンバ104のチャンバ圧力、ガス混合物のガスフローレート、ガス混合物の化学組成、ガス混合物の温度、ガス混合物のガス圧力、及び/又は、マイクロエレクトロニクス基板118とガス膨張コンポーネントとの間の距離、を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0174】
ブロック1706において、マイクロエレクトロニクス基板118は、ガス膨張コンポーネントの反対側に配置されることができ、マイクロエレクトロニクス基板118と放出口(例えば出口オリフィス)との間に、2mmから50mmの範囲のギャップ距離を提供し、ガス膨張コンポーネントはマイクロエレクトロニクス基板118の反対側に配置されることができる。ギャップ距離502は、GCJスプレーのマイクロエレクトロニクス基板118にわたるフロー特性を制御するように調整されることができる。マイクロエレクトロニクス基板118のGECへの近接性(The proximity)は、粒子に伝達されるフロー特性及び伝達されるエネルギー量に影響を与え、かつ、粒子除去効率又は、マイクロエレクトロニクス基板118がGECの下方で移動する際に粒子が除去される表面積のサイズに影響を与え得る。
【0175】
他の実施形態において、GECは、処理プロセスの間に基板にわたる流れの変化を可能にする角度に配置され得る。例えば、ノズルに対するマイクロエレクトロニクス基板118の位置決めは、45°~90°の入射角に維持されてもよい。初期処理は、初期プロセス条件が達成されたこと又は初期処理を開始するのに十分に維持されたことをシステム100が確認したときに開始されることができる。
【0176】
ブロック1708において、システム100は、ガス混合物がGECを通って流れて、ガス膨張コンポーネント放出口を通って、ギャップ(例えば、ギャップ距離502)を通り、プロセスチャンバ内へと膨張することができるようにすることにより、多段階処理を開始することができ、したがって、膨張したガス混合物の少なくとも一部がマイクロエレクトロニクス基板118にわたって流れ、マイクロエレクトロニクス基板118の表面に位置する及び/又は表面に埋め込まれた複数の粒子にエネルギーを伝達する。
【0177】
ブロック1710において、初期処理の間、可動チャック112は、
図1に示されるように、可動チャックの上方に配置され得るGECの下方又は反対側でマイクロエレクトロニクス基板118を並進及び/又は回転させ得る。マイクロエレクトロニクス基板118が膨張したガス混合物に隣接する経路に沿って移動するか、又は、GCJスプレーが複数の第1粒子を除去するために使用され得るように、第1群のプロセス条件は除去するように調整され得る。例えば、1つの実施形態において、初期処理は、比較的低いガスフローレート(例えば、>100slm)を使用して、比較的大きな粒子(例えば、>100nm)を除去するために使用され得る。小さな粒子(例えば、<100nm)は、比較的フローレートで除去される可能性が低いことが見出されている。しかしながら、より大きな粒子により小さいエネルギーを与えるより低いフローレートで、より大きな粒子を除去することは有利であり得る。このような方法において、より大きな粒子の運動量は、より低く、したがって、より大きな粒子はより小さい運動量を有するために、マイクロエレクトロニクス基板118上に存在するフィーチャに対する損傷を引き起こす能力がより小さくなる。より大きな粒子の除去(例えば、初期処理)の後に、後続の処理を実施することができ、既存のフィーチャ(例えば、線、孔、トレンチ、フィン、膜積層体など)への損傷を最小化しつつ、マイクロエレクトロニクス基板118から除去するために異なるエネルギーの量又はプロセス条件を必要とする他の粒子を除去することができる。
【0178】
ブロック1712において、マイクロエレクトロニクス基板118の後続のクリーニング処理は、ガス混合物及び/又は真空プロセスチャンバに対する少なくとも1つのプロセス条件を変更することによって開始されることができ、そのプロセス条件は初期処理中に使用されるプロセス条件とは異なる。後続の処理は、初期処理の間に完全に除去されなかった複数の第2粒子を除去するために使用され得る。
【0179】
一実施形態では、プロセス条件の変更は、マイクロエレクトロニクス基板の後続の処理のために、ガスフローレートをより高い振幅(a higher magnitude)に変更することを含み得る。例えば、初期フローレートを、初期処理と後続の処理との間で少なくとも5%だけ変化させることができ、フローを変化させ及び/又はマイクロエレクトロニクス基板118に適用されるエネルギー量を変化させることができる。具体的な一実施形態において、初期ガスフローレートは、初期処理については約100slmであり得、後続の処理については160slmに変更され得る。より高いフローレートは、除去力に対する付着力の比がより高い粒子を除去するために使用され得る。
【0180】
別の実施形態では、膨張したガス混合物からマイクロエレクトロニクス基板118に適用されるエネルギーの量は、後続の処理のためのギャップ距離502を変化させることによって変化させることができる。例えば、ギャップ距離は、多段階処理の間に2mmから10mmの間で変化することができる。さらに、マイクロエレクトロニクス基板118にわたるフロープロファイルは、ギャップ距離502によって影響を受けることができ、これは、GECがマイクロエレクトロニクス基板118にわたって移動する際に、GECの周囲の表面積の量に影響を与え得る。さらに、ギャップ距離502はまた、ガスクラスターのサイズ及び/又は密度に影響を与えることができ、これは、これは、過度の実験なしに異なるタイプ/サイズの粒子を標的とするために当業者によって最適化され得る。
【0181】
より広義には、他の実施形態では、システム100は、粒子除去効率を改善するために、以下のプロセス条件の2つ以上の組み合わせを変化させるように構成することができる:ガス混合物のガスフローレート、ガス混合物の化学組成、記ガス混合物の温度、ガス混合物のガス圧力、マイクロエレクトロニクス基板とガス膨張コンポーネントとの間の距離、真空プロセスチャンバのチャンバ圧力。
【0182】
以上、本発明の特定の実施形態のみを詳細に説明したが、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの変更が実施形態において可能であることを当業者は容易に理解するであろう。したがって、そのような改変はすべて本発明の範囲内に含まれることが意図される。例えば、上述の実施形態は、一緒に組み込まれてもよく、必要に応じて、実施形態の一部を追加又は省略してもよい。したがって、実施形態の数は、本明細書に記載される特定の実施形態のみに限定されず、当業者は、本明細書に記載される教示を使用してさらなる実施形態を作成することができる。